(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022190712
(43)【公開日】2022-12-27
(54)【発明の名称】液体貯水装置
(51)【国際特許分類】
F24F 6/00 20060101AFI20221220BHJP
C02F 1/00 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
F24F6/00 A
C02F1/00 J
C02F1/00 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021099081
(22)【出願日】2021-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(72)【発明者】
【氏名】鷲尾 長
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 敦史
【テーマコード(参考)】
3L055
【Fターム(参考)】
3L055AA07
3L055DA02
3L055DA14
(57)【要約】
【課題】 給水タンクから給水し貯水する際に、空気抜けが出来ずに給水し難くなることを防止し、スムーズに給水する液体貯水装置を提供する。
【解決手段】 通水路11と、定水位室10の水面45より上部の空間とを連通する管路57を設け、かつ管路57の断面積は網板42の開口部の面積より大きくすることで、網板42を通過することができない気泡46は、管路57を通過して水面45の上部空間へ抜けていくことができるため、定水位室10から通水路11へスムーズに給水することができる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
器具本体と、
当該器具本体内に有り水を貯水する貯水室と、
前記貯水室内へ水を供給する給水タンクと、
前記貯水室と通水路を介して連通し前記給水タンクを収納する定水位室と、
前記給水タンクの下部に設けられ前記給水タンクの蓋となる給水口キャップと、
当該給水口キャップに設けられており水の供給、止水を制御し、給水時には前記定水位室の水位を一定水位に維持する弁機構と、
前記定水位室に形成され、前記給水タンクを前記定水位室にセットした際に前記弁機構の底面と上端が当接する突起部と、
前記定水位室から前記通水路に至る出口を覆う網状の網板と、
当該網板の下部の前記通水路と前記一定水位より上部の空間と連通する管路と、を備え、
前記管路の断面積は前記網板の開口面積より大きいことを特徴とする液体貯水装置。
【請求項2】
器具本体と、
当該器具本体内に有り水を貯水する貯水室と、
前記貯水室内へ水を供給する給水タンクと、
前記貯水室と通水路を介して連通し前記給水タンクを収納する定水位室と、
前記給水タンクの下部に設けられ前記給水タンクの蓋となる給水口キャップと、
当該給水口キャップに設けられており水の供給、止水を制御し、給水時には前記定水位室の水位を一定水位に維持する弁機構と、
前記定水位室に形成され、前記給水タンクを前記定水位室にセットした際に前記弁機構の底面と上端が当接する突起部と、
前記通水路と前記一定水位より上部の空間とを連通し前記定水位室の壁面に設けられた溝と、
前記定水位室から前記通水路に至る出口と前記溝周辺の壁面に当接するように覆い、少なくとも当該出口側の面は網状の網板であり、上部は少なくとも前記一定水位より高くなっている覆い板と、を備え、
前記溝の断面積は前記覆い板の開口面積より大きいことを特徴とする液体貯水装置。
【請求項3】
前記器具本体内に有り前記貯水室、前記定水位室及び前記通水路の水を排水し、前記定水位室の出口より下流側の前記通水路の途中にある排水弁と、
前記給水タンクの前記定水位室への収納では前記排水弁の開弁を阻止する係止金具と、
当該係止金具を介して前記排水弁の開閉を行う排水レバーと、を備え、
当該排水レバーの操作で前記排水弁を開弁し、排水される水を貯える排水トレーを設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の液体貯水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、給水タンク内の液体(水)を貯水室へ供給し貯水する液体貯水装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のものでは
図8に示すものがあり、給水タンク109を収納し、給水タンク109内の水を貯える定水位室110があり、定水位室110の下方にある通水路111を介して図示しない貯水室へ流入し、貯水する液体貯水装置を備えた加湿装置が知られている。(例えば、特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
また、この従来のものでは、給水タンク109内にゴミや異物が含まれていた場合、定水位室110から通水路111を介して前記貯水室へこの異物が供給されるため、定水位室110の出口143を覆う網状の網板142を設置することが有効であった。この網板142により、ゴミや異物が通水路111及び前記貯水室へ侵入することが防止できる。
【0005】
この網板142の開口面積は、ゴミや異物が通過しない大きさである必要があるため出来るだけ小さい方が望ましい。また、定水位室110から通水路111へ水が流入する一方で、通水路111から定水位室110へ空気(気泡)146が抜けていく必要がある。しかし、網板142に油分等が付着している場合には気泡146が網板142の開口部を通過し難くなるため、気泡146が抜けずに定水位室110から通水路111へ水が流入しにくくなる虞があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1では、器具本体と、当該器具本体内に有り水を貯水する貯水室と、前記貯水室内へ水を供給する給水タンクと、前記貯水室と通水路を介して連通し前記給水タンクを収納する定水位室と、前記給水タンクの下部に設けられ前記給水タンクの蓋となる給水口キャップと、当該給水口キャップに設けられており水の供給、止水を制御し、給水時には前記定水位室の水位を一定水位に維持する弁機構と、前記定水位室に形成され、前記給水タンクを前記定水位室にセットした際に前記弁機構の底面と上端が当接する突起部と、前記定水位室から前記通水路に至る出口を覆う網状の網板と、当該網板の下部の前記通水路と前記一定水位より上部の空間と連通する管路と、を備え、前記管路の断面積は前記網板の開口面積より大きいことを特徴としている。
【0007】
また、請求項2では、器具本体と、当該器具本体内に有り水を貯水する貯水室と、前記貯水室内へ水を供給する給水タンクと、前記貯水室と通水路を介して連通し前記給水タンクを収納する定水位室と、前記給水タンクの下部に設けられ前記給水タンクの蓋となる給水口キャップと、当該給水口キャップに設けられており水の供給、止水を制御し、給水時には前記定水位室の水位を一定水位に維持する弁機構と、前記定水位室に形成され、前記給水タンクを前記定水位室にセットした際に前記弁機構の底面と上端が当接する突起部と、前記通水路と前記一定水位より上部の空間とを連通し前記定水位室の壁面に設けられた溝と、前記定水位室から前記通水路に至る出口と前記溝周辺の壁面に当接するように覆い、少なくとも当該出口側の面は網状の網板であり、上部は少なくとも前記一定水位より高くなっている覆い板と、を備え、前記溝の断面積は前記覆い板の開口面積より大きいことを特徴としている。
【0008】
また、請求項3では、前記器具本体内に有り前記貯水室、前記定水位室及び前記通水路の水を排水し、定水位室の出口より下流側の前記通水路の途中にある排水弁と、前記給水タンクの前記定水位室への収納では前記排水弁の開弁を阻止する係止金具と、当該係止金具を介して前記排水弁の開閉を行う排水レバーと、を備え、当該排水レバーの操作で前記排水弁を開弁し、排水される水を貯える排水トレーを設けたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、網板下部の通水路と、定水位室内の一定水位より上部の空間とを連通する管路を設け、管路の断面積を網板の開口面積より大きくしたので、網板に油分等が付着して気泡が網板の開口部を通過し難くなっても、気泡は管路を通過して定水位室の上部の空間へ抜けていくことができる。即ち、通水路にある気泡が定水位室へ抜けることで、定水位室から通水路へ水が流入することができる。
【0010】
また、通水路と、定水位室内の一定水位より上部の空間とを連通し、定水位室の壁面に設けられた溝と、定水位室から通水路に至る出口と溝周辺の壁面に当接するように覆い、少なくとも出口側の面は網状の網板であり、上部は少なくとも一定水位より高くなっている覆い板を備え、覆い板と溝に囲まれた断面積は覆い板の網板部の開口面積より大きくしたので、網板部に油分等が付着して気泡が網板の開口部を通過し難くなっても、気泡は溝を通過して定水位室の上部の空間へ抜けていくことができる。即ち、通水路にある気泡が定水位室へ抜けることで、定水位室から通水路へ水が流入することができる。更に、管路より溝の方が、加工性が容易であるため、加工コストを安価にすることができる。
【0011】
また、排水レバーの操作で排水弁を開弁し、定水位室、通水路、及び貯水室の水が排水される排水機構を備えた液体貯水装置では、ゴミや異物が排水弁に挟まってしまうと常に開弁となり排水し続けるため、貯水室に貯水できない。しかし定水位室の出口付近に網板や覆い板を設置することで、ゴミや異物を捕集することができ、排水弁に挟まってしまうことで貯水できないといった事態を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】この発明の一実施形態の加湿装置を示す斜視図
【
図6】他の実施形態の溝の構造を説明する断面図及び平面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、この発明の一実施形態における液体貯水装置を備えた加湿装置を図に基づいて説明する。
【0014】
以下の説明において、「前(前面)」、「後(背面)」、「上」、「下」、「右」、及び「左」は、
図1、
図2、及び
図5~
図8における定義に従う。また、上下方向は、器具本体1の設置時における鉛直方向に対応する。前後方向及び左右方向は、器具本体1の設置時における水平方向に対応する。
【0015】
図1、及び
図2を参照する。
1は室内の空気清浄や加湿を行う器具本体で、中央部には蓋体2に固定され吸引口3から吸引された室内空気を、中央で回転駆動するシロッコファンからなる送風ファン4へ案内する円筒状の案内筒5が備えられ、この案内筒5には、送風ファン4を覆うように送風ファン4下方まで垂下した送風筒6が設けられている。
【0016】
7は前記案内筒5を覆った処理室、8は該処理室7の下部に設けられた円形椀状でアルミダイキャスト製の貯水室であり、該貯水室8には、給水タンク9がセットされた定水位室10が通水路11を介して連通しており、給水タンク9の高さ方向の落差で水を供給することで、貯水室8内が常時一定水位に保たれる。また、12は定水位室10内に設けられ、貯水室8及び定水位室10に一定水位以上の貯水があるとき、水位有りを検知する水位検知信号を出力するフロートセンサである。
【0017】
13は貯水室8下方で貯水室8を支持する駆動モータであり、全周がカバー体14で覆われ、器具本体1の底部を構成するベース15に固定されており、更にカバー体14の外周壁に外方へ突出した樋状の流水溝16を一周形成している。
【0018】
17は貯水室8の貯水に下部を水没させ、この貯水室8を貫通して送風ファン4を回転させる駆動軸18に軸支された筒状の回転体であり、この回転体17は中空逆円錐形で上方に向かって径が徐々に拡大するものであり、回転体17が回転することによる回転の遠心力で貯水室8の貯水を汲み上げ、回転体17の外壁及び内壁を伝わせて押し上げて、回転体17の外壁を伝わせて押し上げた貯水を周囲に飛散させると共に、回転体17の内壁を伝わせて押し上げた貯水を回転体17の上端に形成された複数の飛散口19から周囲に飛散させるものである。
【0019】
20は回転体17の上部外周に所定間隔を保持して位置し、回転体17と共に回転する円筒状の多孔体で、この多孔体20にはその全周壁に多数のスリットや金網やパンチングメタル等から成る多孔部21が形成されており、前記駆動モータ13、前記回転体17及び前記多孔部21でミスト発生部が構成されている。
【0020】
前記ミスト発生部を構成する駆動モータ13を駆動させ、回転体17を回転させることで発生する遠心力で貯水室8内の水を汲み上げると共に空気を飛散させ、多孔部21を通過した水滴が破砕されることで、水の粒子を微細化してナノメートル(nm)サイズのミストが生成すると共に、水の粒子の微細化によるレナード効果で負イオンを多量に発生させるものである。
【0021】
22は貯水室8外周を巻回して備えられ、貯水室8内の貯水を加熱する加熱ヒータであり、送風量が「強」に設定されると、貯水室8内の貯水温度を設定温度の38℃前後に、送風量が「弱」に設定されると、貯水室8内の貯水温度を設定温度の34℃前後に加熱保温して吹き出し温度を30℃程度に保持するものであり、貯水室8の底部に設置され、貯水室8内の水の温度を検知する貯水温度センサ23の検知温度によって、加熱ヒータ22がON/OFFされて所定温度に保持するもので、加熱ヒータ22を強制的にOFFにして貯水室8内の水を加温しないモードも設定可能としている。
【0022】
24は送風筒6や多孔体20の下端と対向して貯水室8上面を覆った皿状の水流阻止手段で、中央部には回転体17の挿通穴25が形成されており、この挿通穴25から外周に延びる支持片26によって水面が区画されることで、回転体17の回転方向の水流を阻止し、回転体17の回転による遠心力の作用によって、容易に水が回転体17内外周を上昇できるようにしたものである。
【0023】
また、前記水流阻止手段24は、外周から中央部の挿通穴25に向かって緩やかに下り傾斜して形状によって、上方の送風筒6や多孔体20で微細化されなかった比較的大粒の水滴を受けて、この水滴が直接貯水室8水面に落下して発生するバシャ、バシャという落下音も阻止することができ、水滴を滑らかに貯水室8へ戻すことができる。
【0024】
27は回転体17と多孔体20との回転により発生したナノミスト及び負イオンを含む加湿空気を送風ファン4を駆動させることで処理室7の上部方向へ案内する流通路、28は器具本体1の天面38上の前面側に形成され、前記流通路27を流通する加湿空気を室内へ送風する送風口であり、流通路27を上昇した加湿空気が、送風口28から器具本体1と垂直な方向に向けて送風される。
【0025】
29は貯水室8と連通している通水路11に備えられ、常時閉弁側に押圧されている排水弁で、給水タンク9が定水位室10にセット(収納)されることで、図示しない圧縮バネによって常時押し上げられているロット30が押し下げられて、ロット30の下端が係止金具31をロックして排水弁29が閉弁状態とされ、給水タンク9がセットされている時は貯水室8内の残水の排水を確実に阻止するものであり、給水タンク9が所定の収納場所から取り外されると、ロット30が圧縮バネによって上方に押し上げられ、係止金具31のロックが解除されて、排水弁29は開弁可能な状態になる。
【0026】
32は貯水室8内の残水の排水を受ける上面開放の排水トレーで、器具本体1内に出し入れ自在に備えられ、正面には手掛け部33が形成されており、その容積は貯水室8、定水位室10、及び通水路11の残水を十分に収容できる大きさとしている。また、排水レバー35が下げられると係止金具31が排水弁29を押圧して開弁させ、排水が終了し排水レバー35を引き上げて元に戻せば、係止金具31の押圧が解除されて排水弁29は閉弁されるので、使用者は、排水トレー32中に溜められた排水を台所等の排水口に排水できる。
【0027】
36は駆動軸18が貫通した貯水室8とカバー体14との間の駆動軸18途中に備えられた傘状の遮蔽板で、貯水室8から漏れた水が駆動軸18部分を伝わって駆動モータ13内に浸入するのを防止するものである。
【0028】
37は給水タンク9の蓋となる給水口キャップである。給水口キャップ37には、図示しない弁機構が設けられており、図示しない圧縮バネによって常時閉弁となるよう規制されている。給水タンク9が定水位室10にセット(収納)されることで、定水位室10に固定された突起部41の上端が、前記弁機構の底面に当接し弁が押し上げられることで開弁状態となり、給水タンク9から定水位室10に給水されるものである。
【0029】
38は器具本体1の上部を構成する天面、39は蓋体2を着脱するための持ち手である。40は送風口28の上部に設置され、上下方向に回動自在で室内に送風される加湿空気の風向調節及び送風有無が調節可能なルーバーである。
【0030】
図3、及び
図4を参照する。
47は器具本体1の前面に備えられ複数のスイッチが設置された操作部であり、この操作部47には、駆動モータ13を駆動させて送風ファン4及び回転体17を回転駆動し、室内に微細化したミストを送風するミスト運転を開始する運転スイッチ48と、駆動モータ13の回転数を変化させて送風口28からの送風量を「強」と「弱」に設定可能な風量スイッチ49と、加熱ヒータ22によって貯水室8内の水を所定温度まで高める温ミスト運転を行う温ミストスイッチ50と、運転開始から1時間又は2時間経過後に駆動モータ13を駆動停止させ、ミスト運転を停止させる切タイマースイッチ51とが備えられており、各スイッチが操作されたら、各スイッチの上部に設置された所定のランプを点灯させる。
【0031】
52は前記操作部47からの入力信号や、貯水温度センサ23及びフロートセンサ12の検知信号を受けて、加熱ヒータ22及び駆動モータ13の動作を制御する制御部であり、この制御部52には、ミスト運転時の送風量の強弱によって変化する設定温度となるよう加熱ヒータ22の出力を制御するヒータ制御手段53と、ミスト運転時の送風量の強弱によって変化する設定風量となるよう駆動モータ13の出力を制御するモータ制御手段54と、ミスト運転中にフロートセンサ12が水位無しを検知した場合、加熱ヒータ22及び駆動モータ13の駆動を停止させ、前記操作部47に設置された給水ランプ55を点灯させ、ミスト運転を停止させてエラーを報知するエラー停止手段56とが備えられている。
【0032】
図5は、給水タンク9を定水位室10にセット(収納)したときの定水位室10内の状態を示す。42は定水位室10の出口43を覆うように設置され、定水位室10から通水路11へゴミや異物の侵入を防ぐための網状の網板である。網板42はネジ44で固定し取り付けられている。45は給水タンク9から定水位室10へ給水された後に、給水口キャップ37付近で一定水位に保たれている水面を表す。57は通水路11と定水位室10の水面45より上部の空間とを連通する管路である。この管路57の一端は、通水路11の最上部で網板42の直ぐ下方に開口され、他端は定水位室10にあり水面45より上方で給水タンク9と干渉しない位置に開口されている。また、管路57の断面積は、網板42の開口部の面積より大きくなっている。
【0033】
給水タンク9が定水位室10にセット(収納)されると、突起部41が給水口キャップ37内にある弁を押し上げて給水タンク9から定水位室10、そして通水路11へ給水される。一方で、水と入れ替わりに通水路11内にある空気(気泡)46が定水位室10へ抜けていく必要があるが、網板42に油分等が付着している場合、網板42の開口部に目詰まりが発生してしまい、気泡46が網板42の開口部を通過することができない。つまり、気泡46が網板42の下部に停滞することで、定水位室10から通水路11へ水が流れ難くなる。
【0034】
このとき、管路57の断面積は網板42の開口部の面積より大きくなっているため、網板42を通過することができない気泡46は、網板42の直ぐ下方に一端が設けられた管路57を通過して、定水位室10にある管路57の他端から水面45の上部空間へ抜けていくことができる。つまり、気泡46は網板42の下部に停滞することがないため、定水位室10から通水路11へスムーズに水が流れることができる。
【0035】
また、網板42はゴミや異物が通水路11及び貯水室8へ流入することを防ぐ目的であるため、網板42の開口面積は通水可能な範囲で出来るだけ小さい方が望ましい。一方で、通水路11の気泡46が網板42を通過し難くなり、給水タンク9からの水が通水路11及び貯水室8へ流水し難くなる虞がある。ここで、管路57を設けることで気泡46が定水位室10へ抜けていくことができるため、網板42の開口面積を可能な限り小さくしてゴミや異物の通過を防ぐ効果をより高めることができる。
【0036】
次に、他の実施形態における液体貯水装置を備えた加湿装置を、
図6及び
図7に基づいて説明する。なお、本実施形態において、
図1から
図4の構成は前述した実施形態と同じであるため、説明を省略する。
【0037】
図6及び
図7は、給水タンク9を定水位室10にセット(収納)したときの定水位室10内の状態を示す。58は定水位室10内に設置し、定水位室10から通水路11へゴミや異物の侵入を防ぐための網状の覆い板である。覆い板58はネジ44で固定し取り付けられている。覆い板58は略L字型に形成され、水平面58aと鉛直面58bで構成される。覆い板58の詳細については後述する。59は定水位室10の壁面に、通水路11と、定水位室10の水面45より上部の空間とを連通する溝である。この溝59の一端は、通水路11の最上部で、かつ覆い板の水平面58aの直ぐ下方に設けられ、他端は定水位室10にあり水面45及び覆い板の鉛直面58bより上方に設けられている。
【0038】
ここで、覆い板58は、溝59の周辺の壁面に当接するように覆い設置される。更に、覆い板の水平面58aは出口43を覆うように設置され、覆い板の鉛直面58bは上端が水面45より高くなるよう形成される。更に、溝59と覆い板58で形成される断面積は、網状である覆い板58の開口部の面積より大きくなっている。
【0039】
給水タンク9が定水位室10にセット(収納)されると、給水タンク9から通水路11へ給水される一方で、通水路11内にある空気(気泡)46が定水位室10へ抜けていく必要があるが、前述した通り、気泡46が網板である覆い板の水平面58aの下部に停滞する虞がある。
【0040】
このとき、溝59と覆い板58で形成される断面積は、覆い板58の開口部の面積より大きくなっているため、覆い板58を通過することができない気泡46は、覆い板の水平面58aの直ぐ下方に一端が設けられた溝59を通過して、定水位室10にある溝59の他端から水面45の上部空間へ抜けていくことができる。つまり、気泡46は覆い板の水平面58aの下部に停滞することがないため、定水位室10から通水路11へスムーズに水が流れることができる。
【0041】
更に、
図5で示した管路57より、
図6及び
図7で示した溝59の方が、加工性が容易であるため、溝59を用いて空気抜けを行う方が加工コストを安価にすることができる。
【0042】
なお、覆い板の水平面58aが網状の網板であるため、鉛直面58bは必ずしも網板である必要はなく、例えば
図7に示すように開口部の無い平板でも良い。
【0043】
また、本実施形態で用いたその他の構成は一例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図しておらず、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0044】
1 器具本体
8 貯水室
9 給水タンク
10 定水位室
11 通水路
37 給水口キャップ
41 突起部
42 網板
43 出口
45 水面(一定水位)
57 管路