IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ キヤノン株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-光プリントヘッド及び画像形成装置 図1
  • 特開-光プリントヘッド及び画像形成装置 図2
  • 特開-光プリントヘッド及び画像形成装置 図3
  • 特開-光プリントヘッド及び画像形成装置 図4
  • 特開-光プリントヘッド及び画像形成装置 図5
  • 特開-光プリントヘッド及び画像形成装置 図6
  • 特開-光プリントヘッド及び画像形成装置 図7
  • 特開-光プリントヘッド及び画像形成装置 図8
  • 特開-光プリントヘッド及び画像形成装置 図9
  • 特開-光プリントヘッド及び画像形成装置 図10
  • 特開-光プリントヘッド及び画像形成装置 図11
  • 特開-光プリントヘッド及び画像形成装置 図12
  • 特開-光プリントヘッド及び画像形成装置 図13
  • 特開-光プリントヘッド及び画像形成装置 図14
  • 特開-光プリントヘッド及び画像形成装置 図15
  • 特開-光プリントヘッド及び画像形成装置 図16
  • 特開-光プリントヘッド及び画像形成装置 図17
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022190840
(43)【公開日】2022-12-27
(54)【発明の名称】光プリントヘッド及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/447 20060101AFI20221220BHJP
   B41J 2/45 20060101ALI20221220BHJP
   G03G 15/04 20060101ALI20221220BHJP
   H04N 1/036 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
B41J2/447 101A
B41J2/45
G03G15/04
H04N1/036
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021099302
(22)【出願日】2021-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000718
【氏名又は名称】弁理士法人中川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小島 信久
【テーマコード(参考)】
2C162
2H076
5C051
【Fターム(参考)】
2C162AE21
2C162AE28
2C162AE40
2C162AE47
2C162AE55
2C162FA04
2C162FA17
2C162FA45
2C162FA55
2C162FA59
2C162FA70
2H076AB42
2H076AB51
2H076EA05
5C051AA02
5C051CA08
5C051DA04
5C051DB02
5C051DB04
5C051DB22
5C051DB29
5C051DB35
5C051DC05
5C051DC07
5C051FA01
(57)【要約】
【課題】基板に搭載されたLEDアレイへの封止材の流入を抑制する。
【解決手段】複数の発光素子が実装された基板と、前記発光素子から出射された光を感光体に集光するレンズと、前記基板と前記レンズとを保持する保持部材と、前記保持部材に設けられ、前記基板の長手方向において前記基板の端部より外側に設けられ、前記保持部材を前記感光体を露光する露光位置と前記露光位置よりも前記感光体から離間した離間位置に移動させる移動機構が取り付けられる取付部と、を備え、前記長手方向において前記基板の端部と前記取付部との間に壁部を設け、前記基板と前記壁部とに接触するように封止材を塗布した。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発光素子が実装された基板と、
前記発光素子から出射された光を感光体に集光するレンズと、
前記基板と前記レンズとを保持する保持部材と、
前記保持部材に設けられ、前記基板の長手方向において前記基板の端部より外側に設けられ、前記保持部材を前記感光体を露光する露光位置と前記露光位置よりも前記感光体から離間した離間位置とに移動させる移動機構が取り付けられる取付部と、を備え、
前記長手方向において前記基板の端部と前記取付部との間に壁部を設け、前記基板と前記壁部とに接触するように封止材を塗布した、
ことを特徴とする光プリントヘッド。
【請求項2】
前記長手方向において前記基板の端部と前記壁部との間の間隔は2mm以下である、
ことを特徴とする請求項1に記載の光プリントヘッド。
【請求項3】
前記壁部は、前記保持部材の移動方向において、前記保持部材に保持された前記基板より前記感光体から離れる方向に突出して設けられており、
前記封止材を、前記基板と前記壁部とに接触するように塗布した、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の光プリントヘッド。
【請求項4】
前記保持部材は、前記レンズが挿入される開口が形成されたベース部と、前記ベース部の前記長手方向に直交する短手方向の一方側から感光体から離れる方向へ向けて延出した第1延出部と、前記ベース部の短手方向の他方側から感光体から離れる方向へ向けて延出した第2延出部とによりコの字形状に形成され、
前記壁部は、前記保持部材の前記ベース部、前記第1延出部、及び前記第2延出部が形成するコの字形状の内面に沿う形状を有する、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光プリントヘッド。
【請求項5】
前記壁部は、前記基板の発光素子が実装された実装面と対向する前記保持部材のベース部の内面に沿って、前記壁部からレンズ側に向けて延設された受け部を有し、
前記受け部は、前記長手方向において前記壁部と前記レンズとの間に位置する、
ことを特徴とする請求項4に記載の光プリントヘッド。
【請求項6】
前記受け部は、前記基板の実装面に対向する対向面に、前記長手方向に直交する方向に沿って第1の溝部を設けた、
ことを特徴とする請求項5に記載の光プリントヘッド。
【請求項7】
前記受け部は、前記保持部材の第1延出部に対向する第1面及び第2延出部に対向する第2面のそれぞれに、前記長手方向と直交する方向に沿って切り欠き部を設けた、
ことを特徴とする請求項5又は6に記載の光プリントヘッド。
【請求項8】
前記受け部は、前記保持部材のベース部に対向する面に、前記長手方向に直交する方向に沿って第2の溝部を設けた、
ことを特徴とする請求項5乃至7のいずれか1項に記載の光プリントヘッド。
【請求項9】
前記保持部材の前記ベース部に、前記第2の溝部につながる貫通穴を設けた、
ことを特徴とする請求項8に記載の光プリントヘッド。
【請求項10】
前記保持部材は、金属製であり、
前記取付部と前記壁部とは、樹脂によって一体成形された取付部材であり、前記長手方向において前記基板の端部の外側にて前記保持部材に保持されている、
ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の光プリントヘッド。
【請求項11】
前記移動機構は、固定された支持部材と、前記支持部材に対して移動可能な移動部材と、前記支持部材に対する前記移動部材の移動に連動して回動するリンク部材と、を有し、前記リンク部材が前記取付部に取り付けられている、
ことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の光プリントヘッド。
【請求項12】
感光体と、前記感光体を露光する光プリントヘッドと、を有する画像形成装置であって、
前記光プリントヘッドとして、請求項1乃至11のいずれか1項に記載の光プリントヘッドを具備することを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光体を露光する光プリントヘッド及びこれを備えた、デジタル複写機、ファクシミリ装置等の電子写真方式の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式の画像形成装置としては、LEDアレイおよびレンズアレイを備えた露光装置により、感光体の表面に静電潜像を形成し、その静電潜像にトナーを付着させてトナー像を現像するものが広く普及している。
【0003】
この露光装置は、LEDアレイおよびレンズアレイの周囲の空間にトナー等の異物が侵入すると、光量の減少等の問題が生じるおそれがある。そこで、特許文献1に記載の技術が知られている。
【0004】
特許文献1に記載された露光装置は、LEDアレイが搭載された基板を保持したベースとコの字形状をした鋼板からなるホルダとの隙間に封止材が塗布されており、さらにベースの長手方向両端部には遮蔽板が配設されている。このようにして、ベースとホルダとの隙間およびホルダ両端からの異物の侵入を防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012-66499号公報
【特許文献2】特開2021-74943号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の技術では、ベースの長手方向両端部にて、遮蔽板をベースとホルダとの隙間なく配設させることは難しく、密閉性は十分とはいえなかった。
【0007】
一方、特許文献2の技術では、LEDアレイが搭載された基板を、直接、コの字形状をした鋼板からなるホルダで保持しており、基板とホルダとの隙間に封止材が塗布されている。このため、基板の長手方向端部からの異物の侵入を防止するために、封止材で基板端部を封止することが考えられる。しかしながら、壁がないので、封止材で基板端部を封止しようとすると、封止材が硬化するまでに基板に搭載されたLEDアレイに流入してしまうおそれがあった。
【0008】
本発明の目的は、基板に搭載されたLEDアレイへの封止材の流入を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明の代表的な構成は、複数の発光素子が実装された基板と、前記発光素子から出射された光を感光体に集光するレンズと、前記基板と前記レンズとを保持する保持部材と、前記保持部材に設けられ、前記基板の長手方向において前記基板の端部より外側に設けられ、前記保持部材を前記感光体を露光する露光位置と前記露光位置よりも前記感光体から離間した離間位置に移動させる移動機構が取り付けられる取付部と、を備え、前記長手方向において前記基板の端部と前記取付部との間に壁部を設け、前記基板と前記壁部とに接触するように封止材を塗布した、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、基板に搭載された発光素子への封止材の流入を抑制することができる。また長手方向において基板の端部が壁部と封止材により封止されて異物の侵入をより低減することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】画像形成装置の断面図
図2】光プリントヘッドの斜視図
図3】(a)(b)(c)(d)(e)基板やレンズアレイの説明図
図4】光プリントヘッドの側面図
図5】光プリントヘッドの側面図
図6】基板の斜視図
図7】光プリントヘッドの斜視図
図8】光プリントヘッドの断面斜視図
図9】光プリントヘッドの断面斜視図
図10】光プリントヘッドの断面斜視図
図11】光プリントヘッドの断面斜視図
図12】光プリントヘッドの断面斜視図
図13】光プリントヘッドの一部を示す斜視図
図14】光プリントヘッドの一部を示す斜視図
図15】光プリントヘッドの斜視図
図16】光プリントヘッドの断面斜視図
図17】光プリントヘッドの断面斜視図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に本発明を実施するにあたり好ましい実施の形態を、添付の図面を用いて説明する。ただし、本説明に記載されている構成要素はあくまでも例示であり、本発明を本説明に記載した実施の形態だけに限るものではない。
【0013】
〔実施例1〕
(画像形成装置)
まず、画像形成装置1の概略構成を説明する。図1は画像形成装置1の概略断面図である。図1に示す画像形成装置1は読取装置を備えたカラープリンタ(MFP:Multi Function Printer)であるが、実施の形態は読取装置を備えていない複写機であってもよい。また、実施の形態は、図1に示すような複数の感光ドラム103を備える所謂タンデム方式のカラー画像形成装置に限られず、1つの感光ドラム103を備えるカラー画像形成装置やモノクロ画像を形成する画像形成装置でも良い。
【0014】
図1に示す画像形成装置1は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナー像を形成する4基の画像形成部102Y、102M、102C、102K(以下、総称して単に「画像形成部102」とも称する)を備える。また、画像形成部102Y、102M、102C、102Kは、それぞれ感光体(像担持体)としての感光ドラム103Y、103M、103C、103K(以下、総称して単に「感光ドラム103」とも称する)を備える。これらの感光ドラムは、それぞれ離間して配列されている。また、画像形成部102Y、102M、102C、102Kは、感光ドラム103Y、103M、103C、103Kをそれぞれ帯電させる帯電手段としての帯電器104Y、104M、104C、104K(以下、総称して単に「帯電器104」とも称する)を備える。また、画像形成部102Y、102M、102C、102Kは、感光ドラム103Y、103M、103C、103Kを露光する光を出射する露光光源としてのLED(Light Emitting Diode、以下LEDと記載)露光ユニット500Y、500M、500C、500K(以下、総称して単に「露光ユニット500」とも称する)を備える。さらに、画像形成部102Y、102M、102C、102Kは、感光ドラム103上の静電潜像をトナーによって現像し、感光ドラム103上に各色のトナー像を現像する現像手段としての現像器106Y、106M、106C、106K(以下、総称して単に「現像器106」とも称する)を備える。なお、符号に付されたY、M、C、Kはトナーの色を示している。
【0015】
図1(a)に示す画像形成装置1は、感光ドラム103を下方から露光する、いわゆる「下面露光方式」を採用する画像形成装置である。以下、下面露光方式を採用する画像形成装置を前提として説明を進める。なお、実施の形態としては、図示していないが、感光ドラムを上方から露光する「上面露光方式」を採用する画像形成装置でも構わない。
【0016】
画像形成装置1は、感光ドラム103に形成されたトナー像が転写される中間転写ベルト107と、感光ドラム103に形成されたトナー像を当該中間転写ベルト107に順次転写させる一次転写ローラ108(Y、M、C、K)を備える。また、画像形成装置1は、中間転写ベルト107上のトナー像を給紙部101から搬送されてきた記録材Sに転写させる二次転写ローラ109と、二次転写された画像を記録材Sに定着させる定着器100を備える。なお、上述した中間転写ベルト107を用いた中間転写方式以外に、感光ドラム103から記録材に直接転写する直接転写方式を用いても構わない。
【0017】
一次転写後の感光ドラム103Y、103M、103C、103Kの表面にはトナーが残留している。これら残留トナーはドラムクリーニング装置(第1清掃装置)8Y、8M、8C、8K(以下、総称して単に「ドラムクリーニング装置8」とも称する)によって除去され、回収トナー容器5に回収される。
【0018】
また、二次転写後の中間転写ベルト107の表面にもトナーが残留している。この残留トナーはベルトクリーニング装置(第2清掃装置)7によって除去され、回収トナー容器5に回収される。
【0019】
(画像形成プロセス)
次に上記画像形成装置の画像形成プロセスについて簡単に説明する。帯電器104Yは、感光ドラム103Yの表面を帯電する。露光ユニット500Yは帯電器104Yによって帯電された感光ドラム103Yの表面を露光する。これにより、感光ドラム103Yには静電潜像が形成される。次に、現像器106Yは感光ドラム103Yに形成された静電潜像をイエローのトナーによって現像する。感光ドラム103Yの表面に現像されたイエローのトナー像は、一次転写ローラ108Yによって中間転写ベルト107上に転写される。マゼンタ、シアン、ブラックのトナー像も同様の画像形成プロセスで中間転写ベルト107に転写される。
【0020】
中間転写ベルト107上に転写された各色のトナー像は、中間転写ベルト107によって二次転写部T2まで搬送される。二次転写部T2に配置された二次転写ローラ109にはトナー像を記録材Sに転写するための転写バイアスが印加されている。二次転写部T2まで搬送されたトナー像は、二次転写ローラ109の転写バイアスによって、給紙部(給紙カセット)101から搬送されてきた記録材Sに転写される。
【0021】
記録材Sは給紙部101内に積載される形で収納されており、画像形成タイミングに合わせて搬送路20へと給紙される。給紙方法は、まず給紙ローラ80の摩擦で記録材Sの先端が跳ね上げられ、記録材Sの二重送りを防止するための用紙分離用搬送ローラ対9により記録材Sが1枚のみ搬送路20へ搬送される。その後、搬送ローラ対10で引き抜かれた記録材Sは、搬送路20を通りレジストローラ対11まで搬送され一旦停止される。なお、レジストローラ対11では斜行補正やタイミング補正が行われた後、二次転写部T2へと搬送される。
【0022】
二次転写部T2にてトナー像が転写された記録材Sは定着器100に搬送される。定着器100は、熱と圧力によって記録材Sにトナー像を定着させる。定着器100によって定着処理がなされた記録材Sは、排紙部111に排出される。
【0023】
また、図1に示すように画像形成装置1はトナー容器4Y、4M、4C、4K(以下、総称して単に「トナー容器4」とも称する)を備える。画像形成を行うことにより、現像ユニット641(後述)内のトナー量が減少する。その際には、トナーが、各画像形成部102Y、102M、102C、102Kに対応して設けられたトナー容器4Y、4M、4C、4Kから不図示のパイプを介して現像ユニット641(後述)に供給される。すなわち、本実施例に記載の画像形成装置1が備える現像ユニット641(後述)では、トナー容器4から新たなトナーを補給しつつ、過剰となったトナーの一部は残留トナーとして回収トナー容器5へ搬送する。
【0024】
(ドラムユニットおよび現像ユニット)
本実施例の画像形成装置1には交換可能な交換ユニットの一例であるドラムユニット518が取り付けられる。ドラムユニット518は、ユーザやメンテナンス者等の作業者によって交換されるカートリッジである。本実施例のドラムユニット518(Y、M、C、K)はドラムユニット518の枠体に対して回転可能に支持された感光ドラム103(Y、M、C、K)を備える。
【0025】
また、本実施例の画像形成装置1にはドラムユニット518とは別体の現像ユニット641が取り付けられている。本実施例の現像ユニット641は、図1に示す現像器106とトナー収容部とが一体化されたカートリッジである。現像器106は、現像剤を担持する現像剤担持体であるところの現像スリーブを備える。現像ユニット641にはトナーとキャリアを攪拌するためのスクリューを回転させるためのギアが複数設けられている。これらのギアが経年劣化等した際には、作業者が現像ユニット641を画像形成装置1の装置本体から取り外して交換する。また、現像ユニット641からは一定数のトナーが残留トナーとして除去され、回収トナー容器5へと搬送されている。なお、ドラムユニット518および現像ユニット641の実施の形態は、上記ドラムユニット518と現像ユニット641が一体化されたプロセスカートリッジでも構わない。
【0026】
ここで、図1に示すように、以下の説明では画像形成装置1に対してドラムユニット518を挿抜する方向の一方側を前側(手前側若しくは正面側)、他方側を後側(奥側若しくは背面側)と定義する。また、ブラックのトナー像に関する静電潜像が形成される感光ドラム103Kを基準としたとき、イエローのトナー像に関する静電潜像が形成される感光ドラム103Yが配置されている側を左側と定義する。イエローのトナー像に関する静電潜像が形成される感光ドラム103Yを基準としたとき、ブラックのトナー像に関する静電潜像が形成される感光ドラム103Kが配置されている側を右側と定義する。さらに、ここで定義した前後方向および左右方向に垂直な方向であって鉛直方向上向きを上方向、また、ここで定義した前後方向および左右方向に垂直な方向であって鉛直方向下向きを下方向と定義する。定義した前方向、後方向、右方向、左方向、上方向、下方向を図2に示す。
【0027】
なお、以下の説明では、感光ドラム103の回転軸線方向とは、図2に示す前後方向と一致する方向である。また、光プリントヘッド105の長手方向についても図2に示す前後方向と一致する方向である。すなわち、感光ドラム103の回転軸線方向と光プリントヘッド105の長手方向とは一致する方向である。また、感光ドラム103の回転軸線方向における一端側はここで定義する前側を意味し、他端側はここで定義する後側を意味する。前後方向における一端側および他端側に関してもここで定義する前側および後側に対応する。左右方向における一端側はここで定義する右側を意味し、他端側はここで定義する左側を意味する。
【0028】
(露光ユニット)
次に図2図5を用いて、光プリントヘッド105を含む露光ユニット520について説明する。
【0029】
図4及び図5に示すように、露光ユニット520は、感光ドラム103を露光する光プリントヘッド105と、光プリントヘッド105を感光ドラム103を露光する露光位置と露光位置よりも感光ドラム103から離間した離間位置とに移動させる移動機構640と、を備える。
【0030】
(光プリントヘッド)
次に、露光ユニット500が備える光プリントヘッド105について説明する。ここで、電子写真方式の画像形成装置に採用される露光方式の一例として、半導体レーザの照射ビームを回転するポリゴンミラーなどで走査しf-θレンズ等を介して感光ドラムを露光するレーザビーム走査露光方式がある。本実施例で説明する「光プリントヘッド105」は、感光ドラム103の回転軸線方向に沿って配列されたLED等の発光素子を用いて感光ドラム103を露光するLED露光方式に用いられるものであって、上記に言うレーザビーム走査露光方式には用いられない。
【0031】
本実施例で説明する光プリントヘッド105は、感光ドラム103の回転軸線よりも鉛直方向下側に設けられており、光プリントヘッド105が有するLED503が感光ドラム103を下方から露光する。図2は、本実施例の画像形成装置1が備える光プリントヘッド105の概略斜視図である。
【0032】
光プリントヘッド105は感光ドラム103の回転軸線方向に延びる長尺の形状(長手形状)をなす。また、光プリントヘッド105は、保持部材505(ホルダの一例)と、レンズアレイ506と、基板502(図3参照)と、を備える。また保持部材505は、当接部材としてのピン前507、ピン後508と、バネ前509、バネ後510を保持するバネホルダ前511、バネホルダ後512と、を備える。保持部材505は、基板502とレンズアレイ506とを保持する。
【0033】
次に、基板502について説明する。図3(a)は光プリントヘッド105における基板502の概略斜視図である。図3(b)は基板502に設けられた複数のLED503の配列を示す図、図3(c)は図3(b)の拡大図である。
【0034】
基板502にはLEDチップ639が実装されている。図3(a)に示すように、基板502の一方の面にはLEDチップ639が設けられ、他方の面(発光素子が並べられている側とは反対側の面)には長尺のFFCコネクタ504が設けられている。当該FFCコネクタ504は、その長手方向が基板502の長手方向に沿うように基板502の下側の面に取り付けられている。基板502には各LEDチップ639に信号を供給するための配線が設けられている。コネクタ504には、ケーブルの一例としてのフレキシブルフラットケーブル(FFC、不図示)の一端が接続される。
【0035】
画像形成装置1には、図示していないが、制御部とコネクタとを備える基板が設けられている。FFCの他端は、当該コネクタに接続されている。すなわち、FFCは制御部と基板502とを電気的に接続している。基板502には、画像形成装置1の制御部からFFCおよびコネクタ504を介して制御信号(駆動信号)が入力される。LEDチップ639は、基板502に入力された制御信号によって駆動される。
【0036】
基板502に実装されたLEDチップ639についてさらに詳しく説明する。図3(b)および図3(c)に示すように、基板502の一方の面には複数のLED503(発光素子の一例)が配置された複数のLEDチップ639-1~639-29(29個)が配列されている。各LEDチップ639-1~639-29はそれぞれ、その長手方向に516個のLED503が一列に配列されている。LEDチップ639の長手方向において、隣り合うLED503の中心間距離k2は画像形成装置1の解像度に対応している。本実施例の画像形成装置1の解像度は1200dpiであるので、LEDチップ639-1~639-29の長手方向において、LED503は隣接するLED503の中心間距離が21.16μmとなるように一列に配列されている。そのため、本実施例の光プリントヘッド105の露光範囲は約314mmとなる。感光ドラム103の感光層は314mm以上の幅で形成されている。A4サイズの記録紙の長辺の長さおよびA3サイズの記録紙の短辺の長さは297mmであるため、本実施例の光プリントヘッド105は、A4サイズの記録紙およびA3サイズの記録紙に画像形成可能な露光範囲を有している。
【0037】
LEDチップ639-1から639-29は、感光ドラム103の回転軸線方向に沿って二列となるよう交互に配置されている。すなわち、図3(b)に示すように、左側から数えて奇数番目のLEDチップ639-1、639-3、・・・639-29が基板502の長手方向に一列に実装されている。また、左側から数えて偶数番目のLEDチップ639-2、639-4、・・・639-28が基板502の長手方向に一列に実装されている。LEDチップ639をこのように配置することで、図3(c)に示すように、LEDチップ639の長手方向において、隣り合う異なるLEDチップ639における一方のLEDチップ639の一端と他方のLEDチップ639の他端とに配置されたLED503の中心間距離k1を一つのLEDチップ639上における隣り合うLED503の中心間距離k2と等しくすることができる。
【0038】
なお、本実施例において発光素子は発光ダイオードである半導体LEDであるが、例えばOLED(Organic Light Emitting Diode)でも構わない。このOLEDは、有機EL(Organic Electro-Luminescence)とも呼ばれており、電流駆動型の発光素子である。OLEDは例えばTFT(Thin Film Transister)基板上で主走査方向(感光ドラム103の回転軸線方向)に沿ってライン上に配置され、同じく主走査方向に沿って設けられた電源配線によって電気的に並列に接続される。
【0039】
次に、レンズアレイ506について説明する。図3(d)はレンズアレイ506を感光ドラム103側から見た時の概略図である。また、図3(e)はレンズアレイ506の概略斜視図である。図3(d)に示すように、複数のレンズが複数のLED503の配列方向に沿って二列に並べられている。各レンズは、一方の列のレンズの配列方向において隣り合うレンズの両方に接するように他方の列のレンズの一つが配置されるよう交互に配置されている。各レンズは、円柱状の硝子製のロッドレンズである。なお、レンズの材質は硝子製に限らず、プラスチック製でも構わない。レンズの形状についても円柱状に限らず、例えば六角柱等の多角柱でも構わない。
【0040】
図3(e)に示す点線Zはレンズの光軸を示す。光プリントヘッド105は後述する移動機構640(図4及び図5参照)によって点線Zで示すレンズの光軸に概ね沿った方向(上下方向)に移動可能である。ここで言うレンズの光軸とは、レンズの光出射面の中心と当該レンズの焦点とを結ぶ線を意味する。LED503から出射された放射光はレンズアレイ506が備えるレンズに入射する。レンズは入射した放射光を感光ドラム103の表面上に集光させる機能を有する。レンズアレイ506は、LED503の発光面とレンズの光入射面との距離と、レンズの光出射面と感光ドラム103の表面との距離と、が略等しくなるように、光プリントヘッド105の組み立て時に開口701(図2参照)に対する取付位置が調整される。
【0041】
(移動機構)
次に光プリントヘッド105を感光ドラム103に対して露光位置と前記露光位置よりも感光ドラム103から離間した離間位置とに移動させる移動機構640について説明する。光プリントヘッド105は感光ドラム103に近接配置され、感光ドラム103を露光する機能を持つ。そのため、画像形成装置1のメンテナンス等のためにドラムユニット518を画像形成装置1から取り出す際、光プリントヘッド105が露光位置に留まっていると、ドラムユニット518を取り外すのに光プリントヘッド105が障害物となり得る。よって光プリントヘッド105は、露光時には近接された前記露光位置にいるが、画像形成装置1のメンテナンス時には露光位置よりも感光ドラムから離間した離間位置に移動する移動機能が求められる。
【0042】
図4は光プリントヘッド105が露光位置にいる時の、露光ユニット500の側面図である。図4が右側から見た図である。またこれに対応する、光プリントヘッド105が離間位置にいる際の、露光ユニット500の側面図が、図5である。尚、ドラムユニット518は図示していないが、光プリントヘッド105が図4に示す露光位置にいる際、前後方向の両端部に設けられたピン前516、ピン後517はそれぞれ感光ドラム103を支持するドラムユニット518の所定箇所に当接している。その際、光プリントヘッド105にはバネホルダ前511、バネホルダ後512に保持されたバネ前509、バネ後510(図2参照)による上向きの付勢力が加えられている。ピン前516、ピン後517及びバネホルダ前511、バネホルダ後512は保持部材505に設けられている。バネ前509、バネ後510は、光プリントヘッド105を感光ドラム103の方向に付勢する付勢部材であり、バネホルダ前511、バネホルダ後512に保持されている。光プリントヘッド105は、付勢部材であるバネ前509、バネ後510により感光ドラム103の方向に付勢され、ピン前516、ピン後517がそれぞれドラムユニット518に当接する。これにより、露光位置において、光プリントヘッド105と感光ドラム103の表面との距離を一定に保っている。
【0043】
図4及び図5に示すように、光プリントヘッド105を露光位置と離間位置とに移動させる移動機構640は、支持部材としてのフレーム526と、スライド部材525と、第1リンク機構530と、第2リンク機構540と、を備える。
【0044】
フレーム526は、板金をプレス加工にてコの字型に折り曲げることにより形成されている。フレーム526は感光ドラム103の回転軸線方向に延びる長手形状の部材である。フレーム526の長手方向の一端側(手前側)が画像形成装置1の前側板(不図示)に対して固定され、フレーム526の長手方向の他端側(奥側)が画像形成装置1の後側板(不図示)に対して固定される。こうして、フレーム526は、保持部材505に対して感光ドラム103が配置されている側とは反対側で感光ドラム103に対する位置が固定される。
【0045】
フレーム526は、フレーム526の長手方向に移動可能なスライド部材(移動部材)525を備える。スライド部材525がフレーム526に対して前後方向に移動することに応じて、各リンク機構530、540が回動して光プリントヘッド105が上下方向に移動する。
【0046】
第1リンク機構530は、バネホルダ前511とスライド部材525とを連結するリンク部材535と、リンク部材535とフレーム526とを連結するリンク部材536と、を備える。第2リンク機構540は、バネホルダ後512とスライド部材525とを連結するリンク部材545と、リンク部材545とフレーム526とを連結するリンク部材546と、を備える。第1リンク機構530は感光ドラム103の回転軸線方向における保持部材505の中央よりも前側に取り付けられ、第2リンク機構540は感光ドラム103の回転軸線方向における保持部材505の中央よりも後側に取り付けられている。
【0047】
画像形成装置1の手前側に設けられたカバー(不図示)の開閉動作に伴い、フレーム526に対してスライド部材525が前後方向にスライド移動する。スライド部材525のスライド移動に連動して各リンク部材535,536,545,546が回動し、光プリントヘッド105が上下方向に移動する。
【0048】
本実施例においては、図4に示すように、スライド部材525がフレーム526に対して前後方向の前側に移動されると、それに連動して各リンク部材535,536,545,546が回動し、光プリントヘッド105が露光位置に上昇する。一方、図5に示すように、スライド部材525がフレーム526に対して前後方向の後側に移動されると、それに連動して各リンク部材535,536,545,546が回動し、光プリントヘッド105が離間位置に下降する。
【0049】
(光プリントヘッドの異物侵入対策)
次に、本実施例の光プリントヘッド105の異物侵入対策について説明する。
【0050】
図6はLED503が実装された基板502を示す斜視図である。本図はFFCコネクタ504が実装されている方向からの斜視図であり、LED503は他方の面に実装されている。FFCコネクタ504の両端には、LED503を発光、制御するためのドライバIC900が実装されている。尚、説明を簡略化するためその他の抵抗、コンデンサなどの実装部品は図示しない。本実施例で用いるドライバIC900は8mm角、厚さ0.85mmのICチップであり、ICチップ裏面の複数の電極パッドと基板502上の電極間が、半田によって導通されている。
【0051】
図7はこの基板502とレンズアレイ506(図7では不図示)とバネホルダ前511、バネホルダ後512とが、保持部材505に保持された様子を示した斜視図である。図8図7におけるドライバIC900上(図中の矢印A-Aの箇所)で切断した際の断面斜視図である。また、図9図7におけるバネホルダ前511(図中の矢印B-Bの箇所)で切断した際の断面斜視図である。また、図10図7におけるバネホルダ後512(図中の矢印C-Cの箇所)で切断した際の断面斜視図である。
【0052】
ここで本実施例における保持部材505は金属製の厚み1mm程度の薄板であり、電気亜鉛メッキ鋼板をプレス型で加工した部品となっている。上述したように、保持部材505には長手方向の両端部に当接部材としてのピン前507、ピン後508が配設されており、四方を曲げた箱形状にすることはなく、プレス加工にてコの字形状に形成したものである。以下、保持部材505の形状について説明する。
【0053】
保持部材505は、レンズアレイ506が挿入される開口701が形成されたベース部802を有する。また保持部材505は、ベース部802の長手方向に直交する短手方向の一方側から感光ドラム103から離れる方向へ向けて延出した第1延出部804Rを有する。また保持部材505は、ベース部802の短手方向の他方側から感光ドラム103から離れる方向へ向けて延出した第2延出部804Lを有する。延出部804Rと延出部804Lは、保持部材505において、延出部804Rと延出部804Lとの間から挿入された基板502を保持するための基板保持部をなす。ベース部802と第1延出部804Rと第2延出部804Lとは一体物であり、レンズアレイ506と基板502とを保持する保持部材505をなし、ほぼコの字形状に形成されている。
【0054】
また前述したように、保持部材505は、当接部材としてのピン前516、ピン後517と、取付部材としてのバネホルダ前511、バネホルダ後512と、を備える。感光ドラム103の回転軸線方向(基板の長手方向)において、感光ドラム103の感光層は光プリントヘッド105の露光範囲以上の幅で形成されている。また、ピン前516、ピン後517は、図示していないがドラムユニット518の感光ドラム103より外側に当接している。したがって、バネホルダ前511、バネホルダ後512は、基板502の長手方向両端部とピン前507、ピン後508との間に配設されている。上述したように、バネホルダ前511、バネホルダ後512は、それぞれリンク部材535、454と接続されており、保持部材505の所定の位置に接着固定されている。バネホルダ前511、バネホルダ後512を、保持部材505とは別体にすることで、保持部材505の製造コストを比較的安価に抑えることができる。
【0055】
バネホルダ前511、バネホルダ後512は、保持部材505に設けられる。バネホルダ前511、バネホルダ後512は、基板502の長手方向において基板502の端部より外側に設けられる。バネホルダ前511、バネホルダ後512は、保持部材505を露光位置と離間位置(退避位置)とに移動させる移動機構640が取り付けられる取付部前511a、取付部後512aを備える。具体的には、バネホルダ前511は、第1リンク機構530のリンク部材535が取り付けられる取付部前511aを備える。バネホルダ後512は、第2リンク機構540のリンク部材545が取り付けられる取付部後512aを備える。
【0056】
また前述したように、バネホルダ前511、バネホルダ後512は、光プリントヘッド105を感光ドラム103の方向に付勢する付勢部材であるバネ前509、バネ後510を保持する。
【0057】
バネホルダ前511は、前記長手方向において基板502の端部と取付部前511aとの間に壁部前902を設けている。バネホルダ後512は、前記長手方向において基板502の端部と取付部後512aとの間に壁部後903を設けている。すなわち、本実施例では、バネホルダ前511は、取付部前511aと壁部前902とが、樹脂によって一体成形された取付部材であり、長手方向において基板502の端部の外側にて保持部材505に保持されている。バネホルダ後512は、取付部後512aと壁部後903とが、樹脂によって一体成形された取付部材であり、長手方向において基板502の端部の外側にて保持部材505に保持されている。
【0058】
なお、本実施例では、取付部前511aと壁部前902とをバネホルダ前511として一体成形し、取付部後512aと壁部後903とをバネホルダ後512として一体成形した構成を例示したが、これに限定されるものではない。壁部前902、壁部後903と取付部前511a、取付部後512aとを、別個に設けた構成としても良い。
【0059】
また、基板502は長方形をしており、長手方向の長さは340mmであり、長手方向と直交する短手方向の長さは8.5mmである。基板502の製造時に長手方向の長さを短手方向の長さと同等の精度、例えば公差±0.5mmで作製しようとするとコストが高くなる。そこで、製造コストを比較的安価するため、基板502の長手方向の長さは公差±1mm前後とバラツキを許容している。したがって、保持部材505に保持される基板502と、保持部材505に接着固定されるバネホルダ前511、バネホルダ後512とは、回転軸線方向(長手方向)において間隔を空けて配設する必要がある。その間隔は、公差の違いにより保持部材505における短手方向のコの字形状の壁面(延出部804R、804L)と基板502との隙間より広くなっており、2mm前後である。ここで、基板502の製造時の公差を小さくできれば、バネホルダ前511、バネホルダ後512と基板502の長手方向端部との間隔は2mmよりも小さくすることも可能である。本実施例では、バネホルダ前511が有する壁部前902と基板の長手方向端部との間隔、及びバネホルダ後512が有する壁部後903と基板502の長手方向端部との間隔は、2mm以下である。
【0060】
次に光プリントヘッド105の構成について更に詳しく説明する。保持部材505のベース部802に形成されたレンズ取付部としての開口701は、レンズアレイ506に対して一回り大きい開口である。レンズアレイ506は、保持部材505の開口701に挿入され、位置調整され、接着剤により保持部材505に固定される。また基板502は、保持部材505の延出部804Rと延出部804Lとの間の間隔よりも一回り小さく形成されており、基板502はLED503の光軸をレンズアレイ506の中心に合わせるよう位置調整される。その後、基板502は、保持部材505の短手方向の両側にある延出部804R、804Lとの間で接着剤により保持部材505に固定される。この接着剤は、例えば紫外線硬化型の接着剤であり、液体状ないしゲル状のまま接着箇所に塗布された後に紫外線が照射されることで、硬化するようになっている。
【0061】
ここでレンズアレイ506と基板502は保持部材505に対して複数点接着によって比較的短い時間で固定しており、接着剤による接着後もレンズアレイ506と保持部材505との間、および基板502と保持部材505との間に隙間は残っている。また基板502の長手方向端部とバネホルダ前511、バネホルダ後512との間隔は上述した2mm以下の間隔がある。したがって、保持部材505と基板502のLED503およびレンズアレイ506の周囲の空間にトナー等の異物が侵入することが可能であり、光量の減少等の問題が生じるおそれがある。
【0062】
そこで本実施例では、図8に示すように、封止材513をレンズアレイ506と保持部材505との双方と接触するように塗布し、保持部材505の開口701に挿入され接着されたレンズアレイ506と保持部材505との間の隙間を封止する。また、封止材514を基板502と延出部804R、804Lとの双方に接触するように塗布し、保持部材505の延出部804Rと延出部804Lとの間に挿入され接着された基板502と各延出部804R、804Lとの間の隙間を封止する。
【0063】
さらに封止材514を、図9図10に示すように、基板502とバネホルダ前511、バネホルダ後512との双方と接触するように塗布する。ここで、バネホルダ前511の基板502に対向する側には壁部前902を設け、バネホルダ後512の基板502に対向する側には壁部後903を設けている。壁部前902は、感光ドラム103回転軸線方向において基板502の端部とバネホルダ前511の取付部前511aとの間に設けられている。壁部後903は、感光ドラム103の回転軸線方向において基板502の端部とバネホルダ後512の取付部後512aとの間に設けられている。壁部前902、壁部後903は、回転軸線方向において、基板502の端部との間に前述した2mm以下の間隔がある。封止材514は、壁部前902と基板502との双方に接触するように、また壁部後903と基板502との双方に接触するように塗布される。したがって、封止材514は、基板502の端部と壁部前902との間の隙間、基板502の端部と壁部後903との間の隙間を封止する。
【0064】
また、壁部前902、壁部後903は、保持部材505のベース部802、第1延出部804R、及び第2延出部804Lが形成するコの字形状の内面に沿う形状を有している。
【0065】
また、壁部前902、壁部後903は、保持部材505の移動方向(上下方向)において、保持部材505に保持された基板502より感光ドラム103から離れる方向に突出して設けられている。すなわち、下面露光方式の光プリントヘッドにおいて、壁部前902、壁部後903は基板502の位置よりも上方向に伸びている。したがって、封止材514を基板502と壁部前902、壁部後903との双方に接触するように塗布する際に、封止材514が壁部前902、壁部後903を乗り越えないようになっている。
【0066】
封止材513、514は時間の経過と共に凝固し、レンズアレイ506と保持部材505との間の隙間、基板502と保持部材505との間の隙間、及び基板502とバネホルダ(の壁部)との間の隙間をそれぞれ封止する。これにより光プリントヘッド105は、基板502のLED503およびレンズアレイ506の周囲の空間をほぼ密閉することができ、異物の侵入を低減できる。特に回転軸線方向において基板502の端部が壁部と封止材により封止されて異物の侵入をより低減できる。また、壁部を設けて壁部との隙間を封止材514で封止しているので、基板502に搭載されたLED503への封止材514の流入を抑制することができる。また保持部材505に保持されたレンズアレイ506への封止材514の流入を抑制することができる。また封止材514の使用量を抑えてコストダウンを図ることができる。
【0067】
尚、本実施例では封止材としては適度な柔軟性を有するシリコンを利用しており、例えばダウ・東レ株式会社の常温硬化タイプの一液型RTVゴムであるSE9189L等である。シリコンの性質上、比較的柔らかく構成されると共に、充填されると柔軟に変形し、隙間をほぼ密閉できる。また、柔軟性を有しながらもゲル状程度の剛性や強度を有しており、SE9189Lの粘度は22Pa・sであり、液体のように流れ落ちること無く、塗布された際の形状を良好に維持することができる。
【0068】
また、封止材の塗布の仕方としては、ディスペンサーを用いて液剤の精密塗布を行うのが良い。また、封止材の吐出口としてのノズル・ニードルとして武蔵エンジニアリング株式会社のSNA-12G等が用いられる。吐出口の内径は、基板502とバネホルダ前511、バネホルダ後512との間の間隔より大きい。具体的には、吐出口(SNA-12G)の内径は2.27mmであり、基板502とバネホルダ前511、バネホルダ後512との間の間隔である約2mmを一度に塗布することが可能である。
【0069】
〔実施例2〕
図11図12を用いて、実施例2に係る光プリントヘッドについて説明する。図11は本実施例に係る光プリントヘッドにおいて、図9と同様にバネホルダ前511(図7中の矢印B-Bの箇所)で切断した際の断面斜視図である。また、図12図10と同様にバネホルダ後512(図7中の矢印C-Cの箇所)で切断した際の断面斜視図である。
【0070】
本実施例に係る光プリントヘッドは、壁部が受け部を有し、受け部に第1の溝部を設けた点が異なる。その他の構成は、前述した実施例と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0071】
壁部前902は、基板502のLEDが実装された実装面と対向する保持部材505のベース部802の内面に沿って、壁部前902からレンズ側に向けて延設された受け部前904を有する。受け部前904は、基板502の長手方向において壁部前902とレンズアレイ506との間に位置している。
【0072】
壁部後903は、基板502のLEDが実装された実装面と対向する保持部材505のベース部802の内面に沿って、壁部後903からレンズ側に向けて延設された受け部後905を有する。受け部後905は、基板502の長手方向において壁部後903とレンズアレイ506との間に位置している。
【0073】
受け部前904は、基板502の実装面に対向する対向面904aに、前記長手方向に直交する方向に沿って第1の溝部前906を設けている。第1の溝部前906は、対向面904aと壁部前902との間に段差を形成する。受け部後905は、基板502の実装面に対向する対向面905aに、前記長手方向に直交する方向に沿って第1の溝部後907を設けている。第1の溝部後907は、対向面905aと壁部後903との間に段差を形成する。
【0074】
上記構成によれば、基板502と壁部前902との双方に接触するように塗布した封止材514が、基板502と壁部前902との隙間から下方向に流出したとしても、これを受け部前904で受け、更には第1の溝部前906にとどめることが可能である。これにより、基板502に搭載されたLED503への封止材514の流入を抑制することができる。また保持部材505に保持されたレンズアレイ506への封止材514の流入を抑制することができる。基板502と壁部後903との双方に接触するように塗布した封止材514が、基板502と壁部後903との隙間から下方向に流出したとしても、同様に抑制することができる。
【0075】
また受け部前904、受け部後905は、回転軸線方向において、保持部材505に保持されたレンズアレイ506の端部より外側に設けられ、基板502のLEDが実装された領域より外側に設けられている。このため、受け部前904、受け部後905は、LEDからレンズアレイ506に向けて出射された光を遮ることがない。
【0076】
〔実施例3〕
図13図14を用いて、実施例3に係る光プリントヘッドについて説明する。図13は本実施例に係る光プリントヘッドにおいて、バネホルダ前511付近の封止材の塗布前の斜視図である。また、バネホルダ後512付近の封止材の塗布前の斜視図である。
【0077】
本実施例に係る光プリントヘッドは、バネホルダの壁部が有する受け部に、さらに切り欠き部を設けた点が異なる。その他の構成は、前述した実施例と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0078】
バネホルダ前511の受け部前904は、保持部材505の第1延出部804Rに対向する第1面(不図示)に、前記長手方向に直交する方向に沿って切り欠き部前908を設けている。切り欠き部前908は、前記第1面と壁部前902との間に段差を形成する。受け部前904は、保持部材505の第2延出部804Lに対向する第2面(不図示)に、前記長手方向に直交する方向に沿って切り欠き部前908を設けている。切り欠き部前908は、前記第2面と壁部前902との間に段差を形成する。第1延出部804Rに対向する切り欠き部前908、第2延出部804Lに対向する切り欠き部前908は、前記第1の溝部前906につながっている。
【0079】
バネホルダ後512の受け部後905は、保持部材505の第1延出部804Rに対向する第1面(不図示)に、前記長手方向に直交する方向に沿って切り欠き部後909を設けている。切り欠き部後909は、前記第1面と壁部後903との間に段差を形成する。受け部後905は、保持部材505の第2延出部804Lに対向する第2面(不図示)に、前記長手方向に直交する方向に沿って切り欠き部後909を設けている。切り欠き部後909は、前記第2面と壁部後903との間に段差を形成する。第1延出部804Rに対向する切り欠き部後909、第2延出部804Lに対向する切り欠き部後909は、前記第1の溝部後907につながっている。
【0080】
上記構成によれば、切り欠き部前908、切り欠き部後909は、各バネホルダの壁部に対向する基板502の角部付近に設けられることとなる。したがって、各壁部に沿って基板502の角部に封止材514を容易に充填できる。また封止材514が基板端部と壁部との隙間から下方向に流出したとしても、レンズアレイ506まで流れていくことをより防ぐことができる。
【0081】
なお、切り欠き部前908、切り欠き部後909は、前述した実施例2で説明した第1の溝部前906、第1の溝部後907につながる構成を例示したが、受け部が第1の溝部を有しない構成であっても、前述した効果を得ることができる。
【0082】
〔実施例4〕
図15図16図17を用いて、実施例4に係る光プリントヘッドについて説明する。図15は光プリントヘッドの斜視図である。図16はバネホルダ前511(図15中の矢印D-の箇所)で切断した際の光プリントヘッドの断面斜視図である。また、図17はバネホルダ後512(図15中の矢印E-の箇所)で切断した際の光プリントヘッドの断面斜視図である。
【0083】
本実施例に係る光プリントヘッドは、バネホルダの壁部が有する受け部に、さらに第2の溝部を設けた点が異なる。さらに保持部材のベース部に、前記第2の溝部につながる貫通穴を設けた点が異なる。その他の構成は、前述した実施例と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0084】
光プリントヘッド105において、バネホルダ前511、バネホルダ後512は保持部材505に対して接着固定されている。しかし、バネホルダ前511、バネホルダ後512と保持部材505との間に、わずかに隙間が空くことも考えられる。そこで、本実施例に係る光プリントヘッド105は、バネホルダ前511、バネホルダ後512の保持部材505のベース部802と対向する側を封止材514が充填しやすくするために、以下のように構成している。
【0085】
バネホルダ前511の受け部前904は、保持部材505のベース部802に対向する対向面904bに、前記長手方向に直交する方向に沿って第2の溝部前911を設けている。第2の溝部前911は、前記対向面904bと前記壁部前902との間に段差を形成する。第2の溝部前911は、図13に示す第1延出部804Rに対向する切り欠き部前908、第2延出部804Lに対向する切り欠き部前908につながっている。
【0086】
バネホルダ後512の受け部後905は、保持部材505のベース部802に対向する対向面905bに、前記長手方向に直交する方向に沿って第2の溝部後912を設けている。第2の溝部後912は、前記対向面905bと前記壁部後903との間に段差を形成する。第2の溝部後912は、図14に示す、第1延出部804Rに対向する切り欠き部後909、第2延出部804Lに対向する切り欠き部後909につながっている。
【0087】
また保持部材505のベース部802に、前記第2の溝部前911につながる貫通穴前913を設けている。同様に、保持部材505のベース部802に、前記第2の溝部後912につながる貫通穴後914を設けている。
【0088】
上記構成によれば、保持部材505のベース部802の貫通穴前913、貫通穴後914から、バネホルダ前511、バネホルダ後512の第2の溝部前911、第2の溝部後912に、封止材514が充填される。したがって、バネホルダ前511、バネホルダ後512は保持部材505に対してわずかに隙間が空いていても封止することができる。
【0089】
ここで、第2の溝部前911、第2の溝部後912と切り欠き部前908、切り欠き部後909はそれぞれつながっている。したがって、保持部材505のベース部802に貫通穴を空けずに封止材514が切り欠き部前908、切り欠き部後909を通って第2の溝部前911、第2の溝部後912を充填されるようにしても構わない。
【符号の説明】
【0090】
S …記録材
1 …画像形成装置
103 …感光ドラム
105 …光プリントヘッド
500 …露光ユニット
502 …基板
504 …FFCコネクタ
505 …保持部材
506 …レンズアレイ
507,508 …ピン
509,510 …バネ
511,512 …バネホルダ
511a,512a …取付部
513,514 …封止材
503 …LED
525 …スライド部材
526 …フレーム
530,540 …リンク機構
535,536,545,546 …リンク部材
639 …LEDチップ
640 …移動機構
701 …開口
802 …ベース部
804L,804R …延出部
902,903 …壁部
904,905 …受け部
904a,904b,905a,905b …対向面
906,907 …第1の溝部
908,909 …切り欠き部
911,912 …第2の溝部
913,914 …貫通穴
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17