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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022190665
(43)【公開日】2022-12-26
(54)【発明の名称】配線回路基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/18 20060101AFI20221219BHJP
   H05K 3/00 20060101ALI20221219BHJP
   H05K 3/06 20060101ALI20221219BHJP
【FI】
H05K3/18 A
H05K3/00 J
H05K3/00 K
H05K3/06 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022062685
(22)【出願日】2022-04-04
(31)【優先権主張番号】P 2021098999
(32)【優先日】2021-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103517
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 寛之
(74)【代理人】
【識別番号】100149607
【弁理士】
【氏名又は名称】宇田 新一
(72)【発明者】
【氏名】高倉 隼人
(72)【発明者】
【氏名】柴田 直樹
(72)【発明者】
【氏名】福井 玲
(72)【発明者】
【氏名】田中 智章
【テーマコード(参考)】
5E339
5E343
【Fターム(参考)】
5E339AB02
5E339AD01
5E339BC02
5E339BD08
5E339BE13
5E339GG10
5E343AA02
5E343AA18
5E343BB24
5E343BB67
5E343BB71
5E343DD43
5E343DD63
5E343FF16
5E343GG06
(57)【要約】
【課題】開口の近くに形成される導体パターンの厚みの均一化を図ることができる配線回路基板の製造方法を提供する。
【解決手段】
配線回路基板1の製造方法は、支持層11にパターン形成領域A11と開口形成領域A12とを設定する第1工程と、少なくともパターン形成領域A11内において、支持層11の上にベース絶縁層12を形成する第2工程と、電解メッキにより、パターン形成領域A11内のベース絶縁層12の上に導体パターン13を形成するとともに、開口形成領域A12内にダミーパターン22を形成する第3工程と、開口形成領域A12内の支持層11の少なくとも一部をエッチングする第4工程とを含む。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持層にパターン形成領域と開口形成領域とを設定する第1工程と、
少なくとも前記パターン形成領域内において、前記支持層の上に絶縁層を形成する第2工程と、
電解メッキにより、前記パターン形成領域内の前記絶縁層の上に導体パターンを形成するとともに、前記開口形成領域内にダミーパターンを形成する第3工程と、
前記開口形成領域内の前記支持層の少なくとも一部をエッチングする第4工程と
を含む、配線回路基板の製造方法。
【請求項2】
前記第2工程において、前記パターン形成領域内および前記開口形成領域内に前記絶縁層を形成し、
前記第3工程において、前記開口形成領域内の前記絶縁層の上に前記ダミーパターンを形成する、請求項1に記載の配線回路基板の製造方法。
【請求項3】
前記第1工程において、前記支持層に、前記パターン形成領域と前記開口形成領域とを含む製品領域と、前記製品領域と接続されるフレーム領域とを、さらに設定し、
前記第4工程において、前記開口形成領域内の前記支持層の全部をエッチングして、前記支持層に開口を形成し、前記製品領域と前記フレーム領域との間の前記支持層の一部をエッチングして、前記製品領域の形状に沿って配線回路基板の外形を形成するとともに、前記フレーム領域の形状に沿って、前記配線回路基板と接続されるフレームを形成し、
前記配線回路基板の製造方法は、
前記配線回路基板を前記フレームから切り取るとともに、前記開口内の前記絶縁層を、前記配線回路基板から切り取る第5工程を、さらに含む、請求項2に記載の配線回路基板の製造方法。
【請求項4】
前記第2工程において、前記パターン形成領域内に前記絶縁層を形成し、前記開口形成領域内に前記絶縁層を形成せず、
前記第3工程において、前記開口形成領域内の前記支持層の上に前記ダミーパターンを形成する、請求項1に記載の配線回路基板の製造方法。
【請求項5】
前記第4工程において、前記開口形成領域内の前記支持層の全部をエッチングする、請求項4に記載の配線回路基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線回路基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、支持基板上に、配線パターンとダミーパターンとを形成する、プリント配線板の製造方法が知られている(例えば、下記特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-273498号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されるようなプリント配線板に、開口を形成したい場合がある。この場合、特許文献1に記載されるような方法では、プリント配線板が形成される領域の外側にダミーパターンが形成されているので、開口の近くに形成される配線パターンの厚みの均一化を図ることが困難である。
【0005】
本発明は、開口の近くに形成される導体パターンの厚みの均一化を図ることができる配線回路基板の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明[1]は、支持層にパターン形成領域と開口形成領域とを設定する第1工程と、少なくとも前記パターン形成領域内において、前記支持層の上に絶縁層を形成する第2工程と、電解メッキにより、前記パターン形成領域内の前記絶縁層の上に導体パターンを形成するとともに、前記開口形成領域内にダミーパターンを形成する第3工程と、前記開口形成領域内の前記支持層の少なくとも一部をエッチングする第4工程とを含む、配線回路基板の製造方法を含む。
【0007】
このような方法によれば、第3工程において、パターン形成領域内の導体パターンを、開口形成領域内のダミーパターンとともに形成できる。
【0008】
そのため、メッキ液中において、導体パターンの周囲の金属イオン濃度の均一化を図ることができる。
【0009】
その結果、開口の近くに形成される導体パターンの厚みの均一化を図ることができる。
【0010】
本発明[2]は、前記第2工程において、前記パターン形成領域内および前記開口形成領域内に前記絶縁層を形成し、前記第3工程において、前記開口形成領域内の前記絶縁層の上に前記ダミーパターンを形成する、上記[1]の配線回路基板の製造方法を含む。
【0011】
このような方法によれば、開口形成領域内に絶縁層を形成し、その絶縁層でダミーパターンを支持できる。
【0012】
そのため、開口形成領域内の支持層の全部がエッチングされても、絶縁層でダミーパターンを支持できる。
【0013】
本発明[3]は、前記第1工程において、前記支持層に、前記パターン形成領域と前記開口形成領域とを含む製品領域と、前記製品領域と接続されるフレーム領域とを、さらに設定し、前記第4工程において、前記開口形成領域内の前記支持層の全部をエッチングして、前記支持層に開口を形成し、前記製品領域と前記フレーム領域との間の前記支持層をエッチングして、前記製品領域の形状に沿って配線回路基板の外形を形成するとともに、前記フレーム領域の形状に沿って、前記配線回路基板と接続されるフレームを形成し、前記配線回路基板の製造方法が、前記配線回路基板を前記フレームから切り取るとともに、前記開口内の前記絶縁層を、前記配線回路基板から切り取る第5工程を、さらに含む、上記[2]の配線回路基板の製造方法を含む。
【0014】
このような方法によれば、開口形成領域内の支持層の全部をエッチングして、支持層に開口を形成した後、開口内の絶縁層を切り取ることにより、簡単に、ダミーパターンを除去できる。
【0015】
本発明[4]は、前記第2工程において、前記パターン形成領域内に前記絶縁層を形成し、前記開口形成領域内に前記絶縁層を形成せず、前記第3工程において、前記開口形成領域内の前記支持層の上に前記ダミーパターンを形成する、上記[1]の配線回路基板の製造方法を含む。
【0016】
このような方法によれば、開口形成領域内の支持層でダミーパターンを支持できる。
【0017】
本発明[5]は、前記第4工程において、前記開口形成領域内の前記支持層の全部をエッチングする、上記[4]の配線回路基板の製造方法を含む。
【0018】
このような方法によれば、開口形成領域内の支持層の全部をエッチングすることにより、簡単に、ダミーパターンを除去できる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の配線回路基板の製造方法によれば、開口の近くに導体パターンを形成する場合であっても、導体パターンの厚みの均一化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、本発明の一実施形態としての配線回路基板の平面図である。
図2図2は、図1に示す配線回路基板のA-A断面図である。
図3図3Aおよび図3Bは、配線回路基板の製造方法を説明するための説明図である。図3Aは、支持層にパターン形成領域と開口形成領域とを設定する工程(第1工程)を示す。図3Bは、図3Aに続いて、パターン形成領域内にベース絶縁層を形成し、開口形成領域内にダミー絶縁層を形成する工程(第2工程)を示す。
図4図4は、図3Bに示す支持層、ベース絶縁層およびダミー絶縁層の平面図である。図3Bは、図4に示す支持層、ベース絶縁層およびダミー絶縁層のB-B断面図である。
図5図5Aから図5Cは、図3Bに続いて、配線回路基板の製造方法を説明するための説明図である。図5Aは、図3Bに続いて、ベース絶縁層およびダミー絶縁層の上にシード層を形成する工程を示す。図5Bは、図5Aに続いて、シード層が形成されたベース絶縁層およびダミー絶縁層の上にメッキレジストを貼り合わせて、露光する工程を示す。図5Cは、図5Bに続いて、露光されたメッキレジストを現像する工程を示す。
図6図6Aから図6Cは、図5Cに続いて、配線回路基板の製造方法を説明するための説明図である。図6Aは、図5Cに続いて、電解メッキにより導体パターンおよびダミーパターンを形成する工程(第3工程)を示す。図6Bは、図6Aに続いて、メッキレジストを剥離する工程を示す。図6Cは、図6Bに続いて、メッキレジストによって覆われていたシード層を、エッチングにより除去する工程を示す。
図7図7は、図6Cに示す支持層、ベース絶縁層、ダミー絶縁層、導体パターンおよびダミーパターンの平面図である。図6Cは、図7に示す支持層、ベース絶縁層、ダミー絶縁層、導体パターンおよびダミーパターンのC-C断面図である。
図8図8Aおよび図8Bは、図6Cに続いて、配線回路基板の製造方法を説明するための説明図である。図8Aは、図6Cに続いて、カバー絶縁層を形成する工程を示す。図8Bは、図8Aに続いて、支持層をエッチングする工程(第4工程)を示す。
図9図9Aから図9Cは、変形例(1)を説明するための説明図である。図9Aは、パターン形成領域内にベース絶縁層を形成し、開口形成領域内にダミー絶縁層を形成しない工程(第2工程)を示す。図9Bは、図9Aに続いて、開口形成領域内の支持層の上にダミーパターンを形成する工程(第3工程)を示す。図9Cは、図9Bに続いて、支持層をエッチングする工程(第4工程)を示す。
図10図10は、図9Cに示す支持層、ベース絶縁層、ダミー絶縁層、導体パターンおよびダミーパターンの平面図である。図9Cは、図10に示す支持層、ベース絶縁層、ダミー絶縁層、導体パターンおよびダミーパターンのD-D断面図である。
図11図11は、変形例(3)を説明するための説明図であって、第3工程において、開口形成領域の周縁部において支持層の上にダミーパターンを形成し、開口形成領域の中央部にはダミーパターン22を形成しない場合を示す。
図12図12は、図11とともに変形例(3)を説明するための説明図であって、第3工程において、開口形成領域の全域において支持層の上にダミーパターンを形成する場合を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
1.配線回路基板
図1に示すように、配線回路基板1は、第1方向および第2方向に延びる。本実施形態では、配線回路基板1は、略矩形状を有する。なお、配線回路基板1の形状は、限定されない。配線回路基板1は、開口10を有する。
【0022】
本実施形態では、開口10は、第1方向における配線回路基板1の中央、かつ、第2方向における配線回路基板1の中央に配置される。開口10は、第1方向および第2方向に延びる。開口10は、略矩形状を有する。なお、配線回路基板1における開口10の位置、および、開口10の形状は、限定されない。
【0023】
図2に示すように、配線回路基板1は、支持層11と、絶縁層の一例としてのベース絶縁層12と、導体パターン13と、カバー絶縁層14とを有する。
【0024】
(1-1)支持層
支持層11は、ベース絶縁層12、導体パターン13、および、カバー絶縁層14を支持する。本実施形態では、支持層11は、金属箔からなる。金属として、例えば、ステンレス合金、および、銅合金が挙げられる。
【0025】
(1-2)ベース絶縁層
ベース絶縁層12は、配線回路基板1の厚み方向において、支持層11の上に配置される。厚み方向は、第1方向および第2方向と直交する。ベース絶縁層12は、厚み方向において、支持層11と導体パターン13との間に配置される。ベース絶縁層12は、支持層11と導体パターン13とを絶縁する。ベース絶縁層12は、樹脂からなる。樹脂として、例えば、ポリイミドが挙げられる。
【0026】
(1-3)導体パターン
導体パターン13は、厚み方向において、ベース絶縁層12の上に配置される。導体パターン13は、厚み方向において、ベース絶縁層12に対して、支持層11の反対側に配置される。導体パターン13は、開口10の周りに配置される。導体パターン13は、金属からなる。金属として、例えば、銅が挙げられる。導体パターン13の形状は、限定されない。
【0027】
本実施形態では、図1に示すように、導体パターン13は、複数の端子131A,131B,131C,131Dと、複数の端子132A,132B,132C,132Dと、複数の配線133A,133B,133C,133Dとを有する。なお、端子の数、および、配線の数は、限定されない。
【0028】
(1-3-1)端子
本実施形態では、端子131A,131B,131C,131Dは、第2方向における配線回路基板1の一端部に配置される。端子131A,131B,131C,131Dは、第2方向において、開口10に対して一方側に配置される。端子131A,131B,131C,131Dは、互いに間隔を隔てて、第1方向に並ぶ。端子131A,131B,131C,131Dのそれぞれは、角ランド形状を有する。
【0029】
本実施形態では、端子132A,132B,132C,132Dは、第2方向における配線回路基板1の他端部に配置される。端子131A,131B,131C,131Dは、第2方向において、開口10に対して他方側に配置される。端子132A,132B,132C,132Dは、互いに間隔を隔てて、第1方向に並ぶ。端子132A,132B,132C,132Dのそれぞれは、角ランド形状を有する。
【0030】
(1-3-2)配線
配線133Aの一端は、端子131Aと接続する。配線133Aの他端は、端子132Aと接続する。配線133Aは、端子131Aと端子132Aとを電気的に接続する。
【0031】
配線133Bの一端は、端子131Bと接続する。配線133Bの他端は、端子132Bと接続する。配線133Bは、端子131Bと端子132Bとを電気的に接続する。
【0032】
配線133Cの一端は、端子131Cと接続する。配線133Cの他端は、端子132Cと接続する。配線133Cは、端子131Cと端子132Cとを電気的に接続する。
【0033】
配線133Dの一端は、端子131Dと接続する。配線133Dの他端は、端子132Dと接続する。配線133Dは、端子131Dと端子132Dとを電気的に接続する。
【0034】
なお、以下の説明において、複数の端子131A,131B,131C,131Dのそれぞれを、端子131と記載し、複数の端子132A,132B,132C,132Dのそれぞれを、端子132と記載し、複数の配線133A,133B,133C,133Dのそれぞれを、配線133と記載する。
【0035】
(1-4)カバー絶縁層
図1に示すように、カバー絶縁層14は、全ての配線133を覆う。カバー絶縁層14は、厚み方向において、ベース絶縁層12の上に配置される。なお、カバー絶縁層14は、端子131および端子132を覆わない。カバー絶縁層14は、樹脂からなる。樹脂としては、例えば、ポリイミドが挙げられる。
【0036】
2.配線回路基板の製造方法
次に、配線回路基板1の製造方法について説明する。
【0037】
本実施形態では、配線回路基板1は、セミアディティブ法により製造される。配線回路基板1は、アディティブ法により製造されてもよい。配線回路基板1の製造方法は、第1工程(図3A参照)と、第2工程(図3B参照)と、第3工程(図5Aから図6C参照)と、第4工程(図8B参照)と、第5工程(図8Bおよび図2参照)とを含む。
【0038】
(1)第1工程
図3Aに示すように、第1工程では、支持層11に、製品領域A1とフレーム領域A2とを設定する。本実施形態では、支持層11は、金属箔のロールから引き出された金属箔である。
【0039】
上記した配線回路基板1は、製品領域A1に製造される。製品領域A1は、パターン形成領域A11と開口形成領域A12とを含む。言い換えると、第1工程では、支持層にパターン形成領域A11と開口形成領域A12とを設定する。パターン形成領域A11は、開口形成領域A12外に配置される。パターン形成領域A11は、開口形成領域A12を囲む。上記したベース絶縁層12、導体パターン13およびカバー絶縁層14は、パターン形成領域A11に形成される。上記した開口10は、開口形成領域A12に形成される。
【0040】
フレーム領域A2は、製品領域A1外に設定される。フレーム領域A2は、製品領域A1と接続される。フレーム領域A2には、配線回路基板1を支持するフレームが、形成される。
【0041】
(2)第2工程
次に、図3Bに示すように、第2工程では、少なくともパターン形成領域A11内において、支持層11の上に絶縁層を形成する。本実施形態では、パターン形成領域A11内および開口形成領域A12内に絶縁層を形成する。
【0042】
詳しくは、図4に示すように、パターン形成領域A11内に、上記したベース絶縁層12を形成し、開口形成領域A12内に、ダミー絶縁層21を形成する。
【0043】
ダミー絶縁層21は、ダミーパターン22(図7参照)を支持する。ダミーパターン22については、後で説明する。ダミー絶縁層21は、支持部211と、少なくとも1つの接続部212とを有する。本実施形態では、ダミー絶縁層21は、複数の接続部212を有する。
【0044】
支持部211は、ダミーパターン22を支持する。支持部211は、ベース絶縁層12から離れて配置される。本実施形態では、支持部211は、略矩形状を有する。なお、支持部211の形状は、限定されない。
【0045】
複数の接続部212のそれぞれは、支持部211とベース絶縁層12との間に配置される。複数の接続部212のそれぞれは、支持部211およびベース絶縁層12と接続される。これにより、ダミー絶縁層21は、ベース絶縁層12と接続される。
【0046】
ベース絶縁層12およびダミー絶縁層21を形成するには、まず、支持層11の上に感光性樹脂の溶液(ワニス)を塗布して乾燥し、感光性樹脂の塗膜を形成する。次に、感光性樹脂の塗膜を露光および現像する。これにより、ベース絶縁層12およびダミー絶縁層21が、支持層11の上に形成される。
【0047】
(3)第3工程
次に、図5Aから図6Cに示すように、第3工程では、電解メッキにより、パターン形成領域A11内のベース絶縁層12の上に、導体パターン13を形成するとともに、開口形成領域A12内のダミー絶縁層21の上にダミーパターン22を形成する。
【0048】
詳しくは、電解メッキにより導体パターン13およびダミーパターン22を形成するには、まず、図5Aに示すように、ベース絶縁層12およびダミー絶縁層21の表面にシード層23を形成する。シード層23は、例えば、スパッタリングにより形成される。シード層23の材料としては、例えば、クロム、銅、ニッケル、チタン、および、これらの合金が挙げられる。
【0049】
次に、図5Bに示すように、シード層23が形成されたベース絶縁層12およびダミー絶縁層21の上に、メッキレジストRを貼り合わせて、導体パターン13(図7参照)およびダミーパターン22(図7参照)が形成される部分を遮光した状態で、メッキレジストRを露光する。
【0050】
次に、図5Cに示すように、露光されたメッキレジストRを現像する。すると、遮光された部分のメッキレジストRが除去され、導体パターン13およびダミーパターン22が形成される部分にシード層23が露出する。なお、露光された部分、すなわち、導体パターン13およびダミーパターン22が形成されない部分のメッキレジストRは、残る。
【0051】
次に、図6Aに示すように、露出したシード層23の上に、電解メッキにより、導体パターン13およびダミーパターン22を形成する。
【0052】
このとき、導体パターン13は、ダミーパターン22とともに形成される。そのため、メッキ液中において、製品領域A1の周囲の金属イオン濃度の均一化を図ることができ、導体パターン13の厚みの均一化を図ることができる。
【0053】
次に、図6Bに示すように、電解メッキが終了した後、メッキレジストRを剥離する。
【0054】
次に、図6Cに示すように、メッキレジストRによって覆われていたシード層23を、エッチングにより除去する。
【0055】
これにより、図7に示すように、導体パターン13が、ベース絶縁層12の上に形成され、ダミーパターン22が、ダミー絶縁層21の上に形成される。
【0056】
次に、図8Aに示すように、ベース絶縁層12の形成と同様にして、ベース絶縁層12および導体パターン13の上にカバー絶縁層14を形成する。なお、本実施形態では、ダミー絶縁層21およびダミーパターン22の上にカバー絶縁層14を形成していないが、ダミー絶縁層21およびダミーパターン22の上にカバー絶縁層14を形成してもよい。
【0057】
(4)第4工程
次に、図8Bに示すように、第4工程では、開口形成領域A12内の支持層11の全部をエッチングして、支持層11に開口10を形成する。また、第4工程において、製品領域A1とフレーム領域A2との間の支持層11をエッチングして、製品領域A1の形状に沿って配線回路基板1の外形を形成するとともに、フレーム領域A2の形状に沿ってフレームFを形成する。
【0058】
支持層11をエッチングするには、支持層11のうちのエッチングしない部分をエッチングレジストでカバーして、支持層11をエッチング液に浸漬する。
【0059】
すると、開口形成領域A12内の支持層11の全部がエッチングされて、開口10が形成される。
【0060】
このとき、ダミーパターン22は、ダミー絶縁層21に支持されているので、開口形成領域A12内の支持層11の全部がエッチングされても、エッチング液中に脱落しない。そのため、エッチング液中に脱落したダミーパターン22を回収する装置が無くても、開口形成領域A12内にダミーパターン22を設けることができる。
【0061】
また、製品領域A1とフレーム領域A2との間の支持層11の一部がエッチングされて、配線回路基板1の外形が形成されるとともに、フレームFが形成される。フレームFは、配線回路基板1と接続される。これにより、開口10を有する配線回路基板1と、開口10内に配置されるダミーパターン22と、配線回路基板1を支持するフレームFとを有する集合体シートが得られる。
【0062】
(5)第5工程
次に、図2に示すように、第5工程では、配線回路基板1をフレームFから切り取るとともに、開口10内のダミー絶縁層21を、配線回路基板1から切り取る。
【0063】
これにより、配線回路基板1が得られる。
【0064】
なお、配線回路基板1をフレームFから切り取る方法、および、ダミー絶縁層21を配線回路基板1から切り取る方法は、限定されない。例えば、配線回路基板1とフレームFとの接続部分、および、ダミー絶縁層21の接続部212(図7参照)をカッター、金型による打ち抜き、レーザー加工などで切断することにより、配線回路基板1をフレームFから切り取り、ダミー絶縁層21を配線回路基板1から切り取る。配線回路基板1の開口10の内面には、ダミー絶縁層21を切り取った痕跡が残っていてもよい。
【0065】
3.作用効果
(1)配線回路基板1の製造方法によれば、図6Cおよび図7に示すように、電解メッキにより、パターン形成領域A11内のベース絶縁層12の上に導体パターン13を形成するとともに、開口形成領域A12内のダミー絶縁層21の上にダミーパターン22を形成する。
【0066】
そのため、パターン形成領域A11内の導体パターン13を、開口形成領域A12内のダミーパターン22とともに形成できる。
【0067】
これにより、メッキ液中において、導体パターン13の周囲の金属イオン濃度の均一化を図ることができる。
【0068】
その結果、開口10の近くに形成される導体パターン13の厚みの均一化を図ることができる。
【0069】
(2)配線回路基板1の製造方法によれば、図8Bに示すように、開口形成領域A12内のダミー絶縁層21でダミーパターン22を支持できる。
【0070】
そのため、開口形成領域A12内の支持層11の全部がエッチングされても、ダミー絶縁層21でダミーパターン22を支持できる。
【0071】
(3)配線回路基板1の製造方法によれば、図8Bに示すように、開口形成領域A12内の支持層11の全部をエッチングして、開口10を形成し、製品領域A1とフレーム領域A2との間の支持層11をエッチングして、配線回路基板1の外形を形成するとともに、配線回路基板1と接続されるフレームFを形成する。
【0072】
そして、図2に示すように、配線回路基板1をフレームFから切り取るとともに、開口10内のダミー絶縁層21を、配線回路基板1から切り取る。
【0073】
これにより、簡単に、ダミーパターン22を除去できる。
【0074】
4.変形例
次に、図9Aから図10を参照して、変形例について説明する。変形例において、上記した実施形態と同様の部材には同じ符号を付し、説明を省略する。
【0075】
(1)図9Aに示すように、第2工程において、パターン形成領域A11内にベース絶縁層12を形成し、開口形成領域A12内にダミー絶縁層21を形成しなくてもよい。
【0076】
この場合、図9Bに示すように、第3工程において、開口形成領域A12内の支持層11の上にダミーパターン22を形成する。
【0077】
そして、図9Cおよび図10に示すように、第4工程において、開口形成領域A12内の支持層11の一部をエッチングする。詳しくは、パターン形成領域A11と開口形成領域A12との境界に沿って、開口形成領域A12内の支持層11の一部をエッチングする。これにより、開口形成領域A12内に、ダミーパターン22を支持するダミー支持層31を形成する。
【0078】
ダミー支持層31は、支持層11からなり、上記したダミー絶縁層21と同じ形状を有する。詳しくは、ダミー支持層31は、支持部311と、少なくとも1つの接続部312とを有する。この変形例では、ダミー支持層31は、複数の接続部312を有する。
【0079】
支持部311は、ダミーパターン22を支持する。支持部311は、ベース絶縁層12から離れて配置される。本実施形態では、支持部311は、略矩形状を有する。なお、支持部311の形状は、限定されない。
【0080】
複数の接続部312のそれぞれは、支持部311とベース絶縁層12との間に配置される。複数の接続部312のそれぞれは、支持部311、および、ベース絶縁層12の下の支持層11と接続される。これにより、ダミー支持層31は、ベース絶縁層12の下の支持層11と接続される。
【0081】
この変形例では、図9Cおよび図2に示すように、第5工程において、ダミー支持層31を、配線回路基板1から切り取る。
【0082】
(2)上記した実施形態の第4工程(図8B参照)において、上記した変形例(1)と同様に開口形成領域A12内の支持層11の一部をエッチングして、ダミー絶縁層21と同じ形状のダミー支持層31(図9C参照)を形成してもよい。
【0083】
(3)上記した変形例(1)の第4工程において、ダミー支持層31を形成せず、開口形成領域A12内の支持層11の全部をエッチングしてもよい。
【0084】
詳しくは、図9Aに示すように、第2工程において、パターン形成領域A11内にベース絶縁層12を形成し、開口形成領域A12内にダミー絶縁層21を形成しない。
【0085】
次に、図11または図12に示すように、第3工程において、開口形成領域A12内の支持層11の上にダミーパターン22を形成する。
【0086】
図11では、開口形成領域A12の周縁部A121にダミーパターン22を形成し、開口形成領域A12の中央部A122にはダミーパターン22を形成しない。周縁部A121とは、中央部A122と導体パターン13との間に位置する部分である。
【0087】
図12では、開口形成領域A12の全域にダミーパターン22を形成する。
【0088】
そして、第4工程において、開口形成領域A12内の支持層11の全部をエッチングする。この場合、ダミーパターン22は、エッチング液中に脱落してもよい。ダミーパターン22がエッチング液中に脱落する場合、エッチング液中に脱落したダミーパターン22を回収するための装置を使用することが好ましい。
【0089】
この変形例によれば、開口形成領域A12内の支持層11の全部をエッチングすることにより、簡単に、ダミーパターン22を除去できる。
【0090】
(4)上記した実施形態において、図11に示すように、開口形成領域A12の周縁部A121にダミーパターン22を形成し、開口形成領域A12の中央部A122にはダミーパターン22を形成しないこともできる。
【0091】
(5)ダミーパターン22は、開口形成領域A12内だけでなく、フレーム領域A2にも、形成されてもよい。
【符号の説明】
【0092】
1 配線回路基板
10 開口
11 支持層
12 ベース絶縁層
13 導体パターン
21 ダミー絶縁層
22 ダミーパターン
31 ダミー支持層
A1 製品領域
A2 フレーム領域
A11 パターン形成領域
A12 開口形成領域
F フレーム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12