(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022190685
(43)【公開日】2022-12-26
(54)【発明の名称】粘着テープ、及び、電子機器部品固定用粘着テープ
(51)【国際特許分類】
C09J 7/38 20180101AFI20221219BHJP
C09J 133/14 20060101ALI20221219BHJP
【FI】
C09J7/38
C09J133/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022093737
(22)【出願日】2022-06-09
(31)【優先権主張番号】P 2021098589
(32)【優先日】2021-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】内田 徳之
(72)【発明者】
【氏名】石堂 泰志
【テーマコード(参考)】
4J004
4J040
【Fターム(参考)】
4J004AA10
4J004AB01
4J004BA02
4J004DB02
4J004FA08
4J040DF061
4J040EF181
4J040EF281
4J040JA09
4J040JB09
4J040MA02
4J040MA05
4J040MA10
4J040MB05
4J040MB09
4J040NA17
4J040NA19
(57)【要約】
【課題】屈折率が低く、アッベ数が高い粘着テープ、及び、該粘着テープからなる電子機器部品固定用粘着テープを提供する。
【解決手段】(メタ)アクリル共重合体を含有する粘着剤層を有する粘着テープであって、前記(メタ)アクリル共重合体は、フッ素含有モノマーに由来する構成単位と、エーテル結合含有モノマーに由来する構成単位とを含有する粘着テープ。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(メタ)アクリル共重合体を含有する粘着剤層を有する粘着テープであって、
前記(メタ)アクリル共重合体は、フッ素含有モノマーに由来する構成単位と、エーテル結合含有モノマーに由来する構成単位とを含有する
ことを特徴とする粘着テープ。
【請求項2】
前記(メタ)アクリル共重合体は、前記フッ素含有モノマーに由来する構成単位と、前記エーテル結合含有モノマーに由来する構成単位との含有量の合計が60重量%以上である、請求項1記載の粘着テープ。
【請求項3】
前記(メタ)アクリル共重合体は、前記フッ素含有モノマーに由来する構成単位の含有量が45重量%以上である、請求項1又は2記載の粘着テープ。
【請求項4】
前記(メタ)アクリル共重合体は、前記エーテル結合含有モノマーに由来する構成単位の含有量が30重量%以上である、請求項1又は2記載の粘着テープ。
【請求項5】
前記エーテル結合含有モノマーが、下記式(1)で表される構造を有する、請求項1又は2記載の粘着テープ。
(式(1)中、R
1は水素原子又はメチル基を、R
2は炭素原子数が2以上4以下のアルキレン基を、R
3は水素原子(nが2以上10以下の整数の場合)、又は、炭素原子数が1以上10以下のアルキル基(nが1以上10以下の整数の場合)を表す。)
【化1】
【請求項6】
前記エーテル結合含有モノマーは、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート及びエチルカルビトール(メタ)アクリレートからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1又は2記載の粘着テープ。
【請求項7】
前記(メタ)アクリル共重合体は、更に、架橋性官能基を有するモノマーに由来する構成単位を含有する、請求項1又は2記載の粘着テープ。
【請求項8】
前記粘着剤層は、ゲル分率が60重量%以上、99重量%以下である、請求項1又は2記載の粘着テープ。
【請求項9】
前記粘着剤層は、溶剤型粘着剤層である、請求項1又は2記載の粘着テープ。
【請求項10】
(メタ)アクリル共重合体を含有する粘着剤層を有する粘着テープであって、
前記(メタ)アクリル共重合体は、フッ素含有モノマーに由来する構成単位と、エーテル結合含有モノマーに由来する構成単位とを含有し、
前記(メタ)アクリル共重合体は、前記エーテル結合含有モノマーに由来する構成単位の含有量が30重量%以上であり、
前記エーテル結合含有モノマーは、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート及びエチルカルビトール(メタ)アクリレートからなる群より選択される少なくとも1種である
ことを特徴とする粘着テープ。
【請求項11】
請求項1又は2記載の粘着テープからなることを特徴とする電子機器部品固定用粘着テープ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着テープ、及び、電子機器部品固定用粘着テープに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電子機器において部品を固定する際に、粘着剤や粘着テープが広く用いられている。具体的には、例えば、携帯電子機器の表面を保護するためのカバーパネルをタッチパネルモジュール又はディスプレイパネルモジュールに接着したり、タッチパネルモジュールとディスプレイパネルモジュールとを接着したりするために、粘着剤や粘着テープが用いられている。このような電子機器部品の固定に用いられる粘着剤や粘着テープには、高い粘着性に加え、使用される部位の環境に応じて、耐熱性、熱伝導性、耐衝撃性等の機能が要求されている(例えば、特許文献1~3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-052050号公報
【特許文献2】特開2015-021067号公報
【特許文献3】特開2015-120876号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、仮想現実(VR)、複合現実(MR)、拡張現実(AR)等の世界を体験できる新たな技術が注目されており、ヘッドマウントディスプレイと呼ばれる、頭部に装着するタイプのディスプレイ装置の開発が進められている。また、自動車分野、医療分野等ではヘッドアップディスプレイと呼ばれるディスプレイ装置の開発が進められており、例えば、自動車分野では、運転者に必要な情報をフロントガラスに表示する技術が検討されている。
【0005】
ヘッドマウントディスプレイ、ヘッドアップディスプレイ等のディスプレイ装置では、従来のディスプレイ装置に比べて光路長が長くなり、光の分散、反射等の影響が大きくなる。このため、これらのディスプレイ装置における電子機器部品の固定に用いられる粘着剤や粘着テープには、従来以上に屈折率が低く、アッベ数が高いことが求められる。
【0006】
本発明は、屈折率が低く、アッベ数が高い粘着テープ、及び、該粘着テープからなる電子機器部品固定用粘着テープを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示1は、(メタ)アクリル共重合体を含有する粘着剤層を有する粘着テープであって、前記(メタ)アクリル共重合体は、フッ素含有モノマーに由来する構成単位と、エーテル結合含有モノマーに由来する構成単位とを含有する、粘着テープである。
本開示2は、前記(メタ)アクリル共重合体が、前記フッ素含有モノマーに由来する構成単位と、前記エーテル結合含有モノマーに由来する構成単位との含有量の合計が60重量%以上である、本開示1の粘着テープである。
本開示3は、前記(メタ)アクリル共重合体が、前記フッ素含有モノマーに由来する構成単位の含有量が45重量%以上である、本開示1又は2の粘着テープである。
本開示4は、前記(メタ)アクリル共重合体が、前記エーテル結合含有モノマーに由来する構成単位の含有量が30重量%以上である、本開示1、2又は3の粘着テープである。
本開示5は、前記エーテル結合含有モノマーが、下記式(1)で表される構造を有する、本開示1、2、3又は4記載の粘着テープである。
(式(1)中、R1は水素原子又はメチル基を、R2は炭素原子数が2以上4以下のアルキレン基を、R3は水素原子(nが2以上10以下の整数の場合)、又は、炭素原子数が1以上10以下のアルキル基(nが1以上10以下の整数の場合)を表す。)
【0008】
【0009】
本開示6は、前記エーテル結合含有モノマーが、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート及びエチルカルビトール(メタ)アクリレートからなる群より選択される少なくとも1種である、本開示1、2、3、4又は5の粘着テープである。
本開示7は、前記(メタ)アクリル共重合体は、更に、架橋性官能基を有するモノマーに由来する構成単位を含有する、本開示1、2、3、4、5又は6の粘着テープである。
本開示8は、前記粘着剤層が、ゲル分率が60重量%以上、99重量%以下である、本開示1、2、3、4、5、6又は7の粘着テープである。
本開示9は、前記粘着剤層が、溶剤型粘着剤層である、本開示1、2、3、4、5、6、7又は8の粘着テープである。
本開示10は、(メタ)アクリル共重合体を含有する粘着剤層を有する粘着テープであって、前記(メタ)アクリル共重合体は、フッ素含有モノマーに由来する構成単位と、エーテル結合含有モノマーに由来する構成単位とを含有し、前記(メタ)アクリル共重合体は、前記エーテル結合含有モノマーに由来する構成単位の含有量が30重量%以上であり、前記エーテル結合含有モノマーは、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート及びエチルカルビトール(メタ)アクリレートからなる群より選択される少なくとも1種である、粘着テープである。
本開示11は、本開示1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10の粘着テープからなる、電子機器部品固定用粘着テープである。
以下に本発明を詳述する。
【0010】
本発明者らは、(メタ)アクリル共重合体を含有する粘着剤層を有する粘着テープにおいて、該粘着剤層に、フッ素含有モノマーに由来する構成単位と、エーテル結合含有モノマーに由来する構成単位とを含有する(メタ)アクリル共重合体を用いることを検討した。本発明者らは、このような粘着テープであれば、屈折率が低く、アッベ数が高くなることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0011】
本発明の粘着テープは、(メタ)アクリル共重合体を含有する粘着剤層を有する。
上記(メタ)アクリル共重合体は、フッ素含有モノマーに由来する構成単位を含有する。上記(メタ)アクリル共重合体が上記フッ素含有モノマーに由来する構成単位を含有することで、上記粘着剤層の屈折率が低くなる。
【0012】
上記フッ素含有モノマーは特に限定されず、例えば、2,2,2-トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2-(パーフルオロヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2-(パーフルオロブチル)エチル(メタ)アクリレート、3-パーフルオロブチル-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-パーフルオロヘキシル-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-(パーフルオロ-3-メチルブチル)-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、1H,1H,3H-テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1H,1H,5H-オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、1H,1H,7H-ドデカフルオロヘプチル(メタ)アクリレート、1H-1-(トリフルオロメチル)トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、1H,1H,3H-ヘキサフルオロブチル(メタ)アクリレート、1,2,2,2-テトラフルオロ-1-(トリフルオロメチル)エチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。なかでも、より高い粘着力を発揮できることから、2,2,2-トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2-(パーフルオロヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、及び、2-(パーフルオロブチル)エチル(メタ)アクリレートが好ましく、2-(パーフルオロヘキシル)エチル(メタ)アクリレートがより好ましい。これらのフッ素含有モノマーは単独で用いてもよく、複数を併用してもよい。
【0013】
上記(メタ)アクリル共重合体における上記フッ素含有モノマーに由来する構成単位の含有量は特に限定されないが、好ましい下限が30重量%である。上記構成単位の含有量が30重量%以上であれば、上記粘着剤層の屈折率がより低くなる。上記構成単位の含有量のより好ましい下限は45重量%、更に好ましい下限は55重量%である。
上記フッ素含有モノマーに由来する構成単位の含有量の上限は特に限定されないが、好ましい上限は80重量%である。上記構成単位の含有量が80重量%以下であれば、上記粘着剤層が固くなり過ぎず、充分なタック性を維持することができる。上記構成単位の含有量のより好ましい上限は70重量%である。
【0014】
上記(メタ)アクリル共重合体は、エーテル結合含有モノマーに由来する構成単位を含有する。上記(メタ)アクリル共重合体が上記フッ素含有モノマーに由来する構成単位とともに上記エーテル結合含有モノマーに由来する構成単位を含有することで、上記粘着剤層の屈折率が低くなることに加えて、更に、アッベ数が高くなる。
【0015】
上記エーテル結合含有モノマーは特に限定されず、例えば、下記一般式(1)で表される構造を有する(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0016】
【0017】
一般式(1)中、R1は水素原子又はメチル基を、R2は炭素原子数が2以上4以下のアルキレン基を、R3は水素原子(nが2以上10以下の整数の場合)、又は、炭素原子数が1以上10以下のアルキル基(nが1以上10以下の整数の場合)を表す。nは8以下であることが好ましく、4以下であることがより好ましく、2以下であることが更に好ましい。R3がアルキル基である場合、R3は炭素原子数が8以下であることが好ましく、4以下であることがより好ましく、2以下であることが更に好ましい。
【0018】
上記一般式(1)で表される構造を有する(メタ)アクリレートとして、例えば、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。なかでも、容易に入手することができ、上記粘着剤層のアッベ数をより高めることができることから、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート及びエチルカルビトール(メタ)アクリレートからなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
【0019】
上記(メタ)アクリル共重合体における上記エーテル結合含有モノマーに由来する構成単位の含有量は特に限定されないが、好ましい下限が20重量%である。上記構成単位の含有量が20重量%以上であれば、上記粘着剤層のアッベ数がより高くなる。上記構成単位の含有量のより好ましい下限は30重量%、更に好ましい下限は35重量%である。
上記エーテル結合含有モノマーに由来する構成単位の含有量の上限は特に限定されないが、好ましい上限は60重量%である。上記構成単位の含有量が60重量%以下であれば、上記粘着剤層の極性が高くなりすぎず、樹脂等に対する密着性を維持することができる。上記構成単位の含有量のより好ましい上限は50重量%である。
【0020】
上記(メタ)アクリル共重合体は、上記フッ素含有モノマーに由来する構成単位と、上記エーテル結合含有モノマーに由来する構成単位との含有量の合計が60重量%以上であることが好ましい。上記含有量の合計が60重量%以上であれば、上記粘着剤層の屈折率がより低くなるとともにアッベ数がより高くなる。上記含有量の合計は70重量%以上であることがより好ましく、80重量%以上であることが更に好ましい。
上記フッ素含有モノマーに由来する構成単位と、上記エーテル結合含有モノマーに由来する構成単位との含有量の上限は特に限定されないが、好ましい上限は98重量%である。上記含有量の合計が98重量%以下であれば、上記粘着剤層が固くなり過ぎず、充分なタック性を維持することができる。上記含有量の合計のより好ましい上限は95重量%である。
【0021】
上記(メタ)アクリル共重合体は、更に、架橋性官能基を有するモノマーに由来する構成単位を含有することが好ましい。
上記(メタ)アクリル共重合体が上記架橋性官能基を有するモノマーに由来する構成単位を含有することで、架橋剤を併用したときに上記(メタ)アクリル共重合体の分子鎖間が架橋する。その際の架橋度を調整することで、上記粘着剤層のゲル分率を調整することができる。
【0022】
上記架橋性官能基としては、例えば、水酸基、カルボキシル基、グリシジル基、アミノ基、アミド基、ニトリル基等が挙げられる。なかでも、上記粘着剤層のゲル分率の調整が容易であることから、水酸基又はカルボキシル基が好ましい。
上記水酸基を有するモノマーとしては、例えば、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。
上記カルボキシル基を有するモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸等が挙げられる。
上記グリシジル基を有するモノマーとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記アミド基を有するモノマーとしては、例えば、ヒドロキシエチルアクリルアミド、イソプロピルアクリルアミド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド等が挙げられる。
上記ニトリル基を有するモノマーとしては、例えば、アクリロニトリル等が挙げられる。
これらの架橋性官能基を有するモノマーは単独で用いてもよく、複数を併用してもよい。
【0023】
上記(メタ)アクリル共重合体における上記架橋性官能基を有するモノマーに由来する構成単位の含有量は特に限定されないが、上記粘着剤層のゲル分率を好ましい範囲に調整する観点から、好ましい下限は0.1重量%、好ましい上限は10重量%であり、より好ましい下限は1重量%、より好ましい上限は5重量%である。
【0024】
上記(メタ)アクリル共重合体は、本発明の効果を阻害しない範囲内で、更に、上記フッ素含有モノマーに由来する構成単位、上記エーテル結合含有モノマーに由来する構成単位及び上記架橋性官能基を有するモノマーに由来する構成単位以外の他のモノマーに由来する構成単位を含んでいてもよい。
上記他のモノマーは特に限定されず、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、酢酸ビニル等が挙げられる。
ただし、上記粘着剤層の屈折率をより低くするとともにアッベ数をより高める観点からは、上記(メタ)アクリル共重合体は、上記他のモノマーに由来する構成単位は含有しないほうが好ましい。また、上記粘着剤層の屈折率をより低くするとともにアッベ数をより高める観点からは、上記(メタ)アクリル共重合体は、芳香族環を有するモノマーに由来する構成単位は含有しないほうが好ましい。
【0025】
また、上記(メタ)アクリル共重合体を紫外線重合法により調製する場合には、上記(メタ)アクリル共重合体は、更に、ジビニルベンゼン、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の多官能モノマーに由来する構成単位を含有することが好ましい。
【0026】
上記(メタ)アクリル共重合体の重量平均分子量(Mw)は特に限定されないが、好ましい下限は50万、好ましい上限は200万である。上記(メタ)アクリル共重合体の重量平均分子量(Mw)が上記範囲であることで、上記粘着剤層が充分な粘着力を発揮でき、粘着テープとして好適に用いられるものとなる。上記(メタ)アクリル共重合体の重量平均分子量(Mw)のより好ましい下限は70万、より好ましい上限は150万である。
なお、重量平均分子量(Mw)は、重合条件(例えば、重合開始剤の種類又は量、重合温度、モノマー濃度等)によって調整できる。
なお、(メタ)アクリル共重合体の重量平均分子量(Mw)は、カラムとしてGPC LF-804(昭和電工社製)を用いたゲルパーミエーションクロマトグラフ法により、ポリスチレン換算で求めることができる。
GPC装置:Waters社製、2690 Separations Model
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流量:0.4mL/min
検出器:示差屈折計RI
カラム温度(測定温度):40℃
注入量:20μL
【0027】
上記(メタ)アクリル共重合体を調製する方法は特に限定されず、上記構成単位の由来となるモノマーを、重合開始剤の存在下にてラジカル反応させる方法等が挙げられる。重合方法は特に限定されず、従来公知の方法を用いることができる。例えば、溶液重合(沸点重合又は定温重合)、エマルジョン重合、懸濁重合、塊状重合等が挙げられる。中でも、合成が簡便であることから溶液重合が好ましい。
【0028】
重合方法として溶液重合を用いる場合、反応溶剤として、例えば、酢酸エチル、トルエン、メチルエチルケトン、メチルスルホキシド、エタノール、アセトン、ジエチルエーテル等が挙げられる。これらの反応溶剤は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0029】
上記重合開始剤は特に限定されず、例えば、有機過酸化物、アゾ化合物等が挙げられる。
上記有機過酸化物として、例えば、1,1-ビス(t-ヘキシルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、t-ヘキシルパーオキシピバレート、t-ブチルパーオキシピバレート、2,5-ジメチル-2,5-ビス(2-エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、t-ヘキシルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシイソブチレート、t-ブチルパーオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシラウレート等が挙げられる。上記アゾ化合物として、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル等が挙げられる。これらの重合開始剤は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0030】
上記粘着剤層は、シランカップリング剤を含有してもよい。
上記シランカップリング剤を含有することにより、上記粘着剤層の被着体に対する密着性が向上し、粘着テープとして好適に用いられるものとなる。
【0031】
上記シランカップリング剤は特に限定されず、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-アミノプロピルトリメチルメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-(2-アミノエチル)3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、メルカプトブチルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。なかでも、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシランが好適である。
【0032】
上記粘着剤層における上記シランカップリング剤の含有量は特に限定されないが、上記(メタ)アクリル共重合体100重量部に対する好ましい下限が0.1重量部、好ましい上限が5重量部である。上記シランカップリング剤の含有量がこの範囲内であることで、上記粘着剤層の被着体に対する密着性がより向上する。上記シランカップリング剤の含有量のより好ましい下限は0.5重量部、より好ましい上限は3重量部である。
【0033】
上記粘着剤層は、架橋剤を含有することが好ましい。
上記粘着剤層が上記架橋剤を含有することで、上記(メタ)アクリル共重合体が上記架橋性官能基を有するモノマーに由来する構成単位を含有する場合、上記(メタ)アクリル共重合体の分子鎖間が架橋する。その際の架橋度を調整することで、上記粘着剤層のゲル分率を調整することができる。
上記架橋剤は特に限定されず、例えば、イソシアネート系架橋剤、アジリジン系架橋剤、エポキシ系架橋剤、金属キレート型架橋剤等が挙げられる。なかでも、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤が好ましい。なお、上記粘着剤層の屈折率をより低くするとともにアッベ数をより高める観点からは、上記粘着剤層は、芳香族環を有する架橋剤は含有しないほうが好ましい。
【0034】
上記粘着剤層における上記架橋剤の含有量は特に限定されないが、上記(メタ)アクリル共重合体100重量部に対する好ましい下限は0.01重量部、好ましい上限は10重量部であり、より好ましい下限は0.1重量部、より好ましい上限は5重量部である。
【0035】
上記粘着剤層は、必要に応じて、可塑剤、乳化剤、軟化剤、充填剤、顔料、染料等の添加剤、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂等の粘着付与剤、その他の樹脂等を含有していてもよい。
【0036】
上記粘着剤層のゲル分率は特に限定されないが、好ましい下限は60重量%、好ましい上限は99重量%である。上記ゲル分率が上記範囲であることで、上記粘着剤層が充分な粘着力を発揮でき、粘着テープとして好適に用いられるものとなる。上記ゲル分率のより好ましい下限は70重量%、より好ましい上限は95重量%であり、更に好ましい下限は80重量%、更に好ましい上限は90重量%である。
なお、ゲル分率は、例えば、(メタ)アクリル共重合体の組成及び重量平均分子量(Mw)、架橋剤の種類及び量等によって調整できる。
なお、本明細書における「ゲル分率」とは、下記式(1)のように酢酸エチルに浸漬する前の粘着剤層の重量に対する、酢酸エチルに浸漬し乾燥した後の粘着剤層の重量の割合を百分率で表した値である。
ゲル分率(重量%)=100×(W2-W0)/(W1-W0) (1)
(W0:基材の重量、W1:酢酸エチル浸漬前の粘着テープ試験片の重量、W2:酢酸エチル浸漬、乾燥後の粘着テープ試験片の重量)
【0037】
上記粘着剤層の厚みは特に限定されないが、好ましい下限は5μm、好ましい上限は150μmである。上記粘着剤層の厚みが5μm以上であることで、粘着テープが充分な粘着力を発揮することができる。上記粘着剤層の厚みが150μm以下であることで、粘着テープの加工性が向上する。上記粘着剤層の厚みのより好ましい下限は10μm、より好ましい上限は100μmである。
【0038】
本発明の粘着テープは、上記粘着剤層を有していれば特に限定されず、基材を有するサポートタイプであってもよいし、基材を有さないノンサポートタイプであってもよい。サポートタイプの場合には、基材の片面に上記粘着剤層が形成されていてもよいし、両面に上記粘着剤層が形成されていてもよい。
【0039】
上記基材は特に限定されず、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等のポリオレフィン系樹脂フィルム、PETフィルム等のポリエステル系樹脂フィルム、エチレン-酢酸ビニル共重合体フィルム、ポリ塩化ビニル系樹脂フィルム、ポリウレタン系樹脂フィルムが挙げられる。また、ポリエチレン発泡体シート、ポリプロピレン発泡体シート等のポリオレフィン発泡体シート、ポリウレタン発泡体シート等が挙げられる。これらの基材のなかでも、PETフィルムが好ましい。また、耐衝撃性の観点からはポリオレフィン発泡体シートが好ましい。
また、上記基材として、光透過防止のために黒色印刷された基材、光反射性向上のために白色印刷された基材、金属蒸着された基材等も用いることができる。
【0040】
本発明の粘着テープの製造方法は特に限定されないが、粘着剤溶液を作製して塗布し、溶液中の溶剤を完全に乾燥除去して粘着剤層を形成する方法が好ましい。即ち、本発明の粘着テープにおいて、上記粘着剤層は、溶剤型粘着剤層であることが好ましい。
より具体的には、例えば、本発明の粘着テープが基材を有さないノンサポートタイプである場合は以下のような方法が挙げられる。
まず、(メタ)アクリル共重合体、必要に応じて架橋剤等に溶剤を加えて粘着剤溶液を作製する。得られた粘着剤溶液を離型処理したPETフィルムの表面に塗布し、溶液中の溶剤を完全に乾燥除去して粘着剤層を形成することで、粘着テープを得ることができる。
【0041】
また、例えば、本発明の粘着テープが基材を有する両面粘着テープである場合は以下のような方法が挙げられる。
まず、(メタ)アクリル共重合体、必要に応じて架橋剤等に溶剤を加えて粘着剤aの溶液を作製する。得られた粘着剤aの溶液を基材の表面に塗布し、溶液中の溶剤を完全に乾燥除去して粘着剤層aを形成する。次に、形成された粘着剤層aの上に離型フィルムをその離型処理面が粘着剤層aに対向した状態に重ね合わせる。次いで、上記離型フィルムとは別の離型フィルムを用意し、この離型フィルムの離型処理面に粘着剤bの溶液を塗布し、溶液中の溶剤を完全に乾燥除去することにより、離型フィルムの表面に粘着剤層bが形成された積層フィルムを作製する。得られた積層フィルムを粘着剤層aが形成された基材の裏面に、粘着剤層bが基材の裏面に対向した状態に重ね合わせて積層体を作製する。そして、上記積層体をゴムローラ等によって加圧することによって、基材の両面に粘着剤層を有し、かつ、粘着剤層の表面が離型フィルムで覆われた粘着テープを得ることができる。
【0042】
また、同様の要領で積層フィルムを2組作製し、これらの積層フィルムを基材の両面のそれぞれに、積層フィルムの粘着剤層を基材に対向させた状態に重ね合わせて積層体を作製し、この積層体をゴムローラ等によって加圧することによって、基材の両面に粘着剤層を有し、かつ、粘着剤層の表面が離型フィルムで覆われた粘着テープを得てもよい。
【0043】
本発明の粘着テープの用途は特に限定されないが、電子機器部品の固定に好適に用いられる。本発明の粘着テープからなる電子機器部品固定用粘着テープもまた、本発明の1つである。
なかでも、本発明の粘着テープは、屈折率が低く、アッベ数が高いことから、ヘッドマウントディスプレイ、ヘッドアップディスプレイ等のディスプレイ装置における電子機器部品の固定に好適に用いられる。本発明の粘着テープの屈折率は特に限定されないが、好ましい上限は1.45であり、より好ましい上限は1.42である。本発明の粘着テープの屈折率の下限は特に限定されず、低いほど好ましい。また、本発明の粘着テープのアッベ数は特に限定されないが、好ましい下限は55、より好ましい下限は60である。本発明の粘着テープのアッベ数の上限は特に限定されず、高いほど好ましい。
なお、粘着テープの屈折率及びアッベ数は、例えば、アッベ屈折計(NAR-1T SOLID、アタゴ社製)を用いて測定することができる。アッベ数νは下記式により求められる。
ν=(nD-1)/(nF-nC)
なお、nDは光の波長589nmでの屈折率であり、nCは光の波長656nmでの屈折率であり、nFは光の波長486nmでの屈折率である。
【0044】
本発明の粘着テープの形状は特に限定されず、正方形や長方形等であってよく、ディスプレイ装置における電子機器部品の固定に用いる場合には、ディスプレイ装置の画面と同じ形状が好ましい。
【発明の効果】
【0045】
本発明によれば、屈折率が低く、アッベ数が高い粘着テープ、及び、該粘着テープからなる電子機器部品固定用粘着テープを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下に実施例を挙げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
【0047】
(実施例1)
(1)(メタ)アクリル共重合体の調製
反応容器内に、重合溶媒として酢酸エチルを加え、窒素でバブリングした後、窒素を流入しながら反応容器を加熱して還流を開始した。続いて、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.1重量部を酢酸エチルで10倍希釈した重合開始剤溶液を反応容器内に投入し、モノマーを2時間かけて滴下添加した。モノマーとしては2,2,2-トリフルオロエチルアクリレート50重量部、エチルカルビトールアクリレート47.7重量部、アクリル酸0.3重量部、及び、2-ヒドロキシエチルアクリレート2重量部を用いた。滴下終了後、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.1重量部を酢酸エチルで10倍希釈した重合開始剤溶液を反応容器内に再度投入し、4時間重合反応を行い、(メタ)アクリル共重合体含有溶液を得た。
得られた(メタ)アクリル共重合体について、カラムとしてGPC LF-804(昭和電工社製)を用いたゲルパーミエーションクロマトグラフ法により、ポリスチレン換算での重量平均分子量(Mw)を求めた。
GPC装置:Waters社製、2690 Separations Model
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流量:0.4mL/min
検出器:示差屈折計RI
カラム温度(測定温度):40℃
注入量:20μL
【0048】
(2)粘着テープの製造
得られた(メタ)アクリル共重合体含有溶液に、(メタ)アクリル共重合体100重量部に対して、シランカップリング剤としてKBM-403(信越化学工業社製)を1重量部、架橋剤としてコロネートL(東ソー社製)を0.5重量部(固体成分比率)加え、粘着剤溶液を調製した。得られた粘着剤溶液を厚み75μmの離型処理したPETフィルム上に、乾燥後の粘着剤層の厚みが35μmとなるように塗工した後、110℃で5分間乾燥させて粘着剤層を形成させた。その後、厚み75μmの離型処理したPETフィルムを粘着剤層にラミネートし、粘着テープを得た。
【0049】
(3)ゲル分率の測定
粘着テープを20mm×40mmの平面長方形状に裁断して試験片を作製し、重量を測定した。試験片を酢酸エチル中に23℃にて24時間浸漬した後、試験片を酢酸エチルから取り出して、110℃の条件下で1時間乾燥させた。乾燥後の試験片の重量を測定し、下記式(1)を用いてゲル分率を算出した。
ゲル分率(重量%)=100×(W2-W0)/(W1-W0) (1)
(W0:基材の重量、W1:酢酸エチル浸漬前の粘着テープ試験片の重量、W2:酢酸エチル浸漬、乾燥後の粘着テープ試験片の重量)
【0050】
(実施例2~7、比較例1~4)
(メタ)アクリル共重合体の組成を表1に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にして、粘着テープを得た。
【0051】
<評価>
実施例及び比較例で得られた粘着テープについて、下記の評価を行った。結果を表1に示した。
【0052】
(1)屈折率及びアッベ数の測定
アッベ屈折計(NAR-1T SOLID、アタゴ社製)を用いて、粘着テープの屈折率(nD、nC及びnF)並びにアッベ数νを測定した。アッベ数νは下記式により求めた。
ν=(nD-1)/(nF-nC)
具体的には、アッベ屈折計にサンプルをセットし、交差している画面内の2本の線の交点に画面中の明暗の界面をあわせ、その時の数値を読み取った。測定は、両面の離型処理PETフィルムを剥がした粘着テープのみでの構成で、温度25℃下で行い、2回の測定の平均値を採用した。なお、nDは光の波長589nmでの屈折率であり、nCは光の波長656nmでの屈折率であり、nFは光の波長486nmでの屈折率である。
nD、nC及びnFの全てが1.45未満であった場合を◎、nD、nC及びnFのうちの少なくとも1つが1.45以上であったものの、nD、nC及びnFの全てが1.455未満であった場合を〇、nD、nC及びnFのうちの少なくとも1つが1.455以上であった場合を×と評価した。アッベ数が60以上であった場合を◎、55以上60未満であった場合を〇、55未満であった場合を×と評価した。
【0053】
(2)全光線透過率及びヘーズの測定
粘着テープの一方の離型フィルムを剥がし、厚み1mmのガラス板に貼り合わせ、もう一方の離型フィルムを剥がして、測定サンプルを作製した。この測定サンプルについて、JIS K7361に準拠し、ヘーズメータ(NDH4000、日本電色工業社製)を用いて全光線透過率及びヘーズを測定した。
【0054】
(3)180°剥離力
粘着テープを25mm幅に裁断した。裁断した粘着テープの一方の離型フィルムを剥がし、室温23℃、相対湿度50%で、2kgの圧着ゴムローラーを用いて300mm/minの速度でガラス板に貼り付けた後、20分間放置した。JIS Z0237に準拠し、引張試験機(オートグラフAGS-X、島津製作所社製)を用いて、粘着テープを300mm/minの速度で引き剥がして180°剥離力を測定した。
【0055】
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明によれば、屈折率が低く、アッベ数が高い粘着テープ、及び、該粘着テープからなる電子機器部品固定用粘着テープを提供することができる。