特開 2022-190750 情報処理装置、情報処理システム、情報処理プログラムおよび制御方法

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2022190750

(43)【公開日】2022-12-27

(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理システム、情報処理プログラムおよび制御方法

(51)【国際特許分類】

   G06Q 50/22 20180101AFI20221220BHJP

【ＦＩ】

G06Q50/22

【審査請求】未請求

【請求項の数】12

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2021099154

(22)【出願日】2021-06-15

(71)【出願人】

【識別番号】000001270

【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】110000671

【氏名又は名称】八田国際特許業務法人

(72)【発明者】

【氏名】松永 悠

【テーマコード（参考）】

5L099

【Ｆターム（参考）】

5L099AA13

(57)【要約】

【課題】個々のケア対象者の起臥状態の変化のタイミングと、ケアスタッフの行動のタイミングとを関連付けた情報を得ることが可能な情報処理装置、情報処理システム、情報処理プログラムおよび制御方法を提供する。
【解決手段】制御部は、各時刻におけるケア対象者の起臥状態に関する起臥情報を取得する第１取得部と、ケア対象者にケアを行うスタッフの所定の行動および行動の時刻に関する情報を含む行動情報を取得する第２取得部と、第１取得部により取得された起臥情報と第２取得部により取得された行動情報とを関連付けて出力する出力部とを含む。
【選択図】図１１

【特許請求の範囲】

【請求項1】

各時刻におけるケア対象者の起臥状態に関する起臥情報を取得する第１取得部と、
前記ケア対象者にケアを行うスタッフの所定の行動および前記行動の時刻に関する情報を含む行動情報を取得する第２取得部と、
前記第１取得部により取得された前記起臥情報と前記第２取得部により取得された前記行動情報とを関連付けて出力する出力部と
を備える、情報処理装置。

【請求項2】

前記ケア対象者の前記起臥状態は、前記ケア対象者の臥床状態および起床状態を含む、請求項１に記載の情報処理装置。

【請求項3】

前記スタッフの前記行動は、前記ケア対象者の居室への入室を含む、請求項１または２に記載の情報処理装置。

【請求項4】

前記出力部は、前記スタッフの前記行動の時刻の前後を含む時間帯について、前記ケア対象者の前記起臥状態を出力する、請求項１～３のいずれかに記載の情報処理装置。

【請求項5】

前記第１取得部により取得された前記起臥情報と前記第２取得部により取得された前記行動情報とに基づいて、前記スタッフの前記行動と、前記ケア対象者の前記起臥状態の変化との関係を解析する解析部をさらに含み、
前記出力部は、前記解析部により解析された結果を出力する、請求項１～４のいずれかに記載の情報処理装置。

【請求項6】

前記解析部は、前記スタッフによる前記ケア対象者の居室への入室と、前記ケア対象者の臥床状態から起床状態への変化との関係を解析する、請求項５に記載の情報処理装置。

【請求項7】

前記解析部は、前記スタッフによる起床介助と、前記ケア対象者の臥床状態から起床状態への変化との関係を解析する、請求項５に記載の情報処理装置。

【請求項8】

前記第１取得部は、前記ケア対象者の前記起臥状態を検出する第１検出部からの情報に基づいて、前記起臥情報を取得する、請求項１～７のいずれかに記載の情報処理装置。

【請求項9】

前記第２取得部は、前記スタッフの前記行動を検出する第２検出部からの情報に基づいて、前記行動情報を取得する、請求項１～８のいずれかに記載の情報処理装置。

【請求項10】

請求項１～９のいずれかに記載の情報処理装置と、
前記ケア対象者の前記起臥状態を検出する第１検出部と、
前記スタッフの前記行動を検出する第２検出部と
を備える、情報処理システム。

【請求項11】

各時刻におけるケア対象者の起臥状態に関する起臥情報を取得するステップ（ａ）と、
前記ケア対象者にケアを行うスタッフの所定の行動および前記行動の時刻に関する情報を含む行動情報を取得するステップ（ｂ）と、
前記ステップ（ａ）で取得された前記起臥情報と前記ステップ（ｂ）で取得された前記行動情報とを関連付けて出力するステップ（ｃ）と
を含む処理をコンピューターに実行させるための情報処理プログラム。

【請求項12】

各時刻におけるケア対象者の起臥状態に関する起臥情報を取得するステップ（ａ）と、
前記ケア対象者にケアを行うスタッフの所定の行動および前記行動の時刻に関する情報を含む行動情報を取得するステップ（ｂ）と、
前記ステップ（ａ）で取得された前記起臥情報と前記ステップ（ｂ）で取得された前記行動情報とを関連付けて出力するステップ（ｃ）と
を含む情報処理システムの制御方法。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、情報処理装置、情報処理システム、情報処理プログラムおよび制御方法に関する。

【背景技術】

【0002】

我が国は、戦後の高度経済成長に伴う生活水準の向上、衛生環境の改善、および医療水準の向上等により、長寿命化が顕著となっている。このため、出生率の低下と相まって、高齢化率が高い高齢化社会になっている。このような高齢化社会では、病気、怪我、および加齢等により、介護や看護等を必要とする要介護者および要看護者等（以下、「ケア対象者」と称する）の増加が想定される。病院や老人福祉施設等の施設（以下、単に「施設」と称する）では、介護士や看護師等（以下、「ケアスタッフ」と称する）によってケア対象者へのケアが行われる。

【0003】

ケア対象者の健康状態および満足度を向上させるため、施設では、各ケア対象者が適切な睡眠をとれるように配慮する必要がある（例えば、特許文献１）。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0004】

【特許文献1】特開２０２０－３７１号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0005】

したがって、ケア対象者が良質な睡眠を維持できるよう、ケアスタッフは個々のケア対象者の起臥状態に合わせてケアを行うことが望ましい。例えば、施設の管理者等が、ケア対象者の起臥状態の変化のタイミングとケアスタッフの行動のタイミングとの関係を把握することにより、より適切なケアを行うための改善策を立てることが可能となる。

【0006】

本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、個々のケア対象者の起臥状態の変化のタイミングと、ケアスタッフの行動のタイミングとを関連付けた情報を得ることが可能な情報処理装置、情報処理システム、情報処理プログラムおよび制御方法を提供することを目的とする。

【課題を解決するための手段】

【0007】

本発明の上記課題は、以下の手段によって解決される。

【0008】

（１）各時刻におけるケア対象者の起臥状態に関する起臥情報を取得する第１取得部と、前記ケア対象者にケアを行うスタッフの所定の行動および前記行動の時刻に関する情報を含む行動情報を取得する第２取得部と、前記第１取得部により取得された前記起臥情報と前記第２取得部により取得された前記行動情報とを関連付けて出力する出力部とを備える、情報処理装置。

【0009】

（２）前記ケア対象者の前記起臥状態は、前記ケア対象者の臥床状態および起床状態を含む、上記（１）に記載の情報処理装置。

【0010】

（３）前記スタッフの前記行動は、前記ケア対象者の居室への入室を含む、上記（１）または（２）に記載の情報処理装置。

【0011】

（４）前記出力部は、前記スタッフの前記行動の時刻の前後を含む時間帯について、前記ケア対象者の前記起臥状態を出力する、上記（１）～（３）のいずれかに記載の情報処理装置。

【0012】

（５）前記第１取得部により取得された前記起臥情報と前記第２取得部により取得された前記行動情報とに基づいて、前記スタッフの前記行動と、前記ケア対象者の前記起臥状態の変化との関係を解析する解析部をさらに含み、前記出力部は、前記解析部により解析された結果を出力する、上記（１）～（４）のいずれかに記載の情報処理装置。

【0013】

（６）前記解析部は、前記スタッフの前記ケア対象者の居室への入室と、前記ケア対象者の臥床状態から起床状態への変化との関係を解析する、上記（５）に記載の情報処理装置。

【0014】

（７）前記解析部は、前記スタッフの起床介助と、前記ケア対象者の臥床状態から起床状態への変化との関係を解析する、上記（５）に記載の情報処理装置。

【0015】

（８）前記第１取得部は、前記ケア対象者の前記起臥状態を検出する第１検出部からの情報に基づいて、前記起臥情報を取得する、上記（１）～（７）のいずれかに記載の情報処理装置。

【0016】

（９）前記第２取得部は、前記スタッフの前記行動を検出する第２検出部からの情報に基づいて、前記行動情報を取得する、上記（１）～（８）のいずれかに記載の情報処理装置。

【0017】

（１０）上記（１）～（９）のいずれかに記載の情報処理装置と、前記ケア対象者の前記起臥状態を検出する第１検出部と、前記スタッフの前記行動を検出する第２検出部とを備える、情報処理システム。

【0018】

（１１）各時刻におけるケア対象者の起臥状態に関する起臥情報を取得するステップ（ａ）と、前記ケア対象者にケアを行うスタッフの所定の行動および前記行動の時刻に関する情報を含む行動情報を取得するステップ（ｂ）と、前記ステップ（ａ）で取得された前記起臥情報と前記ステップ（ｂ）で取得された前記行動情報とを関連付けて出力するステップ（ｃ）とを含む処理をコンピューターに実行させるための情報処理プログラム。

【0019】

（１２）各時刻におけるケア対象者の起臥状態に関する起臥情報を取得するステップ（ａ）と、前記ケア対象者にケアを行うスタッフの所定の行動および前記行動の時刻に関する情報を含む行動情報を取得するステップ（ｂ）と、前記ステップ（ａ）で取得された前記起臥情報と前記ステップ（ｂ）で取得された前記行動情報とを関連付けて出力するステップ（ｃ）とを含む情報処理システムの制御方法。

【発明の効果】

【0020】

本発明によれば、各時刻におけるケア対象者の起臥状態に関する起臥情報と、スタッフの所定の行動およびこの行動の時刻に関する情報を含む行動情報とが関連付けて出力される。したがって、個々のケア対象者の起臥状態の変化のタイミングと、ケアスタッフの行動のタイミングとを関連付けた情報を得ることが可能となる。

【図面の簡単な説明】

【0021】

【図1】一実施形態に係る見守りシステムの全体構成を例示する図である。

【図2】ケア対象者の居室のベッド周辺に設置された検出部を例示する模式図である。

【図3】図１に示す検出部の概略構成を例示するブロック図である。

【図4】図１に示す管理サーバーの概略構成を例示するブロック図である。

【図5】図１に示す情報管理者端末の概略構成を示すブロック図である。

【図6】図１に示すスタッフ端末の概略構成を示すブロック図である。

【図7】図４に示す制御部の主要な機能を例示する機能ブロック図である。

【図8】（Ａ）（Ｂ）は、図７に示す第１取得部により取得される起臥情報の一例である。

【図9】図７に示す第２取得部により取得される行動情報の一例である。

【図10】図７に示す出力部により出力される情報の一例である。

【図11】一実施形態に係る情報処理方法の処理手順を例示するフローチャートである。

【図12】変形例に係る制御部の主要な機能を例示する機能ブロック図である。

【図13】図１２に示す出力部により出力される結果の一例である。

【図14】図１２に示す出力部により出力される結果の他の例である。

【図15】変形例に係る情報処理方法の処理手順を例示するフローチャートである。

【発明を実施するための形態】

【0022】

以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、図面において、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。

【0023】

図１は一実施形態に係る見守りシステム１（情報処理システム）の全体構成を例示する図であり、図２はケア対象者の居室のベッド周辺に設置された検出部を例示する模式図である。

【0024】

図１に示すように、見守りシステム１は、複数の検出部１０、管理サーバー２０、情報管理者端末３０、および１つ以上のスタッフ端末４０を含んでいる。これらは、有線や無線によって、ＬＡＮ（Ｌｏｃａｌ Ａｒｅａ Ｎｅｔｗｏｒｋ）、電話網またはデータ通信網等のネットワーク５０を介して、相互に通信可能に接続される。ネットワーク５０は、通信信号を中継するリピーター、ブリッジ、ルーターまたはクロスコネクト等の中継機を備えてもよい。図１に示す例では、検出部１０、管理サーバー２０、情報管理者端末３０、およびスタッフ端末４０は相互に、アクセスポイント５１を含む無線ＬＡＮ等（例えばＩＥＥＥ８０２．１１規格に従ったＬＡＮ）のネットワーク５０によって、通信可能に接続されている。

【0025】

見守りシステム１は、ケア対象者７０に応じて適宜な場所に配設される。ケア対象者７０は、例えば、病気や怪我等によって看護を必要とする患者、高齢による身体能力の低下等によって介護を必要とする被介護者、または一人暮らしの独居者等である。特に、早期発見および早期対処を可能にする観点から、ケア対象者７０は、例えば異常状態等の所定の不都合な事象がその者に生じた場合に、その発見を必要としている者であり得る。このため、見守りシステム１は、ケア対象者７０の種類に応じて、病院、老人福祉施設および住戸等の建物に好適に配設される。図１に示す例では、見守りシステム１は、複数のケア対象者７０が入居する複数の部屋（居室）やケアステーションを含む複数の部屋を備える施設に配置されている。

【0026】

検出部１０は、ケア対象者７０の観察領域であるそれぞれの居室に配置される。図１に示す例では、４つの検出部１０がケア対象者７０であるＡさん、Ｂさん、ＣさんおよびＤさんの居室にそれぞれ配置されている。図２に示すように、検出部１０の観察領域にはベッド６０が含まれている。ケア対象者７０に対して看護または介護等の対応（ケア）を行うケアスタッフ（スタッフ）８０は、それぞれ携帯端末であるスタッフ端末４０を持ち歩いている。ただし、見守りシステム１が備える各構成の位置や個数等は、図１に示す例に限定されない。例えば、管理サーバー２０は、ケアステーションに配置されなくてもよく、ネットワーク５０に接続されている外部のサーバーユニットであってもよい。

【0027】

また、ケアには、ケア対象者７０に対してケアスタッフ８０が行うケアを広く含み、例えば食事、水分摂取、排泄、入浴、掃除等の生活介助、およびバイタルチェック（体温、血圧、脈拍等の測定）を含む。

【0028】

（検出部１０）
図３は、検出部の概略構成を示すブロック図である。同図に示すように、検出部１０は、制御部１１、通信部１２、カメラ１３、ケアコール部１４、音声入出力部１５および一時停止スイッチ１６を含んでおり、これらはバスによって、相互に接続されている。ここでは、検出部１０が、本発明の第１検出部および第２検出部の一具体例に対応する。

【0029】

制御部１１は、ＣＰＵ（Ｃｅｎｔｒａｌ Ｐｒｏｃｅｓｓｉｎｇ Ｕｎｉｔ）、およびＲＡＭ（Ｒａｎｄｏｍ Ａｃｃｅｓｓ Ｍｅｍｏｒｙ）、ＲＯＭ（Ｒｅａｄ Ｏｎｌｙ Ｍｅｍｏｒｙ）、等のメモリーにより構成され、プログラムにしたがって検出部１０の各部の制御および演算処理を行う。なお、制御部１１は、メモリーとして、さらにＨＤＤ（Ｈａｒｄ Ｄｉｓｋ Ｄｒｉｖｅ）またはＳＳＤ（Ｓｏｌｉｄ Ｓｔａｔｅ Ｄｒｉｖｅ）を備えてもよい。

【0030】

通信部１２は、ネットワーク５０を介して、例えば、管理サーバー２０、情報管理者端末３０またはスタッフ端末４０等の、他の装置と通信するためのインターフェース回路（例えばＬＡＮカード等）である。

【0031】

カメラ１３は、例えば居室の天井、または壁の上部に配置され、観察領域として真下にあるケア対象者７０のベッド６０を撮影し、撮影画像（画像データ）を出力する。この撮影画像には、静止画および動画を含む。カメラ１３は近赤外線カメラであるが、これに換えて可視光カメラを用いてもよく、これらを併用してもよい。

【0032】

制御部１１は、カメラ１３が撮影した撮影画像から、ケア対象者７０の行動を認識する。この認識する行動には、ケア対象者７０の起臥状態が含まれる。ケア対象者７０の起臥状態には、例えば、ベッド６０内で眠る「臥床状態」、ベッド６０から起き上がる「起床状態」、起床状態の前の「覚醒状態」およびベッド６０から離れる「離床状態」等が含まれる。制御部１１が認識する行動には、さらに、床面等に転倒する「転倒」、ベッド６０または車椅子等から落ちる「転落」および居室から退室する「退室」等が含まれる。

【0033】

制御部１１は、複数の撮影画像（動画像）から画像のシルエット（以下、「人シルエット」と称する）を検出する。人シルエットは、例えば、撮影時刻が前後する画像を差分する時間差分により差分が相対的に大きい画素の範囲を抽出することで検出され得る。人シルエットは、撮影画像から背景画像を差分する背景差分法により検出されてもよい。起床、離床、転倒の認識は、検出した人シルエットからケア対象者７０の姿勢（例えば立位、座位、横臥等）、およびベッド６０等の居室内の設置物との相対的な位置から起床、離床および転倒（転落）の別を認識する。これらの認識は、制御部１１のＣＰＵが処理するプログラムにより行ってもよく、組み込み型の処理回路により行うようにしてもよい。

【0034】

ケア対象者７０の起臥状態は、カメラ１３以外のセンサーを用いて判定されてもよく、このセンサーとカメラ１３とを併用して判定されてもよい。例えば、このセンサーには、例えば、体動センサー、ベッド６０のマット上（または内部）に配置されたシート状の圧電センサー、およびベッド６０上に置いた振動検知センサー等が含まれる。なお振動検知センサーとしては、加速度センサー、またはジャイロセンサーを搭載したスマートフォンを用いてもよい。また、検出部１０が、カメラ１３を含まず、この体動センサーのみにより、下記のように起臥状態の判定をするようにしてもよい。

【0035】

例えば、この体動センサーは、ベッド６０に対してマイクロ波を送受信してケア対象者７０の体動（例えば呼吸動）によって生じたマイクロ波のドップラシフトを検出するドップラシフト方式のセンサーである。臥床の際はケア対象者７０の動きは小さな、わずかな動きが見られる。このようなことから、この体動センサーを用いた起臥状態の検知としては、例えば動きの大きさに関する大小２の閾値を設定し、大きい側の第１閾値を超えた場合には「覚醒状態」または「起床状態」、小さい側の第２閾値を下回った場合には「離床状態」、第１閾値以下、第２閾値以上であれば「臥床状態」と判定する。この体動センサーは、異常検知としても用いることができる。例えば、ケア対象者７０の呼吸動作に伴う胸部の体動（胸部の上下動）を検出し、その胸部の体動における周期の乱れや予め設定された閾値以下である前記胸部の体動における振幅を検知すると、微体動異常であると認識する。

【0036】

これらの体動センサー、圧電センサー、または振動検知センサーを、カメラ１３と併用、またはこれと代えて用いることで、ケア対象者７０の起臥状態（離床、臥床、覚醒、起床）を判定できる。

【0037】

本実施形態においては、ケア対象者７０に関する検出部１０が認識した状態の変化であって、起床、離床、転倒、転落、居室からの退室および微体動異常、などのケアスタッフ８０に発報（報知）を行うべき事象をイベントと称する。またこのイベントには、ケアコール部１４によるケアコールが含まれる。すなわち、検出部１０は、観察領域におけるケア対象者７０の動きとして、ケア対象者７０によるケアコールを検出してもよい。検出部１０は、生じたイベントに関する情報を管理サーバー２０に送信する。

【0038】

ここで、ケアスタッフ８０の業務が、ケア対象者７０に対する介護業務である場合に、各イベントに関する対応内容について説明する。検出部１０が、イベントとして「起床」を判定し、その判定が所定時間内（施設で設定された起床時間（例えば午前７～８時））であれば、ケアスタッフ８０はケア対象者７０にモーニングケア（起床介助）を行う。このモーニングケアには、洗顔、歯磨き介助、義歯装着、着替え介助等が含まれる。また、「離床」のイベントであれば、車椅子移乗、歩行介助が必要となる場合がある。また、検出部１０が判定したイベント以外の定期的（定時）なイベントとして、飲料、および食事介助、排泄介助、車椅子移乗、歩行介助、体位変換（褥瘡予防）がある。これらの定期的イベントは、ケアコール部１４等により、定時になるとアラートを発生させるようにしてもよい。

【0039】

ケアコール部１４は、押しボタン式のスイッチを含み、スイッチがケア対象者７０によって押されることでケアコール（ナースコール）を検出する。押しボタン式のスイッチに換えて、音声マイクによりケアコールを検出してもよい。ケアコール部１４のスイッチが押された場合、すなわち、ケアコールを検出した場合、制御部１１は、通信部１２およびネットワーク５０を介して、ケアコールがあった旨の通知を管理サーバー２０等に送信する。

【0040】

音声入出力部１５は、例えばスピーカーとマイクであり、通信部１２を介して情報管理者端末３０との間で音声信号を送受信することで音声通話を可能とする。なお、音声入出力部１５は検出部１０の外部装置として、通信部１２を介して検出部１０に接続されてもよい。

【0041】

一時停止スイッチ１６は、例えば、居室の出入口付近に配置される。この一時停止スイッチ１６は、例えば、押しボタン式のスイッチを含み、ケアスタッフ８０等が居室内に入る際に、このスイッチを操作することで、検出部１０によるイベントの判定が一時的に停止される。検出部１０によるイベントの判定は、例えば、再度、一時停止スイッチ１６が操作されることで再開される。検出部１０によるイベントの判定は、所定時間経過後に自動的に再開されるようにしてもよい。

【0042】

一時停止スイッチ１６には、押しボタン式のスイッチに代えて、あるいは、押しボタン式のスイッチとともに、ＦｅｌｉＣａ（登録商標）等のＮＦＣ（近距離無線通信）方式のセンサーを用いてもよい。この一時停止スイッチ１６では、例えば、ケアスタッフ８０が所持するＩＣカードを、居室の出入口に配置された読取端末にかざすことで、ＯＮ／ＯＦＦがなされる。

【0043】

（管理サーバー２０）
図４は、管理サーバー２０の概略構成を示すブロック図である。管理サーバー２０は、制御部２１、通信部２２、およびデータベース２３を有し、情報処理装置として機能する。この管理サーバー２０は、ケア対象者７０用の居室と同じ建物内に設けられてもよく、遠隔地に設けられてネットワークを介して接続可能であってもよい。例えば、管理サーバー２０は、インターネット等のネットワーク上に配置された複数のサーバーによって仮想的に構築されるクラウドサーバーであってもよい。各構成は、バスによって、相互に通信可能に接続されている。

【0044】

制御部２１は、検出部１０の制御部１１と同様に、ＣＰＵ、ＲＡＭおよびＲＯＭ等を有している。制御部２１の機能については、後述する。

【0045】

通信部２２は、情報管理者端末３０またはスタッフ端末４０にイベントの通知を行う通知部として機能する。また、通信部２２は、検出部１０等から状態情報を取得する。この通信部２２は、イーサーネット（登録商標）等の規格による有線通信のネットワークインターフェースまたは、Ｂｌｕｅｔｏｏｔｈ（登録商標）およびＩＥＥＥ８０２．１１等の規格による無線通信のインターフェース等の各種ローカル接続向けのインターフェースであり、ネットワーク５０に接続した各端末との通信を行う。

【0046】

データベース２３は、記憶部として機能し、イベントリスト、ケア対象者７０に関する情報、ケアスタッフ８０に関する情報およびケア記録等を記憶する。

【0047】

イベントリストには、ケア対象者７０の事故に繋がる可能性がある所定のイベント（例えば転落、転倒のイベント）を含む各種のイベントに関する情報が含まれる。ケア対象者７０に関する情報には、例えば、ケア対象者７０の氏名、生年月日、ＩＤ番号、部屋番号、普段の食事の量、食事以外の水分の摂取量、既往症、要介護度、現在の通院状況等の情報が含まれる。ケアスタッフ８０に関する情報には、例えば、ケアスタッフ８０の氏名、スタッフＩＤ、生年月日、勤続年数（キャリア年数）、ケアに関するスキルレベル等の情報が含まれる。

【0048】

ケア記録は、施設のケア対象者７０に対するケアに関する情報を記録した文書である。例えば、ケアスタッフ８０は、各々のケア対象者７０について用意された介護計画書に基づいて、ケア対象者７０に対して、食事、水分摂取、排泄、入浴、掃除等の各種の生活介助、およびバイタルチェック（体温、血圧、脈拍等の測定）を行う。ケアスタッフ８０がケア対象者７０に対して行った介助やバイタルチェック等のケア、およびケア対象者７０の行動や様子は、ケア記録に記録される。ケア記録は、ケア対象者７０に対するケアの情報がケアスタッフ８０により入力されることにより更新される。ケア記録の入力は、例えば、スタッフ端末４０の入力部４４を通じて行われる。

【0049】

管理サーバー２０は、単独で、または検出部１０と協働することで、検出部１０が検出した、起床、離床、転倒、ケアコール等のイベントが、どのケア対象者７０に関するものであるかを判定（識別）する。この判定は、イベントを検出した検出部１０が設置されている部屋番号から、これに対応付けられているケア対象者７０（すなわち、部屋の入居者）を判定する。そして、判定したイベントの種類とケア対象者７０とを関連付けてデータベース２３のイベントリストに追加する。なお、本実施形態では、ケア対象者７０の判定は、ケア対象者７０がＩＣタグを携帯している場合には、このＩＣタグを各部屋に設けたＲＦＩＤリーダーで読み取ることにより、判定してもよい。なお、相部屋等で、１つの部屋に複数のケア対象者７０が存在する場合には、ベッド６０毎に検出部１０を配置することで、ケア対象者７０を判定してもよい。

【0050】

（情報管理者端末３０）
図５は、情報管理者端末３０の概略構成を示すブロック図である。情報管理者端末３０は、いわゆるＰＣ（Ｐｅｒｓｏｎａｌ Ｃｏｍｐｕｔｅｒ）であり、制御部３１、通信部３２、表示部３３、入力部３４、および音声入出力部３５を備え、これらはバスにより相互に接続される。制御部３１は、検出部１０の制御部１１と同様の構成として、ＣＰＵ、ＲＡＭ、ＲＯＭ等を備える。

【0051】

通信部３２は、イーサネット（登録商標）等の規格による有線通信のネットワークインターフェースや、Ｂｌｕｅｔｏｏｔｈ（登録商標）、ＩＥＥＥ８０２．１１等の規格による無線通信のインターフェース等の各種ローカル接続向けのインターフェースであり、ネットワーク５０に接続した各端末との通信を行う。

【0052】

表示部３３は、例えば液晶ディスプレイであり、各種情報を表示する。表示部３３は、例えば、検出部１０による撮影画像を表示する。

【0053】

入力部３４は、キーボード、テンキー、マウス等を備えており、各種情報の入力を行う。

【0054】

音声入出力部３５は、例えばスピーカーとマイクを備えたヘッドセットである。

【0055】

情報管理者端末３０は、例えば、情報管理者９０用の端末として用いられ、情報管理者９０へ施設内の各種情報を表示し、指示を受け付ける。また、通信部３２を介して検出部１０またはスタッフ端末４０との間で音声信号を送受信することでケアスタッフ８０等との音声通話を可能にする。ここで、情報管理者９０は、複数のケアスタッフ８０を統括する管理者である。情報管理者９０は１つの施設だけでなく、複数の施設で働くケアスタッフ８０を統括的に管理するようにしてもよい。

【0056】

また、ケアスタッフ８０または技術スタッフ等は、情報管理者端末３０を通じて、検出部１０を各部屋（居室）に取り付けたときに、部屋番号と検出部１０の対応付けをしたり、ベッド６０等の居室内の設置物の位置情報、すなわち、天井のカメラ１３による上方視の輪郭情報の校正、指定を行ったりする。また、入院または入居しているケア対象者７０の氏名、ＩＤ番号等の識別情報と、各部屋番号との対応付けも行う。

【0057】

（スタッフ端末４０）
図６は、スタッフ端末４０の概略構成を示すブロック図である。スタッフ端末４０は、制御部４１、無線通信部４２、表示部４３、入力部４４、および音声入出力部４５を含んでおり、これらはバスにより相互に接続される。

【0058】

制御部４１は、検出部１０の制御部１１と同様の構成として、ＣＰＵ、ＲＡＭ、ＲＯＭ等を有している。

【0059】

無線通信部４２により、Ｗｉ－Ｆｉ、Ｂｌｕｅｔｏｏｔｈ（登録商標）等の規格を用いた無線通信が可能であり、アクセスポイント５１を経由して、または直接的に各装置と無線通信する。

【0060】

表示部４３、および入力部４４は、タッチパネルであり、液晶等で構成される表示部４３の表示面に、入力部４４としてのタッチセンサーを重畳させたものである。表示部４３、入力部４４によって、ケアスタッフ８０に対して、イベントリストに含まれる複数のイベントを一覧表示した各種の操作画面を表示したり、操作画面を通じて各種の操作を受け付けたりする。また、表示部４３は、管理サーバー２０の通信部２２によって通知された、ケア対象者７０の行動内容、および通知内容を表示する。検出部１０によりケア対象者７０のイベントが検出されると、管理サーバー２０を介してスタッフ端末４０にこのイベントに関するイベントの情報が通知される。イベントの情報は、全てのケアスタッフ８０のスタッフ端末４０に通知されてもよく、所定のグループに属するケアスタッフ８０のスタッフ端末４０に通知されてもよい。また、ケアスタッフ８０は、ケア対象者７０に対してケアを行った場合、入力部４４を通じて、ケア対象者７０に対するケアに関する情報をケア記録に入力する。

【0061】

音声入出力部４５は、例えばスピーカーとマイクであり、無線通信部４２を介して他のスタッフ端末４０との間でケアスタッフ８０による音声通話を可能にする。スタッフ端末４０は、見守りシステム１のユーザーインターフェースとして機能する機器であり、例えば、タブレット型コンピューター、スマートフォンまたは携帯電話等の、持ち運び可能な通信端末機器によって構成できる。

【0062】

ケアスタッフ８０は、業務開始時に、割り当てられたスタッフ端末４０を通じて、ログイン認証処理を行う。ケアスタッフ８０は、スタッフ端末４０のタッチパネル（表示部４３、入力部４４）を通じて、スタッフＩＤ、パスワードを入力し、これを管理サーバー２０に送信する。管理サーバー２０は、データベース２３に記憶している認証情報を突き合わせ、ケアスタッフ８０の権限に応じた認証結果をスタッフ端末４０に送信することで、ログイン認証が終了する。

【0063】

また、スタッフ端末４０は、ＧＰＳ（Ｇｌｏｂａｌ Ｐｏｓｉｔｉｏｎｉｎｇ Ｓｙｓｔｅｍ）やＢｌｕｅｔｏｏｔｈ等を使用して、スタッフ端末４０がある位置を特定する機能を有する。これにより、管理サーバー２０は、スタッフ端末４０を携帯しているケアスタッフ８０がいる位置を特定できる。

【0064】

なお、検出部１０、管理サーバー２０、情報管理者端末３０およびスタッフ端末４０は、上記の構成要素以外の構成要素を含んでもよく、あるいは、上記の構成要素のうちの一部を含まなくてもよい。

【0065】

（制御部２１の機能）
ここで、管理サーバー２０の制御部２１の機能について説明する。

【0066】

図７は、制御部２１の機能の一例を表すブロック図である。制御部２１は、例えば、ＣＰＵが情報処理プログラムを実行することにより、第１取得部２１１、第２取得部２１２および出力部２１３として機能する。

【0067】

第１取得部２１１は、各時刻におけるケア対象者７０の起臥状態に関する起臥情報を取得する。ケア対象者７０の起臥状態は、主に、ケア対象者７０の眠っている状態（睡眠状態）および覚醒している状態を含んでおり、必ずしも、ケア対象者７０が覚醒したままベッド６０上に横たわっている状態およびベッド６０上で体を起こしている状態を区別するものでなくてもよい。ケア対象者７０の起臥状態は、ケア対象者７０の眠っている状態および覚醒している状態を含むものであることが、適切なケアを行うための改善策を立てる観点から好ましい。ケア対象者７０の起臥状態は、例えば、ケア対象者７０の臥床状態（睡眠状態）、覚醒状態、起床状態および離床状態を含む。起臥情報は、例えば、数十秒毎～数分毎に取得される。第１取得部２１１は、例えば、検出部１０から通信部２２を介して起臥情報を取得する。

【0068】

図８（Ａ）（Ｂ）は、第１取得部２１１により取得された起臥情報の一例を表している。図８（Ａ）は、２０１号室のケア対象者Ａさんの起臥情報を表し、図８（Ｂ）は２０６号室のケア対象者Ｂさんの起臥情報を表している。図８（Ａ）に示した起臥情報により、ケア対象者Ａさんは、５月１日２２時３４分５６秒に臥床状態であり、５月１日２３時３２分０９秒に起床状態、５月１日２３時３３分３４秒に離床状態であることが分かる。図８（Ｂ）に示した起臥情報により、ケア対象者Ｂさんは、５月１日２１時４５分４６秒に臥床状態であり、５月２日００時２０分２２秒に起床状態、５月２日００時２０分５３秒に離床状態であることが分かる。

【0069】

第２取得部２１２は、ケアスタッフ８０の所定の行動およびこの所定の行動の時刻に関する情報を含む行動情報を取得する。所定の行動には、例えば、ケア対象者７０の居室への入室が含まれ、この行動の時刻は、例えば、居室への入室時刻である。制御部２１は、例えば検出部１０によりケア対象者７０の居室内に複数人が存在することが検出されたとき、ケアスタッフ８０がケア対象者７０の居室に入室したと判定する。居室内に複数人が存在することは、例えば、検出部１０のカメラ１３の撮影画像に基づいて検出される。制御部２１は、検出部１０の一時停止スイッチ１６が操作されたとき、ケアスタッフ８０がケア対象者７０の居室に入室したと判定してもよい。所定の行動には、ケア対象者７０への起床介助が含まれていてもよく、この行動の時刻は、例えば、起床介助の開始時刻である。起床介助の時刻は、ケアスタッフ８０が起床介助のための居室への入室時刻であってもよい。第２取得部２１２は、例えば、検出部１０から行動情報を取得する。

【0070】

図９は、第２取得部２１２により取得される行動情報の一例を表している。例えば、図９に示した行動情報は、５月１日２３時３０分１２秒に、夜間巡回のため、ケアスタッフＸが２０１号室に入室し、５月２日００時１５分００秒に、夜間巡回のため、ケアスタッフＹが２０６号室に入室したことを表している。

【0071】

出力部２１３は、第１取得部２１１により取得された起臥情報と第２取得部２１２により取得された行動情報とを関連付けて出力する。出力部２１３は、例えば、ケアスタッフ８０の所定の行動の時刻の前後を含む時間帯について、ケア対象者７０の起臥状態を出力する。出力部２１３は、例えば、ケアスタッフ８０の所定の行動の時刻の前後５分～１０分程度について、ケア対象者７０の起臥状態を出力する。

【0072】

図１０は、出力部２１３により出力される情報の一例を表している。図１０より、ケアスタッフＸが５月１日２３時３０分１２秒に２０１号に入室した約２分後には、２０１号室のケア対象者Ａさんが起床し、ケアスタッフＹが５月２日００時１５分００秒に２０６号に入室した約５分後には、２０６号室のケア対象者Ｂさんが起床していることが分かる。施設では、このように出力部２１３により出力された情報から、この時間帯のケアスタッフ８０の夜間巡回によりケア対象者７０が覚醒または起床している可能性があることを把握することができる。

【0073】

（情報処理方法）
次に、図１１を参照して、本実施形態の情報処理方法の処理手順の概要について説明する。図１１は、本実施形態の制御方法の処理手順を例示するフローチャートである。同図のフローチャートの処理は、例えば、制御部２１のＣＰＵが情報処理プログラムを実行することにより実現される。

【0074】

制御部２１は、まず、各ケア対象者７０の起臥情報を取得する（ステップＳ１０１）。制御部２１は、たとえば、検出部１０から起臥情報を取得する。この起臥情報には、各時刻におけるケア対象者７０の起臥状態に関する情報が含まれている。取得された起臥情報は、例えば、制御部２１のＲＡＭに保存される。

【0075】

次に、制御部２１はケアスタッフ８０の行動情報を取得する（ステップＳ１０２）。制御部２１は、たとえば、検出部１０から行動情報を取得する。この行動情報には、ケアスタッフ８０の所定の行動およびこの行動の開始時刻に関する情報が含まれている。取得された行動情報は、例えば、制御部２１のＲＡＭに保存される。ステップＳ１０１およびステップＳ１０２は、その順序が逆であってもよく、同時になされてもよい。

【0076】

次に、制御部２１はステップＳ１０１で取得された起臥情報およびステップＳ１０２で取得された行動情報を関連付けて出力し（ステップＳ１０３）、処理を終了する。起臥情報と行動情報とを関連付けた情報は、例えば、制御部２１のＲＡＭに保存される。

【0077】

（見守りシステムの作用効果）
本実施形態の見守りシステム１（管理サーバー２０）では、各時刻におけるケア対象者７０の起臥状態に関する起臥情報と、ケアスタッフ８０の所定の行動およびこの行動の時刻に関する情報を含む行動情報とが関連付けて出力される。したがって、個々のケア対象者７０の起臥状態の変化のタイミングと、ケアスタッフ８０の行動のタイミングとを関連付けた情報を得ることが可能となる。これにより、施設では、ケア対象者７０の起臥状態の変化のタイミングとケアスタッフ８０の行動のタイミングとの関係を把握することができるので、より適切なケアを行うための改善策を立てることが可能となる。

【0078】

例えば、見守りシステムがケア対象者の起臥状態の変化のタイミングと、ケアスタッフの行動のタイミングとを関連付けた情報を出力しない場合、ケア対象者の臥床、起床のタイミングに合わせたケアは困難となる。例えば、ケアスタッフが夜間に居室に入室することに起因して、ケア対象者が覚醒していたとしても、この因果関係を特定し、効果的な改善策立てることは困難である。

【0079】

これに対し、見守りシステム１では、各時刻におけるケア対象者７０の起臥状態に関する起臥情報と、ケアスタッフ８０の所定の行動およびこの行動の時刻に関する情報を含む行動情報とが関連付けられて出力される。したがって、施設の管理者等は、ケア対象者７０の起臥状態の変化のタイミングとケアスタッフ８０の行動のタイミングとの関係を容易に把握することができ、より適切なケアを行うための改善策を立てることが可能となる。例えば、施設の管理者等は、見守りシステム１から出力された情報に基づいて、夜間のケアスタッフ８０の入室に起因するケア対象者７０の覚醒（または起床）を特定することが可能となる。このような覚醒のケースを分析することにより、例えば、ケア対象者７０が覚醒しやすい時間帯およびケアスタッフ８０などの傾向を把握することができる。よって、ケア対象者７０の起臥状態の変化に合わせたより適切なケアを行うための効果的な改善策を立てることが可能となる。

【0080】

以上説明したように、本実施形態の見守りシステム１（管理サーバー２０）によれば、各時刻におけるケア対象者７０の起臥状態に関する起臥情報と、ケアスタッフ８０の所定の行動およびこの行動の時刻に関する情報を含む行動情報とが関連付けて出力される。したがって、個々のケア対象者７０の起臥状態の変化のタイミングと、ケアスタッフ８０の行動のタイミングとを関連付けた情報を出力することが可能となる。

【0081】

＜変形例＞
上記実施形態では、制御部２１が、第１取得部２１１、第２取得部２１２および出力部２１３として機能する例を説明したが、制御部２１は、更に、他の機能を有していてもよい。以下の変形例では、制御部２１が、更に、解析部（後述の図１２の解析部２１４）として機能する例を説明する。

【0082】

図１２は、上記実施形態の変形例に係る制御部２１の機能の一例を表すブロック図である。本変形例の制御部２１は、例えば、ＣＰＵが情報処理プログラムを実行することにより、第１取得部２１１、第２取得部２１２、解析部２１４および出力部２１３として機能する。第１取得部２１１および第２取得部２１２は、上記実施形態で説明したのと同様に機能する。

【0083】

解析部２１４は、第１取得部２１１により取得された起臥情報と第２取得部２１２により取得された行動情報とに基づいて、ケアスタッフ８０の所定の行動と、ケア対象者７０の起臥状態の変化との関係を解析する。例えば、解析部２１４は、ケアスタッフ８０によるケア対象者７０の居室への入室と、ケア対象者７０の臥床状態から起床状態への変化との関係を解析し、ケアスタッフ８０の入室に起因するケア対象者７０の覚醒または起床を特定する。解析部２１４は、ケアスタッフ８０による起床介助と、ケア対象者７０の臥床状態から起床状態への変化との関係を解析し、ケアスタッフ８０の起床介助に起因するケア対象者７０の覚醒または起床を特定してもよい。

【0084】

出力部２１３は、解析部２１４により解析された解析結果を出力する。

【0085】

図１３は、出力部２１３により出力される解析結果の一例を表している。図１３の横軸は時刻を表し、縦軸はケアスタッフ８０の入室に起因するケア対象者７０の覚醒回数を表す。ケアスタッフ８０は、２１時、２２時、２時および４時に夜間巡回を行っている。解析部２１４は、例えば、ケアスタッフ８０がケア対象者７０の居室に入室した時刻の後、所定時間内にケア対象者７０が覚醒または起床したときを、ケアスタッフ８０の入室に起因する覚醒と特定する。施設では、この出力部２１３により出力された結果から、例えば、２２時および２時の夜間巡回によってケア対象者７０が覚醒しやすいことを把握できるので、２２時および２時の夜間巡回を控える等の改善策を立てることが可能となる。

【0086】

図１４は、出力部２１３により出力される解析結果の他の例を表している。図１４では、ケア対象者７０毎に、自然起床の起床時刻およびケアスタッフ８０の起床介助に起因する起床時刻が箱ひげ図で表されている。解析部２１４は、例えば、起床介助の直前の「起床」の検知時刻が、ケアスタッフ８０の入室時刻よりも後であり、これらが所定時間内にあるときを、ケアスタッフ８０の起床介助に起因する起床と特定し、これ以外の場合を自然起床と特定する。施設では、例えば図１４から、３１１号室のケア対象者Ｇさん等では、自然起床の起床時刻に比べて、ケアスタッフ８０の起床介助に起因する起床時刻が早い傾向にあることが確認できる。これにより、施設の管理者等は、３１１号室のケア対象者Ｇさん等については、起床介助の時間帯を遅らせる等の改善策を立てることができる。出力部２１３は、ケア対象者７０毎に、自然起床の回数と、ケアスタッフ８０の起床介助に起因する起床の回数とを出力してもよい。

【0087】

図１５は、本変形例の制御部２１の制御方法を例示するフローチャートである。

【0088】

制御部２１は、まず、上記実施形態で説明したステップＳ１０１、Ｓ１０２と同様にして、起臥情報および行動情報を取得する（ステップＳ２０１、Ｓ２０２）。

【0089】

次に、制御部２１はステップＳ２０１、Ｓ２０２で取得された起臥情報および行動情報に基づいて、ケアスタッフ８０の所定の行動と、ケア対象者７０の起臥状態の変化との関係を解析する（ステップＳ２０３）。

【0090】

この後、制御部２１はステップＳ２０３で解析された結果を出力し（ステップＳ２０４）、処理を終了する。

【0091】

このように、制御部２１は、解析部２１４として機能してもよい。これにより、施設の管理者等は、ケア対象者７０の起臥状態の変化のタイミングとケアスタッフ８０の行動のタイミングとの関係をより把握しやすくなる。

【0092】

本発明は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲内において、種々改変することができる。

【0093】

例えば、上述の実施形態では、出力部２１３が、ケアスタッフ８０の所定の行動の開始時刻の前後の時間帯について、ケア対象者７０の起臥状態を出力する例を説明したが、出力部２１３は、ケア対象者７０の起臥状態の変化の前後の時間帯について、ケアスタッフ８０の所定の行動の履歴を出力してもよい。あるいは、出力部２１３は、ケアスタッフ８０の所定の行動およびケア対象者７０の起臥状態の変化の有無に関わらず、全時間帯について、起臥情報と行動情報とを関連付けて出力してもよい。

【0094】

また、上述の実施形態では、ケアスタッフ８０の所定の行動が、ケア対象者７０の居室への入室である例を説明したが、ケアスタッフ８０の所定の行動は、他の行動であってもよく、例えば、起床介助等であってもよい。

【0095】

また、上述の実施形態では、管理サーバー２０が情報処理装置として機能する場合について説明したが、本発明はこのような場合に限定されず、情報管理者端末３０が情報処理装置として機能するように構成されてもよい。また、検出部１０の制御部１１のＣＰＵが情報処理プログラムを実行することで、検出部１０が情報処理装置として機能するように構成されてもよい。

【0096】

また、上記の実施形態におけるフローチャートの処理単位は、各処理の理解を容易にするために、主な処理内容に応じて分割したものである。処理ステップの分類の仕方によって、本願発明が制限されることはない。各処理は、さらに多くの処理ステップに分割することもできる。また、１つの処理ステップが、さらに多くの処理を実行してもよい。

【0097】

また、情報処理プログラムは、ＵＳＢメモリー、フレキシブルディスク、ＣＤ－ＲＯＭ等のコンピューター読み取り可能な記録媒体によって提供されてもよいし、インターネット等のネットワークを介してオンラインで提供されてもよい。この場合、コンピューター読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムは、通常、メモリーやストレージ等に転送され記憶される。また、この情報処理プログラムは、例えば、単独のアプリケーションソフトとして提供されてもよいし、サーバーの一機能としてその各装置のソフトウェアに組み込んでもよい。

【0098】

また、実施形態においてプログラムにより実行される処理の一部または全部を回路等のハードウェアに置き換えて実行されうる。

【符号の説明】

【0099】

１ 見守りシステム、
１０ 検出部、
１１ 制御部、
１２ 通信部、
１３ カメラ、
１４ ケアコール部、
１５ 音声入力部、
１６ 一時停止スイッチ、
２０ 管理サーバー、
２１ 制御部、
２１１ 第１取得部、
２１２ 第２取得部、
２１３ 出力部、
２１４ 解析部、
２２ 通信部、
２３ データベース、
３０ 情報管理者端末、
４０ スタッフ端末、
４１ 制御部、
４２ 無線通信部、
４３ 表示部、
４４ 入力部、
４５ 音声入出力部、
５０ ネットワーク、
５１ アクセスポイント、
６０ ベッド、
７０ ケア対象者、
８０ ケアスタッフ。

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】

【図14】

【図15】