(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022190521
(43)【公開日】2022-12-26
(54)【発明の名称】マウント装置および撮像装置
(51)【国際特許分類】
G03B 17/14 20210101AFI20221219BHJP
【FI】
G03B17/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021098887
(22)【出願日】2021-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125254
【弁理士】
【氏名又は名称】別役 重尚
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 秀樹
【テーマコード(参考)】
2H101
【Fターム(参考)】
2H101EE08
2H101EE34
2H101EE57
2H101EE63
2H101EE96
(57)【要約】
【課題】ユーザが意図せずに、撮像装置のマウント部分からアクセサリが外れることを防止すること。
【解決手段】マウント装置1は、撮像装置11に搭載して用いられる。マウント装置1は、レンズ鏡筒21が着脱自在に装着されるマウント部112と、マウント部112に取り付けられたレンズ鏡筒21を固定する固定状態と、固定状態が解除された解除状態とに変位可能なロックピン311と、マウント部112に取り付けられたレンズ鏡筒21の光軸ZO回りに回動可能に設置され、その回動によりロックピン311を固定状態から解除状態に変位させる操作を行う解除操作ユニット(解除操作手段)41と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像装置に搭載して用いられるマウント装置であって、
レンズ鏡筒が着脱自在に装着されるマウント部と、
前記マウント部に取り付けられた前記レンズ鏡筒を固定する固定状態と、該固定状態が解除された解除状態とに変位可能なロックピンと、
前記マウント部に取り付けられた前記レンズ鏡筒の光軸回りに回動可能に設置され、該回動により前記ロックピンを前記固定状態から前記解除状態に変位させる操作を行う解除操作手段と、を備えることを特徴とするマウント装置。
【請求項2】
前記マウント部は、前記レンズ鏡筒を前記マウント部に対して前記レンズ鏡筒の光軸回りに回転させることにより、前記レンズ鏡筒が着脱自在に装着されるよう構成されており、
前記ロックピンを前記固定状態から前記解除状態に変位させる際に前記解除操作手段を回転させる方向と、前記レンズ鏡筒を前記マウント部から取り外す際に前記レンズ鏡筒を回転させる方向とは、互いに反対方向であることを特徴とする請求項1に記載のマウント装置。
【請求項3】
前記ロックピンを保持し、該ロックピンとともに変位する保持部材を備え、
前記ロックピンは、前記レンズ鏡筒の光軸方向に移動可能であり、
前記解除操作手段は、該解除操作手段の操作に伴って連動する連動部材を有し、
前記連動部材は、前記保持部材に当接し、前記レンズ鏡筒の光軸を法線とする平面に対して傾斜した傾斜面を有することを特徴とする請求項1または2に記載のマウント装置。
【請求項4】
前記解除操作手段が前記固定状態にある前記ロックピンを変位させ始めて、前記解除状態に到達させるまでの前記解除操作手段の操作距離は、前記ロックピンが前記固定状態から前記解除状態に至るまでの前記ロックピンの変位距離よりも大きいことを特徴とする請求項1乃至3のうち何れか1項に記載のマウント装置。
【請求項5】
前記解除操作手段は、前記固定状態にある前記ロックピンを変位させ始める前と、前記解除状態に到達させた後とに、それぞれ、移動可能な遊びがあることを特徴とする請求項1乃至4のうち何れか1項に記載のマウント装置。
【請求項6】
前記マウント部は、前記レンズ鏡筒の光軸を中心とするリング状をなし、
前記解除操作手段は、前記マウント部の外周側に配置されることを特徴とする請求項1乃至5のうち何れか1項に記載のマウント装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のうち何れか1項に記載のマウント装置を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項8】
前記撮像装置の主電源がオン状態の場合、前記解除操作手段が前記固定状態にある前記ロックピンを変位させ始めて、前記解除状態に到達させるまでの間に、前記主電源をオフ状態に切り替える制御を行う制御手段を備えることを特徴とする請求項7に記載の撮像装置。
【請求項9】
撮像素子と、
前記解除状態で前記撮像素子を保護する保護機構と、を備えることを特徴とする請求項7または8に記載の撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マウント装置、および、マウント装置を有する撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、レンズ鏡筒(撮像レンズ)が着脱自在に構成された、すなわち、レンズ鏡筒を交換可能に構成された撮像装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の撮像装置は、取り付けられたレンズ鏡筒を固定するロックピンと、ロックピンによる固定状態を解除するアンロックボタンとを有する。そして、アンロックボタンを操作することにより、レンズ鏡筒を撮像装置から取り外すことができる。また、特許文献1に記載の撮像装置では、アンロックボタンがレンズ鏡筒の光軸と平行な方向に押圧操作される(押下操作される)よう構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の撮像装置では、例えば、撮像装置を使おうとして把持した際に、誤ってアンロックボタンを押圧することで、ユーザの意図に依らずにロックピンによる固定状態を解除するおそれがある。そして、このまま撮像装置を使った場合、レンズ鏡筒のアクセサリが撮像装置のマウント部分から外れるおそれがある。
【0005】
本発明は、ユーザが意図せずに、撮像装置のマウント部分からアクセサリが外れることを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のマウント装置は、レンズ鏡筒が着脱自在に装着されるマウント部と、マウント部に取り付けられたレンズ鏡筒を固定する固定状態と、固定状態が解除された解除状態とに変位可能なロックピンと、マウント部に取り付けられたレンズ鏡筒の光軸回りに回動可能に設置され、回動によりロックピンを固定状態から解除状態に変位させる操作を行う解除操作手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ユーザが意図せずに、撮像装置のマウント部分からアクセサリが外れることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る撮像装置およびレンズ鏡筒の位置関係を示す斜視図である。
【
図2】撮像装置のロックピンおよびアンロックレバーの周辺を正面側から見た分解斜視図である。
【
図3】撮像装置のロックピン、アンロックレバー、フロントカバーおよびレンズ鏡筒の周辺を背面側から見た分解斜視図である。
【
図4】撮像装置のロックピン、アンロックレバーおよびフロントカバーの周辺を背面側から見た拡大図である。
【
図5】アンロックレバーの可動域を示す正面図である。
【
図6】ロックピンが移動する過程(固定状態)を示す断面図(
図5中のA-A断面図)である。
【
図7】ロックピンが移動する過程(固定状態)を示す断面図(
図5中のA-A断面図)である。
【
図8】ロックピンが移動する過程(解除状態)を示す断面図(
図5中のA-A断面図)である。
【
図9】ロックピンが移動する過程(解除状態)を示す断面図(
図5中のA-A断面図)である。
【
図10】アンロックレバーを正面側から見た拡大図である。
【
図11】アンロックレバーを側方から見た拡大図である。
【
図12】本発明の第2実施形態に係る撮像装置およびレンズ鏡筒の位置関係を示す斜視図である。
【
図13】従来例の撮像装置およびレンズ鏡筒の斜視図である。
【
図14】従来例の撮像装置およびレンズ鏡筒を上側から見た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の各実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。しかしながら、以下の各実施の形態に記載されている構成はあくまで例示に過ぎず、本発明の範囲は各実施の形態に記載されている構成によって限定されることはない。
【0010】
<第1実施形態>
以下、図面を参照して、第1実施形態について説明する。
図1に示すように、撮像装置11は、レンズ鏡筒(撮像レンズ)21を取り付けて用いられるカメラである。撮像装置11は、フロントカバー113と、フロントカバー113の内側に配置された撮像素子111と、マウント装置1とを有する。撮像素子111は、レンズ鏡筒21を介して取り込まれた光を電子情報に変換する素子であり、例えば、CCDやCMOSで構成される。撮像装置11には、マウント装置1を介してレンズ鏡筒21が着脱自在に装着される。マウント装置1の構成については、後述する。
【0011】
レンズ鏡筒21は、円筒状をなし、その内側にレンズが配置されている。また、レンズ鏡筒21は、ズームリング212を有する。ズームリング212は、レンズ鏡筒21の光軸ZO回りに回転操作可能に支持されている。そして、レンズ鏡筒21の操作(回転操作)に応じて、レンズ鏡筒21内でのレンズの位置が変更されて、ズーミングが行われる。
【0012】
また、
図2に示すように、撮像装置11は、メインベース114と、接点ユニット115とを有する。メインベース114は、撮像装置11の主たる構造体であり、フロントカバー113に対して背面側に配置されている。メインベース114には、例えば、マウント装置1が設置される。メインベース114の背面側には、接点ユニット115が配置、固定されている。接点ユニット115は、電気的に接続される接点を有する。これにより、撮像装置11は、接点ユニット115を介して、レンズ鏡筒21との間で通信可能となる。
【0013】
撮像装置11は、メインベース114にマウント装置1が搭載されている。マウント装置1は、マウント部(ボディマウント)112と、ロックピンユニット31と、解除操作ユニット(解除操作手段)41とを有する。
【0014】
メインベース114の正面側には、リング状のマウント部112が配置されている。マウント部112には、レンズ鏡筒21が着脱自在に装着される。この着脱方式としては、特に限定されず、例えば、バヨネット結合(バヨネット方式)が好ましい。バヨネット結合は、レンズ鏡筒21をマウント部112に対してレンズ鏡筒21の光軸ZO回りに回転させることにより、レンズ鏡筒21をマウント部112に着脱することができる。例えば、レンズ鏡筒21をマウント部112に取り付ける際には、正面から見て、レンズ鏡筒21を光軸ZOを中心とする時計回りに回転させることにより、その取り付けを行うことができる。レンズ鏡筒21がマウント部112に取り付けられた状態(以下「取付状態」と言う)では、レンズ鏡筒21の光軸ZOとマウント部112の中心Oとが一致する。また、取付状態では、レンズ鏡筒21の後方に設けられたレンズマウント213が、マウント部112の前方の当接面112bに当接する。これにより、レンズ鏡筒21の取付時にレンズ鏡筒21の回転限界が規制されて、過剰な回転が防止されるとともに、取付状態が安定する。また、
図3に示すように、マウント部112の背面側には、板バネからなるスプリング116が配置されており、取付状態でレンズ鏡筒21を光軸方向Zに付勢する。一方、取付状態にあるレンズ鏡筒21をマウント部112から取り外す際には、正面から見て、レンズ鏡筒21の光軸ZOを中心とする反時計回り(取り外し回転方向L)に回転させることにより、その取り外しを行うことができる(
図1参照)。このようにバヨネット結合により、レンズ鏡筒21の着脱操作を容易かつ迅速に行うことができる。
【0015】
図2~
図4に示すように、ロックピンユニット31は、ロックピン311と、ロックピン311を保持する保持部材312とを有する。マウント部112には、正面から見て右側中央部に、当接面112bに開口する貫通孔112aが形成されている。ロックピン311は、貫通孔112aに挿入されており、貫通孔112a内を光軸ZOと平行な方向に摺動することができる。これにより、ロックピン311は、当接面112bに対して出没自在となる。つまり、ロックピン311は、当接面112bから光軸方向Zに突出した位置(第1の位置)311A(
図6、
図7参照)と、当接面112bよりも引っ込んだ位置(第2の位置)311B(
図8、
図9参照)とに変位することができる。
【0016】
ロックピン311は、位置311Aに位置しているとき、レンズ鏡筒21のレンズマウント213に設けられた凹部213aに挿入され、係合する。これにより、レンズ鏡筒21の取り外し回転方向Lへの回転が規制されて、取付状態を維持する、すなわち、取付状態にあるレンズ鏡筒21を固定することができる。以下、この状態を「固定状態」と言う。また、ロックピン311は、位置311Aから位置311Bに位置することにより、レンズ鏡筒21の凹部213aから抜去される。これにより、固定状態が解除されて、レンズ鏡筒21の取り外し回転方向Lへの回転が可能となる。以下、この状態を「解除状態」と言う。なお、ロックピン311を固定状態から解除状態に変位させる操作は、解除操作ユニット41によって行われる。
【0017】
保持部材312は、ロックピン311の背面側に固定されたブロック状の部材であり、ロックピン311とともに変位することができる。ロックピン311は、保持部材312によって安定して変位することができる。
【0018】
保持部材312の背面側には、ロックスプリング313が配置されている。ロックスプリング313は、ロックピンユニット31を光軸方向Zに付勢する圧縮コイルバネである。これにより、ロックピン311が位置311Aでレンズ鏡筒21の凹部213aに挿入されて、固定状態となっているとき、解除操作ユニット41が操作されるまでは、その固定状態を維持することができる。また、ロックスプリング313は、接点ユニット115に接して、前記通信を担うこともできる。
【0019】
解除操作ユニット41は、アンロックレバー(解除操作レバー)411と、連動部材412と、ビス413とを有する。解除操作ユニット41は、マウント部112の外周112c側近傍に配置される。これにより、例えば、レンズ鏡筒21の取り外しを行う際には、アンロックレバー411を操作すればよいということを視覚で認識することができる。
【0020】
フロントカバー113には、正面から見て右下側に、貫通孔113aが形成されている。アンロックレバー411は、正面側から貫通孔113aに挿入されており、マウント部112の外周112cに沿って、すなわち、マウント部112の中心O(レンズ鏡筒21の光軸ZO)回りに回動することができる。なお、ロックピン311を固定状態から解除状態に変位させる際には、アンロックレバー411を正面から見たとき、時計回りとなる周方向Rに回動させる(
図1参照)。アンロックレバー411の一部は、貫通孔113aから正面側に突出した突出部411jとなっている。アンロックレバー411の回動操作時には、突出部411jに指を掛けることができる。
【0021】
また、貫通孔113aを介してアンロックレバー411と反対側、すなわち、背面側には、連動部材412が配置されている。アンロックレバー411と連動部材412とは、ビス413によって締結されている。これにより、連動部材412は、アンロックレバー411の回動操作に伴って連動することができる。
図3、
図4に示すように、連動部材412と、連動部材412が取り付けられるフロントカバー113の取付部113bとは、それぞれ、マウント部112の中心Oを中心とした円弧状に湾曲した形状をなす。連動部材412は、フロントカバー113の取付部113bと、メインベース114においてマウント部112が固定されるリング状部の外周面114aとの間に配置される。これにより、連動部材412は、マウント部112の中心O回りに回動可能に摺動支持される。
【0022】
また、フロントカバー113の取付部113cには、アンロックスプリング414が取り付けられている。アンロックスプリング414は、連動部材412を周方向Rと反対方向に付勢する圧縮コイルバネである。
図4に示すように、解除操作ユニット41が回動操作される前の初期状態では、連動部材412の突き当て部412aと、フロントカバー113の突き当て部113dとが互いに突き当たる。これにより、解除操作ユニット41の初期状態での位置決めがなされる。そして、アンロックスプリング414の付勢力に抗して、初期状態にある解除操作ユニット41を周方向Rに回動操作する。このとき、連動部材412の突き当て部412aと反対側に設けられた突き当て部412bと、フロントカバー113の突き当て部113dと反対側に設けられた突き当て部113eとが突き当たる。これにより、解除操作ユニット41の回動操作限界が規制されて、解除操作ユニット41の最大操作距離(回動長さ)が決定する。
【0023】
次に、解除操作ユニット41でロックピンユニット31を移動させるメカニズム(仕組み)について、
図5~
図9を参照して説明する。
【0024】
図5に示すように、解除操作ユニット41のアンロックレバー411は、回動操作に伴って、位置(第3の位置)411A、位置(第4の位置)411B、位置(第5の位置)411C、位置(第6の位置)411Dの順に変位する。なお、位置411A~位置411Dは、それぞれ、アンロックレバー411を正面から見たとき、アンロックレバー411の中心が重なる位置である。位置411Aは、前述した解除操作ユニット41の初期状態での位置である。位置411Bは、アンロックレバー411が位置411Aから周方向Rに向かって所定の量だけ回動したときの位置である。位置411Cは、アンロックレバー411が位置411Bから周方向Rに向かって所定の量だけ回動したときの位置である。位置411Dは、アンロックレバー411が位置411Cから周方向Rに向かって所定の量だけ回動して、前述した解除操作ユニット41の回動操作限界が規制された状態の位置である。
【0025】
図6~
図9に示すように、解除操作ユニット41の連動部材412は、図中の下側に臨む当接平面412eを有する。当接平面412eは、光軸ZOを法線とする平面である。また、当接平面412eには、凹部412fが形成されている。凹部412fは、凹部412fの最も深い位置に形成された平面412cと、平面412cと当接平面412eにつながって形成された当接斜面412dとを有する。平面412cは、光軸ZOを法線とする平面である。当接斜面412dは、平面412cに対して傾斜した傾斜面である。平面412c、当接斜面412d、当接平面412eは、周方向Rと反対方向に向かってこの順に配置されている。ロックピンユニット31の保持部材312は、
図6~
図9中、連動部材412の下側で、連動部材412に当接可能な当接平面312aを有する。また、保持部材312は、当接平面312aの縁部から丸みを帯びて変化する角丸部312bを有する。
【0026】
図6は、アンロックレバー411が位置411Aのときの図である。このとき、ロックピン311が位置311Aに位置して、固定状態となっている。保持部材312の当接平面312aは、連動部材412の凹部412f内に位置し、平面412cおよび当接斜面412dのいずれとも離間している。また、保持部材312の当接平面312aと連動部材412の平面412cとは、対向している。
【0027】
図7は、アンロックレバー411が周方向Rに回動して位置411Bにきたときの図である。このとき、連動部材412も回動しており、連動部材412の当接斜面412dが保持部材312の角丸部312bと当接する。これにより、解除操作ユニット41が、位置311Aにあるロックピン311を変位させ始めることが可能な状態となる。また、アンロックレバー411は、位置311Aにあるロックピン311を変位させ始める前に、すなわち、位置411Aから位置411Bまでの間、回動可能な遊びがある。これにより、不意にアンロックレバー411を回動させてしまったとしても、その回動の程度が小さければ、遊びがある分、ロックピン311の位置311Bへの変位を防止して、固定状態を維持することができる。
【0028】
図8は、アンロックレバー411が周方向Rにさらに回動して位置411Cにきたときの図である。アンロックレバー411が位置411Bから位置411Cまで回動する間、連動部材412も周方向Rに回動する。このとき、保持部材312の角丸部312bが連動部材412の当接斜面412dに沿って摺動する。これにより、ロックピン311が位置311Aから位置311Bへ向かって下降する。そして、アンロックレバー411が位置411Cまで到達したとき、保持部材312の当接平面312aと、連動部材412の当接斜面412dと当接平面412eとの間の境界部とが接する。また、このとき、ロックピン311は、位置311Bに到達して、下降が終する。これにより、解除状態となる。
【0029】
図9は、アンロックレバー411が周方向Rにさらに回動して位置411Dにきたときの図である。アンロックレバー411が位置411Cから位置411Dまで回動する間、連動部材412の当接平面412eが保持部材312の当接平面312a上を摺動することとなり、ロックピン311の位置311Bが維持される。このように、アンロックレバー411は、解除状態に到達させた後に、すなわち、位置411Cから位置411Dまでの間、回動可能な遊びがある。例えば、アンロックレバー411を位置411Dまで回動した後に、アンロックレバー411を回動させていた指の力が不意に抜けてしまった状態を想定してみる。この場合、アンロックレバー411は周方向Rの反対方向に戻るが、その戻りの程度が小さければ、遊びがある分、解除状態を維持することができる。
【0030】
以上のような構成の回動式のアンロックレバー411(解除操作ユニット41)が搭載された撮像装置11では、次のような効果が得られる。この効果について、
図13、
図14に示す従来の撮像装置11’と比較して述べる。
【0031】
撮像装置11’は、アンロックボタン421を有する。アンロックボタン421は、撮像装置11のアンロックレバー411と同様に、固定状態にあるレンズ鏡筒21を解除状態にする操作を行う部分である。なお、アンロックボタン421は、回動式のアンロックレバー411と異なり、光軸方向Zと反対方向に押圧操作される押圧式に構成されている。この構成は、特許文献1に記載の撮像装置と同様の構成である。例えば撮像装置11’を使おうとした際、使用者は、一般的に、撮像装置11’を厚さ方向、すなわち、光軸ZO方向に把持することが多い。この場合、撮像装置11’には、使用者の指よって、光軸ZO方向の把持力が加わる。このとき、使用者の指が誤ってアンロックボタン421に触れていると、前記把持力により、アンロックボタン421が押圧操作されてしまい、意図に依らず解除状態となるおそれがあった。そして、このまま撮像装置11’を使った場合、レンズ鏡筒21が撮像装置11’から外れるおそれがある。
【0032】
これに対し、撮像装置11では、アンロックレバー411が回動式であるため、前記把持力で回動操作されるのが防止される。これにより、解除操作ユニット41に対する誤操作を防止することができ、固定状態を維持することができる、すなわち、使用者が意図せずに、撮像装置1のマウント部112からレンズ鏡筒21(アクセサリ)が外れることを防止することができる。また、例えばズームリング212を操作しようとしてレンズ鏡筒21を把持した際、レンズ鏡筒21には、使用者の指よって、レンズ鏡筒21の径方向、すなわち、レンズ鏡筒21のレンズ外装(外周部)211から光軸ZOに向かう方向に把持力が加わる。この場合も、アンロックレバー411が回動式であるため、レンズ鏡筒21を把持する際の把持力でアンロックレバー411が回動操作されるのが防止される。このように、撮像装置11では、アンロックレバー411は、マウント部112に取り付けられたレンズ鏡筒21の光軸ZO回りに回動可能となっている。これにより、使用者が意図せずに、撮像装置1のマウント部112からレンズ鏡筒21(アクセサリ)が外れることを防止することができる。
【0033】
また、レンズ鏡筒21が大口径である場合を考える。この場合、撮像装置11’では、アンロックボタン421の前方の延長線M1上にレンズ鏡筒21のレンズ外装211が位置することとなる。そのため、アンロックボタン421を押圧操作しようとした使用者の指がレンズ鏡筒21のレンズ外装211と接触し、アンロックボタン421の押圧操作が阻止される。
【0034】
一方、撮像装置11では、アンロックレバー411は、回動式であるため、操作にあたって押圧操作が不要であり、レンズ鏡筒21のレンズ外装211との位置関係に関わらず、円滑な回動操作が可能となる。これにより、アンロックレバー411の操作性が向上する。前述したように、ロックピン311を固定状態から解除状態に変位させる際には、アンロックレバー411を周方向Rに回動させる。そして、解除状態にあるレンズ鏡筒21をマウント部112から取り外す際には、レンズ鏡筒21を取り外し回転方向Lに回転させる。正面から見て、周方向Rは、時計回りであり、取り外し回転方向Lは、反時計回りである。このように、本実施形態では、周方向Rと取り外し回転方向Lとは、互いに反対方向となっている。例えばズーミングを行おうとして、レンズ鏡筒21のズームリング212を時計回りに操作した場合、この回転操作方向は、取り外し回転方向Lと反対方向であるため、レンズ鏡筒21が撮像装置11から外されることはない。また、ズームリング212を反時計回りに操作しようとしたが、誤ってアンロックレバー411の方を反時計回りに操作した場合、この回転操作方向は、取り外し回転方向Lと同じ方向ではある。しかしながら、アンロックレバー411を操作するには、取り外し回転方向Lと反対の周方向Rに操作しなければならず、結果、アンロックレバー411は操作されないこととなる。これにより、ズーミング時に誤ってアンロックレバー411を操作するのが防止され、固定状態が維持される。
【0035】
また、前述したように、ロックピン311は、位置311Aから位置311Bに移動することができる。位置311Aから位置311Bまでの移動量を移動量(第1移動量)311ABとする(
図8参照)。移動量311ABは、ロックピン311が固定状態から解除状態に至るまでのロックピン311の変位距離である。
【0036】
アンロックレバー411は、位置411Aから、位置411B、位置411Cを順に経て、位置411Dに移動することができる。位置411Bから位置411Cまでの移動量を移動量(第2移動量)411BCとする(
図5参照)。移動量411BCは、アンロックレバー411が固定状態にあるロックピン311を変位させ始めて、解除状態に到達させるまでのアンロックレバー411の操作距離である。そして、撮像装置11では、移動量411BCが移動量311ABよりも大きいことが好ましい。この理由について説明する。
【0037】
撮像装置11’では、アンロックボタン421の押圧操作に応じてロックピン311を移動させていたため、アンロックボタン421の移動量と、ロックピン311の移動量311ABとが概ね等しかった。従って、誤操作によってアンロックボタン421を移動量311ABだけ操作してしまうと、ロックピン311が位置311Bに移動して、意図せずに解除状態となる。この意図しない解除状態を防止するために、例えば比較的大きな操作力でアンロックボタン421を操作しなければならないように、撮像装置11’を設計していた。
【0038】
これに対し、撮像装置11では、移動量411BCが移動量311ABよりも大きく設定されている。これにより、誤操作によってアンロックレバー411を移動量311ABと同じ分だけ移動させてしまっても、その移動量は、移動量411BC未満であるため、ロックピン311の位置311Bへの到達が防止されて、固定状態が維持される。従って、意図しない解除状態を防止するためにアンロックレバー411の操作力を比較的大きくする必要がない。これにより、撮像装置11は、撮像装置11’でのアンロックボタン421の操作力と比べて、アンロックレバー411の操作力をできる限り小さくすることができる。
【0039】
なお、アンロックレバー411を回動させるために必要な操作力は、例えば、連動部材412の当接斜面412dの傾斜角度θ、アンロックスプリング414の付勢力、ロックスプリング313の付勢力等の種々の条件で決まる。これらの条件の他に、例えば、アンロックボタン421とフロントカバー113との間の摩擦力等もある。移動量411BCを移動量311ABよりも大きく設定する方法としては、特に限定されず、例えば、連動部材412の当接斜面412dの傾斜角度θ(
図6参照)を調整する方法が挙げられる。なお、傾斜角度θは、45°未満が好ましい。
【0040】
図8に示すように、連動部材412の当接斜面412dは、ロックスプリング313の付勢力によって、保持部材312から図中上側に向かって反力Nを受ける。反力Nを、
図8中の左右方向の成分NRと、上下方向の成分NZに分解したとき、傾斜角度θが45°未満であれば、成分NRを比較的小さくすることができる。本実施形態では、アンロックレバー411に対する操作力は、成分NRとアンロックスプリング414の付勢力とによって決まることとする。この場合、傾斜角度θを45°未満にすることで比較的小さくなった成分NRと、アンロックスプリング414の付勢力との合力に抗したアンロックレバー411の操作力をできる限り小さくすることができる。これにより、アンロックレバー411の操作性が向上する。また、撮像装置11では、アンロックレバー411とロックピンユニット31との位置関係は、これらの間に配置される中間部材の構成や形状等によって決まる。本実施形態では、中間部材は、連動部材412である。これにより、連動部材412の全長(周方向Rの大きさ)を変更するだけで、ロックピンユニット31に対するアンロックレバー411の位置を、マウント部112の外周112cに沿った任意の位置に配置することができる。
【0041】
図2~
図4に示すように、アンロックスプリング414は、連動部材412に隣接して並んで配置されている。これにより、アンロックレバー411の操作力は、アンロックレバー411とロックピンユニット31との位置関係に関わらず、一定とすることができる。また、ロックピンユニット31は、撮像装置11の正面から見て右側に配置されている。この場合、連動部材412の大型化を防ぐために、アンロックレバー411も正面から見て右側に配置されているのが好ましい。
【0042】
次に、アンロックレバー411の形状について、
図10、
図11を参照して説明する。
【0043】
前述したように、アンロックレバー411は、正面側に突出した突出部411jを有する。突出部411jは、周方向Rの反対方向に臨む操作面411eと、操作面411eの縁部に沿って形成された突出リブ411fとを有する。操作面411eには、アンロックレバー411の回動操作時に指を掛けることができる。
【0044】
図10に示すように、操作面411eには、アンロックレバー411の中心とマウント部112の中心Oとを結ぶ線M2に対して傾斜した勾配411hが設けられている。また、
図11に示すように、操作面411eには、光軸方向Zに対して傾斜した勾配411iが設けられている。このようにアンロックレバー411に勾配411h、勾配411iを設けることにより、操作面411eに指を掛けた際、指が操作面411eにフィットする。これにより、指からの力をアンロックレバー411に十分に伝えることができ、アンロックレバー411の操作性が向上する。突出リブ411fは、操作面411eの縁部から突出して形成されている。これにより、操作面411eに指を掛けた際、指が突出リブ411fに引掛って、操作面411eから滑るのを防止することができる。このように、突出リブ411fもアンロックレバー411の操作性向上に寄与する。
【0045】
また、アンロックレバー411は、突出部411jの両側、すなわち、周方向Rと、その反対方向とに目隠し部411gを有する。目隠し部411gは、扁平形状をなし、フロントカバー113の貫通孔113aを覆うことができる。これにより、例えば、貫通孔113aからの塵や埃等の侵入を防止することができる。
【0046】
撮像装置11は、解除状態でレンズ鏡筒21が取り外される際、次のような動作が行われる。撮像装置11には、例えばCPU等を有する制御手段10が内蔵されている。制御手段10は、撮像装置11の主電源がオン状態の場合、アンロックレバー411が位置411Bと位置411Cとの間を回動している間に、撮像装置11の主電源をオフ状態に切り替える制御を行うことができる。この場合、制御手段10は、連動部材412と連動して作動する電源スイッチを有するのが好ましい。レンズ鏡筒21が取り外される際、撮像装置11の主電源がオン状態のままだと撮像装置11の誤作動を招くおそれがある。しかしながら、撮像装置11では、レンズ鏡筒21が取り外される際に主電源がオフ状態に切り替えるため、撮像装置11の誤作動が防止される。
【0047】
また、撮像装置11は、撮像素子111を保護する保護機構を有する。保護機構は、解除状態でレンズ鏡筒21が取り外される際、アンロックレバー411が位置411Bと位置411Cの間を回動している間に、撮像素子111を保護する。これにより、レンズ鏡筒21が取り外されても、撮像素子111が外部に露出するのが防止される。保護機構としては、特に限定されず、例えば、公知のシャッタ羽根やバリア機構が挙げられる。シャッタ羽根について、代表的に説明する。シャッタ羽根は、撮像素子111の前方に配置され、保護機能を発揮するときに閉じるよう構成されている。この場合、シャッタ羽根は、アンロックレバー411が位置411Bから位置411Cまで回動する間に、連動部材412と当接して駆動するカム機構を有するのが好ましい。
【0048】
<第2実施形態>
以下、
図12を参照して、第2実施形態について説明する。本実施形態は、主として、アンロックレバー411の配置箇所が異なること以外は前記第1実施形態と同様である。ロックピン311が撮像装置11の正面から見て左下側に配置されている場合、アンロックレバー411も同様に左下側に配置される。このアンロックレバー411は、前記第1実施形態と同様に、正面から見て時計回りの周方向Rに操作される。そして、アンロックレバー411の操作後には、前記第1実施形態と同様に、レンズ鏡筒21を正面から見て時計回りの取り外し回転方向Lに回転させることにより、レンズ鏡筒21を撮像装置11から取り外すことができる。以上のような本実施形態でも、前記第1実施形態と同様に、アンロックレバー411に対する誤操作を防止することができる。
【0049】
以上、本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明は上述した各実施の形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、前述した実施形態では、解除操作ユニット41が備えられたマウント装置1を、撮像装置11が備える構成について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、レンズ鏡筒21等のアクセサリおよび撮像装置1に着脱可能なレンズアダプタがマウント装置1を備える構成であってもよい。この場合、レンズアダプタにおけるレンズ鏡筒21が取り付けられる側に、マウント装置1および解除操作ユニット41が設けられていればよい。
【0050】
また、前述した実施形態において、ロックピン311は、光軸ZOと平行な方向に移動することにより、固定状態と解除状態とを取り得るよう構成されているが、これに限定されない。例えば、ロックピン311は、マウント部112の径方向に移動したり、所定の軸回りに回動したりすることにより、固定状態と解除状態とを取り得るよう構成されていてもよい。また、解除操作ユニット41(特にアンロックレバー411)の配置箇所は、ロックピン311に対する変位操作が可能であれば、前記各実施形態での配置箇所に限定されず、任意とすることができる。
【符号の説明】
【0051】
1 マウント装置
10 制御手段
11 撮像装置
112 マウント部
21 レンズ鏡筒(撮像レンズ)
311 ロックピン
41 解除操作ユニット(解除操作手段)
412 連動部材