IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツングの特許一覧

特開2022-190689運搬車両の車両運転者が積込位置につくことを支援するための方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022190689
(43)【公開日】2022-12-26
(54)【発明の名称】運搬車両の車両運転者が積込位置につくことを支援するための方法
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/26 20060101AFI20221219BHJP
【FI】
E02F9/26 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022094881
(22)【出願日】2022-06-13
(31)【優先権主張番号】10 2021 206 027.7
(32)【優先日】2021-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】アンジェイ ピオトル リシ
【テーマコード(参考)】
2D015
【Fターム(参考)】
2D015HA03
(57)【要約】
【課題】本発明は、運搬車両(16)の車両運転者が、作業機械(14)の画定された積込領域(18)内の積込位置(20)につくことを支援するための方法に関する。
【解決手段】画定された積込領域(18)内においてセンサユニット(22)、特に光学的なセンサユニット(22)を用いて運搬車両(16)が検出及び識別される。画定された積込領域(18)内において運搬車両(16)が検出されている限り、信号出力ユニット(24,26)によって検証信号が継続的に出力される。運搬車両(16)が規定された制動点に到達したときに、信号出力ユニット(24,26)によって制動信号が出力される。運搬車両(16)が積込位置(20)に到達したときに、信号出力ユニット(24,26)によって終了信号が出力される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
運搬車両(16)の車両運転者が、作業機械(14)の画定された積込領域(18)内の積込位置(20)につくことを支援するための方法であって、
・前記画定された積込領域(18)内においてセンサユニット(22)、特に光学的なセンサユニット(22)を用いて前記運搬車両(16)を検出及び識別するステップと、
・前記画定された積込領域(18)内において前記運搬車両(16)が検出されている限り、信号出力ユニット(24,26)によって検証信号を継続的に出力するステップと、
・前記運搬車両(16)が規定された制動点に到達したときに、前記信号出力ユニット(24,26)によって制動信号を出力するステップと、
・前記運搬車両(16)が前記積込位置(20)に到達したときに、前記信号出力ユニット(24,26)によって終了信号を出力するステップと、
を有する方法。
【請求項2】
前記検証信号は、前記運搬車両(16)から前記積込位置(20)までの距離に依存して出力される、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記終了信号は、前記積込位置(20)に対する前記運搬車両(16)の位置決め及び位置合わせに依存して出力され、
前記終了信号は、前記運搬車両(16)が正しく位置決め及び位置合わせされている場合にはそのことを反映し、前記運搬車両(16)が誤って位置決め及び/又は位置合わせされている場合には警告信号として機能する、
請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
他の車両が前記積込領域(18)に進入している場合、又は、
前記運搬車両(16)が誤った位置合わせにより前記積込領域(18)に進入している場合、又は、
前記運搬車両(16)が要請なしに前記積込領域(18)を離脱する場合、又は、
前記運搬車両(16)が当該運搬車両(16)に対して許可されていない他の領域に進入している場合に、
警告信号が出力される、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記センサユニット(24,26)、及び/又は、前記運搬車両(16)の検出、及び/又は、前記運搬車両(16)の識別が機能していない場合に、エラー確認信号が出力される、
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記制動点は、以下のパラメータ、即ち、
・前記運搬車両の速度(16)、
・前記車両運転者の想定される反応時間(T)、
・車両制動システムの反応時間(T)、
・土壌条件及び気象条件
のうちの1つ又は複数に依存して規定される、
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記信号出力ユニット(24,26)は、光学的な信号出力ユニット(24)及び/又は音響的な信号出力ユニット(26)及び/又はディスプレイユニットである、
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記信号出力ユニット(24,26)は、前記運搬車両(16)の外側に配置された外部の信号出力ユニット、又は、前記運搬車両(16)の内側に配置された内部の信号出力ユニット、又は、移動式の信号出力ユニットである、
請求項1乃至7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
当該方法は、積込過程中に実施され、
前記積込領域は、積込機械(14)、特に掘削機の積込領域(18)であり、
前記積込位置は、前記積込領域(18)内の積込位置(20)である、
請求項1乃至8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
当該方法は、荷降ろし過程中に実施され、
前記積込領域は、積込機械、特に掘削機、又は、土工機械、特にブルドーザの荷降ろし領域であり、
前記積込位置は、前記荷降ろし領域内の荷降ろし位置である、
請求項1乃至9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
電子制御ユニットであって、当該電子制御ユニットは、
・作業機械(14)の画定された積込領域(18)内においてセンサユニット(22)、特に光学的なセンサユニット(22)を用いて検出された運搬車両(16)に関する情報を受信し、
・前記画定された積込領域(18)内において前記運搬車両(16)が検出されている限り、信号出力ユニット(24,26)によって検証信号を継続的に出力するために、第1の制御信号を前記信号出力ユニット(24,26)に出力し、
・前記運搬車両(16)が規定された制動点に到達したときに、前記信号出力ユニット(24,26)によって制動信号を出力するために、第2の制御信号を前記信号出力ユニット(24,26)に出力し、
・前記運搬車両(16)が積込位置(20)に到達したときに、終了信号を出力するために、第3の制御信号を前記信号出力ユニット(24,26)に出力する
ように構成されている電子制御ユニット。
【請求項12】
積込機械(14)であって、当該積込機械(14)は、
前記積込機械(14)の画定された積込領域(18)内又は荷降ろし領域内において運搬車両(16)を検出及び識別するためのセンサユニット(22)と、
請求項11に記載の制御ユニットと、
信号出力ユニット(24,26)と、
を有する積込機械(14)。
【請求項13】
土工機械であって、当該土工機械は、
前記土工機械の画定された荷降ろし領域内において運搬車両を検出及び識別するためのセンサユニットと、
請求項11に記載の制御ユニットと、
信号出力ユニット(24,26)と、
を有する土工機械。
【請求項14】
コンピュータプログラムであって、当該コンピュータプログラムは、
制御ユニット又はコンピュータユニットによって実行された場合に、前記制御ユニット又は前記コンピュータユニットに、
・作業機械(14)の画定された積込領域(18)内においてセンサユニット(22)、特に光学的なセンサユニット(22)を用いて検出された運搬車両(16)に関する情報を受信させ、
・前記画定された積込領域(18)内において前記運搬車両(16)が検出されている限り、信号出力ユニット(24,26)によって検証信号を継続的に出力するために、第1の制御信号を前記信号出力ユニット(24,26)に出力させ、
・前記運搬車両(16)が規定された制動点に到達したときに、前記信号出力ユニット(24,26)によって制動信号を出力するために、第2の制御信号を前記信号出力ユニット(24,26)に出力させ、
・前記運搬車両(16)が積込位置(20)に到達したときに、終了信号を出力するために、第3の制御信号を前記信号出力ユニット(24,26)に出力させる
ための命令を含むコンピュータプログラム。
【請求項15】
請求項14に記載のコンピュータプログラムが格納されている機械可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運搬車両の車両運転者が、作業機械の画定された積込領域内の積込位置につくことを支援するための方法に関する。本発明はさらに、対応する制御ユニットと、積込機械と、光学的なセンサユニット及び制御ユニットを有する土工機械とに関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術
今日、ダンプが積み込みのために後退走行により掘削機に接近する場合、ダンプの運転者は、通常、掘削機の運転者によって誘導される。運転者は、バックミラーからの情報に基づいて操縦を引き受ける。ダンプが正しい距離に到達すると直ちに、大抵は掘削機である作業機械の運転者がクラクションを鳴らす。しかしながら、最近の作業機械においては、自動化又は半自動化された作業プロセスが益々多く使用されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
発明の開示
本発明の対象は、運搬車両の車両運転者が、作業機械の画定された積込領域内の積込位置につくことを支援するための方法である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本方法は、画定された積込領域内においてセンサユニット、特に光学的なセンサユニットを用いて運搬車両を検出及び識別するステップを含む。本方法は、画定された積込領域内において運搬車両が検出されている限り、信号出力ユニットによって検証信号を継続的に出力するステップをさらに含む。本方法は、運搬車両が規定された制動点に到達したときに、信号出力ユニットによって制動信号を出力するステップと、運搬車両が積込位置に到達したときに、信号出力ユニットによって終了信号を出力するステップとを含む。
【0005】
本発明の対象はさらに、請求項11に記載の制御ユニットである。
【0006】
本発明の対象はさらに、積込機械の画定された積込領域内において運搬車両を識別するための光学的なセンサユニットと、上述した制御ユニットと、信号出力ユニットとを有する積込機械、特に、移動式の掘削機である。
【0007】
本発明の対象はさらに、土工機械の画定された荷降ろし領域内において運搬車両を識別するための光学的なセンサユニットと、信号を出力するための上述した制御ユニットとを有する土工機械、特にブルドーザである。
【0008】
最後に、本発明の対象は、請求項14に記載のコンピュータプログラム、及び、コンピュータプログラムが格納されている機械可読記憶媒体でもある。
【0009】
運搬車両は、バルク材を運搬するように構成されている。このために運搬車両は、対応する荷台を有する。運搬車両は、例えば、ダンプトラックであるものとしてよい。この場合、ダンプトラックは、固定式の構造又はトレーラとして構成されるものとしてよい。車両運転者は、例えば、運搬車両の運転者であるものとしてよいし、又は、運搬車両を遠隔制御する操作者であるものとしてよい。
【0010】
作業機械は、好ましくは移動式の作業機械である。しかしながら、作業機械は、据付式に構成されるものとしてもよい。作業機械は、建設、農業、林業及び/又は物流の目的のために構成又は設計されるものとしてよい。作業機械は、積込機械、特に掘削機、例えば、パワーショベル又はホイールローダであるものとしてよい。積込機械は、硬岩又は軟岩のようなバルク材を積み込み及び/又は荷降ろしするための積込工具を有する。積込工具は、好ましくはショベル、特にバックホーである。代替的に、作業機械は、土工機械、特にブルドーザであるものとしてよい。土工機械は、土壌及び/又はバルク材を移動させるための工具を有する。積込工具は、好ましくはブレード又はバケットである。
【0011】
積込領域とは、作業機械によって積荷を積み込み又は荷降ろしさせるために運搬車両が進入する領域である。積込領域は、例えば、運搬車両のために地形を走行可能にし、作業機械への特に直接的な経路を導くことにより、事前に画定可能であり、又は、環境に基づいて事前に指定可能である。積込領域は、進入レーン又は略してレーンとも称される。積込領域内には、さらに以下において説明する積込位置が配置される。好ましくは、画定された積込領域は、物理的なマーキング要素に基づいて、及び/又は、光学的なセンサユニットの環境特徴に基づいて識別される。マーキング要素は、テープ、特にバリアテープなどを含み得る。積込領域のための環境特徴は、周囲の地面に対する色のコントラスト、縦長の平坦かつ十分に幅広い平面、及び、作業機械との境界線である。識別は、センサユニットによって利用可能である。代替的又は追加的に、積込領域は、事前に画定可能であり、入力システムを用いて、例えば、操作者によって手動により入力可能又は学習可能である。代替的又は追加的に、特に、地理座標系を用いて積込領域をデジタル地図に保存することができる。この際には、範囲をマーキングすることができ、又は、積込領域の延在軸線を画定することができる。運搬車両を検出及び識別する際には、積込領域に応じて関心領域(ROI)が選択される。
【0012】
積込位置とは、作業機械に対する運搬車両の所定又は所望の目標位置である。本発明の枠内における積込位置とは、作業機械に対する運搬車両の位置であって、当該位置において、運搬車両若しくは運搬車両の荷台に積み込むための作業、又は、運搬車両若しくは運搬車両の荷台から荷降ろすための作業、又は、運搬車両から荷降ろしされた積荷を作業機械によって移動させるための作業を実施することができる位置として理解されるべきである。従って、積込位置は、作業機械の工具の活動範囲内にある。
【0013】
画定された積込領域内において運搬車両を検出及び識別するステップは、センサユニットを用いて実施される。センサユニットは、好ましくは光学的なセンサユニットである。従って、センサユニットは、3次元画像又は3次元輪郭及び/又は2次元画像を生成するように構成されるものとしてよい。センサユニットは、1つ又は複数のセンサを含み得る。センサは、好ましくは、LiDAR又は3D-LiDAR、レーダ、カメラ又は3Dカメラ、特にTOFカメラ、ステレオカメラ又はモノラルカメラからなるグループから選択される。センサユニットの少なくとも1つのセンサ、好ましくは全てのセンサは、好ましくは、積込機械に配置される。さらに好ましくは、センサユニット又は少なくとも1つのセンサは、さらなるタスク、特に以下のタスク、即ち、ナビゲーション、障害物検出、バルク材特性の特定、積込戦略の特定、荷降ろし戦略の特定、積込過程及び荷降ろし過程の補助、運搬車両の調整のうちの少なくとも1つを実施するように構成された機械固有のユニットである。代替的に、センサユニットは、インフラストラクチャに基づく外部のセンサユニットであるものとしてもよい。
【0014】
運搬車両が積込領域に到達すると、種々の成熟度で識別又は検出を実施することができる。最も単純なケースにおいては、制御ユニットは、センサユニットのセンサデータに基づいて、作業機に接近する比較的大きいオブジェクトを識別する。これは、LiDAR、レーダ又はステレオビデオカメラデータからの点群から抽出可能である。このことは、特に3次元画像の場合に好ましい。さらなる可能性は、運搬車両及び非運搬車両という2つのクラスへの二項分類を提供する。このために、例えば、関連する情報源からエッジ及び形状を導出することができ、これにより、場合によっては、荷台、(ダンプの)衝突板、運転席及び/又はシャーシによって、運搬車両を定義することができる。このことは、3次元画像の場合及び2次元画像の場合の両方において可能である。例えば、地面からの高さ、型の寸法、即ち、特に、荷台、衝突板又は運転席の寸法、衝突板に対する平面の平行配置のような、公知のパラメータが考慮される。この分類器は、古典的に決定論的に実装可能であり、又は、ニューラルネットワークによって実装可能である。さらに、運搬車両の種類、従って、最大許容積載容量、即ち、最大許容積載重量(追加荷重)及び/又は最大許容積載体積のような運搬車両のパラメータを決定することもできる。このことは、例えば、運搬車両データベースからの画像によってトレーニングされたニューラルネットワークを介して可能である。
【0015】
運搬車両は、積込領域内を移動している間、センサユニットによって継続的に記録及び追跡される。運搬車両の速度と、運搬車両から積込位置までの距離との両方が記録される。オブジェクトを追跡するための方法は、従来技術から公知である。
【0016】
積込領域内において運搬車両が成功裏に検出されている限り、信号出力ユニットによって検証信号が継続的に出力される。このことは、運搬車両の車両運転者及び/又は監督者は、運搬車両が積込領域内にあるときにはいつでも、運搬車両が正しく検出及び識別されていることを確認することができるという利点を有する。例えば、技術的なエラー又は悪天候のような何らかの理由により、検出又は識別が機能しない又は失敗した場合、さらには積込領域を離脱した場合にも、車両運転者又は監督者は、検証信号が欠落しているのでこのことを即座に確認することができる。この場合には、さらに、警告信号又はエラー確認信号を追加的に出力することができる。
【0017】
運搬車両が規定された制動点に到達したときに、同一の信号出力ユニットによって制動信号が出力される。制動信号は、積込位置において適当に停止させるために制動過程を開始すべきであることを車両運転者に表示する。制動信号と検証信号とは同一の信号出力ユニットを介して出力されるので、車両運転者は、制動信号と共に検証信号を知覚することができる。制動点を規定するための基礎とすることができるパラメータについては、さらに以下において説明する。
【0018】
任意選択肢として、既に前もって検証信号を変化させることができ、又は、車両運転者に制動過程の準備をさせる追加的な信号を出力することもできる。これにより、制動過程を開始するための車両運転者の反応時間が短縮される。その結果、制動点を、積込点のより近傍に位置決めすることもできる。
【0019】
最終的に運搬車両が積込位置に到達すると、同一の信号出力ユニットによって終了信号が出力され、この終了信号は、運搬車両が所定又は所望の目標位置に到達したこと、及び、積込過程を開始することができることを車両運転者に通知する。終了信号と検証信号と制動信号とは、同一の信号出力ユニットを介して出力されるので、車両運転者は、制動信号に加えて終了信号と共に検証信号を知覚することもできる。
【0020】
好ましくは、終了信号は、運搬車両が正しい位置合わせにより積込位置に到着しているかどうか、及び、正しく積込位置に位置決めされているかどうかを車両運転者又は監督者に明確にすることができる。運搬車両が正しく位置決め及び位置合わせされている場合には、積込位置における正しい位置及び位置合わせに到達したことを反映する終了信号が出力される。これに対して、運搬車両が誤って位置合わせされている場合、又は、積込位置に対して誤って位置決めされている場合、例えば、積込機械に近過ぎる場合には、誤った位置決め又は位置合わせが存在していること、及び、車両運転者が修正を実施すべきであることを反映する他の終了信号が出力される。
【0021】
信号出力ユニットは、検証信号、制動信号、終了信号、場合によっては警告信号及びエラー確認信号、特に、上記の全ての信号を出力することができる。信号出力ユニットは、車両運転者、及び、場合によっては監督者が、積込領域に進入するときにはいつでも信号を知覚することができるように配置される。例えば、信号出力ユニットは、以下の信号手段、即ち、
・運搬車両の外側又は運搬車両の運転席の内側に配置された、垂直又は水平又はその他の方法により配置された複数の別個に駆動可能なランプ、特にLED、
・例えばクラクション信号を発するクラクションのような音響的な信号手段、
・運搬車両の運転席の内側又は外側に配置された画像スクリーン、
・例えばスマートフォンのような移動式の端末上のアプリケーション、
・例えばスマートグラスのような拡張現実デバイス(augmented reality devices)、
・運搬車両の運転席内の他の専用の信号装置
のうちの1つ又は複数を含み得る。
【0022】
検証信号、制動信号、終了信号、及び、場合によっては他の警告信号又はエラー確認信号を表示するためには、3つの別個にスイッチングされるランプだけで十分である。補助として、音響信号としてのクラクションを付加することができる。
【0023】
本方法の利点は、運搬車両が積込領域に完全に進入している間に、車両運転者及び/又は監督者が、特に、他の信号と同時に検証信号を知覚することができ、従って、運搬車両が正しく識別及び検出されていることをいつでも確認し得ることである。例えば、制御システムの故障時及びエラー時に、検証信号が欠落している場合には、車両運転者又は監督者は、このことを早期に知覚して相応に対処することができる。
【0024】
有利には、検証信号は、運搬車両から積込位置までの距離に依存して出力可能である。従って、信号出力ユニットは、種々の距離に対して種々の方法により検証信号を表示することができる。3つのランプの例においては、運搬車両が既に積込領域内にあるが依然として遠く離隔している場合には、検証信号を、スイッチオンされたランプによって表示することができる。運搬車両が所定の距離を下回るほど接近すると、第2のランプをスイッチオンすることができ、最後に制動点において、制動信号として第3のランプをスイッチオンすることができる。このことは、車両運転者に、いつ制動点に到達するかに対する準備をさせ、これにより、制動点における車両運転者の反応時間が短縮される。
【0025】
任意選択肢として、信号出力ユニットによって警告信号を出力することができる。好ましくは以下の場合に、即ち、
・他の車両、特に不適当な又は無許可の車両が積込領域に進入している場合、
・例えば、最初に荷台ではなく運転席が前進で進入するなど、運搬車両が誤った位置合わせにより積込領域に進入している場合、
・運搬車両が要請なしに積込領域を離脱する場合、又は、
・運搬車両が当該運搬車両に対して許可されていない他の領域に進入している場合に、
警告信号が出力される。
【0026】
任意選択肢として、信号出力ユニットは、センサユニット、及び/又は、運搬車両の検出、及び/又は、運搬車両の識別が機能していない場合に、エラー確認信号をさらに出力することができる。従って、車両運転者又は監督者には、検証信号の欠落に加えて機能エラーに関するさらなる指標が与えられる。
【0027】
既に上記において説明したように、制動点は、以下のパラメータ、即ち、
・運搬車両の速度、
・車両運転者の想定される反応時間、
・車両制動システムの反応時間、
・土壌条件及び気象条件
の1つ又は複数に依存して規定可能である。
【0028】
車両運転者が、制動点に間もなく到達すること、従って、車両運転者が制動の準備ができた状態を保持する必要があることに、検証信号の変化によって既に気づいている場合には、車両運転者の想定される反応時間を短縮することができる。対応して、制動点は、積込位置のより近傍に位置決めされる。
【0029】
本方法は、特に積込過程中に実施可能である。この場合、積込領域は、積込機械の積込領域である。積込機械は、既に上記において説明したように、特に、掘削機又はホイールローダである。積込領域は、好ましくは、例えば、硬岩又は軟岩の採掘区域内に位置する。積込領域内には、積込位置が位置しており、この積込位置においては、積込機械が自身の工具によって運搬車両に到達する。
【0030】
本方法は、特に荷降ろし過程中に実施可能である。この場合、積込領域は、積込機械又は土工機械の荷降ろし領域である。積込機械は、既に上記において説明したように、特に、掘削機又はホイールローダである。土工機械は、既に上記において述べたように、特にブルドーザである。荷降ろし領域内には、荷降ろし位置が位置しており、この荷降ろし位置においては、積込機械が自身の工具によって運搬車両に到達し、又は、積荷が荷降ろしされ、従って、それらの積荷を積込機械又は土工機械がさらに処理することができる。
【0031】
図面の簡単な説明
本発明の実施例は、図面に示されており、以下の記載においてより詳細に説明されている。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】ダンプトラックが接近している採掘区域の概略図である。
図2a】掘削機の積込領域に進入するダンプトラックの概略図と、3つのランプ及びクラクションの形態の信号出力ユニットとを、それぞれ異なる時点において示す図である。
図2b】掘削機の積込領域に進入するダンプトラックの概略図と、3つのランプ及びクラクションの形態の信号出力ユニットとを、それぞれ異なる時点において示す図である。
図2c】掘削機の積込領域に進入するダンプトラックの概略図と、3つのランプ及びクラクションの形態の信号出力ユニットとを、それぞれ異なる時点において示す図である。
図2d】掘削機の積込領域に進入するダンプトラックの概略図と、3つのランプ及びクラクションの形態の信号出力ユニットとを、それぞれ異なる時点において示す図である。
図3a図2a乃至図2dの積込領域における状況の概略図を示し、当該概略図においては、3つのランプ及びクラクションの形態の信号出力ユニットが警告信号を出力する。
図3b図2a乃至図2dの積込領域における状況の概略図を示し、当該概略図においては、3つのランプ及びクラクションの形態の信号出力ユニットが警告信号を出力する。
図3c図2a乃至図2dの積込領域における状況の概略図を示し、当該概略図においては、3つのランプ及びクラクションの形態の信号出力ユニットが警告信号を出力する。
【発明を実施するための形態】
【0033】
発明の実施例
図1は、例えば、軟岩又は砂12のようなバルク材12の採掘区域10の概略図を示している。採掘区域10内には、バルク材のための運搬車両として使用されるダンプトラック16への積み込みを行うためのパワーショベルの形態の積込機械14が位置している。ダンプトラック16は、パワーショベル14の積込領域18に進入して、積込領域18内に位置する積込位置20に到達する。積込領域18を、進入レーンとみなすこともできる。積込位置20は、積込機械14に対するダンプトラック16の所定又は所望の目標位置であり、この目標位置において積込機械14は、ダンプトラック16の荷台にバルク材12を積み込むことができる。ダンプトラック16は、積込領域18に進入する際に、積込機械に配置されている光学的なセンサユニット22によって検出される。さらに、本実施形態においては、積込機械14に配置されている光学的な信号出力ユニット24と、図1には図示されていない音響的な信号出力ユニット26とが設けられている。冒頭において既に説明した他の又はさらなる信号出力ユニット又は信号手段を設けることもできる。
【0034】
本実施形態においては、本方法は、積込過程中に実施される。ここに示されていないさらなる実施形態においては、本方法を、荷降ろし過程中に実施することもできる。この場合には、掘削機の形態の積込機械14を設けるものとしてもよいし、又は、代替的に、ブルドーザの形態の土工機械を設けるものとしてもよい。その場合には、積込領域18及び積込位置20の代わりに、対応する荷降ろし領域及び荷降ろし位置が設けられている。
【0035】
図2a乃至図2dには、積込領域18内の積込位置までのダンプトラック16の進入が、それぞれ異なる時点において示されている。信号出力ユニットとして、互いに別個に駆動可能な3つのランプ24、特にLEDと、クラクション26とが設けられており、これらは、両方とも積込機械14内に配置されている。さらなる実施例においては、冒頭において既に説明したような、その他の方法により配置することができる他の又はさらなる信号出力ユニットを設けることができる。図3a乃至図3cには、3つのランプ24とクラクション26とからなる上記の信号出力ユニットがそれぞれ警告信号を出力する状況が示されている。以下に説明する信号を出力する方法は、単なる例示に過ぎない。上記の信号を、他の方法により出力するものとしてもよい。
【0036】
図2aにおいては、ダンプトラック16がちょうど積込領域18に進入するところである。この時点は、ここではT=0秒として規定される。光学的なセンサユニット22によって、ダンプトラック16の検出及び識別が実施される。この際には、3次元画像又は2次元画像を記録することができる。どちらの場合にも、積込領域18の配置に基づいて関心領域(ROI)が選択され、場合によっては、記録された点群内の点の速度に基づいて追加的なセグメンテーションが実施される。静止している領域は無関係であるので、これに関連する移動しない点は、無視することができる。2次元画像の場合には、古典的に決定論的に実装可能な分類器、又は、ニューラルネットワークによって実装可能な分類器を使用することによってダンプが検出される。3次元画像の場合及び2次元画像の場合の両方において、ダンプトラック16のアオリ(垂蓋)が、公知の表面識別法によって識別される。この際には、地面からの高さ、アオリの寸法などのようなパラメータが考慮される。アオリが検出されると、運転席の後壁及び/又は衝突板の識別も同様に、公知の表面識別法によって、地面からの高さ、運転席又は衝突板の寸法、アオリに対する平面の平行配置などのようなパラメータを考慮して実施される。これにより、表面が画定されており、この表面に対して、積込領域18内におけるダンプトラック16の全走行中に積込機械14及び/又は積込位置20までの距離を特定することができる。この例においては、ダンプトラック16は、積込領域18への進入時に依然として積込機械14から約18メートル離隔している。ダンプトラック16が正しく識別及び検出されると、3つのランプ24が点滅し、クラクション26が1回鳴ることによって検証信号が出力される。その後、ダンプトラック16は、積込領域18を通って走行している間、追跡される。この場合、検証信号を出力し続けるために、差し当たり、ランプ24のうちの1つ(ここでは一番下のランプ)が点灯したままである。
【0037】
-この例においては、積込機械14まで4メートルを超えて離隔している-積込位置20に到達する前に、積込領域18内におけるダンプトラック16の検出及び/又は識別が中断された場合には、ランプ24は、もはや一貫して発光しなくなる。ランプ24が完全に消灯している場合には、検証信号がもはや存在していないので、車両運転者及び/又は監督者は、システムの故障が存在することを確認することができる。システム自体はまだ機能しているが、ダンプトラック16の検出及び/又は識別において機能エラーを有している場合には、エラー確認信号が出力される。図3aに示されているように、上記のランプ24のうちの1つが点滅し、クラクション26が長いクラクション音を発する。
【0038】
光学的なセンサユニット22は、積込領域18の外側の領域を監視することもできる。ダンプトラック16が積込領域18を離脱すると、警告信号が出力される。図3aに示されているように、上記のランプ24のうちの1つが点滅し、クラクション26が長いクラクション音を発することによって、警告信号を出力することができる。
【0039】
図3bには、積込過程に対して不適当又は無許可である他の車両28が積込領域18に進入するケースが示されている。不適当な又は無許可の車両28は、進入時に実施される識別においてそのような車両であるとして識別され、全てのランプ24が点滅し、クラクション26が2回鳴り響くことによって警告信号が出力される。
【0040】
約1秒後(T=1秒)に、ダンプトラック16が、図2bにおいては約15メートルである所定の距離閾値に接近すると、ランプ24のうちの第2のランプ(ここでは中央のランプ)が作動する。このことは、車両運転者が間もなく制動点に到達し、自分自身を制動の準備ができた状態に保持する必要があることを、車両運転者に伝達する。閾値を選択するためには、ダンプトラック16が一定速度において走行していると仮定される。閾値は、運転者が制動過程の準備をするために十分な時間を有するように設定される。基本的に、ここでは、制動点まで1秒で十分である。
【0041】
図2cにおいては、ダンプトラック16は、2秒後(T=2秒)に、約12メートルのところにある制動点に到達している。制動点は、以下の式1:
BP=f(v・(T+T),amax) (式1)
を用いて計算される。
【0042】
積込機械14又は積込位置20から制動点までの距離sBPは、ダンプトラック16の速度vと、上記の信号によって短縮されている車両運転者の反応時間Tと、車両制動システムの反応時間Tと、現在の土壌条件及び気象条件の下において達成可能な減速値amaxとの関数fである。ここで、ランプ24のうちの第3ランプ(ここでは一番上のランプ)が作動し、3つ全てのランプ24が点滅する。追加的に、クラクション26が鳴り響く。3つのランプ24は、制動過程の間、積込位置20に到達するまで作動したままである。
【0043】
車両運転者は、図2dのダンプトラック16が、合計5秒後(T=5秒)に積込位置20に到達するまで減速を行う。ダンプトラック16のアオリは、積込機械14から約4メートル離隔しているので、積込機械14は、自身の工具を自由に振り動かすことができる。ダンプトラック16の運転席は、積込機械14から9メートル離隔しているので、最小安全距離が遵守され、運転席は、積込機械14の活動範囲外にある。さらに、ダンプトラック16の荷台全域への積み込みが可能となるように、最大距離が遵守される。ダンプトラック16が正しく積込位置20にある場合であって、かつ、ダンプトラック16が正しく位置合わせ又は方向付けされている場合、即ち、ダンプトラックの長手軸線が、積込領域18の軸線(レーンの軸線)に対して所定の許容誤差をもって平行である場合には、終了信号が出力され、この終了信号において、全てのランプ24が消灯され、ナビゲーションシステムが非作動にされて、本方法が終了する。
【0044】
これに対して、ダンプトラック16が正しく積込位置20にない場合、又は、ダンプトラック16が誤って位置合わせ若しくは方向付けされている場合には、警告信号が出力される。図3cにおいては、ダンプトラック16が、例えば、積込機械14に接近し過ぎており、運転席は、積込機械14からの距離が9メートルを下回っている。ここでは、運転席が積込機械14の活動範囲内にあるので、最小距離が遵守されない。全てのランプ24が点滅し、クラクション26が2回鳴ることによって、警告信号が出力される。ダンプトラック16が正しく位置合わせされていない場合にも、同様の警告信号を出力することができる。車両運転者がダンプトラック16を正しく積込位置20に位置決め及び位置合わせするまで、積み込みを開始することはできない。
図1
図2a
図2b
図2c
図2d
図3a
図3b
図3c
【外国語明細書】