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特開2022-190823コンテナ入出庫を最適化する方法、仕分機、およびコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022190823
(43)【公開日】2022-12-27
(54)【発明の名称】コンテナ入出庫を最適化する方法、仕分機、およびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/137 20060101AFI20221220BHJP
【FI】
B65G1/137 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021099276
(22)【出願日】2021-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】000003609
【氏名又は名称】株式会社豊田中央研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100160691
【弁理士】
【氏名又は名称】田邊 淳也
(74)【代理人】
【識別番号】100157277
【弁理士】
【氏名又は名称】板倉 幸恵
(74)【代理人】
【識別番号】100182718
【弁理士】
【氏名又は名称】木崎 誠司
(72)【発明者】
【氏名】宇都野 正史
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 知弘
(72)【発明者】
【氏名】与語 康宏
(72)【発明者】
【氏名】柳澤 秀生
(72)【発明者】
【氏名】若林 昭徳
(72)【発明者】
【氏名】橋本 賢司
(72)【発明者】
【氏名】小原 生光
【テーマコード(参考)】
3F522
【Fターム(参考)】
3F522AA02
3F522BB01
3F522BB29
3F522BB36
3F522CC03
3F522CC05
3F522CC06
3F522DD04
3F522DD28
3F522EE14
3F522GG04
3F522LL01
3F522LL02
3F522LL15
3F522LL42
(57)【要約】
【課題】倉庫に入庫したコンテナを出庫させる際の仕分け能力を向上する。
【解決手段】コンテナ入出庫を最適化する方法は、複数の保管棚に入庫される複数のコンテナについて、複数のコンテナの情報を含むコンテナ配列を生成する配列生成工程と、コンテナ配列を用いて、複数のコンテナについて、コンテナを入庫すべき保管棚を特定するための入庫位置情報を決定した解候補を、複数、生成する解候補生成工程と、複数の解候補について、入庫された前記複数のコンテナが、全て出庫されるまでに要する出庫時間を推定する出庫時間推定工程と、複数の解候補について、推定された出庫時間を用いた最適化を行う最適化工程と、最適化された複数の解候補について、入庫位置情報と、コンテナ毎に予め定められた前記コンテナの出庫順情報と、の組み合わせを含む入出庫テーブルを生成するテーブル生成工程と、を備える。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
仕分機に対するコンテナ入出庫を最適化する方法であって、情報処理装置が、
前記仕分機が有する複数の保管棚にそれぞれ入庫される複数のコンテナについて、前記複数のコンテナの情報を含むコンテナ配列を生成する配列生成工程と、
前記コンテナ配列を用いて、前記複数のコンテナのそれぞれについて、前記コンテナを入庫すべき前記保管棚を特定するための入庫位置情報を決定した解候補を、複数、生成する解候補生成工程と、
前記複数の解候補のそれぞれについて、前記入庫位置情報に応じて入庫された前記複数のコンテナが、全て出庫されるまでに要する出庫時間を推定する出庫時間推定工程と、
前記複数の解候補について、それぞれ推定された前記出庫時間を用いた最適化を行う最適化工程と、
最適化された前記複数の解候補のそれぞれについて、前記コンテナ配列に対する入出庫テーブルであって、前記入庫位置情報と、前記コンテナ毎に予め定められた前記コンテナの出庫順情報と、の組み合わせを含む入出庫テーブルを生成するテーブル生成工程と、
を備える、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記最適化工程は、前記解候補生成工程により生成された前記複数の解候補のうち、推定された前記出庫時間が前記閾値未満となる前記解候補に対して、遺伝的アルゴリズムを用いて次世代の前記解候補を生成し、
前記テーブル生成工程は、前記最適化工程により得られた次世代の前記解候補のそれぞれについて前記入出庫テーブルを生成する、方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の方法であって、さらに、
前記配列生成工程により生成されたコンテナ配列に対して、予め設定された制約条件を付加した前記コンテナ配列を生成する制約付加工程を備え、
前記最適化工程は、前記複数の解候補について、前記制約条件を満たすように、それぞれ推定された前記出庫時間を用いた最適化を行う、方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法であって、
前記制約付加工程は、前記複数の保管棚のそれぞれ入庫されるコンテナ数が均等になる前記制約条件を付加した前記コンテナ配列を生成する、方法。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の方法であって、さらに、
前記仕分機に入庫する各前記コンテナについて、各前記コンテナの前記出庫順情報を識別する識別工程と、
識別された各前記コンテナの前記出庫順情報と、前記記憶部に記憶されている前記入出庫テーブルに含まれる前記出庫順情報とを照らし合わせることにより、識別工程後10秒以内に前記出庫順情報が識別された前記コンテナの入庫位置を決定する位置決定工程と、
決定された前記入庫位置に前記コンテナを入庫させる入庫工程と、
を備える、方法。
【請求項6】
仕分機であって、
請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の前記入出庫テーブルが記憶された記憶部と、
複数の保管棚と、
前記コンテナを運搬し、前記入出庫テーブルの前記入庫位置情報により特定される一の前記保管棚に入庫させる入庫装置と、
を備える、仕分機。
【請求項7】
請求項6に記載の仕分機であって、さらに、
前記入出庫テーブルの前記出庫順情報に従った順序で、複数の前記保管棚から、複数の前記コンテナをそれぞれ出庫させる出庫装置を備える、仕分機。
【請求項8】
仕分機に対するコンテナ入出庫を最適化するためのコンピュータプログラムであって、
前記仕分機が有する複数の保管棚にそれぞれ入庫される複数のコンテナについて、前記複数のコンテナの情報を含むコンテナ配列を生成する配列生成機能と、
前記コンテナ配列を用いて、前記複数のコンテナのそれぞれについて、前記コンテナを入庫すべき前記保管棚を特定するための入庫位置情報を決定した解候補を、複数、生成する解候補生成機能と、
前記複数の解候補のそれぞれについて、前記入庫位置情報に応じて入庫された前記複数のコンテナが、全て出庫されるまでに要する出庫時間を推定する出庫時間推定機能と、
前記複数の解候補について、それぞれ推定された前記出庫時間を用いた最適化を行う最適化工程と、
前記最適化により、前記コンテナ配列に対する入出庫テーブルであって、前記入庫位置情報と、前記コンテナ毎に予め定められた前記コンテナの出庫順情報と、の組み合わせを含む入出庫テーブルを生成するテーブル生成機能と、
をコンピュータに実現させる、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテナ入出庫を最適化する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
仕分機や、仕分機を有する自動倉庫に対する、コンテナの入出庫を最適化する技術が知られている(特許文献1~3)。特許文献1には、保管棚のスペースなどを有効活用して、コンテナなどの荷物を保管する自動倉庫が記載されている。特許文献1に記載された自動倉庫では、各荷物の入出庫時における荷物と荷物との間の空きスペースが管理されている。空きスペースの大きい保管棚にある荷物が空きスペースの小さい保管棚に移動されることにより、保管棚における空きスペースを拡張し、より大きな荷物を収容可能な空きスペースが形成される。
【0003】
特許文献2には、ロータリーラックを備える自動倉庫が記載されている。この自動倉庫では、ロータリーラックに保管されているコンテナの位置が確認され、トレー列の回送距離が最小になるように各コンテナの出庫が制御されている。特許文献3に記載された物品の仕分け方法では、物品を出荷場へ運ぶための特定のシューターに多くの物品が偏らずに、各シューターへの割り振りが均等になるように、複数の物品で構成される切り出し単位が設定されている。非特許文献1には、複数の階から構成される保管棚と、保管棚へ荷物を出し入れする自走式クレーン(スタッカークレーン)と、を備える立体倉庫が記載されている。この立体倉庫では、荷物の入出庫待ちが短くなるように、入出庫のスケジュールが最適化される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-138955号公報
【特許文献2】特開2014-51391号公報
【特許文献3】特開2008-150191号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】貝原 俊也、藤井 信忠、濱田 裕規、内藤 信吾、「組合せオークションを用いた入出庫口複数型立体自動倉庫の最適運用法に関する一提案」、精密工学会学術講演会講演論文集、2014年度精密工学会秋季大会、I63、p.473
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、複数のコンテナが入庫する立体倉庫では、単位時間内に保管棚へと仕分けられるコンテナ数の仕分量を向上させたいという要望がある。非特許文献1に記載された技術では、入庫するコンテナ数が多くなるに従い、スケジュールを最適化するための探索空間が広くなるため、最適化のための計算時間が長くおそれがある。特に、立体倉庫に入庫する各コンテナに設定された出庫先が入庫直前にわかる場合や、立体倉庫に入庫してくるコンテナの並びが不明の場合には、計算時間が長くなることにより、仕分量が向上しないおそれがある。また、例えば、各階の保管棚に入庫するコンテナ数がランダムまたは均等になるように設定されると、仕分量の能力にバラツキが生じるおそれがある。この点、特許文献1~3には、コンテナ入庫時に仕分量を向上させることについては何ら考慮されていない。以上のように、立体倉庫に複数のコンテナを入庫させる際に、短時間で仕分けした上で仕分量を向上させたい要望がある。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、倉庫に入庫したコンテナを出庫させる際の仕分け能力を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現できる。
【0009】
(1)本発明の一形態によれば、仕分機に対するコンテナ入出庫を最適化する方法が提供される。この方法では、情報処理装置が、前記仕分機が有する複数の保管棚にそれぞれ入庫される複数のコンテナについて、前記複数のコンテナの情報を含むコンテナ配列を生成する配列生成工程と、前記コンテナ配列を用いて、前記複数のコンテナのそれぞれについて、前記コンテナを入庫すべき前記保管棚を特定するための入庫位置情報を決定した解候補を、複数、生成する解候補生成工程と、前記複数の解候補のそれぞれについて、前記入庫位置情報に応じて入庫された前記複数のコンテナが、全て出庫されるまでに要する出庫時間を推定する出庫時間推定工程と、前記複数の解候補について、それぞれ推定された前記出庫時間を用いた最適化を行う最適化工程と、最適化された前記複数の解候補のそれぞれについて、前記コンテナ配列に対する入出庫テーブルであって、前記入庫位置情報と、前記コンテナ毎に予め定められた前記コンテナの出庫順情報と、の組み合わせを含む入出庫テーブルを生成するテーブル生成工程と、を備える。
【0010】
この構成によれば、コンテナ配列を用いて生成された解候補のそれぞれについて、出庫時間を用いて最適化されて入出庫テーブルが生成される。このため、生成された入出庫テーブルを用いて、複数のコンテナを複数の保管棚へと入庫すれば、入出庫テーブルとは異なる入庫アルゴリズムを用いた場合と比較して、出庫時の仕分量が向上する。すなわち、本実施形態の入出庫テーブルを用いて、各コンテナが入庫する保管棚における入庫位置が決定されることにより、全てのコンテナが仕分機から出庫する時間を短くできる。この結果、倉庫として機能する仕分機に入庫したコンテナを出庫する際の仕分け能力が向上する。
【0011】
(2)上記態様の方法において、前記最適化工程は、前記解候補生成工程により生成された前記複数の解候補のうち、推定された前記出庫時間が前記閾値未満となる前記解候補に対して、遺伝的アルゴリズムを用いて次世代の前記解候補を生成し、前記テーブル生成工程は、前記最適化工程により得られた次世代の前記解候補のそれぞれについて前記入出庫テーブルを生成してもよい。
この構成によれば、入出庫テーブルを生成する際の最適化手段として遺伝的アルゴリズムが用いられることにより、短時間で出庫時間がより短い入出庫テーブルを生成できる。
【0012】
(3)上記態様の方法において、さらに、前記配列生成工程により生成されたコンテナ配列に対して、予め設定された制約条件を付加した前記コンテナ配列を生成する制約付加工程を備え、前記最適化工程は、前記複数の解候補について、前記制約条件を満たすように、それぞれ推定された前記出庫時間を用いた最適化を行ってもよい。
この構成によれば、保管棚の運用状況に応じてコンテナ配列に制約が付加されて入出庫テーブルが生成される。これにより、保管棚の運用状況に応じて、コンテナを出庫させる際の仕分け能力が向上した最適な入出庫テーブルが生成される。
【0013】
(4)上記態様の方法において、前記制約付加工程は、前記複数の保管棚のそれぞれ入庫されるコンテナ数が均等になる前記制約条件を付加した前記コンテナ配列を生成してもよい。
この構成によれば、例えば出庫時間が最も短い特定の保管棚にコンテナの入庫が集中して全ての保管棚にコンテナを入庫できない入出庫テーブルの生成が抑制される。すなわち、制約が付加されることにより、複数の保管棚の全てにコンテナが入庫可能な入出庫テーブルのみを生成できる。
【0014】
(5)上記形態の方法において、さらに、前記仕分機に入庫する各前記コンテナについて、各前記コンテナの前記出庫順情報を識別する識別工程と、識別された各前記コンテナの前記出庫順情報と、前記記憶部に記憶されている前記入出庫テーブルに含まれる前記出庫順情報とを照らし合わせることにより、識別工程後10秒以内に前記出庫順情報が識別された前記コンテナの入庫位置を決定する位置決定工程と、決定された前記入庫位置に前記コンテナを入庫させる入庫工程と、を備えていてもよい。
この構成によれば、複数の保管棚にコンテナが入庫する直前になってコンテナの送り先が確定する場合や、識別部よりも入庫側コンベアの上流側のコンテナの送り先や出庫順が不明な場合であっても、短時間で出庫順情報が識別された各コンテナの入庫位置を決定できる。
【0015】
(6)本発明の他の一形態によれば、仕分機が提供される。この仕分機は、上記形態の前記入出庫テーブルが記憶された記憶部と、複数の保管棚と、前記コンテナを運搬し、前記入出庫テーブルの前記入庫位置情報により特定される一の前記保管棚に入庫させる入庫装置と、を備える。
この構成の仕分機は、記憶部に記憶された入出庫テーブルを用いることにより、保管棚に保管された全てのコンテナが仕分機から出庫する時間を短くできる。
【0016】
(7)上記形態の仕分機において、さらに、前記入出庫テーブルの前記出庫順情報に従った順序で、複数の前記保管棚から、複数の前記コンテナをそれぞれ出庫させる出庫装置を備える。
この構成の仕分機は、入出庫テーブルの出庫順情報を用いて保管棚に保管された各コンテナを出庫するため、全てのコンテナを出庫する時間を短くできる。
【0017】
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能であり、例えば、仕分機、自動倉庫、立体倉庫、保管棚、これらを備える装置およびシステム、コンテナ入出庫を最適化する方法、コンテナの入庫方法、これら装置や方法を実行するためのコンピュータプログラム、このコンピュータプログラムを配布するためのサーバ装置、およびコンピュータプログラムを記憶した一時的でない記憶媒体等の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態における仕分機の概略図である。
図2】入庫側昇降機および識別部の説明図である。
図3】制御部の概略ブロック図である。
図4】仕分機の運用状況に応じた制約条件の説明図である。
図5】仕分機の運用状況に応じた制約条件の説明図である。
図6】入出庫テーブルについての説明図である。
図7】入出庫テーブルについての説明図である。
図8】保管棚のそれぞれに入庫するコンテナの数についての説明図である。
図9】保管棚のそれぞれに入庫するコンテナの数についての説明図である。
図10】仕分機に入庫するコンテナを最適化する入出庫テーブル生成のフローチャートである。
図11】各コンテナを仕分機に入庫する方法のフローチャートである。
図12】比較例の入庫フローの説明図である。
図13】実施例の評価についての説明図である。
図14】実施例の評価についての説明図である。
図15】実施例の評価についての説明図である。
図16】コンテナの総数が16個の場合の入出庫テーブルの一例である。
図17】各コンテナの入庫が完了された状態の保管棚の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<実施形態>
1.仕分機の構成:
図1は、本発明の実施形態における仕分機300の概略図である。本実施形態の仕分機300は、例えば物流拠点の配送センターに設置されて、届け先が異なる複数のコンテナCTの入庫および出庫を行う装置である。なお、入庫と出庫を相称して「入出庫」とも呼ぶ。本実施形態の仕分機300は、立体倉庫100に複数のコンテナCTを入庫させる際に、最適化された入出庫テーブルを用いることにより、単位時間当たりのコンテナCTを仕分ける仕分け能力を向上させることができる。
【0020】
図1に示されるように、仕分機300は、複数のコンテナCTの入庫および出庫が行われる立体倉庫100と、立体倉庫100へと各コンテナCTを仕分けるために立体倉庫100の各部を制御する制御部200と、を備えている。図1に示される複数のコンテナCTには、ハッチングが施されたコンテナCTと、ハッチングが施されていないコンテナCTとが含まれている。本実施形態におけるコンテナCTに施されたハッチングの有無およびハッチングの種類は、コンテナCTの届け先により区別されている。例えば、同じハッチングが施されたコンテナCTは、同じ届け先に届けられる。
【0021】
図1に示されるように、立体倉庫100は、入庫される複数のコンテナCTを運搬する入庫側コンベア10と、各コンテナCTに貼られたバーコードを読み取る識別部70と、複数の保管棚40a~40dと、各コンテナCTを保管棚40a~40dのいずれかに運搬する入庫側昇降機20および分岐装置30と、出庫側昇降機50と、出庫側コンベア60と、を備えている。なお、入庫側コンベア10と、入庫側昇降機20と、分岐装置30とは、入庫装置に相当する。プッシャ44dと出庫側昇降機50と出庫側コンベア60とは、出庫装置に相当する。
【0022】
入庫側コンベア10は、外部から入庫側昇降機20へと、間隔を空けて複数のコンテナCTを運搬するベルトコンベアである。識別部70は、入庫側コンベア10により運搬される各コンテナCTの側面に貼られたバーコードを読み取る。これにより、識別部70は、バーコードに紐付けられた、各コンテナCTの送り先に関する情報を識別する。本実施形態では、各コンテナCTの送り先に応じて、立体倉庫100に入庫された複数のコンテナCTが出庫される際の順番が決まる。識別部70は、読み取った各コンテナCTのバーコードを制御部200へと送信する。なお、本実施形態における各コンテナCTが出庫される順番(出庫順)についての情報は、出庫順情報に相当する。そのため、識別部70は、仕分機300に入庫する各コンテナCTについて、各コンテナCTの出庫順情報を識別するとも換言できる。
【0023】
保管棚40a~40dは、図1に示されるように、1階から4階までの各階に対応して配置されている。保管棚40a~40dのそれぞれは、同一の構造を有する。そのため、保管棚40a~40dのうちの4階に配置されている保管棚40dについて説明し、その他の保管棚40a~40cの説明を省略する。
【0024】
保管棚40dは、入庫側昇降機20から出庫側昇降機50へとコンテナCTを運搬するコンベア41dと、コンベア41dの運搬方向に沿って両側に形成された右棚42dおよび左棚43dと、プッシャ44dと、を備えている。右棚42dおよび左棚43dには、分岐装置30により仕分けられたコンテナCTが保管される。右棚42dと左棚43dとのそれぞれには、実線で区画された複数のコンベアにより構成されている。制御部200によりそれぞれのコンベアの駆動が制御され、右棚42dおよび左棚43dに仕分けられた各コンテナCTは、出庫側昇降機50側から詰めて保管される。
【0025】
コンベア41dは、載置されたコンテナCTを出庫側昇降機50へと運搬する。プッシャ44dは、制御部200の制御により駆動し、右棚42dまたは左棚43dに保管されているコンテナCTのうち、指定されたコンテナCTをコンベア41d側へと押し出す。なお、図1では、右棚42dに保管されたコンテナCTを押し出すプッシャ44dのみが図示され、左棚43dに保管されたコンテナCTを押し出すプッシャの図示が省略されている。
【0026】
図2は、入庫側昇降機20および識別部70の説明図である。図2には、入庫側昇降機20の概略断面図が示されている。図2に示されるように、入庫側昇降機20は、入庫側コンベア10側に位置する上流側昇降ボックス21と、分岐装置30側に位置する下流側昇降ボックス22とを備えている。上流側昇降ボックス21と下流側昇降ボックス22とは、制御部200の制御により、鉛直方向に沿って互い違いに昇降する。図2に示されるように、上流側昇降ボックス21は、コンテナCTを受け入れ可能な4つの授受室21a~21dを備える。同じように、下流側昇降ボックス22は、コンテナCTを受け入れ可能な4つの授受室22a~22dを備える。入庫側コンベア10から入庫した各コンテナCTは、上流側昇降ボックス21と下流側昇降ボックス22とを介して、分岐装置30へと運搬される。出庫側昇降機50は入庫側昇降機20と同じ構成を備え、出庫側コンベア60は入庫側コンベア10と同じ構成を備えるため、出庫側昇降機50および出庫側コンベア60の説明を省略する。
【0027】
識別部70は、入庫側コンベア10により運搬される各コンテナCTのバーコードを読み取る。本実施形態では、バーコードを読み取られたコンテナCTが入庫側昇降機20の入口23に到達するまでの時間が10秒以内になるように、識別部70の位置および入庫側コンベア10の運搬速度が制御されている。そのため、本実施形態の制御部200は、識別部70によりバーコードが読み取られてから10秒以内に、コンテナCTを入庫させる保管棚40a~40dにおける入庫位置を決定する。なお、各コンテナCTの送り先は、識別部70によりバーコードが読み取られるまでは送り先不明の状態である。
【0028】
図3は、制御部200の概略ブロック図である。制御部200は、パーソナルコンピュータ(Personal Computer)である。図3に示されるように、制御部200は、各種プログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)210と、各種データを記憶する記憶部220と、ユーザからの操作を受け付ける操作部230と、CPU210からの制御信号により画像および音声を出力する出力部240と、を備えている。
【0029】
操作部230は、キーボードおよびマウスから構成されている。出力部240は、画像を表示可能なモニタと、音声を出力するスピーカとから構成されている。記憶部220は、ハードディスクドライブ(HDD:Hard Disk Drive)などで構成されている。図3に示されるように、記憶部220は、保管棚40a~40dに保管された各コンテナCTを出庫する際に用いられる出庫アルゴリズムを記憶するアルゴリズムデータベース(アルゴリズムDB)221と、コンテナCTを入庫する保管棚40a~40dを決定するための入出庫テーブルを記憶したテーブルデータベース(テーブルDB)222と、所定の条件を満たす解候補を一時的に保存する解候補データベース(解候補DB)223と、を備えている。なお、出庫アルゴリズムおよびテーブルと、解候補との詳細については後述する。
【0030】
CPU210は、図示されていないROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)に接続され、ROMに格納されているコンピュータプログラムをRAMに展開して実行することにより、仕分機300の各部を制御する。そのほかCPU210は、図3に示されるように、配列生成部211と、制約付加部212と、解候補生成部213と、出庫時間推定部214と、最適化部215と、テーブル生成部216と、入出庫制御部217として機能する。配列生成部211と、制約付加部212と、解候補生成部213と、出庫時間推定部214と、最適化部215と、テーブル生成部216とは、入出庫テーブルを生成する。
【0031】
配列生成部211は、仕分機300が備える複数の保管棚40a~40dにそれぞれ入庫される複数のコンテナCTについて、複数のコンテナCTの情報を含むコンテナ配列を生成する。本実施形態において配列生成部211により生成されるコンテナ配列は、保管棚40a~40dのそれぞれにおける右棚と左棚とのそれぞれに入庫可能なコンテナ数である。
【0032】
制約付加部212は、配列生成部211により生成されたコンテナ配列に対して、予め設定された制約条件を付加したコンテナ配列を生成する。本実施形態の制約付加部212は、仕分機300の運用状況に応じて、保管棚40a~40d等に対する制約条件を設けたコンテナ配列を生成する。
【0033】
図4および図5は、仕分機300の運用状況に応じた制約条件の説明図である。図4および図5には、保管棚40a~40dが有する特定の棚にコンテナCTを入庫できない制約条件が設けられた場合の保管棚40a~40dの概略上面図が示されている。図4には、制約条件として、2階の保管棚40bの右棚42bと左棚43bとのそれぞれにコンテナCTが入庫できずに、他の保管棚40a,40c,40dの右棚42a,42c,42dと左棚43a,43c,43dとの全てにコンテナCTが入庫された状態が示されている。図5には、制約条件として、1階の保管棚40aの右棚42aと3階の保管棚40cの左棚43cとにコンテナCTが入庫できずに、他の保管棚40a~40dの右棚42b~42dと左棚43a,43b,43dとの全てにコンテナCTが入庫された状態が示されている。また、本実施形態の制約付加部212は、複数の保管棚40a~40dのそれぞれ入庫されるコンテナCTの数が均等になるコンテナ配列を生成する。
【0034】
解候補生成部213は、配列生成部211により生成されたコンテナ配列を用いて、複数のコンテナCTのそれぞれについて、コンテナCTを入庫すべき入庫位置情報を決定した解候補を複数生成する。入庫位置情報とは、各コンテナCTが保管される保管棚40a~40dの右棚42a~42dおよび左棚43a~43dのいずれかを特定するための情報である。換言すると、入庫位置情報とは、保管棚40a~40dにおいて、各コンテナCTが入庫して保管される入庫位置についての情報である。本実施形態では、解候補生成部213は、各コンテナCTが入庫して保管される入庫位置を乱数で指定した複数の解候補を生成する。
【0035】
出庫時間推定部214は、解候補生成部213により生成された複数の解候補のそれぞれについて、入庫位置情報に応じて入庫された複数のコンテナCTが、全て出庫されるまでに要する出庫時間を算出する。出庫時間推定部214は、入庫側コンベア10の運搬速度等を用いることにより、解候補のそれぞれにおける出庫時間を推定できる。
【0036】
最適化部215は、複数の解候補について、それぞれ推定された出庫時間を用いた最適化を行う。本実施形態の最適化部215は、出庫時間推定部214により推定された出庫時間が予め設定された目標時間以内であるか否かを判定する。最適化部215は、出庫時間が目標時間以内の解候補を解候補データベース(解候補DB)保存する。
【0037】
最適化部215は、複数の解候補に対して、計算回数が予め設定された所定回数に達するまで、解候補生成部213により新たな解候補を生成する最適化を行う。本実施形態の最適化部215は、最適化の計算回数が所定回数に達するまで、推定された出庫時間が最も短い4個の解候補に対して、遺伝的アルゴリズムを用いて次世代の解候補を生成する。
なお、次世代の解候補は、配列生成部211により生成されるコンテナ配列に制約条件が設けられているため、制約条件を満たすように生成されている。
【0038】
テーブル生成部216は、得られた次世代の解候補のそれぞれについてコンテナ配列に対する入出庫テーブルを生成する。入出庫テーブルは、入庫位置情報と、コンテナCT毎に予め定められたコンテナCTの出庫順情報と、の組み合わせを含んでいる。本実施形態の入出庫テーブルに含まれる出庫順情報は、仕分機300に入庫された各コンテナCTの出庫順についての情報である。テーブル生成部216は、仕分機300に入庫されるコンテナCTの総数に応じた入出庫テーブルを生成する。
【0039】
図6および図7は、入出庫テーブルについての説明図である。図6には、仕分機300に入庫されるコンテナCTの総数が20個の場合における各コンテナCTの入出庫テーブルが示されている。図6に示される入出庫テーブルでは、例えば、出庫時における順番が「1」のコンテナCTは、4階の保管棚40dの右棚42dに保管されるように設定されている。出庫時における順番が「5」のコンテナCTは、3階の保管棚40cの左棚43cに保管されるように設定されている。
【0040】
図7には、仕分機300に入庫されるコンテナCTの総数が20,80,120個の場合における各コンテナCTの入出庫テーブルが示されている。図7に示されるように、本実施形態では、コンテナCTの総数に応じた複数の入出庫テーブルが記憶部220のテーブルDB222に記憶されている。
【0041】
図8および図9は、保管棚40a~40dのそれぞれに入庫するコンテナCTの数についての説明図である。図8には、本実施形態のテーブル生成部216により生成された入出庫テーブルにより、保管棚40a~40dにそれぞれに入庫したコンテナCTの概略が示されている。図9には、比較例の入庫アルゴリズムにより入庫したコンテナCTの概略が示されている。
【0042】
図8に示されるように、本実施形態の入出庫テーブルが用いられた場合には、制約条件により各保管棚40a~40dのそれぞれに均等にコンテナCTが入庫しているため、保管棚40a~40dの全てが有効に活用されている。一方で、図9に示される仕分機300では、出庫時間が最も短い2階の保管棚40bへのコンテナCTの入庫が優先された結果、保管棚40bに入庫するコンテナCTが多くなっている。これにより、図9に示される状態は、全ての保管棚40a~40dにコンテナCTを入庫する指示が出せない状態である。
【0043】
なお、本明細書でいう「均等」とは、均等に近い数値も含んでいる。例えば、仕分機300に入庫されるコンテナCTの総数が30個、かつ、保管棚40a~40dの全ての棚にコンテナCTが入庫可能な状況において均等である場合に、各保管棚40a~40dのそれぞれに入庫するコンテナCTの平均は、7.5個(=30/4)である。この場合における「均等」とは、各保管棚40a~40dのそれぞれに入庫するコンテナCTの数が7個または8個のことをいう。換言すると、各保管棚40a~40dのそれぞれに入庫するコンテナCTの数は、平均値(7.5)±1の範囲に含まれる正数個である。
【0044】
図3に示される入出庫制御部217は、入出庫テーブルを用いて仕分機300に入出庫される各コンテナCTを制御する。具体的には、入出庫制御部217は、識別部70により識別された各コンテナCTの出庫順情報と、テーブルDB222に記憶されている入出庫テーブルに含まれる出庫順情報とを照らし合わせることにより、各コンテナCTの入庫位置を決定する。入出庫制御部217は、出庫の優先度としての出庫順情報が記載された計画に記載されているコンテナの数を、仕分機300に入庫するコンテナCTの総数とする。なお、コンテナCTの総数を決定する方法として周知技術を適用できる。入出庫制御部217は、仕分機300に入庫するコンテナCTの総数から、コンテナCTの入庫に用いる入出庫テーブルをテーブルDB222から選択する。本実施形態では、識別部70と入庫側昇降機20の入口との位置関係により、入出庫制御部217は、識別部70による各コンテナCTの識別後10秒以内に、各コンテナCTの入庫位置を決定する。入出庫制御部217は、入庫側コンベア10と入庫側昇降機20と分岐装置30とを制御することにより、入庫位置に応じた各保管棚40a~40dへと運搬する。また、入出庫制御部217は、入出庫テーブルの出庫順情報(例えば、図6,7)に従った順序で、保管棚40a~40dから、プッシャ44dと出庫側昇降機50と出庫側コンベア60とを用いて、各コンテナCTを出庫させる。
【0045】
2.テーブル生成フロー:
図10は、仕分機300に入庫するコンテナCTを最適化する入出庫テーブル生成のフローチャートである。図10に示されるテーブル生成フローでは、初めに、配列生成部211が保管棚40a~40dにそれぞれ入庫される複数のコンテナCTの情報を含むコンテナ配列を生成する配列生成工程を行う(ステップS1)。
【0046】
制約付加部212は、配列生成部211により生成されたコンテナ配列に対して、予め設定された制約条件を付加したコンテナ配列を生成する制約付加工程を行う(ステップS2)。制約条件としては、種々の条件を用いることができる。例えば、制約条件として、図4,5に示されるコンテナCTを入庫できない棚が存在することや、図8に示される各保管棚40a~40dに入庫されるコンテナCTの数が均等であること等の条件を用いることができる。
【0047】
解候補生成部213は、コンテナ配列を用いて、コンテナCTを保管棚40a~40dに入庫すべき入庫位置情報を決定した複数の解候補を生成する解候補生成工程を行う(ステップS3)。解候補生成部213は、各コンテナCTが入庫して保管される入庫位置を乱数で指定した複数の解候補を生成する。出庫時間推定部214は、複数の解候補のそれぞれについて、入庫位置情報に応じて入庫された複数のコンテナCTが全て出庫されるまでに要する出庫時間を推定する出庫時間推定工程を行う(ステップS4)。
【0048】
最適化部215は、複数の解候補のそれぞれについて、推定された出庫時間が目標時間以内であるか否かを判定する(ステップS5)。最適化部215は、出庫時間を目標時間以内であると判定した場合(ステップS5:YES)、判定した解候補を解候補DB223に保存(ステップS6)したのち、処理をステップS7に遷移させる。最適化部215は、出庫時間が目標時間を超えると判定した場合(ステップS5:NO)、処理をステップS7に遷移させる。ステップS7において最適化部215は、最適化工程を行う(ステップS7)。最適化工程では、最適化部215が、解候補DB223に保存された解候補およびステップS5の処理で判定された解候補のうちから、出庫時間が短い4個の解候補について、それぞれ推定された出庫時間を用いて最適化する。最適化部215は、最適化手段として、解候補DB123に保存された解候補等に対して、遺伝的アルゴリズムを用いて次世代の解候補を生成することができる。
【0049】
最適化部215は、ステップS7での最適化の計算回数が所定回数を超えているか否かを判定する(ステップS8)。最適化の計算回数が所定回数以下であると判定された場合(ステップS8:NO)、処理をステップS5に遷移させ、ステップS5以降の処理を繰り返す。最適化の計算回数が所定回数を超えると判定された場合には(ステップS8:YES)、テーブル生成部216は、最適化された複数の解候補のそれぞれについて、コンテナ配列に対する入出庫テーブルを生成するテーブル生成工程を行う(ステップS9)。本実施形態では、テーブル生成部216は、最適化された解候補として、得られた次世代の解候補のそれぞれについて入出庫テーブルを生成する。テーブル生成部216は、図6,7に示される、仕分機300に入庫するコンテナCTの総数毎に、入庫位置情報と出庫順情報とを組み合わせた入出庫テーブルを生成する。テーブル生成部216は、生成した入出庫テーブルをテーブルDB222に保存し(ステップS10)、テーブル生成フローが終了する。
【0050】
3.入庫フロー:
図11は、各コンテナCTを仕分機300に入庫する方法のフローチャートである。図11に示される入庫フローでは、初めに、識別部70が、入庫側コンベア10により運搬される各コンテナCTのバーコードを読み取る識別工程を行う(ステップS21)。入出庫制御部217は、識別部70により読み取られたバーコードから、コンテナCTの出庫順を決定する(ステップS22)。入出庫制御部217は、コンテナCTのバーコードから、コンテナCTの送り先および出庫順(出庫の優先度)についての情報を取得する。入出庫制御部217は、出庫の優先度が記載された計画に記載されているコンテナの数を、仕分機300に入庫するコンテナCTの総数とする。
【0051】
入出庫制御部217は、仕分機300に入庫するコンテナCTの総数から、コンテナCTの入庫に用いる入出庫テーブルをテーブルDB222から選択する(ステップS23)。入出庫制御部217は、選択した入出庫テーブルの出庫順情報と、バーコードが読み取られたコンテナCTの出庫順情報とを照らし合わせることにより、当該コンテナCTの入庫位置を決定する(ステップS24)。本実施形態では、識別部70によりコンテナCTのバーコードが読み取られてから、コンテナCTの入庫位置を決定するまでの処理が10秒以内に行われる。なお、ステップS22からステップS24までの処理は、位置決定工程に相当する。
【0052】
入出庫制御部217は、入庫側昇降機20と分岐装置30とを制御することにより、決定した入庫位置に応じたコンテナCTへの入庫指示を行う(ステップS25)。入出庫制御部217は、仕分機300への全てのコンテナCTの入庫が完了したか否かを判定する(ステップS26)。入出庫制御部217は、入庫が完了していないと判定した場合には(ステップS26:NO)、引き続き、ステップS24以降の処理を運搬される各コンテナCTに対して行う。ステップS26の処理において、入庫が完了したと判定された場合には(ステップS26:YES)、入庫フローが終了する。なお、ステップS25およびステップS26までの処理は、入庫工程に相当する。
【0053】
4.入出庫テーブルを用いた入出庫の評価:
図12から図15までの各図は、実施例の評価についての説明図である。本実施形態の入庫フローを用いた実施例と、比較例とのそれぞれについて、記憶部220のアルゴリズムDB221に記憶された2つの異なる出庫アルゴリズムを用いて、単位時間当たりのコンテナCTの仕分量について評価した。比較例の入庫フローは、ランダムで各コンテナCTを保管棚40a~40dに入庫する。
【0054】
図12には、比較例の入庫フローが示されている。図12の比較例の入庫フローでは、初めに、入庫側コンベア10により運搬される各コンテナCTのバーコードが読み取られる識別工程が行われる(ステップS31)。次に、保管棚40a~40dにおいてコンテナCTが入庫可能な棚の空き情報が確認される(ステップS32)。空きがある棚に対してランダムでコンテナCTの入庫位置が決定される(ステップS33)。決定された入庫位置にコンテナCTが入庫される(ステップS34)。保管棚40a~40dへの全てのコンテナCTの入庫が完了すると(ステップS35:YES)、比較例の入庫フローが終了する。
【0055】
図13には、2つの異なる出庫アルゴリズムを用いて、仕分量の比較を行った評価結果が示されている。具体的には、100パターンのコンテナ配列に対して、第1の出庫アルゴリズムを用いて128個のコンテナCTの入出庫が行われた場合の評価が示されている。図14には、50パターンのコンテナ配列に対して、第2の出庫アルゴリズムを用いて100個のコンテナCTの入出庫が行われた場合の評価が示されている。図13および図14では、単位時間当たりの仕分量を横軸として定義した場合に、各仕分量に含まれるコンテナ配列のパターン数の頻度が縦軸として示されている。例えば、図13において、実施例と比較例とのそれぞれにおける棒グラフの合計は、コンテナ配列の数の「100」である。図15には、図13,14の結果が表として示されている。表中の実施例の数字は、比較例の仕分量の平均値を100とした場合の仕分量の平均値である。
【0056】
図13~15に示されるように、実施例と比較例とのそれぞれに対して第1アルゴリズムおよび第2アルゴリズムの出庫アルゴリズムを用いた場合、実施例の仕分量の方が比較例よりも多くなる。具体的には、図15に示されるように、第1アルゴリズムの場合に、実施例の仕分量は、比較例に対して18%向上する。同じように、第2アルゴリズムの場合に、実施例の仕分量は、比較例に対して25%向上する。
【0057】
5.コンテナの出庫順と送り先との関係:
本実施形態の入出庫テーブルを用いてコンテナCTが保管棚40a~40dに入庫すると、各コンテナCTの入庫位置は、コンテナCTの出庫順情報により決定する。すなわち、各コンテナCTの入庫位置は、コンテナCTの送り先の種類や送り先毎のコンテナCTの数に関わらず決定する。
【0058】
図16は、コンテナCTの総数が16個の場合の入出庫テーブルの一例である。図17は、各コンテナCTの入庫が完了した状態の保管棚40a~40dの概略図である。図17には、図16の入出庫テーブルを用いた場合の各コンテナCTの入庫位置と、各コンテナCTの出庫順を表す数字と、が示されている。例えば、数字の「1」は、出庫順が1番目のコンテナCTの入庫位置である。図17に示されるように、図16の入出庫テーブルにより参照されるコンテナCTの出庫順に応じて、各コンテナCTの入庫位置が決定する。
【0059】
以上説明したように、本実施形態のテーブル生成フローでは、図10に示されるように、制御部200は、配列生成工程と、解候補生成工程と、出庫時間推定工程と、最適化工程と、テーブル生成工程とを実行する。配列生成工程では、保管棚40a~40dにそれぞれ入庫される複数のコンテナCTの情報を含むコンテナ配列が生成される。解候補生成工程では、コンテナ配列を用いて、コンテナCTを保管棚40a~40dに入庫すべき入庫位置情報を決定した複数の解候補が生成される。出庫時間推定工程では、複数の解候補のそれぞれについて、入庫位置情報に応じて入庫された複数のコンテナCTが全て出庫されるまでに要する出庫時間が推定される。最適化工程では、複数の解候補について、それぞれ推定された出庫時間を用いた最適化工程が行われる。テーブル生成工程では、最適化された複数の解候補のそれぞれについて、コンテナ配列に対する入出庫テーブルが生成される。本実施形態のテーブル生成フローによれば、コンテナ配列を用いて生成された解候補のそれぞれについて、出庫時間を用いて最適化されて入出庫テーブルが生成される。このため、生成された入出庫テーブルを用いて、複数のコンテナCTを仕分機300へと入庫し、異なる2つの出庫アルゴリズムにより出庫すれば、図13~15に示されるように、他の入庫のアルゴリズムを用いた場合と比較して、出庫時の仕分量が向上する。すなわち、本実施形態の入出庫テーブルを用いて、各コンテナCTが入庫する仕分機300内の入庫位置が決定されることにより、全てのコンテナCTが仕分機300から出庫する時間を短くできる。この結果、倉庫として機能する仕分機300に入庫したコンテナCTを出庫させる際の仕分け能力が向上する。
【0060】
また、本実施形態のテーブル生成フローでは、最適化工程を行う最適化部215は、解候補生成部213により生成された複数の解候補のうち、解候補DB123に保存された解候補に対して、遺伝的アルゴリズムを用いて次世代の解候補を生成する。テーブル生成工程では、得られた次世代の解候補のそれぞれについて入出庫テーブルが生成される。本実施形態によれば、入出庫テーブルを生成する際の最適化手段として遺伝的アルゴリズムが用いられることにより、短時間で出庫時間がより短い入出庫テーブルを生成できる。
【0061】
また、本実施形態のテーブル生成フローでは、生成されたコンテナ配列に対して、予め設定された制約条件を付加したコンテナ配列を生成する制約付加工程が行われる。最適化工程では、複数の解候補について、制約条件を満たすように出庫時間を用いた最適化が行われる。そのため、本実施形態のテーブル生成フローでは、保管棚40a~40dの運用状況に応じてコンテナ配列に制約が付加されて入出庫テーブルが生成される。これにより、保管棚40a~40dの運用状況に応じて、コンテナCTを出庫させる際の仕分け能力が向上した最適な入出庫テーブルが生成される。
【0062】
本実施形態の制約付加部212は、複数の保管棚40a~40dのそれぞれ入庫されるコンテナCTの数が均等になるコンテナ配列を生成する。そのため、本実施形態では、例えば図9に示されるような出庫時間が最も短い保管棚40bにコンテナCTの入庫が集中して全ての保管棚40a~40dにコンテナCTを入庫できない入出庫テーブルの生成が抑制される。すなわち、制約が付加されることにより、保管棚40a~40dの全てにコンテナCTが入庫可能な入出庫テーブルのみを生成できる。
【0063】
また、本実施形態の入庫フローでは、さらに、図11に示されるように、識別工程(ステップS21)と、入庫工程に相当するステップS22~S26までの処理とが行われる。識別工程では、保管棚40a~40dに入庫する各コンテナCTについて、各コンテナCTの出庫順情報が識別される。位置決定工程では、入出庫制御部217が、選択した入出庫テーブルの出庫順情報と、バーコードが読み取られたコンテナCTの出庫順情報とを照らし合わせることにより、バーコードの識別から10秒以内に当該コンテナCTの入庫位置を決定する。本実施形態では、識別部70によりコンテナCTのバーコードが読み取られてから10秒以内に仕分機300に入庫する各コンテナCTの入庫位置が決定される。そのため、仕分機300にコンテナCTが入庫する直前になってコンテナCTの送り先が確定する場合や、識別部70よりも入庫側コンベア10の上流側のコンテナCTの送り先や出庫順が不明な場合であっても、短時間でバーコードが識別された各コンテナCTの入庫位置を決定できる。
【0064】
また、本実施形態の仕分機300では、記憶部220のテーブルDB222が入出庫テーブルを記憶する。入庫側コンベア10と入庫側昇降機20と分岐装置30とは、コンテナCTを保管棚40a~40dへと運搬し、入出庫テーブルにより特定される入庫位置に各コンテナCTを入庫させる。すなわち、本実施形態の仕分機300は、テーブルDB222に記憶された入出庫テーブルを用いることにより、保管棚40a~40dに保管された全てのコンテナCTが仕分機300から出庫する時間を短くできる。
【0065】
また、本実施形態の入出庫制御部217は、入出庫テーブルの出庫順情報(例えば、図6,7)に従った順序で、保管棚40a~40dから、プッシャ44dと出庫側昇降機50と出庫側コンベア60とを用いて、各コンテナCTを出庫させる。本実施形態の仕分機300は、入出庫テーブルの出庫順情報を用いて保管棚40a~40dに保管された各コンテナCTを出庫するため、全てのコンテナCTを出庫する時間を短くできる。
【0066】
<実施形態の変形例>
本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0067】
上記実施形態では、仕分機300、テーブル生成フロー、および入庫フローの一例について説明されたが、仕分機300が備える構成および実行する制御やテーブル生成フローおよび入庫フローが備える工程については変形可能である。
【0068】
例えば、仕分機300は、入出庫テーブルを記憶する記憶部220と、複数の保管棚40a~40dと、保管棚40a~40dに各コンテナCTを入庫させる入庫装置とを備える範囲で変形可能である。そのため、仕分機300とは異なる別装置またはシステムが、保管棚40a~40dに保管されている各コンテナCTを出庫する出庫側昇降機50および出庫側コンベア60を備えていてもよい。複数の保管棚40a~40dは、2つ以上の異なる保管棚として構成されていればよく、例えば、仕分機300は、保管棚40c,40dを備えていなくてもよいし、保管棚40a~40dに加えて別の保管棚を備えていてもよい。保管棚40a~40dの形態は一例であって、各保管棚40a~40dが保管可能なコンテナCTの数が異なっていてもよいし、特定の保管棚が右棚のみしか備えていなくてもよい。保管棚40a~40dは、1階から4階までの各階に対応するように構成されたが、1階のみの保管棚40aを有する複数の倉庫が、複数の保管棚として機能してもよい。入庫装置は、保管棚に各コンテナCTを入庫できる装置の範囲で周知技術を適用できる。
【0069】
制御部200は、入出庫テーブルを記憶する記憶部220を備え、仕分機300の各部を制御するCPU210として機能したが、記憶部220と各部を制御する制御部(CPU210)とは、別々のハードウェアまたはソフトウェアとして構成されていてもよい。制御部200は、必ずしも入出庫テーブルを生成する必要はなく、入出庫テーブルを記憶する記憶部220を備えていればよい。そのため、仕分機300とは異なる別の装置により入出庫テーブルが生成されてもよい。ハードウェアによって実現されるとした構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されるとした構成の一部をハードウェアに置き換えるようにしてもよい。本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能である。
【0070】
上記実施形態のテーブル生成フローでは、制約付加工程において、制約付加部212が制約条件を満たすコンテナ配列を生成したが、制約条件の有無および生成されるコンテナ配列については変形可能である。例えば、テーブル生成フローは、制約付加工程を備えていなくてもよく、保管棚40a~40dの全ての右棚42a~42dおよび左棚43a~43dにコンテナCTが入庫可能、かつ、各保管棚40a~40dに入庫するコンテナCT数が均等でなくてもよい。また、制約付加工程では、別の制約が付加されていてもよい。
【0071】
上記実施形態の解候補生成部213は、乱数を用いて解候補を生成したが、別の方法により解候補を生成してもよい。例えば、解候補生成部213は、操作部230が受け付けた所定の操作に応じて解候補を生成してもよい。上記実施形態の最適化部215は、遺伝的アルゴリズムを用いて生成された解候補を最適化したが、最適化の方法については変形可能であり、遺伝的アルゴリズム以外の周知のアルゴリズムが適用されてもよい。最適化部215は、推定された出庫時間が短い4個の解候補に対して次世代の解候補を生成したが、3個以下の解候補または5個以上の解候補に対して次世代の解候補を生成してもよい。
【0072】
上記実施形態の仕分機300では、識別部70が、保管棚40a~40dに入庫する各コンテナCTの出庫順情報に対応するバーコードを読み取ったが、出庫順情報を読み取るための識別子はバーコード以外であってもよい。また、識別部70がバーコードを読み取ってから10秒以内に、バーコードが読み取られたコンテナCTの入庫位置が決定したが、入庫側コンベア10に対する識別部70の位置と、入庫側コンベア10の運搬速度との関係については変形可能である。識別部70がバーコードを読み取ってから、バーコードが読み取られたコンテナCTの入庫位置が決定するまでの時間は、10秒を超えてもよいし、10秒未満であってもよい。上記実施形態の仕分機300によれば、制御部200が予め生成された入出庫テーブルを用いることにより、識別部70が各コンテナCTの出庫順情報を読み取ってから入庫位置が決定するまでの時間と、全てのコンテナCTを出庫するまでの時間とを短くできる。
【0073】
以上、実施形態、変形例に基づき本態様について説明してきたが、上記した態様の実施の形態は、本態様の理解を容易にするためのものであり、本態様を限定するものではない。本態様は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本態様にはその等価物が含まれる。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することができる。
【符号の説明】
【0074】
10…入庫側コンベア(入庫装置)
20…入庫側昇降機(入庫装置)
21…上流側昇降ボックス
21a~21d…授受室
22…下流側昇降ボックス
22a~22d…授受室
23…入口
30…分岐装置
40a~40d…保管棚
41d…コンベア
42a~42d…右棚
43a~43d…左棚
44d…プッシャ(出庫装置)
50…出庫側昇降機(出庫装置)
60…出庫側コンベア(出庫装置)
70…識別部
100…立体倉庫
200…制御部
210…CPU
211…配列生成部
212…制約付加部
213…解候補生成部
214…出庫時間推定部
215…最適化部
216…テーブル生成部
217…入出庫制御部
220…記憶部
221…アルゴリズムDB
222…テーブルDB
223…解候補DB
230…操作部
240…出力部
300…仕分機
CT…コンテナ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17