(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022190599
(43)【公開日】2022-12-26
(54)【発明の名称】情報出力方法、情報出力装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20221219BHJP
【FI】
G08G1/16 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021099002
(22)【出願日】2021-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】上山 晃司
(72)【発明者】
【氏名】浦部 弘章
(72)【発明者】
【氏名】村本 衛一
(72)【発明者】
【氏名】河本 弘和
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB20
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC14
5H181FF04
5H181FF05
5H181FF07
5H181LL01
5H181LL04
5H181LL07
5H181LL08
5H181LL15
(57)【要約】
【課題】移動体に生じ得る事象を適切に特定して出力する。
【解決手段】モデルであって、当該モデルに入力された第一移動体に関する情報である第一移動体情報に基づいて、第一移動体に生じた事象を示す第一事象情報を出力するモデルを取得し、第二移動体に関する情報である第二移動体情報を取得し(S202)、取得した第二移動体情報に変更を施した第三移動体情報を生成し(S203)、取得した第二移動体情報をモデルに入力することで出力される、第二移動体に生じた事象を示す情報を、第二事象情報として取得し(S204)、生成した第三移動体情報をモデルに入力することで出力される事象を示す情報を、第三事象情報として取得し(S205)、第二事象情報と第三事象情報との差分を示す差分情報を生成して(S206)出力する(S207)。
【選択図】
図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モデルであって、前記モデルに入力された第一移動体に関する情報である第一移動体情報に基づいて、前記第一移動体に生じた事象を示す第一事象情報を出力するモデルを取得し、
第二移動体に関する情報である第二移動体情報を取得し、
取得した前記第二移動体情報に変更を施した第三移動体情報を生成し、
取得した前記第二移動体情報を前記モデルに入力することで出力される、前記第二移動体に生じた事象を示す情報を、第二事象情報として取得し、
生成した前記第三移動体情報を前記モデルに入力することで出力される事象を示す情報を、第三事象情報として取得し、
前記第二事象情報と前記第三事象情報との差分を示す差分情報を生成して出力する
情報出力方法。
【請求項2】
前記第二移動体情報は、前記第二移動体の移動の際に、前記第二移動体が備えるセンサがセンシングにより生成したセンサ値から生成された情報を含み、
前記第三移動体情報を生成する際には、
前記第二移動体が備える前記センサによるセンシングが失敗したことに対応する前記変更を前記第二移動体情報に施すことで、前記第三移動体情報を生成する
請求項1に記載の情報出力方法。
【請求項3】
さらに、前記第二移動体が備える前記センサによる前記センシングが失敗した頻度を計測し、
前記第三移動体情報を生成する際には、
計測した前記頻度で前記変更を施すことで、前記第三移動体情報を生成する
請求項2に記載の情報出力方法。
【請求項4】
前記差分情報を生成する際には、
前記第二事象情報に示されている事象のうち、前記第三事象情報に示されている事象を除く事象を示す前記差分情報を生成する
請求項1~3のいずれか1項に記載の情報出力方法。
【請求項5】
前記第一移動体情報は、さらに、前記第一移動体の移動路に設置されているセンサがセンシングにより生成したセンサ値から生成された情報を含み、
前記第二移動体情報は、さらに、前記第二移動体の移動路に設置されているセンサがセンシングにより生成したセンサ値から生成された情報を含む
請求項2に記載の情報出力方法。
【請求項6】
前記第一移動体情報は、
前記第一移動体の位置情報もしくは速度情報、前記第一移動体の周囲における障害物の有無、前記第一移動体の周囲に存在している障害物の位置情報もしくは速度情報、前記第一移動体の搭乗人数、前記第一移動体の周囲に存在している人の流れの量、または、前記第一移動体の周囲に存在している車両の流れの量を含み、
前記第二移動体情報は、
前記第二移動体の位置情報もしくは速度情報、前記第二移動体の周囲における障害物の有無、前記第二移動体の周囲に存在している障害物の位置情報もしくは速度情報、前記第二移動体の搭乗人数、前記第二移動体の周囲に存在している人の流れの量、または、前記第二移動体の周囲に存在している車両の流れの量を含む
請求項1~5のいずれか1項に記載の情報出力方法。
【請求項7】
前記事象は、前記第一移動体または前記第二移動体である移動体の移動方向における人または物体の飛び出し、前記移動体の進行方向変更時の人または物体の巻き込み、前記移動体の他の移動体との合流時の衝突、前記移動体の移動方向における他の移動体の割込み、前記移動体の移動路の逸脱、信号機のない横断エリアでの車両と歩行者との同時進行開始による衝突、または、車両の周囲での意図的な妨害を含む
請求項1~6のいずれか1項に記載の情報出力方法。
【請求項8】
前記差分情報は、前記差分情報により示される事象が生じた位置を地図上に示した画像を含む
請求項1~7のいずれか1項に記載の情報出力方法。
【請求項9】
前記差分情報は、前記差分情報により示される事象の複数の要因それぞれが、前記事象の発生に影響を及ぼした度合いを含む
請求項1~8のいずれか1項に記載の情報出力方法。
【請求項10】
前記モデルは、ニューラルネットワークモデルである
請求項1~9のいずれか1項に記載の情報出力方法。
【請求項11】
取得部と、変更部と、検知部と、生成部とを備え、
前記検知部は、モデルであって、前記モデルに入力された第一移動体に関する情報である第一移動体情報に基づいて、前記第一移動体に生じた事象を示す第一事象情報を出力するモデルを取得し、
前記取得部は、第二移動体に関する情報である第二移動体情報を取得し、
前記変更部は、前記取得部が取得した前記第二移動体情報に変更を施した第三移動体情報を生成し、
前記検知部は、前記取得部が取得した前記第二移動体情報を前記モデルに入力することで出力される、前記第二移動体に生じた事象を示す情報を、第二事象情報として取得し、
前記検知部は、前記変更部が生成した前記第三移動体情報を前記モデルに入力することで出力される事象を示す情報を、第三事象情報として取得し、
前記生成部は、前記第二事象情報と前記第三事象情報との差分を示す差分情報を生成して出力する
情報出力装置。
【請求項12】
請求項1~10のいずれか1項に記載の情報出力方法をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報出力方法、情報出力装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、道路の交差点内で発生する事象を予測する方法が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、事象を適切に予測することができないことがあるという問題がある。
【0005】
本発明は、移動体に生じ得る事象を適切に特定して出力する情報出力方法などを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る情報出力方法は、モデルであって、前記モデルに入力された第一移動体に関する情報である第一移動体情報に基づいて、前記第一移動体に生じた事象を示す第一事象情報を出力するモデルを取得し、第二移動体に関する情報である第二移動体情報を取得し、取得した前記第二移動体情報に変更を施した第三移動体情報を生成し、取得した前記第二移動体情報を前記モデルに入力することで出力される、前記第二移動体に生じた事象を示す情報を、第二事象情報として取得し、生成した前記第三移動体情報を前記モデルに入力することで出力される事象を示す情報を、第三事象情報として取得し、前記第二事象情報と前記第三事象情報との差分を示す差分情報を生成して出力する情報出力方法である。
【0007】
なお、これらの包括的または具体的な態様は、システム、装置、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよく、システム、装置、集積回路、コンピュータプログラムおよび記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明の情報出力装置は、移動体に生じ得る事象を適切に特定して出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施の形態における検知システムの構成を模式的に示す説明図である。
【
図2】
図2は、実施の形態における車両の機能構成を模式的に示す説明図である。
【
図3】
図3は、実施の形態における検知装置の機能構成を模式的に示す説明図である。
【
図4】
図4は、実施の形態における検知システムの処理を示すフロー図である。
【
図5】
図5は、実施の形態における特定システムの構成を模式的に示す説明図である。
【
図6】
図6は、実施の形態における特定装置の機能構成を模式的に示す説明図である。
【
図7】
図7は、実施の形態における車両が取得した車両情報と、事象情報との例を示す説明図である。
【
図8】
図8は、実施の形態における変更部により変更が施された車両情報と、事象情報との例を示す説明図である。
【
図9】
図9は、実施の形態における統合事象情報の例を示す説明図である。
【
図10】
図10は、実施の形態における差分情報の例を示す説明図である。
【
図11】
図11は、実施の形態における出力情報の第一例を示す説明図である。
【
図12】
図12は、実施の形態における出力情報の第二例を示す説明図である。
【
図13】
図13は、実施の形態における特定システムの処理を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(本発明の基礎となった知見)
本発明者は、「背景技術」の欄において記載した、事象を予測する技術に関し、以下の問題が生じることを見出した。
【0011】
移動体(例えば車両など)がセンサによって取得した情報に基づいて、移動体または移動体の周囲に生じている事象を検知したり、移動体または移動体の周囲に生じる可能性が高い事象を事前に予測したりすることが可能である。事象が検知または予測された場合、移動体がその事象を回避する、または、その事象が発生しないように事前に移動体または移動路を改善するという施策をとることが想定される。
【0012】
上記移動体は、搭乗している運転者によって運転される移動体だけでなく、運転者が搭乗せずに自律的に走行する移動体、または、車内ではなく遠隔地に存在する運転者により通信回線を経由して制御されて走行する移動体も含む。
【0013】
しかしながら、センサにより取得した情報に誤りが含まれている、または、センサにより取得した情報に欠損がある場合がある。このように、センサにより取得した情報に誤りまたは欠損がある場合、適切に事象を予測することができない、言い換えれば、事象の予測に失敗することがあるという問題がある。
【0014】
本発明は、移動体に生ずる事象を適切に予測することができる情報出力方法などを提供する。より具体的には、本発明は、移動体に生じ得る事象のうち、実際の移動の際に検知に失敗し得る事象を事前に特定して出力する情報出力方法などを提供する。
【0015】
このような問題を解決するために、本発明の一態様に係る情報出力方法は、モデルであって、前記モデルに入力された第一移動体に関する情報である第一移動体情報に基づいて、前記第一移動体に生じた事象を示す第一事象情報を出力するモデルを取得し、第二移動体に関する情報である第二移動体情報を取得し、取得した前記第二移動体情報に変更を施した第三移動体情報を生成し、取得した前記第二移動体情報を前記モデルに入力することで出力される、前記第二移動体に生じた事象を示す情報を、第二事象情報として取得し、生成した前記第三移動体情報を前記モデルに入力することで出力される事象を示す情報を、第三事象情報として取得し、前記第二事象情報と前記第三事象情報との差分を示す差分情報を生成して出力する情報出力方法である。
【0016】
上記態様によれば、移動体に生じ得る事象のうち、実際の移動の際に検知に失敗し得る事象を示している差分情報を出力することができる。出力される差分情報は、第二移動体情報に変更を施したことによって生じた事象情報の変化分を示している。また、第二移動体情報に施した変更は、実際の移動の際に生じ得るセンサにより取得した情報に含まれている誤りまたは欠損に相当し得る。そのため、出力される差分情報は、実際の移動の際にセンサにより取得できる情報の誤りまたは欠損により検知できない可能性がある事象を示しているといえる。このように、上記情報出力方法は、移動体に生ずる事象のうち、実際の移動の際に検知に失敗し得る事象を示す差分情報を出力することによって、移動体に生
じ得る事象を適切に特定して出力することができる。
【0017】
例えば、前記第二移動体情報は、前記第二移動体の移動の際に、前記第二移動体が備えるセンサがセンシングにより生成したセンサ値から生成された情報を含み、前記第三移動体情報を生成する際には、前記第二移動体が備える前記センサによるセンシングが失敗したことに対応する前記変更を前記第二移動体情報に施すことで、前記第三移動体情報を生成してもよい。
【0018】
上記態様によれば、第二移動体情報に施された変更が、第二移動体が備えるセンサによるセンシングが失敗したことに対応する変更であるので、出力される差分情報は、実際の移動の際に検知に失敗し得る事象を示す差分情報になる。よって、上記情報出力方法は、移動体に生じ得る事象を、より適切に特定して出力することができる。
【0019】
例えば、さらに、前記第二移動体が備える前記センサによる前記センシングが失敗した頻度を計測し、前記第三移動体情報を生成する際には、計測した前記頻度で前記変更を施すことで、前記第三移動体情報を生成してもよい。
【0020】
上記態様によれば、第二移動体が備えるセンサによるセンシングが失敗した頻度で、第二移動体情報に変更が施されるので、出力される差分情報は、実際の失敗の頻度も考慮して、実際の移動の際に検知に失敗し得る事象を示す差分情報になる。よって、上記情報出力方法は、移動体に生じ得る事象を、より適切に特定して出力することができる。
【0021】
例えば、前記差分情報を生成する際には、前記第二事象情報に示されている事象のうち、前記第三事象情報に示されている事象を除く事象を示す前記差分情報を生成してもよい。
【0022】
上記態様によれば、第二事象情報に示されている事象のうち、第三事象情報に示されている事象を除くことで、容易に差分情報を生成することができる。よって、上記情報出力方法は、より容易に、移動体に生じ得る事象を適切に特定して出力することができる。
【0023】
例えば、前記第一移動体情報は、さらに、前記第一移動体の移動路に設置されているセンサがセンシングにより生成したセンサ値から生成された情報を含み、前記第二移動体情報は、さらに、前記第二移動体の移動路に設置されているセンサがセンシングにより生成したセンサ値から生成された情報を含んでもよい。
【0024】
上記態様によれば、移動体が備えるセンサに加えて、移動路に設置されているセンサがセンシングにより生成したセンサ値をも用いて移動体情報が生成されるので、生成される移動体情報がより適切な情報になる。これにより、事象情報および差分情報の適切さも向上する。よって、上記情報出力方法は、移動体に生じ得る事象を、より適切に特定して出力することができる。
【0025】
例えば、前記第一移動体情報は、前記第一移動体の位置情報もしくは速度情報、前記第一移動体の周囲における障害物の有無、前記第一移動体の周囲に存在している障害物の位置情報もしくは速度情報、前記第一移動体の搭乗人数、前記第一移動体の周囲に存在している人の流れの量、または、前記第一移動体の周囲に存在している車両の流れの量を含み、前記第二移動体情報は、前記第二移動体の位置情報もしくは速度情報、前記第二移動体の周囲における障害物の有無、前記第二移動体の周囲に存在している障害物の位置情報もしくは速度情報、前記第二移動体の搭乗人数、前記第二移動体の周囲に存在している人の流れの量、または、前記第二移動体の周囲に存在している車両の流れの量を含んでもよい。
【0026】
上記態様によれば、移動体情報として、移動体の位置情報もしくは速度情報、移動体の周囲における障害物の有無、または、移動体の周囲に存在している障害物の位置情報もしくは速度情報を用いて、差分情報を生成する。よって、上記情報出力方法は、より容易に、移動体に生じ得る事象を適切に特定して出力することができる。
【0027】
例えば、前記事象は、前記第一移動体または前記第二移動体である移動体の移動方向における人または物体の飛び出し、前記移動体の進行方向変更時の人または物体の巻き込み、前記移動体の他の移動体との合流時の衝突、前記移動体の移動方向における他の移動体の割込み、前記移動体の移動路の逸脱、信号機のない横断エリアでの車両と歩行者との同時進行開始による衝突、または、車両の周囲での意図的な妨害を含んでもよい。
【0028】
上記態様によれば、移動体情報に基づいて、モデルにより、移動体の移動方向における人または物体の飛び出し、移動体の進行方向変更時の人または物体の巻き込み、移動体の他の移動体との合流時の衝突、移動体の移動方向における他の移動体の割込み、または、移動体の移動路の逸脱を事象として検知する。よって、上記情報出力方法は、より容易に、移動体に生じ得る事象を適切に特定して出力することができる。
【0029】
例えば、前記差分情報は、前記差分情報により示される事象が生じた位置を地図上に示した画像を含んでもよい。
【0030】
上記態様によれば、実際の移動の際に検知できない可能性がある事象が生じた位置が地図上で示されて提示される。そのため、上記地図を視認した者は、上記事象を地図上で容易に把握することができ、事象が実際に生じにくくする施策をとることが想定される。よって、上記情報出力方法は、移動体に生じ得る事象を適切に特定して出力しながら、その事象の検知を低減する施策につなげることができる。
【0031】
例えば、前記差分情報は、前記差分情報により示される事象の複数の要因それぞれが、前記事象の発生に影響を及ぼした度合いを含んでもよい。
【0032】
上記態様によれば、事象の複数の要因それぞれが、事象の発生に影響を及ぼした度合いが提示される。そのため、上記度合いを視認した者は、事象が実際に生じにくくする施策、または、事象の検知の失敗を生じにくくする施策を取ることが想定される。よって、上記情報出力方法は、移動体に生じ得る事象を適切に特定して出力しながら、その事象の検知を低減する施策につなげることができる。
【0033】
例えば、前記モデルは、ニューラルネットワークモデルであってもよい。
【0034】
上記態様によれば、ニューラルネットワークモデルを用いて、より容易に、移動体に生ずる事象をより適切に予測することができる。
【0035】
また、本発明の一態様に係る情報出力装置は、取得部と、変更部と、検知部と、生成部とを備え、前記検知部は、モデルであって、前記モデルに入力された第一移動体に関する情報である第一移動体情報に基づいて、前記第一移動体に生じた事象を示す第一事象情報を出力するモデルを取得し、前記取得部は、第二移動体に関する情報である第二移動体情報を取得し、前記変更部は、前記取得部が取得した前記第二移動体情報に変更を施した第三移動体情報を生成し、前記検知部は、前記取得部が取得した前記第二移動体情報を前記モデルに入力することで出力される、前記第二移動体に生じた事象を示す情報を、第二事象情報として取得し、前記検知部は、前記変更部が生成した前記第三移動体情報を前記モデルに入力することで出力される事象を示す情報を、第三事象情報として取得し、前記生
成部は、前記第二事象情報と前記第三事象情報との差分を示す差分情報を生成して出力する情報出力装置である。
【0036】
上記態様によれば、上記情報出力方法と同様の効果を奏する。
【0037】
また、本発明の一態様に係るプログラムは、上記の情報出力方法をコンピュータに実行させるプログラムである。
【0038】
上記態様によれば、上記情報出力方法と同様の効果を奏する。
【0039】
なお、これらの包括的または具体的な態様は、システム、装置、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよく、システム、装置、集積回路、コンピュータプログラムまたは記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0040】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0041】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0042】
(実施の形態)
本実施の形態において、移動体に生じ得る事象を適切に特定して出力する特定方法および特定装置などについて説明する。特定方法および特定装置を、それぞれ、情報出力方法および情報出力装置ともいう。
【0043】
以降において、(1)車両に生ずる事象を検知する検知システム、および、(2)車両の移動の際に検知システムによる検知が失敗し得る事象を、事前に特定する特定システムについて説明する。
【0044】
なお、事象とは、車両にまつわるさまざまな事象を意味し、より具体的には、車両の進行の妨げになる事象、または、車両の安全な進行の妨げになる事象を意味してもよい。
【0045】
(1)検知システム
図1は、本実施の形態における検知システム5の構成を模式的に示す説明図である。検知システム5は、車両7に生ずる事象を検知するシステムである。
【0046】
図1に示されるように、検知システム5は、提示装置30と、検知装置50とを備え、これらは、ネットワークNを介して通信可能に接続されている。提示装置30と検知装置50とは、ネットワークNを介して車両7に通信可能に接続されている。なお、検知システム5は、車両7をさらに備えてもよい。
【0047】
車両7は、検知システム5によって事象が検知される対象である移動体の一例である。車両7は、センサによるセンシングによって生成したセンサ値から、車両7に関する情報(車両情報ともいう)を生成し、生成した車両情報を検知装置50に送信する。車両情報は、移動体情報の一例である。
【0048】
検知装置50は、車両7に生ずる事象を検知する装置である。検知装置50は、車両7
から車両情報を取得し、検知モデルを用いて車両7に生じている事象を検知し、その事象を示す事象情報を提示装置30に送信する。
【0049】
提示装置30は、車両7に生じている事象を提示する装置である。提示装置30は、検知装置50が送信した事象情報を取得し、取得した事象情報を提示する。事象情報の提示は、提示情報を示す画像を表示画面に表示すること、または、提示情報を示す音声をスピーカによって出力することなどによりなされる。提示する事象情報は、監視者Pに閲覧または聴取されることが想定される。事象情報を閲覧または視認した監視者Pは、事象情報に示される事象の内容に応じて車両7を制御することが想定される。特に、事象が、車両7の安全な進行の妨げになる事象である場合には、監視者Pは、その事象を回避するように車両7を制御することが想定される。
【0050】
図2は、本実施の形態における車両7の機能構成を模式的に示す説明図である。
【0051】
図2に示されるように、車両7は、機能部として、センサ51Aおよび51Bと、処理部52と、提供部53とを備える。車両7が備える機能部は、車両7が備えるプロセッサ(例えばCPU(Central Processing Unit)、不図示)が、メモリ(不図示)を用いて所定のプログラムを実行することで実現され得る。
【0052】
センサ51Aは、車両7または車両7の周囲に対するセンシングを行うセンサである。センサ51Aは、センシングをすると、センシングの結果を示すセンサ値を生成して処理部52に提供する。センサ51Aは、カメラ、LiDAR(Light Detection and Ranging)、IMU(Inertial Measurement
Unit)、または、GPS受信機を含む。センサ値は、カメラにより撮像された画像(例えばRGB画像)、LiDARにより取得されたポイントクラウド、IMUにより取得された加速度情報および角速度情報、または、GPS受信機により得られたGPSデータを少なくとも含む。センサ51Aは、適切な間隔(例えば、0.1秒~数秒程度)で繰り返しセンサ値を取得する。センサ51Aがセンサ値を取得する間隔は、センシングの内容に応じて定められてよい。また、センサ51Aがセンサ値を取得する間隔は、固定であってもよいし、変動してもよい。
【0053】
センサ51Bは、センサ51Aと同様のセンサであり、センサ51Aとは独立に動作する。センサ51Bは、センサ51Aがセンシングする情報とは異なる情報をセンシングするセンサであることが想定されるが、センサ51Aがセンシングする情報と同じ情報をセンシングするセンサであってもよい。
【0054】
例えば、センサ51Aは、GPS受信機であり、センサ51Bは、カメラである。
【0055】
なお、
図2には、センサとしてセンサ51Aおよび51Bの2つが示されているが、センサは1以上であればいくつでもよい。
【0056】
処理部52は、センサ51Aおよび51Bが提供したセンサ値について処理をすることで、車両7に関する情報(車両情報)を取得する機能部である。車両情報は、例えば、車両7の位置情報もしくは速度情報、車両7の周囲における障害物の有無、車両7の周囲に存在している障害物の位置情報もしくは速度情報、車両7の搭乗人数、車両7の周囲に存在している人の流れの量(人流量ともいう)、または、車両7の周囲に存在している車両の流れの量(車流量ともいう)を含む。なお、処理部52は、センサ51A等が提供したセンサ値だけでなく、外部装置から取得した情報について処理をすることで、車両情報を取得してもよい。
【0057】
処理部52がセンサ値に基づいて車両情報を算出する方法は、公知技術によりなされ得る。例えば、センサ51AがGPS受信機である場合、処理部52は、GPS受信機がGPS衛星から受信した信号(センサ値に相当)を処理することで、GPS受信機、言い換えれば車両7の位置を示す位置情報を取得する。また、例えば、車両7に乗車するために賃貸借契約をする場合には、処理部52は、外部装置から取得した賃貸借契約の内容を参照することで、車両7の搭乗人数を取得する。
【0058】
提供部53は、処理部52が算出した車両情報を検知装置50に提供する機能部である。提供部53は、ネットワークNに接続される通信インタフェース(不図示)を通じて、車両情報を検知装置50に送信する。
【0059】
図3は、本実施の形態における検知装置50の機能構成を模式的に示す説明図である。
【0060】
図3に示されるように、検知装置50は、機能部として、取得部501と、検知部502と、出力部503とを備える。検知装置50が備える機能部は、検知装置50が備えるプロセッサ(例えばCPU、不図示)が、メモリ(不図示)を用いて所定のプログラムを実行することで実現され得る。
【0061】
取得部501は、車両7から車両情報を取得する機能部である。取得部501は、ネットワークNに接続される通信インタフェース(不図示)を通じて、車両7(提供部53)が送信した車両情報を受信する。取得部501は、取得した車両情報を検知部502に提供する。
【0062】
なお、取得部501は、車両7の車両情報を、車両7とは異なる設備から取得してもよい。具体的には、取得部501は、車両7の移動路に設置されているセンサ(不図示)が、車両7または車両7の周囲に対するセンシングをすることにより取得したセンサ値から生成された車両情報を、取得してもよい。車両7の移動路に設置されているセンサは、例えば、ネットワークNに接続された信号機または街路灯などに設置されているカメラ等である。この場合、取得部501は、上記カメラが生成した画像を、ネットワークNを通じて取得する。
【0063】
検知部502は、取得部501が取得した車両情報に基づいて、車両7に生じた事象を示す事象情報を取得する機能部である。検知部502は、車両情報に基づいて事象情報を出力するモデル505を有しており、モデル505を用いて上記事象情報を取得する。
【0064】
検知部502は、取得した事象情報を提示装置30に提供する。具体的には、検知部502は、取得した事象情報を、ネットワークNに接続される通信インタフェース(不図示)を通じて提示装置30に送信する。ここで、車両7に生じた事象は、例えば、車両7の移動方向における人または物体の飛び出し、車両7の進行方向変更時の人または物体の巻き込み、車両7の他の車両との合流時の衝突、車両7の移動方向における他の移動体の割込み、車両7の移動路の逸脱、信号機のない横断エリアでの車両7と歩行者との同時進行開始による衝突、および、車両7の周囲での意図的な妨害の少なくとも1つを含む。
【0065】
モデル505は、車両に生じた事象を検知する検知モデルである。モデル505は、具体的には、車両情報を入力されると、入力された車両情報に基づいて、その車両情報に係る車両に生じた事象を示す事象情報を出力する。モデル505は、例えば、事前に機械学習により構築された学習モデルである。事前の機械学習では、例えば、さまざまな事象が車両に生じたときの車両情報と、その事象を示す事象情報との組が、十分な数(数万~数十万)だけ、訓練データとして学習機に入力される。そして、訓練データに含まれる車両情報の特徴に基づいて、訓練データに含まれる事象情報を出力できるように、モデルに含
まれる内部パラメータを調整することで、学習が進行する。モデルは、例えば、ニューラルネットワークモデルである。
【0066】
出力部503は、検知部502が取得した事象情報を提示装置30に提供する機能部である。出力部503は、ネットワークNに接続される通信インタフェース(不図示)を通じて、事象情報を提示装置30に送信する。
【0067】
図4は、本実施の形態における検知システム5の処理を示すフロー図である。
【0068】
ステップS101において、車両7のセンサ51A等は、車両7または車両7の周囲に対するセンシングを行うことで、センサ値を取得する。
【0069】
ステップS102において、車両7の処理部52は、ステップS101で取得したセンサ値を処理することで、車両情報を取得する。
【0070】
ステップS103において、検知装置50の検知部502は、ステップS102で取得された車両情報とモデル505とを用いて、事象情報を取得する。
【0071】
ステップS104において、出力部503は、ステップS103で取得した事象情報を提示装置30に出力する。出力された提示情報は、適切な形式で監視者Pに視認されることが想定される。
【0072】
このようにして、検知システム5は、車両7に生ずる事象を検知する。監視者Pは、検知システム5によって検知され提示された情報を視認することで、事象を知ることが想定される。
【0073】
(2)特定システム
図5は、本実施の形態における特定システム1の構成を模式的に示す説明図である。特定システム1は、車両7の移動の際に検知に失敗し得る事象を事前に特定するシステムである。
【0074】
図5に示されるように、特定システム1は、提示装置20と、特定装置10とを備え、これらは、ネットワークNを介して通信可能に接続されている。提示装置20と特定装置10とは、ネットワークNを介して車両3に通信可能に接続されている。なお、特定システム1は、車両3をさらに備えてもよい。
【0075】
車両3は、車両7の移動の際に、検知システム5が検知に失敗し得る事象の特定に用いられる移動体の一例である。車両3が備える機能は、検知システム5における車両7におけるものと同じである。なお、車両3は、車両7と同じ車両であってもよいし、異なる車両であってもよい。
【0076】
車両3は、センサによるセンシングによって生成したセンサ値から、車両3に関する情報(車両情報ともいう)を生成し、生成した車両情報を検知装置50に送信する。
【0077】
特定装置10は、車両7の移動の際に、検知システム5が検知に失敗し得る事象を事前に特定する装置である。特定装置10は、車両3から車両情報を取得し、取得した車両情報と、取得した車両情報に変更を加えた車両情報とから、検知モデルを用いて、車両7の移動の際に検知に失敗し得る事象を特定する。また、特定装置10は、上記事象を特定する特定情報を提示装置20に送信する。
【0078】
提示装置20は、車両7の移動の際に検知に失敗し得る事象を提示する装置である。提示装置20は、特定装置10が送信した事象情報を取得し、取得した事象情報を提示する。事象情報の提示は、提示情報を示す画像を表示画面に表示すること、または、提示情報を示す音声をスピーカによって出力することなどによりなされる。提示する事象情報は、監視者Qに閲覧または聴取されることが想定される。事象情報を閲覧または視認した監視者Qは、その事象を回避する施策、または、その事象が発生しないようにする施策をとることが想定される。
【0079】
例えば、上記事象が、人が車両の進行方向に飛び出すことである場合には、その事象が実際に生じにくくなる施策は、人の道路への侵入を妨げる設備(例えばガードレール、または、注意喚起情報を記載した看板など)の設置が含まれる。また、その事象の検知の失敗を生じにくくする施策は、センサの増設または設置位置の調整が含まれる。
【0080】
図6は、本実施の形態における特定装置10の機能構成を模式的に示す説明図である。
【0081】
図6に示されるように、特定装置10は、機能部として、取得部101と、変更部102と、検知部103と、生成部104とを備える。特定装置10が備える機能部は、特定装置10が備えるプロセッサ(例えばCPU(Central Processing Unit)、不図示)が、メモリ(不図示)を用いて所定のプログラムを実行することで実現され得る。
【0082】
取得部101は、車両情報を取得する機能部である。取得部101は、具体的には、車両3の移動に関する車両情報(第二移動体情報に相当)を取得する。取得部101は、取得した車両情報を変更部102と検知部103とに提供する。このように提供される車両情報を、車両情報111ともいう。車両情報111は、車両3が備えるセンサ51A等がセンシングにより生成したセンサ値から処理部52により生成された情報であり、車両3に関する情報である。
【0083】
なお、取得部101は、車両3の車両情報111を、車両3とは異なる設備から取得してもよい。具体的には、取得部101は、車両3の移動路に設置されているセンサ(不図示)が、車両3または車両3の周囲に対するセンシングをすることにより取得したセンサ値から生成された車両情報111を、取得してもよい。
【0084】
変更部102は、車両情報111に変更を施す機能部である。変更部102は、具体的には、車両情報111を取得部101から取得し、取得した車両情報111に変更を施した車両情報112(第三移動体情報に相当)を生成する。変更部102は、生成した車両情報112を検知部103に提供する。変更部102は、具体的には、車両情報111としての位置情報に含まれる緯度または経度の変更、または、その車両情報111に対応する時刻の変更を施す。
【0085】
変更部102は、車両情報112を生成する際には、車両3が備えるセンサ51A等によるセンシングが失敗したことに対応する変更を車両情報111に施すことで、車両情報112を生成する。
【0086】
なお、変更部102は、車両情報112を生成する際には、車両3が備えるセンサ51A等によるセンシングが実際に失敗した頻度で上記変更を施すことで、車両情報112を生成してもよい。車両3が備えるセンサ51A等によるセンシングが実際に失敗した頻度は、例えば、以下のように導き出される。
【0087】
すなわち、変更部102は、センシングに失敗しないと考えられる十分な個数のセンサ
であって、センシングに失敗しないと考えられる適切な位置に設置されたセンサによるセンシングの結果を用いて生成した車両3の車両情報111(車両情報Aともいう)を取得する。
【0088】
また、変更部102は、車両3が備えるセンサ51A等によるセンシングの結果を用いて生成した車両3の車両情報111(車両情報Bともいう)を取得する。車両情報Bは、車両情報Aの取得に関与したセンサより少ないセンサにより取得したセンサ値から取得されたものであるので、車両情報Bに含まれるエントリ数は、車両情報Aに含まれるエントリ数より少ないことが想定される。
【0089】
そして、変更部102は、車両情報Aと車両情報Bとを比較することで、車両情報Aに対する車両情報Bの差異を特定する。このように特定された車両情報Aに対する車両情報Bの差異が発生する頻度が、車両3が備えるセンサ51A等によるセンシングが実際に失敗した頻度に相当する。センシングに失敗しないと考えられる十分な個数の上記センサは、車両3が備えるセンサ51Aに加えて、他の車両または移動路に設置されたセンサを含んでよい。
【0090】
検知部103は、入力された車両情報111に基づいて、モデル106を用いて、事象情報を出力する機能部である。検知部103は、予めモデル106を取得している。モデル106は、モデル106に入力された車両の車両情報111(第一移動体情報に相当)に基づいて、当該車両に生じた事象を示す事象情報(第一事象情報に相当)を出力するモデルであり、モデル505と同じモデルである。
【0091】
検知部103は、取得部101が提供した車両情報111を取得し、取得した車両情報111をモデル106に入力することで出力される事象情報121(第二事象情報に相当)を取得する。検知部103は、取得した事象情報121を生成部104に提供する。
【0092】
また、検知部103は、変更部102が提供した車両情報112を取得すると、取得した車両情報112をモデル106に入力することで出力される事象情報122(第三事象情報に相当)を取得する。検知部103は、取得した事象情報122を生成部104に提供する。
【0093】
生成部104は、事象情報121と事象情報122との差分を示す差分情報を生成して出力する機能部である。生成部104は、ネットワークNに接続される通信インタフェース(不図示)を通じて、差分情報を提示装置20に送信する。
【0094】
生成部104は、差分情報を生成する際には、まず、事象情報121と事象情報122とを統合する。統合の際、事象情報121と事象情報122とのそれぞれに、同一の時刻および同一の場所で生じた同一の事象が含まれている場合には、これらの事象を1つの事象とするように、統合事象情報を生成する。このとき、上記「同一の時刻」は、厳密に同一の時刻であることに限定されず、所定の時間差(例えば、数秒程度以内の時間差)を有する2つの時刻が同一の時刻と扱われてもよい。言い換えれば、上記所定の時間差を有する2つの時刻が同一視されてもよい。同様に、上記「同一の場所」は、厳密に同一の場所であることに限定されず、所定の距離(例えば、数メートル以内の距離)を有する2つの地点が同一の場所と扱われてもよい。言い換えれば、上記所定の距離を有する2つの地点が同一視されてもよい。なお、1メートルに相当する緯度は、例えば赤道付近において約10-5度であり、1メートルに相当する緯度は、例えば約10-5度である。
【0095】
次に、生成部104は、統合事象情報に示されている事象のうち、事象情報122に示されている事象を除く事象を示す情報を、差分情報として生成する。差分情報は、統合事
象情報に示されている事象から、事象情報122に示されている事象を差し引くことで得ることができる。なお、差分情報は、上記所定の時間差を有する2つの時刻を同一視し、かつ、上記所定の距離を有する2つの地点を同一視しながら、事象情報121に示されている事象のうち、事象情報122に示されている事象を除く事象を示す情報として得ることもできる。すなわち、差分情報は、車両3に生じた事象のうち、車両3の車両情報111に変更が加えられたことによりモデル106により検知されなくなった事象を示す情報である。差分情報は、車両7の移動の際に検知に失敗し得る事象を示す情報であると言える。
【0096】
差分情報は、さまざまな形式で表現され得る。差分情報は、例えば、当該差分情報により示される事象が生じた位置を地図上に示した画像を含んでもよい。また、差分情報は、例えば、当該差分情報により示される事象の複数の要因それぞれが、当該事象に影響及ぼした度合いを含んでもよい。
【0097】
以降において、特定装置10の処理をより詳しく説明する。
【0098】
図7は、本実施の形態における車両3が取得した車両情報111と、事象情報121との例を示す説明図である。
【0099】
図7に示される車両情報111は、車両3の時刻ごとの位置を示す緯度および経度を含む位置情報である。
図7に示される車両情報111は、例えば、車両3が備えるセンサ51AであるGPS受信機により取得されたGPSデータが、処理部52により処理されることで生成された位置情報である。なお、
図7に示される車両情報111は、車両3が備えるセンサ51Aが繰り返し取得した車両情報のうち、車両3に事象が生じたときの車両情報を抽出したものである。
【0100】
図7に示される車両3の事象情報121は、車両3に生じた事象の内容を示す情報である。
図7に示される車両3の事象情報121は、
図7に示される車両情報111を検知部103(モデル106)に入力することで出力される事象情報121である。
【0101】
例えば、
図7に示される1行目の車両情報(車両情報#1ともいう)は、時刻「2020年3月30日4時53分23秒061953」において、車両3が「緯度34.838968度、経度135.673072度」の位置に位置していることを示している。
【0102】
また、
図7に示される1行目の事象情報(事象情報#1ともいう)は、車両情報#1に示される上記時刻において、車両3に「飛び出し」の事象、より具体的には、車両3の進行方向における人の飛び出しの事象が生じたことを示している。
【0103】
図8は、本実施の形態における変更部102により変更が施された車両情報112と、事象情報122との例を示す説明図である。
【0104】
図8に示される車両情報112は、
図7に示される車両情報111(つまり、車両3の時刻ごとの位置を示す緯度および経度)に対して、変更部102により変更が施された車両情報112である。
【0105】
具体的には、
図8に示される車両情報112は、
図7に示される車両情報111のうち、(a)車両情報#2、#4および#6を削除する変更が施され、(b)車両情報#1、#3、#5および#7の時刻情報を変化させる変更が施され、(c)車両情報#5および#7の緯度を変化させる変更が施され、さらに、(d)車両情報#5の経度を変化させる変更が施されたものである。
【0106】
また、
図8に示される車両3の事象情報122は、
図8に示される車両情報112を検知部103(モデル106)に入力することで出力される事象情報122である。
【0107】
例えば、
図8に示される車両情報#1は、時刻「2020年3月30日4時53分24秒061953」において、車両3が「緯度34.838968度、経度135.673072度」の位置に位置していることを示している。
【0108】
また、
図8に示される事象情報#1は、車両3に「飛び出し」の事象、言い換えれば、車両3の進行方向における人の飛び出しの事象が生じたことを示している。
【0109】
図9は、本実施の形態における統合事象情報の例を示す説明図である。
【0110】
図9に示される統合事象情報は、
図7に示される事象情報と、
図8に示される事象情報とが、生成部104によって統合されることで生成されたものである。
【0111】
生成部104は、統合の際、変更の前後のうちで変更の前だけに存在している事象情報については、そのまま残し、「変更後の検知」の欄を「No」と設定する。
【0112】
一方、生成部104は、統合の際、変更の前後に存在している車両情報および事象情報については、変更後の数値を残し、「変更後の検知」の欄を「Yes」と設定する。
【0113】
統合事象情報は、変更前の車両情報から検知される事象情報が、変更後の車両情報から検知されるか否かを示す情報であると言える。
【0114】
なお、統合の際、変更の前後のうちで変更の後だけに存在している事象情報は、統合事象情報には含めない。変更の後だけに存在している事象情報は、検知システム5による検知に関して特に意味をもたないからである。
【0115】
図10は、実施の形態における差分情報の例を示す説明図である。
【0116】
図10に示される差分情報は、統合の際、変更の前後のうちで変更の前に存在していて、変更の後に存在しない事象情報(つまり、
図9において「変更後の検知」の欄が「No」である事象情報)を示している。具体的には、
図10における差分情報#1、#2および#3は、それぞれ、
図9における統合事象情報#2、#4および#6を抜き出したものである。
【0117】
図10に示される差分情報は、車両3に生じた事象を示す事象情報と、変更部102による変更後の事象情報との差分を示す差分情報に相当し、より具体的には、車両3に生じた事象を示す事象情報に示されている事象のうち、変更部102による変更後の事象情報に示されている事象を除く事象を示していると言える。
【0118】
図11は、本実施の形態における出力情報の第一例を示す説明図である。
【0119】
図11に示される出力情報は、差分情報により示される事象が生じた位置を地図上に示した画像の一例(画像61)である。
【0120】
画像61には、差分情報により示される事象が生じた位置を示す図形62が示されている。図形62は、多くの事象が生じた位置ほど、より濃い色を有するように表示されている。
【0121】
画像61は、特定装置10により生成され、提示装置20に送信されて、提示装置20により表示される。監視者Qは、画像61を視認することで、事象が多く生ずる位置を、地図上の位置として把握することができる。
【0122】
このように事象が多く生ずる位置を把握した監視者Qは、例えば、事象情報に示される事象が実際に生ずることを回避する施策をとることが想定される。具体的には、監視者Qは、人または物体の道路への飛び出しの事象が多く生じた位置に、人または物体の道路への飛び出しを阻止するガードレールを設置する施策をとることが想定される。
【0123】
図12は、本実施の形態における出力情報の第二例を示す説明図である。
【0124】
図12に示される出力情報は、差分情報により示される事象の複数の要因それぞれが、その事象の発生に影響を及ぼした度合いを含んでいる。
【0125】
具体的には、
図12に示される出力情報は、事象が発生した要因としての「搭乗人数」、「人流量」および「車流量」それぞれが、事象の発生に影響を及ぼした度合いを、合計を1とした数値で示している。
【0126】
このような、要因ごとの事象の発生に影響を及ぼした度合いは、例えば、事象の発生の有無に関連し得る要素と、事象の発生の有無との相関を取ることで算出され得る。また、要因ごとの事象の発生に影響を及ぼした度合いは、例えば、事象の発生の有無に関連し得る要素による回帰分析結果の標準偏回帰係数として算出され得る。
【0127】
例えば、
図12では、「搭乗人数」の要因が事象の発生に影響を及ぼした度合いが0.4であり、「人流量」の要因が事象の発生に影響を及ぼした度合いが0.3であり、また、「車流量」の要因が事象の発生に影響を及ぼした度合いが0.3である例が示されている。
【0128】
このように示される要因ごとの事象の発生に影響を及ぼした度合いを視認した者は、事象が実際に生じにくくする施策を取ることができる。
【0129】
以上のように構成された特定システム1の処理について説明する。
【0130】
図13は、実施の形態における特定システム1の処理を示すフロー図である。
【0131】
ステップS201において、車両3のセンサ51A等は、車両3または車両3の周囲に対するセンシングを行うことで、センサ値を取得する。
【0132】
ステップS202において、車両3の処理部52は、ステップS201で取得したセンサ値を処理することで、車両情報111を取得する。特定装置10の取得部101は、処理部52が取得した車両情報111を取得する。
【0133】
ステップS203において、特定装置10の変更部102は、ステップS202で取得部101が取得した車両情報(車両情報111に相当、
図6参照)に変更を施すことで、車両情報112(
図6参照)を生成する。
【0134】
ステップS204において、特定装置10の検知部103は、ステップS202で取得部101が取得した車両情報111をモデル106に入力して、事象情報121を取得する(
図6参照)。
【0135】
ステップS205において、特定装置10の検知部103は、ステップS203で変更部102により変更が施された車両情報112(
図6参照)をモデル106に入力して、事象情報122(
図6参照)を取得する。
【0136】
ステップS206において、特定装置10の生成部104は、ステップS204で検知部103が取得した事象情報121と、ステップS205で検知部103が取得した事象情報122との差分を示す差分情報を生成する。
【0137】
ステップS207において、特定装置10の生成部104は、ステップS206で生成した差分情報を出力する。
【0138】
このようにして、特定システム1は、移動体に生じ得る事象を適切に特定して出力することができる。
【0139】
以上のように、本実施の形態に係る特定方法(つまり情報出力方法)によれば、移動体に生じ得る事象のうち、実際の移動の際に検知に失敗し得る事象を示している差分情報を出力することができる。出力される差分情報は、第二移動体情報に変更を施したことによって生じた事象情報の変化分を示している。また、第二移動体情報に施した変更は、実際の移動の際に生じ得るセンサにより取得した情報に含まれている誤りまたは欠損に相当し得る。そのため、出力される差分情報は、実際の移動の際にセンサにより取得できる情報の誤りまたは欠損により検知できない可能性がある事象を示しているといえる。このように、上記情報出力方法は、移動体に生ずる事象のうち、実際の移動の際に検知に失敗し得る事象を示す差分情報を出力することによって、移動体に生じ得る事象を適切に特定して出力することができる。
【0140】
また、第二移動体情報に施された変更が、第二移動体が備えるセンサによるセンシングが失敗したことに対応する変更であるので、出力される差分情報は、実際の移動の際に検知に失敗し得る事象を示す差分情報になる。よって、上記情報出力方法は、移動体に生じ得る事象を、より適切に特定して出力することができる。
【0141】
また、第二移動体が備えるセンサによるセンシングが失敗した頻度で、第二移動体情報に変更が施されるので、出力される差分情報は、実際の失敗の頻度も考慮して、実際の移動の際に検知に失敗し得る事象を示す差分情報になる。よって、上記情報出力方法は、移動体に生じ得る事象を、より適切に特定して出力することができる。
【0142】
また、第二事象情報に示されている事象のうち、第三事象情報に示されている事象を除くことで、容易に差分情報を生成することができる。よって、上記情報出力方法は、より容易に、移動体に生じ得る事象を適切に特定して出力することができる。
【0143】
また、移動体が備えるセンサに加えて、移動路に設置されているセンサがセンシングにより生成したセンサ値をも用いて移動体情報が生成されるので、生成される移動体情報がより適切な情報になる。これにより、事象情報および差分情報の適切さも向上する。よって、上記情報出力方法は、移動体に生じ得る事象を、より適切に特定して出力することができる。
【0144】
また、移動体情報として、移動体の位置情報もしくは速度情報、移動体の周囲における障害物の有無、または、移動体の周囲に存在している障害物の位置情報もしくは速度情報を用いて、差分情報を生成する。よって、上記情報出力方法は、より容易に、移動体に生じ得る事象を適切に特定して出力することができる。
【0145】
また、移動体情報に基づいて、モデルにより、移動体の移動方向における人または物体の飛び出し、移動体の進行方向変更時の人または物体の巻き込み、移動体の他の移動体との合流時の衝突、移動体の移動方向における他の移動体の割込み、または、移動体の移動路の逸脱を事象として検知する。よって、上記情報出力方法は、より容易に、移動体に生じ得る事象を適切に特定して出力することができる。
【0146】
また、実際の移動の際に検知できない可能性がある事象が生じた位置が地図上で示されて提示される。そのため、上記地図を視認した者は、上記事象を地図上で容易に把握することができ、事象が実際に生じにくくする施策をとることが想定される。よって、上記情報出力方法は、移動体に生じ得る事象を適切に特定して出力しながら、その事象の検知を低減する施策につなげることができる。
【0147】
また、事象の複数の要因それぞれが、事象の発生に影響を及ぼした度合いが提示される。そのため、上記度合いを視認した者は、事象が実際に生じにくくする施策、または、事象の検知の失敗を生じにくくする施策を取ることが想定される。よって、上記情報出力方法は、移動体に生じ得る事象を適切に特定して出力しながら、その事象の検知を低減する施策につなげることができる。
【0148】
また、ニューラルネットワークモデルを用いて、より容易に、移動体に生ずる事象をより適切に予測することができる。
【0149】
なお、上記実施の形態において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPUまたはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。ここで、上記実施の形態の特定装置(つまり情報出力装置)などを実現するソフトウェアは、次のようなプログラムである。
【0150】
すなわち、このプログラムは、コンピュータに、モデルであって、前記モデルに入力された第一移動体に関する情報である第一移動体情報に基づいて、前記第一移動体に生じた事象を示す第一事象情報を出力するモデルを取得し、第二移動体に関する情報である第二移動体情報を取得し、取得した前記第二移動体情報に変更を施した第三移動体情報を生成し、取得した前記第二移動体情報を前記モデルに入力することで出力される、前記第二移動体に生じた事象を示す情報を、第二事象情報として取得し、生成した前記第三移動体情報を前記モデルに入力することで出力される事象を示す情報を、第三事象情報として取得し、前記第二事象情報と前記第三事象情報との差分を示す差分情報を生成して出力する情報出力方法を実行させるプログラムである。
【0151】
以上、一つまたは複数の態様に係る特定方法などについて、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、一つまたは複数の態様の範囲内に含まれてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0152】
本発明は、車両に生じ得る事象を予測する予測装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0153】
1 特定システム
3、7 車両
5 検知システム
10 特定装置
20、30 提示装置
50 検知装置
51A、51B センサ
52 処理部
53 提供部
61 画像
62 図形
101、501 取得部
102 変更部
103、502 検知部
104 生成部
106、505 モデル
111、112 車両情報
121、122 事象情報
503 出力部
N ネットワーク
P、Q 監視者