(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022190525
(43)【公開日】2022-12-26
(54)【発明の名称】厚み測定装置
(51)【国際特許分類】
G01B 15/02 20060101AFI20221219BHJP
【FI】
G01B15/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021098891
(22)【出願日】2021-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川島 優樹
【テーマコード(参考)】
2F067
【Fターム(参考)】
2F067AA27
2F067BB01
2F067CC05
2F067EE19
2F067FF14
2F067GG04
2F067HH04
2F067HH05
2F067JJ03
2F067JJ04
2F067KK06
2F067LL03
2F067RR24
(57)【要約】
【課題】温度要因による放射線量の検出値の変動を検出して較正のタイミングの適正化を図ること。
【解決手段】実施形態の厚み測定装置は、放射線ビームを照射する放射線発生器と、放射線発生器に対向するように配置され、入射してくる放射線ビームの放射線量を検出する複数の放射線検出器と、複数の放射線検出器から取得された第1及び第2の検出値データに基づいて複数の放射線検出器ごとの第1及び第2の統計値を第1の算出手法によって算出し、複数の放射線検出器のいずれかにおいて第2の統計値が閾値を超える量で第1の統計値よりも変動し且つ複数の放射線検出器間における第2の統計値の大小関係が複数の放射線検出器間における第1の統計値の大小関係と同じである場合に変動が温度要因で起きていることを示す第1の信号を生成する演算部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線ビームを照射する放射線発生器と、
前記放射線発生器に対向するように配置され、入射してくる前記放射線ビームの放射線量を検出する複数の放射線検出器と、
測定対象物が測定位置に配置されていることを検出するセンサと、
前記測定対象物の測定から第1の時間が経過し且つ前記測定対象物が前記測定位置に配置されたことを前記センサが検出していない状態または前記放射線発生器および前記複数の放射線検出器の少なくともいずれかが起動されてから前記測定対象物の測定が行われることなく第2の時間が経過し且つ前記測定対象物が前記測定位置に配置されたことを前記センサが検出していない状態で、前記放射線発生器が前記放射線ビームを第1の回数照射し前記複数の放射線検出器のそれぞれが入射してくる前記放射線ビームの放射線量を前記第1の回数検出して得られる前記複数の放射線検出器ごとの第1の検出値データを取得し、前記第1の検出値データを取得してから第3の時間が経過し且つ前記測定対象物が前記測定位置に配置されたことを前記センサが検出していない状態で前記放射線発生器が前記放射線ビームを第2の回数照射し前記複数の放射線検出器のそれぞれが入射してくる前記放射線ビームの放射線量を前記第2の回数検出して得られる前記複数の放射線検出器ごとの第2の検出値データを取得する制御部と、
前記第1の検出値データに基づいて前記複数の放射線検出器ごとの第1の統計値を第1の算出手法によって算出し、前記第2の検出値データに基づいて前記複数の放射線検出器ごとの第2の統計値を前記第1の算出手法によって算出し、前記複数の放射線検出器のいずれかにおいて前記第2の統計値が閾値を超える量で前記第1の統計値よりも変動し且つ前記複数の放射線検出器間における前記第2の統計値の大小関係が前記複数の放射線検出器間における前記第1の統計値の大小関係と同じである場合に前記変動が温度要因で起きていることを示す第1の信号を生成する演算部と、を備える、
厚み測定装置。
【請求項2】
前記第1の統計値は、前記第1の回数検出された放射線量の平均値、最大値、及び最小値のうち少なくともいずれかであり、
前記第2の統計値は、前記第2の回数検出された放射線量の平均値、最大値、及び最小値のうち前記第1の統計値に対応する統計値である、
請求項1に記載の厚み測定装置。
【請求項3】
前記演算部は、
前記複数の放射線検出器のいずれかにおいて前記第2の統計値が閾値を超える量で前記第1の統計値よりも変動し且つ前記複数の放射線検出器間における前記第2の統計値の大小関係が前記複数の放射線検出器間における前記第1の統計値の大小関係と異なる場合に前記変動が温度要因ではない要因で起きていることを示す第2の信号を生成する、
請求項1または請求項2に記載の厚み測定装置。
【請求項4】
既知の板厚を有する標準試料を前記放射線ビームの照射経路上に挿入する標準試料チェンジャを更に備え、
前記制御部は、
前記演算部が前記第1の信号を生成すると、前記標準試料チェンジャが前記照射経路上に前記標準試料を挿入し、前記放射線発生器が前記放射線ビームを照射し、前記複数の放射線検出器が検出した放射線量のデータを取得し、
前記演算部は、
前記標準試料を介して検出された前記放射線量の平均値および標準偏差を算出して、以降の前記測定対象物の測定値の補正に用いるための較正値を算出する、
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の厚み測定装置。
【請求項5】
前記制御部と前記演算部とは、1つの情報処理装置として構成されている、
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の厚み測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、厚み測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
静止型の厚み測定装置は、鋼板等の測定対象物に対して放射線発生器から扇型状の放射線ビームを照射する。厚み測定装置の放射線検出器は、放射線が扇型状に広がる方向に向かって複数配置され、測定対象物を透過した放射線ビームの放射線量を検出する。これらの放射線検出器の放射線量の検出結果に基づいて、測定対象物の複数点の板厚を測定することができる。
【0003】
複数の測定対象物を連続して測定すると厚み測定装置内の温度が上昇し、放射線量の検出値が変動する場合がある。このため、厚み測定装置では、板厚が判っている標準試料を用いて定期的な較正を行っている。較正のタイミングが不適切であると、温度要因による放射線量の検出値の変動のために測定誤差が生じたり、較正回数が過剰となって厚み測定装置の稼働率が低下してしまったりする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-056604号公報
【特許文献2】特開2004-108871号公報
【特許文献3】特開2010-249691号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
1つの実施形態は、温度要因による放射線量の検出値の変動を検出して較正のタイミングの適正化を図ることができる厚み測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の厚み測定装置は、放射線ビームを照射する放射線発生器と、前記放射線発生器に対向するように配置され、入射してくる前記放射線ビームの放射線量を検出する複数の放射線検出器と、測定対象物が測定位置に配置されていることを検出するセンサと、前記測定対象物の測定から第1の時間が経過し且つ前記測定対象物が前記測定位置に配置されたことを前記センサが検出していない状態または前記放射線発生器および前記複数の放射線検出器の少なくともいずれかが起動されてから前記測定対象物の測定が行われることなく第2の時間が経過し且つ前記測定対象物が前記測定位置に配置されたことを前記センサが検出していない状態で、前記放射線発生器が前記放射線ビームを第1の回数照射し前記複数の放射線検出器のそれぞれが入射してくる前記放射線ビームの放射線量を前記第1の回数検出して得られる前記複数の放射線検出器ごとの第1の検出値データを取得し、前記第1の検出値データを取得してから第3の時間が経過し且つ前記測定対象物が前記測定位置に配置されたことを前記センサが検出していない状態で前記放射線発生器が前記放射線ビームを第2の回数照射し前記複数の放射線検出器のそれぞれが入射してくる前記放射線ビームの放射線量を前記第2の回数検出して得られる前記複数の放射線検出器ごとの第2の検出値データを取得する制御部と、前記第1の検出値データに基づいて前記複数の放射線検出器ごとの第1の統計値を第1の算出手法によって算出し、前記第2の検出値データに基づいて前記複数の放射線検出器ごとの第2の統計値を前記第1の算出手法によって算出し、前記複数の放射線検出器のいずれかにおいて前記第2の統計値が閾値を超える量で前記第1の統計値よりも変動し且つ前記複数の放射線検出器間における前記第2の統計値の大小関係が前記複数の放射線検出器間における前記第1の統計値の大小関係と同じである場合に前記変動が温度要因で起きていることを示す第1の信号を生成する演算部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施形態にかかる厚み測定装置の構成の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態にかかる厚み測定装置の放射線量の検出値の変動が温度要因によるものか否かの判定手法について説明する図である。
【
図3】
図3は、実施形態にかかる厚み測定装置の診断処理の手順の一例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の実施形態により、本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0009】
(厚み測定装置の構成例)
図1は、実施形態にかかる厚み測定装置1の構成の一例を示す図である。
【0010】
図1に示すように、厚み測定装置1は、厚み測定部10、情報処理装置20、及び入出力装置30を備える。厚み測定部10と情報処理装置20とは電気信号等による各種情報の授受が可能である。情報処理装置20と入出力装置30とは、例えばTCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)伝送による各種情報の授受が可能である。厚み測定装置1は、例えば静止型の厚み測定装置として構成されている。
【0011】
厚み測定部10は、筐体11、放射線発生器12、標準試料チェンジャ13、放射線検出器14、及び測定対象物センサ15を備える。
【0012】
筐体11には、放射線発生器12、標準試料チェンジャ13、及び放射線検出器14、及び測定対象物センサ15が内蔵されている。また、筐体11は、互いに対向して配置される放射線発生器12と放射線検出器14との間に、鋼板等の測定対象物17が配置可能な空間を有する。これにより、後述する放射線ビームXRの照射経路上に測定対象物17を配置することができる。
【0013】
放射線発生器12は、放射線ビームXRを発生する図示しない放射線管を有しており、扇型状の放射線ビームXRを放射線検出器14に向けて照射する。放射線ビームXRの照射経路上に測定対象物17が配置されている場合、放射線ビームXRの少なくとも一部が測定対象物17を透過して放射線検出器14に入射する。
【0014】
標準試料チェンジャ13は、厚み測定部10の較正時に、複数の標準試料の中から所望の標準試料を選択して放射線ビームXRの照射経路上に挿入する。複数の標準試料は、それぞれが異なる既知の板厚を有し、例えば標準試料チェンジャ13内に格納されている(不図示)。
【0015】
放射線検出器14(14-1~14-m)は、測定対象物17の配置位置を介して放射線発生器12に対向して配置され、入射してくる放射線ビームXRの放射線量を検出する(mは2以上の整数)。
【0016】
放射線検出器14-1~14-mは、それぞれが、測定対象物17を透過した放射線ビームXRを検出可能な円筒形状の電離箱等である。これらの放射線検出器14-1~14-mは、測定対象物17の幅方向に沿って一列に近接して配置されている。放射線検出器14-1~14-mは、測定対象物17を透過して放射線検出器14-1~14-mにそれぞれ入射される放射線ビームXRの放射線量を検出し、その検出値を示す検出信号DDを生成する。放射線検出器14-1~14-mは、生成した検出信号DDを情報処理装置20に対して発信する。
【0017】
測定対象物センサ15は、例えば測定対象物17が配置される空間を挟んで、筐体11の上部に設置される投光器15aと、筐体11の下部に設置される受光器15bとを備える。投光器15aは、受光器15bに向けて赤外光等の光LRを照射する。受光器15bは、投光器15aからの光LRを検知する。このような構成により、測定対象物センサ15は、筐体11の上記空間内の放射線ビームXRの照射経路上、つまり、板厚測定が可能な測定位置に測定対象物17が配置されると、以下に述べるように、測定対象物17を検出することができる。
【0018】
放射線ビームXRの経路上に測定対象物17が存在する場合、投光器15aからの光LRは測定対象物17によって遮られ、受光器15bによって検知されない。投光器15aからの光LRが検知されなかった場合、測定対象物センサ15は、情報処理装置20に対して検知信号DSを発信する。検知信号DSは、投光器15aからの光LRが受光器15bによって検知されなかったとき、つまり、放射線ビームXRの経路上に測定対象物17が配置されているときに発せられる信号である。
【0019】
測定対象物センサ15は、放射線ビームXRの経路上に測定対象物17が存在しない場合、投光器15aからの光が受光器15bによって検知される。投光器15aからの光LRが検知された場合、測定対象物センサ15は、情報処理装置20に対して非検知信号NSを発信する。非検知信号NSは、投光器15aからの光が受光器15bによって検知されたとき、つまり、放射線ビームXRの経路上に測定対象物17が配置されていないときに発せられる信号である。
【0020】
情報処理装置20は、例えば、厚み測定部10の筐体11内に格納され、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備えるコンピュータとして構成されている。
【0021】
CPUが、例えばROMに格納されるプログラムをRAMに展開し、プログラムにしたがう処理を実行することで、情報処理装置20には、少なくとも
図1に示す制御部221及び演算部222等の機能構成が実現される。
【0022】
制御部221は、所定のタイミングで、または後述する入出力装置30からの指令もしくは要求に応じて、厚み測定部10の各部を制御する機能を有する。
【0023】
具体的には、制御部221は、放射線発生器12を制御する制御信号CGを生成して放射線発生器12に送信する。これにより、放射線発生器12は、制御信号CGに従って、放射線ビームXRの照射を開始し、所定周期で照射線ビームの照射を継続し、所定期間が終了すると照射ビームXRの照射を停止する。
【0024】
このとき、放射線発生器12は、放射線ビームXRの照射開始および停止等の放射線発生器12の状態を示す状態信号SGを生成して情報処理装置20に発信する。情報処理装置20は、状態信号SGを参照することで、放射線発生器12を適正に制御することができる。
【0025】
また、制御部221は、標準試料チェンジャ13を制御する制御信号CCを生成して標準試料チェンジャ13に送信する。これにより、標準試料チェンジャ13は、制御信号CCに従って、所定の標準試料を放射線ビームXRの経路上に挿入し、また、標準試料チェンジャ13内に格納する。
【0026】
このとき、標準試料チェンジャ13は、標準試料の挿入および格納等の標準試料チェンジャ13の状態を示す状態信号SCを生成して情報処理装置20に発信する。情報処理装置20は、状態信号SCを参照することで、標準試料チェンジャ13を適正に制御することができる。
【0027】
同様に、放射線検出器14は、放射線量を検出中またはアイドリング中であること等の放射線検出器14の状態を示す状態信号SDを生成して情報処理装置20に発信する。このように、情報処理装置20では、放射線検出器14からの状態信号SD及び上述の検出信号DDが受信される。情報処理装置20は、状態信号SDを参照することで、放射線検出器14の状態を把握することができる。検出信号DDは、演算部222での演算処理に用いられる。
【0028】
また同様に、測定対象物センサ15は、投光器15aから受光器15bに向けて光LRを照射中またはアイドンリング中であること等の測定対象物センサ15の状態を示す状態信号SSを生成して情報処理装置20に発信する。このように、情報処理装置20では、測定対象物センサ15からの状態信号SS、上述の検出信号DS、及び非検出信号NSが受信される。
【0029】
情報処理装置20は、状態信号SSを参照することで、測定対象物センサ15の状態を把握することができ、また、検出信号DS及び非検出信号NSを参照することで、板厚測定が可能な放射線ビームXRの照射経路上に測定対象物17が配置されているか否かを把握することができる。
【0030】
以上のように、制御部21は、厚み測定部10の各部の状態を参照しつつ各部を制御することで、測定対象物17の板厚測定動作、厚み測定部10の診断動作、及び厚み測定部10の較正動作等の動作を厚み測定部10に行わせる。
【0031】
測定対象物17の板厚測定動作とは、情報処理装置20の演算部222が測定対象物17の板厚を特定するために用いるデータを生成する動作である。厚み測定部10の診断動作とは、演算部222が厚み測定部10の診断を行うために用いるデータを生成する動作である。厚み測定部10の較正動作とは、演算部222が厚み測定部10の較正を行うために用いるデータを生成する動作である。
【0032】
演算部222は、厚み測定部10で生成されたデータに基づいて、測定対象物17の板厚を算出し、厚み測定部10の状態を診断し、また、厚み測定部10の較正を行う機能を有する。演算部222のこれらの機能の詳細については後述する。
【0033】
情報処理装置20が入出力装置30から受信する情報には、例えば厚み測定部10に対する各種の指令、及び厚み測定装置1における各種データの送信要求等がある。具体的には、情報処理装置20は、各種指令を指令信号OCとして入出力装置30から受信する。また、情報処理装置20は、各種送信要求を要求信号RCとして入出力装置30から受信する。
【0034】
情報処理装置20が入出力装置30に送信する情報には、例えば情報処理装置20が算出した測定対象物17の板厚データ、情報処理装置20が厚み測定部10の診断に用いる基準値のデータ、情報処理装置20による厚み測定部10の診断時に診断対象となる診断対象値のデータ、情報処理装置20が診断した厚み測定部10の診断結果を示す判定値のデータ、及び情報処理装置20が算出した厚み測定部10の較正値のデータ等がある。
【0035】
基準値のデータは、所定のタイミングにおいて、測定対象物17が測定位置に配置されない状態で、制御部221の指令に応じて複数の放射線検出器14によって検出され、演算部222によって加工されたデータである。
【0036】
所定のタイミングは、測定対象物17の測定後に第1の時間が経過し、測定対象物センサ15から非検出信号NSを受信したタイミングである。または、所定のタイミングは、放射線発生器12及び放射線検出器14のいずれかが起動された後、測定対象物17の測定が行われることなく第2の時間が経過し、測定対象物センサ15から非検出信号NSを受信したタイミングである。
【0037】
また、放射線発生器12及び放射線検出器14のいずれかが起動される場合には、放射線発生器12及び放射線検出器14のいずれかが交換等によって新規にインストールされた場合がある。また、厚み測定装置1が新規に設置されたとき、または、厚み測定装置1が電断された後に厚み測定装置1が起動された場合にも、それに伴って放射線発生器12及び放射線検出器14が起動されるため、上記の場合に当てはまる。
【0038】
上記いずれかのタイミングがくると、制御部221は、第1の期間としての所定期間に亘って、第1の回数としての所定回数、放射線発生器12から放射線ビームXRを照射させ、複数の放射線検出器14のそれぞれによって上記の所定回数、放射線量を検出させる。また、制御部221は、上記所定回数分の検出値を含む第1の検出値データとしての検出値データを複数の放射線検出器14ごとに取得する。
【0039】
厚み測定装置1において、複数の測定対象物17の板厚測定を連続的に行うと、例えば放射線発生器12が発熱し、放射線検出器14による検出値が変動することがある。上記の第1の時間は、測定対象物17の測定後に放射線発生器12の温度が常温等の定常状態に戻るまでに要する時間に基づき設定されている。
【0040】
上記の第2の時間は、例えば放射線発生器12、放射線検出器14、または厚み測定装置1が起動されてから、これらが稼働可能な状態となるまでに要する時間に基づき設定されている。放射線発生器12、放射線検出器14、または厚み測定装置1の起動後に測定対象物17の測定が行われることなく第2の時間が経過すると、放射線発生器12の温度は定常状態となっている。
【0041】
このように、第1の検出値データとしての上記検出値データは、放射線発生器12の温度が定常状態のときに取得されたデータである。
【0042】
演算部222は、複数の放射線検出器14ごとの第1の検出値データに基づいて、複数の放射線検出器14ごとの第1の統計値としての平均値を算出する。ここで算出された平均値が基準値である。演算部222は、複数の放射線検出器14からそれぞれ得られた複数の基準値である基準値群を基準データ27として記憶部260に格納する。
【0043】
このように、上記の基準値は、放射線発生器12の温度が定常状態のときに取得された検出値データから算出された統計値であり、後に取得される診断対象値との比較に用いられる。厚み測定部10の診断時、診断対象値を基準値と比較することで、厚み測定部10について適正な診断結果を得ることができる。
【0044】
診断対象値のデータは、上記の基準値を取得してから所定時間が経過した後に、測定対象物17が測定位置に配置されていない状態で、制御部221の指令に応じて複数の放射線検出器14によって検出され、演算部222によって加工されたデータである。
【0045】
具体的には、制御部221は、上記の第1の検出値データを取得してから第3の時間が経過した後に測定対象物センサ15から非検出信号NSを受信すると、第2の期間としての所定期間に亘って、第2の回数としての所定回数、放射線発生器12から放射線ビームXRを照射させ、複数の放射線検出器14のそれぞれによって上記の所定回数、放射線量を検出させる。また、制御部221は、上記所定回数分の検出値を含む第2の検出値データとしての検出値データを複数の放射線検出器14ごとに取得する。なお、第1の期間と第2の期間とは同じ長さの期間であることが望ましく、第1の回数と第2の回数とは等しい回数であることが望ましい。
【0046】
上記の第3の時間は、複数の測定対象物17の板厚測定が連続的に行われた場合に、放射線発生器12が発熱し、放射線検出器14による検出値の変動が生じ得る時間に基づき設定されている。
【0047】
演算部222は、複数の放射線検出器14ごとの第2の検出値データに基づいて、複数の放射線検出器ごとの第2の統計値としての平均値を算出する。ここで算出された平均値が診断対象値である。厚み測定部10の診断時には、これらの複数の診断対象値である診断対象値群が用いられる。
【0048】
情報処理装置20は、測定対象物17の板厚値のデータ形式を変換して板厚値信号PHを生成し、厚み測定部10の診断に関わる基準値群および診断対象値群のデータ形式を変換して診断値信号DHを生成し、また、厚み測定部10の較正値のデータ形式を変換して較正値信号CHを生成して、入出力装置30に送信する。また、情報処理装置20は、厚み測定部10の診断結果を示す判定信号TH,OHを生成して入出力装置30に送信する。
【0049】
第1の信号としての判定信号THは、放射線量の検出値に変動が生じた場合、その変動が温度要因で起きているときに演算部222が生成する信号である。具体的には、演算部222は、複数の放射線検出器14のいずれかにおいて、診断対象値が閾値を超える量で基準値よりも変動し、かつ、複数の放射線検出器14間における診断対象値群の大小関係が、複数の放射線検出器14間における基準値群の大小関係と同じである場合に、入出力装置30へと判定信号THを出力する。
【0050】
第2の信号としての判定信号OHは、放射線量の検出値に変動が生じた場合、その変動が温度要因以外の要因で起きているときに演算部222が生成する信号である。具体的には、演算部222は、複数の放射線検出器14のいずれかにおいて、診断対象値が閾値を超える量で基準値よりも変動し、かつ、複数の放射線検出器14間における診断対象値群の大小関係が、複数の放射線検出器14間における基準値群の大小関係と異なる場合に、入出力装置30へと判定信号OHを出力する。
【0051】
記憶部260は、例えば基準データ27、測定パラメータ28a、診断パラメータ28b、及び較正パラメータ28cを記憶する。基準データ27は、上述のとおり、演算部222が厚み測定部10の診断を行うときに基準として用いるデータである。測定パラメータ28aは、制御部221が厚み測定部10に板厚測定動作を行わせるときに、厚み測定部10の各部がしたがうべき制御パラメータである。診断パラメータ28bは、制御部221が厚み測定部10に診断動作を行わせるときに、厚み測定部10の各部がしたがうべき制御パラメータである。較正パラメータ28cは、制御部221が厚み測定部10に較正動作を行わせるときに、厚み測定部10の各部がしたがうべき制御パラメータである。
【0052】
入出力装置30は、例えばCPU、ROM、及びRAMを備えるコンピュータとして構成されている。
【0053】
CPUが、例えばROMに格納されるプログラムをRAMに展開し、プログラムにしたがう処理を実行することで、入出力装置30では、少なくとも
図1に示す処理部311、入力部313、及び出力部314等の機能構成が実現される。これにより、入出力装置30は、厚み測定装置1のユーザと厚み測定装置1との間で情報の授受を可能にするHMI(Human Machine Interface)として機能する。
【0054】
処理部311は、入力部313及び出力部314を用いた各種データの入出力処理を行う。
【0055】
入力部313は、処理部311の制御下で動作し、ユーザが厚み測定装置1への指令または要求を入力可能なキーボード、マウス、後述のモニタと一体に構成されたタッチ式パネル、その他の入力機器である。
【0056】
ユーザからの指令には、例えば測定対象物17の板厚測定指令、厚み測定部10の診断指令、及び厚み測定部10の較正指令等がある。ユーザからの要求には、例えば測定対象物17の板厚の測定データの送信要求、厚み測定部10の診断結果の送信要求、及び厚み測定部10の較正データの送信要求等がある。
【0057】
出力部314は、処理部311の制御下で動作し、厚み測定装置1からの各種データをユーザに対して出力可能なモニタ等の出力機器である。
【0058】
記憶部360は、例えば板厚データ38a、診断履歴データ38b、及び較正履歴データ38c等を記憶する。板厚データ38aは、上述のとおり、情報処理装置20が算出し、板厚値信号PHとして入出力装置30が受信し、データ変換した測定対象物17の板厚値である。診断履歴データ38bは、情報処理装置20が診断に用いた基準値群および診断対象値群等の診断値、並びに情報処理装置20による厚み測定部10の診断結果を、診断値信号DH及び判定信号TH,OHとして入出力装置30が受信し、データ変換して蓄積した診断結果の履歴データである。較正履歴データ38cは、情報処理装置20が算出した厚み測定部10の較正値を、較正値信号CHとして入出力装置30が受信し、データ変換して蓄積した較正結果の履歴データである。
【0059】
(厚み測定装置の測定動作例)
次に、引き続き
図1を用いて、実施形態の厚み測定装置1の測定動作の例について説明する。
【0060】
入出力装置30は、ユーザによって測定対象物17の板厚測定指令が入力されると、情報処理装置20へ指令信号OCを送信する。情報処理装置20は、測定対象物17の板厚測定についての指令信号OCを受信する。また、情報処理装置20の制御部221は、記憶部260の測定パラメータ28aを参照して、厚み測定部10に測定対象物17の板厚測定動作を行わせる制御信号CG,CS等の指令を生成して厚み測定部10へ送信する。
【0061】
厚み測定部10の各部は、制御部221からの指令にしたがって板厚測定動作を行う。
【0062】
すなわち、放射線発生器12は、例えば200msec周期等の所定周期で、例えば1sec間等の所定期間、測定対象物17の所定位置に放射線ビームXRを照射する。放射線検出器14は、測定対象物17を透過してきた放射線ビームXRの放射線量を検出する。これにより、測定対象物17を透過して検出された放射線量を含む検出信号DDが生成される。
【0063】
情報処理装置20は、厚み測定部10から放射線量の検出値を示す検出信号DDを取得する。また、演算部222は、検出信号DDに基づいて、測定対象物17の複数個所における板厚を算出する。
【0064】
このとき、演算部222は、測定対象物17の板厚を、例えば1sec間等の所定期間に検出された放射線ビームXRの放射線量の平均値から算出する。このほか、演算部222は、測定対象物17の板厚に関する種々のデータを算出する。一例として、演算部222は、例えば1sec間等の所定期間に検出された放射線ビームXRの放射線量の最大値および最小値から、測定対象物17の板厚が含みうる測定誤差の範囲を算出する。このように、演算部222は、厚み測定部10から取得した放射線量の検出値を様々に加工して、種々の測定データを生成することが可能に構成されている。
【0065】
入出力装置30は、ユーザによって測定対象物17の板厚測定結果の送信要求が入力されると、測定対象物17の板厚測定結果の送信を要求する要求信号RCを情報処理装置20へと送信する。情報処理装置20は、要求信号RCを受信すると、算出した板厚を板厚値信号PHに変換して入出力装置30に送信する。入出力装置30は、情報処理装置20から板厚値信号PHを受信すると、ユーザに対して板厚を出力するとともに記憶部360に格納する。
【0066】
以上のように、厚み測定装置1は、例えば測定対象物17の板厚および形状等を特定することができる。
【0067】
(厚み測定装置の診断動作例)
次に、
図1及び
図2を用いて、実施形態の厚み測定装置1の診断動作の例について説明する。
【0068】
厚み測定装置1において、複数の測定対象物17の板厚測定を連続的に行うと、例えば放射線発生器12等が発熱し、厚み測定部10の筐体11内における温度が上昇する。放射線検出器14が検出する放射線量は微小であるため、上記のような温度上昇が生じると、放射線検出器14による放射線量の検出値が変動してしまう場合がある。厚み測定装置1においては、所定のタイミングで、このような温度要因による検出値の変動が起きているか否かの診断が行われる。なお、温度要因を始めとする放射線量の検出値の変動をドリフトとも呼ぶ。
【0069】
厚み測定部10の診断にあたって、情報処理装置20は、予め、厚み測定部10の診断基準となる基準値を複数の放射線検出器14のそれぞれについて生成する。より具体的には、基準値は、記憶部260の診断パラメータ28bに基づいて、例えば1sec間等の所定期間に亘って、例えば100msec周期等の所定周期で複数回に亘って照射され、測定対象物17を透過することなく複数回に亘って検出された放射線ビームXRの放射線量の複数の放射線検出器14ごとの平均値である。これらの平均値は基準データ27として記憶部260に格納される。
【0070】
複数の放射線検出器14のそれぞれについて基準値を算出するための検出値データを取得してから所定時間が経過すると、測定対象物17が測定位置に配置されていない状態で、情報処理装置20は、記憶部260の診断パラメータ28bを参照して、厚み測定部10に診断動作を行わせる制御信号CG,CS等の指令を生成し、厚み測定部10へ送信する。
【0071】
厚み測定部10の各部は、制御部221からの指令にしたがって診断動作を行う。
【0072】
すなわち、放射線発生器12は、例えば1sec間等の所定期間に亘って、例えば100msec周期等の所定周期で、複数回に亘って放射線ビームXRを照射する。放射線検出器14は、測定対象物17を透過することなく到達した放射線ビームXRの放射線量を複数回に亘って検出する。これにより、測定対象物17が測定位置に配置されていない状態で検出された放射線量を含む検出信号DDが生成される。
【0073】
情報処理装置20は、厚み測定部10から検出信号DDを取得する。また、情報処理装置20の演算部222は、記憶部260の基準データ27を参照し、以下のように、検出信号DDに基づいて厚み測定部10の診断を行う。
【0074】
演算部222は、今回取得した検出信号DDから、放射線検出器14-1~14-mのそれぞれの放射線量の平均値を算出して、診断対象となる診断対象値を生成する。
【0075】
情報処理装置20は、予め取得した基準データ27に含まれる放射線検出器14-1~14-mごとの放射線量の平均値(基準値)と、後に取得された診断対象値であって、対応する放射線検出器14の放射線量の平均値(診断対象値)とを比較する。演算部222は、これらの放射線検出器14-1~14-mのうちのいずれかの放射線量の診断対象値が所定の閾値を超える量で基準値から変動していた場合、その変動が温度要因によるものか否かを判定する。
【0076】
図2は、実施形態にかかる厚み測定装置1の放射線量の検出値の変動が温度要因によるものか否かの判定手法について説明する図である。
図2の3つのグラフの横軸は放射線検出器14-1~14-mの番号であり、グラフの縦軸は放射線検出器14-1~14-mのそれぞれにより検出された放射線量の平均値である。
【0077】
図2(a)は、予め取得した基準データ27に含まれる放射線検出器14-1~14-mごとの放射線量の平均値である基準値を示すグラフである。
図2(b)及び
図2(c)は、後に取得された放射線検出器14-1~14-mごとの放射線量の平均値である診断対象値を示すグラフである。これらのうち、
図2(b)は、放射線検出器14における放射線量の検出値の変動が温度要因で起きていた場合のグラフである。
図2(c)は、放射線検出器14における放射線量の検出値の変動が温度要因以外の要因で起きていた場合のグラフである。
【0078】
図2(a)に示すように、基準データ27において、放射線検出器14-1~14-mのそれぞれにより検出された放射線量の平均値は互いに所定の大小関係を有している。つまり、
図2(a)の例では、放射線検出器14-5により検出された放射線量の平均値は、放射線検出器14-1~14-mの中で最も大きく、放射線検出器14-6,14-4,14-7・・・の順に、検出された放射線量の平均値が小さくなっていき、放射線検出器14-mにより検出された放射線量の平均値は、放射線検出器14-1~14-mの中で最も小さい。
【0079】
図2(b)に示すように、後に取得された診断対象値群において、放射線検出器14-1~14-mにより検出された放射線量のそれぞれの平均値は、
図2(a)の基準データ27における放射線量のそれぞれの平均値よりも全体的に低下している。また、放射線検出器14-1~14-mにより検出された放射線量のそれぞれの平均値の大小関係は、
図2(a)の基準データ27における平均値の大小関係に対して変化していない。つまり、
図2(b)の例では、放射線検出器14-5により検出された放射線量の平均値は、放射線検出器14-1~14-mの中で最も大きく、放射線検出器14-6,14-4,14-7・・・の順に、検出された放射線量の平均値が小さくなっていき、放射線検出器14-mにより検出された放射線量の平均値は、放射線検出器14-1~14-mの中で最も小さい。
【0080】
このように、基準データ27の基準値群と診断対象値群とにおいて、放射線検出器14-1~14-mにより検出された放射線量のそれぞれの平均値が、大小関係に変化がないまま全体的に変動していた場合には、演算部222は、放射線検出器14における放射線量の検出値の変動が温度要因で起きたものと判定する。
【0081】
ここで、放射線検出器14の放射線量の検出値が温度要因により変動する場合、放射線検出器14-1~14-mのいずれもが温度による影響を略同程度受け、放射線検出器14-1~14-mのいずれにおける放射線量の検出値も略同じ量だけ変動すると考えられる。したがって、放射線検出器14-1~14-mにおいて検出された放射線量のそれぞれの平均値の大小関係が維持されたまま、検出された放射線量のそれぞれの平均値が全体的に変動していた場合、このような変動が温度要因によるものであると特定することが可能である。
【0082】
なお、厚み測定部10の筐体11内の温度が上昇した場合、放射線検出器14による放射線量の検出値は一般的に上昇すると考えられる。ただし、上記の演算部222による判定時、診断対象値群における放射線量の平均値は、基準データ27における平均値より増加していてもよく減少していてもよい。基準データ27と診断対象値群とで、検出された放射線量の平均値に所定量を超える変動が生じており、放射線検出器14-1~14-mにおいて検出された放射線量のそれぞれの平均値の大小関係が維持されている場合、演算部222は、厚み測定部10に温度要因による放射線量の検出値の変動が起きたものと判定することができる。
【0083】
図2(c)に示すように、後に取得された診断対象値群において、放射線検出器14-1~14-mにより検出された放射線量のそれぞれの平均値は、
図2(a)の基準データ27における放射線量のそれぞれの平均値よりも全体的に低下している。また、放射線検出器14-1~14-mにより検出された放射線量のそれぞれの平均値の大小関係は、
図2(a)の基準データ27における平均値の大小関係とは異なっている。つまり、
図2(c)の例では、放射線検出器14-10により検出された放射線量の平均値が、
図2(a)の基準データ27において放射線検出器14-10により検出された放射線量の平均値に対して大きく低下している。
図2(a)と
図2(c)とを比較した場合、放射線検出器14-10により検出された放射線量の平均値の変動量は、放射線検出器14-10以外の放射線検出器14により検出された放射線量の平均値の変動量よりも大きいことが判る。
【0084】
このように、基準データ27の基準値群と診断対象値群とにおいて、放射線検出器14-1~14-mにより検出された放射線量のそれぞれの平均値の大小関係が変化していた場合には、演算部222は、放射線検出器14により検出された放射線量の変動が温度要因以外の要因で起きたものと判定する。
【0085】
放射線検出器14の放射線量の検出値が変動する他の要因としては、例えば放射線発生器12が備える放射線ビームXRの透過窓、放射線検出器14が備える放射線ビームXRの透過窓等に汚れが付着した場合、放射線ビームXRの照射経路上に異物が混入した場合、放射線発生器12もしくは放射線検出器14の変形または放射線発生器12及び放射線検出器14の相対位置ずれ等により放射線ビームXRの軸ずれが発生した場合等がある。
【0086】
上記のいずれの要因が発生した場合であっても、放射線検出器14-1~14-mのいずれもが、その要因による影響を略同程度受け、放射線検出器14-1~14-mのいずれにおける放射線量の検出値も略同じ量だけ変動するとは考えにくい。これにより、放射線検出器14-1~14-mにおいて検出された放射線量のそれぞれの平均値の大小関係が、基準データ27の基準値群と診断対象値群との間で変化していることに基づいて、演算部222は、厚み測定部10に温度要因以外の要因による放射線量の検出値の変動が起きたものと判定することができる。
【0087】
入出力装置30は、ユーザによって厚み測定装置1の診断結果の送信要求が入力されると、厚み測定装置1の診断結果の送信を要求する要求信号RCを情報処理装置20へと送信する。情報処理装置20は、要求信号RCを受信すると、厚み測定部10に放射線量の検出値の変動が起きていること、検出値の変動が温度要因で起きていること、または検出値の変動が温度要因以外の要因で起きていること等の厚み測定装置1についての診断結果を、診断値信号DH、判定信号TH,OH等に変換して、入出力装置30へと送信する。
【0088】
入出力装置30は、情報処理装置20から厚み測定装置1についての診断結果を取得する。また、入出力装置30は、取得した診断値信号DH、判定信号TH,OH等に基づいて診断結果をユーザに対して出力するとともに記憶部360に格納する。入出力装置30は、厚み測定装置1の診断結果を文字情報等でモニタに表示すること等によりユーザに提示する。
【0089】
(厚み測定装置の較正動作例)
次に、引き続き
図1を用いて、実施形態の厚み測定装置1の較正動作の例について説明する。
【0090】
情報処理装置20は、厚み測定部10に温度要因による放射線量の検出値の変動が起きていると判定すると、厚み測定部10に較正動作を行わせる。すなわち、情報処理装置20の制御部221は、較正パラメータ28cを参照して、厚み測定部10に較正動作を行わせる制御信号CG,CC等の指令を生成し、厚み測定部10へ送信する。
【0091】
厚み測定部10の各部は、情報処理装置20からの指令にしたがって較正動作を行う。
【0092】
すなわち、標準試料チェンジャ13は、複数の標準試料を順次、放射線ビームXRの照射経路上に挿入する。個々の標準試料に対しては以下の処理が適宜、繰り返される。
【0093】
放射線発生器12は、例えば100msec周期等の所定周期で、例えば1sec間等の所定期間、所定の標準試料に放射線ビームXRを照射する。放射線検出器14は、標準試料を透過してきた放射線ビームXRの放射線量を検出する。また、放射線検出器14は、それぞれの標準試料を透過して検出された放射線量を含む検出信号DDを生成する。
【0094】
情報処理装置20は、厚み測定部10から検出信号DDを取得する。また、情報処理装置20の演算部222は、検出信号DDに基づいて厚み測定部10の較正を行う。具体的には、情報処理装置20は、例えば放射線検出器14-1~14-mのそれぞれにより検出された放射線量の平均値および標準偏差を算出し、それぞれの平均値を平滑に結んだ検量線を生成する。これ以降、測定対象物17の板厚測定の際には、厚み測定部10により検出された放射線量を上記の検量線に当てはめることで、温度要因による放射線量の検出値の変動を補正しつつ測定対象物17の板厚を算出することができる。ただし、標準試料を用いた厚み測定部10の較正手法はこれに限られず、種々の手法を選択的に採用することができる。
【0095】
入出力装置30は、ユーザによって厚み測定装置1の較正結果の送信要求が入力されると、厚み測定装置1の較正結果の送信を要求する要求信号RCを情報処理装置20へと送信する。情報処理装置20は、要求信号RCを受信すると、生成した検量線等を含む較正結果を較正値信号CHに変換して、入出力装置30へと送信する。
【0096】
入出力装置30は、情報処理装置20から較正値信号CHを取得すると、較正値信号CHに基づく較正結果をユーザに対して出力するとともに記憶部360に格納する。
【0097】
(厚み測定装置の診断処理例)
次に、
図3を用いて、実施形態の厚み測定装置1の診断処理の例について説明する。
図3は、実施形態にかかる厚み測定装置1の診断処理の手順の一例を示すフロー図である。
【0098】
図3に示すように、新規に設置され、または、電断されていた厚み測定装置1が起動されるなどして、放射線発生器12及び放射線検出器14の少なくともいずれかが起動すると(ステップS101)、制御部221は、これらが起動されてから第2の時間が経過したか否かを判定する(ステップS102)。第2の時間が経過していなかったときは(ステップS102:No)、制御部221は、第2の時間が経過するまで待機する。
【0099】
第2の時間が経過していたときは(ステップS102:Yes)、制御部221は、測定対象物センサ15からの信号を取得する。第2の時間は起動後の放射線発生器12または放射線検出器14が稼働状態となるまでに要する時間であるため、このとき、測定対象物17の板厚測定はまだ開始されておらず、測定対象物センサ15からは、測定対象物17が厚み測定部10内の測定位置に存在していないことを示す非検出信号NSが発せられる。
【0100】
制御部221は、測定対象物センサ15から非検出信号NSを取得すると(ステップS103)、基準値の算出に用いる検出値データを複数の放射線検出器14から取得する。
【0101】
すなわち、制御部221による制御にしたがって、放射線発生器12は、放射線ビームXRを照射し(ステップS104)、複数の放射線検出器14は、測定対象物17を透過することなく到達した放射線ビームXRの放射線量をそれぞれ検出する(ステップS105)。
【0102】
ステップS104~S105の処理は第1の期間としての所定期間に亘って所定の周期で繰り返され、それぞれの放射線検出器14が複数回に亘って放射線量を検出する。
【0103】
演算部222は、放射線検出器14-1~14-mごとに、第1の統計値(基準値)としての平均値を算出する(ステップS106)。より具体的には、C番目の放射線検出器14において、所定周期で所定期間に亘ってn回検出された放射線量の平均値を求める場合には、演算部222は、第1の算出手法として以下の式(1)を用いる。
【0104】
【0105】
つまり、例えば上述のように、100msecで1secの間、放射線量を測定したとすればn=10回である。
【0106】
演算部222は、これらの複数の平均値(基準値群)を基準データ27として記憶部260に格納する(ステップS107)基準値群の生成後、厚み測定装置1は測定対象物17の板厚測定を開始する(ステップS108)。
【0107】
演算部222は、基準値を算出するための検出値データを取得してから、つまり、ステップS104~S105の処理が行われてから、第3の時間が経過したか否かを検知する(ステップS109)。このとき、例えばステップS104~S105における放射線ビームXRの照射周期が100msecである場合、この100msec周期を単位として第3の時間を100msec×l(lは1以上の整数)などと規定する。
【0108】
基準値を算出するための検出値データを取得してから第3の時間が経過していた場合には(ステップS109:Yes)、制御部221は、測定対象物センサ15の信号を取得し(ステップS110)、その信号が、測定対象物17が非検出であったことを示す非検出信号NSであった場合(ステップS111:Yes)、次の処理へと進む。
【0109】
なお、ステップS109またはステップS111の条件を満たしていない場合(ステップS109:No、またはステップS111:No)、情報処理装置20は、ステップS109、S111の条件が共に満たされるまで待機する。
【0110】
情報処理装置20は、基準値算出のための検出値データを取得してから所定時間が経過し、測定対象物センサ15から非検出信号NSが発信されると、診断対象値の算出に用いる検出値データを複数の放射線検出器14から取得する。
【0111】
すなわち、制御部221による制御にしたがって、放射線発生器12は、放射線ビームXRを照射し(ステップS112)、複数の放射線検出器14は、測定対象物17を透過することなく到達した放射線ビームXRの放射線量をそれぞれ検出する(ステップS113)。
【0112】
ステップS112~S113の処理は第2の期間としての所定期間に亘って所定の周期で繰り返され、それぞれの放射線検出器14が複数回に亘って放射線量を検出する。
【0113】
演算部222は、放射線検出器14-1~14-mごとに、第2の統計値(診断対象値)としての平均値を算出する(ステップS114)。より具体的には、C番目の放射線検出器14において、所定周期で所定期間に亘ってn回検出された放射線量の平均値を求める場合には、演算部222は、上述の第1の算出手法と同様の手法として以下の式(2)を用いる。
【0114】
【0115】
つまり、例えば上述のように、100msecで1secの間、放射線量を測定したとすればn=10回である。
【0116】
演算部222は、記憶部260の基準データ27を参照し、基準データ27の基準値と、ステップS114の処理で算出した診断対象値とを放射線検出器14-1~14-mごとに比較する(ステップS115)。
【0117】
演算部222は、基準データ27のいずれかの放射線検出器14により検出された放射線量の平均値に対して、診断データの対応する放射線検出器14により検出された放射線量の平均値が所定の閾値αを超えて変動しているか否かを判定する(ステップS116)。より具体的には、C番目の放射線検出器14についての変動量の上記判定は以下の式(3)に基づいて行うことができる。
【0118】
【0119】
いずれの放射線検出器14-1~14-mにより検出された放射線量の平均値の変動量も閾値α以内であった場合(ステップS116:No)、検出値の変動量は許容範囲内であることを意味する。この場合、情報処理装置20は、以下に説明するステップS117~S119の処理をスキップして、ステップS121以降の処理へ進む。
【0120】
一方、上記の式(3)のように、少なくともいずれかの放射線検出器14により検出された放射線量の平均値の変動量が閾値αを超えていた場合(ステップS116:Yes)検出値の変動量が許容範囲を超えていることを意味する。この場合、演算部222は、記憶部260の基準データ27を参照し、基準データ27における基準値群と、ステップS114の処理で算出された診断対象値群とで、放射線検出器14-1~14-mにおいて検出された放射線量のそれぞれの平均値の大小関係を比較するする(ステップS117)。
【0121】
放射線検出器14-1~14-mにおいて検出された放射線量のそれぞれの平均値の大小関係に変化が生じていなかった場合(ステップS118:Yes)、放射線量の検出値は温度要因により変動していると考えられる。演算部222は、放射線量の検出値の変動が温度要因で起きていることを示す判定信号THを生成する(ステップS119)。
【0122】
演算部222が判定信号THを生成すると、情報処理装置20は、上述のとおり、測定誤差の較正を行う(ステップS120)。
【0123】
その後、厚み測定装置1は測定対象物17の板厚測定を継続する(ステップS121)。制御部221は、測定対象物17の板厚測定が断続的に行われるなどして、最後に測定が行われてから第1の時間が経過したか否かを判定する(ステップS122)。
【0124】
測定対象物17の測定後、第1の時間が経過していなければ(ステップS122:No)、情報処理装置20は、ステップS109の処理へと戻って、測定誤差の較正が行われてから、つまり、ステップS120の処理によって較正に用いる検量線を更新してから、次に第3の時間が経過するまで待機する。
【0125】
測定対象物17の測定後、第1の時間が経過していれば(ステップS122:Yes)、情報処理装置20は、ステップS103からの処理へと戻って基準値の再取得を行う。このように、適宜、基準値の更新を行うことで、厚み測定装置1の診断精度を高めることができる。
【0126】
基準データ27における基準値群と、ステップS114の処理で算出された診断対象値群とで、放射線検出器14-1~14-mにおいて検出された放射線量のそれぞれの平均値の大小関係に変化が生じていた場合(ステップS118:No)、放射線量の検出値が温度要因以外の要因により変動していると考えられる。演算部222は、放射線量の検出値の変動が温度要因以外の要因で起きていることを示す判定信号OHを生成する(ステップS123)。
【0127】
判定信号OHが更に入出力装置30に出力され、入出力装置30によって、温度要因以外の要因で放射線量の検出値の変動が起きていることがユーザに示されると、ユーザは、推測される要因に基づいて、厚み測定装置1を電断するなどして放射線発生器12及び放射線検出器14の少なくともいずれかの保守作業を開始するはずである。よって、ステップS123の処理後、情報処理装置20は一連の処理を終了させる。
【0128】
以上により、実施形態の厚み測定装置1の診断処理が終了する。
【0129】
(比較例)
次に、比較例の厚み測定装置について説明する。上述のように、厚み測定装置において連続的に板厚測定を実施すると、厚み測定装置内の温度上昇によって放射線量の検出値が変動してしまう場合がある。比較例の厚み測定装置によれば、例えば標準試料を用いて定期的に較正を行って温度要因による検出値の変動を補正し、板厚の測定精度の維持を図る。
【0130】
しかしながら、比較例の厚み測定装置では、較正を行ったタイミングでしか、放射線量の検出値が変動しているか否かを検知することができない。このため、例えば1回の較正から次回の較正までの期間が短すぎると、不必要に較正回数が増加してしまい、厚み測定装置のダウンタイムが増大してしまうおそれがある。一方で、1回の較正から次回の較正までの期間が長すぎると、温度要因による放射線量の検出値の変動が生じているにも拘わらず補正がなされないまま板厚が算出されてしまい、測定精度が低下してしまうおそれがある。
【0131】
実施形態の厚み測定装置1によれば、複数の放射線検出器14-1~14-mにおける放射線量のそれぞれの平均値の大小関係が、基準値群と診断対象値群とで変化することなく全体的に変動していた場合には、検出値の変動が温度要因によって起きていると判定する。これにより、較正を行うことなく温度要因による放射線量の検出値の変動を検出することができ、また、較正のタイミングの適正化を図ることができる。
【0132】
実施形態の厚み測定装置1によれば、複数の放射線検出器14-1~14-mにおける放射線量の大小関係が、基準値群と診断対象値群とで変化していた場合には、検出値の変動が温度要因ではない要因で起きていると判定する。これにより、温度要因による変動と他の要因による変動とを判別することができ、ユーザに適正な対応を促すことができる。
【0133】
実施形態の厚み測定装置1によれば、後に取得した診断値群に温度要因による変動が起きていると判定すると、標準試料を介して検出された放射線量に基づいて測定誤差の較正を行う。これにより、適正なタイミングで較正を行うことができ、例えば厚み測定装置1のダウンタイムを低減したり、測定対象物17の板厚測定精度を高めたりすることができる。
【0134】
実施形態の厚み測定装置1によれば、測定対象物17が測定位置に存在しない状態になると、厚み測定部10に診断動作を行わせる。これにより、較正のタイミングを待つことなく厚み測定装置1の状態を監視することができる。また、連続的に実施される測定対象物17の板厚測定の合間を縫って自律的に診断を行うことができる。
【0135】
(その他の実施形態)
上述の実施形態では、厚み測定装置1は、測定対象物17として鋼板の板厚を測定可能であることとした。しかし、厚み測定装置1は、鋼板以外にも、例えば鉄板、銅板、アルミ板、または鋼板以外の合金板等の測定対象物の板厚を測定可能であってよい。
【0136】
上述の実施形態では、厚み測定装置1は、放射線ビームXRとしてX線ビームを照射することとした。しかし、放射線発生器12が照射する放射線ビームXRは、少なくとも一部が測定対象物17を透過可能な放射線ビームであればよく、X線以外のγ線等のビームであってもよい。
【0137】
上述の実施形態では、厚み測定装置1は、測定対象物17の検出時に検出信号DSを発し、測定対象物17の非検出時に非検出信号NSを発する測定対象物センサ15を備えることとした。しかし、測定対象物センサ15は、例えば測定対象物17の検出時にのみ所定の信号を発するように構成されていてもよい。この場合、上記の所定信号が発信されていない間は、測定位置に測定対象物17が存在しないことを意味する。
【0138】
上述の実施形態では、厚み測定部10の診断を行うにあたり、情報処理装置20は、予め取得済みの基準値および後に取得された診断対象値として、放射線検出器14-1~14-mのそれぞれにより検出された放射線量の平均値を用いることとした。しかし、情報処理装置20は、基準値および診断対象値として、放射線検出器14-1~14-mのそれぞれにより検出された放射線量の最大値、または最小値を用いて厚み測定部10の診断を行ってもよい。または、情報処理装置20は、基準値および診断対象値として、放射線検出器14-1~14-mのそれぞれにより検出された放射線量の平均値、最大値、または最小値の幾つかの組み合わせ、あるいは全ての組み合わせに基づいて厚み測定部10の診断を行ってもよい。
【0139】
上述の実施形態では、情報処理装置20が厚み測定部10に温度要因による放射線量の検出値の変動が起きていると判定した場合に上記の較正を行うこととしたが、厚み測定部10の較正は、上記以外の他のタイミングでも行ってよい。他のタイミングとしては、例えば最後に行われた較正処理から所定時間が経過した後、連続して所定時間以上の間、板厚測定を行った後などとすることができる。
【0140】
上述の実施形態では、情報処理装置20が、CPU22、ROM23、RAM24等を備えるコンピュータとして構成されることとした。しかし、情報処理装置20が、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定用途向け回路を備えて構成されていてもよい。
【0141】
上述の実施形態では、情報処理装置20は、厚み測定部10の各部を制御する制御部221としての機能の他、厚み測定部10により取得された放射線量から平均値等を算出し、測定対象物17の板厚を特定し、厚み測定部10の診断に関する判定を行い、また、厚み測定部10の較正を行う等の演算部222としての機能も備えることとした。しかし、演算部222としての情報処理装置20の機能が、情報処理装置20とは異なる別のコンピュータ等により実現されてもよい。
【0142】
このように、厚み測定装置1においては、厚み測定部10の各部を制御する機能と各種演算を行う機能とが、1つの情報処理装置内に実現されていてもよく、または、これらの機能が互いに独立した機器として実現されていてもよい。
【0143】
上述の実施形態では、情報処理装置20は、厚み測定部10の筐体11内に格納されていることとしたがこれに限られない。情報処理装置20の一部の構成または全部の構成が、厚み測定部10から離れた位置に設置されて厚み測定部10を遠隔制御可能であってもよい。
【0144】
上述の実施形態では、入出力装置30が、CPU31等を備えるコンピュータとして構成されていることとした。しかし、入出力装置30が、CPU31に替えて、あるいは加えて、GPU(Graphics Processing Unit)等を備えていてもよい。また、情報処理装置20と入出力装置30とが、1つのコンピュータ等として一体に構成されていてもよい。
【0145】
上述の実施形態では、入出力装置30は、モニタを備え、厚み測定装置1からの各種データをユーザに対して出力可能に構成されていることとした。しかし、各種情報をユーザに対して出力可能なように、入出力装置30が、モニタに加え、あるいは替えて、プリンタ、スピーカ、警告灯、その他の出力機器を備えていてもよい。
【0146】
上記の場合において、入出力装置30は、厚み測定装置1の診断結果を文字情報等でモニタに表示し、または、プリンタからプリントアウトすることができる。また、入出力装置30は、厚み測定装置1の診断結果を音声または警告音等でスピーカから出力することができる。また、入出力装置30は、警告灯を点灯または点滅させるなどして、厚み測定装置1の診断結果をユーザに報知することができる。その他、ユーザに診断結果の通知が可能であれば、入出力装置30は如何なる態様で診断結果を出力してもよい。
【0147】
上述の実施形態の厚み測定装置1で実行されるプログラムは、情報処理装置20のROM等にあらかじめ組み込まれて提供されることとした。しかし、上記のプログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルで、CD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供されてもよい。
【0148】
あるいは、上記プログラムが、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータに格納され、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供されてもよい。また、上記プログラムがインターネット等のネットワーク経由で提供または配布されてもよい。
【0149】
実施形態の厚み測定装置1で実行されるプログラムは、上述した各機能部を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはプロセッサの一例であるCPU22がROMからプログラムを読み出して実行することにより上記各機能部が主記憶装置(例えばRAM)上にロードされて、主記憶装置上に生成されるようになっている。
【0150】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0151】
1 厚み測定装置
10 厚み測定部
11 筐体
12 放射線発生器
13 標準試料チェンジャ
14 放射線検出器
15 測定対象物センサ
17 測定対象物
20 情報処理装置
30 入出力装置
221 制御部
222 演算部
260 記憶部
XR 放射線ビーム