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特開2022-190831基板洗浄装置、基板処理装置、ブレークイン装置、基板に付着する微粒子数の推定方法、基板洗浄部材の汚染度合い判定方法およびブレークイン処理の判定方法
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  • 特開-基板洗浄装置、基板処理装置、ブレークイン装置、基板に付着する微粒子数の推定方法、基板洗浄部材の汚染度合い判定方法およびブレークイン処理の判定方法 図1
  • 特開-基板洗浄装置、基板処理装置、ブレークイン装置、基板に付着する微粒子数の推定方法、基板洗浄部材の汚染度合い判定方法およびブレークイン処理の判定方法 図2
  • 特開-基板洗浄装置、基板処理装置、ブレークイン装置、基板に付着する微粒子数の推定方法、基板洗浄部材の汚染度合い判定方法およびブレークイン処理の判定方法 図3
  • 特開-基板洗浄装置、基板処理装置、ブレークイン装置、基板に付着する微粒子数の推定方法、基板洗浄部材の汚染度合い判定方法およびブレークイン処理の判定方法 図4
  • 特開-基板洗浄装置、基板処理装置、ブレークイン装置、基板に付着する微粒子数の推定方法、基板洗浄部材の汚染度合い判定方法およびブレークイン処理の判定方法 図5A
  • 特開-基板洗浄装置、基板処理装置、ブレークイン装置、基板に付着する微粒子数の推定方法、基板洗浄部材の汚染度合い判定方法およびブレークイン処理の判定方法 図5B
  • 特開-基板洗浄装置、基板処理装置、ブレークイン装置、基板に付着する微粒子数の推定方法、基板洗浄部材の汚染度合い判定方法およびブレークイン処理の判定方法 図6
  • 特開-基板洗浄装置、基板処理装置、ブレークイン装置、基板に付着する微粒子数の推定方法、基板洗浄部材の汚染度合い判定方法およびブレークイン処理の判定方法 図7
  • 特開-基板洗浄装置、基板処理装置、ブレークイン装置、基板に付着する微粒子数の推定方法、基板洗浄部材の汚染度合い判定方法およびブレークイン処理の判定方法 図8
  • 特開-基板洗浄装置、基板処理装置、ブレークイン装置、基板に付着する微粒子数の推定方法、基板洗浄部材の汚染度合い判定方法およびブレークイン処理の判定方法 図9
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022190831
(43)【公開日】2022-12-27
(54)【発明の名称】基板洗浄装置、基板処理装置、ブレークイン装置、基板に付着する微粒子数の推定方法、基板洗浄部材の汚染度合い判定方法およびブレークイン処理の判定方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20221220BHJP
【FI】
H01L21/304 648G
H01L21/304 644C
H01L21/304 644Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021099288
(22)【出願日】2021-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】230112025
【弁護士】
【氏名又は名称】小林 英了
(74)【代理人】
【識別番号】230117802
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100106840
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100131451
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 理
(74)【代理人】
【識別番号】100167933
【弁理士】
【氏名又は名称】松野 知紘
(74)【代理人】
【識別番号】100174137
【弁理士】
【氏名又は名称】酒谷 誠一
(74)【代理人】
【識別番号】100184181
【弁理士】
【氏名又は名称】野本 裕史
(72)【発明者】
【氏名】高橋 広毅
(72)【発明者】
【氏名】近藤 大地
(72)【発明者】
【氏名】今村 勇翔
【テーマコード(参考)】
5F157
【Fターム(参考)】
5F157AA96
5F157AB02
5F157AB14
5F157AB33
5F157AB48
5F157AB51
5F157AB64
5F157AB90
5F157AC01
5F157AC56
5F157BA14
5F157BA31
5F157CC03
5F157CD36
5F157CE29
5F157CE82
5F157CF14
5F157CF42
5F157CF44
5F157CF60
5F157DB37
5F157DC21
5F157DC90
(57)【要約】
【課題】洗浄部材の汚染度合いを監視する基板洗浄装置および基板処理装置ならびに基板洗浄部材の汚染度合い判定方法を提供する。また、基板に付着する微粒子数を推定できる基板洗浄装置および基板処理装置ならびに基板に付着する微粒子数の推定方法を提供する。
【解決手段】基板を保持する基板保持部と、保持された前記基板に摺接し、第1ノズルから供給される第1洗浄液を用いて前記基板を洗浄する基板洗浄部材と、前記基板保持部から離間された退避位置において、前記基板洗浄部材に摺接し、第2ノズルから供給される第2洗浄液を用いて前記基板洗浄部材を自己洗浄する自己洗浄部材と、前記基板洗浄部材の自己洗浄に用いられた前記第2洗浄液の排液の物性値を計測する計測手段と、前記排液の物性値に基づいて、前記洗浄された基板に付着する微粒子数を推定する制御部と、を備える基板洗浄装置が提供される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を保持する基板保持部と、
保持された前記基板に摺接し、第1ノズルから供給される第1洗浄液を用いて前記基板を洗浄する基板洗浄部材と、
前記基板保持部から離間された退避位置において、前記基板洗浄部材に摺接し、第2ノズルから供給される第2洗浄液を用いて前記基板洗浄部材を自己洗浄する自己洗浄部材と、
前記基板洗浄部材の自己洗浄に用いられた前記第2洗浄液の排液の物性値を計測する計測手段と、
前記排液の物性値に基づいて、前記洗浄された基板に付着する微粒子数を推定する制御部と、を備える基板洗浄装置。
【請求項2】
前記物性値は、微粒子数、pH値、電気伝導度および全有機体炭素濃度のいずれか1以上を含む、請求項1に記載の基板洗浄装置。
【請求項3】
基板を保持する基板保持部と、
保持された前記基板に摺接し、第1ノズルから供給される第1洗浄液を用いて前記基板を洗浄する基板洗浄部材と、
前記基板保持部から離間された退避位置において、前記基板洗浄部材に摺接し、第2ノズルから供給される第2洗浄液を用いて前記基板洗浄部材を自己洗浄する自己洗浄部材と、
前記基板洗浄部材の自己洗浄に用いられた前記第2洗浄液の排液の物性値を計測する計測手段と、
前記排液の物性値に基づいて、前記基板洗浄部材の汚染度合いを判定する制御部と、を備え、
前記物性値は、全有機体炭素濃度を含む、基板洗浄装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記排液の物性値に基づいて、前記洗浄された基板に付着する微粒子数を推定する、請求項3に記載の基板洗浄装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記排液の物性値に基づいて、自己洗浄の運転条件を決定する、請求項1乃至4のいずれかに記載の基板洗浄装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記排液の物性値に基づいて、基板洗浄の運転条件を決定する、請求項1乃至5のいずれかに記載の基板洗浄装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記排液の物性値に基づいて、前記基板洗浄部材の交換時期を決定する、請求項1乃至6のいずれかに記載の基板洗浄装置。
【請求項8】
前記基板洗浄部材の自己洗浄に用いられた前記第2洗浄液の排液を前記計測手段に導く第1配管と、
前記第1配管に設けられた三方弁と、
前記三方弁を介して前記計測手段にフラッシング水を供給する第2配管と、を備える、請求項1乃至7のいずれかに記載の基板洗浄装置。
【請求項9】
懸濁液を用いて基板を研磨する基板研磨装置と、
請求項1乃至8のいずれかに記載の基板洗浄装置と、を備える基板処理装置。
【請求項10】
基板洗浄を行う前の基板洗浄部材に摺接し、ノズルから供給される洗浄液を用いて前記基板洗浄部材のブレークイン処理を行う自己洗浄部材と、
前記ブレークイン処理に用いられた前記洗浄液の排液の物性値を計測する計測手段と、
前記排液の物性値に基づいて、前記ブレークイン処理が適正か否かを判定する制御部と、を備えるブレークイン装置。
【請求項11】
基板保持部によって基板を保持し、
保持された前記基板に基板洗浄部材を摺接させ、第1ノズルから供給される第1洗浄液を用いて前記基板を洗浄し、
前記基板保持部から離間された退避位置において、前記基板洗浄部材に自己洗浄部材を摺接させ、第2ノズルから供給される第2洗浄液を用いて前記基板洗浄部材を自己洗浄し、
前記基板洗浄部材の自己洗浄に用いられた前記第2洗浄液の排液の物性値を計測し、
前記排液の物性値に基づいて、前記洗浄された基板に付着する微粒子数を推定する、基板に付着する微粒子数の推定方法。
【請求項12】
基板保持部によって基板を保持し、
保持された前記基板に基板洗浄部材を摺接させ、第1ノズルから供給される第1洗浄液を用いて前記基板を洗浄し、
前記基板保持部から離間された退避位置において、前記基板洗浄部材に自己洗浄部材を摺接させ、第2ノズルから供給される第2洗浄液を用いて前記基板洗浄部材を自己洗浄し、
前記基板洗浄部材の自己洗浄に用いられた前記第2洗浄液の排液の全有機体炭素濃度を計測し、
前記排液の全有機炭素濃度に基づいて、前記基板洗浄部材の汚染度合いを判定する、基板洗浄部材の汚染度合い判定方法。
【請求項13】
基板洗浄を行う前の基板洗浄部材に自己洗浄部材を摺接させ、ノズルから供給される洗浄液を用いて前記基板洗浄部材のブレークイン処理を行い、
前記ブレークイン処理に用いられた前記洗浄液の排液の物性値を計測し、
前記排液の物性値に基づいて、ブレークイン処理が適正か否かを判定する、ブレークイン処理の判定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板洗浄装置、基板処理装置、ブレークイン装置、基板に付着する微粒子数の推定方法、基板洗浄部材の汚染度合い判定方法およびブレークイン処理の判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、基板に対して、研磨処理、洗浄処理および乾燥処理を順次行う基板処理装置が開示されている。研磨処理では、砥粒と研磨助剤とを含む懸濁液(スラリー)を用いて基板の表面が研磨される。その後の洗浄処理では、研磨処理によって基板の表面および裏面に付着したスラリーが洗浄部材を用いて除去される。その後の乾燥処理では、洗浄処理によって基板の表面および裏面に付着した液滴が除去される。
【0003】
ここで、洗浄処理が適切でない場合、基板に形成された素子の構造に欠陥が生じ、それによって素子の特性不良が生じ得る。そのため、素子の破壊や腐食を生じることなく、短時間で確実にスラリーを除去する洗浄処理方法の選択が必要である。こうした背景から、洗浄処理では、PVAスポンジを材質とした洗浄部材によるスクラブ洗浄が適用され、その補助的な役割で各種洗浄液が併用される(例えば、特許文献2)。
【0004】
スクラブ洗浄では、洗浄部材を基板に接触させる。そのため、洗浄部材自体の清浄度が洗浄効果の良否に影響する。すなわち、洗浄部材自体が清浄であれば、基板を適切に洗浄できる。しかし、洗浄部材の汚染が進むと、基板から汚染物質を除去する一方で、洗浄部材に堆積した汚染物質が基板に再付着(逆汚染)し、洗浄効果が得られなくなるおそれがある。
【0005】
この逆汚染を防ぐ手段の1つとして、一定の時間毎あるいは一定の処理枚数毎に洗浄部材自体を清浄化する自己洗浄という手法が知られている(例えば、特許文献3)。また、新品の洗浄部材に対してはブレークイン処理(新品の洗浄部材を使用開始する前のコンディショニング)が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2019-161107号公報
【特許文献2】特許第5866227号公報
【特許文献3】特許第3447869号公報
【特許文献4】特開平10-163143号公報
【特許文献5】特表2020-522126号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の1つの課題は、洗浄部材の汚染度合いを監視する基板洗浄装置および基板処理装置ならびに基板洗浄部材の汚染度合い判定方法を提供することである。また、本発明の別の課題は、基板に付着する微粒子数を推定できる基板洗浄装置および基板処理装置ならびに基板に付着する微粒子数の推定方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様によれば、基板を保持する基板保持部と、
保持された前記基板に摺接し、第1ノズルから供給される第1洗浄液を用いて前記基板を洗浄する基板洗浄部材と、
前記基板保持部から離間された退避位置において、前記基板洗浄部材に摺接し、第2ノズルから供給される第2洗浄液を用いて前記基板洗浄部材を自己洗浄する自己洗浄部材と、
前記基板洗浄部材の自己洗浄に用いられた前記第2洗浄液の排液の物性値を計測する計測手段と、
前記排液の物性値に基づいて、前記洗浄された基板に付着する微粒子数を推定する制御部と、を備える基板洗浄装置が提供される。
【0009】
前記物性値は、微粒子数、pH値、電気伝導度および全有機体炭素濃度のいずれか1以上を含んでもよい。
【0010】
本発明の一態様によれば、基板を保持する基板保持部と、
保持された前記基板に摺接し、第1ノズルから供給される第1洗浄液を用いて前記基板を洗浄する基板洗浄部材と、
前記基板保持部から離間された退避位置において、前記基板洗浄部材に摺接し、第2ノズルから供給される第2洗浄液を用いて前記基板洗浄部材を自己洗浄する自己洗浄部材と、
前記基板洗浄部材の自己洗浄に用いられた前記第2洗浄液の排液の物性値を計測する計測手段と、
前記排液の物性値に基づいて、前記基板洗浄部材の汚染度合いを判定する制御部と、を備え、
前記物性値は、全有機体炭素濃度を含む、基板洗浄装置が提供される。
【0011】
前記制御部は、前記排液の物性値に基づいて、前記洗浄された基板に付着する微粒子数を推定してもよい。
【0012】
前記制御部は、前記排液の物性値に基づいて、自己洗浄の運転条件を決定してもよい。
【0013】
前記制御部は、前記排液の物性値に基づいて、基板洗浄の運転条件を決定してもよい。
【0014】
前記制御部は、前記排液の物性値に基づいて、前記基板洗浄部材の交換時期を決定してもよい。
【0015】
基板洗浄装置は、前記基板洗浄部材の自己洗浄に用いられた前記第2洗浄液の排液を前記計測手段に導く第1配管と、
前記第1配管に設けられた三方弁と、
前記三方弁を介して前記計測手段にフラッシング水を供給する第2配管と、を備えてもよい。
【0016】
本発明の一態様によれば、懸濁液を用いて基板を研磨する基板研磨装置と、
上記基板洗浄装置と、を備える基板処理装置が提供される。
【0017】
本発明の一態様によれば、基板洗浄を行う前の基板洗浄部材に摺接し、ノズルから供給される洗浄液を用いて前記基板洗浄部材のブレークイン処理を行う自己洗浄部材と、
前記ブレークイン処理に用いられた前記洗浄液の排液の物性値を計測する計測手段と、
前記排液の物性値に基づいて、前記ブレークイン処理が適正か否かを判定する制御部と、を備えるブレークイン装置が提供される。
【0018】
本発明の一態様によれば、基板保持部によって基板を保持し、
保持された前記基板に基板洗浄部材を摺接させ、第1ノズルから供給される第1洗浄液を用いて前記基板を洗浄し、
前記基板保持部から離間された退避位置において、前記基板洗浄部材に自己洗浄部材を摺接させ、第2ノズルから供給される第2洗浄液を用いて前記基板洗浄部材を自己洗浄し、
前記基板洗浄部材の自己洗浄に用いられた前記第2洗浄液の排液の物性値を計測し、
前記排液の物性値に基づいて、前記洗浄された基板に付着する微粒子数を推定する、基板に付着する微粒子数の推定方法が提供される。
【0019】
本発明の一態様によれば、基板保持部によって基板を保持し、
保持された前記基板に基板洗浄部材を摺接させ、第1ノズルから供給される第1洗浄液を用いて前記基板を洗浄し、
前記基板保持部から離間された退避位置において、前記基板洗浄部材に自己洗浄部材を摺接させ、第2ノズルから供給される第2洗浄液を用いて前記基板洗浄部材を自己洗浄し、
前記基板洗浄部材の自己洗浄に用いられた前記第2洗浄液の排液の全有機体炭素濃度を計測し、
前記排液の全有機炭素濃度に基づいて、前記基板洗浄部材の汚染度合いを判定する、基板洗浄部材の汚染度合い判定方法が提供される。
【0020】
本発明の別の態様によれば、基板洗浄を行う前の基板洗浄部材に自己洗浄部材を摺接させ、ノズルから供給される洗浄液を用いて前記基板洗浄部材のブレークイン処理を行い、
前記ブレークイン処理に用いられた前記洗浄液の排液の物性値を計測し、
前記排液の物性値に基づいて、ブレークイン処理が適正か否かを判定する、ブレークイン処理の判定方法が提供される。
【発明の効果】
【0021】
洗浄部材の汚染度合いを監視できる。また、基板に付着する微粒子数を推定できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】一実施形態に係る基板洗浄装置を備えた基板処理装置の全体構成を示す平面図。
図2】第1洗浄ユニット4の全体を示す斜視図。
図3】第1洗浄ユニット4における自己洗浄部45の構成を示す模式図。
図4】自己洗浄排液検知部454の構成を示す模式図。
図5A】自己洗浄排液検知部454で測定される物性値の出力を模式的に示すグラフ。
図5B】自己洗浄排液検知部454で測定される物性値の出力を模式的に示すグラフ。
図6】制御部11による処理動作の一例を示すフローチャート。
図7】制御部11による処理動作の別の例を示すフローチャート。
図8】第2洗浄ユニット5の全体を示す斜視図。
図9】第2洗浄ユニット5における自己洗浄部55の構成を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係る実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0024】
図1は、一実施形態に係る基板洗浄装置を備えた基板処理装置の全体構成を示す平面図である。この基板処理装置は半導体基板等の基板を処理するものであって、メモリー素子、ロジック素子、CMOSあるいはCCDといったイメージセンサ、フラットパネルディスプレイの製造工程で使用され得る。
【0025】
基板処理装置は、矩形状のハウジング1と、基板カセットを載置するロードポート2とを備え、ロードポート2はハウジング1に隣接して配置されている。また、基板処理装置は、ハウジング1の内部に設けられた研磨ユニット3a~3d(基板研磨装置)、第1洗浄ユニット4(基板洗浄装置)、第2洗浄ユニット5(基板洗浄装置)、乾燥ユニット6、および、各ユニットおよび各機器の動きを制御する制御部11を備えている。
【0026】
なお、ハウジング1は、ロードポート2に近い領域1Aと、研磨ユニット3a~3d、第1洗浄ユニット4、第2洗浄ユニット5および乾燥ユニット6が設けられる領域1Bに分割される。
【0027】
研磨ユニット3a~3dは基板の主面を研磨して平坦化する。研磨ユニット3a~3dは砥粒と研磨助剤とを含む懸濁液(スラリー)を用いて基板の主面を研磨処理する。そのため、研磨後の基板の表面および裏面には懸濁液や研磨屑が汚染物質として付着する。
【0028】
第1洗浄ユニット4は研磨後の基板を一次洗浄し、第2洗浄ユニット5は一次洗浄後の基板を仕上げ洗浄する。詳細には、これらの第1洗浄ユニット4および第2洗浄ユニット5は、洗浄液を基板に供給しつつ基板洗浄部材を用いて基板をスクラブ洗浄することにより、研磨処理の際に基板に付着した汚染物質を除去する。
【0029】
乾燥ユニット6は仕上げ洗浄後の基板を乾燥させる。詳細には、乾燥ユニット6は洗浄処理によって基板に付着した洗浄液の液滴を除去する。
【0030】
ハウジング1内において、研磨ユニット3a~3dは基板処理装置の長手方向に沿って配列される。また、第1洗浄ユニット4、第2洗浄ユニット5、乾燥ユニット6も、基板処理装置の長手方向に沿って配列される。
【0031】
ロードポート2、研磨ユニット3aおよび乾燥ユニット6に囲まれた領域1Bには、第1基板搬送ロボット7が配置される。また、研磨ユニット3a~3dの配列に対して平行に延びる基板搬送ユニット8が配置される。そして、第1洗浄ユニット4と第2洗浄ユニット5との間に第2基板搬送ロボット9が配置される。さらに、第2洗浄ユニット5と乾燥ユニット6との間に第3基板搬送ロボット10が配置される。
【0032】
第1基板搬送ロボット7は、研磨前の基板をロードポート2から受け取って基板搬送ユニット8へ渡し、さらに乾燥後の基板を乾燥ユニット6から受け取ってロードポート2へ戻す。
【0033】
基板搬送ユニット8は、第1基板搬送ロボット7から受け取った基板を搬送して、研磨ユニット3a~3dとの間で基板の受け渡しを行う。すなわち、研磨搬送ユニット8は研磨後の基板を研磨ユニット3a~3dから受け取る。
【0034】
第2基板搬送ロボット9は、研磨後の基板を基板搬送ユニット8から受け取って第1洗浄ユニット4へ渡し、一次洗浄後の基板を第1洗浄ユニット4から受け取って第2洗浄ユニット5へ渡す。
【0035】
第3基板搬送ロボット10は、仕上げ洗浄後の基板を第2洗浄ユニット5から受け取って乾燥ユニット6へ渡す。
【0036】
図2は、第1洗浄ユニット4の全体を示す斜視図である。第1洗浄ユニット4は、スピンチャック41(基板保持部)と、洗浄ローラ42と、洗浄液ノズル43と、支持柱44と、自己洗浄部45とを有する。
【0037】
スピンチャック41は主面が上向き(上面)となるように基板Wを水平に保持して回転させる。詳細には、スピンチャック41は、固定されたスピンドル41aと、スピンドル41a上に回転可能に設けられ基板Wの外周部を保持する駒41bと、を有する。そして、駒41bの回転力が基板Wの外周に伝達され、基板Wが水平面内で回転する。
【0038】
洗浄ローラ42は円筒状であり基板Wの面に平行な軸周りに回転する。そして、洗浄ローラ42にはロール型の洗浄部材42a(基板洗浄部材)が巻き付けられている。洗浄部材42aの材質はPVAスポンジ等である。洗浄部材42aの材質としては、ほかにポリウレタンスポンジ、シリコーンゴムスポンジ等も考えられるが、親水性が高い樹脂であることが望ましい。なお、図2では、基板Wの上面に接触する1つの洗浄ローラ42を示しているが、さらに基板Wの下面に接触する追加の洗浄ローラを第1洗浄ユニット4が有してもよい。
【0039】
洗浄液ノズル43はスピンチャック41によって保持された基板Wの上面に対して洗浄液を供給する。洗浄液は、例えば薬液あるいは純水である。なお、図2では、基板Wの上面に洗浄液を供給する1つの洗浄液ノズル43を示しているが、さらに基板Wの下面に洗浄液を供給する追加の洗浄液ノズルを第1洗浄ユニット4が有してもよい。また、上面に洗浄液を供給する洗浄液ノズル43は2つ以上であってもよい。その場合、1つを薬液用、もう1つを純水用で使い分けすることができる。
【0040】
支持柱44は、洗浄ローラ42を支持し、図中のX方向(洗浄ローラ42の長手方向と直交する方向)およびZ方向(鉛直方向)に洗浄ローラ42を移動させる。支持柱44がX方向に移動することで、洗浄ローラ42はスピンチャック41が設けられた位置(洗浄位置)と、自己洗浄部45が設けられた位置(退避位置)との間を移動する。また、洗浄位置において支持柱44がZ方向に移動することで、洗浄ローラ42が基板Wに接触したり離間したりする。さらに、退避位置において支持柱44がZ方向に移動することで、洗浄ローラ42が自己洗浄部45の石英板451(後述)に接触したり離間したりする。
【0041】
自己洗浄部45はスピンチャック41から離間された退避位置において洗浄部材42aを自己洗浄する。自己洗浄部45の詳細は図3を用いて後述する。
【0042】
このような構成の第1洗浄ユニット4は制御部11の制御に従って次のように動作する。なお、基板洗浄が行われる前は、洗浄ローラ42は退避位置にて待機している。
【0043】
まず、図1の研磨ユニット3a~3dのいずれかで研磨処理が行われた基板Wが第2基板搬送ロボット9によってスピンチャック41上に搬送される。この基板Wには汚染物質が付着している。スピンチャック41上に搬送された基板Wは、スピンチャック41の駒41bによって回転され、洗浄液ノズル43から洗浄液が基板Wの中心付近に向けて供給される。そして、支持柱44の動作によって洗浄ローラ42が自己洗浄部45(退避位置)から基板Wの上部(洗浄位置)へ移動し、回転しながら下降する。
【0044】
基板Wの上面に洗浄部材42aが摺接して相対移動することによってスクラブ洗浄が開始される。このスクラブ洗浄により、基板の上面に付着している汚染物質が除去される。基板Wの上面から除去された汚染物質の一部は洗浄部材42aに残存する。また、基板洗浄に用いられて汚染された洗浄液が汚染物質として洗浄部材42aに残存することもある。所定時間が経過した後、支持柱44が上昇して基板Wから洗浄部材42aが離れることによってスクラブ洗浄が終了する。
【0045】
1枚の基板の洗浄が完了した後、支持柱44の動作によって洗浄ローラ42が基板Wの上方から自己洗浄部45へ移動する。そして、後述するようにして自己洗浄部45が洗浄部材42aを自己洗浄し、洗浄部材42aに残存していた汚染物質を除去する。
【0046】
なお、本第1洗浄ユニット4は基板Wを水平方向に保持して回転させるものであるが、基板保持部から離間された退避位置に自己洗浄部45を設けられていればよく、基板保持部の形式は水平置きに限定されず、縦置きであってもよい。
【0047】
図3は、第1洗浄ユニット4における自己洗浄部45の構成を示す模式図である。
【0048】
自己洗浄部45は、台座451aに支持された石英板451(自己洗浄部材)と、石英板451の上面に洗浄液(例えば薬液あるいは純水)を供給する自己洗浄液ノズル452とを有する。
【0049】
なお、自己洗浄部材として、石英板に代えて、PFA(Poly Tetra Fluoro Etylene)、PVDF(Poly Vinylidene DiFluoride)、PET(Polyethyleneterephthalate)等の樹脂板が考えられるが、表面に傷がつきにくい硬さと、変形しにくさと、さらに化学的な安定性(金属や有機物の溶出がない、熱劣化しにくい)をもつ材料であることが望ましい。
【0050】
自己洗浄液ノズル452は、円筒状のノズル支持体452aと、その内側に埋め込まれた導管452bとを有する。自己洗浄液ノズル452の種類として、単管ノズル、ラインノズル、円錐ノズルおよびバーノズルが例示され得る。
【0051】
上述したように、1枚の基板の洗浄が完了すると、洗浄ローラ42が自己洗浄部45へ移動される。そして、支持柱44(図2)の動作によって洗浄ローラ42が回転しながら下降する。石英板451の上面に洗浄部材42aが摺接することによって、自己洗浄液ノズル452からの洗浄液を用いた洗浄部材42aの自己洗浄が行われる。この自己洗浄によって洗浄部材42aに残存していた汚染物質が除去され、洗浄液とともに排出される。所定時間が経過した後、支持柱44が上昇して石英板451から洗浄部材42aが離れることによって自己洗浄が終了する。なお、基板洗浄の完了後、洗浄部材42aがウェットな状態のままで自己洗浄処理を開始してもよい。
【0052】
また、自己洗浄部45は、自己洗浄液排液配管453と、自己洗浄排液検知部454とを有する。
【0053】
自己洗浄液排液配管453は石英板451の下方に設けられ、石英板451の上面から流れ出る排液(汚染物質を含む洗浄液)を第1洗浄ユニット4の外部へ排出する。自己洗浄排液検知部454は自己洗浄液排液配管453へ流れる排液の物性値(水質)を測定する。
【0054】
詳細には、自己洗浄液排液配管453は、排液受け部453aと、主配管453bと、主配管453bから分岐された分岐配管453c,453dとを有する。そして、分岐配管453c,453dの間に自己洗浄排液検知部454が設けられる。
【0055】
排液受け部453aは、下面の排液溝453eに主配管453bが接続された底面と、底面の外周部から上方に延びている側壁とを有する。底面には台座451aが載置される。排液が主配管453bに流れやすいよう、底面は主配管453bに向かって低くなるよう傾斜しているのが望ましい。また、排液が飛散しないよう、側壁は石英板451より高い位置まで延びているのが望ましい。
【0056】
主配管453bは排液受け部453aから鉛直下向きに延び、下方で屈曲して水平方向に延びている。分岐配管453cは主配管453bの上流側の部分(水平方向に延びる部分)から分岐し、自己洗浄排液検知部454の液流入口に接続される。また、分岐配管453dは主配管453bの下流側の部分から分岐し、自己洗浄排液検知部454の液流出口に接続される。
【0057】
排液が主配管453bを流れる際に、その少なくとも一部が分岐配管453cに流入し、さらに自己洗浄排液検知部454に流入する。自己洗浄排液検知部454によって物性値が計測された排液は分岐配管453dを経由して主配管453bに合流する。
【0058】
図4は、自己洗浄排液検知部454の構成を示す模式図である。自己洗浄排液検知部454は、流量調整器4541と、センサ4542と、測定コントローラ4543と、フラッシング水供給配管4544と、三方弁4545とを有する。制御部11と測定コントローラ4543は通信ケーブル455aを介して接続され、測定コントローラ4543とセンサ4542は測定制御ケーブル455bを介して接続される。
【0059】
流量調整器4541は分岐配管453cからセンサ4542への排液流入量を調整する。一例として、流量調整器4541は、流量測定センサと、弁と、流量測定センサからの信号を受信して弁の開度を調整するCLC機能が付されたいるコントローラと、から構成される。また、流量調整器4541はベローズポンプ(吸引と押出を交互に行うポンプ)の役割を有しており、センサ4542からの排液が分岐配管453dを介して主配管453bに戻される。
【0060】
センサ4542は分岐配管453cから流入する排液の物性値を測定する。センサ4542は測定された物性値から測定時と対応する所定の時刻における排液の汚染度合い(汚染量)を数値化してもよい。具体的な物性値の例については後述する。
【0061】
測定コントローラ4543は、測定制御ケーブル455bを介してセンサ4542における測定条件を制御するとともに、センサ4542で測定された物性値とその測定時刻をロギングデータとして通信ケーブル455aを介して制御部11へ出力する。出力される信号は測定運転準備完了(接点)や漏液等のセンサ異常警報等を含んでいてもよい。また、測定コントローラ4543には、通信ケーブル455aを介して、測定運転開始および停止を示す信号が制御部11から入力される。
【0062】
制御部11は測定された物性値に基づいて洗浄部材42aの汚染度合い(汚染量)を判定する。ここで汚染度合いとは、測定された物性値が予めユーザが設定した目標値(理想値)からどの程度乖離しているか、を意味する。具体例として、物性値が予め定めた正常範囲内である場合、制御部11は洗浄部材42aの汚染度合いは許容範囲内であると判定してもよい。また、物性値が予め定めた正常範囲内でない場合、制御部11は洗浄部材42aの汚染度合いは許容範囲でないと判定してもよい。
【0063】
正常範囲はプロセス種類(Cu、STIなど)や半導体素子のデザインルールにも依存するため、正常範囲は経験値的に集合をつくることで設定される。
【0064】
さらに、制御部11は、測定された物性値に基づき、所定の洗浄状態推定アルゴリズムを適用して、基板Wの洗浄品質を推定する。洗浄品質の具体例として、制御部11は、基板Wが洗浄部材42aを用いて洗浄されたことに起因して、どのような欠陥(例えば、欠陥数や欠陥の大きさ、欠陥の場所、欠陥(汚染)の成分(砥粒、有機物、残留薬液等))が基板に生じたかを推定してもよい。以下では、一例として、洗浄品質は基板Wに付着する微粒子(欠陥)の数であるとする。
【0065】
洗浄状態推定アルゴリズムは、過去に発生した欠陥(欠陥検査装置で測定され得る)と物性値との相関関係を予めデータベース化しておき、当該データベースを用いて物性値から欠陥を推定するものであってもよい。あるいは、洗浄状態推定アルゴリズムは、過去に発生した欠陥と物性値との相関関係を予め機械学習しておき、人工知能を用いて物性値から欠陥や欠陥の大きさ、欠陥の場所、欠陥(汚染)の成分(砥粒、有機物、残留薬液等を推定するものであってもよい。
【0066】
単純な例としては、測定された物性値が予め定めた正常範囲内であれば、制御部11は洗浄品質が良い(詳細には、洗浄処理後の基板の表面における欠陥数が少ない)と判定する。測定された物性値が予め定めた正常範囲内でなければ、制御部11は洗浄品質が良くないと判定する。あるいは、測定された物性値が予め定めた正常範囲内からどれだけ外れているかに応じて、制御部11は洗浄された基板に生じる欠陥数を推定してもよい。
【0067】
また、制御部11は、測定された物性値に基づき、所定の自己洗浄運転条件決定アルゴリズムを適用して、洗浄部材42aの自己洗浄を行う際の運転条件を決定してもよい。運転条件とは、例えば洗浄ローラ42の押付荷重や回転数、洗浄具52の押付荷重や回転数、自己洗浄液ノズル452から供給される洗浄液の流量、温度、水あるいは薬液の選択、自己洗浄の設定時間等である。
【0068】
自己洗浄運転条件決定アルゴリズムは、物性値と適切な運転条件との相関関係を予めデータベース化しておき、当該データベースを用いて物性値に応じた適切な運転条件を推定するものであってもよい。あるいは、自己洗浄運転条件決定アルゴリズムは物性値と適切な運転条件との相関関係を予め機械学習しておき、人工知能を用いて物性値に応じた適切な運転条件を推定するものであってもよい。
【0069】
また、制御部11は、測定された物性値に基づき、所定の基板洗浄運転条件決定アルゴリズムを適用して、基板洗浄を行う際の運転条件を決定してもよい。運転条件とは、例えば洗浄ローラ42の押付荷重や回転数、洗浄具52の押付荷重や回転数、スピンチャック41の回転数、洗浄液ノズル43から供給される洗浄液の流量、温度、水あるいは薬液の選択、スクラブ洗浄の時間、薬液リンスの時間、水リンスの時間等である。
【0070】
基板洗浄運転条件決定アルゴリズムは、物性値と適切な運転条件との相関関係を予めデータベース化しておき、当該データベースを用いて物性値に応じた適切な運転条件を推定するものであってもよい。あるいは、基板洗浄運転条件決定アルゴリズムは物性値と適切な運転条件との相関関係を予め機械学習しておき、人工知能を用いて物性値に応じた適切な運転条件を推定するものであってもよい。
【0071】
また、制御部11は、測定された物性値に基づき、所定の交換時期決定アルゴリズムを適用して、洗浄部材42aの交換時期を決定してもよい。
【0072】
交換時期決定アルゴリズムは、物性値と交換時期との相関関係を予めデータベース化しておき、当該データベースを用いて物性値から交換時期を推定するものであってもよい。あるいは、交換時期決定アルゴリズムは物性値と交換時期との相関関係を予め機械学習しておき、人工知能を用いて物性値から交換時期を推定するものであってもよい。
ここで、センサ4542が測定する物性値を例示する。
【0073】
センサ4542が液中微粒子計測器を含み、物性値は排液中の微粒子数であってもよい。洗浄部材42aにそれほど研磨屑が残存していない場合(つまり、洗浄部材42aの汚染度合いが低い場合)、液中微粒子計測器によって測定される微粒子数は少ない。一方、洗浄部材42aに多くの研磨屑が残存している場合(つまり、洗浄部材42aの汚染度合いが高い場合)、液中微粒子計測器によって測定される微粒子数が多くなる。よって、排液中の微粒子数に基づいて洗浄部材42aの汚染度合いを把握できる。
【0074】
また、センサ4542がpH計を含み、物性値は排液のpH値であってもよい。研磨に用いる懸濁液がアルカリ性であるとする。洗浄部材42aにそれほど懸濁液が残存していない場合(つまり、洗浄部材42aの汚染度合いが低い場合)、pH計によって測定されるpH値は7より若干大きい程度である。一方、洗浄部材42aに多くの懸濁液が残存している場合(つまり、洗浄部材42aの汚染度合いが高い場合)、pH計によって測定されるpH値は7より所定程度大きくなる。よって、排液のpH値に基づいて洗浄部材42aの汚染度合いを把握できる。
【0075】
また、基板の洗浄に用いる洗浄剤がアルカリ性である場合も同様である。すなわち、洗浄部材42aにそれほど洗浄液が残存していない場合、pH計によって測定されるpH値は7に近く、洗浄液が多く残存している場合、pH計によって測定されるpHは大きくなる。
【0076】
また、センサ4542が電気伝導度計を含み、物性値は排液の電気伝導度であってもよい。研磨に用いる懸濁液がイオン(カチオン、アニオン)を含むものであるとする。洗浄部材42aにそれほど懸濁液が残存していない場合(つまり、洗浄部材42aの汚染度合いが低い場合)、電気伝導度は低い数値を示す。逆に多く残存している場合、電気伝導度は高い数値を示す。洗浄液も同様にイオンを含むものであるとすると、同様になる。よって、排液の電気伝導度に基づいて洗浄部材42aの汚染度合いを把握できる。
【0077】
また、センサ4542が炭素濃度計を含み、物性値は排液の全有機体炭素濃度であってもよい。研磨に用いる懸濁液が有機化合物(水溶性高分子、防錆剤、界面活性剤)を含むものであるとする。洗浄部材42aにそれほど懸濁液が残存していない場合(つまり、洗浄部材42aの汚染度合いが低い場合)、全有機炭素濃度は低い数値を示す。逆に多く残存している場合、全有機炭素濃度は高い数値を示す。洗浄液も同様に有機化合物を含むものであるとすると、同様になる。よって、排液の全有機炭素濃度に基づいて洗浄部材42aの汚染度合いを把握できる。
【0078】
さらに、物性値は洗浄部材42aの汚染度合いと相関する他の物性値であってもよいし、2以上の物性値の組み合わせであってもよい。
【0079】
ところで、定常的に排液を測定していると、時間の経過とともに排液中の汚染物質がセンサ4542に堆積して、結果として測定値に誤差が生じてしまうことがあり得る。この測定誤差を防ぐため、一定時間毎にフラッシング水供給配管4544からバルブ(三方弁)4545を介してフラッシング水(例えば純水)を供給することにより、センサ4542を清浄化するのが望ましい。
【0080】
一例として、基板洗浄部材42aを交換するタイミングでフラッシングを行い、センサ4542が微粒子数を検知する場合、フラッシング前後の微粒子数は図5Aに示すようになる。
【0081】
図5Bは、自己洗浄排液検知部454で測定される物性値の出力を模式的に示すグラフである。図5Bは、例示として、センサ4542がリオン株式会社製の液中微粒子計測器KS-18Fであり、測定コントローラ4543が同社製KE-40B1であり、流量調整器4541が同社製のベローズサンプラK9904Aであるとしている。
【0082】
グラフの横軸は測定された時刻を示し、縦軸は排液の単位体積あたりの液中微粒子数(以下、単に「微粒子数」という。)を示す。微粒子数の値が大きいほど排液の汚染度合いが高い(汚染量が多い)ことを意味する。
【0083】
本実施形態では、洗浄ローラ42は基板Wに対するスクラブ洗浄と自己洗浄部45における自己洗浄を交互に実施している。詳細には、期間T1,T3,T5で自己洗浄が行われ、期間T2,T4,T6でそれぞれ基板Wa,Wb,Wcのスクラブ洗浄が行われる。なお、Wa~Wcはそれぞれが1枚の基板を意味していてもよいし、複数枚の基板を意味していてもよい。
【0084】
期間T1における自己洗浄では、時刻t1~t2の自己洗浄開始直後は、洗浄部材42aに付着した汚染物質が排液に流れ出る。そのため、一時的に微粒子数が大幅に増加し、正常範囲を超える。
【0085】
しかし、時刻t2以降では、自己洗浄の時間経過とともに洗浄部材42aが清浄化されるのに伴い、排液の微粒子数は徐々に減少し、やがて時刻t3で正常範囲に到達する。そして、時刻t4で自己洗浄が完了する。そして、微粒子数が正常範囲である状態で、基板Waのスクラブ洗浄が開始される。このとき、制御部11は、時刻t4での微粒子数に基づき、洗浄部材42aの汚染度合いが許容範囲である状態で基板Waの洗浄が行われたことを把握できる。
【0086】
時刻t4~t5(期間T2)における基板Waをスクラブ洗浄している時間帯は、自己洗浄部45には洗浄部材42aからの汚染物質が持ち込まれないため、微粒子数は一定値に収束する。
【0087】
時刻t5~t6(期間T3)では期間T1と同様の洗浄部材42aの自己洗浄が行われる。図5Bの例では、期間T3においても、微粒子数が正常範囲にある状態で自己洗浄が完了し(時刻t6)、期間T4における基板Wbのスクラブ洗浄が行われる。このとき、制御部11は、時刻t6での微粒子数に基づき、洗浄部材42aの汚染度合いが許容範囲である状態で基板Wbの洗浄が行われたことを把握できる。
【0088】
時刻t7~t8(期間T5)では期間T1と同様の洗浄部材42aの自己洗浄が行われる。しかし、図5Bの例では、期間T5において微粒子数が正常範囲まで減少しない。これは、洗浄部材42aの汚染度合いが大きく、許容範囲にないことを意味する。そして、微粒子数が正常範囲を超えた状態で自己洗浄が完了し(時刻t9)、期間T6における基板Wcの洗浄が行われる。このとき、制御部11は、時刻t9での微粒子数に基づき、洗浄部材42aの汚染度合いが許容範囲でない状態で基板Wcの洗浄が行われたことを把握できる。
【0089】
なお、自己洗浄の完了は洗浄処理レシピに基づく。すなわち、自己洗浄開始から一定時間が経過した場合、次の基板の洗浄処理を開始するため、自己洗浄はタイムアップして完了する。
【0090】
このように、図5Bの例では、基板Wcに対する洗浄(期間T6)の直前に実施された自己洗浄(期間T5)では微粒子数が正常範囲に到達しなかったことを示している。すなわち、洗浄部材42aの自己洗浄が不十分で、洗浄部材42aには汚染物質が多く残存したまま基板Wcの洗浄処理が開始されている。そのため、基板Wcへの逆汚染のリスクが高い状態にある。制御部11はこの逆汚染リスクが高い状態を異常と検知する。そして、制御部11は必要に応じて異常の程度に応じてアラーム発報などの制御処理を実施する。
【0091】
例えば、異常の程度がレベル1(軽度の異常、基板1枚単発)の場合、他の基板と比べて欠陥数が多い可能性あり、と注意を出してもよい。
異常の程度がレベル2(軽度の異常、2枚以上連続)の場合、自己洗浄または基板洗浄の運転条件の変更を制御部11へ指示してもよい。
異常の程度がレベル3(重度の異常、基板1枚単発)の場合、欠陥検査を行う、または、再洗浄処理を実施する、または、不良品として除外するように指令を出してもよい。
異常の程度がレベル4(重度の異常、2枚以上連続)の場合、基板処理装置における研磨・洗浄処理を停止させて、さらに洗浄部材42aの交換を制御部11へ指示してもよい。
【0092】
なお、図5Bは物性値が微粒子数である場合の例であるが、物性値がpH値、電気伝導度、全有機体炭素濃度である場合も同様の挙動となる。なお、物性値がpH値である場合、自己洗浄が行われていない期間T2等において、pH値はほぼ7(中性)に収束する。
【0093】
図6は、制御部11による処理動作の一例を示すフローチャートである。図6は完全待機状態(図1において、基板を収容するカセットが基板処理装置のロードポート2に載置されておらず、基板の研磨、洗浄および乾燥がいずれも行われていない状態、図5Bの時刻t1より前)での動作シーケンスである。なお、制御部11は基板処理装置が備えるものであるが、第1洗浄ユニット4の各部を制御する点で、第1洗浄ユニット4が制御部11を備えるとも言える。
【0094】
制御部11は、洗浄ローラ42が自己洗浄部45に配置された状態で、自己洗浄排液検知部454のセンサ4542による排液の物性値測定を開始させる。そして、センサ4542の出力が測定コントローラ4543を介して出力され、これを制御部11が読み取る(ステップS1)。
【0095】
読み取った物性値が正常範囲内にあれば(ステップS2のYES)、洗浄部材42aは十分に清浄化されているため、基板に対する適切な洗浄処理が可能である。よって、制御部11は洗浄を含めた基板処理の準備ができていると判定する(ステップS3)。
【0096】
一方、読み取った物性値が正常範囲にない場合(ステップS2のNO)、洗浄部材42aには汚染物質が堆積していて清浄化が不十分である。よって、制御部11は自己洗浄の状況に基づいてさらなる判定を行う。
【0097】
すなわち、自己洗浄開始からの継続時間が予め定めた上限時間より短い場合(ステップS4のYES)、制御部11は洗浄部材42aに対する自己洗浄を継続しつつ(ステップS5)、物性値の読み取り処理(ステップS1)へ戻る。なお、洗浄部材42aの洗浄継続時間は制御部11が把握している。また、自己洗浄開始からの継続時間とは、新品の洗浄部材42aに交換してからの洗浄時間総和(累積時間)であり、自己洗浄のタスクが1回終わったとしてもリセットされない(すなわち、新品の洗浄部材42aに交換した時にリセットされる。)。
【0098】
一方、自己洗浄開始からの継続時間が予め定めた上限時間を超えた場合(ステップS4のNO)は、さらに自己洗浄を継続しても洗浄部材42aの清浄度は改善しない可能性が高い。よって、制御部11は自己洗浄を停止し、洗浄ローラ42の交換が必要と判定する(ステップS6)。具体例として、制御部11は洗浄ローラ42を交換すべきことを示すメッセージやアラートを出力し、新品の洗浄ローラ42への交換を指示する。
【0099】
以上の一連の処理を物性値が正常範囲に到達するまで継続する。
【0100】
図7は、制御部11による処理動作の別の例を示すフローチャートである。図7は処理状態(図1において、基板を収容するカセットが基板処理装置のロードポート2に載置され、研磨ユニット3a~3d、第1洗浄ユニット4、第2洗浄ユニット5、乾燥ユニット6、基板搬送ロボット22,26,28、基板搬送ユニット8のいずれかに基板が存在する状態)での動作シーケンスである。
【0101】
前述の完全待機状態(図6)と同様に、制御部11は、洗浄ローラ42が自己洗浄部45に配置された状態で、自己洗浄排液検知部454のセンサ4542による排液の物性値測定を開始させる。そして、センサ4542の出力が測定コントローラ4543を介して出力され、これを制御部11が読み取る(ステップS11)。
【0102】
読み取った物性値が正常範囲内である場合(ステップS12のYES)、制御部11は物性値と欠陥との相関性を示したデータベースに基づいて、基板洗浄の品質を推定する(ステップS13)。具体例として、制御部11は処理後の基板の欠陥数を推定する。
【0103】
一方、読み取った物性値が正常範囲にない場合(ステップS12のNO)、洗浄部材42aは汚染物質が堆積していて清浄化が不十分である。よって、制御部11は洗浄部材42aの動作状況に基づいてさらなる判定を行う。
【0104】
すなわち、洗浄部材42aが基板の上面に接触している場合(ステップS14のYES)、言い換えると、洗浄部材42aが洗浄位置にあって基板洗浄を行っている場合(例えば、図5Bの期間T2,T4,T6のいずれか)、制御部11は洗浄部材42aから基板への逆汚染リスクが高い状態と判断し、基板のプロセス異常の警報を出力する(ステップS15)。さらに、制御部11は物性値と欠陥との相関性を示したデータベースに基づいて、基板洗浄の品質を推定する(ステップS13)。
【0105】
一方、洗浄部材42aが基板の上面に接触していない場合(ステップS14のNO)、言い換えると、洗浄部材42aが退避位置にあって自己洗浄を行っている場合(例えば、図5Bの期間T1,T3,T5のいずれか)、制御部11は逆汚染リスクが回避されていると判断し、洗浄部材42aの自己洗浄および物性値の読み取りを継続する(ステップS11)。
【0106】
なお、制御部11が第1洗浄ユニット4を制御するため、ステップS14において、洗浄部材42aが洗浄位置にあるのか退避位置にあるのかを制御部11が把握できる。
以上で示した一連の処理を投入された全ての基板に対して実施する。
【0107】
このように、本実施形態によれば、洗浄部材42aを自己洗浄する際の排液の物性値を測定する。そのため、物性値に基づいてインラインで洗浄部材42aの汚染度合いを監視できる。また、物性値(あるいは洗浄部材42aの汚染度)に基づいて、基板洗浄の品質を推定できる。
【0108】
なお、以上は図1の第1洗浄ユニット4における自己洗浄部45において、ロール型の洗浄部材42aの汚染度合いを監視したり、基板洗浄の品質を推定したりするものであった。これに対し、第2洗浄ユニット5に対して、あるいは、ロール型でない洗浄部材に対して同様のことを行うことができる。以下、第2洗浄ユニット5がペンシル型の洗浄部材を用いるものとして説明する。
【0109】
図8は、第2洗浄ユニット5の全体を示す斜視図である。第2洗浄ユニット5は、スピンチャック51(基板保持部)と、洗浄具52と、洗浄液ノズル53と、揺動アーム54と、自己洗浄部55とを有する。
【0110】
スピンチャック51は主面が上向き(上面)となるように基板Wを水平に保持して所定の回転数で水平回転する。
【0111】
洗浄具52は、その先端にペンシル型の洗浄部材52a(基板洗浄部材)が取り付けられ、洗浄部材52aを回転させる。洗浄部材52aの材質はPVAスポンジ等である。
【0112】
洗浄液ノズル53はスピンチャック51によって保持された基板Wの上面に対して洗浄液を供給する。洗浄液は、例えば薬液あるいは純水である。
【0113】
揺動アーム54は、その先端に支持軸52bを介して洗浄具52が取り付けられ、洗浄具52を揺動および昇降させる。すなわち、自己洗浄部55は揺動アーム54の揺動によって洗浄具52が描く揺動軌跡上に配置されており、揺動アーム54が揺動することで、洗浄部材52aはスピンチャック51が設けられた位置(洗浄位置)と、自己洗浄部55が設けられた位置(洗浄位置)との間を移動する。また、洗浄位置において揺動アーム54が昇降することで、洗浄部材52aが基板Wに接触したり離間したりする。さらに、退避位置において揺動アーム54が昇降することで、洗浄部材52aが自己洗浄部55の石英板551(後述)に接触したり離間したりする。
【0114】
このような構成の第2洗浄ユニット5は制御部11の制御に従って次のように動作する。なお、基板洗浄が行われる前は、洗浄部材52aは退避位置にて待機している。
【0115】
まず、図1の第1洗浄ユニット4で一次洗浄が行われた基板が第2基板搬送ロボット9によってスピンチャック51上に搬送される。この基板には汚染物質が付着している。スピンチャック51上に搬送された基板Wは、スピンチャック51によって所定の回転数で回転されるとともに、洗浄液ノズル53から洗浄液が基板Wの中心付近に向けて供給される。
【0116】
そして、揺動アーム54が上昇して洗浄具52を自己洗浄部55から取り出し、次いで洗浄位置側へ揺動して洗浄具52を基板Wの中心の上方まで移動させる。なお、洗浄具52を自己洗浄部55から洗浄位置へ移動させる際、洗浄具52の回転は停止しているのが望ましい。
【0117】
次いで、揺動アーム54が下降し、基板Wの上面に洗浄部材52aの下面を当接させる。洗浄具52は基板Wに当接する直前に支持軸52bのまわりに所定の回転数で回転を始める。洗浄部材52aが基板Wの上面に接触し、かつ、回転した状態で、揺動アーム54が洗浄部材52aを所定の圧力で基板Wに押し付けるとともに、基板Wの外周部と中心との間を所定の速度で揺動させる。
【0118】
このように、基板Wの上面に洗浄部材52aが摺接して相対移動することによってスクラブ洗浄が行われる。このスクラブ洗浄により、基板Wの上面に付着している汚染物質が除去される。基板Wの上面から除去された汚染物質の一部は洗浄部材52aに残存する。また、基板洗浄に用いられて汚染した洗浄液が汚染物質として洗浄部材52aに残存することもある。所定時間が経過した後、揺動アーム54が停止し、次いで上昇して基板Wから洗浄部材52aが離れることによってスクラブ洗浄が終了する。
【0119】
1枚の基板の洗浄が完了した後、洗浄液ノズル53からの洗浄液の供給を停止し、揺動アーム54の揺動によって洗浄具52は自己洗浄部55まで移動する。そして、揺動アーム54が下降して後述するようにして自己洗浄部55が洗浄部材52aを自己洗浄し、洗浄部材52aに残存していた汚染物質を除去する。
【0120】
図9は、第2洗浄ユニット5における自己洗浄部55の構成を示す斜視図である。 自己洗浄部55は、台座551aに支持された石英板551(自己洗浄部材)と、石英板551の上面に洗浄液(例えば薬液あるいは純水)を供給する自己洗浄液ノズル552とを有する。
【0121】
なお、自己洗浄部材として、石英板に代えて、PFA(Poly Tetra Fluoro Etylene)、PVDF(Poly Vinylidene DiFluoride)、PET(Polyethyleneterephthalate)等の樹脂板が考えられるが、表面に傷がつきにくい硬さと、変形しにくさと、さらに化学的な安定性(金属や有機物の溶出がない、熱劣化しにくい)をもつ材料であることが望ましい。
【0122】
自己洗浄液ノズル552は、円筒状のノズル支持体552aと、その内側に埋め込まれた導管552bとを有する。
【0123】
上述したように、1枚の基板の洗浄が完了すると、揺動アーム54(図8)によって洗浄具52が自己洗浄部55へ移動される。そして、揺動アーム54の動作によって洗浄具52が回転しながら下降する。石英板551の上面に洗浄部材52aが摺接することによって、自己洗浄液ノズル552からの洗浄液を用いた洗浄部材52aの自己洗浄が行われる。この自己洗浄によって洗浄部材52aに残存していた汚染物質が除去され、洗浄液とともに排出される。所定時間が経過した後、揺動アーム54が上昇して石英板551から洗浄部材52aが離れることによって自己洗浄が終了する。
【0124】
また、自己洗浄部55は、自己洗浄液排液配管553と、自己洗浄排液検知部554とを有する。そして、自己洗浄液排液配管553は、排液溝553eが下面に設けられた排液受け部553aと、主配管553bと、主配管553bから分岐された分岐配管553c,553dとを有する。これらは図3および図4と同様であるので、詳細な説明を省略する。
【0125】
このような第2洗浄ユニット5に対しても、図6および図7で述べたような制御部11による処理動作が行われる。なお、第2洗浄ユニット5の構成は第1洗浄ユニット4の構成と同じであってもよい。
【0126】
上述した各実施形態はブレークイン処理(新品の基板洗浄部材を使用開始する前のコンディショニング)にも適用できる。従来は、ブレークイン後に新品のダミー基板を洗浄処理し、このダミー基板上に付着した汚染粒子数を測定して、ブレークインが適正かを判定していた。しかし、上述した各実施形態によれば、新品のダミー基板を用いることなく、ブレークインが適正かを判定できる。
【0127】
具体的には、基板洗浄を行う前の洗浄部材42a,52aに石英板451,551を摺接させ、自己洗浄液ノズル452,552から供給される洗浄液を用いて洗浄部材42a,52aのブレークイン処理を行う。そして、センサ4542はブレークイン処理に用いられた洗浄液の排液の物性値を計測する。さらに、制御部11が排液の物性値に基づいてブレークイン処理が適正か否かを判定する。判定手法の一例として、排液の物性値が予め設定した正常範囲内であれば適正と判定し、正常範囲を超えていれば適正でないと判定することができる。また、物性値は、やはり微粒子の個数、pH値、電気伝導度、全有機体炭素濃度等であってよい。自己洗浄部45,55と制御部11とを合わせてブレークイン装置と考えることもできる。
【0128】
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうることである。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲とすべきである。
【符号の説明】
【0129】
1 ハウジング
2 ロードポート
3a~3d 研磨ユニット
4 第1洗浄ユニット
41 スピンチャック
41a スピンドル
41b 駒
42 洗浄ローラ
42a 洗浄部材
43 洗浄液ノズル
44 支持柱
45 自己洗浄部
451 石英板
451a 台座
452 自己洗浄液ノズル
452a ノズル支持体
452b 導管
453 自己洗浄液排液配管
453a 排液受け部
453b 主配管
453c,453d 分岐配管
453e 排液溝
454 自己洗浄排液検知部
4541 流量調整器
4542 センサ
4543 測定コントローラ
4544 フラッシング水供給配管
4545 三方弁
455a 通信ケーブル
455b 測定制御ケーブル
5 第2洗浄ユニット
51 スピンチャック
52 洗浄具
52a 洗浄部材
52b 支持軸
53 洗浄液ノズル
54 揺動アーム
55 自己洗浄部
551 石英板
552 自己洗浄液ノズル
553 自己洗浄液排液配管
553a 排液受け部
553b 主配管
553c,553d 分岐配管
554 自己洗浄排液検知部
6 乾燥ユニット
7 第1基板搬送ロボット
8 基板搬送ユニット
9 第2基板搬送ロボット
10 第3基板搬送ロボット
11 制御部
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9