(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022190583
(43)【公開日】2022-12-26
(54)【発明の名称】物流システムにおけるダイヤグラム作成方法、ダイヤグラム作成装置及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/08 20120101AFI20221219BHJP
B65G 61/00 20060101ALI20221219BHJP
G16Y 10/40 20200101ALI20221219BHJP
G16Y 20/20 20200101ALI20221219BHJP
G16Y 40/20 20200101ALI20221219BHJP
G16Y 40/30 20200101ALI20221219BHJP
【FI】
G06Q10/08 300
B65G61/00 542
G16Y10/40
G16Y20/20
G16Y40/20
G16Y40/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021098971
(22)【出願日】2021-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】519426162
【氏名又は名称】株式会社AirBusinessClub
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】大堀 翔平
(72)【発明者】
【氏名】大堀 富生
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA16
(57)【要約】
【課題】経由地点で物流部材を積み替えることが可能な輸送機器のダイヤグラムを作成する物流システムにおけるダイヤグラム作成方法、ダイヤグラム作成装置及びコンピュータプログラムを提供する。
【解決手段】ダイヤグラム作成方法は、物品の輸送の需要予測の結果を示すデータから、前記物品を収容する物流部材の出発地点、出発可能時刻、目的地点、及び必着時刻に基づく前記物流部材のダイヤグラムを、予測された物流部材の需要数に応じて作成するステップと、作成された物流部材夫々のダイヤグラムを、前記出発地点及び出発可能時刻、並びに前記目的地点及び必着時刻に基づき、経路の一部又は全部が重複すると判断できるダイヤグラムによってグループ化するステップと、グループ化された物流部材のダイヤグラムの出発地点、出発可能時刻、目的地点、及び必着時刻から、前記物流部材を収容する輸送機器のダイヤグラムを作成するステップとを含む。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品の輸送の需要予測の結果を示すデータから、前記物品を収容する物流部材の出発地点、出発可能時刻、目的地点、及び必着時刻に基づく前記物流部材のダイヤグラムを、予測された物流部材の需要数に応じて作成するステップと、
作成された物流部材夫々のダイヤグラムを、前記出発地点及び出発可能時刻、並びに前記目的地点及び必着時刻に基づき、経路の一部又は全部が重複すると判断できるダイヤグラムによってグループ化するステップと、
グループ化された物流部材のダイヤグラムの出発地点、出発可能時刻、目的地点、及び必着時刻から、前記物流部材を収容する輸送機器のダイヤグラムを作成するステップと
を含むダイヤグラム作成方法。
【請求項2】
前記グループ化のステップは、
複数の物流部材の出発地点、出発可能時刻、目的地点、及び、必着時刻に基づくダイヤグラムから1つのダイヤグラムを選択するステップ、
選択したダイヤグラムと経路が重複する他のダイヤグラムを選択するステップ、
前記他のダイヤグラムにおける非重複部分を更に他のダイヤグラムとして分離するステップ、並びに、
選択した前記1つのダイヤグラム及び前記重複する他のダイヤグラムをグループ化するステップ
を含む請求項1に記載のダイヤグラム作成方法。
【請求項3】
前記輸送機器のダイヤグラムを作成するステップは、
前記グループ化された物流部材のダイヤグラムから第1グループのダイヤグラムを選択するステップ、
前記第1グループのダイヤグラムにおける出発地点から出発可能な輸送機器を仮想的に割り当てるステップ、
前記輸送機器の条件に基づき、前記第1グループのダイヤグラムの目的地点を出発地点とする第2グループのダイヤグラムを選択するステップ、
前記第1グループ及び第2グループのダイヤグラムを前記輸送機器のダイヤグラムとして記憶するステップ
を含む請求項1又は2に記載のダイヤグラム作成方法。
【請求項4】
作成された輸送機器のダイヤグラムに基づき、輸送に要するコスト、輸送時間、及び、輸送距離のいずれかの予想総計を算出し、
予想総計が所定の判断基準値以下となるまで、前記輸送機器のダイヤグラムを作成し直す
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のダイヤグラム作成方法。
【請求項5】
物品の輸送の需要予測の結果を示すデータから、前記物品を収容する物流部材の出発地点、出発可能時刻、目的地点、及び必着時刻に基づく前記物流部材のダイヤグラムを、予測された物流部材の需要数に応じて作成し、
作成された物流部材夫々のダイヤグラムを、前記出発地点及び出発可能時刻、並びに前記目的地点及び必着時刻に基づき、経路の一部又は全部が重複すると判断できるダイヤグラムによってグループ化し、
グループ化された物流部材のダイヤグラムの出発地点、出発可能時刻、目的地点、及び必着時刻から、前記物流部材を収容する輸送機器のダイヤグラムを作成する
処理を実行する処理部を備えるダイヤグラム作成装置。
【請求項6】
コンピュータに、
物品の輸送の需要予測の結果を示すデータから、前記物品を収容する物流部材の出発地点、出発可能時刻、目的地点、及び必着時刻に基づく前記物流部材のダイヤグラムを、予測された物流部材の需要数に応じて作成するステップと、
作成された物流部材夫々のダイヤグラムを、前記出発地点及び出発可能時刻、並びに前記目的地点及び必着時刻に基づき、経路の一部又は全部が重複すると判断できるダイヤグラムによってグループ化するステップと、
グループ化された物流部材のダイヤグラムの出発地点、出発可能時刻、目的地点、及び必着時刻から、前記物流部材を収容する輸送機器のダイヤグラムを作成するステップと
を含む処理を実行させるコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物流システムにおけるダイヤグラム作成方法、ダイヤグラム作成装置及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
物品の流通効率を向上させるべく、パレット(物流部材)単位で物品を輸送する輸送機器又はコンテナ、輸送機器又はコンテナに対してパレット単位で物品を搬出又は搬入する拠点設備を用い、各時点各地点におけるパレット夫々の所在を中央装置で決定する方法が提案されている(特許文献1,2)。
【0003】
特許文献1及び2には、物流の基幹(幹線)における物品の移動を、全体として最適化するべく制御して効率化を向上させる方法が開示されている。特許文献1及び2に開示されている方法では、各輸送機器の荷物の収容部をシェアすることを可能とし、輸送機器の移動経路の途中で立ち寄る経由地で、荷物の収容部から一部を積み下ろし、空いている収容部への積み込みを可とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6362229号
【特許文献2】特許第6362240号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1及び2に開示されているような幹線輸送において、輸送機器の荷台の荷物の収容部をシェアして利用する場合、いずれの荷物をいずれの輸送機器に輸送させるのかを決定するためには、各輸送機器が、どの地点を何時に出発し、どの地点へ何時までに向かうことができるのか、という情報が必要になる。
【0006】
幹線輸送のみならず、出荷者から幹線へ荷物が乗るまでの輸送経路、幹線から荷受人へ荷物が分配されるまでの輸送経路でも、輸送機器をシェアする場合、輸送機器の走行予定経路、及び輸送機器の数の情報が必要である。
【0007】
物流における荷物の輸送経路は、マテハンシステムにおけるベルトコンベヤや、通信におけるパケットの通信経路のように、その経路が空いているタイミングで逐次荷物を投入することはできない。輸送機器はそれぞれ、1つの荷物のみを輸送するのでは非効率であり、ある程度の積載率を満たす状態で輸送すべきである。したがって、複数の荷物を、それらの荷物それぞれの到着すべき時刻の内の最も早い時刻までに輸送できるように集めて1つの輸送機器に一旦収容し、その時刻に間に合うように出発させる必要がある。
【0008】
逆に、輸送機器がいつ、どの地点をいつ出発し、どの地点まで向かうかは、荷物がどの地点へいつまでに到着しなければならないか、という輸送に対する需要の情報がなければ決定できない。
【0009】
本発明は斯かる事情を鑑みてなされたものであり、経由地点で物流部材を積み替えることが可能な輸送機器のダイヤグラムを作成する物流システムにおけるダイヤグラム作成方法、ダイヤグラム作成装置及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示のダイヤグラム作成方法は、物品の輸送の需要予測の結果を示すデータから、前記物品を収容する物流部材の出発地点、出発可能時刻、目的地点、及び必着時刻に基づく前記物流部材のダイヤグラムを、予測された物流部材の需要数に応じて作成するステップと、作成された物流部材夫々のダイヤグラムを、前記出発地点及び出発可能時刻、並びに前記目的地点及び必着時刻に基づき、経路の一部又は全部が重複すると判断できるダイヤグラムによってグループ化するステップと、グループ化された物流部材のダイヤグラムの出発地点、出発可能時刻、目的地点、及び必着時刻から、前記物流部材を収容する輸送機器のダイヤグラムを作成するステップとを含む。
【0011】
本開示のダイヤグラム作成装置は、物品の輸送の需要予測の結果を示すデータから、前記物品を収容する物流部材の出発地点、出発可能時刻、目的地点、及び必着時刻に基づく前記物流部材のダイヤグラムを、予測された物流部材の需要数に応じて作成し、作成された物流部材夫々のダイヤグラムを、前記出発地点及び出発可能時刻、並びに前記目的地点及び必着時刻に基づき、経路の一部又は全部が重複すると判断できるダイヤグラムによってグループ化し、グループ化された物流部材のダイヤグラムの出発地点、出発可能時刻、目的地点、及び必着時刻から、前記物流部材を収容する輸送機器のダイヤグラムを作成する処理を実行する処理部を備える。
【0012】
本開示のコンピュータプログラムは、コンピュータに、物品の輸送の需要予測の結果を示すデータから、前記物品を収容する物流部材の出発地点、出発可能時刻、目的地点、及び必着時刻に基づく前記物流部材のダイヤグラムを、予測された物流部材の需要数に応じて作成するステップと、作成された物流部材夫々のダイヤグラムを、前記出発地点及び出発可能時刻、並びに前記目的地点及び必着時刻に基づき、経路の一部又は全部が重複すると判断できるダイヤグラムによってグループ化するステップと、ループ化された物流部材のダイヤグラムの出発地点、出発可能時刻、目的地点、及び必着時刻から、前記物流部材を収容する輸送機器のダイヤグラムを作成するステップとを含む処理を実行させる。
【0013】
本開示のダイヤグラム作成方法、ダイヤグラム作成装置及びコンピュータプログラムでは、物流部材夫々の出発地点、出発可能時刻、目的地点、及び必着時刻に基づくダイヤグラムが作成される。物流部材夫々のダイヤグラムの内、その時刻等の条件に基づいて経路を一部でも重複させることが可能なダイヤグラムがグループ化される。一部でも重複していれば輸送機器のダイヤグラムとして使用できるようにまとめられる。
【0014】
輸送機器の荷台が空の状態から、出発地点及び目的地点並びに各地点における時刻が完全に共通していなくても、それらの複数の物流部材(パレット)を輸送機器に積載できる。なぜならば、本開示の輸送機器の運行では、経由地点で物品が収容されている複数の物流部材の内の一部のみを積み下ろしたり、積み込んだりすることが許容されるからである。物流部材が輸送機器に載せられて通過可能な地点に、その通過時刻よりも前から出発可能な他の物流部材が存在し、その先の目的地点が同方向であれば、前記他の物流部材は、通過地点で輸送機器に追加で積載できる。したがって、物流部材夫々の出発地点から目的地点へのダイヤグラムが一部でも重複できるものをまとめてグループ化し、そのグループを輸送機器に割り当てることができれば、途中の経由地点での物流部材の積み込み及び積み下ろしをする輸送機器のダイヤグラムを作成できる。
【発明の効果】
【0015】
本開示のダイヤグラム作成方法によれば、需要予測として算出される物流部材(パレット)夫々のダイヤグラムに基づいて、この物流部材が乗り継ぎ可能な輸送機器のダイヤグラムが作成される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図2】物流システムにおける経路決定サイクルの概要図である。
【
図4】物流システムの構成を示すブロック図である。
【
図5】物流システムの構成を示すブロック図である。
【
図6】中央サーバにおける輸送ダイヤの作成処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図7】パレットのダイヤグラムの作成処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図8】パレットのダイヤグラムの作成処理の概要図である。
【
図9】パレットのダイヤグラムの作成処理の概要図である。
【
図10】パレットのダイヤグラムの作成処理の概要図である。
【
図11】輸送機器のダイヤグラムの作成処理の一例を示すフローチャートである。
【
図13】輸送ダイヤ情報に基づく輸送依頼の受け付け処理手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本開示のダイヤグラム作成方法について、実施の形態を示す図面に基づいて説明する。以下の実施形態では、本開示のダイヤグラム作成方法を適用した物流システムを例に挙げて説明する。
【0018】
図1は、物流システム100の概要図である。物流システム100は、物品を輸送する輸送機器1と、トランスファーセンター(TC)であるベース(拠点)センター2と、ディストリビューションセンター(DC)である集配センター3とを含む。物流システム100は、中央サーバ4の処理に基づいて運用される。中央サーバ4は、輸送機器1、ベースセンター2、及び集配センター3と通信接続が可能である。中央サーバ4は、物品の出荷人である生産者又は製造者、物品の荷受人である小売業者又はエンドユーザーが使用する端末装置5と通信接続が可能である。
【0019】
輸送機器1は、搬送トラック、列車、輸送機、船舶等の乗り物(vehicle )である。輸送機器1は自動運転によって走行する搬送ロボットであってもよい。
【0020】
ベースセンター2は、物流における所謂幹線に設けられた通過型センターであり、港、空港、貨物駅、道路網におけるインターチェンジ(IC)等、輸送機器1の拠点となる場所に設置される。ベースセンター2は例えば所定の距離毎に設けられる。
【0021】
集配センター3は、生産者若しくは製造者の拠点から輸送対象の物品を収集して、ベースセンター2へ向けて輸送するか、又は、逆に、ベースセンター2から荷を受けて保管し、エンドユーザへ向けて物品を輸送する拠点となる卸、若しくは配送センターに相当する。集配センター3は、ベースセンター2に対して複数設けられるとよい。集配センター3は、小売業者によって管理されていてもよい。集配センター3がベースセンター2へ向けて輸送する物品を収集する場合、集配センター3にて物品がパレットPに積み付けられてもよい。
【0022】
ベースセンター2を中心とする物流システム100では、輸送対象物は物流部材に積み付けられて搬送される。物流部材は、具体的にはパレットP及び小型コンテナCである。以下の説明ではパレットPに絞って説明するが小型コンテナCも同様に扱われるとよい。物流部材は更に、フレキシブルコンテナ、所謂フレコンであってもよいし、鉄コンテナであってもよいし、段ボール箱であってもよい。その他、物流で物品を載置させたり、収容させたりするために使用される袋、板材、箱材は物流部材に含まれる。
【0023】
図2は、物流システム100における経路決定サイクルの概要図である。本開示の物流システム100では、中央サーバ4が仮想的に、パレットP単位での輸送の需要予測に基づいて必要な輸送機器1の台数及び移動経路、各輸送機器1の移動経路を仮に決定して輸送機器1の輸送ダイヤを組む。輸送ダイヤの決定にはシミュレーションを実行して最適化する工程を含んでもよい。需要予測及び輸送ダイヤの決定は、仮想空間でのシミュレーションに基づく。中央サーバ4は、各物品が輸送される輸送経路、即ち、いずれの地点で何時に出荷され、いずれの地点に何時までに到着しなければならないか、を需要予測に基づいて仮想的に決定する。中央サーバ4は、複数の物品の輸送経路に基づいて、どの移動経路でどのようなスケジュールで走行する輸送機器1が何台必要か、を仮想的に決定する。中央サーバ4は、仮想的に決定した輸送機器1の必要台数、各輸送機器1のスケジュール、及び移動経路を仮決定し、シミュレーションによって最適化してもよい。
【0024】
中央サーバ4は、決定した輸送ダイヤに基づいて実際のパレットP単位の輸送依頼を逐次受け付ける。中央サーバ4は、受け付けた輸送依頼に係るパレットPを、実際の輸送機器1の位置及び行先に基づいて、輸送機器1の荷台の収容部単位に割り当てる。中央サーバ4は、割り当てられたパレットPが存在するベースセンター2へ輸送機器1が立ち寄るように、輸送機器1の移動経路(経由地点)を実際に決定し、輸送機器1へ指示し、経由地点において収容すべきパレットPのパレット識別データを指示し、次の経由地点を指示する。この際、輸送機器1が経由地点で積み下ろしすべきパレットPの識別データも輸送機器1夫々に指示する。輸送が進むにつれて中央サーバ4は、決定した輸送ダイヤ、即ち各輸送機器1の行先及び経由地点、並びに経由地点で積み下ろすべきパレットP、積み込むべきパレットPの情報を、逐次、各輸送機器1の走行位置、逐次受け付ける輸送依頼に基づいて更新する。つまり、事前に決定した輸送ダイヤ通りに輸送機器1を走行させるとは限らない点で、例えば列車のダイヤと異なる。輸送依頼の受け付け、輸送機器1への割り当て、輸送機器1の移動経路の決定は実際のデータである。そして中央サーバ4は、パレットPが実際に輸送された実績を収集し、分析して実績データを作成し、次の需要予測に使用する。中央サーバ4は、次の輸送ダイヤを組む。この経路決定サイクルは、日毎、3日毎、週毎、月毎等の単位で実行されてよい。
【0025】
以下、物流システム100の運行を管理する上で、この経路決定サイクルの実現するための構成及び処理を詳細に説明する。
【0026】
図3は、輸送機器1の一例を示す模式図である。輸送機器1は、実施の形態1では搬送トラックである。
図3Aは、横開きの扉を有している荷台の例、
図3Bは、後方の扉を有している荷台の例を示している。
図3A及び
図3Bに示す例のどちらの場合も輸送機器1は、パレットP単位で物品を搬送するためにパレットフレーム11を荷台内部に設けている。パレットフレーム11は具体的には、荷台を床面から天井に至る高さを半分に上下二段に分ける台である。台は車幅方向にパレットPが2つ並置できる内寸を有している。パレットフレーム11は、更に車長方向をパレットPの幅で分割するフレームを有していてもよい。パレットフレーム11にて区分けされた上下と、左右と、更に車両の前方からの順序でパレットPの収容位置を特定することができる。
【0027】
パレットフレーム11は、
図3Bに示すように、荷台の床の板材自体、又は床面に敷かれた板材と共に荷台の後部扉から全体引き出すことが可能であってもよい。この場合、荷台の床面の板材を巨大なパレットと考えれば、板材も物流部材としてパレット上にパレットPが複数積載され、パレットP夫々の上に複数の小型コンテナCが積載された入れ子状態で管理することも可能である。
図3Bの場合、荷台の床面には、パレットPを容易に移動できるようにローラーが複数設けられ、且つ、自由に移動することを抑止するための止め具が折り畳み可能に立設されているとよい。
【0028】
輸送機器1が列車、輸送機、船舶等の乗り物である場合、
図3A又は
図3Bの荷台部分と同様の構造の大型コンテナが用いられ、大型コンテナがパレットフレーム11を備える構成とすればよい。
【0029】
物流システム100では、中央サーバ4が、車載機10と、ベースセンター2におけるベースコントローラ20と、端末装置5とを用いて輸送機器1の輸送ダイヤ及びパレットPの割り当てをコントロールする。
【0030】
図4及び
図5は、物流システム100の構成を示すブロック図である。
図4には車載機10及び中央サーバ4の構成が示されている。輸送機器1には、運転手の座席付近に車載機10が搭載されている。車載機10は運転手が持ち込む携帯端末装置であってもよい。車載機10は、処理部101、記憶部102、表示部103、音声出力部104、GPS受信部105、通信部106、入出力部107を備える。
【0031】
処理部101は、CPU(Central Processing Unit )またはGPU(Graphics Processing Unit)を用いたプロセッサである。処理部101は、内蔵するROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)等のメモリを用いて処理を実行する。処理部101は、内蔵するタイマーによって逐次、時間情報を取得することができる。
【0032】
記憶部102は、例えばフラッシュメモリ、又はSSD(Solid State Drive )等の不揮発性の記憶媒体を含む。記憶部102は、処理部101によって作成された情報、処理部101が参照する情報を記憶する。記憶部102は、車載機10が搭載された輸送機器1の荷台に積載されているパレットPのパレット識別情報を記憶する。積載されているパレットのパレット識別情報には、パレットPの荷台における位置を特定する情報が対応付けられて記憶されるとよい。パレット識別情報に対応付けて、パレットPの荷受人、輸送経路の情報を中央サーバ4から取得して記憶部102にて記憶しておいてもよい。
【0033】
表示部103は、液晶パネルまたは有機ELディスプレイ等のディスプレイ装置を含む。表示部103は、輸送機器1の運転手へ経路、行き先等を通知する通知部である。
【0034】
音声出力部104は、スピーカを含む。音声出力部104は、スピーカにて音声又はビープ音を発生させ、輸送機器1の運転手へ経路、行き先等を通知する通知部である。
【0035】
GPS受信部105は、GPS信号を受信して車載機10が搭載されている輸送機器1の位置を導出するデバイスである。処理部101は、GPS受信部105によって輸送機器1の位置を適宜特定することができる。
【0036】
通信部106は、無線通信を行なうデバイスである。通信部106は、公衆通信網を介して、または所定の移動通信規格によって中央サーバ4との情報の送受信を実現する無線通信モジュールである。通信部106は、ネットワークカード、無線通信デバイスまたはキャリア通信用モジュールを用いる。処理部101は、通信部106によって中央サーバ4から運転手への通知内容、荷台に搬入すべきパレットPのパレット識別情報、荷台から搬出されるべきパレットPのパレット識別情報を受信し、記憶部102に記憶する。
【0037】
中央サーバ4は、サーバコンピュータであり、処理部40、記憶部41、通信部42を備える。なお中央サーバ4は、1つのサーバコンピュータ(ハードウェア)を用いる構成のみならず、複数のサーバコンピュータで処理を分散する構成としてもよいし、大型コンピュータに仮想的に生成される複数のサーバコンピュータ(インスタンス)の内の1つであってもよい。
【0038】
処理部40はCPU又はGPUを用い、内蔵する揮発性メモリ、クロック等を含む。処理部40は、記憶部41に記憶されている制御プログラム40Pに基づき各構成部を制御する。
【0039】
記憶部41は、ハードディスク又はSSDを用いる。記憶部41は、制御プログラム40Pを記憶する。記憶部41にはWebサーバプログラム42Pが記憶されており、処理部40はWebサーバ機能を発揮し、このWebサーバ機能によって端末装置5から、輸送機器1の荷台のシェアの依頼等を受け付けることができる。
【0040】
記憶部41には、物流DB(Data Base )410が構築されてよい。物流DB410は、外部記憶装置であってもよい。処理部40は、データベース操作モジュールにより、物流DB410に対する読み書きが可能である。物流DB410には例えば、パレット情報411、輸送機器情報412、輸送ダイヤ情報413、輸送実績情報414が記憶されている。
【0041】
パレット情報は411は、パレットPを識別するパレット識別データに対応付けられた、パレットPに収容される物品の情報(品番(種類)、数)、パレットPを収容するパレット収容部の収容部識別データ、そのパレット収容部を荷台に含む輸送機器1の輸送機器識別データを含む。パレットPの積み下ろし、積み込みが実施される都度、逐次更新される。中央サーバ4は、集配センター3におけるコントローラ、ベースセンター2のコントローラ20、輸送機器1に搭載される読み取り機器等によってパレットPを輸送する輸送機器1、収容部識別データ等のデータを、ベースコントローラ20、車載機10等から収集し、逐次更新する。
【0042】
輸送機器情報412は、輸送機器1を識別する輸送機器識別データに対応付けられた、積載しているパレットPのパレット識別データ及び収容部識別データを含む。輸送機器情報412は、輸送機器識別データに対応付けて、車載機10から受信する位置情報を逐次記憶、更新する。輸送機器情報412は、輸送機器識別データに対応付けて、各輸送機器1の目的地の位置情報(ベースセンター2、集配センター3の識別データ)を逐次記憶、更新する。
【0043】
輸送ダイヤ情報413は、後述する処理によって需要予測に基づいて作成される輸送機器1夫々の出発地点、経由地点及び目的地点、並びに各地点における予定時刻を含む。輸送ダイヤ情報413は、需要予測に基づいて作成された後、輸送依頼に基づいて調整・変更され、輸送機器1が輸送を実際に開始した後も、逐次更新・変更され得る。その他、輸送ダイヤ情報413には、後述するように輸送ダイヤを作成するために、又は作成中に参照する経路データ等が記憶される。
【0044】
輸送ダイヤ情報413には、需要に対応する経路としてどの経路、どの区間の選択を優先すべきかを決定するための条件が含まれるとよい。優先の条件を参照するタイミングは、後述するダイヤグラム作成のグループ化においていずれの経路を含む需要を優先してグループの代表とすべきか、を決定するタイミングと、予約を受け付ける際に、どの経路を優先して割り当てるか、を決定するタイミングがある。例えば、同一の出発地点及び目的地点間を結ぶ複数の経路がある場合に、一方が有料道路を含み、他方が一般道路のみである場合、有料道路を優先すべきであるといった条件、あるいは、時間帯別の混雑状況の実績により、複数の経路の内、距離がより長いとしても、優先して選択すべき経路が存在する場合、該経路に対して優先順位を高めて記憶しておくとよい。なおここでの優先順位を付与する単位は、主要幹線経路である「路線」毎、又はベースセンター2及び集配センター3の内のいずれかを結ぶ経路、あるいはより短く区切られた経路である「区間」毎であってもよい。
【0045】
輸送実績情報414は、輸送機器1夫々の出発地点、経由地点及び目的地点、並びに各地点の実際の時刻を含む。輸送実績情報414は、各輸送機器1が積載したパレットPのパレット識別データを、収容部識別データに対応付けて時系列に、積み替えられる都度に記憶したデータを含む。輸送実績情報414は、パレット識別データに対応付けてパレットPが乗り換えた輸送機器1の輸送機器識別データを時系列に並べたデータを含んでもよい。
【0046】
その他、記憶部41には、地図情報、及び、有料道路における距離データ、料金表等の情報が記憶される。また記憶部41には、各ベースセンター2及び集配センター3において積み替えが可能なパレットPの最大数、バッファしておくことが可能なパレットの最大数が記憶されている。
【0047】
通信部42は、公衆通信網N1又はキャリアネットワークN2における通信を実現する。処理部40は、通信部42により、公衆通信網N1又はキャリアネットワークN2を介して端末装置5との間で情報の送受信が可能である。また処理部40は、通信部42により、キャリアネットワークN2を介して輸送機器1に搭載されている車載機10との間で情報の送受信が可能である。
【0048】
図5には、端末装置5の構成が示されている。端末装置5は、処理部50、記憶部51、通信部52、表示部53及び操作部54を備える。
【0049】
処理部50は、CPU又はGPUを用いる。処理部50は、揮発性メモリ、クロック等を用いて構成部を制御する。処理部50はプロセッサ、メモリ、記憶部51、通信部52を集配した1つのSoCとして構成されてもよい。処理部50は、記憶部51に記憶されている端末プログラム5Pに基づき、中央サーバ4のWebサーバへの通信接続を実行し、中央サーバ4によって提供される輸送機器1を用いた輸送依頼に係るWebページを介した処理を実行する。
【0050】
記憶部51は、フラッシュメモリを用い、輸送依頼者用の端末プログラム5Pを含む処理部50が参照するプログラム及びデータを記憶する。
【0051】
通信部52は、ネットワークNへの通信接続を実現する通信モジュールである。通信部52は、ネットワークカード、無線通信デバイス又はキャリアネットワークN2における次世代通信用のモジュールであってもよい。
【0052】
表示部53は、液晶パネル又は有機ELディスプレイ等のディスプレイ装置を用いる。操作部54は、ユーザの操作を受け付けるインタフェースであり、物理ボタン、ディスプレイ内蔵のタッチパネルデバイス、スピーカ及びマイクロフォン等を用いる。操作部54は、物理ボタン又はタッチパネルにて表示部53に表示されている画面上で操作を受け付けてもよいし、マイクロフォンにて入力音声から操作内容を認識し、スピーカで出力する音声との対話形式で操作を受け付けてもよい。
【0053】
図6は、中央サーバ4における輸送ダイヤの作成処理手順の一例を示すフローチャートである。
図6のフローチャートに示す処理手順の説明では、中央サーバ4は、ベースセンター2間、即ち幹線輸送における輸送ダイヤを作成する。以下に説明する処理手順は、各ベースセンター2から集配センター3への経路、集配センター3からベースセンター2への経路、集配センター3間の経路においても同様に適用される。なお、1つのパレットPにつき、複数の輸送機器1を乗り換えるようにして輸送することを許容する物流システム100であるから、ベースセンター2を中心とした地域ごとに区切って実施してもよい。また、以下に説明する処理手順を、パレットPとして出荷される集配センター3を出発地点とし、宛先の集配センター3を目的地点とし、経路全体を対象に実行してもよい。
【0054】
中央サーバ4の処理部40は、物流DB410に収集され分析処理を経て作成されてある実績データに基づき、パレットPの輸送に対する需要予測を実行する(ステップS1)。
【0055】
ステップS1において処理部40は、輸送対象のパレットPの出発地点のベースセンター2、及び目的地点のベースセンター2のデータを、各パレットPについて予測する。例えば需要は、通し番号「000001」番のパレットPは、「X」のベースセンター2に2021年5月1日09:00 までに到着して出発可能であり、「Y」のベースセンター2に同日5月1日18:00 が必着である、といったデータである。この場合、需要は例えば(000001, From:X, 20210501:09:00, To:Y, 20210501:18:00 )といったパレットPの経路データとして表現可能である。更に詳細には、処理部40は、需要予測を日毎に実行する場合、実績データに含まれる過去3年間における各同日のパレットPの需要の実績、過去1か月の同曜日のパレットPの需要の実績、前日の需要の実績等のデータに基づき、翌日の需要を予測する。処理部40は、需要を例えば1時間等の所定の時間単位で予測する。処理部40は、このような需要を表す経路データを、パレットPの数だけ作成して需要予測の結果として取得するとよい。需要予測は、上述したような実績データを入力した場合に需要のデータ(配列)を出力するように学習された学習モデルを用いて実行されてもよい。
【0056】
処理部40は、需要予測で得られる経路データに対し、後述のグループ化にて優先されるべき経路への優先順位を付与しておくとよい。例えば、出発地点及び目的地点のいずれかに優先順位を与えておき、優先順位が高い目的地点への経路(ダイヤグラム)データが優先的に代表となってまとめられるようにしておくとよい。
【0057】
処理部40は、ステップS1で需要予測を実行した結果から、各パレット(物流部材)Pの出発地点及び目的地点を、出発可能時刻及び必着時刻に基づき結ぶダイヤグラムを作成する(ステップS2)。処理部40は、作成したダイヤグラムから、複数のダイヤグラムを、必着時刻に基づいてひとまとまりにグループ化する処理を実行する(ステップS3)。ステップS2及びステップS3の処理については後述する。
【0058】
処理部40は、ステップS3のグループ化処理によってダイヤグラムに基づいて、輸送機器1の出発地点及び目的地点、並びに各地点における時刻のデータを、輸送機器1の数だけ輸送ダイヤとして作成し(ステップS4)、輸送ダイヤの作成処理を終了する。
【0059】
図7は、パレットPのダイヤグラムの作成処理手順の一例を示すフローチャートである。
図7のフローチャートは、
図6のステップS3の詳細に対応する。なお、ダイヤグラムを寄せる処理は、以下の処理に限らず、後述の
図8の概要図に示す処理を達成できる手順であればよい。
【0060】
処理部40は、ベースセンター2を1つ選択する(ステップS301)。ステップS301において処理部40は、より優先順位が高いベースセンター2を選択するようにしてもよい。これにより、同一の出発地点及び目的地点を持つ需要に対し、経由地点が多くてもその経由地点が優先順位が高ければ、経由地点を通る経路のダイヤが、優先的に作成される。
【0061】
処理部40は、選択したベースセンター2を目的地点とし、且つ、より早い時刻を必着時刻とするパレットPのダイヤグラム(出発地点、出発可能時刻、目的地点、及び必着時刻)を選択する(ステップS302)。ここでより早い時刻を必着とするパレットPのみならず、処理部40は、より優先順位の高い経路を含むパレットPのダイヤグラムを選択するようにしてもよい。
【0062】
処理部40は、選択したパレットPのダイヤグラムの目的地点を、必着時刻よりも後の時刻に必着とする目的地点、又は通過地点とし、ステップS302で選択した需要と経路が一部重複する他のパレットPのダイヤグラムを選択する(ステップS303)。
【0063】
ステップS303において処理部40は、輸送機器1の収容可能パレット数の最大数を上限として、時刻の近い順に、重複する経路を持つ他のパレットPのダイヤグラム(需要)を選択する。ステップS303において処理部40は、後述のステップS304にて作成される部分のダイヤグラムを選択してもよい。
【0064】
このように、出発地点、目的地点、出発可能時刻及び必着時刻が完全に共通していなくても、一部が重複していれば、グループ化の対象として他のパレットPのダイヤグラムを選択することができる。
図3A及び
図3Bに示したように、輸送機器1は、物品をパレットP単位で輸送し、且つ経由地点で一部を積み下ろしたり、空き収容部に積み込んだりすることが可能なためである。
【0065】
処理部40は、S303で選択済みの他のパレットPの需要の内、ステップS302で選択した需要の経路データと重複する部分経路と重複しない部分経路とそれぞれに分離し、各々部分経路のダイヤグラム(需要)を作成する(ステップS304)。
【0066】
ステップS302及びステップS303にて選択済みの経路及び部分経路の需要(ダイヤグラム)について、処理部40は、処理済みの需要(ダイヤグラム)として記憶する(ステップS305)。ステップS305において処理部40は、需要を示す経路データに対して処理済みを示すフラグデータを対応付けるとよい。
【0067】
処理部40は、選択中のベースセンター2を目的地点とする他の需要が残っているか否かを判断し(ステップS306)、残っていると判断された場合(S306:YES)、処理をステップS302へ戻して他の需要を選択する。
【0068】
ステップS306で残っていないと判断された場合(S306:NO)、処理部40は全てのベースセンター2を選択したか否かを判断する(ステップS307)。未選択のベースセンター2が残っていると判断された場合(S307:NO)、処理部40は、処理をステップS301へ戻し、次のベースセンター2を選択する。
【0069】
全てのベースセンター2を選択したと判断された場合(S307:YES)、処理部40はパレットPのダイヤグラムの作成処理を終了する。
【0070】
図8~
図10は、パレットPのダイヤグラムの作成処理の概要図である。ダイヤグラムの横軸方向は、時間の経過を示し、ダイヤグラムの縦軸方向は地点「W」~「Z」間の距離及び並び方を示す。なお、地点「X」、地点「Z」、地点「Y」、及び、地点「W」の順に並び、地点「X」から地点「W」までの移動中に地点「Z」及び地点「Y」を経由できるものとする。
図8は、
図7のダイヤグラムをグループ化する処理の前のダイヤグラムを示し、
図9は、選択済みの経路及び部分経路を示す。
図10は、グループ化処理を実行した後のパレットPのダイヤグラムを示す。
【0071】
図8のダイヤグラムでは、「000001」番~「000006」番のパレットPの需要が示されている。「000001」番のパレットPの需要は、2021年5月1日09:00 に地点「X」を出発可能であって、同日18:00 までに地点「Y」に必着とするものである。「000002」番のパレットPの需要は、5月1日14:00 に地点「Z」を出発可能であって、翌日01:00 までに地点「W」に必着とするものである。「000003」番のパレットPの需要は、5月1日07:00 までに地点「X」を出発可能であって、翌日03:00 までに地点「W」へ必着とするものである。「000004」番のパレットPの需要は、5月1日08:00 に地点「X」を出発可能であって、同日23:00 までに地点「Y」に必着とするものである。「000005」番のパレットPの需要は、5月1日11:00 に地点「X」を出発可能であって、同日21:00 までに地点「Y」に必着とするものである。「000006」番のパレットPの需要は、5月1日13:00に地点「Z」を出発可能であって、翌日05:00までに地点「W」へ必着とするものである。
【0072】
処理部40は、グループ化処理により、ベースセンター2である地点「Y」を選択する(S301)。処理部40は、未選択の需要の内、最も早い時刻(5月1日18:00)を必着時刻とする「000001」番のパレットPの需要(000001, From:X, 20210501:09:00, To:Y, 20210501:18:00 )を選択する(ステップS302)。
【0073】
処理部40は、「000001」番のパレットPの出発地点「X」を出発可能時刻09:00 以前に出発可能であるか、又は、経由が可能な地点「Z」を、「000001」番のパレットPが通過できる14:30頃に出発可能である需要、例えば「000002」番のパレットPの需要(000002, From:Z, 20210501:14:00, To:W, 20210502:01:00 )を選択する(ステップS303)。
【0074】
処理部40は、選択した他のパレットP(「000002」番)の需要(000002, From:Z, 20210501:14:00, To:W, 20210502:01:00 )から、(000002-1, From:Z, 20210501:14:00, To:Y, 20210501:18:00 )、(000002-2, From:Y, 20210501:18:30, To:W, 20210502:01:00 )を作成する(S304)。これにより、
図9に示すように、「000002」番のパレットPの需要を示すダイヤグラムは二つに分かれ、「000002-1」番のパレットPの輸送の需要と「000001」番のパレットPの輸送の需要とがグループ化される。地点「Y」の優先順位が高くこれを優先的に選択することでこのように、出発地点を地点「X」、目的地点を地点「W」とするパレットPの需要も、直接向かう経路ではなく、優先的に経由すべき地点「Y」を経由するダイヤグラムを作成することもできる。
【0075】
同様にして、「000001」番のパレットPの需要(000001, From:X, 20210501:09:00, To:Y, 20210501:18:00 )に対して、「000003」番の部分経路のパレットPの需要、「000004」番のパレットPの需要、「000004」番のパレットPの需要がグループ化される。「000005」番のパレットPの需要は、出発地点「X」からの出発可能時間が、「000001」番のパレットPの出発可能時間よりも2時間遅いので、
図10に示すように、グループ化されない。また
図10に示すように、「000003」番のパレットPの部分経路と「000006」番のパレットPの部分経路も、グループ化される。
【0076】
図11は、輸送機器1のダイヤグラムの作成処理の一例を示すフローチャートである。
図11のフローチャートに示す処理手順は、
図6のステップS4の処理の詳細に対応する。
【0077】
処理部40は、
図10に示したようなパレットPのグループ化後のダイヤグラムにおいて、所定数以上の需要がまとまったグループを1つ選択する(ステップS401)。処理部40は、選択したダイヤグラムの出発地点に、出発可能時刻までに位置することが可能な輸送機器1を、輸送機器情報412に基づいて選択する(ステップS402)。処理部40はステップS402において、必着時刻に目的地点に到着できる輸送機器1を選択する(後述の条件)。
【0078】
処理部40は、選択したダイヤグラムの目的地点の必着時刻よりも所定時間後以降に、この目的地点を出発地点とし、ステップS402で選択した輸送機器1が輸送できる需要に対応する他のグループを選択する(ステップS403)。ステップS403において輸送機器情報412に、輸送機器1夫々の移動可能範囲、移動可能時間帯等の条件を記憶しておき、この条件に基づいて選択してもよい。
【0079】
ステップS403において処理部40は、ステップS401で選択したグループの需要(ダイヤグラム)と向きが同一、もしくは逆、といった優先順位に基づいて他のグループを選択する。処理部40は、パレットPの出発地点としての需要が多い地点を、優先的に目的地点とするグループを選択してもよい。
【0080】
処理部40は、ステップS401で選択したグループと、ステップS403で選択したグループとを、ステップS402で選択した輸送機器1の輸送機器識別データに対応付け、この輸送機器1のダイヤグラムの出発地点、出発時刻、経由(通過)地点、経由時刻、目的地点、到着時刻を記憶する(ステップS404)。
【0081】
処理部40は、ステップS403で選択した他のグループの目的地点から繋がる他のグループが存在するか否かを判断する(ステップS405)。処理部40は、存在すると判断した場合(S405:YES)、他のグループを更に対応付けてダイヤグラムとして輸送ダイヤ情報413に追記し(ステップS406)、処理をステップS405へ戻す。ステップS405において処理部40は、他のグループの目的地点における必着時刻が翌日04:00 等の所定の時刻以降である場合、存在しないと判断するなどしてもよい。
【0082】
他のグループが存在しないと判断された場合(S405:NO)、処理部40は、対象となる全てのグループを選択したか否かを判断する(ステップS407)。未選択のグループが残っていると判断された場合(S407:NO)、処理部40は、処理をステップS401へ戻す。
【0083】
全てのグループを選択したと判断された場合(S407:YES)、処理部40は、記憶された輸送機器1のダイヤグラム夫々の経由地点、出発地点、目的地点にてパレットPの需要の数が輸送機器1の収容部の上限を超過しているダイヤグラムを抽出する(ステップS408)。処理部40は、抽出されたダイヤグラムに対し、超過している分を分離するか、又は、異なるグループと組み替える、といった処理によって調整処理を実行する(ステップS409)。ステップS409において処理部40は、各センター2,3における積み替えのパレットPが、各センター2,3において積み替えが可能なパレットPの最大数、バッファとして収容可能なパレットPの最大数を超過している場合に、調整処理を行ない、異なる経路、もしくは時間をずらしたグループと組み替えてもよい。
【0084】
処理部40は、輸送ダイヤ情報413に記憶された調整処理後の輸送機器1夫々のダイヤグラムによって輸送機器1を走行させた場合の予想輸送コスト、輸送完了までの予想時間、及び輸送完了までの輸送機器1の予想輸送距離の総計の内の少なくとも1つを算出する(ステップS410)。
【0085】
処理部40は、算出結果が、所定の判断基準値(所定コスト、所定時間、あるいは所定距離)以下であるか否かを判断する(ステップS411)。所定の判断基準値超過であると判断された場合(S411:NO)、処理部40は、処理をステップS401に戻し、ステップS402において他の輸送機器1、又は、ステップS403において他のグループを選択する際の選択基準を変更して再度計算を実行する。処理部40はこの場合、
図7のフローチャートに示す処理手順を再実行するようにしてもよい。
【0086】
算出結果が、所定の判断基準値以下であると判断された場合(S411:YES)、処理部40は、輸送ダイヤの作成処理を終了する。
【0087】
図12は、作成される輸送ダイヤの概要図である。
図12は、
図10に示したパレットPのグループ化後のダイヤグラムから作成される輸送ダイヤの一部を示している。輸送ダイヤは、
図10における「000001」番のパレットPの需要を元にグループ化したダイヤグラムに、地点「X」を2021年5月1日09:00 に出発し、地点「Y」に同日18:00 に到着し、その後地点「Y」を同日18:30 に出発して、地点「W」に翌日01:00 を必着時刻とするダイヤグラムを、1台の輸送機器1(輸送機器識別データ: V000100)のダイヤグラムとしてある。このような処理を繰り返すことにより、
図12に示すように輸送機器1のダイヤグラムである輸送ダイヤが作成される。処理部40は、作成された輸送ダイヤに基づき、各地点「X」~「W」における輸送機器1の到着数、出発時刻をまとめた時刻表を作成し、画面データを作成しておくとよい。
【0088】
図12には、その他の輸送機器1のダイヤグラムも作成されている。例えば、輸送機器識別データ「 V000150」の輸送機器1のダイヤグラムが、
図10における「000005」番のパレットPの需要に基づいて作成されている。このダイヤグラムは、地点「X」を2021年5月1日11:00 に出発し、地点「Y」に同日21:00 に到着し、その後地点「Y」を同日22:00 に出発して、地点「X」に翌日08:00 までに戻るダイヤグラムである。同様にして輸送機器識別データ「 V0020100」の輸送機器1のダイヤグラムが、
図10における「000006-2」番の部分経路を持つパレットPの需要に基づいて作成されている。このダイヤグラムは、地点「W」を2021年5月1日13:00 に出発し、地点「Y」に同日19:00 に到着し、その後地点「Y」を同日20:30 に出発して、地点「W」に翌日03:00 までに戻るダイヤグラムである。
【0089】
図13は、輸送ダイヤ情報413に基づく輸送依頼の受け付け処理手順の一例を示すフローチャートである。中央サーバ4の処理部40は、
図11のフローチャートにより作成された輸送ダイヤを記憶した輸送ダイヤ情報413に基づいて、輸送依頼を受け付ける(ステップS201)。
【0090】
ステップS201において処理部40は、パレットPの実際の需要(パレットPの数、種別(品番)、出発地点、出発可能時刻、目的地点、必着時刻等)を端末装置5から受け付ける。この際、端末装置5には、時刻表及び経路データを地図状に示す列車における路線図同等の図を含む画面データを送信し、画面上で出発地点、目的地点等の選択を受け付けてもよい。ステップS201において処理部40は、パレットP単位で、出発地点、出発可能時刻、目的地点、必着時刻のデータを含む需要として受け付けてもよい。
【0091】
処理部40は、ステップS201で受け付けた輸送依頼の需要を満たす経路を走行するダイヤグラムに対応付けられた1又は複数の輸送機器1を、パレットP単位で選択する(ステップS202)。ステップS202において処理部40は、輸送依頼の需要を満たす経路の内、予め記憶部41に記憶してある、より優先順位の高い経路を走行する輸送機器1を選択するとよい。ステップS202において異なる経路の輸送機器1をそれぞれ選択し、いずれの経路を走行する予定であるかを示す画面を端末装置5に表示して選択できるようにしてもよい。
【0092】
ステップS202における「複数の輸送機器1」とは、需要を満たす経路が、複数の輸送機器1の乗り換えを必要とする場合に、その需要を満たす複数の輸送機器1に対応する。ステップS201で複数のパレットPの需要を受け付けた場合、出発地点及び目的地点が同じ需要に対しては、共に収容できるように同一の輸送機器1を選択するとよい。つまり、グループ客が列車の予約の際に、乗り換えをする場合であっても近くの席のチケットを予約できるように、同一の荷主からの同一目的地点のパレットPは、同一の輸送機器1内に固めて収容されるとよい。
【0093】
処理部40は、選択した輸送機器1の収容部の、輸送依頼対象の期間における空き状態(需要が未だ割り当てられていない収容部の数、又は、収容部識別データ等)を、取得し、選択した1又は複数の輸送機器1の情報を端末装置5へ送信する(ステップS203)。ステップS203では、選択した輸送機器1の収容部が空いていない場合、処理をステップS202に戻して選択し直すとよい。処理部40は、輸送機器1のパレット収容部の空き情報を示す画面データを端末装置5へ送信し、パレット収容部単位で、空き状態を表示できるようにするとよい。
【0094】
処理部40は、ステップS202で選択した輸送機器1において空く予定又は既に空いている収容部の収容部識別データを、受け付けた輸送依頼の需要に割り当て、割り当て済みとして記憶部41の物流DB401に記憶し(ステップS204)、処理を終了する。
【0095】
処理部40は、ステップS201で受け付けた輸送依頼に合致したダイヤグラムの輸送機器1を、ステップS202で選択できない場合、新たに需要に対応する経路を走行可能な輸送機器1を輸送機器情報412に基づいて選択し、割り当ててもよい。これにより、輸送ダイヤ情報413には、新たに、実際の需要に対応して作成される輸送機器1とその出発地点、目的地点を満たす経路に対応するダイヤグラムが追加される。このようにして、輸送依頼に基づいて輸送ダイヤ情報413は逐次更新可能である。輸送が開始された後、中央サーバ4の処理部40は、輸送機器1夫々から逐次送信される位置情報に基づいて、輸送ダイヤ情報413を書き替えることも可能である。
【0096】
このように中央サーバ4の処理部40は、輸送機器1の収容部単位で、パレットPの単位で輸送する輸送依頼を、列車ダイヤから列車を選び、列車から座席を選ぶような態様で、受け付けることができる。
【0097】
開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0098】
100 物流システム
1 輸送機器
10 車載機
101 処理部
4 中央サーバ
40 処理部
41 記憶部
410 物流DB
413 輸送ダイヤ情報
P パレット(物流部材)
C 小型コンテナ(物流部材)