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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022190734
(43)【公開日】2022-12-27
(54)【発明の名称】乗物用荷室構造
(51)【国際特許分類】
   B60R 5/04 20060101AFI20221220BHJP
   B60N 3/00 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
B60R5/04 Z
B60N3/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021099129
(22)【出願日】2021-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】玉樹 幸祐
(72)【発明者】
【氏名】水野 辰也
(72)【発明者】
【氏名】内藤 陽平
【テーマコード(参考)】
3B088
3D022
【Fターム(参考)】
3B088CA06
3D022BA20
3D022BB01
3D022BB04
3D022BC08
(57)【要約】
【課題】物品を円滑に収納することができる乗物用荷室構造を提供する。
【解決手段】自動車1の荷室2を構成する荷室構造100であって、荷室2の底を構成する底壁部10と、底壁部10から立ち上がり、荷室2の壁を構成する側壁部20と、収納部品4と、を備え、収納部品4は、側壁部20に取り付け可能な取付部30と、取付部30に対し開閉可能に接続された開閉部40と、開閉部40のうち取付部30に接続された下端部41とは反対側の上端部42において回動可能に設けられた把持部50と、を備え、開閉部40は、上端部42が取付部30に近接した閉状態と、上端部42が取付部30から離間した開状態と、に状態を変更可能とされ、把持部50は、開閉部40が開状態である場合に、底壁部10側に回動して底壁部10に当接する当接部53を備えること。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗物の荷室を構成する乗物用荷室構造であって、
前記荷室の底を構成する底壁部と、
前記底壁部から立ち上がり、前記荷室の壁を構成する側壁部と、
乗物用収納部品と、を備え、
前記乗物用収納部品は、
前記側壁部に取り付け可能な取付部と、
前記取付部に対し開閉可能に接続された開閉部と、
前記開閉部のうち前記取付部に接続された一端部とは反対側の反対端部において回動可能に設けられた把持部と、を備え、
前記開閉部は、
前記反対端部が前記取付部に近接した閉状態と、
前記反対端部が前記取付部から離間した開状態と、に状態を変更可能とされ、
前記把持部は、前記開閉部が前記開状態である場合に、前記底壁部側に回動して前記底壁部に当接する当接部を備えることを特徴とする乗物用荷室構造。
【請求項2】
前記側壁部は、少なくとも乗物上下方向に並んで配された複数の孔部を備え、
前記取付部は、前記孔部に差し込み可能な差込部を備え、
前記把持部は、前記反対端部に取り付けられた調節部であってその取り付け位置を変更することで前記反対端部と前記当接部との間の距離を調節可能とされる調節部を備えることを特徴とする請求項1に記載の乗物用荷室構造。
【請求項3】
前記当接部は、前記反対端部よりも乗物室内側において前記底壁部に当接することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の乗物用荷室構造。
【請求項4】
前記乗物用収納部品は、物品を収納可能な収納部を備え、
前記収納部は、
前記反対端部から立ち上がった前面部と、
前記前面部の両側の側端部と前記取付部とを繋ぐ一対の側面部と、を備え、
前記開閉部が前記閉状態である場合に、前記前面部が前記開閉部に重ねられ前記側面部が折り曲げられることで、当該収納部が前記開閉部と前記取付部との間に折り畳まれ、
前記開閉部が前記開状態である場合に、前記開閉部上において当該収納部が物品を収納可能な形に展開されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の乗物用荷室構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、乗物用荷室構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、様々な物品を収納するための箱について、折り畳みが可能な構成を備えるものが提案されている。例えば、特許文献1には、小型に折り畳みが可能であって、組み立てた時の強度を十分に保ち得る箱が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平06-298245号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示の箱は、使用時の組み立て操作の簡便性については何ら検討がなされていない。このような箱を、例えば、乗物の荷室に設けた場合、使用者が荷物を持つなどして片手が塞がれた状態であっても、当該箱を円滑に使用状態に移行できることが望ましい。また、このような箱を荷室の側方の壁部に設けた場合、箱の片側に負荷がかかり、物品を安定して収納しにくくなる。
【0005】
本開示は上記のような事情に基づいて完成された技術であって、物品を円滑に収納することができる乗物用荷室構造を提供することを目的の一つとする。また、物品を安定して収納することができる乗物用荷室構造を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、乗物の荷室を構成する乗物用荷室構造であって、前記荷室の底を構成する底壁部と、前記底壁部から立ち上がり、前記荷室の壁を構成する側壁部と、乗物用収納部品と、を備え、前記乗物用収納部品は、前記側壁部に取り付け可能な取付部と、前記取付部に対し開閉可能に接続された開閉部と、前記開閉部のうち前記取付部に接続された一端部とは反対側の反対端部において回動可能に設けられた把持部と、を備え、前記開閉部は、前記反対端部が前記取付部に近接した閉状態と、前記反対端部が前記取付部から離間した開状態と、に状態を変更可能とされ、前記把持部は、前記開閉部が前記開状態である場合に、前記底壁部側に回動して前記底壁部に当接する当接部を備えることに特徴を有する。
【0007】
このような乗物用荷室構造によると、使用者が把持部を把持して反対端部を取付部に対し近接又は離間させることで、開閉部の状態を閉状態や開状態に変更することができる。また、把持部は、開閉部が開状態である場合に、当接部が底壁部側に回動して底壁部に当接することで、反対端部を底壁部側から支持することができる。これにより、開状態にある開閉部上に、物品を載置した場合であっても、把持部によって開閉部の反対端部を底壁部側から支持することができるので、取付部に負荷がかかることを抑制することができる。
【0008】
上記構成において、前記側壁部は、少なくとも乗物上下方向に並んで配された複数の孔部を備え、前記取付部は、前記孔部に差し込み可能な差込部を備え、前記把持部は、前記反対端部に取り付けられた調節部であってその取り付け位置を変更することで前記反対端部と前記当接部との間の距離を調節可能とされる調節部を備えていてもよい。このような乗物用荷室構造によると、差込部を差し込む孔部を適宜変更して側壁部に対する乗物用収納部品の取り付け位置が上下に変更されたとしても、調節部において反対端部と当接部との間の距離を調節することで、当接部を底壁部に安定して当接させることができる。
【0009】
上記構成において、前記当接部は、前記反対端部よりも乗物室内側において前記底壁部に当接していてもよい。このような乗物用荷室構造によると、把持部が開閉部をより安定して底壁部側から支持することができる。
【0010】
上記構成において、前記乗物用収納部品は、物品を収納可能な収納部を備え、前記収納部は、前記反対端部から立ち上がった前面部と、前記前面部の両側の側端部と前記取付部とを繋ぐ一対の側面部と、を備え、前記開閉部が前記閉状態である場合に、前記前面部が前記開閉部に重ねられ前記側面部が折り曲げられることで、当該収納部が前記開閉部と前記取付部との間に折り畳まれ、前記開閉部が前記開状態である場合に、前記開閉部上において当該収納部が物品を収納可能な形に展開されることとしてもよい。このような乗物用荷室構造によると、収納部の折り畳みと展開とを簡便に行うことができる。また、開状態における開閉部上のスペースを有効に活用することができる。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、物品を円滑に収納することができる乗物用荷室構造が提供可能となる。また、物品を安定して収納することができる乗物用荷室構造が提供可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態に係る荷室の一部を後上方から視た斜視図
図2】乗物用荷室構造を後上方から視た斜視図
図3】乗物用収納部品の分解斜視図
図4】乗物用収納部品を車室外側(背面側)から視た斜視図
図5】取付ボードの一部を車室外側から視た図
図6】差込部を孔部に差し込んだ状態を示す断面図(図5のVI-VI線断面)
図7】開状態において前面部が折り畳まれた態様を示す斜視図
図8】開状態において収納部が展開された態様を示す斜視図
図9】開状態において把持部の取り付け位置が上方に変更された態様を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0013】
<実施形態>
本開示の実施形態を図1から図9によって説明する。本実施形態では、自動車(乗物)1の荷室2を構成する荷室構造(乗物用荷室構造)100を説明する。尚、矢印方向FRを前方、矢印方向RRを後方、矢印方向Uを上方、矢印方向Dを下方、矢印方向INを車室内側、矢印方向OUTを車室外側として各図を説明する。
【0014】
図1に示すように、自動車1の車室内において、後部座席3の後方に配された荷室2には、荷室構造100が設けられている。荷室構造100は、荷室2の底を構成する底壁部10と、底壁部10の左右方向における端部から立ち上がり、荷室2の左右側の壁を構成する側壁部20と、収納部品(乗物用収納部品)4と、を備える。尚、本実施形態では、左右側の壁のうち、左側の側壁部20側に設けられた収納部品4に係る荷室構造100について説明する。
【0015】
底壁部10は、例えば、板状のデッキボードとされ、取り外しや折り畳みが可能な構成とされている。底壁部10上には、荷物(物品)を載置することができる。底壁部10の下方には、工具等を収納することができる収納空間(不図示)が設けられている。側壁部20は、サイドトリムと呼ばれることがあり、上下前後方向に広がっている。側壁部20は、一部が、ホイールハウス等の他部材の形状に沿って曲がった形をなしていてもよい。
【0016】
側壁部20は、板状の取付ボード21と、取付ボード21において前後方向及び上下方向に並ぶように複数配され、車幅方向に貫通形成された孔を形成する孔部22と、を備える。複数の孔部22は、前後方向において等間隔に並んだ孔部22の列が、上下方向において一段ごとに前後方向に半ピッチずつずれた形で複数段並んで配されている。
【0017】
図1から図4に示すように、収納部品4は、側壁部20に取り付け可能な取付部30と、取付部30に対し開閉可能に接続された開閉部40と、開閉部40に対し回動可能に設けられた把持部50と、を備える。取付部30は、前後上下方向に広がる板状とされる。図4に示すように、取付部30は、背面(車室外側の面)30Bから車室外側に突出し、孔部22に差し込み可能な複数の差込部31を備える。差込部31は、取付部30の背面30Bの前上部分と後上部分とに一つずつ設けられている。
【0018】
図6に示すように、差込部31は、先端部32と、先端部32よりも車室内側(開閉部40側)に配された中間部33と、を備える。先端部32及び中間部33は、いずれも円柱状をなしている。中間部33の直径(図6において上下方向における距離)D2は、先端部32の直径D1よりも小さい。中間部33における車室内側(取付部30の背面30B側)の部分には、円環状をなしており、差込部31よりも軟質の材料(差込部31よりも弾性率が低い材料)からなる軟質材34Aが取り付けられている。その材料としては、シリコンゴム等の合成ゴム(エラストマー)を採用することができる。軟質材34Aは、その外径D4が先端部32の直径D1よりも大きく、その内径D5が先端部32の直径D1よりも小さい。
【0019】
図5は、取付ボード21を車室外側から視た図であり、孔部22に差込部31が差し込まれた状態を示している。差込部31は、複数の孔部22のうちいずれか一つの孔部22に対して選択的に差し込むことができる。孔部22は、円形状に開口した円孔部23と、円孔部23周りに120度間隔となる位置に配され、円孔部23の中心から放射状に延びる形で開口した複数の長孔部24と、を備える。複数の長孔部24は、円孔部23から前上方向、後上方向、及び下方向に延びた3つの長孔からなる。円孔部23の開口の直径D6は、差込部31の先端部32の直径D1よりも大きく、軟質材34Aの外径D4よりも小さい。長孔部24の開口幅D7は、中間部33の直径D2に等しい(またはわずかに大きい)。
【0020】
図5及び図6に示すように、差込部31は、先端部32を円孔部23に差し込み、中間部33を長孔部24に嵌め込むようにスライドすることで、孔部22に取り付けることができる(この状態を、取付状態と呼ぶ)。図5及び図6では、中間部33が下方向に延びた長孔部24に嵌め込まれるように、差込部31が下方にスライドした態様を示している。取付状態では、取付部30が側壁部20の車室内側において任意の位置に固定され、取付部30の背面30Bが取付ボード21の正面(車室内側の面)21Aに対向している。
【0021】
孔部22の周囲には、複数の突起部26と、複数のスペーサ25と、が設けられている。突起部26は、取付ボード21から車室外側に半球状に突出している。長孔部24の開口末端の両側には、2つの突起部26が対になる形で設けられている。取付状態では、先端部32が突起部26に乗り上がって、軟質材34Aが取付部30の背面30Bによって取付ボード21に押し潰されている。
【0022】
スペーサ25は、3つの円孔部23の間に設けられている。スペーサ25は、3つのリブが120度間隔で放射状に配されてなる。図6に示すように、取付ボード21は、側壁部20において大部分を占める側壁本体部20Aに対しスペーサ25を介して車室内側に取り付けられている。取付ボード21と側壁本体部20Aとの間には、スペーサ25分の間隔が設けられている。
【0023】
図2から図4に示すように、開閉部40は、取付部30の正面(車室内側の面)車室内側に重畳可能な板状をなしている。図3及び図7に示すように、開閉部40の下端部(一端部)41は、膜状の接続部36を介して取付部30の下端部に接続されている。開閉部40は、下端部41の反対側に位置する上端部(反対端部)42が、下端部41側を回動軸として、取付部30の上端部から近接又は離間するように回動することができる。尚、接続部36の形状は、特に限定されず、例えばヒンジであってもよい。
【0024】
図1から図4では、開閉部40の上端部42が取付部30の上端部に近接して(車室外側に変位して)、開閉部40が取付部30に重畳した閉状態を示している。図7から図9では、開閉部40の上端部42が取付部30の上端部から離間して(車室内側に変位して)、開閉部40が取付部30に対し90度開いた開状態を示している。開閉部40は、上端部42に取り付けられた把持部50を使用者が把持して車室内外方向に力を加えることで、その状態を、閉状態と開状態とに変更可能とされる。
【0025】
図3に示すように、開閉部40は、上端部42において、前後両側の面42Aから前後方向に突出した一対の凸部43を備える。凸部43は、円柱状をなしており、把持部50の溝部54に嵌合する。
【0026】
把持部50は、前後方向に延在した四角柱状の上側部51と、上側部51の前後両側から下方に延在した四角柱状の2つの調節部52と、2つの調節部52の下端部を車室内側において繋ぐように前後方向に延在した四角柱状の当接部53と、を備え、全体として枠状をなしている。図2に示すように、上側部51は、開閉部40の上端部42から離間した位置に配される(把持部50が開閉部40に対し回動した場合でも、上側部51と上端部42との間には隙間が設けられるように、後述する溝部54の直線部54Aの上下方向における長さが設定されている)。これにより、使用者が上側部51を把持し易く、スムーズに開閉部40を開閉できる。
【0027】
図3に示すように、2つの調節部52は、上側部51の左右両側と当接部53の左右両側とを繋ぐ形で対になるように設けられている。調節部52は、内側面52Aから内部側に向かって凹状に窪んだ溝部54を備える。溝部54は、上下方向(上側部51側と当接部53側)に延びる直線状の直線部54Aと、直線部54Aから車室外側(取付部30側)に延びて下方(当接部53側)に鉤状に曲がった鉤状部54Bと、を備える。鉤状部54Bは、直線部54Aの上下方向における中央から上側において複数(4つ)設けられている。複数の鉤状部54Bは、調節部52の延在方向に並んで配されている。隣り合う2つの鉤状部54B間の距離は、鉛直方向において隣り合う2つの孔部22間の距離に等しい。
【0028】
把持部50は、溝部54に開閉部40の凸部43が嵌め込まれることで、開閉部40の上端部42に対し、凸部43を回動軸として回動可能に取り付けられている。溝部54に嵌め込まれた凸部43は、直線部54Aと複数の鉤状部54Bとを摺動することができる。図8に示すように、調節部52は、開状態において、下側に設けられた鉤状部54Bに嵌め込まれた凸部43を、直線部54Aを通して上方に摺動させ、図9に示すように、上側に設けられた鉤状部54Bに嵌め込むと、開閉部40の上端部42に対する取り付け位置(溝部54に嵌め込まれた凸部43の位置)を高い位置に変更することができる。このとき、開閉部40の上端部42と当接部53との間の距離が、大きくなる。同様に、調節部52は、上側に設けられた鉤状部54Bに嵌め込まれた凸部43を、直線部54Aを通して下方に摺動させ、下側に設けられた鉤状部54Bに嵌め込むと、開閉部40の上端部42に対する取り付け位置を低い位置に変更することができる。このとき、開閉部40の上端部42と当接部53との間の距離が、小さくなる。このようにして、調節部52は、開閉部40の上端部42に対する取り付け位置を変更することで、上端部42と当接部53との間の距離を調節可能とされる。
【0029】
図2に示す閉状態では、把持部50の調節部52の長辺方向(上下方向)が開閉部40の前後両側の面42Aの長辺方向(上下方向)に対し平行になるように、把持部50が位置している。図7に示す開状態では、調節部52の長辺方向(上下方向)が開閉部40の前後両側の面42Aの長辺方向(車室内外方向)に対し直交するように、把持部50が位置している。荷室構造100は、開閉部40の状態が閉状態から開状態に変更された場合、後方視、開閉部40が取付部30に対し時計回りに90度回動し、把持部50が開閉部40に対し反時計回りに90度回動する。このとき、当接部53は、底壁部10側に回動し、開閉部40の上端部42よりも車室内側において、底壁部10に当接する。一方、荷室構造100は、開閉部40の状態が開状態から閉状態に変更された場合、後方視、開閉部40が取付部30に対し反時計回りに90度回転し、把持部50が開閉部40に対し時計回りに90度回転する。このとき、当接部53は、開閉部40における下端部41の車室内側に位置する。
【0030】
図8に示すように、収納部品4は、物品を収納可能な収納部60を備える。収納部60は、開閉部40の上端部42から立ち上がった膜状の前面部61と、前面部61の前後両側の側端部と取付部30とを繋ぐ膜状の一対の側面部62と、を備える。収納部60は、開閉部40が閉状態である場合に、取付部30の正面(車室内側の面)30Aと、開閉部40の内面(閉状態において取付部30の正面30Aに対向する面)40Aと、の間に折り畳まれる。このとき、前面部61が開閉部40の内面40Aに重ねられ、側面部62が折り目62A,62Bを基準として内側(接続部36側)に2回折り曲げられる。尚、図7では、側面部62が折り目62Aを基準として1回折り曲げられた態様を示している。この状態から、側面部62が折り目62Bを基準としてさらに1回折り曲げられると、収納部60が取付部30と開閉部40との間に折り畳まれ、開閉部40が閉状態となる。
【0031】
図8に示すように、収納部60は、開閉部40が開状態である場合に、開閉部40の内面40A上において当該収納部60が物品を収納可能な形に展開される。具体的には、収納部60は、開閉部40の内面40Aを底とし、取付部30の正面30Aと、前面部61と、一対の側面部62と、を内面40Aから立ち上がった壁とする、上方に開口した箱状の形として展開することができる。開閉部40が開状態であって収納部60が箱状に展開された状態では、前面部61は、把持部50の上側部51によって車室内側から支持されている。
【0032】
続いて、本実施形態の効果について説明する。本実施形態では、自動車1の荷室2を構成する荷室構造100であって、荷室2の底を構成する底壁部10と、底壁部10から立ち上がり、荷室2の壁を構成する側壁部20と、収納部品4と、を備え、収納部品4は、側壁部20に取り付け可能な取付部30と、取付部30に対し開閉可能に接続された開閉部40と、開閉部40のうち取付部30に接続された下端部41とは反対側の上端部42において回動可能に設けられた把持部50と、を備え、開閉部40は、上端部42が取付部30に近接した閉状態と、上端部42が取付部30から離間した開状態と、に状態を変更可能とされ、把持部50は、開閉部40が開状態である場合に、底壁部10側に回動して底壁部10に当接する当接部53を備える荷室構造100を示した。
【0033】
このような荷室構造100によると、使用者が把持部50を把持して上端部42を取付部30に対し近接又は離間させることで、開閉部40の状態を閉状態や開状態に変更することができる。また、把持部50は、開閉部40が開状態である場合に、当接部53が底壁部10側に回動して底壁部10に当接することで、上端部42を底壁部10側から支持することができる。これにより、開状態にある開閉部40上に、物品を載置した場合であっても、把持部50によって開閉部40の反対端部を底壁部10側から支持することができるので、取付部30に負荷がかかることを抑制することができる。
【0034】
また、側壁部20は、少なくとも上下方向に並んで配された複数の孔部22を備え、取付部30は、孔部22に差し込み可能な差込部31を備え、把持部50は、上端部42に取り付けられた調節部52であってその取り付け位置を変更することで上端部42と当接部53との間の距離を調節可能とされる調節部52を備えている。このような荷室構造100によると、差込部31を差し込む孔部22を適宜変更して側壁部20に対する収納部品4の取り付け位置が上下に変更されたとしても、調節部52において上端部42と当接部53との間の距離を調節することで、当接部53を底壁部10に安定して当接させることができる。
【0035】
また、当接部53は、上端部42よりも車室内側において底壁部10に当接する。このような荷室構造100によると、把持部50が開閉部40をより安定して底壁部10側から支持することができる。
【0036】
また、収納部60品4は、物品を収納可能な収納部60を備え、収納部60は、上端部42から立ち上がった前面部61と、前面部61の両側の側端部と取付部30とを繋ぐ一対の側面部62と、を備え、開閉部40が閉状態である場合に、前面部61が開閉部40に重ねられ側面部62が折り曲げられることで、当該収納部60が開閉部40と取付部30との間に折り畳まれ、開閉部40が開状態である場合に、開閉部40上において当該収納部60が物品を収納可能な形に展開される。このような荷室構造100によると、収納部60の折り畳みと展開とを簡便に行うことができる。また、開状態における開閉部40上のスペースを有効に活用することができる。
【0037】
<他の実施形態>
本開示は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されず、例えば次のような実施形態も本開示の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0038】
(1)上記実施形態以外にも、把持部の形は適宜変更可能である。本実施形態では、把持部は、枠状としたが、これに限られない。例えば、把持部は、上側部を備えておらず、乗物室内側から視た場合にコの字状をなしていてもよい。その場合、当接部は、閉状態において開閉部の凸部の上側に回動していてもよい。開状態に変更する場合は、凸部の上側に位置した当接部を、後方視時計回りかつ底壁部側に回動させて当該当接部を底壁部に当接させてもよい。尚、乗物用収納部品において使用者によって把持される部分は、特に限定されない。
【0039】
(2)収納部が折り畳まれる態様は特に限定されない。例えば、側面部が蛇腹状に折り畳まれてもよい。また、収納部は、取付部の正面や開閉部の内面に貼り付けられた膜状体を備えていてもよい。さらに、側面部は、膜状に限らず、紐状、帯状等であってもよい。
【0040】
(3)上記実施形態では、荷室の左側の壁を構成する側壁部に対して乗物用収納部品を取り付けた態様を示したが、これに限られない。例えば、荷室の右側の壁を構成する側壁部に対して、上記実施形態とは左右対称となる形で乗物用収納部品を取り付けてもよい。
【0041】
(4)上記実施形態で例示した乗物用荷室構造は、車両用に限られず、種々の乗物において提供されてもよい。例えば、地上の乗物としての列車や遊戯用車両、飛行用乗物としての飛行機やヘリコプター、海上や海中用乗物としての船舶や潜水艇などの乗物についても上記乗物用荷室構造を適用することができる。
【符号の説明】
【0042】
1…自動車(乗物)、2…荷室、4…収納部品(乗物用収納部品)、10…底壁部、20…側壁部、21…取付ボード、22…孔部、30…取付部、31…差込部、40…開閉部、41…下端部(一端部)、42…上端部(反対端部)、50…把持部、52…調節部、53…当接部、60…収納部、61…前面部、62…側面部、100…荷室構造(乗物用荷室構造)
図1
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図9