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特開2022-190804動態品質管理装置、動態品質管理プログラム及び動態品質管理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022190804
(43)【公開日】2022-12-27
(54)【発明の名称】動態品質管理装置、動態品質管理プログラム及び動態品質管理方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/00 20060101AFI20221220BHJP
【FI】
A61B6/00 330A
A61B6/00 350A
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021099249
(22)【出願日】2021-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長束 澄也
(72)【発明者】
【氏名】金森 孝太郎
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA07
4C093CA01
4C093FA18
4C093FD09
4C093FF24
4C093FF28
4C093FF32
4C093FF33
4C093GA01
(57)【要約】
【課題】複数のフレーム画像からなる動態撮影の品質管理を複数フレームからなる動態撮影の品質管理を、品質管理の評価項目毎に適切に行えるようにする。
【解決手段】動態品質管理装置2は、被写体に対して放射線を照射することにより被写体の動態を撮影する動態撮影に関する品質管理を行うものであって、品質管理の評価項目に基づいて、前記動態撮影により得られた動態画像を構成する複数のフレーム画像の中から品質管理の対象となるフレーム画像を選択し、選択されたフレーム画像を用いて前記動態撮影の品質に関する情報を生成する生成手段と、前記動態撮影の品質に関する情報を出力する出力手段と、を備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体に対して放射線を順次照射することにより前記被写体の動態を撮影する動態撮影に関する品質管理を行う動態品質管理装置であって、
品質管理の評価項目に基づいて、前記動態撮影により得られた動態画像を構成する複数のフレーム画像の中から品質管理の対象となるフレーム画像を選択し、選択されたフレーム画像を用いて前記動態撮影の品質に関する情報を生成する生成手段と、
前記動態撮影の品質に関する情報を出力する出力手段と、
を備えること特徴とする動態品質管理装置。
【請求項2】
前記生成手段は、前記品質管理の評価項目に基づいて、1つのフレーム画像、又は少なくとも2つのフレーム画像を選択することを特徴とする請求項1に記載の動態品質管理装置。
【請求項3】
前記生成手段は、前記品質管理の評価項目が、前記動態画像の低コントラスト分解能、スジの有無、及びムラの有無の少なくともいずれかの項目である場合、前記動態撮影により得られた動態画像を構成する複数のフレーム画像の中から品質管理の対象となる1つのフレーム画像を選択すること、を特徴とする請求項2に記載の動態品質管理装置。
【請求項4】
前記生成手段は、前記品質管理の評価項目が、動態画像の線形性、前記動態画像の均一性、前記動態画像における画素値の経時安定性の少なくともいずれかの項目である場合、前記動態撮影により得られた動態画像を構成する複数のフレーム画像の中から品質管理の対象となる少なくとも2つのフレーム画像を選択すること、を特徴とする請求項2又は請求項3のいずれか一項に記載の動態品質管理装置。
【請求項5】
前記生成手段は、1つのフレーム画像を選択する場合、特定の基準を満たすフレーム画像を品質管理の対象となるフレーム画像として選択すること、を特徴とする請求項2から請求項4のいずれか一項に記載の動態品質管理装置。
【請求項6】
前記生成手段は、1つのフレーム画像を選択する場合、所定の線量値以下で撮影されたフレーム画像の中から品質管理の対象となるフレーム画像を選択すること、を特徴とする請求項5に記載の動態品質管理装置。
【請求項7】
前記生成手段は、少なくとも2つのフレーム画像を選択する場合、前記複数のフレーム画像のうち少なくとも2つのフレーム画像に関する情報を加算した加算情報、乗算した乗算情報、減算した減算情報、除算した除算情報、平均した平均情報又は分散情報に基づいて、前記動態撮影の品質に関する情報を生成すること、を特徴とする請求項2から請求項6のいずれか一項に記載の動態品質管理装置。
【請求項8】
前記少なくとも2つのフレーム画像は、第1のフレーム画像と第2のフレーム画像とを含み、
前記生成手段は、前記品質管理の評価項目が前記画素値の経時安定性である場合、前記第1のフレーム画像における一部領域と前記第2のフレーム画像における前記一部領域に対応する領域とに基づいて、前記画素値の経時安定性を示す情報を生成すること、を特徴とする請求項4に記載の動態品質管理装置。
【請求項9】
前記生成手段は、少なくとも2つのフレーム画像を選択する場合、個々のフレーム画像を得るのに要した線量を合算した値が1つの静止画を得るのに要する線量に達するようなフレーム画像の数を決定し、決定した数のフレーム画像を用いて前記動態撮影の品質に関する情報を生成すること、を特徴とする請求項2から請求項8のいずれか一項に記載の動態品質管理装置。
【請求項10】
前記生成手段は、少なくとも2つのフレーム画像を選択する場合、1つのフレーム画像を得るのに要した線量が所定値未満である場合に、前記動態撮影の品質に関する情報を生成すること、を特徴とする請求項2から請求項9のいずれか一項に記載の動態品質管理装置。
【請求項11】
被写体に対して放射線を順次照射することにより前記被写体の動態を撮影する動態撮影に関する品質管理を行う動態品質管理プログラムであって、
コンピューターに、
品質管理の評価項目に基づいて、前記動態撮影により得られた動態画像を構成する複数のフレーム画像の中から品質管理の対象となるフレーム画像を選択し、選択されたフレーム画像を用いて前記動態撮影の品質に関する情報を生成する第一処理と、
前記動態撮影の品質に関する情報を出力する第二処理と、
を実行させることを特徴とする動態品質管理プログラム。
【請求項12】
前記第一処理で、前記コンピューターに、前記品質管理の評価項目に基づいて、1つのフレーム画像、又は少なくとも2つのフレーム画像を選択させることを特徴とする請求項11に記載の動態品質管理プログラム。
【請求項13】
前記品質管理の評価項目が、前記動態画像の低コントラスト分解能、スジの有無、及びムラの有無の少なくともいずれかの項目である場合、前記第一処理で、前記コンピューターに、前記動態撮影により得られた動態画像を構成する複数のフレーム画像の中から品質管理の対象となる1つのフレーム画像を選択させること、を特徴とする請求項12に記載の動態品質管理プログラム。
【請求項14】
前記品質管理の評価項目が、動態画像の線形性、前記動態画像の均一性、前記動態画像における画素値の経時安定性の少なくともいずれかの項目である場合、前記第一処理で、前記コンピューターに、前記動態撮影により得られた動態画像を構成する複数のフレーム画像の中から品質管理の対象となる少なくとも2つのフレーム画像を選択させること、を特徴とする請求項12又は請求項13に記載の動態品質管理プログラム。
【請求項15】
被写体に対して放射線を順次照射することにより前記被写体の動態を撮影する動態撮影に関する品質管理を行う動態品質管理方法であって、
品質管理の評価項目に基づいて、前記動態撮影により得られた動態画像を構成する複数のフレーム画像の中から品質管理の対象となるフレーム画像を選択し、選択されたフレーム画像を用いて前記動態撮影の品質に関する情報を生成する第一工程と、
前記動態撮影の品質に関する情報を出力する第二工程と、
を備えることを特徴とする動態品質管理方法。
【請求項16】
前記第一工程で、前記品質管理の評価項目に基づいて、1つのフレーム画像、又は少なくとも2つのフレーム画像を選択することを特徴とする請求項15に記載の動態品質管理方法。
【請求項17】
前記品質管理の評価項目が、前記動態画像の低コントラスト分解能、スジの有無、及びムラの有無の少なくともいずれかの項目である場合、前記第一工程で、前記動態撮影により得られた動態画像を構成する複数のフレーム画像の中から品質管理の対象となる1つのフレーム画像を選択すること、を特徴とする請求項16に記載の動態品質管理方法。
【請求項18】
前記品質管理の評価項目が、動態画像の線形性、前記動態画像の均一性、前記動態画像における画素値の経時安定性の少なくともいずれかの項目である場合、前記動態撮影により得られた動態画像を構成する複数のフレーム画像の中から品質管理の対象となる少なくとも2つのフレーム画像を選択すること、を特徴とする請求項16又は請求項17に記載の動態品質管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動態品質管理装置、動態品質管理プログラム及び動態品質管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、静止画の放射線撮影において、撮影に関する品質管理(Quality Control:以下
QC)や品質保証(Quality Assurance:以下QA)を行うための各種技術が提案されて
いる。
例えば特許文献1には、品質管理用のQCファントムへの放射線撮影により得られた画像データに対して演算を行うことで表示寸法精度、線形性、鮮鋭度等を評価し、各評価項目の評価結果が閾値を超えているか否かを判定し、その判定結果に応じて各評価項目が合格であるか否かを判定する放射線画像読取システムについて記載されている。
また、非特許文献1には、QCファントムを撮影し、自動計算によりシステム感度を含む全ての検査項目の解析を行い、その演算により得られた値が管理幅の内か外かを判定し、判定結果をユーザーに通知する品質管理プログラムについて記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-283531号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】原口剛,“CR品質管理プログラム“SimpleCheckQC”の開発”,KONICA MINOLTA TECHNOLOGY REPORT,2009年,Vol.6,p.69-72
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、放射線を順次照射して複数のフレーム画像からなる動態画像を生成する動態撮影を行うための各種装置が開発されるようになった。
動態撮影においても、静止画撮影と同様、一定以上の品質を有していることが、医師の誤診、再撮影による技師の負担増、再撮影による被検者の被曝量増加といった問題を防ぐ観点から望ましい。しかし、動態撮影は、医療現場で用いられるようになってからまだ日が浅い技術ということもあり、動態撮影に関するQC、QAについてはこれまで十分な研究開発が行われてこなかった。
そのため、例えば、製品納品後の定期的なQCの多くが技師により手動で且つ属人的に行われているが、動態撮影では静止画撮影に比べてQCに関する情報が多岐にわたるため、業務効率の改善が望まれている。
【0006】
また、静止画撮影では1つのフレーム画像を撮影するだけであるのに対し、動態撮影では複数のフレーム画像を連続して撮影する。このため、動態撮影では、放射線の照射時間が長くなることで放射線源を十分に冷却することができなくなり、こもった熱によって放射線源の温度が上昇していってしまうことがある。
放射線源の温度が上昇していくと、放射線源が発する放射線の線量が時間経過に伴って増加又は減少し(線量変動し)、その結果、線量に基づいて放射線検出器が読み出す画素値も上昇又は下降してしまうという問題がある。
【0007】
また、動態撮影では1回に複数のフレーム画像を撮影するため、被検者の被ばく線量を
抑えることを目的として、1フレーム画像あたりの線量を静止画撮影に比して低くしている。被検者を透過してくる放射線の線量が低いと、放射線検出器が読み出す画素値に含まれるノイズが相対的に多くなってしまうという問題が生じるが、動態撮影では、被ばく線量低減のトレードオフとして、これをある程度許容している。
加えて、動態画像に、静止画(単体のフレーム画像)を用いた診断では好ましくないとされるノイズが乗っていたとしても、その動態画像が、例えば動態を観察できる程度の品質、あるいは動態解析を行える程度の品質を担保してさえいれば、その動態画像を診断に供することも行われている。
すなわち、動態撮影では、品質管理の評価項目によっては、静止画撮影とは異なった観点のQC、QAが求められている(動態撮影で要求されるQC、QAは、静止画撮影のものでは不十分であるということを見出した)。
【0008】
また、動態撮影においては、静止画撮影の品質管理を適用し、例えば、複数のフレーム画像を平均化することで得られた平均化画像を対象に品質管理を行うという考えがある。
しかしながら、このような品質管理では、例えば、品質管理の評価項目の一つである低コントラスト分解能(放射線吸収の異なるものをどれだけ細かく区別することが出来るか)を正しく評価することが出来ない。
具体的には、低コントラスト分解能の評価は、安全性を考慮して、平均値ではなく最低値に基づいて評価しなくてはならないが、複数のフレーム画像を平均化すると、ノイズ成分も平均化されて最低値を得ることができなくなってしまう。
また、動態ファントムを動態撮影して得られた画像を用いて品質管理を行う場合、平均化画像には、例えば図3(b)に示すように、動態ファントム6の可動部材62に設けられた金属円板62bや文字板62cの残像が残ってしまい、正確な評価を行うことが困難になってしまう。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、複数フレームからなる動態撮影の品質管理を、品質管理の評価項目毎に適切に行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明に係る動態品質管理装置は、
被写体に対して放射線を順次照射することにより前記被写体の動態を撮影する動態撮影に関する品質管理を行う動態品質管理装置であって、
品質管理の評価項目に基づいて、前記動態撮影により得られた動態画像を構成する複数のフレーム画像の中から品質管理の対象となるフレーム画像を選択し、選択されたフレーム画像を用いて前記動態撮影の品質に関する情報を生成する生成手段と、
前記動態撮影の品質に関する情報を出力する出力手段と、
を備えること特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る動態品質管理プログラムは、
被写体に対して放射線を順次照射することにより前記被写体の動態を撮影する動態撮影に関する品質管理を行う動態品質管理プログラムであって、
コンピューターに、
品質管理の評価項目に基づいて、 前記動態撮影により得られた動態画像を構成する複数のフレーム画像の中から品質管理の対象となるフレーム画像を選択し、選択されたフレーム画像を用いて前記動態撮影の品質に関する情報を生成する第一処理と、
前記動態撮影の品質に関する情報を出力する第二処理と、
を実行させることを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る動態品質管理方法は、
被写体に対して放射線を順次照射することにより前記被写体の動態を撮影する動態撮影に関する品質管理を行う動態品質管理方法であって、
品質管理の評価項目に基づいて、前記動態撮影により得られた動態画像を構成する複数のフレーム画像の中から品質管理の対象となるフレーム画像を選択し、選択されたフレーム画像を用いて前記動態撮影の品質に関する情報を生成する第一工程と、
前記動態撮影の品質に関する情報を出力する第二工程と、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、複数フレームからなる動態撮影の品質管理を、品質管理の評価項目毎に適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態に係る放射線撮影システムの一例を表すブロック図である。
図2図1の放射線撮影システムの品質管理に用いられる品質管理用ファントムの一例の内部を示す透過平面図である。
図3図1の放射線撮影システムの品質管理に用いられる品質管理用動態ファントムの一例を示す平面図である。
図4図1の放射線撮影システムが備える動態品質管理装置を表すブロック図である。
図5図4の動態品質管理装置が実行する動態品質管理処理の流れを示すフローチャートである。
図6図5の動態品質管理処理で動態品質管理装置が行う動作の一例を示す概念図である。
図7図5の動態品質管理処理で動態品質管理装置が行う動作の他の例を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。ただし、本発明の技術的範囲は、以下の実施形態及び図示例に限定されるものではない。
【0016】
<1.放射線撮影システム>
はじめに、本実施形態に係る放射線撮影システム(以下、システム100)の概略構成について説明する。
図1はシステム100の一例を表すブロック図、図2はシステム100の品質管理に用いられる品質管理用ファントムの一例の内部を示す透過平面図、図3はシステム100の品質管理に用いられる品質管理用動態ファントムの一例を示す平面図である。
【0017】
システム100は、図1に示すように、放射線検出器(以下、検出器1)と、動態品質管理装置(以下、管理装置2)と、を備えている。
また、本実施形態に係るシステム100は、放射線発生装置(以下、発生装置3)と、コンソール4と、を更に備えている。
各装置1~4は、例えば通信ネットワークN(LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、インターネット等)を介して互いに通信可能となっている。
【0018】
なお、システム100は、図示しない病院情報システム(Hospital Information System:HIS)や、放射線科情報システム(Radiology Information System:RIS)、画
像保存通信システム(Picture Archiving and Communication System:PACS)、動態解析装置等と通信することが可能となっていてもよい。
【0019】
〔1-1.放射線発生装置〕
発生装置3は、ジェネレーター31と、照射指示スイッチ32と、放射線源33と、を備えている。
なお、発生装置3は、撮影室内に据え付けられたものであってもよいし、コンソール4等と共に回診車と呼ばれる移動可能に構成されたものとなっていてもよい。
【0020】
ジェネレーター31は、照射指示スイッチ32が操作されたことに基づいて、予め設定された撮影条件(例えば撮影部位、撮影方向、体格等の被写体Sに関する条件や、管電圧や管電流、照射時間、電流時間積(mAs値)等の放射線Xの照射に関する条件)に応じた電圧を放射線源33(管球)へ印加するようになっている。
【0021】
放射線源33は、ジェネレーター31から電圧が印加されると、印加された電圧に応じたX線エネルギーの放射線X(例えばX線等)を発生させるようになっている。
また、放射線源33は、X軸方向(放射線の照射方向、図1における左右方向)、X軸と直交するY軸方向(図1における紙面と直交する方向)、X軸及びY軸と直交するZ軸方向(図1における上下方向)に移動することが可能であるとともに、Y軸、Z軸と平行な回転軸を中心に回転して放射線の照射口の向きを変えることが可能となっている。
【0022】
また、発生装置3は、生成しようとする放射線画像の形態(静止画、複数のフレーム画像からなる動態画像)に応じた態様で放射線Xを発生させるようになっている。
静止画の場合には、1回の照射指示スイッチ32の押下につき放射線Xの照射を1回だけ行う。
動態画像の場合には、1回の照射指示スイッチ32の押下につきパルス状の放射線Xの照射を所定時間当たり複数回(例えば1秒間に15回)繰り返す、又は放射線Xの照射を所定時間継続する。
すなわち、本発明における「放射線を順次照射する」には、放射線を連続して照射する連続照射と、断続的に照射したりしなかったりするパルス照射と、が含まれる。
【0023】
〔1-2.放射線検出器〕
検出器1は、図示を省略するが、放射線Xを受けることで線量に応じた電荷を発生させる放射線検出素子及び電荷の蓄積・放出を行うスイッチ素子が二次元状(マトリクス状)に配列されたセンサー基板や、各スイッチ素子のオン/オフを切り替える走査回路、各画素から放出された電荷の量を画素値として読み出す読み出し回路(以下、ROIC)、ROICが読み出した複数の画素値から放射線画像を生成する制御部、生成した放射線画像のデータや各種信号等を外部へ送信したり、各種情報や各種信号を受信したりする通信部等を備えている。
【0024】
そして、検出器1は、発生装置3から放射線Xが照射されるタイミングと同期して、電荷の蓄積・放出、画素値の読出しを行うことにより、照射された放射線Xの線量に応じた放射線画像を生成するようになっている。
静止画を生成する場合には、1回の照射指示スイッチ32の押下につき放射線画像の生成を1回だけ行う。
動態画像を生成する場合には、1回の照射指示スイッチ32の押下につき動態画像を構成するフレーム画像の生成を所定時間当たり複数回(例えば1秒間に15回)行う。
【0025】
なお、検出器1は、生成した動態画像を、画像データの形にして保存・転送するようになっていてもよいし、自身に接続された表示装置にリアルタイムで表示させるようになっていてもよい。
リアルタイムで表示する例としては、例えば、透視が挙げられる。
【0026】
〔1-3.コンソール〕
コンソール4は、検出器1及び発生装置3の少なくとも一方に各種撮影条件(管電圧や管電流、照射時間(mAs値)、撮影部位、撮影方向等)を設定するものである。
コンソール4は、PCや専用の装置等で構成されている。
また、コンソール4は、撮影条件の設定を、他のシステム(HISやRIS等)から取得した撮影オーダー情報、又はユーザー(例えば技師)によってなされた操作に基づいて行うようになっている。
【0027】
〔1-4.動態品質管理装置〕
管理装置2は、動態撮影に関する品質管理を行うものである。
ここでの「動態撮影」は、被写体Sに対して放射線を順次照射することにより被写体Sの動態を撮影することを指す。
また、「動態撮影」には、動画撮影が含まれるが、動画を表示しながら静止画を撮影するものは含まれない。
また、「動態画像」には、動画が含まれるが、動画を表示しながら静止画を撮影して得られた画像は含まれない。
また、管理装置2が「品質管理」の対象とするのは、動態撮影を行う際のシステム100の一連の動作(プログラムの実行)の少なくとも一部(例えば、放射線発生装置3による放射線Xの照射、検出器1による動態画像の生成、装置間の動態画像の転送、動態解析装置による解析、及びデータ保存装置(クラウドサーバ、PACS等)への動態画像の保存の少なくともいずれかの動作)である。
また、「品質管理」には、製品納品後の定期的な品質チェックによる品質管理(Quality Control)の他、製品納品時の品質保証(Quality Assurance)の意味合いも含まれる。
【0028】
管理装置2は、PCや専用の装置等で構成されている。
なお、図1には、管理装置2とコンソール4とが別々に設けられたシステム100を例示したが、管理装置2とコンソール4とは一体になっていてもよい。
また、システム100が図示しない動態解析装置やPACS等を備える場合、管理装置2はこれらの装置と一体になっていてもよい。
この管理装置2の詳細については後述する。
【0029】
〔1-5.品質管理用ファントム〕
上記管理装置2を用いた品質管理では、品質管理用ファントム(以下、ファントム5)を用いることがある。すなわち、システム100は、ファントム5を被写体Sとすることがある。
本実施形態に係るファントム5は、例えば図2に示すように、放射線を透過させる性質を有する矩形の基板51(例えばアクリル板)と、基板51に配置された複数種類の評価部材と、放射線を透過させる性質を有し評価部材を封止する図示しない封止版(例えばアクリル板)と、を有している。
本実施形態に係る複数種類の評価部材は、金属円板52a~52c、エッジパターン53、ステップウエッジ54、ジッタ55a、55bとなっている。
【0030】
金属円板52a~52cは、円形の金属板からなる。
金属円板52a~52cを構成する金属には、例えば銅が含まれる。
また、各金属円板52a~52cは、基板51の三隅に位置している。
【0031】
エッジパターン53は、辺縁が鮮鋭なエッジ部が形成された金属板からなる。
エッジパターン53を構成する金属には、例えばタングステンが含まれる。
また、エッジパターン53のエッジ部は、基板51の一の辺に対して僅かに傾けられている。
【0032】
ステップウエッジ54は、互いに厚さの異なる複数(例えば4つ)の矩形の金属板54a~54dを有している。
各金属板54a~54dを構成する金属には、例えば銅が含まれる。
各金属板54a~54dは、厚さが段階的に厚くなる又は薄くなるように並べられている。
【0033】
ジッタ55a、55bは、直線状のエッジ部が形成された長方形状の金属(例えば銅)板からなる。
また、ジッタ55a、55bのいずれか一方の長辺は、基板51の一の辺に沿っており、他方の長辺は、基板51の上記一の辺と直交する他の辺に沿っている。
【0034】
なお、ここでは、4種類の評価部材を有するファントム5を例示したが、ファントム5が有する評価部材は、3種類以下であってもよいし、5種類以上であってもよい。
また、ここでは、品質管理に1つのファントム5を用いることとしたが、配置された評価部材が異なる複数のファントムを品質管理に用いることとしてもよい。
【0035】
また、上記管理装置2を用いた品質管理では、品質管理用動態ファントム(以下、動態ファントム6)を用いることがある。すなわち、システム100は、動態ファントム6を被写体Sとすることがある。
本実施形態に係る動態ファントム6は、例えば図3(a)に示すように、動力61と、動力によって所定動作を行う可動部材62と、を有している。
本実施形態に係る可動部材62は、放射線を透過させる性質を有する円板62a(例えばアクリル板)と、複数の金属円板62bと、複数の文字板62cと、を有している。
【0036】
複数の金属円板62bは、円形の金属板からなる。
金属円板62bを構成する金属には、例えば銅が含まれる。
また、各金属円板62bは、円板62aの周縁部に、輪郭に沿って等間隔で並べられている。
【0037】
複数の文字板62cは、数字(例えば1~6)を象った金属板からなり、金属円板62bと同数ある。
複数の文字板62cを構成する金属には、例えば銅が含まれる。
また、複数の文字板62cは、円板62aの周縁部よりも中心寄りの位置に、各金属円板62bと対応するように等間隔で並べられている。
【0038】
なお、ここでは、可動部材62が回転する動態ファントム6を例示したが、動態ファントム6が有する可動部材62は、往復するものであってもよい。
また、文字板62cは、アルファベット等を象ったものであってもよい。
【0039】
〔1-6.放射線撮影システムの概略動作〕
このように構成されたシステム100は、以下のように動作する。
まず、間を空けて対向配置された発生装置3の放射線源33と検出器1との間に位置する被写体S(被検者の診断対象部位)に、発生装置3が放射線Xを照射すると、検出器1は、診断対象部位が写った放射線画像(静止画、動態画像)を生成し、その画像データを管理装置2及びコンソール4の少なくとも一方の装置へ送信する。
品質管理を行う場合には、放射線源33と検出器1との間に位置するファントム5,6に、発生装置3が放射線Xを照射すると、検出器1は、ファントム5,6が写った品質管理用画像(静止画、動態画像:以下、QC画像)を生成し、その画像データを管理装置2へ送信する。
管理装置2は、QC画像の画像データを受信すると、動態品質管理処理(詳細後述)を実行し、動態撮影の品質に関する情報(詳細後述)を出力する。
【0040】
<2.動態品質管理装置の詳細>
次に、上記システム100が備える管理装置2の詳細について説明する。
図4は管理装置2を表すブロック図、図5は管理装置2が実行する動態品質管理処理の流れを示すフローチャート、図6,7は動態品質管理処理で管理装置2が行う動作を示す概念図である。
【0041】
[2-1.動態品質管理装置の構成]
管理装置2は、図4に示すように、制御部21と、記憶部22と、通信部23と、表示部24と、操作部25と、を備えている。
各部21~25は、バス等で電気的に接続されている。
【0042】
制御部21は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory
)等により構成されている。
そして、制御部21のCPUは、記憶部22に記憶されている各種プログラムを読出してRAM内に展開し、展開されたプログラムに従って各種処理を実行し、管理装置2各部の動作を集中制御するようになっている。
【0043】
記憶部22は、不揮発性のメモリーやハードディスク等により構成されている。
また、記憶部22は、制御部21が実行する各種プログラム(動態品質管理プログラムを含む)やプログラムの実行に必要なパラメーター等を記憶している。
なお、記憶部22は、他の装置から取得した放射線画像の画像データを記憶することが可能となっていてもよい。
【0044】
通信部23は、通信モジュール等で構成されている。
そして、通信部23は、通信ネットワークN(LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、インターネット等)を介して有線又は無線で接続された他の装
置(検出器1、コンソール4等)との間で各種信号や各種データを送受信するようになっている。
【0045】
表示部24は、ユーザーの診断に用いられる各種画面を表示するものである。
表示部24は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)やELD(Electronic Luminescent Display)、CRT(Cathode Ray Tube)等で構成されている。
そして、表示部24は、制御部21から受信した画像信号に応じた放射線画像等を表示するようになっている。
【0046】
操作部25は、ユーザーが操作可能に構成された操作手段である。
操作部25には、キーボード(カーソルキー、数字入力キー、各種機能キー等)、ポインティングデバイス(マウス等)、表示部24の表面に積層されたタッチパネル等が含まれる。
そして、操作部25は、ユーザーによってなされた操作に応じた制御信号を制御部21へ出力するようになっている。
【0047】
なお、管理装置2は、表示部24及び操作部25を備えず、例えば通信部23等を介して、管理装置2とは別に設けられた入力装置から制御信号を受信したり、管理装置2とは別に設けられた表示装置(モニター)へ画像信号を出力したりするようになっていてもよい。
また、他の装置(コンソール4等)が表示部及び操作部を備える場合、他の装置の操作部から制御信号を受信したり、他の装置の表示部へ画像信号を出力したりするようになっていてもよい(表示部及び操作部が他の装置と共用になっていてもよい)。
【0048】
[2-2.動態品質管理装置の動作]
上記のように構成された管理装置2の制御部21は、所定条件が成立したことを契機として、例えば図5に示すような動態品質管理処理を実行する。
所定条件には、例えば、管理装置2の電源がオンにされたこと、他の装置から画像データを取得したこと、他の装置から所定の制御信号を受信したこと、操作部25に所定操作(例えば、動態品質管理処理の開始操作、行おうとする品質チェックの選択操作等)がなされたこと等が含まれる。
【0049】
〔2-2-1.画像データの取得〕
この動態品質管理処理で、制御部21は、まず、取得処理を実行する(ステップS1)。
この取得処理で、制御部21は、これから行おうとする品質チェックの内容に応じた画像データを取得する。
「これから行おうとする品質チェックの内容(品質管理の評価項目)」は、例えば、複数の評価項目の選択肢の中からユーザーが手動で選択したものであってもよいし、ユーザーが入力した情報(例えば、対象フレーム画像Fのフレーム番号、撮影時の線量値、及びファントム5,6の使用の有無等)に基づいて制御部21が自動で選択したものであってもよいし、予め決定された(デフォルトの)ものであってもよい。
【0050】
そして、制御部21は、ファントム5を動態撮影することで得られたQC画像、これから行おうとする品質チェックの内容に応じた一つの評価部材を有するファントムを動態撮影して得られたQC画像、動態ファントム6を動態撮影して得られたQC画像、又は被写体Sが無い状態で動態撮影を行って得られたベタ画像の画像データを取得する。
上述したように、本実施形態に係るファントム5は、複数種類の評価部材を有している。このため、ファントム5を動態撮影して得られたQC画像は、複数種類の品質チェックに対応することができる。
本実施形態に係る取得処理では、制御部21は、通信部23を介して画像データを受信する。
【0051】
なお、この取得処理で、制御部21は、画像データを、記憶部22から読み込んだり、メディアから読み出したりするようになっていてもよい。
また、この取得処理で、制御部21は、被写体Sとして実際の被検者を動態撮影することで得られた画像(医用画像)の画像データを取得するようになっていてもよい。
また、画像データの取得を契機として動態品質管理処理を開始する場合、動態品質管理処理の中での取得処理の実行は不要である。
【0052】
〔2-2-2.動態撮影の品質に関する情報の生成1〕
画像データを取得した後、制御部21は、第一処理を実行する(ステップS2)。
本実施形態に係る第一処理では、制御部21は、品質管理の評価項目に基づいて、動態画像を構成する複数のフレーム画像の中から品質管理の対象となる(品質情報を生成するのに用いる)フレーム画像(以下、対象フレーム画像F)を選択し、選択されたフレーム画像を用いて、動態撮影の品質に関する情報(以下、品質情報)を生成する。
【0053】
この「品質管理の評価項目」は、動態画像の低コントラスト分解能、スジの有無、ムラの有無、ROICブロックムラ及び各センサー基板を境界にした画素値の差(以下、画素値段差)の少なくとも一方の有無、モーションアーチファクトの有無、及び放射線Xの立ち下がり応答の少なくともいずれかの項目を含む。
本実施形態に係る品質情報の評価項目は、動態画像の線形性、動態画像の均一性、及び動態画像における画素値の経時安定性、動態画像におけるスジの経時変化、ラグの有無、フレームレート、EI(Exposure Index)の精度、及びEIの線形性の少なくともいずれかの項目を更に含む。
従って、「品質情報」は、動態画像の低コントラスト分解能を示す情報、スジを示す情報、ムラを示す情報、ROICブロックムラ及び画素値段差の少なくとも一方の有無を示す情報、モーションアーチファクトの有無を示す情報、及び放射線Xの立ち下がり応答を示す情報の少なくともいずれかのいずれかの情報を含む。
また、本実施形態に係る品質情報は、動態画像の線形性を示す情報、動態画像の均一性を示す情報、及び動態画像における画素値の経時安定性を示す情報、動態画像におけるスジの経時変化を示す情報、ラグの有無、フレームレートを示す情報、EIの精度を示す情報、及びEIの線形性を示す情報の少なくともいずれかの情報を更に含む。
また、「品質情報」は、品質を示す数値、品質を示す画像、及び品質の判定結果(合格/不合格等)の少なくとも何れかの形で出力される。
【0054】
本実施形態に係る第一処理では、制御部21は、まず、設定された品質管理の評価項目に基づいて、1つの対象フレーム画像F、又は少なくとも2つの対象フレーム画像Fを選択する(ステップS21)。
具体的には、設定された品質管理の評価項目が、動態画像の低コントラスト分解能、スジの有無、ムラの有無、ROICブロックムラ及び画素値段差の少なくとも一方の有無、モーションアーチファクトの有無、及び放射線Xの立ち下がり応答の少なくともいずれかの項目である場合、制御部21は、複数のフレーム画像の中から1つのフレーム画像を選択する。
一方、設定された品質管理の評価項目が、動態画像の線形性、動態画像の均一性、動態画像における画素値の経時安定性、動態画像におけるスジの経時変化、ラグの有無、フレームレート、EI(Exposure Index)の精度、及びEIの線形性の少なくともいずれかの項目である場合、制御部21は、複数のフレーム画像の中から少なくとも2つのフレーム画像を選択する。
【0055】
その際、制御部21は、例えば、初めの少なくとも一つのフレーム画像を除いた残りのフレーム画像、終わりの少なくとも一つのフレーム画像を除いた残りのフレーム画像、初めと終わりの少なくとも一つのフレーム画像を除いた残りのフレーム画像等の中から1つ又は少なくとも2つの対象フレーム画像Fを選択するようになっていてもよい。
また、制御部21は、例えば、中間のフレーム画像を挟む前後数枚のフレーム画像、又は中間のフレーム画像以降の複数枚のフレーム画像(中間から最後のフレーム画像を含む)等)の中から1つ又は少なくとも2つの対象フレーム画像Fを選択するようになっていてもよい。
また、制御部21は、例えば、全フレーム画像の前半30%の中から1つ又は少なくとも2つの対象フレーム画像Fを選択するようになっていてもよい。
【0056】
このように、品質情報を生成するのに用いるフレーム画像を絞ることで、以降の処理に要する時間を短縮したり、画像データのデータ量を小さくしたりすることができる。
また、発生装置3が発生させる放射線Xは、動態撮影の後半から安定してくるため、中間から最後の間のフレーム画像を対象フレーム画像Fとすれば、品質情報を生成するための各種演算を安定して行うことができる。
【0057】
なお、この第一処理で、制御部21は、まず、複数のフレーム画像の中から特定の基準を満たすフレーム画像を対象フレーム画像Fとして選択するようになっていてもよい。
具体的には、制御部21は、所定の線量値以下で撮影されたフレーム画像の中から対象フレーム画像F(特に、一番少ない線量で撮影されたのもの)を選択するようになっていてもよい。これは、線量が少ない方が、コントラスト分解能の良しあし、スジ、ROICブロックムラ等が目立つためである。
また、特定の基準が、例えば「初めのフレーム画像を使わない」というものである場合、例えば、初めのフレーム画像を除いた前半10~30%の中から1つ又は少なくとも2つの対象フレーム画像Fを選択するようになっていてもよい。
また、例えば品質管理の評価項目が線量の経時安定性である場合、制御部21は、動態画像を構成する全てのフレーム画像を対象フレーム画像Fとして選択するようになってもよい。
【0058】
また、少なくとも2つの対象フレーム画像Fを選択する場合、制御部21は、数フレームおきに抽出したフレーム画像を対象フレーム画像Fとするようになっていてもよい。
また、本実施形態に係る第一処理で、制御部21は、フレーム画像を選択する前に、対象フレーム画像Fの数nを選択するようになっていてもよい。
具体的には、制御部21は、例えば、個々のフレーム画像を得るのに要した線量を合算した(n倍した)値が一つの静止画を得るのに要した線量に達するようなフレーム画像の数nを選択し、選択した数nの対象フレーム画像Fを用いて品質情報を生成するようになっていてもよい。
この「フレーム画像を得るのに要した線量」は、実測値であってもよいし、設定値であってもよい。
実測値は、例えば、発生装置3が発生させた線量であってもよいし、パネルに到達した線量であってもよい。
また、設定値は、予め決められている(例えば、予め記憶部22に記憶されている、発生装置3に設定されている照射条件に基づいて決まる)標準的な線量であってもよい。
【0059】
また、本実施形態に係る第一処理では、制御部21は、上記フレーム画像の選択と並行して、もしくは選択の前又は後に、一部領域Rを設定する(ステップS22)。
例えば、上記取得処理で取得した画像データが、ファントム5を動態撮影して得られたQC画像である場合、制御部21は、QC画像における、これから行おうとする品質チェックの内容に応じた評価部材が写った領域を一部領域Rに設定する。
具体的には、例えば、低コントラスト分解能をチェックしようとする場合、QC画像における金属円板52a~52cが写った領域を一部領域Rに設定する。
また、線形性や均一性をチェックしようとする場合、QC画像におけるステップウエッジ54が写った領域を一部領域Rに設定する。
また、鮮鋭性をチェックしようとする場合、QC画像におけるエッジパターン53が写った領域を一部領域Rに設定する。
【0060】
また、上記取得処理で取得した画像データが、動態ファントム6を動態撮影して得られたQC画像である(フレームレートをチェックしようとする)場合、制御部21は、QC画像における、可動部材62が写った領域を一部領域Rに設定する。
【0061】
なお、制御部21は、一部領域Rの設定を、自動で行うようになっていてもよいし、ユーザーによって操作部25になされた操作に応じて(手動で)設定するようになっていてもよい。
また、上記取得処理で医用画像を取得した場合、制御部21は、例えば医師が注目する
関心領域(ROI:Region of Interest、一定以上の画質が求められる領域)や、画質に影響を与える要素(ROICブロック等)を一部領域Rに設定するようになっていてもよい。
また、上記取得処理でフレーム画像全体に一つの評価部材のみが写ったQC画像を取得した場合、又は取得処理でベタ画像を取得した場合であって制御部21の処理能力が十分にある(各フレームの全画素を対象として演算を行っても差し支えない)場合、この一部領域Rの設定は不要である。
【0062】
1つのフレーム画像を選択した場合、制御部21は、一部領域Rを設定した後、選択された1つの対象フレーム画像Fを用いて(画素値にノイズを含む状態で)品質情報を生成する(ステップS23)。
本実施形態に係る動態品質管理処理では、制御部21は、予め一部領域Rを設定しておくようになっている。このため、制御部21は、対象フレーム画像Fにおける一部領域Rに基づいて、品質情報を生成する。
【0063】
(低コントラスト分解能)
例えば、低コントラスト分解能を示す情報を品質情報として生成する(取得手段でQC画像を取得し、取得したQC画像の対象フレーム画像Fにおける金属円板52a~52cが写った領域を一部領域Rに設定した)場合、制御部21は、例えば図6に示すように、1つの対象フレーム画像Fに設定した一部領域Rのコントラスト比を算出する。
また、必要に応じて、算出した比に応じた画像を生成したり、算出した比が十分な低コントラスト分解能を有していることを示しているか否かを判断したりする。
その際、各フレーム画像のコントラスト比を平均することが考えられる。この場合、制御部21は、少なくとも2つのフレーム画像を用いて品質情報を生成することになる。
【0064】
(スジの有無)
1つのフレーム画像におけるスジの有無を品質情報として生成する場合、制御部21は、1つのフレーム画像の、スジの延長方向と直交する方向の画素値プロファイルを取得し、周波数解析、振幅解析、SD解析等の手法を用いて画素値の変動の有無を判断する。
その際、各フレーム画像の画素値プロファイルの解析結果を平均することが考えられる。この場合、制御部21は、少なくとも2つのフレーム画像を用いて品質情報を生成することになる。
なお、上記スジの有無を調べるのと同じ方法を用いて、電磁波ノイズ、外乱スジ等の有無を検出することもできる。
【0065】
(ROICブロックムラ/画素値段差の有無)
検出器1は、1つのセンサー基板に対し複数のROICを有し、各ROICがそれぞれ異なる列の信号値を読み出すようになっていることがある。このような検出器1を用いた場合、各ROICの特性の差に起因する行毎の画素値の差(ROICブロックムラ)が生じることがある。
また、検出器1は、複数のセンサー基板を備えていることがある。この場合、各センサー基板がそれぞれROICを有しているため、各センサー基板を境界にして画素値の差(画素値段差)が生じることがある。
そこで、ROICブロックムラ及び画素値段差の少なくとも一方の有無を示す情報を品質情報として生成する(取得処理で未露光画像(特に、オフセット補正用の暗画像の取得開始から時間をおいて生成されたフレーム画像:ROICブロックムラが大きく出ているフレーム画像)を取得した)場合、制御部21は、例えば図7に示すように、対象フレーム画像Fにおける、ROICに繋がるセンサー基板の信号線の延長方向と直交する方向の画素値プロファイルを取得する。
そして、取得した画素値プロファイルから、ROICブロックムラを検出する。
なお、画素値段差も、上記ROICブロックムラと同様の方法で検出することができる。
【0066】
(モーションアーチファクトの有無)
動態画像がモーションアーチファクトの影響を受けていると、フレーム画像に写る被写体Sの形状が変形する(例えば、動態ファントム6が被写体Sの場合、円形の可動部材62の画像は楕円になる)。
そこで、モーションアーチファクトの有無を示す情報を品質情報として生成する場合、制御部21は、動態ファントム6の可動部材62の形状を示す値(例えば、縦方向の直径及び横方向の直径、これらの比等)を計測する。
また、必要に応じて、計測した値に応じた画像を生成したり、計測した値が画像の変形を示しているか否かを判断したりする。
【0067】
(ラグの有無)
ラグ(残像)の有無を示す情報を品質情報として生成する場合、制御部21は、例えば1つのフレーム画像における可動部材62の写り方や、動態ファントム6の動作速度、フレームレート等に基づいて、1つのフレーム画像上に、一つ前のフレーム画像で動態ファントムの可動部材が写っていた領域と同一座標上に位置する領域を特定する。そして、特定した領域を構成する画素の画素値と、特定した領域の周囲にある画素の画素値との比を算出する。
また、必要に応じて、算出した比に応じた画像を生成したり、算出した比が残像の存在を示しているか否かを判断したりする。
【0068】
(放射線の立ち下がり応答)
放射線Xの立ち下がりが遅い(放射線Xの波尾が大きい)と、最初のフレーム画像の信号線方向の画素値プロファイルに濃度ムラが現れる。
そこで、放射線Xの立ち下がり応答を示す情報を品質情報として生成する(取得処理で最初のフレーム画像を取得した)場合、制御部21は、対象フレーム画像Fの、画素値プロファイルを取得する。
そして、信号線方向の画素値プロファイルに濃度ムラが現れているか否かを判断する。
【0069】
〔2-2-3.動態撮影の品質に関する情報の生成2〕
一方、少なくとも2つのフレーム画像を選択した場合、制御部21は、一部領域Rを設定した後、動態画像を構成する複数のフレーム画像のうち、第1のフレーム画像と第2のフレーム画像とを含む、少なくとも2つのフレーム画像を用いて、品質情報を生成する(ステップS23)。
本実施形態に係る動態品質管理処理では、制御部21は、予め一部領域Rを設定しておくようになっている。このため、制御部21は、第1のフレーム画像における一部領域Rと第2のフレーム画像における一部領域Rに対応する領域とに基づいて、品質情報を生成する。
【0070】
本実施形態に係る第一処理では、制御部21は、選択された少なくとも2つの対象フレーム画像Fに関する統計情報に基づいて、品質情報を生成する。
本実施形態に係る第一処理で用いる「統計情報」は、平均情報である。
「平均情報」は、少なくとも2つの対象フレーム画像Fに関する各情報を平均した情報である。
【0071】
なお、統計情報は、加算情報、乗算情報、減算情報、除算情報、又は分散情報であってもよい。
「加算情報」は、複数の対象フレーム画像Fのうち少なくとも2つの対象フレーム画像
Fの各情報を加算した情報である。
「乗算情報」は、少なくとも2つの対象フレーム画像Fのいずれかの対象フレーム画像Fに関する情報に、残りの対象フレーム画像Fの少なくともいずれかの対象フレーム画像Fに関する情報を乗算した情報である。
「減算情報」は、少なくとも2つの対象フレーム画像Fのいずれかの対象フレーム画像Fに関する情報から、残りの対象フレーム画像Fの少なくともいずれかの対象フレーム画像Fに関する情報を減算した情報である。
「除算情報」は、少なくとも2つの対象フレーム画像Fのいずれかの対象フレーム画像Fに関する情報を、残りの対象フレーム画像Fの少なくともいずれかの対象フレーム画像Fに関する情報で除算した情報である。なお、除算情報は各情報の比率であってもよい。
「分散情報」は、少なくとも2つの対象フレーム画像Fに関する各情報の分散である。
【0072】
さらに、統計情報は、これらを組み合わせたものであってもよい。
このようにすれば、例えば、(第2のフレーム画像の画素値-第1のフレーム画像の画素値)/第1のフレーム画像の画素値)のように算出される値を統計情報とすることができる。このような統計情報からは、対象フレーム画像Fに関する各情報の経時的な変化に関する情報を得ることが可能となる。
【0073】
(画素値の線形性)
例えば、検出器1が読み出す画素値の線形性を示す情報を品質情報として生成する(取得処理でQC画像を取得し、取得したQC画像におけるステップウエッジ54が写った領域を一部領域Rに設定した)場合、制御部21は、例えば図7(a)に示すように、少なくとも2つの対象フレーム画像Fのいずれかの対象フレーム画像Fにおける一部領域Rから得られた画素値、及び少なくとも2つの対象フレーム画像Fの残りの対象フレーム画像Fにおける一部領域Rと同一座標上に位置する対応領域から得られた画素値の平均情報(平均値)を算出する。これにより、ステップウエッジ54が写った領域の画素値に含まれていたノイズが低減される。
そして、制御部21は、算出した平均情報に基づいて、ステップウエッジ54の各金属板54a~54dをそれぞれ透過した放射線の線量(透過線量)と各金属板54a~54dが写った領域の画素値との線形性を示す値を算出する。
また、必要に応じて、算出した値に応じた画像を生成したり、算出した値が十分な線形性を示しているか否かを判断したりする。
【0074】
なお、一部領域Rのサイズがある程度大きい(一部領域Rが写った領域を構成する画素の数がある程度多い)場合、制御部21は、複数のフレーム画像に関する情報の統計情報を算出せず、1つの対象フレーム画像Fの一部領域Rを構成する各画素値の平均値を算出することによりノイズを低減するようになっていてもよい。
【0075】
また、ファントム5が無い場合、制御部21は、ファントム5が写ったフレーム画像の代わりに、発生装置3が発生させる線量が異なる状態で動態撮影して得られた複数のベタ画像を取得するようになっていてもよい。
そして、制御部21は、各ベタ画像を動態撮影したときの線量と対応するベタ画像の画素値との線形性を示す情報を生成するようになっていてもよい。この場合、制御部21は、少なくとも2つのフレーム画像を用いて品質情報を生成することにはなるが、統計情報
を用いずに品質情報を生成することになる。
なお、制御部21は、線形性を示す情報を生成する際に、各ベタ画像から1つのフレーム画像を抽出してその画素値を用いるようになっていてもよいし、ベタ画像毎に複数のフレーム画像の画素値の平均値を算出し、その算出値を用いるようになっていてもよい。
【0076】
(画素値の均一性)
検出器1が読み出す画素値の均一性を示す情報を品質情報として生成する(取得処理でQC画像を取得し、取得したQC画像におけるエッジパターン53が写った領域を一部領域Rに設定した)場合、制御部21は、例えば図7(b)に示すように、少なくとも2つの対象フレーム画像Fのいずれかの対象フレーム画像Fにおける一部領域Rから得られた画素値、及び少なくとも2つの対象フレーム画像Fの残りの対象フレーム画像Fにおける一部領域Rと同一座標上に位置する対応領域から得られた画素値の平均情報(平均値)を算出する。これにより、エッジパターン53が写った領域の画素値に含まれていたノイズが低減される。
そして、制御部21は、算出した平均情報に基づいて、エッジパターン53が写った領域を構成する各画素の画素値のバラツキを示す値を算出する。
また、必要に応じて、算出した値に応じた画像を生成したり、算出した値が十分な均一性を示しているか否かを判断したりする。
【0077】
なお、制御部21は、一部領域Rを構成する各画素の画素値に含まれるノイズ、又はS/Nの均一性を示す情報を生成するようになっていてもよい。
このノイズ又はS/Nの均一性を示す情報の生成においては、制御部21は、各フレーム画像についてノイズ又はS/Nのバラツキを示す値をそれぞれ算出し、算出した各値を平均することが考えられる。この場合、制御部21は、少なくとも2つのフレーム画像を用いて品質情報を生成することにはなるが、統計情報を用いずに品質情報を生成することになる。
【0078】
(画素値の経時安定性)
検出器1が読み出す画素値の経時安定性を示す情報品質情報として生成する、すなわち、品質管理の評価項目が画素値の経時安定性である(取得処理で未露光画像を取得した)場合、制御部21は、少なくとも2つのフレーム画像のいずれかのフレーム画像における一部領域Rから得られた画素値、及び少なくとも2つのフレーム画像の残りのフレーム画像における一部領域Rと同一座標上に位置する対応領域から得られた画素値に基づいて、画素値の経時安定性を示す情報を生成する。
この「一部(対応)領域から得られた画素値」は、一部(対応)領域内の1画素の画素値。であってもよいし、一部(対応)領域内の複数画素の画素値の代表値(平均値、中央値等)であってもよい。
そして、制御部21は、得られた画素値のバラツキを示す値を算出する。
また、必要に応じて、算出した値に応じた画像を生成したり、算出した値が十分な均一性を示しているか否かを判断したりする。
この場合、制御部21は、少なくとも2つのフレーム画像を用いて品質情報を生成することにはなるが、統計情報を用いずに品質情報を生成することになる。
【0079】
(スジの経時変化)
検出器1が生成する動態画像におけるスジの経時変化を示す情報を品質情報として生成する(取得処理で未露光画像を取得し、取得した未露光画像におけるスジの延長方向(横方向)に沿って延びる細長い領域を一部領域Rに設定した)場合、制御部21は、一部領域Rを構成する各画素の画素値の平均値をフレーム画像毎に算出する。
そして、算出した各平均値の変動を解析する。
解析には、例えば、得られた画素値のバラツキを示す値を算出する。
また、必要に応じて、解析結果に応じた画像を生成したり、解析結果が十分なスジの少
なさを示しているか否かを判断したりする。
この場合、制御部21は、少なくとも2つのフレーム画像を用いて品質情報を生成することにはなるが、統計情報を用いずに品質情報を生成することになる。
なお、制御部21は、一部領域Rとして設定する場所を変えつつ上記判断を複数行い、最も変動の大きい解析結果を品質情報とするようになっていてもよい。
【0080】
因みに、1つのフレーム画像におけるスジの有無を品質情報として生成することもできる。その場合、制御部21は、1つのフレーム画像の、スジの延長方向と直交する方向の画素値プロファイルを取得し、周波数解析、振幅解析、SD解析等の手法を用いて画素値の変動の有無を判断する。
その際、各フレーム画像の画素値プロファイルの解析結果を平均することが考えられる。この場合も、制御部21は、少なくとも2つのフレーム画像を用いて品質情報を生成することにはなるが、統計情報を用いずに品質情報を生成することになる。
なお、上記スジの経時変化やスジの有無を調べるのと同じ方法を用いて、電磁波ノイズ、外乱スジ等の有無を検出することもできる。
【0081】
(ラグの有無)
ラグ(残像)の有無を示す情報を品質情報として生成する場合、制御部21は、1つのフレーム画像及びその一つ前のフレーム画像を用いて、1つのフレーム画像上に、一つ前のフレーム画像で動態ファントムの可動部材が写っていた領域と同一座標上に位置する領域を特定する。そして、特定した領域を構成する画素の画素値と、特定した領域の周囲にある画素の画素値との比を算出する。
また、必要に応じて、算出した比に応じた画像を生成したり、算出した比が十分な残像の存在を示しているか否かを判断したりする。
この場合も、制御部21は、少なくとも2つのフレーム画像を用いて品質情報を生成することにはなるが、統計情報を用いずに品質情報を生成することになる。
【0082】
(フレームレート)
検出器1が単位時間で電荷の蓄積・放出、及び画素値の読出しを繰り返す回数(読み取りフレームレート)を示す情報、及び発生装置3が単位時間で放射線Xの照射を繰り返す回数(照射フレームレート)を示す情報の少なくとも一方を品質情報として生成する(取得処理で動態ファントムのQC画像を取得し、取得したQC画像におけるファントムの可動部材が写った領域を一部領域Rに設定した)場合、制御部21は、1つの対象フレーム画像Fにおける可動部材が写った領域の位置と、及び次の対象フレーム画像Fにおける可動部材が写った領域の位置との差(1のフレームを生成する周期で可動部材が回転する角度)に基づいて読み取りフレームレート及び照射フレームレートの少なくとも一方を算出する。この場合、制御部21は、少なくとも2つのフレーム画像を用いて品質情報を生成することにはなるが、統計情報を用いずに品質情報を生成することになる。
【0083】
なお、制御部21は、可動部材が写った領域の位置の差に基づいて検出器1が電荷の蓄積・放出、及び画素値のいずれかの動作を開始してから次の同動作を開始するまでの時間(読み取り間隔)を示す情報、及び発生装置3が放射線Xの照射を開始してから次の放射線Xの照射を開始するまでの時間(照射間隔)を示す情報の少なくとも一方を算出するようになっていてもよい。
【0084】
(線量の経時安定性)
発生装置3が発生させる放射線Xの線量の経時安定性を示す情報を品質情報として生成する(QC画像におけるエッジパターン53が写った領域を一部領域Rに設定した)場合、制御部21は、一部領域Rを構成する各画素の画素値(各放射線検出素子への到達線量に相当)の平均値をフレーム画像毎に算出し、算出した各平均値のバラツキを示す値を算
出する。
また、必要に応じて、算出した値に応じた画像を生成したり、算出した値が十分な経時安定性を示しているか否かを判断したりする。
この場合も、制御部21は、少なくとも2つのフレーム画像を用いて品質情報を生成することにはなるが、統計情報を用いずに品質情報を生成することになる。
なお、画素値の経時安定性の影響を切り分けるため、制御部21は、露光領域及び未露光領域をそれぞれ有する複数のフレーム画像(照射野を絞る等して撮影したもの)を取得し、各フレーム画像の未露光領域を用いて画素値の経時変化を算出しておき、露光領域を用いて算出した線量の経時変化から、算出しておいた画素値の経時変化分を除去するようになっていてもよい。
【0085】
(EIの精度)
EIの精度を示す情報を品質情報として生成する(発生装置3が発生させる線量が異なる状態で動態撮影して得られた複数のベタ画像を取得した)場合、制御部21は、各撮影で設定した線量、及び対応するベタ画像の画素値に基づいてEIを算出する。
また、必要に応じて、算出したEIに応じた画像を生成したり、算出したEIが十分な精度を示しているか否かを判断したりする。
その際、線量毎の精度の算出をまとめて一つの解析と考えると、制御部21は、少なくとも2つのフレーム画像を用いて品質情報を生成することにはなるが、統計情報を用いずに品質情報を生成することになる。
【0086】
(EIの線形性)
EIの線形性を示す情報を品質情報として生成する(発生装置3が発生させる線量が異なる状態で動態撮影して得られた複数のベタ画像を取得した)場合、制御部21は、各撮影で設定した線量、及び対応するベタ画像の画素値に基づいてEIを算出する。
そして、制御部21は、各撮影で設定した線量と算出した各撮影のEIとの線形性を示す値を算出する。
また、必要に応じて、算出した値に応じた画像を生成したり、算出した値が十分な線形性を示しているか否かを判断したりする。
その際、線量毎の精度の算出をまとめて一つの解析と考えると、制御部21は、少なくとも2つのフレーム画像を用いて品質情報を生成することにはなるが、統計情報を用いずに品質情報を生成することになる。
【0087】
以上説明してきた第一処理で、必要な品質を満たしていない旨の品質情報が生成された場合、制御部21は、必要な品質を満たしていない旨の品質情報についての確認項目、及び必要な品質を満たしていない旨の品質情報が生成されることになった理由の少なくとも一方を生成するようになっていてもよい。
なお、確認項目の生成は、例えば、記憶部22に予め記憶された、必要な品質を満たしていない旨の品質情報と確認項目(考えられる原因)との関係を示すテーブルを参照して行ってもよいし、品質情報を入力、確認項目を出力として機械学習させた学習済モデルに今回生成した必要な品質を満たしていない旨の品質情報を入力することにより行ってもよい。
【0088】
また、上記第一処理を開始する前、又は上記第一処理の始めに、制御部21は、1つのフレーム画像を得るのに要した線量が所定値(例えば、1つの静止画を撮影するのに要した線量)未満であるか否かを判断し、所定値未満であると判断した場合に、品質情報を生成する(所定値未満ではない(所定値以上である)と判断した場合に、以降の処理を実行しない)ようになっていてもよい。
【0089】
本実施形態に係る制御部21は、以上説明してきた第一処理を実行することにより生成手段をなす。
また、制御部21が第一処理を実行する工程は、動態品質管理方法の第一工程に相当する。
【0090】
〔2-2-4.動態撮影の品質に関する情報の出力〕
品質情報を生成した後、制御部21は、第二処理を実行する(ステップS3A)。
この第二処理で、制御部21は、生成した品質情報を出力する。
本実施形態に係る第二処理では、制御部21は、品質情報(数値、画像、判断結果等)を表示部24に表示させる。
なお、この第二処理で、制御部21は、品質情報を他の装置(例えばコンソール4、携帯端末、プリンター等)へ送信する(他の装置に表示させる、印刷する)ようになっていてもよい。
また、管理装置2が記録媒体への書き込み手段を備えている場合、この第二処理で、制御部21は、品質情報を記録媒体へ書き込むようになっていてもよい。
【0091】
なお、この第二処理で、制御部21は、前回以前の第一処理で生成した品質情報を出力するようになっていてもよい。
その場合、制御部21は、最新の品質情報、及び過去の品質情報を、併せて出力する(例えばグラフの形で表示する)ようになっていてもよい。
このようにすれば、あるタイミングで行った品質チェックからそれ以降のタイミングで行った品質チェックまでの間にシステム100の状態に変化が起きていないかどうかを容易に確認することができる。
また、この第二処理で、制御部21は、過去の品質情報と最新の品質情報とを比較し、品質に所定以上の低下がみられると判断した場合に、アラートを出力するようになっていてもよい。
【0092】
また、上記第一処理で、必要な品質を満たしていない旨の品質情報が生成され、必要な品質を満たしていない旨の品質情報についての確認項目、及び必要な品質を満たしていない旨の品質情報が生成されることになった理由の少なくとも一方が生成された場合、この第二処理で、制御部21は、確認項目及び理由の少なくとも一方を出力するようになっていてもよい。
【0093】
また、上記第一処理で生成された、全ての品質情報、又は一部の所定の品質情報が、必要な品質を満たしている旨を示している場合、この第二処理で、制御部21は、動態撮影が可能である旨を出力するようになっていてもよい。
こうすることで、システム100の少なくとも一部に問題がある状態でユーザーが動態撮影を行ってしまうのを防ぐことができる。
【0094】
本実施形態に係る制御部21は、以上説明してきた第二処理を実行することにより出力手段をなす。
また、制御部21が第二処理を実行する工程は、動態品質管理方法の第二工程に相当する。
【0095】
<3.効果>
以上説明してきたように、本実施形態に係る管理装置2又はこの管理装置2を備えるシステム100は、被写体Sに対して放射線を順次照射することにより前記被写体の動態を撮影する動態撮影に関する品質管理を行うものであって、品質管理の評価項目に基づいて、動態撮影により得られた動態画像を構成する複数のフレーム画像の中から品質管理の対象となるフレーム画像を選択し、選択されたフレーム画像を用いて品質情報を生成し、品質情報を出力する制御部21(生成手段、出力手段)を備える。
このため、管理装置2又はシステム100によれば、複数フレームからなる動態撮影の品質管理を、品質管理の評価項目毎に適切に行うことができる。
【0096】
<4.その他>
なお、本発明は上記の実施形態等に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であることは言うまでもない。
【0097】
例えば、上記実施形態に係る管理装置2又はシステム100は、動態撮影に関する品質管理のみを行うものであったが、管理装置2又はシステム100は、静止画撮影に関する品質管理と動態撮影に関する品質管理の両方を行うものとなっていてもよい。
また、上記実施形態に係る管理装置2は、第一処理及び第二処理を実行するものとなっていたが、システム100が動態解析装置を備える場合、第一処理を動態解析装置が実行し、その解析結果に基づいて管理装置2が第二処理を実行するようになっていてもよい。
【0098】
また、例えば、上記の説明では、本発明に係るプログラムのコンピューター読み取り可能な媒体としてハードディスクや半導体の不揮発性メモリー等を使用した例を開示したが、この例に限定されない。その他のコンピューター読み取り可能な媒体として、CD-ROM等の可搬型記録媒体を適用することが可能である。また、本発明に係るプログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウエーブ(搬送波)も適用される。
【符号の説明】
【0099】
100 放射線撮影システム
1 放射線検出器
2 動態品質管理装置
21 制御部
22 記憶部
23 通信部
24 表示部
25 操作部
3 放射線発生装置
31 ジェネレーター
32 照射指示スイッチ
33 放射線源
4 コンソール
5 ファントム
51 基板
52a~52c 金属円板
53 エッジパターン
54 ステップウエッジ
54a~54d 金属板
55a、55b ジッタ
6 動態ファントム
61 動力
62 可動部材
62a 円板
62b 金属円板
62c 文字板
F 対象フレーム画像F
N 通信ネットワーク
R 一部領域
S 被写体
X 放射線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7