(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022190661
(43)【公開日】2022-12-26
(54)【発明の名称】データ処理装置、データ処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 20/10 20120101AFI20221219BHJP
【FI】
G06Q20/10 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022046701
(22)【出願日】2022-03-23
(62)【分割の表示】P 2021534142の分割
【原出願日】2021-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】516380407
【氏名又は名称】ファーストアカウンティング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】葛 鴻鵬
(72)【発明者】
【氏名】松田 顕
(72)【発明者】
【氏名】小俣 智
(72)【発明者】
【氏名】森 啓太郎
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 貴亮
(72)【発明者】
【氏名】早川 将和
【テーマコード(参考)】
5L055
【Fターム(参考)】
5L055AA32
(57)【要約】
【課題】請求書の処理効率を向上させる。
【解決手段】データ処理装置1は、請求書データを処理する複数のユーザを識別するためのユーザ識別情報と、ユーザが処理を担当する請求書データの属性とが関連付けられたユーザデータを記憶する記憶部12と、複数の新規請求書データを外部から取得する請求書データ取得部131と、複数の新規請求書データの属性を特定する属性特定部132と、ユーザデータを参照することにより、属性特定部132が特定した属性に関連付けられたユーザ識別情報に対応するユーザを、新規請求書データの処理を担当する担当ユーザに決定する決定部133と、新規請求書データに含まれる一以上の所定文字列に関連付けて、新規請求書データを処理する担当ユーザを示す情報を出力する出力部135と、を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
請求書データを処理する複数のユーザを識別するためのユーザ識別情報と、前記ユーザが処理を担当する前記請求書データの属性とが関連付けられたユーザデータを記憶する記憶部と、
複数の新規請求書データを外部から取得する請求書データ取得部と、
前記複数の新規請求書データの前記属性を特定する属性特定部と、
前記ユーザデータを参照することにより、前記属性特定部が特定した前記属性に関連付けられた前記ユーザ識別情報に対応する前記ユーザを、前記新規請求書データの処理を担当する担当ユーザに決定する決定部と、
前記新規請求書データに含まれる一以上の所定文字列に関連付けて、当該新規請求書データを処理する前記担当ユーザを示す情報を出力する出力部と、
を有するデータ処理装置。
【請求項2】
前記決定部は、前記請求書データの前記属性と、前記請求書データを処理するために要する処理時間と、の関係を前記複数のユーザに関連付けて示す処理時間データを参照することにより特定した、前記属性特定部が特定した前記属性に対応する前記新規請求書データを前記複数のユーザそれぞれが処理するために要すると推定される推定処理時間に基づいて、前記担当ユーザを決定する、
請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項3】
前記担当ユーザが処理した前記新規請求書データの前記属性に関連付けて、前記担当ユーザが当該新規請求書データを処理するために要した時間を前記処理時間として測定する処理時間特定部をさらに有し、
前記記憶部は、前記複数のユーザと、前記処理時間特定部が測定した前記処理時間と、当該処理時間が測定された前記新規請求書データの前記属性が関連付けられた前記処理時間データを記憶する、
請求項2に記載のデータ処理装置。
【請求項4】
前記決定部は、前記属性特定部が前記属性として単一仕訳に対応する処理が必要であることを特定した前記新規請求書データに対応する前記担当ユーザを、前記属性特定部が前記属性として複合仕訳に対応する処理が必要であることを特定した前記新規請求書データに対応する前記担当ユーザと異なる前記ユーザに決定する、
請求項1から3のいずれか一項に記載のデータ処理装置。
【請求項5】
前記決定部は、前記属性特定部が特定した前記属性に関連付けられた前記ユーザが前記ユーザデータに含まれていない場合、前記複数のユーザのうち所定のユーザを、前記属性に対応する前記新規請求書データを処理する前記担当ユーザに決定する、
請求項1から4のいずれか一項に記載のデータ処理装置。
【請求項6】
前記記憶部は、それぞれ異なる前記属性を有する複数の前記新規請求書データを処理する順序を示す処理順序パターンを記憶し、
前記出力部は、前記処理順序パターンに対応する順序に複数の前記新規請求書データに含まれる前記所定文字列を並び替えた状態で、複数の前記所定文字列を出力する、
請求項1から5のいずれか一項に記載のデータ処理装置。
【請求項7】
前記属性特定部は、前記請求書データ取得部が取得した前記複数の新規請求書データの処理に要する作業内容を前記属性として特定し、
前記出力部は、前記属性特定部が特定した前記作業内容が同一の複数の前記新規請求書データに含まれる前記所定文字列が連続して配置された状態で、複数の前記所定文字列を出力する、
請求項1から6のいずれか一項に記載のデータ処理装置。
【請求項8】
前記記憶部は、前記複数のユーザの前記ユーザ識別情報と、それぞれ前記属性が異なる複数の前記請求書データを処理する順序を示す処理順序パターンとが関連付けられた前記ユーザデータを記憶し、
前記出力部は、前記担当ユーザに割り当てられた複数の前記新規請求書データに含まれる前記所定文字列を、当該担当ユーザの前記ユーザ識別情報に前記ユーザデータにおいて関連付けられた前記処理順序パターンに基づく順序に並び替えて出力する、
請求項1から7のいずれか一項に記載のデータ処理装置。
【請求項9】
複数の新規請求書データを外部から取得する請求書データ取得部と、
前記複数の新規請求書データの属性を特定する属性特定部と、
それぞれ異なる前記属性を有する複数の前記新規請求書データを処理する順序を示す処理順序パターンを記憶する記憶部と、
前記処理順序パターンに対応する順序に複数の前記新規請求書データに含まれる一以上の所定文字列を並び替えた状態で、複数の前記所定文字列を出力する出力部と、
を有するデータ処理装置。
【請求項10】
前記新規請求書データを処理するユーザを識別するためのユーザ識別情報を外部から取得する識別情報取得部をさらに有し、
前記記憶部は、ユーザと、前記処理順序パターンとを関連付けて記憶し、
前記出力部は、前記識別情報取得部が取得した前記ユーザ識別情報に対応するユーザに関連付けて前記記憶部に記憶された前記処理順序パターンを特定し、特定した前記処理順序パターンに対応する順序に複数の前記所定文字列を並び替えた状態において複数の前記新規請求書データに含まれる前記所定文字列を出力する、
請求項9に記載のデータ処理装置。
【請求項11】
予め定められた複数の前記処理順序パターンの候補から一つの処理順序パターンを選択する指示を受け付けて、前記指示をした前記ユーザの前記ユーザ識別情報に関連付けて、選択された前記処理順序パターンを前記記憶部に記憶させる受付部をさらに有する、
請求項10に記載のデータ処理装置。
【請求項12】
コンピュータが実行する、
複数の新規請求書データを外部から取得するステップと、
取得した前記複数の新規請求書データの属性を特定するステップと、
請求書データを処理する複数のユーザを識別するためのユーザ識別情報と、前記ユーザが処理を担当する前記請求書データの属性とが関連付けられたユーザデータを参照することにより、特定した前記請求書データの属性に関連付けられた前記ユーザ識別情報に対応するユーザを、前記新規請求書データの処理を担当する担当ユーザに決定するステップと、
取得した前記新規請求書データに含まれる一以上の所定文字列に関連付けて、当該新規請求書データを処理する前記担当ユーザを示す情報を出力するステップと、
を有するデータ処理方法。
【請求項13】
コンピュータに、
複数の新規請求書データを外部から取得するステップと、
取得した前記複数の新規請求書データの属性を特定するステップと、
請求書データを処理する複数のユーザを識別するためのユーザ識別情報と、前記ユーザが処理を担当する前記請求書データの前記属性とが関連付けられたユーザデータを参照することにより、特定した前記属性と関連付けられた前記ユーザ識別情報に対応する前記ユーザを、前記新規請求書データの処理を担当する担当ユーザを決定するステップと、
取得した前記新規請求書データに含まれる一以上の所定文字列に関連付けて、当該新規請求書データを処理する前記担当ユーザを示す情報を出力するステップと、
を実行させる、プログラム。
【請求項14】
コンピュータが実行する、
複数の新規請求書データを外部から取得するステップと、
前記複数の新規請求書データの属性を特定するステップと、
記憶部に記憶された、それぞれ異なる前記属性を有する複数の前記新規請求書データを処理する順序を示す処理順序パターンを参照し、前記処理順序パターンに対応する順序に複数の前記新規請求書データに含まれる一以上の所定文字列を並び替えた状態で、複数の前記所定文字列を出力するステップと、
を有するデータ処理方法。
【請求項15】
コンピュータに、
複数の新規請求書データを外部から取得するステップと、
前記複数の新規請求書データの属性を特定するステップと、
記憶部に記憶された、それぞれ異なる前記属性を有する複数の前記新規請求書データを処理する順序を示す処理順序パターンを参照し、前記処理順序パターンに対応する順序に複数の前記新規請求書データに含まれる一以上の所定文字列を並び替えた状態で、複数の前記所定文字列を出力するステップと、
を実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、証憑データを処理するためのデータ処理装置、データ処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、請求書明細ファイルを日付・製品・取引先別にソートして経理システムに対して出力するシステムが知られていた(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
日付・製品・取引先別にソートされた順番に請求書明細ファイルの処理をすることが効率的であるとは限らない。したがって、特許文献1に記載された技術を用いる場合、請求書明細ファイルの処理効率が低下する場合があるという問題があった。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、請求書の処理効率を向上させることができるデータ処理装置、データ処理方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に係るデータ処理装置は、請求書データを処理する複数のユーザを識別するためのユーザ識別情報と、前記ユーザが処理を担当する前記請求書データの属性とが関連付けられたユーザデータを記憶する記憶部と、複数の新規請求書データを外部から取得する請求書データ取得部と、前記複数の新規請求書データの前記属性を特定する属性特定部と、前記ユーザデータを参照することにより、前記属性特定部が特定した前記属性に関連付けられた前記ユーザ識別情報に対応する前記ユーザを、前記新規請求書データの処理を担当する担当ユーザに決定する決定部と、前記新規請求書データに含まれる一以上の所定文字列に関連付けて、当該新規請求書データを処理する前記担当ユーザを示す情報を出力する出力部と、を有する。
【0007】
前記決定部は、前記請求書データの前記属性と、前記請求書データを処理するために要する処理時間と、の関係を前記複数のユーザに関連付けて示す処理時間データを参照することにより特定した、前記属性特定部が特定した前記属性に対応する前記新規請求書データを前記複数のユーザそれぞれが処理するために要すると推定される推定処理時間に基づいて、前記担当ユーザを決定してもよい。
【0008】
前記データ処理装置は、前記担当ユーザが処理した前記新規請求書データの前記属性に関連付けて、前記担当ユーザが当該新規請求書データを処理するために要した時間を前記処理時間として測定する処理時間特定部をさらに有し、前記記憶部は、前記複数のユーザと、前記処理時間特定部が測定した前記処理時間と、当該処理時間が測定された前記新規請求書データの前記属性が関連付けられた前記処理時間データを記憶してもよい。
【0009】
前記決定部は、前記属性特定部が前記属性として単一仕訳に対応する処理が必要であることを特定した前記新規請求書データに対応する前記担当ユーザを、前記属性特定部が前記属性として複合仕訳に対応する処理が必要であることを特定した前記新規請求書データに対応する前記担当ユーザと異なる前記ユーザに決定してもよい。
【0010】
前記決定部は、前記属性特定部が特定した前記属性に関連付けられた前記ユーザが前記ユーザデータに含まれていない場合、前記複数のユーザのうち所定のユーザを、前記属性に対応する前記新規請求書データを処理する前記担当ユーザに決定してもよい。
【0011】
前記記憶部は、それぞれ異なる前記属性を有する複数の前記新規請求書データを処理する順序を示す処理順序パターンを記憶し、前記出力部は、前記処理順序パターンに対応する順序に複数の前記新規請求書データに含まれる前記所定文字列を並び替えた状態で、複数の前記所定文字列を出力してもよい。
【0012】
前記属性特定部は、前記請求書データ取得部が取得した前記複数の新規請求書データの処理に要する作業内容を前記属性として特定し、前記出力部は、前記属性特定部が特定した前記作業内容が同一の複数の前記新規請求書データに含まれる前記所定文字列が連続して配置された状態で、複数の前記所定文字列を出力してもよい。
【0013】
前記記憶部は、前記複数のユーザの前記ユーザ識別情報と、それぞれ前記属性が異なる複数の前記請求書データを処理する順序を示す処理順序パターンとが関連付けられた前記ユーザデータを記憶し、前記出力部は、前記担当ユーザに割り当てられた複数の前記新規請求書データに含まれる前記所定文字列を、当該担当ユーザの前記ユーザ識別情報に前記ユーザデータにおいて関連付けられた前記処理順序パターンに基づく順序に並び替えて出力してもよい。
【0014】
本発明の第2の態様に係るデータ処理装置は、複数の新規請求書データを外部から取得する請求書データ取得部と、前記複数の新規請求書データの属性を特定する属性特定部と、それぞれ異なる前記属性を有する複数の前記新規請求書データを処理する順序を示す処理順序パターンを記憶する記憶部と、前記処理順序パターンに対応する順序に複数の前記新規請求書データに含まれる一以上の所定文字列を並び替えた状態で、複数の前記所定文字列を出力する出力部と、を有する。
【0015】
前記データ処理装置は、前記新規請求書データを処理するユーザを識別するためのユーザ識別情報を外部から取得する識別情報取得部をさらに有し、前記記憶部は、ユーザと、前記処理順序パターンとを関連付けて記憶し、前記出力部は、前記識別情報取得部が取得した前記ユーザ識別情報に対応するユーザに関連付けて前記記憶部に記憶された前記処理順序パターンを特定し、特定した前記処理順序パターンに対応する順序に複数の前記所定文字列を並び替えた状態において複数の前記新規請求書データに含まれる前記所定文字列を出力してもよい。
【0016】
前記データ処理装置は、予め定められた複数の前記処理順序パターンの候補から一つの処理順序パターンを選択する指示を受け付けて、前記指示をした前記ユーザの前記ユーザ識別情報に関連付けて、選択された前記処理順序パターンを前記記憶部に記憶させる受付部をさらに有してもよい。
【0017】
本発明の第3の態様に係るデータ処理方法は、コンピュータが実行する、複数の新規請求書データを外部から取得するステップと、取得した前記複数の新規請求書データの属性を特定するステップと、請求書データを処理する複数のユーザを識別するためのユーザ識別情報と、前記ユーザが処理を担当する前記請求書データの属性とが関連付けられたユーザデータを参照することにより、特定した前記請求書データの属性に関連付けられた前記ユーザ識別情報に対応するユーザを、前記新規請求書データの処理を担当する担当ユーザに決定するステップと、取得した前記新規請求書データに含まれる一以上の所定文字列に関連付けて、当該新規請求書データを処理する前記担当ユーザを示す情報を出力するステップと、を有する。
【0018】
本発明の第4の態様に係るプログラムは、コンピュータに、複数の新規請求書データを外部から取得するステップと、取得した前記複数の新規請求書データの属性を特定するステップと、請求書データを処理する複数のユーザを識別するためのユーザ識別情報と、前記ユーザが処理を担当する前記請求書データの前記属性とが関連付けられたユーザデータを参照することにより、特定した前記属性と関連付けられた前記ユーザ識別情報に対応する前記ユーザを、前記新規請求書データの処理を担当する担当ユーザを決定するステップと、取得した前記新規請求書データに含まれる一以上の所定文字列に関連付けて、当該新規請求書データを処理する前記担当ユーザを示す情報を出力するステップと、を実行させる。
【0019】
本発明の第5の態様に係るデータ処理方法は、コンピュータが実行する、複数の新規請求書データを外部から取得するステップと、前記複数の新規請求書データの属性を特定するステップと、記憶部に記憶された、それぞれ異なる前記属性を有する複数の前記新規請求書データを処理する順序を示す処理順序パターンを参照し、前記処理順序パターンに対応する順序に複数の前記新規請求書データに含まれる一以上の所定文字列を並び替えた状態で、複数の前記所定文字列を出力するステップと、を有する。
【0020】
本発明の第6の態様に係るプログラムは、コンピュータに、複数の新規請求書データを外部から取得するステップと、前記複数の新規請求書データの属性を特定するステップと、記憶部に記憶された、それぞれ異なる前記属性を有する複数の前記新規請求書データを処理する順序を示す処理順序パターンを参照し、前記処理順序パターンに対応する順序に複数の前記新規請求書データに含まれる一以上の所定文字列を並び替えた状態で、複数の前記所定文字列を出力するステップと、を実行させる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、請求書の処理効率を向上させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】第1の実施形態に係るデータ処理装置の概要を説明するための図である。
【
図3】請求書データ取得部が取得する請求書データに対応する請求書の例を示す図である。
【
図5】出力部がユーザ端末に出力する出力データの例を示す図である。
【
図6】出力部による所定文字列の並び替えの一例を示す図である。
【
図7】出力部による請求書所定文字列の並び替えの一例を示す図である。
【
図8】データ処理装置による担当ユーザの決定の処理手順を示すフローチャートである。
【
図9】データ処理装置による担当ユーザの決定の処理手順を示すフローチャートである。
【
図10】第2の実施形態のデータ処理装置の構成を示す図である。
【
図11】出力部が出力する出力データの例を示す図である。
【
図12】データ処理装置による所定文字列の並び替えの処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
<第1の実施形態>
[データ処理装置1の概要]
図1は、第1の実施形態に係るデータ処理装置1の概要を説明するための図である。データ処理装置1は、例えば、コンピュータである。データ処理装置1は、LAN等のネットワークを介して、スキャナ又はデジタルカメラ等の読取装置2と、複数のユーザにそれぞれ割り当てられた複数のユーザ端末3とに接続されている。データ処理装置1は、読取装置2が請求書を読み取ることによって生成された新規の請求書の画像データ又はテキストデータである新規請求書データを取得する。
【0024】
データ処理装置1は、取得した新規請求書データに含まれる文字列を解析した結果を用いて、新規請求書データの属性を特定する。新規請求書データの属性は、例えば、新規請求書データの会計処理を担当する人が行う作業の内容、当該作業の難易度、請求対象の商品若しくはサービスの種別、請求元の会社名、又は請求元の業界(宿泊業、飲食業等)である。会計処理を担当する人(以下、「ユーザ」という)が行う作業は、例えば新規請求書データから抽出された文字列等の情報の内容のチェック、新規請求書データに基づく仕訳処理、新規請求書データに含まれているデータの会計システムへの入力又は新規請求書データの請求元への連絡等である。
【0025】
データ処理装置1は、複数の新規請求書データそれぞれの処理を担当するユーザを割り当てたり、新規請求書データに含まれる一以上の文字列(以下、「所定文字列」ともいう)を出力する際に、特定した属性に基づいて複数の所定文字列を並び替えたりする。所定文字列は、例えば、新規請求書データに含まれる文字列のうち会計処理に使用される文字列としてユーザ又はデータ処理装置1の開発者により予め設定されている文字列である。所定文字列は、例えば、請求書を識別するための請求書識別情報、請求書の発行日、請求元、品名、数量又は請求金額のうち一以上の文字列である。
【0026】
データ処理装置1は、例えば、特定した属性に基づいて、所定文字列に関連付けて、新規請求書データそれぞれの処理を担当するユーザ(以下、「担当ユーザ」という)を示す情報をユーザ端末3に表示させる。また、データ処理装置1は、特定した属性に基づいて、複数の新規請求書データそれぞれに含まれる一以上の所定文字列を、ユーザが作業をしやすい順番に並べた状態でユーザ端末3に表示させてもよい。
【0027】
一例として、データ処理装置1が新規請求書データの属性に基づいて担当ユーザを決定するために、データ処理装置1の記憶部には、請求書データを処理する複数のユーザを識別するためのユーザ識別情報と、ユーザが処理を担当する請求書データの属性とが関連付けられた第1ユーザデータが記憶されている。ユーザ識別情報は、例えば、ユーザの氏名又は社員番号である。データ処理装置1は、記憶部から読み出した第1ユーザデータを参照することにより、特定した新規請求書データの属性に関連付けられているユーザ識別情報が示すユーザを特定し、特定したユーザを、新規請求書データを処理する担当ユーザに決定する。
【0028】
また、データ処理装置1が新規請求書データの属性に基づいて複数の所定文字列を並び替えるために、データ処理装置1の記憶部には、それぞれ異なる属性を有する複数の新規請求書データを処理する順序を示す処理順序パターンが記憶されている。データ処理装置1は、記憶部から読み出した処理順序パターンを参照することにより、複数の新規請求書データそれぞれの属性に対応する順序に複数の新規請求書データに含まれる所定文字列を並び替えた状態で、ユーザ端末3に所定文字列を表示させる。
【0029】
このように、データ処理装置1は、新規請求書データの属性に基づいて、複数の新規請求書データそれぞれの処理を担当するユーザを割り当てたり、特定した属性に基づいて複数の新規請求書データに含まれる所定文字列を並び替えたりすることで、担当ユーザが新規請求書データを処理する際の効率又は精度を向上させることができる。
【0030】
[データ処理装置1の構成]
図2は、データ処理装置1の構成を示す図である。データ処理装置1は、通信部11、記憶部12及び制御部13を備える。制御部13は、請求書データ取得部131、属性特定部132、決定部133、受付部134、出力部135及び処理時間特定部136を備える。
【0031】
通信部11は、ネットワーク(例えばイントラネット又はインターネット)に接続するための通信インターフェースであり、読取装置2からデータを受信したり、ユーザ端末3との間でデータを送受信したりするための通信コントローラを有する。記憶部12は、例えばROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びハードディスク等の記憶媒体を有する。記憶部12は、制御部13が実行するプログラムを記憶する。
【0032】
記憶部12には、請求書データを処理する複数のユーザ識別情報と、ユーザが処理を担当する請求書データの属性とが関連付けられた第1ユーザデータが記憶されている。第1ユーザデータは、請求書データを処理する担当ユーザを決定する際に参照される。属性は、上述したように、例えば、新規請求書データの会計処理を担当する人が行う作業の内容、作業の難易度、請求対象の商品若しくはサービスの種別、請求元の会社名、又は請求元の業界(宿泊業、飲食業等)である。
【0033】
記憶部12には、請求書データの属性と、請求書データを処理するために要する処理時間と、の関係を複数のユーザ識別情報に関連付けて示す処理時間データが記憶されている。処理時間は、過去にユーザが請求書データを処理した際に要した時間を測定することにより特定された時間であり、例えば、ユーザが請求書データにアクセスしてから請求書データのチェック、仕訳処理又は会計システムへの入力等の作業が終了するまでの時間である。処理時間データは、ユーザが新規請求書データを処理するのに要する時間を特定するために参照される。
【0034】
詳細については後述するが、処理時間特定部136は、例えば、ユーザが処理した新規請求書データの属性と、当該新規請求書データの処理に要した処理時間とをデータ処理装置1の管理者から受け付けることにより特定した処理時間データを記憶部12に記憶させる。処理時間特定部136は、ユーザが新規請求書データの処理に要する処理時間を測定し、複数のユーザと、処理時間が測定された新規請求書データの属性と測定した処理時間とを関連付けて記憶部12に記憶させてもよい。
【0035】
記憶部12には、複数のユーザのユーザ識別情報と、それぞれ異なる属性を有する複数の請求書データを処理する順序を示す処理順序パターンとが関連付けられた第2ユーザデータが記憶されていてもよい。処理順序パターンは、例えば、同一の請求元の請求書データを連続して処理するというパターン、又は長い処理時間を要する請求書データを短い処理時間を要する請求書データよりも先に処理するというパターンであり、予めユーザ又はユーザの管理者により設定されている。
【0036】
記憶部12は、請求書に記載されている文字列(例えば請求元名又は請求対象の商品・サービス名)と、請求書の処理の内容とを関連付けた処理内容データを記憶していてもよい。処理の内容は、例えば単一仕訳をするか複合仕訳をするかといった内容、又はデータ処理装置1が自動的に仕訳をしてもよいかユーザが仕訳処理をするかといった内容である。
【0037】
制御部13は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。制御部13は、記憶部12に記憶されたプログラムを実行することにより、請求書データ取得部131、属性特定部132、決定部133、受付部134、出力部135及び処理時間特定部136として機能する。
【0038】
請求書データ取得部131は、通信部11を介して、読取装置2又はコンピュータ等の外部装置と通信する。請求書データ取得部131は、複数の新規請求書データを外部から取得する。本明細書の例では、請求書データ取得部131が複数の新規請求書データを読取装置2から取得するが、請求書データ取得部131は、外部のコンピュータから新規請求書データを取得してもよい。
【0039】
図3は、請求書データ取得部131が取得する新規請求書データに対応する請求書の例を示す図である。この新規請求書データには、請求書の請求元や請求金額等に対応する文字列が含まれている。請求書データ取得部131は、取得した新規請求書データを属性特定部132へ出力する。
【0040】
図2の説明に戻る。属性特定部132は、複数の新規請求書データの属性を特定する。例えば、属性特定部132は、新規請求書データの処理に要する作業内容を属性として特定する。より詳しくは、属性特定部132は、新規請求書データをOCR(Optical character recognition)処理することにより、新規請求書データに含まれる請求書識別情報、日付、請求額等の情報を抽出する。属性特定部132は、抽出した情報に基づいて、新規請求書データの属性を特定する。
【0041】
一例としては、属性特定部132は、記憶部12に記憶された処理内容データを参照することにより、新規請求書データの処理に要する作業内容に、1行の仕訳である単一仕訳に対応する仕訳処理が含まれるか、複数行の仕訳である複合仕訳に対応する仕訳処理が含まれるかを属性として特定する。
【0042】
属性特定部132は、新規請求書データにおいて「振込手数料」等の複合仕訳に関連する所定文字列が含まれている場合に、複合仕訳に対応する仕訳処理が必要であることを属性として特定する。一方、属性特定部132は、新規請求書データにおいて複合仕訳に関連する所定文字列が含まれていない場合に、単一仕訳に対応する仕訳処理が必要であることを属性として特定する。属性特定部132が特定する属性は、作業の難易度、請求対象の商品若しくはサービスの種別、請求元の会社名、又は請求元の業界であってもよい。属性特定部132は、特定した属性を示す情報を決定部133へ出力する。
【0043】
[担当ユーザの決定]
決定部133は、複数の新規請求書データのそれぞれを処理する担当ユーザを決定する。決定部133は、記憶部12に記憶されている第1ユーザデータを参照することにより、属性特定部132が特定した属性に関連付けられたユーザ識別情報に対応するユーザを、新規請求書データの処理を担当する担当ユーザに決定する。
【0044】
図4は、第1ユーザデータの一例を示す図である。
図4に示す第1ユーザデータの例では、請求書データを処理する複数のユーザ識別情報(ユーザID)と、ユーザが担当可能な請求書データの属性とが関連付けられている。「発行元」は、各ユーザが担当可能な発行元を示している。「単一仕訳」及び「複合仕訳」における〇印は、ユーザが処理を可能であることを示しており、×印はユーザが処理をできないことを示している。「対応可能難易度」は、ユーザが対応可能な処理の難易度を示している。「新規発行元」における〇印は、今までに処理をした実績がない発行元の請求書データの処理を担当可能であることを示している。
【0045】
決定部133は、新規請求書データの属性が、T社が発行した請求書であり、単一仕訳でよく、新規発行元ではない場合、ユーザ「A」から「C」のうちいずれかのユーザを担当ユーザに決定する。一方、決定部133は、新規請求書データの属性が、S社が発行した請求書であり複合仕訳が必要である場合は、ユーザ「B」又はユーザ「C」を担当ユーザに決定し、新規請求書データの属性が、新規発行元であることを示している場合はユーザ「C」を担当ユーザに決定する。
【0046】
このように、決定部133は、属性特定部132が属性として単一仕訳に対応する処理が必要であることを特定した新規請求書データに対応する担当ユーザを、属性特定部132が複合仕訳に対応する仕訳処理が必要であることを属性として特定した新規請求書データに対応する担当ユーザと異なるユーザに決定してもよい。例えば、決定部133は、属性特定部132が、新規請求書データの属性が単一仕訳が必要な属性であることを特定した新規請求書データに対応する担当ユーザをユーザ「A」に決定した場合、属性特定部132が、新規請求書データの属性が複合仕訳に対応する処理が必要な属性であることを特定した新規請求書データに対応する担当ユーザをユーザ「A」と異なり、複合仕訳の処理が得意なユーザに決定する。このように、決定部133が、新規請求書データの処理に適したユーザに新規請求書データを割り当てることで、新規請求書データの処理時間を短縮できるとともにミスが抑制されるので、組織全体での業務効率が向上する。
【0047】
決定部133は、属性特定部132が特定した属性に関連付けられたユーザがユーザデータに含まれていない場合、複数のユーザのうち所定のユーザを、この属性に対応する新規請求書データを処理する担当ユーザに決定する。所定のユーザは、例えば、第1ユーザデータに含まれていない新規の属性を有する請求書データの処理を担当な可能なユーザとして予め設定されたユーザである。
図4に示す第1ユーザデータでは、ユーザ「C」が、第1ユーザデータに含まれていない新規の属性を有する請求書データの処理を担当することが示されている。したがって、決定部133は、ユーザ「C」をこの新規の属性の新規請求書データを処理する担当ユーザに決定する。属性に関連付けられたユーザがユーザデータに含まれていない場合に決定部133が新規の属性を有する請求書データの処理を担当な可能な経験が豊富なユーザを割り当てることによっても、新規請求書データの処理時間を短縮できるとともにミスが抑制されるので、組織全体での業務効率が向上する。
【0048】
[処理時間に基づく担当ユーザの決定]
また、決定部133は、属性特定部132が特定した属性に第1ユーザデータにおいて複数のユーザが関連付けられている場合には、これらの複数のユーザそれぞれが新規請求書データを処理するために要する推定処理時間に基づいて、担当ユーザを決定してもよい。より詳しくは、決定部133は、記憶部12に記憶されている処理時間データを参照して、属性特定部132が特定した属性に対応する新規請求書データを複数のユーザそれぞれが処理するために要する推定処理時間を推定する。
【0049】
例えば、決定部133は、作業内容に複合仕訳に対応する処理を含む属性であることを属性特定部132が特定した場合に、複数のユーザそれぞれがこの新規請求書データを処理するのに要する推定処理時間を推定する。決定部133は、推定した推定処理時間に基づいて、担当ユーザを決定してもよい。例えば、決定部133は、推定した推定処理時間が最も短いユーザを担当ユーザに決定する。決定部133は、決定した担当ユーザを示す担当ユーザ情報を出力部135へ出力する。決定部133は、複数の新規請求書データの推定処理時間の合計値が最短になるように、新規請求書データの担当ユーザを決定してもよい。このように決定部133が推定処理時間に基づいて担当ユーザを決定することで、組織全体の業務効率が向上する。
【0050】
受付部134は、通信部11を介して、ユーザ端末3と通信する。受付部134は、新規請求書データを請求書データ取得部131が取得する前に、記憶部12に予め記憶されている複数の処理順序パターンの候補から一つの処理順序パターンを選択するユーザの指示を受け付ける。受付部134は、指示をしたユーザのユーザ識別情報と、選択された処理順序パターンとを関連付けて第2ユーザデータとして記憶部12に記憶させる。
【0051】
[出力データの出力]
出力部135は、通信部11を介して、ユーザ端末3と通信する。出力部135は、新規請求書データに含まれる一以上の所定文字列に関連付けて、この新規請求書データを処理する担当ユーザとして決定部133が決定したユーザを示す担当ユーザ情報を出力する。
【0052】
図5は、出力部135がユーザ端末3に出力する出力データの例を示す図である。
図5の例では、一つの新規請求書データから抽出された情報が1行にまとめられている。出力データは、請求書を識別するための請求書識別情報、決定部133が決定した担当ユーザ、及び発行日又は請求元等のように新規請求書データに含まれている文字列を含む。出力データは、新規請求書データに対応する借方勘定科目及び貸方勘定科目等の勘定科目をさらに含んでもよい。
【0053】
図5の最上段の例は、請求書識別情報「T01001」の請求書の新規請求書データを処理する担当ユーザがユーザ「A」であることを示す。この請求書識別情報「T01001」の請求書の発行日は2021年4月21日であり、請求元はT社である。
図5の中段における例は、請求書識別情報「S00221」を含む新規請求書データを処理する担当ユーザがユーザ「B」であり、請求書の発行日が2021年4月27日であり、請求元がS社であることを示す。
【0054】
このようにして、出力部135は、新規請求書データから抽出された情報と、決定部133が決定した担当ユーザとを関連付けて出力する。このため、担当ユーザは、自分が処理するべき新規請求書データを容易に把握することができる。担当ユーザには、担当ユーザのスキルに適した新規請求書データが割り当てられているので、担当ユーザは効率良く新規請求書データを処理することができる。
【0055】
出力部135は、記憶部12に記憶されている処理順序パターンに対応する順序に複数の新規請求書データに含まれる一以上の所定文字列を並び替えた状態で、複数の所定文字列を出力してもよい。より詳しくは、出力部135は、記憶部12に記憶されている第2ユーザデータを参照して、決定部133が決定した担当ユーザのユーザ識別情報に関連付けられた処理順序パターンを特定する。出力部135は、この担当ユーザに割り当てられた複数の新規請求書データに含まれる一以上の所定文字列を、特定した処理順序パターンに基づく順序に並び替えて出力してもよい。
【0056】
図6及び
図7は、出力部135による請求書所定文字列の並び替えの例を示す図である。
図6は、請求対象の種別に対応する順番に複数の新規請求書データが並べ替えられた状態を示す例である。出力部135は、第2ユーザデータにおいてユーザ「A」に関連付けられた処理順序パターンに基づいて、複数の新規請求書データを並べ替える。
【0057】
図6に示す例では、ユーザAが請求書データを処理する場合、請求対象の商品・サービス名が自動車部品である場合に処理に要する時間が最も大きいものとしている。また、
図6に示す例では、第2ユーザデータにおいてユーザAに関連付けられた処理順序パターンが、処理に要する時間が最も大きい属性の新規請求書パターンに対応する請求書データの請求書識別情報を最初に配置するという処理順序パターンであるものとしている。この場合、出力部135は、
図6に示すように、請求書の発行日又は請求元の順番ではなく、請求対象の商品・サービス名が自動車部品であることを属性特定部132がそれぞれ特定した複数の請求書データの請求書識別情報を最初に連続して並べて出力する。
【0058】
図7に示す例では、第2ユーザデータにおいてユーザAに関連付けられた処理順序パターンが、処理に要する時間が最も大きい属性の新規請求書パターンに対応する請求書データが分散して配置された状態にするという処理順序パターンであるものとしている。このとき、出力部135は、請求対象の商品・サービス名が自動車部品である属性に対応する請求書識別情報「B00123」、「X00243」、「Y00011」及び「L00101」の請求書データが分散して配置されるように複数の新規請求書データに含まれる一以上の所定文字列を並び替えて出力する。
図7の例では、出力部135は、請求対象の商品・サービス名が自動車部品の請求書データに含まれる一部の所定文字列を、1行ずつ間隔を空けて配置している。このようにして、出力部135は、担当ユーザが新規請求書データを処理しやすい順序に並べ替えるので、担当ユーザが新規請求書データを処理する効率を向上させることができる。
【0059】
出力部135は、属性特定部132が特定した作業内容が同一の複数の新規請求書データに含まれる一以上の所定文字列を連続して配置した状態において複数の所定文字列を出力してもよい。例えば、出力部135は、作業内容として単一仕訳に対応する処理が必要な属性の複数の新規請求書データの所定文字列が連続して配置した状態の出力データを出力してもよい。このようにして、出力部135は、作業内容が同一の新規請求書データをユーザが連続して処理できるように複数の新規請求書データに含まれる所定文字列を配置することにより、担当ユーザが複数の新規請求書データを処理する効率を向上させることができる。
【0060】
[処理時間の測定]
上述したように、処理時間特定部136は、データ処理装置1の管理者により入力された処理時間を特定してもよいが、管理者が、ユーザの処理時間を把握できていないという場合も想定される。そこで、処理時間特定部136は、ユーザが実際に請求書データを処理した時間を測定することにより処理時間を特定してもよい。
【0061】
処理時間特定部136は、通信部11を介して、ユーザ端末3と通信する。処理時間特定部136は、担当ユーザが処理した新規請求書データの属性に関連付けて、担当ユーザが新規請求書データを処理するために要した時間を処理時間として測定する。例えば、処理時間特定部136は、担当ユーザが新規請求書データの処理を開始するための操作を行ったことを示す開始通知情報を担当ユーザのユーザ端末3から取得する。処理時間特定部136は、担当ユーザが新規請求書データの処理を終了するための操作を行ったことを示す終了通知情報を担当ユーザのユーザ端末3から取得する。
【0062】
処理時間特定部136は、開始通知情報を取得してから終了通知情報を取得するまでの時間をこの新規請求書データを処理するのに要した処理時間として測定する。処理時間特定部136は、この新規請求書データの属性と、測定した処理時間と、担当ユーザのユーザ識別情報とを関連付けて、処理時間データとして記憶部12に記憶させる。処理時間特定部136は、処理時間を測定した新規請求書データと同じ属性と、測定対象の担当ユーザのユーザ識別情報とに関連付けられた処理時間が既に記憶部12に記憶されている場合には、既に記憶されている処理時間データを消去し、測定した処理時間を示す処理時間データを記憶部12に記憶させてもよい。
【0063】
1回の測定だけでは、処理時間の精度が低いということも想定される。そこで、処理時間特定部136は、記憶部12に記憶されている処理時間データが示す処理時間と、新たに測定した処理時間との統計値(例えば平均値又は中央値)に基づいて算出した処理時間を処理時間データとして記憶部12に記憶させてもよい。
【0064】
[データ処理装置1による担当ユーザの決定の処理手順1]
図8は、データ処理装置1による担当ユーザの決定の処理手順を示すフローチャートである。この処理手順は、読取装置2が請求書を読み取って新規請求書データを生成したときに開始する。本フローチャートにおいては、データ処理装置1が、新規請求書データの属性として仕訳方法を特定する例について説明を行う。
【0065】
まず、請求書データ取得部131は、新規請求書データを読取装置2から取得する(S101)。属性特定部132は、請求書データ取得部131が取得した新規請求書データの属性として仕訳方法を特定する(S102)。決定部133は、複合仕訳に対応する処理が必要であることを属性特定部132が特定したか否かを判定する(S103)。
【0066】
決定部133は、複合仕訳に対応する処理が必要でないと属性特定部132が判定した場合(S103のNO)、言い換えると、単一仕訳に対応する処理が必要であると判定した場合に、単一仕訳に対応する処理が必要な新規請求書データを担当可能なユーザが第1ユーザデータに記憶されているか否かを判定する(S104)。決定部133は、単一仕訳に対応する処理が必要な新規請求書データを担当可能なユーザが第1ユーザデータに記憶されていると判定した場合に(S104のYES)、単一仕訳に対応する処理が必要な新規請求書データを担当可能なユーザを担当ユーザに決定する(S105)。
【0067】
出力部135は、請求書データ取得部131が全ての新規請求書データを取得したか否かを判定する(S106)。出力部135は、請求書データ取得部131が全ての新規請求書データを取得したと判定した場合に(S106のYES)、新規請求書データに含まれる所定文字列と、決定部133が決定した担当ユーザを示す情報とを関連付けた出力データを出力し(S107)、処理を終了する。
【0068】
決定部133は、S103の判定において属性特定部132が属性として複合仕訳に対応する処理が必要であると判定した場合(S103のYES)、複合仕訳に対応する処理が必要な新規請求書データを担当可能なユーザが第1ユーザデータに記憶されているか否かを判定する(S108)。決定部133は、複合仕訳に対応する処理が必要な新規請求書データを担当可能なユーザが第1ユーザデータに記憶されていないと判定した場合に(S108のNO)、新規の属性を有する任意の請求書データの処理を対応可能なユーザとして予め設定されたユーザを担当ユーザに決定し(S109)、S106の判定に移る。
【0069】
決定部133は、S108の判定において複合仕訳に対応する処理が必要な新規請求書データを担当可能なユーザが第1ユーザデータに記憶されていると判定した場合に(S108のYES)、複合仕訳に対応する仕訳内容が含まれている属性の新規請求書データを担当可能なユーザを担当ユーザに決定し(S110)、S106の判定に移る。
【0070】
決定部133は、S104の判定において単一仕訳に対応する処理が必要な新規請求書データを担当可能なユーザが第1ユーザデータに記憶されていないと判定した場合に(S104のNO)、新規の属性を有する任意の請求書データの処理を対応可能なユーザとして予め設定されたユーザを担当ユーザに決定し(S109)、S106の判定に移る。出力部135は、S106において請求書データ取得部131が一部の新規請求書データを取得していないと判定した場合に(S106のNO)、S101の処理に戻る。
【0071】
[データ処理装置1による担当ユーザの決定の処理手順2]
図9は、データ処理装置1による担当ユーザの決定の処理手順の他の例を示すフローチャートである。この処理手順は、読取装置2が請求書を読み取って新規請求書データを生成したときに開始する。本フローチャートにおいては、決定部133は、複数のユーザそれぞれが処理するために要すると推定される推定処理時間に基づいて、担当ユーザを決定する例について説明する。
【0072】
まず、請求書データ取得部131は、新規請求書データを読取装置2から取得する(S201)。属性特定部132は、請求書データ取得部131が取得した新規請求書データの属性を特定する(S202)。決定部133は、属性特定部132が特定した属性の新規請求書データを担当可能な複数のユーザが第1ユーザデータに記憶されているか否かを判定する(S203)。
【0073】
決定部133は、属性特定部132が特定した属性の新規請求書データを担当可能な複数のユーザが第1ユーザデータに記憶されていると判定した場合に(S203のYES)、決定部133は、記憶部12に記憶されている処理時間データを読み出す。決定部133は、属性特定部132が特定した属性に対応する新規請求書データを複数のユーザそれぞれが処理するために要する推定処理時間が処理時間データに記憶されているか否かを判定する(S204)。
【0074】
決定部133は、属性特定部132が特定した属性に対応する新規請求書データを複数のユーザそれぞれが処理するために要する推定処理時間が処理時間データに記憶されている場合に(S204のYES)、この推定処理時間が最も短いユーザを担当ユーザに決定する(S205)。出力部135は、請求書データ取得部131が全ての新規請求書データを取得したか否かを判定する(S206)。出力部135は、請求書データ取得部131が全ての新規請求書データを取得したと判定した場合に(S206のYES)、新規請求書データに含まれる所定文字列と、決定部133が決定した担当ユーザを示す情報とを関連付けた出力データを出力し(S207)、処理を終了する。
【0075】
決定部133は、S203の判定において属性特定部132が特定した属性の新規請求書データを担当可能なユーザが1人だけ第1ユーザデータに含まれていると判定した場合に(S203のNO)、属性特定部132が特定した属性に第1ユーザデータにおいて対応するユーザを、新規請求書データの処理を担当する担当ユーザとして決定し(S209)、S206の判定に移る。
【0076】
決定部133は、S204の判定において属性特定部132が特定した属性に対応する新規請求書データを複数のユーザそれぞれが処理するために要する推定処理時間が処理時間データに記憶されていない場合に(S204のNO)、属性特定部132が特定した属性の新規請求書データを担当可能な複数のユーザのうち、担当ユーザとして決定された新規請求書データの数が少ない方のユーザを担当ユーザに決定し(S208)、S206の判定に移る。決定部133は、S206の判定において請求書データ取得部131が一部の新規請求書データを取得していないと判定した場合に(S206のNO)、S201の処理に戻る。
【0077】
なお、決定部133が推定処理時間のみに基づいて担当ユーザを決定すると、一部のユーザに業務が集中してしまう場合がある。そこで、決定部133は、所定の数以上の新規請求書データを担当するユーザ、又は担当する新規請求書データの処理に要する推定処理時間の合計値が閾値以上であるユーザがいる場合、当該ユーザに対応する推定処理時間が最短であっても、次に推定処理時間が短い他のユーザを担当ユーザに決定してもよい。また、決定部133は、複数のユーザによる複数の新規請求書データの処理に要する推定処理時間の合計値が最短になるように、それぞれの新規請求書データの担当ユーザを決定してもよい。
【0078】
[第1の実施形態によるデータ処理装置1の効果]
第1の実施形態によれば、決定部133は、新規請求書データの属性に対応するユーザを、新規請求書データを処理する担当ユーザに決定する。このようにして、決定部133は、担当ユーザが不得意な属性の新規請求書データをこの担当ユーザに担当させることを抑制することができるので、担当ユーザが新規請求書データを処理する際の効率又は精度を向上させることができる。そして、複数のユーザが属する組織における業務効率が向上する。
【0079】
<第2の実施形態>
第2の実施形態では、データ処理装置が担当ユーザを決定せず、複数の新規請求書データに対応する複数の所定文字列を並べ替えて出力する場合の例について説明する。
図10は、第2の実施形態のデータ処理装置200の構成を示す図である。データ処理装置200は、識別情報取得部201を備え、決定部133を備えていない点において
図2のデータ処理装置1と相違する。
図2のデータ処理装置1と同様の構成については、
図2と同じ符号を付して説明を省略する。
【0080】
識別情報取得部201は、通信部11を介して、ユーザ端末3と通信する。識別情報取得部201は、新規請求書データを処理するユーザを識別するためのユーザ識別情報を外部から取得する。
図9の例では、識別情報取得部201は、出力データの出力を要求する要求情報とともに、ユーザ識別情報をユーザ端末3から取得する。識別情報取得部201は、取得した要求情報及び識別情報を出力部135へ出力する。
【0081】
出力部135は、新規請求書データに含まれる一以上の文字列を並び替えて出力する。まず、出力部135は、識別情報取得部201が取得したユーザ識別情報に対応するユーザに関連付けて記憶部12の第2ユーザデータに記憶されている処理順序パターンを特定する。出力部135は、特定した処理順序パターンに対応する順序に複数の新規請求書データを並び替える。出力部135による新規請求書データの並び替えの方法については第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。出力部135は、複数の新規請求書データを並び替えた状態において複数の新規請求書データに含まれる一以上の所定文字列を出力する。
【0082】
図11は、出力部135が出力する出力データの例を示す図である。
図11に示す出力データは、担当ユーザを示す情報が含まれていない点を除いて、
図5の出力データと同様である。
【0083】
また、出力部135は、記憶部12の第2ユーザデータに記憶された処理順序パターンに対応する順序に複数の新規請求書データに対応する複数の所定文字列を並び替える例に限定されない。例えば、出力部135は、複数の担当ユーザにより新規請求書データが処理される場合に、新規請求書データを処理する担当ユーザが属する担当部署が共通の新規請求書データから抽出した複数の所定文字列を連続して配置した状態で出力データを出力してもよい。
【0084】
[データ処理装置200による所定文字列の並べ替えの処理手順]
図12は、データ処理装置200による所定文字列の並び替えの処理手順を示すフローチャートである。この処理手順は、読取装置2が請求書を読み取って新規請求書データを生成したときに開始する。
【0085】
まず、請求書データ取得部131は、複数の新規請求書データを読取装置2から取得する(S301)。属性特定部132は、請求書データ取得部131が取得した新規請求書データの属性を特定する(S302)。出力部135は、出力データを出力することを要求する要求情報及びユーザ識別情報を識別情報取得部201が取得した場合に、取得したユーザ識別情報に第2ユーザデータにおいて関連付けて処理順序パターンが登録されているか否かを判定する(S303)。
【0086】
出力部135は、取得したユーザ識別情報に関連付けて処理順序パターンが登録されていると判定した場合に(S303のYES)、この処理順序パターンに基づいて複数の新規請求書データに含まれる所定文字列を並び替えた状態で複数の所定文字列をユーザ端末3へ出力し(S304、S305)、処理を終了する。出力部135は、S303の判定において識別情報取得部201が取得したユーザ識別情報に関連付けられた処理順序パターンが第2ユーザデータに登録されていないと判定した場合に(S303のNO)、複数の新規請求書データに含まれる複数の所定文字列を並び替えずに出力データをユーザ端末3へ出力し(S306)、処理を終了する。
【0087】
[第2の実施形態のデータ処理装置200による効果]
第2の実施形態によれば、出力部135は、請求書データに含まれる所定文字列をユーザに適した順序に並び替えた状態で出力データを出力するので、ユーザが新規請求書データを処理する効率を向上させることができる。
【0088】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、請求書データは、読取装置2が読み取ることにより作成されたデータであることとしたが、これに限らず、コンピュータが作成したpdfファイル等の電子データであってもよい。また、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0089】
1 データ処理装置
2 読取装置
3 ユーザ端末
11 通信部
12 記憶部
13 制御部
131 請求書データ取得部
132 属性特定部
133 決定部
134 受付部
135 出力部
136 処理時間特定部
200 データ処理装置
201 識別情報取得部