(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022190670
(43)【公開日】2022-12-26
(54)【発明の名称】導波路瞳拡張器
(51)【国際特許分類】
G03H 1/22 20060101AFI20221219BHJP
G02B 27/02 20060101ALI20221219BHJP
G02B 27/01 20060101ALN20221219BHJP
【FI】
G03H1/22
G02B27/02 Z
G02B27/01
【審査請求】有
【請求項の数】25
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022078671
(22)【出願日】2022-05-12
(31)【優先権主張番号】2108456.1
(32)【優先日】2021-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(71)【出願人】
【識別番号】519027213
【氏名又は名称】エンヴィシクス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100116850
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 隆行
(74)【代理人】
【識別番号】100165847
【弁理士】
【氏名又は名称】関 大祐
(72)【発明者】
【氏名】ジェイミーソン クリスマス
(72)【発明者】
【氏名】ティモシー スミートン
(72)【発明者】
【氏名】ルイシェン リン
(72)【発明者】
【氏名】セレドニア クラウチク
【テーマコード(参考)】
2H199
2K008
【Fターム(参考)】
2H199CA23
2H199CA24
2H199CA27
2H199CA53
2H199CA66
2H199CA67
2H199CA68
2H199CA86
2H199CA92
2H199CA96
2H199DA25
2H199DA26
2H199DA36
2H199DA43
2K008AA14
2K008CC03
2K008FF27
2K008HH00
2K008HH26
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ホログラム又はキノフォーム等の回折構造を決定するためのホログラフィック投影及び方法に関する。
【解決手段】視界窓から視認可能な画像を形成するように配置された光エンジンであって、該画像のホログラムを表示し、該ホログラムに従って光を空間的に変調するように配置されたディスプレイ装置2600を備え、ホログラムは、空間変調光の角度チャネルが画像のそれぞれの連続領域に対応するように、画像コンテンツの位置に従って画像の空間変調光を角度的に分配するように構成される。光エンジンは、空間変調光を受信し、ディスプレイ装置2600から視界窓への空間変調光のための複数の異なる光伝搬経路を提供するように配置された導波路瞳拡張器2604と、制御装置2650とを更に備え、制御装置2650は、第1、第2の目視位置で空間変調された光の第1のチャネル、第2のチャネルを受信するように配置された少なくとも1つの開口部を含む。
【選択図】
図26
【特許請求の範囲】
【請求項1】
視界窓から視認可能な画像を形成するように配置された光エンジンであって、
前記画像のホログラムを表示し、前記ホログラムに従って光を空間的に変調するように配置されたディスプレイ装置であって、前記ホログラムが、前記画像の空間変調光の角度チャネルが前記画像のそれぞれの連続領域に対応するように、画像コンテンツの位置に従って前記画像の空間変調光を角度的に分配するように構成されたものと、
前記空間変調光を受信し、前記ディスプレイ装置から前記視界窓へ前記空間変調光のための複数の異なる光伝搬経路を提供するように配置された導波路瞳拡張器と、
前記導波路と前記視界窓との間に配列された制御装置であって、前記視界窓内の第1の目視位置が、前記画像の第1の領域に従って前記ホログラムによって空間変調された光の第1のチャネルを受信し、前記視界窓内の第2の目視位置が、前記画像の第2の領域に従って前記ホログラムによって空間変調された光の第2のチャネルを受信するように配置された少なくとも1つの開口を含むものと、を含む、
光エンジン。
【請求項2】
前記第1の領域及び前記第2の領域が、前記画像の隣接領域である、
請求項1に記載の光エンジン。
【請求項3】
前記空間変調光の隣接する角度チャネルが、前記画像の隣接する領域に対応する、
請求項1又は2に記載の光エンジン。
【請求項4】
前記画像の前記第1の領域及び前記第2の領域が、実質的に重なり合わない、
請求項1~3のいずれかに記載の光エンジン。
【請求項5】
前記画像が、前記ディスプレイ装置の上流で知覚される虚像である、
請求項1~4のいずれかに記載の光エンジン。
【請求項6】
前記制御装置が、前記導波路瞳拡張器の出力面に結合される、
請求項1~5のいずれかに記載の光エンジン。
【請求項7】
前記制御装置が、前記視界窓から視認可能な前記導波路の前記出力面の領域を制限する、
請求項1~6のいずれかに記載の光エンジン。
【請求項8】
前記導波路瞳拡張器及び視界窓が、非平行である、
請求項1~7のいずれかに記載の光エンジン。
【請求項9】
前記制御装置が、複数の開放部等の少なくとも1つの開放部を備え、各開放部が、前記第1の目視位置及び/又は前記第2の目視位置に空間変調光のそれぞれのチャネルを提供し、その結果、異なる画像コンテンツが、実質的に同時に前記第1の目視位置及び前記第2の目視位置にそれぞれ送達される、
請求項1~8のいずれかに記載の光エンジン。
【請求項10】
前記それぞれのチャネルが、重なり合わないが連続的である、
請求項9に記載の光エンジン。
【請求項11】
前記制御装置が、複数の異なる制御装置構成が提供されるように、各開放部が開位置と閉位置との間で切り替え可能であるように構成され、各制御装置構成が、開いた開放部と閉じた開放部の交互シーケンスを含む、
請求項9又は10に記載の光エンジン。
【請求項12】
前記制御装置が、第1の時点における第1の制御装置構成及び第2の時点における第2の制御装置構成を提供するように構成され、第1の制御装置構成及び第2の制御装置構成が相補的である、
請求項11に記載の光エンジン。
【請求項13】
前記第1の時点と前記第2の時点との間の時間間隔が、ヒトの眼の積分時間よりも短い、
請求項12に記載の光エンジン。
【請求項14】
前記制御装置によって提供される第1の制御装置構成が、前記画像の第1及び第3の画像ゾーンに従って変調された光を前記第1の目視位置に送達し、前記画像の第2及び第4の画像ゾーンに従って変調された光を前記第2の目視位置に送達し、前記第1~第4のゾーンが、前記画像の順序付けられた連続した領域である、
請求項1~13のいずれかに記載の光エンジン。
【請求項15】
前記制御装置によって提供される第2の制御装置構成が、前記画像の第2及び第4の画像ゾーンに従って変調された光を前記第1の目視位置に送達し、前記画像の第1及び第3に従って変調された光を前記第2の目視位置に送達する、
請求項1~14のいずれかに記載の光エンジン。
【請求項16】
前記第1の目視位置に送達される前記第1~第4の画像ゾーンのいずれか1つの前記画像コンテンツが、前記第2の目視位置に送達される前記第1~第4の画像ゾーンの対応する1つの前記画像コンテンツと同一ではない、
請求項14又は請求項15に記載の光エンジン。
【請求項17】
前記第1の目視位置及び前記第2の目視位置が、観察者の第1の眼の位置及び第2の眼の位置であり、前記視界窓がアイボックスである、
請求項1~16のいずれかに記載の光エンジン。
【請求項18】
前記開放部の少なくとも一方のサイズ及び/又は前記制御装置内の場所が動的に変動可能である、
請求項9~17のいずれか一項に記載の光エンジン。
【請求項19】
視界窓から視認可能な画像を形成するために、光エンジンにおける光伝搬を制御する方法であって、
前記光エンジンが、ディスプレイ装置と、導波路瞳拡張器と、前記視界窓を備える視認システムとを備え、
前記ディスプレイ装置に、前記画像のホログラムを表示する工程と、
前記ホログラムに従って前記光を空間的に変調するために前記ディスプレイ装置を照明する工程であって、前記ホログラムが、空間変調光の角度チャネルが前記画像のそれぞれの連続領域に対応するように、画像コンテンツの位置に従って前記画像の空間変調光を角度的に分配するように構成される工程と、
前記空間変調光を受信し、前記空間変調光のためのそれぞれの複数の異なる光伝搬経路を前記ディスプレイ装置から前記視界窓へ提供するように前記導波路瞳拡張器を配置する工程と、
前記導波路と前記視界窓との間に配列された制御装置を使用して前記複数の異なる光伝搬経路の伝搬を制御する工程であって、前記制御装置が少なくとも1つの開口を備える工程とを含み、
前記複数の異なる光伝搬経路の伝搬を制御する前記工程が、前記視界窓内の第1の目視位置が前記画像の第1の領域に従って前記ホログラムによって空間変調された光の第1のチャネルを受信し、前記視界窓内の第2の目視位置が前記画像の第2の領域に従って前記ホログラムによって空間変調された光の第2のチャネルを受信するように、前記制御装置を構成することを含む、
方法。
【請求項20】
前記画像の前記ホログラムを計算することを更に含む、
請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記制御装置を構成する前記工程が、前記制御装置の第1の部分を通る光の伝送を可能にすることと、前記制御装置の第2の異なる部分を通る光の伝送を防止することとを含む、
請求項19又は20に記載の方法。
【請求項22】
前記導波路瞳拡張器が複数の伝送点を備え、前記複数の異なる光伝搬経路の各々が異なるそれぞれの伝送点から伝送される、
請求項1~18のいずれか一項に記載の光エンジン又は請求項19~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
i.前記制御装置の不在下で、第1の角度チャネルの光が前記第1の目視位置に伝播するであろう第1の伝送点を識別する工程と、
ii.前記制御装置の不在下で、前記第1の角度チャネルの光が前記第2の目視位置に伝播するであろう第2の異なる伝送点を識別する工程と、
iii.選択された時間(t)において、前記第1の目視位置への前記第1の角度チャネルの光路又は前記第2の目視位置への前記第1の角度チャネルの光路のいずれかを遮断するように制御装置を構成する工程と、を更に含む、
請求項22に記載の方法。
【請求項24】
工程(iii)が、選択された期間中に、交互に、前記第1の目視位置への前記第1の角度チャネルの光路を遮断することと、前記第2の目視位置への前記第1の角度チャネルの光路を遮断することとを含む、
請求項23に記載の方法。
【請求項25】
各連続領域が異なるそれぞれの角度チャネルの光に対応する、前記画像内の複数の連続領域を識別することと、選択された期間内に、前記複数の連続領域の第1のサブセットの光が第1の目視位置にのみ伝送されることを可能にし、前記複数の連続領域の第2の異なるサブセットの光が第2の目視位置にのみ伝送されることを可能にするように制御装置を構成することと、を更に含む、
請求項19~24のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像投影に関する。より具体的には、本開示は、ホログラム又はキノフォーム等の回折構造を決定するためのホログラフィック投影及び方法に関する。いくつかの実施形態は、視線追跡情報に基づくリアルタイムホログラム計算に関する。いくつかの実施形態は、虚像投影に関する。他の実施形態は、実像の投影に関する。実施形態は、導波路を介して投影画像を見ることに関する。実施形態は、導波路を介して投影される画像の光を制御することに関する。いくつかの実施形態は、画像生成ユニット等の光エンジンに関する。いくつかの実施形態は、ヘッドアップディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
物体から散乱された光は、振幅情報と位相情報の両方を含む。この振幅及び位相の情報は、例えば、干渉縞を含むホログラフィック記録又は「ホログラム」を形成するための周知の干渉技術によって感光板上に取り込むことができる。ホログラムは、元の物体を表す二次元若しくは三次元ホログラフィック再構成、又は再生画像を形成するために、適切な光による照明によって再構成することができる。
【0003】
コンピュータ生成ホログラフィは、干渉プロセスを数値的にシミュレートすることができる。コンピュータ生成ホログラムは、フレネル変換又はフーリエ変換等の数学的変換に基づく技術によって計算することができる。これらのタイプのホログラムは、フレネル/フーリエ変換ホログラム又は単にフレネル/フーリエホログラムと呼ばれることがある。フーリエホログラムは、物体のフーリエドメイン/平面表現又は物体の周波数ドメイン/平面表現と考えることができる。コンピュータ生成ホログラムは、例えば、コヒーレント光線追跡又はポイントクラウド技術によって計算することもできる。
【0004】
コンピュータ生成ホログラムは、入射光の振幅及び/又は位相を変調するように配置された空間光変調器で符号化することができる。光変調は、例えば、電気的にアドレス指定可能な液晶、光学的にアドレス指定可能な液晶又はマイクロミラーを使用して達成され得る。
【0005】
空間光変調器は、典型的には、セル又は素子とも呼ばれ得る複数の個別にアドレス指定可能な画素を含む。光変調方式は、バイナリ、マルチレベル、又は連続的であってもよい。あるいは、装置は連続的(すなわち、画素から構成されていない)であってもよく、したがって、光変調は装置全体にわたって連続的であってもよい。空間光変調器は、変調光が反射して出力されることを意味する反射性であってもよい。空間光変調器は、同様に、変調光が伝送において出力されることを意味する透過性であってもよい。
【0006】
ホログラフィックプロジェクタは、本明細書に記載のシステムを使用して提供することができる。このようなプロジェクタは、例えば、ヘッドアップディスプレイ「HUD」、並びに光検出及び測距「LIDAR」に用途を見出している。
【発明の概要】
【0007】
本開示の態様は、添付の独立請求項に定義されている。
【0008】
本開示は、画像投影に関する。本発明は、画像投影の方法及びディスプレイ装置を備える画像プロジェクタに関する。本開示はまた、画像プロジェクタと視認システムとを備える投影システムに関する。本開示は、単眼及び両眼の視認システムに等しく適用可能である。視認システムは、観察者の眼又は複数の眼を含むことができる。視認システムは、光パワー(例えば、ヒトの眼の水晶体(複数可))を有する光学素子と、投影面(例えば、ヒトの眼の網膜)とを備える。プロジェクタは、「光エンジン」と呼ばれることがある。ディスプレイ装置及びディスプレイ装置を使用して形成(又は知覚)される画像は、互いに空間的に分離されている。画像は、表示面上に形成されるか、又は観察者によって知覚される。いくつかの実施形態では、画像は虚像であり、ディスプレイ面は虚像面と呼ばれることがある。画像は、ディスプレイ装置に表示された回折パターン(例えば、ホログラム)を照明することによって形成される。
【0009】
ディスプレイ装置は画素を備える。ディスプレイ装置の画素は、光を回折する。十分に理解されている光学系によれば、最大回折角の大きさは、画素のサイズ(及び光の波長等の他の要因)によって決定される。
【0010】
実施形態では、ディスプレイ装置は、液晶オンシリコン(「LCOS」)空間光変調器(SLM)等の空間光変調器である。光は、LCOSからカメラ又は眼等の視覚エンティティ/システムに向かって、ある範囲の回折角(例えば、0から最大回折角まで)にわたって伝播する。いくつかの実施形態では、拡大技術を使用して、利用可能な回折角の範囲をLCOSの従来の最大回折角を超えて増加させることができる。
【0011】
実施形態では、画像は実像である。他の実施形態では、画像は、ヒトの眼(又は眼)によって知覚される虚像である。したがって、投影システム又は光エンジンは、観察者がディスプレイ装置を直接見るように構成することができる。そのような実施形態では、ホログラムで符号化された光は眼(複数可)に直接伝播され、自由空間又はスクリーン若しくは他の受光面のいずれかで、ディスプレイ装置と観察者との間に中間ホログラフィック再構成は形成されない。そのような実施形態では、眼の瞳孔は、視認システムの入射開口部(又は「入射瞳」)であると見なすことができ、眼の網膜は、視認システムの投影面であると見なすことができる。この構成では、眼の水晶体がホログラムから画像への変換を行うと言われることがある。
【0012】
よく理解されている光学系の原理によれば、眼又は他の視覚エンティティ/システムによって見ることができるディスプレイ装置から伝播する光の角度の範囲は、ディスプレイ装置と視覚エンティティとの間の距離によって変化する。例えば、1メートルの視距離では、LCOSからの狭い範囲の角度のみが眼の瞳孔を通って伝播し、所与の眼の位置の網膜に画像を形成することができる。所与の眼の位置について網膜に画像を形成するために眼の瞳孔を通って首尾よく伝播することができるディスプレイ装置から伝播される光線の角度の範囲は、観察者に「視認可能な」画像の部分を決定する。言い換えれば、画像の全ての部分が、投影面上の任意の1つの点から視認可能なわけではない(例えば、アイモーションボックス(eye-motion box)等の視界窓内の任意の1つの眼の位置)。
【0013】
いくつかの実施形態では、観察者によって知覚される画像は、ディスプレイ装置の上流に現れる虚像であり、すなわち、観察者は、画像がディスプレイ装置よりも遠方にあると知覚する。概念的には、虚像の異なる複数の虚像点を考えることができる。仮想点から観察者までの距離は、本明細書では、その虚像点についての虚像距離と呼ばれる。もちろん、異なる仮想点は、異なる虚像距離を有してもよい。各仮想点に関連付けられた任意の光線束内の個々の光線は、ディスプレイ装置を介して、観察者への異なるそれぞれの光路をとることができる。しかしながら、ディスプレイ装置の一部のみ、したがって、虚像の1つ以上の仮想点からの光線の一部のみが、ユーザの視野内にあってもよい。言い換えれば、虚像上の仮想点の一部からの光線の一部のみが、ディスプレイ装置を介してユーザの眼(複数可)に伝播するため観察者に視認可能になる。したがって、概念的には、観察者が「ディスプレイ装置サイズのウインドウ」を通して虚像を見ていると考えることができ、それは非常に小さく、例えば直径1cmで、比較的長い距離、例えば1メートルであってもよい。また、ユーザは、眼(複数可)の瞳孔(複数可)を介してディスプレイ装置サイズのウインドウを見ており、それは非常に小さくすることもできる。したがって、視野は小さくなり、見ることができる特定の角度範囲は、任意の所与の時間において、眼の位置に大きく依存する。
【0014】
本開示は、ディスプレイ装置が(相対的に)小さく、投影距離が(相対的に)大きい場合に、視野をどのように拡大するか、すなわち、ディスプレイ装置から伝播し、眼の瞳孔を通って首尾よく伝播して画像を形成することができる光線の角度の範囲をどのように拡大するかという技術的課題に対処する。いくつかの実施形態では、投影距離は、ディスプレイ装置の開口の直径又は幅よりも少なくとも1桁、例えば少なくとも2桁大きい(すなわち、画素のアレイのサイズ)。より具体的には、本開示は、画像自体ではなく画像のホログラムがヒトの眼に伝播される、いわゆるダイレクトビューホログラフィを用いてこれを行う方法の技術的課題に対処する。すなわち、観察者が受光した光は、画像のホログラムに応じて変調される。
【0015】
導波路は、視野を拡大し、したがってディスプレイ装置の全回折角が使用され得る最大伝搬距離を増加させるために使用される。導波路の使用はまた、ユーザのアイボックスを横方向に増加させることができ、したがって、ユーザが画像を見ることを依然として可能にしながら、眼(複数可)のいくらかの動きを発生させることを可能にする。したがって、導波路は、導波路瞳拡張器と呼ばれることがある。しかしながら、本発明者らは、非無限の虚像距離、すなわち近接場虚像について、いわゆる「ゴースト像」が、導波路を通る様々な可能性のある光伝搬経路のために現れることを見出した。ゴースト像は、メイン像の低強度複製である。メインの最高強度画像は、一次画像と呼ばれることがある。各ゴースト像は、二次画像と呼ばれることがある。ゴースト像の存在は、知覚される虚像の品質を著しく低下させる可能性がある。ゴースト像は、一次画像のぼけた外観を与え得る。
【0016】
本開示は、ゴースト像によって引き起こされる問題に対処するための異なるアプローチを提示する。本明細書に開示されるいくつかの解決策は、ゴースト像を首尾よく除去することが示されている。本明細書に開示されるいくつかの解決策は、一次/非ゴースト像を増強又は強化するためにゴースト像を修正/操作することが示されている。
【0017】
光エンジンは、空間変調光を入射瞳を有する視認システムに提供するように配置される。ディスプレイシステムは、ホログラムを表示し、ホログラムに従って光を空間的に変調するように配置されたディスプレイ装置を備える。ディスプレイシステムは、入射瞳の場所に基づいてディスプレイ装置の寄与領域及び非寄与領域を識別する寄与情報を受信するように配置されたホログラムエンジンを更に備える。ディスプレイ装置の寄与領域は、決定された場所で入射瞳を通過する光を実質的に伝播する。ディスプレイ装置の非寄与領域は、決定された場所で入射瞳によって停止された光を実質的に伝播する。寄与情報は、(i)一次画像に寄与するディスプレイ装置の光を視認システムに伝搬する少なくとも1つの一次寄与領域、及び(ii)二次画像に寄与する光を視認システムに伝搬するディスプレイ装置の少なくとも1つの二次寄与領域を更に識別する。ホログラムエンジンは、処理エンジンによって識別されたディスプレイ装置の少なくとも1つの主寄与領域に基づいてホログラムを決定するように更に配置される。ホログラムエンジンは、表示のためにホログラムをディスプレイ装置に出力するように更に配置される。
【0018】
誤解を避けるために、形成又は知覚される画像は、ターゲット画像のホログラフィック再構成である。ホログラフィック再構成は、ターゲット画像に基づくホログラムから形成される。いくつかの実施形態では、ホログラムは、ターゲット画像から決定(例えば、計算)される。
【0019】
ディスプレイ装置の寄与領域及び非寄与領域を識別することにより、光エンジンは、ディスプレイ装置のどの部分又は複数の部分がホログラムによって有用に符号化され得るかを判定して、視認システムの入射開口の所与の場所について、一次画像の形成に積極的に寄与することができる。例えば、これは、所与の時間における観察者の眼の場所に対応し得る。さらに、光エンジンは、ディスプレイ装置のどの部分が入射開口を通って光を伝播することができないかを決定することができ、したがって、ホログラム値を追加する価値がない。さらに、光エンジンは、「メイン」ターゲット画像に積極的に寄与するディスプレイ装置の部分と、一次画像のコピー/複製又は「ゴースト」バージョンに寄与する部分とを区別することができる。したがって、ホログラムは、ゴーストを除去するために、いわゆる二次寄与領域では省略することができる。
【0020】
あるいは、注目すべき更なる改善点では、追加の寄与領域に表示されるホログラムは、画像点(すなわち、ホログラフィック再構成されるべき所望の画像内の点)の変位又は修正された場所に基づいて決定されてもよい。この修正された場所は、「二次画像点」であると呼ばれることがあるが、これは、(一次)画像点の二次(すなわち、変更されている)場所であることの省略表現である。簡単に言えば、一次画像を効果的に強化するために、画像点のモデル化/計算された場所は、上記補正された位置から、ディスプレイ装置上の追加の寄与領域を介して移動する光が、投影面上の所望の場所に到達するように補正され得る(例えば、画像平面上で並進される)。したがって、この代替手法では、追加の寄与領域のホログラムは、ディスプレイ装置上の主な寄与領域を識別するために使用される画像点の異なる場所に基づいて決定される。一次画像点からの光路長は、典型的には、二次画像点から、投影面上に形成される対応する画像までの光路長とは異なる。したがって、追加の寄与領域に関連するホログラム決定プロセスは、ホログラム決定プロセスで使用される画像点を並進又はシフトすることを含むと言える。
【0021】
したがって、合理的かつ計算効率的な方法で決定されたホログラムに対応する鮮明で正確な画像を提供するように構成及び動作することができるインテリジェントで効率的な光エンジンが提供される。
【0022】
ディスプレイ装置に表示するためのホログラムを決定する方法が提供される。本方法は、ホログラムを見るように配置された視認システムの入射瞳の場所を決定することと、ディスプレイ装置の寄与領域及び非寄与領域を識別することとを含み、ディスプレイ装置の寄与領域は、決定された場所で視認システムの入射瞳を通過する光を実質的に伝播し、ディスプレイ装置の非寄与領域は、決定された場所で視認システムの入射瞳によって停止された光を実質的に伝播する。本方法は、一次画像に寄与する光を提供するディスプレイ装置の少なくとも1つの一次寄与領域と、二次画像に寄与する光を提供するディスプレイ装置の少なくとも1つの二次寄与領域とを識別することと、ディスプレイ装置の少なくとも1つの一次寄与領域に基づいてホログラムを決定することと、を更に含む。
【0023】
視認システムによって変換可能な光をターゲット画像に空間的に変調するように配置された回折構造が提供され、該回折構造は、複数の離散光パターンを生成するように構成され、各光パターンはターゲット画像の異なる部分に対応し、各離散光パターンの形状は、視認システムの入射開口の形状に実質的に対応する。
【0024】
視認システム(レンズを含む)によって変換可能な光を画像に空間的に変調するように配置された回折構造が提供され、該回折構造は、光を複数の別個の光チャネルに導くように配置され、各光チャネルは、視認システムの入射瞳に実質的に対応する断面形状を有し、各光チャネルは、画像の異なる部分に実質的に対応する。
【0025】
ディスプレイ装置に表示するためのホログラムを決定し、導波路を介してディスプレイ装置に表示されたホログラムを見ることによって、投影面から知覚可能な虚像を形成する方法が提供される。本方法は、虚像の各虚像点について、虚像点の座標[x仮想,y仮想,z仮想]を決定することと、投影面上の目視位置を決定することと、導波路によって形成された一次画像に関連する導波路内の光反射の数Bを決定することと、を含む。本方法は、導波路内の「B」光反射について虚像点から投影面まで光線追跡することと、B反射を有する[x仮想,y仮想,z仮想]から投影面までの光伝搬についてディスプレイ装置における主な光線の座標[xLCOS(B),yLCOS(B)]を決定することと、を更に含む。本方法は、[xLCOS(B),yLCOS(B)]によって画定される領域内のディスプレイ装置のアクティブ画素を決定することと、[x仮想,y仮想,z仮想]からの光波を活性画素に伝搬させることによって、活性画素の振幅及び/又は位相ホログラム成分を含むサブホログラムを決定することと、を含む。
【0026】
主光線は、ディスプレイ装置を介して、虚像点から、投影面上の虚像点の一次又は「メイン」像点に移動すると(例えば、計算された又はモデル化された)決定される光線を含むことができる。
【0027】
本方法は、ホログラムを形成するために、2つ以上の対応する虚像点についてそれぞれ計算されたサブホログラムを組み合わせることを更に含むことができる。
【0028】
本方法は、虚像点のメイン像の、投影面上の位置[xセンサ,yセンサ]を決定することを更に含むことができる。
【0029】
本方法は、導波路によって許容されるΔBの各値について、B+ΔBの反射に対して[xセンサ,yセンサ]から虚像平面z仮想に戻る光線を追跡し、B+ΔB反射に対して[xセンサ,yセンサ]に撮像される仮想点座標[x仮想(ΔB),y仮想(ΔB),z仮想]を決定する工程を更に含むことができる。本方法は、B+ΔBのバウンスで[x仮想(ΔB),y仮想(ΔB),z仮想]から投影面への光伝搬のためのディスプレイ装置における主光線の座標[xLCOS(B+ΔB),yLCOS(B+ΔB)]を決定する工程と、[xLCOS(B+ΔB),yLCOS(B+ΔB)]によって定義される第2の領域(すなわち、追加の領域)内のディスプレイ装置の追加のアクティブ画素を識別する工程と、を更に含むことができる。本方法は、[x仮想(ΔB),y仮想(ΔB),z仮想]からの光波を追加のアクティブ画素に伝搬することによって、追加のアクティブ画素の振幅及び/又は位相ホログラム成分を含む追加のサブホログラムを決定する工程を更に含むことができる。
【0030】
本開示の態様はまた、ホログラフィック光のチャネリング又はルーティングを特徴とするホログラム又はキノフォームに関する。具体的には、本明細書では、視認システムによって画像に変換可能な光を空間的に変調するように配置された回折構造が開示され、回折構造は、光を複数のホログラムチャネルに送るように構成され、各ホログラムチャネルは画像の異なる部分に対応する。
【0031】
回折構造は、ホログラムチャネルが回折構造から異なる角度で伝播するように配置されてもよい。
【0032】
各ホログラムチャネルは、画像のそれぞれの異なる部分のホログラムに従って空間変調光を含むことができる。
【0033】
回折構造は、光の位相を空間的に変調するように配置されてもよい。
【0034】
回折構造は、導波路を介して光をルーティングするように配置されてもよい。導波路は、瞳孔拡張のために配置されてもよい。
【0035】
各ホログラムチャネルによって形成可能な光パターンの断面形状は、視認システムの入射開口の形状に実質的に対応し得る。
【0036】
ホログラムチャネルは、空間的に分離されていてもよいし、少なくとも部分的に空間的に分離されていてもよい。
【0037】
本明細書では、回折構造と、回折構造から空間変調光を受信するように配置された導波路と、導波路を介して空間変調光を受信するように配置された視認システムとを備えるシステムが更に開示される。
【0038】
システムは、各ホログラムチャネルの光が回折構造から視認システムまで異なる光路をたどるように配置されてもよい。
【0039】
異なる光路は、導波路内の異なる数の反射を含むことができる。異なる光路は、異なる長さを有してもよい。異なる光路は、異なる角度で視認システムの入射開口を通過することができる。
【0040】
導波路は、全てのホログラムチャネルが、投影面上の任意の目視位置で、視認システムの入射開口を通って送られるように配置されてもよい。導波路は、許可された各目視位置について、1つの光路を介して各ホログラムチャネルを視認システムにルーティングするだけである。
【0041】
複数のホログラムチャネルのうちの少なくとも2つのホログラムチャネルは、視認システムの入射開口で部分的に重なっていてもよい。
【0042】
回折構造は、キノフォーム又はホログラムであってもよい。
【0043】
システムは、「ディスプレイシステム」又は「光エンジン」を備えることができる。
【0044】
システムは、各ホログラムチャネルの光が導波路上の複数の異なる伝送点のそれぞれから視認システムに向かって放射されるように配置されてもよい。例えば、各伝送点は、導波路内の光の異なるそれぞれの反射(又は、「バウンス」)数の後に発生し得る。システムは、同じホログラムチャネルの光が各伝送点から同じ角度又は角度範囲で伝播するように配置されてもよい。したがって、各ホログラムチャネルは「角度チャネル」と呼ばれることがある。言い換えれば、各ホログラムチャネルは、画像の異なるそれぞれの部分に従って空間変調光を含むことができる。したがって、各ホログラムチャネルは、異なるそれぞれの画像コンテンツに対応し得る。さらに、各ホログラムチャネルは、固有のそれぞれの「特徴的な角度」(又は特徴的な角度範囲)を有してもよく、各(すなわち、「全ての」)ホログラムチャネルは、その特徴的な角度(又は特徴的な角度範囲)で、導波路上の各(すなわち、「全ての」)伝送点から伝搬される。同じ画像コンテンツの光は、たとえ伝送点が導波路上で互いに空間的に分離されていても、導波路の表面に対して全て同じ角度で、又は同じ角度範囲内で、導波路上の複数の異なる伝送点から放射され得る。
【0045】
システムは、各個々のホログラムチャネルの1つ以下のインスタンスが、視認システムの個々の眼、又は個々の視野開口又は視界窓に到達するように配置されてもよい。ホログラムチャネルは、計算中に、その個々の眼又は他の視野開口/視界窓に従ってホログラムを制約することによって達成することができる。しかしながら、視認システムは、各々が異なる場所を占め、したがって各々が異なるそれぞれの目視位置を画定する複数の視野開口を有することが一般的である。例えば、ヒトの観察者は、典型的には、自然に互いに空間的に分離された2つの眼を有する。したがって、本明細書では、それとは反対の制御がない場合、同じ(すなわち、共通の)ホログラムチャネルの光の複数のインスタンスが、実質的に同時に、視認システムのそれぞれの複数の視野開口/視界窓(「入射瞳」とも呼ばれる)に到達するリスクがあることが認識されている。これが発生した場合、観察者の脳、又は非ヒトの視認システムに関連付けられたプロセッサは、それらの眼又は視野開口自体が異なるそれぞれの目視場所にあるという事実にもかかわらず、両方の眼(又は、両方又は全ての視野開口)が同じ画像コンテンツの光(すなわち、画像の同じ部分又は点の光)を同じ角度で受光したと知覚する。これは、通常2つの異なる目視場所が、確立された数学的原理に基づいて、異なるそれぞれの角度で共通の点から光を受光するはずであるため、観察者又は視認システムにとって直感に反する。
【0046】
したがって、本開示は、回折構造(及び/又はそのような回折構造を表示するように構成されたディスプレイ装置)と、回折構造から空間変調光を受光するように配置された導波路と、導波路を介して空間変調光を受光するように配置された、2つ以上の視野開口を有する視界窓を有する視認システムであって、回折構造が、画像コンテンツに従って、画像の光を空間変調光の複数の異なるチャネルに分配させる視界窓を有する視認システムとを備えるシステムによって投影された画像を見るときに、視認システムの混乱をどのように回避するかという技術的課題に対処する。画像の光は、ホログラムドメイン内にあってもよい。異なるチャネルの各々は、導波路から放射されたときに、異なるそれぞれの角度方向を有することができる。
【0047】
本開示は、導波路が出射する光を制御する制御装置及び方法を提供する。本開示は、そのような制御装置を含むシステム及びシステムを動作させるための方法を更に提供する。
【0048】
制御装置は、導波路によって放射される空間変調光の1つ以上のチャネルの伝播を選択的にブロック又は防止し、1つ以上のそれぞれの他のチャネルの視認システムへの前方伝播を可能にするように構成可能である。各チャネルは、例えば導波路の放射(又は、送信)面等の基準面又は平面に対する光伝搬の角度又は角度範囲によって定義され得る。制御装置は、導波路から光を選択的に放出及び遮断するために、1つ以上の開放部又は開口、及び1つ以上の壁、又はバリアを備えることができる。制御装置は、所与の時点で、制御装置のどの部分(複数可)が開放部として機能し、制御装置のそれぞれの他の部分(複数可)がバリアとして機能するかを選択及び/又は変更するために動的に構成可能であり得る。
【0049】
制御装置は、空間変調光が、視認システムの複数の入射瞳の間で分割されることを可能にすることができ、各入射瞳は、異なるそれぞれの目視位置を有し、その結果、2つの入射瞳は、全く同じ画像コンテンツの光を同じ光線角度で同時に受光しない。実施形態では、第1の目視位置によって受光される最大光線角度は、所与の時間における第2の眼の位置の最小光線角度に実質的に等しい。
【0050】
画像コンテンツの第1のセットの空間変調光が第1の時点に第1の目視位置に到達し、画像コンテンツの第2のセットの空間変調光が第2の異なる時点に第1の目視位置に到達するように、インターレースを使用することができる。インターレースは迅速であり得、例えば、システムは、ヒトの眼の典型的な積分時間よりも短い時間ウインドウ内で、第1の目視位置で受信されている画像コンテンツの第1及び第2のセットのそれぞれの光を切り替えることができる。第1の画像コンテンツセット及び第2の画像コンテンツセットを組み合わせて、視認システムが必要とする全ての画像コンテンツを提供し、ホログラフィック再構成画像を形成することができる。いくつかの実施形態では、第1の目視位置が第1の画像コンテンツセットの光を受光しているとき、第2の目視位置は第2の画像コンテンツセットの光を受光しており、逆もまた同様である。いくつかの実施形態では、第1の目視位置が第1の画像コンテンツセットの光を受光しているとき、第2の目視位置は第3の画像コンテンツセットの光を受光しており、第1の目視位置が第2の画像コンテンツセットの光を受光しているとき、第2の目視位置は第4の画像コンテンツセットの光を受光している。これらの実施形態では、画像コンテンツの第1、第2、第3、及び第4のセットを組み合わせて、ターゲット画像の全ての画像コンテンツを提供することができる。画像コンテンツの各セットは、画像又は複数の画像(例えば、一対の目視位置の各目視位置に対して1つの画像)の異なるそれぞれの部分又は領域に対応することができる。実施形態では、画像コンテンツの第1及び第2のセットは、第1の目視位置の第1のターゲット画像の全ての画像コンテンツを提供するために結合することができ、画像コンテンツの第3及び第4のセットは、第2の異なる目視位置の第2のターゲット画像の全ての画像コンテンツを提供するために結合することができる。同じ画像の成分画像部分(すなわち、画像コンテンツのセット)は、ヒトの眼の積分時間内及び/又は画像のビデオレートシーケンス(video-rate sequence)のフレーム間時間内に対応する目視位置に送達され得る。誤解を避けるために、第1の目視位置に提供される第1の画像は、第2の目視位置に提供される第2の画像とは異なっていてもよく、各画像は、各画像を画像コンテンツの複数のセットに分割することによって連続して表示される複数のホログラム(すなわち、時間インターレースされている)を使用して各目視位置に送達されてもよく、任意に、各ホログラムは、1つの目視位置に対する画像コンテンツの1つのセットに対応する。いくつかの実施形態では、三次元ホログラフィック画像/再構成は、視認システム又は観察者によって知覚され得る。
【0051】
或る態様によれば、視界窓から視認可能な画像を形成するように配置された光エンジンであって、該画像のホログラムを表示し、該ホログラムに従って光を空間的に変調するように構成されたディスプレイ装置を備える、光エンジンが提供される。ホログラムは、空間変調光の角度チャネルが画像のそれぞれの連続領域に対応するように、画像コンテンツの位置に従って画像の空間変調光を角度的に分配するように構成される。光エンジンは、空間変調光を受信し、ディスプレイ装置から視界窓への空間変調光のための複数の異なる光伝搬経路を提供するように配置された導波路瞳拡張器と、導波路と視界窓との間に配列された制御装置とを更に備える。制御装置は、視界窓内の第1の目視位置が、画像の第1の領域に従ってホログラムによって空間変調された光の第1のチャネルを受信し、視界窓内の第2の目視位置が、画像の第2の領域に従ってホログラムによって空間変調された光の第2のチャネルを受信するように配置された少なくとも1つの開口部を含む。
【0052】
第1の光チャネル及び第2の光チャネルは、実質的に同時に又は異なる時間に、例えば順次に、異なる目視位置で受信され得る。制御装置は、第1の光チャネルが同時に第2の目視位置に送達されないこと、及びその逆を保証するように配置される。例えば、制御装置は、導波路瞳拡張器によって第2の目視位置のコース上に形成された第1の光チャネルの複製が遮断されることを保証するように構成されてもよく、逆もまた同様である。いくつかの実施形態では、複数の目視位置のうちの1つの目視位置のみが同時に光を受光する。例えば、第1の目視位置は、1つ以上の異なる光チャネルを同時に受信することができ、一方、制御装置は、(例えば、開口構成を通して)第2の目視位置がいかなる光チャネルも受信しないことを保証する。別の例として、任意の一時点において、第1の目視位置は1つの光チャネルを受け取ることができ、第2の目視位置は複数の光チャネルを受け取ることができる。
【0053】
視界窓は、アイボックス又はアイモーションボックスであってもよい。視認システムは、ヒトの観察者であってもよい。
【0054】
画像の空間変調光は、ホログラムドメイン内にあってもよい。言い換えれば、視認可能な画像は、空間変調光が視界窓で受信されたときにのみ、視認システムによって形成され得る。制御装置と視界窓との間の自由空間又は受光面のいずれかに中間画像が形成されなくてもよい。
【0055】
システムは、2つ以上のホログラムを実質的に同時に表示するように配置されてもよい。例えば、システムは、視認システムの第1の視野開口に従って制約された第1のホログラムと、視認システムの第2の異なる視野開口に従って制約された第2のホログラムとを表示するよう配置されてもよい。例えば、2つ以上のホログラムは、生成される画像の2つ以上のそれぞれの視像にそれぞれ対応することができ、第1の視像は、第1の視野開口の視点からのものであり、第2の視像は、視認システムの第2の異なる視野開口の視点からのものである。
【0056】
2つ以上のホログラムは、例えば、表示のために単一のホログラムに組み合わされてもよい。2つ以上のホログラムは、ディスプレイ装置の異なるそれぞれの部分に表示されてもよい。2つ以上のホログラムは、急速に交互に、例えばヒトの眼の典型的な積分時間よりも速い速度で交互に、表示されてもよい。
【0057】
画像は、実像であってもよいし、虚像であってもよい。画像は、ディスプレイ装置の上流に位置するように、視認システム又は視認システムに関連するプロセッサによって知覚される虚像であってもよい。
【0058】
画像の第1及び第2の領域は各々、画像の連続領域を含むことができる。画像の第1及び第2の領域は、互いに隣接していてもよい。画像の第1及び第2の領域は、互いに隣接していてもよいし、連続していてもよい。画像の第1及び第2の領域は、重なり合っていてもよく、又は重なり合っていなくてもよい。第1及び第2の領域は、隣接していなくてもよい。第1及び第2の領域は、第1及び第2の異なる視点から見た画像の領域を含むことができる。例えば、第1の領域は、第1の目視位置から見て画像の連続領域を含むことができ、第2の領域は、第2の目視位置から見て画像の連続領域を含むことができる。
【0059】
ホログラムは、画像コンテンツの位置に応じて画像の空間変調光を角度的に分布させるように計算されてもよい。例えば、ホログラムは、形成される画像内の複数の画像点を使用して計算することができ、ディスプレイ装置上の一次寄与領域が識別され、それを介して光は、複数の画像点の各画像点から、視界窓内の第1の目視位置又は第2の目視位置に進む。ホログラムは、複数のサブホログラムから計算されてもよい。例えば、ホログラムは、第1の目視位置から見た画像を表す第1のホログラム(又はサブホログラム)と、第2の目視位置から見た画像を表す第2のホログラム(又はサブホログラム)との組み合わせを含んでもよい。
【0060】
ホログラムは、任意の適切なタイプのホログラムを含んでもよく、例えば、フレネルホログラム、又はフーリエホログラム、又は点群ホログラムのいずれかを含んでもよい。
【0061】
ホログラム(及び/又は、ホログラムに寄与するホログラム又はサブホログラム)は、計算中に、視認システムの入射瞳に従って制約されてもよい。例えば、入射瞳は、視界窓内の第1の目視位置又は第2の目視位置に配置されてもよい。ホログラムは、所与の時間に入射瞳の場所を使用して制約されてもよい。ホログラムは、所与の時間に光が視界窓に入ることができる入射瞳の直径等の入射瞳の寸法を使用して制約されてもよい。
【0062】
ホログラムによる画像コンテンツの角度分布により、各角度チャネルは、ディスプレイ装置から、及び/又は導波路瞳拡張器(単に「導波路」と呼ばれることもある)から放出される異なるそれぞれの角度又は角度範囲を有することになり得る。第1の角度チャネルの最大角度は、第2の角度チャネルの最小角度に等しくてもよい。角度チャネルの光のサイズ及び/又は形状は、第1の目視位置又は第2の目視位置における入射瞳(又は、視野開口)のサイズ及び/又は形状に対応することができる。
【0063】
視界窓は、所与の時間に3つ以上の目視位置を含むことができる。視界窓内の目視位置の数は、動的に変化し得る。
【0064】
第1の目視位置及び/又は第2の目視位置の場所は、動的に変化してもよい。実施形態では、ホログラムは、目視位置の一方又は他方(又は両方)が変化したときに確認されてもよく、及び/又は再計算されてもよい。例えば、ホログラムが、目視位置の1つに位置する入射瞳に従って制約され、その目視位置を変更するように入射瞳が移動される場合、ホログラムは再計算され得る。
【0065】
実施形態では、第1及び第2の目視位置は、同じ入射瞳(又は視野開口)の第1及び第2の位置に対応する。入射瞳は、第1の目視位置と第2の目視位置との間で、例えば迅速に移動するように構成されてもよい。
【0066】
実施形態では、第1及び第2の目視位置は、視界窓内の第1及び第2の異なる入射瞳(又は視野開口)に対応する。例えば、観察者の左右の眼にそれぞれ対応していてもよい。したがって、制御装置は、同じ角度チャネル(したがって、同じ画像コンテンツの光は、同じ角度で、)が両方の入射開口部に同時に到達するのを防止するように構成されてもよい。
【0067】
空間変調光の隣接する角度チャネルは、画像の隣接する領域に対応することができる。それぞれの角度チャネルは、重ならなくてもよいが、角度空間において連続的であってもよい。第1の角度チャネルの最大光線角度は、第2の隣接する角度チャネルの最小光線角度に実質的に等しくてもよい。
【0068】
導波路瞳拡張器がディスプレイ装置から視界窓に提供する空間変調光の複数の異なる光伝搬経路の各々は、各々が画像の異なるそれぞれの領域に対応する複数の角度チャネルを含むことができる。実施形態では、導波路瞳拡張器及び制御装置は、各光伝搬経路について、所与の時間にただ1つの角度チャネルが第1の目視位置に到達するように構成されてもよい。実施形態では、導波路瞳拡張器及び制御装置は、各光伝搬経路について、所与の時間にただ1つの角度チャネルが第2の目視位置に到達するように構成されてもよい。
【0069】
制御装置は、導波路瞳拡張器の出力面又は出力ポートに結合されてもよい。例えば、それは、導波路瞳拡張器の光学的下流に、それから短い距離だけ離間して設けられてもよい。導波路瞳拡張器及び制御装置は、任意の適切な方法で互いに取り付けられてもよい。導波路瞳拡張器及び制御装置は、実質的に平行に、又は互いに配置されてもよい。
【0070】
制御装置は、視界窓から視認可能な導波路の出力面の領域(複数可)を制限するように構成されてもよい。
【0071】
導波路瞳拡張器及び視界窓は、非平行であってもよい。例えば、視界窓は、第1及び/又は第2の目視位置を含む投影面を含むことができ、異なる光伝搬経路がそこから出力される出力面等の導波路瞳拡張器の面は、その投影面に対して非平行であり得る。
【0072】
制御装置は、複数の開放部(代わりに「開口」又は「窓」と呼ばれることもあり、あるいは制御装置の実質的に「開いた」又は「透明な」部分又はセクションであることもある)を備えることができ、各開放部は、第1の目視位置及び/又は第2の目視位置に空間変調光のそれぞれのチャネルを提供し、それにより、非同一の画像コンテンツが実質的に同時に第1及び第2の目視位置にそれぞれ送達される。実施形態では、画像の全ての画像コンテンツは、開放部を介して、実質的に同時に視界窓に完全に送達され得るが、画像コンテンツの一部は、実質的に同時に両方の目視位置に送達されない。
【0073】
制御装置はまた、複数の障壁、又は閉鎖部分を備えてもよい。障壁は、制御装置の透過面に沿って、開放部と交互に設けられてもよい。
【0074】
制御装置内の1つ以上の開放部(したがって、1つ以上のバリア)のサイズ及び/又は場所は、動的に変動可能であり得る。開放部(複数可)のサイズ及び/又は場所は、所与の時点において、表示されているホログラムに従って決定することができる。開放部(複数可)のサイズ及び/又は場所は、所与の時間における第1の目視位置及び/又は第2の目視位置の場所に従って決定することができる。
【0075】
「開放部」という用語は、所与の時間にそれを通して光を放出する制御装置の部分を説明するために使用されているが、必ずしも物理的な隙間、又は材料の欠如を意味すると理解されるべきではない。代わりに、「開放部」は、開いており、したがって光学的に透明であるか、又は閉じており、したがって光学的に不透明であるかのいずれかに動的に制御され得る制御装置の一部を含んでもよい。例えば、開放部は、シャッタ又はカバーを除去することができる制御装置の一部を含むことができ、及び/又は光学的に透明又は不透明になるように動的に構成可能な材料の一部を含むことができる。
【0076】
制御装置は、少なくとも部分的に、光学的に変動可能な材料から形成されてもよい。制御装置の少なくとも一部の光透過特性は、例えば選択された電圧の印加によって、又は光若しくは熱の印加によって変更及び制御することができる。制御装置は、画素化装置を備えてもよく、各画素は、光学的に透明であるか光学的に不透明であるかを切り替え可能であってもよい。例えば、画素化装置は液晶装置であってもよい。したがって、制御装置の「開放部のサイズ及び場所は、所与の時点で透明状態に切り替えられる画素の数及び場所によって決定され得る。
【0077】
制御装置自体は、「導波路開口」又は単に「開口」と呼ばれることがある。制御装置は、複数の異なる制御装置構成が提供されるように、各開放部が開位置と閉位置との間で切り替え可能であるように構成されてもよく、各制御装置構成は、制御装置の開放部分と閉鎖部分の交互シーケンスを含む。
【0078】
制御装置は、第1の時点における第1の制御装置構成及び第2の時点における第2の制御装置構成を提供するように構成されてもよく、第1の制御装置構成及び第2の制御装置構成は相補的である。例えば、第1の制御装置構成では、制御装置は、画像の第1の部分の光が第1の目視位置に到達し、画像の第2の部分の光が第2の目視位置に到達することを可能にすることができ、第2の制御装置構成では、制御装置は、画像の第2の部分の光が第1の目視位置に到達し、画像の第1の部分の光が第2の目視位置に到達することを可能にすることができる。
【0079】
第1の時点と第2の時点との間の時間間隔は、ヒトの眼の典型的な積分時間よりも短くてもよい。
【0080】
第1の制御装置構成では、制御装置は、第1の画像の第1及び第3の画像ゾーンに従って変調された光を第1の目視位置に送達し、第2の画像の第2及び第4の画像ゾーンに従って変調された光を第2の目視位置に送達することができ、各画像の第1~第4のゾーンは、その画像の順序付けられた連続した領域である。
【0081】
第2の制御装置構成では、制御装置は、画像の第2及び第4の画像ゾーンに従って変調された光を第1の目視位置に送達し、画像の第1及び第3に従って変調された光を第2の目視位置に送達することができる。
【0082】
第1の目視位置に送達される各ゾーンの画像コンテンツは、第2の目視位置に送達される各対応するゾーンの画像コンテンツと同一でなくてもよい。言い換えれば、ホログラム(複数可)は、画像コンテンツが第1の目視位置に送達するための第1のゾーンのセットに分割され、画像コンテンツが第2の目視位置に送達するための第2のゾーンのセットに分割されるように計算することができ、各ゾーンへの画像コンテンツの配分は、対応する目視位置の、視認システムによって見られる(又は知覚される)ホログラフィック再構成画像の視点を考慮に入れる。例えば、第1の目視位置は、第2の目視位置が画像をどのようにどこで見るかと比較して、画像が並進又は変位しているように見ることができる。
【0083】
一態様によれば、視界窓から視認可能な画像を形成するために、光エンジン内の光伝搬を制御する方法が提供され、光エンジンは、ディスプレイ装置と、導波路瞳拡張器と、視界窓内の視認システムとを備える。本方法は、ディスプレイ装置に画像のホログラムを表示することと、ディスプレイ装置を照明して、ホログラムに従って光を空間的に変調することと、を含む。ホログラムは、空間変調光の角度チャネルが画像のそれぞれの連続領域に対応するように、画像コンテンツの位置に従って画像の空間変調光を角度的に分配するように構成される。本方法は、空間変調光を受け取り、空間変調光のためのそれぞれの複数の異なる光伝搬経路をディスプレイ装置から視界窓へ提供するように導波路瞳拡張器を配置することと、導波路と視界窓との間に配列された制御装置を使用して複数の異なる光伝搬経路の伝搬を制御することと、を更に含み、制御装置は少なくとも1つの開口を備える。複数の異なる光伝搬経路の伝搬を制御する工程は、視界窓内の第1の目視位置が画像の第1の領域に従ってホログラムによって空間変調された光の第1のチャネルを受信し、視界窓内の第2の目視位置が画像の第2の領域に従ってホログラムによって空間変調された光の第2のチャネルを受信するように、制御装置を構成することを含む。
【0084】
本方法は、画像のホログラムを計算することを更に含むことができる。ホログラムは、同時に表示されるか、又はホログラムを形成するために組み合わされる2つ以上のホログラム又はサブホログラムを含んでもよい。
【0085】
制御装置を構成する工程は、制御装置の第1の部分を通る光の伝送を可能にすることと、制御装置の第2の異なる部分を通る光の伝送を防止することとを含むことができる。それは、制御装置の1つ以上の更なる部分を通る光の伝送を可能にすること、及び/又は制御装置の1つ以上のそれぞれ他の更なる部分を通る光の伝送を防止することを更に含むことができる。
【0086】
導波路瞳拡張器は、複数の伝送点を備えてもよく、複数の異なる光伝搬経路の各々は、異なるそれぞれの伝送点から伝送される。各伝送点は、導波路瞳拡張器の出力面上に区域又は領域を含むことができる。
【0087】
本方法は、制御装置の不在下で、第1の角度チャネルの光が第1の目視位置に伝播するであろう第1の伝送点を識別することと、制御装置の不在下で、第1の角度チャネルの光が第2の目視位置に伝播するであろう第2の異なる伝送点を識別することと、選択された時間(t)において、第1の目視位置への第1の角度チャネルの光路又は第2の目視位置への第1の角度チャネルの光路のいずれかを遮断するように制御装置を構成することと、を更に含むことができる。例えば、本方法は、選択された時間(t)を含む選択された期間中に、交互に、第1の目視位置への第1の角度チャネルの光路を遮断することと、第2の目視位置への第1の角度チャネルの光路を遮断することとを含むことができる。この変更は、非常に迅速に、例えばヒトの眼の典型的な積分時間よりも速く実行され得る。
【0088】
本方法は、各連続領域が異なるそれぞれの角度チャネルの光に対応する、画像内の複数の連続領域を識別することと、選択された期間内に、上記複数の連続領域の第1のサブセットの光が第1の目視位置にのみ伝送することを可能にし、上記複数の連続領域の第2の異なるサブセットの光が第2の目視位置にのみ伝送することを可能にするように制御装置を構成することと、を更に含むことができる。第1及び第2のサブセットは、画像について画像コンテンツの全てを提供するために結合することができる。
【0089】
実施形態は、一次元での瞳孔拡張を説明しているが、本開示は、例えば、第1の次元で拡張するための第1の細長い導波路と、第2の垂直次元で拡張するための第2の導波路とを使用して、二次元瞳孔拡張まで拡張する。実施形態によれば、制御装置は、第1の導波路瞳拡張器の後に配置される。したがって、本開示の光エンジンは、第2の導波路瞳拡張器を備えることができる。本明細書で開示される制御装置は、第1の導波路瞳拡張器と第2の導波路瞳拡張器との間に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、制御装置は、第1の導波路の出口に直接隣接していない。いくつかの実施形態では、制御装置は、第2の瞳孔拡張器への入口の直前に配置される。他の実施形態では、制御装置は、第2の導波路瞳拡張器の下流、すなわち、第2の導波路瞳拡張器と視界窓との間に配置される。
【0090】
制御装置(すなわち、本明細書に開示される開口部又はシャッタ)の透過率は、視認システムの入射瞳の中心を結ぶ直線に実質的に平行な方向に切り替え可能であってもよい。開口又はシャッタリングは、2D瞳孔拡張の場合でも、例えば水平方向に一次元のみであってもよい。制御装置によって提供される開いた又は閉じた開口は、第1の導波路瞳拡張器の瞳拡張の方向に切り替え可能であってもよい。すなわち、第1の導波路瞳拡張器の長手方向である。
【0091】
「ホログラム」という用語は、対象物に関する振幅情報若しくは位相情報、又はそれらの何らかの組み合わせを含む記録を指すために使用される。「ホログラフィック再構成」という用語は、ホログラムを照明することによって形成される物体の光学的再構成を指すために使用される。ホログラフィック再構成は実像であり、ホログラムから空間的に分離され得るので、本明細書に開示されるシステムは「ホログラフィックプロジェクタ」として説明される。「再生フィールド」という用語は、ホログラフィック再構成が形成され、完全に焦点が合わされる2D領域を指すために使用される。ホログラムが画素を含む空間光変調器に表示される場合、再生フィールドは複数の回折次数の形態で繰り返され、各回折次数は0次再生フィールドの複製である。0次再生フィールドは、最も明るい再生フィールドであるため、一般に、好ましい再生フィールド又は一次再生フィールドに対応する。特に明記しない限り、「再生フィールド」という用語は、0次再生フィールドを指すと解釈されるべきである。「再生平面」という用語は、全ての再生フィールドを含む空間内の平面を指すために使用される。「画像」、「再生画像」、及び「画像領域」という用語は、ホログラフィック再構成の光によって照明される再生フィールドの領域を指す。いくつかの実施形態では、「画像」は、「画像スポット」又は便宜的にのみ「画像画素」と呼ばれ得る別々のスポットを含み得る。
【0092】
「符号化」、「書き込み」、又は「アドレス指定」という用語は、各画素の変調レベルをそれぞれ決定するそれぞれの複数の制御値をSLMの複数の画素に提供するプロセスを説明するために使用される。SLMの画素は、複数の制御値の受信に応答して光変調分布を「表示」するように構成されていると言うことができる。したがって、SLMはホログラムを「表示する」と言うことができ、ホログラムは光変調値又はレベルのアレイと考えることができる。
【0093】
許容可能な品質のホログラフィック再構成は、元の物体(すなわち、再構成のためのターゲット画像)に関連する位相情報のみを含む「ホログラム」から形成できることがわかっている。このようなホログラフィック記録は、位相限定ホログラムと呼ばれることがある。実施形態は位相限定ホログラムに関するが、本開示は振幅限定ホログラフィにも等しく適用可能である。本開示は、ホログラム計算の特定の方法に限定されない。いくつかの実施形態は、単なる例として、点群ホログラム、すなわち点群法を使用して構築されたホログラムに関する。しかしながら、本開示は、フーリエ又はフレネル型ホログラム、及びコヒーレント光線追跡等の他の技術に従って計算されたホログラムにも同様に適用可能である。
【0094】
本開示はまた、元の物体(すなわち、ターゲット画像)に関連する振幅及び位相情報を使用してホログラフィック再構成を形成することにも等しく適用可能である。いくつかの実施形態では、これは、元の物体に関する振幅情報と位相情報の両方を含む、いわゆる完全複素ホログラムを使用した複素変調によって達成される。このようなホログラムは、ホログラムの各画素に割り当てられた値(階調)が振幅及び位相成分を有するため、完全複素ホログラムと呼ばれることがある。各画素に割り当てられた値(階調)は、振幅成分と位相成分の両方を有する複素数として表されてもよい。いくつかの実施形態では、完全複素コンピュータ生成ホログラムが計算される。
【0095】
「位相遅延」の省略表現として、位相値、位相成分、位相情報、又は単に、コンピュータ生成ホログラム又は空間光変調器の画素の位相を参照することができる。すなわち、記載される任意の位相値は、実際には、その画素によって提供される位相遅延の量を表す数(例えば、0~2πの範囲内)である。例えば、π/2の位相値を有すると記載された空間光変調器の画素は、受信した光の位相をπ/2ラジアン遅延させる。いくつかの実施形態では、空間光変調器の各画素は、複数の可能な変調値(例えば、位相遅延値)のうちの1つで動作可能である。「階調」という用語は、複数の利用可能な変調レベルを指すために使用され得る。例えば、「階調」という用語は、異なる位相レベルが異なる階調を提供しない場合であっても、位相限定変調器において複数の利用可能な位相レベルを指すために便宜上使用され得る。「階調」という用語はまた、複素変調器における複数の利用可能な複素変調レベルを指すために便宜上使用され得る。
【0096】
したがって、ホログラムは、階調のアレイ、すなわち、位相遅延値又は複素変調値のアレイ等の光変調値のアレイを含む。ホログラムは、空間光変調器に表示され、空間光変調器の画素ピッチに匹敵する、一般にそれ未満の波長を有する光で照射されたときに回折を引き起こすパターンであるため、回折パターンとも考えられる。本明細書では、ホログラムを、レンズ又は格子として機能する回折パターン等の他の回折パターンと組み合わせることについて言及する。例えば、格子として機能する回折パターンは、再生フィールドを再生平面上で並進させるためにホログラムと組み合わされてもよく、又はレンズとして機能する回折パターンは、ホログラフィック再構成を近視野の再生平面上に集束させるためにホログラムと組み合わされてもよい。
【0097】
以下の詳細な説明では、異なる実施形態及び実施形態のグループを別々に開示することができるが、任意の実施形態又は実施形態のグループの任意の特徴を、任意の実施形態又は実施形態のグループの任意の他の特徴又は特徴の組み合わせと組み合わせることができる。すなわち、本開示に開示された特徴の全ての可能な組み合わせ及び置換が想定される。
【0098】
具体的な実施形態が、以下の図を参照して単なる例として説明される。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【
図1】スクリーン上にホログラフィック再構成を生成する反射型SLMを示す概略図である。
【
図2A】例示的なGerchberg-Saxton型アルゴリズムの第1の反復を示す図である。
【
図2B】例示的なGerchberg-Saxton型アルゴリズムの2回目以降の反復を示す図である。
【
図2C】例示的なGerchberg-Saxton型アルゴリズムの代替的な第2及び後続の反復を示す図である。
【
図4】ディスプレイ装置から開口部に向かって効果的に伝播する虚像の角度コンテンツを示す図である。
【
図5a】比較的小さい伝播距離を有する視認システムを示す図である。
【
図5b】比較的大きい伝播距離を有する視認システムを示す図である。
【
図6a】無限遠で虚像を形成するための、導波路を含む比較的大きい伝播距離を有する視認システムを示す図である。
【
図7】有限虚像及び導波路瞳拡張器を用いてゴースト像を形成することができる方法を示す図である。
【
図8】一次画像及び2つのゴースト像を含む虚像を示す図である。
【
図9A】LCOS全体を使用して一次画像点及び2つの対応するゴースト像点を形成する例を示す図である。
【
図9B】LCOS全体を使用して一次画像点及び2つの対応するゴースト像点を形成する例を示す図である。
【
図9C】LCOS全体を使用して一次画像点及び2つの対応するゴースト像点を形成する例を示す図である。
【
図10A】第2のゴースト点を生じさせる導波路を通る第1の伝搬経路を示す図である。
【
図10B】メイン像点を生じさせる導波路を通る第2の伝搬経路を示す図である。
【
図10C】第1のゴースト点を生じさせる導波路を通る第3の伝搬経路を示す図である。
【
図11A】3つの異なる視野/画像点に関連する3つの伝播経路及びLCOS利用を示す。
【
図11B】3つの異なる視野/画像点に関連する3つの伝播経路及びLCOS利用を示す。
【
図11C】3つの異なる視野/画像点に関連する3つの伝播経路及びLCOS利用を示す。
【
図12A】視認システム及び導波路によって形成された虚像点及びその虚像点の画像を含む視認システムを示す図である。
【
図13】実施形態による改善されたデータ構造を導出するための改善された方法のフローチャートである。
【
図14】実施形態による改善されたデータ構造を導出するための更なる改善された方法のフローチャートである。
【
図15A】複数の画像領域を含む画像(下)及び複数のホログラム成分を含む対応するホログラム(上)を示す。
【
図15B】複数の個別のホログラムチャネルへのホログラフィック符号化光のルーティング又はチャネリングを特徴とする、本開示によるホログラムを示す図である。
【
図15C】異なる光路を介して各ホログラムチャネルの光内容物を眼に送るように配置された最適化されたシステムを示す図である。
【
図16】角度光チャネルの複数のインスタンスを出力する導波路を含むシステムを示す図である。
【
図18】光線角度と
図17の導波路について導波路(P
WG)に沿った位置との間の関係を示すグラフである。
【
図19】4つのゾーンを有する画像について、
図18のグラフに対して配置された実施形態による制御装置を示す図である。
【
図20】4つのゾーンに分割されたターゲット画像を示す図である。
【
図21】
図19のグラフに対して配置された、実施形態による制御装置の一部分を示す図である。
【
図22A】実施形態による制御装置を含むディスプレイシステムを示す図である。
【
図23A】ゾーンに分割された、左眼によって受信される所望の画像を示す図である。
【
図23B】ゾーンに分割された、右眼によって受け取られる所望の画像を示す図である。
【
図23C】実施形態による制御装置の第1の相において観察者によって受信された画像ゾーンを示す図である。
【
図23D】実施形態による制御装置の第2の相において観察者によって受信された画像ゾーンを示す図である。
【
図24A】第1の相における制御装置を含むディスプレイシステムを示す図である。
【
図24B】
図24Aの第1の相中に右眼によって受け取られた画像ゾーンを示す図である。
【
図24C】
図24Aの第1の相中に左眼によって受け取られた画像ゾーンを示す図である。
【
図25B】
図25Aの第2の相中に右眼によって受け取られた画像ゾーンを示す図である。
【
図25C】
図25Aの第2の相中に左眼によって受け取られた画像ゾーンを示す図である。
【
図26】実施形態による一次元瞳孔拡張を提供する光エンジン、及び観察者の有限サイズの瞳孔を通る光線追跡を示す図である。
【
図27】
図26の実施形態における二眼クロストークの分析を示す図である。
【
図28】一実施形態による制御装置の第1~第3のシャッタ相をそれぞれ示す。
【
図29】一実施形態による制御装置の第1~第3のシャッタ相をそれぞれ示す。
【
図30】一実施形態による制御装置の第1~第3のシャッタ相をそれぞれ示す。
【発明を実施するための形態】
【0100】
同じ又は同様の部分を指すために、図面全体を通して同じ参照番号が使用される。
【0101】
本発明は、以下に記載される実施形態に限定されず、添付の特許請求の範囲の全範囲に及ぶ。すなわち、本発明は、異なる形態で具体化されてもよく、説明のために記載された実施形態に限定されると解釈されるべきではない。
【0102】
単数形の用語は、特に明記しない限り、複数形を含み得る。
【0103】
他の構造の上部/下部又は他の構造の上/下に形成されると記載された構造は、構造が互いに接触する場合、更に、それらの間に第3の構造が配列される場合を含むと解釈されるべきである。
【0104】
時間関係を説明する際に、例えば、事象の時間的順序が「後」、「後続」、「次」、「前」等として説明される場合、本開示は、特に明記しない限り、連続的及び非連続的な事象を含むと解釈されるべきである。例えば、「ちょうど」、「即時」、又は「直接」等の表現が使用されない限り、説明は連続的でない場合を含むと解釈されるべきである。
【0105】
本明細書では、「第1」、「第2」等の用語を使用して様々な素子を説明することができるが、これらの素子はこれらの用語によって限定されるものではない。これらの用語は、ある素子を別の素子と区別するためにのみ使用される。例えば、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、第1の素子を第2の素子と呼ぶことができ、同様に、第2の素子を第1の素子と呼ぶことができる。
【0106】
異なる実施形態の特徴は、部分的又は全体的に互いに結合又は組み合わせられてもよく、互いに様々に相互運用されてもよい。いくつかの実施形態は、互いに独立して実施されてもよく、又は共依存関係で一緒に実施されてもよい。
【0107】
光学構成
図1は、コンピュータ生成ホログラムが単一の空間光変調器で符号化される実施形態を示す。コンピュータ生成ホログラムは、再構成のための物体のフーリエ変換である。これは単なる例であり、ホログラムをコンピュータ生成するための他の方法が本開示において企図されることが理解されよう。したがって、ホログラムは、物体のフーリエドメイン又は周波数ドメイン又はスペクトルドメイン表現であると言える。この実施形態では、空間光変調器は、反射型液晶オンシリコン「LCOS」装置である。ホログラムは空間光変調器上で符号化され、ホログラフィック再構成が再生フィールド、例えばスクリーン又はディフューザ等の受光面に形成される。
【0108】
光源110、例えばレーザ又はレーザダイオードは、コリメートレンズ111を介してSLM140を照明するように配列される。コリメートレンズは、光の略平面状の波面をSLMに入射させる。
図1では、波面の方向は法線方向ではない(例えば、透明層の平面に対して真の直交から2度又は3度離れている。)。しかしながら、他の実施形態では、ほぼ平坦な波面が法線入射で提供され、ビームスプリッタ配置が入力光路と出力光路とを分離するために使用される。
図1に示す実施形態では、光源からの光がSLMの鏡像反転された後面で反射され、光変調層と相互作用して出口波面112を形成するように配置されている。出口波面112は、スクリーン125にその焦点を有するフーリエ変換レンズ120を含む光学系に適用される。より具体的には、フーリエ変換レンズ120は、SLM140から変調光のビームを受け取り、周波数空間変換を実行してスクリーン125でホログラフィック再構成を生成する。
【0109】
特に、この種のホログラフィでは、ホログラムの各画素が全体の再構成に寄与する。再生フィールド上の特定の点(又は画像画素)と特定の光変調素子(又はホログラム画素)との間に1対1の相関はない。言い換えれば、光変調層を出る変調光は、再生フィールドにわたって分布される。
これらの実施形態では、空間におけるホログラフィック再構成の位置は、フーリエ変換レンズの屈折力(集束力)によって決定される。
図1に示す実施形態では、フーリエ変換レンズは物理レンズである。すなわち、フーリエ変換レンズは光フーリエ変換レンズであり、フーリエ変換は光学的に行われる。任意のレンズはフーリエ変換レンズとして作用することができるが、レンズの性能は、それが実行するフーリエ変換の精度を制限する。当業者は、レンズを使用して光フーリエ変換を実行する方法を理解している。
【0110】
ホログラム計算
いくつかの実施形態では、コンピュータ生成ホログラムは、フーリエ変換ホログラム、又は単にフーリエホログラム又はフーリエベースのホログラムであり、正レンズのフーリエ変換特性を利用することによって遠視野で画像が再構成される。フーリエホログラムは、再生平面内の所望の光照射野をレンズ平面にフーリエ変換することによって計算される。コンピュータ生成フーリエホログラムは、フーリエ変換を使用して計算することができる。
【0111】
フーリエ変換ホログラムは、Gerchberg-Saxtonアルゴリズム等のアルゴリズムを使用して計算することができる。さらに、Gerchberg-Saxtonアルゴリズムを使用して、空間ドメインの振幅のみの情報(写真等)からフーリエ領域のホログラム(すなわち、フーリエ変換ホログラム)を計算することができる。対象物に関する位相情報は、空間ドメインにおける振幅限定情報から効果的に「回収」される。いくつかの実施形態では、コンピュータ生成ホログラムは、Gerchberg-Saxtonアルゴリズム又はその変形を使用して振幅限定情報から計算される。
【0112】
Gerchberg Saxtonアルゴリズムは、平面A及びBにおける光ビームの強度断面IA(x,y)及びIB(x,y)がそれぞれ既知であり、IA(x,y)及びIB(x,y)が単一のフーリエ変換によって関連付けられるときの状況を考慮する。所与の強度断面を用いて、平面A及びBにおける位相分布ΨA(x,y)及びΨB(x,y)に対する近似がそれぞれ見出される。Gerchberg-Saxtonアルゴリズムは、反復プロセスに従うことによってこの問題の解を見つける。より具体的には、Gerchberg-Saxtonアルゴリズムは、IA(x,y)及びIB(x,y)を表すデータセット(振幅及び位相)を空間ドメインとフーリエ(スペクトル又は周波数)領域との間で繰り返し転送しながら、空間的制約及びスペクトル制約を繰り返し適用する。スペクトルドメイン内の対応するコンピュータ生成ホログラムは、アルゴリズムの少なくとも1回の反復によって得られる。アルゴリズムは収束性であり、入力画像を表すホログラムを生成するように配置される。ホログラムは、振幅限定ホログラム、位相限定ホログラム、又は完全複素ホログラムであってもよい。
【0113】
いくつかの実施形態では、位相限定ホログラムは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる英国特許第2,498,170号又は第2,501,112号に記載されているようなGerchberg-Saxtonアルゴリズムに基づくアルゴリズムを使用して計算される。しかしながら、本明細書に開示される実施形態は、単なる例として位相限定ホログラムを計算することを記載している。これらの実施形態では、Gerchberg-Saxtonアルゴリズムは、既知の振幅情報T[x,y]をもたらすデータセットのフーリエ変換の位相情報Ψ[u,v]を検索し、振幅情報T[x,y]はターゲット画像(例えば写真)を表す。大きさ及び位相はフーリエ変換において本質的に組み合わされるため、変換された大きさ及び位相は、計算されたデータセットの精度に関する有用な情報を含む。したがって、アルゴリズムは、振幅情報及び位相情報の両方に対するフィードバックを用いて反復的に使用され得る。しかしながら、これらの実施形態では、画像平面でターゲット画像を表すホログラフィックを形成するために、位相情報Ψ[u,v]のみがホログラムとして使用される。ホログラムは、位相値のデータセット(例えば2Dアレイ)である。
【0114】
他の実施形態では、Gerchberg-Saxtonアルゴリズムに基づくアルゴリズムを使用して、完全複素ホログラムを計算する。完全複素ホログラムは、大きさ成分と位相成分とを有するホログラムである。ホログラムは、複素データ値のアレイを含むデータセット(例えば2Dアレイ)であり、各複素データ値は、大きさ成分及び位相成分を含む。
【0115】
いくつかの実施形態では、アルゴリズムは複素データを処理し、フーリエ変換は複素フーリエ変換である。複素データは、(i)実数成分及び虚数成分、又は(ii)大きさ成分及び位相成分を含むと考えることができる。いくつかの実施形態では、複素データの2つの成分は、アルゴリズムの様々な段階で異なるように処理される。
【0116】
図2Aは、位相限定ホログラムを計算するためのいくつかの実施形態によるアルゴリズムの第1の反復を示す。アルゴリズムへの入力は、画素又はデータ値の2Dアレイを含む入力画像210であり、各画素又はデータ値は、大きさ又は振幅の値である。すなわち、入力画像210の各画素やデータ値は、位相成分を有していない。したがって、入力画像210は、大きさのみ又は振幅のみ又は強度のみの分布と考えることができる。そのような入力画像210の例は、写真又はフレームの時系列を含むビデオの一フレームである。アルゴリズムの第1の反復は、開始複素データセットを形成するために、ランダム位相分布(又はランダム位相シード)230を使用して、入力画像の各画素にランダム位相値を割り当てることを含むデータ形成工程202Aで開始し、セットの各データ素子は、大きさ及び位相を含む。開始複素データセットは、空間ドメインにおける入力画像を表すと言える。
【0117】
第1の処理ブロック250は、開始複素データセットを受信し、フーリエ変換複素データセットを形成するために複素フーリエ変換を実行する。第2の処理ブロック253は、フーリエ変換された複素データセットを受け取り、ホログラム280Aを出力する。いくつかの実施形態では、ホログラム280Aは位相限定ホログラムである。これらの実施形態では、第2の処理ブロック253は、ホログラム280Aを形成するために、各位相値を量子化し、各振幅値を単位に設定する。各位相値は、位相限定ホログラムを「表示」するために使用される空間光変調器の画素上に表され得る位相レベルに従って量子化される。例えば、空間光変調器の各画素が256個の異なる位相レベルを提供する場合、ホログラムの各位相値は、256個の可能な位相レベルのうちの1つの位相レベルに量子化される。ホログラム280Aは、入力画像を表す位相限定フーリエホログラムである。他の実施形態では、ホログラム280Aは、受信されたフーリエ変換複素データセットから導出された複素データ値(各々が振幅成分及び位相成分を含む)のアレイを含む完全複素ホログラムである。いくつかの実施形態では、第2の処理ブロック253は、各複素データ値を複数の許容可能な複素変調レベルのうちの1つに制約してホログラム280Aを形成する。制約する工程は、各複素データ値を複素平面内の最も近い許容複素変調レベルに設定する工程を含むことができる。ホログラム280Aは、スペクトル領域又はフーリエ領域又は周波数ドメインにおける入力画像を表すと言える。いくつかの実施形態では、アルゴリズムはこの時点で停止する。
【0118】
しかしながら、他の実施形態では、アルゴリズムは、
図2Aの点線矢印によって表されるように継続する。言い換えれば、
図2Aの点線矢印に続く工程は任意である(すなわち、全ての実施形態に必須ではない)。
【0119】
第3の処理ブロック256は、第2の処理ブロック253から修正複素データセットを受け取り、逆フーリエ変換を実行して、逆フーリエ変換複素データセットを形成する。逆フーリエ変換された複素データセットは、空間ドメインにおける入力画像を表すと言える。
【0120】
第4の処理ブロック259は、逆フーリエ変換された複素データセットを受け取り、マグニチュード値211Aの分布及び位相値213Aの分布を抽出する。任意に、第4の処理ブロック259は、マグニチュード値211Aの分布を評価する。具体的には、第4の処理ブロック259は、逆フーリエ変換された複素データセットのマグニチュード値211Aの分布を、それ自体がマグニチュード値の分布である入力画像510と比較してもよいことは言うまでもない。マグニチュード値211Aの分布と入力画像210との間の差が十分に小さい場合、第4の処理ブロック259は、ホログラム280Aが許容可能であると判定することができる。すなわち、マグニチュード値211Aの分布と入力画像210との間の差が十分に小さい場合、第4の処理ブロック259は、ホログラム280Aが入力画像210を十分に正確に表すと判定することができる。いくつかの実施形態では、逆フーリエ変換された複素データセットの位相値213Aの分布は、比較の目的のために無視される。マグニチュード値211Aの分布と入力画像210とを比較するための任意の数の異なる方法が使用されてもよく、本開示は任意の特定の方法に限定されないことが理解されよう。いくつかの実施形態では、平均二乗差が計算され、平均二乗差が閾値未満である場合、ホログラム280Aは許容可能であるとみなれる。第4の処理ブロック259がホログラム280Aを許容できないと判定した場合、アルゴリズムの更なる反復が実行されてもよい。しかしながら、この比較工程は必須ではなく、他の実施形態では、実行されるアルゴリズムの反復回数は、予め決定されているか、予め設定されているか、又はユーザ定義である。
【0121】
図2Bは、アルゴリズムの第2の反復及びアルゴリズムの任意の更なる反復を表す。先行する反復の位相値213Aの分布は、アルゴリズムの処理ブロックを介してフィードバックされる。マグニチュード値211Aの分布は、入力画像210のマグニチュード値の分布を支持して拒絶される。第1の反復では、データ形成工程202Aは、入力画像210のマグニチュード値の分布とランダム位相分布230とを組み合わせて、1回目の複素データセットを形成した。しかしながら、2回目以降の反復では、データ形成工程202Bは、(i)アルゴリズムの前回の反復からの位相値213Aの分布と、(ii)入力画像210のマグニチュード値の分布とを組み合わせることによって複素データセットを形成することを含む。
【0122】
次に、
図2Bのデータ形成工程202Bによって形成された複素データセットは、
図2Aを参照して説明したのと同じ方法で処理されて、第2の反復ホログラム280Bを形成する。したがって、プロセスの説明はここでは繰り返さない。アルゴリズムは、第2の反復ホログラム280Bが計算されたときに停止することができる。しかしながら、アルゴリズムの任意の回数の更なる反復が実行されてもよい。第3の処理ブロック256は、第4の処理ブロック259が必要とされるか、又は更なる反復が必要とされる場合にのみ必要とされることが理解されるであろう。出力ホログラム280Bは、一般に、反復ごとに良好になる。しかしながら、実際には、通常、測定可能な改善が観察されないか、又は更なる反復を実行するプラスの利益が追加の処理時間のマイナスの効果によって相殺される点に達する。したがって、アルゴリズムは、反復的かつ収束的であるとして説明される。
【0123】
図2Cは、2回目以降の反復の代替実施形態を表す。先行する反復の位相値213Aの分布は、アルゴリズムの処理ブロックを介してフィードバックされる。マグニチュード値211Aの分布は、マグニチュード値の代替的な分布のために拒絶される。この代替的な実施形態では、マグニチュード値の代替的な分布は、前の反復のマグニチュード値211の分布から導出される。具体的には、処理ブロック258は、前の反復のマグニチュード値211の分布から入力画像210のマグニチュード値の分布を減算し、その差をゲイン係数αでスケーリングし、スケーリングされた差を入力画像210から減算する。これは、以下の式によって数学的に表され、下付き文字及び数字は反復回数を示す:
【数1】
式中、
F’は逆フーリエ変換であり、
Fは順フーリエ変換であり、
R[x,y]は第3の処理ブロック256によって出力される複素データセットであり、
T[x,y]は入力又はターゲット画像であり、
∠は位相成分であり、
Ψは位相限定ホログラム280Bであり、
ηは、マグニチュード値211Bの新たな分布であり、
αはゲイン係数である。
【0124】
ゲイン係数αは固定であっても変動可能であってもよい。いくつかの実施形態では、ゲイン係数αは、入ってくるターゲット画像データのサイズ及びレートに基づいて決定される。いくつかの実施形態では、ゲイン係数αは反復回数に依存する。いくつかの実施形態では、ゲイン係数αは、単に反復回数の関数である。
【0125】
図2Cの実施形態は、他の全ての点で
図2A及び
図2Bの実施形態と同じである。位相限定ホログラムΨ(u,v)は、周波数領域又はフーリエドメインにおける位相分布を含むと言える。
【0126】
いくつかの実施形態では、フーリエ変換は、空間光変調器を使用して実行される。具体的には、ホログラムデータは、光パワーを提供する第2のデータと組み合わされる。すなわち、空間光変調に書き込まれるデータは、物体を表すホログラムデータと、レンズを表すレンズデータとを含む。空間光変調器に表示され、光で照射されると、レンズデータは物理レンズをエミュレートし、すなわち、対応する物理光学系と同じ方法で焦点に光をもたらす。したがって、レンズデータは、光学的又は集束的なパワーを提供する。これらの実施形態では、
図1の物理フーリエ変換レンズ120は省略されてもよい。レンズを表すデータを計算する方法は公知である。レンズを表すデータは、ソフトウェアレンズと呼ばれることがある。例えば、位相限定レンズは、その屈折率及び空間的に変化する光路長に起因してレンズの各点によって引き起こされる位相遅延を計算することによって形成されてもよい。例えば、凸レンズの中心における光路長は、レンズの縁における光路長よりも大きい。振幅限定レンズは、フレネルゾーンプレートによって形成されてもよい。コンピュータ生成ホログラフィの技術分野では、物理的なフーリエレンズを必要とせずにホログラムのフーリエ変換を実行できるように、レンズを表すデータをホログラムと組み合わせる方法も知られている。いくつかの実施形態では、レンズデータは、単純なベクトル加算等の単純な加算によってホログラムと組み合わされる。いくつかの実施形態では、フーリエ変換を実行するために、物理レンズがソフトウェアレンズと共に使用される。あるいは、他の実施形態では、ホログラフィック再構成が遠視野で行われるように、フーリエ変換レンズは完全に省略される。更なる実施形態では、ホログラムは、格子データ、すなわち画像ステアリング等の格子の機能を実行するように配置されたデータと同じ方法で組み合わせることができる。この場合も、このようなデータをどのように計算するかは、当分野において既知である。例えば、位相限定格子は、ブレーズド格子の表面上の各点によって引き起こされる位相遅延をモデル化することによって形成することができる。振幅限定格子は、ホログラフィック再構成の角度ステアリングを提供するために、振幅限定ホログラムと単純に重ね合わせることができる。第2のデータ提供レンズ及び/又はステアリングは、画像形成機能又は画像形成パターンと呼ばれる場合があるホログラムデータと区別するために、光処理機能又は光処理パターンと呼ばれる場合がある。
【0127】
いくつかの実施形態では、フーリエ変換は、物理フーリエ変換レンズとソフトウェアレンズとによって一緒に実行される。すなわち、フーリエ変換に寄与するいくつかの光パワーはソフトウェアレンズによって提供され、フーリエ変換に寄与する残りの光パワーは物理光学系又は光学系によって提供される。
【0128】
いくつかの実施形態では、画像データを受信し、アルゴリズムを使用してリアルタイムでホログラムを計算するように配置されたリアルタイムエンジンが提供される。いくつかの実施形態では、画像データは、画像フレームのシーケンスを含むビデオである。他の実施形態では、ホログラムは、予め計算され、コンピュータメモリに記憶され、SLMに表示するために必要に応じて呼び出される。すなわち、いくつかの実施形態では、所定のホログラムのリポジトリが提供される。
【0129】
実施形態は、単なる例として、フーリエホログラフィ及びGerchberg-Saxton型アルゴリズムに関する。本開示は、同様の方法によって計算することができるフレネルホログラフィ及びフレネルホログラムに等しく適用可能である。本開示はまた、点群法に基づくもの等の他の技術によって計算されたホログラムにも適用可能である。理解されるように、本明細書の後続の図は、ホログラム計算のための点群法を含むものとして説明される。しかしながら、
図2A~
図2Cに関連して上述したフーリエ法を含む、ホログラム計算の他の方法が代わりに使用されてもよい。
【0130】
光変調
空間光変調器を使用して、コンピュータ生成ホログラムを含む回折パターンを表示することができる。ホログラムが位相限定ホログラムである場合、位相を変調する空間光変調器が必要となる。ホログラムが完全複素ホログラムである場合、位相及び振幅を変調する空間光変調器を使用してもよいし、位相を変調する第1の空間光変調器及び振幅を変調する第2の空間光変調器を使用してもよい。
【0131】
いくつかの実施形態では、空間光変調器の光変調素子(すなわち、画素)は、液晶を含むセルである。すなわち、いくつかの実施形態では、空間光変調器は、光学活性成分が液晶である液晶装置である。各液晶セルは、複数の光変調レベルを選択的に提供するように構成される。すなわち、各液晶セルは、複数の可能な光変調レベルから選択された1つの光変調レベルで動作するように任意の時点で構成される。各液晶セルは、複数の光変調レベルとは異なる光変調レベルに動的に再構成可能である。いくつかの実施形態では、空間光変調器は反射型液晶オンシリコン(LCOS)空間光変調器であるが、本開示はこのタイプの空間光変調器に限定されない。
【0132】
LCOS装置は、小さな開口(例えば、幅数センチメートル)内に光変調素子又は画素の高密度アレイを提供する。画素は、典型的には約10ミクロン以下であり、その結果、回折角が数度になり、光学系をコンパクトにすることができる。LCOS SLMの小さな開口を適切に照明することは、他の液晶装置の大きな開口よりも容易である。LCOS装置は、典型的には反射性であり、これは、LCOS SLMの画素を駆動する回路を反射面の下に埋め込むことができることを意味する。その結果、開口率が高くなる。言い換えれば、画素は密集しており、すなわち、画素間にデッドスペースがほとんどない。これは、再生フィールドにおける光学的ノイズを低減するので有利である。LCOS SLMは、画素が光学的に平坦であるという利点を有するシリコンバックプレーンを使用する。これは、位相変調装置にとって特に重要である。
【0133】
適切なLCOS SLMを、
図3を参照して、単なる例として以下に説明する。LCOS装置は、単結晶シリコン基板302を用いて形成される。これは、基板の上面に配置された、ギャップ301aによって離間された正方形の平面アルミニウム電極301の2Dアレイを有する。電極301の各々は、基板302に埋め込まれた回路302aを介してアドレス指定することができる。各電極は、それぞれの平面鏡を形成する。電極アレイ上に配向層303が配列され、配向層303上に液晶層304が配列されている。第2の配向層305は、例えばガラスの平面透明層306上に配列される。例えばITOの単一の透明電極307が、透明層306と第2の配向層305との間に配列される。
【0134】
正方形電極301の各々は、透明電極307の上にある領域及び介在する液晶材料と共に、しばしば画素と呼ばれる制御可能な位相変調素子308を画定する。有効画素面積又は充填ファクタは、画素301a間の空間を考慮して、光学的に活性な全画素の割合である。透明電極307に対して各電極301に印加される電圧を制御することによって、それぞれの位相変調素子の液晶材料の特性を変化させることができ、それによってそこに入射する光に可変遅延を提供することができる。効果は、波面に位相限定変調を提供することであり、すなわち振幅効果は生じない。
【0135】
記載されたLCOS SLMは、反射において空間変調光を出力する。反射型LCOS SLMには、シグナル線、ゲート線、及びトランジスタが鏡面の下にあるという利点があり、その結果、充填ファクタが高く(通常は90%を超える)、解像度が高くなる。反射型LCOS空間光変調器を使用する別の利点は、液晶層の厚さを、透過型装置を使用した場合に必要となる厚さの半分にすることができることである。これにより、液晶のスイッチング速度が大幅に向上する(動画像の投影にとって重要な利点)。しかしながら、本開示の教示は、透過型LCOS SLMを使用して同様に実施することができる。
【0136】
小型ディスプレイ装置及び長い視距離を用いた画像投影
本開示は、ディスプレイ装置と観察者との間の分離がディスプレイ装置のサイズよりもはるかに大きい画像投影に関する。視距離(すなわち、観察者とディスプレイ装置との間の距離)は、ディスプレイ装置のサイズよりも少なくとも1桁大きくてもよい。視距離は、ディスプレイ装置のサイズよりも少なくとも2桁大きくてもよい。例えば、ディスプレイ装置の画素面積は10mm×10mmであり、視距離は1mであってもよい。システムによって投影された画像は、ディスプレイ装置から空間的に分離された表示面上に形成される。
【0137】
本開示によれば、画像はホログラフィック投影によって形成される。ディスプレイ装置にはホログラムが表示される。ホログラムは、光源(図示せず)によって照明され、ホログラムから空間的に分離された表示面上に画像が知覚される。画像は、現実であっても仮想であってもよい。以下の説明のために、ディスプレイ装置の上流に形成される虚像を考慮することが有用である。すなわち、ディスプレイ装置の背後に現れる。しかしながら、画像が虚像であることは必須ではなく、本開示は、ディスプレイ装置と視認システムとの間に形成される実像にも等しく適用可能である。
【0138】
ディスプレイ装置は、ホログラムを表示する画素を備える。ディスプレイ装置の画素構造は回折性である。したがって、ホログラフィック画像のサイズは回折規則によって支配される。ディスプレイ装置の回折特性の結果を、
図4を参照して以下に説明する。
【0139】
図4は、ディスプレイ装置402の上流に虚像401を形成するホログラムを表示するように配置された画素化ディスプレイ装置402を示す。ディスプレイ装置の回折角qは、虚像401のサイズを決定する。虚像401、ディスプレイ装置402、及び視認システム405は、光軸Ax上に配置されている。
【0140】
視認システム405は、入射開口404及び投影面406を有する。視認システム405は、ヒトの眼であってもよい。したがって、入射開口404は、眼の瞳孔であってもよく、投影面406は、眼の網膜であってもよい。
【0141】
ディスプレイ装置402と視認システム405との間を移動する光は、画像(画像自体ではない)のホログラムによって変調される。しかしながら、
図4は、ホログラムが虚像コンテンツを角度によってどのように分割するかを示している。図示の各光線束は、虚像401の異なる部分に関する。より具体的には、各光線束内の光は、虚像の一部の情報と共にホログラムによって符号化される。
図4は、各々が光軸Axに対するそれぞれの角度によって特徴付けられ、各々が虚像のそれぞれの部分を表す5つの例示的な光線束を示す。この例では、光束の一方は瞳404を通過し、他の4つの光束は瞳404によって遮断される。ここでも、5つの異なる光線束は、虚像401の5つの異なる部分に対応する。虚像の全画像コンテンツは、角度によって効果的に分割される。光軸Axに沿って進む光束は、画像情報の中心部分、すなわち画像の中心に関する情報を運ぶ。他の光束は、画像情報の他の部分を搬送する。光円錐の両端に示される2つの光束は、画像情報のエッジ部分を担持する。角度による画像情報のこの分割の結果、全ての画像コンテンツが所与の目視位置で視認システムの入射開口404を通過できるわけではない。言い換えれば、全ての画像コンテンツが眼によって受信されるわけではない。
図4の例では、図示されている5つの光束のうちの一方のみが、任意の目視位置で瞳孔404を通過する。読者は、5つの光束が単なる例として示されており、説明されるプロセスは、虚像の画像情報を5つの光束のみに分割することに限定されないことを理解するであろう。
【0142】
この例では、画像情報の中央部分が眼によって受け取られる。画像情報のエッジ部分は、眼の瞳孔によって遮断される。読者は、観察者が上下に移動すると、異なる光束が眼によって受け取られる可能性があり、例えば、画像情報の中央部分が遮断される可能性があることを理解するであろう。したがって、観察者は、全画像の一部のみを見る。残りの画像情報は、入射瞳によって遮断される。観察者は、ディスプレイ装置自体の小さな開口を通して画像を効果的に見ているため、観察者の視界は非常に制限される。
【0143】
要約すると、光はディスプレイ装置から回折角の範囲にわたって伝播する。1mの視距離では、ディスプレイ装置からの狭い範囲の角度のみが眼の瞳孔を通って伝播し、所与の眼の位置の網膜に画像を形成することができる。視認可能な虚像の部分は、入射開口を通過する
図4に示す小さな角度範囲内にある部分のみである。したがって、視野は非常に小さく、特定の角度範囲は眼の位置に大きく依存する。
【0144】
図4を参照して説明した小視野及び眼の位置に対する感度の問題は、ディスプレイ装置の大きい視距離及び小さい開口の結果である。視距離の重要性は、
図5~
図7を参照して更に説明される。
【0145】
図5Aは、ホログラムを表示し、ホログラムに従って変調された光を、入射開口504及び投影面506を含む視認システムに伝播するように配置されたディスプレイ装置502を示す。虚像501は無限遠であるため、虚像とディスプレイ装置との間で追跡される光線はコリメートされる。
図5Aの下部は、視認システムの拡大図を示す。この図は概略図であり、したがって眼の生理学的詳細は示されていない。実際には、当然ながら、ディスプレイ装置502を照らすように配置された光源(
図5Aには図示せず)がある。
【0146】
図5Aは、開口504を通って伝播することができる光線のみを示すし、開口504を通過することができない他の光線は省略される。しかしながら、実際には、これらの他の光線もディスプレイ装置502から伝播することが理解されよう。
図5Aでは、ディスプレイ装置と投影面との間の距離は、ディスプレイ装置からの完全な回折角が網膜上に画像を形成することができるほど十分に小さい。虚像から示される全ての光伝搬経路は、入射開口を通過する。したがって、虚像上の全ての点が網膜上にマッピングされ、全ての画像コンテンツが投影面に送達される。したがって、知覚される画像の視野は最大である。最適な位置では、視野はディスプレイ装置の回折角に等しい。興味深いことに、網膜上の異なる画像点は、ディスプレイ装置502上の異なる領域から伝播する光から形成され、例えば、
図5Aの上部に最も近い画像点は、ディスプレイ装置の下部のみから伝播する光から形成される。ディスプレイ装置の他の領域から伝播する光は、この画像点に寄与しない。
【0147】
図5Bは、視距離が増加するにつれて生じる状況を示す。
【0148】
より詳しくは、
図5Bは、ホログラムを表示し、ホログラムに従って変調された光を、入射開口504’及び投影面506’を含む視認システムに伝播するように配置されたディスプレイ装置502’を示す。虚像501’は無限遠であるため、虚像501’とディスプレイ装置502’との間で追跡される光線はコリメートされる。
図5Bの下部は、視認システムの拡大図を示す。この図は概略図であり、したがって眼の生理学的詳細は示されていない。実際には、当然ながら、ディスプレイ装置502’を照らすように配置された光源(
図5Bには図示せず)がある。
【0149】
図5Bは、開口504’を通って伝播することができる光線のみを示す。
図5Bのより大きい視距離では、光線束の一部は入射開口504’によって遮断される。具体的には、虚像のエッジ部に関連する光線束は、入射瞳504’によって遮断される。そのため、虚像の全体が見えず、視認可能な虚像の一部は眼の位置に大きく依存する。したがって、ディスプレイ装置のサイズが小さいために、ディスプレイ装置と視認システムとの間の距離が大きいという問題がある。
【0150】
図6Aは、ディスプレイ装置602を備える改良されたシステムを示しており、ディスプレイ装置602に表示されたホログラムで符号化された光を、入射開口604及び投影面606を備える視認システムに向かって伝播する。実際には、当然ながら、ディスプレイ装置602を照らすように配置された光源(図示せず)がある。改良されたシステムは、ディスプレイ装置602と入射開口604との間に配置された導波路608を更に備える。
図6Aの下部は、入射瞳604及び投影面606の拡大図を示す。この図は概略図であり、したがって眼の生理学的詳細は示されていない。
【0151】
図6Aの視距離は、
図5Bの視距離と同じである。しかしながら、
図5Bで遮断された光線束は、より長い視距離にもかかわらず、全画像情報が視認システムによって受信されるように、導波路608によって効果的に復元される。
【0152】
導波路608の存在は、この比較的大きい投影距離であっても、ディスプレイ装置602からの全ての角度コンテンツが眼によって受信されることを可能にする。これは、導波路608が、周知であり、したがって本明細書では簡単に説明されている方法で、瞳拡張器として作用するからである。
【0153】
手短に言えば、導波路608は、実質的に細長い形成を含む。この例では、それは屈折材料の光学スラブを含むが、他のタイプの導波路も周知であり、使用されてもよい。導波路608は、ディスプレイ装置602から投影される光円錐と、例えば斜めの角度で交差するように配置される。導波路608のサイズ、場所、及び位置は、光円錐内の5つの光線束の各々からの光が導波路608に入ることを確実にするように構成される。光円錐からの光は、その第1の平面610(ディスプレイ装置602に最も近い位置にある)を介して導波路608に入射し、導波路608の長さに沿って少なくとも部分的に誘導された後、第1の面610(眼に最も近い位置にある)に実質的に対向する第2の平面612を介して放射される。よく理解されるように、第2の平面612は部分的に反射性、部分的に透過性である。言い換えれば、各光線が導波路608内で、導波路608の第1の平面610から第2の平面612に進むとき、光の一部は導波路608から伝送され、一部は第2の平面612によって反射されて第1の平面610に戻る。第1の平面610は反射性であり、それにより、導波路608内からそれに当たる全ての光は、第2の平面612に向かって反射される。したがって、光の一部は、伝送される前に導波路608の2つの平面610、612の間で単に屈折されてもよく、他の光は反射されてもよく、したがって、伝送される前に導波路608の平面610、612の間で1つ以上の反射(又は「バウンス」)を受けてもよい。したがって、導波路608の正味の効果は、光の伝送が導波路608の第2の平面612上の複数の場所にわたって効果的に拡張されることである。したがって、ディスプレイ装置602によって出力される全ての角度コンテンツは、導波路608がない場合よりも、ディスプレイ面上のより多くの位置(及び開口面上のより多くの位置)に存在し得る。これは、各光線束からの光が、比較的大きい投影距離にもかかわらず、入射開口604に入り、投影面606によって形成される画像に寄与し得ることを意味する。言い換えれば、ディスプレイ装置602からの全ての角度コンテンツを眼で受け取ることができる。したがって、ディスプレイ装置602の完全な回折角が利用され、視界窓がユーザにとって最大化される。したがって、これは、全ての光線が知覚される虚像601に寄与することを意味する。
【0154】
図6Bは、
図6Aで形成される虚像601内の5つのそれぞれの画像点に寄与する5つの光線束の各々の個々の光路を示し、上から下にそれぞれR1~R5と標識されている。図からわかるように、R1及びR2のそれぞれの光は、単に屈折した後、導波路608によって伝送される。一方、R4の光は、伝送される前に単一のバウンスに遭遇する。R3の光は、伝送される前に導波路608によって単に屈折されるディスプレイ装置602の対応する第1の部分からのいくらかの光と、伝送される前に単一のバウンスに遭遇するディスプレイ装置602の第2の異なる対応する部分からのいくらかの光とを含む。同様に、R5の光は、伝送される前に単一のバウンスに遭遇するディスプレイ装置602の対応する第1の部分からのいくらかの光と、伝送される前に2つのバウンスに遭遇するディスプレイ装置602の第2の異なる対応部分からのいくらかの光とを含む。R3及びR5のそれぞれについて、LCOSの2つの異なる部分は、虚像のその部分に対応する光を伝搬する。
【0155】
本発明者らは、少なくともいくつかの用途において、虚像距離、すなわち観察者から虚像までの距離は、虚像が無限遠で形成されるのとは対照的に、有限であることが好ましいことを認識した。特定の用途では、虚像コンテンツが現れることが望ましいか又は必要である好ましい虚像距離が存在する。例えば、これは、例えば自動車の設定におけるヘッドアップディスプレイの場合、例えば、虚像コンテンツが、車両のフロントガラスを通して観察者によって見られている現実のコンテンツに重ね合わせられる場合であり得る。例えば、所望の虚像距離は、観察者の車両又はフロントガラスの前方に数メートル、例えば3メートル又は5メートルで形成される虚像コンテンツを含むことができる。
【0156】
図7の上部は、ディスプレイ装置702上に表示されたホログラムで符号化された(すなわち、それに従って変調された)光703を、入射開口704及び投影面706を含む眼に向かって伝播するディスプレイ装置702を含むシステムを示す。ディスプレイ装置702を照明するように配置された光源(図示せず)がある。システムは、上記の
図6aに関連して詳細に説明したように、瞳拡張器として機能するために、ディスプレイ装置702と入射開口704との間に配置された導波路708を更に備える。
図7の中央部は、入射開口704及び投影面706の拡大図を示し、
図7の最下部は、投影面706の更なる拡大図を示す。この図は概略図であり、したがって眼の生理学的詳細は示されていない。この配置では、眼は、虚像701がディスプレイ装置702の上流の有限の距離に位置していると知覚する。虚像701とディスプレイ装置702との間の光線は、虚像距離が有限であるため発散する。
【0157】
上記の
図6Aに示すように、
図7の導波路708の存在は、ディスプレイ装置702の全回折角が比較的大きな投影距離でアクセスされることを効果的に可能にし、それにより、全画像コンテンツが示されている目視位置でユーザに視認可能となる。
【0158】
しかしながら、更なる技術的課題が導入される。特定の光線束について、ディスプレイ装置702の異なる部分からの光の異なる光路は、虚像が有限の虚像距離で形成されるときに、それぞれが網膜706上に複数の画像点を形成するそれらの光線束をもたらすことができる。これは、
図7aのR3’及びR5’と標識された光線束に関連して示されている。形成される追加の画像点は、虚像内の所与の点のメイン像点に従属し、「ゴースト像点」と呼ばれ、集合的に「ゴースト像」又は単に「ゴースト」を形成する。画像形成の当業者が理解するように、ゴーストの形成は、観察者の視点から、虚像のぶれ及び知覚品質の一般的な低下を引き起こす可能性がある。これは、「ゴースト」が「メイン」画像に部分的に重なる場合に特に当てはまる。
【0159】
図8は、メイン像に加えてゴースト像を含む、
図7aに示すものと同様の視認システムを使用して作成された番号「5」及び「9」の虚像の例を示す。メイン像は、左右にゴーストがある、各数字の最も明るい中央画像として見ることができる。
図8の例では、視距離が「5」の場合よりも大きい場合に「9」が形成され、したがって、ぶれは「9」の場合により顕著になる。
【0160】
発明者らは、ゴースト像の問題に対処した。本発明者らは、ディスプレイ装置によって出力される全ての角度画像コンテンツを含み、ゴースト像の形成を低減又は除去する、有限の虚像距離で虚像を形成することができる視認システムを提供することが望ましいことを認識した。さらに、本発明者らは、従来の視認システムでは、視野開口のサイズが大きくなるにつれて、ディスプレイ平面上に追加の画像点を形成し得る追加の光線を開口が通過させることができるため、ゴースト像点を形成するリスクが増加することを見出した。したがって、ゴースト像の形成を依然として低減又は除去しながら、様々なサイズの開口部に対応することができる改善された視認システムを提供することが望ましい。以下に詳述する本発明者らによって提供される解決策は、開口、導波路、及びディスプレイ装置の様々なサイズ及び配置の範囲に適用可能であり、1つ以上のゴースト像が従来から形成され得る様々な伝播距離に適用することができる。
【0161】
全体として、本発明者らは、実質的に、従来の配置では1つ以上のゴースト像に寄与するディスプレイ装置の1つ以上の領域を識別するホログラムを生成するための光エンジンを提供することが可能であり、ホログラムは、ディスプレイ装置のそれらの1つ以上の領域からの寄与を制御するために導出され、したがって、ホログラムがディスプレイ装置に表示されて照明されるときのゴースト像点の形成を回避又は低減することが可能であることを認識した。本発明者らは、視認システム内の投影距離が比較的大きく、ディスプレイ装置及び/又は視野開口が比較的小さい場合であっても、そのようなホログラムを提供するためのホログラムエンジンを提供し、改善された画像を形成するために、改善されたホログラムの表示及び照明のための改善された視認システムを提供することが可能であることを更に認識した。
【0162】
本発明者らは、本明細書の
図6A及び
図7Aに示されているような、比較的小さい視野開口と、任意に比較的小さいディスプレイ装置とを含む導波路を含む視認システムを有することによって課される角度制限のために、導波路内の異なる可能な伝播経路を別々に考慮することが可能であることを認識した。さらに、本発明者らは、そのような考察の結果として、所望の「メイン」像に寄与する光源であるディスプレイ装置の各領域、望ましくない「ゴースト」像に寄与する光源であるディスプレイ装置の領域、及び開口によって遮断され、したがってメイン像又はゴースト像のいずれにも寄与しない光源であるディスプレイ装置の領域を識別することが可能であることを認識した。本発明者らは、ホログラム計算を、メイン像に寄与するディスプレイ装置の領域のみに限定することが可能であることを更に認識した。
【0163】
本発明者らによる認識、並びにそれらの認識を具体化する改良されたシステム及び方法は、以下に詳述する図面を参照して更に理解することができる。
【0164】
図9は、この例ではLCOS空間光変調器であるディスプレイ装置902を示す。以下では、「ディスプレイ装置」の省略表現として「LCOS」を参照する。本開示の教示は、LCOSディスプレイ装置に限定されない。
図9は、LCOS902から導波路908を介して、この例では観察者の眼を含む視覚エンティティ/視認システム905に向かって、ある虚像点に対する光線を追跡する。
図9は、瞳孔904(すなわち、入射開口)及び網膜906(すなわち、センサ又は投影面)における光線を示す、眼905の拡大図を更に含む。この例では、LCOS領域全体が網膜906上の画像点の形成に寄与する。換言すれば、LCOS902の全体が観察者に「視認可能」である。画像に対するLCOS902全体のこの寄与は、LCOS全体が網掛けされることによって示され、その全表面積を「寄与領域」として示す。
【0165】
見てわかるように、
図9のLCOS902から追跡された光は、この特定の虚像点の網膜906上に、それぞれG1、M、及びG2と標識された3つの画像点の形成をもたらす。中間画像点「M」は、観察者によって知覚される一次/メイン虚像に寄与するメイン像点を含む。上部画像点G1は第1のゴースト像点を含み、下部画像点G2は同じ虚像点の第2の異なるゴースト像点を含む。特に、また更なる進歩において、本発明者らは、メイン像点M及び/又はゴースト像点G1、G2に寄与するLCOS902の区域(複数可)を識別することが可能であることを認識した。
【0166】
図10A~
図10Cは、3つのそれぞれの伝搬経路に分割された
図9のLCOS902及び光線図を示し、そのうちの第1の伝搬経路は、下部ゴースト像点G2に寄与する光を含み、そのうちの第2の伝搬経路は、メイン像点Mに寄与する光を含み、そのうちの第3の伝搬経路は、上部ゴースト像点G1に寄与する光を含む。
図10Aに見られるように、G2に寄与する光は、導波路908によって伝送される前に3回跳ね返る。
図10bに見られるように、Mに寄与する光は、導波路908によって伝送される前に2回跳ね返る。
図10Cに見られるように、G1に寄与する光は、導波路908によって伝送される前に1回跳ね返る。
【0167】
各図(10A、10B、10C)はまた、それぞれの画像点に寄与するLCOS902の部分(複数可)を網掛けで示している。したがって、下部ゴースト像点G2は、LCOS902の下部に向かう領域が寄与し、上部ゴースト像点G1は、LCOS902の上部に向かう領域が寄与し、メイン像点は、LCOS902全体が寄与していることがわかる。
【0168】
開口904(すなわち、観察者の瞳孔)は、
図9及び
図10a~
図10cの例では比較的広く、LCOS902全体がメイン像点に寄与する理由を説明する。言い換えれば、この例では、視認システムのF値は比較的低い。
図10A~
図10Cは、LCOS902の一部が一方又は他のゴースト像G1、G2にも寄与するが、ゴースト像G1、G2にも寄与しないが、メイン像点Mにのみ寄与するLCOS902の領域があることを示している。本発明者らは、この領域が、この例のLCOS902の場合、寄与領域として識別され得ること、より具体的には、後続の図の説明から更に理解されるように、「一次寄与領域」として識別され得ることを認識した。したがって、この場合、一次寄与領域は円又は楕円に限定されず、他のより複雑な形状をとることができることがわかる。
【0169】
図11A~
図11Cは、入射開口が比較的小さい(すなわち、F値が比較的高い)場合の虚像の異なる点についての対応する光線図を示す。
図11Aは、虚像の第1のフィールド点(すなわち、第1の虚像点)に関し、
図11Bは、虚像の第2のフィールド点に関し、
図11Cは、虚像の第3のフィールド点に関する。
図11A~
図11Cは、LCOS 902の全てがメイン像点に寄与するわけではないことを示している。実際、
図11A~
図11Cは、LCOSの第1の領域がメイン像点(本明細書では「一次寄与領域」と呼ぶ)に対応し、LCOSの第2の領域がゴースト像点(本明細書では「二次寄与領域」と呼ぶ)に対応することを示している。
【0170】
本発明者らは、特定の条件下では、LCOS902の異なるそれぞれの領域(又は視認システムにおける他のディスプレイ装置)がメイン像又はゴースト像のいずれかに寄与するか、又は画像の視認可能な部分に寄与しないことを認識した。本発明者らは、この情報を使用してホログラム決定プロセスを最適化できることを更に認識している。例えば、ディスプレイ装置の特定の部分からの光は省略されてもよく、場合によっては、それらがホログラムによって符号化される方法は、ゴースト像に寄与するのではなく、メイン像に積極的に寄与するように変更されてもよい。さらに、ディスプレイ装置の追加の領域が識別されてもよく、これはメイン像に積極的に寄与するように構成されてもよい。
【0171】
本発明者らによってなされた認識は、一例として点群ホログラムに関連して以下に説明される。しかしながら、これらは、フーリエ又はフレネルホログラム等の他のタイプのホログラムに適用されてもよい。すなわち、本開示に従って決定することができるLCOS情報を使用して、他のホログラム計算方法を最適化することができる。
【0172】
よく理解されるように、通常、画像(虚像等)の点群ホログラムの計算のために、画像は、本発明者らが虚像の形成を説明することから、本明細書では「仮想点」と呼ばれる複数の個々の点に分解される(すなわち、複数の個々の点で表される)。次いで、球面波(又は「ウェーブレット」)が、各仮想点から、虚像内のその意図された又は所望の場所で、上述の例ではLCOSの平面等のディスプレイ装置の平面に、計算的に、すなわちモデル又は他の理論ツールを使用して伝播される。そのようなウェーブレットが互いに干渉する方法が考慮され、ディスプレイ装置の各画素で受信されるであろうウェーブレットの結果として生じる振幅及び/又は位相が計算される。次いで、ディスプレイ装置は、計算されたウェーブレットを模倣し、したがって画像のホログラムを作成するために、各画素の場所で必要とされる振幅及び/又は位相変調を示すように、本明細書では記載しない周知の方法で調整することができる。
【0173】
本発明者らは、本明細書に記載の導波路及び大きな視距離を有する視認システムでは、ディスプレイ装置全体に全ての仮想点の対応するウェーブレットの正味の振幅及び位相が入力される場合、作成されるホログラムは、表示及び照射されると、1つ以上のゴースト像並びにメイン像を生成し得ることを認識した。例えば、これは、視認システムが、観察者から有限の距離で虚像が知覚されるように構成されているときに起こり得る。さらに、多くの場合、装置のいくつかの部分の画素から放射された光線は、(すなわち、それらは、観察者が見たり知覚したりする画像に寄与しない)無駄になり、これは、視認システムの物理的制約(小さな開口及び/又は小さなディスプレイ装置及び/又は大きな投影距離等)により、装置のこれらの部分からの光が観察者の眼に入らないようにするためである。したがって、本発明者らは、ディスプレイ装置のどの部分がホログラムを提供するように調整されているかに関して、インテリジェント選択が適用され得ることを認識した。具体的には、メイン像に寄与するそれらのLCOSの部分(又は、部分若しくは区域)のみが選択され、ウェーブレットが意図された虚像の仮想点からのみ、LCOSのそれらの部分に計算的に伝播され、メイン像に寄与しないLCOSの他の部分には伝播されない場合、ディスプレイ装置の選択された領域内の各画素で受け取られるであろうウェーブレットの結果として生じる振幅及び/又は位相を計算することができる。ディスプレイ装置の他の部分についての計算は不要である。
【0174】
次いで、ディスプレイ装置は、改善された計算に従って、計算されたウェーブレットを模倣し、したがってメイン像のホログラムを作成するために、選択された部分(複数可)内の各画素の場所で必要とされる振幅及び位相変調を示すように調整することができる。これが行われると、計算されたホログラムがディスプレイ装置に表示され、照明されるとき、LCOSの他の部分の調整はなく、したがって、画像情報はそれらの他の部分から観察者の眼(又は他の視覚エンティティ)に伝播しない。したがって、観察者が利用できる情報はなく、望ましくない「ゴースト」像点を形成する可能性がある。結果として、ゴースト(複数可)は排除又は「クエンチ」される。さらに、所与のセットの条件(例えば、特定の開口幅及び眼の場所)に対して、観察者の瞳孔を通って(又は、対応する他の視覚エンティティの開口を介して)入ることになる光を提供することが知られているディスプレイ装置の画素のみが調整されるので、計算又は画像情報は無駄にならない。
【0175】
図12は、例示的な仮想点1201を含む虚像を形成するシステム1200を示す。視認システム1200は、この例ではLCOS SLMであるディスプレイ装置1202を備え、本開示に従って識別された寄与領域1203及び非寄与領域1207を備える。ディスプレイ装置1202は、虚像のホログラムを表示し、ホログラムに従って符号化された光を、開口として作用する瞳孔(図示せず)、水晶体1209、及び投影面として作用する網膜1206を含む眼1205に向けて投射するように配置される。水晶体1209と網膜とは、分離距離「A」だけ分離されている。ディスプレイ装置1202を照明するように配置された光源(図示せず)がある。視認システム1200は、LCOS1202と眼1205との間に配置された導波路1208を更に備える。この画像は概略図であり、したがって眼の生理学的詳細は示されていない。
【0176】
仮想点1201は、ディスプレイ装置1202の上流に位置し、
図12では、仮想点1201がディスプレイ装置1202の左側にあることによって示されている。仮想点1201は、この例ではデカルト(x,y,z)座標を含む空間座標によって定義された場所を有するが、他の座標系又は仮想点の場所を識別する他の手段を使用することができる。距離「z」は、ディスプレイ装置1202の光軸に実質的に平行な方向において、仮想点1201とディスプレイ装置1202との間に画定される。また、ディスプレイ装置1202の光軸に実質的に平行な方向において、ディスプレイ装置1202と眼水晶体1209との間に画定されたディスプレイ-水晶体間距離「l」が存在する。「z」と「l」の両方の数値は、観察者の位置を含む所与の時間における視認システム1200の特定の配置に応じて変化する。例えば、ディスプレイ-水晶体間距離「l」は約1メートル程度であってもよく、ディスプレイ-画像間距離「z」はより大きくてもよく、例えば数メートル程度であってもよい。但し、これらの数値例は純粋に例示的なものであり、限定的であると見なされるべきではない。
【0177】
本発明者らは、虚像点1201を含む虚像が
図12に示す場所で観察者によって知覚される場合、対応する画像点1211が網膜1206上に形成されなければならないことを認識した。光線は、LCOS1202を介して、虚像の仮想点1201から網膜1211上の対応する点1211まで追跡することができる。
【0178】
導波路1208によって作成/生成された可能な経路のために、LCOS1202を介して、網膜上の仮想点1201とその対応する点1211との間で、複数の可能な光路をとることができることが理解されよう。実施形態によれば、虚像点1201と対応する点1211との間の、投影面(すなわち、網膜1206)上の複数の光線経路の中の光線経路を含む主な光線を決定することができる。この主光線経路が特定されると、光が導波路内で受けるバウンスの数が決定される。そのバウンス数(B)は、虚像と投影面との間で光線を追跡すべきバウンス数として設定することができる。実施形態によれば、主光線及び関連するバウンス数(B)は、最初の工程として識別することができる。
【0179】
本例では、光線追跡は、その虚像点1201の「寄与領域」1203を識別するために、各虚像点1201と網膜上の対応する点1211との間で、「主光線」光が通過するLCOS1202の部分を判定することができる。したがって、
図12のディスプレイ装置1202の虚像点1201と寄与領域1203との間を伝播するように描かれた光線「r」が存在する。本発明者らによってなされた認識によれば、LCOSの寄与領域に寄与するウェーブレットのみが、虚像点1201からディスプレイ装置1202にモデル化される(そうでなければ、計算的に考慮される)必要がある。言い換えれば、適切なホログラムを生成するために、ディスプレイ装置1202の識別された寄与領域1203のみが符号化される(又は、「調整される」)必要がある。このようなホログラムは、ディスプレイ装置上で符号化され、適切に照明されると、その虚像点1201のゴースト像も存在することなく、観察者がその仮想点1201を知覚することを可能にする。これは、以下に説明する
図13及び
図14から更に理解することができる。
【0180】
図12の寄与領域1203、並びに以下の
図13及び
図14に関連して検討される寄与領域は、対応する視覚エンティティ及び関連する光学素子(例えば、導波路幾何学的形状、より大きな光学系内の任意の反射等)の入射開口のサイズ及び形状に基づいてサイズ及び形状を決定することができる。したがって、視覚エンティティがヒトの眼である場合、ディスプレイ装置上の寄与領域は、場合によっては、実質的に円形、又は楕円形形状、又は複雑な形状等、受信瞳と同様のサイズの任意の他の適切な形状を含むことができる。しかしながら、本開示は、寄与領域のより複雑な形状を包含する。瞳孔径は、任意の適切な方法で測定又は推定することができる。例えば、眼の瞳孔径の測定は、視標追跡システムによって行われてもよい。あるいは、それは、眼の瞳孔径の既知の範囲(例えば2~6mm)に基づいて、又は所与の時間における周囲光条件を考慮した別の推定値に基づいて推定されてもよい。
【0181】
寄与領域は、意図的に瞳孔よりもわずかに大きい領域(開口面上)に寄与するように、及び/又は瞳孔(又は他の開口)に対してわずかに異なる形状の領域(開口面上)に寄与するように設定されてもよい。そのような場合、「寄与領域」からの全ての光が常に瞳孔を通過するわけではないが、網膜上に良好な画像を形成するのに十分な光を依然として収集しながら、眼は少し動き回ることができる。
【0182】
図13は、本開示の主要な態様による、ディスプレイ装置の寄与領域及び非寄与領域を決定するための方法を示す。任意に、これらの決定を使用して、
図12のシステム1200等の視認システムによる表示及び照明のための1つ以上のホログラムの生成を最適化することができる。
図13を参照して説明される方法では、視認システムは、「f」の数を有するレンズ(すなわち、焦点距離及び開口)と、カメラとを備える。カメラの感光性成分は、例えば、CCDアレイであってもよく、投影面上に配置される。機能的には、レンズ及びカメラは、観察者のヒトの眼の眼水晶体及び網膜を置換し、ディスプレイ装置の寄与領域及び非寄与領域を決定するプロセスにのみ使用される。ディスプレイ装置のこれらの領域は、複数の目視位置(例えば、眼球運動ボックス内の眼の位置)及び/又は複数の画像距離(例えば、車両前方の虚像距離)に対して決定されてもよい。いくつかの点で、
図13を参照して開示された方法は、ホログラム計算の前駆体と考えることができる。この方法は、最適化又は更には較正プロセスと考えることができる。
【0183】
よく理解されるように、生成される各虚像は、例えば(x,y,z)座標によって定義されるように、各々が対応する場所を有する1つ以上の虚像点によって表すことができる。
図13の方法1300の工程1 1302から工程6 1312(詳細は後述)は、作成される虚像内の各虚像点に別々に適用することができる。さらに、方法1300は、視認システムの特定の条件セット、すなわち特定の測定値及び制約に適用する。したがって、方法1300の任意の所与の反復(又は、「実行」)は、作成されるべき特定の画像(虚像点による虚像点)を構築するために適用され、また、システムが特定のディスプレイ-画像間距離「z」、ディスプレイ装置と網膜との間の特定の距離「d」、特定の開口(瞳孔)幅、及び眼が合焦される特定の虚像距離を有する場合に適用される。方法1300の反復はまた、特定のサイズ及び種類のディスプレイ装置に固有であり、眼の特定の位置に対して、許可された視界窓に固有である。方法の各反復が特定される他の測定値及び/又は制約が存在してもよい。実施形態によれば、それらの測定値又は制約のいずれかが変化した場合、方法1300を再実行して、変化した状況下でディスプレイ装置の寄与領域(複数可)を再判定することができる。しかしながら、実施形態によれば、それらの測定値又は制約のうちの1つ以上に特定の許容誤差を適用することができ、それらが所定の量未満及び/又は所定の時間長未満だけ変化する場合に方法を再実行する必要がないことが理解されよう。方法がいつ再反復されるべきかに関する規則は、システムごとに決定されてもよい。
【0184】
方法1300は、適切なプロセッサによって実行されてもよい。プロセッサは、ホログラムエンジンを含むか、ホログラムエンジン内に含まれるか、ホログラムエンジンと通信することができる。プロセッサ又はホログラムエンジンは、光エンジン内に含まれてもよい。
【0185】
プロセッサは、方法1300が実行される前に視認システムに関する境界情報を取得又は受信することができる。例えば、ディスプレイ装置等の成分のサイズに関する情報、様々な成分及び視認システム(例えば、潜在的なヒトの観察者)の絶対及び/又は相対位置に関する情報、光源に関する情報等を取得又は受信することができる。
【0186】
方法1300によれば、第1の工程1302において、虚像が知覚されるべき位置に従って、場所、例えば、虚像点(本明細書では略して「仮想点」とも呼ばれる)の座標[x仮想,y仮想,z仮想]が取得される。次いで、水晶体1209と仮想点との間の虚像距離が取得又は決定される。この虚像距離は、方法1300を実行しているプロセッサによって設定若しくは決定されてもよく、又は別のエンティティによって設定若しくは決定され、そのプロセッサに通信されてもよい。これは、いくつかの配置では、予め設定されるか、又は複数の可能な虚像距離から選択されてもよい。現実世界の動作では、視認システムが眼である場合、アイトラッキング又はヘッドトラッキング情報を虚像距離の決定に使用することができる。
【0187】
第2の工程1304において、レンズとセンサとの間の必要な距離「A」が、虚像点に焦点を合わせるために決定される。各虚像点を、角度によって定義することもできる(
図4を参照)。本明細書では、「角度コンテンツ」は、虚像の虚像点に対して参照される。
【0188】
第3の工程1306では、視認システムによって形成されたメイン像又は一次画像に関連する導波路内の光の反射又はバウンスの数「B」が決定される。光学分野の当業者は、導波路が虚像点に関連付けられた光の複数の複製を生成し、各複製が導波路内の異なる数の光のバウンス/反射に関連付けられ得ることを理解するであろう。単なる例として、Bを決定する1つの方法は、導波路内の可能な光伝搬経路ごとに主光線とディスプレイ装置との交差を決定し、主光線をディスプレイ装置の中心に最も近くする反射/バウンスの数を選択することである。有利には、この手法は、視認システムに寄与するディスプレイ装置の面積が最大であるようなものである。
【0189】
あるいは、第3の工程1306で使用するバウンス数を計算する別の方法は、以下のサブステップ1~5を含む。
1.入力として知られ、使用される眼の位置
2.第1の数のバウンス(B)についてのディスプレイ装置の中心から決定された眼の位置までの光線トレース。虚像に向かうその光線の外挿は、この数のバウンス(B)についての視野(θB)内の角度を定義する。
3.第2の数のバウンスB+1について、ディスプレイ装置の中心から決定された眼の位置までの光線トレース。虚像に向かうその光線の外挿は、この数のバウンス(B+1)の視野内の角度(θB+1)を定義する。
4.Bは、θBとθB+(θB+1-θB)/2との間の角度コンテンツに使用されるバウンスの数である
5.B+1は、θB+(θB+1-θB)/2とθBとの間の角度コンテンツに使用されるバウンスの数である
【0190】
第1の工程1302(すなわち、虚像点の座標)及び第3の工程1306(パラメータ、B)からの出力は、センサ上の対応する画像位置/点[x
センサ、y
センサ、z
センサ]を決定するために第4の工程1308で使用される。すなわち、第4の工程1308は、センサ上で虚像点の光を受光する点を決定する。言い換えれば、虚像点が撮像されるセンサ上の点である。センサ上のこの点は、
図14に関連して、メイン像点[x
センサ、y
センサ、z
センサ]として以下で参照される。単なる例として、導波路内のBバウンスについての仮想点からセンサまでの計算光線追跡を使用することができるが、本開示は第4の工程に対するこの手法に限定されない。
【0191】
当業者は、仮想点[x仮想,y仮想,z仮想]からセンサ上の点[xセンサ、yセンサ、zセンサ]までの主な光線(chief light ray)(又は単に主光線(chief ray))が識別され得ることを理解するであろう。ここでも、計算光線追跡を使用して主光線を識別又は追跡することができるが、他の方法も同様に適用可能である。第5の工程1310において、ディスプレイ装置交点[xLCOS(B),yLCOS(B),zLCOS(B)]が識別され、ディスプレイ装置交点は、主光線がディスプレイ装置と交差するディスプレイ装置上の場所である。ディスプレイ装置の交点は、例えば計算光線追跡によって決定、計算、又は測定することができる。
【0192】
第6の工程1312では、ディスプレイ装置の交点に関連付けられたディスプレイ装置の領域[xLCOS(B),yLCOS(B),zLCOS(B)]が特定される。ディスプレイ装置の領域は、この点[xLCOS(B),yLCOS(B),zLCOS(B)]を幾何学的に中心とすることができる。例えば、領域は円又は楕円であってもよいが、他のより複雑な形状が想定されてもよい。領域が円又は楕円等の規則的な形状である場合、領域の半径は、例えば、視認システムのレンズのF値に従って決定され得る。領域は、視認システムによって形成された一次画像に対応するため、本明細書では「一次寄与領域」と呼ばれる。「寄与」という単語は、ディスプレイ装置の識別された領域内のディスプレイ装置の画素が、必要な情報コンテンツをセンサに提供する画素であることを反映する。ディスプレイ装置の他の領域(すなわち、ディスプレイ装置の他の画素)は、センサ上の画像点の形成に寄与しない。他の画素は、当然ながら、他の虚像点に関連するセンサ上の他の画像点に寄与し得る。
【0193】
本開示の主要な態様による方法は、ディスプレイ装置の主要な寄与領域の決定によって終了する。任意に、ホログラムは、ディスプレイ装置の全領域ではなく、一次寄与領域に基づいて決定されてもよい。
【0194】
したがって、任意の第7の工程1314では、仮想点に基づいて主要寄与領域についてホログラム成分が決定される。具体的には、一次寄与領域の光パラメータが決定される。光パラメータは、一次寄与領域の各画素の振幅及び/又は位相であってもよい。例えば、当業者によく知られている点群法を使用して、仮想点から一次寄与領域への光の伝播に基づいて、一次寄与領域内の各画素について光の振幅及び位相を決定することができる。虚像全体の完全なホログラムを構築するために、以下の段落で説明する反復プロセスの一部として、仮想点のホログラム成分を記憶し、他の仮想点のホログラム成分と組み合わせることができる。
【0195】
全体として、第7の工程1314において、光変調値(例えば、振幅及び/又は位相の値)が一次寄与領域内のディスプレイ装置の各画素値に割り当てられる。これは、[x仮想、y仮想、z仮想]から一次寄与領域への光波の伝播を考慮し、[xLCOS(B)、yLCOS(B)、zLCOS(B)]の所望の半径内のディスプレイ装置の画素に振幅及び/又は位相を加算することによって達成される。すなわち、虚像点から発生し、一次寄与領域の各点(すなわち、画素)に到達する光の振幅及び/又は位相は、光波の伝播、すなわち、虚像点から各画素までの距離を移動した後の光波の振幅及び/又は位相を考慮することによって決定される。この決定は、光学分野の当業者に知られているいくつかの異なる技術のいずれか1つによって実行され得る。この決定は、実験的測定によって行うことができる。
【0196】
第1~第7の工程は、ホログラムを用いて投影される虚像内の各仮想点について繰り返されてもよい。例えば、複数のホログラム成分を一緒に加算して、ディスプレイ装置の各画素について結果として得られるホログラムを生成することができる。例えば、複素振幅は、全ての虚像点からの伝播のために各画素で加算されてもよい。ホログラムが位相限定変調器に表示される場合、結果として得られる複素振幅和の振幅成分は無視され、位相のみが残る。より広義には、この結果は、視認システム内のディスプレイ装置上に表示及び照明されると虚像を形成する虚像に対応する回折構造である。
【0197】
ホログラムは、ディスプレイ装置に表示又は符号化することができる。結果として、ディスプレイ装置は、必要な虚像距離で虚像が観察者によって知覚されることを可能にするように光を変調するように調整される。
【0198】
方法1300は、虚像内の複数の仮想点の各々に対して実質的に同時に(又は非常に迅速に連続して)実行することができ、その結果、虚像全体に適したホログラムを導出し、所与の視像設定、並びに特定の数値測定及び制約に対して、ディスプレイ装置に非常に迅速に符号化することができる。寄与領域(複数可)の識別、及び/又はディスプレイ装置の必要な調整に影響を及ぼし得るものが変化した場合、方法を再実行することができる。プロセッサは、時間制御されたループ上で、及び/又は変化が発生したことを示すシグナルに応答して、及び/又は必要な虚像のコンテンツ又はアイデンティティが変化したときに方法を再実行するように構成され得る。プロセッサは、以前に計算されたデータを記憶するためのメモリを含むことができ、又はメモリと通信することができる。例えば、特定のセットの測定値及び/又は制約の下で、特定の虚像又は仮想点についてのディスプレイ装置のアクティブ領域(複数可)を示すルックアップテーブル又は他の記憶手段を設けることができる。
【0199】
方法1300は、いくつかの異なる虚像を迅速に連続して表示するために、及び/又はユーザの動き等の状態の変化に正確に応答するために、非常に迅速に実行(又は再実行)することができる。
図12のシステムには片眼のみが示されているが、方法1300は、観察者の両眼を考慮するように構成することができる。さらに、上記の説明のいくつかは開口幅に言及している場合があるが、瞳孔(及び視覚エンティティのほとんどの他の開口部)は二次元であり、それらの二次元のそれぞれにおいてサイズを変更することができることが理解されよう。方法1300は、二次元開口サイズ、及びそれに対する変更を考慮に入れるように構成され得る。
【0200】
本発明者らは、
図13を参照して開示された方法を使用して、虚像のホログラムを効率的に決定できることを見出した。しかしながら、本発明者らは、場合によっては、ゴースト像を形成する光を従来通り伝播するLCOSの全ての領域が使用されなかった場合、LCOSの比較的小さな部分のみが利用されていることも観察した。注目すべき更なる技術的進歩において、本発明者らは、一次寄与領域に加えて、LCOSの追加領域を使用し、望ましくないゴースト像を形成するのではなく、一次画像を強化するために光を寄与させることができるこれらの追加領域のホログラム値を計算する方法を見出した。
【0201】
よく理解されるように、光線が視認システム内の導波路を通過する光路は、それぞれの他の光線の経路長に対してその経路長を増加させることができる。典型的には、このような増加は、虚像距離「v」と比較して小さい可能性が高いため、眼には見えない。
【0202】
図14は、
図12のシステム1200等のシステムに適用することができる、本発明者らによってなされた追加の認識による、更に改良された方法1400を示す。
図14の方法1400は、
図13の方法1300の全ての工程を含み、更に、仮想点に対応するゴースト像点のうちの1つ以上の処理を含み、仮想点はまた存在してもよく、従来はこれにより、虚像の1つ以上のゴースト像の知覚がもたらされる。
【0203】
方法1400は、適切なプロセッサによって実行されてもよい。プロセッサは、ホログラムエンジンを含むか、ホログラムエンジン内に含まれるか、ホログラムエンジンと通信することができる。プロセッサ又はホログラムエンジンは、光エンジン内に含まれてもよい。
【0204】
プロセッサは、方法が実行される前にシステムに関する境界情報を取得又は受信することができる。例えば、ディスプレイ装置等の成分のサイズに関する情報、様々な成分及び観察者の絶対及び/又は相対位置に関する情報、光源に関する情報等を取得又は受信することができる。
【0205】
場合によっては、本発明者らは、ゴースト像点が、メイン像の主光線が通過する「一次寄与領域」とは異なるディスプレイ装置の一部を通過する対応する仮想点からの光に起因して生じることを見出した。本明細書の前述の図では、ディスプレイ装置のそのような部分は、「二次寄与領域」と呼ばれる。1つ以上のゴースト像点を生成する光は、1つ以上の「ゴースト光線」を含むと称されることがある。ゴースト像を生じさせる光線は、観察者の眼の狭い瞳孔を通って移動し、網膜と一致するために、導波路内でメイン像に対応するものとは異なる数のバウンスを受けることができる。したがって、メイン像に対応する主光線が導波路内で「B」バウンスを受けると判定された場合、ゴースト像に対応する光は「B+ΔB」バウンスを受けると判定することができ、ΔBは、負又は正の整数、通常は例えば-5~+5の範囲の一桁の数であり得る。
【0206】
図14の改良された方法1400によれば、投影面上のメイン像点の場所、例えば、その座標(x
センサ、y
センサ、z
センサ)が確立され、
図13の方法1300の第4の工程1308の後、
図13の方法1300の後続の工程は継続することができ、さらに、例えば、並行して、又は後に、DBの少なくとも1つの値について、以下のように更なる工程のセットを実行することができる。要約すると、
図14の改善された方法1400は、仮想点の座標[x
仮想,y
仮想,z
仮想]から、投影面にゴースト像点を形成するために、ゴースト光線が何回バウンスを受けたか「B+ΔB」を判定する。次に、改善された方法1400は、別個のゴースト像点を形成するのではなく、そこから光が進行し、導波路内で「B+ΔB」バウンスを受け、投影面上のメイン像点に到達することができる仮想点の並進(又は、修正)場所を決定する。次いで、仮想点の並進場所からメイン像点に光線が進むLCOS上の場所を識別することができ、したがってホログラムで符号化することができる。したがって、LCOSの1つ以上の追加の領域(一次寄与領域以外)は、ゴースト像の生成を依然として回避しながら、メイン像に寄与するためにホログラム値で符号化することができる。
【0207】
より詳細には、改善された方法1400は以下の通りである。
【0208】
第1の更なる工程1402では、メイン像点(xセンサ、yセンサ、zセンサ)からの光線は、虚像にトレースバックされるが、「B+ΔB」バウンス/反射(Bバウンスではなく)を受ける光線については、導波路内にある。
【0209】
第2の更なる工程1404において、メイン像点[xセンサ,yセンサ,zセンサ]に結像する、すなわち、光がB+ΔBバウンスを受けた場合、ディスプレイ装置、導波路、及び入射開口を通って移動して場所[xセンサ,yセンサ,zセンサ]における投影面と一致する光を伝播する、虚像の二次仮想点の場所、例えば座標[x仮想(ΔB),y仮想(ΔB)、z仮想(ΔB)]が決定される(例えば、第1の更なる工程1402で実行された光線追跡の結果として)。「二次仮想点」という用語は、本明細書では、(一次)仮想点の二次的(すなわち、変位された、又は修正された)場所の省略表現として使用される。すなわち、本発明者らは、仮想点の場所が「二次仮想点」の場所[x仮想(ΔB),y仮想(ΔB)、z仮想(ΔB)]にシフトされた場合、導波路で「B+ΔB」バウンス/反射を受けた「二次仮想点」からの任意の光が、投影面でメイン像に寄与することを認識した。
【0210】
要約すると、第3の更なる工程1406は、導波路内のB+DBバウンスの[x仮想(ΔB),y仮想(ΔB),z仮想]から投影面への光伝搬のためのディスプレイ装置における主光線の座標[xLCOS(B+ΔB),yLCOS(B+ΔB),zLCOS]を決定することを含む。場合によっては、z仮想は、導波路を通る異なる経路長を考慮に入れるように調整されてもよい(すなわち、バウンスの数が異なるため)。この主光線は、「二次主光線」と呼ばれることがある。
【0211】
より詳細には、第3の更なる工程1406において、二次仮想点からメイン像点[xセンサ,yセンサ,zセンサ]への「二次主光線」が進行するであろうディスプレイ装置上の点が識別され、この点を介して導波路内でB+ΔBが跳ね返る。ディスプレイ装置上のこの点は、座標[xLCOS(B+ΔB),yLCOS(B+ΔB),zLCOS]を有する。
【0212】
第4の追加工程1408では、点[xLCOS(B+ΔB),yLCOS(B+ΔB),zLCOS]に、それに関連する領域の範囲又はサイズの半径又は他の適切な指標が割り当てられる。点[xLCOS(B+ΔB),yLCOS(B+ΔB),zLCOS]に関連する領域は、本明細書では「追加の寄与領域」と呼ばれ、これは、それが投影面でメイン像点に寄与する光を伝播するが、その光が、第2の更なる工程1404で決定されるように、(一次)仮想点の変位された、又は修正された場所、すなわち[x仮想,y仮想,z仮想]ではない[x仮想(ΔB),y仮想(ΔB),z仮想]から生じる場合にのみである。
【0213】
第4の更なる工程1408は、第6の工程1312と同様である。具体的には、第4の更なる工程1408は、ディスプレイ装置交点[xLCOS(B+DB)、yLCOS(B+DB)、zLCOS(B)]に関連付けられたディスプレイ装置の領域を識別することを含む。ディスプレイ装置の領域は、この点[xLCOS(B+DB)、yLCOS(B+DB)、zLCOS(B)]を幾何学的に中心とすることができる。例えば、領域は円又は楕円であってもよいが、他のより複雑な形状が想定されてもよい。領域が円又は楕円等の規則的な形状である場合、領域の半径は、例えば、視認システムのレンズのF値に従って決定され得る。この領域は、適切なホログラムが(一次)仮想点の変位又は修正された場所に基づいて計算される場合、虚像に寄与する光を伝播するので、本明細書では「追加の寄与領域」と呼ばれる。
【0214】
第5の更なる工程1410は、第7の工程1314と同様である。第5の更なる工程1410は任意である。第5の更なる工程1410では、(一次)仮想点[x仮想(ΔB),y仮想(ΔB),z仮想]の修正された場所に基づいて、追加の寄与領域についてホログラム成分が決定される。具体的には、追加の寄与領域の光パラメータが決定される。光パラメータは、追加の寄与領域の各画素の振幅及び/又は位相であってもよい。例えば、光の振幅及び位相は、当業者によく知られている点群法を使用して、異なる仮想点[x仮想(ΔB),y仮想(ΔB),z仮想]から追加の寄与領域への光の伝播に基づいて、追加の寄与領域内の各画素について決定され得る。虚像全体の完全なホログラムを構築するために、以下の段落で説明する反復の一部として、異なる仮想点のホログラム成分[x仮想(ΔB),y仮想(ΔB),z仮想]は記憶され、他の仮想点のホログラム成分と組み合わされ得る。
【0215】
単一の個々の仮想点に関連して出力される、ディスプレイ装置によるこの必要な光変調は、その仮想点の「ホログラム成分」と呼ばれることがある。ホログラム成分は、作成される虚像内の1つ以上の他の仮想点に対する方法1300のその後の繰り返しの間に、プロセッサによって記憶されてもよい。
【0216】
図14の更に改善された方法1400の工程1402~1410は、
図13の方法1300の1つの1302から第7の1314と共に、作成される虚像内の各仮想点に対して繰り返されてもよい。各仮想点についての変調挙動及び対応するホログラム成分が決定されると、ホログラム成分を一緒に加算して、ディスプレイ装置の各画素について結果として生じる変調挙動を生成することができる。この結果として生じる変調挙動は、虚像の回折構造、すなわちホログラムを表し、これは、視認システム内のディスプレイ装置に表示及び照射されると、メイン像のみが形成され、ゴースト像を形成しない。
図14の改良された方法1400が実行された結果として形成されるメイン像は、
図13の方法1300のみから生じる対応するメイン像よりも明るくてもよい。
【0217】
プロセッサは、任意の適切な方法でホログラムに対応するデータを出力することができる。ホログラムは、ディスプレイ装置に符号化することができる。結果として、ディスプレイ装置は、ゴースト像を形成することなく、必要な虚像距離で虚像が観察者によって知覚されることを可能にするように光を変調するように調整される。
【0218】
方法1400は、虚像内の複数の仮想点の各々に対して実質的に同時に(又は非常に迅速に連続して)実行することができ、その結果、虚像全体に適したホログラムを導出し、所与の観察設定、並びに特定の数値測定及び制約に対して、ディスプレイ装置に非常に迅速に符号化することができる。識別、及び/又はディスプレイ装置の必要な調整に影響を及ぼし得るものが変化した場合、方法を再実行することができる。プロセッサは、時間制御されたループ上で、及び/又は変化が発生したことを示すシグナルに応答して、及び/又は必要な虚像のコンテンツ又はアイデンティティが変化したときに方法を再実行するように構成され得る。プロセッサは、以前に計算されたデータを記憶するためのメモリを含むことができ、又はメモリと通信することができる。例えば、特定のセットの測定値及び/又は制約の下で、特定の虚像又は仮想点についてのディスプレイ装置のアクティブ領域(複数可)を示すルックアップテーブル又は他の記憶手段を設けることができる。
【0219】
方法1400は、いくつかの異なる虚像を迅速に連続して表示するために、及び/又はユーザの動き等の状態の変化に正確に応答するために、非常に迅速に実行(又は再実行)することができる。
図12のシステムには片眼のみが示されているが、方法1400は、観察者の両眼を考慮するように構成することができる。さらに、上記の説明のいくつかは開口幅に言及している場合があるが、瞳孔(及び視覚エンティティのほとんどの他の開口部)は二次元であり、それらの二次元のそれぞれにおいてサイズを変更することができることが理解されよう。方法1400は、二次元開口サイズ、及びそれに対する変更を考慮に入れるように構成され得る。
【0220】
本開示の主要な態様によれば、本発明者らは、各虚像点がディスプレイ装置上の異なる主要な寄与領域に対応することを見出した。本発明者らは更に、これが、虚像の異なる部分(すなわち、異なる虚像点)からの光がシステムを通る異なる光路をたどることを意味することを認識した。
図15A及び
図15Bに示す実施形態では、本発明者らは、簡単に言えば、(i)虚像が複数の個別の虚像成分又は領域を含み、(ii)各虚像成分の光が導波路1508内の異なる数のバウンス/反射に関連付けられるようにシステムを構成した。
【0221】
図15Aは、8つの画像領域/成分V1~V8を含む投影のための画像1552を示す。
図15Aは、例としてのみ8つの画像成分を示しており、画像1552は任意の数の成分に分割することができる。
図15Aはまた、例えば適切な視認システムのレンズによって変換されたときに画像1552を再構成することができる符号化光パターン1554を示す。符号化光パターン1554は、第1から第8の画像成分/領域V1~V8に対応する第1~第8のサブホログラム又は成分H1~H8を含む。
図15Aは、本開示に従って計算されたホログラムがどのようにして画像コンテンツを角度ごとに効果的に分解するかを更に示す。したがって、ホログラムは、それが実行する光のチャネリングを特徴とし得る。これを
図15Bに示す。具体的には、本開示によるホログラムは、光を複数の個別の領域に導く。図示の例では、個別の領域はディスクであるが、他の形状も想定される。最適なディスクのサイズ及び形状は、導波路を伝搬した後、視認システムの入射瞳のサイズ及び形状に関連し得る。この光のチャネリングは、本明細書に開示されるホログラムを決定する特定の方法に起因してのみ生じる。
【0222】
【0223】
視認システム1500は、この配置ではLCOS1502を備えるディスプレイ装置を備える。LCOS1502は、ホログラムを含む変調パターン(又は「回折パターン」)を表示し、開口部1504として作用する瞳孔、水晶体1509、及び投影面として作用する網膜(図示せず)を含む眼1505に向かってホログラフィック符号化された光を投影するように配置される。LCOS1502を照明するように配置された光源(図示せず)がある。眼1505の水晶体1509は、ホログラムを画像に変換する。
【0224】
視認システム1500は、LCOS1502と眼1505との間に配置された導波路1508を更に備える。
図15Cの投影距離は比較的大きくてもよい。しかしながら、前の図に関連して説明したように、導波路1508の存在は、この比較的大きい投影距離であっても、LCOS1502からの全ての角度コンテンツが眼1505によって受信されることを可能にする。これは、導波路1508が上述したように瞳孔拡張器として作用するからである。
【0225】
さらに、この配置では、LCOS1502が本明細書に記載の方法に従って符号化されている場合、LCOS1502からの光と観察者が知覚する虚像との間に固有の関係を確立するために、導波路1508をLCOS1502に対してある角度に向けることができる。導波路1508のサイズ、場所、及び位置は、虚像の各部分からの光が導波路1508に入り、その細長い軸に沿って誘導され、導波路1508の実質的に平坦な面の間で跳ね返ることを保証するように構成される。光が第2の平面(眼1505に最も近い)に到達するたびに、一部の光が伝送され、一部の光が反射する。
【0226】
図15Cは、導波路1502の長さに沿った合計9つの「バウンス」点B0~B8を示す。読者は、画像1552の中心が空白のままであることに気付くであろう。
図15Cは、導波路内の第0~第9の光の「バウンス」又は反射点B0~B8を示す。画像の全ての点(V1~V8)に関する光は、導波路1508の第2の平面からの各「バウンス」において導波路から伝送されるが、画像の角度部分(例えば、V1~V8のうちの1つの光)のうちの1つからの光のみが、各それぞれの「バウンス」点B0~B8から眼1505に到達することを可能にする軌道を有する。さらに、画像の異なる角度部分V1~V8からの光は、それぞれの「バウンス」点から眼1505に到達する。
図15Cは、(各伝送点で複数の短い矢印によって示されている)各「バウンス」点で放出されている全ての異なる角度コンテンツからの光を示しているが、その後、実際に眼1505に到達するそれぞれの角度コンテンツの眼1505までの光路のみを示しており、したがって、導波路のそのそれぞれの部分から、観察者が知覚する虚像のそれぞれの部分に寄与する。例えば、ゼロ次バウンスB0の場合、導波路1508によって伝送された光は単に屈折し、その中でいかなる反射も受けない。第8のサブホログラムH8の光は、0次バウンスB0から眼に到達する。次のバウンスB1では、導波路1502によって伝送された光は、伝送前にその中で1回バウンスする。第7のホログラムH7からの光は、次のバウンスB1から眼に到達する。これは、最終的なバウンスB8で導波路1508によって伝送され、伝送されて眼1505に到達する前に8回のバウンスを受け、第1のホログラムH1に従って符号化された光を含むまで、順次継続する。
【0227】
図15に示される例では、唯一つの画像領域の光が各バウンス点から眼に到達する。したがって、ホログラムが本明細書で説明されるように決定されると、虚像の領域と導波路上のそれらの関連するバウンス点との間の空間相関が確立される。いくつかの他の例では、画像の1つの領域が2つの隣接する伝送点から来るので、導波路から投影面に向かって伝播する光の2つの隣接するディスク内に含まれるように、比較的小さなオーバーラップが存在し得る。
【0228】
したがって、本発明者らによってなされた認識、並びに本明細書に記載の方法及び配置は、LCOS又は他の適切なディスプレイ装置に表示されたときに、それぞれが対応する虚像の異なるそれぞれの部分に対応する(より具体的には、符号化する)複数の「ディスク」又は光線束において光がそこから効果的に放射されることを可能にすることができる、生成されるホログラムを含む回折パターン(又は、光変調パターン)を生成することを可能にすることができる。
【0229】
したがって、ディスプレイ装置が適切な光源によって照明されたときに、観察者が鮮明な画像を見ることを可能にする方法で、ホログラムを計算し、適切なディスプレイ装置に表示することを可能にする改善された方法及び配置が本明細書に記載される。観察者が見る画像は、ゴーストを含まないことができ、従来はゴースト像に寄与していた光の寄与によってより明るくすることができ、代わりに単一のメイン像に寄与する。
【0230】
本明細書に記載の改善された方法及び配置は、様々な異なるアプリケーション及び視認システムで実施することができる。例えば、それらはヘッドアップディスプレイ(HUD)に実装されてもよい。虚像が形成される多くの従来のHUDに対する改善において、本明細書に記載の改善された方法及び配置は、依然としてゴースト像を排除しながら、適切なコントローラによって選択及び調整することができる有限の画像距離で虚像を作成するために実施することができる。
【0231】
知覚された画像を形成するために眼が受信された変調光を変換することを必要とする虚像について本明細書で説明したが、本明細書に記載の改善された方法及び配置は、実像に適用することができる。
【0232】
導波路開口
上記の図は、単一の眼又は単一の「開放部」又は「入射瞳」を示しているが、本明細書に記載の全ての配置及び方法は、複数の入射瞳を有する視認システム、例えば、最も一般的には、2つの眼を有するヒトの観察者に適用可能である。
本発明者らは、視認システムの入射瞳に従ってホログラムを制約することを含む、ターゲット画像のホログラムが上記のように計算されるとき、視認システムが複数の入射瞳を有するとき、例えば、観察者が両眼でホログラフィック再構成画像を見ているときに起こり得る効果を考慮すべきであることを認識した。実施形態では、ホログラムは、複数の入射瞳のうちの1つの入射瞳に従って制約されてもよいが、画像の一部又は全部は、複数の入射瞳のうちの1つ以上の他の入射瞳にも視認可能となり得る。実施形態では、ホログラムは、複数の入射瞳のうちの2つ以上の入射瞳に従って制約されてもよい。例えば、各々が異なるそれぞれの入射瞳に従って制約される2つのサブホログラムを計算し、ディスプレイ装置に表示するために単一のホログラムに組み合わせる(例えば、合計する)ことができる。例えば、左眼ホログラム及び右眼ホログラムは、それぞれの左眼画像及び右眼画像から計算することができ、左眼ホログラムは、計算中に観察者の左眼の入射瞳に従って制約され、右眼ホログラムは、計算中に観察者の右眼の入射瞳に従って制約される。実施形態では、各々が複数の入射瞳の異なるそれぞれの入射瞳に従って制約される2つ以上のホログラムは、互いにインターレースすることができる。言い換えれば、2つのホログラムは、観察者が2つの対応する画像が実質的に同時に形成されていると知覚するように、迅速に連続して交互に表示されてもよい。
【0233】
本発明者らは、表示されたホログラムから視認システムに向かって伝播する光に、その視認システムの複数の入射瞳による受光により適したものにするために、追加の誘導又は制御を適用することができることを認識した。
【0234】
上記で詳細に説明したように、ホログラムが説明した方法に従って計算され、
図15cに示すようなシステム等で表示及び伝搬されると、
図15cに示すようにB0~B8等の各伝送点又は「バウンス点」で、画像の全ての点(V1~V8)に関する光が導波路から伝送される。
図15Aの画像1552の中央領域は空白であるため、画像の中央に関連するホログラムチャネルは
図15Bには示されていないか、標識されていない。したがって、
図15Cでは、伝送点B4に関連する光路は、いかなる画像コンテンツも視認システムに送達しない可能性がある。しかしながら、単一入射瞳視認システムの場合、画像の一方の角度部分(例えば、V1~V8のそれぞれの光)からの光のみが、それぞれの「バウンス」点B0~B8まで、眼1505に到達することを可能にする軌道を有する。さらに、画像の異なる角度部分V1~V8からの光は、それぞれの「バウンス」点から眼1505に到達する。したがって、
図15cでは、単一の入射瞳1504が、画像の角度コンテンツの全てを受け取るように示されているが、画像の各角度部分は、導波路1508上の異なるそれぞれのバウンス点から来る。しかしながら、本発明者らは、視認システムが2つ以上の入射瞳を有する場合、画像の全ての角度部分が導波路上の各バウンス点で放出されるため、画像の同じ角度部分からの光が両方の入射瞳に同時に到達するリスクがあることを認識した。例えば、視認システムがヒトであり、複数の入射瞳が両眼を含む場合、右眼は、第1の数のバウンスB
yの後に導波路から放射される光路を介して特定の角度コンテンツV
xを含む光を受信することができ、左眼は、第2の異なる数のバウンスB
zの後に導波路から放射される光路を介して同じ角度コンテンツV
xを同時に(又は、光速を考慮して、実質的に同時に)受信することができる。ヒトの脳、実際には、任意の非ヒトの視認システムに関連付けられたプロセッサは、互いに空間的に分離された2つの入射瞳で同時に同じ角度で画像の同じ部分(すなわち、同じ画像コンテンツ)を受信することを期待していないため、これは混乱につながる可能性がある。代わりに、脳(又は他のプロセッサ)は、単一の点又は画像の単一の部分からの光が、異なるそれぞれの角度で2つ(又はそれ以上)の入射瞳によって受信されることを期待する。
【0235】
図16は、本発明者らが対処した上記の課題を示す。
図16は、本明細書に記載の方法に従って計算されたホログラムを表示するディスプレイ装置1602を示す。
【0236】
ディスプレイ装置1602は、光源(図示しない)によって照明される。光は、表示されたホログラムによって空間的に変調され、導波路1604に向かって伝搬される。前の図に関連して詳細に説明したように、光は導波路1604内で屈折する。屈折後、光の一部は、第1の伝送点(又は「バウンス点」)で観察者に向けて放出され、光の他の部分は、伝送前に導波路1604内で内部的に反射(又は「バウンス」)され、光のそれぞれの部分は、導波路1604の長さに沿った異なるそれぞれの伝送点(又は「バウンス点」)で観察者に向けて放出される。
【0237】
図16は、表示されたホログラムによって表される画像の一部分(V
x)の光の光路1610のみを示している。画像の他の部分の光も、実際には導波路から観察者に向かって伝送されるが、理解を容易にするために
図16から省略されている。画像の他の角度部分の光は、導波路1604上のバウンス点と観察者との間の異なるそれぞれの光路をたどり、画像の各(すなわち、全ての)角度部分の光は、導波路上の各(すなわち、全ての)バウンス点で観察者に向かって放射されることが理解されよう。
【0238】
図16は、観察者の眼の網膜上の、観察者の眼の瞳孔が位置する平面を示す入射瞳面1612と、画像が形成される平面を示す画像表示面1614とを示す。
図16はまた、光路1610のうちのどれが観察者の右眼の入射瞳に向かって移動しており、そこから入ることになるかを示す第1のマーカ1608と、光路1610のうちのどれが観察者の左眼の入射瞳に向かって移動しており、そこから入ることになるかを示す第2のマーカ1606とを示している。見てわかるとおり、各眼は、複数の光路1610のうちの一方の光路の光のみを受け取り、各眼は、観察者の眼が自然に互いに空間的に分離されているため、異なる光路1610を介して互いに光を受け取る。しかしながら、上述したように、
図16に示す光路の全ては、画像の同じ(すなわち、共通の)部分の光を含む。したがって、両眼は、異なるそれぞれの光路を介してではあるが、同じ入射角で同じ画像コンテンツを受け取る。本発明者らは、これが混乱をもたらし、観察者が知覚する画像の明瞭さを損なう可能性があることを認識した。本発明者らは、以下の説明から理解されるように、この潜在的な課題に対処した。さらに、画像の一方の角度部分の光の光路のみが
図16に示されているが、画像の1つ以上の他の角度部分の光も、同様の方法で、観察者の左眼及び右眼の両方によって同時に受信され得る。
【0239】
図17は、導波路1704と、2つの入射瞳を含む視認システム1710とを含むディスプレイシステム又は光エンジンを示す。この例では、視認システム1710はヒトの観察者であり、2つの入射瞳はそれぞれ観察者の左眼1706及び右眼1708の一部であるが、これは非限定的であると見なされるべきであり、本開示は他のタイプの視認システムにも適用される。ディスプレイシステムの他の部分は、
図17から省略されている。導波路1704は、視認システム1710により近いその大きな面上に画定された(実質的に)中心点1702を有し、「導波路に沿った位置」(P
WG)はその中心点1702で0に等しい(P
WG=0)と定義される。光軸は、中心点1702から視認システム1710まで延びる(この例では、「z」方向)実質的に水平な破線によって表されている。「x」軸は、光軸に実質的に垂直な、中心点1702から延びる実質的に垂直な線によって画定される。導波路1704は、x軸に対して角度「α」で配置されている。この例では、観察者の眼の瞳孔が位置する入射瞳面は、入射瞳面上で互いに空間的に分離されており、x軸に実質的に平行である。しかしながら、本開示は、
図17の配置にも、その中の特徴のいずれかの相対位置にも限定されない。例えば、実際には、観察者の眼は、導波路から観察者に向かって延びる光軸に垂直な共通入射瞳面上に正確に配置されない場合がある。所与の時間における観察者の眼の場所は、ディスプレイシステム内に含まれるか、又はディスプレイシステムと通信するプロセッサによって計算又は取得されてもよい。例えば、任意の適切な視標追跡方法を使用することができる。
【0240】
導波路1704の面上の他の点の「導波路に沿った位置」(P
WG)は、中心点1702に対するそれらの位置に従って定義され得る。非限定的な例として、
図17の観察者1710によって見られるように、中心点1702の右に位置する任意の点に、P
WGの正(+)値を割り当てることができ、P
WGの大きさは、導波路の面に沿った、中心点1702と他の点との間の距離によって定義される。逆に、
図17の観察者1710によって見られるように、中心点1702の左に位置する任意の点には、P
WGの負(-)値を割り当てることができ、P
WGの大きさは、やはり導波路の面に沿った、中心点1702と他の点との間の距離によって定義される。中心点1702と入射瞳面との間には、光軸に略平行な距離「D」が画定される。距離「D」は、観察者の眼の入射瞳のサイズと比較して、及び/又は視認システム1710によって見られる画像のホログラムを表示するディスプレイ装置(図示せず)のサイズと比較して、比較的大きくてもよい。例えば、距離「D」は、約1000ミリメートル(1000mm)であってもよい。
【0241】
観察者の眼1706、1708は、当然、互いに空間的に分離されていることがわかる。観察者の眼の入射瞳間の分離は「瞳孔間距離」(IPD)と呼ばれることがある。
図17に示す例では、右眼1708の入射瞳は、光軸と入射瞳面との交点からx軸に沿って正(+)方向に変位するのに対し、左眼1706の入射瞳は、光軸と入射瞳面との交点からx軸に沿って負(-)方向に変位する。ここでも、これは単なる一例であり、非限定的である。本発明者らは、観察者の両眼の異なるそれぞれの位置(これに対応して、任意の多入射瞳視認システム内の2つ以上の入射瞳の異なるそれぞれの場所)を考慮して、画像のいかなる部分も両眼によって実質的に同時に受信されないようにすることができるように制御を提供することができることを認識した。注意として、本開示による特別なタイプのホログラムは、(ホログラムドメインではあるが)画像コンテンツを角度によって効果的に分割又は分離する。
【0242】
図18は、本明細書の
図15c、
図16又は
図17に示すようなディスプレイシステム又は光エンジンに適用される、本発明者らによって行われた認識を示すグラフを含む。グラフは、観察者又は視認システムに面する導波路の大側面上の点の導波路(P
WG)に沿った位置と、各眼から導波路上の点までの角度との間の関係を示している。実施形態では、導波路は、ディスプレイ装置(すなわち、ホログラム)及び/又は視認システムの投影面又は入射瞳面に対して傾斜している。
【0243】
図18のグラフは、2つの線を示しており、一方の線1806は、観察者の左眼等の視認システムの第1の入射瞳用であり、他方の線1808は、観察者の右眼等の視認システムの第2の異なる入射瞳用である。図からわかるように、任意の所与の光の角度θに対して、導波路P
WG1に沿った第1の位置があり、そこから左眼に到達するために光が放射される。同じ光の角度θに対して、導波路P
WG2に沿った第2の異なる位置があり、そこから右眼に到達するために光が放射される。したがって、両眼は、実質的に同時に同じ画像コンテンツ(すなわち、光の角度)を受信するが、導波路の異なる部分から受信する。これが、発明者らが対処した課題の原因である。
【0244】
画像の異なるそれぞれの部分に対応する全ての光線(又は光線束)は、導波路上の複数の場所(すなわち、複数の「バウンス点」から)から放射される。したがって、異なるそれぞれの位置からであるが同じ角度で導波路から放出される2つ以上の空間変調光が両方の入射瞳に実質的に同時に入射する場合、両方の入射瞳(例えば、観察者の両眼によって)によって受信される画像コンテンツは同じになる。これは、観察者を混乱させる可能性があり、観察者が見る又は知覚する画像の品質を阻害する可能性がある。
【0245】
したがって、本発明者らは、実施形態によれば、多入射瞳視認システムの各入射瞳によって受光される光が制御されるべきであることを認識した。例えば、多入射瞳視認システムの2つ以上の入射瞳による、同じ角度での同じ画像コンテンツの光の同時受光は、低減されるべきであり、少なくとも場合によっては排除されるべきである。さらに、本発明者らは、多入射瞳視認システムの2つ以上の入射瞳が、少なくとも場合によっては、同じ画像コンテンツ(すなわち、同じ特定の角度範囲(複数可)の光)の光を同時に受光することを防止すべきであることを認識した。本発明者らの解決策は、
図19に関連して理解され、
図19は、一例による観察者の左眼及び右眼によってそれぞれ受光された光を表す第1の線1906及び第2の線1908も示されている。
【0246】
図19の各角度は、本開示に従って使用される特別なタイプのホログラムのために、画像の異なる部分に対応する。要約すると、本発明者らは、この光学幾何学的形状の分析から、一方の眼のみが対応する画像コンテンツを受信する導波路の複数の角度範囲又は「ゾーン」(すなわち、サブ領域)を識別することができることを確認した。例えば、導波路のゾーン2において、左眼が受光可能な光の角度範囲は、右眼が受光可能な光の角度範囲とオーバーラップしない。任意のゾーンにおいて、一方の眼が受け取ることができる最大角度は、オーバーラップがないように他方の眼が受け取ることができる最小角度よりも小さい。しかしながら、ゾーンは、全ての画像コンテンツ(すなわち、全ての角度)が視認システムに送達されるようにシームレスに接続されている。これを逆に見ると、
図19のゾーン2に関連する角度範囲は、重複していない(但し、シームレスに接続されている)導波路の第1のサブ領域(すなわち、P
WGの第1の範囲)から、同じ角度コンテンツを第2の眼に送達する導波路の第2のサブ領域(すなわち、P
WGの第2の範囲)まで、第1の眼に送達される。第1のサブ領域(例えば、第1の眼のP
WGの上限)の端部は、第2のサブ領域(例えば、他方の眼のP
WGの下限)の開始部に直接隣接している(すなわち、シームレスに接続される)か、又はその逆である。簡潔に言えば、システムの幾何学的形状及びホログラムの性質により、本発明者らは、2つの眼が画像の異なる(及び、決定的に重なり合わない)部分で符号化された光を受光する導波路の複数のゾーン(すなわち、サブ領域)が存在することを確認した。当業者であれば、
図19を参照して説明した手法が複雑な光学系を近似し、例えば、入射瞳の有限のサイズが眼の間の角度コンテンツのいくらかのクロストークを依然として可能にし得ることを理解するであろう。しかしながら、本発明者らは、本方法が、依然として両眼に完全な画像コンテンツを送達しながら、両眼間のクロストークを大幅に低減する導波路開口構成を識別するのに非常に有効であることを見出した。
【0247】
より詳細には、
図19は、例として、4つの異なるゾーンを示し、各ゾーン(ゾーン1、ゾーン2、ゾーン3、ゾーン4)は、導波路から観察者に向かって放射される光の異なるそれぞれの角度範囲を画定する。各ゾーン(ゾーン1、ゾーン2、ゾーン3、ゾーン4)は、異なるそれぞれの角度チャネルに対応し、したがって、異なるそれぞれの画像コンテンツに対応する。言い換えれば、ホログラムが計算された特有の方法のために、各ゾーンは画像の異なるそれぞれの部分を表し、したがって異なる画像コンテンツに対応すると言われる。ゾーンは互いに隣接し、互いに連続しており、組み合わせて、画像を構成する角度の全範囲をカバーし、したがって、空間変調光を受けて、観察者の脳によってホログラフィックに再構成される画像に必要な全ての画像コンテンツを提供するように組み合わされる。
【0248】
本発明者らは、観察者の混乱を避けるために、画像の全ての部分について、したがって各ゾーンについて、光は好ましくは1つの入射瞳によって(すなわち、両方ではなく一方の観察者の眼によって)のみ受光されることができるべきであることを認識した。特に、本発明者らは、導波路と観察者との間の選択された場所(複数可)において、画像の各部分(すなわち、各角度)からの光が任意の所与の時間に観察者の眼の1つによってのみ受光されることを確実にするために、制御装置を考案した。制御装置は、1つ以上の開放部、又は開口、及び1つ以上の障壁又は閉塞を備えることができる。制御装置は、閉鎖部分及び開放部分を有する「開口」又は「導波路開口」と呼ばれることがある。導波路開口(複数可)は、観察者の第1の眼が第2の眼によって受信することができない角度コンテンツを受信し、その逆も同様であるように構成され得る。
【0249】
例示的な導波路開口1900が、
図19に、第1の相1900A及び第2の相1900Bで示されている。これらの相は、代わりに「構成」と呼ばれることがある。本開示は、図に示す特定の相に限定されない。これらは例示的な例にすぎない。
【0250】
導波路開口1900は、ホログラムのゾーン1からゾーン4まで導波路を介して観察者の眼に向かって伝播する光に導波路開口1900がどのように影響を及ぼすかを示すために、
図18のグラフと同様の
図19のグラフに隣接して示されている。各相1900A、1900Bは、1つの眼のみが任意の所与の時間に各ゾーンの光を受光することを確実にするために適用され得る1つの可能な導波路開口構成を表す。各相1900A、1900Bについて、導波路開口1900は、「開放」部分及び「閉鎖」部分を備え、各部分は、そこから光が放射され得る導波路(P
WG)に沿った位置の範囲(ミリメートル単位、mm)に対応する。実際には、導波路開口1900は、導波路の近くに物理的に配置され、導波路と観察者との間の光路を横切って延在し、以下に詳述するように特定の光路を選択的に許可及び遮断することができる。例えば、導波路開口は、本明細書の
図22A、
図24A、及び
図25Aに示すように、導波路の直前に配置されてもよい。そのような配置では、導波路開口は、入射瞳面に対して傾斜していてもよく、例えば、導波路の細長い面に実質的に平行であってもよい。しかしながら、同様の機能を提供する導波路開口の他の場所及び向きが考えられる。
【0251】
相1900A、1900Bのいずれかに対応して、固定導波路開口が設けられてもよく、固定導波路開口は、導波路(P
WG)に沿った特定の位置から放射された光が観察者に到達し、
図19に示す開放部(白色)部分及び閉鎖(黒色)部分によって定義されるように、導波路(P
WG)に沿った特定の他の位置からの光を遮断することを可能にするために、導波路と観察者との間に配置される。複数の異なる固定導波路開口が設けられてもよく、複数のうちの選択された1つは、導波路と観察者との間の空間変調光の選択された制御を提供するために、所与の時間に導波路と共に配列されてもよい。あるいは、第1の相1900Aと第2の相1900Bとを交互に繰り返す動的に再構成可能な導波路開口が設けられてもよい。各位相を順に考えると、導波路開口1900は、以下のようにより詳細に理解することができる。
【0252】
第1の相1900Aの場合、導波路開口は空間的に5つの部分に分割され、各部分は導波路(PWG)に沿った位置の範囲を画定し、各部分は交互に開閉される。より詳細には、図の左側に、第1の開放部分1921が画定されている。「左」、「右」等の位置用語は、図に示されている例の理解を助けるためにのみ使用されており、限定と見なされるべきではないことが理解されよう。第1の開放部分1921は、右眼がゾーン4の光を受信する導波路(PWG)に沿った位置の範囲を画定する。左眼は、この範囲の位置からの光を全く受けない。左から右に移動すると、第1の開放部分1921のすぐ隣には第1の閉鎖部分1922があり、これは、右眼がゾーン3の光を受光することができる導波路(PWG)に沿った位置の範囲を画定する。しかしながら、これは閉鎖部分1922であるため、右眼がゾーン3からいかなる光も受光しないことを保証する。さらに、第1の閉鎖部分1922はまた、左眼がゾーン4からの光を受光することができた位置の範囲をカバーする。しかしながら、やはり、これは閉鎖部分1922であるため、左眼がゾーン4からいかなる光も受光しないことを保証する。更に右に移動すると、第1の閉鎖部分1922に直接隣接する第2の開放部分1923があり、これは、左眼がゾーン3の光を受光する導波路(PWG)に沿った位置の範囲を画定する。さらに、導波路に沿った同じ位置の範囲は、右眼がゾーン2の光を受光する範囲である。更に右に移動すると、第2の開放部分1923に直接隣接する第2の閉鎖部分1924があり、これは、左眼がゾーン2の光を受光する導波路(PWG)に沿った位置の範囲を画定する。しかしながら、これは閉鎖部分1924であるため、左眼がゾーン2からいかなる光も受光しないことを保証する。さらに、第2の閉鎖部分1924はまた、右眼がゾーン1から光を受光するであろう位置の範囲をカバーする。しかしながら、やはり、これは閉鎖部分1924であるため、右眼がゾーン1からいかなる光も受光しないことを保証する。最後に、第2の閉鎖部分1924に直接隣接して、第3の開放部分1925がある。これは、左眼がゾーン1の光を受光する導波路(PWG)に沿った位置の範囲を画定する。右眼は、この範囲の位置からの光を全く受けない。したがって、導波路開口が第1の相1900Aによって表される構成にあるとき、各ゾーンからの光は、一方の眼に入ることが許可され、それぞれの他方の眼に入ることが防止される。これにより、受信した画像コンテンツの重複が回避される。
【0253】
第2の相1900Bの場合、導波路開口は再び空間的に5つの部分に分割され、第1の相1900Aの対応する部分と同じ導波路(P
WG)に沿った位置のそれぞれの範囲を画定するが、第2の相1900Bでは、部分は、
図19に定義されるように、左から右に見て交互に閉じ、開いている。より詳細には、第1の閉鎖部分1921’は、ゾーン4からの光が右眼に入るのを防ぐ。左眼はこの範囲の位置から光を全く受けないので、左眼に影響を及ぼさない。右に移動すると、第1の閉鎖部分1921’に直接隣接して第1の開放部分1922’がある。これは、ゾーン4からの光を左眼に入射させ、ゾーン3からの光を右眼に入射させる。再び右に移動すると、第1の開放部分1922’に直接隣接して第2の閉鎖部分1923’がある。これは、ゾーン3からの光が左眼に入るのを防ぎ、ゾーン2からの光が右眼に入るのを防ぐ。再び右に移動すると、第2の閉鎖部分1923’に直接隣接して第2の開放部分1924’がある。これは、ゾーン2からの光を左眼に入射させ、ゾーン1からの光を右眼に入射させる。再び右に移動すると、第2の開放部分1924’のすぐ隣に第3の閉鎖部分1925’がある。これは、ゾーン1からの光が左眼に入るのを防ぐ。したがって、導波路開口の2つの位相の関数を以下の表1に要約する。
【0254】
実施形態は、例としてのみ、第1及び第2の開口構成が反対である、すなわち完全に相補的である配置を説明する。制御装置の位相が完全に相補的であることは必須ではない。本明細書に記載の他の実施形態では、特に各入射瞳の有限サイズが完全に考慮される場合、より複雑な構成及び位相が使用される。
【表1】
【0255】
図20は、ホログラフィック再構成を含む虚像を形成するために、本明細書に記載の方法に従ってホログラムが計算されるターゲット画像2000の一例である。ターゲット画像2000は、各々が異なるそれぞれの画像コンテンツを有する4つのゾーンに分割される。したがって、ホログラムが適切に表示及び照射されると、ディスプレイ装置及び導波路が放射する空間変調光は、各々が固有のそれぞれの角度範囲を有し、各々が画像の異なる部分を含む4つの別個の光線(又は光線束又は角度チャネル)を含む。
【0256】
ホログラムは、画像コンテンツを角度で分割するように計算される。このようなホログラムを計算するために、様々な異なる方法を使用することができる。一般に、ホログラムは、視認システムの少なくとも1つの入射瞳に応じて制約されると言える。ホログラムの特徴は、画像コンテンツのチャネルへの角度分割である。実施形態によれば、ホログラムは、生成される虚像の個々の虚像点を使用してホログラムを計算する、上記で詳述した点群法を使用して計算される。しかしながら、この方法は例としてのみ説明されており、画像コンテンツの角度チャネリングによって特徴付けられるホログラムを計算する他の方法が使用されてもよい。非限定的で例示的な点群法を利用する実施形態では、各虚像点は、ディスプレイ装置と視認システムの入射瞳との間の光の1つの光線角度に対応することができる。各虚像点は、個々の画像成分と見なすことができる。実施形態では、虚像のゾーンは、単一の虚像点又は複数の虚像点を含むことができる。実施形態では、2つ以上の隣接する虚像点が虚像のゾーン内に含まれてもよく、そのゾーンの角度範囲は、ゾーン内に含まれる個々の虚像点にそれぞれ対応する全ての角度を含む。
【0257】
各眼(又は入射瞳)が異なるそれぞれの目視位置を占める、観察者(又は視認システム)の各眼(又は入射瞳)に到達するコンテンツをうまく制御するために、本明細書に開示される導波路開口の各部分(すなわち、各ゾーン)は、視認システムが2つの眼を有するヒトの観察者である場合に、各目視位置から、例えば各眼から受信することができる最大光線角度及び最小光線角度を画定する。目視位置(例えば、2つの眼の間)間の受信されたホログラムコンテンツの重複を回避するために、各ゾーンについて、第1の眼の位置の最大光線角度は、第2の眼の位置の最小光線角度よりも小さい。2つの目視位置が2つの隣接するゾーンからコンテンツを受信するように構成されている場合、第1の眼の位置の最大光線角度は、第2の眼の位置の最小光線角度に実質的に等しい。例えば、導波路開口は、第1の目視位置が、その最大光線角度(θmax1)までを含む角度範囲内のコンテンツに対応する空間変調光を受信し、第2の目視位置が、第2の眼の位置の最大光線角度(θmax2)まで、θmax1に等しくないがそれより上の角度範囲内のコンテンツに対応する空間変調光を受信するように構成され得る。
【0258】
図21は上記を示しており、導波路開口の開放部分2100が示されており、導波路開口の残りの部分は示されていない。開放部分2100は、導波路(P
WG)に沿った強調表示された位置範囲から導波路から放出される任意の光がP
WG1とP
WG2との間を観察者に向かって通過できるように、導波路(図示せず)に対して配置されるべきである。したがって、これは、ゾーン2からの光が第1の線2106によって示される左眼に入ることを可能にし、ゾーン1からの光が第2の線2108によって示される右眼に入ることを可能にする。ゾーン2の角度範囲は、最小角度2106
MINから最大角度2106
MAXまで延在するものとして示されている。同様に、ゾーン1の角度範囲は、最小角度2108
MINから最大角度2108
MAXまで延在するものとして示されている。
図21に破線の水平線で示すように、ゾーン2の最大角度2106
MAX、したがって左眼は、ゾーン1の最小角度2108
MIN、したがって右眼に等しい。したがって、ゾーン2の下限2106
MINからゾーン1の上限2108
MAXまでの角度の全範囲は、ゾーン1及び2の画像の全ての部分によって空間変調光が一方の眼又は他方の眼によって開放部分2100を通して受信されることによってカバーされる。
【0259】
図22Aは、動作中の導波路開口2250を示す。導波路開口2250は、ディスプレイシステム又は光エンジンの一部として設けられた導波路2204の前に、すなわち光学的に下流に設けられている。ディスプレイシステムの他の素子は示されていない。例えば、ディスプレイシステムはまた、本明細書に記載のように計算され、適切な光源によって照明されるホログラムを表示するように構成されたディスプレイ装置を含む。観察者は、導波路開口2250の光学的に下流に配置され、観察者の左眼2206及び右眼2208の入射瞳は、「x」方向の入射瞳面を画定する。観察者の眼2206、2208の間の間隔は、x方向の「瞳孔間距離」(IPD)として定義される。導波路開口2250は、導波路2250の直前に、かつ導波路に実質的に平行に設けられ、両方とも入射瞳面に対して傾斜している。
【0260】
導波路2250の開放部分2251は、光が導波路(P
WG)に沿った所定の範囲の位置から観察者に向かって放出されることを可能にするものとして示されている。実施形態では、導波路開口内に2以上の開放部分があるが、理解を容易にするために
図22Aには1つだけが示されている。
図21に関連して上述したように、導波路開口2250は、第1の角度範囲の光が開放部分2251から放出されて右眼2208に到達することを可能にし、第2の異なる角度範囲の光が開放部分2251から放出されて左眼2206に到達することを可能にする。当業者であれば、実際には、光はまた、他の角度で導波路2204から導波路開口2250の開放部分2251を介して放出されてもよいが、示されている2つの角度範囲のみが、観察者の一方又は他方の眼に到達する開放部分2251からの光を含むことを理解するであろう。
【0261】
図22Bは、
図22Aのシステムを使用して、その光が観察者の左眼に送達されるターゲット画像2000のゾーン1の画像コンテンツを示す。
図22Cは、ターゲット画像2000のゾーン2の画像コンテンツを示し、その光は、観察者の右眼に送達される。当業者であれば理解するように、観察者の脳(又は、非ヒト視認システム内のプロセッサ)は、両方のゾーンを同時に「見る」ために、各眼(又は他の入射瞳)から受信した画像コンテンツを組み合わせることができる。しかしながら、観察者の両眼の視点が異なるため、各ゾーンに含まれる画像コンテンツは、少なくとも場合によっては、実際には各眼についてわずかに異なるはずである。
【0262】
実施形態によれば、ホログラムが計算され、ホログラフィックに再構成される、本開示による「ターゲット画像」は、眼ごとに異なる。したがって、各眼に対して別々に計算される画像に対応するホログラムは、実際にはそれぞれ異なる画像のホログラムであり得る。言い換えれば、左眼用に算出されるホログラムは、左眼の視点から見たときの画像に対応するホログラムであり、逆に、右眼用のホログラムは、右眼の視点から見たときの画像に対応するホログラムである。
【0263】
したがって、本発明者らは、各ゾーン内に含まれる画像コンテンツが各眼(又は、各開口について、任意の他の複数の開口視認システム)について異なり得ることを認識した。したがって、実施形態によれば、本明細書に開示される導波路開口は、狭い時間窓内で全てのゾーンの光を各眼に供給するように構成されてもよく、その結果、脳(又は非ヒトの視認システムに関連するプロセッサ)は、各眼がそのそれぞれの画像についてのホログラムコンテンツの全てを実質的に同時に受信したと知覚する。
【0264】
実施形態によれば、導波路開口は、動的に構成可能であってもよく、及び/又は2つ以上の導波路開口若しくは他の制御装置が設けられてもよく、適切なコントローラは、導波路開口の異なるそれぞれの構成間の切り替え、及び/又は異なる制御装置間の切り替えを動的に制御することができる。好ましくは、これは、非常に迅速に、例えばヒトの眼の典型的な積分時間よりも迅速に行われるべきである。切り替えは、両方の位相において制御装置によって放射される空間変調光の全てが、非常に短い時間ウインドウ内で観察者によって受信されることを可能にし、それにより、観察者は、全てが同時に受信されたことを知覚する。
【0265】
図23Aは、L1、L2、L3及びL4とそれぞれ標識された4つのゾーンに分割された、観察者の左眼にとって望ましい画像を示す。
図23Bは、それぞれR1、R2、R3及びR4と標識された4つのゾーンに分割された、観察者の右眼にとって望ましい画像を示す。両眼が短い時間窓内で全ての所望の画像コンテンツを受信することを保証するが、全く同時に同じ角度で両眼によって画像コンテンツが受信されないことを保証するために、互いに相補的な第1の相と第2の相との間で動的に切り替えられるように構成された導波路開口部等の制御装置が提供される。
図23Cは、位相1のホログラム計算のターゲット画像を示し、
図23Dは、位相2のホログラム計算のターゲット画像を示す。すなわち、
図23Cのターゲット画像は、位相1の間に再構成される第1のホログラムを計算するために使用され、
図23Dのターゲット画像は、位相2の間に再構成される第2のホログラムを計算するために使用される。使用されるターゲット画像は、各眼が画像の位置/視点に合わせて調整されたコンテンツを受信することを保証する。
【0266】
第1の相は、
図24A~
図24Cからより完全に理解することができる。導波路開口2450は、第1の相において第1の構成2400Aで配置され、3つの開放部分2451、2453、2455及び2つの閉鎖部分2452、2554を有する。導波路開口2450は、
図22Aのシステムのようなディスプレイシステム又は光エンジンに設けられ、導波路開口2450は、導波路開口2450が空間変調光を受信する導波路2404と実質的に平行になるように、観察者の左眼2406及び右眼2408によって画定される入射瞳面に対して傾斜している。本明細書に記載のように計算されたホログラム(複数可)を表示するディスプレイ装置等、ディスプレイシステムの他の態様は示されていない。第1の相では、第1の開放部分2451は、右眼用視像のゾーン1の光が右眼に到達することを可能にし、したがって、画像コンテンツ「R1」が受信される。第2の開放部分2453は、右眼視像のゾーン3からの光が右眼に到達することを可能にし、したがって、画像コンテンツ「R3」が受信される。第2の開放部分2453はまた、左眼視像のゾーン2からの光が左眼に到達することを可能にし、したがって、画像コンテンツ「L2」が受信される。最後に、第3の開放部分2455は、左眼視像のゾーン4からの光が左眼によって受信されることを可能にし、したがって、画像コンテンツ「L4」が受信される。したがって、
図24Bは、第1の相において、右眼2408によって受信された画像コンテンツを示し、
図24Cは、左眼2406によって受信された画像コンテンツを示す。
【0267】
第2の相は、
図25A~
図25Cからより完全に理解することができる。導波路開口2450は、2つの開放部分2452’、2454’及び3つの閉鎖部分2451’、2453’、2455’を有する第2の相2400Bにある。ここでも、ディスプレイシステムの他の態様が実際に存在するが、
図25Aには示されていない。第2の相では、第1の開放部分2452’は、右眼用視像のゾーン2の光が右眼に到達することを可能にし、したがって、画像コンテンツ「R2」が受信される。第1の開放部分2452’はまた、左眼視像のゾーン1の光が左眼に到達することを可能にし、したがって画像コンテンツ「L1」が受信される。第2の開放部分2454’は、右眼用視像のゾーン4の光が右眼に到達することを可能にし、したがって、画像コンテンツ「R4」が受信される。最後に、第2の開放部分2454’はまた、左眼視像のゾーン3の光が左眼によって受信されることを可能にし、したがって、画像コンテンツ「L3」が受信される。したがって、
図25Bは、第2の相において、右眼2408によって受信された画像コンテンツを示し、
図25Cは、左眼2406によって受信された画像コンテンツを示す。
【0268】
導波路開口2450は、
図23C及び
図23Dにそれぞれ組み合わせて示されるように、各位相において観察者によって受信されたそれぞれの画像コンテンツが互いにインターレースするように、第1及び第2の相を迅速に、例えばヒトの眼の典型的な積分時間よりも迅速に切り替えるように制御されてもよい。したがって、観察者は、その位置に応じてそれぞれ固有の視点から、両眼で完全な画像を見たと知覚する。しかしながら、観察者は、画像の劣化を知覚せず、同じ角度で同時に両眼で共通の、又は重なり合う画像コンテンツを実際に受信することが引き起こすであろう混乱に遭遇しない。したがって、制御装置は、本明細書に記載されるように、計算されたホログラム(複数可)と組み合わせて機能し、観察者のための明瞭で正確なホログラフィック構成画像を作成する。これは、単純であるが効果的な方法で行われる。
【0269】
本発明者らは、上述の実施形態が、各入射瞳の中心に基づく幾何学的形状によって適切に決定され得ることを見出した。
図26~30を参照して以下に説明する更なる改善において、本発明者らは、入射瞳の有限サイズを検討した。これらの実施形態によれば、画質が更に改善され、複数の視認システム間の画像クロストークが更に低減又は排除される。当業者であれば、例えば、眼又は頭部の位置及び/又は瞳孔の大きさの変化に応じて、制御装置及び開口の配置をリアルタイムで動的に再構成するために、以下に説明する方法をどのように使用できるかを理解するであろう。制御装置によって提供される開口構成はソフトウェア再構成可能であり、したがって、本明細書に開示されるシステムはまた、2つの視認システム間の分離、例えばヒトの観察者の瞳孔間距離等の視認システムのパラメータに応じてそれ自体を調整することもできる。
【0270】
いくつかの実施形態では、瞳孔径(複数可)(例えば、視線追跡システムによって、)の測定が行われ、これはシャッタリングのための制御システムの一部として使用される。例えば、運転者の瞳孔はかなり変化し得る。周囲光が明るい場合、瞳孔径は小さくなる。本明細書に開示されるシステムの利点は、瞳孔径が比較的小さい(例えば、2mm)明るい条件下では、眼のクロストークを排除するために必要な「閉じた」開口領域が少ないことである。これは、全体的な効率(観察者に向かって伝搬される光の量)が比較的高いことを意味するため、有利である。したがって、本開示のシャッタシステムと、画像表示、特に車両内のヘッドアップディスプレイとの間に優れた相乗効果がある。
【0271】
図26~30は、更なる実施形態によるより複雑なシャッタ方式を示す。これらの図は、動的シャッタの動作中にシャッタゾーンのサイズ及び位置がどのように変化し得るかを示している。画像のいかなる部分も同時に複数の目視位置(例えば眼の位置)によって受け取られないことを保証するために、任意の数の異なるシャッタ方式が実施されてもよい。この場合も、これは、導波路瞳拡張器からの各光角度が常に1つの目視位置(例えば片眼)にのみ到達することを保証することによって達成される。
図28~30は、一実施形態を単なる例として示しており、動作中に3つの異なるシャッタ構成が順に(例えば、サイクルされて)実装される。
【0272】
図26は、
図28~30に示す三相動的シャッタリング方式に対応する幾何学的構成を示す。
図26は、画像(例えば、
図23C又は
図23Dのような2つの異なるゾーン化画像)のホログラムを表示する空間光変調器2600を示す。
図26は、この例ではロッドの形態の導波路瞳拡張器2604を更に示す。導波路瞳拡張器2604は、空間光変調器2600から空間変調光を受信するように配置される。受信された光は、表示されたホログラムに従って空間的に変調される。ダイナミックシャッタ形態の制御装置2650は、導波路瞳拡張器2604の出力面から光を受信する。上述したように、導波路瞳拡張器2604は、その長さに沿って複数の点で光が放出されるように、受信光を効果的に複製する。
【0273】
制御装置2650を通過する一部の光は、複数の視点のうちの或る視点に到達する。この例では、2つの視点がある。第1の視点に配置された第1の入射瞳2609A及び第1の光センサ2611Aを備える第1の視認システム。第2の視点に配置された第2の入射瞳2605B及び第2の光センサ2607Bを備える第2の視認システム。
【0274】
図26は、単なる例として、5つの別個のシャッタゾーンが設けられている一例のシャッタ構成を示す。各シャッタゾーンは、ロッドの対応するサブ領域から受信される光に対して透過性又は非透過性(例えば、吸収性又は反射性)のいずれかであるように独立して制御可能である。以下から、シャッタゾーンの数、サイズ、及び位置が、画像コンテンツ全体を対応する目視位置(複数可)に送達するように設計されたシャッタ構成のセットのシャッタ構成間で変更され得るように、制御装置が再構成可能であることが理解されよう。先の実施形態から理解され得るように、制御ゾーンを介して第1の目視位置に送達される画像コンテンツは、制御装置を介して第2の視認システムに送達される画像コンテンツと必ずしも同じではない。
【0275】
この実施形態では、制御装置2650は、順に、第1のシャッタゾーン2651、第2のシャッタゾーン2652、第3のシャッタゾーン2653、第4のシャッタゾーン2654、及び第5のシャッタゾーン2655を備える。この実施形態では、制御装置2650の第2のシャッタゾーン2652を通過する第1の光2662A及び制御装置2650の第4のシャッタゾーン2654を通過する第2の光2664Aは、第1の視認システムに到達する。制御装置2650の第4のシャッタゾーン2654を通過する第3の光2664Bは、第2の視認システムに到達する。前述の説明から、システムは、特定の角度の光が特定の時間に目視位置に送達されるように構成されることが理解されよう。各光線角度は、ホログラムドメインに符号化されているが、画像の異なる部分に対応する。両方又は全ての視認システム(例えば、眼)に同時に送達される光線角度はない。
【0276】
図26では、空間光変調器2600、導波路瞳拡張器2604、制御装置2650、並びに第1及び第2の視認システムは、実質的に同一平面上にある。システムの光軸は単一の平面上にある。直線は、制御装置2650の中心を第1及び第2の視認システムの中間点に接続する。この実施形態では、導波路瞳拡張器及び制御装置は実質的に細長いものであり、ロッドの長軸と制御装置の長軸との間に角度がある。角度は、システムの光軸を含む平面上にある。
【0277】
図26に示す構成では、制御装置の第2のシャッタゾーン2652及び第4のシャッタゾーン2654は透過性であるように動作され、又は少なくとも実質的に透過性であり、第1、第3及び第5のシャッタゾーン2651、2653及び2655は非透過性又は少なくとも実質的に非透過性であるように動作される。
【0278】
この実施形態では、一対の視認システム(例えば、各眼)の各視認システムに関連する入射瞳の有限サイズが十分に考慮されている。
図27は、
図18と同様のスタイルのプロットであるが、瞳孔間距離及び有限の瞳孔サイズを有するヒトの眼のペアを表す、
図26及び入射瞳2609A及び2605Bの幾何学的構成に対応する。
図27は、導波路に沿った位置の関数として、各視認システム/眼の中心に対する角度を示す。
図27には、各眼について3本の線がプロットされている。線2703は、入射瞳2609Aの中心に対応し、線2701及び2705は、システムの平面上の入射瞳2609Aの2つの対向する縁部に対応する。線2709は、入射瞳2605Bの中心に対応し、線2707及び2711は、システムの平面上の入射瞳2605Bの2つの対向する側面に対応する。
【0279】
この幾何学的形状に基づいて、本発明者らは、有限の瞳孔サイズを有する2つの眼の間のクロストークを排除する動的シャッタ方式を決定した。この実施形態では、動的シャッタ方式は、3つの相又は構成又は段階を含む。すなわち、3つの異なるシャッタ配置/パターンが、各ホログラムを再構成するために使用される。3つのシャッタ配置は、時系列に形成される。したがって、異なる配置は時間インターレースされている(time-interlaced)と言える。しかしながら、本開示は、3つの異なるシャッタ配置に限定されず、本開示の範囲内で任意の数の異なるシャッタ配置を想定してもよい。
【0280】
図28は、制御装置の第1の領域2850のみが非透過であるように構成される第1の相を示す。
図29は、制御装置の第2の領域2950のみが非透過であるように構成される第2の相を示す。前述の第1の領域2850の境界は、単に理解を助けるために
図29に示されている。第1の領域2850と第2の領域2950とは、異なる時間に形成されているが、一部が(空間的に)重なっている。
図30は、制御装置の第3の領域3051及び第4の領域3052が非透過であるように構成される第3の相を示す。前述の第2の領域2950の境界は、単に理解を助けるために
図30に示されている。読者は、ブロック/非透過又は非ブロック/透過である制御装置の総面積が、シャッタ相を循環する間に一定ではないことを理解すべきである。
制御装置は、本明細書では「導波路開口」として説明されているが、本明細書に記載の機能を提供するために、任意の適切な制御装置を使用することができる。導波路開口等の制御装置は、任意の適切な材料から形成されてもよい。例えば、それは、それぞれ不透明であることと透過性であることとを切り替えることができる液晶装置又は複数の液晶装置、例えばアレイを備えてもよい。例えば、制御装置は、電圧、光、又は熱が印加されたときに光透過特性を変更することができる「スマートガラス」又は「切り替え可能ガラス」を備えることができる。制御装置は、任意の適切なプロセッサ又はコントローラによって制御されてもよい。その構成は、例えば、異なるそれぞれのターゲット画像を再構成するために、及び/又は観察者若しくは視認システムの動きに対応するために、ディスプレイ装置上の複数の異なるホログラムの動的表示と調整又は同期するために、迅速に変更することができる。
【0281】
本明細書に開示される制御装置は、任意の数の異なる形態をとることができる。いくつかの実施形態では、制御装置は、画素等の個別に制御可能な受光/処理素子の複数、例えば2Dアレイを備える。いくつかの実施形態では、制御装置は、画素化液晶装置又はディスプレイを備える。いくつかの実施形態では、素子又は画素は、本明細書に開示される透過性及び非透過性シャッタゾーンを形成するように連続したグループで動作可能である。画素の各グループは、第1のモード、例えば透過モードと、第2のモード、例えば反射モードとの間で切り替え可能であってもよい。当業者は、画素のグループ又はゾーン(各ゾーンは光に対して異なる応答を有する)のサイズ及び位置をリアルタイム等の動作において変更することができるように、画素化ディスプレイ装置を制御する方法に精通している。各ゾーンは、装置の画素サイズよりも大きい。したがって、各ゾーンは複数の画素を含むことができる。当業者は、再構成可能光シャッタを提供するために、偏光子及び波長板等の光学成分が画素化液晶装置と組み合わせてどのように実装され得るかに精通している。単なる例として、制御装置は偏光選択を利用してもよいが、光の他の特性に基づく他の方式も同様に適用可能である。いくつかの実施形態では、制御装置は、画素化液晶ディスプレイと、任意に、第1の偏光を有する光を伝送し、第2の偏光を有する光を吸収又は反射するように集合的に構成された他の光学素子とを備え、任意に、第1の偏光及び第2の偏光は反対又は相補的である。誤解を避けるために、画像を形成する光の偏光及び波長等の特性に応じて、任意の数の異なる光学システムを使用して制御装置を形成することができ、したがって、本開示は制御装置の構成によって限定されない。したがって、本明細書に開示される制御装置は、その構造ではなくその機能によって定義されることが理解されよう。
【0282】
制御装置は動的に再構成可能である。いくつかの実施形態では、制御装置は画素化されている。すなわち、制御装置は、個別に制御可能な画素のアレイを備える。各画素は、例えば、透過状態と非透過状態との間で構成可能な液晶を含むことができる。本開示に従って特定される、画素の縁部と理想的な開口ゾーンの縁部との間の配向の不完全性は、多すぎる光又は少なすぎる光を通過させることによって対処することができる。すなわち、別の画素ラインを「開く」か、又はゾーン構成のもう1つの画素ラインを「閉じる」かのいずれかである。3つ以上の開口相(例えば、各入射瞳の有限サイズが完全に考慮される場合)を含む実施形態では、制御装置は、インターフェースの画素が常に光を遮断するようにすることができるように十分な解像度又は画素数を有する。
【0283】
上記の例は、限定と見なされるべきではない。例えば、視認システムは、3つ以上の視野開口、又は入射瞳を有することができる。例えば、画像(それに対応して、計算されたホログラム及び得られたホログラフィック再構成画像)を任意の数のゾーンに分割し、したがって空間変調光の任意の数の対応する角度チャネルを生成することが可能である。例えば、制御装置は、第1の相と第2の相との間の切り替えとして説明されているが、3つ以上の相の間で切り替えるように構成することができる。例えば、4相の制御であってもよい。一実施形態によれば、制御装置の相(例えば、各相)は、1つの眼(又は視野開口)のみに光を送達することを可能にし得る。一実施形態によれば、制御装置の相(例えば、各相)は、2以上の眼(又は2以上の視野開口)のみに光を送達することを可能にし得る。
【0284】
画像コンテンツが受信されるゾーンの数及び/又はゾーンのサイズは、各相について同じである必要はない。言い換えれば、制御装置のいくつかの相は、いくつかのそれぞれの他の相よりも多くの画像コンテンツを送達することができる。同様に、制御装置の複数の位相が互いにインターレースされている場合、両眼は、各相において、又は合計で、互いに同じ量の画像コンテンツを受信する必要はない。例えば、一方の眼は、それらの相対位置及び/又は他の要因に応じて、それぞれの眼よりも多くの画像コンテンツを見ることが可能であり得る。
【0285】
本明細書に記載の導波路開口部等の制御装置を備えるディスプレイシステムは、複数の異なる画像を次々に及び/又は異なるそれぞれの時間に表示するように構成することができる。したがって、そのようなシステム内のディスプレイ装置は、異なるそれぞれのホログラムを時々迅速に連続して表示するように構成され得る。異なる画像は、異なるそれぞれのゾーン数を有し得る。さらに、ゾーンのサイズは、異なるそれぞれの画像間で異なり得る。同様に、1つの画像のゾーンの光線は、第2の異なる画像のゾーンの光線に対する異なるそれぞれの角度によって画定されてもよい。制御装置は、ゾーンの数及び/又はサイズの変化に対応するために、動的に適応可能であるように構成することができる。言い換えれば、制御装置が開いている状態から閉じている状態に変化し、その逆も同様である、導波路(PWG)に沿った正確な位置は固定されていなくてもよい。代わりに、制御装置は、それが開いている状態から閉じている状態に変化する導波路(PWG)に沿った位置を動的に変更するように構成可能であり得る。したがって、制御装置によって提供される開放部分及び閉鎖部分の総数を変えることができる。これらの部分のうちの1つ以上の個々のサイズも変更することができる。
【0286】
システムは、画像のビデオレートシーケンス等の画像のシーケンスを表示するように構成されてもよい。各画像は、50又は60Hz等のフレームレートを有するフレームシーケンスのフレームに対応することができる。各フレームは、複数のサブフレームを備え得る。サブフレームレートは、例えば、フレームレートの4倍又は8倍であってもよい。表示されるホログラムは、連続するサブフレームごとに変更されてもよい。各サブフレームは、個々のディスプレイ事象と考えることができる。各サブフレームは、画像又は画像の少なくとも一部に対応し得る。実施形態は、各ディスプレイ事象ごとに両眼に送達される光を示しているが、本開示はこの点に関して限定されない。例えば、光エンジンは、ディスプレイ事象ごとに1つの眼/入射瞳のみに光を送達するように構成されてもよい。導波路開口(すなわち、開いた又は閉じた開口/開放部のサイズ及び/又は分布)の構成は、全てのディスプレイ事象又はn個のディスプレイ事象ごとに変更することができ、nは整数である。同様に、記載された実施形態は、ディスプレイ事象中に各開口/開放部を通して送達される隣接する画像コンテンツを示すが、本開示はそのような状況に限定されず、各開口を通して送達される画像コンテンツは隣接する画像コンテンツでなくてもよい。いくつかの実施形態では、ディスプレイ事象/開口構成ごとに1つの角度範囲の光のみが1つの眼に送達される。いくつかの実施形態では、制御システムは、各眼/入射瞳に順番に光を送達するように構成される。
【0287】
本開示で前述したように、ターゲット画像のホログラムは、例えば、観察者の眼の入射瞳の特定のサイズ及び位置に対して、視野開口の特定のサイズ及び位置に対して計算することができる。入射瞳径や位置等の制約が変化した場合、その時点で再構成されるターゲット画像(したがって、観察者が見る又は知覚する画像コンテンツ)が同じままであっても、ホログラムを再計算してもよい。各ホログラムは、2つのホログラムが同じターゲット画像を表す場合でも、同じ数又はサイズのゾーンを有する必要はない。
【0288】
追加の特徴
実施形態は、単なる例として、電気的に活性化されるLCOS空間光変調器を指す。本開示の教示は、例えば、任意の電気的に作動されるSLM、光学的に作動されるSLM、デジタルマイクロミラー装置又は微小電気機械装置等、本開示によるコンピュータ生成ホログラムを表示することができる任意の空間光変調器で等しく実施することができる。
【0289】
いくつかの実施形態では、光源は、レーザダイオード等のレーザである。
【0290】
本開示のシステムは、改良されたヘッドアップディスプレイ(HUD)又はヘッドマウントディスプレイを提供するために使用することができる。いくつかの実施形態では、HUDを提供するために車両に設置されたホログラフィック投影システムを備える車両が提供される。車両は、自動車、トラック、バン、ローリー、オートバイ、電車、飛行機、ボート、又は船等の車両であってもよい。
【0291】
例は可視光でSLMを照明することを説明しているが、当業者は、例えば本明細書に開示されるように、光源及びSLMを等しく使用して赤外線又は紫外線を向けることができることを理解するであろう。例えば、当業者は、情報をユーザに提供する目的で赤外線及び紫外線を可視光に変換する技術を認識するであろう。例えば、本開示は、この目的のために蛍光体及び/又は量子ドット技術を使用することに及ぶ。
【0292】
本明細書に記載の方法及びプロセスは、コンピュータ可読媒体上で実施することができる。「コンピュータ可読媒体」という用語は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、バッファメモリ、フラッシュメモリ、及びキャッシュメモリ等、データを一時的又は永続的に格納するように配置された媒体を含む。「コンピュータ可読媒体」という用語はまた、命令が、1つ以上のプロセッサによって実行された場合に、機械に、本明細書に記載の方法論のうちの任意の1つ以上を全体的又は部分的に実行させるように、機械によって実行するための命令を格納することができる任意の媒体、又は複数の媒体の組み合わせを含むと解釈されるべきである。
【0293】
「コンピュータ可読媒体」という用語は、クラウドベースのストレージシステムも包含する。「コンピュータ可読媒体」という用語は、ソリッドステートメモリチップ、光ディスク、磁気ディスク、又はそれらの任意の適切な組み合わせの例示的な形態の1つ以上の有形かつ非一時的なデータリポジトリ(例えば、データ量)を含むが、これらに限定されない。いくつかの例示的な実施形態では、実行のための命令は、キャリア媒体によって通信されてもよい。このようなキャリア媒体としては、例えば、トランジェント媒体(例えば、命令を通信する伝搬信号)が挙げられる。
【0294】
添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、様々な修正及び変形を行うことができることは当業者には明らかであろう。本開示は、添付の特許請求の範囲及びそれらの均等物の範囲内の全ての修正及び変形を包含する。
【手続補正書】
【提出日】2022-08-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
視界窓から視認可能な画像を形成するように配置された光エンジンであって、
前記画像のホログラムを表示し、前記ホログラムに従って光を空間的に変調するように配置されたディスプレイ装置であって、前記ホログラムが、前記画像の空間変調光の角度チャネルが前記画像のそれぞれの連続領域に対応するように、画像コンテンツの位置に従って前記画像の空間変調光を角度的に分配するように構成されたものと、
前記空間変調光を受信し、前記ディスプレイ装置から前記視界窓へ前記空間変調光のための複数の異なる光伝搬経路を提供するように配置された導波路瞳拡張器と、
前記導波路と前記視界窓との間に配列された制御装置であって、前記視界窓内の第1の目視位置が、前記画像の第1の領域に従って前記ホログラムによって空間変調された光の第1のチャネルを受信し、前記視界窓内の第2の目視位置が、前記画像の第2の領域に従って前記ホログラムによって空間変調された光の第2のチャネルを受信するように配置された少なくとも1つの開口を含むものと、を含む、
光エンジン。
【請求項2】
前記第1の領域及び前記第2の領域が、前記画像の隣接領域である、
請求項1に記載の光エンジン。
【請求項3】
前記空間変調光の隣接する角度チャネルが、前記画像の隣接する領域に対応する、
請求項1に記載の光エンジン。
【請求項4】
前記画像の前記第1の領域及び前記第2の領域が、実質的に重なり合わない、
請求項1に記載の光エンジン。
【請求項5】
前記画像が、前記ディスプレイ装置の上流で知覚される虚像である、
請求項1に記載の光エンジン。
【請求項6】
前記制御装置が、前記導波路瞳拡張器の出力面に結合される、
請求項1に記載の光エンジン。
【請求項7】
前記制御装置が、前記視界窓から視認可能な前記導波路の前記出力面の領域を制限する、
請求項1に記載の光エンジン。
【請求項8】
前記導波路瞳拡張器及び視界窓が、非平行である、
請求項1に記載の光エンジン。
【請求項9】
前記制御装置が、少なくとも1つの開放部を備え、各開放部が、前記第1の目視位置及び/又は前記第2の目視位置に空間変調光のそれぞれのチャネルを提供し、その結果、異なる画像コンテンツが、実質的に同時に前記第1の目視位置及び前記第2の目視位置にそれぞれ送達される、
請求項1に記載の光エンジン。
【請求項10】
前記それぞれのチャネルが、重なり合わないが連続的である、
請求項9に記載の光エンジン。
【請求項11】
前記制御装置が、複数の異なる制御装置構成が提供されるように、各開放部が開位置と閉位置との間で切り替え可能であるように構成され、各制御装置構成が、開いた開放部と閉じた開放部の交互シーケンスを含む、
請求項9に記載の光エンジン。
【請求項12】
前記制御装置が、第1の時点における第1の制御装置構成及び第2の時点における第2の制御装置構成を提供するように構成され、第1の制御装置構成及び第2の制御装置構成が相補的である、
請求項11に記載の光エンジン。
【請求項13】
前記第1の時点と前記第2の時点との間の時間間隔が、ヒトの眼の積分時間よりも短い、
請求項12に記載の光エンジン。
【請求項14】
前記制御装置によって提供される第1の制御装置構成が、前記画像の第1及び第3の画像ゾーンに従って変調された光を前記第1の目視位置に送達し、前記画像の第2及び第4の画像ゾーンに従って変調された光を前記第2の目視位置に送達し、前記第1~第4のゾーンが、前記画像の順序付けられた連続した領域である、
請求項1に記載の光エンジン。
【請求項15】
前記制御装置によって提供される第2の制御装置構成が、前記画像の第2及び第4の画像ゾーンに従って変調された光を前記第1の目視位置に送達し、前記画像の第1及び第3に従って変調された光を前記第2の目視位置に送達する、
請求項1に記載の光エンジン。
【請求項16】
前記第1の目視位置に送達される前記第1~第4の画像ゾーンのいずれか1つの前記画像コンテンツが、前記第2の目視位置に送達される前記第1~第4の画像ゾーンの対応する1つの前記画像コンテンツと同一ではない、
請求項14に記載の光エンジン。
【請求項17】
前記第1の目視位置及び前記第2の目視位置が、観察者の第1の眼の位置及び第2の眼の位置であり、前記視界窓がアイボックスである、
請求項1に記載の光エンジン。
【請求項18】
前記開放部の少なくとも一方のサイズ及び/又は前記制御装置内の場所が動的に変動可能である、
請求項9に記載の光エンジン。
【請求項19】
視界窓から視認可能な画像を形成するために、光エンジンにおける光伝搬を制御する方法であって、
前記光エンジンが、ディスプレイ装置と、導波路瞳拡張器と、前記視界窓を備える視認システムとを備え、
前記ディスプレイ装置に、前記画像のホログラムを表示する工程と、
前記ホログラムに従って前記光を空間的に変調するために前記ディスプレイ装置を照明する工程であって、前記ホログラムが、空間変調光の角度チャネルが前記画像のそれぞれの連続領域に対応するように、画像コンテンツの位置に従って前記画像の空間変調光を角度的に分配するように構成される工程と、
前記空間変調光を受信し、前記空間変調光のためのそれぞれの複数の異なる光伝搬経路を前記ディスプレイ装置から前記視界窓へ提供するように前記導波路瞳拡張器を配置する工程と、
前記導波路と前記視界窓との間に配列された制御装置を使用して前記複数の異なる光伝搬経路の伝搬を制御する工程であって、前記制御装置が少なくとも1つの開口を備える工程とを含み、
前記複数の異なる光伝搬経路の伝搬を制御する前記工程が、前記視界窓内の第1の目視位置が前記画像の第1の領域に従って前記ホログラムによって空間変調された光の第1のチャネルを受信し、前記視界窓内の第2の目視位置が前記画像の第2の領域に従って前記ホログラムによって空間変調された光の第2のチャネルを受信するように、前記制御装置を構成することを含む、
方法。
【請求項20】
前記画像の前記ホログラムを計算することを更に含む、
請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記制御装置を構成する前記工程が、前記制御装置の第1の部分を通る光の伝送を可能にすることと、前記制御装置の第2の異なる部分を通る光の伝送を防止することとを含む、
請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記導波路瞳拡張器が複数の伝送点を備え、前記複数の異なる光伝搬経路の各々が異なるそれぞれの伝送点から伝送される、
請求項19に記載の方法。
【請求項23】
i.前記制御装置の不在下で、第1の角度チャネルの光が前記第1の目視位置に伝播するであろう第1の伝送点を識別する工程と、
ii.前記制御装置の不在下で、前記第1の角度チャネルの光が前記第2の目視位置に伝播するであろう第2の異なる伝送点を識別する工程と、
iii.選択された時間(t)において、前記第1の目視位置への前記第1の角度チャネルの光路又は前記第2の目視位置への前記第1の角度チャネルの光路のいずれかを遮断するように制御装置を構成する工程と、を更に含む、
請求項22に記載の方法。
【請求項24】
工程(iii)が、選択された期間中に、交互に、前記第1の目視位置への前記第1の角度チャネルの光路を遮断することと、前記第2の目視位置への前記第1の角度チャネルの光路を遮断することとを含む、
請求項23に記載の方法。
【請求項25】
各連続領域が異なるそれぞれの角度チャネルの光に対応する、前記画像内の複数の連続領域を識別することと、選択された期間内に、前記複数の連続領域の第1のサブセットの光が第1の目視位置にのみ伝送されることを可能にし、前記複数の連続領域の第2の異なるサブセットの光が第2の目視位置にのみ伝送されることを可能にするように制御装置を構成することと、を更に含む、
請求項19に記載の方法。
【外国語明細書】