(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022190807
(43)【公開日】2022-12-27
(54)【発明の名称】動態品質管理装置、動態品質管理プログラム及び動態品質管理方法
(51)【国際特許分類】
A61B 6/00 20060101AFI20221220BHJP
【FI】
A61B6/00 330A
A61B6/00 350A
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021099252
(22)【出願日】2021-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長束 澄也
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA07
4C093CA01
4C093FD09
4C093FF22
4C093FF24
4C093FF32
4C093FF33
4C093GA01
(57)【要約】
【課題】、動態画像の円滑度の品質管理を適正に行えるようにする。
【解決手段】コンソールの制御部によれば、動態撮影により得られた複数のフレーム画像データを含む動態画像データを取得し、取得した動態画像データ内の被写体の所定対象物の移動距離に基づいて、動態画像の円滑度に関する品質管理の情報を生成する。そして、生成した動態画像の円滑度に関する品質管理の情報を出力する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体に対して放射線を順次照射することにより前記被写体の動態を撮影する動態撮影に関する品質管理を行う動態品質管理装置であって、
前記動態撮影により得られた複数のフレーム画像データを含む動態画像データを取得する取得部と、
前記動態画像データ内の前記被写体の所定対象物の移動距離に基づいて、動態画像の円滑度に関する品質管理の情報を生成する生成部と、
前記動態画像の円滑度に関する品質管理の情報を出力する出力部と、
を備えることを特徴とする動態品質管理装置。
【請求項2】
前記生成部は、前記動態画像データ内の所定のフレーム画像データ間における前記被写体の所定対象物の移動距離に基づいて、動態画像の円滑度に関する品質管理の情報を生成することを特徴とする請求項1に記載の動態品質管理装置。
【請求項3】
前記被写体は、ファントムであり、
前記所定対象物は、前記ファントムのX線吸収部位であること、を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の動態品質管理装置。
【請求項4】
前記被写体は、被検者であり、
前記所定対象物は、前記被検者の構造物であること、を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の動態品質管理装置。
【請求項5】
前記生成部は、前記被検者への動態撮影における本撮影前のプレ撮影にて得られた動態画像データから前記動態画像の円滑度に関する品質管理の情報を生成すること、を特徴とする請求項4に記載の動態品質管理装置。
【請求項6】
前記生成部は、前記移動距離が所定範囲内にあるか否かに基づいて、前記動態画像の円滑度に関する品質管理の情報を生成すること、を特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の動態品質管理装置。
【請求項7】
前記移動距離をd、前記所定範囲をA<d<Bとした場合、前記Aと前記Bは、前記所定対象物によって決まる定数であること、を特徴とする請求項6に記載の動態品質管理装置。
【請求項8】
前記生成部は、前記移動距離と、前記被写体への動態撮影におけるフレームレートの値とに基づいて、前記動態画像の円滑度に関する品質管理の情報を生成すること、を特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の動態品質管理装置。
【請求項9】
前記生成部は、前記移動距離と前記フレームレートの値とに基づく評価値が第2の所定範囲内にあるか否かに基づいて、前記動態画像の円滑度に関する品質管理の情報を生成すること、を特徴とする請求項8に記載の動態品質管理装置。
【請求項10】
前記移動距離をd、前記フレームレートをf、前記第2の所定範囲をA´<d/f<B´とした場合、前記A´と前記B´は、前記所定対象物によって決まる定数であること、を特徴とする請求項9に記載の動態品質管理装置。
【請求項11】
被写体に対して放射線を順次照射することにより前記被写体の動態を撮影する動態撮影に関する品質管理を行う動態品質管理プログラムであって、
コンピューターに、
前記動態撮影により得られた複数のフレーム画像データを含む動態画像データを取得する第一処理と、
前記動態画像データ内の前記被写体の所定対象物の移動距離に基づいて、動態画像の円滑度に関する品質管理の情報を生成する第二処理と、
前記動態画像の円滑度に関する品質管理の情報を出力する第三処理と、
を実行させることを特徴とする動態品質管理プログラム。
【請求項12】
前記第二処理は、前記移動距離が所定範囲内にあるか否かに基づいて、前記動態画像の円滑度に関する品質管理の情報を生成すること、を特徴とする請求項11に記載の動態品質管理プログラム。
【請求項13】
前記第二処理は、前記移動距離と、前記被写体への動態撮影におけるフレームレートの値とに基づいて、前記動態画像の円滑度に関する品質管理の情報を生成すること、を特徴とする請求項11に記載の動態品質管理プログラム。
【請求項14】
前記第二処理は、前記移動距離と前記フレームレートの値とに基づく評価値が第2の所定範囲内にあるか否かに基づいて、前記動態画像の円滑度に関する品質管理の情報を生成すること、を特徴とする請求項13に記載の動態品質管理プログラム。
【請求項15】
被写体に対して放射線を順次照射することにより前記被写体の動態を撮影する動態撮影に関する品質管理を行う動態品質管理方法であって、
前記動態撮影により得られた複数のフレーム画像データを含む動態画像データを取得する第一工程と、
前記動態画像データ内の前記被写体の所定対象物の移動距離に基づいて、動態画像の円滑度に関する品質管理の情報を生成する第二工程と、
前記動態画像の円滑度に関する品質管理の情報を出力する第三工程と、
を備えることを特徴とする動態品質管理方法。
【請求項16】
前記第二工程は、前記移動距離が所定範囲内にあるか否かに基づいて、前記動態画像の円滑度に関する品質管理の情報を生成すること、を特徴とする請求項15に記載の動態品質管理方法。
【請求項17】
前記第二工程は、前記移動距離と、前記被写体への動態撮影におけるフレームレートの値とに基づいて、前記動態画像の円滑度に関する品質管理の情報を生成すること、を特徴とする請求項15に記載の動態品質管理方法。
【請求項18】
前記第二工程は、前記移動距離と前記フレームレートの値とに基づく評価値が第2の所定範囲内にあるか否かに基づいて、前記動態画像の円滑度に関する品質管理の情報を生成すること、を特徴とする請求項17に記載の動態品質管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動態品質管理装置、動態品質管理プログラム及び動態品質管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、静止画の放射線撮影において、撮影に関するQA(品質保証)やQC(品質管理)を行うための各種技術が提案されている。
例えば、特許文献1には、QCファントムPへの放射線撮影から得られたQC用画像データに対して、品質評価結果を取得するためのQC演算を行うことで、例えば、表示寸法精度、線形成、鮮鋭度といった評価項目の評価を行い、各評価項目の評価結果が閾値を超えているか否かに応じて各評価項目が合格か不合格かの判定を行うことが記載されている。
【0003】
近年、放射線を順次照射して複数のフレーム画像データからなる動態画像データを生成する動態撮影を行うための各種装置が製品化されるようになった。動態撮影においても、静止画の撮影と同様、一定以上の品質を有していることが、医師の誤診、再撮影による技師の負担増、再撮影による被検者の被曝量増加といった問題を防ぐ観点から望ましい。
例えば、特許文献2には、動態撮影におけるフレームレートを3.75枚/秒以上とすることが好ましいことが記載されている。
また、特許文献3には、撮影装置が、対応する撮影フレームレートの中に、発生装置で対応できる照射フレームレート(例えば、15,10,5)のN倍の数値を含んでいる場合に照射を許可することが記載されている。なお、照射フレームレートには、撮影手技に応じて必要な数値を設定することが望ましく、例えば、呼吸等緩慢な変化の動態を撮影するためには、少なくとも2Hz以上の照射フレームレートとすることが望ましい旨記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008-283531号公報
【特許文献2】特開2012-110399号公報
【特許文献3】特開2020-54689号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、動態撮影は、医療現場で用いられるようになってからまだ日が浅い技術ということもあり、特許文献2、3のような記載があるものの、動態撮影に関する品質管理はこれまで十分な研究開発が行われてこなかった。そのため、例えば、製品納品後の定期的な品質管理の多くが技師により手動で且つ属人的に行われているが、動態撮影では静止画撮影に比べて品質管理に関する情報が多岐にわたるため、業務効率の改善が望まれている。
【0006】
また、動態撮影は、静止画に比して多くの情報が得られること、また、気軽に検査を受けられることから、診察の入り口であるスクリーニング検査に用いられることがある。そのため、大学病院だけでなく、読影師(撮影や読影の専門家)がいないような、クリニックでも活用されることがある。しかしながら、専門家がいない、または経験の浅い専門家であった場合、動態撮影の品質が十分でないこと(例えば、一部のフレーム画像データが抜けていたこと、適切なフレームレートで撮影されていないこと、それにより動態画像における動きの一部を表すデータが欠落していること)に気づかず、そのまま診断に用いられると、誤診を招く可能性が有る。
動態撮影は、上述のように、近年製品化され始めた状況であり、今後、日本国内だけでなく、世界的に普及する可能性があり、実際に、日本国外でも製品化されている。そのような中、静止画撮影と比べて、動態撮影は動画を撮影するために、発生装置と撮影装置(パネル)間で同期継続して数十秒間動態撮影を継続させなくてはならず、動態撮影の間に、発生装置と撮影装置間でのデータロス(一部のフレーム画像データ抜け)や、撮影装置間からコンソールへのデータ転送ロス(一部のフレーム画像データ抜け)が発生し、動態画像データ中の被検者の構造物(例えば、横隔膜、血管、骨や関節等の運動器)の動きがカクカクして見える(滑らかに見えない)等の違和感が出てしまう場合がある。そうすると、仮にフレーム画像データの品質は基準を満たしたとしても、フレーム画像データ漏れにより動態撮影の品質が低下してしまう。
また、被検者の構造物の動きに対してフレームレートが十分でない動態撮影を行った場合も同様に、動態撮影により得られた動態画像データにおける被検者の構造物の動きがカクカクして見える等の違和感が出てしまう。また、そのような動態画像データを解析したとしても、十分な品質の解析結果を得ることはできない。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、動態画像の円滑度の品質管理を適正に行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明に係る動態品質管理装置は、
被写体に対して放射線を順次照射することにより前記被写体の動態を撮影する動態撮影に関する品質管理を行う動態品質管理装置であって、
前記動態撮影により得られた複数のフレーム画像データを含む動態画像データを取得する取得部と、
前記動態画像データ内の前記被写体の所定対象物の移動距離に基づいて、動態画像の円滑度に関する品質管理の情報を生成する生成部と、
前記動態画像の円滑度に関する品質管理の情報を出力する出力部と、
を備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る動態品質管理プログラムは、
被写体に対して放射線を順次照射することにより前記被写体の動態を撮影する動態撮影に関する品質管理を行う動態品質管理プログラムであって、
コンピューターに、
前記動態撮影により得られた複数のフレーム画像データを含む動態画像データを取得する第一処理と、
前記動態画像データ内の前記被写体の所定対象物の移動距離に基づいて、動態画像の円滑度に関する品質管理の情報を生成する第二処理と、
前記動態画像の円滑度に関する品質管理の情報を出力する第三処理と、
を実行させることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る動態品質管理方法は、
被写体に対して放射線を順次照射することにより前記被写体の動態を撮影する動態撮影に関する品質管理を行う動態品質管理方法であって、
前記動態撮影により得られた複数のフレーム画像データを含む動態画像データを取得する第一工程と、
前記動態画像データ内の前記被写体の所定対象物の移動距離に基づいて、動態画像の円滑度に関する品質管理の情報を生成する第二工程と、
前記動態画像の円滑度に関する品質管理の情報を出力する第三工程と、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、動態画像の円滑度の品質管理を適正に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態に係る放射線撮影システムの一例を示すブロック図である。
【
図2】
図1のコンソールの機能的構成を示すブロック図である。
【
図3】第1の実施形態において
図2の制御部により実行される品質管理情報生成処理Aの流れを示すフローチャートである。
【
図5】第2の実施形態において
図2の制御部により実行される品質管理情報生成処理Bの流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。ただし、本発明の技術的範囲は、以下の実施形態及び図示例に限定されるものではない。
【0014】
[第1の実施形態]
<1.放射線撮影システム>
はじめに、本発明の第1の実施形態に係る放射線撮影システム(以下、システム100)の概略構成について説明する。
放射線撮影システムは、被写体に対して放射線を順次照射することにより被写体の動態を撮影する動態撮影を行うことが可能なシステムである。動態撮影により、被写体の動態を示す複数の画像が得られる。動態撮影により得られた一連の画像を動態画像と呼ぶ。また、動態画像を構成する複数の画像のそれぞれをフレーム画像と呼ぶ。
ここで、「動態撮影」には動画撮影が含まれるが、動画を表示しながら静止画を撮影するものは含まれない。「動態画像」には動画が含まれるが、動画を表示しながら静止画を撮影して得られた画像は含まれない。
【0015】
図1は、システム100を示すブロック図である。
システム100は、
図1に示すように、放射線画像撮影装置(以下、撮影装置1)と、コンソール2と、放射線発生装置(以下、発生装置3)と、動態解析装置4と、画像管理装置5と、を備えている。
各装置1~5は、例えば通信ネットワークN(LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、インターネット等)を介して互いに通信可能となっている。
【0016】
なお、システム100は、撮影室内に据え付けられたものであってもよいし、移動可能に構成されたもの(例えば、回診車)となっていてもよい。
また、システム100は、図示しない病院情報システム(Hospital Information System:HIS)や、放射線科情報システム(Radiology Information System:RIS)等と通信可能となっていてもよい。
【0017】
〔1-1.放射線発生装置〕
発生装置3は、ジェネレーター31と、照射指示スイッチ32と、放射線源33と、を備えている。
【0018】
ジェネレーター31は、照射指示スイッチ32が操作されたことに基づいて、予め設定された撮影条件に応じた電圧を放射線源33(管球)へ印加するようになっている。
【0019】
放射線源33は、ジェネレーター31から電圧が印加されると、印加された電圧に応じた線量の放射線R(例えばX線等)を発生させるようになっている。
【0020】
また、本実施形態に係る発生装置3は、生成しようとする放射線画像の形態(静止画、動態画像)に応じた態様で放射線Rを発生させるようになっている。
静止画の場合には、1回の照射指示スイッチ32の押下につき放射線Rの照射を1回だけ行う。
動態画像の場合には、1回の照射指示スイッチ32の押下につきパルス状の放射線Rの照射を所定時間当たり複数回(例えば1秒間に15回)繰り返す、又は放射線Rの照射を所定時間継続する。
すなわち、本発明における「放射線を順次照射する」には、放射線を連続して照射する連続照射と、断続的に照射したりしなかったりするパルス照射と、が含まれる。
【0021】
〔1-2.放射線画像撮影装置〕
撮影装置1は、被写体の撮影部位が写った放射線画像のデジタルデータを生成するものである。
本実施形態に係る撮影装置1は、可搬型のFPD(Flat Panel Detector)となっている。
具体的には、本実施形態に係る撮影装置1は、図示を省略するが、放射線Rを受けることで線量に応じた電荷を発生させる撮像素子及び電荷の蓄積・放出を行うスイッチ素子が二次元状(マトリクス状)に配列されたセンサー基板や、各スイッチ素子のオン/オフを切り替える走査部、各画素から放出された電荷の量を信号値として読み出す読み出し部、各部を制御し、読み出し部が読み出した複数の信号値から放射線画像を生成する制御部、生成した放射線画像のデータや各種信号等を他の装置(コンソール2、発生装置3、画像管理装置5等)へ送信したり他の装置から各種情報や各種信号を受信したりする通信部等を備えている。
【0022】
そして、撮影装置1は、発生装置3から放射線Rが照射されるタイミングと同期して、電荷の蓄積・放出、信号値の読出しを行うことにより、静止画の画像データ(以下、静止画データ)、又は動態画像の画像データ(以下、動態画像データ)を生成するようになっている。
静止画データを生成する場合には、1回の照射指示スイッチ32の押下につき放射線画像の生成を1回だけ行う。
動態画像データを生成する場合には、1回の照射指示スイッチ32の押下につき動態画像データを構成するフレーム画像データの生成を所定時間当たり複数回(例えば1秒間に15回)繰り返す。
撮影装置1は、撮影により生成した画像データをコンソール2に送信する。
なお、撮影装置1は、発生装置3と一体になったものであってもよい。
【0023】
〔1-3.コンソール〕
コンソール2は、PC、専用の装置等で構成され、撮影装置1及び発生装置3による撮影を制御する撮影制御装置である。
コンソール2は、撮影装置1及び発生装置3のうちの少なくとも一方に各種撮影条件(管電圧や管電流、照射時間(mAs値)、撮影部位、撮影方向、フレームレート等)を設定する。コンソール2は、撮影条件の設定を、他のシステム(HISやRIS等)から取得した検査オーダー情報、又はユーザー(例えば技師)によってなされた操作に基づいて行うようになっている。検査オーダー情報には、例えば、患者情報(患者ID、患者名、性別、年齢、疾患有無等)、撮影種別(動態/静止画)、撮影部位、撮影方向、診療科、解析の種類等が含まれる。
【0024】
また、本実施形態において、コンソール2は、本発明の動態品質管理装置としての機能を有する。
このコンソール2の詳細については後述する。
【0025】
〔1-4.動態解析装置〕
動態解析装置4は、コンソール2から送信された動態画像データを解析し、解析結果を画像管理装置5等に送信するものである。動態解析装置4は、例えば、換気、血流、所定の構造物の動き量等を解析可能である。
【0026】
〔1-5.画像管理装置〕
画像管理装置5は、撮影装置1が生成した画像データ及び動態解析装置4が生成した解析結果を管理するものである。
画像管理装置5としては、画像保存通信システム(Picture Archiving and Communication System:以下、PACS)、画像診断ワークステーション(以下、IWS)等が挙げられる。
【0027】
<2.コンソールの詳細>
次に、コンソール2について詳細に説明する。
【0028】
〔2-1.コンソールの構成〕
図2は、コンソール2の機能的構成を示すブロック図である。
コンソール2は、
図2示すように、制御部21と、記憶部22と、通信部23と、表示部24と、操作部25と、を備えて構成されており、各部21~25は、バス等で電気的に接続されている。
【0029】
制御部21は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等により構成されている。
ROMは、CPUが実行する各種プログラムやプログラムの実行に必要なパラメーター等を記憶している。
そして、CPUは、ROMに記憶されている各種プログラムを読出してRAM内に展開し、展開されたプログラムに従って、後述する品質管理情報生成処理Aを始めとする各種処理を実行し、コンソール2各部の動作を集中制御するようになっている。
制御部21は、後述する品質管理情報生成処理Aを実行することにより、生成部、出力部として機能する。
【0030】
記憶部22は、不揮発性のメモリーやハードディスク等により構成され、各種データを記憶する。
例えば、記憶部22は、RIS等から送信された検査オーダー情報を記憶する。
【0031】
通信部23は、通信モジュール等で構成されている。
通信部23は、通信ネットワークNを介して有線又は無線で接続された他の装置(撮影装置1、発生装置3、動態解析装置4,画像管理装置5等)との間で各種信号や各種データを送受信する。通信部23は、取得部として機能する。
【0032】
表示部24は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)、CRT(Cathode Ray Tube)等で構成されている。表示部24は、制御部21から受信した画像信号に応じた放射線画像等を表示する。
【0033】
操作部25は、キーボード(カーソルキー、数字入力キー、各種機能キー等)、ポインティングデバイス(マウス等)、表示部24の表面に積層されたタッチパネル等を含む。操作部25は、ユーザーによってなされた操作に応じた制御信号を制御部21へ出力する。
【0034】
なお、コンソール2は、表示部24及び操作部25を備えず、例えば通信部23等を介して、コンソール2とは別に設けられた入力装置から制御信号を受信したり、コンソール2とは別に設けられた表示装置(モニター)へ画像信号を出力したりするようになっていてもよい。
また、他の装置(画像管理装置5等)が表示部及び操作部を備える場合、他の装置の操作部から制御信号を受信したり、他の装置の表示部へ画像信号を出力したりするようになっていてもよい(表示部及び操作部が他の装置と共用になっていてもよい)。
【0035】
〔2-2.コンソールの動作〕
次に、コンソール2の動作について説明する。
図3は、コンソール2において実行される品質管理情報生成処理Aの流れを示すフローチャートである。品質管理情報生成処理Aは、ファントムF(
図4参照)を被写体Sとして動態撮影して、得られた動態画像データに基づいて、動態画像の円滑度に関する品質管理の情報(詳細後述)を生成し出力する処理である。品質管理情報生成処理Aは、例えば、撮影装置1や発生装置3の工場出荷時や医療施設への設置時、医療施設での診療開始前の動態画像の品質確認時に実施される処理であり、ユーザーの操作部25による品質管理情報生成処理Aの実行指示の操作に応じて、制御部21のCPUとROMに記憶されているプログラムとの協働により実行される。
【0036】
品質管理情報生成処理Aにおいて、制御部21は、まず、どの構造物を動態撮影する場合の動態画像の品質管理に関する情報を生成するかをユーザーに選択させる(ステップS1)。
例えば、制御部21は、構造物の一覧を表示部24に表示させ、操作部25により選択させる。
【0037】
次いで、制御部21は、動態撮影の撮影条件を撮影装置1や発生装置3に設定する(ステップS2)。
例えば、制御部21は、ステップS1において選択された構造物に応じた撮影条件を自動的に設定する。あるいは、ユーザーの操作部25の操作により設定された撮影条件を設定してもよい。撮影条件には、放射線照射条件と画像読取条件が含まれる。画像読取条件としては、例えば、画素サイズ、画像サイズ、フレームレートが挙げられる。放射線照射条件としては、例えば、放射線源の管電圧(kV)、管電流(mA)、照射時間(ms)、フレームレート等が挙げられる。なお、放射線照射条件は、ユーザーにより発生装置3の操作盤から直接設定してもよい。
【0038】
ここで、ユーザーは、発生装置3の放射線源33と撮影装置1との間にファントムFを配置し、ポジショニングを行う。
ファントムFとしては、例えば、
図4に示すように、ステップS1において選択された構造物と略同様の速度(mm/sまたはcm/s)で略同様の移動距離を移動し、かつ放射線(X線)吸収部位F1を有する治具を用いる。例えば、横隔膜を動態撮影する場合の動態画像の品質管理を行う場合、ユーザーは、横隔膜と略同様の速度で略同様の移動距離を移動するように設定されたファントムFを放射線源33と撮影装置1との間に配置して動作させる。心血管を動態撮影する場合の動態画像の品質管理を行う場合、ユーザーは、心血管と略同様の速度で略同様の移動距離を移動するように設定されたファントムFを配置して動作させる。
そして、ユーザーが照射指示スイッチ32を操作すると、動態撮影が開始される。
すなわち、発生装置3は、被写体SであるファントムFに、放射線Rを照射する。
撮影装置1は、発生装置3から放射線Rを受けるタイミングでファントムFの動態を撮影して複数のフレーム画像データからなる動態画像データを生成し、動態画像データをコンソール2へ送信する。
【0039】
ファントムFを動態撮影した動態画像データが通信部23により受信(取得)されると(ステップS3)、制御部21は、取得された動態画像データに基づいて、動態画像の円滑度に関する品質管理の情報を生成する(ステップS4)。
動態画像の円滑度に関する品質管理の情報とは、動態画像データにおける所定対象物の動きのなめらかさに関する情報である。所定対象物とは、本実施形態では、ステップS1において選択された構造物に応じた移動を行う(診断対象物と略同じ速度で略同じ距離を移動する)ファントムFの放射線吸収部位F1を指す。
【0040】
例えば、動態画像データにおける隣接するフレーム画像データ間での構造物の移動距離(動き量)が小さいほど、動態画像データにおける構造物の動きは滑らかとなり、円滑度は高いと評価できる画像となる。しかし、円滑度を高くしようとして、隣接するフレーム画像データ間での構造物の移動距離を小さくしすぎると、動態撮影の各フレーム画像の撮影における照射線量を一定とした場合、被検者の被ばく線量が無駄に多くなるので好ましくない。動態撮影におけるトータルの照射線量を一定とした場合は、個々のフレーム画像データにおけるノイズが増え、診断や解析結果に影響する。また、無駄な動態画像データのデータ量が増えて解析処理や転送に余計な時間がかかってしまう、余分なデータによりメモリー容量も圧迫するなどの問題もある。
逆に、動態画像データにおける隣接するフレーム画像データ間での構造物の移動距離が大きすぎると、動態画像データにおける構造物の動きの滑らかさがなくなり、カクカクとした違和感のある、円滑度の低い画像となってしまう。動態解析を実施する場合においても、情報が欠落してしまい正確な解析結果が得られない。
【0041】
そこで、本実施形態において、制御部21は、動態画像データの各フレーム画像データから所定対象物の領域、すなわち、ステップS1において選択された構造物に応じた移動を行うファントムFの放射線吸収部位F1の領域を認識し、撮影された動態画像データ内における所定対象物の移動距離d、例えば、撮影された動態画像データ内の所定のフレーム画像データ間における所定対象物の移動距離dに基づいて、動態画像の円滑度に関する品質管理の情報を生成する。所定のフレーム画像データ間とは、好ましくは隣り合う(隣接する)2つのフレーム画像データを含む。これにより、隣り合わないフレーム画像データを対象とするよりも、円滑度をより正確に評価することができる。ただし、隣り合わないフレーム画像データ間であってもよい。また、動態画像データ内の1つのフレーム画像データから移動距離dを算出することとしてもよい。動態画像データでは、1つのフレーム画像データ内に、その前のフレーム画像データ(前フレーム画像データと呼ぶ)中の構造物の信号がノイズ成分のように現れることもある(残像)。このノイズ成分の長さ(フレーム画像データにおける所定対象物の信号と、当該フレーム画像データ中に現れた前フレーム画像データ中の所定対象物の信号の距離)は、所定対象物の移動距離dと相関がある。そこで、そのノイズ成分の長さに基づいて移動距離dを算出することとしてもよい。
動態画像の円滑度に関する品質管理の情報としては、動態画像データのなめらかさに関する指標値(移動距離d、移動距離d/フレームレートf、移動速度、加速度等)や指標値が適正範囲であるか否かの情報の少なくとも一つを含む。
【0042】
例えば、動態画像データにおける隣接するフレーム画像データ間における所定対象物の移動距離dを算出し、移動距離dを、動態画像の円滑度に関する品質管理の情報として生成する。または、上記移動距離dが、適正範囲A<d<Bであるか否かを示す情報を、動態画像の円滑度に関する品質管理の情報として生成する。ここで、A、Bは、動態画像データにおける所定対象物ごとに予め定められた定数であり、実験的に求められた値である。
例えば、所定対象物が横隔膜に応じた移動を行うファントムFの放射線吸収部位F1である場合、A=3cm、B=10cmである。
例えば、所定対象物が心血管に応じた移動を行うファントムFの放射線吸収部位F1である場合、A=1cm、B=5cmである。
例えば、所定対象物が膝関節に応じた移動を行うファントムFの放射線吸収部位F1である場合、A=5cm、B=15cmである。
なお、移動距離dは、隣接するフレーム画像データ間ごとに算出してもよいし、隣接するフレーム画像データ間ごとに算出した移動距離の代表値(平均値、最大値、最小値、中央値等)としてもよい。隣接するフレーム画像データ間ごとに算出すれば、例えば、フレーム画像データの抜け等があった場合に、ユーザーが容易に認識することが可能となる。
【0043】
また、例えば、動態画像データにおける所定対象物の1秒当たりの移動距離d(すなわち、動態撮影におけるフレームレートをfとすると、f枚先のフレーム画像データとの間の移動距離d)を算出し、d/fを、動態画像の円滑度に関する品質管理の情報として生成することとしてもよい。例えば、1秒当たりの移動距離dをフレームレートfで割ったd/fの値は、所定対象物がどれだけ移動するごとに1枚撮影されるかを表すため、動態画像の円滑度に関する品質管理の情報とすることができる。
または、上記移動距離d/fが、適正範囲A´<d/f<B´であるか否かを示す情報を、動態画像の円滑度に関する品質管理の情報として生成してもよい。ここで、A´、B´は、動態画像データにおける所定対象物ごとに予め定められた定数であり、実験的に求められた値である。
例えば、所定対象物が胸部に応じた移動を行うファントムFの放射線吸収部位F1である場合、A´=2、B´=4である。
例えば、所定対象物が運動器に応じた移動を行うファントムFの放射線吸収部位F1である場合、A´=0.5、B´=1である。
【0044】
ここで、d/fの算出に使用するフレームレートfは、撮影条件として設定されたフレームレートとしてもよいし、動態画像データから算出したフレームレートとしてもよい。
動態画像データから算出したフレームレートとすれば、装置の動作不良等により一部のフレーム画像データの抜けがあった場合に動態画像の円滑度に関する品質管理の情報に反映させることができる。動態画像データからフレームレートを算出する手法としては、例えば、動態画像データの複数(全てが好ましい)のフレーム画像データについて、一つ前又は後のフレーム画像データとの時間的な間隔(生成時間の差)を算出し、算出した値の逆数をフレームレートとすることができる。
【0045】
また、制御部21は、算出した移動距離dに基づいて、所定対象物の移動速度や移動加速度を算出し、動態画像の円滑度に関する品質管理の情報としてもよい。また、移動速度や移動加速度が適正範囲であるか否かを示す情報を、動態画像の円滑度に関する品質管理の情報を生成してもよい。
【0046】
動態画像の円滑度に関する品質管理の情報の生成が終了すると、制御部21は、生成した動態画像の円滑度に関する品質管理の情報を出力し(ステップS5)、品質管理情報生成処理Aを終了する。
【0047】
ステップS5において、制御部21は、例えば、動態画像の円滑度に関する品質管理の情報として算出した移動距離d、d/f、移動速度、移動加速度の少なくとも一つ以上を表示部24に表示させる。ステップS3で取得された動態画像データを併せて表示してもよい。
工場出荷時の検査担当者や撮影技師は、上述の移動距離d、d/f等のおおよその適正範囲を把握している。よって、これらの情報を動態画像の円滑度に関する品質管理の情報として出力することで、工場出荷時の検査担当者や撮影技師は、動態画像の円滑度が適正であるか否かを確認することができ、動態画像の円滑度の品質管理を適正に行うことが可能となる。
また、例えば、制御部21は、動態画像の円滑度に関する品質管理の情報として算出した移動距離dやd/fが適正範囲内であるか否かを示す情報を表示部24に表示させることとしてもよい。これにより、工場出荷時の検査担当者や撮影技師が習熟されていない者であっても、動態画像の円滑度が適正であるか否かを確認することができ、動態画像の円滑度の品質管理を適正に行うことが可能となる。
【0048】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
第1の実施形態においては、ファントムFを動態撮影することにより取得された動態画像データに基づいて動態画像の円滑度に関する品質管理の情報を生成し出力する場合について説明したが、第2の実施形態では、実際の検査において被検者を動態撮影することにより取得された動態画像データに基づいて動態画像の円滑度に関する品質管理の情報を生成し出力する場合について説明する。
【0049】
第2の実施形態におけるシステム及び装置の構成は、第1の実施形態で説明したものと同様であるので説明を援用し、以下、第2の実施形態におけるコンソール2の動作について説明する。
【0050】
第2の実施形態において、コンソール2は、
図5に示す品質管理情報生成処理Bを実行する。品質管理情報生成処理Bは、例えば、表示部24に表示された検査リスト画面の中から操作部25により動態撮影についての検査オーダー情報が選択された際に、制御部21のCPUとROMに記憶されているプログラムとの協働により実行される。
【0051】
まず、制御部21は、動態撮影の撮影条件を撮影装置1や発生装置3に設定する(ステップS21)。
例えば、制御部21は、検査オーダー情報に含まれる撮影部位、撮影方向、診療科等に基づいて、自動的に撮影装置1に撮影条件(画像読取条件。例えば、画素サイズ、画像サイズ、フレームレート等。)を設定するとともに、発生装置3に、撮影条件(放射線照射条件。例えば、放射線源の管電圧(kV)、管電流(mA)、照射時間(ms)、フレームレート等。)を設定する。あるいは、ユーザーの操作部25の操作に応じて、実施する撮影の画像読取条件を撮影装置1に設定してもよい。また、放射線照射条件については、ユーザーにより発生装置3の操作盤から設定してもよい。
【0052】
ここで、ユーザーは、発生装置3の放射線源33と撮影装置1との間に被写体S(被検者)を配置し、ポジショニングを行う。
そして、ユーザーが照射指示スイッチ32を操作すると、動態撮影が開始される。
すなわち、発生装置3は、被写体Sの撮影部位に、放射線Rを照射する。
撮影装置1は、発生装置3から放射線Rを受けるタイミングで被写体Sの動態を撮影して複数のフレーム画像データからなる動態画像データを生成し、動態画像データをコンソール2へ送信する。
【0053】
被検者を被写体Sとして撮影した動態画像データが通信部23により受信(取得)されると(ステップS22)、制御部21は、取得された動態画像データに基づいて、動態画像の円滑度に関する品質管理の情報を生成する(ステップS23)。
第1の実施形態で説明したように、動態画像の円滑度に関する品質管理の情報とは、動態画像データにおける所定対象物の動きのなめらかさに関する情報である。第2の実施形態において、所定対象物とは、被検者(被写体S)の構造物を指す。構造物は、例えば、検査オーダー情報に基づいて特定することができる。例えば、撮影部位(例えば、胸部、頸部、膝関節、肘関節、…)及び診療科(呼吸器科、循環器科、整形外科、…)と構造物との対応関係を記憶部22に記憶しておき、検査オーダー情報の撮影部位及び診療科から構造物を特定することができる。
【0054】
ステップS23の処理は、動態画像データから認識する所定対象物が被検者の構造物となる他は、
図3のステップS4で説明したものと同様であるので、説明を援用する。
なお、適正範囲A<d<Bの定数A、Bについては、例えば、所定対象物が横隔膜である場合、A=3cm、B=10cmである。例えば、所定対象物が心血管である場合、A=1cm、B=5cmである。例えば、所定対象物が膝関節である場合、A=5cm、B=15cmである。
また、適正範囲A´<d/f<B´の定数A´、B´については、例えば、所定対象物が胸部である場合、A´=2、B´=4である。例えば、所定対象物が運動器である場合、A´=0.5、B´=1である。
【0055】
動態画像の円滑度に関する品質管理の情報の生成が終了すると、制御部21は、生成した動態画像の円滑度に関する品質管理の情報を出力する(ステップS24)。
ステップS24の処理は、
図3のステップS5と同様であるが、動態画像の円滑度に関する品質管理の情報とともに、撮影された動態画像データを併せて表示部24に表示させることとしてもよい。これにより、ユーザー(撮影技師)は動態画像の円滑度が適正であるか否かを、動態画像の円滑度に関する品質管理の情報及び撮影された動態画像データを見て確認することができる。
【0056】
ユーザーは、表示された円滑度に関する品質管理の情報や動態画像等を参照し、診断に適した画像が取得された(撮影OK)か、再撮影が必要(撮影NG)か、を判断する。そして、操作部25を操作して、判断結果を入力する。
【0057】
操作部25の所定の操作により撮影OKを示す判断結果が入力されると(ステップS25;YES)、制御部21は、動態撮影で取得された一連のフレーム画像データのそれぞれに、動態画像データを識別するための識別IDや、患者情報、検査情報(撮影部位、撮影方向、放射線照射条件、画像読取条件、撮影順を示す番号(フレーム番号)、診療科、解析の種類等の情報等)を付帯させ(例えば、DICOM形式で画像データのヘッダ領域に書き込み)、通信部23を介して動態解析装置4に送信する(ステップS26)。なお、解析の種類が指定されていない場合は、動態画像データを画像管理装置5に送信することとしてもよい。そして、品質管理情報生成処理Bを終了する。
一方、操作部25の所定の操作により撮影NGを示す判断結果が入力されると(ステップS25;NO)、制御部21は、記憶部22に記憶された一連のフレーム画像データを削除し(ステップS27)、品質管理情報生成処理Bを終了する。この場合、再撮影が必要となる。撮影技師は、フレームレート等の撮影条件を変更する、撮影装置1や発生装置3をメンテナンスする、他の撮影装置1や発生装置3を用いる等して再撮影を実施する。すなわち、動態画像の円滑度の品質管理を適正に行うことができる。
【0058】
なお、動態画像の円滑度に関する品質管理の情報として、移動距離dやd/f等の指標値が適正範囲であるか否かの情報を生成した場合であって、指標値が適正範囲内ではない場合、制御部21は、「動態画像の円滑度が適正ではありません。再撮影を行ってください。」等の通知情報を表示部24に表示させ(あるいは、音声により出力させ)、再撮影を促すこととしてもよい。また、指標値が適正範囲内ではない場合、制御部21は、例えば、撮影OKを入力できないようにする等、円滑度が適正でない動態画像データが動態解析装置4や画像管理装置5に送信されないよう制御する(円滑度が適正でない動態画像データの動態解析装置4や画像管理装置5の送信を禁止する)こととしてもよい。これにより、動態画像の円滑度が適正でない動態画像データを解析や診断に提供することを防止することができる。
【0059】
動態解析装置4は、コンソール2からの動態画像データを受信すると、動態画像データに付帯された解析の種類に応じた解析処理を実施し、解析結果を動態画像データ及びその付帯情報に対応付けて画像管理装置5に送信する。
画像管理装置5は、受信した動態画像データ及び解析結果を付帯情報に対応付けて記憶、管理する。
【0060】
このように、第2の実施形態では、検査において実際に被検者を動態撮影することにより取得された動態画像データにおける動態画像の円滑度に関する品質管理の情報を生成し出力するので、撮影技師等のユーザーは、動態画像の円滑度の品質管理を適正に行うことが可能となる。
【0061】
なお、制御部21は、検査において被検者の撮影部位を動態撮影する本撮影前のプレ撮影にて動態画像データを取得し、取得した動態画像データに基づいて、動態画像の円滑度に関する品質管理の情報を生成することとしてもよい。
【0062】
[変形例]
第2の実施形態では、コンソール2が本発明の動態品質管理装置の機能を有し、動態撮影により得られた動態画像データから動態画像の円滑度に関する品質管理の情報を生成し出力することとして説明したが、動態解析装置4や画像管理装置5が本発明の動態品質管理装置としての機能を有し、受信した動態画像データから動態画像の円滑度に関する品質管理の情報を生成して出力することとしてもよい。
【0063】
例えば、動態解析装置4の制御部は、動態画像データに対して解析処理を行うのに先立って、
図5のステップS23と同様の処理を実行し、生成された動態画像の円滑度に関する品質管理の情報が動態画像の円滑度が適正でないことを示す情報である場合、「動態画像の円滑度が適正ではないため、解析に使用できません。」等の通知情報を表示させる(あるいは、音声出力させる)。あるいは、動態解析装置4の制御部は、動態画像データに基づいて生成された動態画像の円滑度に関する品質管理の情報が動態画像の円滑度が適正でないことを示す情報である場合、その動態画像データを用いて解析処理を実行しないように制御することとしてもよい。これにより、誤った解析結果が診断に提供されることを防止することができる。
【0064】
また、例えば、画像管理装置5の制御部は、受信した動態画像データに対して、
図5のステップS23と同様の処理を実行し、生成された動態画像の円滑度に関する品質管理の情報を動態画像データに対応付けて記憶しておく。そして、クライアント端末から動態画像データの表示要求があった場合に、クライアント端末に、「要求された動態画像データは円滑度が適正ではないため、診断に利用できません。」等の通知情報を表示させる(あるいは、音声出力させる)。あるいは、画像管理装置5の制御部は、クライアント端末から要求された動態画像データに基づいて生成された動態画像の円滑度に関する品質管理の情報が動態画像の円滑度が適正でないことを示す情報である場合、その動態画像データをクライアント端末に表示しないように制御することとしてもよい。これにより、円滑度が適正でない動態画像データが診断に提供されることを防止することができる。
【0065】
以上、本発明に係る第1の実施形態、第2の実施形態及びその変形例について説明したが、本発明は上記の実施形態等に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であることは言うまでもない。
【0066】
例えば、上記実施形態では、動態画像の円滑度の品質管理に関する情報を表示部24により出力させることとしたが、音声出力装置により出力させることとしてもよいし、通信部23により外部装置に出力させることとしてもよい。
【0067】
また、例えば、上記の説明では、本発明に係るプログラムのコンピューター読み取り可能な媒体としてハードディスクや半導体の不揮発性メモリー等を使用した例を開示したが、この例に限定されない。その他のコンピューター読み取り可能な媒体として、CD-ROM等の可搬型記録媒体を適用することが可能である。また、本発明に係るプログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウエーブ(搬送波)も適用される。
【符号の説明】
【0068】
100 放射線撮影システム
1 放射線画像撮影装置
2 コンソール(動態品質管理装置)
21 制御部
22 記憶部
23 通信部
24 表示部
25 操作部
3 放射線発生装置
31 ジェネレーター
32 照射指示スイッチ
33 放射線源
4 動態解析装置
5 画像管理装置
N 通信ネットワーク
R 放射線
S 被写体