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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022190729
(43)【公開日】2022-12-27
(54)【発明の名称】空気清浄装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/007 20060101AFI20221220BHJP
   F24F 7/013 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
F24F7/007 B
F24F7/013 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021099116
(22)【出願日】2021-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】521261212
【氏名又は名称】仲村 健一
(71)【出願人】
【識別番号】522443279
【氏名又は名称】田中 恵子
(74)【代理人】
【識別番号】100091834
【弁理士】
【氏名又は名称】室田 力雄
(72)【発明者】
【氏名】田中 恵子
(72)【発明者】
【氏名】三浦 啓輔
(72)【発明者】
【氏名】木村 美光
(72)【発明者】
【氏名】細見 令香
【テーマコード(参考)】
3L056
【Fターム(参考)】
3L056BA01
3L056BA03
3L056BD07
3L056BE02
(57)【要約】
【課題】屋内空間に浮遊するウイルスや細菌等を含むエアロゾル、埃、ごみ、その他の異物を、舞い上げたり撹拌したりすることを避けながら、重力の法則に反することなく、静かに下方に落下、沈降させて取り除くことができる空気清浄装置の提供を課題とする。
【解決手段】空気清浄装置は、屋内へ空気を供給するための1乃至複数の給気口10と、屋内から空気を排出するための1乃至複数の排気口20と、屋内の一側から反対側に向かう層状気流を発生させるための1乃至複数のファン30と、屋内空間Sの上層部の気圧を検出する1乃至複数の上層部気圧センサ40と、屋内空間Sの下層部の気圧を検出する1乃至複数の下層部気圧センサ50とを少なくとも備え、屋内空間Sの気圧が上層部において高く下層部において低くなる気圧勾配を恒常的に形成させるようファン30を制御する構成としている。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋内空間に浮遊する異物を取り除いて空気を清浄にする空気清浄装置であって、
屋内へ空気を供給するための1乃至複数の給気口と、屋内から空気を排出するための1乃至複数の排気口と、屋内の一側から反対側に向かう層状気流を発生させるための1乃至複数のファンと、屋内空間の上層部の気圧を検出する1乃至複数の上層部気圧センサと、屋内空間の下層部の気圧を検出する1乃至複数の下層部気圧センサとを少なくとも備え、屋内空間の気圧が上層部において高く下層部において低くなる気圧勾配を恒常的に形成させるようファンを制御する構成としたことを特徴とする空気清浄装置。
【請求項2】
少なくとも屋内の一側の下層部と上層部とに給気口を設けると共に少なくとも前記屋内の反対側の下層部に排気口を設け、該下層部の排気口に排気ファンを設け、該下層部の排気口の排気ファンを駆動することで、屋内空間の下層部に流れる層状気流が上層部を流れる層状気流よりも速くなるように構成したことを特徴とする請求項1に記載の空気清浄装置。
【請求項3】
給気口及び排気口は水平方向に細長い形状としてあることを特徴とする請求項1又は2に記載の空気清浄装置。
【請求項4】
排気口に設けられる排気ファンは回転数を増減できるものとし、上層部気圧センサにより検出される気圧が下層部気圧センサで検出される気圧よりも高い一定範囲に維持されるように排気ファンのオン、オフ及び回転数を制御する制御部を備えたことを特徴とする請求項1~3の何れかに記載の空気清浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は空気清浄装置に関し、より詳しくは、室内や屋内の空間に浮遊するウイルスや細菌等を含むエアロゾル、埃、ごみ、その他の異物を取り除いて空気を清浄にする空気清浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
室内や屋内(以下、室内を含めて屋内とする)の空間には、ウイルスや細菌等の病原体を含むエアロゾル、小さなごみ、チリ、埃、その他の異物が浮遊している。特に病原体が何らかの状態で浮遊するような環境では、そこが感染源となることから、これらを屋内空間から取り除くことが重要となってくる。
従来において、屋内空気を清浄化する一般的方法としては換気がある。しかしこの方法では、窓の開け方や換気扇の取り付け方等にもよるが、屋内空気の一部しか換気ができず、屋内空気の全量を速やかに換気して入れ替えるには難がある。また冬場等においては窓等を大きく開けると、屋内空気が冷えてしまう問題もある。
一方、屋内空気を装置内に取り込み、フィルタで異物を取り除いたり殺菌したりするようにした空気清浄装置(エアコン等を含む)も多く提供されている。しかし、これらの空気清浄装置を用いて屋内空気の全体を清浄にするには、屋内空気の全てをまんべんなく自身の装置内に取り込む必要があるが、難しい事項である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012―21759号公報
【特許文献2】特開2012―243419号公報
【特許文献3】特開2013-2416号公報
【特許文献4】特開2021-501号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1は空気清浄装置に関し、その段落0026には、気圧差を利用して空気清浄を行う装置に関して、「~給気通風路22を通過する空気の流れと、排気通風路11を通過する空気の流れの流速の差で生じる負圧で、粉塵集溜部4に集められた粉塵等が、外管1の排気通風路11側に吸い上げられて室内の汚染空気と共に屋外に排出・除去される。」と開示されている。しかし、この空気清浄装置は、あくまで空気の給排気二重管構造において、内菅内のサイクロン流で遠心分離した内菅内の粉塵を外管内に気圧差を利用して吸引して除去する装置であって、建屋の屋内空間全体の空気の浄化を対象とするような装置とは、その目的、用途、構造も大きく異なるものである。
上記特許文献2はイオン発生ユニット及びイオン送風装置に関し、その段落0043には、イオンの放出に関して「この空気がイオン発生部10と風向板8(特に風向板8の前縁の膨らみ)との間を流通するときに、流通すべき断面積がスクロール部42における流通すべき断面積に比べて狭められているため、風速が増大する。このとき、空気の圧力はベルヌーイの定理に従い低下する。この結果、イオン発生部10で発生したイオンは、気圧の差によって浮遊空間11へ効率よく吸い出され、更に、増速し、且つ、風向板8によって風向きが規制された空気に伴って、吹出部43へ、更には装置外部へ、効率よく送出される。」と開示されている。しかし、この装置はあくまでベルヌーイの定理を利用したイオンの送出を効率よくするものであり、屋内空間に浮遊する異物を取り除いて空気浄化する装置とは大きく異なる。
上記特許文献3は送風装置及び空気調和機に関し、その段落0017には、「~このような気圧の差によって、ボス部101の延長領域93cから通風路93の周縁部に向かう気流Bが発生する。吹出す気流の流速が速いほど圧力差が大きくなり逆流する気流Bの流速も速くなる。」と開示され、また段落0048には、「この吹出し気流領域と吹出し気流がない領域との気圧の差によって、整風体7よりも外側の領域では仕切壁5の延長領域から吹出し気流Aに向かう気流Bが発生する。」と開示されている。しかし、この装置は、あくまで筒体内に軸流ファンを配してある送風装置の吹出効率を高めることができるようにした装置であり、屋内空間全体を対象にして、そこに浮遊する異物を取り除いて空気浄化するような装置ではない。
【0005】
上記特許文献4は室内殺菌装置および室内殺菌システムに関し、段落0066には、「ファン11が空気の送出あるいは吸引を行うことで、部屋100において対流や気圧差分を生じさせることができる。この対流や気圧差分によって、部屋100内部の細菌等50が、空間的に運搬される。この空間的な運搬によって、細菌等50は、部屋100の上方を通過しやすくなる。あるいは部屋100の下方にあった細菌等50等も、部屋100の上方に滞留しやすくなる。」と開示され、また段落0069には、「上方に運搬された細菌等50は、紫外線の照射範囲に入るので、室内殺菌装置1から照射される紫外線によって殺菌される。」と開示されている。
即ち、この特許文献4に開示の技術は、紫外線照射による殺菌を目的とし、且つ紫外線照射による人への危険性も確実に回避する要請から、室内殺菌装置1を部屋の上方部に設置することを大前提として、ファンによる上昇対流を起こし或いは室内上方部の気圧が低くなるようにし、これによって細菌等を気流と共に上方に移動させて殺菌に供するようにした技術が開示されていると言える。
しかしながら特許文献4に開示の室内殺菌装置および室内殺菌システムは、上方での殺菌を目的とするあまり、細菌等50を重力の法則(引力の法則)に反して、下方の床面に落下、沈降しつつある細菌等50を再度舞い上げて撹拌してしまうような結果をもたらす問題がある。
【0006】
そこで本発明は上記従来における欠点や問題点を解決し、屋内空間に浮遊するウイルスや細菌等を含むエアロゾル、埃、ごみ、その他の異物を、再度舞い上げたり、撹拌したりすることを避けながら、重力の法則に反することなく、静かに下方に落下、沈降させて取り除くことができる空気清浄装置の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を達成するため、本発明の空気清浄装置は、屋内空間に浮遊する異物を取り除いて空気を清浄にする空気清浄装置であって、
屋内へ空気を供給するための1乃至複数の給気口と、屋内から空気を排出するための1乃至複数の排気口と、屋内の一側から反対側に向かう層状気流を発生させるための1乃至複数のファンと、屋内空間の上層部の気圧を検出する1乃至複数の上層部気圧センサと、屋内空間の下層部の気圧を検出する1乃至複数の下層部気圧センサとを少なくとも備え、屋内空間の気圧が上層部において高く下層部において低くなる気圧勾配を恒常的に形成させるようファンを制御する構成としたことを第1の特徴としている。
また本発明の空気清浄装置は、上記第1の特徴に加えて、少なくとも前記屋内の一側の下層部と上層部とに給気口を設けると共に少なくとも前記屋内の反対側の下層部に排気口を設け、該下層部の排気口に排気ファンを設け、該下層部の排気口の排気ファンを駆動することで、屋内空間の下層部に流れる層状気流が上層部を流れる層状気流よりも速くなるように構成したことを第2の特徴としている。
また本発明の空気清浄装置は、上記第1又は第2の特徴に加えて、給気口及び排気口は水平方向に細長い形状としてあることを第3の特徴としている。
また本発明の空気清浄装置は、上記第1~第3の何れかの特徴に加えて、排気口に設けられる排気ファンは回転数を増減できるものとし、上層部気圧センサにより検出される気圧が下層部気圧センサで検出される気圧よりも高い一定範囲に維持されるように排気ファンのオン、オフ及び回転数を制御する制御部を備えたことを第4の特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載の空気清浄装置によれば、運転が開始されると、屋内の一側から反対側に向かう層状気流を発生させるための1乃至複数のファンが回転する。給気口から屋内に入った空気は、層流となって一側から反対側に流れ、反対側の排気口から屋外に排出される。そして運転中、上層部気圧センサと下層部気圧センサによって屋内空間の上層部と下層部の気圧が検出され、上層部の気圧が高く下層部の気圧が低くなる気圧勾配を恒常的に形成させるようファンが制御される。
屋内の上層部の気圧が高く下層部の気圧が低くなる気圧勾配が恒常的に形成されることで、運転中において上方から下方への気圧傾度力が恒常的に発生し、その気圧傾度力により屋内空間に浮遊するウイルスや細菌等を含むエアロゾル、埃、ごみ、その他の異物を、再度舞い上げたり撹拌したりすることを避けながら、重力に気圧傾度力を付加する形で、静かに、下方に落下沈降させて取り除くことができる。
【0009】
請求項2に記載の空気清浄装置によれば、上記請求項1に記載の構成による作用効果に加えて、屋内の反対側の下層部の排気口に設けた排気ファンを駆動すると、屋内の空気がその排気口から排出される。これに伴って、排気口とは反対側(一側)の下層部と上層部にある給気口から外気が屋内に流入する。下層部の給気口から流入した空気はそのまま下層部を流れる層流となって排気口に向かう。一方、上層部の給気口から流入する空気もある程度層流にはなるが、速度は遅くなる。下層部の排気口に設けた排気ファンを適当に駆動することで、屋内空間の下層部に流れる層状気流が上層部を流れる層状気流よりも速くすることが可能になり、屋内上層部から下層部に向かう気圧傾度力を付加することができ。屋内空間に浮遊する異物を速やかに下方へ落下沈降させることができる。落下沈降した異物は排気ファンの付いた排気口から容易に屋外に排出することが可能となる。
【0010】
請求項3に記載の空気清浄装置によれば、上記請求項1又は2に記載の構成による作用効果に加えて、給気口及び排気口は水平方向に細長い形状としてあるので、屋内に入ってくる空気の流れを水平方向に幅のある流れとし、また屋内から出て行こうとする空気の流れを水平方向に幅のある流れとすることができる。よって屋内を流れる空気流をその分だけ容易に層状にすることができ、屋内空間における上下方向の気圧勾配や気圧傾度力を容易に且つ好ましく形成することが可能となる。
【0011】
請求項4に記載の空気清浄装置によれば、上記請求項1~3の何れかに記載の構成による作用効果に加えて、排気口に設けられる排気ファンは回転数を増減できるものとし、制御部は上層部気圧センサによる検出気圧が下層部気圧センサによる検出気圧よりも高い一定範囲に維持されるように排気ファンのオン、オフ及び回転数を制御するようにしている。
これにより装置を運転することにより、その運転中においては排気ファンが制御され、屋内上層部の気圧が屋内下層部の気圧よりも恒常的に高くなるように維持することができる。よって屋内空間に浮遊のウイルスや細菌等を含むエアロゾル、埃、ごみ、その他の異物に対して、下向きの気圧傾度力を重力に加えて確実に付加することができ、速やかに下方へ落下沈降させて取り除くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態に係る空気清浄装置の全体を説明する図である。
図2】本発明の実施形態に係る空気清浄装置の制御部を説明するブロック図である。
図3】本発明の実施形態に係る空気清浄装置の制御例を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、各図面を参照して、本発明の実施形態の空気清浄装置を説明し、本発明の理解に供する。しかし、以下の説明は特許請求の範囲に記載の本発明を限定するものではない。
【0014】
先ず図1を参照して、本発明の実施形態に係る空気清浄装置は、建物の屋内空間Sに浮遊するウイルスや細菌等を含むエアロゾル、埃、ごみ、その他の異物を取り除いて空気を清浄にする装置である。前記建物は、住宅等の小規模の建物の他、体育館、映画館、ビル内の大規模宴会場、集会場等の大規模建物を含む。また前記屋内は、室内を含む概念であるが、例えば天井部Cと床部Fと側壁部Wによって囲まれて構成されることができる。また屋内空間Sは小規模の空間から大規模の空間を含む。
【0015】
図2も参照して、前記空気清浄装置は、少なくとも給気口10、排気口20、ファン30、上層部気圧センサ40、下層部気圧センサ50、装置の運転を制御する制御部60を備えている。
【0016】
前記給気口10は、本実施形態では、一側の側壁部Wの下層部と上層部とにそれぞれ給気口10a、10bを設けている。
前記排気口20は、本実施形態では、前記一側の側壁部Wとは反対側の側壁部Wの下層部に排気口20aを設けている。
前記ファン30は、本実施形態では、前記反対側の側壁部Wの下層部に設けた排気口20aに排気ファン30aを設けている。
前記上層部気圧センサ40は、本実施形態では、屋内空間Sの上層部の気圧を検出するものとして、屋内空間Sの上層部に設けている。
前記下層部気圧センサ50は、本実施形態では、屋内空間Sの下層部の気圧を検出するものとして、屋内空間Sの下層部に配置して設けている。
【0017】
前記制御部60は、CPU61、RAM62、ROM63、周辺回路64、入出力ポート65を備えたマイコンで構成することができる。この制御部60には空気清浄装置の制御プログラムを予め保有させておき、この制御プログラムに従って空気清浄装置の制御を行う。
制御部60には、制御プログラムに従って前記上層部気圧センサ40及び下層部気圧センサ50からの検出データが入力され、また前記排気ファン30aからの回転数データが入力される。そしてそれらの入力データから必要な制御量が演算され、排気ファン30aに向けて出力される。
【0018】
図3のフローチャートを参照して、本実施形態に係る空気清浄装置による空気清浄化の制御をその動作と共に説明する。
今、空気清浄装置の運転スイッチがONすると(ステップ1でYES)、排気ファン30aがオンされて、先ず基底回転数で回転を開始する(ステップ2)。
運転が開始されると、制御部60は一定のタイミングで気圧センサ(上層部気圧センサ40、下層部気圧センサ50)から気圧データを入力し、また排気ファン30aの回転数データを入力する(ステップ3)。
そして制御部60は一定のタイミングで前記入力した気圧データから、上層部気圧と下層部気圧との気圧差ΔPを演算する(ステップ4)。
そして制御部60は、前記演算した気圧差ΔPが次の式1で示す関係にあるかを判定する(ステップ5)。
ΔP2≧ΔP≧ΔP1>0 ・・・式1
ここで、ΔP1は上層部から下層部へ向けての良好な気圧勾配と気圧傾度力を生じるために必要な気圧差の下限値である。またΔP2は上層部から下層部へ向けての良好な気圧傾度力は生じるが、屋内通風量が上がり過ぎて環境を壊さないようにするための気圧差の上限値である。また気圧差ΔP>0としたのは、気圧差ΔP=0では上層部から下層部への気圧傾度力が生じないためである。
前記ΔP1とΔP2は、装置が設置される屋内の大きさや、形状、その他の状況乃至条件に応じて、予め好ましい値のΔP1、ΔP2を用意しておき、施工時にその屋内の状況に応じた値を設定するようにすることができる。勿論、運転を介して好ましいΔP1、ΔP2の値を学習させる機構とすることもできる。
【0019】
前記ステップ5でYESであれば、ステップ6に進み、排気ファン30aの回転数を現状のまま維持する。
ステップ5でΔP<ΔP1であれば、ステップ7に進み、排気ファン30aの回転数を増加させる。
ステップ5でΔP>ΔP2であれば、ステップ8に進み、排気ファン32aの回転数を減少させる。
ステップ7、8において、回転数の増加、減少は、段階的に増加、減少させるようにしてもよいし、連続的に増加、減少させるようにしてもよい。また回転数の増加、減少は、排気ファン30aの回転停止、回転開始を含むものとする。
【0020】
装置の運転中において、運転スイッチがOFFされると(ステップ9でYES)、排気ファン30aはOFFされ(ステップ10)、装置の運転が終了する。
一方、運転スイッチがOFFされていない場合(ステップ9でNO)は、ステップ3に戻って、運転が継続される。
以上の様に装置の運転が行われることで、運転中、屋内空間Sの上層部と下層部との気圧差ΔPが所定の範囲に維持され、その気圧勾配による気圧傾度力による異物の落下、沈降をスムーズに行うことができる。
【0021】
上記において、排気口20aは、水平方向に細長い形状とすることができる。細長い形状とすることにより、屋内空間Sの下層部の空気をより水平方向に幅広い層流の状態で排気口20aに受け入れることができる。
また排気口20は、本実施形態では、前記一側の側壁部Wとは反対側の側壁部Wの下層部に排気口20aとして1つだけ設けている。しかしながら排気口20は1つに限ることなく、屋内空間Sを流れる気流がより層流の状態となるように、複数個の排気口20を側壁部W等にその適当な配置を考慮して設けることができる。
また前記給気口10a、10bは、これも水平方向に細長い形状とすることができる。細長い形状とすることで、それら給気口10a、10bから屋内空間Sに入ってくる空気の流れをより水平方向に幅広い層流とすることができる。
また給気口10は既述した給気口10a、10bの他、屋内空間Sを流れる気流がより層流の状態となるように、複数個の給気口10を側壁部W等にその適当な配置を考慮して設けることができる。
【0022】
また本実施形態では、ファン30は、側壁部Wの下層部の排気口20aに設けられる排気ファン30aとして1つだけ設けている。しかし、この排気ファン30aは1つに限ることはなく、屋内空間Sを流れる気流がより層流の状態となるように、また屋内空間Sの気圧を上層部から下層部に向けてより好ましい気圧勾配で低下させられるように、他の排気口20にも選択配置して設けることができる。
またファン30は排気口20に設ける排気ファン30だけではなく、給気口10にも給気ファンとして選択配置して設けることができる。給気ファンを給気口10に選択的に設けることで、給気ファンによる屋内空間Sの気圧調整も、排気ファンによる気圧調整に付加することが可能になり、屋内空間Sの気圧を上層部から下層部に向けてより好ましい気圧勾配に容易に調整することができる。
【0023】
前記上層部気圧センサ40と下層部気圧センサ50は、それぞれ複数個を設けることができる。複数個の上層部気圧センサ40を分散配置することで、広範な上層部空間においても、気圧データとして適切な値を取得して、適切な制御に供することができる。同様に複数個の下層部気圧センサを分散配置することで、気圧データとして適切な値を取得し、適切な制御に供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明は空気清浄装置として、産業上利用することができる。
【符号の説明】
【0025】
10 給気口
10a 給気口
10b 給気口
20 排気口
20a 排気口
30 ファン
30a 排気ファン
40 上層部気圧センサ
50 下層部気圧センサ
60 制御部
61 CPU
62 RAM
63 ROM
64 周辺回路
65 入出力ポート
S 屋内空間
C 天井部
F 床部
W 側壁部
図1
図2
図3