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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022190603
(43)【公開日】2022-12-26
(54)【発明の名称】電気接続箱
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/16 20060101AFI20221219BHJP
   H02G 3/14 20060101ALI20221219BHJP
   H05K 5/02 20060101ALI20221219BHJP
   B60R 16/02 20060101ALN20221219BHJP
【FI】
H02G3/16
H02G3/14
H05K5/02 L
B60R16/02 610B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021099006
(22)【出願日】2021-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 良也
(72)【発明者】
【氏名】金子 信崇
【テーマコード(参考)】
4E360
5G361
【Fターム(参考)】
4E360AB13
4E360BA03
4E360BA04
4E360BB22
4E360BC04
4E360BD02
4E360BD03
4E360BD05
4E360EA03
4E360EA18
4E360EA25
4E360EC04
4E360EC05
4E360ED03
4E360GA24
4E360GA25
4E360GA29
4E360GB99
4E360GC08
5G361AA06
5G361AB09
5G361AC02
5G361AC04
5G361AC09
5G361BC01
5G361BC02
(57)【要約】
【課題】収容空間への水の侵入の抑制と、収容空間からの排熱と、を両立可能な電気接続箱を提供すること。
【解決手段】電気接続箱1は、電子部品Rを収容可能な収容空間を内部に有する。電気接続箱1は、電子部品Rを保持することになる保持部12と、収容空間の内部から外部への排水のために電気接続箱1の底壁32に設けられ、収容空間の内外を連通する第1開口部33と、第1開口部33との間に保持部12を挟むように配置され、収容空間の内外を連通し且つ収容空間の外部から内部への水の侵入を抑制する止水構造を有する第2開口部14と、を備える。第2開口部14は、止水構造として、収容空間の外部から内部へ向けて窪む凹形状を有する凹壁15と、凹壁15の窪み向きの奥部分に配置されて収容空間の内外を連通する貫通孔16と、を有する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品を収容可能な収容空間を内部に有する電気接続箱であって、
前記電子部品を保持することになる保持部と、
前記収容空間の内部から外部への排水のために当該電気接続箱の底壁に設けられ、前記収容空間の内外を連通する第1開口部と、
前記第1開口部との間に前記保持部を挟むように配置され、前記収容空間の内外を連通し且つ前記収容空間の外部から内部への水の侵入を抑制する止水構造を有する第2開口部と、を備える、
電気接続箱。
【請求項2】
請求項1に記載の電気接続箱において、
前記第2開口部は、
前記止水構造として、前記収容空間の外部から内部へ向けて窪む凹形状を有する凹壁と、前記凹壁の窪み向きの奥部分に配置されて前記収容空間の内外を連通する貫通孔と、を有する、
電気接続箱。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の電気接続箱において、
前記底壁は、
前記第1開口部に向けて水を案内するように傾斜する、
電気接続箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品を収容可能な収容空間を内部に有する電気接続箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両に搭載されるリレーボックス等のように、リレーやヒューズ等の電子部品を収容するための収容空間を内部に有する電気接続箱が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8-275335号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した電気接続箱は、収容空間を画成する外壁に吸気口と排気口とを設け、電子部品が駆動時に発する熱を、吸気口から吸入して排気口から排出する空気と共に収容空間の内部から外部に排出するようになっている。しかし、例えば、このような電気接続箱に対して水が吹き付けられた場合(例えば、電気接続箱が搭載された車両に高圧洗浄が施される場合)などにおいて、吸気口または排気口を通じて、電気接続箱の内部に水が浸入する可能性がある。電気接続箱の内部に浸入した水がリレー等の電子部品に接触すると、それら電子部品の正常な作動が妨げられる可能性がある。そこで、このような水の侵入を防ぎながら、収容空間からの排熱を実現することが望ましい。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、収容空間への水の侵入の抑制と、収容空間からの排熱と、を両立可能な電気接続箱を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した目的を達成するために、本発明に係る電気接続箱は、下記[1]~[3]を特徴としている。
[1]
電子部品を収容可能な収容空間を内部に有する電気接続箱であって、
前記電子部品を保持することになる保持部と、
前記収容空間の内部から外部への排水のために当該電気接続箱の底壁に設けられ、前記収容空間の内外を連通する第1開口部と、
前記第1開口部との間に前記保持部を挟むように配置され、前記収容空間の内外を連通し且つ前記収容空間の外部から内部への水の侵入を抑制する止水構造を有する第2開口部と、を備える、
電気接続箱であること。
[2]
上記[1]に記載の電気接続箱において、
前記第2開口部は、
前記止水構造として、前記収容空間の外部から内部へ向けて窪む凹形状を有する凹壁と、前記凹壁の窪み向きの奥部分に配置されて前記収容空間の内外を連通する貫通孔と、を有する、
電気接続箱であること。
[3]
上記[1]又は上記[2]に記載の電気接続箱において、
前記底壁は、
前記第1開口部に向けて水を案内するように傾斜する、
電気接続箱であること。
【0007】
上記[1]の構成の電気接続箱によれば、電子部品を保持することになる保持部を挟むように、電気接続箱の底壁に設けられる第1開口部と、収容空間の外部から内部への水の侵入を抑制する止水構造を有する第2開口部と、が配置されている。電子部品から発せられた熱で温められた空気が上昇するように移動することに伴い、収容空間の内部では、下方から上方に向けた空気の流れが生じる。換言すると、電気接続箱の底壁に配置された第1開口部から流入した空気が、保持部を経て、第2開口部から排出されるような、空気の流れ(いわゆる煙突効果による空気の流れ)が生じる。これにより、収容空間からの効率の良い排熱を図ることができる。電動ファン等の部品を電気接続箱に組み込む必要がないため、製造コストや故障リスクを低減できる点でもメリットがある。更に、第2開口部が止水構造を有するため、仮に電気接続箱が被水したとしても、収容空間への水の侵入が抑制される。なお、第1開口部は本来的に排水を目的としているため、仮に第1開口部から水が侵入しても、その水は第1開口部から速やかに排出されることになる。したがって、本構成の電気接続箱は、収容空間への水の侵入の抑制と、収容空間からの排熱と、を両立可能である。
【0008】
上記[2]の構成の電気接続箱によれば、収容空間の外部から内部へ向けて窪む凹壁の奥部分に貫通孔を配置することで、被水時に貫通孔に水が接触することが抑制される。即ち、このような止水構造により、第2開口部から収容空間の内部に水が侵入することが抑制される。
【0009】
上記[3]の構成の電気接続箱によれば、電気接続箱の底壁が、第1開口部に向けて水を案内するように傾斜している。そのため、仮に第1開口部を通じて収容空間の内部に水が侵入しても、その水を、底壁の傾斜によって第1開口部に案内するとともに第1開口部から速やかに排出することができる。
【発明の効果】
【0010】
このように、本発明によれば、収容空間への水の侵入の抑制と、収容空間からの排熱と、を両立可能な電気接続箱を提供できる。
【0011】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の実施形態に係る電気接続箱の斜視図である。
図2図2は、図1に示す電気接続箱の分解斜視図である。
図3図3(a)は、図1に示すフレームの上面図であり、図3(b)は、図3(a)のA部の拡大図であり、図3(c)は、図3(a)のB部の拡大図である。
図4図4(a)は、図3(a)のC-C断面図であり、図4(b)は、図4(a)のE部の拡大図であり、図4(c)は、図3(c)のD-D断面図である。
図5図5(a)は、図4(a)のF部を拡大して示す斜視図であり、図5(b)は、図5(a)のG-G断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<実施形態>
以下、図面を参照しながら、図1に示す本発明の実施形態に係る電気接続箱1について説明する。電気接続箱1は、典型的には、車両に搭載され、リレー等の電子部品やその他の部品である部品R(図2図4参照)を収容する内部空間を有するリレーボックスである。以下、説明の便宜上、図1に示すように、「前」、「後」、「左」、「右」、「上」及び「下」を定義する。「前後方向」、「左右方向」及び「上下方向」は、互いに直交している。電気接続箱1の車両搭載時において、「前後方向」、「左右方向」及び「上下方向」は、それぞれ、車両の前後方向、左右方向及び上下方向に対応している。また、電気接続箱1の内部に面する側を「内」側と呼び、電気接続箱1の外部に面する側を「外」側と呼ぶ。
【0014】
図1及び図2に示すように、電気接続箱1は、フレーム2と、フレーム2の下端開口を塞ぐようにフレーム2の下方に組み付けられるロアカバー3と、フレーム2の上端開口を塞ぐようにフレーム2の上方に組み付けられるアッパカバー4と、により構成される。電気接続箱1を構成する上記3つの部品は全て、樹脂成形体である。
【0015】
電気接続箱1では、図1に示すように、電気接続箱1の内部に位置する部品Rの一部に電気的に接続される電線6が、電気接続箱1の前方側部に設けられた電線引出孔5を介して、電気接続箱1の外部へと導出されている。更に、部品Rの他の一部に電気的に接続される電線(図示省略)は、電気接続箱1の下方左部に設けられた電線引出孔9(図4(a)参照)を介して電気接続箱1の外部に導出されている。加えて、電気接続箱1の内部の保持部12に組み付けられるバスバ(図示省略)に電気的に接続される電線8が、電線引出孔7を介して、電気接続箱の外部へと導出されている。なお、バスバには、電線8に加えて又は電線8に代えて、他の電気接続箱(例えば、機能拡張用の別の電気接続箱)に電気的に繋がる電線が接続されてもよい。
【0016】
以下、電気接続箱1を構成するフレーム2、ロアカバー3、及びアッパカバー4について順に説明する。まず、フレーム2について説明する。図1図4に示すように、フレーム2は、上下方向に延びる略矩形筒状の側壁部11を備える。側壁部11は、電気接続箱1の側面の外観の大部分を構成する。側壁部11には、図2図4に示すように、平板状の保持部12が、側壁部11の内部空間を上下方向に直交する方向に延在して上下に2分するように、設けられている。保持部12には、複数種類の複数の部品Rが、保持部12の延在方向に沿って並ぶように保持されている。
【0017】
側壁部11の右前の上下方向に延びる角部には、図1及び図2に示すように、側壁部11の上端縁部を除いた箇所にて、電気接続箱1の内部に向けて窪む凹部13が、上下方向に延びるように設けられている。側壁部11における凹部13の上端を画成する箇所には、開口部14が設けられている(図3(a),図3(b),図4(a)及び図4(b)参照)。なお、開口部14は、本発明における「第2開口部」に相当する。
【0018】
開口部14は、特に図4(b)に示すように、上方に向けて(電気接続箱1の外部から内部へ向けて)窪む凹形状を有する凹壁15と、凹壁15の窪み向きの奥部分(凹形状の底部)に配置されて上下方向に貫通する(電気接続箱1の内外を連通する)貫通孔16と、を有する。よって、電気接続箱1が被水したとしても、電気接続箱1の外部から内部へ向けて窪む凹壁15により、凹壁15の奥部分に配置される貫通孔16に直接的に水が接触することが抑制される。即ち、開口部14は、電気接続箱1の外部から内部への水の侵入を抑制する止水構造を有する。開口部14は、後述する連通孔17及び開口部33との協働により、上述した止水機能以外にも、電気接続箱1の内部から外部に空気を放出する排気機能を発揮する。この点については後述する。なお、開口部33は、本発明における「第1開口部」に相当する。
【0019】
保持部12には、例えば、その後端部の所定箇所にて、保持部12の上側の空間と保持部12の下側の空間とを連通する連通孔17が形成されている(図3(a),図3(c)及び図4(c)参照)。保持部12には、連通孔17以外にも、連通孔17のような保持部12の上側の空間と保持部12の下側の空間とを連通する連通孔が形成されていてもよい。連通孔17を設けたことによる作用については後述する。
【0020】
側壁部11の下端部における周方向の複数箇所(本例では、7箇所)の外面には、それぞれ、上下方向に延びる貫通孔を含む被係止部18が一体に設けられている(図1図3参照)。被係止部18は、ロアカバー3をフレーム2に組み付ける機能を有する。
【0021】
側壁部11の上端部における周方向の複数箇所(本例では、3箇所)の外面には、それぞれ、被係止部19が一体に設けられている(図1図3参照)。被係止部19は、アッパカバー4をフレーム2に組み付ける機能を有する。
【0022】
側壁部11の下端部における周方向の複数箇所(本例では、4箇所)の外面には、それぞれ、下方に延びるステー部21が一体に設けられている(図1図3参照)。ステー部21は、その先端部を車両の搭載箇所に組み付けることで、フレーム2(即ち、電気接続箱1)を車両の搭載箇所に固定する機能を有する。
【0023】
側壁部11における電線引出孔5(図1参照)に対応する箇所には、後方に開口する半円筒状の樋状部22が、下方に延びるように設けられている(図2参照)。樋状部22は、電線引出孔5を画成する内壁の前側部分を構成する機能を有する。
【0024】
側壁部11における電線引出孔7(図1参照)に対応する箇所には、下方に開口する半円筒状の樋状部23が、右下方向に斜めに延びるように設けられている(図2参照)。樋状部23は、電線引出孔7を画成する内壁の上側部分を構成する機能を有する。更に、側壁部11における電線引出孔9(図4(a)参照)に対応する箇所には、下方に開口する半円筒状の樋状部24が、右下方向に斜めに延びるように設けられている(図3(a)参照)。樋状部24は、電線引出孔9を画成する内壁の上側部分を構成する機能を有する。
【0025】
次いで、ロアカバー3について説明する。図2に示すように、ロアカバー3は、電気接続箱1の下側側面の外観の大部分を構成する環状の側壁部31と、側壁部31の環状の下端開口を塞ぐと共に電気接続箱1の底面の外観の大部分を構成する底壁部32と、を一体に備える。側壁部31の環状の上端縁部は、フレーム2の側壁部11の環状の下端縁部に対応する形状を有し、側壁部11の環状の下端縁部と嵌合可能となっている。
【0026】
底壁部32は、後方から前方に向けて下方に傾斜し且つ左方から右方に向けて下方に傾斜する形状を有する。このため、底壁部32の内面(上面)も、後方から前方に向けて下方に傾斜し且つ左方から右方に向けて下方に傾斜している。よって、底壁部32の内面において、右前の隅部が最下位置となる。後述するように、底壁部32の内面がこのように傾斜することで、電気接続箱1に侵入した水が、底壁部32の内面に沿って最下位置である右前の隅部に向けて案内されることになる。
【0027】
底壁部32における右前の隅部の近傍位置には、図4(a),図5(a)及び図5(b)に示すように、開口部33が設けられている。開口部33は、図5に示すように、底壁部32の内面にて上方に向けて(電気接続箱1の内部に向けて)突出し且つ底壁部32の外面にて上方に向けて(電気接続箱1の内部に向けて)窪む隆起部34と、隆起部34の前方側部に設けられて隆起部34の内部空間(即ち、電気接続箱1の外部)と電気接続箱1の内部とを連通する開口35と、を有する。
【0028】
このように、傾斜する底壁部32における右前の隅部(即ち、底壁部32の最下位置)の近傍位置に、開口部33が設けられることにより、仮に開口部33の開口35を通じて電気接続箱1の内部に水が侵入しても、その水を、底壁部32の傾斜によって開口部33に案内するとともに開口部33の開口35から速やかに排出することができる。なお、開口部33は、フレーム2に設けられた開口部14及び連通孔17との協働により、上述した排水機能以外にも、電気接続箱1の外部から内部に空気を導入する吸気機能を発揮する。この点については後述する。
【0029】
側壁部31の上端部における周方向の複数箇所(本例では、7箇所)の外面には、それぞれ、フレーム2の複数の被係止部18に対応して、上方に延びる係止片36が一体に設けられている(図2参照)。
【0030】
側壁部11における電線引出孔5(図1参照)に対応する箇所には、電気接続箱1の内部に向けて窪む凹状部37が、上下方向に延びるように設けられている(図2参照)。凹状部37は、電線引出孔5を画成する内壁の後側部分を構成する機能を有する。
【0031】
側壁部31における電線引出孔7(図1参照)に対応する箇所には、上方に開口する半円筒状の樋状部38が、右下方向に斜めに延びるように設けられている(図2参照)。樋状部38は、電線引出孔7を画成する内壁の下側部分を構成する機能を有する。更に、側壁部31における電線引出孔9(図4(a)参照)に対応する箇所には、上方に開口する半円筒状の樋状部39が、左下方向に斜めに延びるように設けられている(図2参照)。樋状部39は、電線引出孔9を画成する内壁の下側部分を構成する機能を有する。
【0032】
次いで、アッパカバー4について説明する。図2に示すように、アッパカバー4は、電気接続箱1の上側側面の外観の大部分を構成する環状の側壁部41と、側壁部41の環状の上端開口を塞ぐと共に電気接続箱1の上面の外観の大部分を構成する上壁部42と、を一体に備える。側壁部41の環状の下端縁部は、フレーム2の側壁部11の環状の上端縁部に対応する形状を有し、側壁部11の環状の上端縁部と嵌合可能となっている。
【0033】
側壁部41における周方向の複数箇所(本例では、3箇所)の外面には、それぞれ、フレーム2の複数の被係止部19に対応して、係止部43が一体に設けられている。以上、電気接続箱1を構成するフレーム2、ロアカバー3、及びアッパカバー4について説明した。
【0034】
フレーム2、ロアカバー3、及びアッパカバー4からなる電気接続箱1を組み付けるためには、フレーム2にロアカバー3を組み付け、且つ、フレーム2にアッパカバー4を組み付ける必要がある。
【0035】
フレーム2にロアカバー3を組み付けるためには、まず、ロアカバー3の複数の係止片36(図2参照)を、下方からフレーム2の被係止部18(図2参照)の複数の貫通孔にそれぞれ挿入し、この状態から、ロアカバー3の側壁部31の環状の上端縁部をフレーム2の側壁部11の環状の下端縁部に嵌合させ、且つ、複数の係止片36を複数の被係止部18に係止させる。これにより、フレーム2へのロアカバー3の組み付けが完了する(図1参照)。
【0036】
同様に、フレーム2にアッパカバー4を組み付けるためには、アッパカバー4の側壁部41の環状の下端縁部をフレーム2の側壁部11の環状の上端縁部に嵌合させ、且つ、アッパカバー4の複数の係止部43をフレーム2の複数の被係止部19に係止させる。これにより、フレーム2へのアッパカバー4の組み付けが完了する(図1参照)。
【0037】
電気接続箱1の組付完了状態では、複数の係止片36と複数の被係止部18との係止により、ロアカバー3がフレーム2から下方へ分離することが防止される。同様に、複数の係止部43と複数の被係止部19との係止により、アッパカバー4がフレーム2から上方へ分離することが防止される。更に、フレーム2の樋状部22と、ロアカバー3の凹状部37とにより(図2参照)、電線6が挿通される電線引出孔5が画成されている(図1参照)。同様に、フレーム2の樋状部23と、ロアカバー3の樋状部38とにより(図2参照)、電線8が挿通される電線引出孔7が画成されている(図1参照)。
【0038】
以下、フレーム2に設けられた開口部14及び連通孔17と、ロアカバー3に設けられた開口部33と、の協働による吸気作用および排気作用(ひいては、排熱作用)について説明する。以下、説明の便宜上、図4(a)に示すように、電気接続箱1の内部空間(部品Rを収容する空間)のうち、フレーム2の保持部12の上側の空間を「上部空間H1」と呼び、フレーム2の保持部12の下側の空間を「下部空間H2」と呼ぶ。保持部12は、電気接続箱1の内部空間を、上部空間H1と下部空間H2とに隔てている。
【0039】
図4(a)に示すように、開口部14は、保持部12より上側に位置し、開口部33は、保持部12より下側に位置している。よって、開口部14と開口部33とは、保持部12を上下に挟むように配置されており、開口部14は上部空間H1と連通し、開口部33は下部空間H2と連通している。
【0040】
車両に搭載された電気接続箱1の使用状態では、電気接続箱1の内部に位置する部品Rのうち特に電子部品は、その駆動に伴って発熱する。電子部品が発熱すると、電子部品から発せられる熱によって、電子部品の周囲に位置する空気(即ち、電子部品を保持する保持部12の近傍に位置する空気)が温められる。温められた空気は、温められていない空気と比べて相対的に密度が小さくなることに起因して、上昇しようとする。この結果、電気接続箱1の内部では、下方から上方に向けた空気の流れが生じる。
【0041】
具体的には、ロアカバー3に設けられた開口部33の開口35(図4(a)及び図5参照)から下部空間H2に吸入された空気が、フレーム2に設けられた連通孔17(図3(a),図3(c)及び図4(c)参照)を経て、上部空間H1に流入し、上部空間H1に流入した空気が、フレーム2に設けられた開口部14の貫通孔16(図3(a),図3(b),図4(a)及び図4(b)参照)から排出されるような、空気の流れが生じる。このような空気の流動は、煙突効果とも呼ばれる。これにより、相対的に低温の空気が開口部33を介して電気接続箱1の内部に導入され、且つ、相対的に高温の空気が開口部14を介して電気接続箱1の外部に排出されるので、電気接続箱1の内部空間からの排熱を図ることができる。
【0042】
<作用・効果>
以上、本実施形態に係る電気接続箱1によれば、電子部品を保持することになる保持部12を挟むように、電気接続箱1の底壁部32に設けられる開口部33と、電気接続箱1の外部から内部への水の侵入を抑制する止水構造を有する開口部14と、が配置されている。電子部品から発せられた熱で温められた空気が上昇するように対流することに伴い、電気接続箱1の内部では、下方から上方に向けた空気の流れが生じる。換言すると、電気接続箱1の底壁部32に配置された開口部33から流入した空気が、保持部12を経て、開口部14から排出されるような、空気の流れが生じる。これにより、電気接続箱1の内部空間からの排熱を図ることができる。更に、開口部14が止水構造を有するため、電気接続箱1の内部空間への水の侵入が抑制される。更に、開口部33は本来的に排水を目的としているため、仮に開口部33から水が侵入しても、その水は開口部33から速やかに排出されることになる。したがって、本実施形態に係る電気接続箱1は、電気接続箱1の内部空間への水の侵入の抑制と、電気接続箱1の内部空間からの排熱と、を両立可能である。
【0043】
更に、開口部14が被水したとしても、電気接続箱1の外部から内部へ向けて窪む凹壁15により、凹壁15の奥部分に配置される貫通孔16に直接的に水が接触することが抑制される。即ち、このような止水構造により、開口部14から電気接続箱1の内部に水が侵入することが抑制される。
【0044】
更に、電気接続箱1の底壁部32が、開口部33に向けて水を案内するように傾斜している。そのため、仮に開口部33を通じて電気接続箱1の内部に水が侵入しても、その水を、底壁部32の傾斜によって開口部33に案内するとともに開口部33から速やかに排出することができる。
【0045】
<他の形態>
なお、本発明は上記各実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0046】
上記実施形態では、開口部14は、凹壁15と貫通孔16とにより、止水構造を構成している。これに対し、開口部14は、電気接続箱1の外部から内部への水の侵入を抑制する機能を有する限りにおいて、どのような構造の止水構造を有していてもよい。
【0047】
更に、上記実施形態では、電気接続箱1が、複数の部品Rを収容するリレーボックス(電気接続箱)であるが、電気接続箱1が、リレーボックス(電気接続箱)以外の機能を有する構造体であってもよい。
【0048】
ここで、上述した本発明に係る電気接続箱1の実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]~[3]に簡潔に纏めて列記する。
[1]
電子部品(R)を収容可能な収容空間を内部に有する電気接続箱(1)であって、
前記電子部品(R)を保持することになる保持部(12)と、
前記収容空間の内部から外部への排水のために当該電気接続箱(1)の底壁(32)に設けられ、前記収容空間の内外を連通する第1開口部(33)と、
前記第1開口部(33)との間に前記保持部(12)を挟むように配置され、前記収容空間の内外を連通し且つ前記収容空間の外部から内部への水の侵入を抑制する止水構造を有する第2開口部(14)と、を備える、
電気接続箱(1)。
[2]
上記[1]に記載の電気接続箱(1)において、
前記第2開口部(14)は、
前記止水構造として、前記収容空間の外部から内部へ向けて窪む凹形状を有する凹壁(15)と、前記凹壁(15)の窪み向きの奥部分に配置されて前記収容空間の内外を連通する貫通孔(16)と、を有する、
電気接続箱(1)。
[3]
上記[1]又は上記[2]に記載の電気接続箱(1)において、
前記底壁(32)は、
前記第1開口部(33)に向けて水を案内するように傾斜する、
電気接続箱(1)。
【符号の説明】
【0049】
1 電気接続箱
12 保持部
14 開口部(第2開口部)
15 凹壁
16 貫通孔
32 底壁部(底壁)
33 開口部(第1開口部)
R 部品(電子部品)
図1
図2
図3
図4
図5