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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022190681
(43)【公開日】2022-12-26
(54)【発明の名称】輸送用コンテナ
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/38 20060101AFI20221219BHJP
【FI】
B65D81/38 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022091928
(22)【出願日】2022-06-07
(31)【優先権主張番号】P 2021098413
(32)【優先日】2021-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】521259150
【氏名又は名称】株式会社テイストワールド
(74)【代理人】
【識別番号】100171963
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 惠一
(72)【発明者】
【氏名】三浦 宏介
【テーマコード(参考)】
3E067
【Fターム(参考)】
3E067AA11
3E067AB02
3E067AB04
3E067AB08
3E067AB09
3E067BA01A
3E067BB12A
3E067BB17A
3E067BB25A
3E067BC07A
3E067CA04
3E067CA17
3E067CA18
3E067EA17
3E067EB27
3E067FA01
3E067FC01
3E067GA01
3E067GA06
3E067GA13
3E067GA14
3E067GD01
3E067GD02
(57)【要約】
【課題】 外部からの熱の伝導・対流・輻射をともに防ぎ、軽量で、かつ、長距離輸送に耐える強度を備えたコンテナを得る。
【解決手段】 1面が解放された中空の略直方体の筐体部と、筐体部の開放面を塞ぐように載置される蓋部とからなり、筐体部と蓋部とを密着して接合する係合手段を備え、筐体部はFRP材からなる外殻構造と内部の空洞構造とを備え、筐体部の空洞構造の内部には断熱手段が設けられ、蓋部はFRP材からなる外殻構造と内部の空洞構造とを備え、蓋部の空洞構造の内部には断熱手段が設けられているように構成する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1面が解放された中空の略直方体の筐体部と、
前記筐体部の開放面を塞ぐように載置される蓋部とからなり、
前記筐体部と前記蓋部とを密着して接合する係合手段を備え、
前記筐体部はFRP材からなる外殻構造と内部の空洞構造とを備え、
前記筐体部の空洞構造の内部には断熱手段が設けられ、
前記蓋部はFRP材からなる外殻構造と内部の空洞構造とを備え、
前記蓋部の空洞構造の内部には断熱手段が設けられていることを特徴とする輸送用コンテナ。
【請求項2】
前記筐体部の空洞構造の内部に設けられた断熱手段が発泡樹脂と真空断熱材であり、
前記蓋部の空洞構造の内部に設けられた断熱手段が発泡樹脂と真空断熱材であることを特徴とする請求項1に記載の輸送用コンテナ。
【請求項3】
前記筐体部の空洞構造の内部に設けられた断熱手段が、筐体外部側から筐体内部側に発泡樹脂、真空断熱材の順に設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれか1項に記載の輸送用コンテナ。
【請求項4】
前記蓋部の空洞構造の内部に設けられた断熱手段が、前記蓋部を閉じた状態の蓋部外部側から蓋部内部側に発泡樹脂、真空断熱材の順に設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれか1項に記載の輸送用コンテナ。
【請求項5】
前記発泡樹脂がウレタンフォームであることを特徴とする請求項2に記載の輸送用コンテナ。
【請求項6】
前記真空断熱材が、グラスウールを芯材とし該芯材をアルミニウム製フィルムで包んで密閉し、空気を抜いてフィルム内部を真空にした板状体であることを特徴とする請求項2に記載された空間区画構造を備えることを特徴とする輸送用コンテナ。
【請求項7】
前記蓋部が折り曲げ可能であることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれか1項に記載の輸送用コンテナ。
【請求項8】
排水口が前記筐体部の底面に設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれか1項に記載の輸送用コンテナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部を一定温度に保持する必要がある輸送用コンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
鮮魚や精肉・野菜・果実等を運搬する際に使用する輸送用コンテナは、低温または冷凍で内容物の品質を保持する必要がある。この際、輸送用コンテナ内の温度が変化すると、商品の品質にも変化が生じ、商品価値が下り或いは無となってしまうこともある。
しかし、輸送用コンテナは屋外で使用されるので、内部の温度を安定化するためには、外部からの熱の侵入をできるだけ防ぐことが重要となる。
【0003】
従来これらの問題に対処する方法として一般的に、輸送用コンテナの外装材と内装材の間に断熱材を入れ、外部からの熱を断熱する方法が採用されている。断熱材として多く使われているのは、熱伝導率の小さい硬質ウレタンフォーム等の発泡断熱材であるが、外部の温度と内部の温度差を保つ効果を上げようとすると、断熱材の厚みを増さなければならない。そのため、貨物輸送車においては、断熱効果を上げると、断熱材が厚くなった分だけ積載効率が悪くなり、さらに、車両の重量が増え輸送費用が上昇するという問題が生じる。
【0004】
このような問題を解決するために、箱体および箱体の開口部を開閉する蓋体を有する保冷ボックス本体と、 箱体の中に収容され、保冷ボックス本体内を冷却する冷却装置を備え、冷却装置は、保冷ボックス本体の外から着脱可能なバッテリーと、バッテリーから供給された電力によって駆動されるコンプレッサを有する冷媒圧縮式のものであることを特徴とする定温保冷ボックス(特許文献1)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017-150700号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述した従来の定温保冷ボックスは、個々のボックスにそれぞれ冷却装置を備えねばならず、ボックス自体の価格が上昇する。また、現在食材の流通のグローバル化により、長距離輸送が常態化しており、コンテナは保冷機能を維持するためには破損に強いことも要求される状況において、複雑な構造は強度不足に通じる。しかし、外装材に強度の高い金属を使用する場合、コンテナの重量が増え輸送費用の上昇につながるという問題が生じる。また、金属の外装材は熱伝導効率が高いため、 外部の温度と内部の温度差を保つ効果を上げるために、断熱材の厚みを増さなければならず、輸送においてさらに積載効率の悪化を招くという問題があった。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、外部からの熱の伝導・対流・輻射をともに防ぎ、軽量で、かつ、長距離輸送に耐える強度を備えたコンテナを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような目的に応えるために本発明に係る輸送用コンテナは、1面が解放された中空の略直方体の筐体部と、筐体部の開放面を塞ぐように載置される蓋部とからなり、筐体部と蓋部とを密着して接合する係合手段を備え、筐体部はFRP材からなる外殻構造と内部の空洞構造とを備え、筐体部の空洞構造の内部には断熱手段が設けられ、蓋部はFRP材からなる外殻構造と内部の空洞構造とを備え、蓋部の空洞構造の内部には断熱手段が設けられていることを特徴とする。
【0009】
このように構成することにより、FRP材の強度や剛性は金属に劣らないにもかかわらず金属より軽いので、FRP材により外殻構造を構成することにより、輸送用コンテナ全体の重量を金属製よりも軽量化することで、輸送コストを軽減することができる。そして、鉄などの金属が錆びやすいのに対しFRP材は錆びないため、輸送用コンテナが長期間屋外暴露にあっても強度の劣化はほとんど認められない。そして係合手段により輸送用コンテナの内部が外気と遮断され、輸送用コンテナの内部の温度は外気の影響を受けにくくなる。さらに、FRP材の熱伝導率は、ステンレス鋼のおよそ200分の1であり、断熱性が高く、それだけでも輸送用コンテナは高い保温・保冷効果を得ることができ、空洞構造とした輸送用コンテナの筐体部と蓋部の内部に断熱手段を設けることにより、さらに高い保温・保冷効果を得ることができる。
【0010】
また、本発明に係る輸送用コンテナは、筐体部の空洞構造の内部に設けられた断熱手段と、蓋部の空洞構造の内部に設けられた断熱手段とが、発泡樹脂と真空断熱材であることを特徴とする。
【0011】
このように構成することにより、輸送中に外部から衝撃を受けた場合でも、発泡樹脂が、断熱効果とともに衝撃吸収効果をも備えるため、内容物や輸送用コンテナ自体を衝撃から保護することができ、さらに、高い断熱効果を備える真空断熱材によりさらに高い保温・保冷効果を得ることができる。
【0012】
さらに、本発明に係る輸送用コンテナは、筐体部の空洞構造の内部に設けられた断熱手段が、筐体外部側から筐体内部側に発泡樹脂、真空断熱材の順に設けられていることを特徴とする。
【0013】
このように構成することにより、筐体部において衝撃吸収効果を備える発泡樹脂によって強度に劣る真空断熱材を保護することができる。
【0014】
そして、本発明に係る輸送用コンテナは、蓋部の空洞構造の内部に設けられた断熱手段が、蓋部を閉じた状態の蓋部外部側から蓋部内部側に発泡樹脂、真空断熱材の順に設けられていることを特徴とする。
【0015】
このように構成することにより、蓋部において衝撃吸収効果を備える発泡樹脂によって強度に劣る真空断熱材を保護することができる。
【0016】
また、本発明に係る輸送用コンテナは、 発泡樹脂がウレタンフォームであることを特徴とする。
【0017】
このような構成によれば、ウレタンフォームが空間に隙間なく充填しやすい素材であることから断熱効果がむらなく発揮され、また、ウレタンフォームが発泡樹脂の中でも低価格で広く普及していることにより、輸送用コンテナ用の材料として入手が容易でコストを抑えることができる。
【0018】
そして、本発明に係る輸送用コンテナは、 真空断熱材が、グラスウールを芯材とし該芯材をアルミニウム製フィルムで包んで密閉し、空気を抜いてフィルム内部を真空にした板状体であることを特徴とする。
【0019】
このような構成によれば、芯材のグラスウールにより設けられた真空の空間により高い断熱効果が得られ、また、真空断熱材より外側に設けられた発泡樹脂が断熱効果は備えるが蓄熱性も備えるため、長時間の輸送において内側に漏れてくる熱も遮断することができ、また、アルミニウム製フィルムにより、FRP材や発泡樹脂を透過する輻射熱を遮断することができる。
【0020】
さらに本発明に係る輸送用コンテナは、 蓋部が折り曲げ可能であることを特徴とする。
【0021】
このような構成によれば、足元が不安定な船上で重い蓋を取り外して甲板に置いたり、地上で蓋を取り外して必ずしも地面や床面が清潔とは言えない場所に置いたりすることなく、コンテナ内容物である鮮魚や精肉・野菜・果実等を出し入れすることができる。
【0022】
一方、本発明に係る輸送用コンテナは、 排水口が筐体部の底面に設けられていることを特徴とする。
【0023】
このような構成によれば、排水口尾を筐体部の側面に設けた場合にしばしば起こる、排水口の栓の破損を防ぐことができる。
【発明の効果】
【0024】
以上説明したように、本発明に係る輸送用コンテナによれば、軽量なため輸送コストを節減することができ、輸送中の外部からの衝撃にも強いため、輸送中の破損で保冷効果が薄れて内容物の品質を劣化させることもなく、破損による輸送用コンテナの廃棄も少なく、長時間の輸送においても外気温の影響を受けにくい上に、電磁波である輻射熱に対する遮断効果も備えるという優れた効果がある,
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明に係る第1の実施の形態に係る輸送用コンテナの斜視図である。
図2図1の輸送用コンテナの蓋部を外した状態の筐体部のみの斜視図である。
図3図2の筐体部の、筐体部と蓋部の係合手段を省略した、蓋部を外した状態の側面図である。
図4図3の筐体部の、A-A’断面図である。
図5図4の一点鎖線で囲まれた部分の拡大図である。
図6図1の輸送用コンテナの、蓋のみの斜視図である。
図7図1の輸送用コンテナの、筐体部と蓋部の係合手段を省略した、蓋部のみの側面図である。
図8図6の蓋部の、B-B’断面図である。
図9】本発明に係る第2の実施の形態に係る輸送用コンテナの斜視図である。
図10図9の輸送用コンテナの蓋部を折り畳んだ状態の斜視図である。
図11】本発明に係る第3の実施の形態に係る輸送用コンテナの図2の筐体部の、筐体部と蓋部の係合手段を省略した、蓋部を外した状態の側面図である。
図12図11の筐体部の、C-C’断面図である。
図13】本発明に係る第3の実施の形態に係る輸送用コンテナの図2の筐体部の、筐体部と蓋部の係合手段を省略した、蓋部を外した状態の正面図である。
図14図13の筐体部の、D-D’断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明は以上のような構成であるので、これを図面に基づきながら本発明の実施の形態を説明する。
【0027】
図面は本発明に係る輸送用コンテナの第1の実施の形態を示す。
これらの図において、全体を符号1で示すものは本発明を特徴づける輸送用コンテナである。
【0028】
図1は、本発明に係る第1の実施の形態に係る輸送用コンテナ1の斜視図である。筐体部1に蓋部2を載置し、輸送用コンテナ1の、一の長手方向側面の上辺と対向する側面の上辺に設置したバックル30により、筐体部10と蓋部20を係合し密着させるように構成されている。
【0029】
このように構成することで、輸送用コンテナ1の内部は外気と遮断され、輸送用コンテナ1の内部の温度は外気の影響を受けにくくなっている。
【0030】
図2は、図1の輸送用コンテナの蓋部を外した状態の筐体部のみの斜視図である。筐体部10は、開口部から輸送する内容物や保冷剤を内部に収納する。筐体部10の一の長手方向側面の上辺と対向する側面の上辺にバックル30の筐体側係合部31が設けられており、後述するバックル30の蓋側係合部32(図6参照)と係合することで、筐体部10と蓋部20を係合し密着させるように構成されている。
【0031】
図3は、図2の筐体部の、筐体部と蓋部の係合手段を省略した、蓋部を外した状態の側面図であり、図4図3の筐体部の、A-A’断面図である。筐体部10は外殻部と、外殻部の内部に2層に設けられた断熱手段を備えるように、構成されている。
【0032】
このように構成することで、外殻部の断熱効果だけでなく、外殻部の内部に2層に設けられた断熱手段によるさらに高い断熱効果等を得られるように構成されている。
【0033】
図5は、図4の一点鎖線で囲まれた部分の拡大図である。筐体部10はFRP材製筐体部外殻11の内部が空洞となり、空洞に備えられた2層に設けられた断熱手段の筐体部10外側がウレタンフォーム12、筐体部10内側がグラスウールアルミ包装真空断熱材13となるように構成されている。
【0034】
このように構成することで、まず、筐体部外殻に、耐水性・耐候性に優れるFRP材製筐体部外殻11を用いることで、長距離輸送に伴う屋外の使用に適している。FRP材は、金属に比べて軽量でありながら同等以上の強度・剛性を備え、塩害に強く、錆びず、さらに熱伝導率は、ステンレス鋼のおよそ200分の1であり、非常に断熱性に優れている。そして、補修が可能でメンテナンスが容易なため長期間の使用が可能で、コスト面でも総合的に優れている。FRP材は普通のプラスティックに比べ硬度が高いので、洗浄や内容物の出し入れに際して表面に傷がつきにくいため、通常のプラスティックでは洗浄等に際してついた傷の中に汚れがたまりやすく、かつ、傷の中の汚れは洗浄しても落ちにくいことにより、その汚れに雑菌が繁殖し、輸送する内容物が清潔に保たれにくく、また、悪臭を発することが多いが、FRP材を採用することにより、輸送する内容物が清潔に保たれ易くまた、悪臭を発することも防ぐことができる。
【0035】
また、このように構成することで、熱伝導率が低いウレタンフォーム12により断熱効果を得ることができ、また、製造時に成型が容易なウレタンフォーム12は空洞部に隙間なく充填することができるので、むらなく断熱効果を発揮することができる。さらに、クッション性があり衝撃吸収効果を備えることから、外部からの衝撃を鑑賞することができ、特に、内側のグラスウールアルミ包装真空断熱材13の、傷つきやすいアルミニウムの表面は破損すると内部に空気が入り断熱効果を減じさせるが、衝撃吸収効果によりグラスウールアルミ包装真空断熱材13の表面を破損から守る効果が高いように構成されている。
【0036】
さらに、このように構成することで、ウレタンフォーム12の内側のグラスウールアルミ包装真空断熱材13は、芯材のグラスウールにより設けられた真空の空間により高い断熱効果が得られる上に、アルミニウム製フィルムにより、FRP材や発泡樹脂を透過する輻射熱を遮断することができる。
【0037】
外側の断熱材として用いられているウレタンフォームは、熱伝導率が小さいが、熱そのものは、設置された断熱材の表面からその厚さに至るまでの間、断熱材に蓄熱されながら所定の伝導速度で外側から内側に到達する。内側に到達後、蓄えられた熱はより冷たい方へと放熱される。したがって、時間が経つと蓄熱した熱の放射が行われ、外部の熱が徐々に筐体部10内部に伝導することになる。また、断熱材はそもそも熱伝導を抑制するものであり、電磁波として伝わる輻射熱を遮断する効果を有していない。そこで電磁波として伝わる輻射熱は、断熱材では遮られずに内部に浸透してしまう。そこで、内部への熱伝導が継続されることになるという問題が生じるが、グラスウールアルミ包装真空断熱材13の表面のアルミニウムフィルムが電磁波を反射することで輻射熱を反射し、遮熱することができる。
【0038】
図6は、図1の輸送用コンテナの、蓋のみの斜視図である。蓋部20は、図2の筐体部10の開口部上に載置するものである。蓋部20の一の長手方向側面の上辺と対向する側面にバックル30の蓋側係合部32が設けられており、前述したバックル30の筐体側係合部31(図2参照)と係合することで、筐体部10と蓋部20を係合し密着させるように構成されている。
【0039】
このように構成することで、輸送用コンテナ1の内部は外気と遮断され、輸送用コンテナ1の内部の温度は外気の影響を受けにくくなっている。
【0040】
図7は、図6の筐体部の、筐体部と蓋部の係合手段を省略した、蓋部のみの側面図であり、図8図7の蓋部の、B-B’断面図である。蓋部20は外殻部と、外殻部の内部に2層に設けられた断熱手段を備えるように、構成されている。
【0041】
このように構成することで、外殻部の断熱効果だけでなく、外殻部の内部に2層に設けられた断熱手段によるさらに高い断熱効果等を得られるように構成されている。
【0042】
図8に示すように、蓋部20はFRP材製蓋部外殻21の内部が空洞となり、空洞に備えられた2層に設けられた断熱手段の筐体部10外側がウレタンフォーム12、筐体部10内側がグラスウールアルミ包装真空断熱材13となるように構成されている。
【0043】
このように構成することで、まず、筐体部外殻に、耐水性・耐候性に優れるFRP材製蓋部外殻21を用いることで、長距離輸送に伴う屋外の使用に適している。FRP材は、金属に比べて軽量でありながら同等以上の強度・剛性を備え、塩害に強く、錆びず、さらに熱伝導率は、ステンレス鋼のおよそ200分の1であり、非常に断熱性に優れている。そして、補修が可能でメンテナンスが容易なため長期間の使用が可能で、コスト面でも総合的に優れている。
【0044】
また、このように構成することで、熱伝導率が低いウレタンフォーム22により断熱効果を得ることができ、また、製造時に成型が容易なウレタンフォーム22は空洞部に隙間なく充填することができるので、むらなく断熱効果を発揮することができる。さらに、クッション性があり衝撃吸収効果を備えることから、外部からの衝撃を鑑賞することができ、特に、内側のグラスウールアルミ包装真空断熱材23の、傷つきやすいアルミニウムの表面は破損すると内部に空気が入り断熱効果を減じさせるが、衝撃吸収効果によりグラスウールアルミ包装真空断熱材23の表面を破損から守る効果が高いように構成されている。また、硬質ウレタンからなるボードをあらかじめ真空断熱材の外側に隙間なく張り込む構造とすることで、むらなく断熱効果を発揮することができる。
【0045】
さらに、このように構成することで、ウレタンフォーム22の内側のグラスウールアルミ包装真空断熱材23は、芯材のグラスウールにより設けられた真空の空間により高い断熱効果が得られる上に、アルミニウム製フィルムにより、FRP材や発泡樹脂を透過する輻射熱を遮断することができる。
【0046】
図9および図10は、本発明に係る第2の実施の形態に係る輸送用コンテナ1の斜視図である。これらの図において、全体を符号2で示すものは本発明を特徴づける輸送用コンテナである。図9に示すように筐体部1に載置された折畳式蓋部40は長手方向中央部に設けられた折り曲げ部42において2分されており、図10に示すように2分された折畳式蓋部40を折畳式蓋部40の上面に設けられた蝶番41で接合することにより、上方に折り曲げ可能となっている。
【0047】
このように構成することで、輸送用コンテナ1の内部に物を収納したり収納されたものを取り出したりする際に、すべてのバックル30を解放して蓋部2を取り外す必要がなくなり、足元が不安定な船上で蓋部2を取り外して甲板に置いたり、地上で蓋部2を取り外して必ずしも地面や床面が清潔とは言えない場所に置いたりすることなく、コンテナ内容物である鮮魚や精肉・野菜・果実等を出し入れすることができる。さらに、蓋部2を取り外した場合より輸送用コンテナ1の内部物を外気との接触が少なくなり、輸送用コンテナ1の内部の温度は外気の影響を受けにくくなる。折り曲げ部42は、必ずしも蓋部2の長手方向中央部に設ける必要はなく、使用状態に応じて一方の端から1 /3程度としてもよいし、また、折り曲げ部42を2カ所設けて、長手方向の両端どちらからも開けることができるようにしてもよい。こうすれば、物の出し入れの際の輸送用コンテナ1の内部物を外気との接触はさらに少なくて済む。
【0048】
図11ないし図14は、本発明に係る第23実施の形態に係る輸送用コンテナ1の斜視図である。図12図11の筐体部10の、C-C’断面図であり、図14図13の筐体部の、D-D’断面図である。
【0049】
図12図14に示すように、筐体部内部底面は周縁部から排水口50に向かって緩やかに下るように構成されており、筐体部10内部にたまった液体は、栓51を抜けば、排水口に向かって流れ、筐体部内部底面に残留しないように構成されている。
【0050】
このように構成することで、一般的に多く採用されている筐体部10側面に排水口を設け外側から栓で排水口を閉じるようにした場合に比べ、栓が破損する可能性が極めて低く、また、液体が筐体内部に残留しにくくなる。
【0051】
なお、本発明は上述した実施の形態で説明した構造には限定されず、各部の構成等を適宜変更し得ることはいうまでもない。
例えば、断熱手段として両面の高純度アルミ箔にポリエチレンシートやバブルポリエチレンシートとを交互に挟んで複数の層を形成し各シート間がプラズマ溶着されたシート材からなる遮熱手段を採用することもできる。また、断熱手段として、各壁間にスペーサーによる空間を設けた静止空気層を採用したものも、コスト面軽減効果を有する。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、輸送用コンテナに関するものであるが、携帯用保冷ボックス、貨物輸送車・船・航空機に設けられた空間区画構造、 独立した建物内又は建物内に設けられた施設の保冷設備室においても、高い保冷効率を獲得することができる。
【符号の説明】
【0053】
1 輸送用コンテナ
2 輸送用コンテナ
10 筐体部
11 FRP材製筐体部外殻
12 ウレタンフォーム
13 グラスウールアルミ包装真空断熱材
20 蓋部
21 FRP材製蓋部外殻
22 ウレタンフォーム
23 グラスウールアルミ包装真空断熱材
30 バックル
31 筐体部側係合部
32 蓋部側係合部
40 折畳式蓋部
41 蝶番
42 折り曲げ部
50 排水口
51 栓
52 筐体部内部底面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14