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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022190809
(43)【公開日】2022-12-27
(54)【発明の名称】超音波霧化分離装置
(51)【国際特許分類】
   B05B 17/06 20060101AFI20221220BHJP
【FI】
B05B17/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021099254
(22)【出願日】2021-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147304
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 知哉
(74)【代理人】
【識別番号】100148493
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 浩二
(72)【発明者】
【氏名】松浦 恭子
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 豪
(72)【発明者】
【氏名】井出 哲也
(72)【発明者】
【氏名】越智 奨
(72)【発明者】
【氏名】濱田 洋香
【テーマコード(参考)】
4D074
【Fターム(参考)】
4D074AA10
4D074BB03
4D074BB06
4D074DD02
4D074DD22
4D074DD34
4D074DD43
4D074DD52
(57)【要約】
【課題】安定して超音波霧化を起こすことができる超音波霧化分離装置を提供する。
【解決手段】超音波霧化分離装置は、少なくとも第1液体を含む混合液を貯留し、前記混合液が流下する流下口を有する貯留槽と、前記混合液に超音波を照射する振動子を含み、前記超音波によって、前記流下口から流下した前記混合液に含まれる前記第1液体の少なくとも一部を霧化分離させる超音波付与部と、前記振動子および前記混合液に接触して設けられ、前記超音波を伝播する超音波伝播部材と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも第1液体を含む混合液を貯留し、前記混合液が流下する流下口を有する貯留槽と、
前記混合液に超音波を照射する振動子を含み、前記超音波によって、前記流下口から流下した前記混合液に含まれる前記第1液体の少なくとも一部を霧化分離させる超音波付与部と、
前記振動子および前記混合液に接触して設けられ、前記超音波を伝播する超音波伝播部材と、
を備える、超音波霧化分離装置。
【請求項2】
前記超音波付与部は、筐体を含み、
前記振動子は、前記筐体に形成された孔部を臨むように設けられており、
前記超音波伝播部材は、前記孔部に設けられている、
請求項1に記載の超音波霧化分離装置。
【請求項3】
前記超音波伝播部材は、前記超音波を伝播する伝播液と、前記伝播液を前記孔部に留める封止部材と、を含む、
請求項2に記載の超音波霧化分離装置。
【請求項4】
前記封止部材は、薄膜である、請求項3に記載の超音波霧化分離装置。
【請求項5】
前記薄膜を、前記筐体に固定する固定部を含む、請求項4に記載の超音波霧化分離装置。
【請求項6】
前記超音波伝播部材は、前記超音波を伝播する伝播液と、前記伝播液を覆う被膜とを含む、請求項2に記載の超音波霧化分離装置。
【請求項7】
前記超音波伝播部材は、前記超音波を伝播する伝播液と、前記伝播液が含浸された多孔体とを含む、請求項2に記載の超音波霧化分離装置。
【請求項8】
前記振動子は、前記流下口と対向している、請求項1~7のいずれか1項に記載の超音波霧化分離装置。
【請求項9】
前記振動子は、パッキンに保持されており、
前記パッキンは、前記筐体に密着されている、請求項2~8のいずれか1項に記載の超音波霧化分離装置。
【請求項10】
少なくとも第1液体を含む混合液を貯留し、前記混合液が流下する流下口を有する貯留槽と、
前記混合液に超音波を照射する振動子を含み、前記超音波によって、前記流下口から流下した前記混合液に含まれる前記第1液体の少なくとも一部を霧化分離させる超音波付与部と、を備え、
前記超音波付与部は、筐体を含み、
前記振動子は、前記筐体に形成された孔部に設けられており、
さらに、前記孔部の空気を除去する除去手段を備える、超音波霧化分離装置。
【請求項11】
前記除去手段は、前記孔部に連通する管と、前記管を介して前記孔部の流体を吸引するポンプと、を備える、請求項10に記載の超音波霧化分離装置。
【請求項12】
少なくとも第1液体を含む混合液を貯留し、前記混合液が流下する流下口を有する貯留槽と、
前記混合液に超音波を照射する振動子を含み、前記超音波によって、前記流下口から流下した前記混合液に含まれる前記第1液体の少なくとも一部を霧化分離させる超音波付与部と、を備え、
前記超音波付与部は、筐体を含み、
前記振動子は、前記筐体の壁面に形成された孔部を臨むように設けられており、
前記筐体の壁面の法線方向が、前記混合液が流下する流下方向に対して傾いている、超音波霧化分離装置。
【請求項13】
前記貯留槽における前記流下口が設けられた壁面の法線方向は、前記流下方向に対して傾いている、
請求項12に記載の超音波霧化分離装置。
【請求項14】
前記振動子は、前記流下口と対向している、請求項13に記載の超音波霧化分離装置。
【請求項15】
前記貯留槽における前記流下口が設けられた壁面の法線方向は、前記流下方向と同方向であり、
前記振動子から照射された超音波を前記流下口の方向に反射する反射板を備える、
請求項12に記載の超音波霧化分離装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、超音波霧化分離装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、底部に超音波を照射する振動子を固定した外側容器と、外側容器に入れた伝達液体と、外側容器の内側に所定の間隔を開けて装着し、振動子の対向する部分にホーン形状の突出部を形成した内側容器と、内側容器に入れた混合液体とからなることを特徴とする超音波霧化分離装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-11360号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
超音波を液体に効率よく付与するためには、振動子と混合液体との間の空気が存在する場合、この空気により超音波の伝達が阻害され、超音波霧化が起こらない場合がある。
本開示は、これらの問題に鑑みてなされたものであり、安定して超音波霧化を起こすことができる超音波霧化分離装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一形態の超音波霧化分離装置は、少なくとも第1液体を含む混合液を貯留し、前記混合液が流下する流下口を有する貯留槽と、前記混合液に超音波を照射する振動子を含み、前記超音波によって、前記流下口から流下した前記混合液に含まれる前記第1液体の少なくとも一部を霧化分離させる超音波付与部と、前記振動子および前記混合液に接触して設けられ、前記超音波を伝播する超音波伝播部材と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態の超音波霧化分離装置を模式的に図示する図である。
図2】超音波霧化分離装置の第1変形例を説明するための図である。
図3】超音波霧化分離装置の第2変形例を説明するための図である。
図4】超音波霧化分離装置の第3変形例を説明するための図である。
図5】第2実施形態の超音波霧化分離装置を模式的に図示する図である。
図6】第3実施形態の超音波霧化分離装置を模式的に図示する図である。
図7】超音波霧化分離装置の第4変形例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、図面については、同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。以下に説明する実施形態は、本開示の単なる例示である。本開示は、下記の実施形態に何ら限定されない。
【0008】
1 第1実施形態
1.1 超音波霧化分離装置の概略
図1は、第1実施形態の超音波霧化分離装置を模式的に図示する図である。
【0009】
図1に図示される第1実施形態の超音波霧化分離装置1は、混合液91に含まれる分離成分の少なくとも一部を霧状に霧化して分離成分の少なくとも一部を混合液91に含まれる他成分から分離する。他成分から分離される分離成分は、混合液91に含まれる分離成分の全部である場合もあるし、混合液91に含まれる分離成分の一部である場合もある。空気中の水分を吸湿する調湿システムに超音波霧化分離装置1が組み込まれた場合は、超音波霧化分離装置1は、吸湿された水分の量と概ね同じ量の水分を分離成分として分離する。
【0010】
図1に図示されるように、超音波霧化分離装置1は、外部容器10、超音波発生機構20、内部容器30および超音波伝播部材40を備える。
【0011】
外部容器10は、例えば、混合液91を貯留する貯留槽である。超音波霧化分離装置1において、外部容器10から流下された混合液91により液柱92が形成される。
【0012】
超音波発生機構20は、超音波93を発生し、発生した超音波93を外部容器10に貯留された混合液91に付与する。混合液91に付与された超音波93は、混合液91の中を伝播して液柱92に至り、液柱92を構成する混合液91を霧化して液柱92から分離成分を含むミスト94を放出させる。ミスト94は、微小な液滴である。これらにより、超音波霧化分離装置1は、混合液91への超音波93の付与により、混合液91に含まれる分離成分を混合液91に含まれる他成分から霧化分離させる。
【0013】
1.2 外部容器
図1に図示されるように、外部容器10は、側壁10a、底10bを有する。底10bは、流下口10cを備える。混合液91は、流下口10cから流下される。流下された混合液91は、液柱92を形成する。
【0014】
混合液91の流下は、混合液91の自重により行われる。すなわち、混合液91の流下は、混合液91の自由落下である。このため、液柱92は、鉛直方向に延びる。
【0015】
このような液柱92の形成によれば、液柱92を形成するために必要なエネルギーを小さくすることができ、超音波霧化分離装置1の霧化効率を高くすることができる。また、位置合わせの精度が低くなることを許容することができる。
【0016】
液柱92は、鉛直方向に連続するひとつの液柱であってもよいし、破断されて鉛直方向に互いに分断された複数の液柱片の集合であってもよい。
【0017】
流下口10cは、混合液91を通過させる底10bに形成された孔である。当該孔は、例えば、円形状の平面形状を有する。混合液91を流下させることができる限り、当該孔が、円形状の平面形状以外の平面形状を有してもよい。例えば、当該孔が、楕円形状、四角形状又は多角形状の平面形状を有してもよい。当該孔は、1mm以上5mm以下の径を有する。混合液91を流下させることができる限り、当該孔が、1mmより小さい又は5mmより大きい径を有してもよい。
【0018】
外部容器10に、混合液91を外部から供給するための液供給口が形成されてもよい。外部容器10が液供給口を開閉する蓋を備えてもよい、混合液91が外部から供給されない場合には、液供給口は蓋により閉じられてもよい。
【0019】
1.3 超音波発生機構
図1に図示されるように、超音波発生機構20は、発振回路21、電源22及び振動子23を備える。
【0020】
電源22は、発振回路21に電力を供給する。
【0021】
発振回路21は、供給された電力を使用して動作する。発振回路21は、駆動信号を発振し、発振した駆動信号を振動子23に供給する。
【0022】
振動子23は、供給された駆動信号に応じた超音波93を発生する。超音波93は、振動子23の放射面23aから放射される。振動子23は、例えば、平板状の形状を有する。振動子23の形状は、特振動子23が混合液91に超音波93を付与することができる限り、平板状の形状以外の形状を有してもよい。例えば、振動子23が、レンズ状の形状を有してもよい。超音波93は、望ましくは、1MHz以上5MHz以下の周波数を有する。
【0023】
振動子23は、内部容器30に備えられる。
【0024】
超音波発生機構20と、内部容器30とを組み合わせて、超音波付与部ということができる。
【0025】
1.4 内部容器
図1に図示されるように、内部容器30は、側部30a、底部30bを有し、例えば筐体である。底部30bは、外部容器10の底10bと対向する。内部容器30の形状は特に限定されないが、例えば、円筒状である。底部30bには、孔部30cが設けられている。底部30bの厚さは、例えば、7mm程度である。振動子23は、振動子23の放射面23aが孔部30cを臨むように設けられている。より具体的には、例えば、パッキン31に取り囲まれた振動子23は、内部容器30の内側から固定カバー32を介してネジ33でネジ止めされることにより内部容器30の底部30bに固定されている。これにより、パッキン31が内部容器30に密着し、孔部30cから内部容器30の内部への液漏れを防止することができる。また、放射面23aは、外部容器10の流下口10cと対向する。また、パッキン31は、例えばゴム等からなり、約5~10mmの厚さを有する。振動子23は、例えば直径約10~25mm、厚さ約1mmである。
【0026】
孔部30cには、超音波伝播部材40が設けられている。
【0027】
1.5 超音波伝播部材40
図1に図示されるように、超音波伝播部材40は、超音波を伝播する伝播溶液41と、膜42とを含む。超音波伝播部材40は、振動子23の放射面23aと接触する。超音波伝播部材40は、振動子23から放射される超音波を混合液91に伝播する。
【0028】
伝播溶液41は、孔部30cを満たしている。伝播溶液41は振動子23と接触している。伝播溶液41は、超音波を伝播させればよく、例えば、水、混合液91であってもよい。
【0029】
膜42は、孔部30cを内部容器30の底部30bの外側から覆うことにより伝播溶液41を孔部30c内に留める。
【0030】
超音波伝播部材40は、伝播溶液41が振動子23と接触することにより、振動子23と接触している。これにより、振動子23の放射面23aへの気泡等の付着を防止することができる。これにより、超音波の伝播の阻害を防止し、安定して超音波霧化を起こすとともに、振動子23の空焚きによる故障を防ぐことができる。
【0031】
1.6 混合液
混合液91は、少なくとも第1溶液及び第2溶液を含む。
【0032】
第1溶液及び第2溶液は、互いに異なる2種の溶液である。例えば、第1溶液は、他成分を構成する吸湿性物質を含む溶液であり、第2溶液は、分離成分を構成する水を含む溶液である。
【0033】
吸湿性物質は、水に溶解する物質又は水と混和する物質である。吸湿性物質としては、1種の吸湿性物質が単独で使用されてもよいし、2種以上の吸湿性物質が混合されて使用されてもよい。吸湿性物質は、有機材料及び無機材料の片方又は両方を含む。
【0034】
有機材料は、例えば、2価以上のアルコール、ケトン、アミド基を有する有機溶媒、糖類及び保湿化粧品等の原料として用いられる材料からなる群より選択される少なくとも1種を含み、望ましくは、2価以上のアルコール、アミド基を有する有機溶媒、糖類及び保湿化粧品等の原料として用いられる材料からなる群より選択される少なくとも1種を含む。2価以上のアルコール、アミド基を有する有機溶媒、糖類及び保湿化粧品等の原料として用いられる材料は、高い親水性を有する。このため、有機材料がこれらからなる群より選択される少なくとも1種を含む場合は、吸湿性物質の吸湿性を高くすることができる。
【0035】
2価以上のアルコールは、例えば、グリセリン、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、トリメチロールプロパン、ブタントリオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール及びトリエチレングリコールからなる群より選択される少なくとも1種を含む。
【0036】
アミド基を有する有機溶媒は、例えば、ホルムアミド及びアセトアミドからなる群より選択される少なくとも1種を含む。
【0037】
糖類は、例えば、スクロース、プルラン、グルコース、キシロース、フラクトース、マンニトール及びソルビトールからなる群より選択される少なくとも1種を含む。
【0038】
保湿化粧品等の原料として用いられる材料は、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)、ベタイン、ヒアルロン酸及びコラーゲンからなる群より選択される少なくとも1種を含む。
【0039】
無機材料は、例えば、塩化カルシウム、塩化リチウム、塩化マグネシウム、塩化カリウム、塩化ナトリウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、臭化リチウム、臭化カルシウム、臭化カリウム、水酸化ナトリウム及びピロリドンカルボン酸ナトリウムからなる群より選択される少なくとも1種を含む。
【0040】
なお、上記ミスト94は、例えば、液柱92から水平方向にずらして配置されたミスト回収槽を設けて回収される。ミスト回収槽には、混合液91における分離成分が多く含まれており、分離成分を回収することができる。また、液柱92の混合液91は、例えば、流下口10cの鉛直下方に配置された混合液回収槽を設けて回収される。混合液回収槽には、多くの分離成分が除去された混合液91を回収することができる。
【0041】
図2は、超音波霧化分離装置の第1変形例を説明するための図である。より具体的には、第1変形例では、第1実施形態の超音波霧化分離装置1において、超音波伝播部材40を、超音波伝播部材401に変更している。
【0042】
超音波伝播部材401は、例えば、伝播溶液41と、キャップ部43とを含む、伝播溶液41は、キャップ部43により内部容器30の孔部30cに留められ、振動子23の放射面23aと接触する。つまり、超音波伝播部材401は、振動子23の放射面23aと接触する。
【0043】
キャップ部43は、例えば、内部容器30の底部30bに固定するための固定部44と、膜42とを含む。例えば、孔部30cの下方周辺に底部30bから突出する固定部44を固定するためのネジ込み部を形成し、このネジ込み部に固定部44をねじ込むことにより、固定部44を底部30bに固定することができる。膜42は、キャップ部43を底部30bに接続した際に、振動子23の放射面23aと対向する。
【0044】
以上のように、超音波伝播部材401は、伝播溶液41が振動子23と接触することにより、振動子23と接触している。これにより、振動子23の放射面23aへの気泡等の付着を防止することができ、超音波の伝播の阻害を防止し、安定して超音波霧化を起こすとともに、振動子23の空焚きによる故障を防ぐことができる。
【0045】
図3は、超音波霧化分離装置の第2変形例を説明するための図である。より具体的には、第2変形例では、第1実施形態の超音波霧化分離装置1において、超音波伝播部材40を、超音波伝播部材402に変更している。
【0046】
超音波伝播部材402は、例えば、伝播溶液41と、伝播溶液41を内包する膜42とを含む。超音波伝播部材402は、内部容器30の孔部30cに挿入され、振動子23の放射面23aに接触している。例えば、超音波伝播部材402は、孔部30cにおける径の寸法と略同一にすることにより、孔部30cを超音波伝播部材402で満たすことができる。なお、超音波伝播部材402は、内部容器30の底部30bから突出していてもよい。
【0047】
さらに、超音波伝播部材402は、例えば、アルギン酸ナトリウムと伝播溶液とを混合した後、塩化カルシウム水溶液に滴下して製造されたものであってもよい。アルギン酸ナトリウムは、塩化カルシウム水溶液と反応することにより、ゲル化し、高分子材料となる。このゲル化したアルギン酸ナトリウムが伝播溶液41を内包する被膜である膜42となり、超音波伝播部材402を構成する。滴下する量を変えることで超音波伝播部材402のサイズを自由に変えることができる。なお、外部容器10に混合液91が貯留され、内部容器30の底部30bが混合液91の上面以下になった後、膜42が破れてもよい。
【0048】
以上のように、膜42は、振動子23の放射面23aと接触する。つまり、超音波伝播部材401は、膜42を介して振動子23の放射面23aと接触する。これにより、振動子23の放射面23aへの気泡等の付着が防止することでき、超音波の伝播の阻害を防止するとともに、振動子23の空焚きによる故障を防ぐことができる。
【0049】
図4は、超音波霧化分離装置の第3変形例を説明するための図である。より具体的には、第3変形例では、第1実施形態の超音波霧化分離装置1において、超音波伝播部材40を、超音波伝播部材403に変更している。
【0050】
超音波伝播部材403は、例えば、液体を吸収する吸液体44を含む。吸液体44は、内部容器30の孔部30cに挿入され、振動子23の放射面23aに接触している。吸液体44は、例えば、スポンジのような多孔体であることが好ましく、超音波を伝播する材料で形成されることがより好ましい。吸液体44は、外部容器10に混合液91が貯留された際に、接触した混合液91を吸収する。例えば、吸液体44は、孔部30cにおける径の寸法と略同一にすることにより、混合液を振動子23の放射面23aに接触させることができる。なお、吸液体44は、内部容器30の底部30bから突出していてもよい。さらに、外部容器に混合液を貯留した後は、例えば、吸液体44に繋げておいた紐等を引っ張って吸液体44を除去してもよい。
【0051】
以上のように、吸液体44は、振動子23の放射面23aと接触し、吸収した混合液を放射面23aに接触させる。これにより、振動子23の放射面23aへの気泡等の付着が防止することでき、超音波の伝播の阻害を防止するとともに、振動子23の空焚きによる故障を防ぐことができる。
【0052】
また、第1実施形態においては、超音波伝播部材を用いた例を示したが、例えば、孔部30cに孔部30cに冷凍等により固体状にした伝播液体を挿入しておき、伝播部材を溶解させて、超音波伝播部材の代わりにしてもよい。混合液91を内部容器の底よりも上方に貯留した後、固体状にした伝播液体を溶解させることにより、孔部30cを伝播液体で満たすことができ、超音波の伝播の阻害を防止するとともに、振動子23の空焚きによる故障を防ぐことができる。
【0053】
2 第2実施形態
図5は、第2実施形態の超音波霧化分離装置を模式的に図示する図である。
【0054】
以下では、第2実施形態の超音波霧化分離装置2について説明する。なお、超音波霧化分離装置2において、第1実施形態の超音波霧化分離装置1と同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0055】
超音波霧化分離装置2は、超音波霧化分離装置1において、さらに気泡除去機構50を有する。気泡除去機構50は、振動子23を動作させる前に孔部30cに存在する気泡等の空気を除去する手段である。
【0056】
気泡除去機構50は、例えば、管51、ポンプ52を有する。管51は、一端が孔部30cに挿入され、他端がポンプ52に接続されている。ポンプ52を動作させることにより、孔部30cにおける媒体が吸引され、例えば、振動子23の放射面23aに付着した気泡等の空気を除去することができる。これにより、超音波93を、混合液91に効率よく伝播させることができる。なお、管51は、振動子23を動作させる前に、管51の一端を孔部30aから外してもよい。これにより、管51が超音波の伝播を阻害することを防止することができる。
【0057】
3 第3実施形態
図6は、第3実施形態の超音波霧化分離装置を模式的に図示する図である。
【0058】
以下では、第3実施形態の超音波霧化分離装置3について説明する。なお、超音波霧化分離装置3において、第1実施形態の超音波霧化分離装置1または第2実施形態の超音波霧化分離装置2と同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0059】
超音波霧化分離装置3は、超音波霧化分離装置1において、外部容器10を外部容器101に変更し、内部容器30を内部容器301に変更している。なお、超音波霧化分離装置3においては、超音波伝播部材を設けても、設けなくてもよい。
【0060】
外部容器101は、外部容器10に対して、さらに傾斜面101aを有する。傾斜面101aには、流下口10cが設けられている。
【0061】
傾斜面101aは、例えば、鉛直方向に対して傾いた面である。言い換えれば、傾斜面101aの法線方向は、流下口10cから混合液91が流下する流下方向に対して傾いている。
【0062】
内部容器301は、内部容器30に対して、さらに傾斜面301aを有する。傾斜面301aには、孔部30cが設けられている。
【0063】
傾斜面301aは、例えば、鉛直方向に対して傾いた面である。言い換えれば、傾斜面301aの法線方向は、流下口10cから混合液91が流下する流下方向に対して傾いている。
【0064】
また、振動子23は、傾斜面301aの内側から振動子23の放射面23aが孔部30cを臨むように設けられている。振動子23の放射面23aは、流下口10cと対向している。振動子23は、第1実施形態と同様にして傾斜面301aに固定することができる。
【0065】
上記の構成によれば、流下口10cから混合液91が流下して形成された液柱92に、振動子23からの超音波93が伝播することにより、液柱92からミスト94を効率よく発生させることができる。また、孔部30cが傾斜面301aに設けられているため、孔部30cに混合液91が入り込みやすく、気泡等の空気が振動子23の放射面23aに付着を抑制することができる。これにより、超音波の伝播の阻害を防止するとともに、振動子23の空焚きによる故障を防ぐことができる。
【0066】
図7は、超音波霧化分離装置の第4変形例を説明するための図である。
より具体的には、第4変形例では、第3実施形態の超音波霧化分離装置3において、外部容器10を外部容器102に変更し、さらに超音波を反射する反射板95を設けている。
【0067】
反射板95は、振動子23からの超音波93aを、超音波93bとして流下口10cの方向に反射する。
【0068】
外部容器102は、外部容器10に対して、設けられている流下口10cの位置が異なる。流下口10cは、超音波93bが伝播する位置に設けられる。
【0069】
上記の構成によれば、流下口10cから混合液91が流下して形成された液柱92に、振動子23からの超音波93aが反射板95により反射されて超音波93bが伝播することにより、液柱92からミスト94を効率よく発生させることができる。
【0070】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、上記実施形態で示した構成と実質的に同一の構成、同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成で置き換えてもよい。
【符号の説明】
【0071】
1,2,3 超音波霧化分離装置、10,101,102 外部容器、10c 流下口、20 超音波発生機構、23 振動子、23a 放射面、30,301 内部容器、31 パッキン、32 固定カバー、33 ネジ、40,401,402,403 超音波伝播部材、50 、51 管、52 ポンプ、91 混合液、92 液柱、93,93a,93b 超音波、94 ミスト、95 反射板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7