(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022190697
(43)【公開日】2022-12-26
(54)【発明の名称】冷却塔
(51)【国際特許分類】
F28F 25/06 20060101AFI20221219BHJP
F28C 1/02 20060101ALI20221219BHJP
【FI】
F28F25/06 A
F28C1/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022095477
(22)【出願日】2022-06-14
(31)【優先権主張番号】P 2021098995
(32)【優先日】2021-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000164553
【氏名又は名称】空研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099634
【弁理士】
【氏名又は名称】平井 安雄
(72)【発明者】
【氏名】安井 洋
(72)【発明者】
【氏名】有満 正男
(72)【発明者】
【氏名】大楠 孝行
(72)【発明者】
【氏名】猪口 義巳
(72)【発明者】
【氏名】土屋 敦嗣
(72)【発明者】
【氏名】柳原 智久
(72)【発明者】
【氏名】岡本 勲
(72)【発明者】
【氏名】絹笠 祐太
(72)【発明者】
【氏名】前田 泰宏
(72)【発明者】
【氏名】今道 章文
(72)【発明者】
【氏名】濱口 時永
(72)【発明者】
【氏名】高階 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】プリンズ ジョナサン ロバート
(72)【発明者】
【氏名】古賀 翔聖
(72)【発明者】
【氏名】横山 大史郎
(72)【発明者】
【氏名】半田 拓海
(72)【発明者】
【氏名】橋口 拓真
(57)【要約】
【課題】充てん材に対し散水する散水部を固定式の簡略な散水機構として、充てん材への散水の均一化を確保しつつ、散水の信頼性を高めると共にメンテナンス等の作業の効率化が図れる、冷却塔を提供する。
【解決手段】塔体10上部に充てん材20への散水部40として固定式の散水用パイプ41を複数並べて配置し、散水用パイプ41の入口側に大気開放構造の水分配タンク30を設けて、一旦水分配タンク30に導入した循環水を各散水用パイプ41に流入させ、充てん材20への散水を自然流下で行わせることから、水分配タンク30から各散水用パイプ41への循環水の流通や散水用パイプ41からの散水において、冷却塔に還流される循環水の流れの変動の影響を受けずに済み、固定状態の散水用パイプであっても、あらかじめ設定された散水対象の充てん材各部に循環水を安定的に到達させることができる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却対象の循環水を冷却塔塔体内の充てん材に対し散水しつつ、ファンによる誘引通風で充てん材の下方から上向きに外気を流通させ、少なくとも充てん材で外気と循環水との熱交換を行わせる向流型の開放式冷却塔において、
塔体の上部側面に配設され、循環水を一時的に所定量貯留可能な水分配タンクと、
複数の散水用パイプを、パイプ長手方向を水平として、パイプ長手方向と直交する向きに平行に並べて形成され、充てん材の上側に動かない状態で配設される散水部とを備え、
当該散水部の各散水用パイプが、一方の端部を前記水分配タンクに連通可能として接続されると共に、水分配タンクからパイプ内に流入した循環水を自然流下させる複数の孔を下部に設けられ、
前記水分配タンクが、水分配タンク内部を水分配タンク外部に通じさせる通気孔を設けられ、当該通気孔を通じて内部を大気開放状態とされることを
特徴とする冷却塔。
【請求項2】
前記請求項1に記載の冷却塔において、
前記散水用パイプが、前記水分配タンクに対し、前記一方の端部を着脱可能に螺合させて接続状態とされることを
特徴とする冷却塔。
【請求項3】
前記請求項1に記載の冷却塔において、
前記散水用パイプが、下部の複数の孔を、パイプ長手方向に所定間隔で並べて設けられると共に、孔の大きさを、前記水分配タンクから離れるほど小さくされることを
特徴とする冷却塔。
【請求項4】
前記請求項1に記載の冷却塔において、
塔体内側における前記散水用パイプの近傍に着脱可能として配設され、散水用パイプに面する所定形状の凹部を各散水用パイプごとに設けられる拘束部材を備え、
前記各散水用パイプが、パイプ長手方向の中間における前記孔のない所定箇所に一体に取り付けられる凸部材を有し、当該凸部材を前記拘束部材の凹部に係合させて、回転不能に拘束された状態とされることを
特徴とする冷却塔。
【請求項5】
前記請求項1に記載の冷却塔において、
前記散水用パイプが、前記水分配タンクの下部に接続され、
前記水分配タンクが、循環水の入口部を、前記散水用パイプの接続位置から最大限離隔させる配置として設けられることを
特徴とする冷却塔。
【請求項6】
前記請求項1に記載の冷却塔において、
前記水分配タンクが、前記通気孔を循環水の入口部から離隔した所定箇所に設けられて、内部の循環水の孔位置を越える余剰分を溢水させる孔と兼用とされることを
特徴とする冷却塔。
【請求項7】
前記請求項1に記載の冷却塔において、
塔体上部における水分配タンクのある側とは反対側となる側面に、塔体外から作業者が少なくとも前記散水部に対する作業を行える程度の大きさとされる開口部が設けられると共に、当該開口部を開閉可能なカバー部が配設されることを
特徴とする冷却塔。
【請求項8】
前記請求項7に記載の冷却塔において、
前記カバー部が、塔体内の空間に面する内側部分で前記各散水用パイプの一部と係合可能とされてなり、前記開口部の閉止状態で各散水用パイプの一部とそれぞれ係合して各散水用パイプを回転不能な状態に保持する一方、開口部の開放状態では各散水用パイプから離隔して係合を解除することを
特徴とする冷却塔。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、循環使用する液相の熱媒体を熱交換部で空気と熱交換させて冷却する冷却塔に関し、特に向流型の小型冷却塔に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、工場や空気調和設備などで循環使用する水などの液相の熱媒体の冷却を目的として屋外に設置される冷却塔では、冷却塔内部の熱交換部において、ファン(送風機)の作動に伴って外部から取込まれる空気(外気)と熱媒体とを、直接あるいは間接的に熱交換させ、冷却を行う仕組みとなっている。
【0003】
このうち、小型の冷却塔は、丸形の塔体に収められた巻回構造の充てん材に対し、その上方の散水部から循環水を散水すると共に、下方から外気を導入して、熱交換を行わせる、向流型の装置とされることが多かった。
このような従来の向流型の冷却塔の例として、実開平6-55079号公報に開示されるものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の向流型の冷却塔は、前記特許文献に示される構成を有しており、散水部から散水された水と、塔体下部の吸込口から導入されて上方に向かう外気とが、対向する流れとなって熱交換を行うことから、熱交換の効率は比較的高いものとなっていたが、近年、より一層の効率向上を求められている。
【0006】
しかし、従来の丸形の冷却塔は、その構造上さらなる変更を加えにくく、効率向上に係る改良の余地が乏しいものであった。また、巻回式の充てん材構造の関係で、冷却能力を大きくしようとすると充てん材の巻回量が増大する分、設置面積も大きくなり、コンパクトな形態を維持できなくなるという課題を有していた。
【0007】
また、従来の丸形の冷却塔では、散水部が可動式であるために比較的不具合が生じやすく、仮にこの散水部が不具合で動きを止めた場合、充てん材各部への水の分配に支障を来す状態に陥り、熱交換の効率が著しく低下するという課題を有していた。
【0008】
さらに、従来の丸形の冷却塔は、丸形の塔体を縦割りで二分割した形状のFRP製塔体部品をボルト止めで連結一体化して形成される構造であり、散水部や充てん材など冷却塔内部のメンテナンスを行うためには、塔体の連結を解いて分解する必要があり、作業性がよくないという課題を有していた。
【0009】
本発明は前記課題を解消するためになされたもので、充てん材に対し散水する散水部を固定式の簡略な散水機構として、充てん材への散水の均一化を確保しつつ、散水の信頼性を高めると共にメンテナンス等の作業の効率化が図れる、冷却塔を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る冷却塔は、冷却対象の循環水を冷却塔塔体内の充てん材に対し散水しつつ、ファンによる誘引通風で充てん材の下方から上向きに外気を流通させ、少なくとも充てん材で外気と循環水との熱交換を行わせる向流型の開放式冷却塔において、塔体の上部側面に配設され、循環水を一時的に所定量貯留可能な水分配タンクと、複数の散水用パイプを、パイプ長手方向を水平として、パイプ長手方向と直交する向きに平行に並べて形成され、充てん材の上側に動かない状態で配設される散水部とを備え、当該散水部の各散水用パイプが、一方の端部を前記水分配タンクに連通可能として接続されると共に、水分配タンクからパイプ内に流入した循環水を自然流下させる複数の孔を下部に設けられ、前記水分配タンクが、水分配タンク内部を水分配タンク外部に通じさせる通気孔を設けられ、当該通気孔を通じて内部を大気開放状態とされるものである。
【0011】
このように本発明によれば、塔体上部に充てん材への散水部として固定式の散水用パイプを複数配置し、散水用パイプの入口側に大気開放構造の水分配タンクを設けて、一旦水分配タンクに導入した循環水を各散水用パイプに流入させ、充てん材への散水を自然流下で行わせることにより、水分配タンクから各散水用パイプへの循環水の流通や散水用パイプからの散水において、冷却塔に還流される循環水の流れの変動の影響を受けずに済み、水分配タンクから各散水用パイプへの循環水の分配状態を変動させず一定に維持でき、固定状態の散水用パイプであっても、あらかじめ設定された散水対象の充てん材各部に循環水を安定的に到達させることができ、熱交換の効率を向上させられる。また、動かない散水用パイプから循環水を自然流下させることで、散水に係る不具合が生じにくく、安定した散水を無理なく継続させられると共に、散水部のメンテナンス性にも優れる。
【0012】
また、本発明に係る冷却塔は必要に応じて、前記散水用パイプが、前記水分配タンクに対し、前記一方の端部を着脱可能に螺合させて接続状態とされるものである。
【0013】
このように本発明によれば、散水用パイプの一方の端部を水分配タンクに着脱可能に螺合して接続可能とし、パイプ端部の螺合のみで水分配タンクに散水用パイプを連通させられることにより、散水用パイプを水分配タンクに対し螺合すれば、循環水の流通する連通状態を容易に確保できると共に、散水用パイプの水分配タンクからの取り外しも無理なく行え、散水用パイプの交換等をはじめとするメンテナンス作業がスムーズに行え、作業性に優れる。
【0014】
また、本発明に係る冷却塔は必要に応じて、前記散水用パイプが、下部の複数の孔を、パイプ長手方向に所定間隔で並べて設けられると共に、孔の大きさを、前記水分配タンクから離れるほど小さくされるものである。
【0015】
このように本発明によれば、散水用パイプ下部の複数の孔が、パイプ長手方向に所定間隔で並べられ、水分配タンクから離れるほど、孔の大きさが小さくなるようにされて、水分配タンクに近い孔ほど水の流下が生じやすい状態とすることにより、水分配タンクから散水用パイプに流入する際の水の勢いで、通常は散水用パイプの水分配タンクから離れた位置ほど水が流下しやすい状態となるのに対し、孔の大きさによる水の流下の生じやすさを逆に設定して、散水用パイプの各孔位置における水の流下を均等化することができ、パイプ長手方向についても循環水を充てん材に均一に散水できる。
【0016】
また、本発明に係る冷却塔は必要に応じて、塔体内側における前記散水用パイプの近傍に着脱可能として配設され、散水用パイプに面する所定形状の凹部を各散水用パイプごとに設けられる拘束部材を備え、前記各散水用パイプが、パイプ長手方向の中間における前記孔のない所定箇所に一体に取り付けられる凸部材を有し、当該凸部材を前記拘束部材の凹部に係合させて、回転不能に拘束された状態とされるものである。
【0017】
このように本発明によれば、散水用パイプにおけるパイプ長手方向の中間に凸部材を一体化し、塔内の散水用パイプの近傍に設けた拘束部材における各散水用パイプごとの凹部に対し、散水用パイプの凸部材を係合させ、拘束部材で各散水用パイプの回転に係る動きを抑制して、散水用パイプを確実に回転しない状態に保持することにより、塔体内を流れる空気からの力を受けても散水用パイプが意図せず動くようなことはなく、散水用パイプを固定状態として循環水の散水を行わせることができ、循環水を充てん材各部に適切に散水する状態を維持して、変動なく安定した熱交換を継続させられる。また、冷却塔使用前の冷却塔設置に係る移送の際に振動が加わっても、散水用パイプが振動で回転するようなこともなく、散水用パイプの水分配タンクに対する連結の緩みや外れを防止して、散水用パイプの再調整の手間を省ける。
【0018】
また、本発明に係る冷却塔は必要に応じて、前記散水用パイプが、前記水分配タンクの下部に接続され、前記水分配タンクが、循環水の入口部を、前記散水用パイプの接続位置から最大限離隔させる配置として設けられるものである。
【0019】
このように本発明によれば、水分配タンクに対し、散水用パイプをタンク下部に接続すると共に、水分配タンクにおける循環水の入口部を、散水用パイプの接続位置からできるだけ離すようにして、水分配タンクから散水用パイプへの水の流入に対して、水分配タンクへの循環水の流入に伴う水の流動が影響を及ぼさないようにすることにより、水分配タンクから各散水用パイプに均等に水が流入する状態を維持でき、各散水用パイプから充てん材に均等に循環水の散水が行える。
【0020】
また、本発明に係る冷却塔は必要に応じて、前記水分配タンクが、前記通気孔を循環水の入口部から離隔した所定箇所に設けられて、内部の循環水の孔位置を越える余剰分を溢水させる孔と兼用とされるものである。
【0021】
このように本発明によれば、水分配タンク内部を大気開放状態とする通気孔が、水分配タンクにおける循環水の入口部から離れた箇所に設けられ、循環水の余剰分を溢水させるオーバーフロー用としても用いられ、水分配タンクで循環水が過剰に貯留される状態となるのを抑えることにより、水分配タンク内の循環水水位が増大して各散水用パイプに流入する循環水の流入状態が変化し、散水用パイプのパイプ長手方向に並んだ各孔位置からの水の流下に影響が及ぶことを防止でき、各散水用パイプからの散水をパイプ長手方向についても充てん材に適切に分配可能な状態を維持することができる。また、水分配タンクの通気孔を循環水の入口部から離れた箇所に設ける、例えば、水分配タンク中央に入口部が設けられる場合、水分配タンクにおける散水用パイプ並列方向の端部に通気孔を設けるようにすることで、水分配タンクに流入した循環水が流入の勢いでそのまま水分配タンクの通気孔から流出する事態を防止でき、水分配タンクに流入した循環水を水分配タンクに一時的にとどめた後に散水用パイプに向かわせる通常の水流通状態を確保して、循環水の損失を抑え、熱交換の効率低下を防げる。
【0022】
また、本発明に係る冷却塔は必要に応じて、塔体上部における水分配タンクのある側とは反対側となる側面に、塔体外から作業者が少なくとも前記散水部に対する作業を行える程度の大きさとされる開口部が設けられると共に、当該開口部を開閉可能なカバー部が配設されるものである。
【0023】
このように本発明によれば、冷却塔の塔体上部における水分配タンクのある側とは反対側となる側面に開口部を設け、これをカバー部で覆わない開放状態では、作業者が塔体内部の散水部に対して散水用パイプの交換等の作業を行えることにより、散水部に対するメンテナンス等の塔体内部への作業性が向上し、散水部へのメンテナンスを適切に実行して、散水部から循環水が正常に散水される状態を問題なく維持できる。
【0024】
また、本発明に係る冷却塔は必要に応じて、前記カバー部が、塔体内の空間に面する内側部分で前記各散水用パイプの一部と係合可能とされてなり、前記開口部の閉止状態で各散水用パイプの一部とそれぞれ係合して各散水用パイプを回転不能な状態に保持する一方、開口部の開放状態では各散水用パイプから離隔して係合を解除するものである。
【0025】
このように本発明によれば、カバー部が塔体側面の開口部を覆って閉止する状態では、カバー部の内側部分が各散水用パイプの一部と係合し、各散水用パイプを回転しないよう保持する一方、カバー部が開口部を開放した状態では各散水用パイプへの係合を解除して、散水用パイプを動かせる状態とすることにより、カバー部で開口部を閉止するのみで各散水用パイプを回転しない状態に保持でき、各散水用パイプの拘束に係る作業を特に行わずに済む一方、カバー部が開口部を開放した状態では、動かせる状態に既に移行している各散水用パイプに対し、開口部を通じて作業者が散水用パイプを取り扱う作業を速やかに実行できることとなり、散水用パイプのメンテナンス等の作業効率を向上させられ、各散水用パイプが循環水を適切に充てん材に散水する状態を容易に確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の一実施形態に係る冷却塔の概略斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る冷却塔の正面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る冷却塔の平面図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る冷却塔の側面図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る冷却塔における塔体内部への散水部配設状態説明図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る冷却塔における散水用パイプの水分配タンクへの螺合による接続過程説明図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る冷却塔における散水用パイプ及び拘束部材の要部平面図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係る冷却塔における散水部からの散水状態説明図である。
【
図10】本発明の他の実施形態に係る冷却塔における塔体内部への散水部配設状態説明図である。
【
図11】本発明の他の実施形態に係る冷却塔における散水用パイプの水分配タンクへの接続部分の分解説明図である。
【
図12】本発明の他の実施形態に係る冷却塔における散水用パイプの水分配タンクへの接続過程説明図である。
【
図13】本発明の他の実施形態に係る冷却塔における散水用パイプ及び拘束バー配設状態説明図である。
【
図14】本発明の他の実施形態に係る冷却塔における塔体外板の内面側構造説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の一実施形態に係る冷却塔を前記
図1ないし
図9に基づいて説明する。本実施形態においては、向流型(カウンターフロータイプ)として誘引通風用の送風機の下方に設けられた充てん材を挟んで上側に散水部、下側に空気の吸込口が設けられる小型の冷却塔の例について説明する。
【0028】
前記各図に示すように、本実施形態に係る冷却塔1は、熱媒体である循環水と外部の空気とを内部に通過させる塔体10と、循環水と空気との熱交換に係る接触を促す充てん材20と、塔体10の上部側面に配設されて循環水を一時的に貯留可能な水分配タンク30と、充てん材20の上側に配設されて水分配タンク30から循環水を供給され、この循環水を充てん材20各部へ分配滴下させる散水部40と、充てん材20下側に配設されて充てん材20を通過した循環水を回収する下部水槽50と、塔体10の上部に配設されて充てん材20の各充てん材シート21間に誘引通風で外部の空気を通す送風機70とを備える構成である。
【0029】
前記塔体10は、方形又は矩形断面形状を有する中空筒状とされ、下部に外気の吸込口11を設けられると共に、上部に塔体内で熱交換した後の外気を排出する排出口12を設けられる構成である。
この塔体10は、例えば、金属製の枠材(柱材、梁材)とFRP製の外板を組み合わせて形成されるものである。
【0030】
塔体10上部における水分配タンク30のある側とは反対側となる側面には、散水部40に対する作業用の開口部13が設けられる。この開口部13は、塔体10の外から作業者が散水部40に対するメンテナンス等の作業を行える程度の大きさとされる。
また、塔体10に対して、開口部13を開閉可能とする蓋状のカバー部15が着脱可能に配設される。
【0031】
なお、カバー部は、塔体10側面に連結された扉状として、塔体10から取り外さずに開口部13を開閉可能とすることもできる。この場合、カバー部は、開口部13を開放した状態で、少なくとも作業者が散水部40に対する作業を行うのに支障がない箇所に位置していることはいうまでもない。
この他、塔体10の内側における散水部40の上側には、散水部40をなす複数の散水用パイプ41の拘束を行う拘束部材17が着脱可能に配設される。
【0032】
前記充てん材20は、多数の略矩形板状の充てん材シート21を積層状態で一体化して形成され、充てん材シート21間を空気及び水が上下方向に通過可能な向きとして、塔体10内に一段又は上下に複数段重ねて設けられる構成である。
【0033】
この充てん材20は、前記送風機70及び散水部40の下方で且つ塔体下部の外気の吸込口11より上側に配設され、上方から循環水を滴下されると共に下から上方向へ外気を通過させて、主に充てん材シート21間で循環水と空気との熱交換を行わせる構成である。
【0034】
前記水分配タンク30は、薄い箱状体で形成され、充てん材20のある位置より上側となる塔体10の上部側面に配設され、この塔体上部で、前記下部水槽50を出て冷凍機や空気調和機器等に通じる循環管路90を経由してきた循環水の供給を受け、この循環水を一時的に所定量貯留可能とされる構成である。
【0035】
この水分配タンク30は、その下部に散水部40をなす各散水用パイプ41の一方の端部を接続されて、これら散水用パイプ41と連通し、貯留する循環水を各散水用パイプ41に流入させる構成である。
【0036】
また、水分配タンク30は、循環水の入口部31を、散水用パイプ41の接続位置から最大限離隔させる配置として設けられる。詳細には、水分配タンク30における循環水の入口部31は、下部の散水用パイプ41の接続位置からできるだけ離れるようにタンク中央の上寄りに設けられる。加えて、入口部31は、その口径をできるだけ大きくして設けられる。
【0037】
さらに、水分配タンク30は、タンク内部をこのタンクの外部(塔体内空間)に通じさせる通気孔32を設けられ、この通気孔32を通じて内部を大気開放状態とされる構成である。このタンク内部を外部に通じさせる通気孔32は、タンク中央の循環水の入口部31に対し、この入口部31から離隔した所定箇所、具体的には、タンクにおける長手方向両端部(散水用パイプ41並列方向の端部)の上部に設けられる。そして、この通気孔32は、内部の循環水のこの孔位置を越える余剰分を溢水させる目的でも用いられることとなる。
【0038】
前記散水部40は、複数の散水用パイプ41を、パイプ長手方向が水平となる向きで、パイプ長手方向と直交する向きに平行に並べて形成され、充てん材20の上側に動かない状態で配設される構成である。
散水部40の各散水用パイプ41は、水分配タンク30に対し、一方の端部を着脱可能に螺合させて接続状態とされる。
【0039】
各散水用パイプ41は、その下部に複数の孔42を設けられ、水分配タンク30に連通する一方の端部から水分配タンク内の循環水の供給を受け、パイプ内に流入した循環水を下部の孔42から自然流下させることとなる。
散水用パイプ41下部における複数の孔42は、パイプ長手方向に所定間隔で並べて設けられると共に、孔の大きさを、水分配タンク30から離れるほど小さくされる構成である。
【0040】
また、散水用パイプ41は、パイプ長手方向の中間における孔42のない上部の所定箇所に、パイプ上方に突出状態となる凸部材43を一体に取り付けられる。この凸部材43は、例えば、所定長さの断面略L字状の部材とされ、これを散水用パイプ41の外周面上部に接着又は溶着で取り付けて一体に固定される。
【0041】
この散水用パイプ41に対し、塔体10内側に配設される拘束部材17が、各散水用パイプ41における凸部材43に上側から係合することとなる。
詳細には、拘束部材17は、散水用パイプ41に面する所定形状の凹部17aを各散水用パイプ41ごとに設けられる構成である。
各散水用パイプ41は、一体化された凸部材43を拘束部材17の凹部17aに係合させて、回転不能に拘束された状態とされる仕組みである。
【0042】
前記下部水槽50は、塔体10下部に連結される支持枠51上に配設され、流下した循環水を受けて一時貯溜しつつ回収するものである。
この下部水槽50における、冷凍機や空気調和機器等に通じる循環管路90の送出し側端部や、循環水減少時に補給される補給水の給水部(図示を省略)等をそれぞれ接続される構成、及び、循環管路90へ進む循環水の出口でスケール等の異物を捕捉して水のみを通過させるストレーナ(図示を省略)が設けられる構成については、公知の冷却塔の下部水槽と同様のものであり、詳細な説明を省略する。
【0043】
この他、下部水槽50には、一時貯留される循環水の水面近傍に多孔質材製のシート体(図示を省略)が配設される。充てん材20を通過して下部水槽50に流下する水は、一旦シート体に接することで、水が下部水槽50の水面に直接落ちた際に発生する騒音を抑制することができる。
【0044】
前記送風機70は、塔体10の最上部に配設され、その下方に位置する充てん材20に対し誘引通風で吸込口11から導入した外部の空気を下方向から通し、充てん材30を上向きに通過した空気を上方へ吹出して冷却塔外へ排出するものである。
【0045】
この送風機70は、公知の小型の冷却塔に用いられるものと同様に、電動機75の駆動力をこれに連結された羽根車71に直接伝えることで、羽根車71を回転させて塔体内の空気を塔体外へ排出し、誘引通風を実行できる仕組みである。
【0046】
次に、前記構成に基づく冷却塔の作動状態について説明する。
冷却塔1を含む循環管路90を流通する熱媒体としての循環水は、公知の冷却塔同様に、通常の冷却塔運転状態では、循環管路90の経路中にある冷凍機や空気調和機器等を経て熱を受取り、温度を上げて冷却塔1に達する。冷却塔1に戻った循環水は、まず冷却塔1の塔体10側面の水分配タンク30に、その入口部31から導入され、この水分配タンク30内に一時的に貯留されることとなる。
【0047】
水分配タンク30には、循環水の余剰分を溢水(オーバーフロー)させられる通気孔32が設けられており、タンク内の循環水の量や流動具合によっては、通気孔32から循環水が流出する場合も起り得る。しかし、これらの通気孔32は、散水用パイプ41の並列方向に長い水分配タンク30のこの長手方向の端部に設けられており、タンク中央の入口部31から離れていることから、入口部31に流入した循環水が仮に流入の勢いでタンク上部に向かうとしても、こうした循環水が通気孔32のあるタンク端部の上部まで達することはなく、タンクに流入した循環水が散水部40に向かうことなく水分配タンク30の通気孔32から流出する事態を防止できる。
【0048】
水分配タンク30に導入された循環水は、水分配タンク30が通気孔32を通じて内部を大気開放状態とされているのに伴い、所定時間水分配タンク30にとどまった後、タンク下部に接続された散水部40の各散水用パイプ41の一端部に流入する。そして、循環水は、散水用パイプ41をその他端部に向かう中で下部の各孔42に達し、これら各孔42を通過して自然流下することで、散水部40の下側の充てん材20各部へ散水されることとなる。
【0049】
循環水を充てん材20に向かわせる各散水用パイプ41が水分配タンク30の下部に接続される一方、水分配タンク30における循環水の入口部31を、タンク下部から最大限離してタンクの上部寄りに設けるようにしていることで、入口部31への流入時の循環水の流れの影響が各散水用パイプ41に及びにくくなっている。例えば、入口部31に流入する際の循環水の流れの勢いにより、循環水が空気を巻き込んだ状態で一部の散水用パイプ41へ流入し、循環水の各散水用パイプ41への分配に偏りが生じるようなことを防止でき、循環水の各散水用パイプ41への流入をより安定化して、循環水を各散水用パイプ41に均等に分配できる。
【0050】
散水部40の各散水用パイプ41から散水され、充てん材20に達した循環水は、充てん材20をなす充てん材シート21間の各隙間に進み、充てん材シート21に沿って流下しつつ、送風機70による誘引通風で充てん材20に対して上向きに導入される外部の空気と接触する。循環水は、主に空気と循環水の温度差に伴う熱伝達(顕熱)による冷却作用、及び、循環水の蒸発熱(潜熱)による冷却作用により冷却される一方、熱交換により逆に空気温度を上昇させることとなる。
【0051】
こうして循環水は充てん材20における空気との熱交換を経て冷却された後、充てん材20を出て下部水槽50に達し、回収される。下部水槽50に回収されて溜った循環水は、下部水槽出口のストレーナを通過してから再び循環管路90に入り、熱媒体として新たに冷凍機や空気調和機器等で熱を受け取った後、冷却塔1に戻り、水分配タンク30の入口部31に導入される以降の前記過程が繰返される。
【0052】
一方、循環水と熱交換し温度を上昇させた空気は、送風機70の誘引により充てん材20をなす各充てん材シート21間の隙間を上向きに通過する。充てん材シート21間を通って充てん材20から出た空気は、送風機70により冷却塔外に排出され、排出空気は外部の空気中に拡散する。
【0053】
冷却塔を作動させる中、散水部の各散水用パイプ41は、一方の端部を水分配タンク30に接続されると共に、長手方向中間の所定箇所を拘束部材17に保持されて、動かない状態を維持していることから、可動部分が停止するといった不具合を生じることはあり得ず、循環水の散水用パイプ41からの散水状態は長期にわたり変化せず、空気との熱交換による循環水の冷却を安定したものとすることができる。
【0054】
なお、散水部40の散水用パイプ41の経年劣化等に伴うメンテナンスが必要となった際には、水分配タンク30とは反対側の塔体10上部側面にあるカバー部15を塔体10から取り外して開口部13を開放状態とし、作業者の各散水用パイプ41に対する筒体外から開口部13を通じての作業を実行可能とする。
【0055】
作業者は、メンテナンス等の作業で散水用パイプ41を動かす必要がある場合には、着脱可能な拘束部材17を取り外し、各散水用パイプ41の凸部材43と拘束部材17の凹部17aとの係合を解いた上で、作業を進めることとなる。水分配タンク30に接続された散水用パイプ41の交換が必要であっても、散水用パイプ41と水分配タンク30との接続はパイプ端部のタンクへの螺合によるものであることから、散水用パイプ41の交換に係る作業は散水用パイプ41を螺動させての脱着のみでよく(
図6参照)、塔体内での作業を容易且つ効率的に行える。
【0056】
このように、本実施形態に係る冷却塔においては、塔体10上部に充てん材20への散水部40として固定式の散水用パイプ41を複数配置し、散水用パイプ41の入口側に大気開放構造の水分配タンク30を設けて、一旦水分配タンク30に導入した循環水を各散水用パイプ41に流入させ、充てん材20への散水を自然流下で行わせることから、各散水用パイプ41に向かう循環水量を均一にすることができ、動かない状態の散水用パイプ41であっても、充てん材20各部に循環水をむらなく分配して散水でき、熱交換の効率を向上させられる。また、動かない散水用パイプから循環水を自然流下させることで、散水に係る不具合が生じにくく、安定した散水を無理なく継続させられると共に、散水部のメンテナンス性にも優れる。
【0057】
なお、前記実施形態に係る冷却塔において、塔体10の側面の一部に開口部13を設け、この開口部13を開閉するカバー部15が塔体10に対し着脱可能とされる構成としているが、これに限らず、塔体10における水分配タンク30のある側とは反対側となる側面全体を、塔体10の他部分に対し取り外し可能な構造又は扉状に開ける構造とし、この側面を取り外すか開くことで塔体内部に通じる開口部分を生じさせ、この開口部分を通じて塔体外から作業者が散水部40を取り扱えるようにする構成としてもかまわない。この他、塔体内部の散水部等を取り扱う際には塔体を一旦分解してから行うなどの理由により、塔体構造を維持したまま塔体内へアクセス可能とする開口部分をそもそも設ける必要がない場合には、塔体側面に開口部を設けず、開口部を開閉可能とするためのカバー部も設けない構成とすることもできる。
【0058】
また、前記実施形態に係る冷却塔において、塔体10に対し着脱可能とされるカバー部15は、塔体上部に設けられる作業用の開口部13を開閉するものとされる構成としているが、この他、カバー部が、前記拘束部材を兼ねるものとして、塔体内の空間に面するその内側部分で各散水用パイプ41に一体化された凸部材43に係合可能とされ、このカバー部による開口部13の閉止状態で、各散水用パイプ41の凸部材43に係合して各散水用パイプを回転しない状態に保持する一方、開口部の開放状態では各散水用パイプ41から離隔して凸部材43との係合を解除し、散水用パイプ41を動かせる状態に移行させる構成とすることもできる。
【0059】
この場合、カバー部で開口部13を閉止するのみで各散水用パイプ41を動かない状態に保持でき、各散水用パイプ41の支持に係る作業を特に行わずに済む一方、カバー部が開口部13を開放した状態では、動かせる状態に既に移行している各散水用パイプ41に対し、開口部13を通じて作業者が散水用パイプ41を取り扱う作業を速やかに実行できることとなり、散水用パイプ41のメンテナンス等の作業効率を向上させられ、各散水用パイプ41が循環水を適切に充てん材20に散水する状態を容易に確保できる。
【0060】
また、前記実施形態に係る冷却塔において、散水部40の各散水用パイプ41を、水分配タンク30に対し、その一方の端部を着脱可能に螺合させることで接続する構成としているが、この他、
図10ないし
図12に示すように、散水部40の各散水用パイプ45の一端部を、水分配タンク30に設けられた水の送出用突出部46に対し、この送出用突出部46が散水用パイプ内に相対的に差し込まれるようにして散水用パイプ45端部を係合させることで着脱可能に接続する構成とすることもできる。
【0061】
詳細には、水分配タンク30の下部に散水用パイプ45の接続位置として設けられた孔に、送出用突出部46をなす弾性材製の管状体47が、その一部をタンク外方に突出させる配置で且つ孔から容易に外れない状態であらかじめ取付けられる。この管状体47のタンク外方への突出部分を散水用パイプ45内に相対的に差し込むように散水用パイプ45を押し、パイプ端部を管状体47の周りに位置させ、散水用パイプ45と管状体47とを係合状態とすれば、散水用パイプ45が水分配タンク30に送出用突出部46を介して連通し、散水用パイプ45を水分配タンク30に接続した状態が得られる。一方、この接続状態から散水用パイプ45を水分配タンク30から離れる向きに引くと、管状体47が散水用パイプ45から相対的に抜けることで、散水用パイプ45と水分配タンク30との接続状態が解除される。
【0062】
送出用突出部46をなす管状体47の外周部分は、散水用パイプ45内に弾性変形しつつ挿入可能とされる一方、挿入後は弾性力で散水用パイプ45内面に密着して散水用パイプ45から外れにくい構造とされる。管状体47の内側には硬質のパイプ材48が挿入配設されており、弾性体である管状体47の形状を維持して、管状体47が散水用パイプ接続時など外力を受けた場合に過剰に変形して水分配タンク30から外れることを防いでいる。
【0063】
また、前記実施形態に係る冷却塔において、散水用パイプ41は、パイプ長手方向の中間における上部の所定箇所に、上方に突出状態となる凸部材43を一体に取り付けられ、この散水用パイプ41に対し、塔体10内側に配設される拘束部材17を、各散水用パイプ41の凸部材43に上側から係合させることで、各散水用パイプ41を拘束部材17で回転不能に拘束された状態とする構成としているが、これに限らず、
図13に示すように、散水用パイプ45の並列方向に連続する拘束バー18に各散水用パイプ45をボルト及びナットにより連結し、拘束バー18の両端部を塔体10内側に配設される基台部16に取り付けることで、各散水用パイプ45を拘束された状態とする構成とすることもできる。
【0064】
散水用パイプ45にはボルト用の貫通孔が穿設され、この孔に通したボルトとナットで散水用パイプ45を拘束バー18に連結することで、散水用パイプ45が拘束バー18に対しずれにくい確実な固定状態が得られ、冷却塔輸送時等における散水用パイプ45の脱落も防止できる。この散水用パイプ45の拘束バー18への連結状態でも、散水用パイプ45に設けられるボルト用の貫通孔の一部を通じて空気がパイプ内外に流通可能であることから、この貫通孔を散水用パイプ45からの空気抜き部として利用できる。水分配タンク30から散水用パイプ45内に水が入る際に、パイプ内の空気が貫通孔を通じてパイプ外に抜けられることで、水をスムーズに散水用パイプ45内に流入させることができ、散水を滞りなく進行させることができる。
そして、散水用パイプ45の接続が上記の送出用突出部46を用いる構成の場合には、拘束バー18への連結でこれと一体化した各散水用パイプ45を、各送出用突出部46に対しまとめて押したり引いたりして動かせることで、各散水用パイプ45の水分配タンク30への接続と接続解除を一度に行うようにすることができる。
【0065】
また、前記実施形態に係る冷却塔において、塔体10は枠材と外板とを組み合わせて形成され、塔体内に設けられる充てん材20の充てん材シート21間を空気及び水が上下方向に通過可能となるよう、塔体内部を外部から隔離するほかは、空気や水の進行に関わる特別な機能を有しない構成としているが、この他、例えば充てん材が、その積層方向が横向きとなるようにして、上下方向に複数段重ねて設けられると共に、重なる各段ごとに、充てん材シートの積層方向を異ならせる配置とされるなど、充てん材について特定の配置構造を採用したことで、塔体10の外板と充てん材との間に隙間が生じ、このような隙間を空気や水が通過するのに伴い、充てん材を通過する空気や水の量が減り、熱交換性能を低下させるおそれが生じる場合に対応して、こうした隙間を外板の構造変更により埋めるようにして、空気や水を隙間に向かわせず充てん材へ導く構成とすることもできる。
具体的には、
図14に示すように、充てん材に面する塔体10の外板19が、この外板19と充てん材との間に隙間が生じる一又は複数箇所に、外板19内面から突出するリブ19aを形成されて、このリブ19aで外板19と充てん材との間に生じた隙間を埋める構成とされる。リブ19aは、隙間に面する充てん材シートの連続する方向と平行な向きに連続させて外板19内面に形成され、外板19を補強して外力による変形等が起こりにくくする役割も有している。
こうして、外板19と充てん材との間に隙間が生じる場合でも、外板内面から突出形成されたリブ19aが外板19と充てん材との間の隙間を埋め、この隙間を空気や水が通過できないようにすることで、空気や水を隙間ではなく充てん材に通せる分、熱交換性能の確保が図れることとなる。
【符号の説明】
【0066】
1 冷却塔
10 塔体
11 吸込口
12 排出口
13 開口部
15 カバー部
16 基台部
17 拘束部材
17a 凹部
18 拘束バー
19 外板
19a リブ
20 充てん材
21 充てん材シート
30 水分配タンク
31 入口部
32 通気孔
40 散水部
41、45 散水用パイプ
42 孔
43 凸部材
46 送出用突出部
47 管状体
48 パイプ材
50 下部水槽
51 支持枠
70 送風機
71 羽根車
75 電動機
90 循環管路