(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022190731
(43)【公開日】2022-12-27
(54)【発明の名称】カバー部材及びカバー部材付きサーモスタット装置
(51)【国際特許分類】
F16K 31/68 20060101AFI20221220BHJP
F16J 15/10 20060101ALI20221220BHJP
F16K 27/12 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
F16K31/68 Q
F16J15/10 T
F16J15/10 D
F16J15/10 C
F16K27/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021099122
(22)【出願日】2021-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】000228741
【氏名又は名称】日本サーモスタット株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101878
【弁理士】
【氏名又は名称】木下 茂
(72)【発明者】
【氏名】西村 哲弥
(72)【発明者】
【氏名】森住 翔太
(72)【発明者】
【氏名】沼田 雅之
【テーマコード(参考)】
3H051
3H057
3J040
【Fターム(参考)】
3H051AA01
3H051BB10
3H051CC11
3H051CC16
3H051FF02
3H057AA02
3H057BB49
3H057CC02
3H057DD03
3H057EE01
3H057FB03
3H057FB05
3H057FD19
3H057HH03
3H057HH17
3J040AA01
3J040AA12
3J040BA03
3J040EA02
3J040EA16
3J040FA05
(57)【要約】
【課題】サーモスタット装置のハウジングの溝に嵌められたガスケットの脱落を防止し、冷却液の漏れ発生を防止すること。
【解決手段】一端に開口を有し、前記開口を取り囲むように溝が形成される本体
部と、前記溝の内側であって前記本体部の一端から相対向して起立する一対の脚
部と、を有するハウジング2と、前記溝に嵌るガスケット25と、を備えたサーモスタット装置10に着脱可能に装着されるカバー部材1であって、内側に前記一対の脚部が挿通される挿通孔を有し、前記ガスケット
25に被さる皿状部11と、前記挿通孔の開口縁から起立して、内側に前記一対の脚部が圧入される筒状
部と、を備え、前記筒状部の前記脚部と対向する部分に蛇腹部13が形成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端に開口を有し、前記開口を取り囲むように溝が形成される本体部と、前記溝の内側であって前記本体部の一端から相対向して起立する一対の脚部と、を有するハウジングと、前記溝に嵌るガスケットと、を備えたサーモスタット装置に着脱可能に装着されるカバー部材であって、
内側に前記一対の脚部が挿通される挿通孔を有し、前記ガスケットに被さる皿状部と、
前記挿通孔の開口縁から起立して、内側に前記一対の脚部が圧入される筒状部と、を備え、
前記筒状部の前記脚部と対向する部分に蛇腹部が形成されている
ことを特徴とするカバー部材。
【請求項2】
前記サーモスタット装置は、
前記本体部の内側に形成される弁座と、
一端が前記本体部に支えられ、温度に応じて伸縮するサーモエレメントと、
前記サーモエレメントの伸縮作動に応じて前記弁座に離着座する弁体と、
前記弁体を弁座側へ付勢する付勢部材と、
前記一対の脚部に支えられて前記付勢部材の一端を支持するフレームと、を備え、
前記筒状部には、内側へ突出する内方凸部が形成され、
前記内方凸部は、前記カバー部材が前記サーモスタット装置に装着された状態で、前記フレームよりも本体部側に位置し、
前記カバー部材を前記サーモスタット装置へ着脱する際に、前記内方凸部と前記フレームとが接触し、前記内方凸部が弾性変形する
ことを特徴とする請求項1に記載のカバー部材。
【請求項3】
一端に開口を有し、前記開口を取り囲むように溝が形成される本体部と、前記溝の内側であって前記本体部の一端から相対向して起立する一対の脚部と、を有するハウジングと、前記溝に嵌るガスケットと、前記本体部の内側に形成される弁座と、一端が前記本体部に支えられ、温度に応じて伸縮するサーモエレメントと、前記サーモエレメントの伸縮作動に応じて前記弁座に離着座する弁体と、前記弁体を弁座側へ付勢する付勢部材と、前記一対の脚部に支えられて前記付勢部材の一端を支持するフレームと、を備えたサーモスタット装置に着脱可能に装着されるカバー部材であって、
内側に前記一対の脚部が挿通される挿通孔を有し、前記ガスケットに被さる皿状部と、
前記挿通孔の開口縁から起立して、内側に前記一対の脚部が挿入される筒状部と、を備え、
前記筒状部には、内側へ突出する内方凸部が形成され、
前記内方凸部は、前記カバー部材が前記サーモスタット装置に装着された状態で、前記フレームよりも本体部側に位置し、
前記カバー部材を前記サーモスタット装置へ着脱する際に、前記内方凸部と前記フレームとが接触し、前記内方凸部が弾性変形する
ことを特徴とするカバー部材。
【請求項4】
前記筒状部の一端が塞がれている
ことを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載のカバー部材。
【請求項5】
前記内方凸部の表面形状は、球面状となっている
ことを特徴とする請求項2、請求項3、請求項2又は3に従属する請求項4の何れか一項に記載のカバー部材。
【請求項6】
前記筒状部における前記内方凸部の外側に位置する部分は、窪んでいる
ことを特徴とする請求項2、請求項3、請求項2又は3に従属する請求項4、請求項5の何れか一項に記載のカバー部材。
【請求項7】
前記ガスケットには、前記皿状部の外方へ突出する突起が形成されている
ことを特徴とする請求項1から6の何れか一項に記載のカバー部材。
【請求項8】
一端に開口を有し、前記開口を取り囲むように溝が形成される本体部と、前記溝より内側であって前記本体部の一端から相対向して起立する一対の脚部と、を有するハウジングと、
前記溝に嵌るガスケットと、を備えたサーモスタット装置と、
内側に前記一対の脚部が挿通される挿通孔を有し、前記ガスケットに被さる皿状部と、
前記挿通孔の開口縁から起立して、内側に前記一対の脚部が圧入される筒状部と、を備えたカバー部材と、を備え、
前記筒状部の前記脚部と対向する部分に蛇腹部が形成されている
ことを特徴とするカバー部材付きサーモスタット装置。
【請求項9】
一端に開口を有し、前記開口を取り囲むように溝が形成される本体部と、前記溝の内側であって前記本体部の一端から相対向して起立する一対の脚部と、を有するハウジングと、
前記溝に嵌るガスケットと、
前記本体部の内側に形成される弁座と、
一端が前記本体部に支えられ、温度に応じて伸縮するサーモエレメントと、
前記サーモエレメントの伸縮作動に応じて前記弁座に離着座する弁体と、
前記弁体を弁座側へ付勢する付勢部材と、
前記一対の脚部に支えられて前記付勢部材の一端を支持するフレームと、を備えたサーモスタット装置と、
内側に前記一対の脚部が挿通される挿通孔を有し、前記ガスケットに被さる皿状部と、
前記挿通孔の開口縁から起立して、内側に前記一対の脚部が挿入される筒状部と、を備えたカバー部材と、を備え、
前記筒状部には、内側へ突出する内方凸部が形成され、
前記内方凸部は、前記カバー部材が前記サーモスタット装置に装着された状態で、前記フレームよりも本体部側に位置し、
前記カバー部材を前記サーモスタット装置へ着脱する際に、前記内方凸部と前記フレームとが接触し、前記内方凸部が弾性変形する
ことを特徴とするカバー部材付きサーモスタット装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーモスタット装置に取り付け可能なガスケットのカバー部材、及びカバー部材付きサーモスタット装置に関する。
【背景技術】
【0002】
サーモスタット装置は、エンジン(内燃機関)の冷却回路に設けられ、冷却液の温度を調節する。サーモスタット装置のハウジングは、一端に開口を有し、その開口縁が相手側部材(例えば、ウォーターポンプ、エンジンのウォータジャケットなど)にシール部材としてのガスケットを介して密着する。これにより、ハウジング内の冷却液が外部へ漏れるのが防止される。
より具体的には、ハウジングの開口側端部には、前記開口を取り囲むように環状の溝が形成され(例えば、特許文献1)、この溝に環状のガスケット(例えば、特許文献2)が嵌められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-169611号公報
【特許文献2】特許第3310547号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献2に記載のガスケットは、その内周と外周に脱落防止用の凸部を有している。これにより、相手側部材に組付けられる前のサーモスタット装置を搬送する際の振動で、ガスケットが溝から外れるのを抑制できる。
しかしながら、ガスケットの充填率を適正に保つため、脱落防止用の凸部を際限なく増やすことはできず、脱落防止用の凸部を設けただけでは、ガスケットが溝から外れるのを確実に防ぎきれない場合がある。
【0005】
本発明は、前記した点に着目してなされたものであり、ガスケットの脱落を確実に防止できるカバー部材、及びカバー部材付きサーモスタット装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記した課題を解決するための第一の手段として、本発明に係るカバー部材は、サーモスタット装置に着脱可能に装着されるカバー部材である。前記サーモスタット装置は、一端に開口を有して前記開口を取り囲むように溝が形成される本体部と、前記溝の内側であって前記本体部の一端から相対向して起立する一対の脚部と、を有するハウジングと、前記溝に嵌るガスケットと、を備える。カバー部材は、内側に前記一対の脚部が挿通される挿通孔を有して前記ガスケットに被さる皿状部と、前記挿通孔の開口縁から起立して、内側に前記一対の脚部が圧入される筒状部と、を備え、前記筒状部の前記脚部と対向する部分に蛇腹部が形成されている。
これにより、カバー部材をサーモスタット装置に装着した状態で、皿状部がガスケットで覆われるので、ガスケットが脱落することはない。
【0007】
前記課題を解決する第二の手段として、本発明に係るカバー部材付きサーモスタット装置は、サーモスタット装置と、カバー部材とを備える。前記サーモスタット装置は、一端に開口を有し、前記開口を取り囲むように溝が形成される本体部と、前記溝より内側であって前記本体部の一端から相対向して起立する一対の脚部と、を有するハウジングと、前記溝に嵌るガスケットと、を備える。そして、カバー部材は、内側に前記一対の脚部が挿通される挿通孔を有し、前記ガスケットに被さる皿状部と、前記挿通孔の開口縁から起立して、内側に前記一対の脚部が圧入される筒状部と、を備えたカバー部材と、を備え、前記筒状部の前記脚部と対向する部分に蛇腹部が形成されている。
このように、カバー部材がサーモスタット装置に装着された状態で、皿状部がガスケットで覆われるので、ガスケットが脱落することはない。
【0008】
また、前記サーモスタット装置は、前記本体部の内側に形成される弁座と、一端が前記本体部に支えられ、温度に応じて伸縮するサーモエレメントと、前記サーモエレメントの伸縮作動に応じて前記弁座に離着座する弁体と、前記弁体を弁座側へ付勢する付勢部材と、前記一対の脚部に支えられて前記付勢部材の一端を支持するフレームと、を備え、前記カバー部材の前記筒状部に、内側へ突出する内方凸部が形成され、前記内方凸部は、前記カバー部材が前記サーモスタット装置に装着された状態で、前記フレームよりも本体部側に位置し、前記カバー部材を前記サーモスタット装置へ着脱する際に、前記内方凸部と前記フレームとが接触し、前記内方凸部が弾性変形するようにしてもよい。これにより、搬送時の振動等でカバー部材がサーモスタット装置から意図せずに外れるのを抑制できる。
【0009】
また、前記した課題を解決するための第三の手段として、本発明に係るカバー部材は、サーモスタット装置に着脱可能に装着されるカバー部材である。前記サーモスタット装置は、一端に開口を有して前記開口を取り囲むように溝が形成される本体部と、前記溝の内側であって前記本体部の一端から相対向して起立する一対の脚部と、を有するハウジングと、前記溝に嵌るガスケットと、前記本体部の内側に形成される弁座と、一端が前記本体部に支えられ、温度に応じて伸縮するサーモエレメントと、前記サーモエレメントの伸縮作動に応じて前記弁座に離着座する弁体と、前記弁体を弁座側へ付勢する付勢部材と、前記一対の脚部に支えられて前記付勢部材の一端を支持するフレームと、を備える。カバー部材は、内側に前記一対の脚部が挿通される挿通孔を有して前記ガスケットに被さる皿状部と、前記挿通孔の開口縁から起立して、内側に前記一対の脚部が挿入される筒状部と、を備え、前記筒状部に内側へ突出する内方凸部が形成されている。前記内方凸部は、前記カバー部材が前記サーモスタット装置に装着された状態で、前記フレームよりも本体部側に位置し、前記カバー部材を前記サーモスタット装置へ着脱する際に、前記内方凸部と前記フレームとが接触し、前記内方凸部が弾性変形する。
これにより、カバー部材をサーモスタット装置に装着した状態で、皿状部がガスケットで覆われるので、ガスケットが脱落することはない。
【0010】
また、前記課題を解決するための第四の手段として、本発明に係るカバー部材付きサーモスタット装置は、サーモスタット装置と、カバー部材とを備える。前記サーモスタット装置は、一端に開口を有して前記開口を取り囲むように溝が形成される本体部と、前記溝の内側であって前記本体部の一端から相対向して起立する一対の脚部と、を有するハウジングと、前記溝に嵌るガスケットと、前記本体部の内側に形成される弁座と、一端が前記本体部に支えられ、温度に応じて伸縮するサーモエレメントと、前記サーモエレメントの伸縮作動に応じて前記弁座に離着座する弁体と、前記弁体を弁座側へ付勢する付勢部材と、前記一対の脚部に支えられて前記付勢部材の一端を支持するフレームと、を備える。カバー部材は、内側に前記一対の脚部が挿通される挿通孔を有して前記ガスケットに被さる皿状部と、前記挿通孔の開口縁から起立して、内側に前記一対の脚部が挿入される筒状部と、を備え、前記筒状部に内側へ突出する内方凸部が形成されている。前記内方凸部は、前記カバー部材が前記サーモスタット装置に装着された状態で、前記フレームよりも本体部側に位置し、前記カバー部材を前記サーモスタット装置へ着脱する際に、前記内方凸部と前記フレームとが接触し、前記内方凸部が弾性変形する。
このように、カバー部材がサーモスタット装置に装着された状態で、皿状部がガスケットで覆われるので、ガスケットが脱落することはない。
【0011】
前記カバー部材では、前記筒状部の一端が塞がれていてもよい。これにより、塵、埃などがカバー部材の内側侵入するのを防止できる。
【0012】
また、前記カバー部材では、前記内方凸部の表面形状が球面状となっていてもよい。これにより、カバー部材をサーモスタット装置に装着しやすくできる。すると、内方凸部のフレームへの引っ掛かり代を確保しやすく、搬送時の振動等でカバー部材がサーモスタット装置から外れるのをより確実に抑制できる。
【0013】
また、前記カバー部材では、前記筒状部における前記内方凸部の外側に位置する部分が窪んでいてもよい。これにより、内方凸部が弾性変形しやすく、カバー部材をサーモスタット装置に装着しやすくできる。すると、内方凸部のフレームへの引っ掛かり代を確保しやすく、搬送時の振動等でカバー部材がサーモスタット装置から外れるのをより一層抑制できる。
【0014】
また、前記カバー部材が装着される前記サーモスタット装置では、前記ガスケットに、前記皿状部の外方へ突出する突起が形成されていてもよい。これにより、カバー部材をサーモスタット装置に取り付けた、カバー部材付きサーモスタット装置の状態でも、ガスケットが装着されていることを容易に目視確認できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係るカバー部材、及びカバー部材付きサーモスタット装置によれば、カバー部材がサーモスタット装置に装着された状態で、ガスケットの脱落を確実に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、一実施の形態に係るカバー部材が装着されたカバー部材付きサーモスタット装置の側面図である。
【
図2】
図2は、
図1のカバー部材付きサーモスタット装置の底面図である。
【
図3】
図3は、
図2のカバー部材付きサーモスタット装置のA-A矢視断面図である。
【
図5】
図5は、
図2のカバー部材付きサーモスタット装置のB-B矢視断面図である。
【
図6】
図6は、
図1のカバー部材付きサーモスタット装置のC-C矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施の形態に係るカバー部材、及びこのカバー部材付きサーモスタット装置を図面に基づき説明する。
【0018】
図1は、本実施の形態に係るカバー部材が装着されたカバー部材付きサーモスタット装置の側面図であり、
図2は、
図1のカバー部材付きサーモスタット装置の底面図である。また、
図3は、
図2のカバー部材付きサーモスタット装置のA-A矢視断面図であり、
図4は、
図3の一部を拡大視した断面図である。また、
図5は、
図2のカバー部材付きサーモスタット装置のB-B矢視断面図である。
また、
図6は、
図1のカバー部材付きサーモスタット装置のC-C矢視断面図であり、
図7は、
図6の一部を拡大して示す断面図である。
【0019】
図1に示すように、カバー部材付きサーモスタット装置100は、サーモスタット装置10と、このサーモスタット装置10に取り付けられたカバー部材1とを備える。
サーモスタット装置10は、カバー部材10が取り外された状態で、エンジン(内燃機関)、バッテリー、燃料電池用スタック等の動力機関の冷却回路に設けられ、冷却液の温度を調節する。その一方、カバー部材1は、サーモスタット装置10が相手側部材(ウォーターポンプ、動力機関のウォータジャケット、これらにサーモスタット装置を取り付けるための部材、又は冷却回路を構成する部材等)に組付けられる前の段階で、サーモスタット装置10に一時的に装着されるものであり、サーモスタット装置10が相手側部材に組付けられる際にはサーモスタット装置10から取り外される。
ここでは、カバー部材の取り付けられたサーモスタット装置を「カバー部材付きサーモスタット装置」、カバー部材の取り外されたサーモスタット装置を単に「サーモスタット装置」という。
【0020】
まず、サーモスタット装置10について説明する。前述のように、サーモスタット装置10は、カバー部材1が取り外された状態で、相手側部材に組付けられる。
サーモスタット装置10は、
図3に示すように、ハウジング2と、一端がハウジング2に支えられて温度に応じて伸縮するサーモエレメント17と、このサーモエレメント17の伸縮作動に応じてハウジング2内の後述する弁座20bに離着座する弁体15と、この弁体15を弁座20b側へ付勢する付勢部材としてのコイルスプリング16と、コイルスプリング16の一端を支持するフレーム19と、このフレーム19に引っ掛かり、サーモエレメント17の後述する感温ケース30を案内するガイド部材26と、を備える。
以下、説明の便宜上、
図3に示すサーモスタット装置10の上下を単に「上」「下」という。
【0021】
本実施の形態において、ハウジング2は、下端(一端)に開口20cが形成される有頂筒状の本体部20と、本体部20の下端外周から外側へ張り出す一対のフランジ3,3と、本体部20の下端開口縁から下方へ相対向して延びる一対の脚21,21と、本体部20の頂部から斜め上方へ延びるラジエータ側の接続口23とを有する。
サーモスタット装置10が相手側部材に組付けられた状態で、冷却液は、接続口23、本体部20の内側、及び開口20cを通過するようになっており、これらでハウジング2内の流路4が構成される。
【0022】
図2に示すように、一対のフランジ3,3には、それぞれ1つまたは2つのボルト孔3aが形成される。ボルト孔3aには、金属製の筒が圧入され、この筒にサーモスタット装置10を相手側部材へ固定するためのボルト(図示せず)が挿通される。
図3に示すように、このボルト孔3aよりも内側に位置する本体部20の下端開口縁には、開口20cを取り囲むように環状の溝20dが形成され、この溝20dにガスケット25が装着される。
【0023】
このガスケット25は、サーモスタット装置10と相手側部材との間をシールし、サーモスタット装置10を相手側部材に取り付けた状態で、ハウジング2内を流れる冷却液が外に漏れるのを防止する。本体部20におけるガスケット25よりも内側(内部側)が、ハウジング2の内側である。
【0024】
このハウジング2の内側に位置する本体部20の下端開口縁の内周に、環状の弁座20bが形成されており、この弁座20bに弁体15が離着座することで、流路4が開閉される。
【0025】
ハウジング2の内側に、サーモエレメント17が挿入される。サーモエレメント17は、本体部20の軸芯部に、その軸芯線に沿うように配置される。サーモエレメント17は、温度に応じて体積変化するワックス等の感温部材を内蔵する感温ケース30と、上端がハウジング2に支持されて感温部材の体積変化に応じて感温ケース30に出入りするピストン18とを備える。
そして、感温ケース30周囲の冷却液の温度が上昇し、内部の感温部材が膨張すると、ピストン18が感温ケース30から退出し、サーモエレメント17が伸長する。反対に、感温ケース30周囲の冷却液の温度が低下し、内部の感温部材が収縮すると、ピストン18が感温ケース30に進入し、サーモエレメント17が収縮する。このように、サーモエレメント17は、温度に応じて伸縮作動する。
【0026】
サーモエレメント17の上端に位置するピストン18の先端は、本体部20の内側、頂部に形成された筒状のボス部20aに篏合する。このため、ハウジング2に対するピストン18の上方への移動が阻止される。よって、サーモエレメント17が伸縮作動すると、ハウジング2に対するピストン18の位置は変わらず、感温ケース30が上下に移動する。
【0027】
感温ケース30の外周に、弁体15が固定されている。これにより、弁体15は、サーモエレメント17の伸縮に伴って感温ケース30とともに上下に移動する。そして、サーモエレメント17が伸長して弁体15が下方へ移動すると、弁体15が弁座20bから離座してこれらの間を冷却液が通過できるようになるので、流路4の連通が許容される。反対に、サーモエレメント17が収縮し、弁体15が上方へ移動して弁座20bに着座すると、流路4の連通が遮断される。このように、弁体15は、弁座20bに離着座して流路4を開閉する。
【0028】
弁体15の背面には、コイルスプリング16の上端が当接する。このコイルスプリング16は、サーモエレメント17の周りを囲うように配置されている。また、コイルスプリング16の下端は、フレーム19で支えられている。
【0029】
フレーム19の周縁部は、ハウジング2に形成される一対の脚21,21の先端部に引っ掛かり、フレーム19はハウジング2に対する下方への移動が阻止される。フレーム19の中心部には、貫通孔19aが形成されている。この貫通孔19aに、筒状のガイド部材26が挿通され、感温ケース30がガイド部材26の内側に上下動自在に挿入される。つまり、感温ケース30は、ガイド部材26に案内されつつ、フレーム19に対して上下動可能となっている。
【0030】
ガイド部材26は、筒状で内側に感温ケース30が挿入されるガイド部26aと、ガイド部26aの上端から外周側へ張り出す鍔部26bとを有する。この鍔部26bがフレーム19に引っ掛かり、フレーム19とコイルスプリング16とで挟まれる。これにより、ガイド部材26がフレーム19に対して固定される。また、ガイド部26aは、筒状であって上下に開口を有するとともに、ガイド部26aには、その肉厚を貫通する複数の横孔26a1が形成されている。これにより、冷却液は、ガイド部26aの内外を自由に移動できる。
【0031】
コイルスプリング16は、圧縮ばねであり、弁体15とフレーム19との間に圧縮された状態で配置される。このため、弁体15は、コイルスプリング16で上方(弁座20b側)へ付勢される。この構成によれば、サーモエレメント17の周囲の冷却液が高温になり、サーモエレメント17が伸長すると、弁体15がコイルスプリング16の付勢力に抗して下方へ移動して、弁座20bから離れる。その一方、サーモエレメント17の周囲の冷却液が低温になり、サーモエレメント17が収縮すると、弁体15がコイルスプリング16の付勢力に従って上方へ移動して、弁座20bに近づく。
【0032】
続いて、本実施の形態のカバー部材1について、詳しく説明する。前述のように、カバー部材1は、サーモスタット装置10が相手側部材に組付けられる前の段階で、サーモスタット装置10に装着される。
より具体的には、サーモスタット装置10が部品として製造される製造工程の終了後から、サーモスタット装置10が相手側部材に組付けられる組立工程に入るまでの間に、カバー部材10はサーモスタット装置10に一時的に装着されて、このサーモスタット装置10とともにカバー部材付きサーモスタット装置100を構成する。製造工程と組立工程の間には、サーモスタット装置10を保管する保管工程、サーモスタット装置10を移動、搬送させる搬送工程等が含まれる。
【0033】
カバー部材1は、例えば、PP(ポリプロピレン)により形成され、透明(半透明も含む)で、全体に亘って略均一な厚さを有する。本実施の形態において、カバー部材1は、皿状部11と、これに一体的に連なる筒状部12とを備える。
【0034】
図3に示すように、皿状部11は、その中央部に挿通孔11aを有する。この挿通孔11aには、カバー部材1がサーモスタット装置10に装着された状態で、一対の脚部21,21が挿通される。
図2に示すように、皿状部11は、カバー部材1がサーモスタット装置10に装着された状態で、ガスケット25に被さるように配置される。
【0035】
本実施の形態において、ガスケット25は、ハウジング2の開口20cを取り囲むように配置される環状のシール部25cと、このシール部25c外周から外方へ突出する複数の突起25a,25bと、を有する。ガスケット25において、シール部25cが実質的にハウジング2と相手側部材との間をシールするシール部材として機能し、皿状部11は、このシール部25c全体を覆うように形成されている。
また、突起25a,25bは、皿状部11から外方へはみ出す長さに設定される。本実施の形態では、一つの突起25aがハウジング2からも外周側へ張り出す長さに設定されている。これにより、カバー部材1がサーモスタット装置10に装着されたカバー付きサーモスタット装置100であっても、突起25aが目立ち、突起25aを容易に目視確認できる。
【0036】
筒状部12は、皿状部11の挿通孔11aの開口縁から起立する。
図2に示すように、本実施の形態において、筒状部12は有底筒状で、下端が閉塞されている。そして、カバー部材1がサーモスタット装置10に装着された状態で、筒状部12の内側に一対の脚部21,21と、ガイド部材26が挿入される。
筒状部12の下部は、他の部分よりも内径と外径が小さい小径部12aとなっている。この小径部12aの内側にガイド部材26のガイド部26aが挿入される。小径部12aの内径は、ガイド部26aの外径よりも大きく、ガイド部26aは小径部12aの内側に抵抗なく挿入される。
【0037】
また、筒状部12において、カバー部材1が装着されたサーモスタット装置10の一対の脚部21,21と対向する部分が蛇腹部13となっている。つまり、筒状部12には、一対の脚部21,21と対応して、一対の蛇腹部13,13が設けられている。また、一対の蛇腹部13,13の周方向に連なる部分を、それぞれ中間部12bとすると、一対の蛇腹部13,13は、中間部12bよりも外周側(カバー部材1の中心から離れる側)に配置され、弾性変形可能である。
【0038】
一対の蛇腹部13,13は、一対の脚部21,21に対して、締め代をもつ。これにより、カバー部材1をサーモスタット装置10に装着する際に、一対の脚部21,21は、蛇腹部13を弾性変形させつつ筒状部12に挿入される。このように、一対の脚部21,21が、筒状部12の一対の蛇腹部13,13の間に圧入されるので、カバー部材1がサーモスタット装置10に保持される。
【0039】
図4に示すように、蛇腹部13は、山状に折れ曲がる部分と、谷状に折れ曲がる部分が上下に、交互に連なる形状となっており、折れ曲がる部分がそれぞれ湾曲している。
【0040】
また、筒状部12内周において、カバー部材1がサーモスタット装置10に装着された状態でフレーム19よりも上方となる位置に、内方凸部14が設けられている。本実施の形態では、内方凸部14は、周方向に並べて四つ、中間部12bに設けられている。内方凸部14の表面形状は、球面状である。また、前述の通り、カバー部材1の肉厚は、全体に亘って略均であり、筒状部12を外側から見ると、内方凸部14に対応する部分は、窪んでいる。各内方凸部14は、蛇腹部13と同様に、弾性変形可能である。
そして、カバー部材1をサーモスタット装置10に装着する際に、フレーム19が内方凸部14を乗り越えて内方凸部14の上方へ移動するようになっている。フレーム19が内方凸部14を超えて上方へ移動するときに、内方凸部14を弾性変形させる。なお、フレーム19が内方凸部14を乗り越えた後、内方凸部14は、自身の弾性により、元の形状へ戻る。
【0041】
以上のように、本実施の形態のカバー部材1は、サーモスタット装置10に着脱可能に装着されて、このサーモスタット装置10とともにカバー部材付きサーモスタット装置100を構成する。サーモスタット装置10は、一端に開口20cを有し、この開口20cを取り囲むように溝20dが形成される本体部20と、溝20dの内側であって本体部20の上端(一端)から相対向して起立する一対の脚部21,21と、を有するハウジング2と、溝20dに嵌るガスケット25と、を備える。また、カバー部材1は、内側に一対の脚部21,21が挿通される挿通孔11aを有し、ガスケット25に被さる皿状部11と、挿通孔11aの開口縁から起立して、内側に一対の脚部21,21が圧入される筒状部12と、を備える。この筒状部12の脚部21と対向する部分に蛇腹部13が形成されている。
【0042】
上記構成によれば、カバー部材1がサーモスタット装置10に装着された状態、即ち、カバー部材付きサーモスタット装置100の状態で、ガスケット25が皿状部11で覆われる。このため、カバー部材1をサーモスタット装置10に装着してカバー部材付きサーモスタット装置100とすることで、搬送時の振動等でガスケット25が脱落するのを確実に防止できる。
【0043】
また、上記構成によれば、弾性変形可能な蛇腹部13に脚部21を圧入することで、カバー部材1がサーモスタット装置10に保持されるので、カバー部材1のサーモスタット装置10への着脱を容易にできる。さらに、カバー部材1に蛇腹部13を設けることで、カバー部材1のサーモスタット装置10への取付を可能にしているので、カバー部材1をブロー成形等の安価な方法で形成できる。よって、カバー部材1、及びカバー部材付きサーモスタット装置100を安価にできる。
なお、カバー部材1の成形方法、素材は、適宜変更できる。
【0044】
また、本実施の形態のカバー部材1、及びカバー部材付きサーモスタット装置100によれば、カバー部材1の筒状部12の下端(一端)が塞がれている。これにより、塵、埃等の異物がカバー部材1内に侵入するのを抑制し、サーモスタット装置10が相手側部材に組付けられた後、異物が冷却液内へ混入するのを抑制できる。さらに、異物が弁体15と弁座20bとの間や、ガスケット25と相手側部材との間に噛みこまれて冷却液の漏れが発生するのを抑制できる。
これは、冷却液漏れを確実に防ぐ必要があったり、ダストの多い環境下にサーモスタット装置10が曝されたりする場合に特に有効であるが、筒状部12の下端(一端)や、他の部分に開口が設けられていてもよい。
【0045】
また、本実施の形態において、サーモスタット装置10は、本体部20の内側に形成される弁座20dと、上端(一端)が本体部20に支えられ、温度に応じて伸縮するサーモエレメント17と、このサーモエレメント17の伸縮作動に応じて弁座20dに離着座する弁体15と、この弁体15を上方(弁座20d側)へ付勢するコイルスプリング(付勢部材)16と、一対の脚部21,21に支えられてコイルスプリングの下端(一端)を支持するフレーム19と、を備える。さらに、筒状部12には、内側へ突出する内方凸部14が形成され、この内方凸部14は、カバー部材1がサーモスタット装置10に装着された状態で、フレーム19よりも上側(本体部20側)に位置する。そして、カバー部材1をサーモスタット装置10へ着脱する際に、内方凸部14とフレーム19とが接触し、内方凸部14が弾性変形する。
【0046】
上記構成によれば、カバー部材1がサーモスタット装置10から外れる際に、フレーム19が内方凸部14に干渉するので、搬送時の振動等でカバー部材1がサーモスタット装置10から意図せずに外れるのを抑制できる。
なお、内方凸部14をフレーム19に引っ掛けることで、カバー部材1がサーモスタット装置10に保持されるので、このような場合には、蛇腹部13を廃止し、一対の脚部21,21を筒状部12に挿入するようにしてもよい。この場合においても、カバー部材1のサーモスタット装置10への着脱を容易にできる。さらに、カバー部材1に内方凸部14を設けることで、カバー部材1のサーモスタット装置10への取付を可能にしているので、カバー部材1をブロー成形等の安価な方法で形成できる。よって、カバー部材1、及びカバー部材付きサーモスタット装置100を安価にできる。
【0047】
また、本実施の形態では、内方凸部14の表面形状が球面状となっている。このため、カバー部材1をサーモスタット装置10から外れ難くするため内方凸部14とフレーム19との引っ掛かり代を大きくしたとしても、カバー部材1をサーモスタット装置10に装着し難くなるのを抑制できる。つまり、内方凸部14とフレーム19との引っ掛かり代を確保しやすく、カバー部材1の装着性を損なうことなく外れ難くできる。
【0048】
また、本実施の形態では、筒状部12における内方凸部14の外側に位置する部分が窪んでいる。当該構成によれば、内方凸部14の肉厚を他の部分と同様にできるので、カバー部材1をブロー成形で形成しやすい。さらに、内方凸部14を弾性変形しやすくできるので、内方凸部14とフレーム19との引っ掛かり代を大きくしたとしても、カバー部材1をサーモスタット装置10に装着し難くなるのを抑制できる。つまり、上記構成によっても、カバー部材1の装着性を損なわずに、外れ難くできる。
【0049】
なお、内方凸部14の形状、肉厚、数、及び位置は、適宜変更できる。また、蛇腹部13の締め代の設定等で、カバー部材1がサーモスタット装置10から意図せず外れるのを十分に抑制できる場合には、内方凸部14を廃してもよい。
【0050】
また、本実施の形態では、ガスケット25に、皿状部11の外方へ突出する突起25a,25bが形成されている。当該構成によれば、カバー部材1をサーモスタット装置10に取り付けた状態でも、ガスケット25が装着されていることを容易に目視確認できる。これは、カバー部材1が不透明であったり、透明であってもカバー部材1の外側からガスケット25を視認し難かったりする場合に特に有効であるが、ガスケット25が確実に装着されていれば、突起25a,25bを省略してもよい。
【0051】
ここで、突起25a,25bは、異形(真円以外の形状)のガスケット25を溝20dへ正しい向きで嵌めることを目的としても利用される。このような場合であって、突起25aがハウジング2から外方へ突出していると、サーモスタット装置10の取り扱い時に突起25aを引っ掛けてガスケット25が外れてしまう虞がある。そこで、カバー部材1を装着すると、突起25aを引っ掛けてもガスケット25が容易には外れないので、突起25aを有するガスケット25を有するサーモスタット装置10において、カバー部材1を装着するのが特に有効である。
なお、ガスケット25の形状は、真円であってもよい。また、突起25a,25bは、皿状部11に隠れる長さになっていても、省略されてもよい。
【0052】
また、本実施の形態において、蛇腹部13の山状に折れ曲がる部分と、谷状に折れ曲がる部分は、それぞれ湾曲し、R形状となっている。このため、カバー部材1をサーモスタット装置10から外れ難くするため蛇腹部13の脚部21に対する締め代を大きくしたとしても、カバー部材1をサーモスタット装置10に装着し難くなるのを抑制できる。つまり、上記構成によっても、カバー部材1の装着性を損なわずに、外れ難くできる。
なお、蛇腹部13の山状に折れ曲がる部分と、谷状に折れ曲がる部分の数、形状、ピッチは適宜変更できる。
【0053】
また、本実施の形態では、脚部21が筒状部12に圧入されていて、サーモスタット装置10の脚部21以外の部分は、カバー部材1に干渉しない。このため、カバー部材1をサーモスタット装置10に容易に着脱できる。
しかし、カバー部材1において、例えば、小径部12aに蛇腹部を設け、その内側にガイド部材26のガイド部26aを圧入してもよい。このように、サーモスタット装置10の脚部21以外の部分をカバー部材1に圧入してもよい。
【0054】
以上、本発明の好ましい実施の形態を詳細に説明したが、特許請求の範囲から逸脱しない限り、改造、変形、及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0055】
1 カバー部材
2 ハウジング
10 サーモスタット装置
11 皿状部
12 筒状部
12a 小径部
12b 中間部
13 蛇腹部
14 内側凸部
15 弁体
16 付勢部材
19 フレーム
20 本体部
20b 弁座
20d 溝
21 脚部
25 ガスケット
25a 突起
25b 突起
100 カバー部材付きサーモスタット装置
【手続補正書】
【提出日】2022-04-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
前記した課題を解決するための第一の手段として、本発明に係るカバー部材は、サーモスタット装置に着脱可能に装着されるカバー部材である。前記サーモスタット装置は、一端に開口を有して前記開口を取り囲むように溝が形成される本体部と、前記溝の内側であって前記本体部の一端から相対向して起立する一対の脚部と、を有するハウジングと、前記溝に嵌るガスケットと、を備える。カバー部材は、内側に前記一対の脚部が挿通される挿通孔を有して前記ガスケットに被さる皿状部と、前記挿通孔の開口縁から起立して、内側に前記一対の脚部が圧入される筒状部と、を備え、前記筒状部の前記脚部と対向する部分に蛇腹部が形成されている。
これにより、カバー部材をサーモスタット装置に装着した状態で、ガスケットが皿状部で覆われるので、ガスケットが脱落することはない。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
前記課題を解決する第二の手段として、本発明に係るカバー部材付きサーモスタット装置は、サーモスタット装置と、カバー部材とを備える。前記サーモスタット装置は、一端に開口を有し、前記開口を取り囲むように溝が形成される本体部と、前記溝より内側であって前記本体部の一端から相対向して起立する一対の脚部と、を有するハウジングと、前記溝に嵌るガスケットと、を備える。そして、カバー部材は、内側に前記一対の脚部が挿通される挿通孔を有し、前記ガスケットに被さる皿状部と、前記挿通孔の開口縁から起立して、内側に前記一対の脚部が圧入される筒状部と、を備えたカバー部材と、を備え、前記筒状部の前記脚部と対向する部分に蛇腹部が形成されている。
このように、カバー部材がサーモスタット装置に装着された状態で、ガスケットが皿状部で覆われるので、ガスケットが脱落することはない。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
また、前記した課題を解決するための第三の手段として、本発明に係るカバー部材は、サーモスタット装置に着脱可能に装着されるカバー部材である。前記サーモスタット装置は、一端に開口を有して前記開口を取り囲むように溝が形成される本体部と、前記溝の内側であって前記本体部の一端から相対向して起立する一対の脚部と、を有するハウジングと、前記溝に嵌るガスケットと、前記本体部の内側に形成される弁座と、一端が前記本体部に支えられ、温度に応じて伸縮するサーモエレメントと、前記サーモエレメントの伸縮作動に応じて前記弁座に離着座する弁体と、前記弁体を弁座側へ付勢する付勢部材と、前記一対の脚部に支えられて前記付勢部材の一端を支持するフレームと、を備える。カバー部材は、内側に前記一対の脚部が挿通される挿通孔を有して前記ガスケットに被さる皿状部と、前記挿通孔の開口縁から起立して、内側に前記一対の脚部が挿入される筒状部と、を備え、前記筒状部に内側へ突出する内方凸部が形成されている。前記内方凸部は、前記カバー部材が前記サーモスタット装置に装着された状態で、前記フレームよりも本体部側に位置し、前記カバー部材を前記サーモスタット装置へ着脱する際に、前記内方凸部と前記フレームとが接触し、前記内方凸部が弾性変形する。
これにより、カバー部材をサーモスタット装置に装着した状態で、ガスケットが皿状部で覆われるので、ガスケットが脱落することはない。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
また、前記課題を解決するための第四の手段として、本発明に係るカバー部材付きサーモスタット装置は、サーモスタット装置と、カバー部材とを備える。前記サーモスタット装置は、一端に開口を有して前記開口を取り囲むように溝が形成される本体部と、前記溝の内側であって前記本体部の一端から相対向して起立する一対の脚部と、を有するハウジングと、前記溝に嵌るガスケットと、前記本体部の内側に形成される弁座と、一端が前記本体部に支えられ、温度に応じて伸縮するサーモエレメントと、前記サーモエレメントの伸縮作動に応じて前記弁座に離着座する弁体と、前記弁体を弁座側へ付勢する付勢部材と、前記一対の脚部に支えられて前記付勢部材の一端を支持するフレームと、を備える。カバー部材は、内側に前記一対の脚部が挿通される挿通孔を有して前記ガスケットに被さる皿状部と、前記挿通孔の開口縁から起立して、内側に前記一対の脚部が挿入される筒状部と、を備え、前記筒状部に内側へ突出する内方凸部が形成されている。前記内方凸部は、前記カバー部材が前記サーモスタット装置に装着された状態で、前記フレームよりも本体部側に位置し、前記カバー部材を前記サーモスタット装置へ着脱する際に、前記内方凸部と前記フレームとが接触し、前記内方凸部が弾性変形する。
このように、カバー部材がサーモスタット装置に装着された状態で、ガスケットが皿状部で覆われるので、ガスケットが脱落することはない。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
前記カバー部材では、前記筒状部の一端が塞がれていてもよい。これにより、塵、埃などがカバー部材の内側に侵入するのを防止できる。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0019】
図1に示すように、カバー部材付きサーモスタット装置100は、サーモスタット装置10と、このサーモスタット装置10に取り付けられたカバー部材1とを備える。
サーモスタット装置10は、カバー部材
1が取り外された状態で、エンジン(内燃機関)、バッテリー、燃料電池用スタック等の動力機関の冷却回路に設けられ、冷却液の温度を調節する。その一方、カバー部材1は、サーモスタット装置10が相手側部材(ウォーターポンプ、動力機関のウォータジャケット、これらにサーモスタット装置
10を取り付けるための部材、又は冷却回路を構成する部材等)に組付けられる前の段階で、サーモスタット装置10に一時的に装着されるものであり、サーモスタット装置10が相手側部材に組付けられる際にはサーモスタット装置10から取り外される。
ここでは、カバー部材の取り付けられたサーモスタット装置を「カバー部材付きサーモスタット装置」、カバー部材の取り外されたサーモスタット装置を単に「サーモスタット装置」という。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0021】
本実施の形態において、ハウジング2は、下端(一端)に開口20cが形成される有頂筒状の本体部20と、本体部20の下端外周から外側へ張り出す一対のフランジ3,3と、本体部20の下端開口縁から下方へ相対向して延びる一対の脚部21,21と、本体部20の頂部から斜め上方へ延びるラジエータ側の接続口23とを有する。
サーモスタット装置10が相手側部材に組付けられた状態で、冷却液は、接続口23、本体部20の内側、及び開口20cを通過するようになっており、これらでハウジング2内の流路4が構成される。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0029
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0029】
フレーム19の周縁部は、ハウジング2に形成される一対の脚部21,21の先端部に引っ掛かり、フレーム19はハウジング2に対する下方への移動が阻止される。フレーム19の中心部には、貫通孔が形成されている。この貫通孔に、筒状のガイド部材26が挿通され、感温ケース30がガイド部材26の内側に上下動自在に挿入される。つまり、感温ケース30は、ガイド部材26に案内されつつ、フレーム19に対して上下動可能となっている。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0032
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0032】
続いて、本実施の形態のカバー部材1について、詳しく説明する。前述のように、カバー部材1は、サーモスタット装置10が相手側部材に組付けられる前の段階で、サーモスタット装置10に装着される。
より具体的には、サーモスタット装置10が部品として製造される製造工程の終了後から、サーモスタット装置10が相手側部材に組付けられる組立工程に入るまでの間に、カバー部材1はサーモスタット装置10に一時的に装着されて、このサーモスタット装置10とともにカバー部材付きサーモスタット装置100を構成する。製造工程と組立工程の間には、サーモスタット装置10を保管する保管工程、サーモスタット装置10を移動、搬送させる搬送工程等が含まれる。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0034
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0034】
図3に示すように、皿状部11は、その中央部に挿通
孔を有する。この挿通
孔には、カバー部材1がサーモスタット装置10に装着された状態で、一対の脚部21,21が挿通される。
図2に示すように、皿状部11は、カバー部材1がサーモスタット装置10に装着された状態で、ガスケット25に被さるように配置される。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0036
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0036】
筒状部12は、皿状部11の挿通孔の開口縁から起立する。図3に示すように、本実施の形態において、筒状部12は有底筒状で、下端が閉塞されている。そして、カバー部材1がサーモスタット装置10に装着された状態で、筒状部12の内側に一対の脚部21,21と、ガイド部材26が挿入される。
筒状部12の下部は、他の部分よりも内径と外径が小さい小径部12aとなっている。この小径部12aの内側にガイド部材26のガイド部26aが挿入される。小径部12aの内径は、ガイド部26aの外径よりも大きく、ガイド部26aは小径部12aの内側に抵抗なく挿入される。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0040
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0040】
また、筒状部12内周において、カバー部材1がサーモスタット装置10に装着された状態でフレーム19よりも上方となる位置に、内方凸部14が設けられている。本実施の形態では、内方凸部14は、周方向に並べて四つ、中間部12bに設けられている。内方凸部14の表面形状は、球面状である。また、前述の通り、カバー部材1の肉厚は、全体に亘って略均一であり、筒状部12を外側から見ると、内方凸部14に対応する部分は、窪んでいる。各内方凸部14は、蛇腹部13と同様に、弾性変形可能である。
そして、カバー部材1をサーモスタット装置10に装着する際に、フレーム19が内方凸部14を乗り越えて内方凸部14の下方へ移動するようになっている。フレーム19が内方凸部14を超えて下方へ移動するときに、内方凸部14を弾性変形させる。なお、フレーム19が内方凸部14を乗り越えた後、内方凸部14は、自身の弾性により、元の形状へ戻る。
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0041
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0041】
以上のように、本実施の形態のカバー部材1は、サーモスタット装置10に着脱可能に装着されて、このサーモスタット装置10とともにカバー部材付きサーモスタット装置100を構成する。サーモスタット装置10は、一端に開口20cを有し、この開口20cを取り囲むように溝20dが形成される本体部20と、溝20dの内側であって本体部20の下端開口縁から下方へ相対向して延びる一対の脚部21,21と、を有するハウジング2と、溝20dに嵌るガスケット25と、を備える。また、カバー部材1は、内側に一対の脚部21,21が挿通される挿通孔を有し、ガスケット25に被さる皿状部11と、皿状部11の挿通孔の開口縁から起立して、内側に一対の脚部21,21が圧入される筒状部12と、を備える。この筒状部12の脚部21と対向する部分に蛇腹部13が形成されている。
【手続補正14】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0045
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0045】
また、本実施の形態において、サーモスタット装置10は、本体部20の内側に形成される弁座20bと、上端(一端)が本体部20に支えられ、温度に応じて伸縮するサーモエレメント17と、このサーモエレメント17の伸縮作動に応じて弁座20bに離着座する弁体15と、この弁体15を上方(弁座20b側)へ付勢するコイルスプリング(付勢部材)16と、一対の脚部21,21に支えられてコイルスプリング16の下端(一端)を支持するフレーム19と、を備える。さらに、筒状部12には、内側へ突出する内方凸部14が形成され、この内方凸部14は、カバー部材1がサーモスタット装置10に装着された状態で、フレーム19よりも上側(本体部20側)に位置する。そして、カバー部材1をサーモスタット装置10へ着脱する際に、内方凸部14とフレーム19とが接触し、内方凸部14が弾性変形する。
【手続補正15】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0053
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0053】
また、本実施の形態では、脚部21が筒状部12に圧入されていて、サーモスタット装置10の脚部21以外の部分は、カバー部材1に干渉しない。このため、カバー部材1をサーモスタット装置10に容易に着脱できる。
しかし、カバー部材1において、例えば、小径部12aに蛇腹部13を設け、その内側にガイド部材26のガイド部26aを圧入してもよい。このように、サーモスタット装置10の脚部21以外の部分をカバー部材1に圧入してもよい。
【手続補正16】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0055
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0055】
1 カバー部材
2 ハウジング
10 サーモスタット装置
11 皿状部
12 筒状部
12a 小径部
12b 中間部
13 蛇腹部
14 内方凸部
15 弁体
16 コイルスプリング(付勢部材)
19 フレーム
20 本体部
20b 弁座
20d 溝
21 脚部
25 ガスケット
25a 突起
25b 突起
100 カバー部材付きサーモスタット装置