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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022190796
(43)【公開日】2022-12-27
(54)【発明の名称】組合せ端子
(51)【国際特許分類】
   H01R 11/12 20060101AFI20221220BHJP
【FI】
H01R11/12 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021099237
(22)【出願日】2021-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野崎 新史
(72)【発明者】
【氏名】中村 英人
(72)【発明者】
【氏名】宮村 哲矢
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 大亮
(57)【要約】
【課題】組合せの際に部品点数が増加するのを防止し、組み付けの手間を省くことが可能な組合せ端子を提供する。
【解決手段】組合せ端子は、互いに積層される複数の端子10A,10B,10Cを備える。複数の端子10A,10B,10Cは、それぞれ、板状のベース部11と、ベース部11から突出する板状の被ガイド部12と、被ガイド部12に形成される係止部13と、を有している。さらに、積層方向で隣り合う端子のうち、一方の端子10A,10Cは、他方の端子10A,10B,10Cの被ガイド部12Uに沿って配置されるガイド部14Lと、他方の端子10A,10B,10Cの係止部13Uと係止する弾性変形可能な弾性係止部27Lと、を有している。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに積層される複数の端子を備え、
複数の前記端子は、それぞれ、板状のベース部と、前記ベース部から突出する板状の被ガイド部と、前記被ガイド部に形成される係止部と、を有し、
さらに、積層方向で隣り合う前記端子のうち、一方の前記端子は、他方の前記端子の前記被ガイド部に沿って配置されるガイド部と、前記他方の前記端子の前記係止部と係止する弾性変形可能な弾性係止部と、を有している、組合せ端子。
【請求項2】
前記一方の前記端子の前記ガイド部は、前記他方の前記端子における前記被ガイド部の両側縁にそれぞれ沿うように対をなして配置されている、請求項1に記載の組合せ端子。
【請求項3】
前記被ガイド部と前記ベース部との間には隙間が形成されており、
前記一方の前記端子の前記ガイド部は、前記他方の前記端子の前記隙間に位置し、前記他方の前記端子における前記ベース部と前記被ガイド部とに接触可能に配置されている、請求項1または請求項2に記載の組合せ端子。
【請求項4】
前記一方の前記端子の前記弾性係止部は、前記他方の前記端子における前記被ガイド部の一側縁に沿って配置される基部を有し、
前記基部が前記ガイド部を構成している、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の組合せ端子。
【請求項5】
前記弾性係止部は、前記ベース部の外周側における3箇所以上の位置から前記積層方向に突出し、それぞれの前記弾性係止部が、前記ベース部の前記外周側の周方向に非等分に配置されている、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の組合せ端子。
【請求項6】
複数の前記端子のうち、少なくとも2つの前記端子は、前記被ガイド部、前記係止部、前記ガイド部および前記弾性係止部を有し、互いに同一形状に形成されている、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の組合せ端子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、組合せ端子に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数の端子と、リベットカラーと、を備えた組合せ端子が開示されている。各端子には、貫通孔が形成されている。各端子は、貫通孔が同心となるように互いに積層される。リベットカラーは、貫通孔を貫通した状態で、各端子を積層方向に連結する。各端子は、リベットカラーの周りに周方向にずれた状態で位置決めされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-81673号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の場合、各端子を位置決めするために、各端子とは別体のリベットカラーを必要とするので、部品点数が多くなり、組み付けが煩雑になるという問題があった。
【0005】
そこで、本開示は、組合せの際に部品点数が増加するのを防止し、組み付けの手間を省くことが可能な組合せ端子を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の組合せ端子は、互いに積層される複数の端子を備え、複数の前記端子は、それぞれ、板状のベース部と、前記ベース部から突出する板状の被ガイド部と、前記被ガイド部に形成される係止部と、を有し、さらに、積層方向で隣り合う前記端子のうち、一方の前記端子は、他方の前記端子の前記被ガイド部に沿って配置されるガイド部と、前記他方の前記端子の前記係止部と係止する弾性変形可能な弾性係止部と、を有している。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、組合せの際に部品点数が増加するのを防止し、組み付けの手間を省くことが可能な組合せ端子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本開示の実施形態の実施例1に係る組合せ端子において、第2端子の平面図である。
図2図2は、第1端子の平面図である。
図3図3は、2つの第1端子が組み付け前に上下方向に間隔を置いて配置された状態を示す斜視図である。
図4図4は、2つの第1端子が初期状態にセットされた状態を示す平面図である。
図5図5は、2つの第1端子が組み付けられ、下側2段の組合せ端子が形成された状態を示す平面図である。
図6図6は、2つの第1端子が誤って組み付けられようとする場合に組み付けが規制された状態を示す平面図である。
図7図7は、下側2段の組合せ端子と上側2段の組合せ端子とが組み付け前に上下方向に間隔を置いて配置された状態を示す斜視図である。
図8図8は、組合せ端子の平面図である。
図9図9は、組合せ端子の斜視図である。
図10図10は、本開示の実施形態の実施例2に係る組合せ端子において、2つの端子が組み付け前に上下方向に間隔を置いて配置された状態を示す斜視図である。
図11図11は、組合せ端子の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示の端子は、
(1)互いに積層される複数の端子を備え、複数の前記端子は、それぞれ、板状のベース部と、前記ベース部から突出する板状の被ガイド部と、前記被ガイド部に形成される係止部と、を有し、さらに、積層方向で隣り合う前記端子のうち、一方の前記端子は、他方の前記端子の前記被ガイド部に沿って配置されるガイド部と、前記他方の前記端子の前記係止部と係止する弾性変形可能な弾性係止部と、を有している。
一方の端子のガイド部が他方の端子の被ガイド部に沿って配置され、一方の端子の弾性係止部が他方の端子の係止部と係止することにより、各端子を位置決めして固定することができる。この構成によれば、従来と違って、別体のリベットカラーを必要としないので、部品点数が増加するのを防止することができ、組み付けの手間を省くことができる。
【0010】
(2)前記一方の前記端子の前記ガイド部は、前記他方の前記端子における前記被ガイド部の両側縁にそれぞれ沿うように対をなして配置されているのが好ましい。
この構成によれば、各端子の組み付けが良好にガイドされるとともに、各端子が良好に位置決めされる。
【0011】
(3)前記被ガイド部と前記ベース部との間には隙間が形成されており、前記一方の前記端子の前記ガイド部は、前記他方の前記端子の前記隙間に位置し、前記他方の前記端子における前記ベース部と前記被ガイド部とに接触可能に配置されていると良い。
この構成によれば、隙間に位置するガイド部が各端子間のがたつきを良好に抑えることができる。
【0012】
(4)前記一方の前記端子の前記弾性係止部は、前記他方の前記端子における前記被ガイド部の一側縁に沿って配置される基部を有し、前記基部が前記ガイド部を構成していると良い。
この構成によれば、弾性係止部がガイド部の機能を兼備するので、構成を簡素化することができる。
【0013】
(5)前記弾性係止部は、前記ベース部の外周側における3箇所以上の位置から前記積層方向に突出し、それぞれの前記弾性係止部が、前記ベース部の前記外周側の周方向に非等分に配置されていると良い。
この構成によれば、弾性係止部を有する端子を積層させる際に、各端子が周方向の誤った位置に組み付けられるのを防止することができる。
【0014】
(6)複数の前記端子のうち、少なくとも2つの前記端子は、前記被ガイド部、前記係止部、前記ガイド部および前記弾性係止部を有し、互いに同一形状に形成されていると良い。
この構成によれば、少なくとも2つの端子を同じ品番にすることができるので、コストの上昇を抑えることができる。
【0015】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の実施形態の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0016】
<実施例1>
本実施形態の実施例1に係る組合せ端子は、複数の端子10A,10Bを備えている。各端子10A,10Bは、図1および図2に示すように、平板状のベース部11を有し、互いの板面を対向させつつ組み合わされる。各端子10A,10Bは、それぞれ、図示しない電線の端末部に接続される。本実施例1の場合、各電線は組合せ端子によって車両のボディ等の接地部に接続されてアースされる。なお、以下の説明において、上下方向については、図3図7および図9を基準とする。上下方向は、各端子10A,10Bの板面の対向方向であり、また、各端子10A,10Bの積層方向でもある。
【0017】
各端子10A,10Bは、それぞれ、導電金属製の板材を曲げ加工等して一体に形成されている。本実施例1の場合、各端子10A,10Bは、形状を異にする2種類の端子で構成されている。具体的には、各端子は、互いに同一形状の複数の第1端子10Aと、1つの第2端子10Bと、で構成されている。組合せ端子において、第2端子10Bは、最上段に配置され、各第1端子10Aは、最上段を除く2段目以降に3つ配置されている。
【0018】
第2端子10Bは、図1に示すように、ベース部11と、被ガイド部12と、係止部13と、ガイド部14と、圧着部15と、掛止部16と、を有している。ベース部11は、外周の周方向3ヵ所に形成された切欠部17を除き、平面視円形の平板状をなしている。
【0019】
ベース部11の中心部には、円形の貫通孔18が貫通して形成されている。ベース部11の貫通孔18には、組合せ端子の上方から図示しないボルトの軸部が挿通される。第2端子10Bのベース部11の上面には、例えば、ボルトの頭部が載置される。ベース部11には、貫通孔18を挟んだ径方向両側の位置に、一対の接点受部19が貫通して形成されている。各接点受部19は、ベース部11においてスリット状に開口している。
【0020】
被ガイド部12は、板状をなし、ベース部11の外周縁から複数突出している。各被ガイド部12の板面は、ベース部11の板面と同一平面上に連続している。具体的には、各被ガイド部12は、ベース部11の外周縁における3ヵ所の位置からそれぞれ径方向外側に突出する付け根部21と、各付け根部21からベース部11の外周の周方向に沿って湾曲状に延びる本体部22と、を有している。各被ガイド部12の付け根部21は、各切欠部17と隣接する位置に配置されている。また、各被ガイド部12の付け根部21は、ベース部11の外周縁において、周方向に120度の等間隔ではなく、不等間隔に配置されている。
【0021】
本体部22の内周縁とベース部11の外周縁との間には、隙間23が形成されている。隙間23は、周方向の一端が付け根部21で閉塞され、周方向の他端が開放されている。そして、本体部22の上面の先端部には、傾斜状の面取り部24が形成されている。
【0022】
係止部13は、各被ガイド部12にそれぞれ設けられている。係止部13は、平面視三角形の爪状をなし、本体部22の先端部寄りの位置において、径方向に沿った切り込み部25を介して上方に膨出するようにプレス加工して形成されている。
【0023】
ガイド部14は、各被ガイド部12にそれぞれ設けられている。ガイド部14は、図9に示すように、側面視矩形状をなし、本体部22の板幅方向の両側縁のうち、ベース部11に近い側縁である内周縁から立ち上がり、かつその本体部22の内周縁に沿って周方向ないし接線方向に延びるように形成されている。ガイド部14は、付け根部21寄りの位置において、切欠部17に対向して配置されている。第2端子10Bが曲げ加工される前の展開状態にあるときに、切欠部17内に位置する矩形の舌片部分が本体部22側に直角に曲げ起こされて、ガイド部14が形成される。
【0024】
圧着部15は、1つの被ガイド部12の付け根部21から径方向外側に突出している。圧着部15が連なる付け根部21(図1の下側の付け根部21)は、他の付け根部21よりも周方向に幅広に形成されている。圧着部15は、図示しない電線の端末部に圧着して接続される。
【0025】
掛止部16は、板片状をなし、周方向において圧着部15の形成側とは反対側に位置する1つの被ガイド部12から径方向外側に突出している。掛止部16は、図9に示すように、途中で下向きに屈曲する段差部分を有している。掛止部16は、図示しない掛止対象に掛け止められ、組合せ端子の回転を規制する役割をはたす。
【0026】
第1端子10Aは、図2に示すように、上述した第2端子10Bの各部に加え、接点部26と、弾性係止部27と、外周ガイド部28と、を有している。他方、第1端子10Aは、掛止部16を有していない。なお、ベース部11、被ガイド部12、係止部13、ガイド部14および圧着部15は、第1端子10Aと第2端子10Bとの間に構造上の大きな違いがない。よって、これらの各部には同一符号を付し、重複する説明を説明する。
【0027】
接点部26は、ベース部11における貫通孔18を挟んだ径方向両側の位置に、対をなして形成されている。接点部26と接点受部19とは、ベース部11において周方向に間隔を置いて並んで配置されている。接点部26は、リブ状をなし、ベース部11の上方に膨出するようにプレス加工して形成されている。
【0028】
弾性係止部27は、各被ガイド部12にそれぞれ設けられている。弾性係止部27は、図3に示すように、本体部22の板幅方向の両側縁のうち、ベース部11から遠い側縁である外周縁から径方向外側に突出するU字ループ形状部分を径方向内側に折り返して形成される。具体的には、弾性係止部27は、図2に示すように、本体の外周縁から径方向外側に湾曲しつつ起立する基部29と、基部29から接線方向と交差する径方向内側に突出する係止腕部31と、有している。また、弾性係止部27の内側には、基部29と係止腕部31とに亘って係止孔32が貫通して形成されている。
【0029】
係止腕部31の先端は、ガイド部14の外側面と近接しつつ平行に対向して配置されている。また、係止腕部31は、本体部22の上面との間に間隔を置いて平行に対向して配置されている。この間隔は、本体部22の板厚寸法に対応している。そして、弾性係止部27は、基部29を支点として上下方向に弾性変形可能となっている。
【0030】
ここで、各被ガイド部12が周方向に不等間隔に配置されていることから、各被ガイド部12に形成された弾性係止部27も周方向に不等間隔に配置される。具体的には、各弾性係止部27は、ベース部11の外周側に、例えば、110度、110度および140度の間隔で配置される。
【0031】
外周ガイド部28は、各被ガイド部12にそれぞれ設けられている。外周ガイド部28は、図3に示すように、側面視矩形状をなし、本体部22の外周縁における付け根部21側の位置から立ち上がり、周方向ないし接線方向においてガイド部14よりも短く延びている。外周ガイド部28は、本体部22の外周縁において弾性係止部27と並んで配置されている。
【0032】
次に、本実施例1に係る組合せ端子の組付け手順を説明する。
図7に示すように、2つの第1端子10Aからなる下側2段の組合せ端子と、1つの第1端子10Aおよび1つの第2端子10Bからなる上側2段の組合せ端子と、がそれぞれ形成される。なお、以下の説明においては、必要に応じて、上下方向で隣り合う端子10A,10Bのうち、相対的に上側に位置する端子10A,10Bの各部の符号の末尾に「U」を付し、相対的に下側に位置する端子10Aの各部の符号の末尾に「L」を付し、「上側」と「下側」とを区別する。図面は、作図の都合上、図4および図5と、図6および図7の一部において、各部の符号の末尾に「U」、「L」を付すことにする。
【0033】
下側2段の組合せ端子を形成する際には、2つの第1端子10Aのベース部11を、それぞれの貫通孔18が同心となるように、上下方向に積み重ね、図4に示すように、それぞれの圧着部15が貫通孔18を中心とする45度に近い開き角度で開いた、初期状態にセットする。
【0034】
初期状態においては、被ガイド部12Uの本体部22Uの先端部が被ガイド部12Lの付け根部21L側に位置する。また、外周ガイド部28Lの内側面に本体部22Uの先端部の外周縁が接触するように配置される。さらに、ガイド部14Lの内側面がベース部11Uの外周縁に沿って接触するように配置される。そして、各接点部26Lが各接点受部19Uに嵌まり込み、各第1端子10Aが初期状態に仮止めされる。
【0035】
続いて、上記初期状態から各第1端子10Aを、貫通孔18を中心として周方向に相対的に回転させる。本実施例1の場合、それぞれの圧着部15が互いに近づく方向に各第1端子10Aを回転させる。すると、被ガイド部12Uの本体部22Uが本体部22Lの上面を摺動しつつ弾性係止部27Lの係止腕部31Lと本体部22Lの上面との間に入り込む。また、回転過程において、ガイド部14Lの外側面が被ガイド部12Uの本体部22Uの内周縁に沿って摺動し、かつ外周ガイド部28Lおよび基部29Lの各内側面が被ガイド部12Uの外周縁に沿って摺動する。さらに、回転過程において、係止部13Uが面取り部24Uに誘導されて係止腕部31Lを摺動し、弾性係止部27Lが弾性変形させられる。
【0036】
回転完了時には、弾性係止部27Lが元の自然状態に復帰し、図5に示すように、弾性係止部27Lの係止孔32Lに係止部13Uが嵌まり込む。これにより、各第1端子10Aの回転動作が停止され、各第1端子10Aが正規状態に組み付けられる。このとき、それぞれの圧着部15は45度より小さい開き角度で開いた状態になる。
【0037】
また、回転完了時には、ガイド部14Lが本体部22Uとベース部11Uとの間の隙間23Uに位置する。ガイド部14Lの外側面は本体部22Uの内周縁に接触するように配置され、ガイド部14Lの内側面はベース部11Uの外周縁に接触するように配置される。つまり、ガイド部14Lが本体部22Uとベース部11Uとの間に挟み込まれる。
【0038】
外周ガイド部28Lの内側面は本体部22Uの外周縁に接触するように配置される。また、基部29Lの内側面も本体部22Uの外周縁に接触するように配置され、ガイド部としての機能を発揮する。このように、ガイド部14L、基部29Lおよび外周ガイド部28Lがベース部11Uおよび本体部22Uに沿って接触するように配置されることにより、各第1端子10Aの径方向へのがた付きが抑えられる。さらに、回転完了時には、各接点部26Lがベース部11Uと接触し、各第1端子10Aが導通接続される。
【0039】
なお、本実施例1の場合、既述したように、各弾性係止部27がベース部11の外周側の周方向に非等分に配置されている。このため、各第1端子10Aが周方向において誤って組み付けられようとすると、図6に示すように、被ガイド部12Uの付け根部21Uが弾性係止部27Lに干渉する等し、各第1端子10Aの誤組み付けが阻止されるようになっている。
【0040】
また、上側2段の組合せ端子を形成する際には、貫通孔18同士が同心となるように、第1端子10Aのベース部11Lの上面に第2端子10Bのベース部11Uを積み重ね、初期状態にセットする。次いで、第1端子10Aおよび第2端子10Bを相対的に回転させる。すると、上記下側2段の組合せ端子と同様に、図7に示すように、係止部13Uが弾性係止部27Lに係止され、さらにガイド部14L、基部29Lおよび外周ガイド部28Lがベース部11Uおよび本体部22Uに沿って接触するように配置される。これにより、第1端子10Aおよび第2端子10Bが位置決めされた状態に固定される。
【0041】
続いて、図7に示すように、下側2段の組合せ端子の上方に上側2段の組合せ端子を配置する。その状態で、下側2段の組合せ端子における上段の第1端子10Aの上面に、上側2段の組合せ端子における下段の第1端子10Aの下面が対面するようにして、下側2段および上側2段の各組合せ端子を積み重ね、初期状態にセットする。その後は、上記下側2段の組合せ端子の場合と同様であり、各組合せ端子を相対的に回転させれば、各組合せ端子が位置決めされた状態に固定される。
【0042】
本実施例1の場合、組合せ端子は、図8に示すように、4つの圧着部15が貫通孔18を中心とした90度の開き角度の範囲内に一定間隔に並んで配置される。また、図9に示すように、各被ガイド部12が先端位置を周方向にずらしつつ積層されるため、各端子10A,10B間毎に段差40が形成される。このため、各端子10A,10Bは、最下段から最上段にかけて段差40を介して階段状に積層される。
【0043】
以上説明したように、本実施例1によれば、ガイド部14Lが被ガイド部12Uの本体部22Uに沿って接触可能に配置され、係止部13Uが弾性係止部27Lに係止されることにより、各端子10A,10Bを、がたつきを抑えた状態で、位置決めして固定することができる。よって、位置決め固定するための別体の部材を必要とせず、部品点数が増加するのを防止することができる。また、組み付けの手間を省くこともできる。
【0044】
特に、本実施例1の場合、組合せ端子が複数の第1端子10Aを有しており、各第1端子10Aが被ガイド部12、係止部13、ガイド部14および弾性係止部27を有して、互いに同一形状に形成されている。このため、各第1端子10Aを同一品番にすることができ、多品番による製造、管理の煩雑さを解消することができる。結果として、コストの上昇を抑えることができる。
【0045】
また、ガイド部14Lおよび基部29Lが本体部22Uの両側縁にそれぞれ沿うように対をなして配置されているので、端子10A,10Bの組み付けが良好にガイドされるとともに、端子10A,10Bが良好に位置決めされる。特に、弾性係止部27Lの基部29Lがガイド部になるので、端子10A,10Bの構成を簡素化することができる。
【0046】
また、ガイド部14Lが隙間23Uに位置してベース部11Uと本体部22Uとに接触可能に配置されているため、端子10A,10B間のがたつきを良好に抑えることができる。
【0047】
さらに、各弾性係止部27がベース部11の外周側の周方向に非等分に配置されているため、端子10A,10Bが周方向の誤った位置に組み付けられるのを防止することができる。
【0048】
<実施例2>
次に、本実施形態の実施例2の組合せ端子を図10および図11によって説明する。組合せ端子は、互いに同一形状の2つの端子10Cで構成されている。端子10Cは、上記第1端子10Aと同様の構造であり、ベース部11、被ガイド部12、係止部13、ガイド部14、圧着部15、弾性係止部27および外周ガイド部28を有している。もっとも、端子10Cと第1端子10Aとは、ベース部11の貫通孔18Cの形状を異にしている。
【0049】
端子10Cの貫通孔18Cは、図10に示すように、ベース部11の中心部において非円形に開口している。ベース部11の貫通孔18Cの内周縁は、貫通孔18Cの中心を介して互いに対向する一対の小径円弧部36と、各小径円弧部36の対向方向と直交する方向で互いに対向する一対の大径円弧部37と、を有している。各大径円弧部37の径寸法は、各小径円弧部36の径寸法よりも大きい。また、ベース部11の貫通孔18Cの内周縁には、各大径円弧部37から立ち上がる内周ガイド部38が形成されている。内周ガイド部38は、側面視矩形状をなし、各大径円弧部37の周方向一側において、貫通孔18Cの中心を介して互いに対向して配置されている。
【0050】
各端子10Cの組み付けに際し、実施例1と同様、各端子10Cを積み重ねて初期状態にセットし、その状態で、各端子10Cを相対的に回転させる。各端子10Cの外周側においては、実施例1と同様、図11に示すように、係止部13Uが弾性係止部27Lに係止され、各端子10Cが組み付け状態に保持される。また、ガイド部14L、基部29Lおよび外周ガイド部28Lがベース部11Uおよび本体部22Uに沿って配置されることで、各端子10Cが、外周側において、がたつきを抑えられた状態に位置決めされる。なお、実施例1と同様、各部の符号の末尾に「U」、「L」を付すことで、「上側」と「下側」とを区別する。
【0051】
さらに、本実施例2の場合、各端子10Cが初期状態にあるときに、各端子10Cの内周側においては、内周ガイド部38Lが大径円弧部37Uの周方向他側に配置される。内周ガイド部38Lの外側面は回転過程で大径円弧部37Uを周方向に摺動し、各端子10Cの回転動作をガイドする。各端子10Cが組み付け位置に至ると、図11に示すように、内周ガイド部38Lが大径円弧部37Uの周方向中央側に変位して内周ガイド部38Uの側縁に突き当たるように配置される。これにより、各端子10Cの回動動作が停止される。
【0052】
実施例2によれば、内周ガイド部38Lの外側面が大径円弧部37Uに沿って接触することにより、各端子10Cが、内周側においても、がたつきを抑えられた状態に位置決めされる。さらに、内周ガイド部38Lが内周ガイド部38Uに当たることで、各端子10Cの回転動作を停止させるストッパとしての役割をはたすことができる。
【0053】
[本開示の他の実施形態]
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えるべきである。
上記実施形態の実施例1および実施例2の場合、各端子を相対的に回転させて互いに組み付ける構成であった。しかし、他の実施形態として、各端子を板面に沿って一直線上にスライドして組み付ける構成としても良い。
上記実施形態の実施例1および実施例2の場合、被ガイド部および弾性係止部は、ベース部の外周側の3箇所に配置されていた。しかし、他の実施形態として、被ガイド部および弾性係止部は、ベース部の外周側の一箇所のみに配置されていても良く、あるいはベース部の外周側の4箇所以上に配置されていても良い。 上記実施形態の実施例1および実施例2の場合、弾性係止部とガイド部とは被ガイド部に一体に連なるように設けられていた。しかし、他の実施形態として、弾性係止部とガイド部の少なくとも一方は、被ガイド部とは別に設けられていても良い。
上記実施形態の実施例1の場合、第2端子が弾性係止部を有していなかった。しかし、他の実施形態として、第2端子も弾性係止部を有していても良い。
上記実施形態の実施例1の場合、第2端子がガイド部を有していた。しかし、他の実施形態として、第2端子はガイド部を有していなくても良い。
【符号の説明】
【0054】
10A…第1端子(端子)
10B…第2端子(端子)
10C…端子
11,11L,11U…ベース部
12,12L,12U…被ガイド部
13,13U…係止部
14,14L…ガイド部
15…圧着部
16…掛止部
17…切欠部
18,18C…貫通孔
19,19U…接点受部
21,21L,21U…付け根部
22,22L,22U…本体部
23,23U…隙間
24,24U…面取り部
25…切り込み部
26,26L…接点部
27,27L…弾性係止部
28, 28L…外周ガイド部(ガイド部)
29,29L…基部(ガイド部)
31,31L…係止腕部
32…係止孔
36…小径円弧部
37,37U…大径円弧部
38,38L,38U…内周ガイド部(ガイド部)
40…段差
図1
図2
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図10
図11