(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022190684
(43)【公開日】2022-12-26
(54)【発明の名称】誘導加熱されるスリップシート及び使用方法
(51)【国際特許分類】
B29C 70/44 20060101AFI20221219BHJP
B29C 70/06 20060101ALI20221219BHJP
【FI】
B29C70/44
B29C70/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022092929
(22)【出願日】2022-06-08
(31)【優先権主張番号】63/210,138
(32)【優先日】2021-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】マトスン, マーク アール
(72)【発明者】
【氏名】ネルソン, カール マリウス
(72)【発明者】
【氏名】ヴォス, ブレット アラン マクギネス
【テーマコード(参考)】
4F205
【Fターム(参考)】
4F205AC03
4F205AD16
4F205AG03
4F205AG28
4F205AH31
4F205AJ09
4F205AK11
4F205AM29
4F205HA08
4F205HA14
4F205HA22
4F205HA35
4F205HA45
4F205HB01
4F205HK03
4F205HK04
4F205HK28
(57)【要約】 (修正有)
【課題】単純且つ安価な工作機械を採用する、オートクレーブを使用しない複合材部品硬化のための方法及び装置を提供する。
【解決手段】誘導硬化システムが、スリップシート及び電源を備える。スリップシートは、複合材料を受け入れるように構成されたレイアップ面、ツールの上面と相互作用するように構成されたツールインターフェース面、レイアップ面とツールインターフェース面との間で延在する剛体、及びスリップシートの剛体内の誘導コイル回路を備える。誘導コイル回路は、複合材料を硬化させるのに十分な温度までレイアップ面を加熱するように構成されている。誘導コイル回路は、150kHz未満の周波数を有する電源を使用して熱を生成するように選択された直径を有する。剛体は、複合材料の搬送中に複合材料を支持するように構成されている。電源は、誘導コイル回路に結合され、誘導コイル回路の直径に基づいて選択される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合材部品を形成する方法(1200)であって、
レイアップ支持体(262)上に配置されたスリップシート(204)のレイアップ面(206)上に複合材料(208)をレイアップすること(1202)、
前記スリップシート(204)上にレイアップされた前記複合材料(208)をツール(214)に搬送すること(1204)であって、前記スリップシート(204)は、搬送中に前記複合材料(208)を支持するように構成された剛体(250)を備える、ツール(214)に搬送すること(1204)、
前記スリップシート(204)のツールインターフェース面(210)が、前記ツール(214)の上面(212)と接触するように、前記スリップシート(204)を前記ツール(214)に固定すること(1206)、及び
前記スリップシート(204)が前記ツールに固定されている間に、前記スリップシート(204)の前記剛体(250)内の誘導コイル回路(218)によって生成された熱を使用して、前記スリップシート(204)上の前記複合材料(208)を硬化させること(1208)を含む、方法(1200)。
【請求項2】
前記複合材料(208)を硬化させる前に、前記複合材料(208)の上に幾つかの剛性カウルを配置すること(1212)を更に含み、前記複合材料(208)を硬化させることは、前記幾つかの剛性カウル内の幾つかの誘導コイル回路によって生成された熱を使用して、前記複合材料(208)を加熱すること(1214)を含む、請求項1に記載の方法(1200)。
【請求項3】
前記複合材料(208)及び前記幾つかの剛性カウルの上に加熱ブランケット(244)を配置すること(1216)を更に含み、前記複合材料(208)を硬化させることは、前記加熱ブランケット(244)を使用して、前記複合材料(208)を誘導加熱すること(1218)を含む、請求項2に記載の方法(1200)。
【請求項4】
前記スリップシート(204)上の前記複合材料(208)を硬化させることは、1kHzと150kHzとの間の周波数(238)を有する電流(228)を供給すること(1224)を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法(1200)。
【請求項5】
前記スリップシート(204)を前記ツール(214)に固定することは、機械的な拘束を使用して前記スリップシート(204)を適所に保持することと、真空を使用して前記スリップシート(204)を前記ツールインターフェース面(210)に対して引っ張ることと、のうちの少なくとも一方(1220)を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法(1200)。
【請求項6】
前記スリップシート(204)を前記ツール(214)に固定することは、前記スリップシート(204)の前記剛体(250)に接続された絶縁層(224)を、前記ツール(214)の前記上面(212)と接触するように配置すること(1222)を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法(1200)。
【請求項7】
前記スリップシート(204)上の前記複合材料(208)を硬化させることは、9kHz未満の周波数(238)を有する電流(228)を供給すること(1226)を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法(1200)。
【請求項8】
前記スリップシート(204)の第2の誘導コイル回路(611)を使用して、前記複合材料(208)の前記レイアップ中に前記スリップシート(204)を加熱すること(1228)を更に含み、前記誘導コイル回路(218、610)と前記第2の誘導コイル回路(611)とは、異なるキュリー温度を有する、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法(1200)。
【請求項9】
スリップシート(204)と電源(234)とを備える誘導硬化システム(202)であって、前記スリップシート(204)は、
複合材料(208)を受け入れるように構成されたレイアップ面(206)、
ツール(214)の上面(212)と相互作用するように構成されたツールインターフェース面(210)、
前記レイアップ面(206)と前記ツールインターフェース面(210)との間で延在する剛体(250)であって、前記複合材料(208)の搬送中に前記複合材料(208)を支持するように構成された剛体(250)、及び
前記スリップシート(204)の前記剛体(250)内の誘導コイル回路(218)であって、前記複合材料(208)を硬化させるのに十分な温度まで前記レイアップ面(206)を加熱するように構成され、150kHz未満の周波数(238)を有する前記電源(234)を使用して熱を生成するように選択された直径(236)を有する誘導コイル回路(218)を備え、
前記電源(234)は、前記誘導コイル回路(218)と結合され、前記誘導コイル回路(218)の前記直径(236)に基づいて選択される、誘導硬化システム(202)。
【請求項10】
前記スリップシート(204)は、前記スリップシート(204)の前記剛体(250)に接続された絶縁層(224)を更に備え、前記絶縁層(224)は、前記ツールインターフェース面(210)を形成する、請求項9に記載の誘導硬化システム(202)。
【請求項11】
剛性カウル(254)を更に備え、前記剛性カウル(254)は、前記剛性カウル(254)の剛体内にカウル誘導コイル回路(256)を備え、前記カウル誘導コイル回路(256)は、前記剛性カウル(254)を加熱するように構成されている、請求項9又は10に記載の誘導硬化システム(202)。
【請求項12】
前記複合材料(208)に形状が適合する加熱ブランケット(244)を更に備え、前記加熱ブランケット(244)は、誘導加熱回路(242)を備える、請求項9から11のいずれか一項に記載の誘導硬化システム(202)。
【請求項13】
前記ツール(214)を更に備え、前記ツール(214)は、前記スリップシート(204)を前記ツール(214)の前記上面(212)に対して押さえるように構成された真空システム(264)を更に備える、請求項9から12のいずれか一項に記載の誘導硬化システム(202)。
【請求項14】
前記電源(234)は、9kHz未満の周波数(238)を有する、請求項9から13のいずれか一項に記載の誘導硬化システム(202)。
【請求項15】
前記ツール(214)の前記上面(212)は、複合材料(208)を受け入れるように構成されている、請求項9から14のいずれか一項に記載の誘導硬化システム(202)。
【請求項16】
前記スリップシート(204)は、前記スリップシート(204、502)の前記剛体(250、508)に接続された金属層(516)を更に備え、前記金属層(516)は、前記レイアップ面(206、504)を形成する、請求項9から15のいずれか一項に記載の誘導硬化システム(202)。
【請求項17】
前記剛体(250)は、複合材料(208)で形成されている、請求項16に記載の誘導硬化システム(202)。
【請求項18】
前記誘導コイル回路(218)は、
電流(228)を受け取り、前記電流(228)に応じて磁場を生成するための導体(226)、及び
前記導体(226)の長さの少なくとも一部分に沿って螺旋状に巻き付けられたサセプタワイヤー(232)であって、各ワイヤーの覆いの円周位置が同じ円周位置にある隣接するワイヤーの覆いから離隔するように、間に間隙を規定する連続したワイヤーの覆いを備えるサセプタワイヤー(232)を備え、前記磁場は、前記ワイヤーの覆いの間の前記間隙を通過し、それによって、前記ワイヤー(232)内の渦電流の流れを促進し、前記ワイヤー(232)は、キュリー温度を有する磁気材料で構成され、前記磁場に応じて誘導加熱される、請求項9から17のいずれか一項に記載の誘導硬化システム(202)。
【請求項19】
前記誘導コイル回路(218、610)は、導体(226、612)及び第1のキュリー温度を有するサセプタワイヤー(232、614)を備え、前記スリップシート(204)は、第2の誘導コイル回路(611)を更に備え、前記第2の誘導コイル回路(611)は、第2の導体(613)及び第2のキュリー温度を有する第2のサセプタワイヤー(615)を備え、前記第1のキュリー温度は、前記第2のキュリー温度とは異なる、請求項9から18のいずれか一項に記載の誘導硬化システム(202)。
【請求項20】
スリップシート(204)を備える誘導硬化システム(202)であって、前記スリップシート(204)は、
複合材料(208)を受け入れるように構成されたレイアップ面(206)、
ツール(214)の上面(212)と相互作用するように構成されたツールインターフェース面(210)、
前記レイアップ面(206)と前記ツールインターフェース面(210)との間で延在する本体(216)、並びに
前記スリップシート(204)の前記本体(216)内の誘導コイル回路(218)を備え、前記誘導コイル回路(218)は、前記複合材料(208)を硬化させるのに十分な温度まで前記レイアップ面(206)を加熱するように構成され、前記誘導コイル回路(218)は、電流(228)を受け取り前記電流(228)に応じて磁場を生成するための導体(226)、及び前記導体(226)の長さの少なくとも一部分に沿って巻き付けられたサセプタワイヤー(232)を備え、前記サセプタワイヤー(232)は、0.05インチよりも大きい直径(240)を有する、誘導硬化システム(202)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、広くは、複合材の製造に関し、特に、誘導加熱されるスリップシートを使用して複合材料を硬化させることに関する。
【背景技術】
【0002】
複合材部品は、オーブン又はオートクレーブ内で硬化されてよい。それらの中では、硬化プロセス中に部品の形状を維持する硬化ツール上に支持されている間に、その部品に熱が加えられる。オーブン又はオートクレーブを必要とすることなしに複合材部品を硬化させるための技法が開発されてきたが、これらの技法は、比較的小さい部品を硬化することに限定され、並びに/又は比較的複雑及び/若しくは高価な工作機械を必要とする。
【0003】
したがって、少なくとも上述の問題点のうちの幾つかと、起こり得る他の問題点を考慮した方法及び装置を有することが望ましいであろう。例えば、比較的単純且つ安価な工作機械を採用するオートクレーブ外の複合材部品の硬化のための方法及び装置を有することが望ましいだろう。
【発明の概要】
【0004】
本開示の実施形態は、複合材部品を形成する方法を提供する。複合材料が、レイアップ支持体上に配置されたスリップシートのレイアップ面上にレイアップされる。スリップシート上にレイアップされた複合材料は、ツールへ搬送される。その場合、スリップシートは、搬送中に複合材料を支持するように構成された剛体を備える。スリップシートのツールインターフェース面が、ツールの上面と接触するように、スリップシートがツールに固定される。スリップシート上の複合材料は、スリップシートがツールに固定されている間に、スリップシートの剛体内の誘導コイル回路によって生成された熱を使用して硬化される。
【0005】
本開示の別の一実施形態は、誘導硬化システムを提供する。誘導硬化システムは、スリップシート及び電源を備える。スリップシートは、複合材料を受け入れるように構成されたレイアップ面、ツールの上面と相互作用するように構成されたツールインターフェース面、レイアップ面とツールインターフェース面との間で延在する剛体、及びスリップシートの剛体内の誘導コイル回路を備える。剛体は、複合材料の搬送中に複合材料を支持するように構成されている。誘導コイル回路は、複合材料を硬化させるのに十分な温度までレイアップ面を加熱するように構成されている。誘導コイル回路は、150kHz未満の周波数を有する電源を使用して熱を生成するように選択された直径を有する。電源は、誘導コイル回路に結合されている。電源は、誘導コイル回路の直径に基づいて選択される。
【0006】
本開示の更に別の一実施形態は、誘導硬化システムを提供する。誘導硬化システムは、スリップシートを備える。スリップシートは、複合材料を受け入れるように構成されたレイアップ面、ツールの上面と相互作用するように構成されたツールインターフェース面、レイアップ面とツールインターフェース面との間で延在する本体、及びスリップシートの本体内の誘導コイル回路を備える。誘導コイル回路は、複合材料を硬化させるのに十分な温度までレイアップ面を加熱するように構成されている。誘導コイル回路は、電流を受け取りその電流に応じて磁場を生成するための導体、及び導体の長さの少なくとも一部分に沿って巻き付けられたサセプタワイヤーを備える。サセプタワイヤーは、0.05インチよりも大きい直径を有する。
【0007】
これらの特性及び機能は、本開示の様々な実施形態で独立して実現することもできるし、以下の説明及び図面に関連してさらなる詳細を理解することができる、さらに別の実施形態において組み合わされてもよい。
【0008】
例示的な実施形態の特性と考えられる新規な特徴は、付随する特許請求の範囲に明記される。しかし、例示的な実施形態並びに好ましい使用モード、さらなる目的及びそれらの特徴は、添付図面を参照しつつ本開示の例示的な実施形態に関する以下の詳細な説明を読むことによって、最もよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】例示的な一実施形態に従って描かれた航空機の図である。
【
図2】例示的な一実施形態が実装され得る製造環境のブロック図である。
【
図3】例示的な一実施形態による誘導硬化システム内の複合材部品の図である。
【
図4】例示的な一実施形態による誘導硬化システムの図である。
【
図5】例示的な一実施形態による誘導硬化システムのスリップシートの断面図である。
【
図6】例示的な一実施形態による誘導硬化システムのスリップシートの断面図である。
【
図7】例示的な一実施形態によるレイアップ支持体上のスリップシート上にレイアップされた複合材料の断面図である。
【
図8】例示的な一実施形態によるレイアップ支持体からスリップシート上の複合材料を除去移動させる断面図である。
【
図9】例示的な一実施形態によるレイアップ支持体からスリップシート上の複合材料を移動させる断面図である。
【
図10】例示的な一実施形態による誘導硬化システム内に剛性カウルを配置する断面図である。
【
図11】例示的な一実施形態による誘導硬化システム内に加熱されるブランケットを配置する断面図である。
【
図12】例示的な一実施形態による複合材部品を形成する方法のフローチャートである。
【
図13】例示的な一実施形態によるブロック図の形態を採る航空機の製造及び保守方法の図である。
【
図14】例示的な一実施形態が実装され得るブロック図の形態を採る航空機の図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
例示的な実施例は、1以上の異なる考慮事項を認識し考慮する。例示的な実施例は、複合材構造物を製造することにおいて、複合材料の層が典型的にはツール上にレイアップされることを認識し考慮する。層は、テープ、トウ、又は他の適切な形態で、レイアップされてよい。幾つかの場合では、樹脂が繊維層に注入されるか又は予め含浸されてよい。樹脂が予め含侵された複合材料は、一般的にプリプレグと呼ばれる。
【0011】
プリプレグの種々の層が、種々の配向でレイアップされてよく、製造されている複合材構造物の厚さに応じて異なる数の層が使用されてよい。これらの層は、テープ積層化機械又は繊維配置システムなどのような自動化された積層化機器を使用してレイアップされてよい。
【0012】
熱硬化性複合材料では、種々の層がツール上にレイアップされた後で、複合材料の層が硬化される。熱硬化性材料は、温度と圧力とのうちの少なくとも一方に晒されると硬化され、それによって、最終的な複合材構造物を形成する。
【0013】
例示的な実施例は、大きい複合材では、複合材の層が同じツール上でレイアップ及び硬化されることを認識し考慮する。熱硬化性複合材料を硬化させることにおいて使用されるツールは、硬化の温度及び圧力に耐えるように構成され、「高熱容量ツール」と呼ばれてよい。例示的な実施例は、高熱容量ツールが高コストツールであることを認識し考慮する。例示的な実施例は、複数の高熱容量ツールを作製することが、大きな事前投資であることを認識し考慮する。
【0014】
例示的な実施例は、自動化された積層化機器を使用して複合材料をレイアップすることが、多大な時間を必要とすることを認識し考慮する。例示的な実施例は、自動化された積層化機器のためのダウンタイムが、非効率であり高価であることを認識し考慮する。例示的な実施例は、複合材料をレイアップし、同じ高熱容量ツール上で複合材料を硬化させることが、自動化された積層化機器のためのダウンタイムをもたらし得ることを認識し考慮する。例示的な実施例は、複合材料をレイアップし、同じ高熱容量ツール上で複合材料を硬化させることが、低減されたスループットをもたらし得ることを認識し考慮する。
【0015】
複合材部品は、オーブン又はオートクレーブ内で硬化され得る。それらの中では、硬化プロセス中に部品の形状を維持する硬化ツール上に支持されている間に、その部品に熱が加えられる。例示的な実施例は、オートクレーブを使用して複合材料を硬化させることが、望ましくない時間量又は望ましくないエネルギー量のうちの少なくとも一方を使用し得ることを認識し考慮する。
【0016】
例示的な実施例は、オーブン又はオートクレーブを必要とすることなしに複合材部品を硬化させるための技法が開発されてきたが、これらの技法は、比較的小さい部品を硬化することに限定され、並びに/又は比較的複雑及び/若しくは高価な工作機械を必要とすることを認識し考慮する。
【0017】
例示的な実施例は、複合材料を2つの異なるツール上でレイアップし硬化させることが望ましいだろうことを認識し考慮する。専用のレイアップ位置を有することによって、自動化された積層化機器のためのダウンタイムが低減され得る。
【0018】
例示的な実施例は、複合材料をツール間で移動させることが、「ピックアンドプレイス(pick and place)」工作機械を使用して実現されてよいことを認識し考慮する。例示的な実施例はまた、大きい複合材レイアップでは、ピックアンドプレイス機器を使用して複合材レイアップを移動させることが、可能ではないかもしれないことを認識し考慮する。大きい複合材レイアップをツール間で移動させることは、望ましくなく複雑か又は望ましくなく高価なうちの少なくとも一方の移動機器を使用するだろう。
【0019】
例示的な実施例は、より低い周波数の電源を利用することが望ましいだろうことを認識し考慮する。例示的な実施例は、20~100kHzの範囲の周波数を有する電流を提供する電源が、より安価であることを認識し考慮する。例示的な実施例は、9kHz未満の周波数を有する電流を提供する電源が、米国連邦通信委員会(FCC)が規制する帯域未満であることを認識し考慮する。
【0020】
例示的な実施例は、硬化プロセス中に正確且つ均一な温度制御を行うために、誘導加熱及びスマートサセプタを使用して、オートクレーブ外の比較的大規模な部品を硬化させるのによく適している上述された種類の方法及び装置もまた必要であることを認識し考慮する。例示的な実施例は、大きい複合材レイアップをレイアップ支持体と硬化ツールとの間で移動させるための工作機械も必要であることを認識し考慮する。
【0021】
次に、
図1に戻って参照すると、例示的な一実施形態による航空機の図が描かれている。航空機100は、胴体106に取り付けられた主翼102及び主翼104を有する。航空機100は、主翼102に取り付けられたエンジン108、及び主翼104に取り付けられたエンジン110を含む。
【0022】
胴体106は、尾部112を有する。水平安定板114、水平安定板116、及び垂直安定板118が、胴体106の尾部112に取り付けられている。
【0023】
航空機100は、誘導加熱されるスリップシート及び使用方法を使用して製造され得る大きい複合材構成要素を有する航空機の一例である。例えば、胴体106、主翼102、又は主翼104の部分は、誘導加熱されるスリップシート及び使用方法の例示的な実施例を使用して製造され得る。
【0024】
次に、
図2を参照すると、例示的な一実施形態が実装され得る製造環境のブロック図が描かれている。製造環境200は、航空機100の構成要素が製造され得る製造環境である。例えば、胴体106、主翼102、又は主翼104の一部分は、製造環境200内の誘導硬化システム202を使用して製造され得る。
【0025】
誘導硬化システム202は、スリップシート204を備える。スリップシート204は、複合材料208を受け入れるように構成されたレイアップ面206、ツール214の上面212と相互作用するように構成されたツールインターフェース面210、レイアップ面206とツールインターフェース面210との間で延在する本体216、及びスリップシート204の本体216内の誘導コイル回路218を備える。誘導コイル回路218は、複合材料208を硬化させるのに十分な温度までレイアップ面206を加熱するように構成されている。
【0026】
レイアップ面206は、複合材料208の外側モールドラインであるように構成された形状を有する。レイアップ面206は、材料220で形成されている。レイアップ面206は、複合材料208のレイアップ用の任意の所望の材料で形成されている。レイアップ面206は、複合材料208と望ましくなく相互作用することがない材料220で形成されている。幾つかの例示的な実施例では、複合材料208が、レイアップ面206の上に直接的に横たえられる。他の例示的な実施例では、材料の剥離層又は他の層が、複合材料208とレイアップ面206との間に配置される。
【0027】
複合材料208は、スリップシート204上で硬化される。レイアップ面206は、複合材料208の硬化温度及び硬化圧力に耐えるように構成された材料220で形成されている。
【0028】
幾つかの例示的な実施例では、材料220が、本体216の材料222と同じである。これらの例示的な実施例では、レイアップ面206が、本体216の外面である。
【0029】
幾つかの例示的な実施例では、レイアップ面206を形成する材料220が、本体216を形成する材料222とは異なっている。これらの例示的な実施例では、レイアップ面206が、本体216の材料222に結合された材料220の層である。材料220が材料222と異なるときに、材料220は、所望の材料特性を提供するためにスリップシート204内に存在する。幾つかの例示的な実施例では、材料220が、スリップシート204の耐用期間を増加させるために存在する。幾つかの例示的な実施例では、材料220が、繰り返し使用されるレイアップ面206の耐性を高め、摩耗を低減させるために存在する。幾つかの例示的な実施例では、材料220が、スリップシート204の耐用期間を増加させるために材料222に結合された金属である。
【0030】
ツールインターフェース面210は、ツール214の上面212と接触するように構成されている。ツールインターフェース面210は、ツール214の上面212の鏡像である。幾つかの例示的な実施例では、ツールインターフェース面210が、本体216の外面である。これらの例示的な実施例では、ツールインターフェース面210が、材料222で形成されている。
【0031】
他の例示的な実施例では、ツールインターフェース面210が、材料222とは異なる材料で形成されている。幾つかの例示的な実施例では、ツールインターフェース面210が、絶縁層224で形成されている。存在するときに、絶縁層224は、ツール214への熱損失を最小化し、スリップシート204の熱効率を改善するために、ツールインターフェース面210上に配置されている。存在するときに、絶縁層224は、ツール214への熱の伝達を低減させるために、ツールインターフェース面210上に配置されている。存在するときに、絶縁層224は、非限定的に、シリコーンなどの任意の適切な絶縁材を含んでよい。
【0032】
スリップシート204は、複合材料208の硬化中にツール214に固定されている。ツール214は、複合材料208の硬化温度及び硬化圧力に耐えるように構成されている。ツール214は、熱硬化性複合材料を硬化させることにおけるその使用のために、「高熱容量ツール」と呼ばれてよい。高熱容量ツールは、硬化温度及び硬化圧力に耐えるように製造されていないツールよりも製造することが高価であるだろう。例えば、高温及び高圧に耐えるように構成されていないツールは、より安価な材料で形成されてよい。例えば、高温及び高圧に耐えるように構成されていないツールは、より安価な製造方法を使用して形成されてよい。
【0033】
複合材料208の硬化中、スリップシート204内の誘導コイル回路218が、複合材料208を硬化させるために熱を生成する。誘導コイル回路218は、電流228を受け取り電流228に応じて磁場を生成するための導体226を備える。誘導コイル回路218は、サセプタ230を更に備える。幾つかの例示的な実施例では、サセプタ230が、導体226の長さの少なくとも一部分に沿って巻き付けられたサセプタワイヤー232を備える。
【0034】
誘導コイル回路218の特性は、複合材料208を硬化させるための所望の温度、電源234用の所望のパラメータ、及びスリップシート204の本体216用の設計、のうちの少なくとも1つに基づいて選択される。誘導コイル回路218は、レイアップ面206が、複合材料208を硬化させるのに十分な温度に到達するように、熱を生成するように設計されている。サセプタ230は、複合材料208を硬化させるのに十分なキュリー温度を有するように選択された材料で形成されている。
【0035】
サセプタ230は、本体216内で導体226の長さに沿って延在してよい。導体226への電流228の印加は、交流磁場を生成する。磁場は、サセプタ230が形成される材料によって吸収され、サセプタ230を誘導加熱する。
【0036】
導体226を通る電流228の流れは、サセプタ230を囲む磁場の生成をもたらす。サセプタ230を磁場に曝露する結果としてサセプタ230内に生成される渦電流は、サセプタ230を誘導加熱する。サセプタ230が形成される磁気材料は、好適には、複合材料208がスリップシート204によって加熱される所望の温度に対応する高透磁性及びキュリー温度を有する。サセプタ230及び導体226は、好適には、磁気材料のキュリー温度未満の温度で、材料の透磁性により磁場がサセプタ230内に集中するように、サイズ決定及び構成される。
【0037】
サセプタ230が導体226に近接する結果として、磁場の集中は、サセプタ230内に比較的大きな渦電流をもたらす。誘導渦電流は、サセプタ230の抵抗加熱をもたらす。サセプタ230は、本体216、及びレイアップ面206と熱接触する複合材料208を、誘導加熱する。サセプタ230の加熱は、磁気材料がキュリー温度に近付くまで、電流228の印加中に継続する。キュリー温度に到達すると、サセプタ230は非磁気になり、そのポイントで磁場はもはやサセプタ230内に集中していない。誘導渦電流及び関連する抵抗加熱は、サセプタ230の温度をキュリー温度に維持するのに十分なレベルまで減少する。
【0038】
導体226は、蛇行パターン、蛇のようなパターン、円形コイル形態、又は任意の他の所望のパターンで、本体216を通って延在してよい。他の例示的な実施例では、導体226が、スリップシート204の本体216内の強化用繊維の縦糸及び横糸の部分を形成してよい。導体226は、電流228を生成するための電源234に接続されている。電流228は、約1kHzと約300kHzとの間の周波数238、及び、約10ボルトと約300ボルトとの間のボルト数において、約1アンペアと約1000アンペアとの間のアンペア数を有してよいが、電流は、そのような範囲の外側の周波数、アンペア数、及びボルト数において提供されてもよい。例示的な一実施例では、電流228が、150kHz以下の周波数238を有する。例示的な一実施例では、電流228が、100kHz以下の周波数238を有する。例示的な一実施例では、電流228が、9kHz以下の周波数238を有する。
【0039】
サセプタワイヤー232は、導体226の長さに沿って又は導体226の任意の部分に沿って螺旋状に巻き付けられている。螺旋状に巻き付けられたサセプタワイヤー232は、導体226の長さの少なくとも一部分に沿った連続したワイヤーの覆い(wire wrap)を備えてよい。幾つかの例示的な実施例では、サセプタワイヤー232が、覆いのうちの隣接するものが、それらの間の間隙を規定するように、導体226の周りに巻き付けられている。間隙は、サセプタワイヤー232の直径240の約20パーセント以上である。
【0040】
サセプタワイヤー232は、導体226の長さの少なくとも一部分に沿って螺旋状に巻き付けられ、それらの間に間隙を規定する連続したワイヤーの覆いを備える。それによって、各ワイヤーの覆いの円周位置は、同じ円周位置における隣接するワイヤーの覆いから離隔する。磁場が、ワイヤーの覆いの間の間隙を通過し、それによって、サセプタワイヤー232内の渦電流の流れを促進する。サセプタワイヤー232は、キュリー温度を有する磁気材料で構成され、サセプタワイヤー232は、磁場に応じて誘導加熱される。
【0041】
サセプタワイヤー232は、好適には、導体226から電気的に絶縁され、また、実質的に同軸に導体226上に取り付けられてよい。幾つかの例示的な実施例では、サセプタワイヤー232が、非同軸に導体226に取り付けられてよい。サセプタワイヤー232は、誘導コイル回路218の一部分を形成するマトリックス材料(描かれていない)により、導体226に対して固定された位置に維持されてよい。サセプタワイヤー232は、サセプタワイヤー232が、材料222内に封入されることにより、導体226に対して固定された位置に維持されてよい。幾つかの例示的な実施例では、サセプタワイヤー232が、比較的高熱伝導性及び比較的低電気伝導性を有する材料222によって、導体226から電気的に絶縁される。材料222は、十分な剛性及び所望の熱伝導性を有する任意の所望の材料から選択される。幾つかの実施例では、材料222が、硬化済み複合材料である。
【0042】
本体216の熱硬化性複合材料222は、熱硬化性樹脂及び強化用繊維を含む。強化用繊維は、グラファイト繊維、繊維ガラス繊維、又は任意の他の所望の強化用繊維のうちの少なくとも1つを含み得る。
【0043】
サセプタワイヤー232が形成されてよい磁気材料は、ニッケル、鉄コバルト、モリブデン、クロム、又は、複合材料208の硬化温度に対応するキュリー温度を有する他の所望の磁気材料、のうちの少なくとも1つから選択されてよい。サセプタワイヤー232は、単一のより糸(strand)のワイヤーとして、編まれたワイヤーとして、又は導体226の周りに螺旋状に巻き付けられてよい任意の他の所望の設計において形成され得る。
【0044】
誘導コイル回路218は、本体216内に適合するように設計される。誘導コイル回路218は、直径236を有する。直径236は、本体216内に適合するのに十分小さい。誘導コイル回路218は、任意の適切な様態で本体216内に配置される。幾つかの例示的な実施例では、誘導コイル回路218が、蛇行パターン、蛇のようなパターン、円形コイル形態、又は、導体226の隣接する部分の間の所望の間隔を容易にする任意の他の配置で配置される。
【0045】
幾つかの例示的な実施例では、誘導コイル回路218が、電源234用の所望のパラメータを選択するように設計される。スリップシート204は、複合材料208を搬送するのに十分硬く構成されている。したがって、誘導コイル回路218は、誘導コイル回路218の可撓性とは無関係に設計され得る。誘導コイル回路218は、加熱ブランケット244の誘導加熱回路242などの可撓性加熱回路よりも大きい直径、すなわち直径236を有し得る。
【0046】
導体226及びサセプタ230を含む誘導コイル回路218の構成要素のサイズは、幾つかの仮定に基づく。幾つかの例示的な実施例では、誘導コイル回路218を拡大縮小することが、以下の仮定に基づく。すなわち、サセプタ230の直径240は、20℃で表皮厚さの5倍であり、より低い周波数238の電流228は、同じ電力を生成するために反比例するより高い磁場を使用し、高磁場は、電流228とリッツ線246の断面積とに比例して拡大縮小する。サセプタ230の直径240は、サセプタ230によって生成される熱の量、及び加熱のキュリー温度における熱出力の変化に、直接影響を与える。大きい直径のサセプタ(>表皮厚さの20倍)は、非常に効率的に加熱し、ほとんどの熱を提供するだろう。というのも、熱はサセプタの体積に基づくからである。しかし、大きい直径は、キュリー点における温度の増加を伴う熱出力の変化をほとんど示さないだろう。小さい直径のサセプタ(<表皮厚さの2倍)は、キュリー点における加熱の強い変化を有するが、ほとんど熱を出力しないだろう。というのも、サセプタ材料の体積がより小さいからである。表皮厚さの5倍は、キュリー温度における熱の変化と、部分がヒートシンクとして作用するときに温度が上昇するのに十分な熱を提供することと、の間のバランスを提供し得る。幾つかの他の例示的な実施例では、直径240向けの種々の比率が、異なっていてよい。
【0047】
誘導コイル回路218の構成要素の材料及びサイズは、複合材料208を硬化させるのに所望の温度、本体216の寸法、及び供給される電流228、のうちの少なくとも1つに基づいて選択される。幾つかの例示的な実施例では、導体226が、より低いコスト又はより少ない規制のうちの少なくとも一方を有する電源234を使用するように選択される。例えば、導体226の直径248及び材料は、150kHz以下の周波数を有する電流228を提供する電源234を利用するように選択され得る。幾つかの例示的な実施例では、導体226の直径248及び材料が、100kHz以下の周波数を有する電流228を提供する電源234を利用するように選択され得る。100kHz以下の周波数を有する電流を提供する電源を利用することによって、電源234のコストが低減され得る。幾つかの例示的な実施例では、導体226の直径及び材料が、9kHz以下の周波数を有する電流を提供する電源234を利用するように選択され得る。9kHz以下の周波数を有する電流を提供する電源は、より少ない規制を有してよい。幾つか例示的な実施例では、誘導コイル回路218に結合される電源234が、誘導コイル回路218の直径236に基づいて選択される。
【0048】
幾つかの例示的な実施例では、導体226が、リッツ線246の形態を採る。幾つかの例示的な実施例では、リッツ線246の直径248が、電源234用の所望の特性を設定するように選択される。幾つかの例示的な実施例では、電源234が20~100kHzの範囲の周波数238を有するより低コストの電源であるように、リッツ線246の直径248が選択される。幾つかの例示的な実施例では、リッツ線246が、約0.111インチの直径240を有する。幾つかの例示的な実施例では、電源234が9kHz未満の周波数238を有する規制がない電源であるように、リッツ線246の直径248が選択される。幾つかの例示的な実施例では、リッツ線246が、約0.235インチの直径240を有する。
【0049】
幾つかの例示的な実施例では、サセプタワイヤー232の直径240が、電源234用の所望の特性を設定するように選択される。幾つかの例示的な実施例では、電源234が20~100kHzの範囲の周波数238を有するより低コストの電源であるように、サセプタワイヤー232の直径240が選択される。幾つかの例示的な実施例では、サセプタワイヤー232が、0.03から0.07インチの範囲の直径を有する。幾つかの例示的な実施例では、電源234が9kHz未満の周波数238を有する規制がない電源であるように、サセプタワイヤー232の直径240が選択される。幾つかの例示的な実施例では、サセプタワイヤー232が、0.05インチより大きい直径を有する。
【0050】
スリップシート204は、レイアップ面206とツールインターフェース面210との間で延在する剛体250を備える。剛体250は、複合材料208の搬送中に複合材料208を支持するように構成されている。誘導コイル回路218は、スリップシート204の剛体250内にある。誘導コイル回路218は、複合材料208を硬化させるのに十分な温度までレイアップ面206を加熱するように構成されている。誘導コイル回路218は、150kHz未満の周波数を有する電源234を使用して、熱を生成するように選択された直径236を有する。電源234は、誘導コイル回路218に結合されている。電源234は、誘導コイル回路218の直径236に基づいて選択される。
【0051】
幾つかの例示的な実施例では、スリップシート204が、スリップシート204の剛体250に接続された絶縁層224を更に含む。これらの例示的な実施例では、絶縁層224が、ツールインターフェース面210を形成する。
【0052】
幾つかの例示的な実施例では、誘導硬化システム202が、幾つかの剛性カウル252を更に備える。幾つかの剛性カウル252を使用して、複合材料208の内側モールドラインを形成することができる。存在するときに、幾つかの剛性カウル252を使用して、レイアップ面206上に形成された複合材料208の第1の面の反対側の複合材料208の第2の面を形成する。これらの例示的な実施例では、複合材料が、レイアップ面206と幾つかの剛性カウル252との間に配置される。本明細書で使用されている、アイテムに関連して使用される際の「幾つかの」は、1以上のアイテムを意味する。したがって、幾つかの剛性カウル252は、1以上の剛性カウルを含む。
【0053】
描かれているように、幾つかの剛性カウル252は、剛性カウル254を備える。剛性カウル254は、剛性カウル254の剛体内にカウル誘導コイル回路256を含む。この例示的な実施例では、カウル誘導コイル回路256が、剛性カウル254を加熱するように構成されている。幾つかの例示的な実施例では、剛性カウル254が、カウル誘導コイル回路256を使用して、複合材料208の硬化中に複合材料208を加熱する。幾つかの例示的な実施例では、複合材料208を硬化させることが、誘導コイル回路218及びカウル誘導コイル回路256によって加熱することを含む。
【0054】
幾つかの例示的な実施例では、誘導硬化システム202が、複合材料208に形状が適合する加熱ブランケット244を備える。加熱ブランケット244は、誘導加熱回路242を備える。複合材料208に形状が適合するように、誘導加熱回路242は可撓性である。誘導加熱回路242の構成要素のサイズ決定は、誘導加熱回路242及び加熱ブランケット244の所望の可撓性に基づく。
【0055】
幾つかの例示的な実施例では、カウル誘導コイル回路256が、電源234を利用するように構成されている。剛性カウル254の硬さは、カウル誘導コイル回路256が、誘導加熱回路242よりも大きい直径を有することを可能にする。幾つかの例示的な実施例では、カウル誘導コイル回路256が、誘導加熱回路242に周波数260を有する電流を提供するように構成された電源258よりも低い周波数を有する電流を提供するように構成された電源を利用するように構成されている。
【0056】
誘導加熱回路242の可撓性は、電源258の周波数260を制限する。幾つかの例示的な実施例では、電源234によって提供される電流228の周波数238が、電源258によって提供される電流の周波数260よりも低い。
【0057】
複合材料208をレイアップするために、スリップシート204は、最初にレイアップ支持体262上に存在する。複合材料208は、任意の所望の自動化された複合材レイアップツールによってレイアップ面206上にレイアップされる。複合材料208がレイアップ面206上にレイアップされた後で、スリップシート204は、レイアップ支持体262から除去移動される。
【0058】
幾つかの例示的な実施例では、スリップシート204をレイアップ支持体262から除去移動する前に、幾つかの剛性カウル252が、複合材料208の上に配置される。他の例示的な実施例では、複合材料208を保持するスリップシート204が、レイアップ支持体262から搬送された後で、幾つかの剛性カウル252が、複合材料208の上に配置される。
【0059】
幾つかの例示的な実施例では、スリップシート204をレイアップ支持体262から除去移動する前に、加熱ブランケット244が、複合材料208の上に配置される。他の例示的な実施例では、複合材料208を保持するスリップシート204が、レイアップ支持体262から搬送された後で、加熱ブランケット244が、複合材料208の上に配置される。
【0060】
次いで、複合材料208を支持するスリップシート204が、ツール214と接触するように配置され、ツール214に固定される。スリップシート204は、任意の所望の様態でツール214に固定される。幾つかの例示的な実施例では、スリップシート204が、機械的なシステムを使用してツール214に固定される。幾つかの他の例示的な実施例では、ツール214が、スリップシート204をツール214の上面212に対して押さえるように構成された真空システム264を更に備える。真空システム264は、孔、チャネル、又は任意の他の所望の種類の真空分配システムを、ツール214内に含み得る。
【0061】
幾つかの剛性カウル252が存在する場合、幾つかの剛性カウル252は、複合材料208を硬化させる前に、複合材料208上に配置される。加熱ブランケット244が存在する場合、加熱ブランケット244は、複合材料208を硬化させる前に、複合材料208上に配置される。
【0062】
スリップシート204をツール214に固定した後で、電流228が誘導コイル回路218に提供される。誘導コイル回路218は、電流228を受け取り電流228に応じて磁場を生成するための導体226を備える。導体226の長さの一部分に沿って螺旋状に巻き付けられたサセプタワイヤー232が、磁場に応じて誘導加熱される。
【0063】
誘導硬化システム202を使用して、オーブン、オートクレーブ、又は同様な大きい加熱筐体を必要とすることなしに、複合材料208を硬化させることができる。幾つかの例示的な実施例では、誘導硬化システム202が、圧力容器266内で使用される。他の例示的な実施例では、誘導硬化システム202が、真空バギングシステムと共に使用される。
【0064】
次いで、複合材料208は、適切な硬化動力学モデルによって決定されるように、ガス圧が印加されている間に硬化ステップまで急速に加熱される。スマートサセプタ、すなわちサセプタ230が、予め指定された硬化温度における熱平準化を提供する。サセプタ230が、スリップシート204の温度を所望の硬化温度に駆動し続けている間に、硬化容器、すなわち圧力容器266内の周囲温度にあるガス状加圧媒体の軽い循環が、硬化中の任意の発熱放出熱を押し流す。
【0065】
複合材料208で硬化の所望の状態が実現されると、結果として生じる複合材部品は、急速に冷却され得る。というのも、ツール214の本体は加熱されず、圧力容器266内のガスは周囲温度にあるからである。次いで、複合材料208で形成された複合材部品及びスリップシート204は、圧力容器266から除去され、次いで、部品のデバギングが行われ、検査及びトリミングに送られる。
【0066】
誘導硬化システム202は、概して、ツール214上に支持されたスリップシート204、幾つかの剛性カウル252、及び加熱ブランケット244を備える。図示されている実施例では、複合材料208が、実質的に平坦であり得、又は1以上の湾曲若しくは起伏を有し得る。複合材料208は、例えば、非限定的に、繊維補強ポリマー樹脂の積層化されたプライ、例えば、非限定的に、炭素繊維エポキシ、又は硬化を実現するために予め選択された温度まで加熱されなければならない他の熱硬化性樹脂を含んでよい。
【0067】
誘導硬化システム202は、1以上の熱センサを含み得る。センサ268などの1以上のセンサが、加熱ブランケット244、スリップシート204、幾つかの剛性カウル252、又は複合材料208、のうちの少なくとも1つの温度を検知するために含まれ得る。
【0068】
1以上のコントローラが、誘導加熱構成要素270の各誘導加熱構成要素の動作を制御するために、誘導硬化システム202内に含まれ得る。例えば、コントローラ272が、サセプタ230の加熱の速度を変化させ又は制御し、それによって、複合材料208の加熱の速度を制御するための手段として、誘導コイル回路218に印加される電流228の周波数238を調整し得る。単一のコントローラ、すなわちコントローラ272が、誘導加熱構成要素270の動作を調整するために設けられ得るが、各誘導加熱構成要素は、専用のコントローラを有してもよい。
【0069】
図2の誘導硬化システム202の事例は、例示的な一実施形態が実装されてよいやり方に、物理的な又は構造上の制限を課することを意図しない。図示されている構成要素に加えて又は代えて、他の構成要素が使用されてよい。幾つかの構成要素は、必要ではないこともある。更に、幾つかの機能構成要素を図示するために、ブロックが提示されている。例示的な一実施形態に実装されるときに、これらのブロックのうちの1以上が、結合され、分割され、又は結合且つ分割されて異なるブロックになってよい。
【0070】
幾つかの例示的な実施例では、幾つかの剛性カウル252が、種々の量の剛性カウルを含む。幾つかの例示的な実施例では、幾つかの剛性カウル252が、2つ以上の剛性カウルを含む。幾つかの例示的な実施例では、幾つかの剛性カウル252のうちの少なくとも1つの剛性カウルが、誘導コイル回路を含まない。幾つかの例示的な実施例では、幾つかの剛性カウル252が、複合材料208を硬化させるための熱を提供しない。
【0071】
幾つかの例示的な実施例では、幾つかの剛性カウル252が任意選択的である。これらの例示的な実施例では、加熱ブランケット244が、複合材料208の上に直接配置され得る。
【0072】
図2では表示されていないが、真空バッグアセンブリが、加熱ブランケット244の上に設置されてよい。真空バッグアセンブリは、加熱ブランケット244をカバーし、スリップシート204のレイアップ面206又はツール214の上面212のうちの一方に密封されてよい、バギングフィルムを含んでよい。圧力の印加のためにバギングフィルム上で真空引きするための手段を提供し、未硬化複合材料208を加熱する結果として生成されてよい揮発性物質及び他のガスを引き出すために、真空プローブ及び真空ゲージが、バギングフィルムから真空生成器まで延在してよい。バギングフィルム上で真空引きすることは、硬化プロセス中に複合材料208をスリップシート204に対して圧密するために実行され得る。
【0073】
スリップシート204は、誘導コイル回路218を有するように描かれているが、スリップシート204は、任意の所望の量の誘導コイル回路を有する。幾つかの例示的な実施例では、スリップシート204が、異なるキュリー温度を有する複数の誘導コイル回路を有する。幾つかの例示的な実施例では、スリップシート204が、スリップシート204上での複合材料208を局所的に加熱するための独立して制御される誘導コイル回路を有する。
【0074】
幾つかの例示的な実施例では、スリップシート204が、第2の誘導コイル回路を備える。これらの例示的な実施例では、誘導コイル回路218が、導体226及び第1のキュリー温度を有するサセプタワイヤー232を備え、第2の誘導コイル回路が、第2の導体及び第2のキュリー温度を有する第2のサセプタワイヤーを備える。これらの例示的な実施例では、第1のキュリー温度が、第2のキュリー温度とは異なる。幾つかの例示的な実施例では、第1のキュリー温度が硬化温度であり、第2のキュリー温度がレイアップ温度である。
【0075】
次に、
図3に戻って参照すると、例示的な一実施形態による誘導硬化システム内の複合材部品が描かれている。誘導硬化システム300は、
図2の誘導硬化システム202の物理的な一実施態様である。誘導硬化システム300は、スリップシート302、ツール304、幾つかの剛性カウル306、及び加熱ブランケット308を含む。スリップシート302は、
図2のスリップシート204の物理的な一実施態様である。ツール304は、
図2のツール214の物理的な一実施態様である。幾つかの剛性カウル306は、
図2の幾つかの剛性カウル252の物理的な一実施態様である。加熱ブランケット308は、
図2の加熱ブランケット244の物理的な一実施態様である。
【0076】
描かれているように、幾つかの剛性カウル306は、剛性カウル310、剛性カウル312、剛性カウル314、及び剛性カウル316を含む。描かれているように、幾つかの剛性カウル306の各々は、少なくとも1つのそれぞれの誘導回路を含む。幾つか剛性カウル306の各々は、それぞれの剛性カウル内に存在する少なくとも1つの誘導回路によって誘導加熱され得る。幾つかの剛性カウル306は、幾つかの誘導加熱される剛性カウルと呼ばれてよい。
【0077】
複合材料318は、スリップシート302上に配置される。複合材料318は、スリップシート302のレイアップ面320上にレイアップされた。複合材料318は、スリップシート302のレイアップ面320上で硬化される。複合材料318の硬化中、スリップシート302は、レイアップ面320上で複合材料318を硬化させるために誘導加熱される。
【0078】
加熱ブランケット308は、可撓性であり、複合材料318に形状が適合する。加熱ブランケット308の可撓性で形状が適合する性質のために、その外周は、複合材料318の外縁の上にもたれかかり、複合材料318を熱的に閉じるために、複合材料318の周りで実質的に完全にスリップシート302に対して効果的に密封する。硬化中、スリップシート302及び加熱ブランケット308は、各々、複合材料318の両側から複合材料318を加熱するために誘導加熱される。
【0079】
複合材料318の硬化中、加熱ブランケット308は、複合材料318を硬化させるために誘導加熱される。幾つかの例示的な実施例では、加熱ブランケット308用の電源が、スリップシート302を誘導加熱するための電源とは異なっている。加熱ブランケット308は、可撓性誘導コイル回路を備える。誘導コイル回路の直径は、加熱ブランケット308の可撓性に影響を与える。導体の直径、サセプタの直径、及び導体とサセプタとの間の距離が、誘導コイル回路の直径に影響を与える。加熱ブランケット308内の誘導コイル回路の直径は、加熱ブランケット308の所望の可撓性を可能にするのに十分小さい。誘導コイル回路の直径は、加熱ブランケット308の誘導コイル回路に電流を供給するための電源の特性に影響を与える。
【0080】
スリップシート302は、複合材料318用の外側モールドラインを維持するのに十分硬い。幾つかの例示的な実施例では、スリップシート302が、複合材料318をツール304へ搬送するのに十分硬い。
【0081】
スリップシート302の誘導コイル回路は、所望の可撓性を満たすためのサイズ制限を有さない。スリップシート302の誘導コイル回路は、加熱ブランケット308の誘導コイル回路よりも大きい直径を有するように設計され得る。誘導コイル回路の直径がより大きいことによって、誘導コイル回路に電流を送るための電源の特性が変化され得る。より大きい直径の誘導コイル回路は、より低い周波数の電源を利用し得る。
【0082】
幾つかの例示的な実施例では、加熱ブランケット308及びスリップシート302が、異なる特性を有する異なる電源を使用する。幾つかの例示的な実施例では、幾つかの剛性カウル306の各々が、同じ電源を利用する。幾つかの例示的な実施例では、幾つかの剛性カウル306の各々が、加熱ブランケット308を加熱するための電源又はスリップシート302用の電源のうちのいずれかと同じ電源を利用する。
【0083】
図3の誘導硬化システム300の事例は、例示的な一実施形態が実装されてよいやり方に、物理的な又は構造上の制限を課するものではない。図示されている構成要素に加えて又は代えて、他の構成要素が使用されてよい。幾つかの構成要素は、必要ではないこともある。更に、幾つかの機能構成要素を図示するために、ブロックが提示されている。例示的な一実施形態に実装されるときに、これらのブロックのうちの1以上が、結合され、分割され、又は結合且つ分割されて異なるブロックになってよい。
【0084】
幾つかの例示的な実施例では、幾つかの剛性カウル306が任意選択的である。これらの例示的な実施例では、加熱ブランケット308が、複合材料318の上に直接配置され得る。
【0085】
幾つかの例示的な実施例では、幾つかの剛性カウル306のうちの少なくとも1つが、それぞれの誘導コイル回路を含まない。幾つかの例示的な実施例では、幾つかの剛性カウル306のうちの少なくとも1つが、複合材料318を硬化させるために熱を提供しない。
【0086】
次に、
図4に戻って参照すると、例示的な一実施形態による誘導硬化システムの事例が描かれている。ビュー400では、誘導硬化システム402が、スリップシート404及びツール406を備える。スリップシート404は、
図2のスリップシート204の物理的な一実施態様である。ツール406は、
図2のツール214の物理的な一実施態様である。
【0087】
幾つかの例示的な実施例では、スリップシート404が、
図3のスリップシート302と同じである。幾つかの例示的な実施例では、ツール406が、
図3のツール304と同じである。
【0088】
スリップシート404は、複合材料(描かれていない)を受け入れるように構成されたレイアップ面408を有する。レイアップ面408は、複合材料(描かれていない)用の外側モールドライン(OML)ツーリングを形成するように構成されている。スリップシート404は、複合材料をツール406に搬送するときに、複合材料を支持するのに十分硬い。
【0089】
ツール406は、スリップシート404を受け入れるように構成された上面410を有する。上面410は、スリップシート404のツールインターフェース面412と相互作用するように構成されている。
【0090】
ツール406は、高熱容量ツーリングと呼ばれてよい。ツール406は、複合材料の硬化温度に耐えるように構成された材料で形成されている。幾つかの例示的な実施例では、ツール406がまた、増加された圧力にも耐えるように構成された材料で形成されている。幾つかの例示的な実施例では、ツール406が、複合材料又は金属のうちの少なくとも一方で形成されている。
【0091】
スリップシート404は、ツール406と共に使用され得るスリップシートの非限定的な一実施例である。種々の設計のスリップシートが、ツール406と共に使用され得る。各スリップシートは、それぞれの複合材構造物用の外側モールドラインを形成するように構成されたレイアップ面を有し得る。各スリップシートは、ツール406の上面410と相互作用するように構成されたツールインターフェース面を有することになる。各スリップシートは、それぞれのレイアップ面上の複合材料を硬化させるように構成された所望の量の誘導コイル回路を有し得る。除去移動可能なスリップシートを利用することによって、別の高価な高熱容量ツールを製造することなしに、複合材構造物に対する変更が行われ得る。別のスリップシートを製造することは、別の高熱容量ツールを生成するよりも安価であってよい。
【0092】
次に、
図5に戻って参照すると、例示的な一実施形態による、誘導硬化システムのスリップシートの断面図が描かれている。ビュー500は、スリップシート、すなわちスリップシート502を通る断面図である。スリップシート502は、
図2のスリップシート204の物理的な一実施態様である。幾つかの例示的な実施例では、スリップシート502が、
図3のスリップシート302と同じである。幾つかの例示的な実施例では、スリップシート502のビュー500が、
図4のスリップシート404を通る断面図である。
【0093】
スリップシート502は、複合材料(図示せず)を受け入れるように構成されたレイアップ面504、ツールの上面と相互作用するように構成されたツールインターフェース面506、レイアップ面504とツールインターフェース面506との間で延在する本体508、及びスリップシート502の本体508内の誘導コイル回路510を備える。
【0094】
誘導コイル回路510は、複合材料(図示せず)を硬化させるのに十分な温度までレイアップ面504を加熱するように構成されている。誘導コイル回路510は、電流を受け取りその電流に応じて磁場を生成するための導体512を備える。誘導コイル回路510はまた、導体512の長さの少なくとも一部分に沿って巻き付けられたサセプタワイヤー514も備える。
【0095】
導体512の材料及びサイズは、複合材料を硬化させるのに所望の温度、本体508の寸法、及び供給される電流、のうちの少なくとも1つに基づいて選択される。幾つかの例示的な実施例では、導体512が、より低いコスト又はより少ない規制のうちの少なくとも一方を有する電源を使用するように選択される。例えば、導体512の直径及び材料は、150kHz以下の周波数を有する電流を提供する電源を利用するように選択され得る。幾つかの例示的な実施例では、導体512の直径及び材料が、100kHzの周波数を有する電流を提供する電源を利用するように選択され得る。100kHz以下の周波数を有する電流を提供する電源を利用することによって、電源のコストが低減され得る。幾つかの例示的な実施例では、導体512の直径及び材料が、9kHz以下の周波数を有する電流を提供する電源を利用するように選択され得る。9kHz以下の周波数を有する電流を提供する電源は、より少ない規制を有してよい。
【0096】
導体512の直径を増加させることによって、導体512内の磁流を生成するための電流の周波数が低減される。しかし、導体512の直径を増加させることによってまた、導体512の可撓性が低減される。この例示的な実施例では、誘導コイル回路510が、スリップシート502内に存在する。スリップシート502は、レイアップ面504上の複合材料用の外側モールドラインを提供するのに十分硬く構成されている。したがって、導体512及び誘導コイル回路510は、可撓性とは無関係にサイズが増加され得る。
【0097】
導体512の直径を増加させることによってまた、誘導コイル回路510の直径も増加されることになる。幾つかの例示的な実施例では、誘導コイル回路510の直径が、0.18インチ以上である。0.18インチ以上の誘導コイル回路510の直径は、誘導コイル回路510に電流を提供するためのより低コストの電源を可能にする。幾つかの例示的な実施例では、誘導コイル回路510の直径が、0.38インチ以上である。0.38インチ以上の誘導コイル回路510の直径は、誘導コイル回路510に電流を提供するための、米国連邦通信委員会(FCC)が規制する帯域未満(9kHz)の電源を可能にする。幾つかの例示的な実施例では、誘導コイル回路510が、150kHz未満の周波数を有する電源を使用して熱を生成するように選択された直径を有する。幾つかの例示的な実施例では、誘導コイル回路510が、100kHz未満の周波数を有する電源を使用して熱を生成するように選択された直径を有する。幾つかの例示的な実施例では、誘導コイル回路510が、20kHz~100kHzの範囲の周波数を有する電源を使用して熱を生成するように選択された直径を有する。幾つかの例示的な実施例では、誘導コイル回路510が、9kHz未満の周波数を有する電源を使用して熱を生成するように選択された直径を有する。
【0098】
導体512の直径が増加されたときに、サセプタワイヤー514の直径も増加されることになる。幾つかの例示的な実施例では、サセプタワイヤー514が、0.03インチよりも大きい直径を有する。幾つかの例示的な実施例では、サセプタワイヤー514が、0.03インチよりも大きい直径を有するときに、より低コストの電源を使用して、誘導コイル回路510に電流を提供することができる。幾つかの例示的な実施例では、サセプタワイヤー514が、0.05インチよりも大きい直径を有する。幾つかの例示的な実施例では、サセプタワイヤー514が、0.07インチよりも大きい直径を有する。幾つかの例示的な実施例では、サセプタワイヤー514が、0.07インチよりも大きい直径を有するときに、米国連邦通信委員会(FCC)が規制する帯域未満(9kHz)の電源を使用して、誘導コイル回路510に電流を提供することができる。
【0099】
幾つかの例示的な実施例では、本体508が剛体と呼ばれる。これらの例示的な実施例では、本体508が、複合材料の搬送中に複合材料を支持するように構成されている。これらの例示的な実施例では、本体508が、複合材料の搬送中に複合材料を支持するように構成された剛体を形成する材料で形成され、該剛体を形成するのに十分な厚さを有する。本体508は、熱硬化性複合材料で形成される。本体508の熱硬化性複合材料は、熱硬化性樹脂及び強化用繊維を含む。強化用繊維は、グラファイト繊維、繊維ガラス繊維、又は任意の他の所望の強化用繊維のうちの少なくとも1つを含み得る。
【0100】
描かれているように、スリップシート502は、スリップシート502の本体508に接続された金属層516を更に含む。この例示的な実施例では、金属層516がレイアップ面504を形成する。金属層516用の材料は、金属層516がレイアップ面504の耐性を高めるように選択される。金属層516は、金属層516の耐性が、複合材料が形成する本体508の耐性よりも大きくなるように構成される。
【0101】
描かれているように、スリップシート502は、スリップシート502の本体508に接続された絶縁層518を更に含む。この例示的な実施例では、絶縁層518が、ツールインターフェース面506を形成する。絶縁層224は、ツール214への熱損失を最小化し、スリップシート204の熱効率を改善するように、ツールインターフェース面210を形成する。絶縁層224は、ツール214への熱の伝達を低減させるように、ツールインターフェース面210を形成する。絶縁層224は、非限定的に、シリコーンなどの任意の適切な絶縁材を含んでよい。
【0102】
図5のスリープシート502の事例は、例示的な一実施形態が実装されてよいやり方に、物理的な又は構造上の制限を課することを意図しない。図示されている構成要素に加えて又は代えて、他の構成要素が使用されてよい。幾つかの構成要素は、必要ではないこともある。更に、幾つかの機能構成要素を図示するために、ブロックが提示されている。例示的な一実施形態に実装されるときに、これらのブロックのうちの1以上が、結合され、分割され、又は結合且つ分割されて異なるブロックになってよい。
【0103】
例えば、金属層516は任意選択的である。幾つかの例示的な実施例では、金属層516が存在しない。他の例示的な実施例では、レイアップ面504が、本体508によって形成される。他の例示的な実施例では、レイアップ面504が、高められた耐性のうちの少なくとも1つを提供するための、本体508に塗布されたコーティングである。
【0104】
別の一実施例として、絶縁層518は任意選択的である。幾つかの例示的な実施例では、絶縁層518が存在しない。他の例示的な実施例では、ツールインターフェース面506が、本体508によって形成される。
【0105】
更に別の一実施例として、誘導コイル回路510は、代わりに、織られたスマートサセプタシステム内に形成され得る。幾つかの描かれていない例示的な実施例では、スマートサセプタシステムが、本体508の複合材料内の縦糸及び横糸であり得る。
【0106】
次に、
図6に戻って参照すると、例示的な一実施形態による、誘導硬化システムのスリップシートの断面図が描かれている。ビュー600は、スリップシート、すなわちスリップシート602を通る断面図である。スリップシート602は、
図2のスリップシート204の物理的な一実施態様である。幾つかの例示的な実施例では、スリップシート602が、
図3のスリップシート302と同じである。幾つかの例示的な実施例では、スリップシート602のビュー600が、
図4のスリップシート404の断面図である。
【0107】
スリップシート602は、
図5のスリップシート502と同様であるが、2つの異なる種類の誘導コイル回路を有する。2つの異なる誘導コイル回路を供給することによって、スリップシート602は、2つの異なる温度まで加熱するように構成されている。
【0108】
スリップシート602は、複合材料(図示せず)を受け入れるように構成されたレイアップ面604、ツールの上面と相互作用するように構成されたツールインターフェース面606、レイアップ面604とツールインターフェース面606との間で延在する本体608、スリップシート602の本体608内の第1の誘導コイル回路610、及びスリップシート602の本体608内の第2の誘導コイル回路611を備える。
【0109】
第1の誘導コイル回路610は、レイアップ面604を、複合材料(図示せず)を硬化させるのに十分な温度まで加熱するように構成されている。第1の誘導コイル回路610は、第1の電源から電流を受け取りその電流に応じて磁場を生成するための導体612を備える。第1の誘導コイル回路610はまた、導体612の長さの少なくとも一部分に沿って巻き付けられたサセプタワイヤー614も備える。
【0110】
導体612の材料及びサイズは、複合材料を硬化させるのに所望の温度、本体608の寸法、及び供給される電流、のうちの少なくとも1つに基づいて選択される。幾つかの例示的な実施例では、導体612が、より低いコスト又はより少ない規制のうちの少なくとも一方を有する第1の電源を使用するように選択される。
【0111】
第2の誘導コイル回路611は、複合材料(図示せず)向けのレイアップ温度までレイアップ面604を加熱するように構成されている。幾つかの例示的な実施例では、第2の誘導コイル回路611が、第1の電源から分離した第2の電源から電流を受け取るように構成されている。幾つかの例示的な実施例では、第2の誘導コイル回路611が、第1の電源から電流を受け取るように構成されている。第2の誘導コイル回路611は、複合材料208のレイアップ用の加熱されたプラットフォームとしてのスリップシート204の動作を可能にする。第2の誘導コイル回路611は、電源から電流を受け取りその電流に応じて磁場を生成するための導体613を備える。第2の誘導コイル回路611はまた、導体613の長さの少なくとも一部分に沿って巻き付けられたサセプタワイヤー615も備える。
【0112】
第2の誘導コイル回路611の各構成要素の材料及びサイズは、第1の誘導コイル回路610に関連して説明された考慮事項に基づいて選択され得る。例えば、導体613のサイズ及び種類の選択は、複合材レイアップ用のスリップシート602を加熱するために所望される温度、本体608の寸法、及び供給される電流、のうちの少なくとも1つを考慮し得る。
【0113】
幾つかの例示的な実施例では、本体608が剛体と呼ばれる。これらの例示的な実施例では、本体608が、複合材料の搬送中に複合材料を支持するように構成されている。これらの例示的な実施例では、本体608が、複合材料の搬送中に複合材料を支持するように構成された剛体を形成する材料で形成され、該剛体を形成するのに十分な厚さを有する。本体608は、熱硬化性複合材料で形成される。本体608の熱硬化性複合材料は、熱硬化性樹脂及び強化用繊維を含む。強化用繊維は、グラファイト繊維、繊維ガラス繊維、又は任意の他の所望の強化用繊維のうちの少なくとも1つを含み得る。
【0114】
描かれているように、スリップシート602は、スリップシート602の本体608に接続された金属層616を更に含む。この例示的な実施例では、金属層616がレイアップ面604を形成する。金属層616用の材料は、金属層616がレイアップ面604の耐性を高めるように選択される。金属層616は、金属層616の耐性が、複合材料が形成する本体608の耐性よりも大きくなるように構成される。描かれているように、スリップシート602のツールインターフェース面606は、スリップシート602の本体608によって形成される。
【0115】
図6のスリープシート602の事例は、例示的な一実施形態が実装されてよいやり方に、物理的な又は構造上の制限を課することを意図しない。図示されている構成要素に加えて又は代えて、他の構成要素が使用されてよい。幾つかの構成要素は、必要ではないこともある。更に、幾つかの機能構成要素を図示するために、ブロックが提示されている。例示的な実施形態に実装されるときに、これらのブロックのうちの1以上が、結合され、分割され、又は結合且つ分割されて異なるブロックになってよい。
【0116】
例えば、金属層616は任意選択的である。幾つかの例示的な実施例では、金属層616が存在しない。他の例示的な実施例では、レイアップ面604が、本体608によって形成される。他の例示的な実施例では、レイアップ面604が、高められた耐性のうちの少なくとも1つを提供するための、本体608に塗布されたコーティングである。
【0117】
別の一実施例として、絶縁層が追加され得る。幾つかの例示的な実施例では、絶縁層が、ツールインターフェース面606を形成する。
【0118】
更に別の一実施例として、第1の誘導コイル回路610及び第2の誘導コイル回路611は、描かれているのとは異なるように本体608内に配置され得る。1つの描かれていない例示的な実施例では、第2の誘導コイル回路611が、第1の誘導コイル回路610の上方に配置され得る。
【0119】
幾つかの例示的な実施例では、誘導コイル回路610及び第2の誘導コイル回路611が、異なるキュリー温度を有する。幾つかの例示的な実施例では、第2の誘導コイル回路611が、第2の導体すなわち導体613、及び第2のサセプタワイヤーすなわちサセプタワイヤー615を備える。サセプタワイヤー615は、第2のキュリー温度を有する。その場合、サセプタワイヤー614の第1のキュリー温度は、第2のキュリー温度とは異なる。幾つかの例示的な実施例では、第1のキュリー温度が硬化温度であり、第2のキュリー温度がレイアップ温度である。
【0120】
図7~
図11は、スリップシート702上での複合材料すなわち複合材料706レイアップ、移動、及び硬化の例示的な一実施例を提示する。次に、
図7に戻って参照すると、例示的な一実施形態によるレイアップ支持体上のスリップシート上にレイアップされた複合材料の断面図が描かれている。ビュー700では、スリップシート702が、複合材料706を受け取るために、レイアップ支持体704上に配置されている。自動化された積層化機器708が、複合材料706をスリップシート702のレイアップ面710上に敷設する。スリップシート702のレイアップ面710は、複合材料706を用の外側モールドラインとして作用する。
【0121】
スリップシート702は、
図2のスリップシート204の物理的な一実施態様である。複合材材料706は、
図2の複合材材料208の物理的な一実施態様である。レイアップ支持体704は、レイアップ支持体262の物理的な一実施態様である。幾つかの例示的な実施例では、レイアップ支持体704が、「高熱容量ツール」ではない。レイアップ支持体704が、「高熱容量ツール」でないときに、レイアップ支持体704は、硬化ツールよりも低いコストを有する。
【0122】
次に、
図8に戻って参照すると、例示的な一実施形態によるスリップシート上の複合材料をレイアップ支持体から除去移動させる断面図が描かれている。ビュー800では、スリップシート702が、レイアップ支持体704から除去移動されている。
【0123】
ビュー800で見られ得るように、スリップシート702は、複合材料706を支持するのに十分硬い。複合材料706の搬送中、スリップシート702のレイアップ面710は、その形状を維持する。複合材料706の搬送中、複合材料706の形状は維持される。
【0124】
複合材料706を敷設した後で、複合材料706を硬化させる前に、スリップシート702を除去移動させることによって、レイアップ支持体704は、別のスリップシートを受け入れるように利用可能である。複合材料706のレイアップが終了したときに、スリップシート702を除去移動させることによって、自動化された積層化機器708のダウンタイムが低減される。複合材料706のレイアップが終了したときに、スリップシート702を除去移動させることによって、自動化された積層化機器708の効率が高められる。複合材料706のレイアップが終了したときに、スリップシート702を除去移動させることによって、製造システムのスループットが向上する。経時的に製造される複合材部品の量は、自動化された積層化機器708のダウンタイムを低減させることによって増加されることになる。
【0125】
次に、
図9に戻って参照すると、例示的な一実施形態によるスリップシート上の複合材料をレイアップ支持体から移動させる断面図が描かれている。ビュー900では、複合材料706を支えているスリップシート702が、ツール902上に下げられる。ツール902は、硬化ツールである。ツール902は、「高熱容量ツール」である。スリップシート702は、スリップシート702のツールインターフェース面904がツール902の上面906と接触するまで下げられることになる。スリップシート702のインターフェース面904がツール902の上面906と接触した後で、スリップシート702はツール902に固定される。
【0126】
次に、
図10に戻って参照すると、例示的な一実施形態による誘導硬化システム内に剛性カウルを配置する断面図が描かれている。ビュー1000では、スリップシート702が、ツール902に固定されている。
【0127】
ビュー1000では、幾つかの剛性カウル1002が、複合材料706の上に配置されている。幾つかの剛性カウル1002は、
図2の幾つかの剛性カウル252の物理的な一実施態様である。描かれているように、幾つかの剛性カウル1002は、剛性カウル1004、剛性カウル1006、剛性カウル1008、及び剛性カウル1010を含む。描かれているように、幾つかの剛性カウル1002の各々は、少なくとも1つのそれぞれの誘導回路を含む。幾つか剛性カウル1002の各々は、それぞれの剛性カウル内に存在する少なくとも1つの誘導回路によって誘導加熱され得る。幾つかの剛性カウル1002は、幾つかの誘導加熱される剛性カウルと呼ばれてよい。
【0128】
次に、
図11に戻って参照すると、例示的な一実施形態による誘導硬化システム内に加熱されたブランケットを配置する断面図が描かれている。ビュー1100では、誘導硬化システム1102の加熱構成要素が配置されている。ビュー1100では、誘導硬化システム1102が、スリップシート702、幾つかの剛性カウル1002、及び加熱ブランケット1104を備える。加熱ブランケット1104は、複合材料706の第2の側面に重なり、熱的に接触する。幾つかの剛性カウル1002も、複合材料706の第2の側面と接触する。加熱ブランケット1104の外縁は、複合材料706の縁部を越えて外向きに延在し、スリップシート702のレイアップ面710の一部分と重なる。
【0129】
図7~
図11の誘導硬化システム1102の構成要素の事例は、例示的な一実施形態が実装されてよいやり方に、物理的な又は構造上の制限を課することを意図しない。図示されている構成要素に加えて又は代えて、他の構成要素が使用されてよい。幾つかの構成要素は、必要ではないこともある。更に、幾つかの機能構成要素を図示するために、ブロックが提示されている。例示的な一実施形態に実装されるときに、これらのブロックのうちの1以上が、結合され、分割され、又は結合且つ分割されて異なるブロックになってよい。
【0130】
例えば、複合材料706内の補強材のサイズ、形状、湾曲、位置、補強材の量、及び補強材の形状は、複合材料706内で描かれているものに限定されない。複合材料706は、補強材の任意の所望のサイズ、形状、及び湾曲、並びに、任意の所望の位置、量、及び形状を有し得る。
【0131】
別の一実施例として、
図10及び
図11では、幾つかの剛性カウル1002及び加熱ブランケット1104が、スリップシート702がツール902上に存在している間に、複合材料706の上に配置される。他の例示的な実施例では、幾つかの剛性カウル1002又は加熱ブランケット1104のうちの少なくとも一方が、スリップシート702をツール902の上に配置する前に、複合材料706の上に配置される。幾つかの例示的な実施例では、幾つかの剛性カウル1002が、スリップシート702をレイアップ支持体704から除去移動する前に、複合材料706の上に配置される。幾つかの例示的な実施例では、加熱ブランケット1104が、スリップシート702をレイアップ支持体704から除去移動する前に、複合材料706の上に配置される。
【0132】
幾つかの例示的な実施例では、スリップシート702が、レイアップ支持体704とツール902との間の中間ツールへ搬送される。幾つかの例示的な実施例では、スリップシート702が中間ツール上に存在している間に、幾つかの剛性カウル1002又は加熱ブランケット1104のうちの少なくとも一方が、スリップシート702をツール902の上に配置する前に、複合材料706の上に配置される。幾つかの例示的な実施例では、幾つかの剛性カウル1002が、スリップシート702が中間ツール上に存在している間に、複合材料706の上に配置される。幾つかの例示的な実施例では、加熱ブランケット1104が、スリップシート702が中間ツール上に存在している間に、複合材料706の上に配置される。
【0133】
他の例示的な実施例では、加熱ブランケット1104が、スリップシート702を覆って延在してよく、その一部分がツール902と重なってよい。幾つかの例示的な実施例では、幾つかの剛性カウル1002又は加熱ブランケット1104のうちの少なくとも一方が、任意選択的である。
【0134】
次に、
図12に戻って参照すると、例示的な一実施形態による複合材部品を形成する方法のフローチャートが描かれている。方法1200は、
図1の航空機100の複合材部品を製造するために実行され得る。方法1200は、
図2の誘導硬化システム202の構成要素を使用して実行され得る。方法1200は、
図3の誘導硬化システム300の構成要素を使用して実行され得る。方法1200は、
図4の誘導硬化システム402の構成要素を使用して実行され得る。方法1200は、
図5のスリップシート502を使用して実行され得る。方法1200は、
図6のスリップシート602を使用して実行され得る。方法1200は、
図7~
図11で示されている誘導硬化システム1102を使用して実行され得る。方法1200は、
図7~
図11で説明されたように実行され得る。
【0135】
方法1200は、レイアップ支持体上に配置されたスリップシートのレイアップ面上に複合材料をレイアップする(動作1202)。スリップシートのレイアップ面は、スリップシートの本体の材料又はスリップシートの本体に接続された更なる材料のうちの少なくとも一方で形成される。幾つかの例示的な実施例では、スリップシートのレイアップ面が、スリップシートの本体に接続された金属層である。幾つかの例示的な実施例では、レイアップ面が、スリップシートの本体に塗布されたコーティングである。幾つかの例示的な実施例では、スリップシートのレイアップ面が、スリップシートの本体の複合材料で形成される。
【0136】
方法1200は、搬送スリップシート上にレイアップされた複合材料をツールへ搬送する(動作1204)。その場合、スリップシートは、搬送中に複合材料を支持するように構成された剛体を備える。スリップシートは、複合材料が搬送されるときに、複合材料の形状を維持するのに十分硬い。
【0137】
方法1200は、スリップシートのツールインターフェース面が、ツールの上面と接触するように、スリップシートをツールに固定する(動作1206)。ツールインターフェース面は、スリップシートの本体の材料又はスリップシートの本体に接続された更なる材料のうちの少なくとも一方で形成される。幾つかの例示的な実施例では、スリップシートのツールインターフェース面が、絶縁層で形成される。幾つかの例示的な実施例では、ツールインターフェース面が、スリップシートの本体の複合材料で形成される。
【0138】
方法1200は、スリップシートがツールに固定されている間に、スリップシートの剛体内の誘導コイル回路によって生成された熱を使用して、スリップシート上の複合材料を硬化させる(動作1208)。剛体内の誘導コイル回路は、電流を使用して熱を生成する。より具体的には、電流に応じて導体が磁場を生成し、その磁場に応じてサセプタが熱を生成する。その後、方法1200は終了してよい。
【0139】
幾つかの例示的な実施例では、方法1200が、複合材料を硬化させる前に、幾つかの剛性カウルを複合材料の上に配置する(動作1212)。幾つかの例示的な実施例では、動作1212を実行した後で、複合材料を硬化させることが、幾つかの剛性カウル内の幾つかの誘導コイル回路によって生成される熱を使用して、複合材料を加熱することを含む(動作1214)。
【0140】
幾つかの例示的な実施例では、方法1200が、複合材料及び幾つかの剛性カウルの上に加熱ブランケットを配置する(動作1216)。幾つかの例示的な実施例では、動作1216を実行した後で、複合材料を硬化させることが、加熱ブランケットを使用して複合材料を誘導加熱することを含む(動作1218)。
【0141】
幾つかの実施例では、スリップシートをツールに固定することが、機械的な拘束を使用してスリップシートを適所に保持することと、真空を使用してスリップシートをツールインターフェース面に対して引っ張ることと、のうちの少なくとも一方を含む(動作1220)。幾つかの例示的な実施例では、スリップシートをツールに固定することが、スリップシートの剛体に接続された絶縁層を、ツールの上面と接触するように配置することを含む(動作1222)。
【0142】
幾つかの例示的な実施例では、スリップシート上の複合材料を硬化させることが、1kHzと150kHzとの間の周波数を有する電流を供給することを含む(動作1224)。幾つかの例示的な実施例では、スリップシート上の複合材料を硬化させることが、9kHz未満の周波数を有する電流を供給することを含む(動作1226)。幾つかの例示的な実施例では、方法1200が、スリップシートの第2の誘導コイル回路を使用して、複合材料のレイアップ中にスリップシートを加熱することを更に含む(動作1228)。その場合、誘導コイル回路と第2の誘導コイル回路とは、異なるキュリー温度を有する。
【0143】
本明細書で使用されるときに、列挙されたアイテムと共に使用される「~のうちの少なくとも1つ」というフレーズは、列挙されたアイテムのうちの1以上の種々の組み合わせが使用されてもよく、且つ列挙された各アイテムのうちの1つだけが必要とされてもよいということを意味する。例えば、限定するものではないが、「アイテムA、アイテムB、及びアイテムCのうちの少なくとも一つ」は、アイテムA、アイテムA及びアイテムB、若しくはアイテムBを含みうる。この例はまた、アイテムA、アイテムB、及びアイテムC、若しくはアイテムB及びアイテムCも含み得る。言うまでもなく、これらのアイテムのいずれかの組み合わせが存在し得る。他の例では、「~のうちの少なくとも1つ」は、例えば、限定するものではないが、「2個のアイテムA、1個のアイテムB、及び10個のアイテムC」、「4個のアイテムB及び7個のアイテムC」、又は他の適切な組み合わせであり得る。アイテムは、特定の対象物、物体、又はカテゴリであってもよい。換言すると、「~のうちの少なくとも1つ」とは、アイテムの任意の組み合わせや、幾つかのアイテムを、列挙された中から使用できることを意味しているが、列挙されたアイテムのすべてが必要なわけではない。
【0144】
図示した種々の実施形態におけるフローチャート及びブロック図は、例示的な一実施形態における、装置及び方法の幾つかの可能な実施態様の構造、機能、及び動作を示している。これに関し、フローチャート又はブロック図内の各ブロックは、モジュール、セグメント、機能、又は動作若しくはステップの一部分のうちの少なくとも1つを表わし得る。
【0145】
例示的な一実施形態の幾つかの代替的な実施態様では、ブロック内に記載された1以上の機能が、図中に記載された順序を逸脱して出現し得る。例えば、場合によっては、連続して示されている2つのブロックが実質的に同時に実行されること、又は時には含まれる機能に応じてブロックが逆順に実施されることもあり得る。また、フローチャート又はブロック図に示されているブロックに加えて、他のブロックが追加されることもある。幾つかのブロックは、任意選択的であってよい。例えば、動作1212から動作1218は、任意選択的であってよい。
【0146】
本開示の例示的な実施形態は、
図13に示す航空機の製造及び保守方法1300、及び
図14に示す航空機1400に関連して説明され得る。先ず、
図13に戻って参照すると、例示的な一実施形態による航空機の製造及び保守方法が描かれている。製造前段階では、航空機の製造及び保守方法1300が、
図14の航空機1400の仕様及び設計1302並びに材料の調達1304を含み得る。
【0147】
製造段階では、航空機1400の構成要素及びサブアセンブリの製造1306並びにシステムインテグレーション1308が行われる。その後、航空機1400は認可及び納品1310を経て運航1312に供される。顧客による運航1312の間、航空機1400は、定期的な整備及び保守1314(改造、再構成、改修、並びにその他の整備及び保守を含み得る)がスケジューリングされる。
【0148】
航空機の製造及び保守方法1300の各プロセスは、システムインテグレータ、第三者、及び/又はオペレータによって実行又は実施されてもよい。これらの実施例では、オペレータは、顧客であってもよい。本明細書の目的のために、システムインテグレータは、限定されないが、任意の数の航空機製造業者、及び主要システムの下請業者を含み、第三者は、限定されないが、任意の数のベンダー、下請業者、及び供給業者を含み、オペレータは、航空会社、リース会社、軍事団体、サービス機関などを含み得る。
【0149】
次に、
図14を参照すると、例示的な一実施形態が実装され得る航空機の事例が描かれている。この例では、航空機1400は、
図13の航空機の製造及び保守方法1300によって製造され、複数のシステム1404及び内装1406を有する機体1402を含んでもよい。システム1404の例は、推進システム1408、電気システム1410、液圧システム1412、及び環境システム1414のうちの1以上を含む。任意の数の他のシステムが含まれてもよい。
【0150】
本明細書で具現化される装置及び方法は、航空機の製造及び保守方法1300のうちの少なくとも1つの段階で用いられてよい。1以上の例示的な実施形態は、
図13の構成要素及びサブアセンブリの製造1306、システムインテグレーション1308、運航1312、又は整備及び保守1314のうちの少なくとも1つの最中に製造又は使用されてよい。
【0151】
航空機1400の機体1402の一部分は、方法1200によって形成され得る。方法1200は、構成要素及びサブアセンブリの製造1306の最中に実行され得る。誘導硬化システム202を使用して、構成要素及びサブアセンブリの製造1306中に複合材構造物を形成することができる。方法1200を使用して形成される複合材構造物は、運航1312中に存在し、利用される。方法1200は、整備及び保守1314中に実行されて、交換部品を形成し得る。
【0152】
例示的な実施例は、複合材構造物の製造において利点を提供する。ツール表面タイプ自己加熱式スリップシートが、急速且つ正確な構成要素の硬化を提供する。このより機敏なプロセスは、加速された生産速度を受け入れる助けとなる。誘導加熱されたスリップシートは、オートクレーブ又はオーブンよりも速く且つ効率的な熱の付加を提供する。
【0153】
スリップシートは、レイアップ面として作用し、レイアップをより低いコストのレイアップマンドレルからより高いコストの硬化ツールへ搬送するために使用され、それによって、コストを削減することができる。
【0154】
複合材料は、低コストのレイアップマンドレルを使用して、スリップシート上にレイアップされる。レイアップは、レイアップ硬化ツールへ搬送され、スリップシートは、複合材料の処理用に固定される。スリップシート及び複合材料を有するツールは、圧力容器の中に移動され得る。幾つかの加熱ブランケット及びスリップシートが、必要とされる誘導電源に接続される。複合材レイアップは、真空バギングされ得る。スリップシート及びブランケットの加熱が開始される。
【0155】
次いで、複合材料は、適切な硬化動力学モデルによって決定されるように、ガス圧が印加されている間に硬化ステップまで急速に加熱される。スマートサセプタが、予め指定された硬化温度における熱平準化を提供する。スマートサセプタが、スリップシート及びブランケットの温度を所望の硬化温度に駆動し続けている間に、硬化容器内の周囲温度にあるガス状加圧媒体の軽い循環が、硬化中の任意の発熱放出熱を押し流す。本明細書で使用されるときに、スマートサセプタは、閾値(すなわちキュリー)温度に到達するまで熱を効率的に生成する1以上の材料で構築される。
【0156】
硬化の所望の状態が実現されると、複合材部品は急速に冷却され得る。というのも、ツールの本体は加熱されず、圧力容器内のガスは周囲温度にあるからである。次いで、複合材部品及びツールが圧力容器から除去され、次いで、部品のデバギングが行われ、検査及びトリミングに送られる。
【0157】
更に本発明は、以下の条項による実施形態を含む。
条項1.
複合材部品を形成する方法(1200)であって、
レイアップ支持体(262)上に配置されたスリップシート(204)のレイアップ面(206)上に複合材料(208)をレイアップすること(1202)、
前記スリップシート(204)上にレイアップされた前記複合材料(208)をツール(214)に搬送すること(1204)であって、前記スリップシート(204)は、搬送中に前記複合材料(208)を支持するように構成された剛体(250)を備える、ツール(214)に搬送すること(1204)、
前記スリップシート(204)のツールインターフェース面(210)が、前記ツール(214)の上面(212)と接触するように、前記スリップシート(204)を前記ツール(214)に固定すること(1206)、及び
前記スリップシート(204)が前記ツールに固定されている間に、前記スリップシート(204)の前記剛体(250)内の誘導コイル回路(218)によって生成された熱を使用して、前記スリップシート(204)上の前記複合材料(208)を硬化させること(1208)を含む、方法(1200)。
条項2.
前記複合材料(208)を硬化させる前に、前記複合材料(208)の上に幾つかの剛性カウルを配置すること(1212)を更に含み、前記複合材料(208)を硬化させることは、前記幾つかの剛性カウル内の幾つかの誘導コイル回路によって生成された熱を使用して、前記複合材料(208)を加熱すること(1214)を含む、条項1に記載の方法(1200)。
条項3.
前記複合材料(208)及び前記幾つかの剛性カウルの上に加熱ブランケット(244)を配置すること(1216)を更に含み、前記複合材料(208)を硬化させることは、前記加熱ブランケット(244)を使用して、前記複合材料(208)を誘導加熱すること(1218)を含む、条項2に記載の方法(1200)。
条項4.
前記スリップシート(204)上の前記複合材料(208)を硬化させることは、1kHzと150kHzとの間の周波数(238)を有する電流(228)を供給すること(1224)を含む、条項1から3のいずれか一項に記載の方法(1200)。
条項5.
前記スリップシート(204)を前記ツール(214)に固定することは、機械的な拘束を使用して前記スリップシート(204)を適所に保持することと、真空を使用して前記スリップシート(204)を前記ツールインターフェース面(210)に対して引っ張ることと、のうちの少なくとも一方(1220)を含む、条項1から4のいずれか一項に記載の方法(1200)。
条項6.
前記スリップシート(204)を前記ツール(214)に固定することは、前記スリップシート(204)の前記剛体(250)に接続された絶縁層(224)を、前記ツール(214)の前記上面(212)と接触するように配置すること(1222)を含む、条項1から5のいずれか一項に記載の方法(1200)。
条項7.
前記スリップシート(204)上の前記複合材料(208)を硬化させることは、9kHz未満の周波数(238)を有する電流(228)を供給すること(1226)を含む、条項1から6のいずれか一項に記載の方法(1200)。
条項8.
前記スリップシート(204)の第2の誘導コイル回路(611)を使用して、前記複合材料(208)の前記レイアップ中に前記スリップシート(204)を加熱すること(1228)を更に含み、前記誘導コイル回路(218、610)と前記第2の誘導コイル回路(611)とは、異なるキュリー温度を有する、条項1から7のいずれか一項に記載の方法(1200)。
条項9.
スリップシート(204)と電源(234)とを備える誘導硬化システム(202)であって、前記スリップシート(204)は、
複合材料(208)を受け入れるように構成されたレイアップ面(206)、
ツール(214)の上面(212)と相互作用するように構成されたツールインターフェース面(210)、
前記レイアップ面(206)と前記ツールインターフェース面(210)との間で延在する剛体(250)であって、前記複合材料(208)の搬送中に前記複合材料(208)を支持するように構成された剛体(250)、及び
前記スリップシート(204)の前記剛体(250)内の誘導コイル回路(218)であって、前記複合材料(208)を硬化させるのに十分な温度まで前記レイアップ面(206)を加熱するように構成され、150kHz未満の周波数(238)を有する前記電源(234)を使用して熱を生成するように選択された直径(236)を有する誘導コイル回路(218)を備え、
前記電源(234)は、前記誘導コイル回路(218)と結合され、前記誘導コイル回路(218)の前記直径(236)に基づいて選択される、誘導硬化システム(202)。
条項10.
前記スリップシート(204)は、前記スリップシート(204)の前記剛体(250)に接続された絶縁層(224)を更に備え、前記絶縁層(224)は、前記ツールインターフェース面(210)を形成する、条項9に記載の誘導硬化システム(202)。
条項11.
剛性カウル(254)を更に備え、前記剛性カウル(254)は、前記剛性カウル(254)の剛体内にカウル誘導コイル回路(256)を備え、前記カウル誘導コイル回路(256)は、前記剛性カウル(254)を加熱するように構成されている、条項9又は10に記載の誘導硬化システム(202)。
条項12.
前記複合材料(208)に形状が適合する加熱ブランケット(244)を更に備え、前記加熱ブランケット(244)は、誘導加熱回路(242)を備える、条項9から11のいずれか一項に記載の誘導硬化システム(202)。
条項13.
前記ツール(214)を更に備え、前記ツール(214)は、前記スリップシート(204)を前記ツール(214)の前記上面(212)に対して押さえるように構成された真空システム(264)を更に備える、条項9から12のいずれか一項に記載の誘導硬化システム(202)。
条項14.
前記電源(234)は、9kHz未満の周波数(238)を有する、条項9から13のいずれか一項に記載の誘導硬化システム(202)。
条項15.
前記ツール(214)の前記上面(212)は、複合材料(208)を受け入れるように構成されている、条項9から14のいずれか一項に記載の誘導硬化システム(202)。
条項16.
前記スリップシート(204)は、前記スリップシート(204、502)の前記剛体(250、508)に接続された金属層(516)を更に備え、前記金属層(516)は、前記レイアップ面(206、504)を形成する、条項9から15のいずれか一項に記載の誘導硬化システム(202)。
条項17.
前記剛体(250)は、複合材料(208)で形成されている、条項16に記載の誘導硬化システム(202)。
条項18.
前記誘導コイル回路(218)は、
電流(228)を受け取り、前記電流(228)に応じて磁場を生成するための導体(226)、及び
前記導体(226)の長さの少なくとも一部分に沿って螺旋状に巻き付けられたサセプタワイヤー(232)であって、各ワイヤーの覆いの円周位置が同じ円周位置にある隣接するワイヤーの覆いから離隔するように、間に間隙を規定する連続したワイヤーの覆いを備えるサセプタワイヤー(232)を備え、前記磁場は、前記ワイヤーの覆いの間の前記間隙を通過し、それによって、前記ワイヤー(232)内の渦電流の流れを促進し、前記ワイヤー(232)は、キュリー温度を有する磁気材料で構成され、前記磁場に応じて誘導加熱される、条項9から17のいずれか一項に記載の誘導硬化システム(202)。
条項19.
前記誘導コイル回路(218、610)は、導体(226、612)及び第1のキュリー温度を有するサセプタワイヤー(232、614)を備え、前記スリップシート(204)は、第2の誘導コイル回路(611)を更に備え、前記第2の誘導コイル回路(611)は、第2の導体(613)及び第2のキュリー温度を有する第2のサセプタワイヤー(615)を備え、前記第1のキュリー温度は、前記第2のキュリー温度とは異なる、条項9から18のいずれか一項に記載の誘導硬化システム(202)。
条項20.
前記第1のキュリー温度は硬化温度であり、前記第2のキュリー温度はレイアップ温度である、条項19に記載の誘導硬化システム(202)。
条項21.
スリップシート(204)を備える誘導硬化システム(202)であって、前記スリップシート(204)は、
複合材料(208)を受け入れるように構成されたレイアップ面(206)、
ツール(214)の上面(212)と相互作用するように構成されたツールインターフェース面(210)、
前記レイアップ面(206)と前記ツールインターフェース面(210)との間で延在する本体(216)、並びに
前記スリップシート(204)の前記本体(216)内の誘導コイル回路(218)を備え、前記誘導コイル回路(218)は、前記複合材料(208)を硬化させるのに十分な温度まで前記レイアップ面(206)を加熱するように構成され、前記誘導コイル回路(218)は、電流(228)を受け取り前記電流(228)に応じて磁場を生成するための導体(226)、及び前記導体(226)の長さの少なくとも一部分に沿って巻き付けられたサセプタワイヤー(232)を備え、前記サセプタワイヤー(232)は、0.05インチよりも大きい直径(240)を有する、誘導硬化システム(202)。
条項22.
前記複合材料(208)に形状が適合する加熱ブランケット(244)を更に備え、前記加熱ブランケット(244)は、誘導加熱回路(242)を備える、条項21に記載の誘導硬化システム(202)。
条項23.
前記スリップシート(204)の前記誘導コイル回路(218)は、第1の範囲の周波数を有する電流(228)に応じて熱を生成するように構成され、前記加熱ブランケット(244)の前記誘導加熱回路(242)は、第2の範囲の周波数を有する電流に応じて熱を生成するように構成され、前記第1の範囲の周波数は、前記第2の範囲の周波数の外側にあり、前記第2の範囲の周波数から分離されている、条項22に記載の誘導硬化システム(202)。
条項24.
前記第1の範囲の周波数は、9kHz未満である、条項23に記載の誘導硬化システム(202)。
条項25.
前記本体(216)は剛体(250)であり、前記剛体(250)は、前記複合材料(208)の搬送中に前記複合材料(208)を支持するのに十分硬い、条項21から24のいずれか一項に記載の誘導硬化システム(202)。
【0158】
種々の例示的な実施形態の説明は、例示及び説明を目的として提示されており、網羅的であること、又は開示された形態の実施形態に限定することは意図されていない。当業者には、多くの修正例及び変形例が自明となろう。更に、種々の例示的な実施形態は、他の例示的な実施形態と比較して、異なる特徴を提供してよい。選択された1以上の実施形態は、実施形態の原理と実際の応用を最もよく説明するため、及び、他の当業者が、様々な改変例を伴う様々な実施形態の開示内容は想定される特定の用途に適すると理解することを可能にするために、選ばれ、且つ説明されている。
【外国語明細書】