(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022190561
(43)【公開日】2022-12-26
(54)【発明の名称】空気調整装置
(51)【国際特許分類】
F24F 11/79 20180101AFI20221219BHJP
F24F 11/80 20180101ALI20221219BHJP
F24F 110/10 20180101ALN20221219BHJP
【FI】
F24F11/79
F24F11/80
F24F110:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021098933
(22)【出願日】2021-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】内田 敬介
【テーマコード(参考)】
3L260
【Fターム(参考)】
3L260AA01
3L260AB02
3L260BA08
3L260BA15
3L260CA12
3L260CB63
3L260EA07
3L260FA03
3L260FA08
3L260FC15
3L260FC16
(57)【要約】
【課題】駆動音を抑制できる空気調整装置を提供する。
【解決手段】空気調整装置95は、送風機構53と、風向変更機構58と、性質調整機構11と、制御部56とを備える。制御部56は、第1モードと第2モードとを受付ける。制御部56は、第1モードにおいて、第1制御信号に基づいて送風機構53と風向変更機構58と性質調整機構11とを制御する。制御部56は、第2モードにおいて、第2制御信号に基づいて送風機構53と風向変更機構58と性質調整機構11とを制御する。第1制御信号は、空気を送風する方向を第1変更速度で変更するように風向変更機構58を制御する信号を含む。第2制御信号は、空気を送風する方向を、空間に含まれる複数の領域の内の対象領域に向かう所定方向に第2変更速度で変更するように風向変更機構58を制御する信号を含む。第2変更速度は、第1変更速度より遅い。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気を送風する送風機構と、
前記空気を送風する方向を変更する風向変更機構と、
前記空気の性質を調整する性質調整機構と、
第1モードと第2モードとを受付ける制御部と
を備え、
前記制御部は、
前記第1モードにおいて、第1制御信号に基づいて前記送風機構と前記風向変更機構と前記性質調整機構とを制御し、
前記第2モードにおいて、第2制御信号に基づいて前記送風機構と前記風向変更機構と前記性質調整機構とを制御し、
前記第1制御信号は、前記空気を送風する方向を第1変更速度で変更するように前記風向変更機構を制御する信号を含み、
前記第2制御信号は、前記空気を送風する方向を、空間に含まれる複数の領域の内の対象領域に向かう所定方向に第2変更速度で変更するように前記風向変更機構を制御する信号を含み、
前記第2変更速度は、前記第1変更速度より遅い、空気調整装置。
【請求項2】
前記空間の空気の性質を検知する検知部を更に備え、
前記制御部は、
前記第2モードにおいて、前記第2制御信号に基づいて前記送風機構と前記風向変更機構と前記性質調整機構とを制御した後、第3制御信号に基づいて前記送風機構と前記風向変更機構と前記性質調整機構とを制御し、
前記第3制御信号は、前記空気の性質を設定性質に調整するように前記性質調整機構を制御する信号を更に含み、
前記制御部は、前記検知部で検知された前記性質と、前記設定性質との差が閾値以上である場合には、前記第2制御信号に基づいて前記送風機構と前記風向変更機構と前記性質調整機構とを制御する前に、第4制御信号に基づいて前記送風機構と前記風向変更機構と前記性質調整機構とを制御し、
前記第4制御信号は、前記対象領域と離れた領域に、前記空気を送風するように前記風向変更機構を制御する信号を含む、請求項1に記載の空気調整装置。
【請求項3】
前記設定性質が第1所定温度以上である場合には、前記第4制御信号は、前記所定方向より下方に向かって前記空気を送風するように前記風向変更機構を制御する信号を更に含む、請求項2に記載の空気調整装置。
【請求項4】
前記設定性質が第2所定温度以下である場合には、前記第4制御信号は、前記所定方向より上方に向かって前記空気を送風するように前記風向変更機構を制御する信号を更に含む、請求項2に記載の空気調整装置。
【請求項5】
前記第2制御信号は、前記検知部で検知された前記性質と、前記設定性質との差に応じた前記第2変更速度で、前記空気を送風する方向を変更するように、前記風向変更機構を制御する信号を更に含む、請求項2に記載の空気調整装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
部屋内に居るペットを検出できる空気調和機が開示されている(例えば、特許文献1)。特許文献1に記載の空気調和機では、室内熱交換器と、空気清浄機と、検出部と、制御部とを備える。室内熱交換器は、部屋内の空気に対して熱交換を行なう。空気清浄機は、空気清浄能力を切換可能である。検出部は、部屋内に居る人及びペットを検出する。制御部は、検出部が部屋内にペットのみが居ることを検出した場合には、検出部が部屋内に人が居ることを検出した場合よりも、空気清浄機の空気清浄能力をアップさせる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の空気調和機では、空間に含まれる複数の領域の全てで空気の温度が所定温度になった。長時間、部屋内にペットのような動物は居ると、動物は、所定温度と異なる温度ですごしたいことがあった。その結果、動物は、部屋内で快適にすごせなかった。また、動物は、空気を送風する方向が変更される駆動音に驚くことがあった。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、駆動音を抑制できる空気調整装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一局面によれば、空気調整装置は、送風機構と、風向変更機構と、性質調整機構と、制御部とを備える。前記送風機構は、空気を送風する。前記風向変更機構は、前記空気を送風する方向を変更する。前記性質調整機構は、前記空気の性質を調整する。前記制御部は、第1モードと第2モードとを受付ける。前記制御部は、前記第1モードにおいて、第1制御信号に基づいて前記送風機構と前記風向変更機構と前記性質調整機構とを制御する。前記制御部は、前記第2モードにおいて、第2制御信号に基づいて前記送風機構と前記風向変更機構と前記性質調整機構とを制御する。前記第1制御信号は、前記空気を送風する方向を第1変更速度で変更するように前記風向変更機構を制御する信号を含む。前記第2制御信号は、前記空気を送風する方向を、空間に含まれる複数の領域の内の対象領域に向かう所定方向に第2変更速度で変更するように前記風向変更機構を制御する信号を含む。前記第2変更速度は、前記第1変更速度より遅い。
【発明の効果】
【0007】
本発明の空気調整装置によれば、駆動音を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態に係る空気調整システムの構成を示す図である。
【
図2A】本実施形態に係る室内機を示す断面図である。
【
図2B】本実施形態に係る室内機を示す斜視図である。
【
図3】本実施形態に係る部屋の構成を示す図である。
【
図4】本実施形態に係る操作装置を示すブロック図である。
【
図5】本実施形態に係る空気調整装置を示すブロック図である。
【
図6】本実施形態に係る部屋の構成を示す図である。
【
図7】本実施形態に係る空気調整システムによる空気調整方法を説明するためのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0010】
図1を参照して、本発明の実施形態に係る空気調整システム200を説明する。
図1は、本実施形態に係る空気調整システム200の構成を示す図である。
図1に示すように、空気調整システム200は、空気調整装置95と、操作装置210とを備える。なお、本実施形態では、図中に、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸を示す。Z軸は鉛直方向に平行であり、X軸及びY軸は水平方向に平行である。
【0011】
まず、空気調整装置95について説明する。空気調整装置95は、空気の性質を調整する。空気の性質は、例えば、空気の温度を含む。具体的には、空気調整装置95は、室内機5と、室外機10とを含む。なお、室内機5は、配管によって室外機10と接続される。室外機10は部室外に設置される。そして、配管を通して、室内機5と室外機10との間で媒体が循環する。室外機10は、ファンと、圧縮機11と、熱交換器と、四方弁のような各種部品とを備える。圧縮機11は、「性質調整機構」の一例である。
【0012】
具体的には、室内機5は、制御装置90を有する。制御装置90は、制御部56と、通信部59とを有する。制御部56は、CPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサーを含む。制御部56は、空気調整装置95の各要素を制御する。
【0013】
通信部59は、操作装置210と無線通信を行う。例えば、通信部59は、ネットワークを介して相互に通信する。ネットワークは、例えば、インターネット、LAN(Local Area Network)、及び公衆電話網を含む。具体的には、通信部59は、例えば、所定の通信プロトコルに従って通信を行うネットワークインターフェースコントローラー(NIC)、又は、WiFiによる通信規格に準じた通信を含む。所定の通信プロトコルは、例えば、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)プロトコル・スイート(つまり、インターネット・プロトコル・スイート)である。
【0014】
また、通信部59は、例えば、無線通信を行う無線通信モジュールを含んでもよい。具体的には、通信部59は、例えば、近距離無線通信を実行する無線通信モジュールである。近距離無線通信は、例えば、通信距離が数メートルから数十メートル程度の無線通信である。近距離無線通信は、例えば、赤外線通信、Bluetooth(登録商標)又はZigBee(登録商標)による通信規格に準じた通信である。Bluetooth(登録商標)による通信規格に準じた通信は、例えば、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)である。
【0015】
続けて
図2A及び
図2Bを参照して、室内機5の構成について説明する。
図2Aは、室内機5を示す断面図である。
図2Bは、導風パネル54Aaが取り外された状態の室内機5を示す斜視図である。
図1~
図2Bに示すように、室内機5は、キャビネット50と、フィルター51と、空気調整部91を含む。空気調整部91は、ファン53と、風向板54Aと、熱交換器52とを含む。ファン53は、「送風機構」の一例である。風向板54Aは、「風向変更機構」の一例である。
【0016】
キャビネット50の形状は、例えば、直方体である。具体的には、キャビネット50は、上面50aと、下面50bと、前面50cと、背面50dと、右側面50eと、左側面50fとを有する。背面50dは、部屋の側壁に取付けられる。
【0017】
背面50dは、前面50cと対向して配置される。第1方向D1は、背面50dから前面50cに向かう方向を示す。そして、背面50dは、キャビネット50の内の第1方向D1の反対方向側に配置される。第1方向D1は、X軸の正方向である。
【0018】
左側面50fは、右側面50eと対向して配置される。第2方向D2は、右側面50eから左側面50fに向かう方向を示す。そして、左側面50fは、キャビネット50の内の第2方向D2側に配置される。第2方向D2は、Y軸の正方向である。
【0019】
上面50aは、下面50bと対向して配置される。第3方向D3は、下面50bから上面50aに向かう方向を示す。そして、上面50aは、キャビネット50の内の第3方向D3側に配置される。第3方向D3は、Z軸の正方向である。
【0020】
キャビネット50は、吸込口P1Aと、吹出口P2と、流通路Gとを更に有する。吸込口P1Aは、キャビネット50の上面50aに形成される。吹出口P2は、キャビネット50の下面50bに形成される。そして、キャビネット50の内部には、吸込口P1Aから吹出口P2に至る流通路Gが形成される。
【0021】
流通路Gには、空気が流通する。ファン53と熱交換器52とは、流通路Gに配置される。
【0022】
ファン53は、空気を送風する。具体的には、ファン53は、運転時に、吸込口P1Aを通して外部から流通路Gに空気を吸い込み、吸い込んだ空気を、吹出口P2を通して流通路Gから外部に吹き出す。ファン53は、例えば、クロスフローファンである。クロスフローファンは、例えば、略円筒体の羽根車である。
【0023】
風向板54Aは、空気を送風する方向を変更する。具体的には、風向板54Aは、導風パネル54Aaと、横ルーバ54Abと、複数の縦ルーバ54Acとを含む。風向板54Aは、吹出口P2に配置される。風向板54Aは、移動して、例えば、複数の状態の内のいずれかの状態となる。
【0024】
熱交換器52は、空気の性質を調整する。具体的には、熱交換器52は、熱交換を行う。詳細には、熱交換器52は、流通路Gを流通する空気と、室外機10から供給された媒体との間で、熱エネルギーを伝達する。例えば、流通路Gを流通する空気が冷媒によって冷却されて、流通路Gを流通する空気の温度は、冷却温度になる。冷却温度は、例えば、20℃である。
【0025】
フィルター51は、吸込口P1Aに配置される。フィルター51は室内の空気中の塵埃を集塵する。具体的には、フィルター51は、吸込口P1Aを通過する空気から塵埃を集塵する。
【0026】
続けて
図3を参照して、室内機5が配置される部屋100について詳細に説明する。
図3は、部屋100の構成を示す図である。
図3に示すように、部屋100は、複数の壁面111と、床112と、天井とを有する。複数の壁面111と、床112と、天井とによって、空間114が画定されている。
【0027】
空間114は、三次元空間である。具体的には、空間114は、複数の領域を含む。例えば、複数の領域は、それぞれ、互いに同じ体積を有する略直方体形状である。例えば、複数の領域は、N行×M列×S段の領域である。N、M及びSの内の少なくとも1つは2以上の整数を示す。複数の領域は、第1方向(X軸の正方向)D1に第1行から第N行まで順に並び、第2方向(Y軸の正方向)D2に第1列から第M列まで順に並び、第3方向(Z軸の正方向)D3に第1段から第S段まで順に並んでいる。
【0028】
室内機5は、複数の壁面111の内の第1方向D1と逆方向側の壁面111の上部に設置される。例えば、第1行第2列第3段の領域に、室内機5が配置されている。また、空間114には、家具又は家電が配置されている。例えば、第1行第1列第1段の領域に、ベッドが配置されている。第3行第1列第1段の領域に、テレビが配置されている。
【0029】
空間114には、犬PC及びユーザHAが存在する。犬PCは、ペットの一例である。犬PCは、空間114で、食事、運動、排便又は睡眠を行う。ユーザHAは、空間114で、食事、運動又は睡眠を行う。具体的には、N行×M列×S段の領域の内のいずれかの領域に、犬PCとユーザHAとが存在する。
【0030】
続けて、
図4を参照して、実施形態に係る操作装置210について説明する。
図4は、操作装置210を示すブロック図である。
図4に示すように、操作装置210は、例えば、タブレット端末又はスマートフォンである。操作装置210は、ユーザHAに所持される。
【0031】
具体的には、操作装置210は、記憶部211と、制御部212と、通信部213と、操作部214とを有する。
【0032】
記憶部211は、プログラムを記録した非一時的コンピュータ読取可能記録媒体の一例である。具体的には、記憶部211は、記憶装置を含み、アプリケーションプログラム(以下、「アプリケーションAP」と記載する場合がある)、コンピュータプログラム及びデータを記憶する。具体的には、記憶部211は、半導体メモリーのような主記憶装置と、半導体メモリー、ソリッドステートドライブ、及び/又は、ハードディスクドライブのような補助記憶装置とを含む。記憶部211は、リムーバブルメディアを含んでいてもよい。
【0033】
アプリケーションAPは、例えば、操作部214に複数の操作ボタンを表示させるコンピュータプログラムである。なお、実施形態では、アプリケーションAPは、サーバー250から操作装置210にダウンロードされ、インストールされている。サーバー250は、制御部251と、記憶部252とを有する。制御部251は、CPUのようなプロセッサーを含む。記憶部252は、プログラムを記録した非一時的コンピュータ読取可能記録媒体の一例である。具体的には、記憶部252は、記憶装置を含み、アプリケーションAP、コンピュータプログラム及びデータを記憶する。具体的には、記憶部252は、半導体メモリーのような主記憶装置と、半導体メモリー、ソリッドステートドライブ、及び/又は、ハードディスクドライブのような補助記憶装置とを含む。記憶部252は、リムーバブルメディアを含んでいてもよい。
【0034】
制御部212は、CPUのようなプロセッサーを含む。制御部212は、操作装置210の各要素を制御する。具体的には、制御部212が、記憶部211に格納されたコンピュータプログラム及びアプリケーションAPを実行することにより、通信部213と操作部214とを制御する。
【0035】
操作部214は、例えばタッチパネルである。具体的には、操作部214は、タッチ検出部及び表示部を含む。表示部は、例えば、液晶ディスプレイ、又は、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイである。タッチ検出部は、例えば、タッチセンサーである。タッチ検出部は、例えば表示部の表示面に配置される。
【0036】
詳細には、操作部214は、指示情報S1を受付ける。例えば、ユーザHAが所定ボタン(例えば決定ボタン)をタッチすることにより、操作部214は、指示情報S1を受付ける。指示情報S1は、ユーザHAからの指示を示す。
【0037】
指示情報S1は、空気の性質の目標設定値を含むことが好ましい。目標設定値は、例えば、空気の目標温度値(例えば26℃)を含む。目標設定値は、任意の数値であり、ユーザHAによって選択されたり、予め設定されている。
【0038】
また、指示情報S1は、空間114に含まれる複数の領域の内の対象領域を指定する情報を含む第2モードを示す場合と、対象領域を指定する情報を含まない第1モードを示す場合とがある。対象領域は、空間114に含まれる。対象領域は、例えば、第2行第2列第1段の領域である。対象領域は、任意の領域であり、ユーザHAによって選択されたり、予め設定されている。
【0039】
通信部213は、室内機5と無線通信を行う。通信部213は、例えば、所定の通信プロトコルに従って通信を行うネットワークインターフェースコントローラー(NIC)、又は、WiFiによる通信規格に準じた通信を含む。また、通信部213は、無線通信を行う無線通信モジュールを含んでもよい。具体的には、通信部213は、室内機5に指示情報S1を送信する。
【0040】
続けて、
図5を参照して、本実施形態に係る空気調整装置95を説明する。
図5は、空気調整装置95を示すブロック図である。
図5に示すように、室内機5は、記憶部57と、駆動部58と、温度センサ70とを更に含む。駆動部58は、「風向変更機構」の一例である。温度センサ70は、「検知部」の一例である。
【0041】
温度センサ70は、空間114の空気の性質を検知する。具体的には、温度センサ70は、空間114の空気の温度を検知する。温度センサ70は、例えば、キャビネット50に配置されている。
【0042】
駆動部58は、風向板54Aを駆動する。風向板54Aは、複数の状態の内のいずれかの状態となる。具体的には、風向板54Aは、第1状態から第13状態の内のいずれかの状態となる。詳細には、風向板54Aは、運転停止時に、第1状態となる。第1状態は、吹出口P2を閉めた状態を示す。
【0043】
一方、風向板54Aは、運転時に、第2状態から第13状態の内のいずれかの状態となる。第2状態から第13状態の各々は、吹出口P2を開いた状態を示す。具体的には、第2状態は、第1行第1列第1段の領域に向かって空気を送風する状態を示す。第3状態は、第1行第2列第1段の領域に向かって空気を送風する状態を示す。第4状態は、第1行第3列第1段の領域に向かって空気を送風する状態を示す。第5状態は、第2行第1列第1段の領域に向かって空気を送風する状態を示す。第6状態は、第2行第2列第1段の領域に向かって空気を送風する状態を示す。第7状態は、第2行第3列第1段の領域に向かって空気を送風する状態を示す。第8状態は、第3行第1列第1段の領域に向かって空気を送風する状態を示す。第9状態は、第3行第2列第1段の領域に向かって空気を送風する状態を示す。第10状態は、第3行第3列第1段の領域に向かって空気を送風する状態を示す。第11状態は、第3行第1列第3段の領域に向かって空気を送風する状態を示す。第12状態は、第3行第2列第3段の領域に向かって空気を送風する状態を示す。第13状態は、第3行第3列第3段の領域に向かって空気を送風する状態を示す。
【0044】
通信部59は、操作装置210から指示情報S1を受信する。
【0045】
記憶部57は、プログラムを記録した非一時的コンピュータ読取可能記録媒体の一例である。具体的には、記憶部57は、記憶装置を含み、アプリケーションプログラム(以下、「アプリケーションBP」と記載する場合がある)、コンピュータプログラム及びデータを記憶する。具体的には、記憶部57は、半導体メモリーのような主記憶装置と、半導体メモリー、ソリッドステートドライブ、及び/又は、ハードディスクドライブのような補助記憶装置とを含む。記憶部211は、リムーバブルメディアを含んでいてもよい。
【0046】
詳細には、記憶部57は、第1制御テーブルを記憶することが好ましい。第1制御テーブルは、指示情報S1が対象領域を指定する情報を含まない第1モードを示す場合に、用いられる。
【0047】
第1制御テーブルは、指示情報S1と、第1制御信号S2との関係を示す。具体的には、第1制御テーブルは、温度センサ70の検知結果(例えば、初期温度値)と、設定性質(例えば、目標設定値)と、ファン53の制御方法(例えば、回転速度、角加速度)と、駆動部58の制御方法(例えば、風向板54Aの状態)と、圧縮機11の制御方法(例えば、回転数、膨張弁開度、弁の切替)との関係を示す。
【0048】
制御部56は、第1モードを受付ける。制御部56は、第1モードにおいて、第1制御信号S2に基づいてファン53と駆動部58と圧縮機11とを制御する。具体的には、制御部56は、第1モードを受付けたときに、第1制御テーブルに基づいて第1制御信号S2を作成する。第1制御信号S2は、圧縮機11を制御する信号S23と、ファン53を制御する信号S21と、駆動部58を制御する信号S22とを含む。
【0049】
駆動部58を制御する信号S22は、空気を送風する方向を第1変更速度で変更するように風向板54Aを制御する信号を含む。具体的には、制御部56は、第3行第1列第3段の領域に向かって、冷却温度の空気を送風するように、風向板54Aを制御する。次に、制御部56は、第3行第2列第3段の領域に向かって、冷却温度の空気を送風するように、風向板54Aを制御する。次に、制御部56は、第3行第3列第3段の領域に向かって、冷却温度の空気を送風するように、風向板54Aを制御する。
【0050】
そして、例えば、温度センサ70で検出された検知結果が目標温度値以下になったときに、駆動部58、ファン53及び圧縮機11を作動させることを停止する。一方、温度センサ70で検出された検知結果が目標温度値を超えたときに、駆動部58、ファン53及び圧縮機11を作動させる。その結果、第1行第1列第1段から第3行第3列第3段までの全領域の空気が混合されることにより、第1行第1列第1段から第3行第3列第3段までの全領域で空気の温度が目標温度値になる。よって、ユーザHA及び犬PCは、N行×M列×S段の領域の内のいずれの領域に居ても、目標温度値ですごすことができる。
【0051】
また、例えば、ユーザHAは、部屋100内の空気の目標温度値を変更したいときに、通信部59に指示情報S1を受付けさせる。例えば、ユーザHAは食事するときに、目標温度値を低くする。また、ユーザHAは寝るときに、目標温度値を高くする。よって、ユーザHA及び犬PCは、部屋100内で快適にすごすことができる。
【0052】
続けて
図6を参照して、空間114に犬PCが存在する場合について説明する。
図6は、部屋100の構成を示す図である。空間114には、犬PCが存在する。なお、空間114には、ユーザHAが存在しない。例えば、ユーザHAは仕事に出かけている。すなわち、ユーザHAは長時間、外出している。犬PCは、空間114で、食事、運動、排便又は睡眠を行う。具体的には、N行×M列×S段の領域の内のいずれかの領域に、犬PCが存在する。犬PCは、N行×M列×S段の領域の内のいずれかの領域に自由に移動する。
【0053】
通信部59は、操作装置210から指示情報S1を受信する。指示情報S1が対象領域を指定する情報を含む第2モードを示す場合、指示情報S1で示される目標設定値は、犬PCに応じた性質を示すことが好ましい。詳細には、目標設定値は、犬PCが好む性質を示すことが好ましい。
【0054】
制御部56は、第2モードを受付ける。制御部56は、第2モードにおいて、第2制御信号S2に基づいてファン53と駆動部58と圧縮機11とを制御する。具体的には、制御部56は、第2モードを受付けたときに、第2制御信号S2を作成する。第2制御信号S2は、圧縮機11を制御する信号S23と、ファン53を制御する信号S21と、駆動部58を制御する信号S22とを含む。
【0055】
駆動部58を制御する信号S22は、空気を送風する方向を、空間114に含まれる複数の領域の内の対象領域に向かう所定方向に第2変更速度で変更するように駆動部58を制御する信号を含む。第2変更速度は、第1変更速度より遅い。具体的には、制御部56は、例えば、第2行第2列第1段の領域に応じた信号S22を作成し、風向板54Aが第6状態となるように、駆動部58を制御する。換言すれば、制御部56は、空間114に含まれる複数の領域の内の対象領域に向かって空気を送風するように、風向板54Aを第2変更速度で移動させる。
【0056】
以上、
図1から
図6を参照して説明したように、本実施形態によれば、対象領域に向かう所定方向に第2変更速度で変更するように駆動部58を制御する。第2変更速度は、第1変更速度より遅い。その結果、駆動部58の駆動音は小さくなる。よって、犬PCのような動物は、駆動部58の駆動音を気にせず、部屋100内で快適にすごすことができる。
【0057】
更に詳細には、第2制御信号S2は、温度センサ70で検知された性質と、設定性質との差に応じた第2変更速度で、空気を送風する方向を変更するように、駆動部58を制御する信号を更に含む。例えば、温度センサ70で検知された性質と設定性質との差が大きい場合には、より遅い第2変更速度で、空気を送風する方向を変更する。一方、温度センサ70で検知された性質と設定性質との差が小さい場合には、より速い第2変更速度で、空気を送風する方向を変更する。その結果、対象領域(例えば、第2行第2列第1段の領域)の空気の性質と、対象領域以外の空気の性質との差が大きくなることを抑制できる。
【0058】
更に詳細には、記憶部57は、第2制御テーブルを更に記憶することが好ましい。第2制御テーブルは、指示情報S1が対象領域を指定する情報を含む第2モードを示す場合に、用いられる。
【0059】
第2制御テーブルは、指示情報S1と、第3制御信号S2との関係を示す。具体的には、第2制御テーブルは、温度センサ70の検知結果(例えば、初期温度値)と、設定性質(例えば、目標設定値)と、空間114における対象領域の位置(例えば、第2行第2列第1段の領域)と、ファン53の制御方法(例えば、回転速度、角加速度)と、駆動部58の制御方法(例えば、風向板54Aの状態)と、圧縮機11の制御方法(例えば、回転数、膨張弁開度、弁の切替)との関係を示す。
【0060】
制御部56は、第2モードにおいて、第2制御信号S2に基づいてファン53と駆動部58と圧縮機11とを制御した後、第3制御信号S2に基づいてファン53と駆動部58と圧縮機11とを制御する。
【0061】
第3制御信号S2は、圧縮機11を制御する信号S23と、ファン53を制御する信号S21と、駆動部58を制御する信号S22とを含む。圧縮機11を制御する信号S23は、空気の性質を設定性質に調整するように圧縮機11を制御する信号を更に含む。
【0062】
具体的には、制御部56は、温度センサ70から初期温度値(例えば、30℃)を示す信号を受信する。制御部56は、初期温度値と目標温度値とに基づいて、信号S23を作成し、圧縮機11を作動させる。換言すれば、制御部56は、空間114に含まれる複数の領域の内の対象領域に向かって、熱交換器52で性質が調整された空気を送風する。
【0063】
より具体的には、制御部56は、第2行第2列第1段の領域に向かって、冷却温度の空気を送風する。すなわち、空気は、第1行第2列第2段の領域を通過し、第2行第2列第1段の領域に到達する。その結果、第2行第2列第1段及び第1行第2列第2段の領域に存在する空気の温度は、略目標温度値を示す。
【0064】
また、例えば、ユーザHAは外出する前に、通信部59に、対象領域を指定する情報を含む指示情報S1を受付けさせる。その結果、ユーザHAが部屋100内に居なくても、犬PCのような動物は、部屋100内で快適にすごすことができる。
【0065】
続けて
図7を参照して本実施形態の空気調整システム200による空気調整方法を説明する。
図7は、空気調整システム200による空気調整方法を説明するためのフロー図である。
【0066】
図7に示すように、ステップS101において、通信部59は、操作装置210から指示情報S1を受信したか否かを判定する。ステップS101で通信部59は、操作装置210から指示情報S1を受信していないと判定した場合には、処理は、ステップS101に戻る。
【0067】
一方、ステップS101で通信部59は、操作装置210から指示情報S1を受信したと判定した場合には、ステップS102に進む。
【0068】
次に、ステップS102において、制御部56は、第1モードであるか、第2モードであるかを判定する。ステップS102で制御部56は、第1モードであると判定した場合には、処理は、ステップS103に進む。
【0069】
次に、ステップS103において、制御部56は、第1モードにおいて、第1制御信号S2に基づいてファン53と駆動部58と圧縮機11とを制御する。風向板54Aは、空気を送風する方向を第1変更速度で変更する。そして、空気調整方法が終了する。
【0070】
一方、ステップS102で制御部56は、第2モードであると判定した場合には、処理は、ステップS104に進む。次に、ステップS104において、制御部56は、第2モードにおいて、第2制御信号S2に基づいてファン53と駆動部58と圧縮機11とを制御する。風向板54Aは、空気を送風する方向を、空間114に含まれる複数の領域の内の対象領域に向かう所定方向に第2変更速度で変更する。
【0071】
次に、ステップS105において、制御部56は、第3制御信号S2に基づいてファン53と駆動部58と圧縮機11とを制御する。そして、空気調整方法が終了する。
【0072】
更に詳細には、制御部56は、温度センサ70で検知された性質と、設定性質との差が閾値以上である場合には、第2制御信号S2に基づいてファン53と駆動部58と圧縮機11とを制御する前に、第4制御信号S2に基づいてファン53と駆動部58と圧縮機11とを制御する。
【0073】
第4制御信号S2は、圧縮機11を制御する信号S23と、ファン53を制御する信号S21と、駆動部58を制御する信号S22とを含む。駆動部58を制御する信号S22は、対象領域と離れた領域に、空気を送風するように駆動部58を制御する信号を含む。
【0074】
具体的には、設定性質が第1所定温度以上である場合には、第4制御信号S2は、所定方向より下方に向かって空気を送風するように駆動部58を制御する信号を更に含む。第1所定温度は、高温であり、例えば、28℃である。具体的には、制御部56は、第1行第2列第1段の領域に向かって、高温の空気を送風するように、風向板54Aを制御する。すなわち、空気は、第1行第2列第2段の領域を通過し、第1行第2列第1段の領域に到達する。その結果、対象領域(例えば、第2行第2列第1段の領域)の空気の性質と、対象領域以外の空気の性質との差が大きくなることを抑制できる。
【0075】
また、初期温度と第1所定温度との差が大きいとき(例えば3℃以上であるとき)には、第1行第2列第1段の領域に向かって、空気を送風する期間は長く、初期温度と第1所定温度との差が小さいときには、第1行第2列第1段の領域に向かって、空気を送風する期間は短くしてもよい。
【0076】
また、設定性質が第2所定温度以下である場合には、第4制御信号S2は、所定方向より上方に向かって空気を送風するように駆動部58を制御する信号を更に含む。第2所定温度は、低温であり、例えば、22℃である。具体的には、制御部56は、第3行第2列第3段の領域に向かって、低温の空気を送風するように、風向板54Aを制御する。すなわち、空気は、第2行第2列第3段の領域を通過し、第3行第2列第3段の領域に到達する。その結果、対象領域(例えば、第2行第2列第1段の領域)の空気の性質と、対象領域以外の空気の性質との差が大きくなることを抑制できる。
【0077】
また、初期温度と第2所定温度との差が大きいとき(例えば3℃以上であるとき)には、第3行第2列第3段の領域に向かって、空気を送風する期間は長く、初期温度と第2所定温度との差が小さいときには、第3行第2列第3段の領域に向かって、空気を送風する期間は短くしてもよい。
【0078】
以上、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明した。但し、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。また、上記の各実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって、種々の発明の形成が可能である。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚み、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる。また、上記の実施形態で示す各構成要素の速度、材質、形状、寸法等は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の構成から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0079】
(1)
図1~
図7を参照して説明したように、本実施形態では、空気調整装置95は、空気の性質として、空気の温度を調整したが、本発明はこれに限定されない。空気調整装置95は、空気の性質として、空気の湿度を調整してもよく、空気中の物質(例えば、プラズマクラスターイオン)の含有量を調整してもよく、空気の温度及び湿度を調整してもよく、空気の温度及び空気中の物質の含有量を調整してもよい。
【0080】
(2)
図1~
図7を参照して説明したように、本実施形態では、ペットは、犬PCであったが、本発明はこれに限定されない。ペットは、猫、鳥、爬虫類又は両生類であってもよい。
【0081】
(3)
図1~
図7を参照して説明したように、本実施形態では、空間114に含まれる複数の領域は、それぞれ、互いに同じ体積を有する略直方体形状であったが、本発明はこれに限定されない。複数の領域は、それぞれ、略球体形状であってもよい。また、複数の領域は、互いに異なる体積を有してもよい。すなわち、対象領域は、空間114の内の一部の領域であればよい。
【0082】
(4)
図1~
図7を参照して説明したように、本実施形態では、操作装置210は、タブレット端末又はスマートフォンであったが、本発明はこれに限定されない。操作装置210は、空気調整装置95専用のリモコンであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明は、空気調整装置を提供するものであり、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0084】
11 熱交換器(性質調整機構)
53 ファン(送風機構)
54A 風向板
56 制御部
58 駆動部(風向変更機構)
95 空気調整装置