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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022190605
(43)【公開日】2022-12-26
(54)【発明の名称】フィルタ装置及び洗濯機
(51)【国際特許分類】
   D06F 39/10 20060101AFI20221219BHJP
【FI】
D06F39/10 B
D06F39/10 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021099009
(22)【出願日】2021-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】512128645
【氏名又は名称】青島海爾洗衣机有限公司
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO HAIER WASHING MACHINE CO.,LTD.
(71)【出願人】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】特許業務法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 哲
【テーマコード(参考)】
3B166
【Fターム(参考)】
3B166AA12
3B166AA15
3B166AE01
3B166AE02
3B166AE07
3B166BA56
3B166BA72
3B166CA02
3B166CA11
3B166CB02
3B166CB03
3B166CB04
3B166CB12
3B166CB13
3B166CB14
3B166DB02
3B166DB09
3B166DB13
3B166DB17
3B166DC02
3B166DC03
3B166DC13
3B166DC22
3B166DC40
3B166DC45
3B166DC47
3B166DE02
3B166DE04
3B166FA01
3B166GA02
3B166GA04
3B166GA14
3B166GA22
3B166GA27
(57)【要約】
【課題】少ない部品点数で強度及び異物の捕獲効率の向上を図れるフィルタ装置、及び、これを含む洗濯機を提供する。
【解決手段】フィルタ装置17は、ベース30とフィルタ31とケース32とを含む。ベース30には、第1リブ35を挟んで配置された第1流入領域30FA及び第2流入領域30FBが設けられる。フィルタ31には、第2リブ38を挟んで配置された第1捕獲領域31HA及び第2捕獲領域31HBと、これらの捕獲領域に分布するフィルタ穴39Aとが設けられる。ケース32には、第1流入領域30FAと第1捕獲領域31HAとを中継する第1中継口32AAと、第2流入領域30FBと第2捕獲領域31HBとを中継する第2中継口32ABと、第1中継口32AAと第2中継口32ABとの間に配置されて第1リブ35と第2リブ38とによって挟まれる第3リブ40とが設けられる。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗濯機において洗濯物を収容して水が溜められる洗濯槽の内周部に取り付けられるベースであって、前記洗濯槽内に臨む表面部と、前記表面部に配置された第1リブと、前記表面部において前記第1リブを挟んで横並びに配置された第1流入領域及び第2流入領域とが設けられたベースと、
前記ベースに対向配置されて前記洗濯槽内に露出されるフィルタであって、前記第1リブ側へ突出した第2リブと、前記第2リブを挟んで横並びに配置された第1捕獲領域及び第2捕獲領域と、前記第1捕獲領域及び第2捕獲領域のそれぞれに分布する複数のフィルタ穴とが設けられたフィルタと、
前記ベースと前記フィルタとの間に配置されるケースであって、前記第1流入領域と前記第1捕獲領域とを中継する第1中継口と、前記第2流入領域と前記第2捕獲領域とを中継し、前記第1中継口と横並びに配置された第2中継口と、前記第1中継口と前記第2中継口との間に配置され、前記第1リブと前記第2リブとによって挟まれる第3リブとが設けられたケースと、を含み、
前記洗濯槽内において前記第1流入領域に流入して前記第1中継口を通って前記第1捕獲領域の前記フィルタ穴から流出する水に含まれる異物を前記第1捕獲領域において捕獲したり、前記洗濯槽内において前記第2流入領域に流入して前記第2中継口を通って前記第2捕獲領域の前記フィルタ穴から流出する水に含まれる異物を前記第2捕獲領域において捕獲したりする、フィルタ装置。
【請求項2】
前記ケースには、前記第1捕獲領域から前記ベース側へ窪んで前記第1捕獲領域からの異物を受け入れる第1収容室と、前記第2捕獲領域から前記ベース側へ窪んで前記第2捕獲領域からの異物を受け入れる第2収容室とが設けられる、請求項1に記載のフィルタ装置。
【請求項3】
前記フィルタと前記ケースとは、回動軸を介して連結され、
前記ケースは、前記第3リブが前記第2リブに接触する組付位置と、前記第3リブが前記第2リブから離れる分解位置との間で、前記フィルタに対して前記回動軸まわりに相対回動可能であり、
前記ケースが組付位置にあるときの前記フィルタ及び前記ケースは、完成したフィルタユニットを構成して、前記ベースに対して着脱可能である、請求項1又は2に記載のフィルタ装置。
【請求項4】
洗濯物を収容して水が溜められる洗濯槽と、
前記洗濯槽の内周部に取り付けられた請求項1~3のいずれか一項に記載のフィルタ装置と、を含む、洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルタ装置、及び、これを含む洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な洗濯機は、水が溜められて洗濯物を収容する洗濯槽と、洗濯槽内に配置されて洗濯槽内の水から異物を捕獲するフィルタ装置とを含む。図1では、洗濯機に用いられる従来のフィルタ装置1が図示される。フィルタ装置1は、洗濯機において洗濯物を収容して水が溜められる洗濯槽の内周部に取り付けられる縦長のベース2と、ベース2に対向配置されて洗濯槽内に露出されるフィルタ3と、ベース2とフィルタ3との間に配置されたケース4とを含む。
【0003】
図2に示すように、ベース2において洗濯槽内に露出される表面部2Aでは、上端部に上開口2Bが設けられ、下端部に下開口2Cが設けられる。表面部2Aにおいて上開口2Bと下開口2Cとの間の中間領域2Dの中央には、左右一対の水流板5と、これらの水流板5を挟む左右一対の流入領域2Eとが設けられる。各水流板5は、上下方向に延びる回動軸6を介してベース2に取り付けられ、回動軸6まわりに回動可能である。右側の水流板5を第1水流板5Aといい、左側の水流板5を第2水流板5Bという。各流入領域2Eには、上下方向に薄い板状のガイド2Fが、上下方向に並んで複数設けられる。右側の流入領域2Eを第1流入領域2EAといい、左側の流入領域2Eを第2流入領域2EBという。
【0004】
図3に示すように、フィルタ3は、縦長の板状である。フィルタ3においてベース2に対向する裏面部3Aでは、上凸部3Bが上端部に設けられ、ベース2側へ突出する下凸部3Cが下端部に設けられ、ベース2側へ突出する複数の補強リブ3Dが、上凸部3Bと下凸部3Cとの間で分散して設けられる。フィルタ3において上凸部3Bと下凸部3Cとの間には、上下方向に延びる3つの捕獲領域3Eが、横並びの3列をなして設けられる。図3における左端の捕獲領域3Eを第1捕獲領域3EAといい、図3における右端の捕獲領域3Eを第2捕獲領域3EBといい、真ん中の捕獲領域3Eを第3捕獲領域3ECという。各捕獲領域3Eにおいて補強リブ3Dを避けた位置には、上下方向に等間隔で並ぶ複数の貫通穴3Fが設けられ、各貫通穴3Fには、メッシュシート8が貫通穴3Fを塞ぐように取り付けられる。メッシュシート8には、微小な貫通穴であるフィルタ穴8Aが無数に形成される。なお、前述した図1では、メッシュシート8の図示が省略される。
【0005】
ケース4は、長方形の板状である。ケース4の中央には、ケース4を貫通してケース4の長手方向に延びた中継口4Aが設けられる。図3での姿勢におけるケース4の上面部には、中継口4Aを挟んでケース4の長手方向に延びる溝状をなす一対の収容室4Bが設けられる。図3における左側の収容室4Bを第1収容室4BAといい、図3における右側の収容室4Bを第2収容室4BBという。ケース4には、中継口4Aと第1収容室4BAとの境界としてケース4の長手方向に延びる第1境界リブ4CAと、中継口4Aと第2収容室4BBとの境界としてケース4の長手方向に延びる第2境界リブ4CBとが設けられる。
【0006】
ケース4において長手方向における端部は、回動軸9を介してフィルタ3に連結される。そのため、図3の状態におけるフィルタ3及びケース4の一方を回動軸9まわりに回動させて他方に接近させると、図4に示すように、フィルタ3とケース4とが組み合わさってフィルタユニット10が完成する。完成したフィルタユニット10をベース2に組み付けてフィルタ3の上凸部3B及び下凸部3C(図3参照)をベース2の上開口2B及び下開口2C(図2参照)にそれぞれ嵌め込むと、図1に示すフィルタ装置1が完成する。
【0007】
図1のA-A矢視断面図である図5に示すように、完成したフィルタ装置1では、ベース2の第1流入領域2EAと、フィルタ3の第1捕獲領域3EAと、ケース4の第1収容室4BAとが、左右方向において同じ位置に配置されて、第1収容室4BAが第1捕獲領域3EAに対向する。また、ベース2の第2流入領域2EBと、フィルタ3の第2捕獲領域3EBと、ケース4の第2収容室4BBとが、左右方向において同じ位置に配置されて、第2収容室4BBが第2捕獲領域3EBに対向する。一方、フィルタ3の第3捕獲領域3ECは、ケース4の中継口4Aからベース2側に露出される。
【0008】
フィルタ装置1が取り付けられた洗濯槽内で水流が発生すると、洗濯槽内の水が、第1流入領域2EAに流入したり、第2流入領域2EBに流入したりする。第1流入領域2EAに流入した水は、矢印Pで示すように、第1水流板5Aを第2水流板5B側へ回動させるとともに第2水流板5Bを第2境界リブ4CBに押し付ける。すると、この水は、第2水流板5Bによって第2流入領域2EBから遮られることにより、漏れなく中継口4Aを通過して、第1捕獲領域3EA、第2捕獲領域3EB及び第3捕獲領域3ECのいずれかにおけるメッシュシート8のフィルタ穴8Aを通って流出する。逆に、第2流入領域2EBに流入した水は、第2水流板5Bを第1水流板5A側へ回動させるとともに第1水流板5Aを第1境界リブ4CAに押し付けることにより、漏れなく中継口4Aを通過してから、いずれかの捕獲領域3Eにおけるメッシュシート8のフィルタ穴8Aを通って流出する(図示せず)。いずれにせよ、流出する水に含まれる糸くずなどの異物Fは、捕獲領域3Eにて捕獲される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
フィルタ装置1では、ベース2、フィルタ3、ケース4及び一対の水流板5という5つの部品によって構成されるが、部品点数の低減は常に望まれる。また、フィルタ装置1では、フィルタ3の補強リブ3Dがケース4に接触することによってフィルタユニット10の強度が確保されるので、洗濯物が接触したときのフィルタユニット10の変形を抑制できるが、フィルタ装置1全体の強度については、改善の余地がある。
【0010】
そして、洗濯槽の回転に伴って遠心力が発生すると、フィルタ装置1では、第1捕獲領域3EAで捕獲された異物Fは、ケース4において第1捕獲領域3EAに対向する第1収容室4BAに収容されて、第2捕獲領域3EBで捕獲された異物Fは、ケース4において第2捕獲領域3EBに対向する第2収容室4BBに収容される。しかし、ケース4では、中継口4Aが第3捕獲領域3ECに対向するので、第3捕獲領域3ECで捕獲された異物Fは、いずれの収容室4Bに受け止められることなく、中継口4Aを通ってフィルタ装置1の外に漏れるおそれがある。そのため、フィルタ装置1では、異物の捕獲効率についても改善の余地がある。さらに、可動部品である水流板5が破損したり外れたりすると、水流板5が水の流れを邪魔するなどによって、異物の捕獲効率が低下するおそれがある。
【0011】
この発明は、かかる背景のもとにおいてなされたものであり、少ない部品点数で強度及び異物の捕獲効率の向上を図れるフィルタ装置、及び、これを含む洗濯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、洗濯機において洗濯物を収容して水が溜められる洗濯槽の内周部に取り付けられるベースであって、前記洗濯槽内に臨む表面部と、前記表面部に配置された第1リブと、前記表面部において前記第1リブを挟んで横並びに配置された第1流入領域及び第2流入領域とが設けられたベースと、前記ベースに対向配置されて前記洗濯槽内に露出されるフィルタであって、前記第1リブ側へ突出した第2リブと、前記第2リブを挟んで横並びに配置された第1捕獲領域及び第2捕獲領域と、前記第1捕獲領域及び第2捕獲領域のそれぞれに分布する複数のフィルタ穴とが設けられたフィルタと、前記ベースと前記フィルタとの間に配置されるケースであって、前記第1流入領域と前記第1捕獲領域とを中継する第1中継口と、前記第2流入領域と前記第2捕獲領域とを中継し、前記第1中継口と横並びに配置された第2中継口と、前記第1中継口と前記第2中継口との間に配置され、前記第1リブと前記第2リブとによって挟まれる第3リブとが設けられたケースと、を含み、前記洗濯槽内において前記第1流入領域に流入して前記第1中継口を通って前記第1捕獲領域の前記フィルタ穴から流出する水に含まれる異物を前記第1捕獲領域において捕獲したり、前記洗濯槽内において前記第2流入領域に流入して前記第2中継口を通って前記第2捕獲領域の前記フィルタ穴から流出する水に含まれる異物を前記第2捕獲領域において捕獲したりする、フィルタ装置である。
【0013】
また、本発明は、前記ケースには、前記第1捕獲領域から前記ベース側へ窪んで前記第1捕獲領域からの異物を受け入れる第1収容室と、前記第2捕獲領域から前記ベース側へ窪んで前記第2捕獲領域からの異物を受け入れる第2収容室とが設けられることを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、前記フィルタと前記ケースとは、回動軸を介して連結され、前記ケースは、前記第3リブが前記第2リブに接触する組付位置と、前記第3リブが前記第2リブから離れる分解位置との間で、前記フィルタに対して前記回動軸まわりに相対回動可能であり、前記ケースが組付位置にあるときの前記フィルタ及び前記ケースは、完成したフィルタユニットを構成して、前記ベースに対して着脱可能であることを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、洗濯物を収容して水が溜められる洗濯槽と、前記洗濯槽の内周部に取り付けられた前記フィルタ装置と、を含む、洗濯機である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、フィルタ装置は、ベース、フィルタ及びケースの3つという少ない部品点数で構成される。フィルタ装置では、ベースの第1リブとフィルタの第2リブとによって、ベースとフィルタとの間のケースにおける第3リブが挟まれることにより、これらのリブが一体化されて隔壁を構成してフィルタ装置の全体を補強するので、強度の向上を図れる。
【0017】
ベースの第1流入領域と、フィルタの第1捕獲領域と、ケースの第1中継口とが、フィルタ装置の第1内部空間を構成し、ベースの第2流入領域と、フィルタの第2捕獲領域と、ケースの第2中継口とが、フィルタ装置の第2内部空間を構成し、第1内部空間と第2内部空間とが、一体化された第1リブ、第2リブ及び第3リブによる隔壁を挟んで横並びに配置される。フィルタ装置が洗濯機の洗濯槽の内周部に取り付けられた状態において、洗濯槽内で、当該内周部に沿う第1周方向の水流が発生すると、洗濯槽内の水が、第1流入領域に流入して第1中継口を通って第1捕獲領域のフィルタ穴から流出し、この水に含まれる異物が、第1捕獲領域において捕獲される。洗濯槽内において、第1周方向とは逆の第2周方向の水流が発生すると、洗濯槽内の水が、第2流入領域に流入して第2中継口を通って第2捕獲領域のフィルタ穴から流出し、この水に含まれる異物が、第2捕獲領域において捕獲される。このようにフィルタ装置の内部空間を第1内部空間と第2内部空間とに二分して可動部品を無くし、洗濯槽内の水流の向きに応じて、第1内部空間及び第2内部空間のどちらかで異物を漏れなく捕獲することにより、フィルタ装置は、安定した状態で異物を捕獲できるので、異物の捕獲効率の向上を図れる。
【0018】
また、本発明によれば、洗濯槽の回転による遠心力が発生した場合には、ケースでは、第1収容室が第1捕獲領域からの異物を受け入れ、第2収容室が第2捕獲領域からの異物を受け入れる。これにより、フィルタ装置がせっかく捕獲した異物がフィルタ装置の外に漏れることを防止できるので、異物の捕獲効率の一層の向上を図れる。
【0019】
また、本発明によれば、フィルタ及びケースによるフィルタユニットをベースに対して着脱させることができるので、使用者は、メンテナンスのためにフィルタユニットをベースから取り外して分解すれば、フィルタ装置が捕獲した異物を除去することができる。その後、使用者は、フィルタユニットを完成させてベースに取り付けることによってフィルタ装置を使用可能な状態に戻すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】従来のフィルタ装置の正面図である。
図2】従来のフィルタ装置に含まれるベースの正面図である。
図3】従来のフィルタ装置に含まれるフィルタユニットの分解斜視図である。
図4】完成したフィルタユニットの斜視図である。
図5図1のA-A矢視断面図である。
図6】本発明の一実施形態に係る洗濯機の模式的な縦断面図である。
図7】本発明の一実施形態に係るフィルタ装置の正面図である。
図8】本発明のフィルタ装置に含まれるベースの正面図である。
図9】本発明のフィルタ装置に含まれるフィルタユニットの分解斜視図である。
図10】完成したフィルタユニットの斜視図である。
図11図7のB-B矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下には、図面を参照して、この発明の実施形態について具体的に説明する。図6は、本発明の一実施形態に係る洗濯機11の模式的な縦断面図である。まず、図6における上下方向Zを基準として洗濯機11の概要について説明する。上下方向Zのうち、上側を上側Z1といい、下側を下側Z2という。洗濯機11は、ボックス状に形成された筐体12と、水が溜められる水槽13、洗濯物Lを収容する洗濯槽14と、モータ15と、洗濯槽14内に配置されたパルセータ16及びフィルタ装置17とを含む。なお、洗濯機11には、洗濯物Lの乾燥機能を有する洗濯乾燥機も含まれる。
【0022】
筐体12の上面には、開口部12Aと、開口部12Aを開閉する扉18とが設けられる。水槽13は、たとえば樹脂製であり、有底円筒状に形成される。水槽13は、上端に開口部13Aを有する略円筒状の円周壁13Bと、円周壁13Bの中空部分を下側Z2から塞いだ円板形状の底壁13Cとを一体的に有する。開口部13Aは、円周壁13Bに連結されたカバー19によって開閉される。水槽13の上部には、給水路20が接続され、水槽13内には、給水路20から供給される水道水、風呂水及び洗剤が溶けた液体などの水が溜められる。給水路20の途中には、給水路20を開閉する給水弁21が設けられる。水槽13内の水は、底壁13Cに接続された排水路22を通って機外、つまり筐体12の外に排出される。排水路22の途中には、排水路22を開閉する排水弁23が設けられる。
【0023】
洗濯槽14は、たとえば金属製であり、水槽13よりも一回り小さい有底円筒状に形成される。洗濯槽14は、上端に出入口14Aを有する略円筒状の円周壁14Bと、円周壁14Bの中空部分を下側Z2から塞いだ円板形状の底壁14Cとを一体的に有する。洗濯槽14の円中心を通る軸線Jは、この実施形態では、上下方向Zに沿って垂直に延びる。そのため、洗濯機11は、洗濯槽14が縦に配置された縦型の全自動洗濯機である。なお、軸線Jが上下方向Z及び水平方向Hのそれぞれに対して斜めに延びることによって、洗濯槽14が斜めに配置されてもよい。
【0024】
本実施形態の洗濯槽14は、水槽13内に収容され、軸線Jを中心として回転可能である。洗濯槽14の回転方向は、水槽13及び洗濯槽14のそれぞれの周方向Sと一致する。以下では、軸線Jを基準とした径方向を径方向Rといい、径方向Rのうち、軸線Jに近付く方向を径方向内側R1といい、軸線Jから離れる方向を径方向外側R2という。
【0025】
出入口14Aは、開口部13Aに下側Z2から連通し、開口部13A及び出入口14Aは、カバー19によって一括開閉される。洗濯機11の使用者は、扉18及びカバー19を開くと、開放された開口部12A、開口部13A及び出入口14Aを介して洗濯槽14内に洗濯物Lを出し入れすることができる。円周壁14B及び底壁14Cの少なくともいずれかには、貫通穴14Dが形成されるので、水槽13内の水は、貫通穴14Dを介して、水槽13と洗濯槽14との間で行き来できる。そのため、洗濯槽14内にも水が溜められて、水槽13の水位と、洗濯槽14の水位とは一致する。洗濯機11の脱水運転では、排水弁23が開いた状態で洗濯槽14が回転する。すると、洗濯槽14内の洗濯物L内の水分が、遠心力によって染み出し、貫通穴14D及び排水路22を通って機外に排出される。円周壁14Bの上端部には、洗濯槽14の回転バランスをとるための液体を収容した中空のバランスリング24が同軸上で取り付けられる。
【0026】
モータ15は、水槽13の底壁13Cの下側Z2に配置される。モータ15の出力軸は、軸線Jに沿って上側Z1へ延びる管状の第1出力軸15Aと、第1出力軸15Aの内部空間に対して遊びを持って挿通される第2出力軸15Bとに分岐する。モータ15は、トルクを第1出力軸15A及び第2出力軸15Bのどちらか一方または両方から出力することができる。なお、モータ15の出力軸には、モータ15のトルクの出力先を第1出力軸15A及び第2出力軸15Bに切り替えるクラッチ(図示せず)が組み込まれてもよい。
【0027】
第1出力軸15Aは、上側Z1へ延びて、底壁13Cの中心部を貫通する。第1出力軸15Aは、底壁13Cと底壁14Cとの間で鍔状に張り出したフランジ部15Cを有し、フランジ部15Cが底壁14Cに固定されることで、洗濯槽14に連結される。モータ15が駆動されて第1出力軸15Aにトルクが伝達されると、洗濯槽14が回転する。
【0028】
パルセータ16は、洗濯槽14の底壁14C上において水平方向Hに沿って配置される円盤である。パルセータ16の周方向は、前述した周方向Sに一致し、パルセータ16の径方向は、前述した径方向Rに一致する。パルセータ16の上面には、径方向Rに沿いつつ上側Z1へ盛り上がった筋状の凸部16Aが、周方向Sに並んで複数設けられる。
【0029】
モータ15の第2出力軸15Bにおいてフランジ部15Cよりも上側Z1にはみ出た上端部が、洗濯槽14の底壁14Cの円中心部を貫通して、パルセータ16の円中心部に取り付けられる。モータ15が駆動されて第2出力軸15Bにトルクが伝達されると、パルセータ16が、軸線Jまわりに回転する。このとき、洗濯槽14は、停止した状態にある。洗濯機11での洗い運転やすすぎ運転の際、洗濯槽14内の洗濯物Lは、周方向Sに回転するパルセータ16の凸部16Aによって撹拌される。これにより、洗濯槽14内には、主に周方向Sに沿った水流が発生する。なお、パルセータ16とともに洗濯槽14も回転させてもよく、これにより、周方向Sへ向けて一層勢いよく流れる水流を発生させることができる。
【0030】
フィルタ装置17は、洗濯槽14内、詳しくは、円周壁14Bの内周面を構成する内周部14Eに単数又は複数設けられる。図7は、径方向内側R1から見たときのフィルタ装置17の正面図である。以下では、図7に示すように径方向内側R1から見たときのフィルタ装置17の姿勢を基準として、フィルタ装置17について説明する。そのため、図7における左右方向をフィルタ装置17の左右方向Xといい、図7における左側を左側X1といい、図7における右側を右側X2という。左右方向Xは、前述した周方向Sと同じ、又は、周方向Sに対する接線方向である。フィルタ装置17は、縦長の全体形状を有する。フィルタ装置17は、洗濯槽14の内周部14Eに取り付けられた縦長のベース30と、径方向内側R1からベース30に対向配置されて洗濯槽14内に露出されるフィルタ31と、径方向Rにおけるベース30とフィルタ31との間に配置されたケース32とを含む。
【0031】
図8は、ベース30の正面図である。ベース30において洗濯槽14内に臨む表面部30Aでは、上端部に上開口30Bが設けられ、下端部に下開口30Cが設けられる。上開口30B及び下開口30Cは、ベース30を径方向Rに貫通した貫通穴であってもよいし、径方向外側R2へ窪んだ凹部であってもよい。上開口30Bは、上側Z1へ膨出する半円状に形成され、下開口30Cは、左右方向Xに長手の矩形状に形成される。ベース30には、上開口30B内の上領域に張り出した左右一対の張出部33と、これらの張出部33間に架設された係合部34とが設けられる。これらの張出部33は、正面、つまり径方向内側R1から見て、左右対称な略三角形状又は扇状に形成される。係合部34は、略矩形の小片状であり、その下端は、各張出部33の下端よりも上側Z1に位置して、左右方向Xに延びる。
【0032】
表面部30Aにおいて上開口30Bと下開口30Cとの間の中間領域30Dは、上開口30B及び下開口30Cよりも左右方向Xに幅広の矩形状であって、中間領域30Dのほとんどは、左右方向X及び上下方向Zに沿って略平坦である。表面部30Aにおいて上開口30B、下開口30C及び中間領域30D以外の領域である外縁部30Eは、径方向内側R1へ膨出する湾曲面である。
【0033】
中間領域30Dにおける左右方向Xの中央には、径方向内側R1へ突出して中間領域30Dの上端と下端とをつなぐように上下方向Zに延びる第1リブ35が設けられる。第1リブ35は、左右方向X及び上下方向Zに沿って平坦であって上下方向Zに細長い端面35Aと、端面35Aから左右方向Xの外側へ広がりながら径方向外側R2に延びる左右一対の湾曲面35Bとを有する。なお、中間領域30Dにおけるベース30の一部を径方向内側R1へV字状に凹ませることによって、このような形状の第1リブ35が形成される(図11参照)。
【0034】
中間領域30Dには、第1リブ35を挟んで横並びに配置された左右一対の流入領域30Fが設けられる。各流入領域30Fには、複数のガイド30Gが上下方向Zに並んで配置される。ほとんどのガイド30Gは、上下方向Zに薄い板状であるが、一部のガイド30Gは、横長の楕円形状であってもよい。以下では、一対の流入領域30Fのうち、左側X1の流入領域30Fを第1流入領域30FAといい、右側X2の流入領域30Fを第2流入領域30FBという。もちろん、第1流入領域30FAと第2流入領域30FBとが逆に配置されてもよい。いずれにせよ、第1流入領域30FAと第2流入領域30FBとは、第1リブ35を基準として左右対称に構成される。
【0035】
フィルタ31及びケース32のまとまりは、フィルタユニット36を構成する。図9は、分解状態にあるフィルタユニット36の斜視図である。図9では、フィルタ31は、縦長の板状であって、表面部31Aよりも裏面部31Bが主に表れる。フィルタ31の上端部は、上側へ膨出する円弧状に形成される。フィルタ31には、その上端から下側へ窪んでフィルタ31を板厚方向に貫通した凹部31Cが形成される。裏面部31Bの上端部には、上凸部31Dが設けられる。上凸部31Dは、横長の中空体であって、フィルタ31の短手方向における裏面部31Bの全域にわたって配置される。上凸部31Dの上面の中央には、係合部37が設けられる。係合部37は、上側Z1へ延びて湾曲した後に、図9では略水平に延びて一部が凹部31C内に配置される。このような係合部37は、少なくとも上下方向に弾性変形可能である。係合部37の上面には、フィルタ31の短手方向に延びる爪37Aが設けられる。
【0036】
裏面部31Bには、その外縁をなす外周リブ31Eが設けられる。外周リブ31Eの一部は、凹部31C内にも露出されて上凸部31Dの上面に接続される。外周リブ31Eの下端部は、下凸部31Fを構成する。下凸部31Fは、裏面部31Bの下縁に沿ってフィルタ31の短手方向に延びる下板31FAと、短手方向における下板31FAの両端から立ち上がった一対の側板31FBとを有する。
【0037】
裏面部31Bにおいて上凸部31Dと下凸部31Fとの間の中間領域31Gには、フィルタ31の長手方向つまり上下方向に延びる第2リブ38が設けられる。第2リブ38は、フィルタ31の短手方向における中間領域31Gの中央に配置され、上凸部31Dと下凸部31Fの下板31FAとの間に架設される。
【0038】
中間領域31Gには、第2リブ38を挟んで横並びに配置された一対つまり2列の捕獲領域31Hが設けられる。以下では、図9における右側の捕獲領域31Hを第1捕獲領域31HAといい、図9における左側の捕獲領域31Hを第2捕獲領域31HBという。もちろん、第1捕獲領域31HAと第2捕獲領域31HBとが逆に配置されてもよい。いずれにせよ、第1捕獲領域31HAと第2捕獲領域31HBとは、第2リブ38を基準として左右対称に構成される。各捕獲領域31Hには、上下方向に等間隔で並ぶ複数の貫通穴31Iが設けられる。各貫通穴31Iの一例は、四隅が丸められた横長の矩形状である。各貫通穴31Iには、メッシュシート39が貫通穴31Iを塞ぐように取り付けられる。メッシュシート39には、微小な貫通穴であるフィルタ穴39Aが無数に形成される。第1捕獲領域31HAの貫通穴31Iに設けられたメッシュシート39は、第1捕獲領域31HAの一部であり、第2捕獲領域31HBの貫通穴31Iに設けられたメッシュシート39は、第2捕獲領域31HBの一部である。そのため、各捕獲領域31Hには、複数のフィルタ穴39Aが分布する。なお、前述した図7では、メッシュシート39の図示が省略される。また、メッシュシート39の代りに、各捕獲領域31HAに一体形成された格子を用いてもよく、この場合には、格子の隙間がフィルタ穴39Aとして機能する。
【0039】
ケース32は、長方形の板状である。ケース32の中央には、ケース32の長手方向に延びてケース32を貫通した中継口32Aが設けられる。図9での姿勢におけるケース32の上面部には、その外縁の全域にわたって立ち上がった外周リブ32Bと、中継口32Aの全域を縁取りつつ立ち上がった内周リブ32Cと、中継口32Aを挟んでケース32の長手方向に延びる溝状をなす一対の収容室32Dが設けられる。ケース32の長手方向における一端部、図9では右手前の端部において、外周リブ32Bの一部と内周リブ32Cの一部とが一体化される。
【0040】
図9における右奥側の収容室32Dを第1収容室32DAといい、図9における左手前側の収容室32Dを第2収容室32DBという。もちろん、第1収容室32DAと第2収容室32DBとが逆に配置されてもよい。各収容室32Dは、外周リブ32Bと内周リブ32Cとによって取り囲まれる。図9での姿勢におけるケース32の上面部には、第1収容室32DA及び第2収容室32DBの端部同士、図9では左奥前の端部同士をつなぐ溝状の第3収容室32Eが設けられる。
【0041】
ケース32の中継口32A内には、ケース32の長手方向に延びる第3リブ40が設けられる。これにより、中継口32Aは、第1収容室32DA側の第1中継口32AAと、第2収容室32DB側の第2中継口32ABとに二分される。第1中継口32AAと第2中継口32ABとは、横並びに配置され、第3リブ40は、第1中継口32AAと第2中継口32ABとの間に配置される。第1中継口32AAと第2中継口32ABとは、第3リブ40を基準として左右対称に構成される。中継口32A内には、ケース32の短手方向に延びる複数の横リブ41が設けられる。これらの横リブ41は、ケース32の長手方向に等間隔で並び、最寄りの内周リブ32Cと第3リブ40との間に架設される。
【0042】
ケース32において第3収容室32E側の端部は、フィルタ31の下凸部31Fにおける一対の側板31FBの間に配置される。ケース32の当該端部は、ケース32の短手方向に延びる回動軸42を介して各側板31FBに連結される。ケース32は、フィルタ31に対して回動軸42まわりに相対回動可能である。図9におけるケース32は、分解位置にあり、このとき、ケース32の第3リブ40がフィルタ31の第2リブ38から離れた状態にある。なお、分解位置にあるケース32は、下凸部31Fの下板31FAに載った状態にあるので、下側へこれ以上回動してフィルタ31からさらに離れることはない。
【0043】
使用者が、分解位置にあるケース32を回動軸42まわりに回動させてフィルタ31に接近させると、図10に示すように、ケース32が組付位置に配置されてフィルタユニット36が完成する。このように、ケース32は、分解位置と組付位置との間で回動可能である。組付位置にあるケース32の長手方向は、フィルタ31の長手方向と一致し、ケース32は、フィルタ31の上凸部31Dと下凸部31Fの下板31FAとの間に配置される。また、ケース32の外周リブ32Bは、フィルタ31の外周リブ31Eの内側に配置される。使用者は、ケース32を分解位置まで回動させることによってフィルタユニット36を分解することができる(図9参照)。なお、フィルタユニット36の組立や分解の際、使用者は、ケース32でなくフィルタ31を回動させてもよいし、フィルタ31及びケース32の両方を回動させてもよい。
【0044】
使用者が、完成したフィルタユニット36をベース30に組み付けてフィルタ31の上凸部31D及び下凸部31Fをベース30の上開口30B及び下開口30C(図8参照)にそれぞれ嵌め込む。すると、図7に示すように、フィルタユニット36がベース30に装着されることによって、フィルタ装置17が完成する。このとき、フィルタ31及びケース32のそれぞれの長手方向は、上下方向Zと一致し、フィルタ31及びケース32のそれぞれの短手方向は、左右方向Xつまり周方向Sと一致する。フィルタ31の係合部37の爪37A(図9参照)がベース30の係合部34(図8参照)に径方向外側R2から係合することにより、ベース30からのフィルタユニット36の脱落が防止される。なお、使用者は、係合部37を下側Z2へ弾性変形させて爪37Aを係合部34から外すと、ベース30からのフィルタユニット36を離脱させることができる。
【0045】
図7のB-B矢視断面図である図11に示すように、完成したフィルタ装置17では、ベース30の第1流入領域30FAと、フィルタ31の第1捕獲領域31HAと、ケース32の第1収容室32DA及び第1中継口32AAとが、左右方向Xにおいて同じ位置に配置される。第1収容室32DA及び第1中継口32AAは、径方向外側R2から第1捕獲領域31HAに対向する。第1収容室32DAは、第1捕獲領域31HAから径方向外側R2つまりベース30側へ窪んだ状態にある。また、ベース30の第2流入領域30FBと、フィルタ31の第2捕獲領域31HBと、ケース32の第2収容室32DB及び第2中継口32ABとが、左右方向Xにおいて同じ位置に配置される。第2収容室32DB及び第2中継口32ABは、径方向外側R2から第2捕獲領域31HBに対向する。第2収容室32DBは、第2捕獲領域31HBから径方向外側R2へ窪んだ状態にある。
【0046】
また、ベース30の第1リブ35と、フィルタ31の第2リブ38と、ケース32の第3リブ40とは、左右方向Xにおいて同じ位置に配置される。第1リブ35の端面35Aは、径方向外側R2から第3リブ40に接触する。第2リブ38は、第1リブ35側つまり径方向外側R2へ突出して、径方向内側R1から第3リブ40に接触する。これにより、第3リブ40が、第1リブ35と第2リブ38とによって径方向Rの両側から挟まれる。第1リブ35と第2リブ38と第3リブ40とが一体化されて、上下方向Z及び径方向Rに延びる一つの隔壁43を構成する。これにより、フィルタ装置17の内部空間は、隔壁43を挟んで横並びに配置された第1内部空間17A及び第2内部空間17Bに二分される。第1内部空間17Aは、本実施形態では第2内部空間17Bの左側X1に配置されるが、逆に配置されてもよい。
【0047】
第1内部空間17Aは、ベース30の第1流入領域30FAと、フィルタ31の第1捕獲領域31HAと、ケース32の第1収容室32DA及び第1中継口32AAとによって構成される。第1中継口32AAは、第1流入領域30FAと、第1捕獲領域31HAとを中継する。第2内部空間17Bは、ベース30の第2流入領域30FBと、フィルタ31の第2捕獲領域31HBと、ケース32の第2収容室32DB及び第2中継口32ABとによって構成される。第2中継口32ABは、第2流入領域30FBと、第2捕獲領域31HBとを中継する。
【0048】
洗濯槽14の内周部14Eにフィルタ装置17が取り付けられた洗濯機11の洗濯運転やすすぎ運転では、パルセータ16が回転することによって洗濯槽14内に水流が発生する。パルセータ16が平面視で時計回りに正回転すると、洗濯槽14内の水が、周方向Sにおける第1周方向S1に流れて、第1流入領域30FAとケース32との間のスペースに流入する。当該スペースを第1流入領域30FAの一部とみなすことができ、当該スペースの左端をフィルタ装置17の第1流入口17Cといってもよい。パルセータ16が平面視で反時計回りに逆回転すると、洗濯槽14内の水が、周方向Sにおける第2周方向S2に流れて、第2流入領域30FBとケース32との間のスペースに流入する。当該スペースを第2流入領域30FBの一部とみなすことができ、当該スペースの右端をフィルタ装置17の第2流入口17Dといってもよい。第1周方向S1は、右側X2と一致し、第2周方向S2は、左側X1と一致する。なお、パルセータ16でなく、洗濯槽14が回転することによって水流が発生してもよい。各流入領域30Fでは、ガイド30Gが左右方向Xにおける外側へ偏って配置されるので、ガイド30Gと隔壁43との間には、水を取り込むための比較的広い空間Tが確保される。
【0049】
第1流入領域30FAに流入した水は、矢印P1で示すように、第1内部空間17Aにおいて、隔壁43の左側面にガイドされて第1中継口32AAを通って第1捕獲領域31HAに到達し、第1捕獲領域31HAにおけるメッシュシート39のフィルタ穴39Aから径方向内側R1へ流出して洗濯槽14内に戻る。流出する水に含まれる糸くずや埃などの異物Fは、第1捕獲領域31HAにおいて捕獲される。第2流入領域30FBに流入した水は、矢印P2で示すように、第2内部空間17Bにおいて、隔壁43の右側面にガイドされて第2中継口32ABを通って第2捕獲領域31HBに到達し、第2捕獲領域31HBにおけるメッシュシート39のフィルタ穴39Aから径方向内側R1へ流出して洗濯槽14内に戻る。流出する水に含まれる異物Fは、第2捕獲領域31HBにおいて捕獲される。図11では、各捕獲領域31Hによって捕獲された異物Fが、太い点線によって図示される。
【0050】
以上のように、フィルタ装置17は、ベース30、フィルタ31及びケース32の3つという少ない部品点数で構成される。フィルタ装置17では、ベース30の第1リブ35とフィルタ31の第2リブ38とによって、ベース30とフィルタ31との間のケース32の第3リブ40が挟まれることにより、これらのリブが一体化されて隔壁43を構成してフィルタ装置17の全体を補強するので、強度の向上を図れる。
【0051】
そして、フィルタ装置17の内部空間を隔壁43によって第1内部空間17Aと第2内部空間17Bとに二分して可動部品を無くし、洗濯槽14内の水流の向きに応じて、第1内部空間17A及び第2内部空間17Bのどちらかで異物Fを漏れなく捕獲することにより、フィルタ装置17は、安定した状態で異物Fを捕獲できるので、異物Fの捕獲効率の向上を図れる。
【0052】
洗濯機11の脱水運転において洗濯槽14が回転すると、第1捕獲領域31HA及び第2捕獲領域31HBのそれぞれに溜まった異物Fは、遠心力が作用することによって径方向外側R2へ移動しようとする。第1捕獲領域31HAからの異物Fは、矢印Q1に示すように、ケース32における第1収容室32DAに受け入れられ、第2捕獲領域31HBからの異物Fは、矢印Q2に示すように、ケース32における第2収容室32DBに受け入れられる。これにより、フィルタ装置17がせっかく捕獲した異物Fがフィルタ装置17外に漏れることを防止できるので、異物Fの捕獲効率の一層の向上を図れる。なお、第1収容室32DAや第2収容室32DBが一杯になっても、これらの下側Z2に位置する第3収容室32Eが異物Fを収容することができる。
【0053】
そして、フィルタ31及びケース32によるフィルタユニット36をベース30に対して着脱させることができるので、使用者は、メンテナンスのためにフィルタユニット36をベース30から取り外して分解すれば、フィルタ装置17が捕獲した異物Fを除去することができる(図9参照)。その後、使用者は、フィルタユニット36を完成させてベース30に取り付けることによってフィルタ装置17を使用可能な状態に戻すことができる。
【0054】
本発明は、以上に説明した実施形態に限定されるものではなく、請求項に記載の範囲内において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0055】
11 洗濯機
14 洗濯槽
14A 内周部
17 フィルタ装置
30 ベース
30A 表面部
30FA 第1流入領域
30FB 第2流入領域
31 フィルタ
31HA 第1捕獲領域
31HB 第2捕獲領域
32 ケース
32AA 第1中継口
32AB 第2中継口
32DA 第1収容室
32DB 第2収容室
35 第1リブ
36 フィルタユニット
38 第2リブ
39A フィルタ穴
40 第3リブ
42 回動軸
F 異物
L 洗濯物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11