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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022190732
(43)【公開日】2022-12-27
(54)【発明の名称】レバー操作装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 16/02 20060101AFI20221220BHJP
   G05G 1/01 20080401ALI20221220BHJP
   G05G 1/08 20060101ALI20221220BHJP
   G05G 1/04 20060101ALI20221220BHJP
   H01H 25/00 20060101ALI20221220BHJP
   H01H 25/04 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
B60R16/02 630K
G05G1/01 Z
G05G1/08 A
G05G1/04 Z
H01H25/00 C
H01H25/04 Q
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021099123
(22)【出願日】2021-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】弁理士法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 優樹
(72)【発明者】
【氏名】石榑 伸行
(72)【発明者】
【氏名】臼谷 直士
(72)【発明者】
【氏名】西山 章雄
(72)【発明者】
【氏名】加藤 政弘
(72)【発明者】
【氏名】原 慎二
(72)【発明者】
【氏名】青木 隆行
(72)【発明者】
【氏名】太田 龍佑
(72)【発明者】
【氏名】小杉 利彦
(72)【発明者】
【氏名】松原 伸次
【テーマコード(参考)】
3J070
5G031
【Fターム(参考)】
3J070AA03
3J070AA25
3J070BA51
3J070CA02
3J070CC71
3J070CD11
3J070CE10
3J070DA02
5G031AS32H
5G031BS03H
5G031GS21
(57)【要約】
【課題】ユーザの脚への接触を回避しつつ操作性の低下を抑制するレバー操作装置を提供する。
【解決手段】レバー操作装置1は、車両8のステアリング80と一体に回転すると共に少なくとも上下方向の操作を受け付け、ステアリング80を最大操舵角まで回転させた際、運転席84に着座するユーザの脚が接触しないように周囲に予め定められた領域としての存在可能領域4が設定された操作レバー20と、存在可能領域4から出ないように操作レバー20に配置され、それぞれに実行可能な機能が割り当てられた複数の操作位置を有する操作部3と、を備えて概略構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のステアリングと一体に回転すると共に少なくとも上下方向の操作を受け付け、前記ステアリングを最大操舵角まで回転させた際、運転席に着座するユーザの脚が接触しないように周囲に予め定められた領域が設定された操作レバーと、
前記領域から出ないように前記操作レバーに配置され、それぞれに実行可能な機能が割り当てられた複数の操作位置を有する操作部と、
を備えたレバー操作装置。
【請求項2】
車両のステアリングと一体に回転すると共に少なくとも上下方向の操作を受け付け、前記ステアリングを最大操舵角まで回転させた際、運転席に着座するユーザの脚が接触しないように周囲に予め定められた領域が設定された操作レバーと、
前記領域内であって前記操作レバーの側面に配置されると共に基準操作位置、前記基準操作位置を挟んだ第1の操作位置及び第2の操作位置を有し、操作に応じて切り替わる順番が定められた複数の機能が割り当てられ、前記第1の操作位置方向の操作に応じて第1の順番で前記複数の機能が切り替わり、前記第2の操作位置方向の操作に応じて前記第1の順番とは逆の第2の順番で前記複数の機能を切り替える操作部と、
を備えたレバー操作装置。
【請求項3】
車両のステアリングと一体に回転すると共に少なくとも上下方向の操作を受け付け、前記ステアリングを最大操舵角まで回転させた際、運転席に着座するユーザの脚が接触しないように周囲に予め定められた領域が設定された操作レバーと、
前記領域内であってユーザ側とは反対側の前記操作レバーの側面に配置されると共に複数の操作位置を有し、操作位置によって割り当てられた機能を切り替える操作部と、
を備えたレバー操作装置。
【請求項4】
前記ステアリングを正面から見た場合、前記予め定められた領域の境界が前記ステアリングよりも内側に位置する、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のレバー操作装置。
【請求項5】
前記操作部は、複数の操作位置を有する機械式スイッチである、
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のレバー操作装置。
【請求項6】
前記操作レバーは、前記ステアリングとの隙間が幅の基準として予め定められた指一本より広く、指二本より狭い、
請求項1乃至5のいずれか1項に記載のレバー操作装置。
【請求項7】
前記操作部は、少なくとも前記車両の前照灯及び車幅灯を消灯する機能が割り当てられ、具備する操作位置に応じて前記前照灯を周囲の明るさに応じて消灯、点灯する機能、前記車幅灯を点灯する機能、及び前記前照灯を点灯する機能が割り当てられた、
請求項1乃至6のいずれか1項に記載のレバー操作装置。
【請求項8】
前記操作部は、少なくとも前記車両のワイパ装置を駆動する機能が割り当てられ、具備する操作位置に応じて前記ワイパ装置を雨量に応じて駆動する機能、前記ワイパ装置を、間隔を空けて駆動する機能、前記ワイパ装置を低速でかつ連続で駆動する機能、前記ワイパ装置を高速でかつ連続で駆動する機能、操作を受け付けたときのみ前記ワイパ装置を駆動する機能が割り当てられた、
請求項1乃至6のいずれか1項に記載のレバー操作装置。
【請求項9】
前記ステアリングの前記最大操舵角は、基準位置から左右に90°以上、180°未満の範囲である、
請求項1乃至8のいずれか1項に記載のレバー操作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レバー操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術として、自動車のステアリング近傍で揺動操作可能に配設された操作レバーと、この操作レバーの突端側に配設され、操作レバーの軸線を中心として回転する操作ノブと、を備えたコンビネーションスイッチが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
このコンビネーションスイッチは、操作ノブの回転操作により、車両が具備するリアワイパを動作又は停止させるよう構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-273250号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような従来のコンビネーションスイッチがステアリングと共に回転するように取り付けられた場合、ステアリングを90°以上回転させると操作レバーが運転席に着座するユーザの脚に接触する可能性がある。また従来のコンビネーションスイッチは、接触を回避するために操作レバーをただ短くすると、操作ノブの操作性が低下する問題がある。
【0006】
従って本発明の目的は、ユーザの脚への接触を回避しつつ操作性の低下を抑制するレバー操作装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、車両のステアリングと一体に回転すると共に少なくとも上下方向の操作を受け付け、ステアリングを最大操舵角まで回転させた際、運転席に着座するユーザの脚が接触しないように周囲に予め定められた領域が設定された操作レバーと、領域から出ないように操作レバーに配置され、それぞれに実行可能な機能が割り当てられた複数の操作位置を有する操作部と、を備えたレバー操作装置を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ユーザの脚への接触を回避しつつ操作性の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1(a)は、第1の実施の形態に係るレバー操作装置が配置されたステアリングの一例を示す図であり、図1(b)は、操作レバーの先端部の一例の上面図であり、図1(c)は、レバー操作装置の一例を側面から見た図である。
図2図2(a)は、第1の実施の形態に係るレバー操作装置のブロック図の一例であり、図2(b)は、車両の車両通信システムのブロック図の一例である。
図3図3(a)は、ステアリングを正面方向から見た図の一例であり、図3(b)は、ステアリングを上面方向から見た図の一例である。
図4図4(a)は、第1の実施の形態に係るレバー操作装置の操作位置の一例を示す図であり、図4(b)は、割り当てられた機能が4つの場合の第1の順番及び第2の順番の一例を示す図であり、図4(c)は、割り当てられた機能が6つの場合の第1の順番及び第2の順番の一例を示す図である。
図5図5(a)~図5(c)は、第1の実施の形態に係るレバー操作装置の存在可能領域の一例を説明するための図である。
図6図6(a)は、変形例に係るレバー操作装置の操作部がタッチパッドである場合の一例を示す図であり、図6(b)は、他の変形例に係る操作部がスライドスイッチである場合の一例を示す図である。
図7図7(a)は、第2の実施の形態に係るレバー操作装置の操作位置の一例を示す図であり、図7(b)は、割り当てられた機能が4つの場合の切り替わりの順番の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施の形態の要約)
実施の形態に係るレバー操作装置は、車両のステアリングと一体に回転すると共に少なくとも上下方向の操作を受け付け、ステアリングを最大操舵角まで回転させた際、運転席に着座するユーザの脚が接触しないように周囲に予め定められた領域が設定された操作レバーと、領域から出ないように操作レバーに配置され、それぞれに実行可能な機能が割り当てられた複数の操作位置を有する操作部と、を備えて概略構成されている。
【0011】
このレバー操作装置は、ステアリングを回転させてもユーザの脚が接触しない領域に操作部が設けられているので、この構成を採用しない場合と比べて、ユーザの脚への接触を回避しつつ操作性の低下を抑制することができる。
【0012】
[第1の実施の形態]
(レバー操作装置1の概要)
図1(a)は、レバー操作装置が配置されたステアリングの一例を示す図であり、図1(b)は、操作レバーの先端部の一例の上面図であり、図1(c)は、レバー操作装置の一例を側面から見た図である。図2(a)は、レバー操作装置のブロック図の一例であり、図2(b)は、車両の車両通信システムのブロック図の一例である。なお以下に記載する実施の形態に係る各図において、図形間の比率は、実際の比率とは異なる場合がある。また図2(a)及び図2(b)は、主な信号や情報の流れを矢印で示している。
【0013】
レバー操作装置1は、図1(a)~図1(c)に示すように、車両8のステアリング80と一体に回転すると共に少なくとも上下方向の操作を受け付け、ステアリング80を最大操舵角まで回転させた際、運転席84に着座するユーザの脚が接触しないように周囲に予め定められた領域としての存在可能領域4が設定された操作レバー20と、存在可能領域4から出ないように操作レバー20に配置され、それぞれに実行可能な機能が割り当てられた複数の操作位置を有する操作部3と、を備えて概略構成されている。
【0014】
より具体的には、レバー操作装置1は、操作レバー20と、存在可能領域4内であって操作レバー20の側面に配置されると共に基準操作位置、基準操作位置を挟んだ第1の操作位置及び第2の操作位置を有し、操作に応じて切り替わる順番が定められた複数の機能が割り当てられ、第1の操作位置方向の操作に応じて第1の順番で複数の機能が切り替わり、第2の操作位置方向の操作に応じて第1の順番とは逆の第2の順番で複数の機能を切り替える操作部3と、を備えて概略構成されている。
【0015】
本実施の形態のレバー操作装置1は、図1(a)に示すように、筐体10を挟んで左右にレバー操作部2を備えている。この筐体10は、図1(c)に示すように、ステアリング80に取り付けられている。またレバー操作部2は、先端部21を有する操作レバー20と、操作レバー20の操作位置を検出する検出部22と、を備えている。図2(a)は、ユーザから見て左側のレバー操作部2を紙面の上側、右側のレバー操作部2を紙面の下側に示している。以下では、主に左側のレバー操作部2について説明する。
【0016】
レバー操作装置1は、図2(a)に示すように、操作レバー20の操作方向を判定する制御部12を備えている。またレバー操作装置1は、一例として、図2(b)に示すように、操作対象と共に車両通信システム85を構成している。
【0017】
車両通信システム85は、一例として、レバー操作装置1、車両制御装置851、ライト装置852、ワイパ装置853、方向指示装置854、メインモニタ855、サブモニタ856及び車載装置857が車両LAN(=Local Area Network)850を介して相互に接続されている。
【0018】
車両制御装置851は、車両8を総合的に制御するものであり、自動運転機能などを有している。車両制御装置851は、車両LAN850を介して、レバー操作装置1から取得した後述する操作情報Sに基づいてレバー操作装置1の操作対象を制御する。
【0019】
ライト装置852は、車両8の前照灯及び車幅灯の点灯及び消灯を制御する。ワイパ装置853は、ワイパの駆動を制御する。方向指示装置854は、車両8の左右の方向指示器の点灯と消灯を制御する。
【0020】
メインモニタ855は、一例として、有機EL(=Electro-Luminescence)ディスプレイである。このメインモニタ855は、図1(a)に示すように、センターコンソール86に配置されている。メインモニタ855には、現在地及び目的地の地図や車両8の各種設定画面などが表示される。
【0021】
サブモニタ856は、一例として、有機ELディスプレイである。このサブモニタ856は、図1(a)に示すように、運転席84に着座するユーザの正面となるインストルメントパネル87に配置されている。このサブモニタ856には、速度計などが表示される。
【0022】
車載装置857は、例えば、ナビゲーション装置、音楽再生装置、映像再生装置及び空調装置などである。
【0023】
車両LAN850は、例えば、有線及び無線によって相互に信号や情報などの交換を可能とするCAN(=Controller Area Network)やLIN(=Local Interconnect Network)といった車両用ネットワークである。
【0024】
ステアリング80は、ステアリングシャフト83が接続される基部81と、ユーザが把持する部材である把持部82と、を備えている。基部81には、警笛装置やエアバッグ装置などが配置されている。
【0025】
本実施の形態の把持部82は、一例として、円ではない異形ステアリングとなっているがこれに限定されず、円形であっても良い。
【0026】
(制御部12の構成)
制御部12は、例えば、記憶されたプログラムに従って、取得したデータに演算、加工などを行うCPU(=Central Processing Unit)、半導体メモリであるRAM(=Random Access Memory)及びROM(=Read Only Memory)などから構成されるマイクロコンピュータである。このROMには、例えば、制御部12が動作するためのプログラムが格納されている。RAMは、例えば、一時的に演算結果などを格納する記憶領域として用いられる。
【0027】
制御部12は、左右のレバー操作部2の検出部22から取得した検出信号S及び検出信号Sに基づいてそれぞれの操作レバー20の操作を判定し、操作情報Sとして出力する。
【0028】
また制御部12は、左右のレバー操作部2のそれぞれに配置された操作部3と接続されている。制御部12は、左右の操作部3から取得した検出信号S及び検出信号Sに基づいてそれぞれの操作部3の操作位置を判定し、操作情報Sとして出力する。操作情報Sは、少なくとも操作レバー20ごとの操作の情報、及び操作部3ごとの操作位置の情報を含んだ情報である。
【0029】
(操作レバー20の構成)
図3(a)は、ステアリングを正面方向から見た図の一例であり、図3(b)は、ステアリングを上面方向から見た図の一例である。図3(a)に示すθMaxは、ステアリング80の最大操舵角である。
【0030】
このステアリング80の最大操舵角θMaxは、図3(a)に示すように、基準位置800から左右に90°以上、180°未満の範囲である。本実施の形態の最大操舵角θMaxは、一例として、150°である。図3(a)は、基準位置800に位置するステアリング80と左方向に150°回転させたステアリング80を図示している。基準位置800は、車両8が直進する際のステアリング80の操舵位置である。
【0031】
操作レバー20は、図1(c)に示すように、上下方向(矢印A方向及び矢印B方向)と、上下方向と交差する前方向及び後方向(矢印C方向及び矢印D方向)と、に操作可能に筐体10に支持されている。
【0032】
左側の操作レバー20は、例えば、上方向の操作によって右側の方向指示器を点灯させ、下方向の操作によって左側の方向指示器を点灯させることができる。また当該操作レバー20は、例えば、ユーザから見て押し込む方向である前方向の操作によって前照灯をロービームからハイビームに切り替え、ユーザ側に引く方向である後方向の操作の間だけ、前照灯をハイビームに切り替えることができる。
【0033】
右側の操作レバー20は、例えば、上下方向のみ操作可能となるように筐体10に取り付けられている。当該操作レバー20は、例えば、車両8の変速機の状態を切り替えることができるがこれに限定されない。
【0034】
先端部21は、図1(b)に示すように、先端に向かって背面211に斜面211aが形成されているので先細った形状を有している。この背面211とは、運転席84に着座するユーザから見て裏側となる面である。なお前面210は、ユーザ側の面である。操作部3は、ユーザから見えない面、つまり背面211に配置されている。
【0035】
前面210は、図1(b)に一点鎖線で示す境界線40の内側となるようにされる。また背面211は、図1(b)に一点鎖線で示す境界線41の内側となるようにされる。境界線40及び境界線41は、存在可能領域4を規定する。
【0036】
操作レバー20は、図3(b)に示すように、ステアリング80との隙間5が幅の基準として予め定められた指一本より広く、指二本より狭い。幅の基準となる指90の幅Hは、一例として、平均的な成人の人差指の幅を基準に定められ、およそ2cmである。従ってステアリング80と操作レバー20の先端部21の前面210との隙間5の幅Hは、H<H<2Hの範囲で定められる。
【0037】
この隙間5は、上述のように、指一本分の幅Hを基準に定められている。つまり、図3(b)に示すように、隙間5は、指一本が入る程度であるが、二本分の指が入らないようにされている。従ってユーザは、先端部21を摘んで回転させる操作を行うことは困難である。隙間5が狭いので、ユーザは、把持部82を把持した状態で先端部21を容易に操作することができる。
【0038】
操作レバー20は、筐体10側が細い柱体であり、先端がステアリング80方向に曲がり、曲がった先に先端部21が設けられている。操作レバー20は、この形状に限定されず、根元から先端部21が直線的な形状とされても良い。
【0039】
(検出部22の構成)
検出部22は、操作レバー20の矢印A方向~矢印D方向の操作を検出する。この検出部22は、左右の操作レバー20のそれぞれに配置されている。
【0040】
検出部22は、例えば、操作レバー20に配置された磁石と、筐体10に配置された磁気センサと、によって操作を非接触で検出する構成であっても良いし、操作レバー20に取り付けられた可動接点と、筐体10に配置された固定接点と、によって操作を検出する構成であっても良く、またこれに限定されない。本実施の形態の検出部22は、一例として、磁石と磁気センサとによって操作を検出する構成を有する。
【0041】
(操作部3の構成)
図4(a)は、操作部の一例を示す図であり、図4(b)は、機能の切り替わりの第1の順番及び第2の順番の一例について説明するための図であり、図4(c)は、変形例における機能の切り替わりの第1の順番及び第2の順番の一例について説明するための図である。
【0042】
操作部3は、複数の操作位置を有する機械式スイッチである。本実施の形態の機械式スイッチは、一例として、図4(a)に示すように、小型のトグルスイッチである。このトグルスイッチは、モーメンタリ動作を行う。
【0043】
操作される前の操作部3の操作部材30は、基準操作位置31に位置し、この基準操作位置31から第1の操作位置32及び第2の操作位置33に操作可能となっている。つまり操作部3は、基準操作位置31、第1の操作位置32及び第2の操作位置33の3ポジションを備えている。
【0044】
第1の操作位置32は、ステアリング80を把持した状態で指を伸ばして操作部材30を操作して遷移する操作位置である。第2の操作位置33は、ステアリング80を把持した状態で指を引いて操作部材30を操作して遷移する操作位置である。
【0045】
操作部材30は、円柱形状を有している。この操作部材30は、図4(a)に示すように、第1の操作位置32及び第2の操作位置33に傾ける操作、つまり傾倒操作可能に構成されている。
【0046】
ユーザが操作部材30を基準操作位置31から第1の操作位置32に操作した後、操作部材30から指を離すと、操作部材30は、第1の操作位置32から基準操作位置31に戻るモーメンタリ動作を行う。
【0047】
またユーザが操作部材30を基準操作位置31から第2の操作位置33に操作した後、操作部材30から指を離すと、操作部材30は、第2の操作位置33から基準操作位置31に戻るモーメンタリ動作を行う。
【0048】
左右の操作部3は、操作部材30の基準操作位置31、第1の操作位置32及び第2の操作位置33に応じた検出信号S及び検出信号Sを生成し制御部12に出力する。
【0049】
操作部3は、操作部材30の操作の前後において存在可能領域4から出ないように先端部21に配置されている。本実施の形態の操作部3は、背面211に配置されるがこれに限定されず、存在可能領域4内であれば上面212や下面213などに配置されても良い。以下では、存在可能領域4について説明する。
【0050】
(存在可能領域4について)
図5(a)~図5(c)は、存在可能領域の一例を説明するための図である。図5(a)は、ユーザ9の脚91がステアリング80の最下点よりも上に位置する一例を示している。図5(b)は、ステアリング80の最下点を通る水平線45の一例を示している。図5(c)は、図5(b)のステアリング80とユーザ9の脚91近傍を拡大した図の一例である。
【0051】
操作レバー20の周囲には、存在可能領域4が設定される。この存在可能領域4は、図3(b)に示すように、ステアリング80の把持部82と操作レバー20の前面210の隙間5を規定する境界線40、運転席84に着座するユーザの脚が接触しないための境界線41、及びステアリング80の把持部82を握った状態で指が操作レバー20の先端部21と接触しない境界線42で規定される。図3(b)は、先端部21の上面212方向から見た存在可能領域4を斜線で示している。
【0052】
また存在可能領域4は、図3(b)に示すように、上述の境界線40~境界線42と、筐体10と、で囲まれた面43をステアリング80の最大操舵角θMaxまで回転させた立体の内部である。しかし実質的には、存在可能領域4は、ユーザがステアリング80を把持した状態で操作部3を操作可能である必要があるので、操作レバー20の周囲とされる。
【0053】
また図3(a)及び図3(b)に示すように、ステアリング80を正面から見た場合、存在可能領域4の境界44がステアリング80よりも内側に位置する。これは、存在可能領域4がステアリング80の外にもある場合、先端部21や操作部3がユーザの脚の上方を通るようにステアリング80を回転させた場合、接触する可能性があるからであり、また操作レバー20がステアリング80に近いので、把持部82を握った指の接触を抑制するためである。図3(a)は、ステアリング80を左側に最大操舵角θMaxまで回転させているが左側の先端部21がユーザの脚の上方を通るので、先端部21や操作部3がステアリング80の外にある場合に接触の可能性がある。
【0054】
境界線40は、上述のように、ステアリング80と先端部21の隙間5を規定する線である。また境界線42は、図5(a)に示すように、ユーザがステアリング80を握った状態において指が先端部21の先端面214と接触しない線である。操作レバー20は、ステアリング80の近くに配置されているため、ユーザが運転のために把持部82を握った状態で指が先端部21に接触すると誤操作が生じたり、操作性が低下したりする。境界線42は、把持部82を握った指、つまり指を伸ばすのでなく把持部82を握った際に先端部21に容易に接触しないように定められている。
【0055】
境界線41は、図5(a)~図5(c)に示すように、運転席84に着座するユーザ9のヒップポイント92と膝93に基づいて規定される規定線94に基づいて定められる。図5(b)及び図5(c)は、ヒップポイント92と膝93とを結んだ線を規定線94としている。境界線41は、図5(c)に示すように、規定線94よりステアリング80側に並行移動された線である。
【0056】
図5(a)に示すように、運転席84の座面部840の角度や形状、チルトやテレスコピックによるステアリング80の位置、ユーザ9の体格や座り方などによっては、ステアリング80の最下点を含む水平線45よりも膝93が上に位置する可能性がある。なおユーザ9の脚91は、ステアリング80の最下点の左右に位置するがステアリング80より外に先端部21が位置すると接触する可能性が高くなる。
【0057】
仮にユーザ9の膝93が水平線45よりも上にあった場合、図5(c)に示すように、境界線41の内側に先端部21が位置するので、操作レバー20がユーザ9の脚91に接触することはない。なお先端部21は、図5(c)に示すように、斜面211aによって存在可能領域4から出ないようにされているので、脚91との接触を回避しつつ操作し易く構成されている。
【0058】
(操作部3によって操作される機能について)
左側のレバー操作部2の操作部3は、少なくとも車両8の前照灯及び車幅灯を消灯する機能が割り当てられ、具備する操作位置に応じて前照灯を周囲の明るさに応じて消灯、点灯する機能、車幅灯を点灯する機能、及び前照灯を点灯する機能が割り当てられる。
【0059】
前照灯及び車幅灯は、ライト装置852によって制御される。操作部3は、前照灯及び車幅灯を消灯する機能として第1の機能61、前照灯を周囲の明るさに応じて消灯、点灯する機能として第2の機能62、車幅灯を点灯する機能として第3の機能63、及び前照灯を点灯する機能として第4の機能64が割り当てられている。
【0060】
操作部3は、図4(a)及び図4(b)に示すように、第1の操作位置32の方向の操作に応じて第1の順番6aで第1の機能61~第4の機能64の順で機能を切り替える。図4(a)及び図4(b)の右方向の矢印が第1の順番6aの方向を示している。なお操作部3が操作されていない状態では、基準操作位置31には第1の機能61が割り当てられている。
【0061】
ユーザが操作部3を基準操作位置31から第1の操作位置32に操作すると、第1の順番6aに従って第1の機能61から第2の機能62に切り替わる。続いてユーザが基準操作位置31から第1の操作位置32に操作すると、第2の機能62から第3の機能63に切り替わる。つまりユーザが第1の操作位置32に操作する度に、第1の機能61、第2の機能62、第3の機能63、第4の機能64と切り替わる。なお図4(b)に示すように、第1の順番6aは、ループするように第4の機能64から第1の機能61に切り替わるものとする。この際、サブモニタ856には、現在の機能が表示される。
【0062】
操作部3は、図4(a)及び図4(b)に示すように、第2の操作位置33の方向の操作に応じて第1の順番6aとは逆の第2の順番6bで第1の機能61~第4の機能64の順で機能を切り替える。図4(a)及び図4(b)の左方向の矢印が第2の順番6bの方向を示している。
【0063】
ユーザが操作部3を基準操作位置31から第2の操作位置33に操作すると、第2の順番6bに従って第1の機能61から第4の機能64に切り替わる。続いてユーザが基準操作位置31から第2の操作位置33に操作すると、第4の機能64から第3の機能63に切り替わる。つまりユーザが第2の操作位置33に操作する度に、第1の機能61、第4の機能64、第3の機能63、第2の機能62と切り替わる。なお図4(b)に示すように、第2の順番6bは、ループするように第1の機能61から第4の機能64に切り替わるものとする。
【0064】
ここで変形例として操作部3は、少なくとも車両8のワイパ装置853を駆動する機能が割り当てられ、具備する操作位置に応じてワイパ装置853を雨量に応じて駆動する機能、ワイパ装置853を、間隔を空けて駆動する機能、ワイパ装置853を低速でかつ連続で駆動する機能、ワイパ装置853を高速でかつ連続で駆動する機能、操作を受け付けたときのみワイパ装置853を駆動する機能が割り当てられる。
【0065】
操作部3は、図4(c)に示すように、ワイパ装置853を駆動する機能として第1の機能61、雨量に応じて駆動する機能として第2の機能62、間隔を空けて駆動する機能として第3の機能63、低速でかつ連続で駆動する機能として第4の機能64、高速でかつ連続で駆動する機能として第5の機能65、及び操作を受け付けたときのみワイパ装置853を駆動する機能として第6の機能66が割り当てられている。
【0066】
この変形例でも同様に、第1の順番6aは、第1の操作位置32の方向に操作することで、第1の機能61~第6の機能66の順で機能を切り替える。また第2の順番6bは、第1の機能61、第6の機能66~第2の機能62の順で機能を切り替える。
【0067】
(他の変形例について)
図6(a)及び図6(b)は、操作部の変形例の一例を示す図である。図6(a)は、操作部3がタッチパッド3aである。図6(b)は、操作部3がスライドスイッチ3bである。
【0068】
タッチパッド3aは、操作レバー20の先端部21の背面211に配置されている。このタッチパッド3aは、図6(a)に示すように、操作面30aが矩形状を有している。ユーザは、この操作面30aに対して矢印E方向のなぞり操作を行うことにより第1の順番6aで機能を切り替えることができる。またユーザは、操作面30aに対して矢印F方向のなぞり操作を行うことにより第2の順番6bで機能を切り替えることができる。
【0069】
スライドスイッチ3bは、図6(b)に示すように、スライダ30bを有している。このスライダ30bは、ルート30cに案内されて基準操作位置31aから第1の操作位置32a、基準操作位置31aから第2の操作位置33aに操作可能とされている。
【0070】
ユーザは、基準操作位置31aから第1の操作位置32aにスライダ30bを操作することで、第1の順番6aで機能を切り替えることができる。またユーザは、基準操作位置31aから第2の操作位置33aにスライダ30bを操作することで、第2の順番6bで機能を切り替えることができる。
【0071】
他の変形例として操作部3は、例えば、背面211に一部が露出するように先端部21内に配置された回転ホイールを操作部材30として備えても良いし、十字方向に操作可能な十字キーやジョイステックを操作部材30として備えても良い。
【0072】
(第1の実施の形態の効果)
従来、操作レバーがステアリングと共に回転しない、つまり操作レバーがステアリングコラムに取り付けられている場合、ユーザは、ステアリング操作中、操作レバーに指が届かないこともあるので、ステアリングから手を離して操作するなど操作性が良くなかった。その一方で、操作レバーは、ステアリングと共に回転しないので、ユーザの脚に接触することはなかった。また従来、操作レバーがステアリングと共に回転する場合、ユーザは、ステアリング操作中であっても指が届く位置に操作レバーがあるので、操作性が良かった。また一方で、操作レバーは、ステアリングと共に回転するので、ユーザの脚に接触しないように単に短くすると操作性が悪く、操作性を良くしようとするとユーザの姿勢や車両の種類などによっては脚に接触する可能性があった。
【0073】
本実施の形態のレバー操作装置1は、ステアリング80と共に回転し、かつユーザの姿勢などを考慮して定められた存在可能領域4に操作レバー20及び操作部3が含まれるように構成されているので、上述の従来のものと比べて、ユーザの脚への接触を回避しつつ操作性の低下を抑制することができる。
【0074】
レバー操作装置1は、多機能スイッチである操作部3の操作スペースを確保しつつ、操作レバー20の先端部21に操作部3を配置することができる。本実施の形態のレバー操作装置1は、操作部3として小型なトグルスイッチを採用しているので、操作スペースが狭く、また配置スペースの小さい場所に配置することができる。
【0075】
レバー操作装置1は、存在可能領域4が定められることで、先端部21を大きくすることができるので、存在可能範囲を設定しない場合と比べて、先端部21を介した操作レバー20の操作性が良くなる。
【0076】
レバー操作装置1は、ステアリング80の把持部82と先端部21の前面210の隙間5が指一本分程度にされているので、先端部21を回転させる回転スイッチを配置しても操作することが困難となる。しかしレバー操作装置1は、操作部3によって回転スイッチと同様に多くの機能を操作することができる。
【0077】
レバー操作装置1は、操作部3がモーメンタリ動作を行い、かつ複数の機能を第1の順番6a及び第2の順番6bで切り替えることができるので、この構成を採用しない場合と比べて、操作位置よりも多くの機能が割り当てられ、また所望の機能を素早く選択することができる。
【0078】
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態は、操作部がオルタネイト動作を行う点で第1の実施の形態と異なっている。
【0079】
図7(a)は、操作部の一例を示す図であり、図7(b)は、オルタネイト動作による機能の切り替えの一例を示す図である。なお以下に記載する実施の形態において、第1の実施の形態と同じ機能及び構成を有する部分は、第1の実施の形態と同じ符号を付し、その説明は省略するものとする。
【0080】
本実施の形態のレバー操作装置1は、車両8のステアリング80と一体に回転すると共に少なくとも上下方向の操作を受け付け、ステアリング80を最大操舵角θMaxまで回転させた際、運転席84に着座するユーザの脚が接触しないように周囲に予め定められた領域としての存在可能領域4が設定された操作レバー20と、存在可能領域4内であってユーザ側とは反対側の操作レバー20の背面211に配置されると共に複数の操作位置を有し、操作位置によって割り当てられた機能を切り替える操作部3と、を備えて概略構成されている。
【0081】
本実施の形態の操作部3は、例えば、図7(a)に示すように、操作部材30dを有している。また操作部3は、操作位置に応じて機能が割り当てられている。つまり操作部3は、操作位置の数と割り当てられた機能の数が同数である。
【0082】
操作部3は、図7(b)に示すように、操作部材30dの第1の操作位置31b~第4の操作位置34bに対応して第1の機能61~第4の機能64が割り当てられている。ユーザは、例えば、第1の操作位置31bから第2の操作位置32bに操作部材30dを操作すると、第1の機能61から第2の機能62に機能を切り替えることができる。この際、操作部材30dは、オルタネイト動作を行うので、第1の操作位置31bに戻らず、第2の操作位置32bに留まる。
【0083】
(第2の実施の形態の効果)
本実施の形態のレバー操作装置1は、操作部3がオルタネイト動作を行うので、この構成を採用しない場合と比べて、操作位置と機能とが一対一対応となり、機能を選択し易い。
【0084】
以上述べた少なくとも1つの実施の形態のレバー操作装置1によれば、ユーザの脚への接触を回避しつつ操作性の低下を抑制することができる。
【0085】
以上、本発明のいくつかの実施の形態及び変形例を説明したが、これらの実施の形態及び変形例は、一例に過ぎず、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。これら新規な実施の形態及び変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。また、これら実施の形態及び変形例の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない。さらに、これら実施の形態及び変形例は、発明の範囲及び要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0086】
1…レバー操作装置、2…レバー操作部、3…操作部、4…存在可能領域、5…隙間、6a…第1の順番、6b…第2の順番、8…車両、20…操作レバー、21…先端部、31,31a…基準操作位置、32,32a…第1の操作位置、33,33a…第2の操作位置、31b~34b…第1の操作位置~第4の操作位置、61~65…第1の機能~第6の機能、80…ステアリング、84…運転席、91…脚、852…ライト装置、853…ワイパ装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7