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  • 特開-推定装置および推定方法 図1
  • 特開-推定装置および推定方法 図2
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  • 特開-推定装置および推定方法 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022190535
(43)【公開日】2022-12-26
(54)【発明の名称】推定装置および推定方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20221219BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20221219BHJP
   G06T 7/60 20170101ALI20221219BHJP
【FI】
G08G1/16 D
G06T7/00 650Z
G06T7/60 150S
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021098903
(22)【出願日】2021-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三野 敦
(72)【発明者】
【氏名】村角 周樹
(72)【発明者】
【氏名】垣田 直士
【テーマコード(参考)】
5H181
5L096
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181CC04
5H181FF32
5H181FF33
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL04
5H181LL08
5H181LL15
5L096BA04
5L096CA02
5L096EA31
5L096FA06
5L096FA67
5L096GA02
5L096GA32
5L096GA38
(57)【要約】
【課題】像画像に映るカーブミラーの推定精度を向上させること。
【解決手段】実施形態に係る推定装置は、抽出部と、第1推定部と、第2推定部とを備える。抽出部は、自車両の進行方向を撮像した撮像画像から所定条件を満たすエッジ点群を抽出する。第1推定部は、抽出部によって抽出されたエッジ点群に基づき、カーブミラーの形状を示すミラー形状を推定する。第2推定部は、第1推定部によって推定されたミラー形状の上部領域を除いた残領域のエッジ点群に基づき、ミラー形状を推定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の進行方向を撮像した撮像画像から所定条件を満たすエッジ点群を抽出する抽出部と、
前記抽出部によって抽出された前記エッジ点群に基づき、カーブミラーの形状を示すミラー形状を推定する第1推定部と、
前記第1推定部によって推定された前記ミラー形状の上部領域を除いた残領域の前記エッジ点群に基づき、前記ミラー形状を推定する第2推定部と
を備えることを特徴とする推定装置。
【請求項2】
前記第1推定部は、
前記エッジ点群に対する最小二乗法を用いた円弧近似によって、前記ミラー形状を推定し、
前記第2推定部は、
前記残領域の前記エッジ点群に対する前記円弧近似によって、前記ミラー形状を推定すること
を特徴とする請求項1に記載の推定装置。
【請求項3】
前記抽出部は、
前記撮像画像の各画素の色情報に基づいて、オレンジ色を有するエッジを前記エッジ点群として抽出すること
を特徴とする請求項1または2に記載の推定装置。
【請求項4】
前記第2推定部によって推定された前記ミラー形状に基づいて、前記撮像画像における前記カーブミラーの向きを決定する決定部と、
前記決定部によって決定された前記カーブミラーの向きに基づき、前記カーブミラーに映る移動物体の移動方向を算出する算出部と
を備えることを特徴とする請求項1、2または3に記載の推定装置。
【請求項5】
自車両の進行方向を撮像した撮像画像から所定条件を満たすエッジ点群を抽出する抽出工程と、
前記抽出工程によって抽出された前記エッジ点群に基づき、カーブミラーの形状を示すミラー形状を推定する第1推定工程と、
前記第1推定工程によって推定された前記ミラー形状の上部領域を除いた残領域の前記エッジ点群に基づき、前記ミラー形状を推定する第2推定工程と
を含むことを特徴とする推定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、推定装置および推定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の周囲を撮像した撮像画像からカーブミラーを抽出し、カーブミラーに映る特徴点の移動ベクトルに基づいて、自車両に近づいてくるあるいは自車両から遠ざかる移動物体を抽出する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-234999号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、撮像画像に映るカーブミラーの推定精度の向上を図るうえで改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、撮像画像に映るカーブミラーの推定精度を向上させることができる推定装置および推定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本願発明に係る推定装置は、抽出部と、第1推定部と、第2推定部とを備える。前記抽出部は、自車両の進行方向を撮像した撮像画像から所定条件を満たすエッジ点群を抽出する。前記第1推定部は、前記抽出部によって抽出された前記エッジ点群に基づき、カーブミラーの形状を示すミラー形状を推定する。前記第2推定部は、前記第1推定部によって推定された前記ミラー形状の上部領域を除いた残領域の前記エッジ点群に基づき、前記ミラー形状を推定する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、撮像画像に映るカーブミラーの推定精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、推定方法の概要を示す図である。
図2図2は、推定装置のブロック図である。
図3図3は、決定部による処理の一例を示す図である。
図4図4は、推定装置が実行する処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する推定装置および推定方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0010】
まず、図1を用いて、実施形態に係る推定装置および推定方法の概要について説明する。図1は、推定方法の概要を示す図である。なお、実施形態に係る推定方法は、図1に示す推定装置1によって実行される。
【0011】
図1に示すように、推定装置1は、たとえば、自車両MCに搭載される。たとえば、推定装置1は、自車両MCの進行方向(たとえば、前方)を撮像するカメラを備えたドライブレコーダであり、カメラで撮像した撮像画像から障害物を検出する障害物検知機能を有する。
【0012】
たとえば、図1に示すように、自車両MCがT字路に進入する場合に、通常、自車両MCの運転者は、カーブミラーMを目視することで、T字路に他方向から進入する他車両Cの存在を確認する。
【0013】
これに対して、推定装置1は、撮像画像に対する画像処理を行うことで、カーブミラーMに映る他車両C等の障害物を検出するとともに、たとえば、その存在を運転者へ報知することができる。
【0014】
これらの一連の処理においては、撮像画像からカーブミラーMを正確に検出する必要がある。たとえば、カーブミラーMの外縁形状を示すミラー形状を推定する手法として、エッジ処理によって、撮像画像からエッジを抽出したのちに、抽出したエッジの集合について最小二乗法を用いて円弧近似により推定する手法が考えられる。
【0015】
しかしながら、たとえば、通常、カーブミラーMには、上部に鏡面から突出した庇部分がついているので、上記の庇部分のエッジを含めて円弧近似を行うと、推定したミラー形状と、実際のミラー形状とに乖離が生じるおそれがある。
【0016】
そこで、実施形態に係る推定装置1では、一旦、ミラー形状を推定したのち、庇部分のエッジを除いて、再度、ミラー形状を推定することとした。具体的には、図1に示すように、推定装置1は、まず、撮像画像から所定条件を満たすエッジ点群edを抽出する(ステップS1)。たとえば、エッジ点群edは、エッジの集合であり、エッジは、各画素の輝度勾配等によって抽出される。
【0017】
また、たとえば、エッジ点群edは、ミラー形状の候補となるエッジであり、たとえば、円弧状に広がるエッジの集合である。また、一旦、抽出したエッジ点群edに対して、たとえば、間引き処理等を行うことで、さらに、選抜することにしてもよい。
【0018】
つづいて、推定装置1は、ステップS1にて抽出したエッジ点群edに基づき、第1推定を行う(ステップS2)。第1推定においては、たとえば、エッジ点群edに対する最小二乗法を用いた円弧近似によって第1ミラー形状Me1が推定される。
【0019】
ここで、第1ミラー形状Me1は、ミラー形状を反映しているものの、カーブミラーMの庇部分に対応するエッジを含んだエッジ点群edを用いている分だけ、実際のミラー形状との間で乖離しているおそれがある。
【0020】
そのため、推定装置1は、第1ミラー形状Me1に対して領域を設定する(ステップS3)。具体的には、推定装置1は、第1ミラー形状Me1に対して、上部に除外領域Eaと、除外領域Eaを除いた残領域Raとを設定する。除外領域Eaは、庇部分が含まれ得る領域であり、残領域Raは、庇部分を除いた領域である。通常、庇部分は、カーブミラーMの上部に存在するので、推定装置1は、たとえば、第1ミラー形状Me1の上部50~30%の領域を除外領域Eaとして設定する。
【0021】
その後、推定装置1は、残領域Raのエッジ点群edに基づき、第2推定を行う(ステップS4)。第2推定においては、残領域Raに含まれるエッジ点群edに対して、最小二乗法による円弧近似を行うことで、第2ミラー形状Me2が推定される。
【0022】
このように、実施形態に係る推定装置1は、一旦、第1ミラー形状Me1を推定した後に、残領域Raのエッジ点群edに基づき、再度、第2ミラー形状Me2を推定する。これにより、実施形態に係る推定装置1は、庇部分のエッジ点群edを除いた状態で、ミラー形状を推定することができるので、撮像画像に映るカーブミラーMの推定精度を向上させることができる。
【0023】
次に、図2を用いて、実施形態に係る推定装置1の構成例について説明する。図2は、推定装置1のブロック図である。なお、図2には、推定装置1に加え、カメラ100およびディスプレイ110を併せて示す。カメラ100は、自車両MCの進行方向を所定周期で撮像する。たとえば、カメラ100は、魚眼レンズ等のレンズと、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などの撮像素子とを備える。
【0024】
ディスプレイ110は、車載ディスプレイであり、推定装置1によって検出されたカーブミラーMに写る障害物に関する各種情報(たとえば、警告画像)を表示する。また、ディスプレイ110は、音声出力部を有し、障害物に関する各種情報として警告音を出力することにしてもよい。また、ディスプレイ110として、たとえば、自車両MCのフロントガラスに映像を投影する、いわゆる、ヘッドアップディスプレイを採用することにしてもよい。
【0025】
図2に示すように、推定装置1は、記憶部10と、制御部20とを備える。記憶部10は、たとえば、不揮発性メモリやデータフラッシュ、ハードディスクドライブといった記憶デバイスで構成される。記憶部10には、ミラー検知情報11、特徴点情報12および各種プログラムなどが記憶される。
【0026】
ミラー検知情報11は、カーブミラーMの検出結果に関する各種情報である。たとえば、自車両MCと、検出したカーブミラーMとの相対位置、大きさ、向き等に関する情報がミラー検知情報11として記憶部10に記憶される。
【0027】
特徴点情報12は、撮像画像から抽出した特徴点に関する各種情報である。たとえば、特徴点ごとの時系列変化に関する情報が特徴点情報12として記憶部10に記憶される。
【0028】
制御部20は、抽出部21と、第1推定部22と、第2推定部23と、決定部24と、算出部25と、出力部26とを備え、たとえば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブ、入出力ポートなどを有するコンピュータや各種の回路を含む。
【0029】
コンピュータのCPUは、たとえば、ROMに記憶されたプログラムを読み出して実行することによって、制御部20の抽出部21、第1推定部22、第2推定部23、決定部24、算出部25および出力部26として機能する。
【0030】
また、制御部20の抽出部21、第1推定部22、第2推定部23、決定部24、算出部25および出力部26の少なくともいずれか一部または全部をASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアで構成することもできる。
【0031】
抽出部21は、自車両MCの進行方向を撮像した撮像画像から所定条件を満たすエッジ点群edを抽出する。たとえば、抽出部21は、撮像画像から各画素の輝度勾配等に基づき、エッジを抽出し、抽出したエッジからエッジ点群edを抽出する。
【0032】
たとえば、抽出部21は、円弧状に分布するエッジをエッジ点群edとして抽出する。また、抽出部21は、抽出したエッジの各画素の色情報を参照し、オレンジ色を有する画素を含むエッジをエッジ点群edとして抽出し、後段の処理に回すようにしてもよい。
【0033】
つまり、カーブミラーMの外縁は、通常、オレンジ色であることから、オレンジ色の画素から成るエッジをエッジ点群edとして抽出することで、カーブミラーMの色の特徴と一致するエッジのみを後段の処理に回すことができる。これにより、後段の処理負荷を軽減することができる。
【0034】
また、抽出部21は、たとえば、抽出したエッジに対する各種間引き処理を行うことで、エッジ点群edのエッジ個数を削減することにしてもよい。たとえば、抽出部21は、間引き処理によって、2~3割のエッジを間引くようにすることにしてもよい。
【0035】
このように、抽出部21は、エッジを選抜したエッジ点群edを後段の処理に回すことで、後段の処理負荷を軽減することができ、カーブミラーMの検出処理の迅速化を図ることができる。
【0036】
第1推定部22は、抽出部21によって抽出されたエッジ点群edに基づき、第1ミラー形状Me1を推定する。通常、撮像画像において、カーブミラーMは、楕円形状や真円形状に映る。
【0037】
そのため、第1推定部22は、楕円形状や真円形状の第1ミラー形状Me1をエッジ点群edに対する最小二乗法による円弧近似によって推定する。一般的に、カーブミラーMの見え方は、楕円形状である場合が多く、第1推定部22は、円弧近似によって楕円形状の第1ミラー形状Me1を推定するようにしてもよい。言い換えれば、真円形状を推定するための円弧近似を省略することにしてもよい。
【0038】
第2推定部23は、抽出部21から受け取ったエッジ点群edに関する情報と、第1推定部22から受け取った第1ミラー形状Me1に関する情報とに基づいて、第2ミラー形状Me2を推定する。
【0039】
具体的には、第2推定部23は、まず、第1ミラー形状Me1に基づき、除外領域Eaと、残領域Raとを設定する(図1参照)。上述したように、除外領域Eaは、第1ミラー形状Me1の上部に対応する領域であり、カーブミラーMの庇部分が含まれ得る領域である。また、残領域Raは、第1ミラー形状Me1において、除外領域Eaを除いた領域である。
【0040】
つづいて、第2推定部23は、残領域Raに含まれるエッジ点群edを対象とした最小二乗法による円弧近似によって、第2ミラー形状Me2を推定する。つまり、第2推定部23は、庇部分のエッジが取り除かれたエッジ点群edを用いて、ミラー形状を推定する。
【0041】
これにより、第2ミラー形状Me2では、第1ミラー形状Me1に比べて実際のミラー形状との乖離が少なく、より正確に実際のミラー形状を反映したものとすることができる。
【0042】
決定部24は、第2推定部23によって推定された第2ミラー形状Me2に基づき、カーブミラーMの向きを決定する。たとえば、決定部24は、第2ミラー形状Me2の傾きに基づいて、カーブミラーMの向きを決定する。
【0043】
図3は、決定部24による処理の一例を示す図である。図3に示すように、たとえば、第2ミラー形状Me2が楕円形状であるとすると、決定部24は、第2ミラー形状Me2の軸axの傾きに基づき、カーブミラーMの向きを決定する。なお、撮像画像においてカーブミラーMは、通常、縦長の楕円として映ることから軸axは、第2ミラー形状Me2として推定される楕円の長軸に対応する。
【0044】
同図の左に示すように、たとえば、軸axが下から上に向かって左側に傾斜している場合、決定部24は、カーブミラーMの向きを左向きとして決定する。また、同図の右に示すように、軸axが下から上に向かって右側に傾斜している場合、決定部24は、カーブミラーMの向きを右向きとして決定する。
【0045】
このように、決定部24は、第1ミラー形状Me1よりも精度よく推定された第2ミラー形状Me2を用いて、カーブミラーMの向きを決定することで、カーブミラーMの向きを精度よく決定することができる。なお、上述の決定部24による処理は一例であり、これに限定されるものではない。第2ミラー形状Me2を活用して、その他の手法によってカーブミラーMの向きを決定することにしてもよい。
【0046】
図2の説明に戻り、算出部25について説明する。算出部25は、決定部24に決定されたカーブミラーの向きに基づき、カーブミラーMに映る移動物体の移動方向を算出する。
【0047】
たとえば、算出部25は、第2ミラー形状Me2の内部を鏡面とみなし、鏡面内の特徴点の時系列変化を示すオプティカルフローを算出する。たとえば、鏡面に移動物体が写っている場合には、移動物体の移動方向、移動速度に応じたオプティカルフローが算出される。
【0048】
つづいて、算出部25は、オプティカルフローの向きと、カーブミラーMの向きとに基づいて、移動物体の移動方向を算出する。たとえば、算出部25は、カーブミラーMの向きと、オプティカルフローの向きの関係性に基づいて、移動物体の移動方向を算出する。
【0049】
この際、仮に、カーブミラーMの向きが逆であると、移動物体の向きは逆に算出されるおそれがある。これに対して、推定装置1では、第1ミラー形状Me1よりも推定精度のよい第2ミラー形状Me2を用いて、カーブミラーMの向きを決定する。
【0050】
また、推定装置1では、第1ミラー形状Me1よりも推定精度を向上させた第2ミラー形状Me2を用いて、鏡面を推定するとともに、鏡面内部のオプティカルフローを用いて、移動物体の算出に使用する。
【0051】
つまり、推定装置1は、第2ミラー形状Me2を用いて各種処理を行うことで、移動物体の検出精度の向上をも図ることができる。
【0052】
また、算出部25は、移動物体の移動向きに基づき、カーブミラーMに映り、自車両MCへ接近する接近物体の有無を算出することにしてもよい。ここで、接近物体とは、たとえば、自車両MCとは異なる方向からカーブミラーMに接近する移動体を指す。たとえば、図1の例においては、T字路に向かって走行中の他車両Cが接近物体に対応する。なお、接近物体は、人、自転車、二輪バイク等であってもよい。
【0053】
たとえば、算出部25は、接近物体が存在すると判定した場合には、出力部26へ警告情報の出力指示を通知する。なお、接近物体の有無に関する判定については、特に限定されるものではなく、たとえば、任意の手法を用いることにしてもよい。
【0054】
出力部26は、算出部25は、から上記の警告情報の出力指示を受け取った場合に、警告情報をディスプレイ110へ出力する。ここで、警告情報とは、自車両MCの運転者に、接近物体の存在を周知させるための情報である。たとえば、警告情報として、画像、イラスト、テキスト、音声などが挙げられる。
【0055】
次に、図4を用いて、実施形態に係る推定装置1が実行する処理手順について説明する。図4は、推定装置1が実行する処理手順を示すフローチャートである。なお、以下に示す処理手順は、推定装置1の制御部20によって繰り返し実行される。
【0056】
図4に示すように、推定装置1は、撮像画像を取得すると(ステップS101)、撮像画像のエッジからエッジ点群edを抽出する(ステップS102)。つづいて、推定装置1は、ステップS102において抽出したエッジ点群edに基づき、第1推定を実行する(ステップS103)。
【0057】
つづいて、推定装置1は、第1推定の結果に基づき、第1ミラー形状Me1に対して残領域Raを設定し(ステップS104)、残領域Raのエッジ点群edに基づき、第2推定を行うことで、第2ミラー形状Me2を求める(ステップS105)。
【0058】
つづいて、推定装置1は、第2ミラー形状Me2に基づき、カーブミラーMの向きを決定し(ステップS106)、カーブミラーMに映る移動物体の移動方向を算出する(ステップS107)。
【0059】
つづいて、推定装置1は、カーブミラーMに映る移動物体のうち、自車両MCに接近する接近物体があるか否かを判定し(ステップS108)、接近物体があると判定した場合には(ステップS108;Yes)、警告情報を出力して(ステップS109)、処理を終了する。
【0060】
また、推定装置1は、ステップS108の判定において、接近物体がないと判定した場合には(ステップS108;No)、ステップS109の処理を省略して、処理を終了する。
【0061】
上述したように、実施形態に係る推定装置1は、抽出部21と、第1推定部22と、第2推定部23とを備える。抽出部21は、自車両MCの進行方向を撮像した撮像画像から所定条件を満たすエッジ点群edを抽出する。
【0062】
第1推定部22は、抽出部21によって抽出されたエッジ点群edに基づき、カーブミラーMの形状を示すミラー形状を推定する。第2推定部23は、前記第1推定部22によって推定されたミラー形状の上部領域を除いた残領域Raのエッジ点群edに基づき、ミラー形状を推定する。
【0063】
したがって、実施形態に係る推定装置1によれば、撮像画像に映るカーブミラーMの推定精度を向上させることができる。
【0064】
ところで、上述した実施形態では、自車両MCの前方を撮像した撮像画像からカーブミラーMに映る移動物体を抽出する場合について説明したが、撮像画像は自車両MCの側方や後方を撮像したものであってもよい。
【0065】
また、上述した実施形態では、カーブミラーMに映る移動物体を検出した場合に、自車両MCの運転者にその存在を報知する場合について説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、本願発明を自動運転に適用することにしてもよい。たとえば、この場合、カーブミラーMに映る移動物体を検出した場合に、減速等の各種衝突回避措置を行うようにしてもよい。
【0066】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細及び代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲及びその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神又は範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0067】
1 推定装置
21 抽出部
22 第1推定部
23 第2推定部
24 決定部
25 算出部
26 出力部
M カーブミラー
ed エッジ点群
Me1 第1ミラー形状
Me2 第2ミラー形状
Ea 除外領域(上部領域)
Ra 残領域
図1
図2
図3
図4