(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022190718
(43)【公開日】2022-12-27
(54)【発明の名称】炊飯器
(51)【国際特許分類】
A47J 27/00 20060101AFI20221220BHJP
【FI】
A47J27/00 103B
A47J27/00 103N
A47J27/00 103H
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021099100
(22)【出願日】2021-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】野仲 茂
【テーマコード(参考)】
4B055
【Fターム(参考)】
4B055AA02
4B055BA03
4B055BA57
4B055CA01
4B055CB02
4B055FB32
(57)【要約】
【課題】成形性や外観を損なうことなく、PPで本体上枠を作ることができ、繰り返し使用による熱収縮が生じず、蒸気漏れが生じにくい炊飯器を提供する。
【解決手段】フック掛け部を補強するフック補強部材8aと、ヒンジ部を補強するヒンジ補強部材9aと、を備え、本体上枠1の裏側に、フック補強部材8aからヒンジ補強部材9aまでをつなぐ樹脂製補強部材20,20を備えた。樹脂製補強部材20は、本体上枠1の上面開口部1aを挟んで左右に一対設けられている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体上枠と、
前記本体上枠の前部に配置されるフック掛け部と、
前記本体上枠の後部に配置されるヒンジ部と、
前記本体上枠の上面開口部を覆うフタと、
前記フタの外側を覆う外蓋と、
前記フタの前方に配置され、前記フック掛け部に掛止されるフック部と、
前記フタの外蓋側に配置されるフタ補強部品と、
前記フック掛け部を補強するフック補強部材と、
前記ヒンジ部を補強するヒンジ補強部材と、
前記本体上枠内に着脱自在に収納される内鍋と、
前記内鍋の上面開口を覆う内蓋と、
前記内鍋の外側を囲う保護枠と、
前記保護枠の外側底面部に配置される加熱手段と、を備え、
前記本体上枠の裏側に、前記フック補強部材から前記ヒンジ補強部材までをつなぐ樹脂製補強部材を備えたことを特徴とする炊飯器。
【請求項2】
請求項1に記載の炊飯器において、
前記樹脂製補強部材は、PBT(プリブチレンテレフタレート)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)またはPET(ポリエチレンテレフタレート)から選択されることを特徴とする炊飯器。
【請求項3】
請求項2に記載の炊飯器において、
前記樹脂製補強部材におけるガラス配合率は、15質量%以上であることを特徴とする炊飯器。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の炊飯器において、
前記樹脂製補強部材は、前記上面開口部を挟んで左右に一対備え、
それぞれの前記樹脂製補強部材は、前記フック補強部材と前記ヒンジ補強部材に固定されることを特徴とする炊飯器。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の炊飯器において、
前記本体上枠には、当該本体上枠から突出するねじ固定用のボスが形成され、
前記樹脂製補強部材には、前記ボスが嵌合する嵌合孔が形成されていることを特徴とする炊飯器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炊飯器に関する。
【背景技術】
【0002】
炊飯器では、本体上部に別部品で設けられる本体上枠に、一般的にPP等の樹脂が用いられている場合が多い。このため、本体上枠は、炊飯器として繰り返し使用することによる熱収縮を起こしやすく、徐々に寸法が小さくなっていくことがある(例えば、全長で1mm程度)。
【0003】
一方、従来からフタもPP等の樹脂が用いられているが、圧力炊飯器の場合、金属製のフタ補強部品がネジで固定されている(特許文献1参照)。このため、繰り返し使用による熱収縮の影響によるフタの寸法変化は無視できるレベルである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の炊飯器では、本体の上枠の寸法は小さくなっていくが、フタは寸法が変化しないことにより、内鍋を密閉している内蓋のシールパッキンの接触が弱くなり、炊飯中に蒸気が漏れるといった不具合を起こすことがある。これを防止するため、本体上枠にはタルクを配合したPP(ポリプロピレン)を使用したり、またはガラス配合のPBT等を使用したり、本体上枠の裏側に金属製の補強を入れたりする方法がある。しかしながら、PPにタルクを配合しても繰り返し使用による収縮を完全に抑えることはできず、また、ガラス配合のPBT等を使用すると、寸法精度がよく、繰り返し使用による熱収縮も生じにくいが、PPと比較し成形条件の調整が難しく成形性がよいとは言えない。また、ガラス配合のPBT等を使用すると、表面にガラス浮きが生じ外観不具合となることがある。さらに、金属製の補強を入れる場合には、補強部品自体が高価になってしまうこと、形状の自由度が低いといった課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、本体上枠と、前記本体上枠の前部に配置されるフック掛け部と、前記本体上枠の後部に配置されるヒンジ部と、前記本体上枠の上面開口部を覆うフタと、前記フタの外側を覆う外蓋と、前記フタの前方に配置され、前記フック掛け部に掛止されるフック部と、前記フタの外蓋側に配置されるフタ補強部品と、前記フック掛け部を補強するフック補強部材と、前記ヒンジ部を補強するヒンジ補強部材と、前記本体上枠内に着脱自在に収納される内鍋と、前記内鍋の上面開口を覆う内蓋と、前記内鍋の外側を囲う保護枠と、前記保護枠の外側底面部に配置される加熱手段と、を備え、前記本体上枠の裏側に、前記フック補強部材から前記ヒンジ補強部材までをつなぐ樹脂製補強部材を備えたことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の実施形態に係る炊飯器の分解斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る炊飯器の縦断面図である。
【
図3】本体上枠を裏側から見たときの斜視図である。
【
図4】本体上枠から樹脂製補強部材を分離した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を実施するための形態(以下「実施形態」という)について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、
図1に示す方向を基準として説明する。
【0009】
図1は、本発明の実施形態に係る炊飯器の分解斜視図である。
図1に示すように、炊飯器100は、本体上枠1、本体ケース2、内鍋(内釜)3、内蓋4、フタ5、外蓋6などを備えて構成されている。なお、
図1では、内鍋3が本体上枠1に取り付けられた状態を示している。
【0010】
本体上枠1は、内鍋3が抜き差しされる上面開口部1aが形成された上面枠部1bが形成されている。また、本体上枠1は、上面枠部1bの外周縁部から鉛直方向下方に向けて延びる略四角筒状の外周枠部1cが形成されている。なお、本体上枠1は、PP(ポリプロピレン)樹脂によって形成されている。
【0011】
また、本体上枠1の手前(前側)には、操作部および表示部を備えた操作パネル部7が設けられている。また、本体上枠1には、上面開口部1aより前側にフック掛け部8が設けられている。また、本体上枠1には、上面開口部1aより後側にヒンジ部9が設けられている。フック掛け部8とヒンジ部9は、いずれも鉄などの金属製である。
【0012】
本体上枠1の下部には、上面が開口した凹状の保護枠11が設けられている。この保護枠11内には内鍋3が着脱自在に収納される。
【0013】
本体ケース2は、本体上枠1よりも下側の外郭を構成するものであり、上面が開口した開口部2aを有している。この開口部2aに対して本体上枠1の外周枠部1cが本体ケース2の内側に位置するように挿入され、本体上枠1と本体ケース2とがねじ固定されるようになっている。
【0014】
保護枠11の外側底面側には、内鍋3の底面部を誘導加熱する加熱手段12が設けられている。
【0015】
本体上枠1の上面開口部1aには、該上面開口部1aを覆う形状のフタ(蓋)5が設けられている。このフタ5の外側には、該フタ5を覆うように外蓋6が取り付けられる。外蓋6は、外側の蓋の外郭を構成するものである。
【0016】
フタ5の前部には、本体上枠1のフック掛け部8と係合してフタ5(外蓋6を含む)のロックとロック解除を行うフタフック部5a(フック部)が設けられている。また、フタ5には、外蓋6側の面に、金属製のフタ補強部材5b(フタ補強部品)がネジで固定されている。また、本体上枠1の前部裏側には、フック補強部材8a(
図5参照)が設けられている。
【0017】
フタ5の下面側には、内蓋4が着脱自在に取り付けられるようになっている。この内蓋4の上面中央には、調圧手段10が設けられている。また、内蓋4の下面には、内鍋3の開口縁部に当接して、内鍋3を内蓋4によって密閉するパッキン4aが設けられている。
【0018】
本体上枠1の後部裏側には、フタ5の開閉を行うヒンジ部9が設けられている。このヒンジ部9には、ヒンジ補強部材9a(
図6参照)が設けられている。
【0019】
図2は、本発明の実施形態に係る炊飯器の縦断面図である。なお、
図2は、内鍋3を収納し、外蓋6(フタ5を含む)を閉じた状態である。
図2に示すように、調圧手段10は、鋼球10aを備え、内蓋4を貫通し、内鍋3側で発生した蒸気を通し圧力を調整する機能を有する。また、フタ5には、蓋加熱手段13が設けられ、フタ5に近接した内蓋4を加熱するものである。
【0020】
また、保護枠11の底部には、内鍋3の底面の温度を検知する温度センサ14が設けられている。本体ケース2内には、内鍋3の前方内部に制御回路15が設けられている。この制御回路15は、温度センサ14からの温度情報に基づいて加熱手段12、蓋加熱手段13の通電状態を制御する。
【0021】
図3は、本体上枠を裏側から見たときの斜視図である。なお、
図3は、本体上枠1に内蓋4が取り付けられた状態である。
図3に示すように、本体上枠1の裏側には、フック掛け部8を補強するフック補強部材8aと、ヒンジ部9を補強するヒンジ補強部材9aとが設けられている。フック補強部材8aは、鉄などの金属製であり、本体上枠1を間に挟んでフック掛け部8にねじ固定されている。ヒンジ補強部材9aは、鉄などの金属製であり、本体上枠1を間に挟んでヒンジ部9にねじ固定されている。
【0022】
また、本体上枠1の裏面からは、ねじ固定用のボス1dが複数個所(本実施形態では4か所)から突出して形成されている。これらボス1dは、本体ケース2に向けて鉛直方向下方に向けて突出している。また、ボス1dは、本体上枠1を本体ケース2に取り付けたときに、保護枠11の固定部にねじ固定されるようになっている。
【0023】
また、本体上枠1の裏側には、本体上枠1を補強するための樹脂製補強部材20,20が設けられている。この樹脂製補強部材20は、本体上枠1の収縮を抑えるものであり、PBT(Poly Butylene Terephthalate)、PPS(Poly Phenylene Sulfide)樹脂、PET(polyethylene terephthalate)樹脂などから選択することができる。また、樹脂製補強部材20は、前記した樹脂にガラスの成分が配合されたものであり、樹脂製補強部材20の強度が高められている。また、樹脂強化に用いるガラスは、例えば、1~7mm程度の繊維状のものである。また、そのときのガラスの配合率は、15質量%以上とすることが好ましい。特に、樹脂製補強部材20にとしてPBTを用いると、成型性と外観の点において好ましい。
【0024】
図4は、本体上枠から樹脂製補強部材を分離した状態を示す斜視図である。
図4に示すように、樹脂製補強部材20は、本体上枠1に形成された上面開口部1aの左右両側に位置するように設けられている。また、樹脂製補強部材20は、略弓形状を呈し、外径側が前後方向に沿って形成される直線部20aと、内径側が上面開口部1aの曲面に沿って形成される湾曲部20bと、を有している。また、樹脂製補強部材20は、前後方向の中央が最も幅狭に形成され、中央から前後方向に向かうにつれて幅広になるように構成されている。
【0025】
また、樹脂製補強部材20の前端には、該樹脂製補強部材20の前端をフック補強部材8aにねじ固定するための固定部20cが形成されている。また、樹脂製補強部材20の後端には、該樹脂製補強部材20の後端をヒンジ補強部材9aにねじ固定するための固定部20dが形成されている。固定部20c,20dには、ねじ(不図示)が挿通されるねじ挿通孔が形成されている。なお、左側の樹脂製補強部材20と右側の樹脂製補強部材20は、左右対称な形状である。また、樹脂製補強部材20の外周縁部には、補強用のリブ20gが外周縁部の全体に沿って形成されている。
【0026】
また、樹脂製補強部材20の固定部20cの近傍には、前記したボス1dが挿通される貫通孔20eが形成されている。また、樹脂製補強部材20の固定部20dの近傍には、前記したボス1dが挿通される円形の貫通孔20fが形成されている。
【0027】
このように構成された樹脂製補強部材20は、本体上枠1の裏側に配置されるように装着される。すなわち、2つの貫通孔20eと2つの貫通孔20fのそれぞれにボス1dが挿通され、固定部20cがフック補強部材8aに当接し、固定部20dがヒンジ補強部材9aに当接するようにして位置決めされる。そして、ねじ(不図示)を固定部20cのねじ挿通孔に挿通し、フック補強部材8aにねじ込むことで、固定部20cがフック補強部材8aに固定される。また、ねじ(不図示)を固定部20dのねじ挿通孔に挿通し、ヒンジ補強部材9aにねじ込むことで、固定部20dがヒンジ補強部材9aに固定される。つまり、樹脂製補強部材20は、フック掛け部8を補強するフック補強部材8aと、ヒンジ部9を補強するヒンジ補強部材9aとをつなぐように接続される。また、樹脂製補強部材20は、本体上枠1の裏側に配置されるので、利用者(ユーザ)が炊飯器100の外側から視認できないようになっている。
【0028】
例えば、PBTにガラスを15質量%配合した場合、成形時の収縮率も約0.2~0.6%と小さく(PPの場合、約1.5~2.0%)、その後の繰り返し使用による熱収縮も炊飯中の本体上枠1の温度(100℃以下)ではほとんど生じない。このような樹脂製補強部材20をフック補強部材8aとヒンジ補強部材9aとをつなぐようにネジで固定しておくことで、本体上枠1の熱収縮を抑えることができる。また、ガラスの配合率を15質量%以上とするのは、市場での流通量が多く入手しやすいこと、本体上枠1自体をガラス配合率15質量%のPBTで成形している炊飯器があり、実績があることが挙げられる。PBT以外の樹脂でも当然可能であり、前記したPPS、PETなどを適用してもよい。特に、PBT樹脂は、成型性と外観性の点において良好である。
【0029】
図5は、
図2のフック部側の拡大断面図、
図6は、
図2のフック部側の断面斜視図である。なお、
図5および
図6は、内鍋3が収納され、外蓋6(フタ5を含む)が閉じた状態である。
図5に示すように、フタフック部5aは、金属製のものであり、鉛直方向下方に延びる板部5a1と、この板部5a1の下端から後方に向けて曲がる曲げ部5a2と、を有している。また、フタフック部5aは、フタ5に回動自在に支持されている。本体上枠1に設けられたフック掛け部8は、金属製のものであり、前後方向に延びて形成され、本体上枠1に固定されている。
【0030】
また、フック掛け部8の上部には、曲げ部5a2が当接して、フタフック部5aを回動させるテーパ部1tが形成されている。フタ5(外蓋6を含む)を閉じる際、曲げ部5a2がテーパ部1tに当接して摺動することで、フタフック部5aが回動する。そして、フタ5がさらに押し込まれて、曲げ部5a2がテーパ部1tおよびフック掛け部8を超えることで、フタフック部5aが弾性復帰する。これにより、フック掛け部8と曲げ部5a2とが上下で重なり合い、フタフック部5aがフック掛け部8に掛止される。
【0031】
図6に示すように、本体上枠1の裏側には、フック補強部材8aが設けられている。フック掛け部8とフック補強部材8aとの間には、樹脂製の本体上枠1が位置している。本体上枠1には、ねじ挿通部1eが形成され、フック補強部材8aの側からねじ30が挿入され、ねじ挿通部1eを通して、フック掛け部8にねじ込まれることで、フック補強部材8aがフック掛け部8に固定される。このように、フック掛け部8とフック補強部材8aのように金属同士で固定されることで、圧力炊飯器のように、内鍋3の圧力を高くして炊き上げるものにおいて炊飯時に蓋(フタ5、外蓋6、内蓋4)が不用意に開くのを防止できる。
【0032】
図7は、
図2のヒンジ部側の拡大断面図である。
図8は、
図2のヒンジ部側の断面斜視図である。なお、
図7および
図8は、内鍋3が収納され、フタ5(外蓋6を含む)が閉じた状態である。
図7および
図8に示すように、本体上枠1の裏側には、ヒンジ補強部材9aが設けられている。また、ヒンジ補強部材9aは、ヒンジ部9の軸を支持している。また、ヒンジ補強部材9aは、本体上枠1を挟んでヒンジ部9にねじ固定されている。
【0033】
このように構成された炊飯器100では、まず、使用者が内鍋3に適量の米を入れて洗米する。次に水量を測定し適量の水を入れ、内鍋3を装着して外蓋6(フタ5)を閉めると、内鍋3の上部を内蓋4が塞ぎ、内鍋3が密閉された空間となる。その後、使用者が炊飯操作を実行すると、炊飯が開始される。炊飯プログラムに従って、温度センサ14(
図2参照)の温度情報を基に炊飯量に応じて加熱手段12と蓋加熱手段13を制御して内鍋3が加熱される。やがて、内鍋3内が沸騰すると、調圧手段10によって調圧機能が働き、調圧手段10を通った蒸気は炊飯器100の外部に噴出し蒸気量を調整することで、内鍋3の内部を一定の圧力に保つ。そして、蒸らし、保温へと進行し、炊飯は終了する。上記の炊飯動作により、炊飯器100の各部は温度上昇し、炊飯動作が終わると各部の温度は室温まで冷却されるというサイクルを繰り返す。このとき、ガラスを配合した収縮率の小さい樹脂製補強部材20を本体上枠1の裏側に装着していることにより、本体上枠1の熱収縮を抑えることができ、パッキン4aによる内鍋3の密閉を保つことにより、炊飯中の蒸気漏れを防ぐことができる。
【0034】
以上説明したように、本実施形態の炊飯器100は、本体ケース2の上部に配置される本体上枠1と、本体上枠1の前部に配置されるフック掛け部8と、本体上枠1の後部に配置されるヒンジ部9と、本体上枠1の上面開口部1aを覆うフタ5と、フタ5の外側を覆う外蓋6と、を有する。また、炊飯器100は、フタ5の前方に配置され、フック掛け部8に掛止されるフタフック部5aと、フタ5の外蓋6側に配置されるフタ補強部材5bと、本体上枠1内に着脱自在に収納される内鍋3と、内鍋3の上面開口3aを覆う内蓋4と、内鍋3の外側を囲う保護枠11と、保護枠11の外側底面部に配置される加熱手段12と、を備える。本体上枠1の裏側に、フック補強部材8aからヒンジ補強部材9aまでをつなぐ樹脂製補強部材20を備えたものである。これによれば、樹脂製補強部材20をフック補強部材8aとヒンジ補強部材9aとをつなぐように固定することで、本体上枠1の熱収縮を抑えることができる。さらに、樹脂製補強部材20を本体上枠1の裏側に配置することで、成形時に樹脂製補強部材にガラス浮きなどの外観不良が生じたとしても、ユーザから視認できない位置に配置されるので、外観不具合となるのを防止できる。さらに、金属製の補強部材を設ける必要がないので、重量増加を防止でき、形状の自由度を増すことができる。このように、本実施形態によれば、ガラス浮き等で外観不具合を生じることなく、また、高価な金属製の補強を用いることなく、安価な方法で炊飯中の蒸気漏れを防止した炊飯器100を提供できる。
【0035】
また、本実施形態において、樹脂製補強部材20は、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)またはPET(ポリエチレンテレフタレート)から選択されることが好ましい。これによれば、PPなどと比べて、本体上枠1の熱収縮を効果的に抑えることが可能になる。特に、PBTを適用することで、本体上枠1の収縮をより効果的に抑えることができる。
【0036】
また、本実施形態において、樹脂製補強部材20におけるガラス配合率は、15質量%以上とすることが好ましい。これによれば、成形時の収縮率、その後の繰り返し使用による熱収縮が本体上枠1の温度(100℃以下)ではほとんど生じなくなるので、樹脂製補強部材20として好適に利用できる。
【0037】
また、本実施形態において、樹脂製補強部材20は、上面開口部1aを挟んで左右に一対備え、それぞれの樹脂製補強部材20は、フック補強部材8aとヒンジ補強部材9aに固定される。これによれば、材料の使用量を減らしつつ、本体上枠1を左右均等に補強することができる。
【0038】
また、本実施形態において、本体上枠1には、本体上枠1から突出するボス1dが形成され、樹脂製補強部材20には、ボス1dが貫通する貫通孔20e,20fが形成されている。これによれば、樹脂製補強部材20に対してボス1dを逃げるように貫通孔20e,20fを形成することで、本体上枠1を保護枠11にねじ固定することが可能になる。
【0039】
なお、本発明は前記した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形例を含むことができる。前記した実施形態では、一対の樹脂製補強部材20を備えた場合を例に挙げて説明したが、上面開口部1aを取り囲むように単一の円板状の樹脂製補強部材であってもよい。
【符号の説明】
【0040】
1 本体上枠
1a 上面開口部
1b 上面枠部
1c 外周枠部
1d ボス
2 本体ケース(本体)
3 内鍋
3a 上面開口
4 内蓋
4a パッキン
5 フタ
5a フタフック部(フック部)
5b フタ補強部材(フタ補強部品)
6 外蓋
8 フック掛け部
8a フック補強部材
9 ヒンジ部
9a ヒンジ補強部材
10 調圧手段
11 保護枠
12 加熱手段
13 蓋加熱手段
14 温度センサ
15 制御回路
20 樹脂製補強部材
20a 直線部
20b 湾曲部
20c,20d 固定部
20e,20f 貫通孔(嵌合孔)
20g リブ