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特開2022-190763信号再現装置、再現試験方法、および再現試験プログラム
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  • 特開-信号再現装置、再現試験方法、および再現試験プログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022190763
(43)【公開日】2022-12-27
(54)【発明の名称】信号再現装置、再現試験方法、および再現試験プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04L 43/00 20220101AFI20221220BHJP
【FI】
H04L12/70 100Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021099173
(22)【出願日】2021-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】000232254
【氏名又は名称】日本電気通信システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 潔人
(72)【発明者】
【氏名】三宅 智大
(72)【発明者】
【氏名】中橋 修
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 隆敏
【テーマコード(参考)】
5K030
【Fターム(参考)】
5K030GA14
5K030JA10
5K030KA04
5K030MA04
5K030MC01
(57)【要約】
【課題】送受信を正しく再現した試験を効率よく行うことに寄与する。
【解決手段】信号再現装置が、商用システムから取得した入力データから同一の固有情報を有する受信信号と送信信号のペアを検索し、前記同一の固有情報を有する受信信号と送信信号のペアを紐付けした返信用データファイルと、前記同一の固有情報が検索されなかった送信信号で構成された送信用データファイルと、を生成するシナリオ生成手段と、検証システムから受信信号を受信した場合に、前記受信信号と紐付けられた送信信号を検証システムに返信するシナリオ処理手段とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
商用システムから取得した入力データから同一の固有情報を有する受信信号と送信信号のペアを検索し、前記同一の固有情報を有する受信信号と送信信号のペアを紐付けした返信用データファイルと、前記同一の固有情報が検索されたなかった送信信号で構成された送信用データファイルと、を生成するシナリオ生成手段と、
検証システムから受信信号を受信した場合に、前記受信信号と紐付けられた送信信号を検証システムに返信するシナリオ処理手段と、
を備える信号再現装置。
【請求項2】
前記送信用データファイルにおける前記同一の固有情報を有する受信信号と送信信号のペアは、前記受信信号から計算されたハッシュ値を用いて紐付けられている、請求項1に記載の信号再現装置。
【請求項3】
前記シナリオ処理手段は、前記検証システムから受信した受信信号から計算されたハッシュ値を用いて、前記受信信号と紐付けられた送信信号を検索する、請求項2に記載の信号再現装置。
【請求項4】
前記送信用データファイルには、前記固有情報を含まない、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の信号再現装置。
【請求項5】
前記送信用データファイルには、前記受信信号そのものを含まない、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の信号再現装置。
【請求項6】
商用システムから取得した入力データから同一の固有情報を有する受信信号と送信信号のペアを検索するステップと、
前記同一の固有情報を有する受信信号と送信信号のペアを紐付けした返信用データファイルと、前記同一の固有情報が検索されたなかった送信信号で構成された送信用データファイルとを生成するステップと、
検証システムから受信信号を受信した場合に、前記受信信号と紐付けられた送信信号を検証システムに返信するステップと、
を有する再現試験方法。
【請求項7】
前記送信用データファイルにおける前記同一の固有情報を有する受信信号と送信信号のペアは、前記受信信号から計算されたハッシュ値を用いて紐付けられている、請求項6に記載の再現試験方法。
【請求項8】
前記検証システムから受信した受信信号から計算されたハッシュ値を用いて、前記受信信号と紐付けられた送信信号を検索するステップを有する、請求項7に記載の再現試験方法。
【請求項9】
商用システムから取得した入力データから同一の固有情報を有する受信信号と送信信号のペアを検索するステップと、
前記同一の固有情報を有する受信信号と送信信号のペアを紐付けした返信用データファイルと、前記同一の固有情報が検索されたなかった送信信号で構成された送信用データファイルとを生成するステップと、
検証システムから受信信号を受信した場合に、前記受信信号と紐付けられた送信信号を検証システムに返信するステップと、
をコンピュータに実行させる再現試験プログラム。
【請求項10】
前記送信用データファイルにおける前記同一の固有情報を有する受信信号と送信信号のペアは、前記受信信号から計算されたハッシュ値を用いて紐付けられている、請求項9に記載の再現試験プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号再現装置、再現試験方法、および再現試験プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
通信障害が発生した場合、当該通信障害を分析するために再現試験をすることがある。このとき、通信障害が生じた商用システムを用いて再現試験をするのではなく、商用システムと同様に構成した検証システムを用いて再現試験を行うことが多い。当然のことながら、検証システムを用いて再現試験を行う場合、商用システムにおける通信を含めて再現する必要がある。
【0003】
このような用途の装置として疑似呼装置または信号再現装置と呼ばれる装置がある。疑似呼装置または信号再現装置は、商用システムと外部との通信を再現した信号の送受信を検証システムとの間で行う装置である。再現試験を行う際は、検証システムと疑似呼装置または信号再現装置とのあいだで通信を行い、この通信内容および通信結果を分析することになる。例えば特許文献1には、障害発生時のデータを再現して再現試験に用いる信号再現装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-171882号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
なお、上記先行技術文献の開示を、本書に引用をもって繰り込むものとする。以下の分析は、本発明者らによってなされたものである。
【0006】
ところで、疑似呼装置を用いて再現試験を行う場合、商用システムでの信号情報を分析し、その分析結果を踏まえて疑似呼装置の設定を行う必要がある。この作業には、膨大な手作業が必要であり、作業に時間がかかる。また、保守担当技術者の経験や知識に依存した作業となり、作業者のスキルの影響を受けやすい。また、特許文献1に記載のような信号再現装置であっても、商用システムでキャプチャした信号情報をそのまま流すものであり、信号受信した契機に返信される信号が受信を待たずして送信され受信返信の順序が逆転してしまう場合がある。そのため、本来の送受信を正しく再現できず、信号再現装置では受信を検知して対応した返信を行う必要がある。
【0007】
本発明の目的は、上述した課題を鑑み、送受信を正しく再現した試験を効率よく行うことに寄与する信号再現装置、再現試験方法、および再現試験プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の視点では、商用システムから取得した入力データから同一の固有情報を有する受信信号と送信信号のペアを検索し、前記同一の固有情報を有する受信信号と送信信号のペアを紐付けした返信用データファイルと、前記同一の固有情報が検索されなかった送信信号で構成された送信用データファイルと、を生成するシナリオ生成手段と、検証システムから受信信号を受信した場合に、前記受信信号と紐付けられた送信信号を検証システムに返信するシナリオ処理手段と、
を備える信号再現装置が提供される。
【0009】
本発明の第2の視点では、商用システムから取得した入力データから同一の固有情報を有する受信信号と送信信号のペアを検索するステップと、前記同一の固有情報を有する受信信号と送信信号のペアを紐付けした返信用データファイルと、前記同一の固有情報が検索されなかった送信信号で構成された送信用データファイルとを生成するステップと、検証システムから受信信号を受信した場合に、前記受信信号と紐付けられた送信信号を検証システムに返信するステップと、を有する再現試験方法が提供される。
【0010】
本発明の第3の視点では、商用システムから取得した入力データから同一の固有情報を有する受信信号と送信信号のペアを検索するステップと、前記同一の固有情報を有する受信信号と送信信号のペアを紐付けした返信用データファイルと、前記同一の固有情報が検索されなかった送信信号で構成された送信用データファイルとを生成するステップと、検証システムから受信信号を受信した場合に、前記受信信号と紐付けられた送信信号を検証システムに返信するステップとをコンピュータに実行させる再現試験プログラムが提供される。なお、このプログラムは、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体に記録することができる。記憶媒体は、半導体メモリ、ハードディスク、磁気記録媒体、光記録媒体等の非トランジェント(non-transient)なものとすることができる。本発明は、コンピュータプログラム製品として具現することも可能である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の各視点によれば、送受信を正しく再現した試験を効率よく行うことに寄与する信号再現装置、再現試験方法、および再現試験プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、信号再現装置の実施形態を示す概略構成図である。
図2図2は、再現試験方法の実施形態を示すフローチャートである。
図3図3は、信号再現装置のハードウェア構成例を示す図である。
図4図4は、シナリオ生成部における処理の概要を示す図である。
図5図5は、シナリオ処理部における処理の概要を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。ただし、以下に説明する実施形態により本発明が限定されるものではない。また、各図面において、同一または対応する要素には適宜同一の符号を付している。さらに、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実のものとは異なる場合があることに留意する必要がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
【0014】
(第1実施形態)
[信号再現装置]
図1は、信号再現装置の実施形態を示す概略構成図である。図1に示すように、信号再現装置10は、商用システム20から入力データを取得し、検証システム30と信号の送受信をすることで、商用システム20における通信障害等の再現試験をすることを可能にする装置である。図1に示すように、信号再現装置10は、シナリオ生成部11とシナリオ処理部12とを備えている。シナリオ生成部11は、商用システムから取得した入力データから返信用データファイル13と送信用データファイル14とを生成し、シナリオ処理部12は、返信用データファイル13と送信用データファイル14とを用いて検証システム30と信号の送受信をする。
【0015】
返信用データファイル13は、商用システム20から取得した入力データにおける同一の固有情報を有する受信信号と送信信号のペアを紐付けしたものである。一方、送信用データファイル14は、同一の固有情報を有しない送信信号で構成されている。したがって、シナリオ生成部11は、商用システム20から取得した入力データから同一の固有情報を有する受信信号と送信信号のペアを検索し、同一の固有情報を有する受信信号と送信信号のペアを紐付けした返信用データファイル13と、同一の固有情報が検索されなかった送信信号で構成された送信用データファイル14と、を生成する。
【0016】
シナリオ処理部12は、返信用データファイル13と送信用データファイル14とを用いて検証システム30と信号の送受信をする。具体的には、シナリオ処理部12は、送信用データファイル14に含まれる送信信号を検証システム30に送信する。一方、検証システム30から受信信号を受信した場合には、シナリオ処理部12は、その受信信号と紐付けられた送信信号を検証システムに返信する。
【0017】
信号再現装置10は、以上のような構成を有することにより、送受信を正しく再現した試験を効率よく行うことができる。すなわち、返信用データファイル13は、商用システム20から取得した入力データにおける同一の固有情報を有する受信信号と送信信号のペアを紐付けしたものであるので、送受信を正しく再現することができ、シナリオ生成部11が、商用システムから取得した入力データから返信用データファイル13と送信用データファイル14とを生成することで、保守担当技術者の経験や知識に依存せずに効率よく再現試験を行うことができる。
【0018】
[再現試験方法]
図2は、再現試験方法の実施形態を示すフローチャートである。図2に示す再現試験方法は、上記説明した信号再現装置10を用いて実施することができる。図2に示す再現試験方法は、商用システム20から入力データを取得し、検証システム30と信号の送受信をすることで、商用システム20における通信障害等の再現試験をするためのものである。
【0019】
図2に示されるように、再現試験方法は、送受信のペアを検索するステップS1とデータファイルを生成するステップS2と受信信号を受信するステップS3と返信用データを返信するステップS4と繰り返しの判断をするステップS5を有する。このうち、ステップS1およびステップS2は、実体的な再現試験の前に行う準備としてのシナリオ生成であり、ステップS3からステップS5が再現試験の実体となるシナリオ処理である。
【0020】
送受信のペアを検索するステップS1では、シナリオ生成部11が商用システム20から取得した入力データから同一の固有情報を有する受信信号と送信信号のペアを検索する。そして、データファイルを生成するステップS2でシナリオ生成部11は、検索された同一の固有情報を有する受信信号と送信信号のペアを紐付けして返信用データファイル13を生成する。一方、同一の固有情報を有する受信信号と送信信号のペアを検索できなかった送信信号は、送信用データファイル14とする。
【0021】
そして、検証システム30から受信信号を受信した場合には(ステップS3;Yes)、シナリオ処理部12は、受信した受信信号に紐付けられた返信用データを返信用データファイル13から選択し、返信用データを送信するステップS4にて、その返信用データを検証システム30に送信する。
【0022】
シナリオ処理部12は、送信用データファイル14に送信用データが残っている場合または返信用データファイル13に返信用データが残っている場合(ステップS5;Yes)、上記のステップS3からステップS4を繰り返し、送信用データファイル14に送信用データが残っていない場合かつ返信用データファイル13に返信用データが残っていない場合(ステップS5;No)、処理を終了する。
【0023】
上記再現試験方法は、以上のような処理を行うことにより、送受信を正しく再現した試験を効率よく行うことができる。すなわち、返信用データファイル13は、商用システム20から取得した入力データにおける同一の固有情報を有する受信信号と送信信号のペアを紐付けしたものであるので、送受信を正しく再現することができ、商用システムから取得した入力データから返信用データファイル13と送信用データファイル14とを生成することで、保守担当技術者の経験や知識に依存せずに効率よく再現試験を行うことができる。
【0024】
[ハードウェア構成例]
図3は、信号再現装置のハードウェア構成例を示す図である。図3に示すハードウェア構成を採用した情報処理装置(コンピュータ)は、上記説明した再現試験方法をプログラムとして実行することで、信号再現装置10の各機能を実現することを可能にする。ただし、図3に示すハードウェア構成例は、信号再現装置10の各機能を実現するハードウェア構成の一例であり、信号再現装置10のハードウェア構成を限定する趣旨ではない。信号再現装置10は、図3に示さないハードウェアを含むことができる。
【0025】
図3に示すように、信号再現装置10が採用し得るハードウェア構成40は、例えば内部バスにより相互に接続される、CPU(Central Processing Unit)41、主記憶装置42、補助記憶装置43、およびIF(Interface)部44を備える。
【0026】
CPU41は、信号再現装置10が実行する類似度計算プログラムに含まれる各指令を実行する。主記憶装置42は、例えばRAM(Random Access Memory)であり、信号再現装置10が実行する類似度計算プログラムなどの各種プログラムなどをCPU41が処理するために一時記憶する。
【0027】
補助記憶装置43は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)であり、信号再現装置10が実行する類似度計算プログラムなどの各種プログラムなどを中長期的に記憶しておくことが可能である。類似度計算プログラムなどの各種プログラムは、非一時的なコンピュータ可読記録媒体(non-transitory computer-readable storage medium)に記録されたプログラム製品として提供することができる。補助記憶装置43は、非一時的なコンピュータ可読記録媒体に記録された類似度計算プログラムなどの各種プログラムを中長期的に記憶することに利用することが可能である。IF部44は、信号再現装置10と入力端末との間の入出力に関するインターフェイスを提供する。
【0028】
上記のようなハードウェア構成40を採用した情報処理装置は、先述した再現試験方法をプログラムとして実行することで、信号再現装置10の各機能を実現することができる。
【0029】
(第2実施形態)
ここで、図4および図5を参照しながら信号再現装置の第2実施形態について説明する。ただし、第2実施形態は第1実施形態におけるシナリオ生成部11およびシナリオ処理部12をより具体的にしたものであるので、ここでは、装置全体の説明を省略し、シナリオ生成部11およびシナリオ処理部12を中心に説明する。
【0030】
図4は、シナリオ生成部における処理の概要を示す図である。図4に示されるように、シナリオ生成部11は、商用システムから取得した入力データから返信用データファイル13と送信用データファイル14とを生成する。
【0031】
シナリオ生成部11は、入力データ15を順次読み込み、読み込んだデータの方向(送信/受信)を解析し、入力データ15を受信信号16と送信信号17に分ける。そして、シナリオ生成部11は、受信信号16と送信信号17の対応関係を分析する。
【0032】
受信信号16と送信信号17の対応関係は、受信信号16および送信信号17に含まれる固有情報を抽出することで分析することができる。シナリオ生成部11は、同一の固有情報を有する受信信号と送信信号のペアを紐付けして、返信用データファイル13に保存する。
【0033】
返信用データファイル13における同一の固有情報を有する受信信号16と送信信号17のペアは、受信信号16から計算されたハッシュ値を用いて紐付けられている。また、返信用データファイル13には、対応関係の分析に用いた固有情報を含む必要はない。受信信号16と送信信号17のペアが受信信号16から計算されたハッシュ値を用いて紐付けられているので、ハッシュ値を用いて検索することができるからである。
【0034】
さらに、返信用データファイル13には、受信信号そのものを含む必要はない。同様に、ハッシュ値を用いて検索することができるからである。このように、受信信号16と送信信号17のペアが受信信号16から計算されたハッシュ値を用いて紐付けることで、返信用データファイル13の容積を小さくすることができ、また検索速度も速くなる。
【0035】
返信用データファイル13には、返信情報が追加されている。この返信情報は、受信信号(すなわちハッシュ値)に送信データを対応させるためのものである。なお、一つの受信信号(すなわちハッシュ値)に複数の返信情報を付与してもよい。
【0036】
このように、シナリオ生成部11は、同一の固有情報を有する受信信号と送信信号のペアを紐付けした返信用データファイル13を生成する。一方、同一の固有情報を有する受信信号と送信信号のペアを検索できなかった送信信号は、送信用データファイル14とする。
【0037】
図5は、シナリオ処理部における処理の概要を示す図である。図5に示されるように、シナリオ処理部12は、送信用データファイル14に含まれる送信信号を検証システム30に送信し、検証システム30から受信信号を受信した場合に、その受信信号と紐付けられた送信信号を検証システム30に返信するものである。
【0038】
シナリオ処理部12は、送信用データファイル14に含まれる送信信号を検証システム30に送信する。この送信処理は送信用データファイル14に含まれる送信データのすべてが送信されるまで、所定の送信間隔で行われる。
【0039】
一方、シナリオ処理部12は、同時並行的に検証システム30から受信信号を受信した場合、シナリオ処理部12は、受信データからハッシュ値を算出し、そのハッシュ値を用いて返信用データファイル13の中から対応する送信データを検索する。
【0040】
図5に示される例で説明すると、受信データから算出したハッシュ値が“82389477a”である場合、シナリオ処理部12は、返信用データファイル13の中からハッシュ値が“82389477a”であるレコードを検索する。すると、ハッシュ値が“82389477a”であるレコードの返信情報には2,3が記録されているので、シナリオ処理部12は、番号(#)が2と3の送信データを検証システム30に送信する。
【0041】
上記のような一連の処理により、第2実施形態の信号再現装置10は、送受信を正しく再現した試験を効率よく行うことができる。すなわち、返信用データファイル13は、商用システム20から取得した入力データにおける同一の固有情報を有する受信信号と送信信号のペアを紐付けしたものであるので、送受信を正しく再現することができ、シナリオ生成部11が、商用システム30から取得した入力データから返信用データファイル13と送信用データファイル14とを生成することで、保守担当技術者の経験や知識に依存せずに効率よく再現試験を行うことができる。
【0042】
その上で、第2実施形態の信号再現装置10は、受信信号16と送信信号17のペアが受信信号16から計算されたハッシュ値を用いて紐付けることで、返信用データファイル13の容積を小さくすることができ、また検索速度も速くなる。
【0043】
なお、第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、再現試験方法および再現試験プログラムの実施形態を構成することができ、同様の効果を奏することができる。
【0044】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
[付記1]
商用システムから取得した入力データから同一の固有情報を有する受信信号と送信信号のペアを検索し、前記同一の固有情報を有する受信信号と送信信号のペアを紐付けした返信用データファイルと、前記同一の固有情報が検索されなかった送信信号で構成された送信用データファイルと、を生成するシナリオ生成手段と、
検証システムから受信信号を受信した場合に、前記受信信号と紐付けられた送信信号を検証システムに返信するシナリオ処理手段と、
を備える信号再現装置。
[付記2]
前記送信用データファイルにおける前記同一の固有情報を有する受信信号と送信信号のペアは、前記受信信号から計算されたハッシュ値を用いて紐付けられている、付記1に記載の信号再現装置。
[付記3]
前記シナリオ処理手段は、前記検証システムから受信した受信信号から計算されたハッシュ値を用いて、前記受信信号と紐付けられた送信信号を検索する、付記2に記載の信号再現装置。
[付記4]
前記送信用データファイルには、前記固有情報を含まない、付記1から付記3のいずれか一つに記載の信号再現装置。
[付記5]
前記送信用データファイルには、前記受信信号そのものを含まない、付記1から付記4のいずれか一つに記載の信号再現装置。
[付記6]
商用システムから取得した入力データから同一の固有情報を有する受信信号と送信信号のペアを検索するステップと、
前記同一の固有情報を有する受信信号と送信信号のペアを紐付けした返信用データファイルと、前記同一の固有情報が検索されたなかった送信信号で構成された送信用データファイルとを生成するステップと、
検証システムから受信信号を受信した場合に、前記受信信号と紐付けられた送信信号を検証システムに返信するステップと、
を有する再現試験方法。
[付記7]
前記送信用データファイルにおける前記同一の固有情報を有する受信信号と送信信号のペアは、前記受信信号から計算されたハッシュ値を用いて紐付けられている、付記6に記載の再現試験方法。
[付記8]
前記検証システムから受信した受信信号から計算されたハッシュ値を用いて、前記受信信号と紐付けられた送信信号を検索するステップを有する、付記7に記載の再現試験方法。
[付記9]
商用システムから取得した入力データから同一の固有情報を有する受信信号と送信信号のペアを検索するステップと、
前記同一の固有情報を有する受信信号と送信信号のペアを紐付けした返信用データファイルと、前記同一の固有情報が検索されたなかった送信信号で構成された送信用データファイルとを生成するステップと、
検証システムから受信信号を受信した場合に、前記受信信号と紐付けられた送信信号を検証システムに返信するステップと、
をコンピュータに実行させる再現試験プログラム。
[付記10]
前記送信用データファイルにおける前記同一の固有情報を有する受信信号と送信信号のペアは、前記受信信号から計算されたハッシュ値を用いて紐付けられている、付記9に記載の再現試験プログラム
【0045】
なお、引用した上記の特許文献の開示は、本書に引用をもって繰り込むものとする。本発明の全開示(請求の範囲を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態ないし実施例の変更・調整が可能である。また、本発明の全開示の枠内において種々の開示要素(各請求項の各要素、各実施形態ないし実施例の各要素、各図面の各要素等を含む)の多様な組み合わせ、ないし、選択(部分的削除を含む)が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。特に、本書に記載した数値範囲については、当該範囲内に含まれる任意の数値ないし小範囲が、別段の記載のない場合でも具体的に記載されているものと解釈されるべきである。さらに、上記引用した文献の各開示事項は、必要に応じ、本発明の趣旨に則り、本発明の開示の一部として、その一部又は全部を、本書の記載事項と組み合わせて用いることも、本願の開示事項に含まれるものと、みなされる。
【0046】
例えば、上記実施形態は商用システム外部との通信を記録した信号情報を基に外部装置(疑似呼装置)を信号再現装置で置き換えるものであったが、信号再現装置の応用として商用システム内部の通信を記録した信号情報を基に検証システム内の一部装置を信号再現装置で置き換えることにより、システム内部の装置の検証を行うことも可能である。また、信号再現装置ソフトウェアを該当装置に組み込み、装置内部の通信を記録した信号情報を基に装置内部の一部ソフトウェアを信号再現装置ソフトウェアで置き換えることにより、装置内部のソフトウェア検証を行うことも可能となる。このように信号再現装置および信号再現装置ソフトウェアによって置き換えることにより、障害発生時の再現試験だけでなく、通常開発で繰り返し同じ試験を行うような場面でも活用することができる。
【符号の説明】
【0047】
10 信号再現装置
11 シナリオ生成部
12 シナリオ処理部
13 返信用データファイル
14 送信用データファイル
15 入力データ
16 受信信号
17 送信信号
20 商用システム
30 検証システム
40 ハードウェア構成
41 CPU
42 主記憶装置
43 補助記憶装置
44 IF部
図1
図2
図3
図4
図5