(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022190695
(43)【公開日】2022-12-26
(54)【発明の名称】短絡検出装置及び短絡検出方法
(51)【国際特許分類】
G01R 31/52 20200101AFI20221219BHJP
G01R 31/00 20060101ALI20221219BHJP
【FI】
G01R31/52
G01R31/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022095304
(22)【出願日】2022-06-13
(31)【優先権主張番号】P 2021098695
(32)【優先日】2021-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000227180
【氏名又は名称】日置電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】特許業務法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西村 宏太
(72)【発明者】
【氏名】飯島 淳司
【テーマコード(参考)】
2G014
2G036
【Fターム(参考)】
2G014AA03
2G014AB61
2G036AA22
2G036BB08
2G036BB22
(57)【要約】
【課題】検出対象物の測定信号の高速なサンプリングをしなくても検出対象物に生じる短絡を検出する。
【解決手段】検出対象物1に生じる短絡を検出する短絡検出装置100は、検出対象物1の電圧が所定の電圧値V1に達するまで検出対象物1を定電流制御された電流Iにより充電し、これによって検出対象物1に生じる信号を測定する。短絡検出装置100は、測定信号Vmiのピークを保持し、保持した測定信号Vmiのピークを示す第一保持信号Vh1を出力する最大値保持回路140Aと、測定信号Vmiと第一保持信号Vh1との差分を示す差分信号のピークを保持し、保持した差分信号のピークを示す第二保持信号Vh2を出力する変動保持回路140Bと、を備える。さらに短絡検出装置100は、変動保持回路140Bから出力される第二保持信号Vh1に基づいて測定信号Vmiの変動の有無を判定する処理部200を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出対象物に生じる短絡を検出する短絡検出装置であって、
前記検出対象物の電圧が所定の電圧値に達するまで前記検出対象物を定電流制御された電流により充電する供給手段と、
前記供給手段によって前記検出対象物に生じる信号を測定する測定手段と、
前記測定手段により生成される測定信号のピークを保持し、保持した前記測定信号のピークを示す第一保持信号を出力する第一保持回路と、
前記測定信号と前記第一保持信号との差分を示す差分信号のピークを保持し、保持した前記差分信号のピークを示す第二保持信号を出力する第二保持回路と、
前記第二保持回路から出力される前記第二保持信号に基づいて前記測定信号の変動の有無を判定する判定手段と、を含む、
短絡検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の短絡検出装置であって、
前記判定手段は、前記第二保持信号に基づいて前記測定信号の変動が有ると判定した場合に、前記第一保持信号に基づいて測定信号の変動が一時的な上昇か一時的な下降かを判定する、
短絡検出装置。
【請求項3】
請求項2に記載の短絡検出装置であって、
前記第二保持回路は、
前記第一保持信号から前記測定信号を減じて得られる前記差分信号を出力する減算回路と、
前記減算回路から出力される前記差分信号のピークを保持するピークホールド回路と、を有する、
短絡検出装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の短絡検出装置であって、
前記供給手段は、
前記検出対象物に前記定電流制御された電流を供給する定電流供給手段と、
前記検出対象物に定電圧を供給する定電圧供給手段と、
前記定電流供給手段により前記検出対象物を充電した後に前記定電圧供給手段により前記検出対象物の電圧が前記所定の電圧値を維持するよう制御する制御手段と、を含む、
短絡検出装置。
【請求項5】
請求項4に記載の短絡検出装置であって、
前記測定信号は、前記検出対象物を流れる電流の大きさを示す、
短絡検出装置。
【請求項6】
請求項5に記載の短絡検出装置であって、
前記測定手段は、
前記検出対象物を流れる電流の大きさを測定する電流測定手段と、
前記検出対象物に生じる電圧の大きさを測定する電圧測定手段と、を含む、
短絡検出装置。
【請求項7】
請求項5に記載の短絡検出装置であって、
前記制御手段は、前記定電流供給手段により前記検出対象物に生じる電圧の単位時間あたりの上昇率が変わるように前記定電流制御された電流の電流値を異なる値に設定する、
短絡検出装置。
【請求項8】
請求項6に記載の短絡検出装置であって、
前記測定手段は、前記検出対象物に流れる電流の大きさを示す電流検出信号を出力し、
前記制御手段は、前記電流検出信号と前記所定の定電流にするための上限値との差分に基づいて前記定電流供給手段により前記検出対象物に供給される電流を一定に制御し、
前記上限値は、変更可能である、
短絡検出装置。
【請求項9】
請求項8に記載の短絡検出装置であって、
前記上限値は、前記測定信号のサンプリング期間に応じて定められる、
短絡検出装置。
【請求項10】
検出対象物に生じる短絡を検出する短絡検出方法であって、
前記検出対象物の電圧が所定の電圧値に達するまで前記検出対象物を定電流制御された電流により充電する供給ステップと、
前記供給ステップによって前記検出対象物に生じる信号を測定する測定ステップと、
前記測定ステップにおいて生成される測定信号のピークを保持し、保持した前記測定信号のピークを示す第一保持信号を出力する第一保持ステップと、
前記測定信号と前記第一保持信号との差分を示す差分信号のピークを保持し、保持した前記差分信号のピークを示す第二保持信号を出力する第二保持ステップと、
前記第二保持ステップにおいて出力される前記第二保持信号に基づいて前記測定信号の変動の有無を判定する判定ステップと、を含む、
短絡検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、短絡検出装置及び短絡検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、二次電池に対して耐電圧以上の所定電圧まで充電し、所定時間放置した後の二次電池の電圧降下を測定することにより、検出対象物が二次電池の正極合材中に異物が混入している不良品であるか否かを判定する検査装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような検査装置は、充電した検出対象物を所定時間放置したときの検出対象物の電圧降下を測定する構成であるため、所定時間放置することが必要となり、検出対象物に含まれる異物に起因する内部短絡による自己放電(絶縁不良)を検出するのに時間を要する。
【0005】
そして、異物の混入などに起因する内部短絡、瞬間的な絶縁不良及び絶縁劣化などの短時間の短絡を取りこぼさずに検出するためには高速なサンプリングが必要となる。しかしながら、これを実現するためには装置自体が高価な装置構成となる。また、このような短時間の短絡は、検出対象物の個々の状態に依存するため、いつ発生するかわからないという問題がある。
【0006】
本発明は、このような問題点に着目してなされたものであり、検出対象物の測定信号の高速なサンプリングをしなくても検出対象物に生じる短時間の短絡を検出することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様によれば、検出対象物に生じる短絡を検出する短絡検出装置は、前記検出対象物の電圧が所定の電圧値に達するまで前記検出対象物を定電流制御された電流により充電する供給手段と、前記供給手段によって前記検出対象物に生じる信号を測定する測定手段とを備える。さらに短絡検出装置は、前記測定手段により生成される測定信号のピークを保持し、保持した前記測定信号のピークを示す第一保持信号を出力する第一保持回路と、前記測定信号と前記第一保持信号との差分を示す差分信号のピークを保持し、保持した前記差分信号のピークを示す第二保持信号を出力する第二保持回路とを備える。そして短絡検出装置は、前記第二保持回路から出力される前記第二保持信号に基づいて前記測定信号の変動の有無を判定する判定手段を含む。
【発明の効果】
【0008】
この態様によれば、測定信号のピークの保持信号と前記測定信号との差分の大きさの保持信号を得ることができるので、短時間の短絡によって生じる前記測定信号の一時的な上昇と一時的な下降の両者を検出することができる。したがって、測定信号の低速なサンプリングによっても変動が得られるので、検出対象物の測定信号の高速なサンプリングをしなくても検出対象物に生じる短時間の短絡を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の第一実施形態における短絡検出装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、短絡検出装置における電流測定部及び変動検出回路の構成例を示す回路図である。
【
図3】
図3は、変動検出回路におけるピークホールド回路の構成例を示す回路図である。
【
図4】
図4は、変動検出回路の動作を説明するための図である。
【
図5】
図5は、充電期間における測定信号の変動を検出する一例を示す図である。
【
図6】
図6は、充電期間における検出対象物に生じる電圧の時間変化率の変更例を示す図である。
【
図7】
図7は、第一実施形態における短絡検出方法の処理手順例を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、短絡検出方法における短絡検出処理を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、本発明の第二実施形態における短絡検出装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図10】
図10は、充電期間における測定信号の変動を検出する一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しながら本発明の各実施形態について説明する。
【0011】
(第一実施形態)
図1は、第一実施形態における短絡検出装置100の機能構成を示すブロック図である。
【0012】
短絡検出装置100は、検出対象物1に生じる短絡を検出するための装置である。ここにいう短絡とは、定常的な短絡に加え、検出対象物1において生じる異常に起因する瞬間的な絶縁不良及び絶縁劣化などの短時間の短絡を含む。
【0013】
短時間の短絡が起こる要因としては、例えば、電池を構成する電極への金属異物の混入、コンタミネーションの発生、電池の電極と電池の外装との間のバリ、積層セラミックコンデンサに生じるクラック、及び、基板パターン間のマイクロショートなどの異常が挙げられる。
【0014】
このように、短絡検出装置100は、検出対象物1に生じる上記異常に起因する短絡を検出する。短絡検出装置100は、例えば、検出対象物1に直流の電気信号を供給(印加)するような検出対象物1の測定又は試験に用いられる。
【0015】
第一実施形態における短絡検出装置100は、検出対象物1に直流電圧を供給することで、検出対象物1の負極(-)から出力される漏れ電流の大きさに基づいて検出対象物1の絶縁抵抗Rを測定する。
【0016】
検出対象物1は、少なくとも静電容量Cを有する物体であり、その物体に直流の電気信号を供給した状態において物体に異常が起こることで、物体に生じる電圧信号又は物体を流れる電流信号が一時的に変動する。
【0017】
以下では、上述の電気信号が標準的なレベルから上昇して降下することを「一時的な上昇」と称し、電気信号が標準的なレベルから下降して上昇することを「一時的な下降」と称す。また、これらの一時的な変動のことを、単に「変動」とも称する。
【0018】
検出対象物1としては、例えば二次電池が挙げられる。二次電池は、充放電可能に構成された蓄電池であり、電気二重層キャパシタなどのコンデンサ型の蓄電素子を含む蓄電デバイスである。二次電池は、複数の素電池が並列、直列又は直並列に接続された組電池でもよく、単電池であってもよい。
【0019】
二次電池としては、鉛蓄電池、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池、金属リチウム電池、リチウムイオン電池、リチウムイオンポリマー電池、リチウムイオン全固体電池、ナトリウムイオン電池などが挙げられる。その他に、水溶液系電気二重層キャパシタ、又は排水溶液系電気二重層キャパシタなども二次電池として用いることができる。
【0020】
第一実施形態における検出対象物1は、注液前のリチウムイオン電池である。リチウムイオン電池は、絶縁抵抗R及び静電容量Cを有し、これらが互いに並列に接続された等価回路により表わされる。
【0021】
第一実施形態では、検出対象物1の正極(+)が短絡検出装置100の接続端子101に接続され、検出対象物1の負極(-)が短絡検出装置100の接続端子102に接続されている。
【0022】
短絡検出装置100は、電源部110と、電圧測定部120と、電流測定部130と、変動検出回路140と、AD変換器150と、処理部200と、表示部210と、操作受付部220と、を備える。電源部110及び処理部200は、検出対象物1の電圧が所定の電圧値に達するまで検出対象物1を所定の電流値を維持するよう制御される電流により充電する供給手段を構成する。以下、所定の電圧値をV1とし、所定の電流値をI1とする。
【0023】
電源部110は、電気信号を生成してその電気信号を検出対象物1に供給する回路であり、上述した供給手段の一部を構成する。電源部110は、機能として、電流リミッタ10と定電流源11と定電圧源12とスイッチ部13とを備える。
【0024】
電流リミッタ10は、定電圧源12の出力端子に接続される。電流リミッタ10は、処理部200の指示に従って、定電圧源12から検出対象物1に供給される電流を制限する。
【0025】
定電流源11は、検出対象物1に対して電流値I1を維持するよう制御された電流I、すなわち定電流制御された電流を供給する定電流供給手段を構成する。定電流源11は、短絡検出装置100の接続端子101を介して検出対象物1の正極(+)に一定の直流電流を供給することによって検出対象物1を充電する。
【0026】
定電圧源12は、検出対象物1に電圧値V1を維持するよう制御された電圧Vを供給する定電圧供給手段を構成する。定電圧源12は、検出対象物1の漏れ電流を検出するために、接続端子101を介して検出対象物1の正負極間に一定の直流電圧を供給する。
【0027】
スイッチ部13は、検出対象物1に接続可能な電源を、電流リミッタ10と定電圧源12との間で切り替える。スイッチ部13は、処理部200の指令に従って、検出対象物1の正極(+)と定電流源11との間を接続し、検出対象物1の充電が完了した後に検出対象物1に接続される電源を定電流源11から電流リミッタ10を介した定電圧源12に切り替える。
【0028】
電圧測定部120は、検出対象物1に生じる信号の大きさを測定する測定手段を構成する。特に電圧測定部120は、検出対象物1に生じる電圧の大きさを測定する電圧測定手段を構成する。
【0029】
第一実施形態における電圧測定部120は、検出対象物1を生じる電圧の大きさを示す信号として、検出対象物1の正極(+)と負極(-)との両極間に生じる電圧の大きさを測定する。そして電流測定部130は、測定した電圧の大きさを示す測定信号にフィルタ処理を施した電圧検出信号VvをAD変換器150に出力する。
【0030】
電流測定部130は、検出対象物1に生じる信号の大きさを測定する測定手段を構成する。特に電流測定部130は、検出対象物1に生じる信号として、検出対象物1を流れる電流の大きさを測定する電流測定手段を構成する。
【0031】
第一実施形態における電流測定部130は、検出対象物1を流れる電流の大きさを示す信号として、検出対象物1の負極(-)から出力される漏れ電流の大きさを測定する。そして電流測定部130は、測定した電流の大きさを示す電流検出信号ViをAD変換器150に出力する。
【0032】
例えば、漏れ電流の大きさは、定電流源11により検出対象物1を充電している状態では、ミリアンペア(mA)程度である。一方、定電圧源12により検出対象物1の電圧が電圧値V1を維持するよう制御されている状態では、漏れ電流の大きさは、ナノアンペア(nA)又はマイクロアンペア(μA)程度である。
【0033】
電流測定部130は、例えば入力電流を電圧に変換するIV変換回路により構成される。また、電流測定部130は、検出対象物1の負極(-)から出力される電流の大きさを示す測定信号Vmiを生成し、生成した測定信号Vmiを変動検出回路140に出力する。
【0034】
変動検出回路140は、検出対象物1に生じる短絡に起因する測定信号Vmiの変動を検出する。第一実施形態における変動検出回路140は、検出対象物1での異物の混入に伴う短絡に起因する測定信号Vmiの一時的な変動を検出する。
【0035】
変動検出回路140は、検出した変動を示す変動検出信号として、測定信号Vmiのピークを保持した第一保持信号Vh1、及び、測定信号Vmiと第一保持信号Vh1との差分のピークを保持した第二保持信号Vh2を生成する。変動検出回路140は、生成した変動検出信号をAD変換器150に出力する。変動検出回路140の構成例については
図2を参照して後述する。
【0036】
AD変換器150は、電圧検出信号Vvを所定の周期でサンプリングし、そのサンプリングにより生成される電圧測定データを処理部200に出力する。AD変換器150は、電流測定部130からの電流検出信号Viを所定の周期でサンプリングし、そのサンプリングにより生成される電流測定データを処理部200に出力する。
【0037】
同様に、AD変換器150は、変動検出回路140からの変動検出信号を所定の周期でサンプリングし、そのサンプリングにより生成される変動検出データを処理部200に出力する。
【0038】
処理部200は、上述した供給手段の一部を構成する。この供給手段において、処理部200は、定電流源11により検出対象物1を充電した後に定電圧源12により検出対象物1の電圧が所定の電圧値V1を維持するよう制御する制御手段を構成する。
【0039】
処理部200は、プロセッサ、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、大容量記憶デバイス、入出力インターフェース、及び、これらを相互に接続するバスなどによって構成されるコンピュータである。プロセッサとしては、CPU(Central Processing Unit)又はMPU(Micro Processor Unit)などが挙げられる。大容量記憶デバイスとしては、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)などが挙げられる。
【0040】
処理部200は、電源部110を構成する電流リミッタ10、定電流源11、定電圧源12、及びスイッチ部13を制御する。
【0041】
第一実施形態において、処理部200は、AD変換器150を介して、電圧測定部120から検出対象物1の電圧値を示す電圧検出信号Vvを取得する。さらに処理部200は、AD変換器150を介して、電流測定部130から検出対象物1の電流値を示す電流検出信号Viを取得する。そして処理部200は、電圧検出信号Vv及び電流検出信号Viに基づいて電源部110の動作を制御する。
【0042】
処理部200は、定電流源11を検出対象物1の正極(+)に接続するようスイッチ部13の接続を制御する。その後、処理部200は、電流検出信号Viに基づいて定電流源11から検出対象物1に充電される電流Iが一定に維持されるよう定電流源11の駆動を制御する。すなわち、第一実施形態における処理部200は、定電流源11を用いて定電流制御を行う。
【0043】
このとき、処理部200は、電圧検出信号Vvに基づいて検出対象物1の正極(+)及び負極(-)の両極間に生じる電圧が電圧値V1に達したか否かを判断する。
【0044】
検出対象物1の電圧が電圧値V1に達した場合には、処理部200は、検出対象物1に接続される電源を定電流源11から、定電圧源12に接続された電流リミッタ10に切り替えるようスイッチ部13の接続を制御する。
【0045】
その後、処理部200は、電圧検出信号Vvに基づいて検出対象物1の両極間に生じる電圧が電圧値V1を維持するよう定電圧源12の駆動を制御する。すなわち、第一実施形態における処理部200は、定電圧源12を用いて定電圧制御を行う。
【0046】
これに加え、処理部200は、検出対象物1に生じる短絡を検出するための短絡検出処理を実行する。処理部200は、例えば操作受付部220から短絡検出処理の実行を要求する要求信号を受け付けると、短絡検出処理を実行する。
【0047】
上述の短絡検出処理において、処理部200は、検出対象物1に電圧値V1の電圧を供給するための供給指令信号を出力する。そして、処理部200は、供給指令信号を受け付けると、検出対象物1を電流Iで充電して検出対象物1に電圧値V1の電圧を供給し続けるよう電源部110の動作を制御する。
【0048】
電源部110から検出対象物1に電力を供給した状態において、処理部200は、AD変換器150から電圧測定データ、電流測定データ及び変動検出データを取得する。そして処理部200は、変動検出データに基づいて検出対象物1に生じ得る異常に起因する短絡が生じたか否かを判定する。
【0049】
また、処理部200は、取得した電流測定データ又は電圧測定データに基づいて検出対象物1の物理量を演算する。例えば、検出対象物1の物理量としては、検出対象物1の漏れ電流、及び、検出対象物1の絶縁抵抗Rなどが挙げられる。処理部200は、短絡の有無を示す判定結果又は演算結果を表示部210に出力する。
【0050】
表示部210は、処理部200から出力される判定結果又は演算結果を表す画像データを生成してその画像データを表示する。例えば、表示部25は、LEDディスプレイ、液晶パネル又はタッチパネルなどによって構成される。
【0051】
操作受付部220は、ユーザの入力操作を受け付け、その受け付けた入力操作を示す操作信号を処理部200に出力する。操作受付部220は、例えば、表示部210の画面近傍に設けられる押しボタン、タッチパネルに内蔵されたタッチセンサ、又は、キーボード及びマウスなどによって構成される。
【0052】
操作受付部220は、例えば、短絡検出処理の実行ボタンを押下するユーザ操作を受け付けることで上述の短絡検出要求を処理部200に出力する。これにより、短絡検出装置100において短絡検出処理が実行される。
【0053】
次に、変動検出回路140の構成について
図2及び
図3を参照して説明する。
【0054】
図2は、第一実施形態における電流測定部130及び変動検出回路140の回路構成の一例を示す回路図である。
【0055】
電流測定部130は、IV変換回路131とフィルタ回路132とを備える。
【0056】
IV変換回路131は、短絡検出装置100の接続端子102から入力される検出対象物1の電流信号を電圧信号に変換する。変換した電圧信号は、例えば電流信号の大きさに比例して変化する。
【0057】
IV変換回路131は、変換後の電圧信号を、検出対象物1に流れる電流の大きさを示す測定信号Vmiとして変動検出回路140に出力する。すなわち、測定信号Vmiは、電流測定部130により生成される。また、IV変換回路131は、変換後の電圧信号をフィルタ回路132に出力する。
【0058】
フィルタ回路132は、IV変換回路131から出力される電圧信号のノイズ成分を除去する。フィルタ回路132は、例えばローパスフィルタ(LPF)により構成される。フィルタ回路132は、高周波成分を除去した電圧信号を、上述の電流検出信号ViとしてAD変換器150に出力する。
【0059】
変動検出回路140は、最大値保持回路140Aと変動保持回路140Bとを備える。
【0060】
最大値保持回路140Aは、電流測定部130により生成された測定信号Vmiの最大値を示すピークを保持する第一保持回路を構成する。最大値保持回路140Aは、保持した測定信号Vmiのピークを示す第一保持信号Vh1をAD変換器150及び変動保持回路140Bに出力する。最大値保持回路140Aは、ピークホールド回路141により構成される。
【0061】
変動保持回路140Bは、IV変換回路131から出力される測定信号Vmiの変動を保持する。第一実施形態において変動保持回路140Bは、測定信号Vmiと第一保持信号Vh1との差分を示す差分信号のピークを保持する第二保持回路を構成する。変動保持回路140Bは、保持した差分信号のピークを示す第二保持信号Vh2を出力する。
【0062】
変動保持回路140Bは、減算回路142とピークホールド回路143とを備える。
【0063】
減算回路142は、測定信号Vmiを第一保持信号Vh1から減じて得られる差分信号を生成する。減算回路142は、生成した差分信号をピークホールド回路143に出力する。
【0064】
ピークホールド回路143は、減算回路142から出力される差分信号のピークを保持する。ピークホールド回路143は、差分信号のピークを示す第二保持信号Vh2を上述の変動検出信号としてAD変換器150に出力する。
【0065】
図3は、ピークホールド回路141,143の回路構成の一例を示す回路図である。
【0066】
第一実施形態におけるピークホールド回路141,143は、一般的な回路構成であり、オペアンプ41,42と、ダイオード43,44と、抵抗素子45乃至47と、容量素子48,49と、リセットスイッチ50と、を備える。
【0067】
リセットスイッチ50は、容量素子49に保持された電位をリセットするためのスイッチであり、例えば、処理部200により制御される。リセットスイッチ50は、例えば、検出対象物1の充電が完了した場合に遮断状態から一旦通電状態に切り替えられる。
【0068】
次に、第一実施形態における変動検出回路140の動作について
図4及び
図5を参照して説明する。
【0069】
図4は、IV変換回路131から出力される測定信号Vmiの変動と、AD変換器150から出力される変動検出データ(Dh1,Dh2)との関係を説明するための図である。
【0070】
図4(a)には、変動検出回路140に入力される測定信号Vmiのサンプリング処理の一例が示されている。
図4(a)では、理解を容易にするために、測定信号Vmiが1[V]を基準として一時的に1[V]だけ上昇又は下降し、かつ、測定信号Vmiの一時的な変動期間がサンプリング期間Tpよりも短い状況が想定されている。この例では、サンプリング時点Sp1乃至Sp5での測定信号Vmiの電圧は1[V]である。
【0071】
図4(b)には、サンプリング時点Sp1乃至Sp5での測定データDm、第一保持データDh1、及び第二保持データDh2の電圧値が示されている。
【0072】
測定データDm及び変動検出データ(Dh1,Dh2)は、測定信号Vmi、第一保持信号Vh1及び第二保持信号Vh2がそれぞれAD変換器150によってデジタル信号に変換されたデータである。
図4(b)に示す例では、理解を容易にするために、ピークホールド回路141,143がサンプリング時点Sp1乃至Sp5の直後にリセットされている。
【0073】
図4(b)に示すように、測定信号Vmiが1[V]のまま変動しない場合は、サンプリング時点Sp1,Sp3において第二保持データDh2は0[V]となる。
【0074】
これに対し、サンプリング期間Tp内に測定信号Vmiが1[V]から一時的に上昇又は下降した場合は、サンプリング時点Sp4,Sp5において第二保持データDh2が1[V]となる。また、サンプリング期間Tp内において、測定信号Vmiが1[V]に対して一時的に上昇し、かつ一時的に下降する場合は、サンプリング時点Sp2において第二保持データDh2が2[V]となる。
【0075】
このように、測定信号Vmiが一時的に変動した場合は、第二保持データDh2は0[V]よりも大きな値を示す。言い換えると、第二保持データDh2は、測定信号Vmiの変動の有無を示すデータである。当然ながら第二保持信号Vh2も同様である。
【0076】
したがって、
図1に示した処理部200は、測定信号Vmiの変動の有無を示す第二保持データDh2に基づいて、検出対象物1に生じる異常に起因する短絡の有無を判定することができる。
【0077】
詳細には、処理部200は、第二保持データDh2が閾値となる0[V]を上回る場合には、検出対象物1に短絡が発生したと判定する。一方、処理部200は、第二保持データDh2が0Vである場合には、検出対象物1に短絡が発生していないと判定する。
【0078】
すなわち、処理部200は、第二保持データDh2が所定の閾値を超える場合に検出対象物1に短絡が発生したと判定し、第二保持データDh2が所定の閾値を超えない場合には、検出対象物1に短絡が発生していないと判定する。
【0079】
また、
図4(b)に示すように、第一保持データDh1が2[V]を示す場合は、測定信号Vmiが一時的に上昇したことを意味する。それゆえ、第二保持データDh2に加えて第一保持データDh1を用いることにより、測定信号Vmiの変動が一時的な上昇であるか否かを判定することができる。
【0080】
具体的には、処理部200は、第二保持データDh2に基づき検出対象物1に短絡が生じたと判定した場合において、第一保持データDh1が1[V]を示す電圧値V1よりも大きな値を示すときには、測定信号Vmiが一時的に上昇したと判定する。
【0081】
一方、第二保持データDh2に基づき検出対象物1に短絡が発生したとの判定がなされた場合において、第一保持データDh1が測定データDmと同じ値を示すときには、処理部200は、測定信号Vmiが一時的に下降したと判定する。
【0082】
このように、処理部200は、第二保持データDh2に基づき検出対象物1に短絡が発生したと判定した場合において、第一保持データDh1を用いることにより、測定信号Vmiが一時的に上昇したか、一時的に下降したかを判定することができる。
【0083】
図5は、検出対象物1の充電期間Tcにおける測定信号Vmiの変動を検出する手法を説明するためのタイムチャートである。
【0084】
図5(a)には、検出対象物1の正負極間に生じる電圧の時間変化が実線により示され、検出対象物1の負極(-)から出力される漏れ電流の時間変化が点線により示されている。
図5(b)には、第一保持信号Vh1の時間変化が示され、
図5(c)には、第二保持信号Vh2の時間変化が示されている。
図5(a)乃至(c)の横軸は共通の時間軸であり、検出対象物1の充電を開始した時点からの経過時間を示す。
【0085】
図5(a)において、検出対象物1の電圧は、充電期間Tcにおいて定電流源11から電流値I1に一定に維持するよう制御される電流Iが供給されることにより時間と共に上昇し、切替時間T1において電圧値V1に到達する。そして検出対象物1の電圧は、定常期間Tsにおいて定電圧源12により一定に維持するよう制御される。
【0086】
一方、
図5(a)において、検出対象物1の漏れ電流は、充電期間Tcにおいて定電流源11により電流Iが電流値I1となるよう一定に維持するよう制御される。そして切替時間T1において検出対象物1に対する電力の供給制御が定電流制御から定電圧制御に切り替わると、定常期間Tsにおいて検出対象物1の漏れ電流は、電流値I1よりも低下し、特定の電流値で一定に維持するよう制御される。
【0087】
図5(a)に示す例では、充電期間Tc及び定常期間Tsの各期間において一時的な電気信号の変動が生じている。実線で示した電圧変動と点線で示した電流変動とは、オームの法則に従うため、互いに変動の向きが反対になる。この例では、充電期間Tcにおいて定電流源11を用いて定電流制御が行われ、定常期間Tsにおいて定電圧源12を用いて定電圧制御が行われている。
【0088】
そのため、充電期間Tcにおいては、検出対象物1の漏れ電流の電流値が一定となるよう定電流制御が行われるため、検出対象物1の電流変動が電圧変動に比べて小さくなる。一方、定常期間Tsにおいては、検出対象物1の電圧値が一定となるよう定電圧制御が行われるため、検出対象物1の電圧変動が電流変動に比べて小さくなる。
【0089】
図5(a)に示すように、充電期間Tcにおいて、サンプリング期間Tp内の変動期間Tvに検出対象物1の電圧の一時的な低下が起こると、検出対象物1の漏れ電流は一時的な上昇が起こる。そのため、測定信号Vmiは、検出対象物1の電圧の一時的な低下と同じように、一時的に低下する。なお、第一実施形態における測定信号Vmiは、
図2に示したようにIV変換回路131によって極性反転されている。
【0090】
このとき、
図5(b)に示すように、第一保持信号Vh1は、測定信号Vmiが一時的に上昇した時点から上昇し、その後+1[V]を示す。
【0091】
一方、
図5(c)に示すように、第一保持信号Vh1から測定信号Vmiを減じて得られる差分信号(Vh1-Vmi)のピークを示す第二保持信号Vh2は、+0.1[V]を示し続ける。
【0092】
このため、サンプリング期間Tp内に測定信号Vmiの変動が生じたとしても、第二保持信号Vh2は+0.1[V]を示し続けるため、検出対象物1の電圧変動を正しく検出することが可能となる。
【0093】
つまり、第一実施形態の変動検出回路140では、検出対象物1での短絡により生じる測定信号Vmiの変動期間Tvがサンプリング期間Tpよりも短いような場合であっても、サンプリング期間Tpを短くしなくとも測定信号Vmiの変動を検出することができる。したがって、検出対象物1に電圧を供給している状態で検出対象物1に生じ得る短絡の有無を判定することができる。
【0094】
このように、短絡検出装置100に変動検出回路140を備えることにより、検出対象物1の電圧が電圧値V1を維持するよう制御される定常期間Tsだけでなく、検出対象物1の電流が電流値I1を維持するよう制御される電流Iで充電している充電期間Tcにおいても、測定信号Vmiの変動を検出することができる。
【0095】
このため、検出対象物1の充電期間Tcを必要に応じて変更したとしても測定信号Vmiの変動を検出することが可能となる。そのため、第一実施形態の短絡検出装置100は、充電期間Tcにおいて検出対象物1に供給される電流値I1の大きさを変更可能に構成されている。
【0096】
なお、充電期間Tcにおける測定信号Vmiの変動を検出する手法の説明を上記したが、定常期間Tsにおける測定信号Vmiの変動も同様に検出できる。
【0097】
続いて、処理部200の動作について
図6を参照して説明する。
【0098】
第一実施形態における処理部200は、電流Iを電流値I1に制限するための上限値と電流検出信号Viとの差分に基づいて、電源部110により検出対象物1に供給される電流を一定に制御する電流制御手段を構成する。上限値は、例えば、ユーザの操作に従って操作受付部220により処理部200の内部メモリに保持される。
【0099】
さらに、処理部200は、充電期間Tcにおいて検出対象物1に生じる電圧の単位時間あたりの上昇率が異なる値となるように、
図1に示す定電流源11の動作を制御することが可能である。すなわち、処理部200は、検出対象物1に生じる電圧の単位時間あたりの上昇率が大きく又は小さくなるように定電流源11から検出対象物1に供給される電流Iの電流値I1の大きさを変更可能である。
【0100】
具体的には、
図1に示すように、処理部200は、定電流源11から検出対象物1に供給される電流の上限値を内部メモリから取得する。例えば、上限値は、測定信号Vmiのサンプリング期間Tpに応じて定められる。
【0101】
図6は、電源部110から供給される電気信号によって検出対象物1の両極間(正負極間)に生じる電圧の変化を示す図である。
【0102】
図6には、
図5に示した検出対象物1の電圧特性が破線により示されている。さらに
図6には、
図5での測定条件に対し、電流Iを電流値I1に制限するための上限値を大きくしたときの検出対象物1の電圧特性が一点鎖線により示され、上限値を小さくしたときの検出対象物1の電圧特性が実線により示されている。
【0103】
図6に示すように、処理部200は、充電期間Tcにおいて検出対象物1の両極間に生じる電圧の時間変化率を変更することが可能である。
【0104】
このように、定電流源11から検出対象物1に供給される電流値I1を小さくすることにより、検出対象物1に生じる電圧の単位時間あたりの上昇率を低くすることができる。
【0105】
また、電流Iが電流値I1を維持するための上限値に基づいて検出対象物1に生じる電圧の時間変化率を推定することも可能である。この場合、検出対象物1の静電容量Cの実測値、推定値又は代表値が既知であり、時間変化率ΔVは、上限値Imaxと静電容量Cとを用いて次式により求められる。
ΔV=Imax/C
【0106】
処理部200は、上限値Imaxに基づく時間変化率ΔVの推定値と、電圧検出信号Vvの時間変化率ΔVの実測値と、を比較することにより、検出対象物1での短絡に起因する電圧変動を検出することができる。
【0107】
具体例としては、処理部200の内部メモリに、上限値Imaxと電圧の時間変化率ΔVとの関係を示すテーブルがあらかじめ格納される。そして処理部200は、ユーザの操作によって選択された上限値Imaxを取得すると、内部メモリからその上限値に対応する時間変化率ΔVの推定値を読み出す。その後、処理部200は、電圧検出信号Vvの時間変化率ΔVが推定値に対して所定の値以上乖離した場合に電圧変動が生じたと判断する。
【0108】
次に、短絡検出装置100の動作について
図7及び
図8を参照して説明する。
【0109】
図7は、短絡検出装置100による短絡検出方法を示すフローチャートである。まず、短絡検出装置100を構成する処理部200は、例えばユーザの入力操作に従って、処理部200に上述した供給指令信号を出力する。
【0110】
ステップS1において処理部200は、供給指令信号を受信すると、定電流源11及び定電圧源12を駆動する。
【0111】
ステップS2において処理部200は、さらに、内部メモリから検出対象物1に供給される電流の上限値を取得する。
【0112】
ステップS3において処理部200は、スイッチ部13の接続を定電流源11に設定して、定電流源11から検出対象物1に電流値が電流値I1となるように電流Iを供給する。これにより、処理部200は、検出対象物1を電流値I1の定電流で充電する。
【0113】
このとき、処理部200は、電流検出信号Viと電流Iを電流値I1に制限するための上限値との差分に応じて定電流源11の動作を制御する。それゆえ、電源部110は、定電流源11として機能する。
【0114】
ステップS4において電流測定部130は、定電流源11として機能する電源部110によって検出対象物1に生じる信号を測定する。第一実施形では電流測定部130は、検出対象物1の負極(-)から出力される電流の大きさを測定する。そして電流測定部130は、漏れ電流の大きさを示す測定信号Vmiを生成する。
【0115】
ステップS5において短絡検出装置100は、検出対象物1に生じる信号の変動を検出するための変動検出処理を実行する。変動検出処理の具体例について
図8を参照して後述する。
【0116】
ステップS6において処理部200は、検出対象物1に生じる電圧が電圧値V1に達すると、スイッチ部13の接続を定電圧源12に切り替えて、検出対象物1に生じる電圧が一定に維持されるよう定電圧源12から電圧値V1を検出対象物1に印加する。このとき、処理部200は、電圧検出信号Vvに応じて電源部110の動作を制御する。それゆえ、電源部110は、定電圧源12として機能する。
【0117】
ステップS7において電流測定部130は、定電圧源12として機能する電源部110によって検出対象物1に生じる信号を測定する。第一実施形では電流測定部130は、検出対象物1の負極(-)から出力される電流の大きさを測定する。そして電流測定部130は、漏れ電流の大きさを示す測定信号Vmiを生成する。
【0118】
ステップS8において短絡検出装置100は、検出対象物1に生じる信号の変動を検出するための変動検出処理を実行する。変動検出処理の具体例について
図8を参照して後述する。
【0119】
ステップS9において、処理部200は、ステップS5及びステップS8での変動検出処理の実行により生成される変動検出信号に基づいて検出対象物1の短絡に起因する測定信号Vmiの変動の有無を判定する。そして処理部200は、測定信号Vmiに変動が有る場合には短絡が生じたと判定し、測定信号Vmiに変動が無い場合には短絡が生じていないと判定する。
【0120】
これと共に、処理部200は、検出対象物1に生じる信号に基づいて検出対象物1の物理量を測定する。第一実施形態では処理部200が検出対象物1の負極(-)から出力される電流の大きさを示す電流検出信号Viに基づいて検出対象物1の漏れ電流又は絶縁抵抗Rを演算する。例えば、絶縁抵抗Rは、算出した漏れ電流と検出対象物1の正負極間の電圧値とに基づいて求められる。
【0121】
ステップS9の処理が終了すると、短絡検出方法に関する一連の処理手順が終了する。このように、検出対象物1の物理量を測定しつつ、検出対象物1に生じ得る短絡の有無を検出することができる。
【0122】
図8は、ステップS5及びステップS8で実行される変動検出処理に関する処理手順例を示すフローチャートである。
【0123】
ステップS51において、変動検出回路140は、IV変換回路131から、検出対象物1に流れる電流の大きさを示す測定信号Vmiのピークを保持する。そして変動検出回路140は、保持したピーク値を示す第一保持信号Vh1を生成する。
【0124】
ステップS52において変動検出回路140は、第一保持信号Vh1から測定信号Vmiを減じて得られる差分信号を生成する。
【0125】
ステップS53において、変動検出回路140は、生成した差分信号のピークを保持する。そして変動検出回路140は、保持したピーク値を示す第二保持信号Vh2を生成する。第二保持信号Vh2は、
図4に示したように、測定信号Vmiに一時的な変動が生じなければ基準レベルとなる0[V]を示し、一時的な変動を生じた場合には基準レベルよりも高い値を示す。
【0126】
ステップS54において変動検出回路140は、測定信号Vmiの変動の有無を示す変動検出信号として、第二保持信号Vh2を出力する。
【0127】
ステップS54の処理が終了すると、ステップS5及びステップS8で実行される変動検出処理についての一連の処理手順が終了し、
図7に示した短絡検出方法の処理手順に戻る。
【0128】
次に、第一実施形態による作用効果について説明する。
【0129】
第一実施形態において、短絡検出装置100は、検出対象物1に生じる短絡を検出するための装置である。この短絡検出装置100は、検出対象物1の電圧が所定の電圧値に相当する電圧値V1に達するまで検出対象物1を定電流制御された電流Iにより充電する電源部110(供給手段)と、電源部110によって検出対象物1に生じる信号として検出対象物1を流れる電流を測定する電流測定部130(測定手段)と、を含む。
【0130】
さらに短絡検出装置100は、電流測定部130により生成される測定信号Vmiのピークを保持し、保持した測定信号Vmiのピークを示す第一保持信号Vh1を出力する最大値保持回路140A(第一保持回路)を含む。そして短絡検出装置100は、測定信号Vmiと第一保持信号Vh1との差分を示す差分信号のピークを保持し、保持した差分信号のピークを示す第二保持信号Vh2を出力する変動保持回路140B(第二保持回路)を含む。
【0131】
そして短絡検出装置100は、変動保持回路140Bから出力される第二保持信号Vh2に基づいて検出対象物1の短絡に起因する測定信号Vmiの変動の有無を判定する処理部200(判定手段)を備える。
【0132】
この構成によれば、最大値保持回路140A及び変動保持回路140Bを用いることにより、測定信号Vmiに変動があったことが分かるので、異物の混入などにより生じる短時間の短絡に起因する測定信号Vmiの一時的な上昇と一時的な下降との両者を検出することができる。したがって、検出対象物1の測定信号Vmiの高速なサンプリングをしなくても検出対象物1に生じる異常による短絡を検出することができる。
【0133】
特に、測定信号Vmiが一時的に変動する期間がサンプリング期間Tpよりも短い場合であっても、その変動を的確に検出することができる。それゆえ、サンプリング期間Tpが測定信号Vmiの変動期間Tvに収まるようにAD変換器150及び処理部200などを高精度な回路に置き換える必要性が低いことから、短絡検出装置100による検出精度を確保しつつ製品コストを低減することができる。
【0134】
また、測定信号Vmiの変動期間Tvを考慮する必要性も低いことから、電源部110の定電流源11から検出対象物1に供給される電流値I1の大きさを必要に応じて変更することが可能となる。例えば、電流値I1を大きくして充電期間Tcを短縮することも可能となる。
【0135】
また、第一実施形態における処理部200は、第二保持信号Vh2に基づいて測定信号Vmiの変動が有ると判定した場合に、第一保持信号Vh1に基づいて測定信号Vmiの変動が一時的な上昇か一時的な下降かを判定する。この構成によれば、測定信号Vmiの変動パターンが特定されるので、変動の原因を特定しやすくなる。
【0136】
なお、測定信号Vmiのピークを示す第一保持信号Vh1と測定信号Vmiとの差分信号のピークを示す第二保持信号Vh2だけでは検出対象物1が最初から最後まで短絡している場合は測定信号Vmiに変動がないことから短絡を検出できない。しかしながら、測定信号Vmiのピークを示す第一保持信号Vh1の大きさが0に近いかどうかを判断することにより、短絡しているか分かるので、検出対象物1が最初から最後まで短絡している場合でも検出することができる。このように、第一保持信号Vh1と第二保持信号Vh2とを組み合わせることにより、検出対象物1が検出処理の最初から最後まで短絡している。
【0137】
第一実施形態における変動保持回路140Bは、第一保持信号Vh1から測定信号Vmiを減じて得られる差分信号を出力する減算回路142と、減算回路142から出力される差分信号のピークを保持するピークホールド回路143と、を有する。
【0138】
この構成によれば、変動保持回路140Bを減算回路142とピークホールド回路143とで構成することにより、変動保持回路140Bを簡易な構成で、かつ安価に実現することができる。
【0139】
第一実施形態における電源部110(供給手段)は、検出対象物1に定電流制御された電流Iを供給する定電流源11(定電流手段)と、検出対象物1に所定の電圧値V1の電圧Vを供給する定電圧源12(定電圧手段)とを備える。さらに処理部200は、供給手段として、定電流源11により検出対象物1を充電した後に定電圧源12により検出対象物1の電圧が電圧値V1を維持する制御手段を備える。
【0140】
この構成によれば、所定の電流値I1及び電圧値V1のいずれか一方が一定に維持するよう制御されるので、測定信号Vmiの変動を抽出することが容易となり、短時間の短絡の検出精度を向上させることができる。
【0141】
第一実施形態における測定信号Vmiは、電流測定部130によって生成されるものであり、検出対象物1に流れる電流の大きさを示す。
【0142】
例えば、定常期間Tsに検出対象物1に対して定電圧制御を行う場合は、
図5(a)に示すように、検出対象物1に流れる電流の大きさを示す測定信号Vmiの変動が検出対象物1の両極間の電圧の大きさを示す測定信号Vmvに比べて大きくなる。それゆえ、短絡に起因する一時的な変動を精度よく検出することができる。
【0143】
また、測定信号Vmiを用いる場合は、
図5(a)の破線に示すように、測定信号Vmiには一定の信号レベルに対して一時的な変動が生じる。これに対し、
図5(a)の実線に示すように、電圧測定部120による検出対象物1の電圧を示す測定信号Vmvを用いる場合には、信号レベルが一定の速度で上昇している状態で一時的な変動が生じるため、一時的な変動が電圧上昇により一部埋もれてしまう。
【0144】
したがって、充電期間Tc中に検出対象物1に対して定電流制御を行うことなく単に一定の電流を供給するような場合は、測定信号Vmiを用いることにより、測定信号Vmvを用いる場合に比べて一時的な変動を精度よく検出することができる。
【0145】
また、第一実施形態における処理部200は、定電流源11により検出対象物1に生じる電圧の単位時間あたりの上昇率が変わるよう電流値I1を異なる値に設定可能である。
【0146】
この構成によれば、検出対象物1に生じる電圧の単位時間あたりの上昇率を小さくすることが可能である。この場合、検出対象物1に生じる電圧の単位時間あたりの上昇率が小さくなるにつれて測定信号Vmiの一時的な変動が発生しやすくなるような異常(異物混入)を生じ得る検出対象物1に対しては、短絡の検出精度を高めることができる。
【0147】
反対に、検出対象物1に生じる電圧の単位時間あたりの上昇率を大きくすることも可能である。この場合、充電期間Tcを短くできるので、検出精度を確保しつつ測定時間を短縮することができる。
【0148】
また、第一実施形態において、電流測定部130は、検出対象物1に流れる電流の大きさを示す電流検出信号Viを出力する。さらに処理部200は、電流測定部130から出力される電流検出信号Viと、電流値I1の電流Iに制御するための上限値との差分に基づいて、定電流源11により検出対象物1に供給される電流を一定に制御する。
【0149】
そして処理部200によって取得される上限値は、変更可能である。
【0150】
この構成によれば、電流値I1を示す定電流にするための上限値が変更可能であるため、定電流源11から検出対象物1に供給される電流値I1を任意に変更することができる。
【0151】
例えば、上限値を大きくすることにより、電流値I1が大きくなるので、
図6の一点破線で示した電圧特性のように充電期間Tcが短くなる。それゆえ、測定に要するタクトタイムを短縮することができる。
【0152】
また、電流値I1を小さくするほど測定信号Vmiの変動が発生しやすくなるような物体を検出対象物1として用いる場合は、上限値を小さくすることも可能である。これにより、電流値I1が小さくなるので、測定信号Vmiの変動を精度よく検出することが可能となる。
【0153】
また、第一実施形態において、上述した上限値は、測定信号Vmiのサンプリング期間Tpに応じて定められる。例えば、測定信号Vmiの変動期間Tvがサンプリング期間Tpよりも長い場合には上限値を大きくして充電期間Tcを短縮し、反対の場合は上限値を小さくして検出精度の向上を図る。
【0154】
また、第一実施形態において、検出対象物1に生じる短絡を検出する短絡検出方法は、検出対象物1の電圧が電圧値V1に達するまで検出対象物1を所定の電流値I1を維持するよう制御される電流Iにより充電する供給ステップ(S3)と、供給ステップ(S3)によって検出対象物1に生じる信号を測定する測定ステップ(S4,S7)と、を含む。
【0155】
さらに短絡検出方法は、測定ステップ(S4,S7)において生成される測定信号Vmiのピークを保持し、保持した測定信号Vmiのピークを示す第一保持信号Vh1を出力する第一保持ステップ(S51)と、測定信号Vmiと第一保持信号Vh1との差分を示す差分信号のピークを保持し、保持した差分信号のピークを示す第二保持信号Vh2を出力する第二保持ステップ(S52乃至S54)と、を含む。
【0156】
そして短絡検出方法は、第二保持ステップ(S52乃至S54)において出力される第二保持信号Vh2に基づいて短絡に起因する測定信号Vmiの変動の有無を判定する判定ステップ(S9)を含む。
【0157】
この構成によれば、測定信号Vmiと第一保持信号Vh1との差分を示す差分信号のピークを保持することにより、異物の混入などによって生じる短絡に起因する測定信号Vmiの一時的な上昇と一時的な下降の両者を検出することができる。したがって、検出対象物1に生じる短絡を検出することができる。
【0158】
なお、第一実施形態の短絡検出装置100は
図5に示したように充電期間Tcにおいて検出対象物1の漏れ電流の大きさを示す測定信号Vmiを用いて短絡を検出したが、検出対象物1の両極間電圧を示す測定信号Vmvを用いて短絡を検出してもよい。
【0159】
(第二実施形態)
そこで、検出対象物1の両極間電圧を示す測定信号Vmvを用いて検出対象物1に起こり得る短絡を検出する実施形態について
図9及び
図10を参照して簡単に説明する。
【0160】
図9は、第二実施形態における短絡検出装置100Aの機能構成を示すブロック図である。
【0161】
短絡検出装置100Aは、
図1に示した第一実施形態の構成に加えて、変動検出回路240を備えている。他の構成については、短絡検出装置100の構成と同一又は同等であるため、同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0162】
電圧測定部120は、電流測定部130と同様、
図2に示したフィルタ回路132と同様、LPFを有するフィルタ回路によりノイズ成分を除去した電圧検出信号Vvを出力する。さらに第二実施形態における電圧測定部120は、短時間の短絡を検出するため、フィルタ回路によってノイズ成分を除去する前の測定信号Vmvを変動検出回路240に出力する。
【0163】
変動検出回路240は、検出対象物1に生じる短絡に起因する測定信号Vmvの変動を検出する。第二実施形態における変動検出回路240は、検出対象物1での異物の混入に伴う短絡に起因する測定信号Vmvの一時的な変動を検出する。
【0164】
変動検出回路240は、検出した変動を示す変動検出信号として、測定信号Vmvのピークを保持した第一保持信号Vh3、及び、測定信号Vmvと第一保持信号Vh3との差分のピークを保持した第二保持信号Vh4を生成する。
【0165】
変動検出回路240は、生成した第一保持信号Vh3及び第二保持信号Vh4をAD変換器150に出力する。変動検出回路240の構成は、例えば
図2に示した構成と同等である。
【0166】
図10は、充電期間Tcにおける測定信号Vmvの変動を検出する一例を示す図である。
【0167】
図10(a)には、測定信号Vmvの時間変化が実線により示され、検出対象物1から出力される漏れ電流の時間変化が点線により示されている。
図10(b)には、第一保持信号Vh3の時間変化が示され、
図10(c)には、第二保持信号Vh2の時間変化が示されている。
図10(a)乃至(c)の横軸は共通の時間軸であり、検出対象物1の充電を開始した時点からの経過時間を示す。
【0168】
図10(a)に示すように、充電期間Tcにおいて、サンプリング期間Tp内の変動期間Tvに検出対象物1の電圧の一時的な低下が起こると、測定信号Vmvは一時的に低下する。
【0169】
このとき、
図10(b)に示すように、第一保持信号Vh3は、測定信号Vmvが下降に転ずる直前まで上昇し、その後+1[V]を示す。
【0170】
一方、
図10(c)に示すように、第一保持信号Vh1から測定信号Vmvを減じて得られる差分信号(Vh3-Vmv)のピークを示す第二保持信号Vh4は、+0.2[V]を示し続ける。
【0171】
このため、サンプリング期間Tp内に測定信号Vmvの変動が生じたとしても、第二保持信号Vh4は+0.2[V]を示し続けるため、検出対象物1の電圧変動を正しく検出することが可能となる。
【0172】
仮に、変動検出回路240を用いることなく検出対象物1の両極間の電圧を測定した測定信号Vmvの変動を単に検出するような構成では、充電期間Tcにおいては測定信号Vmvの変動を検出することができない場合がある。
【0173】
例えば、検出対象物1の電圧が一定の速度で上昇している際に一時的な上昇が起こった場合、サンプリング期間Tp内において測定信号Vmvのピークに対して検出対象物1の電圧が上回ってしまうことも想定される。
【0174】
上記例のように測定信号Vmvの変動が生じた時点から変動のピークに対して検出対象物1の電圧が上回る時点までの期間がサンプリング期間Tpよりも短い場合には、検出対象物1の電圧変動を正しく検出することが困難となる。
【0175】
つまり、第二実施形態の変動検出回路240では、検出対象物1での短絡により生じる測定信号Vmvの変動期間Tvがサンプリング期間Tpよりも短いような場合であっても、サンプリング期間Tpを短くしなくとも測定信号Vmvの変動を検出することができる。したがって、検出対象物1に電圧を供給している状態で検出対象物1に生じ得る短絡の有無を判定することができる。
【0176】
このように、短絡検出装置100に変動検出回路240を備えることにより、検出対象物1の電圧が電圧値V1を維持するよう制御される定常期間Tsだけでなく、検出対象物1を電流値I1の電流Iで充電している充電期間Tcにおいても、測定信号Vmvの変動を検出することができる。
【0177】
なお、充電期間Tcにおける測定信号Vmvの変動を検出する手法の説明を上記したが、定常期間Tsにおける測定信号Vmvの変動も同様に検出できる。
【0178】
続いて、第二実施形態による作用効果について説明する。
【0179】
第二実施形態における短絡検出装置100Aは、第一実施形態と同一又は同等の構成を備える。この構成により、第一実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0180】
また、第二実施形態では、検出対象物1の両極間電圧を示す測定信号Vmvが用いられる。充電期間Tcにおいては、第一実施形態の変動検出回路140で用いられた測定信号Vmiの変動に比べて、測定信号Vmvの変動は定電流制御によって抑制されることがない。したがって、短絡検出装置100Aは、第一実施形態に比べて、検出対象物1に起こり得る短絡を精度よく検出することができる。
【0181】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0182】
例えば、
図2に示したIV変換回路131の回路構成は一例であり、入力電流をその電流値に対応する大きさの電圧に変換する機能を有していればよく、これに限られるものではない。同様に、
図2に示した減算回路142の回路構成も一例に過ぎず、これに限られるものではない。
【0183】
また、
図3に示したピークホールド回路141,143の回路構成も一例に過ぎず、電気信号のピークを保持する回路構成であれば、これに限られるものではない。
【0184】
上記実施形態では検出対象物1の正極(+)が短絡検出装置100の接続端子101に接続され、検出対象物1の負極(-)が短絡検出装置100の接続端子102に接続された。しかしながら、検出対象物1の正極(+)及び負極(-)のいずれか一方の電極、及び検出対象物1を構成する外装が、それぞれ短絡検出装置100の接続端子101及び102に接続されてもよい。
【符号の説明】
【0185】
1 検出対象物
10 電流リミッタ
11 定電流源(定電流供給手段)
12 定電圧源(定電圧供給手段)
110 電源部(供給手段)
120 電圧測定部(測定手段、電圧測定手段)
130 電流測定部(測定手段、電流測定手段)
140、240 変動検出回路
140A 最大値保持回路(第一保持回路)
140B 変動保持回路(第二保持回路)
142 減算回路
141、143 ピークホールド回路
150 AD変換器
200 処理部(供給手段、判定手段)