(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022190815
(43)【公開日】2022-12-27
(54)【発明の名称】信号待ち時間表示方法及び信号待ち時間表示装置
(51)【国際特許分類】
G08G 1/09 20060101AFI20221220BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
G08G1/09 D
G08G1/16 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021099264
(22)【出願日】2021-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】貝塚 卓
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181CC04
5H181CC12
5H181FF04
5H181FF13
5H181FF22
5H181FF27
5H181FF33
(57)【要約】
【課題】青信号までの残り時間を表示しつつ、見切り発車を防止することが可能な信号待ち時間表示方法及び信号待ち時間表示装置を提供する。
【解決手段】信号待ち時間表示装置1は、自車両が、自車両前方の信号機の進行不可を示す現示に従って停止している信号待ち状態であるか否かを判定する信号待ち状態判定部22と、自車両が信号待ち状態であると判定された場合に自車両が信号待ち状態の車列の先頭車両であるか否かを判定する停止位置判定部24と、自車両が車列の先頭車両でないと判定された場合には信号機の現示が進行可を示す現示に変化するまでの残り時間を所定の時間間隔である第一間隔でカウントダウン表示し、自車両が車列の先頭車両であると判定された場合には残り時間を少なくとも第一間隔よりも長い第二間隔でカウントダウン表示する表示制御部25とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両が、前記自車両前方の信号機の進行不可を示す現示に従って停止している信号待ち状態であるか否かを判定し、
前記自車両が前記信号待ち状態であると判定された場合に、前記自車両が前記信号待ち状態の車列の先頭車両であるか否かを判定し、
前記自車両が前記車列の先頭車両でないと判定された場合には、前記信号機の現示が進行可を示す現示に変化するまでの残り時間を所定の時間間隔である第一間隔でカウントダウン表示し、
前記自車両が前記車列の先頭車両であると判定された場合には、前記残り時間を少なくとも前記第一間隔よりも長い第二間隔でカウントダウン表示する
ことを特徴とする信号待ち時間表示方法。
【請求項2】
前記自車両が前記車列の先頭車両であると判定された場合には、前記残り時間が長い場合よりも短い場合の方が時間間隔が長くなるようにカウントダウン表示する
ことを特徴とする請求項1に記載の信号待ち時間表示方法。
【請求項3】
前記自車両が前記車列の先頭車両であると判定された場合には、前記残り時間が第一所定時間未満となった場合に、前記第一所定時間以上の場合よりも時間間隔を長くする
ことを特徴とする請求項2に記載の信号待ち時間表示方法。
【請求項4】
前記残り時間が第二所定時間未満となった場合にカウントダウン表示を中止する
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の信号待ち時間表示方法。
【請求項5】
前記残り時間が第三所定時間以上である場合には、前記第二間隔より短い第三間隔でカウントダウン表示する
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の信号待ち時間表示方法。
【請求項6】
前記第三間隔は、前記自車両が前記車列の先頭車両であると判定された場合と前記自車両が前記車列の先頭車両でないと判定された場合とで同じである
ことを特徴とする請求項5に記載の信号待ち時間表示方法。
【請求項7】
前記自車両が走行状態であることを検出した場合、または前記信号機の現示が進行可を示す現示に変化したことを検出した場合にカウントダウン表示を中止する
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の信号待ち時間表示方法。
【請求項8】
コントローラを備え、
前記コントローラは、
自車両が、前記自車両前方の信号機の進行不可を示す現示に従って停止している信号待ち状態であるか否かを判定し、
前記自車両が前記信号待ち状態であると判定された場合に、前記自車両が前記信号待ち状態の車列の先頭車両であるか否かを判定し、
前記自車両が前記車列の先頭車両でないと判定された場合には、前記信号機の現示が進行可を示す現示に変化するまでの残り時間を所定の時間間隔である第一間隔でカウントダウン表示し、
前記自車両が前記車列の先頭車両であると判定された場合には、前記残り時間を少なくとも前記第一間隔よりも長い第二間隔でカウントダウン表示する
ことを特徴とする信号待ち時間表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号待ち時間表示方法及び信号待ち時間表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、信号機が停止規制状態から走行許可状態に変わるまでの時間を表示する発明が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、車列の先頭で信号待ちをしているときに青信号までの残り時間を表示すると、実際には青信号に変化していない状態(運転者が青信号を視認していない状態)で青信号に変化するタイミングを見計らって見切り発車するおそれがある。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑みて成されたものであり、その目的は、青信号までの残り時間を表示しつつ、見切り発車を防止することが可能な信号待ち時間表示方法及び信号待ち時間表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る信号待ち時間表示方法は、自車両が信号待ち状態であるか否かを判定し、自車両が信号待ち状態の車列の先頭車両であるか否かを判定し、自車両が車列の先頭車両でないと判定された場合には、信号機の現示が進行可を示す現示に変化するまでの残り時間を所定の時間間隔である第一間隔でカウントダウン表示し、自車両が車列の先頭車両であると判定された場合には、残り時間を少なくとも第一間隔よりも長い第二間隔でカウントダウン表示する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、青信号までの残り時間を表示しつつ、見切り発車を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る信号待ち時間表示装置1の構成図である。
【
図2】
図2は、メータディスプレイ15の表示例を説明する図である。
【
図3】
図3は、青信号までの残り時間の表示例を説明する図である。
【
図4】
図4は、青信号までの残り時間の表示例を説明する図である。
【
図5】
図5は、信号待ち時間表示装置1の一動作例を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。図面の記載において同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0010】
図1を参照して信号待ち時間表示装置1の構成例を説明する。
図1に示すように、信号待ち時間表示装置1は、カメラ10と、GPS受信機11と、通信機12と、車輪速センサ13と、地図データベース14と、コントローラ20と、メータディスプレイ15とを備える。
【0011】
カメラ10は自車両の周囲に存在する物体(歩行者、自転車、バイク、他車両など)、及び自車両の周囲の情報(区画線、信号機、標識、横断歩道、交差点、停止線など)を検出する。カメラ10はCCD(charge-coupled device)、CMOS(complementary metal oxide semiconductor)などの撮像素子を有する。カメラ10の設置場所は特に限定されないが、一例としてカメラ10は自車両の前方、側方、後方に設置される。カメラ10によって撮像された画像はコントローラ20に出力される。
【0012】
GPS受信機11は人工衛星からの電波を受信することにより、地上における自車両の位置情報を検出する。GPS受信機11が検出する自車両の位置情報には、緯度情報、及び経度情報が含まれる。GPS受信機11は、検出した自車両の位置情報をコントローラ20に出力する。なお、自車両の位置情報を検出する方法は、GPS受信機11に限定されない。例えば、オドメトリと呼ばれる方法を用いて位置を推定してもよい。オドメトリとは、車両の回転角、回転角速度に応じて車両の移動量及び移動方向を求めることにより、車両の位置を推定する方法である。なおGPS受信機11の代わりにGNSS受信機が用いられてもよい。
【0013】
通信機12はネットワークアダプタなどのハードウェア、各種の通信用ソフトウェア、及びこれらの組み合わせとして実装され、無線通信を実現できるように構成されている。通信機12は主に路上に設置された光ビーコンとの無線通信に用いられる。具体的には通信機12は光ビーコンから信号機情報を取得する。信号機情報には少なくとも「赤信号から青信号に変化するまでの残り時間」が含まれる。なお「赤信号」は「停止信号」を意味し、「青信号」は「走行許可信号」を意味する。また表現の都合上、「赤信号」を単に「赤」と表現したり、「青信号」を単に「青」と表現したりする場合がある。また、以下では「赤信号」「青信号」などの信号機の表示を総称して「現示」とも記載する。通信機12は光ビーコンから取得した信号機情報をコントローラ20に出力する。なお信号機情報を取得する方法は光ビーコンとの無線通信に限定されない。例えばカメラ10で前方の信号機が赤信号に変わったタイミングを撮像できた場合には、一般的な予め定められた赤信号から青信号に変わるまでの時間、あるいは光ビーコンなどを介して信号機毎に定められた赤信号から青信号に変わるまでの時間を受信し、そこから赤信号に変わったタイミングからの経過時間を減算して「赤信号から青信号に変化するまでの残り時間」を推定してもよい。
【0014】
車輪速センサ13は自車両の車輪の回転速度を検出する。この回転速度により車速が得られる。車輪速センサ13は検出した回転速度をコントローラ20に出力する。
【0015】
地図データベース14はカーナビゲーション装置などに記憶されているデータベースであって、道路情報、施設情報など経路案内に必要となる地図情報が記憶されている。道路情報とは、例えば、交差点、道路の車線数、道路境界線、車線の接続関係などに関する情報である。地図データベース14は、コントローラ20の要求に応じて地図情報をコントローラ20に出力する。本実施形態では、信号待ち時間表示装置1が地図データベース14を有するものとして説明するが、必ずしも信号待ち時間表示装置1が地図データベース14を有する必要はない。地図情報は、カメラ10及び図示しない各種センサにより取得されてもよく、また車車間通信、路車間通信を用いて取得されてもよい。また、地図情報が外部に設置されたサーバに記憶されている場合、信号待ち時間表示装置1は、通信により随時地図情報などをサーバから取得してもよい。また、信号待ち時間表示装置1は、サーバから定期的に最新の地図情報を入手して、保有する地図情報を更新してもよい。なお地図データベース14に格納される地図情報は、高精度地図データ(HD MAP)でもよく、通常の地図データ(SD MAP)でもよい。
【0016】
コントローラ20は、CPU(中央処理装置)、メモリ、及び入出力部を備える汎用のマイクロコンピュータである。マイクロコンピュータには、信号待ち時間表示装置1として機能させるためのコンピュータプログラムがインストールされている。コンピュータプログラムを実行することにより、マイクロコンピュータは、信号待ち時間表示装置1が備える複数の情報処理回路として機能する。なお、ここでは、ソフトウェアによって信号待ち時間表示装置1が備える複数の情報処理回路を実現する例を示すが、もちろん、以下に示す各情報処理を実行するための専用のハードウェアを用意して、情報処理回路を構成することも可能である。また、複数の情報処理回路を個別のハードウェアにより構成してもよい。コントローラ20は、複数の情報処理回路として、停止判定部21と、信号待ち状態判定部22と、信号待ち時間取得部23と、停止位置判定部24と、表示制御部25とを備える。
【0017】
停止判定部21は車輪速センサ13から取得した情報に基づいて自車両が停止しているか否かを判定する。具体的には停止判定部21は車輪速センサ13から取得した車速がゼロであるとき、自車両が停止していると判定する。ただし停止判断はこれに限定されない。例えばカメラ10から取得した映像に変化が生じていない場合、停止判定部21は自車両が停止していると判定してもよい。
【0018】
信号待ち状態判定部22は、停止判定部21によって自車両が停止していると判定された場合、停止理由が信号待ちに起因するものか否かを判定する。本実施形態において「信号待ち」とは、自車両前方の信号機の色が赤であるため青に変化するまで停止している状態を意味する。信号待ち状態判定部22はGPS受信機11及び地図データベース14から取得した情報に基づいて自車両の停止位置が交差点から所定距離以内の位置であるか否かを判定する。自車両の停止位置が交差点から所定距離以内の位置である場合、信号待ち状態判定部22は停止理由が信号待ちに起因すると判定する。ただし判定方法はこれに限定されない。例えばカメラ10が自車両前方を撮像した画像に信号機が存在する場合、信号待ち状態判定部22は停止理由が信号待ちに起因すると判定してもよい。また、信号待ち状態判定部22は、自車両の停止位置が交差点から所定距離以内の位置で、且つ自車両前方を撮像した画像に信号機が存在する場合に、停止理由が信号待ちに起因すると判定してもよい。あるいは、地図データベース14に交差点の位置と共に各交差点ごとに信号機の有無を記憶しておき、自車両の停止位置が信号機が有る交差点から所定距離以内である場合に、停止理由が信号待ちに起因すると判定してもよい。なお信号待ちは主に交差点において発生する事象であるが、交差点以外でも歩行者のために信号機が設置される場合がある。例えば自車両が横断歩道から所定距離(例えば2m)に停車し、且つ自車両前方を撮像した画像に信号機が存在する場合に、信号待ち状態判定部22が停止理由が信号待ちに起因すると判定してもよい。本発明は信号待ちが発生する場所であれば、交差点の有無などの他の条件に関係なく適用可能である。
【0019】
信号待ち時間取得部23は通信機12から、赤信号から青信号に変化するまでの残り時間を取得する。
【0020】
停止位置判定部24は自車両が停止している位置を判定する。具体的には停止位置判定部24は自車両が停止している位置が、車列の先頭か否かを判定する。ここでいう車列とは交差点で信号待ちしている複数の車両の列を意味する。自車両が車列の先頭に位置する場合、自車両は「先頭車両」となる。一方、自車両が車列の先頭に位置しない場合、自車両は「後続車両」となる。自車両が停止している位置が車列の先頭か否かは、カメラ10から取得した情報に基づいて判定される。信号待ちにおいて自車両の前方所定距離内に他車両が存在する場合、その他車両をカメラ10で撮像すると、他車両は走行中と比較して大きく映ることになる。このためカメラ10が自車両前方を撮像した画像に他車両が大きく映る場合、停止位置判定部24は自車両が停止している位置が先頭ではないと判定する。すなわち、自車両が停止している状態で、且つ自車両前方を撮像した画像中の他車両の大きさが予め定められた所定の大きさ以上である場合に自車両が停止している位置が先頭ではないと判定する。もちろん画像に映る他車両のサイズに関係なく、画像に他車両が映っていれば自車両が停止している位置が先頭ではないと判定してもよい。一方、カメラ10が自車両前方を撮像した画像に他車両が存在しない場合(車両前方を撮像した画像中の他車両の大きさが予め定められた所定の大きさ未満である場合)、停止位置判定部24は自車両が停止している位置が先頭であると判定する。なおカメラ10が自車両前方を撮像した画像に停止線が存在する場合、停止位置判定部24は自車両が停止している位置が先頭であると判定してもよい。なお、上述した自車両が停止している位置が先頭であるか否かの判定は、信号待ちにおいて自車両の前方所定距離内に他車両が存在するか否かに基づいて行われる。従って、画像に基づいて他車両の存在(他車両が前方所定距離以内に存在するか否か)を検出するものに限定されず、他の周知の手法で他車両の存在を検出してもよい。例えば、カメラ10の代わりに、ソナー、超音波センサなどを用いて自車両前方に他車両が存在するか否かを判定し、その判定結果を用いて自車両が停止している位置を判定してもよい。
【0021】
表示制御部25は自車両が停止している位置が先頭か先頭以外かに応じてメータディスプレイ15に表示する情報(信号待ち時間)を制御する。メータディスプレイ15に表示する情報の詳細は後述する。
【0022】
次に
図2~3を参照してメータディスプレイ15に表示する情報の一例を説明する。
図2に示す表示例は、信号待ちのため自車両が交差点で停止しているときの表示例である。符号30で示される表示は、赤信号から青信号に変化するまでの残り時間を示す。
図2では残り時間は15秒である。本実施形態において表示制御部25は自車両が停止している位置が先頭か先頭以外かに応じて残り時間のカウントダウン表示を制御する。
【0023】
カウントダウン表示の一例を
図3に示す。
図3に示すように、自車両が停止している位置が先頭以外の場合(この場合自車両は後続車両)、表示制御部25は1秒間隔でカウントダウン表示する。一方、自車両が停止している位置が先頭の場合(この場合自車両は先頭車両)、上述の1秒間隔よりも長い間隔でカウントダウン表示する。例えば15秒の次は12秒となる。つまり時間間隔は1秒よりも長い3秒となる。
図3に示す「表示しない」とはメータディスプレイ15に表示されないことを意味する。つまり、「15秒」と表示された後、一旦メータディスプレイ15から表示が消え、3秒後に「12秒」と表示される。同様にその後、一旦メータディスプレイ15から表示が消え、3秒後に「9秒」と表示される。同様にその後、一旦メータディスプレイ15から表示が消え、3秒後に「6秒」と表示される。このように、
図3に示す例では赤信号から青信号に変化するまでの残り時間が6秒になるまでは3秒間隔で表示される。「6秒」の次は「0秒」と表示される。つまり、赤信号から青信号に変化するまでの残り時間が6秒になった後の間隔は、3秒よりも長い6秒となる。
【0024】
なお
図2~3に示す表示例は、赤信号から青信号に変化するまでの残り時間を文字で表示したがこれに限定されない。
図4に示すように赤信号から青信号に変化するまでの残り時間はバー形式で表示されてもよい。
図4は自車両が停止している位置が先頭の場合の表示例である。
図4の符号40に示す情報が
図2の符号30の代わりにメータディスプレイ15に表示される。符号40は符号41~42から構成される。符号41は「青信号までの残り時間」という文字列であり、符号42は青信号までの残り時間を示すバーである。この表示例において、15秒から12秒に遷移する際、バーは徐々に短くならない。つまり青信号までの残り時間が15秒、14秒、13秒のとき、表示は符号42のままである。青信号までの残り時間が12秒になったとき、符号42から符号43の状態に変化する。同様に青信号までの残り時間が12秒、11秒、10秒のとき、表示は符号43のままである。青信号までの残り時間が9秒になったとき、符号43から符号44の状態に変化する。同様に青信号までの残り時間が9秒、8秒、7秒のとき、表示は符号44のままである。青信号までの残り時間が6秒になったとき、符号44から符号45の状態に変化する。同様に青信号までの残り時間が6秒、5秒、4秒、3秒、2秒、1秒のとき、表示は符号45のままである。青信号までの残り時間が0秒になったとき、符号45から符号46の状態に変化する。
【0025】
次に、
図5のフローチャートを参照して、信号待ち時間表示装置1の一動作例を説明する。
【0026】
ステップS101において、停止判定部21は車輪速センサ13から取得した情報に基づいて自車両が停止しているか否かを判定する。自車両が停止している場合(ステップS101でYES)、処理はステップS103に進む。一方、自車両が停止していない場合(ステップS101でNO)、処理はステップS101に戻る。ステップS103において、信号待ち状態判定部22は停止理由が信号待ちに起因するものか否かを判定する。停止理由が信号待ちに起因する場合(ステップS103でYES)、処理はステップS105に進む。一方、停止理由が信号待ちに起因しない場合(ステップS103でNO)、処理は終了する。
【0027】
ステップS105において、信号待ち時間取得部23は通信機12から、赤信号から青信号に変化するまでの残り時間を取得する。処理はステップS107に進み、停止位置判定部24は自車両が停止している位置を判定する。自車両が停止している位置が先頭の場合(ステップS109でYES)、表示制御部25は先頭車両用の形式で赤信号から青信号に変化するまでの残り時間をメータディスプレイ15に表示する(ステップS111、
図3参照)。一方、自車両が停止している位置が先頭でない場合(ステップS109でNO)、表示制御部25は後続車両用の形式で赤信号から青信号に変化するまでの残り時間をメータディスプレイ15に表示する(ステップS113、
図3参照)。赤信号から青信号に変化するまでの残り時間が0秒になった場合(カメラ10などで青信号に変化したことを検出した場合を含む)、または自車両が走行を開始した場合(ステップS115でYES)、表示制御部25はカウントダウン表示を終了する(ステップS117)。
【0028】
(作用効果)
以上説明したように、本実施形態に係る信号待ち時間表示装置1によれば、以下の作用効果が得られる。
【0029】
信号待ち時間表示装置1は自車両が、自車両前方の信号機の進行不可を示す現示に従って停止している信号待ち状態であるか否かを判定する。進行不可を示す現示とは「赤信号」を意味する。信号待ち時間表示装置1は自車両が信号待ち状態であると判定された場合に、自車両が信号待ち状態の車列の先頭車両であるか否かを判定する。信号待ち時間表示装置1は自車両が車列の先頭車両ではないと判定された場合には、信号機の現示が進行可を示す現示に変化するまでの残り時間を所定の時間間隔である第一間隔でメータディスプレイ15にカウントダウン表示する。進行可を示す現示とは「青信号」を意味する。第一間隔の一例は、
図3で説明したように1秒間隔である。信号待ち時間表示装置1は自車両が車列の先頭車両であると判定された場合には、残り時間を少なくとも第一間隔よりも長い第二間隔でカウントダウン表示する。第二間隔の一例は
図3で説明したように3秒間隔または6秒間隔である。つまり第二間隔は第一間隔より長い。なお
図3において自車両が車列の先頭車両である場合、時間間隔は上から順に3秒、3秒、3秒、6秒と説明したが、これに限定されず、時間間隔は上から順に3秒、3秒、3秒、3秒、3秒であってもよい。このように自車両が車列の先頭車両である場合には自車両が車列の先頭車両でない場合と比較して時間間隔が長くなるようにカウントダウン表示することにより、青信号までの残り時間を表示しつつ、見切り発車を防止することが可能となる。カウントダウン表示が1秒間隔であれば、運転者によっては残り時間が0秒に近い時間(例えば1秒)のときに見切り発車(フライング発車)するおそれがある。本実施形態によれば、第二間隔は第一間隔より長いため、少なくとも残り時間が1秒とは表示されない。これにより運転者は青信号までの残り時間を予測することが難しくなるため、見切り発車を防止することが可能となる。なおこの1秒は
図3の表示例に基づくものであり、
図3の後続車両用の表示方法に応じて時間間隔は適宜変更可能であるため、
図3の先頭車両用の表示において必ずしも1秒が表示されないことを意味しない。
【0030】
図3において自車両が車列の先頭車両である場合、「15秒」と表示された後、一旦メータディスプレイ15から表示が消え、3秒後に「12秒」と表示されると説明したがこれに限定されない。例えば、残り時間が14秒になった時点でも「15秒」と表示し、残り時間が13秒になった時点でも「15秒」と表示し、残り時間が12秒になった時点で「12秒」と表示してもよい。つまり、15秒、15秒、15秒、12秒(1秒間隔)と表示してもよい。
図3の「6秒」~「0秒」についても同様に、6秒、6秒、6秒、6秒、6秒、6秒、0秒(1秒間隔)と表示してもよい。この表示方法であっても
図3の表示方法であっても運転者は青信号までの残り時間を予測することが難しくなるため、見切り発車を防止することが可能となる。
【0031】
また、信号待ち時間表示装置1は自車両が車列の先頭車両であると判定された場合には、残り時間が長い場合よりも短い場合の方が時間間隔が長くなるようにカウントダウン表示してもよい。例えば
図3に示すように残り時間が15秒の場合は3秒間隔で表示し、残り時間が15秒より短い6秒の場合は6秒間隔で表示してもよい。これにより残り時間が長い場合よりも短い場合の方が時間間隔が長くなり、運転者は青信号までの残り時間を予測することが難しくなるため、見切り発車を防止することが可能となる。
【0032】
また、信号待ち時間表示装置1は自車両が車列の先頭車両であると判定された場合には、残り時間が第一所定時間未満となった場合に、第一所定時間以上の場合よりも時間間隔を長くしてもよい。上述では第二間隔は第一間隔より長ければ足りると説明したが、第二間隔は第一間隔より長ければステップ状に設定されてもよい。例えば
図3の表示例では15秒、12秒、9秒、6秒、0秒と説明したが、15秒、13秒、10秒、6秒、0秒と表示してもよい。この場合時間間隔は、2秒、3秒、4秒、6秒となる。いずれにしても第一間隔(1秒)より長い。残り時間が第一所定時間未満(13秒より小さい)となった場合に、第一所定時間以上(13秒以上)の場合よりも時間間隔を長くする(2秒から3秒へと長くする)。このように残り時間が短くなるにつれて時間間隔が長くなるようにステップ変化させて表示することにより運転者は青信号までの残り時間を予測することが難しくなるため、見切り発車を防止することが可能となる。
【0033】
また、信号待ち時間表示装置1は残り時間が第二所定時間未満となった場合にカウントダウン表示を中止してもよい。
図3の表示例では残り時間を「6秒」と表示した後に残り時間の表示を消し、信号機の色が青信号に変化したときに残り時間を「0秒」と表示したが、これに限定されない。信号機の色が青信号に変化したときに残り時間を表示しなくてもよい。つまりカウントダウン表示を中止してもよい。この場合「6秒」の表示が消えた後はメータディスプレイ15に残り時間に関する情報は表示されない。これにより残り時間が6秒より短くなった時点で運転者に対して信号機に意識を集中させることが可能となり見切り発車を防止することが可能となる。ここでは第二所定時間を6秒として説明したがこれに限定されず適宜変更可能である。
【0034】
また、信号待ち時間表示装置1は残り時間が第三所定時間以上である場合には、第二間隔より短い第三間隔でカウントダウン表示してもよい。このときの時間間隔は自車両が車列の先頭車両であると判定された場合と自車両が車列の先頭車両でないと判定された場合とで同じである。
図3の表示例では15秒からのカウントダウン表示を説明したが、仮に赤信号から青信号に変化するまでの残り時間が30秒であったとする。この場合、第三所定時間が15秒と設定されていれば、信号待ち時間表示装置1は自車両が先頭車両である場合も先頭車両でない場合も両方とも30秒から15秒までのカウントダウン表示を1秒間隔で表示してもよい。この1秒間隔(第三間隔)は、第二間隔(2秒、3秒、4秒、6秒)より短い。なお第三間隔は第一間隔と同じであってもよいし、異なっていてもよい。このように残り時間が第三所定時間以上である場合には、第二間隔より短い第三間隔でカウントダウン表示することにより、残り時間が第三所定時間になるまでは運転者に残り時間を正確に把握させることが可能となる。ここでは第三所定時間を15秒として説明したがこれに限定されず適宜変更可能である。
【0035】
また、信号待ち時間表示装置1は自車両が走行状態であることを検出した場合、または信号機の現示が進行可を示す現示に変化したことを検出した場合にカウントダウン表示を中止する。これにより運転者の意識を運転に集中させることが可能となる。自車両が走行状態であるとは、一例として車輪速センサ13から取得した車速がゼロでない状態である。信号機の現示が進行可を示す現示に変化したことを検出した場合とは、一例としてカメラ10などで青信号に変化したことを検出した場合である。
【0036】
上述の実施形態に記載される各機能は、1または複数の処理回路により実装され得る。処理回路は、電気回路を含む処理装置等のプログラムされた処理装置を含む。処理回路は、また、記載された機能を実行するようにアレンジされた特定用途向け集積回路(ASIC)や回路部品等の装置を含む。
【0037】
上記のように、本発明の実施形態を記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0038】
例えば、上述の実施形態では赤信号から青信号に変化するまでの残り時間をメータディスプレイ15に表示したが、これに限定されない。赤信号から青信号に変化するまでの残り時間をナビゲーション装置のディスプレイに表示してもよく、ヘッドマウントディスプレイに表示してもよい。
【0039】
図3に示す表示例では残り時間を「6秒」と表示した後に「0秒」と表示したがこれに限定されない。「6秒」と表示した後に「まもなく信号が青に変わります」と表示してもよい。
【符号の説明】
【0040】
1 信号待ち時間表示装置
10 カメラ
11 GPS受信機
12 通信機
13 車輪速センサ
14 地図データベース
15 メータディスプレイ
20 コントローラ
21 停止判定部
22 信号待ち状態判定部
23 信号待ち時間取得部
24 停止位置判定部
25 表示制御部