(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022190534
(43)【公開日】2022-12-26
(54)【発明の名称】在宅率予測システム、および在宅率予測情報生成方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/08 20120101AFI20221219BHJP
【FI】
G06Q10/08 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021098902
(22)【出願日】2021-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】000198363
【氏名又は名称】IHI運搬機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 博美
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 公基
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA16
(57)【要約】
【課題】 車両を所有する居住者の在宅率を精度良く予測することが可能な、在宅率予測システム、および在宅率予測情報生成方法を提供する。
【解決手段】 駐車場の駐車スペースごとの車両の入出庫情報を取得する入出庫情報取得部と、駐車場の利用者の住居ごと、駐車場の利用形態に基づいて分類される日種別ごと、および所定の時間帯ごとに予め設定された、在宅率の予測値の初期値を保持し、入出庫情報取得部で取得された情報に基づいて、いずれかの駐車スペースに車両が入庫したことを検知すると、登録された情報に基づいて当該駐車スペースの使用権限を有する利用者を特定し、該当する利用者の住居に関する、該当する日種別の当該車両の入庫を検知した以降の時間帯の在宅率の予測値を、検知してからの経過時間が短い程、高い値になるように一時的に上げる在宅率予測情報処理部とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駐車場の駐車スペースごとに設定された、使用権限を有する利用者の識別情報と、前記利用者の住所情報と、前記利用者が所有する車両の識別情報とを対応づけて登録する登録情報データベースと、
前記駐車場の駐車スペースごとの車両の入出庫情報を取得する入出庫情報取得部と、
前記利用者の住居ごと、駐車場の利用形態に基づいて分類される日種別ごと、および所定の時間帯ごとに予め設定された、在宅率の予測値の初期値を保持し、前記入出庫情報取得部で取得された情報に基づいて、いずれかの前記駐車スペースに車両が入庫したことを検知すると、前記登録情報データベースに記憶された情報に基づいて当該駐車スペースの使用権限を有する利用者を特定し、該当する利用者の住居に関する、該当する日種別の当該車両の入庫を検知した以降の時間帯の在宅率の予測値を、検知してからの経過時間が短い程、高い値になるように一時的に上げる在宅率予測情報処理部と、
を備えることを特徴とする在宅率予測システム。
【請求項2】
前記在宅率予測情報処理部は、前記入出庫情報取得部で取得された情報に基づいて、いずれかの前記駐車スペースから車両が出庫したことを検知すると、該当する利用者の住居に関する、該当する日種別および時間帯の在宅率の予測値を下げる
ことを特徴とする請求項1に記載の在宅率予測システム。
【請求項3】
前記登録情報データベースは、前記利用者ごとの生活習慣に関する情報、および前記利用者ごとの所有する車両の車種の情報を記憶し、
前記在宅率予測情報処理部は、前記利用者ごとの生活習慣に関する情報、および所有する車両の車種の情報に基づいて、該当する利用者の住居に関する前記在宅率の予測値を補正する
ことを特徴とする請求項1に記載の在宅率予測システム。
【請求項4】
物流業者が実行した、前記利用者の住居ごと、日種別ごと、および時間帯ごとの配達業務に関する情報を取得する配達情報取得部をさらに備え、
前記在宅率予測情報処理部は、前記配達情報取得部で取得した情報に基づいて、該当する利用者の住居に関する、該当する日種別および時間帯の在宅率の予測値を更新する
ことを特徴とする請求項1~3いずれか1項に記載の在宅率予測システム。
【請求項5】
前記配達情報取得部は、前記配達業務の情報として、該当する住居の在宅または不在の情報を取得し、
前記在宅率予測情報処理部は、前記配達情報取得部で取得した情報に基づいて、該当する住居の在宅の情報が多い程、該当する時間帯の在宅率の予測値を上げ、不在の情報が多い程、該当する時間帯の在宅率の予測値を下げる
ことを特徴とする請求項4に記載の在宅率予測システム。
【請求項6】
前記配達情報取得部は、前記配達業務の情報として、該当する住居の所定の時間帯ごとの配達回数の情報を取得し、
前記在宅率予測情報処理部は、前記配達情報取得部で取得した情報に基づいて、該当する住居の配達回数が多い程、該当する時間帯の在宅率の予測値を上げる
ことを特徴とする請求項4に記載の在宅率予測システム。
【請求項7】
前記在宅率予測情報処理部は、気象情報または公共交通機関の運行情報を取得し、取得した情報に基づいて所定時間帯の在宅率の予測値を一時的に変更する
ことを特徴とする請求項1~6いずれか1項に記載の在宅率予測システム。
【請求項8】
駐車場の駐車スペースごとに設定された、使用権限を有する利用者の識別情報と、前記利用者の住所情報と、前記利用者が所有する車両の識別情報とを対応づけて登録する登録情報データベースと、
前記駐車場の駐車スペースごとの車両の入出庫情報を取得する入出庫情報取得部とを備えた在宅率予測情報生成装置が、
前記利用者の住居ごと、駐車場の利用形態に基づいて分類される日種別ごと、および所定の時間帯ごとに予め設定された、在宅率の予測値の初期値を保持し、前記入出庫情報取得部で取得された情報に基づいて、いずれかの前記駐車スペースに車両が入庫したことを検知すると、前記登録情報データベースに記憶された情報に基づいて当該駐車スペースの使用権限を有する利用者を特定し、該当する利用者の住居に関する、該当する日種別の当該車両の入庫を検知した以降の時間帯の在宅率の予測値を、検知してからの経過時間が短い程、高い値になるように一時的に上げる
ことを特徴とする在宅率予測情報生成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、在宅率予測システム、および在宅率予測情報生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、物流業者が個人の住居に荷物の配送を行うときに、過去の経験から曜日や時間帯で居住者の在宅率を予測し、在宅率の高いときを狙って配送業務を行う場合がある。
【0003】
また、マンション等の集合住居においては、機械式駐車場への車両の入出庫情報と駐車場の契約情報とを紐づけた情報を管理している場合がある。この情報を物流業者に提供することで、物流業者が各住居の居住者の在宅/不在状況を精度良く予測し、在宅の可能性が高い(車両が駐車場に格納されている)住居に対して優先的に荷物の配達を行うことができる。また、物流業者は、居住者の在宅の可能性が低い(車両が駐車場に格納されていない)住居に対しては当該時間帯に荷物の配達を行わないようにすることで、再配達物の発生を抑えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、居住者が車両を使用していて駐車場に格納されていなくても、該当する住居内で他の居住者(家族)が在宅している場合や、駐車場に車両が格納されていても、車両を使用せずに当該住居の居住者全員が外出している場合もあり、駐車場への車両の入出庫情報のみでは在宅率を精度良く予測することが困難であるという問題があった。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、車両を所有する居住者の在宅率を精度良く予測することが可能な、在宅率予測システム、および在宅率予測情報生成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明の在宅率予測システムは、駐車場の駐車スペースごとに設定された、使用権限を有する利用者の識別情報と、前記利用者の住所情報と、前記利用者が所有する車両の識別情報とを対応づけて登録する登録情報データベースと、前記駐車場の駐車スペースごとの車両の入出庫情報を取得する入出庫情報取得部と、前記利用者の住居ごと、駐車場の利用形態に基づいて分類される日種別ごと、および所定の時間帯ごとに予め設定された、在宅率の予測値の初期値を保持し、前記入出庫情報取得部で取得された情報に基づいて、いずれかの前記駐車スペースに車両が入庫したことを検知すると、前記登録情報データベースに記憶された情報に基づいて当該駐車スペースの使用権限を有する利用者を特定し、該当する利用者の住居に関する、該当する日種別の当該車両の入庫を検知した以降の時間帯の在宅率の予測値を、検知してからの経過時間が短い程、高い値になるように一時的に上げる在宅率予測情報処理部とを備える。
【0008】
また、本発明の在宅率予測情報生成方法は、駐車場の駐車スペースごとに設定された、使用権限を有する利用者の識別情報と、前記利用者の住所情報と、前記利用者が所有する車両の識別情報とを対応づけて登録する登録情報データベースと、前記駐車場の駐車スペースごとの車両の入出庫情報を取得する入出庫情報取得部とを備えた在宅率予測情報生成装置が、前記利用者の住居ごと、駐車場の利用形態に基づいて分類される日種別ごと、および所定の時間帯ごとに予め設定された、在宅率の予測値の初期値を保持し、前記入出庫情報取得部で取得された情報に基づいて、いずれかの前記駐車スペースに車両が入庫したことを検知すると、前記登録情報データベースに記憶された情報に基づいて当該駐車スペースの使用権限を有する利用者を特定し、該当する利用者の住居に関する、該当する日種別の当該車両の入庫を検知した以降の時間帯の在宅率の予測値を、検知してからの経過時間が短い程、高い値になるように一時的に上げることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の在宅率予測システム、および在宅率予測情報生成方法によれば、車両を所有する居住者の在宅率を精度良く予測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】一実施形態による在宅率予測システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】一実施形態による在宅率予測システムにおいて、駐車場利用契約手続き時に実行する処理を示すフローチャートである。
【
図3】一実施形態による在宅率予測システムにおいて、駐車場管理装置10が保持する在宅率初期データテーブルの一例である。
【
図4】一実施形態による在宅率予測システムにおいて、駐車場管理装置10が生成した在宅率予測データテーブルの一例である。
【
図5】一実施形態による在宅率予測システムにおいて、駐車スペースの利用状況に応じて在宅率予測データテーブルを一時的に変更する処理を示すフローチャートである。
【
図6】一実施形態による在宅率予測システムにおいて、駐車場管理装置10が保持する車種補正テーブルの一例である。
【
図7】一実施形態による在宅率予測システムにおいて、駐車場管理装置10が保持する入庫時補正テーブルの一例である。
【
図8】一実施形態による在宅率予測システムにおいて、駐車場管理装置10が駐車場Pへの車両の入出庫状況に基づいて1日の間で変更した在宅率予測データテーブルの一例である。
【
図9】一実施形態による在宅率予測システムにおいて、駐車場管理装置10が生成した、在宅率予測データテーブル内の変更後の予測値の一日の中における変化を折れ線グラフで示した図である。
【
図10】一実施形態による在宅率予測システムにおいて、駐車場管理装置10が駐車場Pへの車両の入出庫状況に基づいて1日の間で変更した在宅率予測データテーブルの一例である。
【
図11】一実施形態による在宅率予測システムにおいて、駐車場管理装置10が生成した、在宅率予測データテーブル内の予測値の一日の中における変化を折れ線グラフで示した図である。
【
図12】一実施形態による在宅率予測システムにおいて、宅配業者の配達状況に応じて在宅データテーブルを更新する処理を示すフローチャートである。
【
図13】一実施形態による在宅率予測システムにおいて、駐車場管理装置10が保持する重み付け値テーブルの一例である。
【
図14】(a)は、一実施形態による在宅率予測システムにおいて、平日、休日それぞれのAM1時間帯について、該当期間中に発生した配達結果情報に基づく予測補正値を合計した値の例であり、(b)は、同様に、AM2時間帯について、該当期間中に発生した配達結果情報に基づく予測補正値を合計した値の例である。
【
図15】(a)は、一実施形態による在宅率予測システムにおいて、平日、休日それぞれのPM1時間帯について、該当期間中に発生した配達結果情報に基づく予測補正値を合計した値の例であり、(b)は、同様に、PM2時間帯について、該当期間中に発生した配達結果情報に基づく予測補正値を合計した値の例であり、(c)は、同様に、PM3時間帯について、該当期間中に発生した配達結果情報に基づく予測補正値を合計した値の例である。
【
図16】一実施形態による在宅率予測システムにおいて、駐車場管理装置10が生成した配達結果補正値テーブルの一例である。
【
図17】一実施形態による在宅率予測システムにおいて、配達結果補正値テーブルの値により補正された在宅率予測データテーブルの一例である。
【
図18】一実施形態による在宅率予測システムにおいて、PM3時間帯に発生した配達結果情報に基づく予測補正値のうち、同じ結果が5回以上繰り返されたときの値を増加させた例である。
【
図19】一実施形態による在宅率予測システムにおいて、駐車場管理装置10が駐車場Pへの車両の入出庫状況に基づいて1日の間で変更した在宅率の予測値に、配達結果情報による更新を加えた在宅率予測データテーブルの一例である。
【
図20】一実施形態による在宅率予測システムにおいて、駐車場管理装置10が計数した、各時間帯の配達回数の計数値を示す例である。
【
図21】一実施形態による在宅率予測システムにおいて、駐車場管理装置10が算出した、各時間帯の配達回数に基づく予測補正値の例である。
【
図22】一実施形態による在宅率予測システムにおいて、駐車場管理装置10が各時間帯の配達回数に基づいて算出した予測補正値に基づいて補正した在宅率予測データテーブルの一例である。
【
図23】一実施形態による在宅率予測システムにおいて、駐車場管理装置10が生成した、在宅率予測データテーブル内の補正した予測値の一日の中における変化を折れ線グラフで示した図である。
【
図24】一実施形態による在宅率予測システムにおいて、駐車場管理装置10が生成した他の利用者の在宅率予測データテーブルの一例である。
【
図25】一実施形態による在宅率予測システムにおいて、駐車場管理装置10が駐車場Pへの車両の入出庫状況に基づいて1日の間で変更した、他の利用者の在宅率予測データテーブルの一例である。
【
図26】一実施形態による在宅率予測システムにおいて、駐車場管理装置10が生成した、他の利用者の在宅率予測データテーブル内の予測値の一日の中における変化を折れ線グラフで示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
〈一実施形態による在宅率予測システムの構成〉
本発明の一実施形態による在宅率予測システムの構成について、
図1を参照して説明する。本実施形態による在宅率予測システム1はマンション等の集合住宅A内の住居C1、C2、C3・・・ごとの在宅率を予測するシステムであり、駐車場管理装置10と、駐車場管理装置10に接続された宅配業者管理装置20と、宅配業者管理装置20に接続された配達員端末30とを備える。
【0012】
駐車場管理装置10は当該集合住宅Aの駐車場Pに関する情報を管理する装置である。駐車場Pは、複数の駐車スペースQ1、Q2、Q3・・・を有する。
【0013】
宅配業者管理装置20は集合住宅A内の住居に配達物を配達する宅配御者Xが、配達業務に関する情報を管理する装置であり、配達員端末30は宅配業者Xの配達員が携帯する端末である。
図1では説明を簡略化するために配達員端末30を1つのみ示しているが、実際には複数の配達員がそれぞれ携帯する複数の配達員端末が宅配業者管理装置20に接続されている。
【0014】
駐車場管理装置10は、利用者登録処理部11と、登録情報データベース(DB)12と、入出庫情報取得部13と、第1在宅率予測情報処理部14と、第1在宅率予測情報記憶部15と、第1通信部16とを有する。
【0015】
利用者登録処理部11は、駐車場Pの利用を契約した利用者の情報として、利用者の識別情報である顧客IDおよび氏名、住所情報(集合住宅A内の部屋番号)、家族構成、所有する車両の識別情報および車種の情報、契約対象の駐車スペースの識別情報を入力する処理を行う。登録情報DB12は、利用者登録処理部11により入力された利用者の情報を登録する。入出庫情報取得部13は、駐車場Pの駐車スペースQ1、Q2、Q3・・・ごとの車両の入出庫情報を取得する。
【0016】
第1在宅率予測情報処理部14は、住居C1、C2、C3・・・ごと、駐車場の利用形態に基づいて分類される日種別ごと、および所定の時間帯ごとに予め設定された、在宅率の予測値の初期値を格納した在宅率予測データテーブルを生成する。日種別としては、例えば、通勤や通学をする日である「平日」、週末や単日の祝祭日に該当する「休日」、年末年始等の長期連休やイベント開催日、およびそれらの前日等、駐車場の利用形態が特殊な状態になることが予測される「特殊日」などが設定される。本実施形態では、日種別として「平日」および「休日」を設定した場合について説明する。
【0017】
そして第1在宅率予測情報処理部14は、入出庫情報取得部13で取得された情報に基づいて、いずれかの駐車スペースに車両が入庫したことを検知すると、登録情報DB12に記憶された情報に基づいて当該駐車スペースの使用権限を有する利用者を特定する。第1在宅率予測情報処理部14は、該当する利用者の住居に関する、在宅率予測データテーブル内の該当する日種別の当該車両の入庫を検知した以降の時間帯の在宅率の予測値を、検知してからの経過時間が短い程、高い値になるように一時的に上げるように変更し、変更した内容を宅配業者管理装置20に送信する。
【0018】
また第1在宅率予測情報処理部14は、入出庫情報取得部13で取得された情報に基づいて、いずれかの駐車スペースから車両が出庫したことを検知すると、在宅率予測データテーブル内の該当する利用者の住居に関する、該当する日種別および時間帯の在宅率の予測値を下げるように変更し、変更した内容を宅配業者管理装置20に送信する。
【0019】
また第1在宅率予測情報処理部14は、宅配業者管理装置20から取得する配達業務に関する情報に基づいて、生成した在宅率予測データテーブルを更新する。
【0020】
第1在宅率予測情報記憶部15は、第1在宅率予測情報処理部14で生成された在宅率予測データテーブルを記憶する。第1通信部16は、宅配業者管理装置20との情報通信を行う。
【0021】
宅配業者管理装置20は、第2通信部21と、配達情報取得部22と、第2在宅率予測情報処理部23と、第2在宅率予測情報記憶部24とを有する。
【0022】
第2通信部21は、駐車場管理装置10との情報通信を行う。配達情報取得部22は、宅配業者Xの配達員による配達業務実行時に取得された、配達の結果情報である「成功」(該当する住居に居住者が在宅であった場合)または「失敗」(該当する住居に居住者が不在であった場合)を示す情報を、配達員端末30から取得する。
【0023】
第2在宅率予測情報処理部23は、駐車場管理装置10受信した情報を、第2通信部21を介して取得し、第2在宅率予測情報記憶部24に記憶させ、必要に応じて変更または更新する。また第2在宅率予測情報処理部23は、配達情報取得部22で取得した情報を、駐車場管理装置10に送信する。また第2在宅率予測情報処理部23は、配達員端末30からの要求に応じて第2在宅率予測情報記憶部24に記憶した情報を配達員端末30に提供する。
【0024】
〈一実施形態による在宅率予測情報生成装置を用いた在宅率予測システムの動作〉
次に、本実施形態による在宅率予測システム1の動作として、(1) 駐車場利用契約手続き時に実行する処理、(2) 駐車スペースの利用状況に応じて在宅率予測データテーブルを一時的に変更する処理、および(3) 宅配業者の配達状況に応じて在宅データテーブルを更新する処理について、図面を参照して説明する。
【0025】
(1) 駐車場利用契約手続き時に実行する処理
まず、当該集合住宅A内の住居の居住者により、駐車場Pを利用するために新たに利用契約手続きが行われたときに在宅率予測システム1が実行する処理について、
図2のフローチャートを参照して説明する。
【0026】
当該集合住宅A内の住居C1の居住者である利用者Eにより駐車場Pの新たな利用契約手続きが行われると(S1の「YES」)、駐車場管理装置10の利用者登録処理部11が、当該利用者Eの個人情報として、顧客ID、氏名、住所情報(部屋番号)、家族構成(年齢、免許保有情報、職業等)、所有する車両の識別情報および車種の情報、および契約対象の駐車スペースの識別情報である駐車スペースQ1の情報を取得し、登録情報DB12に登録する(S2)。
【0027】
次に、第1在宅率予測情報処理部14が、登録情報DB12に登録された利用者Eに関する情報を取得し、取得した情報に基づいて、当該利用者Eの住居C1に関する日種別ごとおよび時間帯ごとの在宅率の予測値の初期値を格納した、在宅率予測情報としての在宅率予測データテーブルを生成する(S3)。ここで生成する在宅率予測データテーブルは、利用者Eの住居C1の在宅率の予測値に関してベースとなる情報である。
【0028】
第1在宅率予測情報処理部14により実行される、在宅率予測データテーブルの生成処理について説明する。第1在宅率予測情報処理部14は、予め、平日/休日それぞれについて所定の時間帯ごとの在宅率の初期パラメータを設定した、在宅率初期データテーブルを保持している。在宅率初期データテーブルの一例を、
図3に示す。
【0029】
図3の在宅率初期データテーブルでは、平日/休日それぞれについて、時刻7:00~21:00までの間の30分ごとに、人間の一般的な生活パターンに基づいて想定した在宅率の初期パラメータが設定されている。この初期パラメータは、平日は車両を利用せずに時刻7:00頃出勤し、時刻18:00頃に帰宅する人が多いことを想定し、また、休日は外出の際に車両を利用することが多く、該当する駐車スペースに車両が格納されていれば在宅状態である可能性が高いと想定することで、時間帯ごとの在宅率の予測値が80%~20%の範囲で設定されている。
【0030】
第1在宅率予測情報処理部14は、保持している在宅率初期データテーブルをベースとして、登録情報DB12に登録された利用者Eの個人情報、利用者Eの平日/休日ごとの車両の使用頻度の情報、当該集合住宅Aの地域特性情報等に基づいて、利用者Eの在宅率予測データテーブルを生成する。
【0031】
利用者Eの車両の使用頻度の情報は、駐車スペースQ1の利用契約手続き時にアンケートにより利用者Eから取得してもよいし、一定期間の利用者Eの駐車スペースQ1の使用状況を取得し、平日/休日ごとに集計した情報を用いてもよい。
【0032】
また、当該集合住宅Aの地域特性情報は、例えば、当該集合住宅Aから最寄り駅やバス停までの距離または徒歩移動時間が、予め設定された閾値kを超えるか否かを示す情報、公共交通機関の時刻表等である。
【0033】
第1在宅率予測情報処理部14はまず、利用者Eの住居C1が、利用者Eの生活習慣に応じて、以下の属性(i)、属性(ii)のいずれに該当するかを判定する。
【0034】
属性(i)には、居住者が、車両を利用しなくても外出しやすく、通勤には公共交通機関を利用し、車両を使用しているときには不在である可能性が高いことから、該当する駐車スペースに車両が格納されているときには駐車スペースの利用状況と在宅率との関連性が低く、該当する駐車スペースに車両が格納されていないときには駐車スペースの利用状況と在宅率との関連性が高い住居が該当する。
【0035】
また、属性(ii)には、居住者が、外出時によく車両を利用し、通勤にも車両を利用することから、駐車スペースに車両が格納されているか否かに関わらず、駐車スペースの利用状況と在宅率との関連性が高い住居が該当する。
【0036】
第1在宅率予測情報処理部14は、利用者Eの個人情報、利用者Eの平日/休日ごとの車両の使用頻度の情報、当該集合住宅Aの地域特性情報等に基づいて、利用者Eの住居がこれらの属性(i)、(ii)のいずれに該当するかを判断し、該当する属性に利用者Eの住居C1を分類する。
【0037】
例えば、利用者Eのアンケートの回答内容や一定期間の使用状況に基づいて、該当する属性を判断して分類する。または、利用者Eの住居の地域特性情報に基づいて、集合住宅Aが最寄り駅またはバス停までの距離または徒歩移動時間が閾値kを超えるときには、利用者Eの住居を属性(ii)に分類する。また、公共交通機関、例えば電車の時刻表に基づいて、日中(例えば7:00~18:00)の1時間当たりの電車の本数が基準値S以上の場合は、電車利用の可能性が高くなり車両利用の頻度が低くなるため、利用者Eの住居を属性(i)に分類する。
【0038】
このように利用者Eの住居を分類すると、第1在宅率予測情報処理部14は、分類の判定に利用した情報に基づいて在宅率初期データテーブル内の在宅率の予測値に補正を加えて、当該利用者Eの住居の在宅率予測データテーブルを生成する。
【0039】
例えば、駐車スペースQ1の利用契約手続き時に利用者Eから取得したアンケートの回答内容や一定期間の使用状況に基づいて、平日/休日それぞれについて、在宅の可能性が高い時間帯の在宅率の予測値を上げ、在宅の可能性が低い時間帯の在宅率の予測値を下げる。
【0040】
その際、属性(i)に分類した住居に関しては、該当する駐車スペースに車両が格納されているときには駐車スペースの利用状況と在宅率との関連性が低いため、在宅率の補正係数を低くする。
【0041】
在宅率初期データテーブル内の値を補正して生成した利用者Eの住居の在宅率予測データテーブルの一例を、
図4に示す。この在宅率予測データテーブルでは、
図3の在宅率初期データテーブルの値よりも、日中を中心に在宅率が低くなるように補正されている。
【0042】
第1在宅率予測情報処理部14は、生成した利用者Eの在宅率予測データテーブルを第1在宅率予測情報記憶部15に記憶させるとともに、第1通信部16を介して宅配業者管理装置20に送信する(S4)。
【0043】
宅配業者管理装置20は、駐車場管理装置10から送信された利用者Eの住居の在宅率予測データテーブルを、第2通信部21を介して受信し、第2在宅率予測情報処理部23が第2在宅率予測情報記憶部24に記憶する(S5)。
【0044】
(2) 駐車スペースの利用状況に応じて在宅率予測データテーブルを一時的に変更する処理
次に、利用者Eが利用契約した駐車スペースQ1の利用状況に応じて利用者Eの住居の在宅率予測データテーブルを一時的に変更する処理について、
図5のフローチャートを参照して説明する。
【0045】
第1在宅率予測情報処理部14は、駐車場Pの駐車スペースQ1、Q2、Q3・・・において車両の入出庫が発生する都度、入出庫情報取得部13を介して当該入出庫情報を取得する。そして、第1在宅率予測情報処理部14は、駐車スペースQ1の入出庫情報を取得すると(S11の「YES」)、第1在宅率予測情報記憶部15に記憶されている利用者Eの住居C1に関する在宅率予測データテーブルを一時的に変更する(S12)。
【0046】
利用者Eの住居の在宅率予測データテーブルを一時的に変更する処理について説明する。第1在宅率予測情報処理部14は、車両が該当する駐車スペースにないとき(空車状態のとき)には該当する住居の在宅の可能性が低下するため、在宅率予測データテーブル内の該当する時間帯の予測値を所定の割合で下げる。
【0047】
ここで第1在宅率予測情報処理部14は、予め、車両が該当する駐車スペースにないときに該当する予測値を下げるための補正係数(出庫時補正係数)の初期値「0.5」を保持している。また、この出庫時補正係数を、車両の車種によってさらに調整するための補正係数(車種別補正係数)を格納した車種補正テーブルを保持している。
【0048】
車種補正テーブルの一例を、
図6に示す。
図6の車種補正テーブルには、クーペ、小型車、軽自動車は乗車人数が1~2人であり、単身者または少人数の世帯で保有している可能性が高く、当該車両が駐車スペースに車両がないときには該当する住居の在宅率が低いと予測して、これらの車種別補正係数は「0.8」が格納されている。また、セダンは3人以上の家族世帯で保有している可能性が高く、当該車両が駐車スペースに車両がなくても該当する住居に家族が在宅している可能性があると予測して、セダンの車種別補正係数は「1」が格納されている。また、ワゴン、ワンボックス、スポーツ・ユーティリティ・ビークル(SUV;Sport Utility Vehicle)は、大人数の家族世帯で保有している可能性が高く、平日は駐車スペースに当該車両がなくても該当する住居に家族が在宅している可能性があると予測して、該当する車両の平日の車種別補正係数は「1」が格納されている。また、ワゴン、ワンボックス、SUVは、休日は駐車スペースに該当する車両がない場合には該当する住居の在宅率が低いと予測して、該当する車両の休日の車種別補正係数は「0.8」が格納されている。
【0049】
また第1在宅率予測情報処理部14は、車両が該当する駐車スペースに入庫したときに、入庫から所定時間、予測値を上げるための補正係数(入庫時補正係数)を格納した入庫時補正テーブルを保持している。
【0050】
入庫時補正テーブルの一例を、
図7に示す。
図7の入庫時補正テーブルには、入庫から30分ごとに3時間後までの予測値に対する加算値が格納されており、入庫時の加算値「0%」、入庫時から入庫後0.5時間後まで時間帯の加算値「90%」、入庫後0.5時間から1.0時間までの時間帯の加算値「75%」、入庫後1.0時間から1.5時間までの時間帯の加算値「60%」、入庫後1.5時間から2.0時間までの時間帯の加算値「45%」、入庫後2.0時間から2.5時間までの時間帯の加算値「30%」、入庫後2.5時間から3.0時間までの時間帯の加算値「15%」が格納されている。
【0051】
第1在宅率予測情報処理部14は、いずれかの車両スペースに関する入出庫情報を取得する都度、これらの出庫時補正係数、車種補正テーブル、および入庫時補正テーブルを用いて、第1在宅率予測情報記憶部15に記憶された在宅率予測データテーブル内の該当する時間帯の在宅率の予測値を変更する。
【0052】
例えば、第1在宅率予測情報処理部14は、平日の時刻9:30に駐車スペースQ1の車両が出庫したことを検知すると、登録情報DB12に記憶された情報に基づいて当該駐車スペースQ1の使用権限を有する利用者Eを特定し、当該利用者Eの住居C1に関する、平日の当該出庫を検知した時刻に該当する時間帯の在宅率の予測値を、出庫時補正係数および車種補正テーブルに基づいて変更する。その後、当該駐車スペースQ1に車両が入庫するまでの間、該当する時間帯の在宅率の予測値は、出庫を検知したときに変更した値が維持される。
【0053】
また第1在宅率予測情報処理部14は、平日の時刻13:00に駐車スペースQ1に車両が入庫したことを検知すると、当該利用者Eの住居C1に関する、平日の当該入庫を検知してから3時間に該当する時刻13:00~16:00の時間帯の在宅率の予測値を、入庫時補正テーブルの値に基づいて変更する。第1在宅率予測情報処理部14は、車両の入出庫による予測値の変更の都度、変更後の在宅率予測データテーブルを、第1通信部16を介して宅配業者管理装置20に送信する(S12)。
【0054】
宅配業者管理装置20は、駐車場管理装置10から送信された変更後の利用者Eの住居の在宅率予測データテーブルを、第2通信部21を介して受信し、第2在宅率予測情報処理部23が受信した情報に基づいて第2在宅率予測情報記憶部24に記憶している利用者Eの在宅率予測データテーブルを更新する(S13)。ステップS11~S13の処理は、日付が変わるまで繰り返される(S14の「NO」)。
【0055】
第1在宅率予測情報処理部14が、平日および休日にそれぞれについて、駐車場Pへの車両の入出庫状況に基づいて1日の間で変更した在宅率予測データテーブルの例を、
図8に示す。
【0056】
図8の在宅率予測データテーブルは、利用者Eの車両が、平日の時刻9:30に出庫して時刻13:00に入庫した日、および、休日の時刻14:00に出庫して時刻17:00に入庫した日の在宅率の予測値を示している。
【0057】
ここで、利用者Eの車両はセダンであり、出庫時補正係数は初期値「0.5」がそのまま用いられ、駐車スペースQ1が空車状態になっている平日の時刻9:30~13:00の時間帯、および休日の時刻14:00~17:00の時間帯は、
図4の在宅率予測データテーブル内の各予測値に0.5を乗じた値に変更されている。
【0058】
また、車両が入庫した平日の時刻13:00から3時間後まで、および休日の時刻17:00から3時間後までの時間帯の予測値は、
図4の在宅率予測データテーブル内の各予測値に、時間帯ごとに該当する加算値が加算された値(ただし、最高値は100%とする)に変更されている。
【0059】
具体的には、平日の時刻13:00~13:30の時間帯は、
図4の在宅率予測データテーブル内の各予測値「15%」に、入庫時から入庫後0.5時間後まで時間帯の加算値「90%」が加算され、在宅率の予測値は最高値の「100%」に変更されている。同様にして、平日の時刻13:30~14:00の時間帯は予測値「90%」、時刻14:00~14:30の時間帯は予測値「75%」、時刻14:30~15:00の時間帯は予測値「60%」、時刻15:00~15:30の時間帯は予測値「45%」、時刻15:30~16:00の時間帯は予測値「30%」に変更されている。
【0060】
また、休日の時刻17:00~17:30の時間帯、時刻17:30~18:00の時間帯、時刻18:00~18:30の時間帯は、時刻18:30~19:00の時間帯は、在宅率の予測値は最高値の「100%」に変更され、時刻19:00~19:30の時間帯は予測値「95%」、時刻19:30~20:00の時間帯は予測値「83%」に変更されている。
【0061】
宅配業者Xの配達員が配達業務中に、配達員端末30において宅配業者管理装置20に所望の利用者の在宅率の予測値を要求する操作を行うと、第2在宅率予測情報処理部23が該当する利用者の在宅率の予測値を第2在宅率予測情報記憶部24から取得して配達員端末30に提供する。配達員は、上述したように適宜変更された最新の在宅率の予測値を取得することで、効率よく配達業務を行うことができる。
【0062】
第2在宅率予測情報処理部23は、配達員端末30に在宅率の予測値の情報を提供する際に、
図9に示すように、在宅率予測データテーブル内の平日および休日それぞれの時間帯ごとの予測値に関し、一日の中における時間経過に伴う変化を折れ線グラフで示した図を付加してもよい。グラフ内の実線は平日の予測値の変化を示し、点線は休日の予測値の変化を示す。
【0063】
また、
図10の在宅率予測データテーブルは、利用者Eの車両が、平日の時刻9:30に出庫して時刻17:00に入庫した日、および、休日の時刻10:00に出庫して時刻15:00に入庫した日の在宅率の予測値を示している。また、
図11は、
図10のように変更された在宅率予測データテーブル内の平日および休日それぞれの時間帯ごとの予測値を折れ線グラフで示した図である。グラフ内の実線は平日の予測値の変化を示し、点線は休日の予測値の変化を示す。
【0064】
図9と
図11とを比べると、同一の
図4の在宅率予測データテーブルに基づいて同一の変更方法により在宅率の予測値を変更しても、出庫および入庫の時刻が異なると予測値の変化(折れ線の傾き)が異なっている。例えば、
図4の在宅率予測データテーブルにおいて在宅率が高い時間帯に車両が入庫した場合には、その後出かける可能性が低く、入庫してからの時間経過により加算値が減少しても予測値は大きく減少しない。
【0065】
その後、第1在宅率予測情報処理部14は、日付が変わったことを検知すると(S14の「YES」)、第1在宅率予測情報記憶部15に記憶した在宅率予測データテーブル内の当該1日の間に変更した在宅率予測データテーブル内の値を、入出庫情報に基づいて変更する前の状態、つまり
図4に示す値に戻し、第1通信部16を介して宅配業者管理装置20に送信する(S15)。
【0066】
宅配業者管理装置20は、駐車場管理装置10から送信された変更後の利用者Eの住居の在宅率予測データテーブルを、第2通信部21を介して受信し、第2在宅率予測情報処理部23が第2在宅率予測情報記憶部24に記憶している利用者Eの在宅率予測データテーブルを更新する(S16)。
【0067】
(3) 宅配業者Xの配達状況に応じて実行する在宅データテーブルの更新処理
次に、宅配業者Xの配達状況に応じて利用者Eの住居の在宅率予測データテーブルを更新する処理について、
図12のフローチャートを参照して説明する。
【0068】
本実施形態において、宅配業者の配達員は、配達業務を行う都度、配達先の住居に関する配達結果情報として「成功」(該当する住居に在宅者がいた場合)または「失敗」(該当する住居が不在であった場合)を示す情報を、配達員端末30から宅配業者管理装置20に送信する。宅配業者管理装置20は、配達員端末30から送信された配達結果情報を配達情報取得部22が取得する。
【0069】
配達情報取得部22は、配達結果情報を取得すると(S21の「YES」)、第2在宅率予測情報処理部23が、取得した情報を、第2通信部21を介して駐車場管理装置10に送信する(S22)。
【0070】
駐車場管理装置10では、宅配業者管理装置20から送信された配達結果情報を第1在宅率予測情報処理部14が取得する。第1在宅率予測情報処理部14は、取得した配達結果情報に基づいて、第1在宅率予測情報記憶部15に記憶されている利用者Eの住居に関する、該当する日種別(平日/休日)、時間帯の在宅率予測データテーブルを、例えば日付が変わったタイミングで更新する。この在宅率予測データテーブルは、上記(2)の処理による一時的な予測値の変更が加えられていない状態のものである。
【0071】
利用者Eの住居の在宅率予測データテーブルを更新する処理について説明する。第1在宅率予測情報処理部14は、予め、配達が「成功」の場合の在宅率の予測値の加算値として「+1%」を保持するとともに、「失敗」の場合の減算値として「-1%」を保持している。また、この加算値を予測値に加算するかまたは、減算値を予測値から減算することで予測値を補正する際に、該当する駐車スペースの在車/空車の状態に基づいてこれらの加算値、減算値に対して行う重み付け値を格納した重み付け値テーブルを保持している。
【0072】
重み付け値テーブルの一例を、
図13に示す。
図13の重み付け値テーブルには、該当する駐車スペースに車両がある在車状態で配達が成功したときには、加算値を1.5倍、つまり「+1.5%」にし、在車状態で配達が失敗したときには、減算値を1.0倍、つまり「-1.0%」のままとし、該当する駐車スペースに車両がない空車状態で配達が成功したときには、加算値を1.0倍、つまり「+1.0%」のままとし、空車状態で配達が失敗したときには、減算値を1.5倍、つまり「-1.5%」にすることを示す値が格納されている。この重み付け値テーブルでは、在車状態で配達が成功したとき、および空車状態で配達が失敗したときには、車両の有無が在宅率に与える影響が大きいと予測され、補正の重みを大きくしている。
【0073】
第1在宅率予測情報処理部14は、配達結果情報を取得する都度、当該配達結果情報に基づく加算値または減算値に対し、重み付け値テーブルに格納された値で重み付けを行って予測補正値として記憶する。そして、予め設定した時間帯ごとに、記憶した予測補正値を合計する。
【0074】
ここで、予測補正値を合計するために予め設定した時間帯は、生活習慣により在宅率が近似すると考えられる時間ごとに区切られた時間帯であり、例えば平日、休日それぞれの午前7:00~10:00のAM1時間帯、午前10:00~12:00のAM2時間帯、午後12:00~15:00のPM1時間帯、午後15:00~18:00のPM2時間帯、午後18:00~21:00のPM3時間帯の5つの時間帯である。
【0075】
平日のAM1時間帯は、出勤により在宅率が低下すると予測される時間帯であり、AM2時間帯、PM1時間帯、およびPM2時間帯は、勤務中であり在宅率が低いと予測される時間帯であり、PM3時間帯は帰宅により在宅率が上昇すると予測される時間帯である。また、休日のAM1時間帯は、平日よりも起床時間が遅い人が多く在宅率が高いと予測される時間帯であり、PM2時間帯は、外出の可能性が高まるため在宅率が低下すると予測される時間帯が低下すると予測される時間帯であり、PM1時間帯は、自宅で休養している人も外出している人もおり在宅率が50%程度と予測される時間帯であり、PM2時間帯は、外出していた人が徐々に帰宅し始めて在宅率が上昇すると予測される時間帯であり、PM3時間帯は、さらに帰宅する人が増えて在宅率が上昇すると予測される時間帯である。
【0076】
これらの時間帯ごとに、所定の学習期間(例えば1ヶ月)内に、利用者Eの住居に関して発生した配達結果情報に基づく予測補正値を合計した値の例を、
図14および
図15に示す。
【0077】
図14(a)は、利用者Eの住居に関し、平日、休日それぞれのAM1時間帯について、該当期間中に発生した配達結果情報に基づく予測補正値を合計した値の例である。平日の当該時間帯には、駐車スペースQ1に車両が在車状態のときに宅配業者Xによる配達が1回成功しており、当該配達結果情報に基づいて、予測補正値の合計値「+1.5%」が記憶されている。また、平日の当該時間帯には、駐車スペースQ1に車両が空車状態のときに宅配業者Xによる配達が1回失敗しており、これらの配達結果情報に基づいて、予測補正値の合計値「-1.5%」が記憶されている。
【0078】
また、休日の当該時間帯には、駐車スペースQ1に車両が在車状態のときに宅配業者Xによる配達が2回成功(+1.5%×2)し、1回失敗(-1%)しており、当該配達結果情報に基づいて、これらを合計した予測補正値の合計値「2%」が記憶されている。また、休日の当該時間帯には、駐車スペースQ1に車両が空車状態のときに宅配業者Xによる配達が2回失敗(-1.5%×2)し、1回成功(1%)しており、当該配達結果情報に基づいて、予測補正値の合計値「-2%」が記憶されている。
【0079】
同様にして、
図14(b)には、利用者Eの住居に関し、平日、休日それぞれのAM2時間帯について、該当期間中に発生した配達結果情報に基づく予測補正値を合計した値の例を示す。また、
図15(a)には、利用者Eの住居に関し、平日、休日それぞれのPM1時間帯について、該当期間中に発生した配達結果情報に基づく予測補正値を合計した値の例を示す。また、
図15(b)には、利用者Eの住居に関し、平日、休日それぞれのPM2時間帯について、該当期間中に発生した配達結果情報に基づく予測補正値を合計した値の例を示す。また、
図15(c)には、利用者Eの住居に関し、平日、休日それぞれのPM3時間帯について、該当期間中に発生した配達結果情報に基づく予測補正値を合計した値の例を示す。
【0080】
第1在宅率予測情報処理部14が生成した、これらの平日、休日それぞれの各時間帯の在車時/空車時ごとの予測補正値の合計値と、時間帯ごとに、在車時/空車時ごとの予測補正値の合計値をさらに合算した値を格納した配達結果補正値テーブルを、
図16に示す。
図16の配達結果補正値テーブルには、平日のAM1時間帯の予測補正値の合算値「0.0%」、平日のAM2時間帯の予測補正値の合算値「0.0%」、平日のPM1時間帯の予測補正値の合算値「0.0%」、平日のPM2時間帯の予測補正値の合算値「0.0%」、平日のPM3時間帯の予測補正値の合算値「-7.5%」、休日のAM1時間帯の予測補正値の合算値「0.0%」、休日のAM2時間帯の予測補正値の合算値「2.5%」、休日のPM1時間帯の予測補正値の合算値「-8.5%」、休日のPM2時間帯の予測補正値の合算値「0.0%」、休日のPM3時間帯の予測補正値の合算値「-2.5%」が格納されている。
【0081】
生成した配達結果補正値テーブルに基づいて、第1在宅率予測情報処理部14が、平日および休日それぞれについて更新した在宅率予測データテーブルの例を、
図17に示す。
【0082】
図17の在宅率予測データテーブルでは、
図4の在宅率予測データテーブル内の各時間帯の予測値が、
図16の配達結果補正値テーブルの該当する値で補正されることで、更新されている。ここでは、配達結果補正値テーブル内の小数点以下の値を切り上げて補正を行っている。
【0083】
第1在宅率予測情報処理部14は、同じ条件(平日/休日、および時間帯)で同じ結果(配達の成功/失敗)が所定回数繰り返された場合には、当該結果に再現性があるとして、該当する条件に対する予測値の補正度合いを上げても良い。
【0084】
例えば、利用者Eの住居に関する、所定期間中の平日、休日それぞれのPM3時間帯に発生した配達結果情報を用いて、同じ条件で同じ結果が5回以上繰り返されたときに、5回目以降の予測補正値の絶対値を20%増加させる場合について説明する。当該配達結果情報では、平日の在車状態のときに成功が5回続いているため、
図18に示すように、5回目の予測補正値の絶対値を20%増加させて「1.5%」から「1.8%」にする。またその後、失敗が5回続いたため、5回目の予測補正値の絶対値を20%増加させて「-1%」から「-1.2%」にする。また、平日の空車状態のときに失敗が8回続いたため、5回目~8回目の予測補正値の絶対値を「-1.5%」から「-1.8%」にする。
【0085】
同様にして、休日の在車状態のときに成功が9回続いたため、5回目~9回目の予測補正値の絶対値を20%増加させて「1.5%」から「1.8%」にする。また、休日の空車状態のときに失敗が10回続いたため、5回目~9回目の予測補正値の絶対値を「-1.5%」から「-1.8%」にし、10回目はさらに減少させて「-2.1%」にする。
【0086】
このように、同じ時間帯に同じ結果が多く続くほど高い度合いで、予測補正値にさらに補正を加えることで、再現性の高さを在宅率の予測値に精度よく反映させて更新させることができる。
【0087】
その後、第1在宅率予測情報処理部14は駐車場Pへの車両の入出庫情報を取得すると、第1在宅率予測情報記憶部15内の更新後の在宅率予測データテーブルを用いて、(2)で説明したように該当する時間帯の在宅率の予測値の変更処理を実行する。
【0088】
また第1在宅率予測情報処理部14は、日中に、一時的な予測値の変更が加えられている在宅率予測データテーブルに対しても、配達結果情報による一時的な更新処理を加えてもよい。
【0089】
その際、上記(2)の処理では、駐車スペースの在車/空車状態によって在宅率の予測値を変更しているため、第1在宅率予測情報処理部14は一時的な予測値の変更が加えられている在宅率予測データテーブルに対しては、
図13の重み付け値テーブルから該当する状態(在車/空車)の加算値を取得して、配達結果情報による更新処理を行う。
【0090】
例えば、
図10のように一時的に変更した在宅率予測データテーブルに対して配達結果情報による更新処理を行うことで、
図19のような在宅率予測データテーブルが生成される。このように駐車スペースの在車/空車状態によって一時的に変更した在宅率予測データテーブルに対しても配達結果情報による更新処理を行うことで、当該日の在宅率をさらに精度よく予測することができる。
【0091】
第1在宅率予測情報処理部14は、配達結果情報に基づいて第1在宅率予測情報記憶部15に記憶されている在宅率予測データテーブルを更新すると、更新した情報を宅配業者管理装置20に送信する(S23)。
【0092】
宅配業者管理装置20は、駐車場管理装置10から送信された更新後の利用者Eの住居の在宅率予測データテーブルを受信すると、第2在宅率予測情報処理部23が第2在宅率予測情報記憶部24に記憶している利用者Eの在宅率予測データテーブルを更新する(S24)。ステップS21~S24の処理は、所定の学習期間(例えば1ヶ月間)、繰り替えし実行される。
【0093】
上述した実施形態において、宅配業者Xが配達を行った時間帯は、該当する住居の住人により指定された在宅の可能性が高い時間帯の場合があると考えられるため、第1在宅率予測情報処理部14は、平日、休日それぞれの時間帯ごとの配達回数を計数し、計数値に基づいて在宅率予測データテーブル内の予測値を補正してもよい。
【0094】
例えば、第1在宅率予測情報処理部14は、
図20に示すように、平日、休日ごとに、利用者Eの住居に関する所定期間中のAM1時間帯、AM2時間帯、PM1時間帯、PM2時間帯、およびPM3時間帯に発生した配達回数を計数する。
図20の例では、AM1時間帯の平日の配達回数が2回、休日の配達回数が6回、AM2時間帯の平日の配達回数が20回、休日の配達回数が12回、PM1時間帯の平日の配達回数が8回、休日の配達回数が16回、PM2時間帯の平日の配達回数が10回、休日の配達回数が2回、PM3時間帯の平日の配達回数が5回、休日の配達回数が20回として計数されている。
【0095】
そして、第1在宅率予測情報処理部14は、計数した値に基づいて
図21に示すように、平日の全時間帯の配達回数の中央値「8」、および休日の全時間帯の配達回数の中央値「12」を求め、各時間帯の計数値と、該当する中央値との差分を%値に換算して、配達回数に基づく予測補正値として算出する。
図21の例では、AM1時間帯の平日の予測補正値が「-6.0%」、休日の予測補正値が「-6.0%」、AM2時間帯の平日の予測補正値が「12.0%」、休日の予測補正値が「0.0%」、PM1時間帯の平日の予測補正値が「0.0%」、休日の予測補正値が「4.0%」、PM2時間帯の平日の予測補正値が「2.0%」、休日の予測補正値が「-10.0%」、PM3時間帯の平日の予測補正値が「-3.0%」、休日の予測補正値が「8.0%」として算出されている。
【0096】
そして、第1在宅率予測情報処理部14は、算出した予測補正値に基づいて、在宅率予測データテーブル内の該当する予測値を補正する。例えば第1在宅率予測情報処理部14は、
図22に示すように、平日のAM1時間帯に該当する各予測値を初期値から6.0%下げ、平日のAM2時間帯に該当する各予測値を12.0%上げ、平日のPM2時間帯に該当する各予測値を2.0%上げ、平日のPM3時間帯に該当する各予測値を3.0下げる。また、休日のAM1時間帯に該当する各予測値を6.0下げ、休日のPM1時間帯に該当する各予測値を4.0上げ、休日のPM2時間帯に該当する各予測値を10.0%下げ、休日のPM3時間帯に該当する各予測値を8.0%下げる。
【0097】
図23は、上述したように補正した在宅率予測データテーブル内の平日および休日それぞれの時間帯ごとの予測値(初期値および補正後の値)に関し、一日の中における時間経過に伴う変化を折れ線グラフで示した図である。グラフ内の太線の点線は平日の予測値の初期値の変化を示し、細線の点線は休日の予測値の初期値の変化を示し、太線の実線は平日の補正後の値の変化を示し、細線の実線は休日の補正後の値の変化を示す。平日、休日それぞれについて、利用者Eの住居への配達実績に基づいて、配達回数が多い程、該当する時間帯の在宅率の予測値が高く、配達回数が少ない程、該当する時間帯の在宅率の予測値が低くなっている。
【0098】
また、第1在宅率予測情報処理部14は、公共交通機関の運行情報を取得し、公共交通機関に遅延や運休が発生している情報を取得したときには、属性(i)に分類した住居の在宅率が高くなると予測し、該当する住居の在宅率の予測値を一時的に上げるようにしてもよい。
【0099】
上述した(1)~(3)の処理を、利用者E以外の駐車場Pの利用者の住居に関しても実行し、在宅率初期データテーブル内の予測値に適宜補正を加えて、当該利用者の住居の住宅率データテーブルを生成する。
【0100】
例えば、属性(ii)に分類した、駐車スペースQ2を利用する利用者Fの住居C2について、第1在宅率予測情報処理部14は、利用者Fのアンケートの回答内容や一定期間の使用状況に基づいて、在宅率初期データテーブル内の在宅率の予測値に補正を加えて、
図24に示すように在宅率予測データテーブルを生成する。このとき、属性(ii)に分類した住居に関しては、駐車スペースに車両が格納されているか否かに関わらず、駐車スペースの利用状況と在宅率との関連性が高いため、すべての時間帯に対して在宅率の補正係数を高くしている。
【0101】
そして、第1在宅率予測情報処理部14は、駐車スペースQ2への車両の入出庫が発生する都度、入出庫情報取得部13から取得した入出庫情報に基づいて、該当する時間帯の在宅率予測データテーブルを一時的に変更する。第1在宅率予測情報処理部14が、平日および休日にそれぞれについて、駐車スペースQ2への車両の入出庫状況に基づいて1日の間で変更した在宅率予測データテーブルの例を、
図25に示す。また、
図26は、上述したように変更した在宅率予測データテーブル内の平日および休日それぞれの時間帯ごとの変更後の予測値に関し、一日の中における時間経過に伴う変化を折れ線グラフで示した図である。グラフ内の実線は平日の予測値の変化を示し、点線は休日の予測値の変化を示す。
【0102】
また、第1在宅率予測情報処理部14はさらに、利用者Fの住居C2に関しても宅配業者Xによる配達結果情報に基づいて、在宅率予測データテーブルを適宜更新することができる。
【0103】
以上の実施形態によれば、所定の利用者が利用契約している駐車場の利用状況情報や、当該利用者の住居への宅配物の配達結果情報を用いて、当該住居の在宅率を精度よく予測することができる。宅配業者は、このようにして予測された在宅率の情報を用いることで、時間帯ごとに在宅率の高い住居を精度良く把握することができ、効率よく配達業務を行うことができる。
【0104】
また上述した実施形態において、一般的に降雨時は外出率が下がり、また、外出時の車両の利用率が高くなることから、第1在宅率予測情報処理部14は、気象情報を取得し、降雨時であることを示す情報を取得すると、車両が格納されている(在車状態)駐車スペースに該当する住居の在宅率の予測値を一時的に上げ、車両が格納されていない(空車状態)の駐車スペースに該当する住居の在宅率の予測値を一時的に下げるように補正してもよい。
【符号の説明】
【0105】
1 在宅率予測システム
10 駐車場管理装置
11 利用者登録処理部
12 登録情報データベース(DB)
13 入出庫情報取得部
14 第1在宅率予測情報処理部
15 第1在宅率予測情報記憶部
16 第1通信部
20 宅配業者管理装置
21 第2通信部
22 配達情報取得部
23 第2在宅率予測情報処理部
24 第2在宅率予測情報記憶部
30 配達員端末