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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022190725
(43)【公開日】2022-12-27
(54)【発明の名称】誘導加熱調理器
(51)【国際特許分類】
   H05B 6/12 20060101AFI20221220BHJP
【FI】
H05B6/12 317
H05B6/12 303
H05B6/12 308
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021099107
(22)【出願日】2021-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】山田 清司
(72)【発明者】
【氏名】川村 光輝
(72)【発明者】
【氏名】藤林 聡
【テーマコード(参考)】
3K151
【Fターム(参考)】
3K151BA13
3K151BA32
3K151BA34
3K151BA85
(57)【要約】      (修正有)
【課題】少ない風量で効率よく加熱コイルの両面を冷却可能な誘導加熱調理を提供する。
【解決手段】基板カバーには、ファンから吐出されてインバータ部を冷却した冷却風が第一加熱コイルに向けて流れるために通過する第一開口部と、ファンから吐出されてインバータ部を冷却せずに第二加熱コイルに向けて流れるために通過する第二開口部と、が設けられており、第二開口部は、第一コイルよりも第二コイルの近傍に設けられている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、前記本体の上面を覆うトッププレートと、前記トッププレートの下方に配置した被加熱物を加熱する複数の加熱コイルと、前記複数の加熱コイルに電力を供給するインバータ部と、前記本体の底面に設けた吸気口と、前記吸気口から外気を吸引し前記インバータ部を冷却するための冷却風を吐出するファンと、前記複数の加熱コイルと前記インバータ部との間に設けられている基板カバーと、を備え、
前記複数の加熱コイルは、第一コイルと、前記第一コイルよりも周波数が高い第二コイルと、を少なくとも備え、
前記基板カバーには、前記ファンから吐出されて前記インバータ部を冷却した冷却風が前記第一加熱コイルに向けて流れるために通過する第一開口部と、前記ファンから吐出されて前記インバータ部を冷却せずに前記第二加熱コイルに向けて流れるために通過する第二開口部と、が設けられており、
前記第二開口部は、前記第一コイルよりも前記第二コイルの近傍に設けられている、誘導加熱調理器。
【請求項2】
請求項1に記載の誘導加熱調理器において、
前記加熱コイルは外側コイルと内側コイルとを備え、前記加熱コイルの下面を冷却した冷却風は、前記外側コイルと前記内側コイルの間を通過して前記加熱コイルの上面を流れる、誘導加熱調理器。
【請求項3】
請求項1または2に記載の誘導加熱調理器において、
前記インバータ部と同一基板上にフィルタ部が設けられており、
前記インバータ部よりも前方に前記フィルタ部が設けられており、
前記フィルタ部には電源ケーブルが接続されており、
前記電源ケーブルを前記本体外に導くための開口部が前記本体の底面であって後方に設けられている、誘導加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、誘導加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
誘導加熱調理器は加熱コイルを用いて金属製の鍋を加熱することで、鍋内の食材を加熱するものである。加熱コイルや制御基板は本体内に設けられていることから、これらを冷却するために本体内に冷却用ファンを複数設けている。
【0003】
特許文献1には、本体内にメインファン、サブファン(前側ファンと奥側ファン)を設けた誘導加熱調理器が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-243544号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の技術は、複数のファンが設けられていることから部品点数が多く、かつ騒音が大きくなりやすいものである。一方、ファンの数を少なくすると冷却効率が低下する。
【0006】
本発明の目的は、少ない風量で効率よく加熱コイルの両面を冷却可能な誘導加熱調理を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
基板カバーには、ファンから吐出されてインバータ部を冷却した冷却風が第一加熱コイルに向けて流れるために通過する第一開口部と、ファンから吐出されてインバータ部を冷却せずに第二加熱コイルに向けて流れるために通過する第二開口部と、が設けられており、 第二開口部は、第一コイルよりも第二コイルの近傍に設けられている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、少ない風量で効率よく加熱コイルの両面を冷却可能な誘導加熱調理を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施例に係る誘導加熱調理器を組込んだキッチンの外観斜視図である。
図2】本発明の実施例に係る誘導加熱調理器の斜視図である。
図3】本発明の実施例に係る誘導加熱調理器のトッププレート組を外した本体内部の構造図である。
図4】本発明の実施例に係る誘導加熱調理器の加熱コイルおよび基板カバーを外した本体内部の構造図である。
図5】本発明の実施例に係る誘導加熱調理器の加熱コイルを外した本体内部の構造図である。
図6】本発明の実施例に係る図3のA―A断面図である。
図7】本発明の実施例に係る図3のB―B断面図である。
図8】本発明の実施例に係る誘導加熱調理器の側面視図である。
図9】本発明の実施例に係る誘導加熱調理器の底面視図である。
図10】本発明の実施例に係る誘導加熱調理器の電源開口部近傍の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施例を図を用いて説明する。なお、図1に示すように、誘導加熱調理器の操作部が設けられている面を正面(前面)として、前後・左右・上下を定義する。さらに、以下の説明は本発明の内容の具体例を示すものであり、本発明がこれらの説明に限定されるものではない。本明細書に開示される技術的思想の範囲内において当業者による様々な変更および修正が可能であり、下記の実施例の構成を適宜組み合わせることも当初から予定している。また、本発明を説明するための全図において、同一の機能を有するものは、同一の符号を付け、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
【0011】
図1は本発明の実施例に係る誘導加熱調理器を組込んだキッチンの外観斜視図である。
図2は本発明の実施例に係る誘導加熱調理器の斜視図である。
【0012】
図1図2において、1はキッチンで、カウンタートップ1aの下部に箱型の収納部1bを設け、扉1cとその上部の側板1eで前面を覆っている。カウンタートップ1aに設けた取り付け穴1dの上面から本体7を落とし込んで本体のフランジ部7a(図3に示す)で支える。取り付け穴1dの左側には仕切り板1hが接近して存在する。
【0013】
誘導加熱調理器の本体7の上面にはトッププレート2が水平に配置されている。トッププレート2は、耐熱性の高い結晶化ガラス製またはホウケイ酸ガラス製の厚さ約4mmのもので構成され、鉄等の磁性体又はアルミ等の非磁性体よりなる鍋等の調理容器を載置する。
【0014】
トッププレート2は、鍋を載置する位置を円で示す前側鍋載置部5,奥側鍋載置部6を設けている。前側鍋載置部5,奥側鍋載置部6に対応するようにトッププレート2の下方で本体7内の上部に、環状に形成された前側加熱コイル8,奥側加熱コイル9(図3に示す)が夫々本体7の左前と右後で対角に配置されており、トッププレート2に載置された鍋等を誘導加熱する。
【0015】
トッププレート2の周囲は枠2aで覆われ、この枠2aの前部には操作表示部4を、後部には排気出口2bを備え、排気出口2bを覆い着脱自在の排気カバー3を備えている。これら2、2a、3、4によりトッププレート組19が構成されている。
【0016】
操作表示部4は、前側加熱コイル8、奥側加熱コイル9に対応した前側操作部20、奥側操作部21と、前側表示部22,奥側表示部23とが設けられている。前側加熱コイル8,奥側加熱コイル9の通電状態の設定や操作を行い、通電状態等を表示する。前側加熱コイル8および奥側加熱コイル9は二重コイルとなっており、外側コイル110と内側コイル111の間には中間部112があり、後述するインバータ部11やフィルタ部100を冷却した冷却風がこの中間部112を下方から上方に向かって流れ、前側加熱コイル8および奥側加熱コイル9の上面を冷却する。
【0017】
図3は本発明の実施例に係る誘導加熱調理器のトッププレート組を外した本体内部の構造図である。
【0018】
図4は本発明の実施例に係る、誘導加熱調理器の加熱コイルおよび基板カバー11aを外した本体内部の構造図である。基板カバー11aは、加熱コイルとインバータ部11との間に設けられている。
【0019】
図3,4において、インバータ部11は、前側加熱コイル8の下方から後方にかけて配置されてこの前側加熱コイル8と奥側加熱コイル9に高周波電力を供給する。制御部(図示せず)は、一体となった電源部(図示せず)と共にインバータ部11と同一平面に配置され、前側操作部20や奥側操作部21からの入力に基づきインバータ部11を制御し、前側加熱コイル8や奥側加熱コイル9へ供給する電力を制御する。また、加熱時は前側加熱コイル8や奥側加熱コイル9に備える温度センサ25からの情報に基づきインバータ部11を制御して前記同様に前側加熱コイル8や奥側加熱コイル9へ供給する電力を制御する。
【0020】
本体7の右側前方部には、インバータ部11を冷却するために、本体7の底面7gに有した吸気口140(図9)より外気を吸気し、冷却風として本体7内に風を流すためのファン16が設けられている。このファン16によって基板カバー11aで誘導された冷却風とヒートシンク11bによってインバータ部11の搭載された部品は効率よく冷却される。
【0021】
本体7の後部には、ファン16より流れる冷却風が、本体7外へ排出される排気口24が設けられている。この排気口24より出た冷却風は、排気口24と連通している排気出口2bを通り、その上を覆う排気カバー3から上方に向けて排気される。
【0022】
図4に、ファン16から吐出された冷却風の流れを示す矢印を示す。ファン16から吐出された冷却風は、まずヒートシンク11bを冷却し、その後基板(インバータ部やフィルタ部100など)を冷却する。そして、基板カバー11aに設けられた冷却風開口部を流れ、中間部112を下方から上方に向かって流れ、前側加熱コイル8および奥側加熱コイル9の上面を冷却する。
【0023】
電源ケーブル130はフィルタ部160に接続されている。本発明では、フィルタ部160はインバータ部11よりも本体7内の前方に配置されている。一般的にドロップイン型誘導加熱調理器の電源はキッチン1の後方に設けられているため、電源ケーブル130は前方から後方に向けて配線されている。電源ケーブル130にインバータ部11や前側加熱コイル8および奥側加熱コイル9からのノイズの影響を避けるべく、これらから距離をとるようにファン16の右側方を通り、本体7の後方に向けて配線されている。そして、電源ケーブル130を本体7の外に出すための電源開口部132(後述)を覆うように金属製の電源カバー131が設けられている。135はリード線である。
【0024】
図5は、本発明の実施例に係る、誘導加熱調理器の加熱コイルを外した本体内部の構造図である。基板カバー11aには、基板を冷却した冷却風を前側加熱コイル8近傍に導くための前側加熱コイル冷却風開口部120と、奥側加熱コイル9近傍に冷却風を導くための奥側加熱コイル冷却風開口部121が設けられている。言い換えると、ファン16から吐出されてインバータ部11を冷却した冷却風が前側加熱コイル8に向けて流れるために通過する前側加熱コイル冷却風開口部120と、ファン16から吐出されてインバータ部11を冷却せずに奥側加熱コイル9に向けて流れるために通過する奥側加熱コイル冷却風開口部121が設けられている。そして、奥側加熱コイル冷却風開口部121は、前側加熱コイル8よりも奥側加熱コイル9の近傍に設けられている。この2つの冷却風開口部を通過した冷却風は、前側加熱コイル8および奥側加熱コイル9の下面を冷却し、前側加熱コイル8および奥側加熱コイル9の中間部112を通過することで下方から上方に向かってに流れ、コイル上面を冷却する。
【0025】
図6図3のA―A断面図、図7図3のB-B断面図である。図6には、奥側加熱コイル9よりも下方に設けた冷却風出口である奥側加熱コイル冷却風開口部121を示している。図7には、図5で説明した加熱コイルの中間部112を通過してコイル上面側に冷却風を誘導する冷却風路123を示している。冷却風路123は、前側加熱コイル冷却風開口部120から吐出された冷却風が基板カバー11aの上方を流れる際の風路でもある。この構造により、基板と加熱コイルを効率よく冷却できるため、本体7内に設ける本体7内の冷却ファンを1つにすることができる。
【0026】
また、誘導加熱調理器において複数の加熱コイルに同時に通電した場合、両者の周波数が近いと加熱コイルの上方に載置された複数の鍋同士が共振して共振音が発生してしまう。そのため、左右の駆動周波数を離すことで共振音を防止している。本実施例においては、前側加熱コイル8よりも奥側加熱コイル9の周波数を高くすることで、共振音が発生することを低減している。また、ファン16から吐出された冷却風であって基板を冷却していない冷却風も用いて奥側加熱コイル9を冷却している。よって、奥側加熱コイル冷却風開口部121から吐出される冷却風量を小さくしても、奥側加熱コイル冷却風開口部121を効率よく冷却できる。そして、多くの冷却風を基板の冷却に用いることで、全体として冷却効率を向上することができる。
【0027】
図8は、本発明の実施例に係る、誘導加熱調理器の側面視図である。図9は、本発明の実施例に係る、誘導加熱調理器の底面視図である。電源ケーブル130は本体7の後方に設けられた電源開口部132を通過して本体7外に出ている。電源開口部132は、底面7gであって本体7内の後方に設けられている。電源ケーブル130が屈曲したとしても背面側の邪魔にならない位置に、電源開口部132が設けられている。本体7の前方に電源開口部132を設け、前方から後方にかけて電源ケーブル130を底面7gを這わせる方法も考えられる。しかし。その場合は電源ケーブル130がキッチン1内の環境の影響を受けてしまう。よって、本発明のように電源ケーブル130を可能な限り本体7内で前方から後方に配線することで、キッチン1内の環境の影響を低減することができる。
【0028】
図10は、本発明の実施例に係る誘導加熱調理器の電源開口部近傍の拡大図である。電源ケーブル130は、第一固定部150および第二固定部151によって本体7内に固定されている。電源開口部132の周囲は電源カバー131で覆われているため、本体7内のノイズが本体7外に漏れるのを低減することができる。
【符号の説明】
【0029】
1a…カウンタートップ、2…トッププレート、2a…枠、2b…排気出口、3…排気カバー、4…操作表示部、7…本体、7f…前面側面、7g…底面、7j…左側面、7k…右側面、7p…後面、8…前側加熱コイル、9…奥側加熱コイル、、11…インバータ部、16ファン、24…排気口、100…フィルタ部、110…外側コイル、111…内側コイル、112…中間部、120…前側加熱コイル冷却風開口部、121…奥側加熱コイル冷却風開口部、123…冷却風路、130…電源ケーブル、131…電源カバー、132…電源開口部、135…リード線、140…吸気口、150…第一固定部、151…第二固定部
図1
図2
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図4
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図8
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