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特開2022-190696抗原特異IgA抗体の産生促進剤および腸管内ムチン増加剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022190696
(43)【公開日】2022-12-26
(54)【発明の名称】抗原特異IgA抗体の産生促進剤および腸管内ムチン増加剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 36/88 20060101AFI20221219BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20221219BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20221219BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20221219BHJP
   A23L 33/105 20160101ALI20221219BHJP
【FI】
A61K36/88
A61P43/00 111
A61P1/00
A61P37/04
A23L33/105
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022095344
(22)【出願日】2022-06-13
(31)【優先権主張番号】P 2021098420
(32)【優先日】2021-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 集会名:公益財団法人ニッポンハム食の未来財団 2019年度研究助成事業 成果報告会 開催日:令和2年10月13日 開催場所:東京都港区高輪3丁目23-17 AP品川アネックス 1階 A+Bルーム 公開者:田中 守 発行日:令和2年9月30日 刊行物:公益財団法人ニッポンハム食の未来財団 2019年度研究助成事業 成果報告会 要旨集 公開者:田中 守 集会名:第27階日本未病学会学術総会 開催日:令和2年10月31日~11月1日 開催場所:オンライン開催 http://procomu.jp/jma2020/ http://online-conference.jp/jma27/login 公開者:恋田 彩加、渡邊 浩幸、三宅 香穂、香西 はな、田中 守 発行日:令和2年10月8日 刊行物:第27回日本未病学会学術総会 公開者:恋田 彩加、渡邊 浩幸、三宅 香穂、香西 はな、田中 守 ウェブサイト掲載日:令和2年1月27日 ウェブサイトのアドレス:http://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-19K11654/ 公開者:田中 守
(71)【出願人】
【識別番号】502365265
【氏名又は名称】株式会社坂田信夫商店
(74)【代理人】
【識別番号】100150142
【弁理士】
【氏名又は名称】相原 礼路
(74)【代理人】
【識別番号】100174849
【弁理士】
【氏名又は名称】森脇 理生
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 浩幸
(72)【発明者】
【氏名】竹本 和仁
(72)【発明者】
【氏名】水田 晶容
(72)【発明者】
【氏名】都築 雅史
(72)【発明者】
【氏名】小川 純生
(72)【発明者】
【氏名】矢野 哲
(72)【発明者】
【氏名】高橋 永
【テーマコード(参考)】
4B018
4C088
【Fターム(参考)】
4B018LB08
4B018LB10
4B018MD61
4B018ME14
4B018MF01
4B018MF06
4C088AB12
4C088AC11
4C088BA08
4C088BA12
4C088CA05
4C088MA02
4C088NA05
4C088NA14
4C088ZA66
4C088ZB09
4C088ZC41
(57)【要約】
【課題】 本発明は、より優れた免疫調節作用を有する新たな薬剤を提供することを目的とする。
【解決手段】 これまで世界中の多くの地域で食用されていたカンナ抽出物に優れた免疫調節作用があることを新たに見出した。カンナ抽出物を摂取させたマウスでは、血清中IgA濃度および脾臓リンパ球培養上清中総IgA濃度が有意に増加した。本発明は、これらの結果に基づき完成された。本発明は、カンナ抽出物を有効成分として含有する、免疫賦活剤、粘膜免疫賦活剤、抗アレルギー剤および免疫賦活用食品組成物を提供する
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カンナ抽出物を有効成分として含有する、抗原特異IgA抗体の産生促進剤であって、前記カンナ抽出物を前記抗原と共に摂取することによって前記抗原特異IgA抗体の産生が促進される、促進剤。
【請求項2】
カンナ抽出物を有効成分として含有する、抗原特異IgA抗体の産生促進用食品組成物であって、前記カンナ抽出物を前記抗原と共に摂食することによって前記抗原特異IgA抗体の産生が促進される、食品組成物。
【請求項3】
カンナ抽出物を有効成分として含有する、腸管内ムチン増加剤。
【請求項4】
カンナ抽出物を有効成分として含有する、腸管内ムチン増加用食品組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カンナデンプン抽出物を含有する抗原特異IgA抗体の産生促進剤および腸管内ムチン増加剤に関する。
【背景技術】
【0002】
免疫力を高めることは、病原性細菌、ウイルス、寄生虫および病原性抗原などによる感染の予防および改善に重要である。免疫力には、体内に細菌およびウイルス等が侵入する前にはたらく粘膜免疫と、体内に細菌およびウイルス等が侵入した後にはたらく全身免疫とがある。
【0003】
粘膜免疫は、目、鼻、口および腸などの粘膜において細菌等の侵入を防ぐはたらきである。特に腸は、口から侵入してきた細菌およびウイルス等にさらされるため、免疫に関わる細胞の多くが腸に存在し、いわゆる腸管免疫を担っているといわれている。粘膜免疫の賦活によって、たとえば消化管粘膜における防御系の免疫機能の低下を防ぐことができる。これには、消化管への微生物の定着および増殖による消化管感染等によって発症する、発熱、嘔吐、下痢および腹痛等の症状の予防および緩和が含まれる。さらに、粘膜免疫賦活は、細菌性の下痢症等の予防および緩和にも有用である。粘膜免疫賦活は、幼児、老人および体力が低下した人における抵抗力の強化にも役立つ。このように、粘膜免疫賦活により、細菌およびウイルスの中和、組織への細菌の付着の抑制、ならびに食物抗原によるアレルギーの抑制が可能となる。
【0004】
腸管免疫には、腸内細菌(善玉菌、日和見菌および悪玉菌)のバランス(腸内環境)が重要であることが分かっている。したがって、腸内環境を整えることは、免疫力の賦活につながる。また、腸内環境が乱れると、免疫機能が低下し感染症などにかかりやすくなるだけでなく、アレルギー性疾患およびリウマチなどの自己免疫疾患などを引き起こすこともある。さらに、腸内環境は、糖尿病、動脈硬化、がん、炎症性腸疾患、歯周病およびうつなどの様々な疾患にも関与しているといわれている。
【0005】
腸管免疫系では、免疫応答としてIgA抗体が産生され、細菌等の腸管粘膜からの侵入を防止する。IgA産生には、腸内細菌も関与することが知られている。
【0006】
腸内環境を改善して免疫を賦活する剤として、特許文献1には、野菜黒糖発酵液の発酵過程で出現する乳酸菌を有効成分として含むIgA産生促進剤および免疫賦活剤が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2020-92703号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、より優れた免抗原特異IgA抗体の産生促進効果および腸管内ムチン増加を有する新たな薬剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、これまで世界中の多くの地域で食用されていたカンナ抽出物に優れた免疫調節作用があることを新たに見出した。具体的には、カンナ抽出物をマウスに摂取させたところ、乾燥糞重量が有意に増加した。カンナ抽出物を摂取させたマウスでは、血清中IgA濃度および脾臓リンパ球培養上清中総IgA濃度が有意に増加した、この結果から、カンナ抽出物が全身における免疫賦活作用を有することが示された。また、カンナ抽出物を摂取させたマウスの糞中ムチン量および糞中総IgA量が有意に増加しただけでなく、糞中の抗原特異的IgAが有意に増加した。この結果から、カンナ抽出物が抗原特異的IgAを有意に増加する作用を有することが示された。さらに、カンナ抽出物には、カンナデンプンを主として含有するだけでなく、ポリフェノールを含有しており、これがカンナ抽出物における有効成分である可能性も示された。
【0010】
また、カンナ抽出物を摂取させたマウスの盲腸重量が有意に増加した。盲腸内容物中pHは、カンナ抽出物摂取群で有意に低値を示した。この結果から、カンナ抽出物が腸内発酵を促進させ、盲腸内容物中の短鎖脂肪酸含量を増加させpHを低下させたことが示唆された。盲腸内容物中の腸内細菌叢を解析した結果、カンナ抽出物摂取群では、Clostridium subcluster XIVaの割合が高かった。また、盲腸内容物中の有機酸を解析したところ、カンナ抽出物摂取群では乳酸、酢酸およびn-酪酸濃度が有意に高かった。この結果から、カンナ抽出物が腸内細菌叢を変化させ、酪酸を代謝産物として産生させることにより、未熟T細胞からTregへの分化を促進させる可能性が示唆された。Clostridium subcluster XIVaの増加は、炎症性腸疾患およびアトピー性皮膚炎等、免疫応答が過剰に起こる疾患の改善に寄与しうることが期待される。
【0011】
また、アレルギー症状抑制作用を調べるために、オボアルブミン(OVA)を用いて感作マウスを作製し、カンナ抽出物を摂取させたところ、糞中のOVA特異IgAおよびムチン含量が有意に増加した。この結果から、カンナ抽出物がマウスの腸管免疫系に作用し、抗原特異IgAおよびムチンを増加させることが示唆された。カンナ抽出物による腸管バリア機能の強化は、I型アレルギーの発症抑制に寄与することが期待される。本発明は、これらの結果に基づき完成された。
【0012】
本発明は、カンナ抽出物を有効成分として含有する、抗原特異IgA抗体の産生促進剤であって、前記カンナ抽出物を前記抗原と共に摂取することによって前記抗原特異IgA抗体の産生が促進される、促進剤を提供する。
【0013】
本発明はまた、カンナ抽出物を有効成分として含有する、抗原特異IgA抗体の産生促進用食品組成物であって、前記カンナ抽出物を前記抗原と共に摂食することによって前記抗原特異IgA抗体の産生が促進される、食品組成物を提供する。
【0014】
本発明はまた、カンナ抽出物を有効成分として含有する、腸管内ムチン増加剤を提供する。
【0015】
本発明はまた、カンナ抽出物を有効成分として含有する、腸管内ムチン増加用食品組成物を提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、優れた免疫賦活作用を有するカンナ抽出物を有効成分として含有するため、細菌およびウイルス等による感染の治療、改善または予防に有用である。また、本発明は、腸内環境を改善し、アレルギー症状を抑制することができる。また、カンナ抽出物は、食用カンナの抽出物であり、これまで多くの地域で食用されていたため、安全に摂取することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】マウス血清中総IgA濃度を示す図。
図2】マウス脾臓培養上清中総IgA濃度を示す図。
図3】マウス糞中ムチン量を示す図。
図4】マウス糞中総IgA量を示す図。
図5】マウス血清中OVA特異IgE抗体価を示す図。
図6】マウス血清中OVA特異IgG1抗体価を示す図。
図7】マウス血清中OVA特異IgG2a抗体価を示す図。
図8】マウス血清中総IgE濃度を示す図。
図9】マウス血清中総IgG濃度を示す図。
図10】マウスの直腸温を示す図。
図11】糞中総IgAを示す図。
図12】糞中OVA特異IgAを示す図。
図13】糞中ムチン含量を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、カンナ抽出物を有効成分として含有する、免疫賦活剤を提供する。
【0019】
本明細書において、「免疫賦活」には、一般的な免疫賦活だけでなく、粘膜免疫の賦活および抗アレルギー作用が含まれる。免疫賦活には、病原性細菌、寄生虫、病原性抗原およびウイルスによる感染および悪影響の治療、改善または予防が含まれる。また、免疫賦活には、IgA抗体の産生促進、腸内環境の改善およびアレルギー症状の抑制が含まれる。
【0020】
本明細書において、「粘膜免疫賦活」には、腸管等の消化管免疫機能の低下の抑制または改善、細菌性消化管感染の治療、改善または予防、ならびに感染による直接的または間接的な影響の治療、改善、予防または緩和が含まれる。
【0021】
本明細書において、「腸内環境の改善」には、腸内細菌叢におけるClostridium subcluster XIVaの割合を増加させることが含まれる。
【0022】
本明細書において「治療」の用語には、疾患または症状を阻害、緩和または軽減すること、疾患または症状の進行を阻害、抑制、遅延または消失させること、寛解すること、および予後の向上を達成することが含まれる。
【0023】
本明細書において「改善」の用語には、疾患または症状を緩和または軽減すること、および疾患または症状の進行を抑制、遅延または消失させることが含まれる。
【0024】
本明細書において「予防」の用語には、疾患または症状の発生(発症)を阻害、抑制または遅延させること、および疾患または症状の再発を阻害、抑制または遅延させることが含まれる。
【0025】
本明細書において「摂取」の用語は、当該技術分野において通常使用される意味を含み、たとえば物質を経口投与すること、食べること、飲むこと、または吸い込むことなどによって体内に取り込むことをいい、摂食することを含む。
【0026】
本発明の免疫賦活剤は、たとえば消化管粘膜における防御系の免疫機能の低下を防ぐことができる。本発明の免疫賦活剤は、消化管への微生物の定着および増殖による消化管感染等により発症する、発熱、嘔吐、下痢および腹痛等の症状の予防および緩和に有用である。さらに、本発明の免疫賦活剤は、細菌性の下痢症等の予防および緩和にも有用である。本発明の免疫賦活剤は、幼児、老人および体力が低下した人における抵抗力の強化にも有用である。このように、本発明の免疫賦活剤により、細菌およびウイルスの中和、組織への細菌の付着の抑制、ならびに食物抗原によるアレルギーの抑制が可能となる。
【0027】
本発明の免疫賦活剤が有する免疫賦活作用およびこれに基づく抗アレルギー作用は、血清中および糞中の抗原特異IgA量の増加および糞中ムチン含量の増加で表されることができる。したがって、本発明の免疫賦活剤は、抗原特異IgA抗体の産生促進剤および腸管内ムチン増加剤を含む。
【0028】
カンナデンプンは、食用カンナ(ダンドク(カンナ)科;Canna edulis Ker.)から得られたデンプンをいう。食用カンナは、南米の北西部原産の植物であり、その根茎にデンプンを蓄積する。カンナデンプンは、天然に由来するものであり、古来より世界中の多くの地域で食用されてきたことから、安全に摂取することができる。
【0029】
カンナデンプンは、カンナ抽出物から得ることができる。カンナ抽出物は、食用カンナから抽出された抽出物である。本明細書において、カンナ抽出物は、食用カンナの根茎部または葉茎部、あるいは根茎部および葉茎部の混合物から溶媒抽出することによって得られる抽出物をいう。より具体的には、カンナ抽出物は、食用カンナの根茎部または葉茎部、あるいは根茎部および葉茎部の混合物をよく水洗いして使用することができる。カンナ抽出物は、食用カンナの根茎部または葉茎部、あるいは根茎部および葉茎部の混合物を、水および/またはアルコール(メタノール、エタノール、プロパノールおよびブタノール等)、酢酸またはヘキサン等の抽出溶媒中、たとえば水中でホモジナイズして得られる液相から得られる抽出物である。これらの溶媒は、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。また、食用カンナの根茎部または葉茎部、あるいは根茎部および葉茎部の混合物をよく水洗いして使用することができる。カンナ抽出物は、たとえば下記の実施例において試験例4に示したように食用カンナ1kgあたり4リットルの水を添加し、食品用ミキサー等でホモジナイズしてもよい。ホモジナイズした生成物から、任意の方法によって液相を得ることができる。たとえば、ホモジナイズした生成物を3,000rpmにて15分間遠心分離することによって液相を得てもよいし、または木綿の布等を使用してろ過したろ液を液相として得てもよい。さらに、カンナ抽出物は、ホモジナイズしたものから得られた液相を、凍結乾燥またはスプレードライなどによって乾燥させてもよい。ホモジナイズした生成物から木綿の布を使用してろ過することによって得られた液相を凍結乾燥させることができる。抽出方法は、たとえば加熱抽出方法、常温抽出方法または冷温抽出方法であってもよい。加熱抽出方法は、ホモジナイズの中心温度が65℃で30分撹拌加熱する。常温抽出方法は、常温で2時間、撹拌する。冷温抽出方法は、4℃~10℃で、24時間撹拌する。
【0030】
カンナ抽出物は、カンナ由来のデンプンだけでなく、ポリフェノールおよびその他の成分を含有する。上記抽出方法によるカンナ抽出物は、下記の実施例に記載したとおり、ポリフェノールを多く含有することが明らかとなった。したがって、本発明の抗原特異IgA抗体の産生促進剤および腸管内ムチン増加剤は、カンナ由来のデンプンだけでなく、少なくともポリフェノールを含有する。ポリフェノールとは、芳香環に結合した二つ以上の水酸基(フェノール性水酸基)を有した化合物の総称であり、その化学構造からフェノールカルボン酸類、フェノールアミン類、フラボノイド化合物のアントシアニン類、フラボン類およびタンニン類などに大別される。フォーリン-チオカルト法は、これら広範なポリフェノール化合物と反応することから、ISO(国際標準化機構)に採用されている。本明細書におけるポリフェノールは、フォーリン-チオカルト法の手順によって検出される成分をいう。
【0031】
本発明の抗原特異IgA抗体の産生促進剤は、抗原と共に摂取することによって当該抗原に特異的なIgA抗体の産生を促進する。また、本発明の腸管内ムチン増加剤は、食事と共に摂食することによって腸管内ムチンを増加する。本発明の抗原特異IgA抗体の産生促進剤および腸管内ムチン増加剤は、カンナ抽出物に含有されるポリフェノールの量に比例してその効果も増大する。すなわち、ポリフェノールの量が多いほど、その抗原特異IgA抗体の産生促進および腸管内ムチン増加に対する効果も高い。
【0032】
本発明の免疫賦活剤は、医薬品、医薬部外品および食品の形態であることができる。本発明の免疫賦活剤は、経口投与製剤として、たとえば糖衣錠、バッカル錠、コーティング錠およびチュアブル錠等の錠剤;トローチ剤;丸剤;散剤;硬カプセル剤および軟カプセル剤を含むカプセル剤;顆粒剤;ならびに懸濁剤、乳剤、シロップ剤およびエリキシル剤等の液剤などであることができる。また、本発明の免疫賦活剤は、静脈注射、皮下注射、腹腔内注射、筋肉内注射、経皮投与、経鼻投与、経肺投与、経腸投与、口腔内投与および経粘膜投与などの非経口投与製剤であることができる。また、本発明の免疫賦活剤は、食品として、たとえば固形状、液状、顆粒状、粒状、粉末状、カプセル状、クリーム状およびペースト状などであってもよく、具体的には、たとえば飲料、硬カプセル、軟カプセル、タブレット、顆粒またはゼリーなどであることができる。
【0033】
本発明の免疫賦活剤は、必要に応じて、医薬品、医薬部外品および食品に通常用いられる賦形剤、安定剤、保存剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、炭化水素類、脂肪酸類、アルコール類、エステル類、pH調整剤、防腐剤、着色剤および香料などの成分をさらに含有してもよい。
【0034】
賦形剤の例には、乳糖、ブドウ糖、白糖、マンニトール、デキストリン、馬鈴薯デンプン、トウモロコシデンプン、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウムおよび結晶セルロースなどを含む。
【0035】
結合剤の例には、デンプン、ゼラチン、シロップ、トラガントゴム、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースなどを含む。
【0036】
崩壊剤の例には、デンプン、寒天、ゼラチン末、結晶セルロース、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウムおよびカルボキシメチルセルロースカルシウムなどを含む。
【0037】
滑沢剤の例には、ステアリン酸マグネシウム、水素添加植物油、タルクおよびマクロゴールなどを含む。
【0038】
着色剤は、医薬品および食品に添加することが許容されている任意の着色剤を使用することができる。
【0039】
また、本発明の免疫賦活剤は、必要に応じて、白糖、ゼラチン、精製セラック、ゼラチン、グリセリン、ソルビトール、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、フタル酸セルロースアセテート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、メチルメタクリレートおよびメタアクリル酸重合体などで一層以上の層で被膜してもよい。
【0040】
本発明の免疫賦活剤において、カンナ抽出物の含有量は、免疫賦活作用を発揮しうる含有量であればよく、たとえばカンナ抽出物の乾燥粉末を用いる場合には0.1質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましい。また、カンナ抽出物の含有量は、100質量%以下であってもよく、90質量%以下、80質量%以下であってもよい。
【0041】
本発明の免疫賦活剤は、アレルギーの予防および改善を目的として用いることができる。本発明の免疫賦活剤は、特に限定されないが、たとえば、アレルギー体質の人用および/または花粉が気になる人用などの表示が付されることができる。また、本発明の免疫賦活剤は、鼻の調子を整える、目の調子を整える、目や鼻の不快感を緩和する、目の健康のため、鼻の健康のため、および/または目の疲労感を緩和するなどの表示が付されることができる。また、本発明の免疫賦活剤は、特に限定されないが、たとえば、お腹の調子を整えるなどの表示が付されることができる。
【0042】
本発明はまた、カンナ抽出物を有効成分として含有する、免疫賦活用食品組成物を提供する。本発明の食品組成物は、上述した免疫賦活剤と同様に構成することができる。本発明の免疫賦活用食品組成物は、抗原特異IgA抗体の産生促進用食品組成物および腸管内ムチン増加用食品組成物を含む。
【0043】
本明細書において「食品組成物」には、一般的な飲食品だけでなく、病者用食品、健康食品、機能性食品、特定保健用食品、栄養補助食品およびサプリメントなどが含まれる。一般的な飲食品には、たとえば各種飲料、各種食品、加工食品、液状食品(スープ等)、調味料、栄養ドリンクおよび菓子類などが含まれる。本明細書において「加工食品」とは、天然の食材(動物および植物など)に対し加工および/または調理を施したものをいい、たとえば肉加工品、野菜加工品、果実加工品、冷凍食品、レトルト食品、缶詰食品、瓶詰食品およびインスタント食品などが含まれる。本発明の食品組成物は、免疫を賦活させる旨、腸内環境を改善する旨、あるいはアレルギー症状を緩和する旨などの表示を付した食品であってもよい。また、本発明の食品組成物は、袋および容器等に封入された形態で提供されてもよい。本発明において使用する袋および容器は、食品に通常使用される任意の袋および容器であることができる。
【実施例0044】
〔免疫賦活作用〕
(試験例1)生体を用いた抗体産生評価
1.カンナ抽出物生成
試験例1~3において、カンナ抽出物は、新鮮食用カンナ根茎部1kgを用いて、4リットルの水を使い食品用ミキサーを使用してホモジナイズし、木綿の布を使用してろ過したろ液を凍結乾燥を行った場合、ろ液の乾燥物として、新鮮重1kgあたり約75gの乾燥物を得た。以下の実施例において、カンナ抽出物は、単にカンナデンプンまたはCanna starchとも表記する。また、以下の実施例において、%は、重量%を示す。
【0045】
2.動物
6週齢の雌BALB/cCrSlcマウス(体重15~20g)は、日本SLC(浜松、静岡県、日本)から購入した。動物を、室温24±3℃、12/12 h(A.M. 7:00~P.M. 7:00)の明暗サイクルの条件で飼育した。実験計画は、高知県立大学の動物実験委員会(承認番号:2016-13)によって承認されている、動物実験のためのガイドラインに従った。
【0046】
3.給餌、サンプリング
マウスは水とAIN-93G食餌に自由に摂取できるようにした。次いで、マウスを体重に応じて、8匹ずつからなる3グループに割り当て、2週間、以下の食餌を自由に供給した。
Control:AIN-93G
Low-canna:3.16%(コーンスターチ量の5%)カンナ抽出物を添加したAIN-93G。
High-canna:6.32%(コーンスターチ量の10%)カンナ抽出物を添加したAIN-93G。
食餌の詳細は、表1に示す。なお、表1中の数値の単位は、%である。
【0047】
【表1】
【0048】
3.採血および糞採取
実験期間を通して、マウスの体重を毎日記録した。15日目に麻酔下において、心臓から全血液を行った。血清を遠心分離(4,000×gで、15分間)後、上清を回収し、-20℃で保存した。糞ペレットは、15日目に採取した。次に、糞ペレットを実験凍結乾燥機ALPHA 2-4 LD plus(Martin Christ, Osterode, Germany)により乾燥した。抗体レベルを評価するために、これらのサンプルは、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)に供し、総抗体量を測定した。
【0049】
4.脾臓リンパ球の分離および培養
脾臓は、15日目に麻酔下において、取り除き、Lympholyte-M(DSファーマバイオメディカル株式会社、大阪、日本)を用いてリンパ球を分離した。分離したリンパ球を100 units/mLのペニシリン、100μg/mLおよび10% FBSを含むRPMI1640培地で2×106 cells/mLに調整し、24 well培養プレートに1 mL加え、37℃、CO2インキュベーターにて72時間培養した後、上清を回収し、-20℃で保存した。回収したサンプルは、ELISAに供し、総抗体量を測定した。
【0050】
5%および10%カンナ抽出物を飼料として2週間飼育したマウスの継時的体重変化を比較したところ、コントロールを含めた3つのグループの間に体重差は認められなかった。
【0051】
下記表2は、5%および10%カンナ抽出物を飼料として2週間飼育したマウスの乾燥糞便重量を示す表である。なお、表中および図中において、数値右およびグラフ中に示すa、b、c、dの文字は、同じ文字を示す場合には有意差なし、異なる記号を持つ場合には、有意差ありであることを示す。
【0052】
【表2】
【0053】
乾燥糞便重量は、Controlと比較し、Low-cannaおよびHigh-cannaで有意に増加した。
【0054】
5.血清および脾臓リンパ球培養上清に含まれる総IgA、IgGおよびIgM濃度の測定
血清および脾臓リンパ球培養上清に含まれる総IgA、IgGおよびIgM濃度を、それぞれMouse IgA Ready-SET-GO, Mouse IgG Ready-SET-GOおよびMouse IgM Ready-SET-GO(Thermo Fisher Scientific, MA, USA)によるサンドイッチ法によって、キットの説明書に従い定量した。
【0055】
図1は、マウス血清中総IgA濃度を示す図である。
【0056】
血清中総IgA濃度は、Controlと比較し、High-cannaで有意に高値を示した。また、Low-cannaにおいてもControlと比較し、高い傾向を示した(p = 0.064)。この結果は、カンナ抽出物が、全身における免疫賦活作用を有することを示す。なお、血清中総IgG濃度および総IgM濃度については、3群間で差が認められなかった(図示せず)。
【0057】
図2は、マウス脾臓培養上清中総IgA濃度を示す図である。
【0058】
脾臓リンパ球培養上清中総IgA濃度は、カンナ抽出物濃度依存的に高値を示し、ControlおよびLow-cannaと比較し、High-cannaで有意に高値を示した。この結果は、カンナ抽出物が、全身における免疫賦活作用を有することを示す。
【0059】
なお、脾臓リンパ球培養上清中総IgG濃度および総IgM濃度については、3群間で差が認められなかった。
【0060】
6.糞中のムチン量および総IgA量の測定
糞中ムチン量は、糞便ムチン測定キット(コスモバイオ株式会社、東京、日本)による蛍光測定法によってキットの説明書に従い定量した。糞中総IgA量の測定に用いる糞ペレットの抽出物は、以下のようにして調製した。すなわち、糞ペレット100 mgを、PBS 1 mLに混合し、そして一晩4℃でインキュベートした。その後、ペレットを5分間ボルテックスした。この混合物を遠心分離(4,000×gで、15分間)後、上清を回収し、-20℃で保存した。総IgA量の検出のための手順は、上述と同様に行った。
【0061】
図3は、マウス糞中ムチン量を示す図である。糞中ムチン量は、Controlと比較し、Low-cannaおよびHigh-cannaで有意に高値を示した。この結果は、カンナ抽出物が、腸管における免疫賦活作用を有することを示す。
【0062】
図4は、マウス糞中総IgA量を示す図である。糞中総IgA量は、Controlと比較し、Low-cannaおよびHigh-cannaで有意に高値を示した。この結果は、カンナ抽出物が、腸管における免疫賦活作用を有することを示す。
【0063】
〔腸内細菌叢改善〕
(試験例1―1)生体を用いた腸内環境評価
1.動物
6週齢の雌BALB/cCrSlcマウス(体重15~20 g)は、日本SLC(浜松、静岡県、日本)から購入した。動物を、室温24±3℃、12/12 h(A.M. 7:00~P.M.7:00)の明暗サイクルの条件で飼育した。実験計画は、高知県立大学の動物実験委員会(承認番号:2016-13)によって承認されている、動物実験のためのガイドラインに従った。
【0064】
2.給餌、サンプリング
マウスは水とAIN-93G食餌に自由に摂取できるようにした。次いで、マウスを体重に応じて、8匹ずつからなる3グループに割り当て、2週間、以下の食餌を自由に供給した。
Control:AIN-93G
Low-canna:3.16%(コーンスターチ量の5%)カンナ抽出物を添加したAIN-93G。
High-canna:6.32%(コーンスターチ量の10%)カンナ抽出物を添加したAIN-93G。
食餌の詳細は、表3に示す。なお、表3中の数値の単位は、%である。
【0065】
【表3】
【0066】
盲腸サンプルは、15日目に麻酔下において、取り除き、重量、内容物中pHを測定した後、盲腸内容物をドライアイスで凍らせ、-20℃で保存した。
【0067】
表4は、5%および10%カンナ抽出物を飼料として2週間飼育したマウスの盲腸重量および盲腸内容物pHを示す表である。
【0068】
【表4】
【0069】
盲腸重量は、ControlおよびLow-cannaと比較し、High-cannaで有意に高値を示した。この結果は、カンナ抽出物が盲腸内において、腸内発酵を促進し、盲腸重量を増加させていることが考えられた。
【0070】
盲腸内容物中pHは、ControlおよびLow-cannaと比較し、High-cannaで有意に低値を示した。この結果は、カンナ抽出物が腸内発酵を促進させた結果として、盲腸内容物中の短鎖脂肪酸含量を増加させpHを低下させたものと考えられた。
【0071】
Terminal restriction fragment length polymorphism(T-RFLP) 法による盲腸内容物中の腸内細菌叢分析を行った。また、ポストカラムpH緩衝化電気伝導度検出法を用いたHigh performance liquid chromatography (HPLC)による盲腸内容物中の有機酸分析を行った。これらの分析は、株式会社テクノスルガ・ラボに依頼した。
【0072】
表5は、マウスの盲腸内容物中の腸内細菌叢の割合を表す。表6は、マウスの盲腸内容物中の有機酸濃度を表す。
【0073】
【表5】
【0074】
【表6】
【0075】
盲腸内容物中の腸内細菌叢を解析した結果、Clostridium subclusterXIVaの割合においてControlと比較し、High-cannaで有意に高値を示した。また、腸内細菌の代謝産物として、盲腸内容物中の有機酸を解析した結果、乳酸、酢酸およびn-酪酸濃度においてControlと比較し、High-cannaで有意に高値を示した。
【0076】
〔抗アレルギー〕
(試験例2)生体を用いたアレルギー症状抑制評価
1.動物と抗原
5週齢の雌BALB/cCrSlcマウス(体重15~20g)は、日本SLC(浜松、静岡県、日本)から購入した。動物を、室温24±3℃、12/12 h(A.M. 7:00~P.M. 7:00)の明暗サイクルの条件で飼育した。実験計画は、高知県立大学の動物実験委員会(承認番号:2017-04)によって承認されている、動物実験のためのガイドラインに従った。抗原は、鶏卵白由来オボアルブミン(OVA)であり、Sigmaから購入した。
【0077】
2.給餌、感作およびサンプリング
マウスは水とAIN-93G食餌に自由に摂取できるようにした。次いで、マウスを体重に応じて、8匹ずつからなる6グループに割り当て、4週間、以下の食餌を自由に供給した。
非感作-AINおよび感作-AINグループ:AIN-93G
非感作-EGCGおよび感作-EGCGグループ:0.5%エピガロカテキンガレート(EGCG)を添加したAIN-93G。
非感作-Cannaおよび感作-Cannaグループ:6.32%(コーンスターチ量の10%)カンナ抽出物を添加したAIN-93G。
食餌の詳細は、表7に示す。なお、表7中の数値の単位は、%である。
【0078】
【表7】
【0079】
3.感作マウスの作製
実験期間を通して、マウスの体重を3回/週記録した。感作群のマウスは、7日目および21日目に、PBS 0.2mL中、OVA 50 μgおよび4 mgの水酸化アルミニウムを腹腔内投与した(感作-AINグループ、感作-EGCGグループおよび感作-cannaグループ)。非感作グループは、OVAを含まない溶液を腹腔内投与した(4 mgの水酸化アルミニウムを含む0.2 mLのPBSのみを腹腔内投与)。抗体レベルを評価するために、29日目に軽い麻酔下において、血液をマウスの静脈から得た。
【0080】
4.血清OVA特異的IgE、IgG1およびIgG2aの測定
OVA特異的IgE、IgG1およびIgG2aのレベルは、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)を用いて測定した。具体的には、Nunc 96-wellイムノプレート(Thermo Fisher Scientific, MA, USA)を、10μg/mLのOVAを含む0.1 M炭酸緩衝液(pH 9.6)100μLでコーティングし、そして4℃で一晩インキュベートした。ウェルを、0.05%ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート(Tween20、和光純薬、大阪、日本)を含有するPBS(PBST)で洗浄した後、1%BSA/PBST溶液にて37℃で1時間インキュベートした。各血清試料の100μL量(IgEでは1 : 50、IgG1、IgG2aでは、1 : 250の割合で、1%BSAを含むPBSTにて希釈)を各ウェルに適用し、そして混合物を37℃にて1時間インキュベートした。200μLのPBSTで各ウェルを5回洗浄後、HRP結合ウサギ抗マウスIgE(1%BSAを含有するPBSTにて1 : 1000希釈、サンタクルーズバイオテクノロジー社製)100μL、HRP結合ウサギ抗マウスIgG1(1%BSAを含有するPBSTにて1 : 5000希釈、Santa Cruz Biotecnology, CA, USA)およびHRP結合ウサギ抗マウスIgG2a(1%BSAを含有するPBSTにて1 : 5000希釈、サンタクルーズバイオテクノロジー社製)を各ウェルに添加し、そして37℃にて1時間インキュベートした。各ウェルを200μLのPBSTで5回洗浄後、合成基質であるο-phenylendiamine(一級;和光純薬工業、大阪、日本)2mgを5mLのクエン酸バッファーに加え、さらにHO(特級;和光純薬工業、大阪、日本)を0.006%加えたものを、各ウェルに100μLずつ入れ、室温にて1-5分以内の反応後、2.5 MHSO(ナカライテスク株式会社、京都、日本)50μLで反応を終了させ、そして490 nmでの吸光度をxMarkTMマイクロプレートリーダー(Bio-Rad Laboratories, CA, USA)で測定した。
【0081】
図5は、マウス血清中OVA特異IgE抗体価を示す図である。図6は、マウス血清中OVA特異IgG1抗体価を示す図である。図7は、マウス血清中OVA特異IgG2a抗体価を示す図である。CAは非感作-AINグループ、CEは非感作-EGCGグループ、CCは非感作-Cannaグループ、OAは感作-AINグループ、OEは感作-EGCGグループおよびOCは感作-Cannaグループを示す。
【0082】
血清中OVA特異IgE抗体価、OVA特異IgG1抗体価およびOVA特異IgG2a抗体価は感作の有無で差が認められたものの、飼料の影響による差は認められなかった。
【0083】
5.血清に含まれる総IgEおよびIgG濃度の測定
総IgEおよびIgG濃度を、それぞれMouse IgE Ready-SET-GO, Mouse IgG Ready-SET-GO(Thermo Fisher Scientific, MA, USA)によるサンドイッチ法によって、キットの説明書に従い定量した。
【0084】
図8は、マウス血清中総IgE濃度を示す図である。図9は、マウス血清中総IgG濃度を示す図である。CAは非感作-AINグループ、CEは非感作-EGCGグループ、CCは非感作-Cannaグループ、OAは感作-AINグループ、OEは感作-EGCGグループおよびOCは感作-Cannaグループを示す。
【0085】
血清中総IgE濃度および総IgG濃度は、感作の有無で差が認められ、さらに感作の有無に関係なく血清中総IgGでは、EGCGはAIN-93Gと比較し高値を示した。
【0086】
6.アレルギー症状の評価
OVA感作マウスに軽く麻酔をかけ,フィーディングニードル専用シリンジ(Popper)を用いて,OVA 10 mg/ PBS 0.2 ml /匹を全てのマウスに胃内投与した。直腸温は動物体温記録計(夏目製作所)を用い試料投与30分後に測定した。
【0087】
図10は、マウスの直腸温を示す図である。直腸温は非感作-AINグループ、非感作-EGCGグループ、非感作-Cannaグループおよび感作-Cannaと比較し、感作-AINグループおよび感作-EGCGグループで有意に低値を示した。この結果は、カンナ抽出物がアレルギー症状を抑制することを示す。
【0088】
〔免疫賦活〕
(試験例3)生体を用いた粘膜免疫賦活評価
1.動物と抗原
5週齢の雌BALB/cCrSlcマウス(体重15~20g)は、日本SLC(浜松、静岡県、日本)から購入した。動物を、室温22±2℃、12/12 h(A.M. 8:00~P.M. 8:00)の明暗サイクルの条件で飼育した。実験計画は、中部大学動物実験委員会の承認(承認番号:第20191004号)によって承認されている、動物実験のためのガイドラインに従った。抗原は、鶏卵白由来オボアルブミン(OVA)であり、Sigmaから購入した。
【0089】
2.給餌、感作およびサンプリング
マウスは水とAIN-93G食餌に自由に摂取できるようにした。次いで、マウスを体重に応じて、8匹ずつからなる3グループに割り当て、5週間、以下の食餌を自由に供給した。
ControlグループおよびOVAグループ:AIN-93G
OVA-Cannaグループ:10%カンナ抽出物を添加したAIN-93G。
食餌の詳細は、表8の通りである。なお、表8中の数値の単位は、%である。
【0090】
【表8】
【0091】
3.感作マウスの作製
実験期間を通して、マウスの体重を3回/週記録した。感作群のマウスは、14日目および28日目に、PBS 0.2 mL中、OVA 50μgおよび4mgの水酸化アルミニウムを腹腔内投与した(OVAグループおよびOVA-cannaグループ)。Controlグループは、OVAを含まない溶液を腹腔内投与した(4 mgの水酸化アルミニウムを含む0.2 mLのPBSのみを腹腔内投与)。糞中の抗原特異IgAおよびムチン含量を評価するため、実験開始33日目から3日間における各グループの糞を採取した。
【0092】
4.糞中総IgA
血清に含まれる総IgA量の測定は、Mouse IgA Ready-SET-GOによるサンドイッチ法によって行った。キットの説明書に従い、iMarkTMマイクロプレート吸光分光光度計を用いて450 nmの吸光度を測定した。
【0093】
5.糞中OVA特異IgA
糞中OVA特異IgAの測定は、上記「(試験例2)生体を用いたアレルギー症状抑制評価」における「4.血清OVA特異的IgE、IgG1およびIgG2aの測定」にて説明した方法に沿って行った。糞中OVA特異IgAでは、糞をPBSで0.1g dry weight/mL濃度で一晩懸濁した上清を100倍希釈になるように、また、二次抗体としてAnti IgA-HRP、Mouseを1000倍希釈になるよう1%BSA/PBS-Tに溶かし用いた。
【0094】
6.ムチン含量の評価
糞中に含まれるムチン量は、Fecal Mucin Assay Kitを用いてキットの説明書に従い,SynergyTM HTXマイクロプレートリーダーを用い、Gen5TMソフトウェアにて励起波長320/20nm、経口波長380/20 nmおよびGEN 70の吸光度を測定した。
【0095】
【表9】
【0096】
食餌摂取量、体重増加率および乾燥糞重量の測定結果を表9に示した。体重増加率および食餌摂取量は、すべての群で差は認められなかった。一方、実験開始33日目から3日間におけるOVA-Canna群の1日当たりの糞重量は、Control群およびOVA群と比較し有意な増加が認められた(p < 0.01)。これらの結果から、カンナ抽出物は体重増減に影響しないことが考えられる。
【0097】
消化管免疫の指標として糞中の総IgA,OVA特異IgAおよびムチン含量を評価した。図11は、糞中総IgAを示す図である。図12は、糞中OVA特異IgAを示す図である。図13は、糞中ムチン含量を示す図である。マウスの糞中総IgAは3群間で有意な差が認められなかった。一方,糞中のOVA特異IgAおよびムチン含量はControl群およびOVA群と比較しOVA-Canna群で有意な増加が認められた(p < 0.01)。これらの結果から、カンナ抽出物がマウスの腸管免疫系に作用し、抗原特異IgAおよびムチンを増加させることが示唆される。これらの腸管バリア機能の強化は、I型アレルギーの発症抑制に寄与するものと考えられる。
【0098】
〔カンナ抽出物〕
(試験例4)カンナ抽出物の分析
1.カンナ抽出物の生成
(抽出物A)新鮮食用カンナ根茎部1kgを用いて、水を使い食品用ミキサーを使用してホモジナイズし、木綿の布を使用してろ過したろ液を凍結乾燥を行った場合、ろ液の乾燥物は、新鮮重1kgあたり約75gの乾燥物を得た(抽出物A)。
(抽出物B)新鮮食用カンナ葉茎部1kgを用いて、水を使い食品用ミキサーを使用してホモジナイズし、木綿の布を使用してろ過したろ液を凍結乾燥を行った場合、ろ液の乾燥物は、新鮮重1kgあたり約26gの乾燥物を得た(抽出物B)。
(抽出物C)新鮮食用カンナ根茎部500gと新鮮食用カンナ葉茎部500gを混合して用いて、水を使い食品用ミキサーを使用してホモジナイズし、木綿の布を使用してろ過したろ液を凍結乾燥を行った場合、ろ液の乾燥物は、新鮮重1kgあたり約45gの乾燥物を得た(抽出物C)。
【0099】
2.総ポリフェノールの定量
抽出物A、BおよびCを用いて、総ポリフェノール量を測定した。各抽出物0.25g取り、5%メタリン酸溶液20mLを加えた。ホモジナイズ後、30mlに定容した。その後、5%メタリン酸溶液で30mLに定容し、室温で10分間静置した。混合後、上清1.2mLをとり、10,000rpmで10分間遠心分離した。回収した上清0.5mLに対して、0.4M炭酸ナトリウム水溶液0.4mLとフェノール試薬0.2mL、または盲検としてフェノール試薬の代わりに水0.2mLを加えた。さらに、水を2.9mL加えて撹拌し、室温で10分間静置した。その後、紫外可視分光光度計を用いて、吸光度(760nm)を測定した。検量線は、クロロゲン酸をメタノール:5%メタリン酸溶液(10:35)で希釈して作成した。以下のとおりのポリフェノール含有量であった。
ポリフェノール量(mg/100g乾燥抽出物)
抽出物A:13.2±3.6mg
抽出物B:57.7±4.8mg
抽出物C:41.23±3.1mg
【0100】
3.タンパク質量の定量
ケルダール法により、抽出物A、BまたはCを約1gを使用して、分解促進剤KJELTABS(登録商標)ECO(株式会社アクタック)ケルダール分解器K-425(日本ビュッヒ株式会社)を使用して分解後、ケルダール蒸留装置 K-360(日本ビュッヒ株式会社)を用いて蒸留し、自動滴定装置877 Titrino Plus(メトロームジャパン株式会社)を使用して滴定して行った。ニラ鱗茎上部より葉の先端までの1本(約3g)を量り取り、分解促進剤(KJELTABS-ECO (株) アクタック、Cu不含)を1錠添加し、硫酸を20mL添加して、加熱分解した。およそ6時間後冷却し、ケルダール蒸留(KjelFlex K-360 BUCHI、877Titrino plus Metrohm))を行って、自動滴定装置877 Titrino Plus(メトロームジャパン株式会社)を使用して滴定して行い、窒素量を測定した。タンパク質換算係数6.25を使用して、食品100g当りのタンパク質量を算出した。以下のとおりのタンパク質含有量であった。
総タンパク質の定量(g/100g乾燥抽出物)
抽出物A:0.23±0.16g
抽出物B:0.67±0.23g
抽出物C:0.48±0.18g
【0101】
4.総灰分の定量
灰化法により、抽出物A、またはB、またはCを約0.3gをあらかじめ恒量を求めたるつぼに量り取り、250℃で2時間、その後、550℃で24時間、加熱して灰化した。冷却後、るつぼの重量を測定して無機質量を求め、食品100g当りの無機質量を算出した。以下のとおりの総灰分量であった。
総灰分の定量(g/100g乾燥抽出物)
抽出物A:0.33±0.06g
抽出物B:0.86±0.08g
抽出物C:0.56±0.10g
【0102】
5.水分量の定量
常圧加熱乾燥法により、抽出物A、BまたはCを約0.5g使用して、加熱乾燥式水分計MX-50(株式会社エー・アンド・デイ)を用いて行った。簡単には、試料を加熱して水分を蒸散させ、乾燥前後の重量差を試料の水分含量とする方法である。135℃加熱後の食品100g当りの水分量を測定した。以下のとおりの水分分量であった。
水分の定量(g/100g乾燥抽出物)
抽出物A:10.7±0.07g
抽出物B:10.1±0.09g
抽出物C:9.5±0.10g
【0103】
[糞中OVA特異的IgA、ムチン含量]
(試験例5)生体を用いた粘膜免疫賦活評価
1.動物と抗原
5週齢の雌BALB/cCrSlcマウス(体重15~20 g)は、日本SLC(浜松、静岡県、日本)から購入した。動物を、室温22±2℃、12/12 h(A.M. 8:00~P.M. 8:00)の明暗サイクルの条件で飼育した。実験計画は、高知県立大学動物実験委員会の承認(承認番号:2017-04)によって承認されている。抗原は、鶏卵白由来オボアルブミン(OVA)であり、Sigmaから購入した。
【0104】
2.給餌、感作およびサンプリング
マウスは水とAIN-93G食餌に自由に摂取できるようにした。次いで、マウスを体重に応じて、8匹ずつからなる3グループに割り当て、5週間、以下の食餌を自由に供給した。
ControlグループおよびOVAグループ:AIN-93G
OVA-抽出物Aグループ:抽出物Aを10%添加したAIN-93G
OVA-抽出物Bグループ:抽出物Aを10%添加したAIN-93G
OVA-抽出物Cグループ:抽出物Aを10%添加したAIN-93G
【0105】
【表10】
【0106】
食餌の詳細は、表10の通りである。
【0107】
3.感作マウスの作製
実験期間を通して、マウスの体重を3回/週記録した。感作群のマウスは、14日目および28日目に、PBS 0.2mL中、OVA 50μgおよび4mgの水酸化アルミニウムを腹腔内投与した(OVAグループおよびOVA-cannaグループ)。Controlグループは、OVAを含まない溶液を腹腔内投与した(4 mgの水酸化アルミニウムを含む0.2mLのPBSのみを腹腔内投与)。糞中の抗原特異IgAおよびムチン含量を評価するため、実験開始30日目から3日間における各グループの糞を採取した。
【0108】
4.糞中OVA特異的IgAの測定
OVA特異的IgAの定量は、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)を用いて測定した。具体的には、Mouse Anti-OVA IgE Antibody Assay Kit(岩井化学薬品株式会社)を用いて行った。
手順は、以下のとおりである。希釈したOVAを100μLウェルに添加した。4℃で一晩インキュベートした。その後、プレートを洗浄液で洗浄した。希釈した標準品と試料を100μLずつウェルに添加した。室温で2時間インキュベートし、その後プレートを洗浄した。希釈した二次抗体溶液を100μLずつ各ウエルに添加した。室温で1時間インキュベートし、その後プレートを洗浄した。希釈したストレプトアビジンペルオキシダーゼ溶液100mLをウェルに添加した。室温で1時間インキュベートし、その後プレートを洗浄した。TMB溶液を100μL添加し、室温で25分間インキュベートした。50μlの停止液を各ウエルに添加し、その後、450 nm/630nmで吸光度を測定した。
【0109】
5.ムチン含量の評価
糞中に含まれるムチン量は、Fecal Mucin Assay Kitを用いてキットの説明書に従い、SynergyTM HTXマイクロプレートリーダーを用い、Gen5TMソフトウェアにて励起波長320/20 nm、経口波長380/20nmおよびGEN 70の吸光度を測定した。
【0110】
食餌摂取量、体重増加率および乾燥糞重量の測定結果を表11に示した。体重増加率および食餌摂取量は、すべての群で差は認められなかった。実験開始30日目から3日間におけるOVA-抽出物群の1日当たりの糞重量は、Control群およびOVA群と比較し有意な増加が認められた(p < 0.01)。また、抽出物間においても、抽出物B>抽出物C>抽出物Aの順に糞の量が高まった。この結果は、抽出物中の総ポリフェノールの量の順位に一致した。なお、抽出物の投与は、体重増減に影響しないことが考えられる。
【0111】
【表11】
【0112】
消化管免疫の指標として糞中の総IgA、OVA特異IgAおよびムチン含量を評価した(表12)。マウスの糞中総IgAは、対照とOVA群で低く、抽出物を投与することで、有意に高値となった。また、抽出物群間では、抽出物B>抽出物C>抽出物Aの順に有意に高値となった。同様に、糞中のOVA特異IgA、およびムチン含量についても、対照群とOVA群は、ほぼ同じ値を示し、抽出物を投与することで、有意に高値となった。また、抽出物群間では、抽出物B>抽出物C>抽出物Aの順に有意に高値となった。
【0113】
これらの結果から、カンナデンプンがマウスの腸管免疫系に作用し、抗原特異IgAおよびムチンを増加させることが示唆される。これらの腸管バリア機能の強化は、I型アレルギーの発症抑制に寄与するものと考えられる。
【0114】
Weiらa)は、腸管内にIgA抗体を十分量産生するが、抗原に対する結合力の弱いIgA抗体が腸管内に存在するG23Sマウスと、腸管内にIgA抗体が分泌されず、腸管内に体細胞突然変異が起きていないIgM抗体がごく少量しか存在していないAIDノックアウトマウスを用いた実験を行っている。この実験において、両マウスの小腸のパイエル板胚中心の肥大化やパイエル板胚中心B細胞数が減少することを確認した。その結果、腸内常在細菌による免疫系への過剰刺激を抑えるには、ただ腸管内にIgA抗体が存在していればよいのではなく、抗原に対して結合力の高い特異的IgA抗体が重要であることを示している。また、コレラ毒素に暴露されていないマウスにコレラ毒素を経口投与した実験では、体細胞突然変異が起こらずIgA抗体も存在しないAIDノックアウトマウスは、コレラ毒素に対する致死率が非常に高かった。つまり、IgA抗体は、コレラ毒素の防御に極めて重要であると思われる。しかし、IgA抗体を十分量産生するG23Sマウスと野生型マウスを比較すると、コレラ毒素に対する致死率がG23Sマウスで有意に高かった。すなわち、腸管内にIgA抗体を十分量産生するが、抗原に対する結合力の弱いIgA抗体が腸管内に存在するG23Sマウスでは、体細胞突然変異が起こらず高親和性のコレラ毒素特異的抗体が存在せず、これがコレラ毒素に対する致死率が高い原因であると考えられる。また、野生型マウスのIgA抗体の中には、突然変異が起きることで複数の細菌を認識することができて、さらにコレラ毒素とさらに強く結合するIgA抗体が存在しており、コレラ毒素の中和に役立ったことが示唆された。したがって、単なる総IgA抗体の産生ではなく、抗原特異的IgA(抗OVA-IgA)の産生亢進を促すことは、抗原侵入の予防において重要な役割を持つこととなる。
a)M. Wei, R. Shinkura, Y. Doi, M. Maruya, S. Fagarasan & T. Honjo: Nat. Immunol., 12, 264 (2011).
【0115】
【表12】
【産業上の利用可能性】
【0116】
本発明は、優れた免疫賦活作用を有するため、免疫が関与する疾患または症状を治療、改善または予防するための医薬品、医薬部外品および食品として利用可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
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図8
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図11
図12
図13
【手続補正書】
【提出日】2022-11-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗原と共に摂取して当該抗原特異IgA抗体の産生を促進するための、食用カンナから溶媒抽出することによって得られる抽出物を有効成分として含有する前記抗原特異IgA抗体の産生促進剤。
【請求項2】
抗原と共に摂取して当該抗原特異IgA抗体の産生を促進するための、食用カンナから溶媒抽出することによって得られる抽出物を有効成分として含有する前記抗原特異IgA抗体の産生促進用食品組成物。
【請求項3】
カンナ抽出物を有効成分として含有する、腸管内ムチン増加剤。
【請求項4】
カンナ抽出物を有効成分として含有する、腸管内ムチン増加用食品組成物。