(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022190836
(43)【公開日】2022-12-27
(54)【発明の名称】乗物用スイッチ装置
(51)【国際特許分類】
B60R 16/02 20060101AFI20221220BHJP
B60J 1/17 20060101ALI20221220BHJP
B60R 1/06 20060101ALI20221220BHJP
H01H 25/00 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
B60R16/02 630J
B60J1/17 A
B60R1/06 D
H01H25/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021099297
(22)【出願日】2021-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 篤彦
(72)【発明者】
【氏名】茶座 聖始
【テーマコード(参考)】
3D053
3D127
5G031
【Fターム(参考)】
3D053FF17
3D053FF28
3D053FF29
3D053MM13
3D127AA09
3D127AA17
3D127DF34
5G031AS52H
5G031GS23
5G031GS25
(57)【要約】
【課題】比較的コンパクトで、操作性を高めるとともに、デザインの自由度を向上させることが可能な斬新な構造の乗物用スイッチ装置を提供する。
【解決手段】複数の窓ガラス12を有する乗物11に搭載され、複数の窓ガラス12の開閉を操作するものであって、乗物11が備える乗物用内装材26に配されてその乗物用内装材26の面上を移動可能とされたスイッチベース30と、スイッチベース30に設けられて複数の窓ガラス12のうちから対応する窓ガラス12の開閉操作を行うためのウィンドウスイッチ40R,40Lと、を備え、スイッチベース30が位置している場所に応じて、ウィンドウスイッチ40R,40Lによって開閉操作される窓ガラス12が変更されるように構成する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の窓ガラスを有する乗物に搭載され、前記複数の窓ガラスの開閉を操作する乗物用スイッチ装置であって、
前記乗物が備える乗物用内装材に配され、その乗物用内装材の面上を移動可能とされたスイッチベースと、
前記スイッチベースに設けられ、前記複数の窓ガラスのうちから対応する前記窓ガラスの開閉操作を行うためのウィンドウスイッチと、
を備え、
前記スイッチベースが位置している場所に応じて、前記ウィンドウスイッチによって開閉操作される前記窓ガラスが変更されることを特徴とする乗物用スイッチ装置。
【請求項2】
前記乗物には、前記窓ガラスが前後方向に並んで設けられるとともに、
前記スイッチベースは、前記乗物用内装材上を前後方向にスライド可能に配されており、
前記スイッチベースの前後方向における位置に応じて、前記ウィンドウスイッチによって開閉操作される前記窓ガラスが変更される請求項1に記載の乗物用スイッチ装置。
【請求項3】
当該乗物用スイッチ装置が搭載された前記乗物は、左右に配された2枚の前記窓ガラスによって対をなす窓ガラス対を、前後に並んで複数対備え、
前記スイッチベースには、前記ウィンドウスイッチが2つ設けられ、それら2つの前記ウィンドウスイッチの各々が、前記窓ガラス対を構成する左右2枚の前記窓ガラスの各々の開閉操作を行うものとされ、
前記スイッチベースの前後方向における位置に応じて、2つの前記ウィンドウスイッチによって開閉操作される前記窓ガラス対が変更される請求項2に記載の乗物用スイッチ装置。
【請求項4】
当該乗物用スイッチ装置が搭載される前記乗物は、前記窓ガラス対を、前後に並んで二対備えた車両であり、
前記スイッチベースが相対的に前方側に位置する場合に、2つの前記ウィンドウスイッチによって前側左右の前記窓ガラス対の開閉操作が行われ、前記スイッチベースが相対的に後方側に位置する場合に、2つの前記ウィンドウスイッチによって後側左右の前記窓ガラス対の開閉操作が行われるように構成され、
当該乗物用スイッチ装置は、前記スイッチベースを前方に向かって付勢する付勢機構を備えている請求項3に記載の乗物用スイッチ装置。
【請求項5】
2つの前記ウィンドウスイッチの一方には、表面に突起が形成されている請求項3または請求項4に記載の乗物用スイッチ装置。
【請求項6】
2つの前記ウィンドウスイッチは、前記スイッチベースに対して、互いに隣接して設けられている請求項3から請求項5のいずれか1項に記載の乗物用スイッチ装置。
【請求項7】
前記乗物用内装材には、前記スイッチベースが前側に位置している状態における前記スイッチベースの前方に沿って凹所が形成されている請求項2から請求項6のいずれか1項に記載の乗物用スイッチ装置。
【請求項8】
前記スイッチベースは、前記乗物用内装材上を特定方向にスライド可能とされ、
前記ウィンドウスイッチは、前記特定方向に対して傾斜した方向の力によって前記窓ガラスの開閉を操作する構成とされた請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の乗物用スイッチ装置。
【請求項9】
当該乗物用スイッチ装置は、前記乗物としての車両が備えるドアトリムに搭載され、
前記スイッチベースは、前記ドアトリムにおける上方を向く面上に配され、前後方向にスライド移動可能とされるとともに、平面視で外縁が前端から後方に向かうにつれて車幅方向外側に傾斜する傾斜外縁部を有する形状とされ、
前記ウィンドウスイッチは、前記傾斜外縁部に設けられている請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の乗物用スイッチ装置。
【請求項10】
前記スイッチベースは、前記ウィンドウスイッチを2つ備え、
2つの前記ウィンドウスイッチは、前記傾斜外縁部に対して、外縁に沿う方向に並んで設けられている請求項9に記載の乗物用スイッチ装置。
【請求項11】
当該乗物用スイッチ装置が搭載される前記乗物は、サイドミラーを備え、
前記スイッチベースは、上面に前記サイドミラーの角度を調整するためのミラーコントロールスイッチを備えている請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の乗物用スイッチ装置。
【請求項12】
前記ミラーコントロールスイッチは、乗員の身体の一部が接触したことあるいは近接したことを検出するタッチセンサ式のものである請求項11に記載の乗物用スイッチ装置。
【請求項13】
当該乗物用スイッチ装置が搭載される前記乗物は、前記乗物の左右の各々に対応して前記サイドミラーを一対備え、
前記スイッチベースは、前記ミラーコントロールスイッチが操作する前記サイドミラーを選択するための選択スイッチを備えている請求項11または請求項12に記載の乗物用スイッチ装置。
【請求項14】
前記スイッチベースは、前記乗物用内装材上を前後方向にスライド可能に配されており、
前記選択スイッチは、前記スイッチベースにおける後端に設けられている請求項13に記載の乗物用スイッチ装置。
【請求項15】
前記選択スイッチは、前記乗物用内装材の上面からの高さ位置が、前記ミラーコントロールスイッチが設けられている部分の前記乗物用内装材の上面からの高さ位置より、低くされている請求項14に記載の乗物用スイッチ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗物用スイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載されているように、従来から、乗物が備える窓ガラスの開閉操作を行うためのスイッチ装置に関し、操作性を向上させる技術が検討されている。下記特許文献1に記載のスイッチ装置は、パワーウインドスイッチ群を、スイッチケースの上面に配設し、ミラーコントロールスイッチ群を、スイッチケースの車室内側の側面に配設した構成とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載のスイッチ装置を含め、従来から存在するスイッチ装置は、窓ガラスの数と同数のスイッチが配されるとともに、窓ガラスの開閉操作を行うスイッチ以外にも、多くのスイッチも近接して配されており、押し間違い等の誤操作が生じる場合がある。また、従来のスイッチ装置は、多数のスイッチを設けるために、装置自体が大型化してしまうという問題がある。さらに、複数のスイッチの配置に関しても、自由度が低く、デザイン性の向上が難しいという問題がある。
【0005】
本発明は、そのような実情に鑑みてなされたものであり、比較的コンパクトで、操作性を高めるとともに、デザインの自由度を向上させることが可能な斬新な構造の乗物用スイッチ装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の乗物用スイッチ装置は、
複数の窓ガラスを有する乗物に搭載され、前記複数の窓ガラスの開閉を操作する乗物用スイッチ装置であって、
前記乗物が備える乗物用内装材に配され、その乗物用内装材の面上を移動可能とされたスイッチベースと、
前記スイッチベースに設けられ、前記複数の窓ガラスのうちから対応する前記窓ガラスの開閉操作を行うためのウィンドウスイッチと、
を備え、
前記スイッチベースが位置している場所に応じて、前記ウィンドウスイッチによって開閉操作される前記窓ガラスが変更されることを特徴とする。
【0007】
この構成の乗物用スイッチ装置によれば、乗員は、開閉したい窓ガラスに応じた位置にスイッチベースを移動させて、ウィンドウスイッチを操作することにより、その窓ガラスを開閉することができる。つまり、この構成の乗物用スイッチ装置によれば、斬新な乗物用スイッチ装置が実現する。また、この構成の乗物用スイッチ装置は、窓ガラスの数と同数のスイッチを設ける必要がなく、比較的シンプルな外観とすることができる。さらに、この構成の乗物用スイッチ装置によれば、スイッチベースの動作範囲の自由度、スイッチベースの形状の自由度、スイッチベースへのスイッチ配置の自由度など、乗物用スイッチ装置のデザイン自由度を高めることができる。
【0008】
なお、この構成における「スイッチベース」は、前後方向や左右方向など、特定の方向にスライド可能なものであってもよい。また、スイッチベースに設けられるウィンドウスイッチの数は、1つに限定されず複数でもよいが、乗員がウィンドウスイッチを間違えないようにするという観点からすれば、2つ程度までであることが望ましい。詳しく言えば、そのような構成である場合には、乗員がスイッチベースを一度握れば、操作したい窓ガラスに対応するウィンドウスイッチの位置を探る必要がないため、窓ガラスの開閉操作の誤操作等を軽減することが可能である。
【0009】
また、この構成における「ウィンドウスイッチ」は、その構成・構造が特に限定されないが、従来から存在するスイッチ装置と同様に、押し下げることで窓ガラスを開くとともに、引き上げることで窓ガラスを閉じる構成のものを採用すれば、誤操作を軽減することが可能である。
【0010】
上記構成において、前記乗物には、前記窓ガラスが前後方向に並んで設けられるとともに、前記スイッチベースは、前記乗物用内装材上を前後方向にスライド可能に配されており、前記スイッチベースの前後方向における位置に応じて、前記ウィンドウスイッチによって開閉操作される前記窓ガラスが変更される構成とすることができる。
【0011】
この構成の乗物用スイッチ装置は、スイッチベースの前後方向における位置が、前後に並ぶ窓ガラスに対応するように構成されている。したがって、この構成の乗物用スイッチ装置によれば、開閉したい窓ガラスに合わせて、スイッチベースを前後に移動させればよいため、斬新な構成のスイッチ装置でありながら、乗員は直感的に窓ガラスの開閉操作を行うことができる。
【0012】
上記構成において、当該乗物用スイッチ装置が搭載された前記乗物は、左右に配された2枚の前記窓ガラスによって対をなす窓ガラス対を、前後に並んで複数対備え、
前記スイッチベースには、前記ウィンドウスイッチが2つ設けられ、それら2つの前記ウィンドウスイッチの各々が、前記窓ガラス対を構成する左右2枚の前記窓ガラスの各々の開閉操作を行うものとされ、
前記スイッチベースの前後方向における位置に応じて、2つの前記ウィンドウスイッチによって開閉操作される前記窓ガラス対が変更される請求項2に記載の乗物用スイッチ装置。
【0013】
この構成の乗物用スイッチ装置は、スイッチベースが左右の窓ガラスに対応する2つのウィンドウスイッチを備えたものに限定した構成であり、斬新な構成のスイッチ装置でありながら、従来の2つのウィンドウスイッチが並ぶ構成を採用することで、乗員はより直感的に窓ガラスの開閉操作を行うことが可能である。なお、この構成の乗物用スイッチ装置は、前後左右に窓ガラスが配された乗物、例えば、普通自動車に好適である。
【0014】
上記構成において、当該乗物用スイッチ装置が搭載される前記乗物は、前記窓ガラス対を、前後に並んで二対備えた車両であり、
前記スイッチベースが相対的に前方側に位置する場合に、2つの前記ウィンドウスイッチによって前側左右の前記窓ガラス対の開閉操作が行われ、前記スイッチベースが相対的に後方側に位置する場合に、2つの前記ウィンドウスイッチによって後側左右の前記窓ガラス対の開閉操作が行われるように構成され、
当該乗物用スイッチ装置は、前記スイッチベースを前方に向かって付勢する付勢機構を備えた構成とすることができる。
【0015】
この構成の乗物用スイッチ装置は、例えば、普通自動車等の構成の乗物において、後方の窓ガラスの開閉操作を行った後でも、スイッチベースが前方側の定位置に戻るように構成されている。この構成の乗物用スイッチ装置によれば、次回の窓ガラスの開閉操作の際に、スイッチベースの位置を確認する必要がなく、誤操作を軽減することが可能である。なお、この構成における「付勢機構」は、その種類や構造が限定されるものではなく、例えば、圧縮コイルスプリング、板ばね、磁石等の種々のものを採用可能である。
【0016】
上記の構成において、2つの前記ウィンドウスイッチの一方には、表面に突起が形成されている構成とすることができる。
【0017】
この構成の乗物用スイッチ装置は、ウィンドウスイッチを触れることで、2つのスイッチのいずれかを認識できるため、視認することなく、窓ガラスの開閉操作を行うことが可能である。例えば、乗物の運転者のためのスイッチ装置に好適であり、自動者等における運転席側の窓ガラスに対応するものに突起を設けることで、運転者の誤操作を軽減することができる。
【0018】
上記構成において、2つの前記ウィンドウスイッチは、前記スイッチベースに対して、互いに隣接して設けられている構成とすることができる。
【0019】
この構成の乗物用スイッチ装置は、2つの指で操作し易い構成となっており、誤操作を軽減することができる。
【0020】
上記構成において、前記乗物用内装材には、前記スイッチベースが前側に位置している状態における前記スイッチベースの前方に沿って凹所が形成されている構成とすることができる。
【0021】
この構成の乗物用スイッチ装置は、乗員がスイッチベースを把持する際に、乗員の指が凹所に入るため、指先が乗物用内装材に当たりにくく、スイッチベースを把持し易い構成となっている。
【0022】
上記構成において、前記スイッチベースは、前記乗物用内装材上を特定方向にスライド可能とされ、前記ウィンドウスイッチは、前記特定方向に対して傾斜した方向の力によって前記窓ガラスの開閉を操作する構成とすることができる。
【0023】
この構成の乗物用スイッチ装置は、スイッチベースの移動のために加える力の方向と、ウィンドウスイッチへの操作入力の方向とが異なっているため、ウィンドウスイッチの操作の際にスイッチベースがスライド移動してしまうことを抑制することができる。
【0024】
上記構成において、当該乗物用スイッチ装置は、前記乗物としての車両が備えるドアトリムに搭載され、前記スイッチベースは、前記ドアトリムにおける上方を向く面上に配され、前後方向にスライド移動可能とされるとともに、平面視で外縁が前端から後方に向かうにつれて車幅方向外側に傾斜する傾斜外縁部を有する形状とされ、前記ウィンドウスイッチは、前記傾斜外縁部に設けられている構成とすることができる。
【0025】
この構成の乗物用スイッチ装置は、車両のドアトリム上に設けられるスイッチ装置に限定されており、乗員がスイッチベースを把持した際、乗員の指でウィンドウスイッチを操作し易いようにウィンドウスイッチが配置されている。そして、この構成の乗物用スイッチ装置は、上述した「スイッチベースの移動のために加える力の方向と、ウィンドウスイッチへの操作入力の方向とが異なった構成」となる。つまり、この構成の乗物用スイッチ装置によれば、ウィンドウスイッチの操作の際にスイッチベースがスライド移動してしまうことを抑制することができる。
【0026】
上記構成において、前記スイッチベースは、前記ウィンドウスイッチを2つ備え、2つの前記ウィンドウスイッチは、前記傾斜外縁部に対して、外縁に沿う方向に並んで設けられている構成とすることができる。
【0027】
この構成の乗物用スイッチ装置は、乗員がスイッチベースを握った場合に、乗員の2本の指が2つのウィンドウスイッチ上に位置することになり、視認することなく、窓ガラスの開閉操作を行うことが可能である。
【0028】
上記構成において、当該乗物用スイッチ装置が搭載される前記乗物は、サイドミラーを備え、前記スイッチベースは、上面に前記サイドミラーの角度を調整するためのミラーコントロールスイッチを備えている構成とすることができる。
【0029】
この構成の乗物用スイッチ装置は、ウィンドウスイッチの主体となるスイッチベース上に、ミラーコントロールスイッチが設けられているため、スイッチベースとは別の個所にミラーコントロールスイッチを設けた場合に比較して、乗物用スイッチ装置のコンパクト化が可能である
【0030】
上記構成において、前記ミラーコントロールスイッチは、乗員の身体の一部が接触したことあるいは近接したことを検出するタッチセンサ式のものである構成とすることができる。
【0031】
この構成の乗物用スイッチ装置は、ミラーコントロールスイッチが動作する部分を有しないため、シンプルな構成とすることが可能である。
【0032】
上記構成において、当該乗物用スイッチ装置が搭載される前記乗物は、前記乗物の左右の各々に対応して前記サイドミラーを一対備え、前記スイッチベースは、前記ミラーコントロールスイッチが操作する前記サイドミラーを選択するための選択スイッチを備えている構成とすることができる。
【0033】
この構成の乗物用スイッチ装置は、さらに一対のサイドミラーのうち角度調整を行うものを選択するためのスイッチもスイッチベース上に設けられているため、乗物用スイッチ装置をよりコンパクト化することが可能である。
【0034】
上記構成において、前記スイッチベースは、前記乗物用内装材上を前後方向にスライド可能に配されており、前記選択スイッチは、前記スイッチベースにおける後端に設けられている構成とすることができる。
【0035】
この構成の乗物用スイッチ装置は、窓ガラスの開閉操作の際に、選択スイッチが誤って操作されるような事態が起こりにくくなっており、ミラーコントロールスイッチの操作を、選択スイッチによる操作に連動するように構成することで、ミラーコントールの誤操作を軽減することができる。
【0036】
上記構成において、前記選択スイッチは、前記乗物用内装材の上面からの高さ位置が、前記ミラーコントロールスイッチが設けられている部分の前記乗物用内装材の上面からの高さ位置より、低くされている構成とすることができる。
【0037】
この構成の乗物用スイッチ装置は、選択スイッチの高さが、スイッチベースの上面より一段低くされていることで、選択スイッチが誤って操作されるような事態がより起こりにくくなっており、ミラーコントロールの誤操作をより軽減することができる。
【発明の効果】
【0038】
本発明によれば、比較的コンパクトで、操作性を高めるとともに、デザインの自由度を向上させることが可能な斬新な構造の乗物用スイッチ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】本発明の第1実施例である乗物用スイッチ装置が搭載される自動車の平面図
【
図2】第1実施例である乗物用スイッチ装置に関する自動車の構成を概略的に示すブロック図
【
図6】第1実施例の乗物用スイッチ装置の側面図(一部断面図)
【
図7】第1実施例の乗物用スイッチ装置においてスイッチベースを移動させた状態を示す平面図
【
図11】第3実施例の乗物用スイッチ装置におけるスイッチベースの移動方向を示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明を実施するための形態として、本発明のいくつかの実施例を、図を参照しつつ詳しく説明する。なお、本発明は、下記の実施例に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することができる。
【実施例0041】
本発明の第1実施例である乗物用スイッチ装置は、車両用スイッチ装置10(以下、単に「スイッチ装置10」と呼ぶ場合がある)であり、乗物としての自動車11に搭載される。自動車11は、
図1に示すように、前後左右4枚のサイドウィンドウ12FR,12FL,12RR,12RLと、左右に一対のサイドミラー13R,13Lと、を備えている。また、自動車11は、各サイドウィンドウ12FR,12FL,12RR,12RLを昇降させる4つのウィンドウ昇降装置14FR,14FL,14RR,14RLと、各サイドミラー13R,13Lの鏡面の角度調整を行うミラーコントロール装置15R,15Lと、を備えている。それらウィンドウ昇降装置14とミラーコントロール装置15とは、本スイッチ装置10に関する自動車11の構成を概略的に示すブロック図である
図2に示している。この
図2に示すように、本スイッチ装置10に操作が加えられると、その信号が、自動車11が備える制御装置16に送信され、制御装置16は、その受け取った信号に基づいてウィンドウ昇降装置14およびミラーコントロール装置15への制御信号を送信するようになっている。
【0042】
そして、本実施例のスイッチ装置10は、
図1に示す、自動車11の乗物用内装材である運転席側のドアトリム17に搭載される。なお、各図面の一部において、車両前方および車両後方をFrおよびRrの矢印でそれぞれ示し、上方および下方をUおよびDの矢印でそれぞれ示し、左方および右方をLおよびRの矢印でそれぞれ示している。
【0043】
ドアトリム17は、
図3および
図4に示すように、複数のボード部材が互いに組み付けられた概して板状のトリムボード20を主体として構成されている。また、ドアトリム17は、アームレスト21、インサイドハンドル22、プルハンドル23、スピーカーグリル24、ドアポケット25等の各種機能部品を備えている。具体的には、ドアトリム17の上下方向における中間部には、後方側から順に、アームレスト21、プルハンドル23が設けられている。詳しく言えば、トリムボード20が、下側部分が上側部分より車室内側に膨出して段付形状となっており、段付状となった部分に、上方を向くアームレスト21の肘掛け面21Aと、その肘掛け面21Aの前方に、上方に向けて開口するプルハンドル23とが設けられている。また、そのトリムボード20には、プルハンドル23の前方に、上方を向く平面部20Aが形成され、その平面部20A上に、本実施例の車両用スイッチ装置10が設けられている。
【0044】
本実施例のスイッチ装置10は、後述する複数のスイッチを有するスイッチベース30を主体とするものであり、そのスイッチベース30は、トリムボード20の平面部20Aを形成するボード部材26の上面を移動可能に設けられている。スイッチベース30は、
図5に示すように、前側の部分が、前方に向かって先細りする形状で、後側の部分が、概して矩形状とされていることで、平面視で概して五角形状のものとなっている。詳しく言えば、スイッチベース30は、前端から車室内側(車幅方向左側)に傾斜する左側傾斜外縁部31と、前端から車室外側(車幅方向右側)に傾斜する右側傾斜外縁部32と、左側傾斜外縁部31の後端から後方に延びる左側外縁部33と、右側傾斜外縁部32の後端から後方に延びる右側外縁部34と、左側外縁部33の後端と右側外縁部34の後端とを繋ぐ後側外縁部35と、それらに囲まれた平坦な本体部36と、からなる。なお、右側傾斜外縁部32は、左側傾斜外縁部31より大きくされている。スイッチベース30は、このような形状とされていることで、運転者の右手によって把持される場合に、左側傾斜外縁部31に親指が、右側傾斜外縁部32に人差し指および中指が位置し易くされている。
【0045】
スイッチベース30には、4枚のサイドウィンドウ12の開閉操作を行うための2つのウィンドウスイッチ40R,40Lと、一対のサイドミラー13の角度調整の操作を行うためのミラーコントロールスイッチ42(以下、「ミラコンスイッチ42」と呼ぶ場合がある)と、一対のサイドミラー13のうちからミラコンスイッチ42によって操作を行うものを選択する一対の選択スイッチ44R,44Lとが設けられている。
【0046】
2つのウィンドウスイッチ40R,40Lは、スイッチベース30の右側傾斜外縁部32に設けられており、その右側傾斜外縁部32の外縁に沿う方向に並んで、互いに隣接して設けられている。なお、2つのウィンドウスイッチ40のうち相対的に右側に位置する右側ウィンドウスイッチ40Rには、その先端における表面側に突起41が形成されており、乗員は触れるだけで、ウィンドウスイッチ40R,40Lのいずれかを認識できるようになっている。
【0047】
ウィンドウスイッチ40R,40Lは、外縁側を押し下げ、あるいは、引き上げることが可能な構成とされており、押し下げられた場合に、対応するサイドウィンドウ12のウィンドウ昇降装置14が制御されて、サイドウィンドウ12が開かれ、引き上げられた場合に、対応するサイドウィンドウ12のウィンドウ昇降装置14が制御されて、サイドウィンドウ12が閉じられるようになっている。
【0048】
また、スイッチベース30は、ボード部材26上を移動可能に構成されている。詳しく言えば、
図6に示すように、スイッチベース30は、上述した各種スイッチが設けられて乗員が把持可能なベース本体50と、ボード部材26に対してスライド移動可能に保持されるスライダ51と、前記ベース本体50とスライダ51とを連結する連結部52と、からなる。また、ボード部材26は、本体部材26Aとカバー部材26Bとからなり、スライダ51は、一部が本体部材26Aとカバー部材26Bとによって上下方向において挟まれた状態となっているとともに、カバー部材26Bに形成された、スライダ51の前後方向寸法よりも前後方向に長いスペース内を、スライド移動可能とされている。
【0049】
なお、ベース本体50とスライダ51との間に、カバー部材26Bの一部が挟まれた状態となっており、ベース本体50がカバー部材26B上を安定して移動すること、つまり、スイッチベース30がボード部材26上を安定して移動できるようになっている。また、カバー部材26Bには、
図5および
図6に示すように、スイッチベース30の前方(ベース本体50の前方)に沿って、詳しく言えば、左側傾斜外縁部31と右側傾斜外縁部32との前方に沿って、凹所26Dが形成されている。この凹所26Dによって、スイッチベース30のベース本体50を乗員が把持する際、ボード部材26に指先が当たりにくくなっており、把持し易くされている。
【0050】
また、スライダ51の後端と、カバー部材26Bにおいて前方を向いてスライダ51の後端に対向する対向面26Cとの間に、付勢機構としての圧縮コイルスプリング60が配されている。つまり、スライダ51は、圧縮コイルスプリング60によって、常時、前方に向かって付勢されており、スライド移動可能な範囲内における前端に位置させられている。したがって、本スイッチ装置10は、スイッチベース30が前方に向かって付勢された構成とされているのである。なお、スライダ51の下面と、ボード部材26の本体部材26Aの上面との間に、スライダ51の前後方向の位置を検出する前後位置センサ62が設けられている。
【0051】
上述したように、本スイッチ装置10は、スイッチベース30がボード部材26上を移動可能とされており、スイッチベース30が位置している場所に応じて、ウィンドウスイッチ40R,40Lによって開閉操作されるサイドウィンドウ12が変更されるように構成されている。詳しく言えば、スイッチベース30は、ボード部材26上を前後方向にスライド可能に配されており、スイッチベース30の前後方向における位置に応じて、ウィンドウスイッチ40R,40Lによって開閉操作されるサイドウィンドウ12が変更される。
【0052】
具体的に言えば、スイッチベース30が前方側に位置している場合(
図5参照)、つまり、基準位置に位置している場合には、2つのウィンドウスイッチ40R,40Lは、それぞれ、4枚のサイドウィンドウ12のうち前側の2枚のサイドウィンドウ12FR,12FLを開閉操作することが可能とされている。一方、スイッチベース30が後方側に位置している場合(
図7参照)、つまり、圧縮コイルスプリング60の付勢力に抗って基準位置から後退させた状態では、2つのウィンドウスイッチ40R,40Lは、それぞれ、4枚のサイドウィンドウ12のうちの後側の2枚のサイドウィンドウ12RR,12RLを開閉操作することが可能とされている。つまり、本スイッチ装置10が搭載される自動車11は、左右に配された2枚のサイドウィンドウ12によって対をなす窓ガラス対を前後に並んで複数対(二対)備えており、スイッチベース30には、2つのウィンドウスイッチ40R,40Lが設けられ、それら2つのウィンドウスイッチ40R,40Lの各々が、窓ガラス対を構成する左右2枚のサイドウィンドウ12の各々の開閉操作を行うものとされ、スイッチベース30の前後方向における位置に応じて、2つのウィンドウスイッチ40R,40Lによって開閉操作される窓ガラス対が変更されるように構成されているのである。
【0053】
ミラコンスイッチ42は、乗員の指が接触したことを検出するタッチセンサ式のものであり、スイッチベース30の上面、つまり、本体部36に設けられている。詳しく言えば、本体部36には、上下左右に対応する十字マーク42Aが配されており、その十字マーク42Aを触れることで、サイドミラー13の角度が変更されるようになっている。また、このミラコンスイッチ42は、一対の選択スイッチ44R,44Lのいずれかが押された場合にのみ、操作できるようになっている。つまり、右側選択スイッチ44Rが押されたことを条件として、右側サイドミラー13Rの右側ミラーコントロール装置15Rが作動し、左側選択スイッチ44Lが押されたことを条件として、左側サイドミラー13Lのミラーコントロール装置15Lが作動するようになっている。なお、これら一対の選択スイッチ44R,44Lは、スイッチベース30における右側外縁部34に設けられている。
【0054】
以上のような構成とされた本スイッチ装置10によれば、乗員は、開閉したいサイドウィンドウ12に応じた位置にスイッチベース30を移動させて、ウィンドウスイッチ40R,40Lを操作することにより、そのサイドウィンドウ12を開閉することができる。つまり、本スイッチ装置10は、斬新な乗物用スイッチ装置となっている。また、本スイッチ装置10は、ウィンドウスイッチ40の数がサイドウィンドウ12の数より少なく、シンプルな構成なものとなっている。さらに、本スイッチ装置10によれば、開閉したいサイドウィンドウ12に合わせて、スイッチベース30を前後に移動させればよいため、斬新な構成のスイッチ装置でありながら、乗員は直感的にサイドウィンドウ12の開閉操作を行うことができる。さらにまた、本スイッチ装置10は、ウィンドウスイッ40R,40Lが、従来から存在するスイッチ装置と同様に、押し下げることでサイドウィンドウ12を開くとともに、引き上げることでサイドウィンドウ12を閉じる構成のものであるため、斬新な構成ではあるものの、誤操作を抑えることができる。
【0055】
また、本スイッチ装置10は、スイッチベース30が前後方向に移動可能とされているのに対して、ウィンドウスイッチ40R,40Lが前後方向に対して傾斜した方向の力によってサイドウィンドウ12の開閉操作を行う構成とされている。したがって、本スイッチ装置10によれば、スイッチベース30の移動のために加える力の方向と、ウィンドウスイッチ40R,40Lへの操作入力の方向とが異なっていることで、ウィンドウスイッチ40R,40Lの操作の際にスイッチベース30がスライド移動してしまうことを抑制することができる。
【0056】
さらに、本スイッチ装置10は、スイッチベース30上にミラコンスイッチ42およびそのミラコンスイッチ42が操作するサイドミラー13を選択するための選択スイッチ44R,44Lも設けられているため、コンパクトなものとなっている。そのミラコンスイッチ42は、タッチセンサ式のものとされており、スイッチベース30は、シンプルな構成とされている。
【0057】
さらにまた、本スイッチ装置10は、スイッチベース30上にタッチセンサ式のミラコンスイッチ42が設けられているものの、選択スイッチ44R,44Lのいずれかが操作された場合しかミラコンスイッチ42が作動しないため、ミラーコントロール装置15R,15Lの誤作動を抑えることができる。
第2実施例のスイッチ装置80は、上記のような構成とされていことで、サイドウィンドウ12の開閉操作の際に、選択スイッチ104が誤って操作されるような事態が起こりにくくなっている。つまり、第2実施例のスイッチ装置80によれば、選択スイッチ104の操作が条件となるミラーコントロールスイッチ102の誤操作を、第1実施例のスイッチ装置10にも増して、軽減することができる。