(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022190781
(43)【公開日】2022-12-27
(54)【発明の名称】増幅回路および半導体増幅装置
(51)【国際特許分類】
H03F 3/193 20060101AFI20221220BHJP
【FI】
H03F3/193
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021099216
(22)【出願日】2021-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】000154325
【氏名又は名称】住友電工デバイス・イノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100136722
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼木 邦夫
(74)【代理人】
【識別番号】100174399
【弁理士】
【氏名又は名称】寺澤 正太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100124800
【弁理士】
【氏名又は名称】諏澤 勇司
(72)【発明者】
【氏名】宮澤 直行
【テーマコード(参考)】
5J500
【Fターム(参考)】
5J500AA01
5J500AC41
5J500AC92
5J500AF16
5J500AH10
5J500AH25
5J500AH29
5J500AH33
5J500AK29
5J500AM08
5J500AQ03
5J500RU09
(57)【要約】
【課題】回路の実装面積を小さくして装置を小型化すること。
【解決手段】本開示の一形態に係る半導体増幅装置1Aは、直列に接続された二段の増幅器20,22と、増幅器20の入力端と電気的に接続される入力端子11と、増幅器22の出力端と電気的に接続される出力端子12と、入力端子11と増幅器20の入力端とを接続する第1の入力バイアス回路31と、入力端子11と増幅器22の入力端とを接続する第2の入力バイアス回路32とを有し、増幅器20の入力端および増幅器22の入力端に入力バイアスを提供する入力バイアス回路13と、出力端子12と増幅器20の出力端との間に設けられ、増幅器20の出力端に出力バイアスを提供する出力バイアス回路14と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直列に接続された第1の増幅器および第2の増幅器と、
前記第1の増幅器の入力端と電気的に接続される入力端子と、
前記第2の増幅器の出力端と電気的に接続される出力端子と、
前記入力端子と前記第1の増幅器の前記入力端とを接続する第1の入力バイアス回路と、前記入力端子と前記第2の増幅器の入力端とを接続する第2の入力バイアス回路とを有し、前記第1の増幅器の前記入力端および前記第2の増幅器の前記入力端に入力バイアスを提供する入力バイアス回路と、
前記出力端子と前記第1の増幅器の前記出力端との間に設けられ、前記第1の増幅器の出力端に出力バイアスを提供する出力バイアス回路と、
を備える増幅回路。
【請求項2】
前記出力バイアス回路は、前記出力端子と前記第1の増幅器の前記出力端との間に一端が接続され、他端が接地された第1のキャパシタと、前記第1のキャパシタの前記一端と前記第1の増幅器の前記出力端との間に接続された第1のインダクタと、を有する、
請求項1に記載の増幅回路。
【請求項3】
前記出力バイアス回路は、前記出力端子と前記第1のキャパシタの前記一端との間に一端が接続され、他端が接地された第2のキャパシタと、前記第1のキャパシタの前記一端と前記第2のキャパシタの前記一端との間を接続する第2のインダクタと、前記出力端子と前記第2のキャパシタの前記一端との間に接続された第3のインダクタと、を有する、
請求項2に記載の増幅回路。
【請求項4】
前記第1のキャパシタの第1容量値よりも前記第2のキャパシタの第2容量値の方が小さい、
請求項3に記載の増幅回路。
【請求項5】
前記出力バイアス回路は、前記第1のキャパシタの前記一端と前記第2のキャパシタの前記一端との間に一端が接続され、他端が接地された第3のキャパシタを有し、
前記第3のキャパシタの前記一端は、第4のインダクタを介して前記第1のキャパシタの前記一端に接続され、前記第2のインダクタを介して前記第2のキャパシタの前記一端に接続される、
請求項3または請求項4に記載の増幅回路。
【請求項6】
前記第1のキャパシタの第1容量値よりも前記第3のキャパシタの第3容量値の方が大きい、
請求項5に記載の増幅回路。
【請求項7】
前記出力バイアス回路は、前記第1のキャパシタの前記一端と前記第2のキャパシタの前記一端との間に一端が接続され、他端が接地された第4のキャパシタを有し、
前記第4のキャパシタの前記一端は、前記第2のインダクタを介して前記第1のキャパシタの前記一端に接続され、第5のインダクタを介して前記第2のキャパシタの前記一端に接続される、
請求項5に記載の増幅回路。
【請求項8】
前記第2のキャパシタの第2容量値よりも前記第4のキャパシタの第4容量値の方が大きい、
請求項7に記載の増幅回路。
【請求項9】
前記第1の入力バイアス回路は、前記入力端子と前記第1の増幅器の前記入力端の間に設けられる第1の抵抗を含み、
前記第2の入力バイアス回路は、前記入力端子と前記第2の増幅器の前記入力端の間に設けられる第2の抵抗を含む、
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の増幅回路。
【請求項10】
前記第1の抵抗の第1抵抗値は、前記第2の抵抗の第2抵抗値より大きい、
請求項9に記載の増幅回路。
【請求項11】
前記第1の入力バイアス回路は、一端が接地され、他端が前記第1の抵抗を介して前記第1の増幅器の前記入力端に接続された第5のキャパシタを含み、
前記第2の入力バイアス回路は、一端が接地され、他端が第2の抵抗を介して前記第2の増幅器の前記入力端に接続された第6のキャパシタを含む、
請求項9または請求項10に記載の増幅回路。
【請求項12】
前記第1の入力バイアス回路は、一端が接地され、他端が前記第1の抵抗と第5のキャパシタとの間に接続された第7のキャパシタを含み、
前記第2の入力バイアス回路は、一端が接地され、他端が前記第2の抵抗と第6のキャパシタの間に接続された第8のキャパシタを含む、
請求項11に記載の増幅回路。
【請求項13】
請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の増幅回路と、
前記増幅回路が実装される実装基板と、を備え、
前記実装基板は、一端が前記増幅回路の前記入力端子と接続され、他端が外部入力端子と接続される第1の伝送線路と、前記第1の伝送線路から分岐し入力側電源と接続される第2の伝送線路と、一端が前記増幅回路の前記出力端子と接続され、他端がキャパシタを介して外部出力端子と接続される第3の伝送線路と、前記第3の伝送線路から分岐し出力側電源と接続される第4の伝送線路と、を有する、
半導体増幅装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、増幅回路および半導体増幅装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1,2には、高周波増幅器に関する技術が記載されている。
図8は、特許文献1に記載された高周波増幅器の構成を示す回路図である。この高周波増幅器100は、ハウジング103と、ハウジング103に収容されたトランジスタ121,122とを備える。ハウジング103は略矩形状といった平面形状を有し、その一辺には端子111~113が並んで配置され、対向する辺には端子114~116が並んで配置されている。端子111は、入力端子であり、カップリングコンデンサ151および整合回路131を介してトランジスタ121のゲート端子に接続されている。トランジスタ121のドレイン端子は、カップリングコンデンサ152及び整合回路133を介してトランジスタ122のゲート端子に接続されている。トランジスタ122のドレイン端子は、整合回路134及びカップリングコンデンサ153を介して、出力端子である端子116に接続されている。
【0003】
端子112は、カップリングコンデンサ151と整合回路131との間のノードに抵抗141を介して接続されており、トランジスタ121の入力バイアスを外部から入力する。端子114は、整合回路132とカップリングコンデンサ152との間のノードにインダクタ161を介して接続されており、トランジスタ121の出力バイアスを外部から入力する。端子113は、カップリングコンデンサ152と整合回路133との間のノードに抵抗142を介して接続されており、トランジスタ122の入力バイアスを外部から入力する。端子115は、整合回路134とカップリングコンデンサ153との間のノードにインダクタ162を介して接続されており、トランジスタ122の出力バイアスを外部から入力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-019068号公報
【特許文献2】特開2017-106378号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図8に示される高周波増幅器100では、入力端子である端子111と出力端子である端子116の他、入力バイアスの入力用の端子112および端子113と、出力バイアスの入力用の端子114および端子115とが、ハウジング103の両辺に配置されている。このような複数の増幅器をハウジング内に備える装置においては、装置の小型化のために、回路の実装面積を小さくすることが求められる。
【0006】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、回路の実装面積を小さくして装置を小型化することが可能な半導体増幅装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示の一側面に係る増幅回路は、直列に接続された第1の増幅器および第2の増幅器と、第1の増幅器の入力端と電気的に接続される入力端子と、第2の増幅器の出力端と電気的に接続される出力端子と、入力端子と第1の増幅器の入力端とを接続する第1の入力バイアス回路と、入力端子と第2の増幅器の入力端とを接続する第2の入力バイアス回路とを有し、第1の増幅器の入力端および第2の増幅器の入力端に入力バイアスを提供する入力バイアス回路と、出力端子と第1の増幅器の出力端との間に設けられ、第1の増幅器の出力端に出力バイアスを提供する出力バイアス回路と、を備える。
【0008】
あるいは、本開示の他の側面にかかる半導体増幅装置は、上記増幅回路と、増幅回路が実装される実装基板と、を備え、実装基板は、一端が増幅回路の入力端子と接続され、他端が外部入力端子と接続される第1の伝送線路と、第1の伝送線路から分岐し入力側電源と接続される第2の伝送線路と、一端が増幅回路の出力端子と接続され、他端がキャパシタを介して外部出力端子と接続される第3の伝送線路と、第3の伝送線路から分岐し出力側電源と接続される第4の伝送線路と、を有する。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、回路の実装面積を小さくして装置を小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の一実施形態に係る半導体増幅装置の構成を示す回路図である。
【
図2】
図1の半導体増幅装置の部品配置を示す平面図である。
【
図3】増幅器付近の部品配置を示す拡大平面図である。
【
図4】増幅器付近の部品配置を示す拡大平面図である。
【
図5】本開示の変形例に係る半導体増幅装置の構成を示す回路図である。
【
図6】
図5の半導体増幅装置の部品配置を示す平面図である。
【
図7】本開示の他の実施形態に係る半導体増幅装置の部品配置を示す平面図である。
【
図8】特許文献1に記載された高周波増幅器の構成を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示の一側面に係る増幅回路は、直列に接続された第1の増幅器および第2の増幅器と、第1の増幅器の入力端と電気的に接続される入力端子と、第2の増幅器の出力端と電気的に接続される出力端子と、入力端子と第1の増幅器の入力端とを接続する第1の入力バイアス回路と、入力端子と第2の増幅器の入力端とを接続する第2の入力バイアス回路とを有し、第1の増幅器の入力端および第2の増幅器の入力端に入力バイアスを提供する入力バイアス回路と、出力端子と第1の増幅器の出力端との間に設けられ、第1の増幅器の出力端に出力バイアスを提供する出力バイアス回路と、を備える。
【0012】
上記一側面によれば、入力端子から入力バイアスを入力することにより、第1の入力バイアス回路を介して第1の増幅器の入力端に入力バイアスが提供されると同時に、第2の入力バイアス回路を介して第2の増幅器の入力端に入力バイアスが提供される。それとともに、出力端子から出力バイアスを入力することにより、第2の増幅器の出力端に出力バイアスが提供されると同時に、出力バイアス回路を介して第1の増幅器の出力端に出力バイアスが提供される。このような構成により、入力端子および出力端子によって2段の増幅器に対して入力バイアスおよび出力バイアスを提供できるので、外部と接続される端子の数を削減して回路の実装面積を小さくすることができ、その結果として装置の小型化を実現することができる。
【0013】
ここで、上記一側面においては、出力バイアス回路は、出力端子と第1の増幅器の出力端との間に一端が接続され、他端が接地された第1のキャパシタと、第1のキャパシタの一端と第1の増幅器の出力端との間に接続された第1のインダクタと、を有する、ことが好ましい。この場合、第1の増幅器の出力端に対して、出力端子における出力信号から十分にアイソレーションされた点から出力バイアスを供給できる。加えて、第1の増幅器における低周波の不要ゲインを低下させることができる。その結果、出力信号におけるノイズを低減することができる。
【0014】
また、上記一側面においては、出力バイアス回路は、出力端子と第1のキャパシタの一端との間に一端が接続され、他端が接地された第2のキャパシタと、第1のキャパシタの一端と第2のキャパシタの一端との間を接続する第2のインダクタと、出力端子と第2のキャパシタの一端との間に接続された第3のインダクタと、を有する、ことも好ましい。この場合、第1の増幅器の出力端に対して、出力端子における出力信号から幅広い周波数で十分にアイソレーションされた点から出力バイアスを供給できる。加えて、第1の増幅器及び第2の増幅器における低周波の不要ゲインを低下させることができる。その結果、出力信号におけるノイズをさらに低減することができる。
【0015】
さらに、上記一側面においては、第1のキャパシタの第1容量値よりも第2のキャパシタの第2容量値の方が小さい、ことも好ましい。かかる構成により、出力端子における出力信号から幅広い周波数で十分にアイソレーションされた点から出力バイアスを供給できる。また、第1の増幅器における低周波の不要ゲインを効果的に低減できる。その結果、出力信号におけるノイズをさらに低減することができる。
【0016】
またさらに、出力バイアス回路は、第1のキャパシタの一端と第2のキャパシタの一端との間に一端が接続され、他端が接地された第3のキャパシタを有し、第3のキャパシタの一端は、第4のインダクタを介して第1のキャパシタの一端に接続され、第2のインダクタを介して第2のキャパシタの一端に接続される、ことも好ましい。この場合、出力端子における出力信号から幅広い周波数で十分にアイソレーションされた点から出力バイアスを供給できる。また、第1の増幅器における低周波の不要ゲインを効果的に低減できる。その結果、出力信号におけるノイズをさらに低減することができる。
【0017】
さらにまた、上記一側面においては、第1のキャパシタの第1容量値よりも第3のキャパシタの第3容量値の方が大きい、ことも好ましい。かかる構成によれば、第1の増幅器における低周波の不要ゲインをより効果的に低減できる。その結果、出力信号におけるノイズを一層低減することができる。
【0018】
また、上記一側面においては、出力バイアス回路は、第1のキャパシタの一端と第2のキャパシタの一端との間に一端が接続され、他端が接地された第4のキャパシタを有し、第4のキャパシタの一端は、第2のインダクタを介して第1のキャパシタの一端に接続され、第5のインダクタを介して第2のキャパシタの一端に接続される、ことも好適である。こうすれば、出力端子における出力信号から幅広い周波数で十分にアイソレーションされた点から出力バイアスを供給できる。また、第2の増幅器における低周波の不要ゲインを効果的に低減できる。その結果、出力信号におけるノイズをさらに低減することができる。
【0019】
さらに、上記一側面においては、第2のキャパシタの第2容量値よりも第4のキャパシタの第4容量値の方が大きい、ことも好ましい。この場合、第2の増幅器における低周波の不要ゲインをより効果的に低減できる。その結果、出力信号におけるノイズを一層低減することができる。
【0020】
またさらに、上記一側面において、第1の入力バイアス回路は、入力端子と第1の増幅器の入力端の間に設けられる第1の抵抗を含み、第2の入力バイアス回路は、入力端子と第2の増幅器の入力端の間に設けられる第2の抵抗を含む、ことも好ましい。こうすれば、第1の増幅器の入力端および第2の増幅器の入力端に対して適切な入力バイアスを印加するように設定することができる。その結果、増幅回路の増幅動作を最適化できる。
【0021】
さらにまた、上記一側面において、第1の抵抗の第1抵抗値は、第2の抵抗の第2抵抗値より大きい、ことも好ましい。かかる構成によれば、第2の増幅器のサイズが第1の増幅器のサイズより大きい場合に、第1の増幅器の入力端および第2の増幅器の入力端に対して適切な入力バイアスを印加することができ、増幅回路の増幅動作を最適化できる。
【0022】
また、第1の入力バイアス回路は、一端が接地され、他端が第1の抵抗を介して第1の増幅器の入力端に接続された第5のキャパシタを含み、第2の入力バイアス回路は、一端が接地され、他端が第2の抵抗を介して第2の増幅器の入力端に接続された第6のキャパシタを含む、ことも好ましい。この場合、入力端子における入力信号から十分にアイソレーションされた点から入力バイアスを供給できる。その結果、出力信号におけるノイズを低減することができる。
【0023】
さらに、第1の入力バイアス回路は、一端が接地され、他端が第1の抵抗と第5のキャパシタとの間に接続された第7のキャパシタを含み、第2の入力バイアス回路は、一端が接地され、他端が第2の抵抗と第6のキャパシタの間に接続された第8のキャパシタを含む、ことも好ましい。この場合、入力端子における入力信号から幅広い周波数で十分にアイソレーションされた点から入力バイアスを供給できる。その結果、出力信号におけるノイズをさらに低減することができる。
【0024】
あるいは、本開示の他の側面に係る半導体増幅装置は、上記増幅回路と、増幅回路が実装される実装基板と、を備え、実装基板は、一端が増幅回路の入力端子と接続され、他端が外部入力端子と接続される第1の伝送線路と、第1の伝送線路から分岐し入力側電源と接続される第2の伝送線路と、一端が増幅回路の出力端子と接続され、他端がキャパシタを介して外部出力端子と接続される第3の伝送線路と、第3の伝送線路から分岐し出力側電源と接続される第4の伝送線路と、を有する。
【0025】
上記他の側面によれば、実装基板上の第1の伝送線路及び第2の伝送線路を経由して入力側電源から増幅回路内の2段の増幅器に対して入力バイアスを提供できる。また、実装基板上の第3の伝送線路及び第4の伝送線路を経由して出力側電源から増幅回路内の2段の増幅器に対して出力バイアスを提供できる。その結果、増幅回路を含む半導体増幅装置の全体の実装面積を小さくすることができ、その結果として装置の小型化を実現することができる。
【0026】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図面の説明において同一要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0027】
図1は、本開示の一実施形態に係る半導体増幅装置1Aの構成を示す回路図である。
図1に示されるように、本実施形態の半導体増幅装置1Aは、複数段(本実施形態では2段)の増幅器20,22と、入力端子11と、出力端子12とを備える。増幅器20,22は、入力端子11と出力端子12との間において、段間を結合する結合キャパシタC7を挟んで互いに直列に接続されている。入力端子11には、高周波(RF)信号が入力される。高周波信号の周波数は例えばS帯(2~4GHz)あるいはX帯(8~12GHz)であり、最大入力電力はたとえば35dBmである。この高周波信号は、増幅器20,22によって増幅されたのち出力端子12から出力される。
【0028】
増幅器(第1の増幅器)20は、初段の増幅器であり、トランジスタ素子21を含んで構成されている。トランジスタ素子21は例えばFETである。トランジスタ素子21のゲート端子は、増幅器20の入力端を構成し、結合キャパシタC1と入力整合部42を介して入力端子11と電気的に接続されている。入力端子11から入力された高周波信号は、結合キャパシタC1と入力整合部42を介してトランジスタ素子21のゲート端子に与えられる。また、トランジスタ素子21のドレイン端子は、増幅器20の出力端を構成し、中間整合部43を介して結合キャパシタC7の一方の電極と電気的に接続されている。トランジスタ素子21のソース端子は基準電位線GNDに接続(接地)されている。
【0029】
増幅器(第2の増幅器)22は、終段の増幅器であり、高出力を実現するために、互いに並列に接続された偶数(本実施形態では2つ)のトランジスタ素子23,24を含んで構成されている。トランジスタ素子23,24は例えばFETである。トランジスタ素子23,24はそれぞれ単独で52dBm程度の出力を得ることが可能であり、2つのトランジスタ素子23,24が並列に設けられることによって3dB(2倍)程度の出力増が可能となる。
【0030】
トランジスタ素子23,24の各ゲート端子は、増幅器22の入力端を構成する。トランジスタ素子23のゲート端子は、中間整合部52,54を介して結合キャパシタC7の他方の電極と電気的に接続されている。トランジスタ素子24のゲート端子は、中間整合部53,55を介して結合キャパシタC7の他方の電極と電気的に接続されている。増幅器20から出力された高周波信号は、結合キャパシタC7及び中間整合部52,54を介してトランジスタ素子23のゲート端子に与えられるとともに、結合キャパシタC7及び中間整合部53,55を介してトランジスタ素子24のゲート端子に与えられる。
【0031】
トランジスタ素子23,24のドレイン端子は、増幅器22の出力端を構成する。トランジスタ素子23のドレイン端子は、出力整合部56,58を介して出力端子12と電気的に接続されている。トランジスタ素子24のドレイン端子は、出力整合部57,59を介して出力端子12と電気的に接続されている。トランジスタ素子23,24のソース端子は基準電位線GNDに接続(接地)されている。
【0032】
半導体増幅装置1Aは、入力バイアス回路13及び出力バイアス回路14を更に備える。入力バイアス回路13は、入力端子11から入力されたバイアス電圧を基に、増幅器20の入力端および増幅器22の入力端に入力バイアスを提供する。出力バイアス回路14は、出力端子12から入力されたバイアス電圧を基に、増幅器20の出力端に出力バイアスを提供する。入力バイアス回路13は、入力端子11と増幅器20の入力端とを接続する第1の入力バイアス回路31と、入力端子11と増幅器22の入力端とを接続する第2の入力バイアス回路32とを含む。出力バイアス回路14は、出力端子12と増幅器20の出力端との間に設けられ、出力端子12と増幅器20の出力端とを接続する。
【0033】
出力バイアス回路14は、インダクタ(第1のインダクタ)Ld1、インダクタ(第2のインダクタ)L2、インダクタ(第3のインダクタ)Ld2、キャパシタ(第1のキャパシタ)Cd1、及びキャパシタ(第2のキャパシタ)Cd2を含んで構成される。インダクタLd1の一端は増幅器20の出力端に中間整合部43を介して接続され、インダクタLd1の他端はインダクタL2の一端に接続されている。キャパシタCd1の一端側の電極はインダクタLd1の他端およびインダクタL2の一端に接続され、キャパシタCd1の他端側の電極は基準電位線GNDに接続(接地)されている。インダクタLd2の一端はインダクタL2の他端に接続され、インダクタLd2の他端は出力端子12に接続されている。キャパシタCd2の一端側の電極はインダクタLd2の一端およびインダクタL2の他端に接続され、キャパシタCd2の他端側の電極は基準電位線GNDに接続(接地)されている。すなわち、キャパシタCd1の一端は出力端子12と増幅器20の出力端の間のバイアスライン上の増幅器20側のノードN1に接続され、キャパシタCd2の一端は出力端子12と増幅器20の出力端の間のバイアスライン上の出力端子12側のノードN2に接続されている。
【0034】
上記の出力バイアス回路14の構成により、増幅器20の出力端には出力バイアス回路14を経由して、出力端子12から出力バイアス(ドレインバイアス)が供給可能とされる。なお、増幅器22の出力バイアス(ドレインバイアス)は、出力整合部56~59を介して出力端子12から供給可能とされる。このとき、増幅器20の出力バイアスは、キャパシタCd1,Cd2と、RF信号に関する動作周波数(例えば、10GHz)においてオープンに見える十分大きなインダクタンスを有するインダクタL2との存在により、出力信号から十分にアイソレーションされた点から供給されることとなる。例えば、インダクタL2を構成するワイヤの長さ9mm、キャパシタCd1のキャパシタンス2200pF、キャパシタCd2のキャパシタンス10pFである。このように、キャパシタCd1のキャパシタンス(第1容量値)よりもキャパシタCd2のキャパシタンス(第2容量値)の方が小さくされている。これにより、増幅器20の出力バイアスの供給点を、出力端子12から幅広い周波数でアイソレーションさせることができる。
【0035】
上記出力バイアス回路14を構成するインダクタLd1,Ld2は、動作周波数において完全にオープンに見える長さ(例えば、インダクタLd1を構成するワイヤの長さ3mm、インダクタLd2を構成するワイヤの長さ3mm)を有する。また、上述したように、キャパシタCd1,Cd2のキャパシタンスも大きな値に設定されている。よって、インダクタLd1,Ld2、及びキャパシタCd1,Cd2により、増幅器20,22の低周波の不要ゲインを下げることができる。
【0036】
第1の入力バイアス回路31は、キャパシタ(第5のキャパシタ)Cg1、抵抗(第1の抵抗)Rg1、及びインダクタL3を含んで構成される。抵抗Rg1の一端はインダクタLg1を介して入力端子11に接続され、抵抗Rg1の他端はインダクタL3の一端に接続されている。インダクタL3の他端は、入力整合部42を経由して増幅器20の入力端に接続されている。キャパシタCg1の一端側の電極は、インダクタLg1を介して入力端子11に接続されるとともに、抵抗Rg1の一端に接続され、キャパシタCg1の他端側の電極は基準電位線GNDに接続(接地)されている。
【0037】
第2の入力バイアス回路32は、キャパシタ(第6のキャパシタ)Cg2、抵抗(第2の抵抗)Rg2、及びインダクタLg2を含んで構成される。抵抗Rg2の一端はインダクタLg1およびインダクタL1を介して入力端子11に接続され、抵抗Rg1の他端はインダクタLg2の一端に接続されている。インダクタLg2の他端は、中間整合部52~55を経由して増幅器22の入力端に接続されている。キャパシタCg2の一端側の電極は、インダクタLg1およびインダクタL1を介して入力端子11に接続されるとともに、抵抗Rg2の一端に接続され、キャパシタCg2の他端側の電極は基準電位線GNDに接続(接地)されている。
【0038】
上記構成の第1の入力バイアス回路31により、増幅器20への入力バイアス(ゲートバイアス)は、いったんキャパシタCg1でブロックされた後に、抵抗Rg1を介して供給される。また、上記構成の第2の入力バイアス回路32により、増幅器22への入力バイアス(ゲートバイアス)は、いったんキャパシタCg1,Cg2でブロックされた後に、抵抗Rg2を介して供給される。このとき、インダクタLg1,L1,Lg2は、動作周波数でオープンに見える十分大きなインダクタンスを有するように設定され(例えば、インダクタLg1,L1,Lg2を構成するワイヤの長さは、それぞれ3mm)、キャパシタCg1,Cg2は大きなキャパシタンスを有するように設定されている(例えば、キャパシタCg1,Cg2のキャパシタンス10pF)。これにより、増幅器20,22への入力バイアスの供給を、入力端子11の入力信号から十分にアイソレーションされた点から可能となる。
【0039】
また、第1の入力バイアス回路31に含まれる抵抗Rg1の抵抗値(第1抵抗値)は、第2の入力バイアス回路32に含まれる抵抗Rg2の抵抗値(第2抵抗値)よりも大きく設計されている。ここで、二段の増幅器を有する半導体増幅装置1Aにおいては、増幅器20のサイズよりも増幅器22のサイズが大きくなるように設計されている。上記の抵抗値の関係に設計されることにより、増幅器20,22に対して最適な大きさの入力バイアスを供給することができる。例えば、増幅器20の出力パワーと増幅器22の出力パワーの比が1:10の場合、抵抗Rg1の抵抗値と抵抗Rg2の抵抗値の比は10:1に設計される(例えば、抵抗Rg1の抵抗値100Ω、抵抗Rg2の抵抗値10Ω)。
【0040】
図2は、半導体増幅装置1Aの部品配置を示す平面図である。
図2に示されるように、半導体増幅装置1Aはハウジング10を備える。ハウジング10は、前述した増幅器20、入力整合部42、中間整合部43、結合キャパシタC1,C7、増幅器22、中間整合部52~55、出力整合部56~59、入力バイアス回路13、および出力バイアス回路14を収容する。ハウジング10は、或る方向A1(第1方向)に沿って延在している。本実施形態では、ハウジング10は略長方形の平面形状を有し、その長手方向は方向A1と一致し、その短手方向は方向A1と交差(例えば直交)する方向A2(第2方向)と一致する。
【0041】
ハウジング10は、増幅器20,22等の回路部品を搭載する底板10aを有する。底板10aは、基準電位を規定する導電性部材であり、方向A1及びA2を含む平面に沿って延在している。例えば、底板10aの表面(ハウジング外面)全体が、基準電位に維持されたモジュール搭載基板(導電性材料で構成)に接触する。加えて、ハウジング10は、底板10a上に設けられて方向A1において互いに対向する一対の端壁10b,10cと、底板10a上に設けられて方向A2において互いに対向する一対の側壁10d,10eと、を有する。底板10aの板面に垂直な方向から見て、底板10aは、端壁10b,10c及び側壁10d,10eからはみ出している。側壁10d,10eに沿った底板10aの側辺には、半導体増幅装置1Aを回路基板に固定するためのネジを挿通する切り欠き部10fが複数形成されている。なお、端壁10b,10c及び側壁10d,10eの上端(底板10aとは反対側の端)は、図示しない蓋部によって気密に封止される。底板10a、端壁10b及び10c、並びに側壁10d及び10eはいずれも表面がメタライズ(メッキ等)されたセラミック製の板材である。
【0042】
ハウジング10は、入力端子11及び出力端子12を有する。入力端子11は、方向A1におけるハウジング10の一端側において基準軸AX上に配置されている。基準軸AXは、方向A1に沿って延びる架空の軸線であって、半導体増幅装置1Aの中心を通っている。本実施形態の入力端子11は、絶縁部材15上に形成された金属膜であり、絶縁部材15を挟んで底板10a上に設けられ、ハウジング10の端壁10bを方向A1に貫通している。入力端子11の一端は、端壁10bの内側に位置し、初段の増幅器20の入力端と電気的に接続されている。入力端子11の他端は、端壁10bの外側に位置し、方向A1における底板10aの一端に達している。
【0043】
出力端子12は、方向A1におけるハウジング10の他端側において基準軸AX上に配置されている。本実施形態の出力端子12は、絶縁部材16上に形成された金属膜であり、絶縁部材16を挟んで底板10a上に設けられ、ハウジング10の端壁10cを方向A1に貫通している。出力端子12の一端は、端壁10cの内側に位置し、終段の増幅器22の出力端と電気的に接続されている。出力端子12の他端は、端壁10cの外側に位置し、方向A1における底板10aの他端に達している。
【0044】
増幅器20,22は、基準軸AX上に並んで配置されている。増幅器20を構成するトランジスタ素子21は、偶数(例えば8個)のトランジスタ(FET)を内蔵する。これらのトランジスタは、基準軸AXと交差する方向A2に沿って並んでおり、基準軸AXの両側に同数のトランジスタが配置されている。増幅器22を構成するトランジスタ素子23,24は、基準軸AXを挟んで互いに対称な位置に配置されている。トランジスタ素子23,24は、互いに同数(例えば16個)のトランジスタ(FET)を内蔵する。これらのトランジスタは、基準軸AXと交差する方向A2に沿って並んでいる。
【0045】
上記の配置構成を有する半導体増幅装置1Aにおいては、増幅器20,22のドレインバイアスおよびゲートバイアスの接続点が初段の増幅器20及び2段目の増幅器22の中心部を結ぶ基準軸AX上に配置され、増幅器20,22が基準軸に関して線対称に配置された回路構成が実現されている。
【0046】
図3は、増幅器20付近の部品配置を示す拡大平面図である。トランジスタ素子21の一方側(入力端子11側)には、複数のゲートパッド及び複数のソースパッドが方向A2に沿って交互に並んでいる。また、トランジスタ素子21の他方側(出力端子12側)には、複数のドレインパッドが方向A2に沿って並んでいる。ソースパッドは、ビアを介して、基準電位の底板10aに接続されている。なお、ソースパッドは、ボンディングワイヤを介して、基準電位の底板10aに接続してもよい。
【0047】
図3に示されるように、増幅器20(トランジスタ素子21)と入力端子11との間の基準軸AX上には、入力分岐部41(分岐カプラ)及び入力整合部42が並んで設けられる。入力分岐部41及び入力整合部42は、底板10a上に設けられた共通の絶縁部材40a上に形成された配線パターンである。入力分岐部41及び入力整合部42は、基準軸AXに関して線対称な配線形状を有する。
【0048】
入力分岐部41は、基準軸AX上に位置する入力分岐点P1を含み、入力分岐点P1から基準軸AXの両側に延びており、基準軸AXに関して線対称な形状を有する。入力分岐部41の入力分岐点P1上には結合キャパシタC1が搭載されている。結合キャパシタC1は所謂ダイキャップである。入力分岐部41は、入力分岐点P1において結合キャパシタC1の裏面電極に接続されている。結合キャパシタC1の表面電極は、ボンディングワイヤ80を介して入力端子11と電気的に接続される。これにより、入力分岐部41は、入力分岐点P1において、結合キャパシタC1およびボンディングワイヤ80を介して入力端子11と接続される。
【0049】
入力整合部42は、トランジスタ素子21に対する入力インピーダンスを整合する部分である。入力整合部42は、一対の配線パターン42a,42bを含む。これらの配線パターン42a,42bは、基準軸AXを挟んだ一対の領域において基準軸AXに関して線対称に配置され、方向A2に沿って並んでいる。配線パターン42aの入力端子11側の一端は、基準軸AXを挟む一対の領域の一方に延びる入力分岐部41の部分と一体的に接続されている。また、配線パターン42aの増幅器20側の他端は、複数(例えば4本)のボンディングワイヤ81を介して、トランジスタ素子21を構成する一部のトランジスタのゲートパッドに接続されている。配線パターン42bの入力端子11側の一端は、基準軸AXを挟む一対の領域の他方に延びる入力分岐部41の部分と一体的に接続されている。また、配線パターン42bの出力端子12側の他端は、複数(例えば4本)のボンディングワイヤ81を介して、トランジスタ素子21を構成する残りのトランジスタのゲートパッドに接続されている。
【0050】
配線パターン42a,42bは他の配線と比較して幅広に形成されており、底板10aとの間の容量によってキャパシタを構成する。また、各ボンディングワイヤ81は寄生インダクタンスを有する。従って、配線パターン42a,42b及び各ボンディングワイヤ81により、整合回路が実現されている。
【0051】
トランジスタ素子21は方向A2に延びる細長形状を有するので、単独の配線パターンでは、素子の両端と中央部との距離の差が大きく、適正に整合を取ることが難しくなる。従って、本実施形態では、一方の配線パターン42aがトランジスタ素子21のうち半分の整合を担い、他方の配線パターン42bがトランジスタ素子21のうち残り半分の整合を担うことによって、適正に整合を取ることが容易となる。
【0052】
増幅器20(トランジスタ素子21)と結合キャパシタC7(
図2を参照)との間の基準軸AX上には、中間整合部43及び中間合成部44が並んで設けられる。中間整合部43及び中間合成部44は、底板10a上に設けられた共通の絶縁部材40b上に形成された配線パターンである。中間整合部43及び中間合成部44は、基準軸AXに関して線対称な配線形状を有する。
【0053】
中間整合部43は、トランジスタ素子21に対する出力インピーダンスを整合する部分である。中間整合部43は、一対の配線パターン43a,43bを含む。これらの配線パターン43a,43bは、基準軸AXを挟んだ一対の領域において基準軸AXに関して線対称に配置され、方向A2に沿って並んでいる。配線パターン43aの入力端子11側の一端は、複数(例えば4本)のボンディングワイヤ82を介して、トランジスタ素子21を構成する一部のトランジスタのドレインパッド(不図示)に接続されている。配線パターン43bの入力端子11側の一端は、複数(例えば4本)のボンディングワイヤ82を介して、トランジスタ素子21を構成する残りのトランジスタのドレインパッドに接続されている。
【0054】
配線パターン43a,43bは他の配線と比較して幅広に形成されており、底板10aとの間の容量によってキャパシタを構成する。また、各ボンディングワイヤ82は寄生インダクタンスを有する。従って、配線パターン43a,43b及び各ボンディングワイヤ82により、整合回路が実現されている。また、中間整合部43においても、一方の配線パターン43aがトランジスタ素子21のうち半分の部位の整合を担い、他方の配線パターン43bがトランジスタ素子21のうち残り半分の部位の整合を担うことによって、トランジスタ素子21全体として適正に整合を取ることが容易となる。
【0055】
中間合成部44は、基準軸AX上に位置する中間合成点P2を含み、中間合成点P2から基準軸AXを跨いで延びており、基準軸AXに関して線対称な形状を有する。中間合成点P2では、増幅器20から延びる偶数個(本実施形態では2個)の配線部分44a,44bが、その後段の増幅器22に向けて互いに結合される。
【0056】
配線パターン43aの出力端子12側の他端は、基準軸AXを挟む一対の領域の一方に延びる中間合成部44の配線部分44aと一体的に接続されている。配線パターン43bの出力端子12側の他端は、基準軸AXを挟む一対の領域の他方に延びる中間合成部44の配線部分44bと一体的に接続されている。中間合成部44は、中間合成点P2において、ボンディングワイヤ83を介して結合キャパシタC7の一方の電極と電気的に接続される。
【0057】
図4は、増幅器22付近の部品配置を示す拡大平面図である。
図4に示されるように、増幅器22の前段には、中間分岐部51及び中間整合部52~55が配置されている。中間分岐部51及び中間整合部52~55は、基準軸AXに関して線対称な配線形状を有する。
【0058】
中間分岐部51は、増幅器22と中間合成部44(
図3を参照)との間において基準軸AX上に配置されている。中間分岐部51は、底板10a上に設けられた絶縁部材50a上に形成された配線パターンである。中間分岐部51は、基準軸AX上に位置する中間分岐点P3を含み、中間分岐点P3から基準軸AXを跨いで延びており、基準軸AXに関して線対称な形状を有する。すなわち、中間分岐部51は、基準軸AXを挟む一対の領域の一方に延びる配線部分51aと、基準軸AXを挟む一対の領域の他方に延びる配線部分51bとを有する。中間分岐点P3では、増幅器22とその前段の増幅器20とを接続する配線が、増幅器22に向けて偶数個に分岐する。
【0059】
中間分岐部51の中間分岐点P3上には結合キャパシタC7が搭載されている。結合キャパシタC7は所謂ダイキャップである。中間分岐部51は、中間分岐点P3において結合キャパシタC7の裏面電極に接続されている。結合キャパシタC7の表面電極は、前述したように、ボンディングワイヤ83を介して中間合成部44の中間合成点P2に接続されている。
【0060】
中間整合部52,54は、増幅器22と中間分岐部51との間において、基準軸AXを挟む一対の領域の一方に配置されている。中間整合部52,54は、底板10a上に設けられた絶縁部材50b,50d上にそれぞれ形成された配線パターンである。中間整合部52は、複数(例えば4つ)の配線パターン52aを含む。これらの配線パターン52aは、方向A2に沿って並んでおり、図示しない膜抵抗を介して互いに接続(ウィルキンソンカプラ)されている。これにより、複数のトランジスタの入力端子間のアイソレーションを確保しつつ、トランジスタ素子21の出力から見た、トランジスタ素子23の入力インピーダンスの整合を図っている。複数の配線パターン52aの入力端子11側の一端は、絶縁部材50b上に形成された配線及びボンディングワイヤ84aを介して、中間分岐部51の配線部分51aと電気的に接続されている。
【0061】
中間整合部54は、配線パターン52aと同数の配線パターン54aを含む。これらの配線パターン54aは、方向A2に沿って並んでいる。各配線パターン52aの出力端子12側の他端は、ボンディングワイヤ85aを介して、対応する配線パターン54aの入力端子11側の一端と電気的に接続されている。各配線パターン54aの出力端子12側の他端は、ボンディングワイヤ86aを介して、トランジスタ素子23を構成する各トランジスタのゲート端子に接続されている。なお、上述した配線パターン52a間のウィルキンソンカプラは、配線パターン54a間に設けられてもよい。
【0062】
中間整合部53,55は、増幅器22と中間分岐部51との間において、基準軸AXを挟む一対の領域の他方(中間整合部52,54とは反対側)に、基準軸AXに関して中間整合部52,54と線対称に配置されている。中間整合部53,55は、底板10a上に設けられた絶縁部材50c,50e上にそれぞれ形成された配線パターンである。中間整合部53は、複数(例えば4つ)の配線パターン53aを含む。これらの配線パターン53aは、方向A2に沿って並んでおり、図示しない膜抵抗を介して互いに接続(ウィルキンソンカプラ)されている。これにより、複数のトランジスタの入力端子間のアイソレーションを確保しつつ、トランジスタ素子21の出力から見た、トランジスタ素子24の入力インピーダンスの整合を図っている。複数の配線パターン53aの入力端子11側の一端は、絶縁部材50c上に形成された配線及びボンディングワイヤ84bを介して、中間分岐部51の配線部分51bと電気的に接続されている。
【0063】
中間整合部55は、配線パターン53aと同数の配線パターン55aを含む。これらの配線パターン55aは、方向A2に沿って並んでいる。各配線パターン53aの出力端子12側の他端は、ボンディングワイヤ85bを介して、対応する配線パターン55aの入力端子11側の一端と電気的に接続されている。各配線パターン55aの出力端子12側の他端は、ボンディングワイヤ86bを介して、トランジスタ素子24を構成する各トランジスタのゲート端子に接続されている。なお、上述した配線パターン53a間のウィルキンソンカプラは、配線パターン55a間に設けられてもよい。
【0064】
配線パターン52a,53a,54a,及び55aは、他の配線と比較して幅広に形成されており、底板10aとの間の寄生容量によってキャパシタを構成する。また、各ボンディングワイヤ85a,85b,86a,及び86bは寄生インダクタンスを有する。従って、配線パターン52a,53a,54a,及び55a及び各ボンディングワイヤ85a,85b,86a,及び86bにより、整合回路が実現されている。
【0065】
また、トランジスタ素子23,24は方向A2に延びる細長形状を有するので、それぞれ単独の配線パターンでは、素子の両端と中央部との距離の差が大きく、適正に整合を取ることが難しくなる。従って、本実施形態では、トランジスタ素子23に対して配線パターン52a及び54aがそれぞれ複数設けられ、トランジスタ素子24に対して配線パターン53a及び55aがそれぞれ複数設けられている。これにより、適正に整合を取ることが容易となる。
【0066】
増幅器22の後段には、出力整合部56~59及び出力合成部60が配置されている。出力整合部56~59及び出力合成部60は、基準軸AXに関して線対称な配線形状を有する。
【0067】
出力整合部56,58は、増幅器22と出力合成部60との間において、基準軸AXを挟む一対の領域の一方に配置されている。出力整合部56,58は、底板10a上に設けられた絶縁部材50f,50h上にそれぞれ形成された配線パターンである。出力整合部56は、複数(例えば4つ)の配線パターン56aを含む。これらの配線パターン56aは、方向A2に沿って並んでいる。出力整合部58は、配線パターン56aと同数の配線パターン58aを含む。これらの配線パターン58aは、方向A2に沿って並んでいる。各配線パターン56aの入力端子11側の一端は、ボンディングワイヤ87aを介して、トランジスタ素子23を構成する各トランジスタのドレイン端子に接続されている。各配線パターン56aの出力端子12側の他端は、ボンディングワイヤ88aを介して、対応する配線パターン58aの入力端子11側の一端と電気的に接続されている。
【0068】
出力整合部57,59は、増幅器22と出力合成部60との間において、基準軸AXを挟む一対の領域の他方(出力整合部57,59とは反対側)に配置されている。出力整合部57,59は、底板10a上に設けられた絶縁部材50g,50i上にそれぞれ形成された配線パターンである。出力整合部57は、配線パターン56aと同数の配線パターン57aを含む。これらの配線パターン57aは、方向A2に沿って並んでいる。出力整合部59は、配線パターン58aと同数の配線パターン59aを含む。これらの配線パターン59aは、方向A2に沿って並んでいる。各配線パターン57aの入力端子11側の一端は、ボンディングワイヤ87bを介して、トランジスタ素子24を構成する各トランジスタのドレイン端子に接続されている。各配線パターン57aの出力端子12側の他端は、ボンディングワイヤ88bを介して、対応する配線パターン59aの入力端子11側の一端と電気的に接続されている。
【0069】
配線パターン56a,57a,58a,及び59aは、他の配線と比較して幅広に形成されており、底板10aとの間の容量によってキャパシタを構成する。また、各ボンディングワイヤ87a,87b,88a,及び88bは寄生インダクタンスを有する。従って、配線パターン56a,57a,58a,及び59a及び各ボンディングワイヤ87a,87b,88a,及び88bにより、整合回路が実現されている。また、出力整合部56,58において、トランジスタ素子23に対して配線パターン56a及び58aがそれぞれ複数設けられ、出力整合部57,59においても、トランジスタ素子24に対して配線パターン57a及び59aがそれぞれ複数設けられている。これにより、適正に整合を取ることが容易となる。
【0070】
出力合成部60は、底板10a上に設けられた絶縁部材50j上に形成された配線パターンである。出力合成部60は、基準軸AX上に位置する出力合成点P4を含み、出力合成点P4から基準軸AXを跨いで延びており、基準軸AXに関して線対称な形状を有する。すなわち、出力合成部60は、基準軸AXを挟む一対の領域の一方に延びる配線部分60aと、基準軸AXを挟む一対の領域の他方に延びる配線部分60bとを有する。複数の配線パターン58aの出力端子12側の他端は、絶縁部材50h上に形成された配線及びボンディングワイヤ89aを介して、配線部分60aと電気的に接続されている。複数の配線パターン59aの出力端子12側の他端は、絶縁部材50i上に形成された配線及びボンディングワイヤ89bを介して、配線部分60bと電気的に接続されている。出力合成部60は、出力合成点P4において、ボンディングワイヤ90を介して出力端子12と電気的に接続されている。
【0071】
以上に説明した本実施形態の半導体増幅装置1Aによって得られる効果について、従来の課題と共に説明する。近年、レーダー送信機用のデバイス等に代表されるように、高周波帯で高出力を実現する増幅器の需要が高まっている。単独のトランジスタ素子によって高出力を得るには限界があるので、一般的には、複数のトランジスタ素子を並列に接続し、増幅後の高周波信号を出力段にて合波する。また、小信号入力から大信号出力を得る為には、二段もしくは複数段のトランジスタを直列に接続することが有効である。従来の半導体増幅装置では、各段のトランジスタ毎にハウジングを設け、各段のハウジングの外において段間を接続していた。このような方式では、各段間において、出力バイアス回路を前段のトランジスタの出力端に、入力バイアス回路を後段のトランジスタの入力端に、それぞれ容易に接続することができる。
【0072】
しかしながら、複数段のトランジスタが1つのハウジング内に収容される場合、初段を除くトランジスタの入力バイアスと、終段を除くトランジスタの出力バイアスとを如何にして供給するかが課題となる。特に、複数段のトランジスタが1つのハウジング内に搭載するような構成で、端子数をいかに削減してバイアスの供給を実現できるかが、装置の小型化を実現するうえで重要となる。
【0073】
このような課題に対し、半導体増幅装置1Aによれば、入力端子11から入力バイアスを入力することにより、第1の入力バイアス回路31を介して増幅器20の入力端に入力バイアスが提供されると同時に、第2の入力バイアス回路32を介して増幅器22の入力端に入力バイアスが提供される。それとともに、出力端子12から出力バイアスを入力することにより、増幅器22の出力端に出力バイアスが提供されると同時に、出力バイアス回路14を介して増幅器20の出力端に出力バイアスが提供される。このような構成により、入力端子11および出力端子12によって2段の増幅器20,22に対して入力バイアスおよび出力バイアスを提供できるので、外部と接続される端子の数を削減して回路の実装面積を小さくすることができ、その結果として装置の小型化を実現することができる。
【0074】
ここで、本実施形態においては、出力バイアス回路14は、出力端子12と増幅器20の出力端との間に一端が接続され、他端が接地されたキャパシタCd1と、キャパシタCd1の一端と増幅器20の出力端との間に接続されたインダクタLd1と、を有している。この場合、増幅器20の出力端に対して、出力端子12における出力信号から十分にアイソレーションされた点から出力バイアスを供給できる。加えて、増幅器20における低周波の不要ゲインを低下させることができる。その結果、出力信号におけるノイズを低減することができる。
【0075】
また、本実施形態においては、出力バイアス回路14は、出力端子12とキャパシタCd1の一端との間に一端が接続され、他端が接地されたキャパシタCd2と、キャパシタCd1の一端とキャパシタCd2の一端との間を接続するインダクタL2と、出力端子12とキャパシタCd2の一端との間に接続されたインダクタLd2とを有している。この場合、増幅器20の出力端に対して、出力端子12における出力信号から幅広い周波数で十分にアイソレーションされた点から出力バイアスを供給できる。加えて、増幅器20及び増幅器22における低周波の不要ゲインを低下させることができる。その結果、出力信号におけるノイズをさらに低減することができる。
【0076】
さらに、本実施形態においては、キャパシタCd1のキャパシタンスよりもキャパシタCd2のキャパシタンスの方が小さく設定されている。かかる構成により、出力端子12における出力信号から幅広い周波数で十分にアイソレーションされた点から出力バイアスを供給できる。また、増幅器20における低周波の不要ゲインを効果的に低減できる。その結果、出力信号におけるノイズをさらに低減することができる。
【0077】
またさらに、本実施形態においては、第1の入力バイアス回路31は、入力端子11と増幅器20の入力端の間に設けられる抵抗Rg1を含み、第2の入力バイアス回路32は、入力端子11と増幅器22の入力端の間に設けられる抵抗Rg2を含んでいる。この場合、増幅器20の入力端および増幅器22の入力端に対して適切な入力バイアスを印加するように設定することができる。その結果、増幅回路の増幅動作を最適化できる。
【0078】
さらにまた、本実施形態では、抵抗Rg1の抵抗値は抵抗Rg2の抵抗値より大きく設定されている。この場合、増幅器22のサイズが増幅器20のサイズより大きい場合に、増幅器20の入力端および増幅器22の入力端に対して適切な入力バイアスを印加することができ、増幅回路の増幅動作を最適化できる。
【0079】
また、本実施形態では、第1の入力バイアス回路31は、一端が接地され、他端が抵抗Rg1を介して増幅器20の入力端に接続されたキャパシタCg1を含み、第2の入力バイアス回路32は、一端が接地され、他端が抵抗Rg2を介して増幅器22の入力端に接続されたキャパシタCg2を含んでいる。この場合、入力端子11における入力信号から十分にアイソレーションされた点から入力バイアスを供給できる。その結果、出力信号におけるノイズを低減することができる。
【0080】
以上、好適な実施の形態において本開示の原理を図示し説明してきたが、本開示は、そのような原理から逸脱することなく配置および詳細において変更され得ることは、当業者によって認識される。本開示は、本実施の形態に開示された特定の構成に限定されるものではない。したがって、特許請求の範囲およびその精神の範囲から来る全ての修正および変更に権利を請求する。
【0081】
図5は、本開示の変形例に係る半導体増幅装置1Bの構成を示す回路図、
図6は、半導体増幅装置1Bの部品配置を示す平面図である。
図5及び
図6に示されるように、本変形例の半導体増幅装置1Bは、入力バイアス回路13B及び出力バイアス回路14Bの構成が半導体増幅装置1Aと異なっている。
【0082】
すなわち、出力バイアス回路14Bは、キャパシタ(第3のキャパシタ)Cd3、キャパシタ(第4のキャパシタ)Cd4、インダクタ(第4のインダクタ)Ld3、及びインダクタ(第5のインダクタ)Ld4をさらに備える。インダクタLd3は、インダクタL2とインダクタLd1との間に挿入される。インダクタLd4は、インダクタL2とインダクタLd2との間に挿入される。すなわち、出力バイアス回路14においては、インダクタLd1,Ld3,L2,Ld4,Ld2が、出力バイアスを供給するバイアスラインを構成する。キャパシタCd3の一端側の電極は、インダクタLd3を介してキャパシタCd1の一端側の電極に接続され、キャパシタCd3の他端側の電極は、基準電位線GNDに接続(接地)されている。キャパシタCd4の一端側の電極は、インダクタLd4を介してキャパシタCd2の一端側の電極に接続され、キャパシタCd4の他端側の電極は、基準電位線GNDに接続(接地)されている。
【0083】
ここで、キャパシタCd3のキャパシタンス(第3容量値)はキャパシタCd1のキャパシタンス(第1容量値)よりも大きく設定されている。また、キャパシタCd4のキャパシタンス(第4容量値)はキャパシタCd2のキャパシタンス(第2容量値)よりも大きく設定されている。
【0084】
第1の入力バイアス回路31Bは、キャパシタ(第7のキャパシタ)Cg3およびインダクタLg3をさらに備える。第2の入力バイアス回路32Bは、キャパシタ(第8のキャパシタ)Cg4およびインダクタLg4をさらに備える。インダクタLg3は、抵抗Rg1とインダクタL1との間に挿入される。インダクタLg4は、インダクタL1と抵抗Rg2との間に挿入される。キャパシタCg3の一端側の電極は、インダクタLg3を介してキャパシタCg1の一端側の電極に接続され、キャパシタCg3の他端側の電極は、基準電位線GNDに接続(接地)されている。キャパシタCg4の一端側の電極は、インダクタLg4を介してキャパシタCg2の一端側の電極に接続され、キャパシタCg4の他端側の電極は、基準電位線GNDに接続(接地)されている。
【0085】
ここで、キャパシタCg3のキャパシタンス(第7容量値)はキャパシタCg1のキャパシタンス(第5容量値)よりも大きく設定されている。また、キャパシタCg4のキャパシタンス(第8容量値)はキャパシタCg2のキャパシタンス(第6容量値)よりも大きく設定されている。
【0086】
上記変形例にかかる半導体増幅装置1Bにおいては、キャパシタCd1の一端とキャパシタCd2の一端との間に一端が接続され、他端が接地されたキャパシタCd3を有し、キャパシタCd3の一端は、インダクタLd3を介してキャパシタCd1の一端に接続され、インダクタL2,Ld4を介してキャパシタCd2の一端に接続されている。この場合、出力端子12における出力信号から幅広い周波数で十分にアイソレーションされた点から出力バイアスを供給できる。また、増幅器20における低周波の不要ゲインを効果的に低減できる。その結果、出力信号におけるノイズをさらに低減することができる。
【0087】
また、半導体増幅装置1Bにおいては、キャパシタCd1のキャパシタンスよりもキャパシタCd3のキャパシタンスの方が大きく設定されている。かかる構成によれば、増幅器20における低周波の不要ゲインをより効果的に低減できる。その結果、出力信号におけるノイズを一層低減することができる。
【0088】
また、半導体増幅装置1Bにおいては、キャパシタCd1の一端とキャパシタのCd2の一端との間に一端が接続され、他端が接地されたキャパシタCd4を有し、キャパシタCd4の一端は、インダクタL2,Ld3を介してキャパシタCd1の一端に接続され、インダクタLd4を介してキャパシタCd2の一端に接続されている。このような構成によれば、出力端子12における出力信号から幅広い周波数で十分にアイソレーションされた点から出力バイアスを供給できる。また、増幅器22における低周波の不要ゲインを効果的に低減できる。その結果、出力信号におけるノイズをさらに低減することができる。
【0089】
さらに、半導体増幅装置1Bにおいては、キャパシタCd2のキャパシタンスよりもキャパシタCd4のキャパシタンスの方が大きく設定されている。この場合、増幅器22における低周波の不要ゲインをより効果的に低減できる。その結果、出力信号におけるノイズを一層低減することができる。
【0090】
また、半導体増幅装置1Bにおいては、一端が接地され、他端が抵抗Rg1とキャパシタCg1との間に接続されたキャパシタCg3と、一端が接地され、他端が抵抗Rg2とキャパシタCg2の間に接続されたキャパシタCg4とが含まれている。この場合、入力端子11における入力信号から幅広い周波数で十分にアイソレーションされた点から入力バイアスを供給できる。その結果、出力信号におけるノイズをさらに低減することができる。
【0091】
さらに、半導体増幅装置1Bにおいては、キャパシタCg1のキャパシタンスよりもキャパシタCg3のキャパシタンスの方が大きく設定され、キャパシタCg2のキャパシタンスよりもキャパシタCg4のキャパシタンスの方が大きく設定されている。この場合、入力端子11における入力信号からさらに幅広い周波数で十分にアイソレーションされた点から入力バイアスを供給できる。その結果、出力信号におけるノイズを一層低減することができる。
【0092】
図7は、本開示の別の実施形態にかかる半導体増幅装置200の部品配置を示す平面図である。半導体増幅装置200は、上述した実施形態にかかる半導体増幅装置1Aを実装基板に実装した形態を有する。
【0093】
半導体増幅装置200は、蓋部201によって封止された半導体増幅装置1Aがハウジング10の端壁10b,10c及び側壁10d,10eとは反対側の面を下にして載置される長方形の平面形状の実装基板202を有する。半導体増幅装置1Aは、切り欠き部10fに挿通するネジ203によって、方向A1が実装基板202の長手方向に一致し、かつ、方向A2が実装基板202の短手方向に一致した状態で、実装基板202の中央に固定される。
【0094】
この実装基板202上には、第1伝送線路204、第2伝送線路205、第3伝送線路206、第4伝送線路207、出力伝送線路208、キャパシタ209,210,211が設けられている。
【0095】
第1伝送線路204は、実装基板202上において方向A1に沿って直線状に延びる膜状導体であり、一端は半導体増幅装置1Aの入力端子11に電気的に接続されており、他端は実装基板202の最縁部まで延びて信号入力端子(外部入力端子)212と電気的に接続されている。第2伝送線路205は、実装基板202上において方向A2に沿って直線状に延びる膜状導体であり、一端は第1伝送線路204の中間部に一体化されており、他端は実装基板202の最縁部まで延びてバイアス入力端子213に電気的に接続されている。すなわち、第2伝送線路205は、第1伝送線路204から分岐してバイアス入力端子213まで延びている。キャパシタ209は扇形形状の電極を有する容量素子であり、キャパシタ209の一方の電極が、その扇形の中心に相当する角部が第2伝送線路205の中央部の縁に接するように、第2伝送線路205に電気的に接続されており、キャパシタ209の他方の電極が、実装基板202の裏面において基準電位に接続(接地)されている。ここで、キャパシタ209と第2伝送線路205との接続点から第2伝送線路205の第1伝送線路204との接続点までの距離は、RF信号の波長λに換算して1/4×λに略等しくされている。これにより、第1伝送線路204を伝送するRF信号に関して、第2伝送線路205がオープンに設定される。
【0096】
第3伝送線路206および出力伝送線路208は、実装基板202上において方向A1に沿って、同一ライン上に延びる膜状導体である。第3伝送線路206の一端は半導体増幅装置1Aの出力端子12に電気的に接続されており、第3伝送線路206の他端はキャパシタ211の一方の電極に接続されている。出力伝送線路208の一端はキャパシタ211の他方の電極に接続されており、出力伝送線路208の他端は実装基板202の最縁部まで延びて信号出力端子(外部出力端子)214と電気的に接続されている。第4伝送線路207は、実装基板202上において方向A2に沿って直線状に延びる膜状導体であり、一端は第3伝送線路206の中間部に一体化されており、他端は実装基板202の最縁部まで延びてバイアス入力端子215に電気的に接続されている。すなわち、第4伝送線路207は、第3伝送線路206から分岐してバイアス入力端子215まで延びている。キャパシタ210は扇形形状の電極を有する容量素子であり、キャパシタ210の一方の電極が、その扇形の中心に相当する角部が第4伝送線路207の中央部の縁に接するように、第4伝送線路207に電気的に接続されており、キャパシタ210の他方の電極が、実装基板202の裏面において基準電位に接続(接地)されている。ここで、キャパシタ210と第4伝送線路207との接続点から第4伝送線路207の第3伝送線路206との接続点までの距離は、RF信号の波長λに換算して1/4×λに略等しくされている。これにより、第3伝送線路206を伝送するRF信号に関して、第4伝送線路207がオープンに設定される。
【0097】
上記構成の半導体増幅装置200においては、信号入力端子212から入力信号(RF信号)が入力されることにより、入力信号が第1伝送線路204を経由して入力端子11に供給され、出力端子12から出力される出力信号(RF信号)は、第3伝送線路206、キャパシタ211、及び出力伝送線路208を経由して、信号出力端子214から外部に出力される。加えて、外部バイアス電源(入力側電源)が接続されたバイアス入力端子213からバイアス電圧が入力されることにより、そのバイアス電圧が、第2伝送線路205及び第1伝送線路204を経由して、入力バイアスとして入力端子11に供給されるとともに、外部バイアス電源(出力側電源)が接続されたバイアス入力端子215からバイアス電圧が入力されることにより、そのバイアス電圧が、第4伝送線路207及び第3伝送線路206を経由して、出力バイアスとして出力端子12に供給される。
【0098】
上述した形態の半導体増幅装置200によれば、実装基板202上の第1伝送線路204及び第2伝送線路205を経由して外部バイアス電源から半導体増幅装置1A内の2段の増幅器に対して入力バイアスを提供できる。また、実装基板202上の第3伝送線路206及び第4伝送線路207を経由して外部バイアス電源から半導体増幅装置1A内の2段の増幅器に対して出力バイアスを提供できる。その結果、半導体増幅装置1Aが実装される実装基板を含む半導体増幅装置200の全体の実装面積を小さくすることができ、その結果として装置の小型化を実現することができる。
【符号の説明】
【0099】
1A,1B,200…半導体増幅装置
11…入力端子
12…出力端子
13,13B…入力バイアス回路
31,31B…第1の入力バイアス回路
32,32B…第2の入力バイアス回路
14,14B…出力バイアス回路
20…増幅器(第1の増幅器)
22…増幅器(第2の増幅器)
202…実装基板
209,210,211…キャパシタ
212…信号入力端子(外部入力端子)
214…信号出力端子(外部出力端子)
Cd1…キャパシタ(第1のキャパシタ)
Cd2…キャパシタ(第2のキャパシタ)
Cd3…キャパシタ(第3のキャパシタ)
Cd4…キャパシタ(第4のキャパシタ)
Cg1…キャパシタ(第5のキャパシタ)
Cg2…キャパシタ(第6のキャパシタ)
Cg3…キャパシタ(第7のキャパシタ)
Cg4…キャパシタ(第8のキャパシタ)
L1,L2,L3,Lg1,Lg2,Lg3,Lg4…インダクタ
Ld1…インダクタ(第1のインダクタ)
L2…インダクタ(第2のインダクタ)
Ld2…インダクタ(第3のインダクタ)
Ld3…インダクタ(第4のインダクタ)
Ld4…インダクタ(第5のインダクタ)
Rg1…抵抗(第1の抵抗)
Rg2…抵抗(第2の抵抗)
204…第1伝送線路
205…第2伝送線路
206…第3伝送線路
207…第4伝送線路
208…出力伝送線路