(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022190706
(43)【公開日】2022-12-27
(54)【発明の名称】自動取引装置
(51)【国際特許分類】
G06F 3/0354 20130101AFI20221220BHJP
G06F 3/042 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
G06F3/0354 451
G06F3/042
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021099074
(22)【出願日】2021-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】504373093
【氏名又は名称】日立チャネルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】中村 大善
(72)【発明者】
【氏名】幸野 哲也
(72)【発明者】
【氏名】西山 高徳
(72)【発明者】
【氏名】木村 茂孝
【テーマコード(参考)】
5B087
【Fターム(参考)】
5B087AA09
5B087AB02
5B087BC19
5B087BC32
5B087CC12
5B087CC33
(57)【要約】
【課題】利用者の視認性及び操作性を損なうことなく異物放置を防止する自動取引装置を提供する。
【解決手段】タッチパネルの外枠の内側下面は、液晶ディスプレイ側の端部が下側凸部の端部より上方になるような傾斜部が形成されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
取引に関する操作入力を行うタッチパネルを有する自動取引装置であって、
前記タッチパネルは、
取引の案内を表示させる液晶ディスプレイと、前記液晶ディスプレイの周囲を取り囲むように設けられた凸形状の外枠を有し、
利用者に相対する鉛直方向面でかつその上側が相対する利用者から遠ざかるように所定の角度をなして傾いており、
前記外枠の内側下面は、
前記液晶ディスプレイ側の端部が下側凸部の端部より上方になるような傾斜部が形成されていることを特徴とする自動取引装置。
【請求項2】
請求項1に記載の自動取引装置であって、
前記外枠は、
内部に前記タッチパネルへの入力を赤外線により検知する発光素子と受光素子とからなる検知センサを有しており、
前記検知センサは、
前記タッチパネルが押下されたと認識した前記利用者が指の挿入を停止した時点で、前記液晶ディスプレイに触れない間隔を有して配置されることを特徴とする自動取引装置。
【請求項3】
請求項2に記載の自動取引装置であって、
前記検知センサは、
前記液晶ディスプレイの表面から8mm以上の間隔を有して配置されることを特徴とする自動取引装置。
【請求項4】
請求項3に記載の自動取引装置であって、
前記傾斜部は、
前記外枠の内側と前記液晶ディスプレイとに接する面に取り付けられたブロック部材によって構成されていることを特徴とする自動取引装置。
【請求項5】
請求項4に記載の自動取引装置であって、
前記ブロック部材は、
少なくとも前記外枠内に設けた前記検知センサに相当する部分が前記赤外線を透過する部材で構成されていることを特徴とする自動取引装置。
【請求項6】
請求項4に記載の自動取引装置であって、
前記ブロック部材は、
傾斜面が凸形状をなすR形状又は凹形状をなすR形状で形成されていることを特徴とする自動取引装置。
【請求項7】
請求項4に記載の自動取引装置であって、
前記ブロック部材は、
傾斜面の傾斜方向にリブ状の凸部が所定の間隔で複数形成されていることを特徴とする自動取引装置。
【請求項8】
請求項4に記載の自動取引装置であって、
前記ブロック部材は、
前記外枠内に設けた前記検知センサに相当する位置と重ならないように形成されていることを特徴とする自動取引装置。
【請求項9】
請求項8に記載の自動取引装置であって、
前記外枠の下側凸部は、
前記液晶ディスプレイの奥行方向が凹形状となるように、前記液晶ディスプレイに対して垂直に形成された段差部を構成し、
前記段差部の上部には斜面が形成されており、
前記斜面を介して、前記赤外線が通過することを特徴とする自動取引装置。
【請求項10】
請求項9に記載の自動取引装置であって、
前記ブロック部材は、
前記赤外線を透過しない部材で構成されていることを特徴とする自動取引装置。
【請求項11】
請求項4に記載の自動取引装置であって、
前記ブロック部材は、
前記タッチパネルが、水平な床面と前記タッチパネルの枠内の下面との角度αを有して設けられており、前記ブロック部材のなす角度βとした場合、
α<β<90°の数値範囲を有することを特徴とする自動取引装置。
【請求項12】
請求項1に記載の自動取引装置であって、
前記外枠の下側凸部は、
前記液晶ディスプレイの奥行方向が凹形状となるように、前記液晶ディスプレイに対して垂直に形成された段差部を構成し、
前記傾斜部は、
前記段差部により構成され、
前記外枠は、
内部に前記タッチパネルへの入力を赤外線により検知する発光素子と受光素子とからなる検知センサを有しており、
前記検知センサは、
前記タッチパネルが押下されたと認識した前記利用者が指の挿入を停止した時点で、前記液晶ディスプレイに触れない間隔を有して配置されることを特徴とする自動取引装置。
【請求項13】
請求項12に記載の自動取引装置であって、
前記検知センサは、
前記液晶ディスプレイの表面から8mm以上の間隔を有して配置されることを特徴とする自動取引装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動取引装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、利用者のタッチ操作による入力を受け付け、液晶表示部に画面の出力を行うタッチパネルが知られている。
【0003】
タッチパネルの方式は、静電容量方式・抵抗膜方式・超音波方式・赤外線方式・赤外線カメラ方式など様々である。これらの方式は、利用環境や用途、およびタッチパネルの材質や耐久性・操作性などを考慮し、搭載する装置によって使い分けられている。
【0004】
この中で赤外線方式は、XY方向に対に配置された、発光素子と受光素子の間の赤外線光の、タッチによる遮断を検知し、入力位置を把握する方式である。
【0005】
ATM(Automated Teller Machine)などの現金自動取引装置をはじめとする自動取引装置には、この赤外線方式(特に赤外線遮断検出方式)のタッチパネルが採用されているケースが多い。その理由は、耐久性が高い点や、義手でも利用できる点であり、ユニバーサルデザインに基づいて設計されている。また、タッチパネルは、利用者が操作しやすいように、人間工学に基づいて設計され、操作側となる自動取引装置の前面部の所定の高さ、および所定の角度で配置されている。
【0006】
しかしながら、上述のように利用者の利便性を考慮してタッチパネルの構成や配置を行った結果、タッチパネル上に異物(取り忘れたタッチペン、スマートフォン、眼鏡等)が放置され、タッチ操作が反応しない場合や、タッチした位置とずれて検出される場合、いわゆる誤反応を起こす可能性があり、円滑な取引が出来なくなることがあった。
【0007】
このような問題点に対し、例えば、特許文献1では、タッチパネル上で、一定時間を経過したものを異物と判断して、異物を直交する素子の検知を無効とすることで、入力操作した位置を把握することが可能なタッチパネルの入力位置出力方法が開示されている。
【0008】
一方、特許文献2では、タッチパネルの枠内の下面に塵や雪などが堆積しても、左右一対の枠部分の内側に設けた一対の再帰反射板のみで、検出領域全面におけるタッチ位置を検出することができ、検出精度の低下を抑えることができるタッチパネル及び自動販売機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2011-210071号公報
【特許文献2】WO17/013953号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記特許文献1に記載の入力位置出力方法は、タッチパネル上に小型の異物がある場合に、異物による誤入力を防ぎ本来の入力位置を検出できるが、利用者の指の太さを越えるような大型の異物により赤外線が遮断された場合、検出エラーとなり、エラー処理が実行される。
【0011】
上記特許文献2に記載のタッチパネルは、タッチパネルの下に塵や雪などが堆積しても、タッチパネルの矩形の枠内の内側に配置された再帰反射板、および上部左右の隅に配置された検出部、および下部左右の隅から所定距離上部に配置された検出部により、検出精度の低下を抑えることができるが、タッチパネルの枠内の下面に、下部左右の検出部よりも上方に異物がある場合、入力位置を検出できない可能性がある。
【0012】
また、タッチパネル上の異物により赤外線が遮断されなかったとしても、赤外線の干渉や減衰等が生じる可能性がある。そのため、入力位置を正確に検出できず、利用者の視認性及び操作性が低下してしまう。
【0013】
本発明の目的は、利用者の視認性及び操作性を損なうことなく異物放置を防止する自動取引装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一態様の自動取引装置は、取引に関する操作入力を行うタッチパネルを有する自動取引装置であって、前記タッチパネルは、取引の案内を表示させる液晶ディスプレイと、前記液晶ディスプレイの周囲を取り囲むように設けられた凸形状の外枠を有し、利用者に相対する鉛直方向面でかつその上側が相対する利用者から遠ざかるように所定の角度をなして傾いており、前記外枠の内側下面は、前記液晶ディスプレイ側の端部が下側凸部の端部より上方になるような傾斜部が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一態様によれば、利用者の視認性及び操作性を損なうことなく異物放置を防止する自動取引装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図6】
図5で示したタッチパネルをATMに実装した状態の図である。
【
図7】
図6におけるタッチパネル下部の拡大断面図である。
【
図8】タッチパネルの枠内の下面にブロックが備えられたATM上部の図である。
【
図9】
図8におけるタッチパネル下部の拡大断面図である。
【
図10】タッチパネルの枠内の下面に設けられるブロックの図である。
【
図12】実施例3における赤外線方式のタッチパネルの断面図である。
【
図13】実施例4における赤外線方式のタッチパネルの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して、本発明にかかるタッチパネルの異物放置防止構造の実施例を詳細に説明する。以下では、本発明にかかるタッチパネルの異物放置防止構造を搭載している自動取引装置としてATMを例示しているが、タッチパネルにより入力する機構を有した装置であれば、これに限定されるものではない。
【実施例0018】
図1Aは、ATM1の外観斜視図である。
図1Bは、ATM1の外観正面図である。
【0019】
ATM1は、金融機関やコンビニエンスストア等に設置され、利用者の操作によって現金の入出金や通帳記帳等の取引を行い、利用者が要求する種々の取引を自動的に実行する装置である。
図1A、
図1Bに示すように、ATM1は、装置上部2と、装置下部3とを有して構成されている。装置上部2は、利用者が取引媒体を用いて取引するための操作部4を有している。また、装置下部には、利用者との間で行われた取引において混入した異物を返却するための異物返却部5が設けられている。
【0020】
図2は、ATMと利用者の外観側面図である。
図2に示すように、ATM1には、利用者6~8が取引のための操作を行うタッチパネル11が設けられている。タッチパネル11は、人間工学に基づき、幅広い身長の利用者や、車いす利用者にも配慮して設計されている。高さH6は床から利用者6の目線までの高さであり、成人男性の身長の95%タイル値を示している。高さH7は床から利用者7の目線までの高さであり、成人女性の身長の5%タイル値を示している。高さH8は床から利用者8の目線までの高さであり、利用者8は、身長が成人女性の身長の5%タイル値であり、車いすを利用している人を示している。タッチパネル11は、上述の様々な利用者6~8の目線高さH6~H8から操作しても、視認性、操作性を損なうことなくスムーズに操作できるように、ATM1の所定の高さ、および所定の角度で設けられている。
【0021】
図3は、ATM上部の外観斜視図である。
図3に示すように、装置上部2には、操作部4として、利用者が取引のための操作を行うタッチパネル11と、異物放置を防止するためのブロック21が設けられている。さらに、操作部4として、利用者が取引に使用する取引媒体を取り扱うユニット31と、利用者がATM1を介して取引に係る音声ガイダンス等を行うためのハンドセット32と、取引処理において利用者を認証するために、利用者が取引を行う際に使用する暗証番号の入力を受け付けるEPP(Encrypt PinPad)33と、生体情報(例えば、指静脈)により利用者を認証するための生体認証装置34と、ICカードをかざして取引を行うICカードリーダ35が設けられている。
【0022】
タッチパネル11は、ATM1の操作部4の略垂直面に所定の高さ、および所定の角度で設けられている。利用者から、取引の種別(例えば、入金取引や出金取引)、入出金金額等、取引に関する様々な情報の入力や指定を受け付ける。ブロック21は、タッチパネル11の枠内の下面に設けられ、自動取引装置の外観に合わせ、所定の形状がなされている。
【0023】
ユニット31は、取引媒体を取り扱う装置である。
図3に示すように、ユニット31は、カードユニット31Aと、紙幣ユニット31Bとを有している。カードユニット31Aは、ATM1の操作部4の略垂直面に設けられ、タッチパネル11の鉛直方向下側に配置されている。紙幣ユニット31Bは、ATM1の操作部4の略水平面に設けられ、カードユニット31Aの鉛直方向下側に配置されている。
【0024】
カードユニット31Aは、利用者がATM1との間で取引を行うためのキャッシュカードの受け入れとキャッシュカードおよび明細票の排出を行う取扱口A1を有している。カードユニット31Aは、キャッシュカードに記憶された情報の取得、排出、取引記録を印字した明細票を利用者に排出する等、カードや明細票に関する処理を行う。
【0025】
紙幣ユニット31Bは、利用者から紙幣の投入を受け付け、または利用者に紙幣を排出するための取扱口B1を有している。紙幣ユニット31Bは、紙幣の金種や真偽を判別し、利用者が投入した紙幣を計数して収納し、また、タッチパネル11から入力された金額等に応じて、図示しない紙幣収納庫に収納されている紙幣を繰出して取扱口B1に排出する等、紙幣に関する処理を行う。
【0026】
ハンドセット32は、取引に係る音声ガイダンス等を行う装置であり、カードユニット31Aの左側から、タッチパネル11の下部左側までにかけて配置されている。EPP33は、暗証番号の入力を受け付ける装置であり、カードユニット31Aの右側に配置されている。
【0027】
生体認証装置34は、生体情報(例えば、指静脈)により利用者を認証するための装置であり、紙幣ユニット31Bの右側に配置されている。ICカードリーダ35は、ICカードをかざして取引を行うための装置であり、紙幣ユニット31Bの左側に配置されている。
【0028】
図4は、赤外線方式のタッチパネルの簡略図である。
図4の上図は、タッチパネル11を正面から見た図であり、下図はP-P断面図である。
図4に示すように、タッチパネル11は、出力された取引の案内を表示させる液晶ディスプレイ12と、液晶ディスプレイ12の周りにある利用者の入力操作を検知する検出素子で構成されている。液晶ディスプレイ12の下部に、幅方向(X方向)に沿って等間隔で配置されたX発光素子13が設けられ、タッチパネル11の液晶ディスプレイ12の上部に、X発光素子13に対向してX受光素子14が設けられている。
【0029】
同様にして、タッチパネル11の液晶ディスプレイ12の左部に、高さ方向(Y方向)に沿って等間隔で配置されたY発光素子15が設けられ、タッチパネル11の液晶ディスプレイ12の右部に、Y発光素子15に対向してY受光素子16が設けられている。なお、X発光素子13/X受光素子14の下部/上部が入れ替わっても、また、Y発光素子15/Y受光素子16の左部/右部が入れ替わっても同様に適用することができる。
【0030】
本発明の赤外線遮断検出方式は、XY方向に対に配置された、発光素子と受光素子の間の赤外線IRが遮断された位置を検知し、入力位置を把握する方式である。以下、
図4に示す本方式の原理について、利用者の手10が表示エリア17の入力を試みた場合を例に、詳細に説明する。
【0031】
タッチパネル11において、X発光素子13Aからの赤外線IRが遮断されることなくX受光素子14Aに達し、同様にY発光素子15Aからの赤外線IRが遮断されることなくY受光素子16Aに達するため、非入力位置であると判断される。一方で、X発光素子13B、Y発光素子15Bからの赤外線IRは、表示エリア17への入力操作を行った利用者の手10によって遮断され、それぞれX受光素子14B、Y受光素子16Bへ達しないため、点Pが入力位置であると判断される。なお、XY方向の両方が遮断される場合に入力位置として判断されるため、どちらか片方の例えば点Qは、非入力位置であると判断される。
【0032】
図5は、赤外線方式のタッチパネルの断面図である。
図5(a)は、液晶ディスプレイ12と素子13~16の距離h0が数ミリ程度と小さい従来のタッチパネル11aであり、液晶ディスプレイ12から数ミリ離れた位置h0に素子13~16があるため、素子13~16からの(素子13~16への)赤外線IRが遮断されれば、タッチパネル11に触れなくても入力ができる仕組みになっているが、タッチパネル11aと液晶ディスプレイ12との距離h0が数ミリ程度と小さかったために、利用者の多くは、タッチ操作により反応していると認識し、実際にはタッチ操作による入力を行っていた。
【0033】
これに対して、
図5(b)に示す本発明のタッチパネルは、液晶ディスプレイ12と素子13~16の距離h1を大きく(h0<h1)としたものであり、利用者は素子13~16が反応(タッチパネルが押下されたと認識)すると、手10の挿入を指がタッチパネル11へ触れる前に停止することができ、タッチレスでの操作を可能としている。すなわち、タッチパネルが押下されたと認識した利用者が指の挿入を停止した時点で、タッチパネル(液晶ディスプレイ12)に触れない程度にh1の距離を確保している。
【0034】
ここで、発明者らによる実験・検討によれば、タッチパネルが押下されたと認識した利用者は、指の先端から第一関節付近(15~20mm)が素子13~16の位置に到達した時点で指の挿入を停止することが多いことが判明した。特に、タッチパネルがタッチレスで操作が可能であることを予め認識している利用者は、液晶ディスプレイ12に極力触れないように指を挿入する傾向があるため、素子13~16が反応した時点(指の先端から8mm程度が素子13~16の位置に到達した時点)で直ちに指の挿入を停止することが多い。実際のATM装置では利用者に対してタッチレスで操作可能であることを画面表示や装置に貼付された案内書類等で通知されているため、h1を8mm以上とすることでタッチパネル11はタッチレスでの操作が可能となる。
【0035】
図6は、
図5で示したタッチパネルをATMに実装した状態の図である。
図6の左図はATM1の装置上部2の正面図であり、右図はA-A断面図である。
【0036】
また、
図7は、
図6におけるタッチパネル下部の拡大断面図である。
図7(a)は、タッチパネル下部に異物が置かれていない場合で、
図7(b)は、タッチパネル下部に異物が置かれている場合を示している。以下、
図6および
図7を用いて、タッチパネル下面に物が置かれた際の挙動について詳細に説明する。
【0037】
図6および
図7に示すように、タッチパネル11は、ATM1の略垂直面に所定の高さ、および所定の角度で設けられており、液晶ディスプレイ12は奥行方向に凹形状となるような段差をなして形成されている。
図7(a)のS0面は、液晶ディスプレイ12の段差を形成する面であり、以下の説明では、段差のうち下面のことを指す。S0面の形状は、液晶ディスプレイ12の操作エリアが狭くならないように、液晶ディスプレイ12に対して垂直に形成されている。そのため、どれほど素子13~16の距離hが大きくなっても、操作エリアは最大のサイズを維持することができる。
【0038】
しかし、液晶ディスプレイ12に対して垂直に形成された段差を有したタッチパネル11が、
図6のA-A断面図に示すような角度で設けられた場合、タッチパネル11の枠内下面(S0面)に凹部ができてしまい、利用者は容易に物が置けてしまう上、その場に留まり、タッチパネル11の枠内に放置されてしまう可能性が高い。
【0039】
例えば、
図7(b)のように、タッチパネル11の枠内の下面(S0面)の凹部に、取り忘れたタッチペン・スマートフォン・眼鏡等の異物41が放置されている場合について以下に説明する。
図6の、42Aの範囲は、X座標が異物41と同じである範囲(Y座標は不問)であり、42Bの範囲は、Y座標が異物41と同じである範囲(X座標は不問)を示している。
【0040】
異物41が放置されている間、X発光素子13から発せられる42Aの範囲内を通る赤外線は、異物41により常に遮断されるため、42A内は入力の有無が判断できない。同様に、Y発光素子15から発せられる42Bの範囲内を通る赤外線は、異物41により常に遮断されるため、42B内は入力の有無が判断できない。したがって、42Aおよび42Bの広範囲において入力位置の特定が不可能となる。
【0041】
図8は、タッチパネルの枠内の下面にブロックが備えられたATM上部の図である。
図8の左図はATM1の装置上部2の正面図であり、右図はB-B断面図である。また、
図9は、
図8におけるタッチパネル下部の拡大断面図である。
図9(a)は、タッチパネル下部に異物が置かれていない場合で、
図9(b)は、タッチパネル下部に異物が置かれている場合を示している。以下、
図8および
図9を用いて、タッチパネル下面に物が置かれた際の挙動について詳細に説明する。
【0042】
図8および
図9は、
図6および
図7にブロック21を追加することにより、タッチパネル11への異物放置を防止する構造となっている。ブロック21は、タッチパネル11の枠内の下面(S0面)の凹部に設けられ、
図8の正面図(左図)と
図9(a)に示すように、S0面の液晶ディスプレイ12の幅方向および、寸法h方向(奥行方向)すべてを覆うような形状をなしている。Sb面は、ブロック21の高さ方向の上面であり、水平な床に対して角度を有して形成されている。
【0043】
図9(b)に示すように、例えば、利用者がタッチパネル11の枠内の位置41Aに異物41の設置を試みた場合、異物41は、位置41Aに留まらず、位置41Bでブロック21のSb面を滑り、位置41Cでタッチパネル11の枠外へ移動し、41Dで落下するため、タッチパネル11に留まらない。したがって、利用者の視認性、操作性を損なうことなく異物放置を防止し、検出エラーを起こさせないタッチパネル11が実現できる。
【0044】
図10は、タッチパネルの枠内の下面に設けられるブロックの図である。
図10(a)は、ブロック単体の図であり、左図は正面図、右図はC-C断面図である。
図10(b)は、ブロックおよびブロック近傍のタッチパネルの図である。以下、
図10を用いて、ブロック21について詳細に説明する。
【0045】
図10(b)に示すように、タッチパネル11が、水平な床面FLとタッチパネル11の枠内の下面(S0面)との角度αを有して設けられている場合について考える。ブロック21のなす角度βが角度αに等しければ(β=α)、ブロック21のSb面は水平面HLと同一となるため異物41がブロック上に留まってしまうが、角度βが角度αよりも大きければ(β>α)、ブロック21のSb面は水平面HLに対し角度を有するため異物41は滑り落ちる。そのため、ブロック21のなす角度βは、β>αを満たす形状が適している。
【0046】
ここで、角度αは0°≦α<90°の範囲とし、α=0°は、タッチパネル11の枠内の下面(S0面)が水平であること、すなわち、タッチパネル11が垂直に設けられていることを指し、α=90°は、タッチパネル11が水平に設けられていることを指す。したがって、角度βは、β>α(0°≦α<90°)であり、直角三角形の一つの角から0°<β<90°を満たすため、角度βの取り得る範囲は、α<β<90°である。一方で、ブロック21の直角面は、タッチパネル11との隙間を無くすために、タッチパネル11と密着させる必要がある。また、
図10(a)の正面図(左図)の幅方向は、タッチパネル11の枠内の下面(S0面)全面を覆うような形状をなしている。
【0047】
ブロック21の材質は、利用者の入力を検知するために、タッチパネル11のX発光素子13/Y発光素子15からの赤外線IRを透過する材質が用いられている。また、ブロック21の外観は、自動取引装置の外観に合わせて選定でき、特に、ブロック21が透明でない場合は、液晶ディスプレイ12の操作可能エリアのY方向を、寸法Lだけ上げることによって、ブロックによる入力不可能エリアを無くすことができる。
また、βが上記で示した範囲であるα<β<90°を満たしていなくても、ブロック21の表面Sb面を振動させることで、異物41を滑らせて落とすことも可能である。例えば、検知センサがタッチパネル11への入力を検知したタイミングで、ブロック21の表面を振動させる振動機構(図示せず)を有する。