IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ミルボンの特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022019075
(43)【公開日】2022-01-27
(54)【発明の名称】毛髪用組成物および毛髪処理方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/73 20060101AFI20220120BHJP
   A61K 8/06 20060101ALI20220120BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20220120BHJP
   A61K 8/31 20060101ALI20220120BHJP
   A61Q 5/00 20060101ALI20220120BHJP
   A61Q 5/06 20060101ALI20220120BHJP
【FI】
A61K8/73
A61K8/06
A61K8/81
A61K8/31
A61Q5/00
A61Q5/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020122647
(22)【出願日】2020-07-17
(71)【出願人】
【識別番号】592255176
【氏名又は名称】株式会社ミルボン
(72)【発明者】
【氏名】井口 亮
(72)【発明者】
【氏名】瀧野 雄介
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB032
4C083AB051
4C083AB052
4C083AC172
4C083AC182
4C083AC241
4C083AC242
4C083AC352
4C083AC422
4C083AD021
4C083AD022
4C083AD091
4C083AD092
4C083AD172
4C083AD241
4C083AD242
4C083BB05
4C083CC31
4C083CC32
4C083EE06
4C083EE07
(57)【要約】
【課題】貯蔵弾性率を高める際に伴い易い延びの悪化および塗布後の毛髪におけるべたつく感触を抑えることが可能な毛髪用組成物、及び当該組成物を使用する毛髪処理方法の提供。
【解決手段】毛髪用組成物は、水中油型のものであって、ヒドロキシプロピルデンプンリン酸及び/又はその塩と、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体と、が配合され、ヒドロキシプロピルデンプンリン酸及びその塩の配合量が1.5質量%以上、固形のロウ及び固形の炭化水素が無配合又は25質量%以下の配合量のものであり、毛髪処理方法は、ヒドロキシプロピルデンプンリン酸及び/又はその塩と、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体と、が配合され、ヒドロキシプロピルデンプンリン酸及びその塩の配合量が1.5質量%以上、固形のロウ及び固形の炭化水素が無配合又は25質量%以下の配合量
の水中油型毛髪用組成物を使用するものである。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水中油型の毛髪用組成物であって、
ヒドロキシプロピルデンプンリン酸及び/又はその塩と、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体と、が配合され、
前記ヒドロキシプロピルデンプンリン酸及びその塩の配合量が1.5質量%以上、
固形のロウ及び固形の炭化水素が無配合又は25質量%以下の配合量である
ことを特徴とする毛髪用組成物。
【請求項2】
25℃における貯蔵弾性率が300Pa以上4000Pa以下である請求項1に記載の毛髪用組成物。
【請求項3】
水の配合量が50質量%以上である請求項1又は2に記載の毛髪用組成物。
【請求項4】
前記アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体の配合量が0.05質量%以上である請求項1~3のいずれか1項に記載の毛髪用組成物。
【請求項5】
高級脂肪酸系アニオン界面活性剤が配合された請求項1~4のいずれか1項に記載の毛髪用組成物。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の毛髪用組成物を使用することを特徴とする毛髪処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、整髪剤として好適な毛髪用組成物及び当該組成物を使用する毛髪処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ヒドロキシプロピルデンプンリン酸及びその塩は、整髪剤などの毛髪用組成物への配合成分の一種であり、当該組成物の感触などに影響を与える粘性を調整する増粘剤として利用可能である。ヒドロキシプロピルデンプンリン酸又はその塩を配合する毛髪用組成物例は、特許文献1において、ヒドロキシプロピルデンプンリン酸共に、25℃で固形のロウ類又は炭化水素類、高級脂肪酸、アルカリ剤、及び水を配合する整髪剤が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-98929号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、毛髪用組成物においては、用途や使用方法に応じて求められる貯蔵弾性率がある。また、特に整髪剤では、組成物の貯蔵弾性率が整髪性と関係する上に、貯蔵弾性率の高まりは、毛髪に塗布する際の当該組成物の延びの悪化、塗布後の毛髪に触れた際のべたつく感触を伴い易い。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑み、貯蔵弾性率を高める際に伴い易い延びの悪化および塗布後の毛髪におけるべたつく感触を抑えることが可能な毛髪用組成物、及び当該組成物を使用する毛髪処理方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等が、ヒドロキシプロピルデンプンリン酸及び/又はその塩とを配合する水中油型の毛髪用組成物について鋭意検討を行った結果、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体を配合すると共に、前記ヒドロキシプロピルデンプンリン酸及びその塩の配合量を1.5質量%以上とし、固形のロウ及び固形の炭化水素が無配合又は25質量%以下の配合量に設定することで、貯蔵弾性率を高める際に伴い易い延びの悪化および塗布後の毛髪におけるべたつく感触を抑制可能との知見を得、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明に係る毛髪用組成物は、水中油型の毛髪用組成物であって、ヒドロキシプロピルデンプンリン酸及び/又はその塩と、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体と、が配合され、前記ヒドロキシプロピルデンプンリン酸及びその塩の配合量が1.5質量%以上、固形のロウ及び固形の炭化水素が無配合又は25質量%以下の配合量であることを特徴とする。
【0008】
本発明に係る毛髪用組成物の25℃における貯蔵弾性率は、例えば300Pa以上4000Pa以下である。
【0009】
本発明に係る毛髪用組成物は、水の配合量が50質量%以上のものが良い。50質量%以上であれば、当該組成物の延び及び毛髪のべたつき抑制に好適である。
【0010】
本発明に係る毛髪用組成物において、前記アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体の配合量が0.05質量%以上であると良い。0.05質量%以上の配合量であれば、貯蔵弾性率を高める場合に好適である。
【0011】
本発明に係る毛髪用組成物は、高級脂肪酸系アニオン界面活性剤が配合されたものが良い。当該アニオン界面活性剤の配合により、夏季に高温になり易い自動車内などに放置した際の流動化を抑制できる。
【0012】
また、本発明に係る毛髪処理方法は、本発明に係る毛髪用組成物を使用することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る水中油型の毛髪用組成物によれば、ヒドロキシプロピルデンプンリン酸及び/又はその塩と、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体と、が配合され、前記ヒドロキシプロピルデンプンリン酸及びその塩の配合量が1.5質量%以上、固形のロウ及び固形の炭化水素が無配合又は25質量%以下の配合量であるから、貯蔵弾性率を高め、かつ、その高まりに伴い易い延びの悪化及び塗布後の毛髪のべたつきの両者を抑制できる。
【0014】
また、本発明に係る毛髪処理方法によれば、ヒドロキシプロピルデンプンリン酸及び/又はその塩と、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体と、が配合され、前記ヒドロキシプロピルデンプンリン酸及びその塩の配合量が1.5質量%以上、固形のロウ及び固形の炭化水素が無配合又は25質量%以下の配合量である水中油型の毛髪用組成物を使用するから、当該毛髪用組成物の延びに優れ、塗布後の毛髪のべたつきが抑えられたものとなる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態に基づき、本発明を以下に説明する。
本実施形態に係る毛髪用組成物は、ヒドロキシプロピルデンプンリン酸及び/又はその塩と、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体とが配合され、かつ、剤型が水中油型のものである(本実施形態に係る毛髪用組成物における水の配合量は、例えば50質量%以上である。)。また、本実施形態の毛髪用組成物には、必要に応じて、公知の整髪剤などに配合される成分を任意成分として配合しても良い。
【0016】
(ヒドロキシプロピルデンプンリン酸及び/又はその塩)
本実施形態の毛髪用組成物に配合されるヒドロキシプロピルデンプンリン酸は、リン酸とデンプンとのジエステルのヒドロキシプロピルエーテルである。また、ヒドロキシプロピルデンプンリン酸塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、トリエタノールアミン塩、トリエチルアミン塩等の有機アミン塩類、リジン塩、アルギニン塩等の塩基性アミノ酸塩等を挙げることができる。
【0017】
本実施形態の毛髪用組成物には、ヒドロキシプロピルデンプンリン酸及びヒドロキシプロピルデンプンリン酸塩から選ばれた一種又は二種以上が配合される。ヒドロキシプロピルデンプンリン酸及びヒドロキシプロピルデンプンリン酸塩の本実施形態に係る毛髪用組成物における配合量は、1.5質量%以上であり、2.0質量%以上が良く、2.5質量%以上が好ましい。配合量が1.5質量%以上であると、貯蔵弾性率を容易に高めることができる。一方、その配合量の上限は、低コスト化の観点から、5.0質量%未満が良く、4.5質量%未満が好ましく、4.0質量%未満がより好ましい。
【0018】
(アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体)
本実施形態の毛髪用組成物に配合されるアクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体は、導入された炭素数10以上のアルキル基により油性成分の分散を可能とする高分子乳化剤として知られているものである。ヒドロキシプロピルデンプンリン酸及びその塩の配合量が1.5質量%以上、かつ、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体の配合により、延びの悪化及び塗布後の毛髪のべたつきを抑制しつつ、貯蔵弾性率を高めることができる。
【0019】
上記アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体は、公知のものが選ばれると良く、例えば、アクリル酸・メタクリル酸アルキル(C10-30)共重合体が挙げられ、市販品としてはLubrizol Advanced Materials社が製造する「Pemulen TR-1 Polymeric Emulsifier」、「Pemulen TR-2 Polymeric Emulsifier」が挙げられる。本実施形態の毛髪用組成物におけるアクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体の配合量は、貯蔵弾性率及び油相の分散性を高める観点から、0.05質量%以上が良く、0.1質量%以上が好ましく、0.2質量%以上がより好ましく、0.25質量%以上が更に好ましい。一方、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体の配合量の上限は、2.0質量%以下が良く、1.0質量%以下が好ましく、0.5質量%以下がより好ましい。2.0質量%以下の場合、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体により生じやすい毛髪の硬い感触の抑制に適する。
【0020】
(アルカリ剤)
本実施形態の毛髪用組成物において、アルカリ剤は、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体の高分子乳化剤としての機能(油性成分を分散させる機能)を発揮させるために配合される。
【0021】
上記アルカリ剤としては、例えば、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、アルギニンなどの有機アルカリ;アルカリ金属の水酸化物(水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなど)、アンモニア、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウムなどの無機アルカリ;が挙げられる。本実施形態の毛髪用組成物において、一種又は二種以上のアルカリ剤を配合すると良く、アルカリ剤の配合量は、例えば0.05質量%以上1.0質量%以下である。
【0022】
(油相成分)
本実施形態の毛髪用組成物には、水中油型の組成物を実現するべく、油相成分が配合される。ここで油相成分は、25℃で固形及び/又は液状の公知の油相成分であり、水と混合したときに油相と水相の二相に分離するといった水に不溶性又は難溶性の性質を有する。
【0023】
上記油性成分は、例えば、ロウ、炭化水素、シリコーン、エステル油、油脂(脂肪酸とグリセリンとのトリエステルを主成分とするもの)、高級アルコールであり、一種又は二種以上の油相成分を本実施形態の毛髪用組成物に配合すると良い。
【0024】
本実施形態の毛髪用組成物に液状油(25℃で液状の油性成分)を配合すると、当該組成物の延びの調整に適する。そして、本実施形態の毛髪用組成物における液状油の配合量は、例えば5質量%以上20質量%以下である。
【0025】
また、本実施形態の毛髪用組成物において、25℃で固形の油相成分として固形のロウ、固形の炭化水素、又は、固形のロウ及び固形の炭化水素を配合しても良い。固形のロウ及び/又は固形の炭化水素によれば、整髪性が高まる。
【0026】
上記固形のロウとしては、キャンデリラロウ、ミツロウ、モクロウ、カルナウバロウ、コメヌカロウ、ラノリンなどが挙げられる。また、上記固形の炭化水素としては、マイクロクリスタリンワックス、パラフィン、ワセリン、セレシンなどが挙げられる。
【0027】
本実施形態の毛髪用組成物には、固形のロウ及び固形の炭化水素から選ばれた一種又は二種以上を配合できる。本実施形態の毛髪用組成物における固形のロウ及び固形の炭化水素の配合量は、当該組成物の延びの悪化や毛髪のべたつきを抑制する観点から、25質量%以下であり、20質量%以下が良く、15質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、5質量%以下が更に好ましい(延びの悪化や毛髪のべたつく感触を抑制するためには、上記固形のロウ及び固形の炭化水素が無配合であっても良い。)。なお、本実施形態の毛髪用組成物における固形のロウ及び固形の炭化水素の配合量の下限は、1.0質量%が良く、3.0質量%が好ましい。1.0質量%以上の配合量であると、整髪性に優れる。
【0028】
(任意成分)
本実施形態の毛髪用組成物に配合される任意成分は、上記の通り、公知の整髪剤に配合されている成分から適宜選定すると良い。当該任意成分としては、高級脂肪酸系アニオン界面活性剤(高級脂肪酸、高級脂肪酸塩、又は、高級脂肪酸及び高級脂肪酸塩)、ノニオン界面活性剤(配合量は、例えば2.0質量%以上7.0質量%以下)、粉体、有機酸、有機酸塩、防腐剤、香料などが挙げられる。
【0029】
高級脂肪酸系アニオン界面活性剤を本実施形態の毛髪用組成物に配合すると、夏季自動車内などでの温度上昇が招く流動化を抑制できる。この流動化は油相分散性の低下に起因するものであるところ、高級脂肪酸系アニオン界面活性剤は、上記固形のロウ及び/又は固形の炭化水素の油相分散性低下の抑制及び上記流動化の抑制を可能とする。その高級脂肪酸系アニオン界面活性剤の配合は、高級脂肪酸、高級脂肪酸塩、又は、高級脂肪酸及び高級脂肪酸塩の配合により行われる。そして、高級脂肪酸をアニオン界面活性剤としての機能を発揮させるには、同脂肪酸が本実施形態の毛髪用組成物においてアニオンである必要があるので、高級脂肪酸を配合する場合には、これを中和する上記アルカリ剤が適宜配合される。
【0030】
上記高級脂肪酸としては、例えば、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸等の直鎖状飽和脂肪酸;イソステアリン酸等の分枝状飽和脂肪酸;オレイン酸、リノール酸等の直鎖状不飽和脂肪酸等が挙げられる。この高級脂肪酸の炭素数は、14以上20以下が良い。炭素数が14以上であると、皮膚に感じる刺激の抑制に良く、炭素数が20以下であると、本実施形態の組成物の感触を柔らかくするのに良い。また、上記高級脂肪酸塩としては、上記直鎖状飽和脂肪酸、分枝状飽和脂肪酸、直鎖状不飽和脂肪酸のナトリウム塩、カリウム塩、アンモニア塩、アミノエチルプロパノール塩などが挙げられる。
【0031】
高級脂肪酸系アニオン界面活性剤の一種又は二種以上を本実施形態の毛髪用組成物に配合でき、その配合量は、例えば0.5質量%以上3.0質量%以下である。
【0032】
(貯蔵弾性率)
本実施形態の毛髪用組成物の25℃における貯蔵弾性率は、300Pa以上4000Pa以下であると良く、900Pa以上4000Pa以下が好ましい。このような貯蔵弾性率であれば、整髪剤用途に適する。ここで、上記貯蔵弾性率は、レオメーター(例えば、HAAKE社製の応力制御型レオメーター「Rheo Stress 6000」)を使用し、コーンプレートセンサーの直径35mm及び傾斜角2°、待ち時間を1分とし、測定モードの条件を、応力依存動的粘弾性測定、応力0.1Pa~1000Pa、周波数1Hzとしたときの応力が10.0Paのときの値を採用する。
【0033】
(pH)
本実施形態の毛髪用組成物の25℃におけるpHは、例えば5.5以上7.0以下であり、6.0以上7.0以下が良い。pHが5.5以上であると、油相成分の分散性に好適である。
【0034】
(使用方法)
本実施形態の毛髪用組成物は、毛髪に塗布する使用態様の毛髪処理方法において用いられる。例えば、手の平で延ばし、毛髪に塗布する態様の整髪剤、洗い流さないトリートメントへの適用が好適である。
【実施例0035】
以下、実施例に基づき本発明を詳述するが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるものではない。
実施例及び比較例の毛髪用組成物を製造し、「貯蔵弾性率」、「流動抑制」、「延び」、「毛髪のべたつく感触の抑制」の評価を行った。詳細は、次の通りである。
【0036】
(毛髪用組成物)
実施例及び比較例の水中油型の毛髪用組成物を、ヒドロキシプロピルデンプンリン酸、アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマー(Lubrizol Advanced Materials社製「Pemulen TR-1 Polymeric Emulsifier」)、同社製「Pemulen TR-2 Polymeric Emulsifier」)、ヒドロキエチルセルロース、カルボキシビニルポリマー、マイクロクリスタリンワックス、キャンデリラロウ、ステアリン酸、親油型モノステアリン酸グリセリル、ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.O.)、パルミチン酸2-エチルヘキシル、デカメチルシクロペンタシロキサン、フェノキシエタノール、水酸化カリウム、香料、及び水を使用して製造した。製造の際に配合した水以外の成分、その配合量は、下記表1、2の通りであり、毛髪用組成物の25℃におけるpHは、6.0以上7.0以下の範囲に収まるものであった。
【0037】
(貯蔵弾性率)
25℃及び50℃の貯蔵弾性率(G’)については、HAAKE社製「Rheo Stress 6000」を使用し、コーンプレートセンサーの直径35mm及び傾斜角2°、待ち時間を1分とし、測定モードの条件を、応力依存動的粘弾性測定、応力0.1Pa~1000Pa、周波数1Hzとしたときの応力が10.0PaのときのG’を測定した。
【0038】
(流動抑制)
実施例又は比較例の毛髪用組成物を充填した容量50mlのガラス製スクリュー管瓶を、50℃雰囲気に10日間放置した。放置してから直後に、スクリュー管瓶を45°傾けてから3秒以内の各毛髪用組成物の流動性を目視確認し、以下の通り記録した。
○:流動性が認められなかった
×:流動性が認められた
【0039】
(延び)
実施例又は比較例の毛髪用組成物0.5g程度を手の平で延ばし、その際の延ばしやすさを評価した。ここでの評価は、実施例1a~1b、比較例1a~1e、及び実施例2a~2bの全てにおける相対評価として、評価者4名の夫々が1~5点を採点する5段階評価(延びが最も良い評価の採点を「5」、延びが最も悪い評価の採点を「1」)とした。そして、評価者全てが採点した平均値を「延び」の評価とした。
【0040】
(毛髪のべたつく感触の抑制)
実施例又は比較例の毛髪用組成物1g程度を手の平で延ばしてから毛髪に塗布して整髪し、整髪後の毛髪に触れたときのべたつく感触を評価した。ここでの評価は、実施例1a~1b、比較例1a~1e、及び実施例2a~2bの全てにおける相対評価として、評価者4名の夫々が1~5点を採点する5段階評価(べたつく感触が最も抑制されていた評価の採点を「5」、べたつく感触が最もあったとの評価の採点を「1」)とした。そして、評価者全てが採点した平均値を「毛髪のべたつく感触の抑制」の評価とした。
【0041】
下表1に、実施例1a~1b、比較例1a~1eの毛髪用組成物に配合した成分、配合量と共に、評価結果を示す。
【0042】
【表1】
【0043】
上記表1において、(1)実施例1a~1bと比較例1aとの対比により、ヒドロキシプロピルデンプンリン酸を増量するよりも、ヒドロキシプロピルデンプンリン酸及びアクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体を併用する方が、貯蔵弾性率を高め易いこと、(2)実施例1a~1bと比較例1bとの対比により、ヒドロキシプロピルデンプンリン酸及びアクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体を併用する際、ヒドロキシプロピルデンプンリン酸の配合量が1.5質量%以上であると、貯蔵弾性率が大きく高まること、(3)実施例1a~1bと比較例1c~1dとの対比により、ヒドロキシプロピルデンプンリン酸と併用する成分としてのアクリル酸・メタクリル酸アルキル共重の採用が、ヒドロキシエチルセルロースやカルボキシビニルポリマーよりも、「延び」及び「毛髪のべたつく感触の抑制」に好適であること、(4)実施例1a~1bと比較例1eとの対比により、固形のロウ及び固形の炭化水素(キャンデリラロウ、マイクロクリスタリンワックス)が25質量%を超える比較例1eは、「延び」、「毛髪のべたつく感触の抑制」に劣ること、を確認できる。
【0044】
下表2に、実施例2a~2bの毛髪用組成物に配合した成分、配合量と共に、評価結果を示す。
【表2】
【0045】
上記表2において、高級脂肪酸系アニオン界面活性剤(ステアリン酸)の配合が、50℃雰囲気に放置したときの「流動性抑制」を向上させたことを確認できる。