(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022190687
(43)【公開日】2022-12-26
(54)【発明の名称】容器取り扱い設備をコントロールするための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
B65B 3/04 20060101AFI20221219BHJP
B67C 7/00 20060101ALI20221219BHJP
【FI】
B65B3/04
B67C7/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022094567
(22)【出願日】2022-06-10
(31)【優先権主張番号】10 2021 115 381.6
(32)【優先日】2021-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】508120916
【氏名又は名称】クロネス アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン ポーシェル
【テーマコード(参考)】
3E079
3E118
【Fターム(参考)】
3E079AA10
3E079AB01
3E079BB08
3E079FF01
3E079FF03
3E079GG02
3E118AA02
3E118AB14
3E118BA01
3E118BA03
3E118BA06
3E118BA09
3E118DA01
3E118DA02
3E118DA06
3E118DA10
3E118DA20
3E118EA01
3E118EA06
3E118FA01
3E118FA02
3E118FA03
3E118FA06
(57)【要約】 (修正有)
【課題】容器取り扱い設備のコントロール・システムを改善すること、特にそのパラメータ化を簡素化する。
【解決手段】容器を取り扱うための少なくとも1つの容器取り扱いステーション10,20,30,40,50,60,70,80と、容器取り扱いプロセスをコントロールするための割り当て済みのコントロール手段9,19,29,39とを包含する容器取り扱い設備1をコントロールするための方法であって、コントロール手段から自動プロセス調整のための手段200へ、リアルタイム・プロセス・データを送ることであって、データが、容器取り扱い設備の1つ以上のセンサによって獲得されることと、自動プロセス調整のための手段によって、受け取ったデータに依存して、少なくとも1つのプロセス・パラメータが決定されることと、決定されたパラメータをコントロール手段に書き込み、容器取り扱いステーションのプロセスの調整をもたらすことを包含する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器(100)を取り扱うための少なくとも1つの容器取り扱いステーション(10,20,30,40,50,60,70,80)と、前記容器取り扱いステーション(10,20,30,40,50,60,70,80)の容器取り扱いプロセスをコントロールするための割り当て済みのコントロール手段(9,19,29,39)とを包含する容器取り扱い設備(1)、好ましくは飲料充填設備をコントロールするための方法であって、
前記コントロール手段(9,19,29,39)から自動プロセス調整のための手段(200)へ、リアルタイム・プロセス・データを送ることであって、前記リアルタイム・プロセス・データが、好ましくは前記容器取り扱い設備(1)の1つ以上のセンサ(25a,27)によって獲得されることと、
前記自動プロセス調整のための手段(200)によって、受け取った前記リアルタイム・プロセス・データに依存して、少なくとも1つのプロセス・パラメータが決定されることと、
前記決定されたプロセス・パラメータを前記コントロール手段(9,19,29,39)に書き込み、前記容器取り扱いステーション(10,20,30,40,50,60)の前記容器取り扱いプロセスの調整を結果的にもたらすことと、
を包含する方法。
【請求項2】
少なくとも、前記自動プロセス調整のための手段(200)による1つ以上のプロセス・パラメータの前記決定と、前記決定されたプロセス・パラメータの前記コントロール手段(9,19,29,39)への前記書き込みを包含する前記容器取り扱いステーション(10,20,30,40,50,60)の前記容器取り扱いプロセスの調整が、規則的な時間間隔、好ましくは約1分毎にもたらされることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記コントロール手段(9,19,29,39)が、HMIモジュールを包含するか、またはそれと通信することと、前記HMIモジュール(9a)が、前記容器取り扱いプロセスに関係するユーザ入力を受け取り、それらからユーザ・データを生成し、それらのデータを前記自動プロセス調整のための手段(200)へ送ることと、前記自動プロセス調整のための手段(200)が、前記ユーザ・データを受け取り、さらに、それらに依存する前記少なくとも1つのプロセス・パラメータを決定することとを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記HMIモジュール(9a)が、ポータブル手段、好ましくは、スマートフォンまたはタブレットであることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記HMIモジュール(9a)には、前記ユーザ入力を受け取るユーザ・アプリケーション(9b)がインストールされており、前記ユーザ・アプリケーション(9b)が、好ましくは、前記容器取り扱い設備(1)の、および/またはそれの少なくとも1つの容器取り扱いステーション(10,20,30,40,50,60)の状態および/またはプロセス挙動に関係する質問を前記ユーザに提示することと、前記質問が、ユーザによって、好ましくは複数選択肢、連続テキスト、または音声入力を介して回答されることとを特徴とする、請求項3または4に記載の方法。
【請求項6】
前記自動プロセス調整のための手段(200)へ送られる前記リアルタイム・プロセス・データおよび/または前記HMIモジュール(9a)から受け取られる前記ユーザ・データが、開発手段(300)によって獲得され、プロセス・パラメータを計算するための計算規則の開発に使用されることと、前記計算規則が、好ましくは、自己学習アルゴリズムによって生成および/または最適化されることとを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記自動プロセス調整のための手段(200)が、コンフィグレータ(400)から構成データも受け取り、さらに、前記構成データに依存して前記少なくとも1つのプロセス・パラメータを決定することと、前記構成データが、好ましくは、前記少なくとも1つのプロセス・パラメータおよび/または少なくとも1つの最適化目標を決定するために使用されることになる前記リアルタイム・プロセス・データを決定することとを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つの容器取り扱いステーション(10,20,30,40,50,60)が、充填製品、好ましくは飲料を容器(100)に充填するための充填装置(20)であることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つのプロセス・パラメータが、充填圧力、加圧時間、加圧圧力、充填レート、充填曲線(K)、減圧時間、および/またはタンク圧力のうちの1つ以上を含むこと;および/または前記リアルタイム・プロセス・データが、変数:前記充填製品のブリックス・レベル、前記充填製品のCO2含有量、充填製品の温度、充填レベル、前記充填された容器(100)のヘッドスペースの容積のうちの1つ以上に関係する情報を含むことを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
容器(100)を取り扱うための少なくとも1つの容器取り扱いステーション(10,20,30,40,50,60,70,80)と、前記容器取り扱いステーション(10,20,30,40,50,60,70,80)の容器取り扱いプロセスをコントロールするための割り当て済みのコントロール手段(9,19,29,39)と、自動プロセス調整のための手段(200)とを包含する、容器取り扱い設備(1)、好ましくは飲料充填設備を包含するシステムであって、前記自動プロセス調整のための手段(200)が、
前記コントロール手段(9,19,29,39)から、好ましくは前記容器取り扱い設備(1)の1つ以上のセンサ(25a,27)によって獲得されるリアルタイム・プロセス・データを受け取り、
前記受け取ったリアルタイム・プロセス・データに依存して少なくとも1つのプロセス・パラメータを決定し、かつ、
前記決定したプロセス・パラメータを前記コントロール手段(9,19,29,39)へ書き込み、その結果として、前記容器取り扱いステーション(10,20,30,40,50,60)の前記容器取り扱いプロセスが調整されるべく構成される、システム。
【請求項11】
前記コントロール手段(9,19,29,39)の構成部分であるかまたはそれと通信するHMIモジュール(9a)がさらに備えられることと、前記HMIモジュール(9a)が、前記容器取り扱いプロセスに関係するユーザ入力を受け取り、それらからユーザ・データを生成し、かつそれらのデータを前記自動プロセス調整のための手段(200)へ送るべく構成されることと、前記自動プロセス調整のための手段(200)が、前記受け取ったユーザ・データにさらに依存して前記少なくとも1つのプロセス・パラメータを決定するべく構成されていることと、前記HMIモジュール(9a)が、好ましくはポータブル手段であることと、を特徴とする、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記自動プロセス調整のための手段(200)と通信し、かつ前記自動プロセス調整のための手段(200)へ送られた前記リアルタイム・プロセス・データおよび/または前記HMIモジュール(9a)から受け取った前記ユーザ・データを獲得し、かつそれに依存してプロセス・パラメータを計算するための計算規則を、好ましくは自己学習アルゴリズムの使用によって開発するべく構成される開発手段(300)がさらに備えられることを特徴とする、請求項10または11に記載のシステム。
【請求項13】
前記自動プロセス調整のための手段(200)へ構成データを送るべく構成されたコンフィグレータ(400)がさらに備えられることと、前記自動プロセス調整のための手段(200)が、前記構成データを受け取り、かつ前記受け取った構成データにさらに依存して前記少なくとも1つのプロセス・パラメータを決定するべく構成されることとを特徴とする、請求項10~12のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項14】
前記少なくとも1つの容器取り扱いステーション(10,20,30,40,50,60)が、容器(100)に充填製品を、好ましくは飲料を充填するための充填装置(20)であることを特徴とする、請求項10~13のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項15】
前記少なくとも1つのプロセス・パラメータが、充填圧力、加圧時間、加圧圧力、充填レート、充填曲線(K)、減圧時間、および/またはタンク圧力のうちの1つ以上を含むこと;および/または前記リアルタイム・プロセス・データが、変数:前記充填製品のブリックス・レベル、前記充填製品のCO2含有量、充填製品の温度、充填レベル、前記充填された容器(100)のヘッドスペースの容積のうちの1つ以上に関係する情報を含むことを特徴とする、請求項14に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器取り扱い設備、特に、容器を取り扱うための少なくとも1つの容器取り扱いステーションと、容器取り扱いステーションの容器取り扱いプロセスをコントロールするための割り当て済みのコントロール手段とを包含する飲料充填設備をコントロールするための方法と、容器取り扱い設備を包含するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
飲料の充填、製造、容器の蓋閉め、ラベル付けおよびこれらの類のための設備およびプロセスを含む飲料充填産業においては、ますます複雑なコントロール・システムが、自動的に、または半自動的に産業設備の設定をもたらすために使用されている。たとえば、特許文献1および特許文献2は、充填設備のプロセス・パラメータの自動調整のための方法を述べている。
【0003】
その種の設備のコミッショニングまたは充填されるべき製品または容器フォーマットの変更といった製品タイプの変更は、たとえば、オペレータがHMIモジュール(「ヒューマン・マシン・インタフェース・モジュール」)のメニュー内の以前に作成された製品タイプを選択することによってもたらされる。マシンおよびプロセス・パラメータ(充填圧力、加圧時間、充填曲線等)は、選択される製品タイプについてのデータ・レコードとしてストアされ、設備のコントロールに使用される。それに代えて、製品タイプは、LMS(ライン管理システム)内において集中的に管理されることもあり、要求に応じて対応する設備へ移送される。
【0004】
所望の製品タイプのためのマシンおよびプロセス・パラメータは、ここでは「製品タイプ・パラメータ」とも呼んでいるが、単純な式から複雑な、異なるプロセスおよび環境条件に対して柔軟に反応可能となるための規則ベースの計算原理に至る範囲にわたるアルゴリズムの使用によって決定することができる。これらの製品タイプ・パラメータは、マシンが引き渡され、その後に続いて充填プロセスが決定されるときに、それぞれの製品タイプ毎にコントロール・システム内に実装される。アルゴリズムのための可能性のある入力は、製品固有のパラメータ(たとえば、ブリックス・レベル、CO2含有量、温度等)、容器固有のパラメータ(たとえば、ボトル・サイズ、ヘッドスペース・サイズ、ネック・フィニッシュ断面等)、および環境パラメータであり、その後それらから、対応するマシンおよびプロセス・パラメータが顧客固有のベースでアルゴリズム的に決定される。アルゴリズムもまた、実験室測定を用いて継続的に開発が続けられる。
【0005】
これらの設備のコントロール・システム内に実装された製品タイプ・パラメータは、硬直的であり、製品の変更または環境の変化に応答せず、結果として充填の問題をもたらす可能性がある。設備を、オペレータが手作業によってパラメータ化することは可能であるが、これには、高度に特化された技術的知識が要求される。手作業によるパラメータ化は、しばしばパラメータが互いに依存するという事実によってより困難になる。たとえば、充填圧力の増加は、より長い減圧時間を結果としてもたらす。それに加えて、設備の不正確な運用/パラメータ化は、結果的にダメージと高い費用がもたらされる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許出願公開第3 495 911 A1号明細書
【特許文献2】国際公開第2019/048051 A1号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、容器取り扱い設備、好ましくは飲料充填設備のコントロール・システムを改善すること、特にそのパラメータ化を簡素化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、請求項1の特徴を有する方法によって、また請求項10の特徴を有するシステムによって達成される。有利なさらなる実施態様は、従属請求項、以下の本発明のプレゼンテーション、および例示的な好ましい実施態様の説明の結果から生じる。
【0009】
本発明に従った方法は、容器取り扱い設備をコントロールするための方法である。前記容器取り扱い設備は、容器を取り扱うための少なくとも1つの容器取り扱いステーションと、前記容器取り扱いステーションの容器取り扱いプロセスをコントロールするための割り当て済みのコントロール手段とを包含する。前記コントロール手段は、前記容器処理ステーションの構成部分とすること、または、たとえば、より高いレベルの設備コントロール・システムの場合において、それに直接または間接的に割り当てることができる。
【0010】
前記容器取り扱い設備は、前記容器に対して複数の取り扱い動作または取り扱いステップを行うことが可能となるように、複数の容器取り扱いステーションを包含することができる。前記容器取り扱い設備は、たとえば、次に挙げる容器取り扱いステーションのうちの1つ以上を包含することができる:容器を製造するための装置;充填製品を前記容器に充填するための装置;それぞれに1つの容器クロージャを用いて前記容器を閉じるための装置;前記容器にラベル付けするための装置;前記容器の品質を検査するための装置;容器を一時的にバッファするため、および設備の部分の間において異なる処理/輸送の速度を補償するためのバッファ;充填済みの前記容器を梱包するための梱包装置。
【0011】
特に好ましくは、前記容器取り扱い設備が、飲料充填設備であり、その結果、少なくとも1つの前記容器取り扱いステーションが、前記容器に充填製品を導入するべく構成された充填装置となる。
【0012】
本発明によれば、リアルタイム・プロセス・データが、前記コントロール手段から自動プロセス調整のための手段へ送られる。前記自動プロセス調整のための手段は、好ましくは外部手段であり、すなわち、この場合においては、前記容器取り扱い設備と物理的に分離されている。前記リアルタイム・プロセス・データは、前記容器取り扱いプロセスを監視する対応するセンサによって得ることができる。前記リアルタイム・プロセス・データは、たとえば、温度、圧力、充填レベル、およびこれらの類に関係する。リアルタイム・プロセス・データは、ここでは用語「センサ」の下に含められる1つ以上のカメラによっても獲得することができる。
【0013】
前記自動プロセス調整のための手段は、受け取ったリアルタイム・プロセス・データを使用することによって、すなわち考慮に入れて少なくとも1つのプロセス・パラメータを決定する。プロセス・パラメータは、前記容器取り扱い設備、または前記それぞれの容器取り扱いステーション(1つ以上)のコントロールに使用される。概して、前記自動プロセス調整のための手段は、前記リアルタイム・プロセス・データから、たとえば、設定されることになる充填曲線、圧力、加圧および/または減圧時間、およびこれらの類といった複数のプロセス・パラメータを決定する。
【0014】
このようにして決定された前記少なくとも1つのプロセス・パラメータは、前記自動プロセス調整のための手段によって、前記それぞれの容器取り扱いステーションの前記コントロール手段に書き込まれ、結果として前記容器取り扱いプロセスの調整がもたらされる。
【0015】
したがって、前記容器取り扱い設備の場所において、設備のコミッショニングおよび運用に要求される専門知識は、設備の構成およびコントロールが、少なくとも部分的に前記自動プロセス調整のための手段にアウトソーシングされることから、実質的により少なくなる。このようにして最適化された容器取り扱い設備は、特に柔軟に構成すること、および全体的により安定した態様で動作することが可能である。前記設備のコミッショニング、製品タイプの変更、パフォーマンスの最適化、トラブルシューティング等は、実質的により迅速、かつより安全になる。このことは、また、必要とされるトレーニングの量も低減され、前記容器取り扱い設備のユーザの側に人員変動があった場合に生じる問題をより少なくする。また、集中型最適化は、顧客側の無駄の低減も補助する。
【0016】
それに加えて、前記容器取り扱い設備からのデータの中央フィードバックおよび関連付けされた処理手順が生成され、現場における実際の値に基づいた設計が可能になる。この「フィードバック・ループ」は、現場からの実際のデータの流れが、設備の設計のため、実験室のため、および新しい、さらなる開発のために利用可能になることから、製造者側における製品開発および製品改善を加速する。
【0017】
前記コントロール手段と前記自動プロセス調整のための手段の間における通信は、無線または有線、デジタルまたはアナログとすることができる。このことは、この中に述べられている、互いに通信する、すなわち少なくとも1つの方向においてデータ/信号を送り、かつ/または受け取るほかのすべての電子手段に等しく適用される。
【0018】
好ましくは、前記容器取り扱いステーションの前記容器取り扱いプロセスの調整が、前記自動プロセス調整のための手段によって、規則的な時間間隔、たとえば1分毎にもたらされる。このようにして、特に安定した動作を確保することが可能である。この場合の前記調整は、少なくとも、前記自動プロセス調整のための手段による1つ以上のプロセス・パラメータの決定と、前記決定したプロセス・パラメータの前記コントロール手段への書き込みを包含する。前記リアルタイム・プロセス・データの読み出しは、必須ではないが、同一の頻度でもたらすことができる。それに代えて、またはそれに加えて、イベントによって前記プロセスの調整をトリガすることができる。その種のイベントは、前記リアルタイム・プロセス・データによって、たとえばスレッショルド値を超えた場合、または達成されなかった場合、またはマシンの構成の変更によってトリガすることができる。
【0019】
好ましくは、前記コントロール手段が、ヒューマン・マシン・インタフェース(「HMI」)モジュールを包含するか、またはそれと通信する。前記HMIモジュールは、前記容器取り扱いプロセスに関係するユーザ入力を受け取り、それらからユーザ・データを生成し、それらのデータを前記自動プロセス調整のための手段へ送る。前記自動プロセス調整のための手段が、この場合においては、前記プロセス・パラメータまたは複数のプロセス・パラメータの生成において受け取った前記ユーザ・データを考慮に入れ、すなわち前記プロセス・パラメータが前記ユーザ・データに依存する。このようにしてユーザ入力は、外部処理することが可能であり、かつ前記設備の動作に組み入れられ、その結果、現場の前記コントロール手段、データベース、アルゴリズム等をより複雑でなくすることが可能であり、そのことは、その種の容器取り扱い設備を取得し、運用する費用を低減するだけでなく、前記設備の動作の安定性および柔軟性にも寄与する。
【0020】
前記HMIモジュールは、前記ユーザが、場所と関係なく所望の情報を提供することが可能となるように、好ましくはポータブル手段、たとえば、スマートフォンまたはタブレットとする。
【0021】
前記ユーザまたはオペレータによって提供された前記ユーザ・データは、たとえば、前記容器取り扱い設備の現在の状態、たとえば、不良品、周囲温度、充填製品の品質等に関係する情報と関係させること、および/または、たとえば製品タイプの変更の場合においては、所望の状態と関係させることができる。この目的のために、前記HMIモジュールには、好ましくは、可能な限りユーザ・フレンドリな態様で前記ユーザ入力を受け取るユーザ・アプリケーションがインストールされる。前記ユーザ・アプリケーションの複雑性は、オペレータの技術的専門知識に合わせて適合させることができ、好ましくは前記ユーザに、前記容器取り扱い設備および/またはそれの少なくとも1つの容器取り扱いステーションの状態および/またはプロセス挙動に関係する質問を提示し、前記ユーザによってそれが、たとえば、複数の選択肢、連続テキスト、または音声入力を介して回答される。
【0022】
好ましくは、前記自動プロセス調整のための手段へ送られる前記リアルタイム・プロセス・データおよび/または前記HMIモジュールから受け取った前記ユーザ・データが、開発手段によっても獲得される。前記開発手段は、これらのデータを使用してプロセス・パラメータまたは構成データを計算するための計算規則を開発する。開発手段へのデータのフィードバックの結果として、製造者側においては、製品開発および製品改善を有意に簡素化すること、および加速することが可能になる。
【0023】
したがって、たとえば、製品タイプ・パラメータのための計算規則を、前記開発手段によって開発および/または最適化することができる。これらの計算規則は、たとえば、製品変数(ブリックス・レベル、CO2含有量、製品の温度等)、容器フォーマット変数(容器の容積、ヘッドスペースの容積、ネック・フィニッシュの断面、容器の形状、容器の材料等)、設備の生産能力、およびこれらの類を入力として受け取り、選択可能な構成として前記対応するコントロール手段内にストアされること、または前記自動プロセス調整のための手段によって使用されることが可能な関連付けされたプロセス・パラメータを計算する。上記の計算規則は、実践的な応用からの前記容器取り扱い設備の前記データ・フィードバックの結果として、計算規則およびプロセス・パラメータの連続的な最適化が可能となるように自己学習アルゴリズムによって最適化することができる。用語「計算規則」が、この場合においては、単純な計算式から複雑なアルゴリズムまでの範囲にわたる。
【0024】
好ましくは、前記自動プロセス調整のための手段が、さらにコンフィグレータから構成データも受け取る。前記構成データは、たとえば、前記少なくとも1つのプロセス・パラメータおよび/または少なくとも1つの最適化目標(充填機のパフォーマンス、不良品の最少化等)を決定するために使用されることになる前記リアルタイム・プロセス・データを決定する。前記構成データは、前記自動プロセス調整のための手段によって、前記プロセス・パラメータを決定する目的のために考慮される。このようにして、前記自動プロセス調整のための手段と、したがって間接的に前記容器取り扱い設備を、必須の専門知識が現場で利用可能でなければならないということを伴わずに、迅速かつ容易に構成することが可能である。
【0025】
好ましくは、前記少なくとも1つの容器取り扱いステーションを、容器に充填製品を充填するための充填装置とする。可能性のある充填製品は、特に好ましくは、飲料、たとえば水(真水または炭酸水)、ソフト・ドリンク、ジュース、ビール、ワイン、乳製品、混合酒、およびこれらの類である。充填装置は、それらの機械的設計の点から見て複雑であり、それらのコミッショニング、構成等が、通常、徹底した技術的な知識なしに可能となることは殆どない。これらのタスクの部分的または完全な(外部)自動プロセス調整のための手段へのアウトソーシングは、したがって、充填装置を包含する飲料充填設備の場合に特に重要である。
【0026】
この場合においては、前記自動プロセス調整のための手段によって決定された前記プロセス・パラメータが、たとえば、次のうちの1つ以上を含むことができる:充填圧力、加圧時間、加圧圧力、充填レート、充填曲線、減圧時間、および/またはタンク圧力。それに代えて、またはそれに加えて、獲得されることになる前記リアルタイム・プロセス・データは、次に挙げる変数のうちの1つ以上に関係する情報を含むことができる:前記充填製品のブリックス・レベル、前記充填製品のCO2含有量、充填製品の温度、充填レベル、前記充填された容器のヘッドスペースの容積。
【0027】
前述した目的は、以上に加えて、容器を取り扱うための少なくとも1つの容器取り扱いステーションと、前記容器取り扱いステーションの容器取り扱いプロセスをコントロールするための割り当て済みのコントロール手段と、自動プロセス調整のための手段とを包含する、容器取り扱い設備、好ましくは飲料充填設備を包含するシステムによって達成される。
【0028】
前記自動プロセス調整のための手段は、前記コントロール手段から、好ましくは前記容器取り扱い設備の1つ以上のセンサによって獲得されるリアルタイム・プロセス・データを受け取り、前記受け取ったリアルタイム・プロセス・データを考慮に入れて、すなわちそれに依存して、少なくとも1つのプロセス・パラメータを決定し、かつ、前記決定した少なくとも1つのプロセス・パラメータを前記コントロール手段へ書き込み、その結果として、前記容器取り扱いステーションの前記容器取り扱いプロセスが調整されるべく組み立てられ、かつ構成される。
【0029】
方法に関して上に述べられている技術的な効果、利点、および実施態様は、このシステムにも類似的に適用される。
【0030】
したがって、上に述べられている理由のため、前記コントロール手段の構成部分であるかまたはそれと通信するHMIモジュールが好ましく備えられ、前記HMIモジュールは、前記容器取り扱いプロセスに関係するユーザ入力を受け取り、それらからユーザ・データを生成し、かつそれらのデータを前記自動プロセス調整のための手段へ送るべく構成され、前記自動プロセス調整のための手段が、この場合においては、前記受け取ったユーザ・データをさらに考慮に入れて前記少なくとも1つのプロセス・パラメータを決定するべく構成される。この場合において、好ましくは前記HMIモジュールが、インストール済みのユーザ・アプリケーションを有するスマートフォンまたはタブレット等のポータブル手段である。
【0031】
好ましくは、上に述べられている理由のために、前記システムがさらに、前記自動プロセス調整のための手段と通信し、かつ前記自動プロセス調整のための手段へ送られた前記リアルタイム・プロセス・データおよび/または前記HMIモジュールから受け取った前記ユーザ・データを獲得し、かつそれを考慮に入れてプロセス・パラメータを計算するための計算規則を、好ましくは自己学習アルゴリズムの使用によって開発するべく構成される開発手段を包含する。
【0032】
好ましくは、上に述べられている理由のために、前記システムがさらに、前記自動プロセス調整のための手段へ構成データを送るべく構成されたコンフィグレータを包含し、この場合においては、前記自動プロセス調整のための手段が、前記構成データを受け取り、かつ前記受け取った構成データをさらに考慮に入れて前記少なくとも1つのプロセス・パラメータを決定するべく構成される。
【0033】
好ましくは、上に述べられている理由のために、前記少なくとも1つの容器取り扱いステーションを、容器に充填製品を、特に飲料を充填するための充填装置とする。
【0034】
この場合においては、前記自動プロセス調整のための手段によって決定された前記プロセス・パラメータが、次のうちの1つ以上を含む:充填圧力、加圧時間、加圧圧力、充填レート、充填曲線、減圧時間、および/またはタンク圧力。この目的のために、獲得されることになる前記リアルタイム・プロセス・データは、次に挙げる変数のうちの1つ以上に関係する情報を含むことができる:前記充填製品のブリックス・レベル、前記充填製品のCO2含有量、充填製品の温度、充填レベル、前記充填された容器のヘッドスペースの容積。
【0035】
本発明のさらなる利点および特徴は、以下の好ましい例示的な実施態様の説明から明らかになるであろう。その中で述べられる特徴は、上に示した特徴を単独でまたは1つ以上との組み合わせで、それらの特徴が相互に衝突しない限りにおいて実装することができる。以下、添付図面を参照して好ましい例示的な実施態様を説明する。
【0036】
以下、本発明の好ましいさらなる実施態様を、次に挙げる図面の説明によってより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】例示的な実施態様に従った、容器に充填製品を充填するための装置を包含する飲料充填設備を有するシステムを略図的に表現した図である。
【
図2】例示的な実施態様に従った、容器に充填製品を充填するための装置を略図的に表現した図である。
【
図3】容器内へ充填製品が導入されるときの充填レートを時間の関数として示した充填曲線の例を示す。
【
図4】例示的な実施態様に従った、充填プロセスの最適化を略図的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下においては、図面に基づいて好ましい例示的な実施態様を説明する。これらの図面においては、まったく同じ、または類似、または同等な効果の要素が、まったく同じ符合によって示され、場合によっては、冗長性を回避するために、それらの要素の説明を繰り返さない。
【0039】
図1は、略図的に表された、複数の容器取り扱いステーションを包含する飲料充填設備1を有するシステムを示している。飲料充填設備1は、容器取り扱い設備の一例であり、この場合の容器取り扱いステーションのうちの少なくとも1つは、容器(
図1には図示せず)に充填製品を、特に飲料を充填するための装置20である。
【0040】
この例示的な実施態様によれば、飲料充填設備1は、次に挙げる容器取り扱いステーションを包含する:容器を製造するための装置10、ここでは「容器製造装置」とも呼ぶ;充填製品を容器に充填するための装置20、ここでは「充填装置」とも呼ぶ;容器クロージャ、たとえば、王冠コルクまたはねじキャップを用いて容器のそれぞれを閉じるための装置30、ここでは「蓋閉め装置」とも呼ぶ;容器をラベル付けするための装置40、ここでは「ラベル付け装置」とも呼ぶ;充填され、ラベル付けされた容器を一時的にバッファするため、また設備の部分の間における異なる処理/輸送の速度を補償するバッファ50;容器を梱包するための梱包装置60;層を作成するためのロボット70;および、梱包済みの容器を荷物運搬具上にパレタイズするパレタイザ80。
【0041】
飲料充填設備1は、したがって、たとえば容器の製造からそれらの充填、蓋閉め、ラベル付け、および梱包まで、連続的に通過される1つ以上の容器取り扱いステーションを包含する。この目的のために、容器、またはブロー成形または延伸ブロー成形前の容器の予備段階にあるそれらの予備成形品がコンベア経路に沿って輸送される。輸送は、コンベア・ステア、コンベア・ベルト、およびこれらの類を用いてもたらされ、
図1には、それらが略図的に部分的に表されている。予備成形品、容器、容器クロージャ、およびそれらのために構成されたホルダ/クランプは、明瞭性の理由のため、
図1には表されていない。コンベア・ステアまたはコンベア・ベルト等の輸送手段は、運搬のために単独で使用されることもあり、あるいは処理ステーションに適切な取り扱い要素が装備されることもある。
【0042】
図1に示されている飲料充填設備1の容器取り扱いステーションは、単なる例示に過ぎない。容器取り扱い設備または飲料充填設備1は、したがって、たとえばクリーニング装置、品質保証のための、たとえば充填済み容器の中に異物粒子が混入したか否かを検査するため検査装置、およびこれらの類といったさらなる、または代替の容器取り扱いステーションを装備することができる。同様に、たとえば、容器がすでに充填されるべき最終形態で引き渡される場合における容器製造装置10、バッファ50、梱包装置60、および/またはそのほか等のステーションを省略することもできる。
【0043】
容器製造装置10は、プラスチック、好ましくはPETから作られる予備成形品を準備し、かつ予熱するための手段11を有する。このようにして準備された予備成形品は、ブロー成形手段12へ移送され、それにおいて加熱された予備成形品がブローまたは延伸ブローによって膨張されて、充填されるべき容器が形成される。この目的のために、予備成形品に所望の容器形状をもたらすために、予備成形品に、キャビティの輪郭が容器に意図された外側の形状に対応するブロー型内において加圧下のガスが供給され、また、延伸ブローの場合においても、延伸ロッド/延伸バーを使用して膨張される。容器製造装置10は、ここに表されていないが、さらに容器のクリーニング、滅菌、および/またはコーティングのための装置を含むことができる。
【0044】
このようにして製造された容器は、充填装置20へ移送される。
図1および2の例示的な実施態様においては、充填装置20が、回転設計に基づく。この目的のために、装置は、容器内へ充填製品を導入するべく構成された多数の充填要素(
図1には表されていない)が外周に備えられた充填機カルーセル21を包含する。充填装置20は、たとえば、飲料水の流れにシロップを混合することによって複数の成分からなる充填製品を製造するべく構成されたミキサ20aを包含することができる。
【0045】
充填の後の容器は、蓋閉め装置30へ移送されるが、それも同様に回転設計のものとすることができる。この目的のために、蓋閉め装置30は、容器クロージャを用いて充填済み容器を閉じるべくそれぞれが構成された多数の蓋閉め要素(
図1には表されていない)が外周に備えられた蓋閉めカルーセル31を包含する。
【0046】
充填装置20から蓋閉め装置30への充填済み容器の移送は、充填機カルーセル21から蓋閉めカルーセル31へ直接、または1つ以上の移送ステアを用いてもたらすことができる。それに代えて、充填装置20および蓋閉め装置30は、充填および蓋閉めプロセスが、1つの同一の取り扱いカルーセルの異なる取り扱い角度においてもたらされる充填機/蓋閉め機を形成するべく統合することができる。
【0047】
充填製品を容器100に充填するための例示的な装置20が略図的に
図2に示されている。
【0048】
図2に示されている例示的な実施態様においては、充填装置20が、バルブ口23aを介して充填製品を容器100に導入する充填バルブ23を包含する。可能性のある充填製品は、好ましくは、飲料、たとえば水(真水または炭酸水)、ソフト・ドリンク、ジュース、ビール、ワイン、乳製品、混合酒、およびこれらの類である。
【0049】
充填プロセスの間にわたって、容器100のネック・フィニッシュ110が、好ましくは充填バルブ23と圧密接触し、充填プロセスが対圧プロセスまたは負圧プロセスとして行われることを可能にする。しかしながら、充填製品が自由噴流領域を抜けた後に容器100のネック・フィニッシュ110内へ充填されるように、充填バルブ2を自由噴流バルブとして具現することもできる。さらに、充填プロセスおよび、適切であれば、その後に続く容器100の蓋閉めを、たとえば、充填製品が泡立つ傾向を打ち消すために、または定義済みのガス雰囲気中および/または負圧またはゲージ圧力の下において容器100を閉じるために、定義された圧力を伴う定義された雰囲気を提供することを可能にする圧密かつ真空密の取り扱いチャンバ(図中には示されていない)内においてもたらすことができる。
【0050】
充填の間においては、充填されるべき容器100が、容器ホルダ24によって充填バルブ23に、またはそれの下に保持される。容器ホルダ24は、ここには図示されていないが、充填されるべき容器100をネック領域において、たとえば容器100のネック・リングの真下を保持するための保持クランプ24aを好ましく有する。これは、容器100の「ネック・ハンドリング」とも呼ばれる。「ネック・ハンドリング」は、特に、PETボトルの形式のプラスチック容器の充填において使用される。図に示されていない代替においては、充填されるべき容器100を、それのベース領域において、たとえば充填されるべき容器100が立てられるガイド・プレートによって保持または支持することもできる。これは、容器100の「ベース・ハンドリング」とも呼ばれる。「ベース・ハンドリング」は、特に、ガラス・ボトルの充填のために使用される。同様に図に示されていない代替においては、充填されるべき容器100を、容器本体またはボトルの腹の領域で保持および/または支持し、または別の適切な態様で保持および/または支持し、かつ輸送することができる。
【0051】
特に好ましくは充填バルブ23が、バルブ口23aの前、すなわちバルブ口23aの上流に位置決めされる比例バルブ23bとして具現されるか、またはそれを包含する。オプションとして、バルブ口23aの領域内に遮断バルブを備えて、必要に応じてバルブ口23aを開/閉することができる。比例バルブ23bは、充填製品の体積流量を変化させるべく構成され、したがって、単位時間当たりに容器100内に導入される充填製品の量を規制する。ねらいは、概して充填レートまたは体積流量の時間依存関数である定義済みの充填曲線に沿った効率的で正確であり、かつ製品を節約する充填を確保することである。
【0052】
比例バルブ23bは、たとえば、充填製品が通って流れる環状ギャップがその寸法において変更可能な方法で組み立てることができる。比例バルブ23bの動作位置、したがって、たとえば現在切り替えられている環状ギャップのサイズ/寸法が既知であり、かつ、たとえば、比例バルブ23bを駆動するステッパ・モータの使用によって再現可能な態様で設定することが可能である。
【0053】
比例バルブ23bは、充填曲線(
図3参照)の1つ以上の特性、たとえば、所望の充填レベルに到達したときの充填終了、または充填曲線全体等の定義に使用することが可能である。
【0054】
充填製品は、充填されるべき容器100内にそれが実際に充填される前に一時的に充填製品リザーバ25内に貯蔵され、ここではその充填製品リザーバ25が、回転充填機の中央タンクの形式で示されている。代替実施態様においては、充填製品リザーバ25を、リング・タンク、リング・ライン、または分配器供給口の形式で具現することもできる。
【0055】
充填製品リザーバ25内においては、充填製品が特定の充填レベルまで充填され、そこから、ここではそれが例示的な第1のライン部分セクション26a、第2のライン・セクション26b、第3のライン・セクション26c、および第4のライン・セクション26dを有する充填製品ライン26を介して充填バルブ23へ流れ、そこから充填されるべき容器100内に導入することが可能である。
【0056】
充填製品の流れのコントロールまたは規制のための比例バルブ23bに加えて、充填製品ライン26を通って流れる充填製品の流体量または体積流量を検出するために構成された流量計27がさらに備えられる。流量計27を用いて、必要な場合には、容器100内に導入される充填製品の量を、たとえば、決定された体積流量の積分または合計によって決定することも可能である。このようにして容器100内の充填製品が所望のレベルに到達した後は、充填プロセスを、比例バルブ23bを閉じることによって、および/またはここで図示されていない遮断バルブを閉じることによって終了することが可能である。流量計27の代替として、そのほかのセンサ、たとえばロード・セルおよび/または短絡プローブ等を使用することもできる。それに代えて、たとえば、体積流量を決定するための計算モデルに基づく時間充填プロセスが使用される場合には、センサを省くことが可能である。
【0057】
比例バルブ23bを含む充填バルブ23、流量計27、およびライン・セクション26b、26c、および26d等の充填製品ライン26のセクションは、概念的および/または構造的な単位、または構成要素を形成することができ、ここではそれを充填要素22と呼ぶ。
【0058】
図2に示されている充填装置20は、充填製品リザーバ25と流体的に接続された充填要素22を1つだけ示している。しかしながら、好ましくは、充填装置20が、たとえば共通の充填製品リザーバ25の周囲、かつ充填機カルーセル21(
図1参照)の外周上に配され、それによって回転充填機を形成するように多数の充填要素22を有する。充填機カルーセル21は、回転の間に容器100を充填し、同時に円形軌道に沿ってそれらを輸送するために、略図的に示されているが、回転軸R周りに回転する。たとえば、充填されるべき容器100の流れが回転充填機へ供給されて効率的な態様での充填が実行可能となるように、充填機カルーセル21の周囲に20または50を超える数の充填要素22が配されることがある。
【0059】
充填装置20は、充填要素22の構成部分として、またはそれの外部に1つ以上のフィルタ28を包含することができ、好ましくは、それが充填製品ライン26の第1のセクション26aと第2のセクション26bの間に配される。フィルタ28は、たとえば、粒子、ウィルス、バクテリア、細菌、菌類等を充填製品から漉し取るために充填前の充填製品のクリーニングを行うべく構成される。
【0060】
充填製品リザーバ25内の充填製品の現在の充填レベルは、たとえば充填レベル・プローブ25aを用いて測定することができる。
【0061】
充填装置20は、さらに、充填要素22と通信するべく構成された充填機コントロール・システム29を包含する。特に、充填機コントロール・システム29は、流量計27によって決定された体積流量値の使用によって比例バルブ23bの現在の動作位置を定義するために比例バルブ23b、充填レベル・プローブ25a、および流量計27と通信する。さらにまた、充填製品リザーバ25の内の充填レベルの評価を、充填機コントロール・システム29を用いてもたらすことができる。充填レベル・プローブ25aおよび流量計27は、たとえば、充填プロセスを監視するためのセンサである。
【0062】
図1に戻って参照するが、そのほかの容器取り扱いステーションもまた対応するコントロール手段を装備することができる;例として容器製造コントロール・システム19および蓋閉めコントロール・システム39が示されている。これらの個別のコントロール手段19、29、39は、インターネット・ベースおよび/またはクラウド・ベースのアプリケーションの構成部分として、またはそのほかの方法で集中的に、または分散させて実装することができ、また必要であればデータベースにアクセスすることもできる。コントロール手段19、29、39の互いとの、および/またはより高いレベルの設備コントロール・システム9との、および/またはコントロールされるべき構成要素、読み取られるべきセンサとの通信は、無線または有線、デジタルまたはアナログとすることが可能である。さらにまた、コントロール手段9、19、29、39が別々の手段によって実装される必要はなく、部分的に、または完全に統合することができる。
【0063】
設備コントロール・システム9は、たとえば、従属するステーション固有のコントロール手段19、29、39との通信を介して飲料充填設備1の多様なステーションを監視および/またはコントロールするLMS(ライン管理システム)として具現することができる。
【0064】
充填機コントロール・システム29(可能性として、設備コントロール・システム9との組み合わせで作用する)は、充填製品が所望の量および所望のレートにおいて容器100内に導入されるような方法で、充填装置20の充填要素22をコントロールするべく構成される。この目的のために、充填機コントロール・システム29またはシステム・コントロール・システム9内にストアされた、充填装置20のプロセスの挙動を指定する1つ以上のプロセス・パラメータ・セット、たとえば、圧力、減圧時間、およびこれらの類が存在することがある。これらのパラメータ・セットは、一般にプリセットされ、また、たとえば、充填されることになる異なる充填製品タイプに割り当てることができる。
【0065】
もっとも単純な場合においては、充填製品が、一定の流速で、または一定の体積流量で容器100内に導入される。より複雑な、充填製品が容器100内に導入されるときの流速を時間の関数として表した例示的な充填曲線Kを
図3に示す。この例示的な実施態様によれば、充填曲線Kを、3つのセクションKA、KB、およびKCに分割することができる。
【0066】
充填動作の開始時の充填曲線のセクションKAにおいては、容器100内に特定の量、たとえば795mlが存在するまで、主流速、たとえば170ml/秒の充填がもたらされる。その後、充填曲線のセクションKBにおいては、たとえば100ml/秒の最終流速まで流速が減じられる。最終流速は、たとえば890mlの充填量において到達する。この最終流速が、その後、充填曲線のセクションKCにおいて、所望の充填量、たとえば、1000mlに到達して充填が完了するまで使用される。これは、定格動作における充填時間を与える。
【0067】
充填曲線Kの実際の形状は、充填されることになる充填製品、容器フォーマット(サイズ、ジオメトリ、材料等)、充填機のアウトプット、およびそのほかの変数に依存することが可能である。飲料充填設備1のコミッショニング、製品タイプの変更、容器フォーマットの変更、またはこれらの類は、たとえば、オペレータがHMIモジュール9a(「ヒューマン・マシン・インタフェース・モジュール」)(
図1参照)のメニュー内の以前に作成された構成を選択することによってもたらされる。HMIモジュール9aは、設備コントロール・システム9の一部とすること、またはそれと通信することができる。それに代えて、またはそれに加えて、HMIモジュール9aは、従属コントロール手段19、29、39のうちの1つ以上と通信することもできる。HMIモジュール9aは、モバイル通信手段、たとえば、タブレットまたはスマートフォンとすることができる。
【0068】
選択された構成のうち、プロセス・パラメータ(充填圧力、加圧時間、充填曲線等)が、設備コントロール・システム9および/またはコントロール手段10、29、39内に、飲料充填設備1のコントロールに使用されるデータ・レコードとしてストアされる。
【0069】
設備コントロール・システム9および/または従属コントロール手段19、29、39のうちの1つが、飲料充填設備1の自動プロセス調整のための電子手段200と通信する。手段200は、ここでは「プロセス調整手段」とも呼ばれ、たとえば、容器取り扱い設備または飲料充填設備1の製造者のアクセス範囲内にある外部コントロール・システムである。
【0070】
プロセス調整手段200は、たとえば、センサ・データ、操作人員からの入力、カメラ記録等々の飲料充填設備1のリアルタイム・プロセス・データから調整後のプロセス・パラメータを計算し、好ましくは周期的に、たとえば1分毎に、設備コントロール・システム9および/または対応する容器取り扱いステーションの従属コントロール手段19、29、39に書き込み、任意の変更に対して処理動作がリアルタイムで調整されることを可能にする。この場合において、あらかじめ定義済みのプロセス・パラメータ・セットを直接上書きすることが可能であるか、またはそれに代えて、プロセス調整手段200によって生成/最適化されたプロセス・パラメータが別の場所に書き込まれ、対応するコントロール手段9、19、29、39によってそこから読み出されて使用される。
【0071】
充填装置20に関して述べると、プロセス調整手段200は、リアルタイム・プロセス・データから、たとえば充填圧力、加圧時間、充填レート、充填曲線K、休止(1つ以上)、および減圧時間(1つ以上)等のプロセス・パラメータを計算すること、および必要であれば、変更することができる。
【0072】
それに代えて、またはそれに加えて、プロセス調整手段200によって計算された調整済みのプロセス・パラメータを、オペレータによるHMIモジュール9aへの入力を考慮に入れて最適化することができる。この目的のために、HMIモジュール9aに、オペレータの入力またはそれから導かれたデータをプロセス調整手段200へ送るユーザ・アプリケーション9b(
図4参照)を装備することができる。好ましくは、ユーザ・アプリケーション9bが、オペレータに、飲料充填設備1および/または1つ以上の容器取り扱いステーション、たとえば充填装置20等の状態および/またはプロセスの挙動に関係する質問を提示するべく構成される。これらの質問は、たとえば、複数の選択肢、連続テキスト、音声入力、または別の適切な態様を介してオペレータによって回答される。
【0073】
相応じてHMIモジュール9aを介してプロセス調整手段200へ伝達される、ユーザ・アプリケーション9bの補助を伴うプロセス・パラメータのその種の最適化は、コミッショニング、製品タイプの変更、トラブルシューティング等のために飲料充填設備1の場所において必要とされる専門知識が実質的により少なくなるという利点を有する。好ましくは製造者とともに置かれるプロセス調整手段200へのデータの中央フィードバックは、飲料充填設備1の運用を簡素化し、かつ安定化させる。それに加えて、より少ない製品タイプ、容器フォーマット等を、設備コントロール・システム9または従属コントロール手段19、29、39内にあらかじめ構成することが可能であり、そのことが、飲料充填設備1の運用および取り扱いをさらに簡素化する。
【0074】
プロセス調整手段200へ送られるリアルタイム・プロセス・データおよび/またはユーザ・アプリケーション9bを介して開始される最適化もまた獲得され、飲料充填設備1をコントロールするためのプロセス・パラメータを得る計算規則(計算式、アルゴリズム等)の開発に使用することができる。この目的のために、プロセス調整手段200と通信するか、またはそれの構成部分となる、リアルタイム・プロセス・データおよび/またはユーザ・アプリケーション9bを介して開始された最適化から、プロセス・パラメータを決定するための計算規則を生成および/または最適化するべく構成される開発手段300を提供することができる。開発手段300は、したがって、たとえば充填装置20の製品タイプ・パラメータのための計算規則を開発および/または最適化することができる。これらの計算規則は、たとえば、製品変数(ブリックス・レベル、CO2含有量、製品の温度等)、容器フォーマット変数(容器の容積、ヘッドスペースの容積、ネック・フィニッシュの断面、容器の形状、ネック・フィニッシュの形状、容器の材料等)、設備のアウトプットおよびこれらの類を入力として受け取り、選択可能な構成として設備コントロール・システム9および/または対応するコントロール手段19、29、39内にストアされるか、または対応するコントロール手段9、19、29、39によって自動的に使用される関連付けされるプロセス・パラメータを計算する。実際問題として連続的かつ大幅に自動化された計算規則の最適化をはじめ、プロセス・パラメータが、飲料充填設備1のデータ・フィードバックに起因してもたらされることが可能となるように、上記の計算規則を自己学習アルゴリズムによって最適化することができる。
【0075】
図4は、例示的な実施態様に従った、充填プロセスの最適化の略図的なブロック図を示している。
【0076】
この例においては、プロセス調整手段200が、自動プロセス調整の目的のために、容器製造コントロール・システム19および充填機コントロール・システム29からリアルタイム・プロセス・データを獲得する。センサ、カメラ等によって記録されるリアルタイム・プロセス・データは、たとえば、現在の充填レベル、製品の品質(ブリックス・レベル、CO2含有量等)、過発泡の傾向、フロースルー測定、圧力、およびこれらの類を含む。
【0077】
プロセス調整手段200は、さらに、コンフィグレータ400からの、たとえば、最適化においてどのリアルタイム・プロセス・データを使用するか、どのような最適化の目標(充填機のパフォーマンス、不良品の最少化等)に向けてそれらが処理されるべきかといったことを決定するプロセス調整手段200の処理動作を構成する構成データを関係させる。構成データは、HMIモジュール9aからのユーザ入力の結果として生じること、またはそれを考慮に入れることができる。
【0078】
プロセス調整手段200は、たとえば、受け取ったデータの品質を検査するための検査セクション210と、コンピューティング動作のためのプログラマブル・ロジック・セクション220と、誤りの訂正および/または報告のための誤り処理セクション230とを装備する。上記の、容器製造コントロール・システム19、充填機コントロール・システム29、コンフィグレータ400、およびHMIモジュール9aからの入力から、プロセス調整手段200は、充填装置20のコントロールに使用されるプロセス・パラメータを計算する。充填装置20に焦点を当てれば、次に挙げるプロセス・パラメータを、たとえば自動的に設定することができる:充填圧力、加圧時間、加圧圧力、充填レート、充填曲線、減圧時間、および/またはタンク圧力。このようにして最適化されたプロセス・パラメータは、製品タイプに割り当てること、または別の方法で構造化することができる。さらにまた、計算されたプロセス・パラメータは、充填装置のコントロールに直接使用すること、または対応するコントロール手段にそれらのプロセス・パラメータを書き込み、それによって取り扱いプロセスに影響を及ぼすことができる。充填装置20のコントロールに最適化されたプロセス・パラメータは、その後の使用のために、たとえばローカル・ストレージまたはクラウド・ストレージ500内に保存することができる。
【0079】
プロセス調整手段200による最適化は、規則的な間隔で、たとえば1分毎にもたらすこと、および/またはイベントによってトリガされるようにすることができる。その種のイベントは、たとえば、リアルタイム・プロセス・データによって、たとえばスレッショルド値を超えた場合、または達成されなかった場合、または構成データの変更によってトリガすることができる。
【0080】
充填プロセスの最適化は、論理的に、空間的に、またはそのほかの形で互いに分離される、異なるレベルでもたらされるか、または互いに異なるとすることができる。したがって、容器製造コントロール・システム19、充填機コントロール・システム29、充填装置20、および対応する、リアルタイム・プロセス・データを獲得するためのセンサ・テクノロジは、飲料充填設備1の構成部分であるが、自動的なプロセス調整のためのプロセス調整手段200、コンフィグレータ400、ユーザ・アプリケーション9bを伴うHMIモジュール9a、およびクラウド・ストレージ500は、ほかの、すなわち飲料充填設備1とは物理的に分離された場所に位置することができる。
【0081】
一例として、
図4の略図的なブロック図は、充填装置20のリアルタイム最適化に限定されている。しかしながら、容器取り扱い設備または飲料充填設備1の代替または追加の容器取り扱いステーションの処理が、類似の態様で最適化できることは明らかである。さらにまた、追加の、または代替のリアルタイム・プロセス・データを最適化のために使用することができる
【0082】
このようにして最適化された設備は、全体的に、実質的により安定した態様で動作する。コミッショニング、製品タイプの変更、トラブルシューティング等は、実質的により迅速かつより安全である。
【0083】
飲料充填設備1の場所において飲料充填設備1のコミッショニングおよび信頼性のある運用に要求される専門知識は、設備の構成およびコントロールが、少なくとも部分的に外部手段にアウトソーシングされることから、実質的により少なくなる。このことは、必要とされるトレーニングの量を低減し、飲料充填設備1のユーザの側の人員変動があった場合に生じる問題をより少なくする。集中型最適化は、顧客側の不良品の低減を補助する。
【0084】
飲料充填設備1からのデータの中央フィードバックおよび関連付けされた処理が実装され、現場における実際の値に基づいた設計を可能にする。この「フィードバック・ループ」は、実践的な応用からの実際のデータの流れが、設備の設計、実験室、および新しい、さらなる開発のために利用可能になることから、製造者側における製品開発および製品改善を加速する。
【0085】
適用可能である限り、例示的な実施態様内に表されているすべての個別の特徴は、本発明の範囲から逸脱することなしに互いに組み合わせること、および/または交換することが可能である。
【符号の説明】
【0086】
1 容器取り扱い設備
9 設備コントロール・システム
9a HMIモジュール
9b ユーザ・アプリケーション
10 容器を製造するための装置
11 予備成形品の準備および予熱のための手段
12 ブロー成形手段
19 容器製造コントロール・システム
20 容器に充填製品を充填するための装置
20a ミキサ
21 充填機カルーセル
22 充填要素
23 充填バルブ
23a バルブ口
23b 比例バルブ
24 容器ホルダ
24a 保持クランプ
25 充填製品リザーバ
25 充填レベル・プローブ
26 充填製品ライン
26a 充填製品ラインの第1のセクション
26b 充填製品ラインの第2のセクション
26c 充填製品ラインの第3のセクション
26d 充填製品ラインの第4のセクション
27 流量計
28 フィルタ
29 充填機コントロール・システム
30 容器を閉じるための装置
31 蓋閉めカルーセル
39 蓋閉めコントロール・システム
40 容器にラベル付けするための装置
50 バッファ
60 梱包装置
70 ロボット
80 パレタイザ
100 容器
110 容器のネック・フィニッシュ
200 自動プロセス調整のための手段
210 検査セクション
220 ロジック・セクション
230 誤り処理セクション
300 開発手段
400 コンフィグレータ
500 クラウド・ストレージ
R 回転の軸
K 充填曲線
KA 充填曲線のセクション
KB 充填曲線のセクション
KC 充填曲線のセクション
【外国語明細書】