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特開2022-190657表示媒体、処理装置、プログラムおよびプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022190657
(43)【公開日】2022-12-26
(54)【発明の名称】表示媒体、処理装置、プログラムおよびプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体
(51)【国際特許分類】
   G09F 19/14 20060101AFI20221219BHJP
【FI】
G09F19/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022022954
(22)【出願日】2022-02-17
(62)【分割の表示】P 2021098966の分割
【原出願日】2021-06-14
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 2020年9月12日に、ウェブサイト(https://ipsj.ixsq.nii.ac.jp/ej/?action=pages_view_main&active_action=repository_view_main_item_detail&item_id=206873&item_no=1&page_id=13&block_id=8)において、櫻井快勢が発明した「視点依存で色を変える3Dプリント表面構造の提案」を公開した。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 2020年9月19日に、第179回コンピュータグラフィックスとビジュアル情報学研究発表会(オンライン開催)において、櫻井快勢が発明した「視点依存で色を変える3Dプリント表面構造の提案」を公開した。
(71)【出願人】
【識別番号】598138327
【氏名又は名称】株式会社ドワンゴ
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 快勢
(57)【要約】
【課題】広色域かつ高輝度な複数のコンテンツを表示する。
【解決手段】 表示媒体1は、立体形状を有する基材2と、基材2の表面に、基材の表面
上の空間を複数の方向毎に放射状に区分する面を有するパーティションPを備える。複数
の方向のうち所定の方向から表示媒体1を観察した際に露出する部分に、所定の方向に対
応するコンテンツの色が与えられ、コンテンツは、表示媒体1が設置されない状態で所定
の方向上の視点から前記表示媒体が設置される位置を観察した視界のうち、表示媒体1が
設置される部分の画像データである。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の方向に、それぞれ異なるコンテンツを表示する表示媒体であって、
立体形状を有する基材と、
前記基材の表面に、前記基材の表面上の空間を複数の方向毎に放射状に区分する面を有
するパーティションを備え、
前記複数の方向のうち所定の方向から前記表示媒体を観察した際に露出する部分に、前
記所定の方向に対応するコンテンツの色が与えられ、
前記コンテンツは、前記表示媒体が設置されない状態で前記所定の方向上の視点から前
記表示媒体が設置される位置を観察した視界のうち、前記表示媒体が設置される部分の画
像データである
表示媒体。
【請求項2】
前記パーティションは、前記複数の方向のうち、当該パーティションが視認される方向
毎に、前記基材の表面上の空間を放射状に区分する面を有する
請求項1に記載の表示媒体。
【請求項3】
前記パーティションは、前記立体形状の表面に設けられるセルに形成され、
前記パーティションの骨格は、前記方向と前記セル上の点を結ぶ線上に仮想的に設けら
れる点を母点としたボロノイ図におけるボロノイ面の一部を含む
請求項1に記載の表示媒体。
【請求項4】
請求項1に記載の表示媒体に与えられる色を算出する処理装置であって、
前記表示媒体の表面は、複数のサブセルに仮想的に区分され、
前記複数の方向のそれぞれから視認されるサブセルを特定し、
前記表示媒体が設置されない状態で、前記複数の方向上の視点のそれぞれから前記表示
媒体が設置される位置を観察した視界のうち、前記表示媒体が設置される部分の各画像デ
ータを、取得する取得部と、
前記複数の方向のそれぞれから視認されるサブセルのそれぞれの色で形成される色が、
前記複数の方向の各方向に対応する前記画像データの部分の色に近くなるように、前記サ
ブセルに与える色を決定する色決定部
を備える処理装置。
【請求項5】
請求項1に記載の表示媒体に与えられる色を算出するプログラムであって、
前記表示媒体の表面は、複数のサブセルに仮想的に区分され、
前記複数の方向のそれぞれから視認されるサブセルを特定し、
コンピュータを、
前記表示媒体が設置されない状態で、前記複数の方向上の視点のそれぞれから前記表示
媒体が設置される位置を観察した視界のうち、前記表示媒体が設置される部分の各画像デ
ータを、取得する取得部と、
前記複数の方向のそれぞれから視認されるサブセルのそれぞれの色で形成される色が、
前記複数の方向の各方向に対応する前記画像データの部分の色に近くなるように、前記サ
ブセルに与える色を決定する色決定部
として機能させるプログラム。
【請求項6】
請求項5に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示媒体、処理装置、プログラムおよびプログラムを記録したコンピュータ
読み取り可能な記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
方向に依存して互いに異なる画像を表示する表示媒体は、その観察者の目を引き、注目
されやすいので、広告用のポスター、カード等に使われる。このような表示媒体を制作す
るために、一般的に、特殊な装置と機材を要する。
【0003】
表示媒体で効率的な情報表示を実現するために、複数の情報を表示可能な表示媒体があ
る(特許文献1参照)。この特許文献1に記載の発明によれば、色が塗布される平面部材
を複数のサブセルに区分し、平面部材に、サブセルの色を視認させる突状部材が形成され
る。突状部材が、平面部材上で指定方向に平行に、かつ、平面部材に垂直に形成される。
指定方向から表示媒体を観察すると、指定方向に平行なサブセルに塗布された色が、指定
方向から観察される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6374625号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の表示媒体において、突状部材の色は単色であるため色域が狭い。ま
た平面部材上に設けられた一部の色でコンテンツを表示するので、表示媒体が表示する各
コンテンツの輝度が、低くなる場合がある。また特許文献1は、表示媒体が平面上に形成
されることを開示するに止まり、立体形状を有することについて何ら開示がない。
【0006】
従って本発明の目的は、広色域かつ高輝度な複数のコンテンツを表示する可能な立体形
状を有する表示媒体に関する技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の第1の特徴は、立体形状を有する基材と、前記基
材の表面に、前記基材の表面上の空間を複数の方向毎に放射状に区分する面を有するパー
ティションを備え、前記複数の方向のうち所定の方向から前記表示媒体を観察した際に露
出する部分に、前記所定の方向に対応するコンテンツの色が与えられ、前記コンテンツは
、前記表示媒体が設置されない状態で前記所定の方向上の視点から前記表示媒体が設置さ
れる位置を観察した視界のうち、前記表示媒体が設置される部分の画像データである表示
媒体に関する。
【0008】
前記パーティションは、前記複数の方向のうち、当該パーティションが視認される方向
毎に、前記基材の表面上の空間を放射状に区分する面を有しても良い。
【0009】
前記パーティションは、前記立体形状の表面に設けられるセルに形成され、前記パーテ
ィションの骨格は、前記方向と前記セル上の点を結ぶ線上に仮想的に設けられる点を母点
としたボロノイ図におけるボロノイ面の一部を含んでも良い。
【0010】
本発明の第2の特徴は、上記第1の特徴に記載の表示媒体に与えられる色を算出する処
理装置であって、前記表示媒体の表面は、複数のサブセルに仮想的に区分され、前記複数
の方向のそれぞれから視認されるサブセルを特定し、前記表示媒体が設置されない状態で
、前記複数の方向上の視点のそれぞれから前記表示媒体が設置される位置を観察した視界
のうち、前記表示媒体が設置される部分の各画像データを、取得する取得部と、前記複数
の方向のそれぞれから視認されるサブセルのそれぞれの色で形成される色が、前記複数の
方向の各方向に対応する前記画像データの部分の色に近くなるように、前記サブセルに与
える色を決定する色決定部を備える処理装置に関する。
【0011】
本発明の第3の特徴は、上記第1の特徴に記載の表示媒体に与えられる色を算出するプ
ログラムであって、前記表示媒体の表面は、複数のサブセルに仮想的に区分され、前記複
数の方向のそれぞれから視認されるサブセルを特定し、コンピュータを、前記表示媒体が
設置されない状態で、前記複数の方向上の視点のそれぞれから前記表示媒体が設置される
位置を観察した視界のうち、前記表示媒体が設置される部分の各画像データを、取得する
取得部と、前記複数の方向のそれぞれから視認されるサブセルのそれぞれの色で形成され
る色が、前記複数の方向の各方向に対応するコンテンツの部分の色に近くなるように、前
記サブセルに与える色を決定する色決定部として機能させるプログラムに関する。
【0012】
本発明の第4の特徴は、立体形状を有する基材の表面に、複数の部品を設置する位置を
決定する処理装置であって、前記基材の形状を特定する基材形状データと、前記複数の部
品をそれぞれ包含する複数のパックの形状と、前記パック内の、前記基材の表面に設置さ
れる基準位置を特定するパックデータと、を記憶する記憶装置と、前記基材形状データと
前記パックデータを参照して、一つのパックの基準位置を前記基材の表面に配置し、既に
配置された一つのパックを基準パックとして、前記基準パックに接する新たなパックを配
置できなくなるまで、前記基準パックに接するように、前記基材の表面にパックを配置す
る処理を実行し、前記処理を、既に配置されたパックに接する新たなパックを配置できな
くなるまで繰り返すパッキング部と、前記パッキング部で配置された前記パックの位置に
従って、前記パックの基準位置に前記部品の表面が位置するように、前記部品を設置する
位置を算出する位置算出部を備える処理装置に関する。
【0013】
本発明の第5の特徴は、立体形状を有する基材の表面に、複数の部品を設置する位置を
決定するプログラムであって、コンピュータを、前記基材の形状を特定する基材形状デー
タと、前記複数の部品をそれぞれ包含する複数のパックの形状と、前記パック内の、前記
基材の表面に設置される基準位置を特定するパックデータと、を記憶する記憶部と、前記
基材形状データと前記パックデータを参照して、一つのパックの基準位置を前記基材の表
面に配置し、既に配置された一つのパックを基準パックとして、前記基準パックに接する
新たなパックを配置できなくなるまで、前記基準パックに接するように、前記基材の表面
にパックを配置する処理を実行し、前記処理を、既に配置されたパックに接する新たなパ
ックを配置できなくなるまで繰り返すパッキング部と、前記パッキング部で配置された前
記パックの位置に従って、前記パックの基準位置に前記部品の表面が位置するように、前
記部品を設置する位置を算出する位置算出部として機能させるプログラムに関する。
【0014】
本発明の第6の特徴は、基材に複数の部品を追加したモデルの形状を特定する処理装置
であって、前記基材の形状を特定する形状データ、各部品の形状を特定する部品形状デー
タおよびと前記部品を追加する前記基材における位置を特定する部品位置データを記憶す
る記憶装置と、前記部品を、前記部品位置データで特定された位置に追加する場合、他の
部品の形状と交差する部品を特定する交差特定部と、特定された部品を追加する位置を、
他の部品の形状と交差しない位置に変更する変更部を備える処理装置に関する。
【0015】
変更部は、前記特定された部品を追加する位置がない場合、前記特定された部品を削除
しても良い。
【0016】
前記基材の形状と、前記変更部による変更後の各部品を追加する位置および各部品の形
状の和集合演算により、前記モデルの形状データを生成する生成部
をさらに備えても良い。
【0017】
本発明の第7の特徴は、基材に複数の部品を追加したモデルの形状を特定するプログラ
ムであって、コンピュータを、前記基材の形状を特定する形状データ、各部品の形状を特
定する部品形状データおよびと前記部品を追加する前記基材における位置を特定する部品
位置データを記憶する記憶部と、前記部品を、前記部品位置データで特定された位置に追
加する場合、他の部品の形状と交差する部品を特定する交差特定部と、特定された部品を
追加する位置を、他の部品の形状と交差しない位置に変更する変更部として機能させるプ
ログラムに関する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、広色域かつ高輝度な複数のコンテンツを表示する可能な立体形状を有
する表示媒体に関する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施の形態に係る表示媒体に用いられるセルとパーティションの上面図である。
図2】本発明の実施の形態に係るパーティションの斜視図である。
図3】本発明の実施の形態に係る表示媒体の基材に設けられるセルを説明する図である。
図4】本発明の実施の形態に係る表示媒体の一例を説明する図である。
図5】本発明の実施の形態に係るパーティションを説明する図である。
図6】本発明の実施の形態に係る表示媒体が各方向に表示する目標画像の一例を説明する図である。
図7】本発明の実施の形態に係る表示媒体が各方向に表示する出力画像の一例を説明する図である。
図8】本発明の実施の形態に係る処理装置のハードウエア構成と機能ブロックを説明する図である。
図9】本発明の実施の形態に係る処理装置の形状特定部の機能ブロックを説明する図である。
図10】本発明の実施の形態に係るパッキング処理を説明する図である。
図11】本発明の実施の形態に係るパッキング処理を説明するフローチャートである。
図12】本発明の実施の形態において立体形状を有する基材と、その基材にパッキング処理を施した状態を説明する図である。
図13】本発明の実施の形態に係るパーティション形状特定処理を説明するフローチャートである。
図14】本発明の実施の形態に係る形状特定処理を説明するフローチャートである。
図15】本発明の実施の形態に係る色決定処理を説明するフローチャートである。
図16】適用例に係る入力画素値データを生成する処理装置の機能ブロックを説明する図である。
図17】表示媒体を設置する位置に設置された、360度撮影可能な全天球カメラが取得した極座標画像データの一例である。
図18】指定方向毎の画像データの一例である。
図19】表示媒体が設置される位置を特定する、指定方向毎の画像データの一例である。
図20】表示媒体の表面のうち、直接光が照らされる明部と、それ以外の暗部を説明する図である。
図21】適用例に係る取得部による取得処理を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、
同一または類似の部分には同一または類似の符号を付している。
【0021】
(表示媒体)
本発明の実施の形態に係る表示媒体1は、任意の立体形状を有し、複数の方向に、それ
ぞれ異なるコンテンツを表示する。表示媒体1は、立体形状を有する基材2と、基材2の
表面に、基材2の表面上の空間を複数の方向毎に放射状に区分する面を有するパーティシ
ョンPを備える。
【0022】
表示媒体1の基材2は、立体形状を有する任意の形状であればよい。基材2は、例えば
図12(a)に示すようなウサギの形状を有するが、これに限らない。本発明の実施の形
態において、表示媒体1を台等に設置できるように、底面にパーティションPを設けない
場合を説明するが、表示媒体1を視認した際に露出する部分にパーティションが設けられ
れば良い。
【0023】
表示媒体1は、複数の方向に、それぞれ異なるコンテンツを表示可能に形成される。表
示媒体1は、所定の各方向から観察することで、方向毎に異なるコンテンツを表示するこ
とが可能ある。
【0024】
本発明の実施の形態において、表示媒体1がコンテンツを表示する方向を、指定方向と
称する。また、指定方向上の視点から表示媒体1を視認する方向を視線方向と称する。な
お、本発明の実施の形態においてコンテンツを表示することが可能な指定方向は、表示媒
体1に対して所定の角度の範囲内であっても良い。
【0025】
表示媒体1が各指定方向に表示するコンテンツは、任意の静止画である。表示媒体1は
、指定方向毎に任意のコンテンツを表示することができる。表示媒体1が表示する複数の
コンテンツ間に、構図が類似する、被写体または被写体の一部が共通するなどの制限はな
い。表示媒体1は、指定方向毎に異なる意味内容を示す任意のコンテンツを表示すること
ができる。これにより表示媒体1を視認したユーザは、指定方向毎に表示される各コンテ
ンツから、異なる情報を理解することができるので、表示媒体1は、多くの情報を伝える
ことを可能とする。
【0026】
本発明の実施の形態において、指定方向に表示される各コンテンツは、任意の静止画で
あり、それぞれ被写体が異なる。本発明の実施の形態において被写体は、コンテンツで表
現される有体物、文字、記号、数字等であって、物を表現する画素の塊である。被写体は
、背景に対して鮮明に表示されても良い。本発明の実施の形態において指定方向毎に表示
する各コンテンツは、複数の被写体が重なり方を変えたり変形したりするものではなく、
色、形等が全く異なる被写体を含むことを可能とする。本発明の実施の形態において、一
方の指定方向で表示されるコンテンツは、無地の背景に文字を含み、他の指定方向で表現
されるコンテンツは、市街地の背景に人の写像を含むことが可能である。
【0027】
なお、いずれの指定方向からも離れた方向から表示媒体1を視認したユーザは、表示媒
体1が意図するコンテンツとは異なるコンテンツを視認することになる。表示媒体1が意
図するコンテンツとは異なるコンテンツは、コンテンツの表示内容からユーザに所定の情
報を理解させることを意図しないコンテンツであって、多くの場合、そのコンテンツから
ユーザが意味を理解しにくいコンテンツである。
【0028】
表示媒体1上の空間から、視線位置を変えながら表示媒体1を観察すると、表示媒体1
が表示するコンテンツから意味を理解できる位置もあれば、意味を理解できない位置もあ
る。コンテンツから意味を理解できる位置は、表示媒体1が想定する複数の指定方向のう
ちのいずれかの指定方向上の位置、あるいはいずれかの指定方向の近傍の位置である。
【0029】
(パーティション)
図1および図2を参照して、本発明の実施の形態に係る表示媒体1が備えるパーティシ
ョンPを説明する。図1に示すように、各セルCに、パーティションPが設けられる。
【0030】
図3に示すように表示媒体1は、基材2を有する。基材2は、拡散反射すれば良い。
【0031】
本発明の実施の形態において基材2は立体形状を有し、その立体形状の表面上に複数の
セルCが形成される。セルCは、仮想的に形成されればよく、隣接するセルCは、視覚的
に区別されなくても良い。図3に示す例において基材2の表面は、XY平面であって、基
材2の外側に設けられる。基材2の表面は、平面に形成されても良いし、曲面に形成され
ても良い。図3に示す例においてセルCは、矩形を有するが、円形など任意の形状であっ
ても良い。また基材2において、隈無くセルCが敷きつめられる場合を説明するが、セル
C間にセル以外の領域が設けられても良い。
【0032】
本発明の実施の形態において、光源は全方位に存在する。表示媒体1に与えられた色は
、全方位に等方的に拡散する。
【0033】
表示媒体1の基材2の表面に形成される各セルCに、図1および図2に示すパーティシ
ョンPが形成される。表示媒体1の基材2の表面に、複数のパーティションPが形成され
る。各セルCに設けられる各パーティションPは、互いに独立して、基材2の表面に形成
される。所定の指定方向から表示媒体1を観察した際に、視線方向に対向するパーティシ
ョンPの面に与えられた色と基材2の表面に与えられた色で、その視点に対応するコンテ
ンツが表現される。
【0034】
パーティションPは、セルCに形成される。パーティションPは、基材2の表面と交わ
る面上に形成される面であって、複数の方向のそれぞれから表示媒体1を観察した際に露
出する部分を有する。基材2およびパーティションPは、例えば、顔料入りのUV (ultrav
iolet)硬化樹脂、石膏等の遮蔽性を有する部材で形成される。図1に示す例においてパー
ティションPは、セルCの外縁に接するように設けられる。
【0035】
図4に示すようにパーティションPは、基材2の表面に対して外側に盛り上がる凸形状
を有する。またパーティションPは、パーティションPの先端を表面として、この表面に
対して内側に窪んだ凹形状であっても良い。パーティションPが基材2と接する部分以外
の表面部分に、コンテンツを表現する色が与えられる。本発明の実施の形態に係る表示媒
体1は、基材2の表面に対して凸形状にコンテンツの色が与えられるので、基材のみにコ
ンテンツの色が与えられる場合に比べて、コンテンツの色が与えられる面積が広くなる。
このようなパーティションPを備える表示媒体1は、一つの媒体で複数のコンテンツを表
示する場合でも、各コンテンツを表現する面積を広く形成できるので、広色域かつ高輝度
なコンテンツを表示することが可能になる。
【0036】
また本発明の実施の形態においてさらに、基材2の表面のうち、パーティションPが接
する部分以外の表面部分に、コンテンツを表現する色が与えられる。これにより、各コン
テンツを表現する面積を広く形成することができる。
【0037】
図1および図2に示すように、パーティションPは、複数の面を有する。パーティショ
ンPは、表示媒体1の1つの指定方向に対して1以上の面を有する。この面は、1つの指
定方向上の視点から表示媒体1を視認する視線方向に対向し、視点から表示媒体1を視認
する際に露出する。指定方向に対して露出する面で、その指定方向に対応するコンテンツ
の色を表現する。
【0038】
より詳述すると、パーティションPの表面のうち、複数の方向のうち所定の方向から表
示媒体1を観察した際に露出する部分に、その所定の方向に対応するコンテンツの色が与
えられる。表示媒体1の各指定方向について、パーティションPの表面の一部が、その指
定方向から表示媒体1を観察した際に、指定方向に対して露出し、その露出する部分に、
その指定方向に対応するコンテンツの色が与えられる。これによりパーティションPは複
数の面を有することから、複数の指定方向に対して、各指定方向に対応するコンテンツの
一部を表現することができる。
【0039】
本発明の実施の形態においてパーティションPは、複数の方向のうち、当該パーティシ
ョンが視認される方向毎に、基材2の表面上の空間を放射状に区分する面を有する。本発
明の実施の形態において表示媒体1は、立体形状を有するので、パーティションPが設置
される位置によって、そのパーティションPが視認される方向に制限が生じる。図12
a)に示す例において、ウサギの頭部上の1点は、側面ないし上面で視認できる一方、ウ
サギの胴体上の1点は、その点の反対側からは視認できない。そこでパーティションPは
、そのパーティションPが設置される位置毎に、そのパーティションPが視認可能な方向
に対して、コンテンツを表現する面を有するように形成される。
【0040】
なお、所定の指定方向に対して露出する部分であっても、他の指定方向に向けても露出
する場合もある。そのように複数の指定方向に対して露出する部分に、これらの複数の指
定方向に対応する複数のコンテンツに好適な色が与えられる。
【0041】
図1および図2に示すパーティションPに、5つの指定方向に対する5つのコンテンツ
の色が与えられる。5つの指定方向は、セルCの基材2に対する法線方向のほか、方位角
0度かつ仰角45度の方向、方位角90かつ仰角45度の方向、方位角180度かつ仰角
45度の方向および方位角270度かつ仰角45度の方向である。ここで方位角は、セル
Cの基材2のXY平面上の方位を示し、仰角は、セルCの基材2のXY平面と、XY平面
からZ方向のある点を見上げる視線とがなす角を示す。
【0042】
図1および図2に示す例においてパーティションPは、複数の視線に対向する16の三
角形状面を有する。パーティションPは、セルCの基材2に対する法線方向に対する4つ
の三角形状面を有する。この4つの面で、法線方向に対応するコンテンツの一部を表現す
る。またパーティションPは、法線方向以外の4つの方向のそれぞれついて、3つの三角
形状面を有する。各3つの面で、各方向上に対応するコンテンツの一部を表現する。
【0043】
図5を参照して、パーティションPの形状を説明する。本発明の実施の形態において、
指定方向上に仮想的に設けられる母点に対するボロノイ図が、仮想的に形成される。パー
ティションPの骨格は、指定方向とセルC上の点を結ぶ線上に仮想的に設けられる点を母
点としたボロノイ図におけるボロノイ面の一部を含む。パーティションPは、骨格である
ボロノイ面に肉付けしたものである。パーティションPの表面は、ボロノイ面に平行な面
を含む。
【0044】
図5に示す例において、3つの視点E1、E2およびE3が設けられる。各視点E1、
E2およびE3からセルCの中心Csを視認する際の視線上に、母点T1、T2およびT
3が設けられる。母点T1、T2およびT3は、セルCの中心Csを中心とする所定の半
径の仮想球体上に設けられる。
【0045】
パーティションPは、1以上の遮蔽部材Bを有する。遮蔽部材Bは、ボロノイ面を骨格
とし、ボロノイ面に肉付けをしたものである。遮蔽部材Bは、パーティションPが設置さ
れたセルC上の空間を、指定方向毎の領域に区分する。
【0046】
図5に示す例においてパーティションPは、遮蔽部材B1およびB2を有する。遮蔽部
材B1は、ボロノイ面Q1を骨格とし、厚みlの肉付けをしたものである。遮蔽部材B2
は、ボロノイ面Q2を骨格とし、厚みlの肉付けをしたものである。また遮蔽部材B1の
先端は、半径lとなる円状に形成する。
【0047】
遮蔽部材B1は、セルC上の空間を、視点E1に対応する空間A1と、視点E2に対応
する空間A2に区分する。遮蔽部材B2は、セルC上の空間を、視点E2に対応する空間
A2と、視点E3に対応する空間A3に区分する。
【0048】
パーティションPの表面のうち、複数の指定方向のうち所定の指定方向から表示媒体1
を観察した際に露出する部分は、複数の指定方向のうち所定の指定方向以外の方向から表
示媒体1を観察すると遮蔽される部分を有する。パーティションPの表面は、所定の1以
上の指定方向に対して露出する場合でも、その他の指定方向からは見えない場合がある。
パーティションPの表面は、露出する指定方向に対応するコンテンツの色を表現する。こ
れにより表示媒体1は、複数の指定方向に対して、異なるコンテンツの一部を表現するこ
とが可能になるので、広色域かつ高輝度な複数のコンテンツを表示することができる。
【0049】
図5に示す例において、遮蔽部材B1の空間A1側の面は、視点E1から視認できる一
方、視点E2または視点E3から視認できない部分を有する。遮蔽部材B1の空間A2側
の面は、視点E2から視認できる一方、視点E1または視点E3からの視認できない部分
を有する。遮蔽部材B2の空間A2側の面は、視点E2から視認できる一方、視点E1ま
たは視点E3から視認できない部分を有する。遮蔽部材B2の空間A3側の面は、視点E
3から視認できる一方、視点E1または視点E2からの視認できない部分を有する。
【0050】
パーティションPが有する各面は、指定方向から視認しやすく、それ以外の指定方向か
ら視認しにくく形成される。パーティションPが有する各面は、指定方向に対してコンテ
ンツを形成する色を発する効果と、指定方向以外から遮光する効果を両立する。これによ
り表示媒体1は、各指定方向に対して、任意の異なるコンテンツを表示することができる
。また表示媒体1は、各指定方向に対して色域が広く輝度の高いコンテンツを表示するこ
とができる。パーティションPの各面は、指定方向以外からの視線の影響が抑制されるの
で、指定方向から観察される面に、好適な色を与えることができる。
【0051】
本発明の実施の形態において、パーティションPの骨格は、母点に対して形成されたボ
ロノイ面上に形成される。ボロノイ面は、各母点の中で、近隣の母点との中央を通り、か
つ、それぞれの母点からの視線を遮るように形成される。パーティションPの面は、この
ように形成されたボロノイ面に対して、所定の厚みを設けて形成される。
【0052】
このように形成されるパーティションPの表面に色を与えることにより、広い面にコン
テンツの色を与え、コンテンツの視認性(輝度)を向上させることができる。
【0053】
なお、本発明の実施の形態において表示媒体1は、3Dプリンタで形成される。従って
、パーティションPの形状および精度は、パーティションを形成する3Dプリンタの性能
に依存する。例えば3Dプリンタの性能の範囲内でボロノイ面に対して薄く厚みを形成し
てパーティションPを形成することにより、指定方向からの視認性を向上させることがで
きる。
【0054】
図6および図7を参照して、本発明の実施の形態に係る表示媒体1が表示するコンテン
ツの一例を説明する。図6および図7に示す例において、図4に示す表示媒体1を、XY
平面上の側面の方位角を45度ずつずらした8方向(仰角0度)と、上面(Z軸)からの
1方向(仰角90度)の、合計9方向に異なるコンテンツを表示する。図7に示す表示媒
体1は、3Dプリンタで形成されたものである。
【0055】
図6は、表示媒体1が各方向に表示しようとする目標画像である。図6(a)ないし(
h)に示す各図は、XY平面上の側面の方位角の異なる8方向に対して表示する目標画像
である。図6(i)は、上面に対して表示する目標画像である。
【0056】
図7は、表示媒体1が各方向に表示するコンテンツである。図7(a)ないし(h)に
示す各図は、XY平面上の側面の方位角の異なる8方向に対して表示するコンテンツであ
って、図6(a)ないし(h)に対応する。図7(i)は、上面に対して表示するコンテ
ンツであって、図6(i)に対応する。図7の各図は、図6の各図の特徴をそれぞれ表現
できており、一つの表示媒体1で9方向に対してそれぞれ異なるコンテンツを表示できて
いることがわかる。
【0057】
なお、図7に示す例において、ウサギの頭部、背骨等の近郊に設置されるパーティショ
ンPは、9つ全ての指定方向に面を有する場合がある。一方、ウサギの側面に設置される
パーティションPは、3-4方向など、9方向よりも少ない面を有する場合がある。
【0058】
本発明の実施の形態においてパーティションPは、複数の方向のそれぞれに対して、露
出する面を有する。また露出する面は、基材2の表面上の空間を複数の方向毎に放射状に
区分するので、表示媒体1が表示する方向が増えたとしても、露出する面の面積を維持で
きるので、広色域かつ高輝度な複数のコンテンツを表示することができる。
【0059】
(処理装置)
図8を参照して、本発明の実施の形態に係る処理装置3を説明する。処理装置3は、指
定方向にコンテンツを表示するためにパーティションPの位置と形状を算出する。さらに
処理装置3は、各指定方向に対して表示する出力画像(コンテンツ)が、所望の目標画像
に近づくように、表示媒体1の各サブセルLの色を算出する。
【0060】
処理装置3は、指定方向上の母点に対してボロノイ面を算出し、そのボロノイ面を中心
とするパーティションPの位置および形状を特定して、表示媒体1の形状を特定する。処
理装置3は、表示媒体1の表面を複数のサブセルLに分割し、各サブセルLについて、各
指定方向から見えるか否かを判定する。処理装置3は、各指定方向から見えるサブセルL
に与える色で、各指定方向に対応するコンテンツを表示できるように、各サブセルLの色
を最適化する。
【0061】
なお、本発明の実施の形態において、処理装置3が、パーティションPの位置および形
状とサブセルLの色を算出する場合を説明するが、これに限られない。例えば、パーティ
ションPの位置および形状とサブセルLの色は、手計算により算出されても良い。またパ
ーティションPの位置および形状は、定規またはコンパス等の道具を用いて設計されても
良い。
【0062】
処理装置3は、記憶装置10、処理制御装置20および入出力インタフェース30を備
える一般的なコンピュータである。一般的なコンピュータが処理プログラムを実行するこ
とにより、図8に示す機能を実現する。
【0063】
記憶装置10は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random access memory)、ハ
ードディスク等であって、処理制御装置20が処理を実行するための入力データ、出力デ
ータおよび中間データなどの各種データを記憶する。処理制御装置20は、CPU(Cent
ral Processing Unit)であって、記憶装置10に記憶されたデータを読み書きしたり、
入出力インタフェース30とデータを入出力したりして、処理装置3における処理を実行
する。
【0064】
入出力インタフェース30は、処理制御装置20に入出力する外部装置とのインタフェ
ースである。本発明の実施の形態において入出力インタフェース30は、パーティション
Pの形状と、パーティションP上のサブセルLの色を、パーティションPの製造装置に出
力する。製造装置は、入力されたパーティションPの位置および形状、表示媒体1の色に
基づいて、パーティションPを形成する。
【0065】
本発明の実施の形態において、製造装置は、3Dプリンタである。なお表示媒体1の形
状および表示媒体1上のサブセルLの色のデータは、通信ネットワークまたは通信ケーブ
ル等を介して、処理装置3から製造装置に入力されても良い。表示媒体1に関するデータ
は、USB(Universal Serial Bus)メモリ等の記憶媒体を介して、製造装置に入力され
ても良い。本発明の実施の形態において、3Dプリンタが表示媒体1の形成および着色を
行う場合を説明するが、これに限らない。例えば表示媒体1の形成と着色が、それぞれ異
なる装置によって行われても良い。
【0066】
記憶装置10は、処理プログラムを記憶するとともに、条件データ11、形状データ1
2、入力画素値データ13および色値データ14を記憶する。条件データ11および入力
画素値データ13は、処理制御装置20による処理に先駆けて、予め与えられる。処理プ
ログラムは、HDD、SSD、USB(Universal Serial Bus)メモリ、CD (Compact Disc)、DVD
(Digital Versatile Disc)などのコンピュータ読取り可能な記録媒体に記憶することも、
ネットワークを介して配信することもできる。
【0067】
条件データ11は、基材2の形状のデータと、パーティションPの形状および色を決定
するために必要な条件のデータを含む。条件は、例えば、指定方向および指定方向の数、
表示媒体1のセルCの形状および位置等である。
【0068】
形状データ12は、表示媒体1の形状を特定するデータである。形状データ12は、製
造装置が読み取り可能な形式で生成されても良い。
【0069】
入力画素値データ13は、表示媒体1が各方向に対して出力する出力画像の目標画像の
データである。入力画素値データ13は、指定方向毎に、表示媒体1上に形成される各セ
ルに対応する色値を特定する。入力画素値データ13は、例えば、表示媒体1の各セルと
同様の並びを有する区間毎の色値を有する。色値は、例えば、RGBの三原色の各値であ
る。
【0070】
色値データ14は、表示媒体1の各サブセルLに与える色値を特定する。色値は、入力
画素値データ13と同様に、例えば、RGBの三原色の各値である。
【0071】
処理制御装置20は、形状特定部21、形状出力部22、色決定部23および出力部2
4を備える。
【0072】
形状特定部21は、パーティションPの位置および形状を算出して、表示媒体1の形状
を特定する。形状特定部21は、特定された表示媒体1の形状を特定する形状データ12
を、記憶装置10に記憶する。形状特定部21は、表示媒体1を形成する製造装置の性能
に従って、表示媒体1の形状を特定する。
【0073】
形状出力部22は、形状特定部21が生成した形状データ12を、入出力インタフェー
ス30を介して、製造装置に出力する。製造装置は、入力された形状データ12に基づい
て、表示媒体1を形成する。
【0074】
色決定部23は、入力画素値データ13から表示媒体1の表面に設けられる各サブセル
Lの色を決定して、色値データ14を生成し、記憶装置10に記憶する。
【0075】
出力部24は、色決定部23が生成した色値データ14を、入出力インタフェース30
を介して、製造装置に出力する。製造装置は、入力された色値データ14に基づいて、表
示媒体1の各サブセルLに着色する。
【0076】
(形状特定部)
形状特定部21は、パーティションPを包含するパックを、表示媒体1の表面に密に並
べ、パーティションPの位置を算出する。形状特定部21は、各パーティションPについ
て、パーティションPが視認される方向毎に、基材2の表面上の空間を放射状に区分する
面を有するようにパーティションPの形状を算出する。例えば形状特定部21は、まず、
各指定方向上に設けられる母点に対するボロノイ面を算出する。形状特定部21は、さら
に、算出されたボロノイ面に対して、所定の厚みを設けた形状を、パーティションPの形
状として算出する。各パーティションPを設置する位置および形状を特定すると、形状特
定部21は、パーティションP同士が交差しないようにパーティションPの位置を更新す
る。更新後の各パーティションPの位置、各パーティションPの形状および基材2の形状
から、和集合を算出して、表示媒体1の形状を特定する形状データ12を生成して、記憶
装置10に記憶する。
【0077】
本発明の実施の形態において、表示媒体1に設けられるパーティションPの位置および
形状を特定する場合について説明するが、表示媒体1およびパーティションPは、一般的
なモデルおよび部品に置き換えられても良い。例えば、形状特定部21は、基材2に複数
の部品を追加したモデルの形状を特定する場合に適用されても良い。モデルは、一般的な
有体物であっても良いし、3Dプリンタに入力するなどコンピュータ処理で用いるオブジ
ェクトであっても良い。
【0078】
図9を参照して、形状特定部21を説明する。形状特定部21は、算出部100、検証
部130および生成部150を備える。
【0079】
(算出部)
算出部100は、立体形状を有する基材2の表面に、複数のパーティションP(部品)
を設置する位置および各パーティションPの形状を算出する。
【0080】
表示媒体1が広色域かつ高輝度なコンテンツを表示するために、基材2の表面により多
くのパーティションPを設置することが好ましい。一方、パーティションP同士が交差す
る場合、他のパーティションPの影になりパーティションPの色が見えない、表示媒体1
の形状を特定できず3Dプリンタで表示媒体1を生成できないなどの不都合が生じる。
【0081】
そこで算出部100は、なるべく多くのパーティションPを、各視点方向から見た際に
パーティションP同士が重ならないように、パーティションPを配置する位置を算出する
。本発明の実施の形態において、大局的にパーティションPを密に並べるのではなく(基
材の表面全体でパーティションを密に並べる最適解を算出するのではなく)、局所的に密
に並べる(一つのパーティションPに対して周囲のパーティションPを密に並べる)こと
の繰り返しにより、パーティションPを密に並べる。大局的にパーティションを密に並べ
る場合、多大な計算コストがかかる場合があるところ、局所的に密に並べることを繰り返
すことにより、計算負荷を軽減することができる。
【0082】
算出部100は、パーティションPの配置を決定する際に、パーティションPを包含す
るパックを定義して、そのパックを密に並べることで、パーティションPを密に並べるこ
とを可能にする。なおここで定義されるパックは、仕様等によって定められるパーティシ
ョンPの最大体積を包含すれば良い。図5で説明したようにパーティションPは、半径r
の球内で形成されるので、パックも半径rの球形状を有する。
【0083】
算出部100は、パックを基材2の表面に並べた後、そのパック内に配置するパーティ
ションPの位置を特定する。算出部100は、パーティションPの位置に応じて、その位
置が視認される各指定方向に対する面(ボロノイ面)を有するように、パーティションP
の形状を特定する。
【0084】
算出部100は、条件データ11、パックデータ111、パック位置データ112、パ
ーティション位置データ113、パーティション形状データ114、パッキング部121
、パーティション位置算出部122およびパーティション形状算出部123を有する。
【0085】
条件データ11は、図8を参照して説明したように、基材2の形状を特定するデータ(
基材形状データ)と、指定方向等のパーティションPの形状および色を決定するために必
要な条件のデータを含む。
【0086】
パックデータ111は、複数のパーティションP(部品)をそれぞれ包含する複数のパ
ックの形状と、各パック内の、基材2の表面に設置される基準位置を特定する。基準位置
は、パックを基材に配置する際の基準となる位置であって、基材2の表面に基準位置がく
るように配置される。
【0087】
ここでパックは、パーティションPを包含する形状であれば良いが、より密に並べるた
めに、パーティションPに接することが好ましい。実施の形態において、パーティション
Pは、図5に示すセルCの中心Csを中心とする半径rの仮想球内にパーティションPが
形成され、パックは、半径rの球形状を有する。なお、本発明の実施の形態においてパッ
クは球であるが、凸包等の表面に凹みがない形状であれば良い。パックの表面に、凹みが
あったとしても他のパックがその凹みに接しないように制御されれば良く、パックの形状
に、凹みがあっても許容される場合がある。
【0088】
パック位置データ112は、パッキング部121の処理結果により、基材2の表面に配
置された各パックの位置を特定するデータである。パック位置データ112は、例えば、
各パックの基準位置が配置される基材2の表面の位置を含む。
【0089】
パーティション位置データ113は、パーティション位置算出部122の処理結果によ
り、各パーティションPの位置を特定するデータである。パーティション位置データ11
3は、セルCの中心CsなどのパーティションPの基準位置が配置される基材2の表面の
位置を含む。
【0090】
パーティション形状データ114は、パーティション形状算出部123の処理結果によ
り、各パーティションPの形状を特定するデータである。パーティション形状データ11
4は、パーティションPが設置される位置を視認できる指定方向毎に、その指定方向から
視認でき、それ以外の指定方向から視認しにくい面を有する。この面は、例えばボロノイ
面で定義される。
【0091】
パッキング部121は、条件データ11の基材形状データとパックデータ111を参照
して、一つのパックの基準位置を基材2の表面に配置する。パッキング部121は、既に
配置された一つのパックを基準パックとして、基準パックに接する新たなパックを配置で
きなくなるまで、基準パックに接するように、基材の表面にパックを配置する処理を実行
する。パッキング部121は、基準パックを変更して、この処理を、既に配置されたパッ
クに接する新たなパックを配置できなくなるまで繰り返す。
【0092】
パッキング部121は、既に配置されたパックに接する新たなパックを配置できなくな
ると、基材2に配置された各パックの位置を含むパック位置データ112を生成する。
【0093】
なおパッキング部121は、パックの実物および基材の実物を並べるものではなく、パ
ーティションPの位置を決定するために、コンピュータ処理として、パックオブジェクト
と基材オブジェクトを並べる計算をするものである。
【0094】
パッキング部121は、図10(a)に示すように、基材2の表面に、基準パックP0
を配置する。パッキング部121は、基準パックP0に接するように、新たなパックP1
を配置する。このとき、基準パックP0および新たなパックP1の基準位置は、基材2の
表面に位置する。パックは、他のパックと交差しないが、パックと基材の表面は交差する
ように配置される。
【0095】
パッキング部121は、図10(b)に示すように、基準パックP0および新たなパッ
クP1に接するように、新たなパックP2を配置する。新たなパックP2の基準位置は、
基材2の表面に位置する。さらにパッキング部121は、基準パックP0と既に置かれた
パックに接するように新たなパックP3ないしP6を配置する処理を繰り返すと、図10
(c)のような配置が得られる。
【0096】
図10(c)において、基準パックP0に接する新たなパックを配置できないので、基
準パックP0以外のパック(例えばパックP1)を、新たな基準パックとして、パックP
1と既存のパック(ここではP2またはP6)に接するように、新たなパックを配置する
【0097】
なお図10に示す例は、基材2の表面が平面である場合である。基材2の表面が曲面で
ある場合、基準パックP0の周りに配置可能なパックの数は5個以下である。
【0098】
このように既存のパックに接するようにパックを配置することで、各パックを局所的に
密に並べ、計算コストをかけることなく、基材2の全体にパックを密に並べることが可能
になる。
【0099】
図11を参照して、パッキング部121によるパッキング処理を説明する。
【0100】
まずステップS101においてパッキング部121は、1つのパックの基準位置を、基
材2の表面に配置する。
【0101】
既に配置された各パックについて、ステップS102ないしステップS104の処理を
繰り返す。
【0102】
ステップS102においてパッキング部121は、既に配置された一つのパックを基準
パックと定義する。ステップS103において、基準パックに接するように、新たなパッ
クの基準位置を基材2の表面に設置する。ステップS104においてパッキング部121
は、ステップS102で定義した基準パックに接するように、新たなパックを設置可能か
否かについて判断する。新たなパックを設置可能な場合、ステップS103において新た
なパックを設置する。新たなパックを設置できない場合、ステップS102においてパッ
キング部121は、新たな基準パックを定義してステップS103ないしステップS10
4の処理を行う。
【0103】
既に配置した各パックに対してステップS102ないしステップS104の処理を行い
、既に配置した各パックに対して新たなパックを配置できない場合、ステップS105に
進む。ステップS105においてパッキング部121は、ステップS103で配置した各
パックの位置を含むパック位置データ112を出力する。
【0104】
パッキング部121がパック位置データ112を生成すると、パーティション位置算出
部122は、パック位置データを参照して、パーティションP(部品)の位置を特定する
【0105】
パーティション位置算出部122は、各パックにおけるパーティションPの位置を算出
して、パーティション位置データ113を生成する。パーティション位置算出部122は
、パッキング部121で配置されたパックの位置に従って、パックの基準位置にパーティ
ションPの表面が位置するように、パーティションP(部品)を設置する位置を算出する
。本発明の実施の形態においてパックは、パーティションPの最大体積を包含するので、
パックの位置を、パーティションPの位置として特定する。より具体的には、パーティシ
ョン位置算出部122は、図5のパーティションPの各ボロノイ面の交点が、パックの基
準位置となるように、パーティションPの位置を算出する。
【0106】
図12を参照して、基材2の表面にパックが配置された状態を示す。図12(a)は、
基材2の形状を示し、図12(b)は、パックが配置された状態を示す。図12(b)に
示すように、パッキング部121により基材2の表面にパックを密に配置することが可能
になる。
【0107】
パーティション位置算出部122がパーティション位置データ113を生成すると、パ
ーティション形状算出部123が、各パーティションの形状を特定する。
【0108】
パーティション形状算出部123は、各パーティションPが設置される位置に従って、
パーティションの形状を特定する。パーティションPは、立体形状を有する基材に設けら
れるので、パーティションPが設置される位置によって、そのパーティションPを視認で
きる指定方向が限られる。パーティションPは、視認される指定方向に表示するコンテン
ツの一部を表現するように、その指定方向から視認しやすい面を有する。視認されない指
定方向に関する面を有さないことにより、1つのコンテンツを表示するためにより多くの
リソースを使うことができ、精細なコンテンツを表示することができる。
【0109】
パーティション形状算出部123が、あるセルに設けられるパーティションPの形状を
算出する方法を説明する。予め、セルCのサイズ(X軸方向の長さおよびY軸方向の長さ
)、指定方向と、指定方向の数(n)が特定される。ここで、セルCは、X軸方向の長さ
およびY軸方向の長さが同じ正方形形状を有する。またセルCの対角線上の距離は、2r
である。なお、基材2が平面でない場合、仮想球は、基材2の表面に交差するように形成
される。
【0110】
図5に示すように、セルCの中心Csを中心とする半径rの仮想球を想定する。指定方
向から中心Csを観察した際の仮想球との交点を、その指定方向に対応する母点とする。
図5に示す例において、中心Csから視点E1を観察する指定方向について、母点T1が
決定される。同様に、中心Csから視点E2を観察する指定方向について、母点T2が決
定される。中心Csから視点E3を観察する指定方向について、母点T3が決定される。
【0111】
各指定方向に対応する母点が決まると、セルC上の空間を、いずれの母点に近いかによ
って領域分けすることで、立体的なボロノイ図が決定される。この立体的なボロノイ図を
、セルCの中心Csを中心とする半径rの仮想球でボロノイ図を切り取った部分が、パー
ティションPの骨格(中心/芯)となる。
【0112】
パーティションPの骨格は、複数の方向の各方向上に仮想的に設けられる母点としたボ
ロノイ図におけるボロノイ面の一部である。
【0113】
しかしながら、計算によって得られるパーティションPの骨格は、いわゆる多様体(ma
nifold)で、厚みがなく、造形することができない。そこで、骨格を中心として、指定し
た距離lの位置に面Mを設ける。面Mは、最も近い骨格までの距離がlとなるように形成
される。面Mを含む立体形状が、パーティションPとなる。なお、距離lは、仮想球の半
径rに比べて充分に小さい。距離lの値が大きいと、色を与える面の面積が小さくなり視
認性が低下する場合があるので、なるべく小さい方が好ましい。距離lの値は、パーティ
ションPを形成する装置(3Dプリンタ)等の性能に依存する。
【0114】
ここで、パーティションPに含まれる面Mは、陰関数モデリングを用いて式(1)で表
現される。
【0115】
【数1】
【0116】
式(1)で表現されるパーティションPの面Mは、ノンマニフォールドな面である。式
(1)においてパーティションPの厚みは2lとなる。3Dプリンタの最小解像度を2l
に設定することで、最小の誤差で制作ができる。なお式(1)は集合の記述であるが、実
装上は、式(2)をポリゴナイザーにより、三角形メッシュ化する。これにより、生成さ
れる個々のパーティションPは水密メッシュを保証する。
【0117】
【数2】
【0118】
なお、具体的なパーティションPの形状は、適宜変更されても良い。例えば、パーティ
ションPに形成される複数の遮蔽部材は、図5に示すように、一体形状に形成されても良
いし、個別に形成されても良い。
【0119】
またパーティションPの骨格は、複数の方向から表示媒体1を観察した際の視線の交点
を含む。図1および図2に示すように、セルCの中心Csに対して、対称に指定方向が設
けられる場合、視線の交点は、セルCの中心Csに設けられる。また視線の交点は、複数
の方向の各方向上に仮想的に設けられる母点としたボロノイ図におけるボロノイ面の交点
となる。換言すると、パーティションPの遮蔽部材は、セルCの中心Csからセル上の空
間を放射状に区分するように形成される。
【0120】
図13を参照して、パーティション形状算出部123によるパーティション形状算出処
理を説明する。図13に示す処理は、1つのパーティションPの形状を算出する処理であ
る。
【0121】
ステップS201においてパーティション形状算出部123は、処理対象のセルCの中
心Csから半径rの仮想球の位置を算出する。
【0122】
パーティション形状算出部123は、各指定方向について、ステップS102の処理を
繰り返す。ステップS102において形状特定部21は、処理対象の指定方向からセルC
を観察した視線と、ステップS101で算出した仮想球の交点を、母点として算出する。
各指定方向について母点が算出されると、ステップS203に進む。
【0123】
ステップS203においてパーティション形状算出部123は、ステップS202で算
出した各母点に対するボロノイ面を算出する。ステップS204においてパーティション
形状算出部123は、ステップS203で算出されるボロノイ面のうち、ステップS20
1で算出した仮想球内の形状を、処理対象のセルCに設けられるパーティションPの骨格
として特定する。ステップS203で算出したボロノイ面を、ステップS201で算出し
た仮想球で切り取った内側が、パーティションPの骨格となる。
【0124】
ステップS205においてパーティション形状算出部123は、ステップS204で算
出されたパーティションPの骨格に対して厚みを設けて、パーティションPの形状を特定
する。ここでは、ステップS204で特定されたパーティションPの骨格から所定距離離
れた位置の集合を、パーティションPの形状として特定する。特定されたパーティション
の形状は、パーティション形状データ114として出力される。
【0125】
パーティション形状算出部123は、各パーティションPの形状を特定するパーティシ
ョン形状データ114を生成する。
【0126】
(検証部)
検証部130は、算出部100によって算出されたパーティションPの位置および形状
について、3Dプリンタが表示媒体1の形状を認識可能であるか否かを検証する。また検
証部130は、3Dプリンタが表示媒体1の形状を認識できるように、パーティションP
の位置を変更する。
【0127】
算出部100は、パーティションPを包含するパックを定義し、パックを密に並べて各
パーティションPの位置を決定した後、各パーティションPの形状を特定する。従って、
パーティションP同士が接し、パーティションPの外縁が交差する場合が生じる。パーテ
ィションPの外縁が交差すると、表示媒体1の水密性が担保できず、3Dプリンタが表示
媒体1の表面形状を把握できない。
【0128】
そこで検証部130は、個々のパーティションPが独立するように、他のパーティショ
ンPと交差するパーティションPの位置を変更して、パーティションP同士の交差を解消
する。これにより検証部130は、3Dプリンタで表示媒体1を形成することが可能なパ
ーティションPの位置に更新することで、表示媒体1の表面形状を特定可能にする。
【0129】
検証部130は、パーティション位置データ113、パーティション形状データ114
、交差データ131、交差特定部141および変更部142を備える。
【0130】
パーティション位置データ113およびパーティション形状データ114は、算出部1
00によって生成されたデータである。
【0131】
交差データ131は、交差特定部141によって生成されるデータであって、表示媒体
1が備える複数のパーティションPの位置および形状から、他のパーティションPと交差
するパーティションPを特定するデータである。
【0132】
交差特定部141は、パーティションPをパーティション位置データ113で特定され
た位置に追加する場合、他のパーティションPの形状と交差するパーティションPを特定
する。交差特定部141は、個々のパーティションPの位置および形状を特定し、他のパ
ーティションと交差するパーティションPを特定し、交差データ131に記憶する。
【0133】
変更部142は、他のパーティションPと交差すると特定されたパーティションPを追
加する位置を、他のパーティションPの形状と交差しない位置に変更する。変更部142
は、交差すると特定されたパーティションPから所定範囲以内において、他のパーティシ
ョンPと交差しない位置を探しても良いし、基材2の表面のいずれかで探しても良い。本
発明の実施の形態においてパーティションPは、その設置位置と指定方向との関係から形
状が特定されるので、変更後の位置においても指定方向との関係が大きく崩れない位置に
、変更されることが好ましい。
【0134】
変更部142は、特定されたパーティションPを追加する位置がない場合、他のパーテ
ィションと交差すると特定されたパーティションPを削除する。変更部142は、パーテ
ィション位置データ113およびパーティション形状データ114から、削除対象のパー
ティションPのデータを削除する。
【0135】
(生成部)
生成部150は、基材2の形状と、各パーティションP(部品)を追加する位置および
各パーティションP(部品)の形状の和集合演算により、表示媒体1(モデル)の形状デ
ータ12を生成する。各パーティションの位置は、パーティション位置データ113によ
って特定され、パーティション位置算出部122で算出された位置、または変更部142
による変更後の位置である。
【0136】
基材2に対して各パーティションPの形状を追加して、和集合を計算する場合、パーテ
ィションPの数に従って追加する処理が発生するので、計算コストが高い。そこで生成部
150は、各パーティションPの形状の和集合を予め算出し、基材2の形状との和集合を
さらに算出する。これにより、基材2にパーティションPを追加する処理の回数が1回と
なり、計算コストを抑えることができる。
【0137】
生成部150が生成した形状データ12は、基材2に複数のパーティションPが備えら
れた表示媒体1の形状のデータである。このときパーティションPは、その設置位置を視
認できる指定方向に対する面を有し、この面で、指定方向に表示するコンテンツの一部の
色を表現する。
【0138】
(形状特定方法)
図14を参照して、形状特定部21による形状特定方法を説明する。
【0139】
まずステップS1において算出部100は、パッキング部121により、基材2の表面
に、パーティションPを包含するパックを密に配置する。この処理は、図11を参照して
説明した通りである。
【0140】
ステップS2において算出部100は、パーティション位置算出部122により、ステ
ップS1で配置したパック中にパーティションPを配置し、そのパーティションの位置を
特定する。ステップS3において算出部100は、パーティション形状算出部123によ
り、ステップS2で算出したパーティションPの位置に応じて、パーティションPの形状
を算出する。この処理は、図13を参照して説明した通りである。
【0141】
パーティションPの位置および形状が算出されると、ステップS4において検証部13
0は、交差特定部141によって、他のパーティションPと交差するパーティションPを
特定する。ステップS5において検証部130は、変更部142によって、他のパーティ
ションPと交差するパーティションPの位置を変更し、交差を解消する。
【0142】
ステップS6において生成部150は、基材2の形状、ステップS2またはステップS
5で特定したパーティションの位置、およびステップS3で特定したパーティションPの
形状に従って表示媒体1の形状データ12を生成する。
【0143】
このように生成された形状データ12は、表示媒体1の水密性が担保され、3Dプリン
タが表示媒体1の形状を把握することができる。
【0144】
(色決定部)
本発明の実施の形態において、表示媒体1の表面は、複数のサブセルLに仮想的に区分
され、そのサブセルLにコンテンツを表現する色が着色される。パーティションPの表面
のみならず、パーティションPの設置面を除く基材2の表面に、サブセルLが設けられる
【0145】
色決定部23は、まず、複数の方向のそれぞれから視認されるサブセルLを特定する。
色決定部23は、各サブセルLについて、各指定方向から見えるか否かを判定する。さら
に色決定部23は、下記の式(3)で示すように、複数の方向のそれぞれから視認される
サブセルLのそれぞれの色で形成される色が、複数の方向の各方向に対応するコンテンツ
のパーティションPの部分の色に近くなるように、サブセルLに与える色を決定する。
【0146】
色決定部23は、各指定方向に対して表示する各目標画像における、処理対象のセルの
色値を特定する。指定方向からパーティションPを観察した際に視認できるサブセルLの
色の混合が、その指定方向に対応する目標画像における、処理対象のセルの色値になるよ
うに、そのセルの各サブセルLの色を決定する。各指定方向について同様の処理を繰り返
し、処理対象のセルの各サブセルLの色を最適化する。また色決定部23は、表示媒体1
の各サブセルに与える色を同様に算出する。
【0147】
色決定部23は、最適化された各サブセルLの色を特定する色値データ14を生成する
。色値データ14は、表示媒体1の各セルCに設けられる各サブセルLの色を特定する。
色決定部23は、生成した色値データ14を記憶装置10に記憶する。
【0148】
なお、本発明の実施の形態に係る表示媒体1は、指定方向に対して良好なコンテンツを
表示することができるが、指定方向から少し離れた場合でも、コンテンツを表示すること
が可能である。例えば、指定方向から離れるものの、他の指定方向には遠い場合、指定方
向に対して表示するコンテンツが若干変形して表示される。このようなコンテンツにおけ
る変形が少ない場合、またはコンテンツの認識において影響の少ない範囲での変形の場合
、ユーザは、変形したコンテンツであっても、コンテンツの意味内容を理解することが可
能となる。
【0149】
一方、例えば、ボロノイ面上から表示媒体1を視認するなど、いずれの指定方向からも
遠い方向から表示媒体1を視認する場合、ユーザが視認できるコンテンツは、表示媒体1
が意図するコンテンツとは異なり、コンテンツからユーザに意味内容を認識させることが
できない場合が多い。
【0150】
また本発明の実施の形態において、基材2上に、コンテンツの色が設けられる場合を説
明するが、これに限られない。例えば、基材2に色を設けず、パーティションPの表面の
みにコンテンツの色が与えられても良い。
【0151】
図1ないし図2に示すように、パーティションPを形成する面は、複数のサブセルLに
仮想的に区分される。パーティションPのうち、複数の指定方向のうちの少なくとも1つ
の指定方向から見える部分が、複数のサブセルLに区分される。各サブセルLに、コンテ
ンツを表現する色が与えられる。各サブセルLは、視覚的に区分される必要はなく、仮想
的な区分でも良い。例えば、隣接するサブセルLに同じ色が与えられ、サブセルLが視覚
的に区別されなくても良い。
【0152】
なお図5に示す複数のサブセルLは、説明上、互いに離れているが、隣接するように形
成されるのが好ましい。また図5に示すサブセルLの厚さは視認性を向上させるために大
きく記載したものであって、これに限るものではない。図示しないが、本発明の実施の形
態において、図5に示す基材2上にも、サブセルLが設けられる。
【0153】
サブセルLの大きさは、視点からの距離に対して充分小さい。視点は、並置加法混色が
成り立つ程度離れた場所に設けられる。
【0154】
サブセルLは、表示媒体1の表面を区分する領域である。サブセルLは、図1-2等に
示すように、パーティションPの表面をメッシュ状に分割した際の交点に対応する領域で
ある。サブセルLは、メッシュで区切られた際の交点を頂点とする領域でも良いし、交点
を中心とする領域でも良い。
【0155】
表示媒体1の表面に与えられる色を算出する方法を説明する。
【0156】
まず、指定方向ごとに、指定方向から視認されるサブセルLが特定される。ここで、各
指定方向から表示媒体1をレンダリングすることで、その指定方向から見えるサブセルL
と、見えないサブセルLが特定される。表示媒体1が想定する各指定方向について、その
指定方向から見えるサブセルLと、見えないサブセルLが特定される。
【0157】
次に、各サブセルLに与えられる色を特定する方法を説明する。各指定方向から視認さ
れるサブセルLで、各指定方向に対応するコンテンツのそのサブセルLが位置するセルの
色値を表現できるように、各サブセルLの色値を決定する。このとき、並置加法混色によ
り、指定方向から視認される複数のサブセルLで、コンテンツの色値が表現できれば良い
【0158】
具体的には、式(3)により、指定方向から見たセルの色Acが、その指定方向に対応す
るコンテンツの処理対象のセルの色Bとの差が近くなるように、各サブセルLの色を決定
する。セルの色Acは、指定方向から視認できる各サブセルLに与えられる色の混色により
表現される。
【0159】
【数3】
【0160】
なお、各サブセルLの色は、例えば、RGB(Red、Green、Blue)、CMY(Cyan、Magenta
、Yellow)等の色の3原色で表した際の3つのパラメータの行列で表されても良い。
【0161】
このように1つのセルについて、各サブセルLの色が決定されると、他のセルについて
も同様に、各サブセルLの色が決定される。また基材2の表面に、セルが配置されない領
域がある場合、色決定部23は、その領域についてもサブセルLを設定して、上記と同様
に、そのサブセルLに与えられる色を算出しても良い。
【0162】
このように形成および着色されたセルが、配置されることにより、表示媒体1は、各指
定方向に対して異なるコンテンツを表示することができる。
【0163】
本発明の実施の形態に係る表示媒体1は、パーティションPは、パーティションPが設
けられるセルの面積を増やして、指定方向に対応するコンテンツの一部を表現するので、
広色域かつ高輝度な複数のコンテンツを表示することができる。
【0164】
図15を参照して、色決定部23による色特定処理を説明する。図15に示す例は、一
つのセルにおける基材2およびパーティションPの表面のサブセルLの色を決定する処理
である。
【0165】
ステップS301において色決定部23は、処理対象のセルCの表面を、複数のサブセ
ルLに区分する。
【0166】
ステップS301で区分された各サブセルLおよび各指定方向について、ステップS3
02の処理が実行される。ステップS202において色決定部23は、処理対象のサブセ
ルLが、処理対象の指定方向から見えるか否かを判定する。各サブセルLおよび各指定方
向についてステップS302の処理が終了すると、ステップS303に進む。
【0167】
ステップS303において色決定部23は、各指定方向から見えるサブセルLで、目標
となる色値を表現できるように、各サブセルLの色を設定する。ここで、目標となる色値
は、各指定方向に表示する各コンテンツの色値うち、処理対象のセルで表現する色値であ
る。目標となる色値は、指定方向毎に設けられる。各指定方向から見える各サブセルLの
色の混色が、各指定方向に表示するコンテンツの処理対象のセルの色値に近くなる要件を
満たすように、色決定部23は、セルCの表面の各サブセルLの色値を最適化する。
【0168】
このように、処理装置3が式(1)および式(3)に基づいて、各セルのパーティショ
ンPの形状と、セルに与える色を算出することにより、表示媒体1が形成される。
【0169】
また本発明の実施の形態に係る表示媒体1は、複数の方向に対して、それぞれ異なる意
味内容の情報を提供することができるので、限られた領域で、より多くの情報を提供する
ことができる。
【0170】
(第1の変形例)
本発明の実施の形態において、表示媒体1が各指定方向に表示するコンテンツが、静止
画である場合を説明したが、これに限らない。例えば、パーティションPの表面が、動画
を表示可能なディスプレイで形成され、パーティションの表面を動的に変更できる場合、
表示媒体1が各指定方向に表示するコンテンツは、動画でも良い。動画を表示可能なディ
スプレイは、例えば、液晶ディスプレイまたは有機EL(electro-luminescence)ディス
プレイ等である。
【0171】
この場合、複数の目標動画のうち、同時に表示する各フレームデータが、目標画像とな
る。処理装置3は、表示媒体1が表示する動画のうち、各指定方向に同時に表示する各フ
レームデータが、各目標画像に近くなるように、表示媒体1上の各サブセルLの色を最適
化する。
【0172】
また本発明の実施の形態に係るサブセルLは、ディスプレイ上に形成される。サブセル
Lは、ディスプレイを構成する画素または複数の隣接する画素群である。
【0173】
(第2の変形例)
本発明の実施の形態において、表示媒体1が3Dプリンタで形成される場合を説明した
がこれに限らない。本発明の実施の形態において表示媒体1の大きさは、3Dプリンタの
仕様の制限を受けるが、表示媒体1は任意の大きさに形成されても良い。
【0174】
例えば、野球場、コンサート会場、市街地等に設けられる広告掲示板のように、数メー
トルないし数十メートルの大型のディスプレイに、本願の実施の形態に係る表示媒体1の
表示手法を適用することができる。このような大型のディスプレイを複数のセルに区分し
、各セルに、複数の指定方向に対応する面を有するパーティションを形成する。これらの
パーティションの表面に、指定方向に対応する出力画像を構成する色を与える。
【0175】
このような大型のディスプレイに、実施の形態に係る表示手法を適用することにより、
より広い範囲のより多くの人に、各人の位置に応じたコンテンツを表示することができる
【0176】
例えば、ホールの中央に設けられた表示媒体は、各方向に対してそれぞれ異なるコンテ
ンツを表示することができる。
【0177】
また、市街地に設けられた大型ディスプレイを、道路の案内標識等に活用することがで
きる。大型ディスプレイに対して異なる指定方向に位置する人に対して、それぞれの指定
方向に対応する異なる情報を、同時に提供することができる。例えば、大型ディスプレイ
は、それぞれ異なる指定方向に対する信号を表示することにより、1つのディスプレイで
、複数の方向に対応する信号機を実現することが可能になる。
【0178】
本発明の実施の形態に係る表示方法は、特定の方向に対して情報を提供することが可能
である。例えば本発明の実施の形態に係る表示媒体を複数の車線が混在する交差点に設け
ることにより、表示媒体は、それぞれの車線を特定して信号を表示することができる。こ
れによりその交差点に進入する運転者は、自分の車線への信号表示と他の車線への信号表
示とを取り違えるような誤認を、防ぐことができる。特に本発明の実施の形態に係る表示
媒体1は、立体形状を有するので任意の方向にコンテンツを表示することが可能である。
表示媒体1は、交差点等の各方向に位置する人が視認する場所に設置されるのは好適であ
る。
【0179】
また本発明の実施の形態において、表示媒体が人の目で直接視認できるコンテンツを表
示する場合を説明したが、これに限られない。表示媒体の出力画像が、カメラによって撮
影され、人が、その撮影画像を介してコンテンツを認識しても良い。表示媒体が巨大な場
合、例えば、ドローン等の空中撮影を介して、人はコンテンツを認識しても良い。
【0180】
(第3の変形例)
本発明の実施の形態に係る表示媒体を、裸眼で立体視を提供する技術に適用することも
可能である。
【0181】
本発明の実施の形態に係る表示媒体は、指定方向に対して異なるコンテンツを表示する
ことができる。第3の変形例に係る表示媒体がコンテンツを表示する指定方向を、表示媒
体を視認するユーザの左右の視覚角度の差にあわせる。表示媒体は、右眼の指定方向に対
して、ユーザが立体視を認識可能な右目用のコンテンツを表示するとともに、左眼の指定
方向に対して、左目用のコンテンツを表示する。
【0182】
このように第3の実施の変形例にかかる表示媒体は、裸眼3Dに適用されても良い。
【0183】
(適用例)
図16ないし図21を参照して、本発明の実施の形態に係る表示媒体1を用いる適用例
を説明する。
【0184】
適用例に係る表示媒体1が表示するコンテンツは、表示媒体1が設置されない状態で所
定の方向上の視点から表示媒体1が設置される位置を観察した視界のうち、表示媒体1が
設置される部分の画像データである。適用例においてコンテンツは、表示媒体1を設置す
る予定の位置を含む視界のうち、表示媒体1を設置する部分の画像データである。表示媒
体1がコンテンツを表示する各指定方向について、その方向から観察した視界を表示媒体
1が表示する。これにより、表示媒体1は、表示媒体1が存在しない状態における背景を
表示するので、表示媒体1が透明または存在しないような演出が可能となる。
【0185】
図16を参照して、適用例に係るコンテンツである入力画素値データ13を生成する処
理を説明する。図16に示す例において、視界画像データ群15、形状データ12および
入力画素値データ13は、記憶装置10に記憶される。取得部25は、処理制御装置20
に備えられる。
【0186】
視界画像データ群15は、指定方向上の視点から表示媒体1が設置される予定の位置を
見たときの、表示媒体1が設置されない状態を観察した視界の画像データ群である。ここ
で、指定方向は、設置される表示媒体1を起点として、表示媒体1を視認する視点方向を
通る方向である。表示媒体1が設置されない状態は、コンテンツを表示する表示媒体1が
設置される前の状態である。視界画像データ群15の各画像データは、表示媒体1の外観
を含まない。視界画像データ群15は、指定方向毎の、視界の画像データを含む。
【0187】
形状データ12および入力画素値データ13は、図8を参照して説明した通りである。
適用例において形状データ12は、指定方向毎に、その指定方向上の視点から表示媒体1
を視認した際の表示媒体1の形状を、レンダリング等により特定可能なデータである。適
用例において入力画素値データ13は、表示媒体1がコンテンツを表示する指定方向と、
表示媒体1が設置されない状態で所定の方向(指定方向)上の視点から表示媒体1が設置
される位置を観察した視界のうち、表示媒体1が設置される部分の画像データを対応づけ
るデータである。ある指定方向についての入力画素値データ13は、例えば、その指定方
向上に設けられた視点から、表示媒体1が設置される位置を観察した視界から、表示媒体
1の形状部分が切り出されて生成される。
【0188】
取得部25は、表示媒体1が設置されない状態で、複数の方向上の視点のそれぞれから
表示媒体1が設置される位置を観察した視界のうち、表示媒体1が設置される部分の各画
像データを、取得する。取得部25は、複数の方向に対応する各画像データを、入力画素
値データ13とする。色決定部23は、入力画素値データ13を参照して、各パーティシ
ョンPの各サブセルに与える色を決定する。
【0189】
取得部25は、例えば、表示媒体1の指定方向上の視点から、表示媒体が設置される位
置を観察した視界から、表示媒体1の形状部分を切り出す。取得部25は、各指定方向に
ついて、表示媒体1の形状部分を切り出した画像データを生成して、入力画素値データ1
3を生成する。
【0190】
図17ないし19を参照して、取得部25の処理を説明する。図18ないし図19にお
いて指定方向は、仰俯角0度かつ方位角0度、45度、90度、135度、180度、2
25度、270度および315度の8方向と、仰角90度の1方向の合計9方向である。
【0191】
取得部25は、表示媒体1を設置する位置に、360度撮影可能な全天球カメラを設置
して、極座標画像データを取得する。極座標画像データは、表示媒体1を設置する位置か
らの全天球に対して、光の波長の分布を特定する。取得部25は、極座標画像データに対
して、図17に示すように、仰俯角θと方位角αを対応づける。
【0192】
取得部25は、図17に示す画像から、各視点から見た表示媒体1が設置される位置を
含む範囲を切り出す。範囲は、例えば画角39.6度など、画角で特定される。各視点は
、表示媒体1が表示可能な指定方向上に設けられる。ここで指定方向は、仰俯角θと方位
角αで特定される。これにより、取得部25は、図18に示すように、指定方向毎の画像
データを生成する。
【0193】
なお、本発明の実施の形態において、全天球カメラで撮影した極座標画像データから、
指定方向毎の画像データを生成するが、これに限らない。例えば、表示媒体1の指定方向
上の視点から、表示媒体1が設置される方向を撮影して、指定方向毎の画像データを生成
しても良い。
【0194】
取得部25は、図19の各図に示すように、指定方向の画像データのうち、表示媒体1
が設置される部分を特定する。このとき、表示媒体1の向きと画像データに対応する指定
方向に従って、表示媒体1が設置される部分が特定される。具体的には、図19に示す各
図において、表示媒体1の形状は異なる。取得部25は、各指定方向の画像データから、
表示媒体1が設置される部分を切り出して、入力画素値データ13を生成する。
【0195】
ここで、表示媒体1上の点pに設けられるパーティションPの形状を説明する。表示媒
体1のn個の指定方向を、極座標(θe1,φe1),・・・(θen,φen)とする
。この極座標(θe1,φe1),・・・(θen,φen)は、直交座標(ex1,e
y1,ez1),・・・(exn,eyn,ezn)に変換される。このとき、Eをeの
集合として、表示媒体1上のある点pに設けられるパーティションPの形状は、ある点p
から各指定方向eに距離r移動した位置に設けられる各母点により特定される。各指定方
向eに距離r移動した位置に設けられる母点の集合Tは、T={p+re,p+r
,p+re|(e,e,e)∈E}で表現される。パーティションPの形
状は、各指定方向について算出された母点群から、ボロノイ図を特定し、特定されたボロ
ノイ図を球形などの所定の形状で切り抜いて特定される。
【0196】
このように入力画素値データ13を特定することにより、表示媒体1は、表示媒体1が
存在しない状態における背景を表示し、表示媒体1が透明または存在しないような演出が
可能となる。
【0197】
表示媒体1が設置する位置に対する光源の位置および表示媒体1の形状などにより、表
示媒体1の全体が明るく照らされない場合がある。例えば図20に示すように、表示媒体
1の表面のうち、直接光が照らされる部分は明るくなり、間接光のみが当たる部分または
光が当たらない部分は暗くなる。
【0198】
そこで、取得部25は、表示媒体1の表面における光の照射状況を考慮して、表示媒体
1が設置される部分の各画像データの色を調節する調整部26を備えても良い。調整部2
6は、表示媒体1を予定する位置に置いた状態を、各視点から表示媒体1を観察して得ら
れる輝度を取得する。調整部26は、取得した輝度が目標輝度になるように、各視点に対
応する画像データの輝度を調整する。取得部25は、調整後の画像データに従って、入力
画素値データ13を生成する。色決定部23は、入力画素値データ13を参照して、パー
ティションPの各サブセルに与える色を決定する。
【0199】
調整部26は、画像データにおける各画素について、目標輝度になるように、各画素の
輝度を調整しても良い。
【0200】
ある指定方向上の視点に対応する画像データのある画素について説明する。ある画素の
目標輝度をlとして、この画素に対応する表示媒体1上の位置で観察された輝度をl
とする。この画素において、目標輝度に対して不足する輝度の割合は、l/lとなる
。目標輝度は、例えば、各視点に対応する表示媒体1部分を切り出した画像データの画素
の輝度である。この画素で表現する目標の色、具体的には画素データ上の色をCとする
と、調整後の画素の色cは、C*l/lとなる。調整部26は、各指定方向につい
ての画像データの各画素について輝度を調整して、入力画素値データ13を生成する。
【0201】
このように入力画素値データ13を生成することにより、調整部26は、表示媒体1を
設置する位置にあわせて輝度を調整し、表示媒体1が表示する色を背景の色により馴染む
ように調整することができる。表示媒体1は、より精度高く、透明または存在しないよう
な演出を可能とする。
【0202】
図21を参照して、取得部25による取得処理を説明する。表示媒体1がコンテンツを
表示する各指定方向について、ステップS401ないしステップS405の処理を繰り返
す。
【0203】
まずステップS401において取得部25は、対象の指定方向上の視点から見た視界画
像データを取得する。ステップS402において取得部25は、形状データ12から対象
の方向から見た表示媒体の形状をレンダリングする。ステップS403において取得部2
5は、ステップS401で取得した視界画像データから、ステップS403で特定した表
示媒体1の形状部分を切り出して、目標画像データを生成する。ステップS404におい
て取得部25は、表示媒体1が設置された場合の表示媒体1の表面の輝度が目標輝度にな
るように、ステップS403で生成した目標画像データの各画素の輝度を、調整する。
【0204】
表示媒体1がコンテンツを表示する各指定方向について、ステップS401ないしステ
ップS405の処理が終了すると、取得部25は、ステップS405において、入力画素
値データ13を生成する。
【0205】
このように表示媒体1が適用例に係るコンテンツを表示することにより、表示媒体1が
透明または存在しないような演出が、可能となる。
【0206】
(その他の実施の形態)
上記のように、本発明の実施の形態、その変形例1ないし3および適用例によって記載
したが、この開示の一部をなす論述および図面はこの発明を限定するものであると理解す
べきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例および運用技術が
明らかとなる。
【0207】
例えば、本発明の実施の形態に記載した処理装置は、図8に示すように一つのハードウ
エア上に構成されても良いし、その機能や処理数に応じて複数のハードウエア上に構成さ
れても良い。また、他の機能も実現する既存の処理システム上に実現されても良い。
【0208】
本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含むことは勿論である。従って
、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によっ
てのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0209】
1 表示媒体
2 基材
3 処理装置
10 記憶装置
11 条件データ
12 形状データ
13 入力画素値データ
14 色値データ
15 視界画像データ群
20 処理制御装置
21 形状特定部
22 形状出力部
23 色決定部
24 出力部
25 取得部
26 調整部
30 入出力インタフェース
100 算出部
111 パックデータ
112 パック位置データ
113 パーティション位置データ
114 パーティション形状データ
121 パッキング部
122 パーティション位置算出部
123 パーティション形状算出部
130 検証部
131 交差データ
141 交差特定部
142 変更部
150 生成部
A 空間
B 遮蔽部材
C セル
Cs 中心
L サブセル
P パーティション
T 母点
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図2
図3
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