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特開2022-190641半導体や電子部品の通電検査用ワイヤー積層コンタクトプローブ
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  • 特開-半導体や電子部品の通電検査用ワイヤー積層コンタクトプローブ 図1
  • 特開-半導体や電子部品の通電検査用ワイヤー積層コンタクトプローブ 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022190641
(43)【公開日】2022-12-26
(54)【発明の名称】半導体や電子部品の通電検査用ワイヤー積層コンタクトプローブ
(51)【国際特許分類】
   G01R 1/067 20060101AFI20221219BHJP
   H01L 21/66 20060101ALI20221219BHJP
【FI】
G01R1/067 C
H01L21/66 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021121027
(22)【出願日】2021-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】514244734
【氏名又は名称】インクス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】藤本 英樹
【テーマコード(参考)】
2G011
4M106
【Fターム(参考)】
2G011AA02
2G011AA15
2G011AB01
2G011AB04
2G011AB06
2G011AB07
2G011AC14
2G011AE11
2G011AF07
4M106AA02
4M106BA01
4M106BA14
4M106DD03
(57)【要約】
【課題】半導体などの電子部品における導通状態検査や動作特性検査を行うのに適しており確実性および安定性を向上させる。
【解決手段】電子部品9の被測定面9aを検査するためのコンタクトプローブ1であって、前記コンタクトプローブ1はワイヤー線材をU字形状に形成した複数のプローブ2と、このプローブ2の左右下端が挿入される一対の嵌合孔4を有してなる基台3とを備え、前記基台3に立設する前記プローブ2の湾曲する上方が弾性変形可能な検査部2aとなり、この検査部2aが弾性変形して生じる付勢力により前記電子回路基板9の被測定面9aに圧接される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品の被測定面を検査するためのコンタクトプローブであって、前記コンタクトプローブはワイヤー線材をU字形状に形成した複数のプローブと、このプローブの左右下端が挿入される一対の嵌合孔を有してなる基台とを備え、前記基台に立設する前記プローブの湾曲する上方が弾性変形可能な検査部となり、この検査部が弾性変形して生じる付勢力により前記電子回路基板の被測定面に圧接されることを特徴とする電子部品の通電検査用ワイヤー積層コンタクトプローブ装置。
【請求項2】
前記基台上に前後方向に配列される前記嵌合孔のうち前方の嵌合孔に隣接する後方の嵌合孔を左右方向にオフセットさせることを特徴とする請求項1に記載の電子部品の通電検査用ワイヤー積層コンタクトプローブ。
【請求項3】
前記基台上に長方形状の開口を有するホルダーを設置し、前記開口に前記プローブの間に介在する絶縁性シートに嵌装し、この絶縁性シートの上縁を前記プローブの前記検査部より下方に位置させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電子部品の通電検査用ワイヤー積層コンタクトプローブ。
【請求項4】
前記絶縁性シートのそれぞれに挿通孔を穿設し、この挿通孔に前記ホルダーにて支持するガイドロッドを貫通させることを特徴とする請求項1乃至請求項3に記載の電子部品の通電検査用ワイヤー積層コンタクトプローブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体などの電子部品などへ大電流を要する印加や電気的特性検査に用いる通電検査用ワイヤー積層コンタクトプローブプローブに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、特に半導体などの電子部品半導体において、大電流を要する印加や電気的特性検査を行う際、電子部品の被測定面にコンタクトプローブを接触させて電流・電圧の印加や電気的特性検査を行っている。
【0003】
一般に、コンタクトプローブとして、スプリング型コンタクトプローブもしくは、積層型コンタクトプローブが用いられる。スプリング型コンタクトプローブは、ばねで上下に伸縮可能な金属ピンを電子回路基板の被測定面に接触させて、パワー半導体の電気的接続を行うコンタクトプローブである。
【0004】
また、積層型コンタクトプローブは、厚み方向に積層した金属薄板を電子部品の被測定面に押し当てることにより、電気的接続を行うプローブである(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3797399号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の従来のスプリング型コンタクトプローブでは、半導体などの電子部品の被測定面との接点数が少ないため、通電電流に制限があり、大電流を要する電気的特性試験に適さない問題があった。また、コンタクトプローブの形状による自己のインダクタンス成分により、本来必要とする試験条件を満足できないことがあった。
【0007】
そこで、図9に示すような超微小なピッチ間隔の半導体などの電子部品の被測定面の検査などに対応する特許文献1の積層プローブが提案さている。この積層プローブは、一枚毎のL字形プローブ10の円滑な作動を確保する必要があり、このL字形プローブ10の形状が複雑化し、しかも、前記L字形プローブ10の弾性ニードル10aが片持ち構造なのでワイピング状態の接触になり、検査対象の被測定物に大電流を要する電気的特性試験に適さない問題があった。
【0008】
この発明は、以上の課題を解決するためになされたものであり、簡単な構造で、半導体などの電子部品に対し、プローブの多数の接触により接触面積が増し、大電流の通電可能なコンタクトプローブの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決し、かつ目的を達成するために、この発明は、以下のように構成した。
【0010】
請求項1に記載の発明は、電子部品の被測定面を検査するためのコンタクトプローブであって、前記コンタクトプローブはワイヤー線材をU字形状に形成した複数のプローブと、このプローブの左右下端が挿入される一対の嵌合孔を有してなる基台とを備え、前記基台に立設する前記プローブの湾曲する上方が弾性変形可能な検査部となり、この検査部が弾性変形して生じる付勢力により前記電子部品の前記被測定面に圧接されることを特徴とする電子部品の通電検査用ワイヤー積層コンタクトプローブである。
【0011】
請求項2に記載の発明は、前記基台上に前後方向に配列される前記嵌合孔のうち前方の嵌合孔に隣接する後方の嵌合孔を左右方向にオフセットさせることを特徴とする請求項1に記載の電子部品の通電検査用ワイヤー積層コンタクトプローブである。
【0012】
請求項3に記載の発明は、前記基台上に長方形状の開口を有するホルダーを設置し、前記開口に前記プローブの間に介在する絶縁性シートに嵌装し、この絶縁性シートの上縁を前記プローブの前記検査部より下方に位置させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電子部品の通電検査用ワイヤー積層コンタクトプローブである。
【0013】
請求項4に記載の発明は、前記絶縁性シートのそれぞれに挿通孔を穿設し、この挿通孔に前記ホルダーにて支持するガイドロッドを挿通することを特徴とする請求項1乃至請求項3に記載の電子部品の通電検査用ワイヤー積層コンタクトプローブである。
【発明の効果】
【0014】
前記構成により、この発明は、以下のような効果を有する。
【0015】
請求項1に記載の発明では、電子部品の被測定面を検査するためのコンタクトプローブであって、前記コンタクトプローブはワイヤー線材をU字形状に形成した複数のプローブと、このプローブの左右下端が挿入される一対の嵌合孔を有してなる基台とを備え、前記基台に立設する前記プローブの湾曲する上方が弾性変形可能な検査部となり、この検査部が弾性変形して生じる付勢力により前記電子部品の前記被測定面に圧接されるので、前記電子部品の前記被測定面の凹凸に対して確実に密接することになり、電流・電圧の印加が確実にでき、前記電子部品の前記被測定面の電気的特性検査の精度が向上する。また、前記被測定面に対して前記検査部の接離が円滑に追従することになり、特に半導体などの電子部品の被測に対し狭ピッチのプローブを多数に接触し接触面積が増えて、大電流の印加や電気特性検査ができるとともに、導通状態検査や動作特性検査を安定した測定ができる。
【0016】
請求項2に記載の発明では、前記基台上に前後方向に配列される前記嵌合孔のうち前方の嵌合孔に隣接する後方の嵌合孔を左右方向にオフセットさせるので、複数の前記プローブ間の狭ピッチ化を実現するとともに、前記基台の強度が低下することがなく、多数の前記プローブを高精度で組み立が可能となり、前記電子部品の前記被測定面に対し、一度に印加や電気特性検査を行うことができる。
【0017】
請求項3に記載の発明では、前記基台上に長方形状の開口を有するホルダーを設置し、前記開口に前記プローブの間に介在する絶縁性シートに嵌装し、この絶縁性シートの上縁より上方に前記プローブの前記検査部を位置させるので、前記パワー半導体の前記被測定面と前記プローブとの接触が確実になるとともに、前記絶縁性シートの組み付けが容易にできる。
【0018】
請求項4に記載の発明では、前記絶縁性シートのそれぞれに挿通孔を穿設し、この挿通孔に前記ホルダーにて支持されるガイドロッドを挿通するので、前記絶縁性シートの位置ずれを防止でき、絶縁性能を低下させることがない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】この発明におけるコンタクトプローブを示す斜視図。
図2図1のA-A線に沿う断面図。
図3】この発明におけるコンタクトプローブのプローブを示す斜視図。
図4】この発明におけるコンタクトプローブの基台を示す斜視図。
図5】この発明のコンタクトプローブの基台の一部の拡大する平面図。
図6】この発明におけるコンタクトプローブのホルダーを示す斜視図。
図7】この発明におけるコンタクトプローブの絶縁性シートを示す斜視図。
図8】この発明のコンタクトプローブの動作を説明する断面図。
図9】従来のプローブの一部を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、この発明における電子部品の通電検査用ワイヤー積層コンタクトプローブコンタクトプローブの実施の形態について説明する。この発明の実施の形態は、発明の最も好ましい形態を示すものであり、この発明にこれは限定されない。
【0021】
この発明の実施の態様を図1および図7に基づいて説明する。符号1は電子部品の電気特性を検査するための通電検査用のワイヤー積層コンタクトプローブで、このワイヤー積層コンタクトプローブ1は、ワイヤー線材をU字形状に形成した複数のプローブ2よりなり、このプローブ2は10~100程度の複数の本数とし、ワイヤー線の線径を8/100μにする。なお、前記プローブ2の材質はベリリウム銅、黄銅などの導電性材料よりなる。
【0022】
前記プローブ2の左右下端2b、2cは、基台3に穿設する一対の嵌合孔4に挿入し、左右下端2b、2cのうち一方の下端2bは前記基台3の下面より突出し、この下端2bに対して後方のプローブ2の反対の下端2cが前記基台3の下面より突出し、これらが外部リード線(図示せず)に接続される。
【0023】
前記嵌合孔4は前記基台3上の前後方向に前方嵌合孔4aと後方嵌合孔4bとのピッチ間隔Pを微小に配列するとともに、前記前方嵌合孔4aに対して前記後方嵌合孔4bを左右方向に間隔をおいてオフセットさせる。
【0024】
前記基台3に立設する前記プローブ2の湾曲する上方は弾性変形可能な検査部2aとなり、この検査部2aが弾性変形して生じる付勢力により前記パワー半導体9の被測定面9aに圧接される。
【0025】
前記基台3上に長方形状の開口5aを有するホルダー5を設置し、前記開口5aに前記プローブの間に介在する長方形状の絶縁性シート6が嵌装する。なお、前記絶縁性シート6はポリイミド、フッ素樹脂などの材質よりなる。
【0026】
前記ホルダー5には前記開口5aに連通する支持孔5bが穿設され、この支持孔5bに前記絶縁性シート6のそれぞれに設けた挿通孔6bを貫通するガイドロッド7の両端が支持される。なお、符号8は前記ホルダーを前記基台3に固定する締結ネジである。
【0027】
前記ホルダー5の前記開口5a内の前記絶縁性シート6の上縁6aは、前記プローブ2の前記検査部2aより下方に位置させる。前記挿通孔6bを貫通する前記ガイドロッド7によって前記絶縁性シート6の位置ずれを規制する。
【0028】
上記の構成の前記ワイヤー積層コンタクトプローブ1を用いて前記電子部品9の前記被測定面9aに対する印加や電気的特性検査をする手順を以下に説明する。
【0029】
まず、図8の(a)に示すような前記ワイヤー積層コンタクトプローブ1の前記プローブ2の初期位置から前記電子部品9の前記被測定面9aに向かい垂直方向に移動させると、前記プローブ2の前記前記検査部2aを前記被測定面9aに接触する。
【0030】
そして、図8の(b)に示すように前記プローブ2の前記検査部2aの湾曲する上方が変形し、この変形による付勢力により前記プローブ2を前記電子部品9の被測定面9aに圧接させる。
【0031】
次に、前記電子部品9の前記被測定面9aへの電流・電圧の印加や電気的特性検査が終了し、前記プローブ2を移動させると、前記検査部2aの湾曲する上方の変形は元の形状に戻り、図8の8(a)に示すように前記プローブ2が初期位置となる。
【0032】
以上の実施の態様における前記ワイヤー積層コンタクトプローブ1は、ワイヤー線材をU字形状に形成した複数のプローブ2と、このプローブ2の左右下端2bが挿入される一対の嵌合孔4を有してなる前記基台3とを備え、前記基台3に立設する前記プローブ2の湾曲する上方が弾性変形可能な前記検査部2aとなり、この検査部2aが弾性変形して生じる付勢力により前記電子部品9の前記被測定面9aに圧接されるので、前記被測定面9aの凹凸に対して確実に密接することになり、電流・電圧の印加が確実にでき、前記電子部品9の前記被測定面9aの電気的特性検査の精度が向上する。
【0033】
しかも、前記被測定面9aに対して前記検査部2aの接離が円滑に追従することになり、前記電子部品9に対し、一度に印加や電気特性検査ができるとともに、導通状態検査や動作特性検査を安定した接触抵抗で測定をできる。この種従来のプローブコンタクトには全く見られない極めて画期的且つ絶大な効果を奏する。
【0034】
さらに、前記基台3上に前後方向に配列される前記嵌合孔4のうち前方の嵌合孔4aに隣接する後方の嵌合孔4bを左右方向にオフセットさせるので、複数の前記プローブ2間の狭ピッチ化を実現するとともに、前記基台3の強度が低下することがなく、多数の前記プローブ2を高精度で組み立が可能となる。
【0035】
また、前記基台3上に長方形状の前記開口5aを有するホルダー5を設置し、前記開口5aに前記プローブ2の間に介在する前記絶縁性シート6に嵌装し、この絶縁性シート6の前記上縁6aを前記プローブ2の前記検査部2aより下方に位置させることにより、隣接する前記プローブ2同志が接触したり、前記パワー半導体9の前記被測定面9aとの接触にバラツキが生じたりしてしまう恐れがなくなる。
【0036】
そして、前記絶縁性シート6のそれぞれに前記挿通孔6bを穿設し、この挿通孔6bに前記ホルダー5にて支持する前記ガイドロッド7を貫通させるので、前記絶縁性シート6の位置ずれが規制でき、前記絶縁シート6の組み付けが容易になり、多数の前記プローブ2の高精度な組み立が可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
この発明における電子部品の通電検査用ワイヤー積層コンタクトプローブは、半導体などの電子部品の被測定面における電流・電圧の印加または、導通状態などの電気特性検査を行うのに適している。
【符号の説明】
【0038】
1 ワイヤー積層コンタクトプローブ
2 プローブ
2a 検査部
2b、2c 下端
3 基台
4 嵌合孔
4a 前方嵌合孔
4b 後方嵌合孔
5 ホルダー
5a 開口
5b 支持孔
6 絶縁性シート
6a 上縁
6b 貫通孔
7 ガイドロッド
8 締結ネジ
9 電子部品
9a 被測定面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9