特開 2022-190794 組合せ端子

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2022190794

(43)【公開日】2022-12-27

(54)【発明の名称】組合せ端子

(51)【国際特許分類】

   H01R 11/12 20060101AFI20221220BHJP

【ＦＩ】

H01R11/12 E

【審査請求】未請求

【請求項の数】8

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2021099235

(22)【出願日】2021-06-15

(71)【出願人】

【識別番号】395011665

【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所

(71)【出願人】

【識別番号】000183406

【氏名又は名称】住友電装株式会社

(71)【出願人】

【識別番号】000002130

【氏名又は名称】住友電気工業株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】110000497

【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所

(72)【発明者】

【氏名】宮村 哲矢

(72)【発明者】

【氏名】中村 英人

(72)【発明者】

【氏名】野崎 新史

(72)【発明者】

【氏名】齋藤 大亮

(57)【要約】

【課題】手作業での組付けを可能にする。
【解決手段】組合せ端子は、第１基板部１２を有する第１端子金具１１と、第１基板部１２に積層される第２基板部４２を有し、積層方向と交差する方向に変位させることによって第１端子金具１１に組み付けられる第２端子金具４１とを備え、第１端子金具１１には、弾性変形可能な第１弾性ロック片２２が形成され、第２端子金具４１には、第１弾性ロック片２２と係止することによって第１端子金具１１と第２端子金具４１を組付け状態にロックする第２ロック部４６が形成され、第１端子金具１１には、第１弾性ロック片２２に対する異物の干渉を防止する第１保護部２８が一体に形成されている。
【選択図】図２

【特許請求の範囲】

【請求項1】

第１基板部を有する第１端子金具と、
前記第１基板部に積層される第２基板部を有し、積層方向と交差する方向に変位させることによって前記第１端子金具に組み付けられる第２端子金具とを備え、
前記第１端子金具には、弾性変形可能な弾性ロック片が形成され、
前記第２端子金具には、前記弾性ロック片と係止することによって前記第１端子金具と前記第２端子金具を組付け状態にロックするロック部が形成され、
前記第１端子金具には、前記弾性ロック片に対する異物の干渉を防止する保護部が一体に形成されている組合せ端子。

【請求項2】

前記保護部は、前記第１端子金具と前記第２端子金具の組付け過程で前記第２端子金具を摺接させるガイド面を有している請求項１に記載の組合せ端子。

【請求項3】

前記弾性ロック片は、前記第１基板部から片持ち状に延出した形状であり、
前記ロック部が、前記弾性ロック片の延出端部に係止するように配置されている請求項１又は請求項２に記載の組合せ端子。

【請求項4】

前記弾性ロック片は、前記第１基板部との間で前記第２基板部を挟むように配置されている請求項１から請求項３のいずれか１項に記載の組合せ端子。

【請求項5】

前記弾性ロック片は、前記第１基板部から折り返し状に延出した屈曲部と、前記屈曲部から前記第１基板部と平行に片持ち状に延出した折返部とを有し、
前記第２基板部は、前記折返部のうち前記屈曲部に繋がる基端部と重なるように配置される請求項４に記載の組合せ端子。

【請求項6】

前記弾性ロック片は、前記第１基板部から折り返し状に延出した屈曲部と、前記屈曲部から前記第１基板部と平行に片持ち状に延出した折返部とを有し、
前記保護部は、前記折返部の延出端部と並ぶように配置されている請求項１から請求項５のいずれか１項に記載の組合せ端子。

【請求項7】

前記保護部は、前記第２端子金具に対する前記第１端子金具の組付け方向における後端部に配置され、前記組付け方向と平行に延びたリブ状をなしている請求項１から請求項６のいずれか１項に記載の組合せ端子。

【請求項8】

前記弾性ロック片は、前記第１基板部から折り返し状に延出した屈曲部と、前記屈曲部から前記第１基板部と平行に片持ち状に延出した折返部とを有し、
前記弾性ロック片のうち少なくとも前記屈曲部には、前記弾性ロック片の延出方向に沿ったスリットが形成されている請求項１から請求項７のいずれか１項に記載の組合せ端子。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本開示は、組合せ端子に関するものである。

【背景技術】

【0002】

特許文献１には、第１端子本体と第２端子本体とを組み付ける構造が開示されている。各端子本体は、一対の板状重ね合わせ部を段差状の連結部によって繋いだ形状である。２つの端子本体は、板状重ね合わせ部同士と連結部同士を互い違いに重ね合わせることによって組み付けられている。一方の端子本体の板状重ね合わせ部に形成したロック突部を、他方の板状重ね合わせ部に形成したロック孔に嵌合することによって、２つの端子本体が組付け状態にロックされる。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【特許文献1】特開平１１－０６７３０５号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

端子本体同士を組み付ける過程では、ロック突部が相手側の板状重ね合わせ部に対して強く押し付けられた状態で擦れることによって、大きな摺動抵抗が生じる。そのため、手作業で端子本体同士を組み付けることは困難である。

【0005】

本開示の組合せ端子は、上記のような事情に基づいて完成されたものであって、手作業での組付けを可能にすることを目的とする。

【課題を解決するための手段】

【0006】

本開示の組合せ端子は、
第１基板部を有する第１端子金具と、
前記第１基板部に積層される第２基板部を有し、積層方向と交差する方向に変位させることによって前記第１端子金具に組み付けられる第２端子金具とを備え、
前記第１端子金具には、弾性変形可能な弾性ロック片が形成され、
前記第２端子金具には、前記弾性ロック片と係止することによって前記第１端子金具と前記第２端子金具を組付け状態にロックするロック部が形成され、
前記第１端子金具には、前記弾性ロック片に対する異物の干渉を防止する保護部が一体に形成されている。

【発明の効果】

【0007】

本開示によれば、手作業での組付けが可能である。

【図面の簡単な説明】

【0008】

【図1】図１は、組合せ端子の組付け状態をあらわす斜視図である。

【図2】図２は、第１端子モジュールと第２端子モジュールを分離した状態をあらわす斜視図である。

【図3】図３は、第１端子金具と第１サブ端子を分離した状態をあらわす斜視図である。

【図4】図４は、第２端子金具と第２サブ端子を分離した状態をあらわす斜視図である。

【図5】図５は、第１端子モジュールと第２端子モジュールを組み付けた状態をあらわす平面図である。

【図6】図６は、第１端子モジュールと第２端子モジュールの組付けを開始するときの状態をあらわす平面図である。

【図7】図７は、図５のＸ－Ｘ線断面図である。

【発明を実施するための形態】

【0009】

［本開示の実施形態の説明］
最初に本開示の実施形態を列記して説明する。
本開示の組合せ端子は、
（１）第１基板部を有する第１端子金具と、前記第１基板部に積層される第２基板部を有し、積層方向と交差する方向に変位させることによって前記第１端子金具に組み付けられる第２端子金具とを備え、前記第１端子金具には、弾性変形可能な弾性ロック片が形成され、前記第２端子金具には、前記弾性ロック片と係止することによって前記第１端子金具と前記第２端子金具を組付け状態にロックするロック部が形成され、前記第１端子金具には、前記弾性ロック片に対する異物の干渉を防止する保護部が一体に形成されている。本開示の構成によれば、両端子金具の組付け過程では弾性ロック片が弾性変形する。弾性変形しない突起部を相手側の端子金具に強く擦り付けながら組み付ける場合に比べると、両端子金具の組付け過程に生じる抵抗が小さいので、手作業による組付けが可能である。弾性ロック片に対する異物の干渉が、保護部によって防止されるので、弾性ロック片とロック部とによるロック機能の信頼性が高い。

【0010】

（２）前記保護部は、前記第１端子金具と前記第２端子金具の組付け過程で前記第２端子金具を摺接させるガイド面を有していることが好ましい。この構成によれば、両端子金具を組み付けるときの作業性が良い。ガイド面を保護部とは別の部位に形成する場合に比べると、第１端子金具の形状を簡素化することができる。

【0011】

（３）前記弾性ロック片は、前記第１基板部から片持ち状に延出した形状であり、前記ロック部が、前記弾性ロック片の延出端部に係止するように配置されていることが好ましい。この構成によれば、弾性ロック片の延出端部をロック部に係止させるときの弾性ロック片の弾性変形量は、弾性ロック片のうち第１基板部に繋がる基端部をロック部に係止させる場合に比べると小さいので、その分、弾性ロック片の弾性変形に起因する組み付け抵抗が低減される。

【0012】

（４）前記弾性ロック片は、前記第１基板部との間で前記第２基板部を挟むように配置されていることが好ましい。この構成によれば、弾性ロック片が、第１端子金具と第２端子金具の離脱を防止する機能を兼ね備える。弾性ロック片とは別に第１端子金具と第２端子金具の離脱を防止するための専用の部位を形成する場合に比べると、第１端子金具の形状を簡素化することができる。

【0013】

（５）（４）において、前記弾性ロック片は、前記第１基板部から折り返し状に延出した屈曲部と、前記屈曲部から前記第１基板部と平行に片持ち状に延出した折返部とを有し、前記第２基板部は、前記折返部のうち前記屈曲部に繋がる基端部と重なるように配置されることが好ましい。弾性ロック片が弾性変形したときに、折返部の基端部の変位量は折返部の延出端部の変位量よりも少ない。折返部の基端部が第２基板部に重なるようにすることによって、第１端子金具と第２端子金具の離脱を確実に防止することができる。

【0014】

（６）前記弾性ロック片は、前記第１基板部から折り返し状に延出した屈曲部と、前記屈曲部から前記第１基板部と平行に片持ち状に延出した折返部とを有し、前記保護部は、前記折返部の延出端部と並ぶように配置されていることが好ましい。弾性ロック片のうち異物との干渉時に最も変位し易い部位は、折返部の延出端部である。保護部が、折返部の延出端部に並ぶように配置されているので、弾性ロック片の変形を抑制する効果が高い。

【0015】

（７）前記保護部は、前記第２端子金具に対する前記第１端子金具の組付け方向における後端部に配置され、前記組付け方向と平行に延びたリブ状をなしていることが好ましい。この構成によれば、第１端子金具と第２端子金具を組み付けるときに、保護部に指を当てて第１端子金具を押し動かすことができる。保護部は、第１端子金具と第２端子金具の組付け方向と平行なリブ状をなしているので、組付け時に指で押されても変形するおそれがない。

【0016】

（８）前記弾性ロック片は、前記第１基板部から折り返し状に延出した屈曲部と、前記屈曲部から前記第１基板部と平行に片持ち状に延出した折返部とを有し、前記弾性ロック片のうち少なくとも前記屈曲部には、前記弾性ロック片の延出方向に沿ったスリットが形成されていることが好ましい。この構成によれば、弾性ロック片にスリットを形成することによって屈曲部の断面積が小さくなるので、弾性ロック片を曲げ加工によって形成するときに、加工性が良い。

【0017】

［本開示の実施形態の詳細］
［実施例１］
本開示を具体化した実施例１を、図１～図７を参照して説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。本実施例１において、前後の方向については、図１～４における斜め左下方、及び図５，６における左方を前方と定義する。上下の方向については、図１～４、７にあらわれる向きを、そのまま上方、下方と定義する。左右の方向については、図１～４における斜め左上方、及び図５，６における上方を、右方と定義する。

【0018】

本実施例１の組合せ端子は、図１，２に示すように、第１端子モジュール１０と第２端子モジュール４０とを組み付けて構成されている。図３に示すように、第１端子モジュール１０は、第１端子金具１１と第１サブ端子３２とを組み付けて構成されている。図４に示すように、第２端子モジュール４０は、第２端子金具４１と第２サブ端子５２とを組み付けて構成されている。

【0019】

＜第１端子モジュール１０＞
第１端子金具１１は、所定形状の金属板材に曲げ加工等を施して成形された単一部品である。図３に示すように、第１端子金具１１は、板厚方向を上下方向に向けた１つの第１基板部１２と、第１基板部１２の後端縁から後方へ延出したオープンバレル状の圧着部１３とを有する。第１基板部１２の中心部には、第１基板部１２を板厚方向に貫通する第１ボルト孔１４が形成されている。

【0020】

第１ボルト孔１４の孔縁部には、左右一対の第１受け部１５が形成されている。第１受け部１５は、第１基板部１２に対して第１基板部１２の板厚寸法分だけ段差状に低い位置に配置されている。右側の第１受け部１５には抜止め孔１６が形成され、左側の第１受け部１５には抜止め突起１７が形成されている。第１基板部１２のうち左側の第１受け部１５を挟んで第１ボルト孔１４とは反対側の位置に、切欠部１８が形成されている。

【0021】

第１基板部１２には、前後方向に間隔を空けた一対の第１ロック用嵌合部１９が形成されている。一対の第１ロック用嵌合部１９は、第１基板部１２の右端縁から第１基板部１２と面一状に右方へ突出した平板状の部位である。各第１ロック用嵌合部１９には、第１ロック用嵌合部１９の一部を下面側へ三角形状に叩き出すことによって、第１ロック部２０が形成されている。

【0022】

第１基板部１２には、前後方向に間隔を空けた一対の第１ロック用支持部２１が形成されている。一対の第１ロック用支持部２１は、第１基板部１２の左端縁から第１基板部１２と面一状に右方へ突出した平板状の部位である。各第１ロック用支持部２１には、それぞれ、第１弾性ロック片２２と第１保護部２８が一体に形成されている。

【0023】

前側の第１ロック用支持部２１に形成された第１弾性ロック片２２は、第１ロック用支持部２１の前端縁から片持ち状に延出した形状である。第１弾性ロック片２２は、屈曲部２３と折返部２４とを有する。屈曲部２３は、第１ロック用支持部２１の前端縁から第１ロック用支持部２１の上面側へ半円形に屈曲した部位である。折返部２４は、屈曲部２３の上端縁から第１ロック用支持部２１と平行に後方へ片持ち状に延出した平板状の部位である。折返部２４の基端部２５は屈曲部２３に繋がり、折返部２４の延出端部２６は第１弾性ロック片２２の後端部に位置する。

【0024】

第１弾性ロック片２２には、第１ロック用支持部２１からの延出方向に沿った１つのスリット２７が形成されている。延出方向におけるスリット２７の形成範囲は、屈曲部２３の全体と、折返部２４のうち延出端部２６を除いた領域である。第１弾性ロック片２２は、屈曲部２３と折返部２４を弾性変形させながら、屈曲部２３を支点として第１ロック用支持部２１の上面から離隔する方向、即ち上方へ弾性変位することが可能である。

【0025】

前側の第１ロック用支持部２１に形成された第１保護部２８は、第１ロック用支持部２１の後端縁から第１ロック用支持部２１の上面側へ突出している。第１保護部２８は左右方向に直線状に延びたリブ状をなす。第１保護部２８は、第１弾性ロック片２２の後端縁、つまり延出端部２６と殆ど隙間を空けずに前後に並ぶように配置されている。第１保護部２８の上端の高さは、第１弾性ロック片２２の上面と同じ高さである。第１保護部２８は、第１ロック用支持部２１の上面と折返部２４の下面との隙間を後方から覆うように位置している。第１保護部２８のうち第１弾性ロック片２２側に臨む前面は、左右方向に直線状に延びる第１ガイド面２９として機能する。第１ガイド面２９は、両端子金具１１，４１の組付け方向と平行をなす。

【0026】

後側の第１ロック用支持部２１に形成された第１弾性ロック片２２は、前側の第１ロック用支持部２１の第１弾性ロック片２２と前後対称な形状である。後側の第１ロック用支持部２１に形成された第１保護部２８は、前側の第１ロック用支持部２１の第１保護部２８と前後対称な形状である。第１基板部１２の左端部には、前後一対の第１接点部３０が形成されている。一対の第１接点部３０は、一対の第１保護部２８の右方に隣り合うように配置され、第１基板部１２の上面側へ突出している。

【0027】

第１サブ端子３２は、所定形状の金属板材に曲げ加工等を施して成形された単一部品である。第１サブ端子３２は、板厚方向を上下方向に向けた１つの第１板状基部３３と、第１板状基部３３の後端縁から後方へ延出したオープンバレル状の圧着部１３とを有する。第１板状基部３３の前端部には、段差状をなす回り止め部３４が形成されている。回り止め部３４は、本実施例１の組合せ端子の取付け対象である自動車のボディ（図示省略）に係止させる。ボディに回り止め部３４を係止することによって、組合せ端子をボディに対してボルト締めするときに、組合せ端子の連れ回りを防止できる。

【0028】

第１板状基部３３には、第１板状基部３３を板厚方向に貫通する第１ボルト孔１４が形成されている。第１ボルト孔１４の孔縁部には、左右一対の第１覆い部３５が形成されている。第１覆い部３５は、第１板状基部３３に対して第１板状基部３３の板厚寸法分だけ段差状に高い位置に配置されている。右側の第１覆い部３５には抜止め突起１７が形成され、左側の第１覆い部３５には抜止め孔１６が形成されている。

【0029】

第１端子金具１１と第１サブ端子３２を組み付けた状態では、第１基板部１２が第１板状基部３３の上面に積層され、第１覆い部３５が第１受け部１５の上面に積層されることによって、第１端子金具１１と第１サブ端子３２が板厚方向へ離隔しないように保持される。第１受け部１５の抜止め孔１６と抜止め突起１７が、第１覆い部３５の抜止め突起１７と抜止め孔１６に係止することによって、第１端子金具１１と第１サブ端子３２が左右方向へ離脱しないように保持される。

【0030】

第１端子モジュール１０が組み付けられた状態では、第１端子金具１１の第１ボルト孔１４と第１サブ端子３２の第１ボルト孔１４が同軸状に配置され、第１端子金具１１の圧着部１３と第１サブ端子３２の圧着部１３が左右に隣り合うように配置される。第１ロック用嵌合部１９は、第１板状基部３３の右端縁よりも右方へ突出するように配置される。第１ロック用支持部２１と第１弾性ロック片２２は、第１板状基部３３の左端縁よりも左方へ突出するように配置される。

【0031】

＜第２端子モジュール４０＞
第２端子金具４１は、所定形状の金属板材に曲げ加工等を施して成形された単一部品である。図４に示すように、第２端子金具４１は、板厚方向を上下方向に向けた１つの第２基板部４２と、第２基板部４２の後端縁から後方へ延出したオープンバレル状の圧着部１３とを有する。第２基板部４２の中心部には、第２基板部４２を板厚方向に貫通する第２ボルト孔４３が形成されている。

【0032】

第２ボルト孔４３の孔縁部には、左右一対の第２覆い部４４が形成されている。第２覆い部４４は、第２基板部４２に対して第２基板部４２の板厚寸法分だけ段差状に高い位置に配置されている。右側の第１覆い部３５には抜止め突起１７が形成され、左側の第２覆い部４４には抜止め孔１６が形成されている。第２基板部４２のうち右側の第２覆い部４４を挟んで第２ボルト孔４３とは反対側の位置に、切欠部１８が形成されている。

【0033】

第２基板部４２には、前後方向に間隔を空けた一対の第２ロック用嵌合部４５が形成されている。一対の第２ロック用嵌合部４５は、第２基板部４２の左端縁から第２基板部４２と面一状に右方へ突出した平板状の部位である。各第２ロック用嵌合部４５には、第２ロック用嵌合部４５の一部を上面側へ三角形状に叩き出すことによって、第２ロック部４６が形成されている。

【0034】

第２基板部４２には、前後方向に間隔を空けた一対の第２ロック用支持部４７が形成されている。一対の第２ロック用支持部４７は、第２基板部４２の右端縁から第２基板部４２と面一状に右方へ突出した平板状の部位である。各第２ロック用支持部４７には、それぞれ、第２弾性ロック片４８と第２保護部４９が一体に形成されている。

【0035】

前側の第２ロック用支持部４７に形成された第２弾性ロック片４８は、第２ロック用支持部４７の前端縁から片持ち状に延出した形状である。第２弾性ロック片４８は、屈曲部２３と折返部２４とを有する。屈曲部２３は、第２ロック用支持部４７の前端縁から第２ロック用支持部４７の下面側へ半円形に屈曲した部位である。折返部２４は、屈曲部２３の下端縁から第２ロック用支持部４７と平行に後方へ片持ち状に延出した平板状の部位である。折返部２４の基端部２５は屈曲部２３に繋がり、折返部２４の延出端部２６は第２弾性ロック片４８の後端部に位置する。

【0036】

第２弾性ロック片４８には、第２ロック用支持部４７からの延出方向に沿った１つのスリット２７が形成されている。延出方向におけるスリット２７の形成範囲は、屈曲部２３の全体と、折返部２４のうち延出端部２６を除いた領域である。第２弾性ロック片４８は、屈曲部２３と折返部２４を弾性変形させながら、屈曲部２３を支点として第１ロック用支持部２１の下面から離隔する方向、即ち下方へ弾性変位することが可能である。

【0037】

前側の第２ロック用支持部４７に形成された第２保護部４９は、第２ロック用支持部４７の後端縁から第２ロック用支持部４７の下面側へ突出している。第２保護部４９は左右方向に直線状に延びたリブ状をなす。第２保護部４９は、第２弾性ロック片４８の後端縁、つまり延出端部２６と殆ど隙間を空けずに前後に並ぶように配置されている。第２保護部４９の下端の高さは、第２弾性ロック片４８の下面と同じ高さである。第２保護部４９は、第２ロック用支持部４７の下面と折返部２４の上面との隙間を後方から覆うように位置している。第２保護部４９のうち第２弾性ロック片４８側に臨む前面は、左右方向に直線状に延びる第２ガイド面５０として機能する。第２ガイド面５０は、両端子金具１１，４１の組付け方向と平行をなす。

【0038】

後側の第２ロック用支持部４７に形成された第２弾性ロック片４８は、前側の第２ロック用支持部４７の第２弾性ロック片４８と前後対称な形状である。後側の第２ロック用支持部４７に形成された第２保護部４９は、前側の第２ロック用支持部４７の第２保護部４９と前後対称な形状である。第２基板部４２の右端部には、前後一対の第２接点部５１が形成されている。一対の第２接点部５１は、一対の第２保護部４９の左方に隣り合うように配置され、第２基板部４２の下面側へ突出している。

【0039】

第２サブ端子５２は、所定形状の金属板材に曲げ加工等を施して成形された単一部品である。第２サブ端子５２は、板厚方向を上下方向に向けた１つの第２板状基部５３と、第２板状基部５３の後端縁から後方へ延出したオープンバレル状の圧着部１３とを有する。第２板状基部５３には、第２板状基部５３を板厚方向に貫通する第２ボルト孔４３が形成されている。第２ボルト孔４３の孔縁部には、左右一対の第２受け部５４が形成されている。第２受け部５４は、第２板状基部５３に対して第２板状基部５３の板厚寸法分だけ段差状に低い位置に配置されている。右側の第２受け部５４には抜止め孔１６が形成され、左側の第２受け部５４には抜止め突起１７が形成されている。

【0040】

第２端子金具４１と第２サブ端子５２を組み付けた状態では、第２板状基部５３が第２基板部４２の上面に積層され、第２覆い部４４が第２受け部５４の上面に積層されることによって、第２端子金具４１と第２サブ端子５２が板厚方向へ離隔しないように保持される。第２覆い部４４の抜止め突起１７と抜止め孔１６が、第２受け部５４の抜止め孔１６と抜止め突起１７に係止することによって、第２端子金具４１と第２サブ端子５２が左右方向へ離脱しないように保持される。

【0041】

第２端子モジュール４０が組み付けられた状態では、第２端子金具４１の第２ボルト孔４３と第２サブ端子５２の第２ボルト孔４３が同軸状に配置され、第２端子金具４１の圧着部１３と第２サブ端子５２の圧着部１３が左右に隣り合うように配置される。第２ロック用嵌合部４５は、第２板状基部５３の左端縁よりも左方へ突出するように配置される。第２ロック用支持部４７と第２弾性ロック片４８は、第２板状基部５３の右端縁よりも右方へ突出するように配置される。

【0042】

＜第１端子モジュール１０と第２端子モジュール４０の組付け手順＞
両端子モジュール１０，４０の組付けは、第１端子金具１１に対して第２端子金具４１を右方から接近させながら、第１基板部１２の上面に第２基板部４２を積層し、第２ロック用嵌合部４５の突出端部を、第１ロック用支持部２１と第１弾性ロック片２２との間に進入させ、第１ロック用嵌合部１９の突出端部を、第２ロック用支持部４７と第２弾性ロック片４８との間に進入させる。

【0043】

この状態から、第２端子モジュール４０を第１端子モジュール１０に対して左方へ相対的に平行移動させることによって、組付けを進める。第１端子金具１１の第１保護部２８は、第１基板部１２のうち第２端子金具４１に対する組付け方向後端部に配置されている。第１保護部２８は、組付け方向と平行に延びたリブ状をなしているので、第１保護部２８を指で押し操作しても、第１保護部２８が変形することはない。第２端子金具４１の第２保護部４９も、第２基板部４２のうち第１端子金具１１に対する組付け方向後端部に配置されているので、指で押されても変形しない。

【0044】

両端子モジュール１０，４０を組み付ける過程では、第１弾性ロック片２２が、第２ロック部４６との干渉によって上方へ弾性変形すると同時に、第２弾性ロック片４８が、第１ロック部２０との干渉によって下方へ弾性変形する。一対の第１ロック用嵌合部１９が一対の第２ガイド面５０に対して前後から挟むように摺接するとともに、一対の第２ロック用嵌合部４５が一対の第１ガイド面２９に対して前後から挟むように摺接することによって、両端子モジュール１０，４０の前後方向への相対変位が規制される。

【0045】

両端子モジュール１０，４０が正規の組付け状態に至ると、第１ボルト孔１４と第２ボルト孔４３が同軸状に配置される。第１弾性ロック片２２は、弾性復帰して第２ロック部４６が第１弾性ロック片２２のスリット２７に係止する。第２弾性ロック片４８は、弾性復帰して第１ロック部２０が第２弾性ロック片４８のスリット２７に係止する。これらの係止作用によって、両端子モジュール１０，４０が左右方向へ離脱しないようにロックされ、組合せ端子の組み付けが完了する。

【0046】

両端子モジュール１０，４０が組み付けられた状態では、第１基板部１２の第１接点部３０が、第２基板部４２に当接して第２基板部４２と第１弾性ロック片２２を上方へ押圧する。第１弾性ロック片２２の弾性復元力によって、第１接点部３０と第２基板部４２とが所定の接触圧で接続される。第２基板部４２の第２接点部５１は、第１基板部１２に当接して第１基板部１２と第２弾性ロック片４８を下方へ押圧する。第２弾性ロック片４８の弾性復元力によって、第２接点部５１と第１基板部１２とが所定の接触圧で接続される。

【0047】

第２ロック用嵌合部４５は、第１ロック用支持部２１と第１弾性ロック片２２との間で挟まれる。第２ロック用嵌合部４５が挟まれる位置は、折返部２４のうち、第１弾性ロック片２２が弾性変形したときに最も変位量の小さい基端部２５である。第１ロック用嵌合部１９は、第２ロック用支持部４７と第２弾性ロック片４８との間で挟まれる。第１ロック用嵌合部１９が挟まれる位置は、折返部２４のうち、第２弾性ロック片４８が弾性変形したときに最も変位量の小さい基端部２５である。これにより、両端子モジュール１０，４０が上下方向に離隔することを確実に防止できる。

【0048】

第２ロック部４６が第１弾性ロック片２２に係止する位置は、折返部２４の延出端部２６である。第２ロック部４６と干渉したときの第１弾性ロック片２２の弾性変形量は、第２ロック部４６が折返部２４の基端部２５と干渉する場合よりも、第２ロック部４６が折返部２４の延出端部２６と干渉する方が小さい。したがって、第２ロック部４６が第１弾性ロック片２２と干渉するときの抵抗が小さく抑えられている。同様に、第１ロック部２０が第２弾性ロック片４８に係止する位置は、折返部２４の延出端部２６であるから、第１ロック部２０が第２弾性ロック片４８と干渉するときの抵抗も小さく抑えられている。

【0049】

本実施例１の組合せ端子は、第１基板部１２を有する第１端子金具１１と、第１基板部１２に積層される第２基板部４２を有する第２端子金具４１とを備えている。第２端子金具４１は、両基板部１２，４２の積層方向と交差する左右方向に変位させることによって第１端子金具１１に組み付けられる。

【0050】

第１端子金具１１には、弾性変形可能な第１弾性ロック片２２が形成されている。第２端子金具４１には、第１弾性ロック片２２と係止することによって両端子金具１１，４１を組付け状態にロックする第２ロック部４６が形成されている。第２端子金具４１には、弾性変形可能な第２弾性ロック片４８が形成されている。第１端子金具１１には、第２弾性ロック片４８と係止することによって両端子金具１１，４１を組付け状態にロックする第１ロック部２０が形成されている。両端子金具１１，４１の組付け過程では、第１弾性ロック片２２が第２ロック部４６と干渉することによって弾性変形し、第２弾性ロック片４８が第１ロック部２０との干渉によって弾性変形する。弾性変形しない突起部を相手側の端子金具に強く擦りながら組み付ける場合に比べると、両端子金具１１，４１の組付け過程に生じる抵抗が小さいので、手作業による組付けが可能である。

【0051】

第１端子金具１１には、第１弾性ロック片２２に対する異物の干渉を防止する第１保護部２８が一体に形成されているので、異物の干渉に起因して第１弾性ロック片２２が第２ロック部４６から外れるおそれがない。第２端子金具４１には、第２弾性ロック片４８に対する異物の干渉を防止する第２保護部４９が一体に形成されているので、異物の干渉に起因して第２弾性ロック片４８が第１ロック部２０から外れるおそれがない。

【0052】

第１保護部２８は、両端子金具１１，４１の組付け過程で第２端子金具４１を摺接させる第１ガイド面２９を有している。第２保護部４９は、両端子金具１１，４１の組付け過程で第１端子金具１１を摺接させる第２ガイド面５０を有している。この構成によれば、両端子金具１１，４１を組み付けるときの作業性が良い。第１ガイド面２９を第１保護部２８とは別の部位に形成する場合に比べると、第１端子金具１１の形状を簡素化することができる。第２ガイド面５０を第２保護部４９とは別の部位に形成する場合に比べると、第２端子金具４１の形状を簡素化することができる。

【0053】

第１弾性ロック片２２は、第１基板部１２から片持ち状に延出した形状であり、第２ロック部４６は、第１弾性ロック片２２の延出端部２６に係止するように配置されている。第１弾性ロック片２２の延出端部２６を第２ロック部４６に係止させるときの第１弾性ロック片２２の弾性変形量は、第１弾性ロック片２２のうち第１弾性ロック片の撓み支点に近い基端部２５を第２ロック部４６に係止させる場合に比べると小さい。したがって、第１弾性ロック片２２の弾性変形に起因する組み付け抵抗が低減される。

【0054】

第２弾性ロック片４８は、第２基板部４２から片持ち状に延出した形状であり、第１ロック部２０は、第２弾性ロック片４８の延出端部２６に係止するように配置されている。第２弾性ロック片４８の延出端部２６を第１ロック部２０に係止させるときの第２弾性ロック片４８の弾性変形量は、第２弾性ロック片４８のうち第２弾性ロック片４８の撓み支点に近い基端部２５を第１ロック部２０に係止させる場合に比べると小さい。したがって、第２弾性ロック片４８の弾性変形に起因する組み付け抵抗が低減される。

【0055】

第１弾性ロック片２２は、第１基板部１２との間で第２基板部４２を挟むように配置され、両端子金具１１，４１の離脱を防止する機能を兼ね備える。第１弾性ロック片２２とは別に両端子金具１１，４１の離脱を防止するための専用の部位を形成する場合に比べると、第１端子金具１１の形状を簡素化することができる。第２弾性ロック片４８は、第２基板部４２との間で第１基板部１２を挟むように配置され、両端子金具１１，４１の離脱を防止する機能を兼ね備える。第２弾性ロック片４８とは別に両端子金具１１，４１の離脱を防止するための専用の部位を形成する場合に比べると、第２端子金具４１の形状を簡素化することができる。

【0056】

第１弾性ロック片２２は、第１基板部１２から折り返し状に延出した屈曲部２３と、屈曲部２３から第１基板部１２と平行に片持ち状に延出した折返部２４とを有する。第１弾性ロック片２２が弾性変形したときに、折返部２４の基端部２５の変位量は折返部２４の延出端部２６の変位量よりも少ない。第２基板部４２の第２ロック用嵌合部４５は、折返部２４のうち屈曲部２３に繋がる基端部２５と重なるように配置されるので、両端子金具１１，４１の離脱を確実に防止することができる。

【0057】

第２弾性ロック片４８は、第１２板部から折り返し状に延出した屈曲部２３と、屈曲部２３から第２基板部４２と平行に片持ち状に延出した折返部２４とを有する。第２弾性ロック片４８が弾性変形したときに、折返部２４の基端部２５の変位量は折返部２４の延出端部２６の変位量よりも少ない。第１基板部１２の第１ロック用嵌合部１９は、折返部２４のうち屈曲部２３に繋がる基端部２５と重なるように配置されるので、両端子金具１１，４１の離脱を確実に防止することができる。

【0058】

第１弾性ロック片２２のうち異物のとの干渉時に最も変位し易い部位は、折返部２４の延出端部２６である。第１保護部２８は、折返部２４の延出端部２６に並ぶように配置されているので、第１弾性ロック片２２の変形を抑制する効果が高い。第２弾性ロック片４８のうち異物との干渉時に最も変位し易い部位は、折返部２４の延出端部２６である。第２保護部４９は、折返部２４の延出端部２６に並ぶように配置されているので、第２弾性ロック片４８の変形を抑制する効果が高い。

【0059】

第１保護部２８は、第２端子金具４１に対する第１端子金具１１の組付け方向における後端部に配置され、両端子金具１１，４１の組付け方向と平行に延びたリブ状をなしている。第２保護部４９は、第１端子金具１１に対する第２端子金具４１の組付け方向における後端部に配置され、両端子金具１１，４１の組付け方向と平行に延びたリブ状をなしている。両端子金具１１，４１を組み付けるときに、第１保護部２８と第２保護部４９に指を当てて両端子金具１１，４１を組付け方向へ押し動かすことができる。第１保護部２８と第２保護部４９は、両端子金具１１，４１の組付け方向と平行なリブ状をなしているので、組付け時に指で押されても変形するおそれがない。

【0060】

第１弾性ロック片２２及び第２弾性ロック片４８のうち少なくとも屈曲部２３には、第１弾性ロック片２２の延出方向に沿ったスリット２７が形成されているので、屈曲部２３の断面積が小さくなっている。これにより、第１弾性ロック片２２を曲げ加工によって形成するとき、及び第２弾性ロック片４８を曲げ加工によって形成するときに、加工性が良い。

【0061】

［他の実施例］
本発明は、上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示される。本発明には、特許請求の範囲と均等の意味及び特許請求の範囲内でのすべての変更が含まれ、下記のような実施形態も含まれることが意図される。
上記実施例１では、弾性ロック片が第１端子金具と第２端子金具の離脱を防止する機能を備えているが、弾性ロック片は、第１端子金具と第２端子金具の離脱を防止する機能を有しない形状であってもよい。
上記実施例１では、保護部にガイド面を形成したが、保護部はガイド面を有しない形状であってもよい。
上記実施例１では、第１端子金具と第２端子金具の両方に弾性ロック片とロック部を形成したが、弾性ロック片を第１端子金具のみに形成し、ロック部を第２端子金具のみに形成してもよい。
上記実施例１では、第１端子金具と第２端子金具を直線状に平行移動させることによって組み付けたが、第１端子金具と第２端子金具は、回転させることによって組み付けてもよい。
上記実施例１では、保護部が両端子金具の組付け方向と平行に延びたリブ状をなすが、保護部は、両端子金具の組付け方向と交差する方向に延びたリブ状であってもよい。
上記実施例１では、弾性ロック片が、両端子金具の組付け方向と交差する方向へ片持ち状に延出しているが、弾性ロック片は、両端子金具の組付け方向と平行な方向へ片持ち状に延出した形状であってもよい。
上記実施例１では、ロック部を突起状とし、弾性ロック片のスリットにロック部を係止させるようにしたが、ロック部を孔状とし、弾性ロック片の突起を孔状のロック部に係止させてもよい。
上記実施例１では、第１端子金具が、予め第１サブ端子を組み付けた状態で第２端子金具に組み付けられるが、第１端子金具は、単独で第２端子金具に組み付けられるようにしてもよい。
上記実施例１では、第２端子金具が、予め第２サブ端子を組み付けた状態で第１端子金具に組み付けられるが、第２端子金具は、単独で第１端子金具に組み付けられるようにしてもよい。
上記実施例１では、第１端子金具と第２端子金具が直線状に平行移動しながら組み付けられるが、第１端子金具と第２端子金具が回転しながら組み付けられるようにしてもよい。

【符号の説明】

【0062】

１０…第１端子モジュール
１１…第１端子金具
１２…第１基板部
１３…圧着部
１４…第１ボルト孔
１５…第１受け部
１６…抜止め孔
１７…抜止め突起
１８…切欠部
１９…第１ロック用嵌合部
２０…第１ロック部
２１…第１ロック用支持部
２２…第１弾性ロック片
２３…屈曲部
２４…折返部
２５…基端部
２６…延出端部
２７…スリット
２８…第１保護部
２９…第１ガイド面
３０…第１接点部
３２…第１サブ端子
３３…第１板状基部
３４…回り止め部
３５…第１覆い部
４０…第２端子モジュール
４１…第２端子金具
４２…第２基板部
４３…第２ボルト孔
４４…第２覆い部
４５…第２ロック用嵌合部
４６…第２ロック部
４７…第２ロック用支持部
４８…第２弾性ロック片
４９…第２保護部
５０…第２ガイド面
５１…第２接点部
５２…第２サブ端子
５３…第２板状基部
５４…第２受け部

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】