(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022190610
(43)【公開日】2022-12-26
(54)【発明の名称】吊り下げ具
(51)【国際特許分類】
F16B 45/00 20060101AFI20221219BHJP
【FI】
F16B45/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021099018
(22)【出願日】2021-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】000006828
【氏名又は名称】YKK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】小林 由和
(72)【発明者】
【氏名】吉江 謙一
【テーマコード(参考)】
3J038
【Fターム(参考)】
3J038AA01
3J038BA01
3J038BB07
(57)【要約】
【課題】吊り下げ対象物の吊り下げのために用いられていない時の吊り下げ具(1)の小型化を促進することが望まれる。
【解決手段】フック基部(21)及び連結部(32)は、フック開口(25)の最大開口幅に対応する位置に設定された仮想線(L4)に取付部材(3)が交差可能なように、又は、フック開口(25)の最小開口幅に対応する位置に設定された仮想線(L5)に取付部材(3)が交差可能なように構成される。
【選択図】
図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フック開口(25)を画定するようにお互いに離間してフック基部(21)とフック先端部(22)が配置され、前記フック基部(21)と前記フック先端部(22)の間にフック凹部(23)が形成されるようにフック延在部(24)が延びるフック(2)と、
吊り下げ対象物(9)が取り付けられるべき本体部(31)と、前記フック基部(21)との係合のために前記本体部(31)に連結した連結部(32)を有する取付部材(3)を備える吊り下げ具であって、
前記フック基部(21)及び前記連結部(32)の一方には回動部(41)が設けられ、前記フック基部(21)及び前記連結部(32)の他方には前記回動部(41)を受容する受容部(42)が設けられ、前記受容部(42)により前記回動部(41)が受容されて保持されることにより前記取付部材(3)及び前記フック(2)が相対的に回動可能に係合し、
前記フック基部(21)及び前記連結部(32)は、前記フック(2)及び前記取付部材(3)が同一平面に配置された状態で前記取付部材(3)が前記フック先端部(22)に隣接する位置まで回動するように前記フック(2)及び前記取付部材(3)のいずれか一方が他方に対して回動される時、(i)前記フック開口(25)の最大開口幅に対応する位置に設定された仮想線(L4)に前記取付部材(3)が交差可能なように、又は、(ii)前記フック開口(25)の最小開口幅に対応する位置に設定された仮想線(L5)に前記取付部材(3)が交差可能なように構成される、吊り下げ具。
【請求項2】
前記フック基部(21)から前記フック凹部(23)の底(26)に向かう第1仮想線(L1)が前記フック凹部(23)の深さ方向に延びる第1ベクトル(V1)と前記第1ベクトル(V1)の先端から前記フック凹部(23)の底(26)まで前記第1ベクトル(V1)に直交して延びる第2ベクトル(V2)の合成により表され、前記第1ベクトル(V1)に平行な第2仮想線(L2)及び第3仮想線(L3)が前記フック基部(21)と前記フック先端部(22)を挟むように設定され、前記第2仮想線(L2)が前記フック基部(21)に関して設定され、前記第3仮想線(L3)が前記フック先端部(22)に関して設定されると仮定すると、
前記フック(2)及び前記取付部材(3)が前記同一平面に配置された状態で前記取付部材(3)が前記フック先端部(22)に隣接する位置まで回動するように前記フック(2)及び前記取付部材(3)のいずれか一方が他方に対して回動される全過程において前記取付部材(3)が前記第3仮想線(L3)に交差しないことを特徴とする請求項1に記載の吊り下げ具。
【請求項3】
前記受容部(42)は、前記回動部(41)が先端部に固着した軸部(43)の移動のための溝(46)を有し、
前記溝(46)の長さは、前記フック(2)及び前記取付部材(3)が前記同一平面に配置された状態で前記取付部材(3)が前記フック先端部(22)に隣接する位置まで回動するように前記フック(2)及び前記取付部材(3)のいずれか一方が他方に対して回動される時、前記フック開口(25)の前記最大開口幅に対応する位置に設定された仮想線(L4)又は前記フック開口(25)の前記最小開口幅に対応する位置に設定された仮想線(L5)に前記取付部材(3)が交差可能なように設定されることを特徴とする請求項2に記載の吊り下げ具。
【請求項4】
前記取付部材(3)の前記本体部(31)は、棒部(5)と、前記棒部(5)の第1端部(51)から前記連結部(32)に向けて弧状に延びる第1弧状部(61)と、前記棒部(5)の第2端部(52)から前記連結部(32)に向けて弧状に延びる第2弧状部(62)を含み、
前記フック基部(21)及び前記連結部(32)は、前記フック(2)及び前記取付部材(3)が前記同一平面に配置された状態で前記取付部材(3)が前記フック先端部(22)に隣接する位置まで回動するように前記フック(2)及び前記取付部材(3)のいずれか一方が他方に対して回動される時、
(a)前記フック開口(25)の前記最大開口幅に対応する位置に設定された仮想線(L4)に前記第1及び第2弧状部(61,62)の一方が交差可能なように構成される、又は、
(b)前記棒部(5)が前記第2仮想線(L2)及び前記第3仮想線(L3)に平行に配向可能なように構成されることを特徴とする請求項2又は3に記載の吊り下げ具。
【請求項5】
前記受容部(42)は、前記回動部(41)が先端部に固着した軸部(43)の移動のための溝(46)を有し、
前記溝(46)の長さは、前記フック(2)及び前記取付部材(3)が前記同一平面に配置された状態で前記取付部材(3)が前記フック先端部(22)に隣接する位置まで回動するように前記フック(2)及び前記取付部材(3)のいずれか一方が他方に対して回動される時、
前記第1及び第2弧状部(61,62)の一方が前記フック開口(25)の前記最大開口幅に対応する位置に設定された仮想線(L4)に交差可能なように設定され、又は、前記棒部(5)が前記第2仮想線(L2)及び前記第3仮想線(L3)に平行に配向可能なように設定されることを特徴とする請求項4に記載の吊り下げ具。
【請求項6】
前記フック(2)は、前記第2仮想線(L2)に沿って平坦に延びる側面(29)を有することを特徴とする請求項2乃至5のいずれか一項に記載の吊り下げ具。
【請求項7】
前記第2仮想線(L2)及び前記第3仮想線(L3)は、前記フック(2)の外側(2b)面の湾曲態様を定める仮想的な正円又は楕円(C1~C4)の接線であることを特徴とする請求項2乃至6のいずれか一項に記載の吊り下げ具。
【請求項8】
前記吊り下げ対象物(9)に対して前記取付部材(3)の前記本体部(31)が取り付けられた状態において前記吊り下げ対象物(9)の側縁(93)に対して前記第2仮想線(L2)及び前記第3仮想線(L3)が平行に配向されるように前記取付部材(3)に対して前記フック(2)が回動可能であることを特徴とする請求項2乃至7のいずれか一項に記載の吊り下げ具。
【請求項9】
前記フック(2)の湾曲態様を定める仮想的な正円又は楕円(C1~C4)が設定されると仮定すると、
前記フック基部(21)及び前記連結部(32)は、前記フック(2)及び前記取付部材(3)が前記同一平面に配置された状態で前記取付部材(3)が前記フック先端部(22)に隣接する位置まで回動するように前記フック(2)及び前記取付部材(3)のいずれか一方が他方に対して回動される時、前記仮想的な正円又は楕円(C1~C4)に前記取付部材(3)が交差可能なように構成されることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の吊り下げ具。
【請求項10】
前記フック基部(21)に前記受容部(42)が設けられ、前記連結部(32)に前記回動部(41)が設けられることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の吊り下げ具。
【請求項11】
前記フック(2)がJ字状であり、前記本体部(31)がD字状であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載の吊り下げ具。
【請求項12】
前記フック基部(21)及び前記連結部(32)は、前記取付部材(3)が前記フック先端部(22)に隣接する位置でそこから離脱可能に位置決めされるように構成されることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか一項に記載の吊り下げ具。
【請求項13】
前記受容部(42)は、前記回動部(41)が先端部に固着した軸部(43)の移動のための溝(46)を有し、前記溝(46)は、前記取付部材(3)が前記フック先端部(22)に隣接する位置でそこから離脱可能に位置決めされるように溝幅が減じられた幅狭部(46j)を有することを特徴とする請求項12に記載の吊り下げ具。
【請求項14】
前記軸部(43)の外周面には、前記幅狭部(46j)の形成のために前記受容部(42)に設けられた突起(87,88)に対して接触可能な少なくとも一つの突起(49)が設けられることを特徴とする請求項13に記載の吊り下げ具。
【請求項15】
前記受容部(42)は、お互いに対向して配置された第1及び第2対向部(47,48)を含み、前記第1及び第2対向部(47,48)の間の空間により前記回動部(41)が先端部に固着した軸部(43)の移動のための溝(46)が形成されることを特徴とする請求項1乃至14のいずれか一項に記載の吊り下げ具。
【請求項16】
前記フック先端部(22)側の前記溝(46)の一端(46e)が段階的又は連続的に幅狭になるように形状付けられることを特徴とする請求項13乃至15のいずれか一項に記載の吊り下げ具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、吊り下げ具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示の手荷物簡易吊り具が知られている。また、特許文献2に開示のようにボールジョイントによりなす環と取付部材が連結した連結パーツも知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-245421号公報
【特許文献2】意匠登録第1328829号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
吊り下げ対象物の吊り下げのために用いられていない時の吊り下げ具の小型化を促進することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様に係る吊り下げ具は、フック開口を画定するようにお互いに離間してフック基部とフック先端部が配置され、フック基部とフック先端部の間にフック凹部が形成されるようにフック延在部が延びるフックと、吊り下げ対象物が取り付けられるべき本体部と、フック基部との係合のために本体部に連結した連結部を有する取付部材を含む。フック基部及び連結部の一方には回動部が設けられ、フック基部及び連結部の他方には回動部を受容する受容部が設けられ、受容部により回動部が受容されて保持されることにより取付部材及びフックが相対的に回動可能に係合する。フック基部及び連結部は、フック及び取付部材が同一平面に配置された状態で取付部材がフック先端部に隣接する位置まで回動するようにフック及び取付部材のいずれか一方が他方に対して回動される時、(i)フック開口の最大開口幅に対応する位置に設定された仮想線に取付部材が交差可能なように、又は、(ii)フック開口の最小開口幅に対応する位置に設定された仮想線に取付部材が交差可能なように構成される。
【0006】
幾つかの実施形態においては、フック基部からフック凹部の底に向かう第1仮想線がフック凹部の深さ方向に延びる第1ベクトルと第1ベクトルの先端からフック凹部の底まで第1ベクトルに直交して延びる第2ベクトルの合成により表され、第1ベクトルに平行な第2仮想線及び第3仮想線がフック基部とフック先端部を挟むように設定され、第2仮想線がフック基部に関して設定され、第3仮想線がフック先端部に関して設定されると仮定すると、フック及び取付部材が同一平面に配置された状態で取付部材がフック先端部に隣接する位置まで回動するようにフック及び取付部材のいずれか一方が他方に対して回動される全過程において取付部材が第3仮想線に交差しない。
【0007】
受容部は、回動部が先端部に固着した軸部の移動のための溝を有し得る。取付部材の本体部は、棒部と、棒部の第1端部から連結部に向けて弧状に延びる第1弧状部と、棒部の第2端部から連結部に向けて弧状に延びる第2弧状部を含み得る。
【0008】
幾つかの実施形態においては、溝の長さは、フック及び取付部材が同一平面に配置された状態で取付部材がフック先端部に隣接する位置まで回動するようにフック及び取付部材のいずれか一方が他方に対して回動される時、(a)フック開口の最大開口幅に対応する位置に設定された仮想線又はフック開口の最小開口幅に対応する位置に設定された仮想線に取付部材が交差可能なように設定され、及び/又は(b)第1及び第2弧状部の一方がフック開口の最大開口幅に対応する位置に設定された仮想線に交差可能なように設定され、又は、棒部が第2仮想線及び第3仮想線に平行に配向可能なように設定される。
【0009】
幾つかの実施形態においては、フック基部及び連結部は、フック及び取付部材が同一平面に配置された状態で取付部材がフック先端部に隣接する位置まで回動するようにフック及び取付部材のいずれか一方が他方に対して回動される時、(a)フック開口の最大開口幅に対応する位置に設定された仮想線に第1及び第2弧状部の一方が交差可能なように構成される、又は、(b)棒部が第2仮想線及び第3仮想線に平行に配向可能なように構成される。
【0010】
フックは、第2仮想線に沿って平坦に延びる側面を有し得る。第2仮想線及び第3仮想線は、フックの外側面の湾曲態様を定める仮想的な正円又は楕円の接線であり得る。吊り下げ対象物に対して取付部材の本体部が取り付けられた状態において吊り下げ対象物の側縁に対して第2仮想線及び第3仮想線が平行に配向されるように取付部材に対してフックが回動可能であり得る。
【0011】
幾つかの実施形態においては、フックの湾曲態様を定める仮想的な正円又は楕円が設定されると仮定すると、フック基部及び連結部は、フック及び取付部材が同一平面に配置された状態で取付部材がフック先端部に隣接する位置まで回動するようにフック及び取付部材のいずれか一方が他方に対して回動される時、仮想的な正円又は楕円に取付部材が交差可能なように構成される。
【0012】
フック基部に受容部が設けられ、連結部に回動部が設けられ得る。フックがJ字状であり、本体部がD字状であり得る。フック基部及び連結部は、取付部材がフック先端部に隣接する位置でそこから離脱可能に位置決めされるように構成され得る。
【0013】
溝は、取付部材がフック先端部に隣接する位置でそこから離脱可能に位置決めされるように溝幅が減じられた幅狭部を有し得る。幅狭部の形成のために受容部に設けられた突起に対して接触可能な少なくとも一つの突起を軸部の外周面に設けることができる。幅狭部の形成のために受容部に設けられた突起に軸部の外周面の突起が接触することで取付部材がフック先端部に隣接する位置に到達することをユーザーに報知することができる。
【0014】
受容部は、お互いに対向して配置された第1及び第2対向部を含み、第1及び第2対向部の間の空間により回動部が先端部に固着した軸部の移動のための溝が形成され得る。フック先端部側の溝の一端が段階的又は連続的に幅狭になるように形状付けられ得る。
【発明の効果】
【0015】
本開示の一態様によれば、吊り下げ対象物の吊り下げのために用いられていない時の吊り下げ具の小型化を促進することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図2】吊り下げ具の側面図((a)がその右側面を示し、(b)がその左側面を示す)であり、そのフックと取付部材が同一平面に配置されている。
【
図3】吊り下げ具の側面図((a)がその右側面を示し、(b)がその左側面を示す)であり、そのフックと取付部材が直交する別々の平面に配置されている。
【
図4】取付部材に対してフックが回動可能であることを示す模式図である。
【
図5】フックの溝が部分的に減じられて取付部材の位置決めが促進されることを示す模式図である。
【
図6】吊り下げ具が吊り下げ対象物から取り出された状態を示す模式図である。吊り下げ具のフックは、実線と点線で示す位置の間で回動可能である。
【
図7】吊り下げ具が吊り下げ対象物に収納された状態を示す模式図である。吊り下げ具のフックは、実線と点線で示す位置の間で回動可能である。
【
図8】フックに関して複数の仮想線が設定されることを示す模式図である。
【
図9】取付部材に仮想線が設定されることを示す模式図である。
【
図10】フックと取付部材の相対的な位置関係の変化を説明するために参照される模式図である。
【
図11】フックと取付部材の相対的な位置関係の変化を説明するために参照される模式図であり、吊り下げ具の変形により
図10のものよりも吊り下げ具の全体サイズが小さい。
【
図12】フックと取付部材の相対的な位置関係の変化を説明するために参照される模式図であり、吊り下げ具の変形により
図10及び
図11のものよりも吊り下げ具の全体サイズが小さい。
【
図16】フックの内側面の湾曲態様を定める仮想的な円に交差可能な位置まで取付部材が移動可能であることを示す模式図であり、(a)~(c)に示すように取付部材が回動する。
【
図17】フックの外側面及び内側面の湾曲態様が仮想的な楕円により定まる形態を示す模式図である。
【
図18】フックの外側面及び内側面の湾曲態様が仮想的な楕円により定まる形態を示す模式図である。
【
図19】取付部材の軸部の外周面に径方向外側に突出した突起が設けられる形態を示す模式図である。
【
図20】幅狭部の形成のために対向部に設けられた突起に軸部の突起が接触することを説明するための部分断面斜視図である。
【
図21】フックの概略的な部分斜視図であり、フック基部の各対向部の断面も示される。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しつつ、様々な実施形態及び特徴について説明する。当業者は、過剰説明を要せず、各実施形態及び/又は各特徴を組み合わせることができ、この組み合わせによる相乗効果も理解可能である。実施形態間の重複説明は、原則的に省略する。参照図面は、発明の記述を主たる目的とするものであり、作図の便宜のために簡略化されている。各特徴は、本願に開示された吊り下げ具にのみ有効であるものではなく、本明細書に開示されていない他の様々な吊り下げ具にも通用する普遍的な特徴として理解される。
【0018】
本開示に係る非限定の吊り下げ具1を
図1に示す。吊り下げ具1は、樹脂の射出成形により製造されたフック2と取付部材3の組合せ品である。なお、共通の射出成形装置で共通の金型装置によりフック2と取付部材3を同時に成形することができ、フック2と取付部材3の組み立て工程は必須ではない。勿論、両者を別々に射出成形して組み合わせて吊り下げ具を製造しても構わない。便宜上、
図1に示した上下方向、左右方向、及び前後方向を参照して説明する場合がある。前後方向を厚み方向と代替的に呼んでも良く、上下方向を鉛直方向と代替的に呼んでも良い。
【0019】
図1乃至
図3に示すように、フック2において、フック開口25を画定するようにお互いに離間してフック基部21とフック先端部22が配置され、フック基部21とフック先端部22の間にフック凹部23が形成されるようにフック延在部24が延びる。
図1に示した状態において(
図8も参照)、フック延在部24は、フック基部21から離間するべくある方向(
図1にて、右斜め上方向)に延びて、続いて所定の曲率(フック2の外側面2bの湾曲態様を定める仮想的な正円C1(
図8参照)の曲率)で延びて(
図1にて、右斜め上方から左斜め上方に延び、左に延び、左斜め下に延びて)フック先端部22に到達する。これによりフック2が略J字状に形状付けられる。フック2の内側面2aと外側面2bもJ字状に延びる。フック開口25は、常に開口状態にあるが、フック開口25を閉鎖するべくフック2に対して閉鎖部材を付加しても構わない。
【0020】
取付部材3は、吊り下げ対象物9が取り付けられるべき本体部31と、フック基部21との係合のために本体部31に連結した連結部32を有する。本体部31は、D字状の環体(即ち、D環)であり、棒部5と、棒部5の第1端部51から連結部32に向けて弧状に延びる第1弧状部61と、棒部5の第2端部52から連結部32に向けて弧状に延びる第2弧状部62を有し、これらにより扁平な閉じた空間38が画定される。棒部5は、略一定の断面形状(例えば、断面円形)で左右方向に延びる。第1弧状部61と第2弧状部62は、棒部5から上方に延びるに応じて厚み(
図1にて前後幅)が大きくなり、これにより後述の軸部43との連結が強化される。連結部32は、本体部31から突出した柱部(具体的には、後述の回動部41と軸部43が連結した柱部)であるが、必ずしもこの限りではない。連結部32は、第1弧状部61と第2弧状部62の連結箇所から上方に延びる。
【0021】
フック2と取付部材3の係合のため、フック基部21及び連結部32の一方に回動部41を設け、フック基部21及び連結部32の他方に回動部41を受容する受容部42を設けることができる。受容部42により回動部41が受容されて保持される(例えば、遊嵌される)ことにより取付部材3及びフック2が相対的に回動可能に係合する。
【0022】
回動部41は、その円滑な回動のために適切に形状付けられ、例えば、(i)少なくともその外面の一部に滑らかな湾曲面を有するように形状付けられ、又は(ii)3以上の面を有する多面体として形状付けられる。多面体の隣接する面の間の縁を面取りしても良い。場合によっては、回動部41には、金型装置の境界(例えば、スライドコア同士の境界)に対応する別々の2つのパーティングラインが形成され、これにより、フック2と取付部材3が共通の金型装置により同時に射出成形されたことが裏付けられる。回動部41が軸部43の先端部に固着して支持される。軸部43は、回動部41の回動に応じて回動可能である。軸部43は、例えば、断面円形状であるが、これに限られない。
【0023】
フック2と取付部材3は、同一平面(回転軸AX1に直交し、回転軸AX2が含まれる平面)に配置可能である(
図2参照)。この平面において、フック2は、取付部材3に対して(フック2の厚み方向に平行な)回転軸AX1を回転中心として回動することができ、逆も然りである。また、フック2は、取付部材3に対して(フック2の厚み方向に直交する)回転軸AX2を回転中心として回動することができ、その90°の回転によって、フック2と取付部材3が直交する別々の平面に配置可能である(
図3参照)。必ずしもこの限りではないが、取付部材3に対してフック2が2つの(又は2つ以上の)回転自由度を持つことができ、これにより吊り下げ具1の使い勝手が向上する。なお、フック2と取付部材3が配置される同一平面は、フック2の厚み方向及び取付部材3の厚み方向に直交する。即ち、その平面は、フック2の厚み方向及び取付部材3の厚み方向が平行になるようにそれらが配置された時、それらの厚み方向に直交する。厚み方向は、
図1に示した吊り下げ具1に関して前後方向に対応するものと理解できる。
【0024】
取付部材3の連結部32に回動部41を設け、フック2のフック基部21に受容部42を設けることができる。この場合、フック基部21と連結部32を次のように構成することができる。フック基部21(受容部42)は、お互いに対向して配置された第1及び第2対向部47,48を有する。第1及び第2対向部47,48の間の空間のある部分(第1部分)が、回動部41を受容する受容溝として機能し、別の部分(第2部分)が、軸部43の移動のための溝46として機能する。各対向部47,48に回動部41を部分的に受容するための貫通穴47j,48jを設けることができる。この構成によれば、フック2と取付部材3を同一の金型装置で同時に射出成形するための金型装置を適切に構築することができる。貫通穴47j,48jは、対向部47,48の厚み方向において対向部47,48を貫通する。対向部47,48の貫通穴47j,48jの代替として回動部41を部分的に受容するための凹部を設けることもできる。
【0025】
取付部材3に対してフック2が回動することにより吊り下げ具1全体としてのサイズが小さくなる(
図4参照)。取付部材3に対してフック2が自由に回動又は枢動することで吊り下げ具1の使い勝手が向上する。これに関して、吊り下げ具1が用いられていない場合、吊り下げ具1の全体としてのサイズを小さく維持する要求があり、また、フック2を操作するユーザーに対してフック2が所定姿勢になったことを知らせる要求がある。これらのいずれか又は両方の観点から、幾つかの場合、取付部材3に対するフック2の姿勢を簡易的又は一時的、即ち、その姿勢から離脱可能に保持する機構が採用される。具体的には、溝幅が減じられた幅狭部46jが溝46に設けられる(
図5参照)。これによりフック2と取付部材3の相対的な位置関係をある状態に維持することができ、又は、その位置になったことをユーザーに知らせることができる。
【0026】
図5では、幅狭部46jは、フック先端部22に隣接する位置に取付部材3を位置決めするために設けられている。軸部43が幅狭部46jを通過するためにはフック2をより意識的に操作する必要があり、これにより、簡易又は一時的なフック2の姿勢保持が可能となり、または、フック2が所望の姿勢になったことをユーザーに報知することができる。幅狭部46jは、対向部47,48の対向面に一対の突起87,88を対向配置することにより形成することができるが、一つの突起のみとしても構わない。各突起87,88は、対向部47,48の対向面の外周から内側(例えば、貫通穴47j,48j)に向けて延びる単一の波状突起であり得る。幅狭部46jにより溝46が第1溝領域46pと第2溝領域46qに区分される。軸部43が溝46の第1溝領域46pに受容された状態でその軸方向を回転中心として回動可能とし、吊り下げ具1の変形の自由度を更に高めても良い。この場合、第1溝領域46pを軸部43の断面積よりも(僅かに)大きくすると良い。
【0027】
溝46は、フック先端部22側で段階的又は連続的に幅狭になる一端46eを有することができ(
図5参照)、これにより軸部43から第1及び第2対向部47,48が受ける力によってフック2(例えば、対向部47,48)に亀裂が生じることが抑制される。軸部43は、断面正円形であるが、この断面形状に限られるべきではない。なお、溝46の一端46eには軸部43が進入できず、溝46の一端46eは、軸部43の最大径又は幅未満の幅を有する。
【0028】
図6及び
図7を参照して吊り下げ具1の非限定の使用例について述べる。吊り下げ対象物9は、例えば、携帯用又は旅行用の展開可能な小物入れであるが、これに限らず、鏡が貼り合わされた板材といった他の様々な物品(典型的には、1kg以下の重さの軽量物品)であっても良い。
図6に示すように吊り下げ対象物9に対して吊り下げ具1が取り付けられる場合、
図6の破線で示された棹8等にフック2を掛けることにより棹8に対して(吊り下げ具1を介して)吊り下げ対象物9を吊り下げることができる。吊り下げ対象物9を吊す必要がない時、吊り下げ具1は、
図7に示すように吊り下げ対象物9に収納することができる。
【0029】
本体部31がD字状の場合、本体部31の環内に取付帯92を挿通し、この両側の位置で取付帯92を吊り下げ具1の布材91に縫い付けることができる。このようにして吊り下げ対象物9に対して取付部材3の本体部31が強固に取り付けられる。本体部31は、吊り下げ対象物9の側縁93を跨ぐように倒伏した第1姿勢(
図6)と第1姿勢とは反対側に倒伏した第2姿勢(
図7)を取ることができる。本体部31の第1姿勢は、吊り下げ対象物9からフック2を展開させることに適する。本体部31の第2姿勢は、吊り下げ対象物9にフック2を収納することに適する。
【0030】
回動部41と受容部42の上述の係合により、取付部材3に対してフック2が同一平面において回動することができる(
図6参照)。本体部31を第2姿勢から第1姿勢とし、フック2を時計回りに回動させれば、吊り下げ対象物9から離れた位置にフック2を位置付けることができ、棹8に対してフック2を掛けることができる。なお、回動部41と受容部42の係合状態に依存するが、フック2は、
図6に示した状態で回転軸AX2を回転中心として取付部材3に対して回動することができる。
【0031】
本開示によれば、吊り下げ具1の非吊り下げ時の小型化が促進される。参考までに述べれば、フック2と取付部材3がチェーンによりお互いに連結する場合、取付部材3に対してフック2が自由に動くことができるが、吊り下げ対象物9の吊り下げのために吊り下げ具1が用いられない時においてもフック2が自由に動いてしまうという問題がある。本開示によれば、この場合と比較して、吊り下げ時のフック2の動きの自由度の確保と、非吊り下げ時の吊り下げ具1の小型化が上手く両立される。以下、残りの図面を参照してより具体的に説明する。
【0032】
図8は、フック2に関して複数の仮想線が設定されることを示し、
図9は、取付部材3に仮想線が設定されることを示す。
図8に示すように、フック基部21(例えば、フック2と取付部材3の配置面に直交する回転軸AX1(
図2も参照))からフック凹部23の底点26に向かう第1仮想線L1が、フック凹部23の深さ方向に延びる第1ベクトルV1と第1ベクトルV1の先端からフック凹部23の底点26まで第1ベクトルV1に直交して延びる第2ベクトルV2の合成により表されると仮定する。なお、明確さの観点から、フック凹部23の底点26は、フック開口25の開口幅に対応して設定される仮想線L4,L5を平行移動した仮想線L8とフック凹部23の底面の交差箇所に設定しているが、フック基部21から十分に離れたフック凹部23の底と言える他の位置であっても構わない。仮想線L4は、フック開口25の最大開口幅に対応する位置に設定される。仮想線L5は、フック開口25の最小開口幅に対応する位置に設定される。フック凹部23の深さ方向は、
図1及び
図8では斜め右方向であるが、他の方向も採用可能である。
【0033】
第1ベクトルV1に平行な第2及び第3仮想線L2,L3がフック基部21とフック先端部22を挟むように設定することができる。なお、第2仮想線L2がフック基部21に関して設定され、第3仮想線L3がフック先端部22に関して設定される。第2仮想線L2は、フック基部21の外側面に接触し、第3仮想線L3は、フック先端部22の外側面に接触する。第2及び第3仮想線L2,L3は、フック2の外側面2bの湾曲態様を定める仮想的な正円C1の接線であり得る。
【0034】
フック2は、第2仮想線L2に沿って平坦に延びる側面29を有することができる。また、フック凹部23は、仮想線L4,L5に平行な仮想線L5~L7により表されるようにフック開口25から離間するに応じて増加し、続いて減少する幅を有する。これは、フック2の内側面2aがJ字状に延びることの帰結でもある。取付部材3に関しては、
図9に示すように、棒部5の延在方向に対して仮想線L9を割り当てることができる。
【0035】
フック2及び取付部材3が同一平面に配置された状態で取付部材3がフック先端部22から離間した位置(
図10参照)から中間位置(
図11参照)を介して隣接した位置(
図12参照)まで回動するようにフック2及び取付部材3のいずれか一方が他方に対して回動可能である。この全過程において取付部材3が第3仮想線L3に交差しない。これにより吊り下げ具1の小型化が促進され、特には、吊り下げ対象物9の吊り下げのために用いられない時の吊り下げ具1の小型化が促進される。
【0036】
なお、離間位置(
図10)の時、取付部材3とフック先端部22の間でフック基部21が挟まれる。中間位置(
図11)の時、取付部材3とフック先端部22の間でフック基部21が挟まれない。隣接位置(
図12)の時、上述の離間及び中間位置と比較してフック先端部22により近い位置に取付部材3が配置される。
【0037】
取付部材3が第3仮想線L3に交差しないことは、
図7においてフック2を破線姿勢から実線姿勢まで回動する時にフック2が側縁93に交差しないことを意味する。側縁93にスライドファスナーのエレメント(例えば、コイル状エレメント、金属エレメント又は樹脂エレメント、セラミックスエレメント)が配置される場合、これとフック2との干渉が回避される。
【0038】
図12に示すように、フック開口25の最大開口幅に対応する位置に設定された第4仮想線L4に取付部材3が交差可能である。追加又は代替として、フック開口25の最小開口幅に対応する位置に設定された第5仮想線L5に取付部材3が交差可能である。すなわち、吊り下げ具1がこの状態になることができるようにフック基部21及び連結部32が構成される。これにより吊り下げ対象物9の吊り下げのために用いられない時の吊り下げ具1の小型化が促進される。
【0039】
なお、溝46の長さは、フック2及び取付部材3が同一平面に配置された状態で取付部材3がフック先端部22に向けて回動するようにフック2及び取付部材3のいずれか一方が他方に対して回動される時、第4又は第5仮想線L4,L5に取付部材3が交差可能なように設定されると説明することもできる。
【0040】
フック開口25の最大又は最小開口幅に対応する位置に設定された第4又は第5仮想線L4,L5に第1及び第2弧状部61,62の一方が交差可能であり得る。追加又は代替として、棒部5が第2及び第3仮想線L2,L3に平行に配向可能であり得る。すなわち、吊り下げ具1がこの状態になることができるようにフック基部21及び連結部32が構成され、又は、溝46の長さが設定される。これにより吊り下げ対象物9の吊り下げのために用いられない時の吊り下げ具1の小型化が促進される。
【0041】
図13からも分かるように、取付部材3が、第1弧状部61又は第2弧状部62からフック開口25(又はフック開口25を介してフック凹部23)に進入可能である。フック2と取付部材3が直交する別々の平面に配置されるとき(
図3参照)、取付部材3の全体が、フック開口25を通過してフック凹部23に進入可能であり得る。即ち、取付部材3の全体が仮想線L4よりもフック凹部23側に配置可能であり得る。
【0042】
図14に示す位置において、取付部材3が簡易的に位置決めされて、その位置に保持される。これは、上述のように軸部43が幅狭部46jを通過したことの帰結である(
図15も併せて参照)。
【0043】
図16に示すように、フック2の内側面2aの湾曲態様を定める仮想的な正円C2が設定されると仮定すると、仮想的な正円C2に取付部材3(例えば、第1弧状部61又は第2弧状部62)が交差可能である。すなわち、吊り下げ具1がこの状態になることができるようにフック基部21及び連結部32が構成され、又は、溝46の長さが設定される。
【0044】
念のため述べれば、
図7から明らかように、吊り下げ対象物9に対して取付部材3の本体部31が取り付けられた状態では、吊り下げ対象物9の直線的に延びる側縁93に対して第2及び第3仮想線L2,L3が平行に配向されるように取付部材3に対してフック2が回動可能である。なお、側縁93は、フック2により跨がれる位置にあり、オプションとして取付部材3をその上に位置付け可能である。
【0045】
図17及び
図18は、フック2の形状が正円ではなく楕円に準じたものである形態を示す。このような場合においても、上述の説明と矛盾しない範囲で上述したものと同様の効果が得られる。
【0046】
図17では、仮想的な正円C1の代替として仮想的な楕円C3が図示されている。フック基部21(回転軸AX1)からフック凹部23の底点26に向かう第1仮想線L1がフック凹部23の深さ方向に延びる第1ベクトルV1と第1ベクトルV1の先端からフック凹部23の底点26まで第1ベクトルV1に直交して延びる第2ベクトルV2の合成により表される。
【0047】
図18では、仮想的な正円C2の代替として仮想的な楕円C4が図示されており、取付部材3が仮想的な楕円C4に交差可能である。
図17及び
図18に示すように本開示の精神から逸脱することなくフック2の形状変更が可能である。取付部材3についても同様に他の形状に変更可能である。重複説明を回避するため
図17及び
図18を参照した更なる説明は省略する。
【0048】
図19では、取付部材3の軸部43の外周面には幅狭部46jの形成のためにフック基部21の受容部42に設けられた突起87,88に対して接触可能な突起49が設けられる。突起49は、軸部43の径方向外側に突出して設けられる。この結果として、軸部43には小径部71,72と大径部73が設けられる。なお、大径部73は、上述の突起49が軸部43の外周面に設けられることにより形成された部分であり、小径部71,72の間に設けられる。大径部73の直径は、例えば、小径部71,72の直径の1.05倍~1.4倍の範囲内である。なお、
図19では大径部73が径方向外側に突出した突起として設けられているが、これに限られず、
図19の一方の小径部71が大径部73と同じ径となるように形成してもよい。換言すれば、二つの小径部71,72の一方は省略可能である。
【0049】
図20に示すように溝46の幅狭部46jに軸部43が挿入される時、溝46に幅狭部46jを形成するべく対向部47,48に設けられた突起87,88に軸部43の突起49(及び大径部73)が接触する(なお、幅狭部46jのために2つの突起ではなく1つの突起のみを設けても良い)。軸部43の突起49(及び大径部73)が突起87,88を乗り越えるに際して取付部材3の回動に要する力が瞬間的に増加するため、取付部材3が所定の位置(例えば、上述の第1溝領域46p)に到達することをユーザーに知らせることができる。このように軸部43に突起49(及び大径部73)を設ける場合、軸部43の残部を縮径(幅狭化)してもユーザーへの報知機能を維持することができる。なお、第1溝領域46pを大径部73の断面積よりも(僅かに)大きくすると良い。
【0050】
各対向部47,48の対向面において貫通穴47j,48jの開口端を部分的又は全体的に囲むように壁部81を設け、この壁部81に対して上述の突起87,88を連結させても良い(
図21参照)。これにより他のスライドコアとの衝突により、その突起87,88の成形のためのスライドコアの部分が破損してしまうことが抑制される。なお、
図21では明確に示されていないが、対向部47の対向面上においても、突起87が貫通穴47jの開口端の周囲の壁部(不図示)に連結して設けられている。壁部81は上述の第1ベクトルV1とは反対側に開口が向いたC字又はU字状部分であるが、これに限られるべきではない。
【0051】
本開示には、次の発明も開示されている。
付記1.フック開口(25)を画定するようにお互いに離間してフック基部(21)とフック先端部(22)が配置され、前記フック基部(21)と前記フック先端部(22)の間にフック凹部(23)が形成されるようにフック延在部(24)が延びるフック(2)と、
吊り下げ対象物(9)が取り付けられるべき本体部(31)と、前記フック基部(21)との係合のために前記本体部(31)に連結した連結部(32)を有する取付部材(3)を備える吊り下げ具であって、
前記フック基部(21)及び前記連結部(32)の一方には回動部(41)が設けられ、前記フック基部(21)及び前記連結部(32)の他方には前記回動部(41)を受容する受容部(42)が設けられ、前記受容部(42)により前記回動部(41)が受容されて保持されることにより前記取付部材(3)及び前記フック(2)が相対的に回動可能に係合し、
前記フック基部(21)から前記フック凹部(23)の底(26)に向かう第1仮想線(L1)が前記フック凹部(23)の深さ方向に延びる第1ベクトル(V1)と前記第1ベクトル(V1)の先端から前記フック凹部(23)の底(26)まで前記第1ベクトル(V1)に直交して延びる第2ベクトル(V2)の合成により表され、前記第1ベクトル(V1)に平行な第2仮想線(L2)及び第3仮想線(L3)が前記フック基部(21)と前記フック先端部(22)を挟むように設定され、前記第2仮想線(L2)が前記フック基部(21)に関して設定され、前記第3仮想線(L3)が前記フック先端部(22)に関して設定されると仮定すると、
前記フック(2)及び前記取付部材(3)が同一平面に配置された状態で前記取付部材(3)が前記フック先端部(22)に隣接する位置まで回動するように前記フック(2)及び前記取付部材(3)のいずれか一方が他方に対して回動される全過程において前記取付部材(3)が前記第3仮想線(L3)に交差しない、吊り下げ具。
【0052】
付記2.前記フック基部(21)及び前記連結部(32)は、前記フック(2)及び前記取付部材(3)が前記同一平面に配置された状態で前記取付部材(3)が前記フック先端部(22)に隣接する位置まで回動するように前記フック(2)及び前記取付部材(3)のいずれか一方が他方に対して回動される時、
(i)前記フック開口(25)の最大開口幅に対応する位置に設定された第4仮想線(L4)に前記取付部材(3)が交差可能なように構成される、又は、
(ii)前記フック開口(25)の最小開口幅に対応する位置に設定された第5仮想線(L5)に前記取付部材(3)が交差可能なように構成されることを特徴とする付記1に記載の吊り下げ具。
【0053】
上述の開示を踏まえ、当業者は、各特徴又は各実施形態に対して様々な変更を加えることができる。吊り下げ対象物9に取り付けられる吊り下げ具1の個数は、一つに限られない。吊り下げ具1を吊り下げ対象物9に取付帯92等で取り付けることはオプションである。フック基部21に対して回動部41(必要に応じて、軸部43も)を設け、連結部32に対して受容部42を設けても良い。請求の範囲に盛り込まれた符号は、参考のためであり、請求の範囲を限定解釈する目的で参照されるべきものではない。
【符号の説明】
【0054】
1 :吊り下げ具
2 :フック
2a :内側面
2b :外側面
3 :取付部材
5 :棒部
9 :吊り下げ対象物
21 :フック基部
22 :フック先端部
23 :フック凹部
24 :フック延在部
25 :フック開口
31 :本体部
32 :連結部
38 :空間
41 :回動部
42 :受容部
43 :軸部
46 :溝
46e :一端
46j :幅狭部
47 :対向部
48 :対向部
51 :第1端部
52 :第2端部
61 :第1弧状部
62 :第2弧状部
93 :側縁