(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022190652
(43)【公開日】2022-12-26
(54)【発明の名称】空気調和機
(51)【国際特許分類】
F24F 1/0284 20190101AFI20221219BHJP
F24F 13/22 20060101ALI20221219BHJP
F24F 1/037 20190101ALI20221219BHJP
F24F 1/039 20190101ALI20221219BHJP
【FI】
F24F1/0284 311
F24F1/0007 361C
F24F1/037
F24F1/039
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021188638
(22)【出願日】2021-11-19
(31)【優先権主張番号】P 2021098741
(32)【優先日】2021-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】桂 成龍
(72)【発明者】
【氏名】石川 淳
【テーマコード(参考)】
3L049
3L050
【Fターム(参考)】
3L049BB10
3L049BB11
3L050AA08
3L050BB06
3L050BD05
(57)【要約】
【課題】排出する熱の温度上昇を抑制できる空気調和機を提供する。
【解決手段】空気調和機100は、筐体10を備える。筐体10は、空気が流入する流入口12と空気が流出する流出口13とを有する。筐体10は、流入口12及び流出口13にそれぞれ連通する第1風路15と、流入口12及び流出口13にそれぞれ連通する第2風路25とを有する。第1風路15と第2風路25とは異なる風路である。空気調和機100は、第1風路15及び第2風路25にそれぞれ空気を流入させるファン16,26と、第2風路25に流入した空気を加熱する冷凍サイクルの凝縮器と、第2風路25から流出する空気を気化熱により冷却する気化部70とをさらに備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気が流入する流入口と前記空気が流出する流出口とを有する筐体を備え、
前記筐体は、
前記流入口及び前記流出口にそれぞれ連通する第1風路と、
前記流入口及び前記流出口にそれぞれ連通する、前記第1風路とは異なる第2風路とを有し、
前記第1風路及び前記第2風路に前記空気を流入させる吸引機と、
前記第2風路に流入した前記空気を加熱する冷凍サイクルの凝縮器と、
前記第2風路から流出する前記空気を気化熱により冷却する気化部と
をさらに備える、空気調和機。
【請求項2】
前記気化部は、前記第2風路において、前記凝縮器よりも前記空気の流れる方向における下流側に配置された、請求項1に記載の空気調和機。
【請求項3】
前記気化部は、
前記第2風路から流出する前記空気に晒される加湿フィルターと、
前記加湿フィルターに水を供給する水供給部と、
を有する、請求項1または請求項2に記載の空気調和機。
【請求項4】
前記第2風路は、互いに分岐するとともに前記流出口にいずれも連通する第3風路及び第4風路を有し、
前記気化部は、前記第3風路に配置された、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の空気調和機。
【請求項5】
前記筐体は、前記第3風路及び前記第4風路を通過する前記空気の割合を調整する流量調整機構を有する、請求項4に記載の空気調和機。
【請求項6】
前記気化部は、前記第2風路において、前記凝縮器よりも前記空気の流れる方向における上流側に配置された、請求項1に記載の空気調和機。
【請求項7】
前記第1風路に流入した空気を冷却する蒸発器と、
前記蒸発器によって生成した水を貯めるトレイと
をさらに備え、
前記気化部は、前記第2風路に流入する前記空気に晒される加湿フィルター を有し、
前記加湿フィルターの一部は、前記トレイ内に配置される、請求項6に記載の空気調和機。
【請求項8】
前記凝縮器の一部は、前記トレイ内に配置される、請求項7に記載の空気調和機。
【請求項9】
前記トレイは、前記トレイ内の前記水を排出可能な排出機構を有する、請求項7または請求項8に記載の空気調和機。
【請求項10】
前記気化部は、
前記第2風路から流出する前記空気に晒される加湿フィルターと、
前記加湿フィルターに水を供給する水供給部と
を有する、請求項6に記載の空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のスポットクーラーは、冷凍サイクルの蒸発器及び凝縮器と、吸入空気通路と、冷風ダクトと、排出空気通路とを備える。蒸発器は、吸入空気通路から吸入した空気を冷却する。蒸発器により冷却された空気である冷風は、冷風ダクトからスポットクーラーの外部に供給される。凝縮器は、吸入空気通路から吸入した空気に熱を移動させる。凝縮器により熱が移動された空気は、排出空気通路からスポットクーラーの外部に排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のスポットクーラーでは、加熱された空気を屋外に排出する必要があるため、排気ダクトを屋外に開口する必要がある。すなわち、スポットクーラーを室内に設置することが困難である。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、排出する熱の温度上昇を抑制できる空気調和機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一局面によれば、空気調和機は、空気が流入する流入口と前記空気が流出する流出口とを有する筐体を備える。前記筐体は、前記流入口及び前記流出口にそれぞれ連通する第1風路と、前記流入口及び前記流出口にそれぞれ連通する、前記第1風路とは異なる第2風路とを有する。空気調和機は、前記第1風路及び前記第2風路に前記空気を流入させる吸引機と、前記第2風路に流入した前記空気を加熱する冷凍サイクルの凝縮器と、前記第2風路から流出する前記空気を気化熱により冷却する気化部とをさらに備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明の空気調和機によれば、排出する熱の温度上昇を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態1に係る空気調和機の後上方から視た斜視図である。
【
図2】
図1に示す空気調和機を中央縦断面から切り開いた展開図である。
【
図3】
図1に示す空気調和機のIII-III断面を示す図である。
【
図4】
図1に示す空気調和機のIV-IV断面を示す図である。
【
図5】
図2に示す空気調和機の左側で空気の流れを示す左側断面図である。
【
図6】
図2に示す空気調和機の右側で空気の流れを示す右側断面図である。
【
図7】
図5とは異なる空気の流れを示す左側断面図である。
【
図8】本発明の実施形態2に係る空気調和機を中央縦断面から切り開いた展開図である。
【
図9】空気調和機の横断面を上方から視た図である。
【
図10】空気調和機の前後方向の中央における縦断面を前方から視た図である。
【
図11】空気調和機が備える気化部の原理を示す概略側面図であり、気化部が加湿しない状態を示す。
【
図12】
図11の気化部が加湿している状態を示す概略側面図である。
【
図13】本発明の実施形態3に係る空気調和機の前後方向の中央における縦断面を前方から視た図である。
【
図14】本発明の実施形態4に係る空気調和機の前後方向の中央における縦断面を前方から視た図である。
【
図15】本発明の実施形態5に係る空気調和機の前後方向の中央における縦断面を前方から視た図である。
【
図16】実施形態5に係る空気調和機の前後方向の中央における縦断面を前方から視た図である。
【
図17】本発明の実施形態6に係る空気調和機の前後方向の中央における縦断面を前方から視た図である。
【
図18】本発明の実施形態7に係る空気調和機の前後方向の中央における縦断面を前方から視た図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態に係る空気調和機ついて、図面を参照しながら説明する。空気調和機は、一例として、スポットクーラー及び空気清浄機などである。なお、図中、同一または相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
[実施形態1]
【0010】
図1から
図7を参照して、本発明に係る空気調和機100の実施形態1を説明する。
図1から
図7において、空気調和機100の右側方向をX軸方向、空気調和機100の後側方向をY軸方向、空気調和機100の上側方向をZ軸方向とする。
図1は、実施形態1に係る空気調和機100の後上方から視た斜視図である。
図2は、
図1に示す空気調和機100を中央縦断面Lから切り開いた展開図である。
図3は、
図1に示す空気調和機100のIII-III断面を示す図である。
図4は、
図1に示す空気調和機100のIV-IV断面を示す図である。
図5は、
図2に示す空気調和機100の左側で空気A,W,Mの流れを示す左側断面図である。
図6は、
図2に示す空気調和機100の右側で空気A,Cの流れを示す右側断面図である。
図7は、
図5とは異なる空気A,W,Mの流れを示す左側断面図である。
【0011】
図1に示すように、空気調和機100は、筐体10を備える。筐体10は、空気が流入する流入口12と、空気が流出する流出口13とを有する。
図1では、紙面左上側が筐体10の前側、紙面右下側が筐体10の後側、紙面左下側が筐体10の右側、紙面右上側が筐体10の左側である。筐体10は、左右方向の中央における断面L、つまり、中央縦断面Lに沿った壁11を有する。壁11は、流入口12から流出口13までの風路を、2つに区分けする。
図2及び
図5~
図7は、壁11の図示を省略する。筐体10の中央縦断面Lを、前から左右に90°切り開いた展開図が
図2である。実施形態1において、筐体10は、2つの流出口13を有する。以下、2つの流出口13のうち、筐体10の前側に位置する流出口13を流出口13fと記載し、筐体10の後側に位置する流出口13を流出口13rと記載する場合がある。
【0012】
図2に示すように、筐体10は、2つに区分けされた風路の一方である第1風路15と、2つに区分けされた風路の他方である第2風路25とを有する。すなわち、第1風路15と第2風路25とは、異なる風路である。第1風路15は、流入口12及び流出口13f,流出口13rにそれぞれ連通する。第2風路25は、流入口12及び流出口13f,流出口13rにそれぞれ連通する。
図2では、紙面左右端に近いほど前方であり、紙面左右方向における中央に近いほど後方である。
【0013】
流入口12には、フィルターが設けられてもよい。
図2に示すフィルター51,フィルター52は、空気清浄用である。後方から、フィルター51、フィルター52の順に配置されている。フィルター51は、例えば、HEPAフィルター51である。また、フィルター52は、例えば、脱臭フィルター52である。
【0014】
空気調和機100は、第1風路15及び第2風路25に空気を流入させるファン16,ファン26を備える。ファン16,ファン26は、「吸引機」の一例に相当する。第1風路15に空気を流入させるファン16と、第2風路25に空気を流入させるファン26とは、別個のファンでもよく、1つのファンでもよい。
図2に示す例において、ファン16及びファン26は別個である。ファン16及び26が別個であれば、空気を流入及び流出させる機能が高まる。ファン16及び26が1つのファン、つまり両吸式ファン(不図示)であれば、小型の筐体10に適する。
【0015】
図3に示すように、ファン16及びファン26は、第1風路15及び第2風路25にそれぞれ空気Aを流入させる。空気調和機100は、冷凍サイクルの蒸発器61と、冷凍サイクルの凝縮器62とを備える。冷凍サイクルの蒸発器61は、エバポレーターとも言われ、第1風路15に流入した空気Aを冷却する。以下では、蒸発器61によって冷却された空気Cを、冷風Cと言う場合がある。冷凍サイクルの凝縮器62は、コンデンサとも言われ、第2風路25に流入した空気Aを加熱する。以下では、凝縮器62によって加熱された空気Wを、温風Wと言う場合がある。
【0016】
図4に示すように、凝縮器62は、空気を加熱して温風Wにする。空気調和機100は、第2風路25から流出する温風Wを気化熱により冷却する気化部70を備える。気化部70は、気化部70の水分を温風Wに蒸発させることによって、温風を冷却及び加湿する。蒸発器61と凝縮器62とは、冷凍サイクルを構成するので、冷媒が移動できるように接続されている(不図示)。空気調和機100は、冷凍サイクルに必要な構成として、コンプレッサー63と、減圧部(不図示)と、除湿タンク64とを備える。冷媒は、蒸発器61から凝縮器62に移動する際に、コンプレッサー63で圧送されることにより、必然的に高温になる。また、冷媒は、凝縮器62から蒸発器61に移動する際に、減圧部(不図示)で減圧されることにより、必然的に低温になる。蒸発器61で空気が冷却されることにより、空気Cつまり冷風Cから水蒸気が水滴(不図示)として現れる。除湿タンク64は、現れた水滴を受ける。
【0017】
図4及び
図5に示すように、ファン26によって第2風路25に連通する流入口12から流入した空気Aは、凝縮器62で加熱されて温風Wとなる。温風Wは、気化部70により、冷却されるとともに、加湿される。このため、第2風路25に連通する流出口13rから流出する空気Mは、温風Wよりも、低温及び高湿度となる。
【0018】
図4及び
図6に示すように、ファン16で第1風路15に連通する流入口12から流入した空気Aは、蒸発器61で冷却されて冷風Cとなり、第1風路15に連通する流出口13f,流出口13rから流出する。蒸発器61による空気Aの冷却は必須ではないので、第1風路15に連通する流出口13f,流出口13rから流出する空気は、冷風Cではなく、単なる送風となることもある。冷風C及び送風のいずれであっても、涼感が得られる空気である。
【0019】
図4から
図6を参照して説明したように、流出口13f,流出口13rを通じて、第1風路15から冷風Cまたは送風が、空気調和機100の設置された室内に供給される。流出口13rを通じて、第2風路25から温風Wよりも低温の空気Mが、空気調和機100の設置された室内に供給される。したがって、排出する熱の温度上昇を抑制できる。また、ユーザーは涼感を得ることができる。また、第2風路25から供給される空気Mは、気化部70で加湿されたことから、室内を加湿することができる。さらに、空気調和機100からの熱を屋外に排出しなくても、空気調和機100が設置された室内の温度上昇を抑えることができる。
【0020】
次に、
図4及び
図7を参照して、空気調和機100を詳しく説明する。
【0021】
図4に示すように、気化部70は、第2風路25における温風Wの流れる方向において、凝縮器62よりも下流側に配置されている。したがって、気化部70に達した温風Wは、気化部70が効率的に機能する温度に加熱されている。ゆえに、温風Wは、気化部70によって、効率的に冷却される。
【0022】
図7に示すように、気化部70は、水供給部71と、加湿フィルター74とを有する。水供給部71は、加湿タンク72と、加湿トレイ73とを有する。加湿タンク72は、加湿トレイ73に水を供給する。加湿トレイ73は、加湿タンク72から供給される水を貯める。加湿フィルター74は、加湿タンク72に貯められている水に浸されるとともに、第2風路25から流出しようとする温風Wに晒される。ここで、加湿フィルター74は、例えばミストのような水を噴霧する構成よりも小さい可能性がある。したがって、気化部70が水供給部71と加湿フィルター74とを有することにより、気化部70を小型化することが可能となる。ひいては、空気調和機100を全体として小型化することができる。なお、加湿フィルター74は、交換式であることが好ましい。
【0023】
第2風路25は、互いに分岐する第3風路35及び第4風路45を有する。第3風路35及び第4風路45は、いずれも流出口13f,流出口13rに連通する。
図7に示す例だと、第3風路35は流出口13rに連通し、第4風路45は流出口13fに連通する。勿論、第3風路35及び第4風路45は、流出口13f,流出口13rの同一部分に連通してもよい。
【0024】
気化部70は、第3風路35に配置されている。したがって、第2風路25から流出口13r,流出口13fを通じて供給される空気M,空気Wは、第3風路35からの気化部70で冷却及び加湿された空気Mと、第4風路45からの気化部70で冷却及び加湿されていない空気Wとの混合となる。ゆえに、第2風路25における第3風路35及び第4風路45から流出口13r,流出口13fを通じて供給される空気M,空気Wにより、ユーザーが得られる涼感及び室内の加湿を和らげることができる。
【0025】
筐体10は、第3風路35及び第4風路45を通過する温風Wの割合を調整するダンパー27を備える。ダンパー27は、「流量調整機構」の一例に相当する。ダンパー27は、羽根板28と、回動軸29と、制御装置(不図示)とを有する。羽根板28は、回動軸29を中心に回動することで、第3風路35の開口面積と、第4風路45の開口面積との割合を調整する。制御装置は、羽根板28の回動を制御して、第3風路35の開口面積と第4風路45の開口面積との割合を調整する。したがって、ダンパー27により、第3風路35に流入する温風Wの割合と、第4風路45に流入する温風Wの割合とが調整される。言い換えれば、ダンパー27により、気化部70で冷却及び加湿された空気Mと、気化部70で冷却及び加湿されていない温風Wとの割合が調整される。ゆえに、ダンパー27により、得られる涼感及び室内の加湿を調整することができる。
【0026】
なお、
図7に示すように、筐体10は、第4風路45に連通する流出口13fに、ルーバー46を有してもよい。ルーバー46により、第4風路45から流出口13fを通じて供給される温風Wが、筐体10の上面から供給される温風Wと、筐体10の前面から供給される温風Wとに区分けされる。また、ルーバー46の角度により、筐体10の上面から供給される温風Wと、筐体10の前面から供給される温風Wとの割合が調整される。
[実施形態2]
【0027】
次に、
図8~
図12を参照して、本発明に係る空気調和機100の実施形態2を説明する。
図8は、空気調和機100を中央縦断面Lから切り開いた展開図である。
図9は、空気調和機100の横断面を上方から視た図である。
図10は、空気調和機100の前後方向の中央における縦断面を前方から視た図である。
図11は、空気調和機100が備える気化部70の原理を示す概略側面図であり、気化部70が加湿しない状態を示す。
図12は、
図11の気化部70が加湿している状態を示す概略側面図である。
【0028】
図8は、実施形態1での
図2に相当する図である。
図8に示すように、実施形態2の第2風路25は、実施形態1の第2風路25のように分岐しておらず、流出口13rに連通する。一方で、実施形態2の第1風路15は、流出口13fに連通する。
【0029】
実施形態2の気化部70は、実施形態1の気化部70のように流出口13rの近傍(第3風路35)に配置されていない。
図9及び
図10に示すように、実施形態2の気化部70が有する加湿フィルター74は、第2風路25において、凝縮器62とファン26との間に配置されている。また、実施形態2の気化部70が有する加湿タンク72は、筐体10の内部における蒸発器61の右側に配置されている。実施形態2の加湿フィルター74及び加湿タンク72は、筐体10の内部における空間を有効に利用しているので、大型にすることが可能である。大型の加湿フィルター74は、温風Wをさらに十分に冷却及び加湿する。大型の加湿タンク72は、小型のものよりも水を補充する頻度が少なくて済む。すなわち、加湿タンク72に水を補充するユーザーの手間を削減できる。
【0030】
加湿フィルター74は、大型であることが好ましいが、回転式であることも好ましい。回転式の加湿フィルター74を有する気化部70を、
図11及び
図12を参照して説明する。
【0031】
図11に示すように、回転式の加湿フィルター74を有する気化部70は、回転式の加湿フィルター74の他に、加湿タンク72と、加湿トレイ73とを有する。回転式の加湿フィルター74は、含水部75と、非含水部76とを有する。含水部75は、水に浸された場合、水を含む部分である。非含水部76は、水に浸された場合でも、水を含まない部分であり、例えば樹脂製である。含水部75は、回転軸77方向に視て、優弧及び弦からなる形状である。非含水部76は、回転軸77方向に視て、含水部75を囲う円の形状である。含水部75の形状における弦が回転軸77よりも下方で略水平になる場合、弦は加湿トレイ73の水面よりも上方に位置する。すなわち、
図11は、非含水部76のみが加湿トレイ73の水に浸される状態、つまり、回転式フィルターが水を含まない状態を示す。
図11に示す回転式の加湿フィルター74が回転軸77を中心に回転した場合、例えば、
図12に示す場合、含水部75の形状における優弧は、加湿トレイ73の水面よりも下方に位置する。
図12は、含水部75が加湿トレイ73の水に浸された状態、つまり、回転式の加湿フィルター74が水を含む状態を示す。回転式の加湿フィルター74を使用しない場合、加湿フィルター74を
図11に示す状態にすることで、空気調和機100の加湿の機能を停止する。一方で、回転式の加湿フィルター74を使用する場合、加湿フィルター74を
図12に示す状態、または、加湿フィルター74を
図11及び
図12が交互になる状態(回転式の加湿フィルター74が回転軸77を中心に回転し続ける状態)にすることで、空気調和機100の加湿の機能を発揮する。なお、
図11及び
図12では、含水部75を優弧及び弦からなる形状として示したが、回転式の加湿フィルター74が加湿の機能の停止及び発揮を切り替えられるのであれば、含水部75は、劣弧及び弦からなる形状でもよく、他の形状でもよい。回転式の加湿フィルター74が加湿の機能の停止及び発揮を切り替えられることにより、加湿が不要な時に、加湿タンク72に水が使用されない。すなわち、加湿タンク72の水の減りが抑制されるので、加湿タンク72に水を補充するユーザーの手間を削減できる。
【0032】
このように、実施形態2の空気調和機100は、気化部70が大型の加湿フィルター74を有するので、温風Wを気化部70によって効率的に冷却する。すなわち、排出する熱の温度上昇を抑制できる。また、ユーザーは、涼感を得ることができる。
【0033】
[実施形態3]
図13を参照して、本発明の実施形態3の空気調和機100を説明する。
図13は、実施形態3に係る空気調和機100の前後方向の中央における縦断面を前方から視た図である。実施形態1に係る空気調和機100では、気化部70は、第2風路25における空気Aの流れる方向において、凝縮器62よりも下流側に配置されているのに対して、実施形態3に係る空気調和機100では、気化部170は、第2風路25における空気Aの流れる方向において、凝縮器62よりも上流側に配置されている。
【0034】
図13に示すように、空気調和機100は、第2風路25に流入する空気Aを気化熱により冷却する気化部170と、トレイ173とを備える。
【0035】
トレイ173は、蒸発器61によって生成した水を貯める。詳細には、蒸発器61で空気が冷却されることにより、空気Cつまり冷風Cから水蒸気が水滴(不図示)として現れる。トレイ173は、水滴を受ける。
【0036】
気化部170は、加湿フィルター74を有する。加湿フィルター74の一部は、トレイ173内に配置される。加湿フィルター74の一部は、トレイ173に貯められている水に浸される。気化部170は、気化部170の水分を空気Mに蒸発させることによって、空気Aを冷却及び加湿する。
【0037】
実施形態3の気化部170が有する加湿フィルター74は、第2風路25において、凝縮器62よりも上流側に配置されている。
【0038】
その結果、ファン26によって第2風路25に連通する流入口12から流入した空気Aは、気化部170により、冷却されるとともに、加湿される。空気Aは、凝縮器62で加熱される。なお、第2風路25から気化部で冷却及び加湿されていない構成の温風よりも低温の空気Mが、空気調和機100の設置された室内に供給される。
【0039】
また、ファン16で第1風路15に連通する流入口12から流入した空気は、蒸発器61で冷却されて冷風Cとなり、第1風路15に連通する流出口13f,流出口13rから流出する。
【0040】
本発明の実施形態3の空気調和機100によれば、流出口13f,流出口13rを通じて、第1風路15から冷風Cが、空気調和機100の設置された室内に供給される。流出口13rを通じて、第2風路25から温風よりも低温の空気Mが、空気調和機100の設置された室内に供給される。したがって、排出する熱の温度上昇を抑制できる。また、ユーザーは涼感を得ることができる。さらに、空気調和機100からの熱を屋外に排出しなくても、空気調和機100が設置された室内の温度上昇を抑えることができる。
【0041】
また、トレイ173は、蒸発器61によって生成した水を貯める。その結果、蒸発器61によって生成した水を利用できるため、加湿タンク72を備える必要がなくなる。
【0042】
[実施形態4]
図14を参照して、本発明の実施形態4の空気調和機100を説明する。
図14は、実施形態4に係る空気調和機100の前後方向の中央における縦断面を前方から視た図である。実施形態3に係る空気調和機100では、凝縮器62は、トレイ173外に配置されたのに対して、実施形態4に係る空気調和機100では、凝縮器62の一部は、トレイ173内に配置される。
【0043】
図14に示すように、凝縮器62の一部は、トレイ173内に配置される。その結果、凝縮器62は、トレイ173内の水によって冷却される。
【0044】
[実施形態5]
図15及び
図16を参照して、本発明の実施形態5の空気調和機100を説明する。
図15及び
図16は、実施形態5に係る空気調和機100の前後方向の中央における縦断面を前方から視た図である。詳しくは、
図15は、気化部170が加湿している状態を示す図である。一方、
図16は、気化部170が加湿しない状態を示す図である。実施形態3に係る空気調和機100では、トレイ173は、水を貯め続けるのに対して、実施形態5に係る空気調和機100では、トレイ273は、トレイ273内の水を排出可能な排出機構274を有する。
【0045】
図15及び
図16に示すように、空気調和機100は、トレイ273を備える。トレイ273は、トレイ273内の水を排出可能な排出機構274を有する。排出機構274は、弁274aと、制御装置(不図示)と、排出タンク275とを有する。排出機構274は、弁274aを閉めることで、トレイ273内に水を貯める。一方、排出機構274は、弁274aを開けることで、トレイ273内の水を排出タンク275に排出する。
【0046】
実施形態5に係る空気調和機100は、乾燥機として使用されるのであれば、排出機構274は、弁274aを開ける。その結果、空気Mは、気化部170による冷却及び加湿がされず、乾燥した状態で第2風路25から供給される。
【0047】
[実施形態6]
図17を参照して、本発明の実施形態6の空気調和機100を説明する。
図17は、実施形態6に係る空気調和機100の前後方向の中央における縦断面を前方から視た図である。実施形態3に係る空気調和機100では、加湿タンクを備えないのに対して、実施形態6に係る空気調和機100では、加湿タンク376を備える。
【0048】
図17に示すように、空気調和機100は、加湿タンク376を備える。加湿タンク376は、トレイ173に水を供給する。その結果、蒸発器61によって生成した水が貯まる前に、トレイ173内に水を貯めることができる。よって、空気調和機100の運転を開始すると直ぐに、空気Aを冷却することができる。
【0049】
[実施形態7]
図18を参照して、本発明の実施形態7の空気調和機100を説明する。
図18は、実施形態7に係る空気調和機100の前後方向の中央における縦断面を前方から視た図である。実施形態6に係る空気調和機100では、1個のトレイ173を備えるのに対して、実施形態7に係る空気調和機100では、トレイ473とトレイ474とを備える。
【0050】
図18に示すように、空気調和機100は、トレイ473とトレイ474とを備える。
【0051】
トレイ474は、蒸発器61によって生成した水を貯める。詳細には、蒸発器61で空気が冷却されることにより、空気Cつまり冷風Cから水蒸気が水滴(不図示)として現れる。トレイ474は、水滴を受ける。
【0052】
加湿タンク376は、トレイ473に水を供給する。
【0053】
気化部170は、加湿フィルター74を有する。加湿フィルター74の一部は、トレイ473内に配置される。加湿フィルター74の一部は、トレイ473に貯められている水に浸される。気化部170は、気化部170の水分を空気Aに蒸発させることによって、空気Aを冷却及び加湿する。
【0054】
図18に示すように、空気調和機100は、加湿タンク376を備える。加湿タンク376は、トレイ473に水を供給する。その結果、トレイ473内に水を貯めることができる。よって、空気調和機100の運転を開始すると直ぐに、空気Aを冷却することができる。
【0055】
以上、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明した。但し、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚み、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる。また、上記の実施形態で示す各構成要素の速度、材質、形状、寸法等は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の構成から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0056】
実施形態1で、第2風路25の互いに分岐する第3風路35及び第4風路45について説明したが、第3風路35及び第4風路45に相当する第1風路15の構成について説明しなかった。勿論、
図6に示すように、第1風路15も、互いに分岐した2つの風路83,風路84を有してもよい。第1風路15の互いに分岐した2つの風路83,風路84は、それぞれ流出口13r,流出口13fに連通する。また、第1風路15の互いに分岐した2つの風路83,風路84のうち、後方側の風路83に、気化部70を配置してもよい。また、第1風路15にも、第2風路25に配置されたダンパー27に相当するダンパー87を配置してもよい。第1風路15のダンパー87により、第1風路15の互いに分岐した2つの風路83,風路84にそれぞれ流入する空気Cの割合が調整される。第2風路25に配置されたダンパー27と、第1風路15に配置されたダンパー87とは、同じ回動をしてもよく、それぞれが独立して回動してもよい。
【0057】
第1風路15では、蒸発器61で空気Aが冷却されることにより、冷風Cから水蒸気が水滴として現れて除湿タンク64で受けられるとして説明した。すなわち、第1風路15では、蒸発器61で空気Aが冷却されることにより、冷風Cが除湿されることになる。第1風路15で除湿された分だけ、第2風路25で気化部70により温風Wを加湿すれば、室内の湿度が一定に維持される。
【0058】
実施形態1の空気調和機100は、乾燥機として使用されるのであれば、
図7に示すダンパー27の羽根板28を、第3風路35を遮断する姿勢まで回動させてもよい(不図示)。第3風路35が遮断されると、温風Wは、第3風路35に配置された気化部70による冷却及び加湿がされず、乾燥した状態で第4風路45から流出口13fを通じて供給される。
【0059】
実施形態では、1つの流入口12が、第1風路15と第2風路25とに連通するとして説明した。具体的には、1つの流入口12の右半分が第1風路15に連通し、1つの流入口12の左半分が第2風路25に連通する。これにより、流入口12に配置する空気清浄用のフィルター51,フィルター52の各々を、1つ配置すればよい。勿論、空気調和機100が2つの流入口を有しており、一方の流入口が第1風路15に連通し、他方の流入口が第2風路25に連通してもよい。この場合、空気調和機100には、例えば、2つのフィルター51及び2つのフィルター52が配置される。
【0060】
実施形態3から実施形態7に係る空気調和機100では、気化部170は、加湿フィルター74を有したが、これに限らない。気化部170は、回転式のフィルターを有してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、空気調和機を提供するものであり、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0062】
10 筐体
11 壁
12 流入口
13 流出口
13f 流出口
13r 流出口
15 第1風路
16 ファン(第1風路に配置)
25 第2風路
26 ファン(第2風路に配置)
27 ダンパー
28 羽根板
29 回動軸
35 第3風路
45 第4風路
46 ルーバー
51 フィルター
52 フィルター
61 蒸発器
62 凝縮器
63 コンプレッサー
64 除湿タンク
70 気化部
71 水供給部
72 加湿タンク
73 加湿トレイ
74 加湿フィルター
75 含水部
76 非含水部
77 回転軸
100 空気調和機