(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022190602
(43)【公開日】2022-12-26
(54)【発明の名称】電気接続箱
(51)【国際特許分類】
H02G 3/16 20060101AFI20221219BHJP
H01R 31/08 20060101ALI20221219BHJP
H01R 11/01 20060101ALI20221219BHJP
H01R 43/048 20060101ALI20221219BHJP
B60R 16/02 20060101ALN20221219BHJP
【FI】
H02G3/16
H01R31/08 Q
H01R11/01 R
H01R43/048 Z
B60R16/02 610B
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021099005
(22)【出願日】2021-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 良也
(72)【発明者】
【氏名】金子 信崇
(72)【発明者】
【氏名】田中 銀河
【テーマコード(参考)】
5E063
5G361
【Fターム(参考)】
5E063CB13
5E063CC05
5E063XA20
5G361BA06
5G361BB01
5G361BC01
5G361BC02
(57)【要約】
【課題】複数の連鎖端子をホルダに配置しながらボンダによる接合処理を容易化できる電気接続箱を提供すること。
【解決手段】電気接続箱1は、複数の電子部品20を取り付け可能な連鎖端子30が複数箇所に配置されたホルダ10と、2以上の連鎖端子30を互いに導通接続する導通部品40と、を備える。複数の連鎖端子30の各々は、電子部品20を取り付け可能な複数の端子部31と、複数の端子部31を連ねるように連結する連結部32と、電線8を接続可能な電線接続部33と、を有する。電線8が電線接続部33に接続されることになる一の連鎖端子30Aと、電線8が電線接続部33に接続されず且つ導通部品40を介して一の連鎖端子30Aと導通接続される他の前記連鎖端子30B~30Dと、が一連の電気回路を構成する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電子部品を取り付け可能な連鎖端子が複数箇所に配置されたホルダと、2以上の前記連鎖端子を互いに導通接続する導通部品と、を備える、電気接続箱であって、
複数の前記連鎖端子の各々は、
前記電子部品を取り付け可能な複数の端子部と、前記複数の前記端子部を連ねるように連結する連結部と、電線を接続可能な電線接続部と、を有し、
前記電線が前記電線接続部に接続されることになる一の前記連鎖端子と、前記電線が前記電線接続部に接続されず且つ前記導通部品を介して前記一の前記連鎖端子と導通接続される他の前記連鎖端子と、が一連の電気回路を構成する、
電気接続箱。
【請求項2】
請求項1に記載の電気接続箱において、
前記導通部品は、
前記連鎖端子の前記端子部に導通接続可能な形状を有する接点部を有する、
電気接続箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の連鎖端子と、それら連鎖端子が配置されたホルダと、2以上の連鎖端子を互いに導通接続する導通部品と、を備える電気接続箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両に搭載されるリレーボックス等のように、リレーやヒューズ等の電子部品を収容するためのホルダを内部に有する電気接続箱が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。この種の電気接続箱では、一般に、ホルダに内蔵されたバスバと、電装品等の外部負荷に繋がる電線と、がリレー等の電子部品を介して接続されるようになっている。換言すると、ホルダ内に張り巡らされるように配置されたバスバにリレー等の電子部品が取り付けられ(即ち、電気的に接続され)、バスバと電子部品とが導通されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電気接続箱の内部構造等によっては、一部又は全部の電子部品に対して、バスバを用いずに電力供給用の電線及び端子から直接的に電力を供給する場合がある。この場合、そのような電線とバッテリ等の外部電源との接続のために複数の電線をボンダで接合して束ねる処理を容易にするべく、複数の電子部品を取り付け可能な連鎖端子を用いることが考えられる。しかし、単一の連鎖端子で多種多様な製品仕様に対応することが困難である等の理由から、実際には、複数の連鎖端子をホルダに配置せざるを得ない場合がある。この場合、複数の連鎖端子に繋がる複数の電線に対してボンダによる接合処理を施すことになる。即ち、連鎖端子を用いたとしても、ボンダによる接合処理を排除できない場合があり、ボンダによる接合処理の更なる容易化を図る余地がある。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、複数の連鎖端子をホルダに配置しながらボンダによる接合処理を容易化できる電気接続箱を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した目的を達成するために、本発明に係る電気接続箱は、下記[1]~[2]を特徴としている。
[1]
複数の電子部品を取り付け可能な連鎖端子が複数箇所に配置されたホルダと、2以上の前記連鎖端子を互いに導通接続する導通部品と、を備える、電気接続箱であって、
複数の前記連鎖端子の各々は、
前記電子部品を取り付け可能な複数の端子部と、前記複数の前記端子部を連ねるように連結する連結部と、電線を接続可能な電線接続部と、を有し、
前記電線が前記電線接続部に接続されることになる一の前記連鎖端子と、前記電線が前記電線接続部に接続されず且つ前記導通部品を介して前記一の前記連鎖端子と導通接続される他の前記連鎖端子と、が一連の電気回路を構成する、
電気接続箱であること。
[2]
上記[1]に記載の電気接続箱において、
前記導通部品は、
前記連鎖端子の前記端子部に導通接続可能な形状を有する接点部を有する、
電気接続箱であること。
【0007】
上記[1]の構成の電気接続箱によれば、ホルダに複数の連鎖端子を配置するとともに、導通部品を用いて2以上の連鎖端子(即ち、複数の連鎖端子の全て又は一部)を互いに導通接続する。これにより、2以上の連鎖端子と導通部品による一連の電気回路が構成される。よって、導通接続された2以上の連鎖端子のうちの任意の一つの電線接続部に電力供給用の電線を接続すれば、導通部品を介して他の連鎖端子に電力が供給されるため、連鎖端子の全てに電線を接続する必要がない。換言すると、導通部品を用いない場合に比べ、連鎖端子に接続するべき電線の本数を低減できる。その結果、ボンダによる接合処理を容易化できる。例えば、全ての連鎖端子が導通部品で互いに導通接続されれば、1本の電線のみで全ての連鎖端子に電力を供給することができるため、接合処理を完全に排除することができる。なお、一般的なバスバに代えて連鎖端子を用いることで、例えば、バスバに比べて様々な製品仕様に容易に対応し得る点でメリットがある。このように、本構成の電気接続箱は、複数の連鎖端子をホルダに配置しながらボンダによる接合処理を容易化できる。
【0008】
上記[2]の構成の電気接続箱によれば、導通部品が、連鎖端子の端子部に導通接続可能な形状を有する接点部を有する。よって、本来は電子部品を取り付けるための連鎖端子の端子部を、導通部品との接続のために兼用することができる。これにより、導通部品との接続のための専用の接点箇所を連鎖端子に設ける場合に比べ、連鎖端子の構造のシンプル化が可能である。更に、汎用品の連鎖端子を用いることで製造コストの低減を図ることもできる。
【発明の効果】
【0009】
このように、本発明によれば、複数の連鎖端子をホルダに配置しながらボンダによる接合処理を容易化できる電気接続箱を提供できる。
【0010】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る電気接続箱の斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す電気接続箱の内部に収容されるホルダに各種部品が装着された状態を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、
図2に示すホルダから一部の部品が分離した状態を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、
図3に示す導通部品における金属部分のみを示す斜視図である。
【
図5】
図5は、
図2のAの向きからみたときの
図3に示すホルダを、ホルダ内部の一部の部品を透視して示す図である。
【
図6】
図6は、
図2のAの向きからみたときの
図2に示すホルダを、ホルダ内部の一部の部品を透視して示す図である。
【
図8】
図8は、
図2のBの向きからみたときの
図3に示すホルダを、ホルダ内部の一部の部品を透視して示す図である。
【
図9】
図9は、
図2のBの向きからみたときの
図2に示すホルダを、ホルダ内部の一部の部品を透視して示す図である。
【
図10】
図10は、
図2に示すようにホルダに各種部品が装着された状態に対応する電気回路図である。
【
図11】
図11(a)は、変形例に係る導通部品の斜視図であり、
図11(b)は、他の変形例に係る導通部品の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<実施形態>
以下、図面を参照しながら、
図1に示す本発明の実施形態に係る電気接続箱1について説明する。電気接続箱1は、典型的には、車両に搭載され、ヒューズ及びリレー等の電子部品やその他の部品を内部に収容するリレーボックスである。
【0013】
図1に示すように、電気接続箱1は、フレーム2と、フレーム2の下端開口を塞ぐようにフレーム2の下方に組み付けられるロアカバー3と、フレーム2の上端開口を塞ぐようにフレーム2の上方に組み付けられるアッパカバー4と、により構成される。電気接続箱1を構成する上記3つの部品は全て、樹脂成形体である。
【0014】
電気接続箱1では、
図1に示すように、電気接続箱1の内部に位置する部品の一部に接続される電線6が、電線引出孔5を介して電気接続箱1の外部へと導出されている。更に、電気接続箱1の内部に位置するホルダ10(
図2参照)に収容された後述する連鎖端子30(
図5等参照)に一端が接続される電線8が、電線引出孔7を介して、電気接続箱の外部へと導出されている。電線8の他端は、車両に搭載されたバッテリ(図示省略)に接続されている。電気接続箱1の内部には、一又は複数のホルダ10が収容されている。
【0015】
以下、ホルダ10について説明する。説明の便宜上、
図2等に示すように、「前」、「後」、「左」、「右」、「上」及び「下」を定義する。「前後方向」、「左右方向」及び「上下方向」は、互いに直交している。
【0016】
ホルダ10は、
図2及び
図3に示すように、略直方体状の箱状の形状を有する樹脂成形体である。ホルダ10の上面には、複数(計12個)の収容部11が、左右方向に2つ及び前後方向に6つがマトリクス状に並ぶように、形成されている。各収容部11は、下方に窪み且つ左右方向に延びる略直方体状の凹部である。収容部11には、上方からヒューズ20(
図3等参照)が収容される。
【0017】
ヒューズ20は、ホルダ10の収容部11に収容可能な形状を有している。ヒューズ20は、
図3に示すように、左右一対の平板状の端子片21と、一対の端子片21を電気的に接続するように連結するヒューズ部(図示省略)と、一対の端子片21及びヒューズ部を部分的に覆うように一対の端子片21及びヒューズ部に一体化された(インサート成形された)樹脂部22と、からなる。ヒューズ部は、一対の端子片21間に所定の定格電流を超える大きさの電流が流れた際に一対の端子片21間の電気的接続を遮断する機能を果たす。
【0018】
以下、説明の便宜上、左側及び右側それぞれの6つの収容部11及びそれらに収容されるヒューズ20について、左右方向において、相手側の収容部11に近い側及び遠い側を、それぞれ、「内側」及び「外側」と呼ぶ。更に、
図2及び
図3に示すように、右側の6つの収容部11のうち前側の3つの収容部11の各々を収容部11Aと呼び、右側の6つの収容部11のうち後側の3つの収容部11の各々を収容部11Bと呼び、左側の6つの収容部11のうち前側の3つの収容部11の各々を収容部11Cと呼び、左側の6つの収容部11のうち後側の3つの収容部11の各々を収容部11Dと呼ぶことがある。
【0019】
ホルダ10における、複数(12個)の収容部11の各々の外側領域の下方には、それぞれ、上下方向に延びる外側端子50(
図8,9参照)を収容するための外側端子収容室12(
図8及び
図9参照)が形成されている。互いに対応する収容部11と外側端子収容室12とは、上下方向に連通している。各外側端子収容室12には、下方から外側端子50が収容される。外側端子収容室12に収容された外側端子50の上端部は、対応する収容部11の外側領域に位置しており、その収容部11に収容されているヒューズ20の外側の端子片21と電気的に接続される。外側端子50の下端部には、車載の電装品等の外部負荷に繋がる電線9が接続される。外側端子50の下端部に接続された電線9は、
図2及び
図3に示すように、下方に延びて、電装品へ向けてホルダ10の外部へ延出している。
【0020】
ホルダ10における、3つの収容部11Aの内側領域の下方、3つの収容部11Bの内側領域の下方、3つの収容部11Cの内側領域の下方、3つの収容部11Dの内側領域の下方には、それぞれ、上下方向に延びる連鎖端子30(
図7参照)を収容するための連鎖端子収容室13(
図8及び
図9参照)が形成されている。互いに対応する3つの収容部11と連鎖端子収容室13とは、上下方向に連通している。各連鎖端子収容室13には、下方から連鎖端子30が収容される。以下、3つの収容部11A,11B,11C,11Dに対応する連鎖端子収容室13に収容される連鎖端子30を、それぞれ、連鎖端子30A,30B,30C,30Dと呼ぶことがある。
【0021】
図7に示すように、金属製の連鎖端子30は、3つの収容部11に対応して前後方向に並ぶように配置され且つ上下方向に延びる3つの端子部31と、3つの端子部31の下端部同士を連ねるように連結する連結部32と、連結部32から下方に延びる電線接続部33と、を一体に有する。
【0022】
各端子部31は、本例では、前後方向に対向配置された一対の挟持片を備えている。連鎖端子30が連鎖端子収容室13に収容された状態において、各端子部31の上端部は、対応する収容部11の内側領域に位置しており、その収容部11に収容されているヒューズ20の内側の端子片21と電気的に接続される。なお、外側端子50も同様の挟持片を備えており、ヒューズ20の外側の端子片21と電気的に接続されるようになっている。
【0023】
電線接続部33には、車両に搭載されたバッテリに繋がる電線8が接続される。本例では、
図5、
図6、
図8及び
図9に示すように、連鎖端子30A~30Dのうち、連鎖端子30Aの電線接続部33にのみ、電線8が接続され、連鎖端子30B~30Dの電線接続部33には電線8が接続されていない。
【0024】
ホルダ10には、
図2及び
図3等に示すように、複数の連鎖端子30を互いに導通接続する機能を果たす導通部品40が装着される。導通部品40は、
図3及び
図4に示すように、左右方向及び前後方向に延びる矩形状の平板部41と、平板部41の四隅から下方に延びる4本の端子片42と、からなる金属部分と、当該金属部分を部分的に覆うように当該金属部分に一体化された(例えば、金属部分がインサート成形された)樹脂部43と、からなる。
【0025】
4本の端子片42のうち前側の2本の端子片42と後側の2本の端子片42との前後方向の間隔は、前後方向に隣接する収容部11の前後方向の間隔と等しい。4本の端子片42のうち左側の2本の端子片42と右側の2本の端子片42との左右方向の間隔は、左右一対の収容部11に収容された一対のヒューズ20の内側の端子片21同士の左右方向の間隔と等しい。更に、4本の端子片42のうち左側の2本の端子片42の各々の形状は、左右一対の収容部11のうち左側の収容部11に収容されたヒューズ20の内側の端子片21の形状と同じであり、4本の端子片42のうち右側の2本の端子片42の各々の形状は、左右一対の収容部11のうち右側の収容部11に収容されたヒューズ20の内側の端子片21の形状と同じである。
【0026】
以上のことから、導通部品40は、
図2に示すように、前後方向に隣接する任意の左右二対の(4つの)収容部11の内側領域に、4本の端子片42を上方からそれぞれ挿入することで、ホルダ10に装着可能となっている。ホルダ10に導通部品40が装着された状態では、4つの端子片42の各々は、対応する収容部11に位置する連鎖端子30の端子部31と電気的に接続される。このように、本来はヒューズ20の端子片21を接続するための連鎖端子30の端子部31が、導通部品40との接続のためにも使用される。
【0027】
図2に示す例では、3つの収容部11Aのうち後側の収容部11A以外の2つの収容部11A、3つの収容部11Bのうち前側の収容部11B以外の2つの収容部11B、3つの収容部11Cのうち後側の収容部11C以外の2つの収容部11C、3つの収容部11Dのうち前側の収容部11D以外の2つの収容部11D(計8つの収容部11)に、それぞれ、ヒューズ20が収容されている。ヒューズ20が収容されている8つの収容部11に対応する8つの外側端子50にそれぞれ接続された8本の電線9が、ホルダ10の外部へ延出している。連鎖端子30A~30Dのうち連鎖端子30Aのみに接続された1本の電線8がホルダ10の外部に延出している。
【0028】
加えて、ヒューズ20が収容されていない4つの収容部11A,11B,11C,11Dのそれぞれの内側領域に、4つの端子片42がそれぞれ挿入されるように、導通部品40が、ホルダ10に装着されている(
図6及び
図9も参照)。以下、4つの収容部11A,11B,11C,11Dに挿入されている端子片42をそれぞれ、端子片42A、42B,42C,42Dと呼ぶことがある(
図3及び
図4参照)。
【0029】
図2に示すホルダ10の状態では、
図10に示すように、4つの連鎖端子30A,30B,30C,30Dの全てが、導通部品40によって互いに導通接続されている。これにより、電線8が接続された1つの連鎖端子30Aと、電線8が接続に接続されず且つ導通部品40を介して連鎖端子30Aと導通接続される3つの連鎖端子30B,30C,30Dと、が一連の電気回路を構成している。この結果、バッテリからの電力は、1本の電線8を介して、8本の電線9(即ち、8つの電装品)にそれぞれ供給され得る。換言すれば、8本の電線9(即ち、8つの電装品)それぞれにバッテリからの電力を供給するために、4つの連鎖端子30A~30Dの全てに電線8を接続する必要がない。このため、導通部品40を用いない場合に比べ、連鎖端子30に接続するべき電線の本数を低減できる。
【0030】
<作用・効果>
以上、本実施形態に係る電気接続箱1によれば、ホルダ10に複数の連鎖端子30を配置するとともに、導通部品40を用いて2以上の連鎖端子30(即ち、複数の連鎖端子30の全て又は一部)を互いに導通接続する。これにより、2以上の連鎖端子30と導通部品40による一連の電気回路(
図10参照)が構成される。よって、導通接続された2以上の連鎖端子30のうちの任意の一つの電線接続部33に電力供給用の電線8を接続すれば、導通部品40を介して他の連鎖端子30に電力が供給されるため、連鎖端子30の全てに電線を接続する必要がない。換言すると、導通部品40を用いない場合に比べ、連鎖端子30に接続するべき電線の本数を低減できる。その結果、ボンダによる接合処理を容易化できる。例えば、本実施形態のように、全ての連鎖端子30が導通部品40で互いに導通接続されれば、1本の電線8のみで全ての連鎖端子30に電力を供給することができるため、接合処理を完全に排除することができる。このように、本実施形態に係る電気接続箱1は、複数の連鎖端子30をホルダ10に配置しながらボンダによる接合処理を容易化できる。
【0031】
更に、導通部品40が、連鎖端子30の端子部31に導通接続可能な形状を有する接点部(端子片42)を有する。よって、本来はヒューズ20を取り付けるための連鎖端子30の端子部31を、導通部品40との接続のために兼用することができる。これにより、導通部品40との接続のための専用の接点箇所を連鎖端子30に設ける場合に比べ、連鎖端子30の構造のシンプル化が可能である。更に、汎用品の連鎖端子30を用いることで製造コストの低減を図ることもできる。
【0032】
<他の形態>
なお、本発明は上記各実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0033】
上記実施形態では、導通部品40が、4本の端子片42A、42B,42C,42Dを備えている。これに対し、
図11(a)に示すように、4本の端子片42A、42B,42C,42Dのうち端子片42Aが省略されてもよい。この場合、8本の電線9(即ち、8つの電装品)それぞれにバッテリからの電力を供給するためには、3つの連鎖端子30B~30Dのうちの一つと、連鎖端子30Aとにそれぞれ、電線8を接続する必要がある。
【0034】
同様に、
図11(b)に示すように、4本の端子片42A、42B,42C,42Dのうち端子片42A及び42Bが省略されてもよい。この場合、8本の電線9(即ち、8つの電装品)それぞれにバッテリからの電力を供給するためには、2つの連鎖端子30C及び30Dのうちの一つと、連鎖端子30Aと、連鎖端子30Bとにそれぞれ、電線8を接続する必要がある。
【0035】
更に、上記実施形態では、電気接続箱1が、複数の部品を収容するリレーボックス(電気接続箱)であるが、電気接続箱1が、リレーボックス(電気接続箱)以外の機能を有する構造体であってもよい。
【0036】
ここで、上述した本発明に係る電気接続箱1の実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]~[2]に簡潔に纏めて列記する。
[1]
複数の電子部品(20)を取り付け可能な連鎖端子(30)が複数箇所に配置されたホルダ(10)と、2以上の前記連鎖端子(30)を互いに導通接続する導通部品(40)と、を備える、電気接続箱(1)であって、
複数の前記連鎖端子(30)の各々は、
前記電子部品(20)を取り付け可能な複数の端子部(31)と、前記複数の前記端子部(31)を連ねるように連結する連結部(32)と、電線(8)を接続可能な電線接続部(33)と、を有し、
前記電線(8)が前記電線接続部(33)に接続されることになる一の前記連鎖端子(30A)と、前記電線(8)が前記電線接続部(33)に接続されず且つ前記導通部品(40)を介して前記一の前記連鎖端子(30A)と導通接続される他の前記連鎖端子(30B~30D)と、が一連の電気回路を構成する、
電気接続箱(1)。
[2]
上記[1]に記載の電気接続箱(1)において、
前記導通部品(40)は、
前記連鎖端子(30)の前記端子部(31)に導通接続可能な形状を有する接点部(42)を有する、
電気接続箱(1)。
【符号の説明】
【0037】
1 電気接続箱
8 電線
10 ホルダ
20 ヒューズ(電子部品)
30 連鎖端子
31 端子部
32 連結部
33 電線接続部
40 導通部品
42 端子片(接点部)