(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022190715
(43)【公開日】2022-12-27
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/00 20060101AFI20221220BHJP
G03G 15/01 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
G03G15/00 303
G03G15/01 115
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021099096
(22)【出願日】2021-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116034
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 啓輔
(74)【代理人】
【識別番号】100144624
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 達也
(72)【発明者】
【氏名】石田 美穂
(72)【発明者】
【氏名】福岡 慎太郎
(72)【発明者】
【氏名】古川 利郎
(72)【発明者】
【氏名】荒木 寿則
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼須 将也
(72)【発明者】
【氏名】西村 拓郎
【テーマコード(参考)】
2H270
2H300
【Fターム(参考)】
2H270LA14
2H270LA18
2H270MA14
2H270MB14
2H270MB16
2H270MB19
2H270ZC02
2H300EB04
2H300EB07
2H300EB12
2H300EF06
2H300EG03
2H300EG13
2H300EH16
2H300EJ09
2H300EJ32
2H300EJ39
2H300GG14
2H300QQ03
2H300RR34
2H300RR37
2H300RR39
2H300RR40
(57)【要約】
【課題】補正画像形成処理の開始からパターン画像形成処理の終了までの時間を短縮することを目的とする。
【解決手段】画像形成装置は、複数の色の画像を転写媒体に形成する画像形成部と、転写媒体上の画像を検出する検出部と、制御部を備える。画像形成部は、第1色、第2色、第3色、第4色に対応した第1感光ドラム、第2感光ドラム、第3感光ドラム、第4感光ドラムを有する。各感光ドラムは、転写媒体が検出部に向けて移動する移動方向において、下流側から上流側に向けて、第1色、第2色、第3色、第4色の順で並ぶ。制御部は、移動方向において、第1色の第1バイアス補正画像K1が、第2色、第3色および第4色の第1バイアス補正画像Y1,M1,C1よりも前に位置し、第1色の第2バイアス補正画像K2が、第2色、第3色および第4色のうち2つの色の第1バイアス補正画像M1,C1の間に位置するように、補正画像形成処理を実行する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の色の画像を転写媒体に形成する画像形成部であって、
第1色に対応した現像ローラおよび感光ドラムと、
第2色に対応した現像ローラおよび感光ドラムと、
第3色に対応した現像ローラおよび感光ドラムと、
第4色に対応した現像ローラおよび感光ドラムと、を有する画像形成部と、
前記転写媒体に形成された画像を検出する検出部と、
制御部と、を備え、
前記転写媒体が前記検出部に向けて移動する移動方向において、下流側から上流側に向けて、前記第1色、前記第2色、前記第3色、前記第4色の順で、各感光ドラムが並ぶ画像形成装置であって、
前記制御部は、
前記第1色、前記第2色、前記第3色および前記第4色の色ごとに、
現像ローラに第1現像バイアスを印加した状態で、前記画像形成部によって、前記転写媒体に第1バイアス補正画像を形成した後、前記第1現像バイアスとは異なる値の第2現像バイアスを現像ローラに印加した状態で、前記画像形成部によって、前記転写媒体に第2バイアス補正画像を形成する補正画像形成処理と、
前記第1バイアス補正画像および前記第2バイアス補正画像を前記検出部で読み取った結果に基づいて、現像バイアスを設定するバイアス設定処理と、
前記バイアス設定処理で設定された現像バイアスを現像ローラに印加した状態で、前記画像形成部によって、前記転写媒体に複数のパターン画像を形成するパターン画像形成処理と、を実行可能であり、
前記移動方向において、前記第1色の前記第1バイアス補正画像が、前記第2色、前記第3色および前記第4色の前記第1バイアス補正画像よりも前に位置し、前記第1色の前記第2バイアス補正画像が、前記第2色、前記第3色および前記第4色のうち2つの色の前記第1バイアス補正画像の間に位置するように、前記補正画像形成処理を実行することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
複数の色の画像を転写媒体に形成する画像形成部であって、
第1色に対応した現像ローラおよび感光ドラムと、
第2色に対応した現像ローラおよび感光ドラムと、
第3色に対応した現像ローラおよび感光ドラムと、
第4色に対応した現像ローラおよび感光ドラムと、を有する画像形成部と、
前記転写媒体に形成された画像を検出する検出部と、
制御部と、を備え、
前記転写媒体が前記検出部に向けて移動する移動方向において、下流側から上流側に向けて、前記第1色、前記第2色、前記第3色、前記第4色の順で、各感光ドラムが並ぶ画像形成装置であって、
前記制御部は、
前記第1色、前記第2色、前記第3色および前記第4色の色ごとに、
現像ローラに第1現像バイアスを印加した状態で、前記画像形成部によって、前記転写媒体に第1バイアス補正画像を形成した後、前記第1現像バイアスとは異なる値の第2現像バイアスを現像ローラに印加した状態で、前記画像形成部によって、前記転写媒体に第2バイアス補正画像を形成する補正画像形成処理と、
前記第1バイアス補正画像および前記第2バイアス補正画像を前記検出部で読み取った結果に基づいて、現像バイアスを設定するバイアス設定処理と、
前記バイアス設定処理で設定された現像バイアスを現像ローラに印加した状態で、前記画像形成部によって、前記転写媒体に複数のパターン画像を形成するパターン画像形成処理と、を実行可能であり、
複数色の前記第1バイアス補正画像と複数色の前記第2バイアス補正画像からなる第1画像群の最も前方に位置する前記第1バイアス補正画像の色と、複数色の前記パターン画像からなる第2画像群の最も前方に位置する前記パターン画像の色とが、前記第1色であり、かつ、
前記第1画像群の最も後方に位置する前記第2バイアス補正画像の色と、前記第2画像群の最も後方に位置する前記パターン画像の色とが異なるように、
前記補正画像形成処理および前記パターン画像形成処理を実行することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記移動方向において、前記第1色の前記第2バイアス補正画像が、前記第2色、前記第3色および前記第4色のうち1つの色の前記第1バイアス補正画像よりも前に位置するように、前記補正画像形成処理を実行することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記第4色の前記第2バイアス補正画像が、前記移動方向において、前記第2色および前記第3色のうち少なくとも1つの色の前記第2バイアス補正画像よりも前に位置するように、前記補正画像形成処理を実行することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記第4色の前記第1バイアス補正画像が、前記移動方向において、前記第2色および前記第3色のうち少なくとも1つの色の前記第1バイアス補正画像よりも前に位置するように、前記補正画像形成処理を実行することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記移動方向における先頭から順に、
前記第1色の前記第1バイアス補正画像、
前記第4色の前記第1バイアス補正画像、
前記第3色の前記第1バイアス補正画像、
前記第1色の前記第2バイアス補正画像、
前記第2色の前記第1バイアス補正画像の順で各画像が並ぶように、前記補正画像形成処理を実行することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記移動方向において、前記第2色の前記第1バイアス補正画像の後に、前記第2バイアス補正画像が、前記第4色、前記第3色、第2色の順で並ぶように、前記補正画像形成処理を実行することを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記転写媒体は、無端状のベルトであり、
前記移動方向における、最も前方の前記第1バイアス補正画像の前端から、最も後方の前記パターン画像の後端までの距離が、前記ベルトの周長よりも小さいことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記パターン画像は、目標濃度と露光濃度との対応関係を設定するための階調設定用画像であることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記パターン画像は、画像の位置ずれを補正するための位置ずれ補正画像であることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベルトなどの転写媒体に形成した画像を検出部で読み取った結果に基づいて、印字濃度の調整などの処理を実行する制御部を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置として、複数の色の画像をベルトに形成する画像形成部と、ベルトに形成された画像を検出する検出部と、補正画像形成処理、バイアス設定処理およびパターン画像形成処理を実行する制御部と、を備えたものが知られている(特許文献1参照)。補正画像形成処理は、現像ローラに第1現像バイアスを印加した状態で、ベルトに第1バイアス補正画像を形成した後、第1現像バイアスとは異なる値の第2現像バイアスを現像ローラに印加した状態で、ベルトに第2バイアス補正画像を形成する処理である。
【0003】
バイアス設定処理は、第1バイアス補正画像および第2バイアス補正画像を検出部で読み取った結果に基づいて、現像バイアスを設定する処理である。パターン画像形成処理は、バイアス設定処理で設定された現像バイアスを現像ローラに印加した状態で、ベルトに複数のパターン画像を形成する処理である。
【0004】
また、画像形成装置は、4つの感光ドラムを備えている。各感光ドラムは、検出部に近い側から、K、C、M、Yの色順で並んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、従来では、補正画像形成処理およびパターン画像形成処理において、ベルトに形成する複数の画像を、検出部に近い側から、Y、M、C、Kの順に規則的に並べている。しかしながら、この場合、検出部に最も近い感光ドラムで形成されるブラック(K)の画像を他の色の画像よりも遅く検出部で読み取ることになるので、補正画像形成処理の開始からパターン画像形成処理の終了までの時間が長くなるという問題が生じる。
【0007】
そこで、本発明は、補正画像形成処理の開始からパターン画像形成処理の終了までの時間を短縮することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明に係る画像形成装置は、複数の色の画像を転写媒体に形成する画像形成部と、前記転写媒体に形成された画像を検出する検出部と、制御部と、を備える。
前記画像形成部は、第1色に対応した現像ローラおよび感光ドラムと、第2色に対応した現像ローラおよび感光ドラムと、第3色に対応した現像ローラおよび感光ドラムと、第4色に対応した現像ローラおよび感光ドラムと、を有する。
各感光ドラムは、前記転写媒体が前記検出部に向けて移動する移動方向において、下流側から上流側に向けて、前記第1色、前記第2色、前記第3色、前記第4色の順で、並ぶ。
前記制御部は、前記第1色、前記第2色、前記第3色および前記第4色の色ごとに、補正画像形成処理と、バイアス設定処理と、パターン画像形成処理と、を実行可能である。
前記補正画像形成処理は、現像ローラに第1現像バイアスを印加した状態で、前記画像形成部によって、前記転写媒体に第1バイアス補正画像を形成した後、前記第1現像バイアスとは異なる値の第2現像バイアスを現像ローラに印加した状態で、前記画像形成部によって、前記転写媒体に第2バイアス補正画像を形成する処理である。
前記バイアス設定処理は、前記第1バイアス補正画像および前記第2バイアス補正画像を前記検出部で読み取った結果に基づいて、現像バイアスを設定する処理である。
前記パターン画像形成処理は、前記バイアス設定処理で設定された現像バイアスを現像ローラに印加した状態で、前記画像形成部によって、前記転写媒体に複数のパターン画像を形成する処理である。
前記制御部は、前記移動方向において、前記第1色の前記第1バイアス補正画像が、前記第2色、前記第3色および前記第4色の前記第1バイアス補正画像よりも前に位置し、前記第1色の前記第2バイアス補正画像が、前記第2色、前記第3色および前記第4色のうち2つの色の前記第1バイアス補正画像の間に位置するように、前記補正画像形成処理を実行する。
【0009】
この構成によれば、第1色についてのバイアス設定処理を早く終わらせることができるので、第1色についてのパターン画像形成処理の開始を早めることができ、その結果、補正画像形成処理の開始からパターン画像形成処理の終了までの時間を短縮することができる。
【0010】
また、本発明に係る画像形成装置は、複数の色の画像を転写媒体に形成する画像形成部と、前記転写媒体に形成された画像を検出する検出部と、制御部と、を備える。
前記画像形成部は、第1色に対応した現像ローラおよび感光ドラムと、第2色に対応した現像ローラおよび感光ドラムと、第3色に対応した現像ローラおよび感光ドラムと、第4色に対応した現像ローラおよび感光ドラムと、を有する。
各感光ドラムは、前記転写媒体が前記検出部に向けて移動する移動方向において、下流側から上流側に向けて、前記第1色、前記第2色、前記第3色、前記第4色の順で、並ぶ。
前記制御部は、前記第1色、前記第2色、前記第3色および前記第4色の色ごとに、補正画像形成処理と、バイアス設定処理と、パターン画像形成処理と、を実行可能である。
前記補正画像形成処理は、現像ローラに第1現像バイアスを印加した状態で、前記画像形成部によって、前記転写媒体に第1バイアス補正画像を形成した後、前記第1現像バイアスとは異なる値の第2現像バイアスを現像ローラに印加した状態で、前記画像形成部によって、前記転写媒体に第2バイアス補正画像を形成する処理である。
前記バイアス設定処理は、前記第1バイアス補正画像および前記第2バイアス補正画像を前記検出部で読み取った結果に基づいて、現像バイアスを設定する処理である。
前記パターン画像形成処理は、前記バイアス設定処理で設定された現像バイアスを現像ローラに印加した状態で、前記画像形成部によって、前記転写媒体に複数のパターン画像を形成する処理である。
前記制御部は、複数色の前記第1バイアス補正画像と複数色の前記第2バイアス補正画像からなる第1画像群の最も前方に位置する前記第1バイアス補正画像の色と、複数色の前記パターン画像からなる第2画像群の最も前方に位置する前記パターン画像の色とが、前記第1色であり、かつ、前記第1画像群の最も後方に位置する前記第2バイアス補正画像の色と、前記第2画像群の最も後方に位置する前記パターン画像の色とが異なるように、前記補正画像形成処理および前記パターン画像形成処理を実行する。
【0011】
この構成によれば、第1色についてのバイアス設定処理を早く終わらせることができるので、第1色についてのパターン画像形成処理の開始を早めることができ、その結果、補正画像形成処理の開始からパターン画像形成処理の終了までの時間を短縮することができる。
【0012】
また、前記制御部は、前記移動方向において、前記第1色の前記第2バイアス補正画像が、前記第2色、前記第3色および前記第4色のうち1つの色の前記第1バイアス補正画像よりも前に位置するように、前記補正画像形成処理を実行してもよい。
【0013】
この構成によれば、第1色についてのバイアス設定処理をより早く終わらせることができるので、補正画像形成処理の開始からパターン画像形成処理の終了までの時間をより短縮することができる。
【0014】
また、前記制御部は、前記第4色の前記第2バイアス補正画像が、前記移動方向において、前記第2色および前記第3色のうち少なくとも1つの色の前記第2バイアス補正画像よりも前に位置するように、前記補正画像形成処理を実行してもよい。
【0015】
この構成によれば、第4色についてのバイアス設定処理を早く終わらせることができるので、第4色についてのパターン画像形成処理の開始を早めることができ、その結果、補正画像形成処理の開始からパターン画像形成処理の終了までの時間を短縮することができる。
【0016】
また、前記制御部は、前記第4色の前記第1バイアス補正画像が、前記移動方向において、前記第2色および前記第3色のうち少なくとも1つの色の前記第1バイアス補正画像よりも前に位置するように、前記補正画像形成処理を実行してもよい。
【0017】
また、前記制御部は、前記移動方向における先頭から順に、前記第1色の前記第1バイアス補正画像、前記第4色の前記第1バイアス補正画像、前記第3色の前記第1バイアス補正画像、前記第1色の前記第2バイアス補正画像、前記第2色の前記第1バイアス補正画像の順で各画像が並ぶように、前記補正画像形成処理を実行してもよい。
【0018】
また、前記制御部は、前記移動方向において、前記第2色の前記第1バイアス補正画像の後に、前記第2バイアス補正画像が、前記第4色、前記第3色、第2色の順で並ぶように、前記補正画像形成処理を実行してもよい。
【0019】
この構成によれば、例えば第2バイアス補正画像を、第3色、第4色、第2色の順で並ばせる形態に比べ、第4色についてのバイアス設定処理を早く終わらせることができる。
【0020】
また、前記転写媒体は、無端状のベルトであり、前記移動方向における、最も前方の前記第1バイアス補正画像の前端から、最も後方の前記パターン画像の後端までの距離が、前記ベルトの周長よりも小さくてもよい。
【0021】
この構成によれば、バイアス設定処理とパターン画像形成処理の間に、ベルトを1回転以上回転させるベルトクリーニング処理を行う必要がないので、補正画像形成処理の開始からパターン画像形成処理の終了までの時間を短縮することができる。
【0022】
また、前記パターン画像は、目標濃度と露光濃度との対応関係を設定するための階調設定用画像であってもよい。
【0023】
また、前記パターン画像は、画像の位置ずれを補正するための位置ずれ補正画像であってもよい。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、補正画像形成処理の開始からパターン画像形成処理の終了までの時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の一実施形態に係るカラープリンタを示す図である。
【
図3】目標濃度と露光濃度の対応関係を示す図である。
【
図4】搬送ベルトに形成する画像の順序を示す図である。
【
図5】現像ローラ上の所定箇所で現像を連続して行う場合の問題と、感光ドラムの所定箇所を連続して露光する場合の問題を説明するための図(a)~(d)である。
【
図6】第1バイアス補正画像および第2バイアス補正画像が、搬送ベルトに転写される順序の前半を説明するための図(a)~(c)である。
【
図7】第1バイアス補正画像および第2バイアス補正画像が、搬送ベルトに転写される順序の後半を説明するための図(a)~(c)である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の一実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1に示すように、画像形成装置の一例としてのカラープリンタ1は、本体筐体2と、供給部3と、画像形成部4と、検出部PSと、定着装置8と、搬送部9と、制御部100と、を備えている。本体筐体2は、上面に排出トレイ21を有している。
【0027】
供給部3は、本体筐体2内の下部に設けられ、シートSを収容する供給トレイ31と、供給トレイ31内のシートSを画像形成部4に供給する供給機構32とを備えている。供給機構32は、ピックアップローラ33と、分離ローラ34と、分離パッド35と、レジストレーションローラ36とを備えている。
【0028】
供給部3は、ピックアップローラ33によって供給トレイ31内のシートSを分離ローラ34に向けて供給し、分離ローラ34と分離パッド35の間でシートSを1枚に分離する。レジストレーションローラ36は、シートSの先端の位置を揃えた後、画像形成部4に向けてシートSを搬送する。
【0029】
画像形成部4は、露光装置SCと、プロセスユニットPUと、転写ユニット7と、を備えている。
【0030】
露光装置SCは、本体筐体2内の上部に配置され、図示しない光源やポリゴンミラーなどを備えている。露光装置SCは、感光ドラム51の表面に光を照射することで、感光ドラム51の表面を露光する。
【0031】
プロセスユニットPUは、ドロワ5と、4つの現像カートリッジ6と、を備えている。ドロワ5は、本体筐体2から引き出し可能となっている。ドロワ5は、感光ドラム51と、帯電器52と、ドラムクリーナ53と、除電ランプ54と、をそれぞれ4つ備えている。
【0032】
帯電器52は、感光ドラム51の表面を帯電させる部材である。帯電された感光ドラム51の表面が露光装置SCで露光されると、感光ドラム51の表面に、画像データに基づく静電潜像が形成される。ドラムクリーナ53は、感光ドラム51の表面をクリーニングする部材である。除電ランプ54は、感光ドラム51の表面に光を照射して除電する部材である。
【0033】
現像カートリッジ6は、トナーを収容している。現像カートリッジ6は、感光ドラム51の静電潜像にトナーを供給して、感光ドラム51上にトナー像である画像を形成する現像ローラ61を備えている。
【0034】
現像カートリッジ6は、ブラック、シアン、マゼンタおよびイエローの各色のトナーが入った6K,6C,6M,6Yの符号で示すものがシートSの搬送方向において、下流側から上流側に向けて、6K,6C,6M,6Yの順で並んで配置されている。言い換えると、現像カートリッジ6K,6C,6M,6Yは、後述する搬送ベルト73が検出部PSに向けて移動する移動方向において、下流側から上流側に向けて、6K,6C,6M,6Yの順で並んで配置されている。また、各現像カートリッジ6に対応する各感光ドラム51も、搬送ベルト73が検出部PSに向けて移動する移動方向において、下流側から上流側に向けて、K,C,M,Yの順で並んで配置されている。なお、本明細書および図面において、トナーの色に対応した感光ドラム51や現像ローラ61などの部材を特定する場合には、ブラック、シアン、マゼンタおよびイエローのそれぞれに対応させて、K,C,M,Yの記号を付し、部材の名称の先頭に「第1」、「第2」、「第3」、「第4」の文字を付することとする。
【0035】
例えば、ブラックに対応した感光ドラム51および現像ローラ61を、第1感光ドラム51Kおよび第1現像ローラ61Kとも称する。シアンに対応した感光ドラム51および現像ローラ61を、第2感光ドラム51Cおよび第2現像ローラ61Cとも称する。マゼンタに対応した感光ドラム51および現像ローラ61を、第3感光ドラム51Mおよび第3現像ローラ61Mとも称する。イエローに対応した感光ドラム51および現像ローラ61を、第4感光ドラム51Yおよび第4現像ローラ61Yとも称する。なお、本実施形態では、ブラックは第1色、シアンは第2色、マゼンタは第3色、イエローは第4色に相当する。
【0036】
転写ユニット7は、駆動ローラ71と、従動ローラ72と、転写媒体の一例としての搬送ベルト73と、4つの転写ローラ74と、ベルトクリーナBCと、を備えている。搬送ベルト73は、無端状のベルトである。駆動ローラ71および従動ローラ72は、搬送ベルト73を回転させるための部材である。駆動ローラ71は、シートSの搬送方向において、従動ローラ72よりも下流に配置されている。
【0037】
転写ローラ74は、感光ドラム51上の画像をシートSまたは搬送ベルト73に転写させる部材である。転写ローラ74は、搬送ベルト73の内側に配置され、対応する感光ドラム51との間で搬送ベルト73を挟持する。
【0038】
ベルトクリーナBCは、搬送ベルト73上のトナーをクリーニングする機能を有する。ベルトクリーナBCは、搬送ベルト73に対して、感光ドラム51とは反対側に位置する。
【0039】
検出部PSは、搬送ベルト73上に形成される検査用の画像の印字濃度を検出するセンサである。検出部PSは、搬送ベルト73の駆動ローラ71側の端部に対向して配置されている。検出部PSは、LEDなどの発光素子と、フォトトランジスタなどの受光素子とを備えた光反射型のセンサであり、搬送ベルト73上の画像に光を照射して反射光を検出している。
【0040】
定着装置8は、シートSにトナー像を熱定着させる装置である。定着装置8は、シートSを加熱する加熱ローラ81と、加熱ローラ81との間でシートSを挟む加圧ローラ82とを備えている。
【0041】
搬送部9は、主に、定着装置8から排出されたシートSを本体筐体2外に向けて搬送するように構成されている。搬送部9は、搬送ローラ91と、排出ローラ92とを主に備えている。定着装置8から排出されたシートSは、搬送ローラ91により排出ローラ92に搬送され、排出ローラ92によって排出トレイ21に排出される。
【0042】
制御部100は、CPU、ROM、RAMなどを有し、予め用意されたプログラムなどに従い、印刷指令の受信などに応じて様々な処理を実行するように構成されている。
【0043】
制御部100は、図示せぬコンピュータから出力されてくる印字ジョブに基づいて、シートSに画像を形成する印字処理を実行する機能を有している。制御部100は、印字処理において、二値画像である印字用パターン画像に基づいて感光ドラム51を露光する露光処理を実行する。詳しくは、制御部100は、印字処理を実行する際において、シートSに画像を印字する場合には、この画像の印字濃度が所定の目標濃度となるように、異なる露光濃度(階調)の複数の印字用パターン画像の中から1つの印字用パターン画像を選択して露光処理を実行する。印字用パターン画像は、
図2に示すような2値の画像からなっている。露光濃度は、印字用パターン画像において、露光される画素の面積率をいう。
【0044】
ここで、印字濃度とは、現像ローラ61によって現像されたトナー像の濃度であって、検出部PSで検出された濃度をいう。また、目標濃度とは、印字指令で指示されている目標の濃度をいう。制御部100は、例えば、印字指令で指示された目標濃度が20%である場合には、20%の露光濃度の印字用パターン画像を選択し、この印字用パターン画像で露光処理を実行する。ただし、後述する階調設定処理により、目標濃度と露光濃度との関係が変更される。例えば、目標濃度20%に対して露光濃度20%の印字用パターン画像が関連付けられた状態から、目標濃度20%に対して露光濃度10%の印字用パターン画像が関連付けられた状態に変更された場合には、目標濃度20%で画像形成する際、露光濃度10%の印字用パターン画像で露光処理が実行される。
【0045】
制御部100は、前述したように複数の印字用パターン画像の中から目標濃度に対応した1つの印字用パターン画像を選択した後、当該印字用パターン画像を用いて露光・現像を行うことで、感光ドラム51上に目標濃度のトナー像を形成する。
【0046】
なお、複数の印字用パターン画像は、露光濃度に対応し、予め記憶部に記憶されている。また、複数の印字用パターン画像は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのそれぞれの色に対応して、予め記憶部に記憶されている。
【0047】
制御部100は、印字されたトナー像の画質を調整するための画質調整を実行可能となっている。制御部100は、所定条件が満たされた場合に、画質調整を実行する。具体的には、例えば、以下に示す複数の条件のうちいずれか1つの条件が満たされた場合に、制御部100が画質調整を実行する構成とすることができる。
第1条件:現像カートリッジ6または感光ドラム51が新品であること
第2条件:画質調整を行うための指示をユーザから受けたこと
第3条件:温湿度などの環境が前回の画質調整から所定値以上変化したこと
第4条件:画質調整を前回実行したときからの印字枚数が所定枚数以上になったこと
第5条件:シリアルナンバーが異なる現像カートリッジ6が装着されたこと
【0048】
制御部100は、画質調整において、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの色ごとに、補正画像形成処理と、バイアス設定処理と、パターン画像形成処理と、階調設定処理と、を実行する機能を有している。
【0049】
補正画像形成処理は、現像ローラ61に第1現像バイアスを印加した状態で、画像形成部4によって、搬送ベルト73に第1バイアス補正画像を形成した後、第1現像バイアスとは異なる値の第2現像バイアスを現像ローラ61に印加した状態で、画像形成部4によって、搬送ベルト73に第2バイアス補正画像を形成する処理である。ここで、現像バイアスは、図示せぬバイアス印加部によって現像ローラ61に印加するバイアスである。画像形成部4は、バイアス印加部を有している。
【0050】
第1現像バイアスおよび第2現像バイアスは、色ごとに最適な値に設定される。第1現像バイアスは、色ごとに異なる値であってもよいし、複数の色のうち一部または全部について同じ値であってもよい。例えば、ブラックに対応した第1現像バイアスは、イエローに対応した第1現像バイアスと異なる値であってもよいし、同じ値であってもよい。第2現像バイアスについても、同様に、色ごとに異なる値であってもよいし、複数の色のうち一部または全部について同じ値であってもよい。
【0051】
第1バイアス補正画像および第2バイアス補正画像は、ともに所定の露光濃度に対応した印字用パターン画像である。具体的には、第1現像バイアスを用いて、例えば
図2に示す露光密度40%の印字用パターン画像を形成することで、第1バイアス補正画像が形成される。この場合、第2現像バイアスを用いて露光密度40%の印字用パターン画像を形成することで、第2バイアス補正画像が形成される。
【0052】
バイアス設定処理は、第1バイアス補正画像および第2バイアス補正画像を検出部PSで読み取った結果に基づいて、現像バイアスを設定する処理である。制御部100は、バイアス設定処理において、検出部PSで検出した各バイアス補正画像からの反射光の強度を印字濃度に換算し、2種類の印字濃度と2種類の現像バイアスとに基づいて印字濃度が目標濃度になる現像バイアスを算出する。バイアス設定処理で設定される現像バイアスは、色ごとに最適な値に設定される。
【0053】
パターン画像形成処理は、バイアス設定処理で設定された現像バイアスを現像ローラ61に印加した状態で、画像形成部4によって、搬送ベルト73に複数のパターン画像を形成する処理である。ここで、複数のパターン画像は、階調設定処理を行うための階調設定用画像である。具体的に、複数のパターン画像は、複数の露光濃度に対応した複数の印字用パターン画像であり、例えば、露光濃度5%、20%、40%、60%、80%に対応した5種類の印字用パターン画像が用いられる。
【0054】
階調設定処理は、複数のパターン画像を検出部PSで読み取った結果に基づいて、目標濃度と露光濃度との対応関係を設定する処理である。具体的には、制御部100は、階調設定処理において、目標濃度と印字用パターン画像との対応関係を設定することで、目標濃度と、実際に印字されるトナー像の濃度、つまり露光濃度との対応関係が設定される。
【0055】
詳しく説明すると、制御部100は、複数のパターン画像を検出部PSで検出し、各パターン画像からの反射光の強度をそれぞれ印字濃度に換算する。そして、制御部100は、算出した各印字濃度を、それぞれ対応する露光濃度と比較し、比較した印字濃度と露光濃度が異なる場合には、印字濃度と露光濃度の対応関係を補正することで、目標濃度と印字用パターン画像の対応関係を変更する。
【0056】
具体的に、目標濃度と印字用パターン画像(露光濃度)の対応関係は、階調設定処理を過去に1回も行っていない場合には、例えば、
図3に2点鎖線で示すようなデフォルトのガンマテーブルとなっている。なお、以下の説明では、目標濃度と印字用パターン画像の対応関係を、「ガンマテーブル」とも称する。
【0057】
ガンマテーブルは、所定の目標濃度で印字する場合において、所定の目標濃度に対応した所定の露光濃度の印字用パターンを選択するためのテーブルである。2点鎖線で示すガンマテーブル、つまりデフォルトのガンマテーブルは、目標濃度と露光濃度とが同じ値となっている。
【0058】
階調設定処理において、例えば、図に黒丸で示すように、露光濃度20%に対応した印字用パターン画像を検出部PSで検出した際に、その画像の印字濃度が10%となってしまった場合には、制御部100は、印字用パターン画像を目標濃度10%に対応するパターン画像として記憶し直す。つまり、次回の印字制御において、目標濃度10%で画像形成する場合には、露光濃度20%に対応した第1印字用パターン画像で画像形成を行えば、印字濃度が10%になるため、制御部100は、目標濃度10%に対して露光濃度20%の印字用パターン画像を関連付ける。
【0059】
また、このときの階調設定処理において、露光濃度40%の印字用パターン画像が検出部PSで検出されたときの印字濃度が40%である場合、つまり目標濃度、露光濃度および印字濃度が一致する場合には、図に破線で示すように、目標濃度と露光濃度の関係を線形補間する。これにより、例えば、次回の印字制御において、目標濃度20%で画像を形成する場合には、目標濃度20%のラインと図の破線との交点に相当する露光濃度Xに対応した印字用パターン画像が選択される。なお、このときのガンマテーブルは、デフォルトのガンマテーブル(2点鎖線)のうち露光濃度40%未満のラインが図の破線のラインに置き換えられたようなテーブルとなる。つまり、図に示す黒丸と露光濃度40%に対応する白丸との間を破線の直線で示すように補う。
【0060】
図4に示すように、制御部100は、補正画像形成処理において、複数色の第1バイアス補正画像K1,C1,M1,Y1および複数色の第2バイアス補正画像K2,C2,M2,Y2からなる第1画像群G1を形成する。制御部100は、パターン画像形成処理において、複数色のパターン画像Kγ1~Kγ5,Cγ1~Cγ5,Mγ1~Mγ5,Yγ1~Yγ5からなる第2画像群G2を形成する。第1バイアス補正画像K1~Y1、第2バイアス補正画像K2~Y2、および、パターン画像Kγ1~Yγ5の搬送ベルト73上での順序は、補正画像形成処理の開始からパターン画像形成処理の終了までの時間が可能な限り短い時間となるように、図に示す順に設定されている。詳しくは、搬送ベルト73上での検査用の画像の順序が図に示す順序となるように、露光の順序が決められている。露光の順序は、図示せぬ記憶部に記憶されている。なお、
図4では、各画像を簡略化して示している。
【0061】
検査用の各画像は、互いに間隔を空けて移動方向に並んでいる。詳しくは、第1バイアス補正画像K1~Y1および第2バイアス補正画像K2~Y2は、それぞれ第1ピッチLp1で配置されている。複数のパターン画像Kγ1~Yγ5のうち隣接する2つのパターン画像(例えば、Kγ1,Kγ2)は、第2ピッチLp2で配置されている。
【0062】
ここで、各画像の移動方向の長さは、検出部PSの読取点数(読み取る位置の数)に応じて設定される。例えば、バイアス設定処理での読取点数が第1所定数である場合、第1画像群G1を構成する各画像の移動方向の長さは、第1所定数に対応した第1長さに設定される。階調設定処理での読取点数が、第1所定数よりも少ない第2所定数である場合には、第2画像群G2を構成する各画像の移動方向の長さは、第2所定数に対応した第2長さであって、第1長さよりも小さな第2長さに設定される。各画像の間隔は、色ずれのばらつきやトナー消費量の低減などを考慮して、設定される。
【0063】
各バイアス補正画像は、移動方向における先頭から順に、K1,Y1,M1,K2,C1,Y2,M2,C2の順で並ぶように設定されている。制御部100は、前述した順でバイアス補正画像が並ぶように、補正画像形成処理を実行する。
【0064】
各パターン画像は、移動方向における先頭から順に、Kγ1,Kγ2,Kγ3,Kγ4,Kγ5,Cγ1,Cγ2,Mγ1,Mγ2,Cγ3,Yγ1,Yγ2,Mγ3,Cγ4,Yγ3,Mγ4,Mγ5,Cγ5,Yγ4,Yγ5の順で並ぶように設定されている。パターン画像Kγ3は、パターン画像約二個分の間隔を空けて、パターン画像Kγ2の後に配置されている。詳しくは、パターン画像Kγ3は、パターン画像Kγ2に対して、3×Lp2の大きさのピッチで配置されている。なお、2つの画像の間隔を、ピッチに言い直す表現は、その他の画像でも同様であるため、以下の説明では省略する。
【0065】
パターン画像Kγ5は、パターン画像約二個分の間隔を空けて、パターン画像Kγ4の後に配置されている。パターン画像Cγ1は、パターン画像約一個分の間隔を空けて、パターン画像Kγ5の後に配置されている。パターン画像Mγ1は、パターン画像約一個分の間隔を空けて、パターン画像Cγ2の後に配置されている。移動方向における最も前方のパターン画像Kγ1は、パターン画像約三個分の間隔を空けて、第2バイアス補正画像C2の後に配置されている。移動方向における、最も前方の第1バイアス補正画像K1の前端から、最も後方のパターン画像Yγ5の後端までの距離は、搬送ベルト73の周長よりも小さい。
【0066】
検査用の画像の順序は、以下の条件を満たすように決定されている。なお、以下の説明では、検査用の画像を、パッチGpとも称する。
<第1画像群G1について>
1.同じ色のパッチGpを、2×Lp1以上の間隔を空けて配置すること。
2.同じ色のパッチGpの間隔を、5×Lp1の間隔としないこと。
【0067】
1の条件は、現像バイアスを第1現像バイアスから第2現像バイアスへ切り替えるのに必要な時間を確保するとともに、現像ローラ61上の同じ箇所で現像を連続して行わないための条件である。本実施形態では、現像バイアスを第1現像バイアスから第2現像バイアスへ切り替えるのに必要な時間は、搬送ベルト73が第1ピッチLp1だけ移動した時間と略等しいこととする。そのため、現像バイアスの切替の条件を考慮すると、同じ色のパッチGpの間隔は、第1ピッチLp1以上の間隔にする必要がある。
【0068】
現像ローラ61上の同じ箇所で現像を連続して行う場合には、形成されたパッチGpが不鮮明になるおそれがある。以下、この現象について、
図5を参照して、説明する。なお、1つのパッチGpの移動方向の長さは、現像ローラ61の周長の約1/2、かつ、感光ドラム51の周長の約1/6として説明する。
【0069】
図5(a),(b)に示すように、感光ドラム51の感光面の第1範囲R1を露光すると、現像ローラ61の第2範囲R2に位置するトナーが第1範囲R1に移って、感光ドラム51の第1範囲R1にパッチGpが形成される。
図5(c)に示すように、現像ローラ61が、
図5(b)の位置から半回転して、第2範囲R2が、感光ドラム51と現像ローラ61との接点である現像ニップ位置Pnに再度到達した場合には、第2範囲R2上のトナーの量が少なくなっていることがある。このときに、第2範囲R2上のトナーを感光ドラム51に移してパッチGpを形成すると、パッチGpが不鮮明になるおそれがある。そのため、2つの同じ色のパッチGpが第1ピッチLp1の間隔を空けて並ばないように、同じ色のパッチGpは、2×Lp1以上の間隔を空けて配置する必要がある。
【0070】
2の条件は、感光ドラム51の所定箇所を露光した後、感光ドラム51がちょうど一回転したときに当該所定箇所を再度露光する場合において、前回の露光の影響が所定箇所に残ることにより静電潜像の形成不良が生じるのを防ぐための条件である。以下、この現象について、
図5を参照して、説明する。
図5(d)に示すように、感光ドラム51の露光された範囲である第1範囲R1は、除電ランプ54を通過するときに除電されるが、前回の露光の影響が残ることがある。このような露光の影響が残った状態の第1範囲R1を再度露光すると、静電潜像の形成不良が生じるおそれがある。そのため、同じ色のパッチGpの間隔を、5×Lp1の間隔にしない必要がある。
【0071】
<第2画像群G2について>
第2画像群G2の各パターン画像の順序は、前述した1,2の条件に加え、以下の条件を満たすように設定されている。
3.ある色の第2バイアス補正画像(例えばK2)の後端から、その色の最も先頭のパターン画像(例えばKγ1)までの距離は、所定距離La以上にすること。
La = Lb + Lc
Lb:パッチGpが、現像ニップ位置Pnから検出部PSでの読取位置Pr(
図6参照)まで移動する距離
Lc = 第2バイアス補正画像を読み取ってから、現像バイアスを、バイアス設定処理によって設定した現像バイアスに切り替えるまでの時間に、パッチGpが移動する距離
【0072】
距離Lbは、色ごとに異なる。具体的には、ブラックに対応した距離LbK(
図6(a)参照)が、最も小さく、シアンに対応した距離LbCが2番目に小さい。マゼンタに対応した距離LbMが3番目に小さく、イエローに対応した距離LbYが最も大きい。
【0073】
距離Lcは、各色で同じ大きさである。なお、距離Lcは、色ごとに多少異なっていてもよい。
【0074】
以上により、ブラックに対応した所定距離LaKが最も小さく、シアンに対応した所定距離LaCが2番目に小さい。マゼンタに対応した所定距離LaMが3番目に小さく、イエローに対応した所定距離LaYが最も大きい。
【0075】
図4に示すように、最も小さな所定距離LaKに対応したブラックのパターン画像Kγ1~Kγ5の形成を他の色の画像よりも早く開始できるように、第1バイアス補正画像K1が移動方向の先頭に配置されるとともに、第1バイアス補正画像K1と第2バイアス補正画像K2の間隔が、最短の2×Lp1となるように第2バイアス補正画像K2が配置されている。なお、以下の説明では、各画像の名称を省略し、符号のみで記載する場合がある。
【0076】
最も大きな所定距離LaYに対応したイエローのパターン画像Yγ1~Yγ5の形成の完了タイミングを早くするために、K1の直後にY1が配置されるとともに、Y2が、M2,C2よりも前に配置されている。なお、C1とY2の順番を逆にして、Y1,Y2間の間隔を、最短の2×Lp1とすることも考えられるが、この場合、C1,C2の間隔を2×Lp1にしなければならないことから、M2とC2の間にブランク(画像を形成しない領域)が生じて、第1画像群G1の長さが大きくなる。そのため、図のような配置にするのが好ましい。
【0077】
Y2,M2,C2は、所定距離Laの大きい順に前から並んでいる。これにより、ブランクの数を最小にすることが可能となっている。
【0078】
K2の後端からKγ1の前端までの距離は、所定距離LaK以上である。
Y2の後端からYγ1の前端までの距離は、所定距離LaY以上である。
M2の後端からMγ1の前端までの距離は、所定距離LaM以上である。
C2の後端からCγ1の前端までの距離は、所定距離LaC以上である。
本実施例では、第2バイアス補正画像(例えばK2)の後端から、その色の最も先頭のパターン画像(例えばKγ1)の前端までの距離と、その色における所定距離(例えばLaK)の差は、M、CよりもK、Yの方が小さい。これにより、搬送ベルト73上に形成される第1画像群G1の前端から第2画像群G2の後端までの全体の長さを短くすることが可能となっている。
【0079】
以上のように画像の順序が決められていることで、制御部100は、補正画像形成処理を、K,Y,M,Cの順で開始し、K,Y,M,Cの順で終了させる。また、制御部100は、バイアス設定処理を、K,Y,M,Cの順で開始し、K,Y,M,Cの順で終了させる。また、制御部100は、パターン画像形成処理を、K,C,M,Yの順で開始し、K,M,C,Yの順で終了させる。
【0080】
次に、制御部100による第1画像群G1の形成方法について説明する。なお、第2画像群G2の形成方法は、第1画像群G1の形成方法と同様であるため、説明は省略する。
【0081】
制御部100は、補正画像形成処理を実行する場合には、記憶部に記憶された露光の順序に従って各感光ドラム51を露光する。これにより、
図6(a)に示すように、搬送ベルト73上には、まず、Y1が形成される。
【0082】
その後、
図6(b)に示すように、Y1から3×Lp1だけ後ろに離れた位置に、Y2が形成される。その後、
図6(c)に示すように、Y1の後ろに、第1ピッチLp1でM1が形成される。
【0083】
その後、
図7(a)に示すように、Y2の後ろに、第1ピッチLp1でM2が形成される。その後、
図7(b)に示すように、Y1の前に、第1ピッチLp1でK1が形成されるとともに、Y2の前に、第1ピッチLp1でC1が形成される。その後、
図7(c)に示すように、M1の後ろに第1ピッチLp1でK2が形成され、M2の後ろに第1ピッチLp1でC2が形成される。
【0084】
以上によれば、本実施形態において以下のような効果を得ることができる。
ブラックについてのバイアス設定処理を早く終わらせることができるので、ブラックについてのパターン画像形成処理の開始を早めることができ、その結果、すべての色における最初の補正画像形成処理の開始から最後のパターン画像形成処理の終了までの時間を短縮することができる。
【0085】
移動方向において、ブラックの第2バイアス補正画像K2が、シアンの第1バイアス補正画像C1よりも前に位置することで、ブラックについてのバイアス設定処理をより早く終わらせることができるので、すべての色における最初の補正画像形成処理の開始から最後のパターン画像形成処理の終了までの時間をより短縮することができる。
【0086】
イエローの第2バイアス補正画像Y2が、移動方向において、マゼンタ、シアンの第2バイアス補正画像M2,C2よりも前に位置することで、イエローについてのバイアス設定処理を早く終わらせることができるので、イエローについてのパターン画像形成処理の開始を早めることができ、その結果、すべての色における最初の補正画像形成処理の開始から最後のパターン画像形成処理の終了までの時間を短縮することができる。
【0087】
移動方向における、最も前方の第1バイアス補正画像K1の前端から、最も後方のパターン画像Yγ5の後端までの距離を、搬送ベルト73の周長よりも小さくすることで、バイアス設定処理とパターン画像形成処理の間に、搬送ベルト73を1回転以上回転させるベルトクリーニング処理を行う必要がないので、すべての色における最初の補正画像形成処理の開始から最後のパターン画像形成処理の終了までの時間を短縮することができる。なお、従来のベルトクリーニング処理では、搬送ベルト73を2回転させているため、この従来技術に比べ、大幅な時間短縮が可能となっている。
【0088】
なお、本発明は前記実施形態に限定されることなく、以下に例示するように様々な形態で利用できる。以下の説明においては、前記実施形態と略同様の構造となる部材には同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0089】
パターン画像は、前記実施形態のような階調設定用画像に限らない。例えば、
図8に示すように、パターン画像は、画像の位置ずれを補正するための位置ずれ補正画像Kp1,Yp1,Mp1,Cp1,Kp2,Yp2,Mp2,Cp2であってもよい。具体的に、第1の位置ずれ補正画像Kp1,Yp1,Mp1,Cp1は、所定方向に延びている。ここで、所定方向は、搬送ベルト73の幅方向に対して傾斜した方向であってもよいし、平行な方向であってもよい。
【0090】
第2の位置ずれ補正画像Kp2,Yp2,Mp2,Cp2は、所定方向に対して傾斜している。そして、位置ずれ補正画像Kp1,Yp1,Mp1,Cp1,Kp2,Yp2,Mp2,Cp2からなる画像群G11は、移動方向に複数並べられている。このような形態でも、すべての色における最初の補正画像形成処理の開始から最後のパターン画像形成処理の終了までの時間を短縮することができる。
【0091】
各画像の順序は、前記実施形態に限定されない。第1色の第2バイアス補正画像は、第2色、第3色および第4色のうち2つの色の第1バイアス補正画像の間に位置していればよい。例えば、前記実施形態において、K2を、Y1とM1の間に配置してもよい。
【0092】
また、第1画像群の最も前方に位置する第1バイアス補正画像の色と、第2画像群の最も前方に位置するパターン画像の色とが、第1色であり、かつ、第1画像群の最も後方に位置する第2バイアス補正画像の色と、第2画像群の最も後方に位置するパターン画像の色とが異なっていればよい。例えば、前記実施形態において、第1画像群G1の最も後方に位置する第2バイアス補正画像の色をマゼンタとし、第2画像群G2の最も後方に位置するパターン画像の色をイエローとしてもよい。
【0093】
また、移動方向において、第1色の第2バイアス補正画像は、第2色、第3色および第4色のうち1つの色の第1バイアス補正画像よりも前に位置していればよい。例えば、前記実施形態において、K2が、M2よりも前に位置していてもよい。
【0094】
また、第4色の第2バイアス補正画像は、移動方向において、第2色および第3色のうち少なくとも1つの色の第2バイアス補正画像よりも前に位置していればよい。例えば、前記実施形態において、Y2が、M2とC2の間に位置していてもよい。
【0095】
また、第4色の第1バイアス補正画像は、移動方向において、第2色および第3色のうち少なくとも1つの色の第1バイアス補正画像よりも前に位置していればよい。例えば、前記実施形態において、Y1が、M1とK2の間に位置していてもよい。
【0096】
所定の色についての第1現像バイアスと、所定の色とは異なる色についての第1現像バイアスは、同じ値であってもよいし、異なる値であってもよい。所定の色についての第2現像バイアスと、所定の色とは異なる色についての第2現像バイアスは、同じ値であってもよいし、異なる値であってもよい。
【0097】
第1バイアス補正画像と第2バイアス補正画像に加え、第1バイアス補正画像と第2バイアス補正画像の間に第3バイアス補正画像も形成し、これら3つのバイアス補正画像を用いて現像バイアスを補正する構成としてもよい。
【0098】
転写媒体は、用紙などのシートであってもよい。ベルトは、中間転写ベルトであってもよい。
【0099】
前記実施形態では、カラープリンタ1に本発明を適用したが、本発明はこれに限定されず、その他の画像形成装置、例えば複写機や複合機などに本発明を適用してもよい。
前記実施形態では、カラープリンタ1は感光ドラムをレーザースキャナで露光しているが、露光装置として、例えばLED露光ヘッドなど他の露光装置を用いてもよい。
また、カラープリンタ1の第1感光ドラム、第2感光ドラム、第3感光ドラム、第4感光ドラムが1つのカートリッジに支持されていてもよいし、個別のカートリッジに支持されていてもよい。
【0100】
前記した実施形態および変形例で説明した各要素を、任意に組み合わせて実施してもよい。
【符号の説明】
【0101】
1 カラープリンタ
4 画像形成部
51 感光ドラム
51K 第1感光ドラム
51C 第2感光ドラム
51M 第3感光ドラム
51Y 第4感光ドラム
61 現像ローラ
73 搬送ベルト
100 制御部
K1 第1バイアス補正画像
C1 第1バイアス補正画像
M1 第1バイアス補正画像
Y1 第1バイアス補正画像
K2 第2バイアス補正画像
Kγ1~Yγ5 パターン画像
PS 検出部