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  • 特開-腰椎穿刺針 図1
  • 特開-腰椎穿刺針 図2
  • 特開-腰椎穿刺針 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022190612
(43)【公開日】2022-12-26
(54)【発明の名称】腰椎穿刺針
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/06 20060101AFI20221219BHJP
【FI】
A61M25/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021099020
(22)【出願日】2021-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】591065402
【氏名又は名称】株式会社タスク
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【弁理士】
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(72)【発明者】
【氏名】川嶋 健
(72)【発明者】
【氏名】半田 幸弘
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA01
4C267AA23
4C267AA24
4C267BB02
(57)【要約】
【課題】 カテーテルを切断せずに体内に留置する腰椎穿刺針を提供する。
【解決手段】 長手方向に延在し屈曲部を有する外針が取り付けられた針ハブと、外針の遠位端の端面と遠位端の端面が概略一致するように針ハブから外針の中に挿入される内針と、カテーテルが挿入できる管腔を備える保護パイプと、を備え、内針が装着された外針が体内に挿入された後、外針から内針を抜去し、体内に残った外針に針ハブから外針の屈曲部に追従し、保護パイプを外針の遠位端より先に延在するように挿入し、保護パイプの近位端側から保護パイプの中にカテーテルを挿入し、カテーテルを体内に留置する、腰椎穿刺針を提供する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に延在し屈曲部を有する外針が取り付けられた針ハブと、
前記外針の遠位端の端面と遠位端の端面が概略一致するように前記針ハブから前記外針の中に挿入される内針と、
カテーテルが挿入できる管腔を備える保護パイプと、
を備え、
前記内針が装着された前記外針が体内に挿入された後、前記外針から前記内針を抜去し、
前記体内に残った前記外針に前記針ハブから前記外針の屈曲部に追従する前記保護パイプを前記外針の前記遠位端より先に延在するように挿入し、
前記保護パイプの近位端側から前記保護パイプの中に前記カテーテルを挿入し、前記カテーテルを前記体内に留置する、腰椎穿刺針。
【請求項2】
前記保護パイプの近位端において前記保護パイプを保持する保護パイプつまみを備え、
前記保護パイプが前記外針に挿入されたとき、前記保護パイプつまみは前記針ハブに係合して固定され、前記保護パイプが前記外針に対して固定される、請求項1に記載の腰椎穿刺針。
【請求項3】
前記外針及び前記内針は、金属材料で形成され、前記保護パイプは、ポリマ材料または金属材料で形成されている、請求項1または2に記載の腰椎穿刺針。
【請求項4】
前記カテーテルを前記体内に留置後、前記保護パイプが前記外針の前記遠位端より先に延在したまま前記保護パイプと前記外針を前記体内から抜去する、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の腰椎穿刺針。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、腰椎に穿刺し、脳内の髄液や血液のドレナージに使用する腰椎穿刺針に関する。
【背景技術】
【0002】
腰椎に穿刺し、脳内の髄液や血液のドレナージする、すなわちドレーンやカテーテルなどを用いて体外に誘導し、排出するための腰椎穿刺針は、腰椎に穿刺し、首のあたりまでカテーテルを挿入して用いる。腰椎穿刺針は、図3(a)に示すように、カテーテル215の挿入方向を定めるため外針203の先端が曲がっている。
【0003】
通常、カテーテル215は、挿入時または抜去時に外針203の針先端に挿入するほど強く接触しないが、図3(b)、図3(c)に示すように、カテーテル215の挿入操作中、留置中あるいは抜去時に針先端でカテーテルを損傷し切断する虞があった。図3(b)は、カテーテル215が外針の刃先221に当たる状態を示し、図3(c)は、カテーテル215が外針のあご部223に当たる状態を示す。
【0004】
そこで、特許文献1は、刃先がくの字形に曲がる医療用麻酔針の針管において、刃先を前方に、環状の刃先面を上に向け、針軸を水平にしたとき、開口を囲む環状楕円形刃先面の後方の半径方向幅が前方の半径方向幅の半分以下となるように、刃先面と内周面が交差する開口の後方内周縁部分を切除して後面部を設け、その後面部と内周面が交差する下端縁が針心を含む垂直断面において鈍角を形成するようにすることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開98/40116号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、外針の刃が金属材料で尖っており、カテーテルがポリマ材料である以上、硬度に差が生じ刃先でカテーテルを切断する虞を払拭できなかった。そこで本発明はさらに外針の刃先でカテーテルを切断する虞がない腰椎穿刺針を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の腰椎穿刺針は、
長手方向に延在し屈曲部を有する外針が取り付けられた針ハブと、
前記外針の遠位端の端面と遠位端の端面が概略一致するように前記針ハブから前記外針の中に挿入される内針と、
カテーテルが挿入できる管腔を備える保護パイプと、
を備え、
前記内針が装着された前記外針が体内に挿入された後、前記外針から前記内針を抜去し、
前記体内に残った前記外針に前記針ハブから前記外針の屈曲部に追従する前記保護パイプを前記外針の前記遠位端より先に延在するように挿入し、
前記保護パイプの近位端側から前記保護パイプの中に前記カテーテルを挿入し、前記カテーテルを前記体内に留置する、腰椎穿刺針である。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、外針の刃先でカテーテルを損傷または切断する虞がない腰椎穿刺針が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の形態に係る(a)体内に外針を挿入するときの腰椎穿刺針と(b)外針と(c)内針を示す。
図2】本発明の実施の形態に係る(a)外針に保護パイプとカテーテルを通した状態と(b)(a)の針先の拡大図を示す。
図3】(a)従来の腰椎穿刺針と(b)カテーテルが外針の刃先に当たる状態と、(c)カテーテルが外針のあご部に当たる状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための様々な実施の形態を、図面を参照して説明する。なお以下に説明する腰椎穿刺針は、本開示の技術思想を具体化するためのものであって、特定的な記載がない限り、本開示を以下のものに限定しない。要点の説明または理解の容易性を考慮して、異なる図面で便宜上符号を同一にして示す。各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため、誇張して示している場合もある。
【0011】
(腰椎穿刺針の説明)
図1は、本発明の実施の形態に係る(a)体内に外針を挿入するときの腰椎穿刺針と(b)外針と(c)内針を示す。図2は、本発明の実施の形態に係る(a)外針に保護パイプとカテーテルを通した状態と(b)(a)の針先の拡大図を示す。図1及び2を参照して、本発明の腰椎穿刺針の実施形態を説明する。
【0012】
まず、腰椎穿刺針の体内に挿入される側を遠位端、医療従事者が腰椎穿刺針を操作する側を近位端として、以後説明をする。図1(a)は、外針103に内針109を装着し、体内に外針を挿入するときの腰椎穿刺針101の図である。これから内針109を取り外すと、図1(b)に示すように、外針103は、近位端から遠位端に長手方向に延在し、カテーテルの方向を決めるための屈曲部107を備える。外針103は、針ハブ105に取り付けられる。
【0013】
図1(c)に内針109が示される。内針109は、内針つまみ111に取り付けられる。図1(a)に示されるように、体内に腰椎穿刺針を挿入するとき、内針109は、外針103の内部に挿入され、内針109の内針つまみ111は、外針103の針ハブ105に固定される。体内に外針を挿入するように内針109が外針103に装着されたとき、外針103の遠位端の端面と内針109の遠位端の端面が概略一致する。
【0014】
本発明の実施の形態の腰椎穿刺針は、これにカテーテル115を挿入できる管腔を備える保護パイプ113を備える。図1(a)のように、内針109が装着された外針103が体内に挿入された後、外針103から内針109が抜去され、内針109の代わりに保護パイプ113が外針103に挿入される。保護パイプ113は、体内に残った外針103に針ハブ105から挿入され、外針103の屈曲部107に追従する。図2(a)に示すように、保護パイプ113は、外針103の遠位端より先に延在するまで挿入される。
【0015】
保護パイプ113は、近位端において保護パイプつまみ117に保持される。保護パイプ113が外針103に挿入されて、保護パイプつまみ117は、針ハブ105に係合して固定され、保護パイプ113が、外針103に対して固定される。
【0016】
図2(a)、(b)に示すように保護パイプ113の近位端側から保護パイプ113の中にカテーテル115を挿入し、カテーテル115を体内に留置する。図2(b)に示すように、保護パイプ113によって外針103の先端にカテーテル115が接触しないため、外針103の刃先でカテーテル115を損傷または切断する虞をなくすことができる。
【0017】
保護パイプ113は、カテーテル115に比べ外針103からの突出量が小さい。そのため、外針103の刃先やあごに引っかかりにくくなり、保護パイプ113が外針103によって切断される虞がない。
【0018】
外針103及び内針109は、体に穿刺するために金属材料で形成されることが好ましい。一方、保護パイプ113は、外針103の屈曲部107に追従するように柔らかい材料であるポリマ材料または薄い金属材料で形成されることが好ましい。カテーテル115は、外針103の屈曲部107に追従するようにポリマ材料で作られることが好ましい。保護パイプ113は、カテーテル115より硬いポリマ材料で形成されることで、外針103によって切断される虞が少なくなる。また、保護パイプ113は、屈曲部107で折れないくらいの弾力性を有することが好ましい。保護パイプ113は、外針103の外径を大きくしないようにできるだけ薄く、少なくともカテーテル115よりも薄く形成されることが好ましい。また、保護パイプ113は、カテーテル115よりも硬い金属材料で形成されることで、外針103によって切断されることがなく、外針103よりも柔らかくて薄い金属材料で形成されることで屈曲部107に追従する。
【0019】
カテーテル115を体内に留置後、保護パイプ113が外針103の遠位端より先に延在したまま保護パイプ113と外針103を体内から抜去することで、カテーテル115を損傷または切断せずに、カテーテル115を体内に留置することができる。
【0020】
本発明は、外針の刃先でカテーテルを損傷または切断する虞がない腰椎穿刺針が提供される。
【0021】
上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではない。当業者にとって変形および変更が適宜可能である。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲内と均等の範囲内での実施形態からの変更が含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明により提供された腰椎穿刺針を用いて、カテーテルを切断せずに体内に留置することができる。
【符号の説明】
【0023】
101 体内に外針を挿入するときの腰椎穿刺針
103 外針
105 針ハブ
107 屈曲部
109 内針
111 内針つまみ
113 保護パイプ
115 カテーテル
117 保護パイプつまみ
203 外針
215 カテーテル
221 外針の刃先
223 外針のあご部
図1
図2
図3