IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社豊田自動織機の特許一覧

<>
  • 特開-フォークリフト 図1
  • 特開-フォークリフト 図2
  • 特開-フォークリフト 図3
  • 特開-フォークリフト 図4
  • 特開-フォークリフト 図5
  • 特開-フォークリフト 図6
  • 特開-フォークリフト 図7
  • 特開-フォークリフト 図8
  • 特開-フォークリフト 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022190544
(43)【公開日】2022-12-26
(54)【発明の名称】フォークリフト
(51)【国際特許分類】
   B66F 9/24 20060101AFI20221219BHJP
【FI】
B66F9/24 U
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021098915
(22)【出願日】2021-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】小川 透
【テーマコード(参考)】
3F333
【Fターム(参考)】
3F333AA20
3F333AB13
3F333AE02
3F333BA11
3F333DB10
3F333FD03
3F333FD04
3F333FD06
(57)【要約】
【課題】荷物にダメージを与えることなく、運搬することができるフォークリフトを提供することである。
【解決手段】フォークリフトは、操作部34が受け付けた乗員の操作に基づいて、マストのリーチ動作を制御し、マストに沿ったフォークの上下動作を制御する動作制御部114を備え、動作制御部114は、積載センサ40の検出結果が、フォークに荷物が積載されていることを示し、且つリーチ量センサ44により検出されたリーチ量が第1閾値以下であることを示す場合、マストのリーチイン動作を停止させる第1制御と、積載センサ40の検出結果が、フォークに荷物が積載されていることを示し、且つ揚高センサ42により検出された高さが第2閾値以下であることを示す場合、フォークの降下動作を停止させる第2制御とのうち、少なくとも一方の制御を実行する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体よりも前方に配置した左右一対のリーチレグに沿って前後に動作するマストを備えるとともに前記マストの前方に左右一対のフォークを設けたフォークリフトであって、
前記フォークに荷物が積載されているか否かを検出する積載センサと、
前記フォークリフトに対する乗員の操作を受け付ける操作部と、
前記マストのリーチ量を検出するリーチ量センサと、
前記フォークの高さを検出する揚高センサと、
前記操作部が受け付けた前記乗員の操作に基づいて、前記マストのリーチ動作を制御し、前記マストに沿った前記フォークの上下動作を制御する動作制御部とを備え、
前記動作制御部は、前記積載センサの検出結果が、前記フォークに前記荷物が積載されていることを示し、且つ前記リーチ量センサにより検出されたリーチ量が第1閾値以下であることを示す場合、前記マストのリーチイン動作を停止させる第1制御と、前記積載センサの検出結果が、前記フォークに前記荷物が積載されていることを示し、且つ前記揚高センサにより検出された高さが第2閾値以下であることを示す場合、前記フォークの降下動作を停止させる第2制御とのうち、少なくとも一方の制御を実行する、
ことを特徴とするフォークリフト。
【請求項2】
前記第1閾値、及び前記第2閾値は、自装置の大きさに基づく値であり、前記自装置の大きさが大きい程、大きい値である、
請求項1に記載のフォークリフト。
【請求項3】
前記第1閾値、及び前記第2閾値は、前記荷物の形状に基づく値である、
請求項1または2に記載のフォークリフト。
【請求項4】
前記第1閾値、及び前記第2閾値を指定する前記乗員の入力を受け付ける入力部と、
前記入力部に対する入力に基づいて、前記第1閾値、及び前記第2閾値を決定する決定部とを更に備え、
前記動作制御部は、前記決定部により決定された前記第1閾値、及び前記第2閾値に基づいて、前記第1制御と、前記第2制御とのうち、少なくとも一方の制御を実行する、
請求項1から3のうちいずれか一項に記載のフォークリフト。
【請求項5】
前記リーチ量センサと、前記揚高センサとは、ワイヤー式センサである、
請求項1から4のうちいずれか一項に記載のフォークリフト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォークリフトに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フォークリフトによって、荷物にダメージを与えることなく、運搬する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-206243号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、乗員がリーチ式フォークリフトを操作する場合、リーチアウトした状態において、操作を誤ってフォークを下方に降下させたままマストをリーチインさせることにより、荷物をリーチレグに当てしまう場合があった。また、乗員がリーチ式フォークリフトを操作する場合、リーチインした状態において、操作を誤ってフォークを下方に降下させてしまうと、荷物をリーチレグに当てしまう場合があった。したがって、乗員がリーチ式フォークリフトを操作する場合、荷物をリーチレグに当てしまうことなく、運搬することが困難である場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するフォークリフトは、車体よりも前方に配置した左右一対のリーチレグに沿って前後に動作するマストを備えるとともに前記マストの前方に左右一対のフォークを設けたフォークリフトであって、前記フォークに荷物が積載されているか否かを検出する積載センサと、前記フォークリフトに対する乗員の操作を受け付ける操作部と、前記マストのリーチ量を検出するリーチ量センサと、前記フォークの高さを検出する揚高センサと、前記操作部が受け付けた前記乗員の操作に基づいて、前記マストのリーチ動作を制御し、前記マストに沿った前記フォークの上下動作を制御する動作制御部とを備え、前記動作制御部は、前記積載センサの検出結果が、前記フォークに前記荷物が積載されていることを示し、且つ前記リーチ量センサにより検出されたリーチ量が第1閾値以下であることを示す場合、前記マストのリーチイン動作を停止させる第1制御と、前記積載センサの検出結果が、前記フォークに前記荷物が積載されていることを示し、且つ前記揚高センサにより検出された高さが第2閾値以下であることを示す場合、前記フォークの降下動作を停止させる第2制御とのうち、少なくとも一方の制御を実行することを特徴とする。
【0006】
かかる構成によれば、動作制御部は、乗員が誤った操作をする場合であっても、リーチレグに荷物が当たらないように、マストやフォークの動作を停止させる。これにより、フォークリフトは、荷物にダメージを与えることなく、運搬することができる。
【0007】
上記フォークリフトにおいて、前記第1閾値、及び前記第2閾値は、自装置の大きさに基づく値であり、前記自装置の大きさが大きい程、大きい値であることを特徴とする。
一般に、フォークリフトは、大きさが大きい程、大きな荷物を運搬することが可能である。かかる構成によれば、動作制御部は、フォークリフトの大きさが大きい程、大きい値の第1閾値、及び第2閾値に基づいて、第1制御や第2制御を実行する。これにより、フォークリフト10は、自装置の大きさに応じて大きな荷物を運搬する場合であっても、荷物にダメージを与えることなく、運搬することができる。
【0008】
上記フォークリフトにおいて、前記第1閾値、及び前記第2閾値は、前記荷物の形状に基づく値であることを特徴とする。
かかる構成によれば、動作制御部は、荷物の形状に応じた第1閾値、及び第2閾値に基づいて、マストやフォークの動作を停止させ、荷物にダメージを与えることなく、運搬することができる。
【0009】
上記フォークリフトにおいて、前記第1閾値、及び前記第2閾値を指定する前記乗員の入力を受け付ける入力部と、前記入力部に対する入力に基づいて、前記第1閾値、及び前記第2閾値を決定する決定部とを更に備え、前記動作制御部は、前記決定部により決定された前記第1閾値、及び前記第2閾値に基づいて、前記第1制御と、前記第2制御とのうち、少なくとも一方の制御を実行することを特徴とする。
【0010】
かかる構成によれば、動作制御部は、乗員の所望する第1閾値、及び第2閾値に基づいて、マストやフォークの動作を停止させ、荷物にダメージを与えることなく、運搬することができる。
【0011】
上記フォークリフトにおいて、前記リーチ量センサと、前記揚高センサとは、ワイヤー式センサであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、リーチ式フォークリフトは、荷物をリーチレグに当てしまうことなく、運搬することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】フォークリフトの側面図。
図2】フォークリフトの斜視図。
図3】制御装置の構成を示す図。
図4】リーチ動作を停止する場面の説明に用いられる図。
図5】フォークの上下動作を停止する場面の説明に用いられる図。
図6】制御装置の制御の一例を示すフローチャート。
図7】フォークリフトの斜視図。
図8】表示画像の一例を示す図。
図9】制御装置の構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<実施形態>
以下、図面を参照し、本発明のフォークリフトの実施形態について説明する。
[フォークリフト10の構成]
図1及び図2に示すように、フォークリフト10は、例えば、車体11と、リーチレグ12と、前輪13と、後輪14と、荷役装置21と、操作部34と、積載センサ40と、揚高センサ42と、リーチ量センサ44と、を備える。また、フォークリフト10は、例えば、油圧機構52と、制御装置100と、を備える。フォークリフト10は、フォークリフト10に搭乗した操作者によって手動で動作するものであってもよいし、自動での動作と手動での動作を切り替えられるものであってもよい。即ち、フォークリフト10は、操作者による手動での動作が可能なものであればよい。以下の説明において、前後左右上下とはフォークリフト10を基準にした前後左右上下である。前後方向は、フォークリフト10の進行方向ともいえる。左右方向は、フォークリフト10の車幅方向ともいえる。上下方向はフォークリフト10の高さ方向ともいえる。
【0015】
リーチレグ12は、車体11よりも前方に配置されている。リーチレグ12は、左右方向に互いに離間して二つ設けられている。左右一対のリーチレグ12は、車体11から前方に延びている。前輪13は、各リーチレグ12に一つずつ設けられている。後輪14は、車体11に設けられている。後輪14は、例えば、操舵輪であり、且つ駆動輪である。
【0016】
荷役装置21は、車体11よりも前方に設けられている。荷役装置21は、マスト22と、リフトブラケット25と、フォーク26と、リフトシリンダ31と、ティルトシリンダ32と、リーチシリンダ33とを備える。
【0017】
マスト22は、多段式のマストである。マスト22は、アウタマスト23と、インナマスト24と、を備える。インナマスト24は、アウタマスト23に対して昇降可能に設けられている。
【0018】
リフトブラケット25は、インナマスト24に固定されている。フォーク26は、リフトブラケット25に固定されている。フォーク26は、左右方向に互いに離間して2つ設けられている。リフトブラケット25は、左右一対のフォーク26をインナマスト24に固定するための部材である。
【0019】
リフトシリンダ31は、油圧シリンダである。リフトブラケット25は、リフトシリンダ31への作動油の給排によって昇降する。フォーク26は、リフトブラケット25とともに昇降する。
【0020】
ティルトシリンダ32は、油圧シリンダである。リフトブラケット25は、ティルトシリンダ32への作動油の給排によって前後方向に傾動する。傾動は、リフトブラケット25を前方に傾動させる前傾、及びリフトブラケット25を後方に傾動させる後傾を含む。フォーク26は、リフトブラケット25とともに傾動する。
【0021】
リーチシリンダ33は、油圧シリンダである。マスト22は、リーチシリンダ33への作動油の給排によって前後方向に移動する。フォーク26は、マスト22とともに前後方向に移動する。以下、リーチシリンダ33によってフォーク26を前進させることをリーチアウト動作といい、リーチシリンダ33によってフォーク26を後退させることをリーチイン動作という。
【0022】
操作部34は、フォークリフト10に搭乗する乗員の操作を受け付ける。操作部34は、リフト操作部35と、ティルト操作部36と、リーチ操作部37と、を含む。リフト操作部35は、フォークリフト10の乗員によって操作される。本実施形態のリフト操作部35はレバーである。リフト操作部35は、中立位置から前傾又は後傾する。リフト操作部35は、フォーク26を昇降させるときにフォークリフト10の乗員によって操作される。
【0023】
ティルト操作部36は、フォークリフト10の乗員によって操作される。本実施形態のティルト操作部36はレバーである。ティルト操作部36は、中立位置から前傾又は後傾する。ティルト操作部36は、フォーク26を傾動させるときにフォークリフト10の乗員によって操作される。
【0024】
リーチ操作部37は、フォークリフト10の乗員によって操作される。本実施形態のリーチ操作部37はレバーである。リーチ操作部37は、中立位置から前傾又は後傾する。リーチ操作部37は、フォーク26を前後方向に移動させるときにフォークリフト10の乗員によって操作される。
【0025】
積載センサ40は、フォーク26に荷物が積載されているか否かを検出する。積載センサ40は、例えば、フォーク26に荷物が積載された場合に押下されるレバー式のセンサにより実現される。積載センサ40は、フォーク26に荷物が積載されていることを示す情報を、制御装置100に供給する。
【0026】
揚高センサ42は、リフトシリンダ31により昇降されたフォーク26の高さを検出する。フォーク26の高さは、例えば、フォークリフト10の接地面からフォーク26が荷物を積載する面までの高さである。揚高センサ42は、例えば、ワイヤー式センサにより実現される。詳しくは、揚高センサ42は、フォーク26の揚高動作に応じて引き出され、フォーク26の降下動作に応じて巻き取られるワイヤーの引き出し量に基づいて、フォーク26の高さを検出する。フォーク26の高さは、例えば、フォーク26が最も低い位置に移動されている状態で最も小さい値をとり、フォーク26が最も高い位置に移動されている状態で最も大きい値をとる。揚高センサ42は、検出したフォーク26の高さを示す情報を制御装置100に供給する。
【0027】
リーチ量センサ44は、リーチシリンダ33によりマスト22が移動された移動量を検出する。以降の説明において、マスト22の移動量をリーチ量と記載する。リーチ量センサ44は、例えば、ワイヤー式センサにより実現される。詳しくは、リーチ量センサ44は、マスト22のリーチアウト動作に応じて引き出され、マスト22のリーチイン動作に応じて巻き取られるワイヤーの引き出し量に基づいて、リーチ量を検出する。リーチ量は、例えば、マスト22が最も車体11に近い位置に移動されている状態で最も小さい値をとり、マスト22がリーチレグ12の端部のうち、車体11側の端部とは反対側の端部まで移動されている状態で最も大きい値をとる。リーチ量センサ44は、検出したリーチ量を示す情報を制御装置100に供給する。
【0028】
油圧機構52は、油圧機器への作動油の給排を制御するための部材である。油圧機器は、リフトシリンダ31、ティルトシリンダ32、及びリーチシリンダ33を含む。油圧機構52は、作動油を吐出するポンプ、及び油圧機器への作動油の給排を制御するコントロールバルブを含む。
【0029】
制御装置100は、フォークリフト10が備える各部を制御する。以下、制御装置100の詳細について説明する。
[制御装置の構成]
図3に示すように、制御装置100には、操作部34、積載センサ40、揚高センサ42、及びリーチ量センサ44が接続されており、制御装置100は、各部から各種情報を取得する。また、制御装置100には、油圧機構52が接続されており、制御装置100は、各部を制御する。
【0030】
制御装置100は、例えば、制御部110と、記憶部200とを備える。制御部110は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。また、これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予め記憶部200に記憶される。
【0031】
記憶部200は、HDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリなどの記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)や、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体により実現される。記憶部200には、例えば、第1閾値を示す第1閾値情報202と、第2閾値を示す第2閾値情報204とが記憶される。第1閾値情報202と、第2閾値情報204との詳細については、後述する。
【0032】
制御部110は、例えば、取得部112と、動作制御部114とを備える。
取得部112は、例えば、操作部34に入力された操作量を示す情報を操作部34から取得する。取得部112は、フォーク26に荷物PGが積載されていることを示す情報を積載センサ40から取得する。取得部112は、フォーク26の高さを示す情報を揚高センサ42から取得する。取得部112は、リーチ量を示す情報をリーチ量センサ44から取得する。
【0033】
動作制御部114は、操作部34が受け付けたフォークリフト10の乗員の操作に基づいて、マスト22のリーチ動作を制御し、マスト22に沿ったフォーク26の上下動作を制御する。
【0034】
[リーチ動作の停止]
図4に示すように、フォーク26に荷物PGが積載された状態で、フォーク26の高さがリーチレグ12の高さより低い場合において、マスト22を車体11側に移動させると、リーチレグ12の前面SF1に荷物PGが当たってしまう場合がある。この場合、マスト22は、リーチ量が第1閾値Th1よりも小さい値とならないように、リーチイン動作が停止されることが好ましい。第1閾値Th1は、例えば、リーチレグ12の前後方向の長さを示す値である。以降の説明において、リーチ量が第1閾値Th1以下であることに伴い、マスト22のリーチイン動作を停止させる制御を、第1制御と記載する。
【0035】
[フォーク26の降下動作の停止]
図5に示すように、フォーク26に荷物PGが積載された状態で、フォーク26とリーチレグ12が上下方向に向かい合う場合において、フォーク26を降下させると、リーチレグ12の上面SF2に荷物PGが当たってしまう場合がある。この場合、フォーク26は、フォーク26の高さが第2閾値Th2よりも小さい値とならないように、フォーク26の降下動作が停止されることが好ましい。第2閾値Th2は、例えば、リーチレグ12の高さと、フォークリフト10が荷物PGの運搬に用いるパレットの厚みとを足し合わせた長さを示す値である。以降の説明において、フォーク高さが第2閾値Th2以下であることに伴い、フォーク26の降下動作を停止させる制御を、第2制御と記載する。
【0036】
動作制御部114は、図4図5に示す場面において、マスト22のリーチイン動作を停止させ、フォーク26の降下動作を停止させる。以下、フローチャートを用いて、制御装置100の動作の詳細について説明する。
【0037】
[フローチャート]
図6に示すフローチャートは、常時、又は所定の時間毎に繰り返し実行される。制御装置100は、図6に示すフローチャートとは別途、操作部34に対する乗員の操作に基づく、マスト22のリーチ動作、フォーク26の上下動作、及び後輪14の駆動にかかる制御を、図6に示すフローチャートの制御と同時並行で実行する。
【0038】
まず、動作制御部114は、取得部112により取得された積載センサ40の検出結果に基づいて、フォーク26に荷物PGが積載されているか否かを判定する(ステップS100)。動作制御部114は、フォーク26に荷物PGが積載されていると判定した場合、操作部34に対する乗員の操作が、マスト22のリーチ動作(具体的には、リーチイン動作)を指示する操作であるか否かを判定する(ステップS102)。動作制御部114は、操作部34に対する乗員の操作が、マスト22のリーチ動作を指示するものではないと判定した場合、フォーク26の上下動作(具体的には、降下動作)を指示するものであるか否かを判定する(ステップS104)。動作制御部114は、マスト22のリーチ動作、及びフォーク26の上下動作が指示されていないと判定した場合、処理をステップS100に進める。
【0039】
動作制御部114は、マスト22のリーチ動作と、フォーク26の上下動作とのうち少なくとも一方が指示されていると判定した場合、リーチ量センサ44により検出されたリーチ量が第1閾値Th1以下であるか否かを判定する(ステップS106)。動作制御部114は、リーチ量センサ44により検出されたリーチ量が第1閾値Th1以下ではないと判定した場合、処理をステップS100に進める。
【0040】
動作制御部114は、リーチ量センサ44により検出されたリーチ量が第1閾値Th1以下であると判定した場合、揚高センサ42により検出されたフォーク26の高さが第2閾値Th2以下であるか否かを判定する(ステップS108)。動作制御部114は、揚高センサ42により検出されたフォーク26の高さが第2閾値Th2以下ではないと判定した場合、処理をステップS100に進める。
【0041】
動作制御部114は、リーチ量が第1閾値Th1以下であり、且つフォーク26の高さが第2閾値Th2以下であると判定した場合、第1制御を実行し、マスト22のリーチイン動作を停止させる(ステップS110)。動作制御部114は、リーチ量が第1閾値Th1以下であり、且つフォーク26の高さが第2閾値Th2以下であると判定した場合、第2制御を実行し、フォーク26の降下動作を停止させる(ステップS112)。動作制御部114は、ステップS112の処理を実行した後、ステップS100に処理を進める。
【0042】
[第1制御と第2制御とのうち、一方を実行する場合]
なお、動作制御部114は、リーチ量が第1閾値Th1以下であると判定した場合、第1制御のみを実行するものあってもよく、フォーク26の高さが第2閾値Th2以下であると判定した場合、第2制御のみを実行するものであってもよい。
【0043】
例えば、状況によってフォークリフト10の乗員が、リーチレグ12の上面SF2の状態を認識できるものの、リーチレグ12の前面SF1の状態を認識しづらい場合等、動作制御部114は、第2制御を実行せず、第1制御のみを実行してもよい。この場合、動作制御部114は、ステップS104、ステップS108、及びステップS112の処理を実行しない。詳しくは、動作制御部114は、ステップS102の処理において、マスト22のリーチ動作が指示されていないと判定した場合、処理をステップS100に進める。また、動作制御部114は、ステップS106において、リーチ量が第1閾値Th1以下であると判定した場合、ステップS108の処理を実行せず、処理をステップS110に進め、ステップS110の処理を実行した後、処理をステップS100に進める。
【0044】
また、状況によってフォークリフト10の乗員が、リーチレグ12の前面SF1の状態を認識できるものの、リーチレグ12の上面SF2の状態を認識しづらい場合等、動作制御部114は、第1制御を実行せず、第2制御のみを実行してもよい。この場合、動作制御部114は、ステップS102、ステップS106、及びステップS110の処理を実行しない。詳しくは、動作制御部114は、ステップS100の処理において、フォーク26に荷物PGが積載されていると判定した場合、処理をステップS104に進める。また、動作制御部114は、ステップS104において、フォーク26の高さが第2閾値Th2以下であると判定した場合、ステップS110の処理を実行せず、処理をステップS112に進める。動作制御部114は、ステップS112の処理を実行した後、処理をステップS100に進める。
【0045】
[本実施形態のフォークリフトにかかる効果について]
以上詳述した本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)動作制御部114は、積載センサ40の検出結果が、フォーク26に荷物PGが積載されていることを示し、且つリーチ量センサ44により検出されたリーチ量が第1閾値Th1以下であることを示す場合、マスト22のリーチイン動作を停止させる第1制御を実行する。
【0046】
かかる構成によれば、動作制御部114は、フォークリフト10の乗員が操作を誤ってマスト22をリーチイン動作させすぎた際、第1制御を実行することによりマスト22を停止させ、リーチレグ12の前面SF1に荷物PGが当たってしまうことを抑制する。したがって、フォークリフト10は、荷物PGにダメージを与えることなく、運搬することができる。
【0047】
(2)動作制御部114は、積載センサ40の検出結果が、フォーク26に荷物PGが積載されていることを示し、且つ揚高センサ42により検出されたフォーク26の高さが第2閾値Th2以下であることを示す場合、フォーク26の降下動作を停止させる第2制御を実行する。
【0048】
かかる構成によれば、動作制御部114は、フォークリフト10の乗員が操作を誤ってフォーク26を降下動作させすぎた際、第2制御を実行することによりフォーク26を停止させ、リーチレグ12の上面SF2に荷物PGが当たってしまうことを抑制する。したがって、フォークリフト10は、荷物PGにダメージを与えることなく、運搬することができる。
【0049】
[第1閾値Th1、及び第2閾値Th2:フォークリフトの大きさ]
なお、第1閾値Th1、及び第2閾値Th2は、例えば、フォークリフト10の大きさに基づく値であってもよい。一般に、フォークリフト10は、大きさが大きい程、大きな荷物PGを運搬することが可能である。大きいフォークリフト10が運搬する荷物PGは、小さいフォークリフト10が運搬する荷物PGに比して、フォーク26よりもマスト22側にはみ出したり、フォーク26の上面よりも下方にはみ出したりする可能性がある。
【0050】
以下、第1閾値Th1、及び第2閾値Th2が、フォークリフト10が積載可能な荷物PGのうち、最も大きい荷物PGに基づいて、決定される場合について説明する。この場合、第1閾値Th1は、荷物PGの端部のうち車体11側の端部の位置が、リーチレグ12の前面SF1に最も近く、且つリーチレグ12に接しない位置と、最もマスト22がリーチインされ、且つ車体11に接しない位置との間の長さに対応する値である。また、第2閾値Th2は、荷物PGがリーチレグ12の上方にある場合であって、荷物PGの底部が、リーチレグ12の上面SF2に最も近く、且つ上面SF2に接しない位置からフォークリフト10の接地面までの長さに対応する値である。したがって、第1閾値Th1、及び第2閾値Th2は、フォークリフト10の大きさが大きいことに伴い、荷物PGの大きさが大きくなる程、大きい値となる。
【0051】
記憶部200には、例えば、第1閾値情報202と、第2閾値情報204との閾値情報のセットが、フォークリフト10の大きさに応じて複数記憶されている。制御装置100は、記憶部200に記憶される閾値情報のセットのうち、自装置が搭載されたフォークリフト10の大きさに応じた閾値情報を記憶部200から読み出して処理に用いる。フォークリフト10の大きさは、出荷時に指定されてもよく、フォークリフト10が備える記憶部200等の記憶装置に記憶された大きさを示す情報を参照することにより、特定してもよい。
【0052】
かかる構成によれば、動作制御部114は、フォークリフト10の大きさが大きい程、大きい値の第1閾値Th1、及び第2閾値Th2に基づいて、第1制御や第2制御を実行する。これにより、フォークリフト10は、自装置の大きさに応じて大きな荷物PGを運搬する場合であっても、荷物PGにダメージを与えることなく、運搬することができる。
【0053】
[第1閾値Th1、及び第2閾値Th2:荷物PGの形状]
また、第1閾値Th1,第2閾値Th2は、例えば、荷物PGの形状に基づく値であってもよい。ここで、フォークリフト10は、凸部や凹部を有するなど、方形以外の形状の荷物PGを運搬する場合がある。詳しくは、フォークリフト10は、フォーク26に積載されると、フォーク26よりもマスト22側にはみ出したり、フォーク26の上面よりも下方にはみ出したりする形状の荷物PGを運搬する場合がある。
【0054】
この場合、第1閾値Th1は、荷物PGの端部のうち車体11側の端部の位置が、リーチレグ12の前面SF1に最も近く、且つリーチレグ12に接しない位置と、最もマスト22がリーチインされ、且つ車体11に接しない位置との間の長さに対応する値である。また、第2閾値Th2は、荷物PGがリーチレグ12の上方にある場合であって、荷物PGの底部が、リーチレグ12の上面SF2に最も近く、且つ上面SF2に接しない位置からフォークリフト10の接地面までの長さに対応する値である。したがって、第1閾値Th1、及び第2閾値Th2は、フォークリフト10の大きさが大きいことに伴い、フォークリフト10が積載可能な荷物PGの大きさが大きくなる程、大きい値となる。
【0055】
記憶部200は、例えば、第1閾値情報202と、第2閾値情報204との閾値情報のセットを、フォークリフト10が運搬し得る荷物PGの形状に応じて複数記憶する。制御装置100は、記憶部200に記憶される閾値情報のセットのうち、自装置が搭載されたフォークリフト10が運搬する荷物PGの形状に応じた閾値情報を記憶部200から読み出して処理に用いる。荷物PGの形状は、出荷時に指定されてもよく、初回起動時に指定されてもよい。
【0056】
かかる構成によれば、動作制御部114は、荷物PGの形状に基づいた第1閾値Th1、及び第2閾値Th2に基づいて、第1制御や第2制御を実行する。これにより、フォークリフト10は、方形以外の形状の荷物PGを運搬する場合であっても、荷物PGにダメージを与えることなく、運搬することができる。
【0057】
[第1閾値Th1、及び第2閾値Th2:乗員の指定]
また、第1閾値Th1、及び第2閾値Th2は、例えば、フォークリフト10の乗員により指定されてもよい。この場合、図7に示すように、フォークリフト10は、乗員の入力を受け付ける入力部60を更に備える。入力部60は、例えば、HMI(Human Machine Interface)により実現される。入力部60は、各種表示装置、スピーカ、ブザー、タッチパネル、スイッチ、キーなどを含む。
【0058】
図8に示すように、入力部60の表示装置には、乗員に第1閾値Th1、及び第2閾値Th2の入力を促す画像IMが表示される。画像IMには、例えば、乗員に第1閾値Th1、及び第2閾値Th2の入力を促すメッセージMSと、テキストボックスTX1と、テキストボックスTX2と、テンキー画像KYとが含まれる。テキストボックスTX1には、荷物PGがフォーク26から車体11側にはみ出す長さが入力される。テキストボックスTX2には、荷物PGのフォーク26の底面から下方にはみ出す長さが入力される。メッセージMSとは、例えば、「フォークからの荷物のはみ出し量を入力してください」等である。制御装置100は、例えば、記憶部200に画像IMの情報を記憶しており、フォークリフト10の起動時やフォーク26への荷物PGの積載時等に、入力部60に画像IMを表示させる。
【0059】
図9に示すように、この場合、制御部110は、上述した構成に加えて、決定部118を更に備える。決定部118は、取得部112によって取得された入力部60に対する入力に基づいて、第1閾値Th1,第2閾値Th2を決定する。決定部118は、例えば、テキストボックスTX1に入力された値と、リーチレグ12の前後方向の長さを示す値とを足し合わせた値を第1閾値Th1として決定し、決定した第1閾値Th1を第1閾値情報202として記憶部200に記憶させる。決定部118は、テキストボックスTX2に入力された値と、リーチレグ12の高さを示す値とを足し合わせた値を第2閾値Th2として決定し、決定した第2閾値Th2を第2閾値情報204として記憶部200に記憶させる。
【0060】
この場合、動作制御部114は、決定部118により決定された第1閾値Th1を示す第1閾値情報202、及び第2閾値情報204に基づいて、第1制御と、第2制御とのうち、少なくとも一方の制御を実行する。
【0061】
ここで、フォークリフト10が運搬する荷物PGの形状は、都度異なる場合がある。この場合、第1閾値Th1、及び第2閾値Th2は、運搬する荷物PGの形状に応じて、都度指定されることが好ましい。かかる構成によれば、動作制御部114は、乗員の指定する第1閾値Th1、及び第2閾値Th2に基づいて、第1制御や第2制御を実行する。これにより、フォークリフト10は、都度異なる形状の荷物PGを運搬する場合であっても、荷物PGにダメージを与えることなく、運搬することができる。
【0062】
各実施形態は、以下のように変更して実施することができる。実施形態及び以下の変形例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
○揚高センサ42、及びリーチ量センサ44は、ワイヤー式センサ以外のセンサにより実現されてもよい。詳しくは、フォーク26の高さやリーチ量を検出可能な、光学式センサであってもよく、エンコーダであってもよい。また、フォーク26やマスト22を撮像し、生成した画像を画像処理することにより、フォーク26の高さやリーチ量を検出する画像処理装置であってもよい。
【0063】
○フォークリフト10は、遠隔操作されるものであってもよい。この場合、操作者は、フォークリフト10から離れた遠隔地でフォークリフト10の操作を行う。操作者は、遠隔地に設けられた操作端末を操作する。操作端末としては、専用の装置を用いることもできるし、タブレット端末などの携帯通信端末を用いることもできる。操作端末は、フォークリフト10を操作する操作部と、操作部の操作量を検出する操作量検出部と、通信装置と、を備える。操作部は、レバー等の物理的な部材であってもよいし、操作部として機能するシンボルをタッチパネルに表示したものであってもよい。操作端末が、操作部として機能するシンボルをタッチパネルに表示する場合、タッチパネルの操作によってフォークリフト10の荷役動作が行われる。例えば、タッチパネル上での操作者のタップ操作やスライド操作によってフォークリフト10の荷役動作が行われる。この場合、操作量はタップ回数やスライド量であり、タッチパネルが操作量検出部として機能する。通信装置は、予め定められたフォーマットでデータを生成し、このデータをフォークリフト10に送信するものである。通信装置は、操作部の操作量等、操作部が操作されているか否かを制御装置100が判定できる情報を送信する。従って、乗員がフォークリフト10に乗車している場合と同様の制御を行うことができる。
【0064】
フォークリフト10は、車載通信装置を備える。車載通信装置は、通信装置から送信されたデータを受信して制御装置100に出力する。制御装置100は、通信装置から送信されたデータに従いフォークリフト10を動作させる。制御装置100は、操作部の操作に応じて荷役装置21の制御を行う。制御装置100は、通信装置から送信されたデータから、操作部が操作されているか否かを判定する。この場合。車載通信装置が取得部として機能しているといえる。
【符号の説明】
【0065】
10…フォークリフト、11…車体、12…リーチレグ、22…マスト、26…フォーク、PG…荷物、34…操作部、40…積載センサ、42…揚高センサ、44…リーチ量センサ、114…動作制御部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9